JP6361844B1 - 陰圧閉鎖療法器具 - Google Patents
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Abstract
貼付部材11と通気性部材13との間には、通路接続部材20が設けられている。通路接続部材20において、第1板材21の第1凹溝22と第2板材25の第2凹溝26との対向配置によって構成される孔部28には、チューブ部材15が挿入されている。このチューブ部材15の内部空間が吸引通路15aを構成している。チューブ部材15の端部15bには、円環状の水封部材30が設けられている。水封部材30は、連続気孔を有するとともに水分に触れることにより連続気孔が塞がれる材質で形成されている。チューブ部材15が水分を吸引してその水分が水封部材30に至ると、水封部材30の連続気孔が塞がれて、そのチューブ部材15を介してそれ以上水分が吸引されることは抑制される。
Description
本発明は、陰圧閉鎖療法器具に関する。
特許文献1に記載の陰圧閉鎖療法器具は、患部に貼り付けられるフィルム状の貼付部材と、その貼付部材の一方の面側に配置されるガーゼとを備えている。また、貼付部材の一方の面側には、チューブの一端部が配置されている。チューブの他端部は、気体を吸引するポンプに接続されている。貼付部材を患部に貼り付けた状態でポンプを駆動して気体を吸引することで、貼付部材と患部との間の閉鎖空間が陰圧にされる。
特許文献1に記載の陰圧閉鎖療法器具を用いて陰圧閉鎖療法を行っている際には、患部から血液等の水分が滲みでてくる。このような水分がポンプに流入すると、ポンプの吸引能力の低下や故障の原因となる。特許文献1に記載の陰圧閉鎖療法器具は、チューブの途中に水分を捕集して溜めておくための捕集容器が設けられている。しかし、このような捕集容器を設けると、陰圧閉鎖療法器具に用いられるポンプの大型化は避けられない。
上記課題を解決するため、本発明は、陰圧源と、一方の面に粘着性を有する貼付部材と、前記貼付部材の一方の面側に配置された通気性を有する通気性部材と、前記貼付部材及び前記通気性部材の間に設けられる複数の吸引通路であって、各吸引通路の一方端が前記貼付部材と前記通気性部材によって形成される空間に連通する、前記複数の吸引通路と、前記複数の吸引通路の他方端と前記陰圧源とを接続する排気通路とを備え、前記複数の吸引通路のそれぞれには、通気性を有するとともに水分に触れることにより通気性が失われる水封部材が設けられており、筺体と、前記筺体の内部に区画された前記排気通路と、前記排気通路と前記筺体の外部とを連通する複数の孔部と、を有する通路接続部材であって、前記複数の孔部には複数のチューブ部材がそれぞれ配設され、前記複数のチューブ部材の内部空間は、前記吸引通路を構成することを特徴とする、前記通路接続部材をさらに備える。
上記の構成によれば、患部から滲みでた水分が吸引通路により吸引されると、その水分が当該吸引通路に設けられた水封部材に触れることになる。そして、水封部材が水分に触れることにより当該水封部材の通気性が失われて、その吸引通路を介しては空気を吸引しにくくなる。したがって、水分を吸引してしまった吸引通路から、それ以上水分が吸引されることを抑制できる。その結果、水分を分離して貯めておくための容器等の構成を設けなくても、ポンプ内に水分が流入することを抑制でき、ポンプの大型化を抑制できる。また、上記の構成によれば、通路接続部材の複数の孔部に複数のチューブ部材をそれぞれ配設するという比較的に単純な構造で、排気通路と複数の吸引通路との連通が実現できる。したがって、排気通路に連通する複数の吸引通路を備える陰圧閉鎖療法器具の製造コストがかさむことを抑制できる。
なお、上記の構成では、複数の吸引通路が設けられている。これら吸引通路のうちのいずれかを介した空気の吸引ができなくなっても他の吸引通路から空気を吸引できるので、貼付部材と患部との間の閉鎖空間を陰圧に維持できる。
上記の発明において、前記複数の吸引通路は、所定の放射中心を中心として放射状に延びているとともに、各吸引通路の放射中心側の端部が前記排気通路に接続されており、前記複数の吸引通路の前記所定の放射中心は、前記通気性部材の面に沿う所定方向において前記通気性部材の中心よりも一方側に寄った位置に位置していてもよい。
上記の構成によれば、通気性部材の面方向における一方側には吸引通路の放射中心が位置していて、その近傍では吸引通路が比較的に密に配置されている。その一方で、貼付部材の面方向における他方側には、一方側ほど吸引通路が密に配置されていない。そのため、この構成の陰圧閉鎖療法器具を使用する際には、通気性部材の面方向における他方側を患部における創傷に当てて使用することが想定され、その他方側において多くの水分が滲みだしてくる可能性が高い。そして、上記構成では、吸引通路が放射状に延びているため、通気性部材の面方向における一方側にも他方側にも吸引通路が延びている。そして、仮に通気性部材の面方向における他方側の部分で局所的に多くの水分が滲みだしてきても、一方側に延びている吸引通路がその水分を吸引してしまう可能性は低い。したがって、全ての吸引通路の水封部材の連続気孔が塞がれてしまって、貼付部材と患部との間の閉鎖空間を陰圧に維持できなくなるといった事態は生じにくい。
上記の発明において、前記通路接続部材は、前記吸引通路より流入した空気を前記筺体の外へ排出するための排気口を有する第1板材と、当該第1板材に対向配置された第2板材とを備え、前記第1板材には、前記排気通路と連続するように複数の第1凹溝が設けられており、前記第2板材には、前記複数の第1凹溝とそれぞれ対向するように複数の第2凹溝が設けられており、前記複数の第1凹溝と当該複数の第1凹溝に対向する前記複数の第2凹溝とによって、前記複数の孔部が構成されており、前記水封部材は、前記複数の孔部に設けられている。
上記の構成によれば、例えばチューブ部材の内部に水封部材を充填しなくても、第1板材の第1凹溝と第2板材の第2凹溝との間に水封部材を配置するという比較的に簡便な作業で、水封部材を吸引通路に設けることができる。その結果、水封部材を吸引通路に設けるための製造工程が複雑化することを抑制できる。
上記の発明において、前記排気通路に接続された圧電ポンプを備え、前記圧電ポンプは、前記貼付部材と前記通気性部材との間に配置されていてもよい。
上記の構成によれば、貼付部材と通気性部材との間に圧電ポンプが内蔵されているので、貼付部材と患部との間の閉鎖空間の外部に外部ポンプを設けたり、その外部ポンプに繋ぐための管を設けたりする必要がない。したがって、陰圧閉鎖療法器具の小型化、取り回しのよさに寄与できる。
上記の構成によれば、貼付部材と通気性部材との間に圧電ポンプが内蔵されているので、貼付部材と患部との間の閉鎖空間の外部に外部ポンプを設けたり、その外部ポンプに繋ぐための管を設けたりする必要がない。したがって、陰圧閉鎖療法器具の小型化、取り回しのよさに寄与できる。
なお、前記水封部材は、吸水性高分子、PVAスポンジ、吸水性繊維、及び疎水性メンブレンから選ばれる少なくとも1つの材料で構成されるとよい。また、前記通気性部材は、ガーゼで構成されているとよい。
本発明によれば、陰圧閉鎖療法器具に用いられるポンプの大型化を抑制しつつ、患部から滲みでた水分がポンプに流入することを抑制できる。
以下、陰圧閉鎖療法器具の実施形態を図1〜図8にしたがって説明する。なお、以下の説明では、陰圧閉鎖療法器具を患部に貼り付けた際の患部側を下側、それとは反対側を上側として説明する。
図1に示すように、陰圧閉鎖療法器具は、ポリエチレン等の透明な樹脂により形成されたフィルム状の貼付部材11を備える。図2に示すように、貼付部材11は、平面視すると略長方形状になっている。貼付部材11の下側面は粘着性を有していて、当該貼付部材11を患部(皮膚)に貼り付けることができるように構成された粘着面11aである。
図1に示すように、貼付部材11の下側には、布状の第1ガーゼ12が配置されている。第1ガーゼ12は、平面視すると略長方形状になっていて、縦横の寸法が貼付部材11の縦横の寸法よりも小さくなっている。また、第1ガーゼ12は、平面視した場合に貼付部材11からはみ出さないように配置されている。第1ガーゼ12の上側面は、貼付部材11の粘着面11aに貼り付けられている。第1ガーゼ12は通気性及び吸湿性を有しており、患部から滲みでたある程度の量の水分を吸収する。
図1に示すように、貼付部材11の下側であって第1ガーゼ12のさらに下側には、布状の第2ガーゼ13が配置されている。第2ガーゼ13は、平面視すると略長方形状になっていて、縦横の寸法が第1ガーゼ12と同一になっている。第2ガーゼ13は、平面視したときに第1ガーゼ12と全体が重なり合うように配置されている。また、第2ガーゼ13の上面における周縁は、図示しない接着剤により第1ガーゼ12の下面における周縁に固定的に接着されている。第2ガーゼ13は通気性及び吸湿性を有しており、患部から滲みでたある程度の量の水分を吸収する。なお、この実施形態では、第2ガーゼ13が通気性部材に相当する。
図1に示すように、上下方向において第1ガーゼ12及び第2ガーゼ13の間には、複数のチューブ部材15が設けられている。チューブ部材15は、ポリエチレン等の樹脂により管状に形成されている。図2に示すように、複数のチューブ部材15は、貼付部材11の面方向において放射中心Cを中心として放射状に延びている。この実施形態では、8本のチューブ部材15が放射中心Cを中心とする周方向に略45度間隔で設けられている。各チューブ部材15における放射中心側の端部15b(基端または内端と呼ぶことがある)は、通路接続部材20の内部に至っている。なお、各チューブ部材15の内部空間は、吸引通路15aを構成する。各チューブ部材15において端部15bとは反対側の先端15c(外端と呼ぶことがある)は、貼付部材11と第2ガーゼ13によって形成される空間14内に配置され、当該空間14と連通している。
図3及び図4に示すように、通路接続部材20は、第1板材21と、第1板材21の下側に対向配置された第2板材25とによって構成される筺体20aを含むことができる。これら第1板材21及び第2板材25の間に水封部材30が配置される。第1板材21及び第2板材25は例えば円板状であり、第1板材21及び第2板材25は同じフットプリントを有することができる。第1板材21の下側面には、複数の第1凹溝22が設けられている。第1凹溝22は、断面視すると略半円状になっている。第1凹溝22は、第1板材21の面方向において、第1板材21の中心から放射状に延びている。この実施形態では、8つの第1凹溝22が第1板材21の周方向に略45度間隔で設けられている。第1板材21の上側面には、上側に向かって突出するように円筒状の排気口23が設けられている。排気口23は、チューブ部材15より筺体20aに流入した空気を筺体20aの外へ排出するように構成されている。排気口23は、第1板材21の面方向において第1板材21の中心に設けられている。排気口23の内部は、第1板材21を厚み方向に貫通して第1板材21の下側面に開口している。
第2板材25は、第1板材21と同一径の円板状になっている。第2板材25の上側面には、複数の第2凹溝26が設けられている。第2凹溝26は、断面視すると略半円状になっている。第2凹溝26は、第2板材25の面方向において、第2板材の中心から放射状に延びている。この実施形態では、8つの第2凹溝26が第2板材25の周方向に略45度間隔で設けられている。第2板材25は、その面方向において、当該第2板材25の中心が第1板材21の中心と一致するように配置されている。また、第2板材25は、当該第2板材25の第2凹溝26と第1板材21の第1凹溝22とが対向するように、第1板材21に対して位置決めされている。図3及び図5に示すように、通路接続部材20には、第1板材21の第1凹溝22と第2板材25の第2凹溝26との対向配置によって、断面視略円形状の孔部28が形成されている。
図4に示すように、水封部材30は、円環状になっているとともに上下方向の厚みがチューブ部材15の直径よりも大きくなっている。水封部材30は、面方向において、その円環の中心が第1板材21の中心と一致するように配置されている。水封部材30は、連続気孔を有する多孔質性であり、吸水性高分子材料(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム)で形成されている。なお、多孔質性の吸水性高分子材料は、吸水性高分子材料に一旦水分を吸収させた後に凍結乾燥で水分を昇華させたり、発泡剤で発泡させつつモノマーを重合させたりすることにより得ることができる。
図5に示すように、水封部材30は、第1板材21及び第2板材25の間に挟まれてこれらによって上下に圧縮されている。ここで、第1板材21と第2板材25との間の上下方向の間隔は、第1凹溝22及び第2凹溝26が設けられていない平坦部分においては比較的に短く、第1凹溝22及び第2凹溝26が設けられている孔部28においては比較的に長い。したがって、水封部材30のうち、第1板材21及び第2板材25の平坦部分で挟まれている箇所においては、強く圧縮されて内部の連続気孔が潰されている。したがって、水封部材30は、平坦部分で挟まれている箇所では通気性をほとんど有していない。一方、水封部材30のうち、第1凹溝22及び第2凹溝26に挟まれている箇所においては、圧縮の程度が小さく内部の連続気孔が完全には潰されていない。したがって、水封部材30は、孔部28の内部では通気性を有している。第1板材21と第2板材25との間の空間であって、水封部材30よりも径方向内側の空間30aは、第1板材21の排気口23の内部空間23aと連通している。この空間30aは、排気口23の内部空間23aとともに排気通路を構成する。第1板材21の平坦部分と第2板材25の平坦部分との間には、図示しない接着剤が充填されていて、第1板材21及び第2板材25が互いに上下方向に離間しないようになっている。
通路接続部材20の各孔部28には、チューブ部材15の放射中心側の端部15bが挿入されている。この実施形態では、チューブ部材15は、通路接続部材20の内部において孔部28(第1凹溝22、第2凹溝26)に沿って延びているため、チューブ部材15の放射中心Cは、面方向において、第1板材21の中心及び第2板材25の中心と一致している。チューブ部材15の放射中心側の端部15bは、水封部材30の外周面に当接している。すなわち、チューブ部材15の内部空間である吸引通路15aの端部に水封部材30が設けられている。
図2に示すように、通路接続部材20は、第2ガーゼ13の長手方向(図2において左右方向)において、第2ガーゼ13の中央よりも一方側(図2において右側)に寄せて配置されている。上述したとおり、チューブ部材15の放射中心Cは、面方向において、第1板材21の中心及び第2板材25の中心と一致しているため、チューブ部材15の放射中心Cも、第2ガーゼ13の長手方向において、第2ガーゼ13の中央よりも一方側に寄っている。
図1に示すように、通路接続部材20の上側には、陰圧源が取り付けられている。本実施形態では、陰圧源は貼付部材11と患部との間の閉鎖空間の空気を外部へと排出するための圧電ポンプ40である。圧電ポンプ40は、図6に示すように、圧電ポンプ40は、平面視で正方形状の板材を複数層積層することにより構成されている。なお、図6においては、各層の厚み関係を単純化して描いており、実際の圧電ポンプ40の各層の厚みと整合していないことがある。
圧電ポンプ40を構成する複数の板材のうち最も下側に位置する底板部材41の中央には、圧電ポンプ40の内部に空気を導くための吸入口41aが設けられている。吸入口41aは、平面視円形状になっている。円形状の吸入口41aの内径は、通路接続部材20の排気口23の外径と略同一となっていて、この吸入口41aの内側には、通路接続部材20の排気口23が接続できるようになっている。底板部材41の上側には、板状の第1通路構成部材42が積層されている。
第1通路構成部材42には、当該第1通路構成部材42の中央から外側へと向けて延びる複数(図6においては2つ)の第1吸入通路42aが設けられている。第1吸入通路42aは、中央側の部分において底板部材41の吸入口41aと連通している。第1通路構成部材42の上側には、板状の第1セパレータ43が積層されている。
第1セパレータ43には、当該第1セパレータ43を貫通する複数(図6においては2つ)の貫通孔43aが設けられている。貫通孔43aは、平面視円形状になっている。貫通孔43aは、第1通路構成部材42における第1吸入通路42aの外側の端部に対応する位置に設けられていて、第1吸入通路42aに連通している。第1セパレータ43の上側には、板状の下枠部材44が積層されている。
下枠部材44には、当該下枠部材44を貫通する複数(図6においては2つ)の貫通孔44aが設けられている。貫通孔44aは、第1セパレータ43の貫通孔43aと同一径の円形状になっていて、当該貫通孔43aと対向する位置に設けられている。下枠部材44の中央部には、円形状の開口部44bが設けられている。開口部44bの直径は、正方形状の下枠部材44の一辺の長さの半分以上になっている。この実施形態では、開口部44bの直径は、正方形状の下枠部材44の略3分の2になっている。下枠部材44の上側には、ダイアフラム板45が積層されている。
ダイアフラム板45は、可撓性のある金属板により構成されている。ダイアフラム板45には、当該ダイアフラム板45を貫通する複数(図6においては2つ)の貫通孔45aが設けられている。貫通孔45aは、下枠部材44の貫通孔44aと同一径の円形状になっていて、当該貫通孔44aと対向する位置に設けられている。ダイアフラム板45の下面には、円板状の圧電素子50が設けられている。圧電素子50の外径は、下枠部材44の開口部44bの内径よりも小さくなっている。圧電素子50は、ダイアフラム板45の下面における中央に取り付けられていて、下枠部材44の開口部44b内に収容されている。圧電素子50は、板状の圧電セラミックスの両面に電極板を貼り付けたユニモルフ型(モノモルフ型)の素子である。ダイアフラム板45の上側には、板状の上枠部材46が積層されている。
上枠部材46には、当該上枠部材46を貫通する複数(図6においては2つ)の貫通孔46aが設けられている。貫通孔46aは、ダイアフラム板45の貫通孔45aと同一径の円形状になっていて、当該貫通孔45aと対向する位置に設けられている。上枠部材46の中央部には、円形状の開口部46bが設けられている。開口部46bの直径は、下枠部材44の開口部44bの直径と同一になっている。また、開口部46bは、面方向において、下枠部材44の開口部44bと重なり合う位置に設けられている。上枠部材46の上側には、板状の第2セパレータ47が積層されている。
第2セパレータ47には、当該第2セパレータ47を貫通する複数(図6においては2つ)の貫通孔47aが設けられている。貫通孔47aは、上枠部材46の貫通孔46aと同一径の円形状になっていて、当該貫通孔46aと対向する位置に設けられている。なお、この実施形態では、第1セパレータ43の貫通孔43a、下枠部材44の貫通孔44a、ダイアフラム板45の貫通孔45a、上枠部材46の貫通孔46a、及び第2セパレータ47の貫通孔47aが互いに連通しており、これらによって、第1通路構成部材42の第1吸入通路42aから上側へと延びる連通路40aが構成されている。第2セパレータ47の中央には、当該第2セパレータ47を貫通する円形状のブロア孔47bが設けられている。ブロア孔47bの内径は、上枠部材46の開口部46bの内径よりも小さくなっている。第2セパレータ47の下面と、上枠部材46における開口部46bの内周面と、ダイアフラム板45の上面とによって、ブロア室Sが区画されている。そして、第2セパレータ47のブロア孔47bは、ブロア室Sに連通している。第2セパレータ47の上側には、板状の第2通路構成部材48が積層されている。
第2通路構成部材48には、当該第2通路構成部材48の中央から外側へと向けて延びる複数(図6においては2つ)の第2吸入通路48aが設けられている。第2吸入通路48aは、外側の部分において第2セパレータ47の貫通孔47a(連通路40a)と連通している。第2吸入通路48aは、中央側の部分において第2セパレータ47のブロア孔47bと連通している。第2通路構成部材48の上側には、板状の天板部材49が積層されている。
天板部材49には、圧電ポンプ40の内部から空気を吐出するための吐出口55が設けられている。吐出口55は、上側に向かって突出する円筒状になっている。吐出口55の内部は、天板部材49を厚み方向に貫通して天板部材49の下側面に開口している。吐出口55の内径は、第2セパレータ47のブロア孔47bと同一径の円形状になっている。また、吐出口55の下側の開口は、第2通路構成部材48の第2吸入通路48aを間に挟んで、第2セパレータ47のブロア孔47bと対向している。図1に示すように、吐出口55は、第1ガーゼ12及び貼付部材11を貫通して、貼付部材11の上側面(陰圧閉鎖療法器具の外面)に開口している。
図1及び図2に示すように、上下方向において第1ガーゼ12及び第2ガーゼ13の間には、圧電ポンプ40を駆動するための駆動回路60が設けられている。駆動回路60には、圧電ポンプ40の圧電素子50に電力を供給するバッテリやその圧電素子50への印加電圧を制御するための制御回路等が内蔵されている。また、駆動回路60には、当該駆動回路60のバッテリから圧電素子50への電力供給の開始・停止を切り替えるためのスイッチ61が設けられている。スイッチ61は、押圧する度に電力供給の開始・停止が切り換わる押しボタンスイッチである。
図2に示すように、駆動回路60は、第2ガーゼ13の長手方向において、通路接続部材20及び圧電ポンプ40よりも一方側(通路接続部材20が寄っている側)に配置されている。すなわち、駆動回路60は、通路接続部材20及び圧電ポンプ40よりも端に寄せて配置されている。また、駆動回路60は、第2ガーゼ13の面方向において、通路接続部材20に対して離間している。なお、駆動回路60と圧電ポンプ40の圧電素子50とは、図示しない信号線及び電源線を介して電気的に接続されている。
以上のように構成された陰圧閉鎖療法器具の作用について説明する。先ず、圧電ポンプ40の動作について説明する。
圧電ポンプ40の圧電素子50に電圧が印加されていない状態では、図6に示すように、圧電素子50及びダイアフラム板45が撓んでなく、略平坦な状態である。この状態において、駆動回路60から所定の電圧が圧電素子50に印加されると、図7に示すように、圧電素子50が、その幅方向中央側が下側へと突出するように撓む。これに伴いダイアフラム板45も、その幅方向中央側が下側へと突出するように撓む。このとき、ダイアフラム板45の上側に区画されているブロア室Sの容積が大きくなるため、吸入口41a、第1吸入通路42a、連通路40a、第2吸入通路48a、及びブロア孔47bを介してブロア室Sに空気が流入する。
圧電ポンプ40の圧電素子50に電圧が印加されていない状態では、図6に示すように、圧電素子50及びダイアフラム板45が撓んでなく、略平坦な状態である。この状態において、駆動回路60から所定の電圧が圧電素子50に印加されると、図7に示すように、圧電素子50が、その幅方向中央側が下側へと突出するように撓む。これに伴いダイアフラム板45も、その幅方向中央側が下側へと突出するように撓む。このとき、ダイアフラム板45の上側に区画されているブロア室Sの容積が大きくなるため、吸入口41a、第1吸入通路42a、連通路40a、第2吸入通路48a、及びブロア孔47bを介してブロア室Sに空気が流入する。
その後、駆動回路60からそれまでとは逆の電圧が圧電素子50に印加されると、図8に示すように、圧電素子50が、その幅方向中央側が上側へと突出するように撓む。これに伴いダイアフラム板45も、その幅方向中央側が上側へと突出するように撓む。このとき、ダイアフラム板45の上側に区画されているブロア室Sの容積が小さくなるため、ブロア孔47bを介してブロア室Sから空気が流出する。第2吸入通路48aにおいては、空気が幅方向外側から中央側(ブロア孔47b側)へと流れているため、ブロア室Sから流出した空気が第2吸入通路48aの幅方向中央側から外側へと逆流しにくい。その一方で、ブロア孔47bに対して吐出口55の下側の開口が対向配置されているため、ブロア室Sからブロア孔47bを介して流出した空気は、吐出口55から速やかに外部へと吐出される。駆動回路60から圧電素子50へと、所定の周波数の交流電圧が供給されることにより、上記一連の動作が繰り返し実行される。
次に、上記の陰圧閉鎖療法器具を用いて陰圧閉鎖療法を行った際の作用を説明する。
陰圧閉鎖療法を行う際には、上記のように構成された陰圧閉鎖療法器具における貼付部材11の下側面を患部(皮膚)に貼り付ける。ここで、図2に示すように、上記実施形態の陰圧閉鎖療法器具においては、通路接続部材20及び圧電ポンプ40が、第2ガーゼ13の長手方向一方側(図2において右側)に寄せて配置されている。そのため、第2ガーゼ13の長手方向他方側(図2において左側)には、通路接続部材20や圧電ポンプ40等が配置されていない部分がある。そこで、この第2ガーゼ13の長手方向他方側の部分が患部における創傷表面に接するように、貼付部材11を患部に貼り付ける。
陰圧閉鎖療法を行う際には、上記のように構成された陰圧閉鎖療法器具における貼付部材11の下側面を患部(皮膚)に貼り付ける。ここで、図2に示すように、上記実施形態の陰圧閉鎖療法器具においては、通路接続部材20及び圧電ポンプ40が、第2ガーゼ13の長手方向一方側(図2において右側)に寄せて配置されている。そのため、第2ガーゼ13の長手方向他方側(図2において左側)には、通路接続部材20や圧電ポンプ40等が配置されていない部分がある。そこで、この第2ガーゼ13の長手方向他方側の部分が患部における創傷表面に接するように、貼付部材11を患部に貼り付ける。
貼付部材11を患部に貼り付けて貼付部材11と患部との間に閉鎖空間を形成した後、貼付部材11の上側から駆動回路60のスイッチ61を押圧することにより、圧電ポンプ40を駆動させる。圧電ポンプ40が駆動されると、各チューブ部材15を介して閉鎖空間内の空気が吸引されて外部に排出される。その結果、貼付部材11と患部との間の閉鎖空間が陰圧になる。
上記のように陰圧閉鎖療法を行っていると、患部から血液等の水分が滲みでてくる。滲みでた水分の多くは、第1ガーゼ12及び第2ガーゼ13に吸収されて保持されるが、滲み出た水分の量が第1ガーゼ12や第2ガーゼ13の吸水能を越えると、一部の水分がチューブ部材15を介して圧電ポンプ40側へと吸引される。水分がチューブ部材15内部の吸引通路15aを通って通路接続部材20内部の水封部材30に至ると、水封部材30におけるチューブ部材15との当接箇所においてその水分が吸収される。水封部材30が水分を吸収して部分的に膨潤すると、水封部材30の内部に形成されている連続気孔が塞がれる。その結果、水封部材30は、チューブ部材15との当接部分において通気性を失い、水分を吸引したチューブ部材15の放射中心側の端部15bが膨潤した水封部材30によって閉塞された状態となる。それ以後、そのチューブ部材15を介して空気及び水分が吸引されることはなく、圧電ポンプ40にまで水分が達することは抑制される。
ところで、本実施形態の水封部材30は円環状のワンピース部材であるため、水封部材30へ至った水分の量が多量であれば、水封部材30のチューブ部材15との当接部位だけでなく、水封部材30の全体が膨潤する可能性もある。しかし、上述したとおり、ある程度の量の水分がチューブ部材15を介して吸引されると、そのチューブ部材15の端部15bが水封部材30によって塞がれて、それ以上水分が吸引されることが抑制される。したがって、一部のチューブ部材15から水分が吸引されたことに起因して、全てのチューブ部材15の端部15bが膨潤した水封部材30によって塞がれることは考えにくい。したがって、一部のチューブ部材15が水分を吸引しても、水分を吸引していない他のチューブ部材15を介して空気を吸引することができ、貼付部材11と患部との間の閉鎖空間の陰圧が維持される。
上記実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
・上記実施形態では、患部から滲みでた水分がチューブ部材15を介して吸引されると、その水分がチューブ部材15の端部15bに設けられた水封部材30に触れて吸収される。そして、水封部材30が水分を吸収することにより連続気孔が塞がれて、一度水分を吸引したチューブ部材15を介しては再び空気及び水分を吸引できなくなる。したがって、一度水分を吸引してしまったチューブ部材15から、それ以上水分が吸引されることを抑制できる。その結果、特許文献1に記載の陰圧閉鎖療法器具のように水分を分離して貯めておくための容器等の構成を設けなくても、圧電ポンプ40内に水分が流入することを抑制でき、陰圧閉鎖療法器具の大型化を抑制できる。
・上記実施形態では、患部から滲みでた水分がチューブ部材15を介して吸引されると、その水分がチューブ部材15の端部15bに設けられた水封部材30に触れて吸収される。そして、水封部材30が水分を吸収することにより連続気孔が塞がれて、一度水分を吸引したチューブ部材15を介しては再び空気及び水分を吸引できなくなる。したがって、一度水分を吸引してしまったチューブ部材15から、それ以上水分が吸引されることを抑制できる。その結果、特許文献1に記載の陰圧閉鎖療法器具のように水分を分離して貯めておくための容器等の構成を設けなくても、圧電ポンプ40内に水分が流入することを抑制でき、陰圧閉鎖療法器具の大型化を抑制できる。
・上記実施形態では、チューブ部材15(吸引通路15a)の放射中心C、すなわち、通路接続部材20の中心が、第2ガーゼ13の長手方向一方側に寄っている。そのため、第2ガーゼ13の長手方向の他方側には、通路接続部材20や圧電ポンプ40といった硬質の物体が存在せず、また、チューブ部材15もそれほど密に配置されていない。したがって、第2ガーゼ13の長手方向他方側を、患部における創傷表面に当たる箇所として使用することができ、また、このように使用すれば、通路接続部材20やチューブ部材15が患部における創傷に当たってしまうことを抑制できる。
・上記実施形態では、複数のチューブ部材15が放射状に延びているため、第2ガーゼ13の面方向におけるどこかの部分で局所的に多くの水分が滲みだしてきても、その水分が滲みだしている部分とは反対側に延びているチューブ部材15からは水分は吸引されにくく、そのチューブ部材15が膨潤した水封部材30によって塞がれにくい。したがって、全てのチューブ部材15が膨潤した水封部材30によって塞がれて、貼付部材11と患部との間の閉鎖空間を陰圧に維持できなくなるといった事態は生じにくい。
特に、上記実施形態では、上述したとおり、チューブ部材15の放射中心Cが第2ガーゼ13の長手方向の一方側に配置されているため、放射中心Cから第2ガーゼ13の長手方向一方側に延びるチューブ部材15が水分を吸引してしまうことをより確実に抑制できる。
・上記実施形態では、通路接続部材20の孔部28にチューブ部材15が連通されているという比較的に単純な構造により、チューブ部材15の内部空間である吸引通路15aと、水封部材30の径方向内側の空間30a及び排気口23の内部空間23aで構成される排気通路とが接続されている。そのため、例えば、1本の管状の部材にそれぞれチューブ部材15を個別に接続するといった構造のものに比較して、簡便に、排気通路と吸引通路15aとの接続を実現できる。したがって、複数のチューブ部材15(吸引通路15a)を採用するにあたって、陰圧閉鎖療法器具の製造コストがかさむことを抑制できる。
・上記実施形態では、通路接続部材20において、第1板材21と第2板材25との間に挟み込むことにより水封部材30をチューブ部材15(吸引通路15a)の端部15bに配置している。したがって、例えば、チューブ部材15それぞれの内部に水封部材30を充填するのに比較して、簡便に吸引通路15aに水封部材30を設けることができる。
・上記実施形態では、8つのチューブ部材15に対して、1つの水封部材30を設けているため、チューブ部材15毎に水封部材30を設けるのに比較して、部品点数の低減が図れる。また、例えば水封部材30が過度に小さいと、圧電ポンプ40が空気を吸引する際に水封部材30が空気とともに圧電ポンプ40に異物として吸引されることもある。この点、上記実施形態の水封部材30は、排気口23の大きさに対して相応に大きいので、水封部材30が圧電ポンプ40に吸引されることは考えにくい。
・水封部材30が水分を吸収した状態において、当該水封部材30の連続気孔が完全に塞がっていなくてもよい。少なくとも、水封部材30の連続気孔の一部が塞がって、水封部材30の通気性が低下するのであれば、その水封部材30が設けられたチューブ部材15(吸引通路15a)を介してさらなる水分が吸引されることは抑制される。
・上記実施形態では、第1ガーゼ12と第2ガーゼ13との間に圧電ポンプ40が内蔵されているため、外部ポンプを接続する必要がない。したがって、陰圧閉鎖療法器具と外部ポンプとを繋ぐ管を設ける必要がなく、陰圧閉鎖療法器具の小型化、取り回しのよさに寄与できる。また、圧電ポンプ40は、小型であるがゆえに、その内部の第1吸入通路42a、連通路40a、第2吸入通路48a、及びブロア室Sの容積が小さく、水分を吸引してしまったときに性能の低下や故障等が起きやすい。このような圧電ポンプ40を使用した陰圧閉鎖療法器具に、水封部材30によって水分を吸引したチューブ部材15を塞ぐ構成を適用することは、非常に効果的である。
・上記実施形態では、第2ガーゼ13の面方向において、通路接続部材20と駆動回路60とを離間して配置している。したがって、駆動回路60が発した熱が通路接続部材20の水封部材30に伝達され、水封部材30の吸水性に悪影響を及ぼすおそれを低減できる。
上記実施形態は、次のように変更することができる。
・貼付部材11、第1ガーゼ12、及び第2ガーゼ13の平面視形状は長方形状でなくてもよい。例えば、正方形状や円形状であってもよい。また、貼付部材11、第1ガーゼ12、及び第2ガーゼ13は、直平面状のものでなくてもよく円弧状に湾曲していてもよい。これら貼付部材11、第1ガーゼ12、及び第2ガーゼ13の形状は、使用が想定される患部の大きさや部位等を勘案して決定すればよい。
・貼付部材11、第1ガーゼ12、及び第2ガーゼ13の平面視形状は長方形状でなくてもよい。例えば、正方形状や円形状であってもよい。また、貼付部材11、第1ガーゼ12、及び第2ガーゼ13は、直平面状のものでなくてもよく円弧状に湾曲していてもよい。これら貼付部材11、第1ガーゼ12、及び第2ガーゼ13の形状は、使用が想定される患部の大きさや部位等を勘案して決定すればよい。
・第1ガーゼ12及び第2ガーゼ13に代えて他の材質の部材を設けてもよい。例えば、布状でない脱脂綿や合成樹脂で形成された不織布であってもよい。各チューブ部材15を介した空気の吸引ができる程度の通気性を有しているのであれば、どのような材質であっても適用でき得る。
・各チューブ部材15、通路接続部材20、圧電ポンプ40、及び駆動回路60が貼付部材11に触れたときに貼付部材11に穴が開いたり破れたりすることが適切に抑制できるのであれば、第1ガーゼ12を省略することもできる。
・チューブ部材15(吸引通路15a)の数は、8つに限らない。チューブ部材15は、複数設けられているのであれば、7つ以下であっても9つ以上であってもよい。
・上記実施形態では、複数のチューブ部材15を、放射中心Cを中心とする周方向において所定角度間隔(45度間隔)で配置したが、各チューブ部材15の周方向の間隔は問わない。仮に、各チューブ部材15の周方向の間隔が等間隔でなくても、放射中心Cから径方向に複数のチューブ部材15が延びているならば、チューブ部材15は放射状に延びているといえる。
・上記実施形態では、複数のチューブ部材15を、放射中心Cを中心とする周方向において所定角度間隔(45度間隔)で配置したが、各チューブ部材15の周方向の間隔は問わない。仮に、各チューブ部材15の周方向の間隔が等間隔でなくても、放射中心Cから径方向に複数のチューブ部材15が延びているならば、チューブ部材15は放射状に延びているといえる。
・さらに、複数のチューブ部材15は、放射状に延びていなくてもよい。各チューブ部材15(吸引通路15a)が排気通路に接続されているのであれば、例えば、複数のチューブ部材15が互いに平行に延びていてもよい。
・上記実施形態では、チューブ部材15の端部15bが水封部材30に当接していたが、必ずしも当接していなくてもよい。なお、この場合、チューブ部材15の端部15bと水封部材30との間は、孔部28の内部空間によって吸引通路が構成されることになる。
・第2ガーゼ13の面方向における通路接続部材20の位置、すなわち、第2ガーゼ13の面方向におけるチューブ部材15(吸引通路15a)の放射中心Cの位置は、上記実施形態の例に限らない。例えば、チューブ部材15(吸引通路15a)の放射中心Cが第2ガーゼ13の長手方向における中央に位置していてもよい。
・通路接続部材20(第1板材21及び第2板材25)の平面視形状は円形に限らない。例えば、圧電ポンプ40の平面視形状に合わせて正方形状にしてもよいし、それ以外の形状であってもよい。
・通路接続部材20における第1板材21の第1凹溝22は、必ずしも第1板材21の中心にまで至っていなくてもよい。少なくとも、第1板材21の径方向において、水封部材30の内縁に相当する位置にまで至っていればよい。この点、第2板材25の第2凹溝26についても同様である。
・通路接続部材20の孔部28にチューブ部材15が挿入されていなくてもよい。この場合、通路接続部材20の孔部28のうち、水封部材30よりも径方向外側の部分が吸引通路を構成する。
・水封部材30の形状は、円環状に限らない。通路接続部材20の孔部28の内部を充填できる形状であればよく、例えば、円板状であってもよい。
・複数のチューブ部材15(吸引通路15a)に対して1つの水封部材30を設けるのではなく、チューブ部材15毎に別個の水封部材30を設けてもよい。例えば、上記実施形態の水封部材30を、周方向に8等分してもよい。また、例えば、図9に示すように、各チューブ部材15の通路接続部材20とは反対側の端部15cに、当該チューブ部材15の開口を塞ぐように水封部材35を設けてもよい。さらに、通路接続部材20の孔部28の内径と同程度の直径の球状の水封部材を孔部28それぞれの内部に配置してもよい。
・複数のチューブ部材15(吸引通路15a)に対して1つの水封部材30を設けるのではなく、チューブ部材15毎に別個の水封部材30を設けてもよい。例えば、上記実施形態の水封部材30を、周方向に8等分してもよい。また、例えば、図9に示すように、各チューブ部材15の通路接続部材20とは反対側の端部15cに、当該チューブ部材15の開口を塞ぐように水封部材35を設けてもよい。さらに、通路接続部材20の孔部28の内径と同程度の直径の球状の水封部材を孔部28それぞれの内部に配置してもよい。
・通路接続部材20の筺体20aは第1板材21及び第2板材25で構成するのではなく、ワンピース部材で構成してもよい。この場合、水封部材30を第1板材21及び第2板材25によって挟み込むことに代えて、ワンピース部材である筺体20aの各孔部28にタイトフィットするように構成された水封部材30を各孔部28に充填することができる。
・通路接続部材20に代えて、圧電ポンプ40に接続される管材を設けてもよい。この場合、各チューブ部材15それぞれを管材に接続するとともに、各チューブ部材15の内部に水封部材を充填すればよい。
・連続気孔を有し、水分に触れることによりその連続気孔が塞がれるような材質であれば、水封部材30の材質は問わない。例えば、ポリビニルアルコール製のスポンジ(PVAスポンジ)や吸水性繊維であってもよい。これらの材質であっても、水分に触れたときにその水分が内部に吸収されて連続気孔が塞がれる。また、疎水性メンブレン製のフィルタであってもよい。疎水性メンブレンは、膜厚方向に孔(連続気孔)が形成されていて、水分がない状態では通気性を有する。この疎水性メンブレンに水分が触れると、疎水性メンブレンに対する表面張力により孔(連続気孔)の内部に水分が浸入できず、水分が疎水性メンブレンの表面において孔(連続気孔)を塞ぐことになる。
・圧電ポンプ40に直接チューブ部材15を接続することもできる。例えば、圧電ポンプ40の複数の連通路40aにチューブ部材15を接続してもよい。この場合、チューブ部材15の内部空間、圧電ポンプ40の連通路40a、第2吸入通路48aによって、吸引通路が構成される。そして、圧電ポンプ40の吐出口55の内部が排気通路を構成する。また、この変更例においては、チューブ部材15の内部空間、圧電ポンプ40の連通路40a、及び第2吸入通路48aのいずれかに、水封部材を充填すればよい。
・実施形態では、第1ガーゼ12及び第2ガーゼ13の間に配置される圧電ポンプ40を陰圧源として使用したが、陰圧源は、圧電ポンプ40に限らない。第1ガーゼ12及び第2ガーゼ13の間に配置できる大きさで、且つ、貼付部材11と患部との間の閉鎖空間を陰圧に維持できる性能を有しているのであれば、どのようなポンプであっても陰圧源として適用でき得る。
・圧電ポンプ40に代えて外部ポンプを設けてもよい。このように外部ポンプを設けた場合であっても、水封部材30の存在により水分が外部ポンプの内部に吸引されることは適切に抑制される。そのため、外部ポンプに水分を捕集するための捕集容器を設ける必要はなく、外部ポンプの小型化に寄与できる。なお、圧電ポンプ40に代えて外部ポンプを設けた場合、貼付部材11と通気性部材13によって形成される空間14内にはポンプが備わっていないことになる。
・駆動回路60を、例えば通路接続部材20と圧電ポンプ40との間に配置したり、圧電ポンプ40の上側に積層したりしてもよい。この場合、第2ガーゼ13の面方向において駆動回路60を設けるためのスペースを確保する必要がない。
・駆動回路60は、必ずしも貼付部材11と患部との間の閉鎖空間内に配置されていなくてもよい。例えば、貼付部材11の外面に駆動回路60が取り付けられていて、圧電ポンプ40と信号線及び電源線を介して電気的に接続されていてもよい。このように、駆動回路60が外部に設けられていれば、一旦患部に貼り付けた貼付部材11を剥がすことなく、駆動回路60のバッテリ等を交換することが可能となる。
・実施形態では、貼付部材11の下側面の全体が粘着面11aであるが、貼付部材11の下側面は粘着面と非粘着面とを含むことができる。例えば、粘着面は貼付部材11の下側面の少なくとも外縁に設けられる帯状の粘着面であり得る。
本開示は以下の構成を包含する。限定のためでなく理解の補助として実施形態の構成要素の参照符号を付した。
[付記1]患者の患部の一部または全部を覆うように前記患者に貼り付けて使用される陰圧閉鎖療法器具であって、
患者接触面を有する通気性最内層(13)と、
患者の皮膚に粘着するように構成される粘着面(11a)を含む最外層(11)であって、前記通気性最内層(13)と前記最外層(11)との間に空間(14)が形成されるように、前記通気性最内層(13)の全体を覆う前記最外層(11)と、
前記通気性最内層(13)と前記最外層(11)との間の前記空間(14)に配置される複数のチューブ部材(15)であって、平面視において前記通気性最内層(13)の異なる位置に分散して配置される複数の先端開口と、当該複数の先端開口とは反対側の複数の末端開口とを含む前記複数のチューブ部材(15)と、
前記通気性最内層(13)と前記最外層(11)との間の前記空間(14)の空気を前記複数のチューブ部材(15)を通して前記最外層(11)の外に排出するように、前記複数のチューブ部材(15)と気密的に連通するように構成される陰圧源(40)と、
前記複数のチューブ部材(15)の前記複数の末端開口の下流かつ前記陰圧源(40)の上流に配置され、ドライ状態において通気性を有し、ウェット状態において通気性を失う液体感知材料ブロック(30)とを備え、
前記複数のチューブ部材(15)のうちの一つ以上のチューブ部材の末端開口から流れ出たときに、その流れ出た液体によって前記液体感知材料ブロック(30)は局所的にウェット状態となり、前記液体感知材料ブロック(30)のウェット部分が、前記液体の流れ出た前記一つ以上のチューブ部材の前記末端開口を選択的に塞ぎ、前記液体の流れ出た前記一つ以上のチューブ部材の前記末端開口から前記陰圧源(40)への気体および液体の流通を遮断することを特徴とする、陰圧閉鎖療法器具。
[付記1]患者の患部の一部または全部を覆うように前記患者に貼り付けて使用される陰圧閉鎖療法器具であって、
患者接触面を有する通気性最内層(13)と、
患者の皮膚に粘着するように構成される粘着面(11a)を含む最外層(11)であって、前記通気性最内層(13)と前記最外層(11)との間に空間(14)が形成されるように、前記通気性最内層(13)の全体を覆う前記最外層(11)と、
前記通気性最内層(13)と前記最外層(11)との間の前記空間(14)に配置される複数のチューブ部材(15)であって、平面視において前記通気性最内層(13)の異なる位置に分散して配置される複数の先端開口と、当該複数の先端開口とは反対側の複数の末端開口とを含む前記複数のチューブ部材(15)と、
前記通気性最内層(13)と前記最外層(11)との間の前記空間(14)の空気を前記複数のチューブ部材(15)を通して前記最外層(11)の外に排出するように、前記複数のチューブ部材(15)と気密的に連通するように構成される陰圧源(40)と、
前記複数のチューブ部材(15)の前記複数の末端開口の下流かつ前記陰圧源(40)の上流に配置され、ドライ状態において通気性を有し、ウェット状態において通気性を失う液体感知材料ブロック(30)とを備え、
前記複数のチューブ部材(15)のうちの一つ以上のチューブ部材の末端開口から流れ出たときに、その流れ出た液体によって前記液体感知材料ブロック(30)は局所的にウェット状態となり、前記液体感知材料ブロック(30)のウェット部分が、前記液体の流れ出た前記一つ以上のチューブ部材の前記末端開口を選択的に塞ぎ、前記液体の流れ出た前記一つ以上のチューブ部材の前記末端開口から前記陰圧源(40)への気体および液体の流通を遮断することを特徴とする、陰圧閉鎖療法器具。
11…貼付部材(最外層)、12…第1ガーゼ、13…第2ガーゼ(通気性部材、通気性最内層)、15…チューブ部材、15a…吸引通路、20…通路接続部材、21…第1板材、22…第1凹溝、23…排気口、23a…内部空間(排気通路)、25…第2板材、26…第2凹溝、28…孔部、30…水封部材(液体感知材料ブロック)、30a…空間(排気通路)、35…水封部材、40…圧電ポンプ(陰圧源)、40a…連通路、41…底板部材、41a…吸入口、42…第1通路構成部材、42a…第1吸入通路、43…第1セパレータ、43a…貫通孔、44…下枠部材、44a…貫通孔、44b…開口部、45…ダイアフラム板、45a…貫通孔、46…上枠部材、46a…貫通孔、46b…開口部、47…第2セパレータ、47a…貫通孔、47b…ブロア孔、48…第2通路構成部材、48a…第2吸入通路、49…天板部材、50…圧電素子、55…吐出口、60…駆動回路、61…スイッチ、C…チューブ部材の放射中心。
Claims (6)
- 陰圧源と、
一方の面に粘着性を有する貼付部材と、
前記貼付部材の一方の面側に配置された通気性を有する通気性部材と、
前記貼付部材及び前記通気性部材の間に設けられる複数の吸引通路であって、各吸引通路の一方端が前記貼付部材と前記通気性部材によって形成される空間に連通する、前記複数の吸引通路と、
前記複数の吸引通路の他方端と前記陰圧源とを接続する排気通路とを備え、
前記複数の吸引通路のそれぞれには、通気性を有するとともに水分に触れることにより通気性が失われる水封部材が設けられており、
筺体と、前記筺体の内部に区画された前記排気通路と、前記排気通路と前記筺体の外部とを連通する複数の孔部と、を有する通路接続部材であって、前記複数の孔部には複数のチューブ部材がそれぞれ配設され、前記複数のチューブ部材の内部空間は、前記吸引通路を構成することを特徴とする、前記通路接続部材をさらに備えることを特徴とする陰圧閉鎖療法器具。 - 前記複数の吸引通路は、所定の放射中心を中心として放射状に延びているとともに、各吸引通路の放射中心側の端部が前記排気通路に接続されており、
前記複数の吸引通路の前記所定の放射中心は、前記通気性部材の面に沿う所定方向において前記通気性部材の中心よりも一方側に寄った位置に位置していることを特徴とする請求項1に記載の陰圧閉鎖療法器具。 - 前記通路接続部材は、
前記吸引通路より前記筺体に流入した空気を前記筺体の外へ排出するための排気口を有する第1板材と、当該第1板材に対向配置された第2板材とを備え、
前記第1板材には、前記排気通路と連続するように複数の第1凹溝が設けられており、
前記第2板材には、前記複数の第1凹溝とそれぞれ対向するように複数の第2凹溝が設けられており、
前記複数の第1凹溝と当該複数の第1凹溝に対向する前記複数の第2凹溝とによって、前記複数の孔部が構成されており、
前記水封部材は、前記複数の孔部に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の陰圧閉鎖療法器具。 - 前記陰圧源は圧電ポンプであって、
前記圧電ポンプは、前記貼付部材と前記通気性部材との間に配置されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の陰圧閉鎖療法器具。 - 前記水封部材は、吸水性高分子、PVAスポンジ、吸水性繊維、及び疎水性メンブレンから選ばれる少なくとも1つの材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の陰圧閉鎖療法器具。
- 前記通気性部材は、ガーゼで構成されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の陰圧閉鎖療法器具。
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