JP6354184B2 - 電子写真感光体、電子写真プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
有量を減少させ、結着樹脂の性能を極力損なわない手法があるが層間での接着性には着目されていなかった(特許文献9)。
一方、電子写真感光体における電荷発生物質としては、フタロシアニン顔料、スクエアリウム系染料、アゾ顔料、ペリレン系顔料等の多種の物質が検討され、高感度で繰り返し特性の優れた電子写真感光体を提供することを目的として、電荷発生物質用顔料全量を全バインダー量の1〜40質量%のバインダーを溶解する電子写真感光体製造用顔料分散液の製造方法が記載されている(特許文献10参照)。
<1>
導電性支持体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を有する電子写真感光体におい
て、該電荷発生層が電荷発生物質及びバインダ樹脂としてポリビニルアセタール樹脂とを
含み、該電荷発生層中の全バインダ樹脂に対する該電荷発生物質の質量比[電荷発生物質
/全バインダ樹脂]wrが0.4≦wr≦1.4であり、該電荷輸送層が、電荷輸送物質と
バインダ樹脂とを含み、全電荷輸送物質の含有量が該電荷輸送層中の全バインダ樹脂10
0質量部に対して32〜50質量部であり、該電荷輸送物質が、下記構造式CT−2及び
構造式CT−3のうちの少なくとも一方の化合物であることを特徴とする電子写真感光体
。
前記電荷輸送層のバインダ樹脂が、ジオール成分として下記一般式(I)で表される構
造を有し、且つジカルボン酸成分として下記一般式(II)で表される構造を有するポリア
リレート樹脂であることを特徴とする<1>に記載の電子写真感光体。
ーレン基を表し、Xは、単結合または二価の連結基を表し、式(II)において、Ar3及
びAr4は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Yは、それ
ぞれ独立に単結合または二価の連結基を表し、kは0以上の整数を表す。)
<3>
該導電性支持体が陽極酸化処理及び封孔処理を施されていることを特徴とする<1>又
は<2>に記載の電子写真感光体。
<4>
<1>〜<3>のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電さ
せる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光
手段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段、並びに前記トナーを被転写体に転写す
る転写手段のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする電子写真カートリッジ。
<5>
<1>〜<3>のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電さ
せる帯電手段と、帯電した該電子写真感光体に対する露光により静電潜像を形成する露光
手段と、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記トナーを被転写体に転写する
転写手段、前記被転写体に転写された前記トナーを定着させる定着手段とを備えることを
特徴とする、画像形成装置。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該電荷発生層は電荷発生物質とバインダ樹脂を含有し、該バインダ樹脂がポリビニルアセタールであり、且つ該電荷輸送層がポリアリレート樹脂を含有することを特徴とする。
本発明の感光体に用いる導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料が主として使用される。導電性支持体は、1種の材料を単独で用いてもよく、2種以上の材料を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。組み合わせるその他の材料成分としては、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料;アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙;等が挙げられる。
本発明において、導電性支持体は、接着性の観点から導電性支持体表面に陽極酸化被膜を施したものを用いることが好ましい。陽極酸化被膜を施す場合、公知の方法により封孔処理を施すことが好ましい。陽極酸化処理の方法としては、例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、中でも、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。
また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度は、通常25℃以上、好ましくは
30℃以上、また、その上限は、通常40℃以下、好ましくは35℃以下である。
なお、pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
上記の処理の後、必要に応じて、水洗、乾燥等を行うことにより、高温封孔処理を完了させることができる。
導電性支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。また、安価化のためには切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。特に引き抜き加工、インパクト加工、しごき加工等の非切削アルミニウム支持体を用いる場合、処理により、表面に存在した汚れ、異物等の付着物、小さな傷等が無くなり、均一で清浄な支持体が得られるので好ましい。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよいが、本発明における感光層と導電性支持体との接着性向上の観点から、下引き層を設けないことが好ましい。下引き層としては、樹脂、または樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるもの
であっても、複数層からなるものであってもかまわない。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の点から、その平均一次粒径は、10nm以上100nm以下が好ましく、特に10nm以上50nm以下が好ましい。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いても良い。
感光層の構成は、公知の電子写真感光体に適用可能な如何なる構成も採用することが可能であるが、電子写真感光体の機械的物性、電気特性、製造安定性等を総合的に勘案して、積層型の電子写真感光体が好ましい。特に、導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層した順積層型感光体がより好ましい。
感光層に使用するバインダ樹脂としては、例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は珪素試薬等で修飾されていてもよい。上記バインダ樹脂のうち、ポリアリレート樹脂又はポリカーボネート樹脂が好ましい。なお、バインダ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
本発明の電子写真感光体における感光層は、ポリアリレート樹脂を含有することが好ましい。ポリアリレート樹脂としては、公知の任意のものを用いることができるが、中でも、ジオール成分として下記一般式(I)で表される構造を有し、且つジカルボン酸成分として下記一般式(II)で表される構造を有するポリアリレート樹脂を用いることが好ましい。
上記式(I)及び式(II)中、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。アリーレン基は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。アリーレン基が有する炭素数としては、通常6以上、また、その上限は、通常20以下、好ましくは10以下である。炭素数が多すぎる場合、電気特性が悪化する可能性がある。
い。アリーレン基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、置換基の数は0以上2以下が好ましく、接着性、及びクリーニング性の観点から置換基を有することがより好ましく、中でも、耐磨耗性の観点から置換基の数は1個であることが特に好ましい。また、置換基としてはアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
一方、Ar3及びAr4は、それぞれ独立して、置換基の数は0以上2以下が好ましく、耐磨耗性の観点から置換基を有さないことがより好ましい。
また、上記式(1)において、X及びYは、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。好適なX及びYとしては、硫黄原子、酸素原子、スルホニル基、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン等のシクロアルキリデン基、−CRaRb−が挙げられる。
さらに、ポリアリレート樹脂を製造する際に通常用いられる二価ヒドロキシ化合物(式(I)で表されるジオール成分)を製造する際の簡便性を勘案すれば、Xとしては、硫黄原子、酸素原子、シクロヘキシリデン、−CRaRb−が好ましい。中でも、Xが−CRaRb−であることが好ましく、Ra及びRbが水素原子又はメチル基等のアルキル基であることがより好ましく、耐磨耗性の観点から、Ra及びRbのうち少なくとも一方が水素原子であることが特に好ましい。
製造する際の簡便性を勘案すれば、kは0又は1が好ましく、耐磨耗性の観点から、kは1であることが特に好ましい。即ち、上記式(II)において、Yが酸素原子であり、且つk=1であることが好ましい。
ポリアリレート樹脂が有する繰返し構造として好ましいものは、以下に記載するものが挙げられる。ただし、ポリアリレート樹脂が有しうる繰返し構造は、以下に記載する繰返し構造に限定されない。また、下記構造の1種を単独で含んでもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで含んでもよい。
・kが0の場合の繰返し構造
その具体例としては、4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラ(t−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−2,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−2,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル等のビフェノール化合物;ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基を有しないビスフェノール化合物;
ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族環上に置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物; ビス(4−ヒド
ロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン等、 ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェ
ニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)シクロヘキサン等、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(sec−ブチル)フェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基としてアルキル基を有するビスフェノール化合物; ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)(フェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(ジフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(ジベンジル)メタン等の芳香族環を連結する2価基が置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物;等が挙げられる。
ポリアリレート樹脂の粘度平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、好ましくは10000以上、より好ましくは20000以上、また、その上限は、好ましくは1500000以下、より好ましくは100000以下であることが望ましい。粘度平均分子量の値が小さすぎる場合、ポリアリレート樹脂の機械的強度が不足する可能性があり、大きすぎる場合、感光層形成のための塗布液の粘度が高すぎて生産性が低下する可能性がある。なお、粘度平均分子量は、例えばウベローデ型毛細管粘度計等を用いて、実施例に記載の方法で測定することができる。
ポリアリレート樹脂の分子鎖中に含まれる窒素量は、ポリアリレート樹脂に対して、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは20ppm以下である。窒素量が多すぎる場合、表面電位の上昇等電気特性が悪くなる可能性がある。なお、ポリアリレート樹脂中の窒素量は、例えば(株)三菱化学製全窒素分析計(TN−10)により測定できる。
なお、末端酸クロライド基量は、例えば精秤したポリアリレート樹脂を塩化メチレンに溶解し、4−(p−ニトロベンジル)ピリジンの1質量%塩化メチレン溶液を加え発色させ、440nmの波長の吸光度を測定する。そして、別途塩化ベンゾイルの塩化メチレン溶液を用いて吸光係数を求めることにより、ポリアリレート樹脂中の酸クロライド基量を定量することができる。
ポリカーボネート樹脂としては、下記式(III)で表される繰返し構造を有するポリカ
ーボネート樹脂を用いることが好ましい。
上記式(III)において、Ar5及びAr6は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。アリーレン基としては、例えば1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基が挙げられるが、電気特性の観点から1,4−フェニレン基が好ましい。
Ar5及びAr6は、それぞれ独立に、置換基を有さないか、1個又は2個の置換基を有することが好ましく、接着性の観点から、1個又は2個の置換基を有することがより好ましく、滑り性の観点から、1個の置換基を有することが特に好ましい。置換基としてはアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
ここで、Rc及びRdは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロ
ゲン基、又はアルコキシ基を表す。また、Rc及びRdのうち、電荷輸送層用のバインダ樹脂としての機械的特性と電荷輸送層形成用塗布液に対する溶解性とを勘案すれば、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましく、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、ハロゲン基としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましい。
さらに、ポリカーボネート樹脂を製造する際に通常用いられる二価ヒドロキシ化合物を製造する際の簡便性を勘案すれば、X2としては、硫黄原子、酸素原子、シクロヘキシリデン、−CRcRd−が好ましい。中でも、X2が−CRcRd−であることが好ましく、Rc及びRdが水素原子又はメチル基等のアルキル基であることがより好ましく、耐磨耗性の観点から、Rc及びRdのうち少なくとも一方が水素原子であることが特に好ましい。
中でも以下に示されるビスフェノール又はビフェノールから形成されるポリカーボネート樹脂が好適に使用される。
上記のポリカーボネート樹脂において、式(III)で表される部分構造の質量比率は、電気特性及び耐磨耗性の観点から、多いほど好ましい。具体的には、ポリカーボネート樹脂の全質量に対して、式(III)で表される部分構造が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であって、特に好ましくは100質量%であることが望ましい。
電荷輸送物質としては公知のものを使用することが出来るが、本発明では電荷輸送物質のB3LYP/6-31G(d,p)を用いた構造最適化計算によるHOMOのエネルギーレベルE_homoは、E_homo > -4.68(eV)であり、E_homo > -4.63(eV)がより好ましく、E_homo > -4.50(eV)が最も好ましい。HOMOのエネルギーレベルが高いほど、露光後電位が低く優れた電子写真感光体が得られるからである。一方、E_homoが高すぎると、耐ガス性の低下、ゴーストの発生等の不具合が出るため、通常、E_homo < -4.20(eV)であり、E_homo < -4.25(eV)が好ましく、E_homo < -4.30(eV)がより好ましい。
1G(d,p)計算による分極率αの計算値αcalは、αcal > 80(Å3)であり、αcal > 90(Å3)であることがより好ましく、αcal > 110(Å3)であることが特に好ましい。αcalの値が
大きい電荷輸送物質を含む電荷輸送膜は高い電荷移動度を示し、該電荷輸送膜を用いることにより、帯電性、感度などに優れた電子写真感光体が得られるからである。一方、αcalが大きすぎると電荷輸送物質の溶解性が低下することから、通常αcal < 200(Å3)であ
り、αcal < 150(Å3)であることが好ましく、αcal < 130(Å3)であることがより好ましい。
の時、基底関数系として6-31Gに分極関数を加えた6-31G(d,p)を用いた(R. Ditchfield, W. J. Hehre, and J. A. Pople, J. Chem. Phys. 54, 724(1971), W. J. Hehre, R. Ditchfield, and J. A. Pople, J. Chem. Phys. 56, 2257(1972), P. C. Hariharan and J. A.
Pople, Mol. Phys. 27, 209(1974), M. S. Gordon, Chem. Phys. Lett. 76, 163(1980),
P. C. Hariharan and J. A. Pople, Theo. Chim. Acta 28, 213(1973), J. -P. Blaudeau, M. P. McGrath, L. A. Curtiss, and L. Radom, J. Chem. Phys. 107, 5016(1997), M. M. Francl, W. J. Pietro, W. J. Hehre, J. S. Binkley, D. J. DeFrees, J. A. Pople, and M. S. Gordon, J. Chem. Phys. 77, 3654(1982), R. C. Binning Jr. and L. A. Curtiss, J. Comp. Chem. 11, 1206(1990), V. A. Rassolov, J. A. Pople, M. A. Ratner, and T. L. Windus, J. Chem. Phys. 109, 1223(1998), 及びV. A. Rassolov, M. A. Ratner, J. A. Pople, P. C. Redfern, and L. A. Curtiss, J. Comp. Chem. 22, 976(2001)を参照)。本発明において6-31G(d,p)を用いたB3LYP計算をB3LYP/6-31G(d,p)と記述する。
構造において、制限Hartree-Fock法計算(“Modern Quantum Chemistry”, A. Szabo and N. S. Ostlund, McGraw-Hill publishing company, New York, 1989を参照)により求めた。この時、基底関数は6-31G(d,p)を用いた。本発明において6-31G(d,p)を用いたHartree-Fock計算をHF/6-31G(d,p)と記述する。
J. C. Burant, J. M. Millam, S. S. lyengar, J. Tomasi, V. Barone, B. Mennucci, M. Cossi, G. Scalmani, N. Rega, G. A. Petersson, H. Nakatsuji, M. Hada, M. Ehara,
K. Toyota, R. Fukuda, J. Hasegawa, M. Ishida, T. Nakajima, Y. Honda, O. Kitao, H. Nakai, M. Klene, X. Li, J. E. Knox, H. P. Ilratchian, J. B. Cross, V. Bakken,
C. Adamo, J. Jaramillo, R. Gomperts, R. E. Stratmann, O. Yazyev, A. J. Austin, R. Cammi, C. Pomelli, J. W. Ochterski, P. Y. Ayala, K. Morokuma, G. A. Voth, P. Salvador, J. J. Dannenberg, V. G. Zakrzewski, S. Dapprich, A. D. Daniels, M. C. Strain, O. Farkas, D. K. Malick, A. D. Rabuck, K. Raghavachari, J. B. Foresman,
J. V. Ortiz, Q. Cui, A. G. Baboul, S. Clifford, J. Cioslowski, B. B. Stefanov, G. Liu, A. Liashenko, P. Piskorz, I. Komaromi, R. L. Martin, D. J. Fox, T. Keith,
M. A. Al-Laham, C. Y. Peng, A. Nanayakkara, M. Challacombe, P. M. W. Gill, B. Johnson, W. Chen, M. W. Wong, C.Gonzalez, and J. A. Pople, Gaussian, Inc., Wallingford CT, 2004.)である。
例えば、一般的な電荷輸送材料としては表−1のような値となる。
コキシ基を表す。nは1以上3以下の整数を表し、k、l、o、pはそれぞれ独立して1以上5以下の整数を、mはそれぞれ独立して1以上4以下の整数を表す。Zは、アルキル基
、アリール基、アルコキシ基を有していてもよいフェニレン基又は単結合を表す。Aは、水素原子又はアルキル基を有していてもよいフェニル基を表す。
リール基、アルコキシ基を表し、具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖上アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシロキシ基が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基が更に好ましく、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、水素原子が特に好ましい。
よいフェニレン基又は単結合を表し、具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖上アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシロキシ基が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性の面から水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面からは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基が更に好ましく、電子写真感光体のオゾンに対する耐性面から、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましく、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面からメチル基、エチル基が最も好ましい。更にR6〜R7がメチル基、エチル基である場合、ベンゼン環に対するそれぞれの置換基の結合位置は、スチリル基に対して、通常、o位、m位またはp位のいずれの位置でも可能であるが、製造の容易さの面から、o位またはp位のいずれかが好ましい。1つのベンゼン環に対するメチル基、エチル基等のアルキル基の合計が2個以上である場合、o位またはp位のいずれかに置換していることが好ましく、電子写真感光体特性の面から、より好ましくはアルキル基の合計が2個であり、その2個の置換基が、それぞれp位、o位に置換していること、もしくは両方ともo位に置換していることが更に好ましい。
k、l、o、pはそれぞれ独立して1以上5以下の整数を、mはそれぞれ独立して1以上4以下の整数を表す。k、l、m、o、pが2以上の整数を表す場合、ベンゼン環に結合する複数のR1〜R4はそれぞれ異なっていてもよく、また、ベンゼン環に結合する複数のR1〜R4もそれぞれ異なっていてもよい。
ジフェニルアミノ基が結合するアリーレン基部分は、n=1の場合、フェニレン基、n=2の場合、ビフェニレン基、n=3の場合、ターフェニレン基を表す。2つのジフェニルアミノ基がアリーレン基と結合する位置は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、n=1の場合、電子写真感光体の帯電性の面から、2つのジフェニルアミノ基がフェニレン基の結合位置でm位の関係となることが好ましい。n=2の場合、電荷輸
送物質としての電荷輸送能力の面から、ジフェニルアミノ基がビフェニレン基と結合する位置は、ビフェニレン基の4位と4’位に結合することが好ましく、n=3の場合、製造原料の汎用性からターフェニレン基の中でもp−ターフェニレン基が好ましく、p−ターフェニレン基へのジフェニルアミン基の結合位置は、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から4位と4’’位に結合することが好ましい。
また、上記式(2)中、R8〜R12はそれぞれ独立した水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を表す。s,t,uは1以上5以下の整数を表し、v,wはそれぞれ1以上4以下の整数を表す。
アリール基、アルコキシ基を表し、具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖上アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシロキシ基が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。ベンゼン環に対するそれぞれの置換基の結合位置は、スチリル基に対して、通常、o位、m位またはp位のいずれの位置でも可能であるが、製造の容易さの面から、o位またはp位のいずれかが好ましい。
ール基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、具体的にはアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルコキシ基、シクロヘキシロキシ基等の環状アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,1−トリフルオロエトキシ基等のフッ素原子を有するアルコキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等があげられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基が更に好ましい。
また、本発明の電子写真感光体は、通常、感光層に、式(3)で表される化合物を単一成分として含有するものでもよいし、式(3)で表される化合物の混合物として含有することも可能である。
以下に本発明に好適な電荷輸送物質の構造を例示する。以下の構造は本発明をより具体的にするために例示するものであり、本発明の概念を逸脱しない限りは下記構造に限定されるものではない。
<電荷発生層>
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダ樹脂で結着することにより形成される。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
電荷発生物質として有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂を含有する。これ以外に用いるバインダ樹脂は、特に制限されないが、例としては、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。これらのバインダ樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良いが、ポリビニルアセタール系樹脂のみを用いることが電気特性の観点から好ましい。
塗布液の作製に用いられる溶剤としては、バインダ樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
電荷発生層の膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
また、感光層には、例えば成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤、増感剤等の添加剤を含有させてもよい。添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
中でも、分子中のフェノール環にt−ブチル基を1個以上有するものが好ましく、中でも、当該t−ブチル基がフェノール性水酸基の隣接した位置に結合したもの(即ち、水酸基に対してオルト位にt−ブチル基が結合したもの)がより好適である。それらの中でも、そのt−ブチル基がフェノール性水酸基の隣接した位置に2個結合したもの(即ち、水酸基に対して2位及び6位の位置にt−ブチル基が結合したもの)が特に好ましい。その具体例を挙げると、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系酸化防止剤、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のポリフェノール系酸化防止剤等が好適である。これらを用いることにより、繰返し使用してもかぶりのない電子写真感光体を容易に製造することができる。
また、耐酸性ガス性を向上させるために、公知の置換基を有しても良いアルキルアミン化合物を用いることが可能である。例えば、特開平3−172852号公報、特開2007−52408号公報等に示される化合物を用いることが好ましい。それらの中でも、例えば、トリベンジルアミンを好適に用いることができる。
感光体の最表面層には、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電物質等による感光層の劣化を防止、軽減等したりする目的で保護層を設けてもよい。保護層は、例えば導電性材料を適当なバインダー樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。導電性材料としては、TPD(N,N'−ジフェニ
ル−N,N'−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチ
モン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物等を用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
形成することが望ましい。電気抵抗が小さすぎる場合、画像のボケ、解像度の低下が生じる可能性があり、電気抵抗が大きすぎる場合、残留電位が上昇しカブリの多い画像となる可能性がある。また、保護層は、像露光に照射される光の透過を実質上妨げないように形成することが好ましい。
また、例えば、感光体表面の摩擦抵抗、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等を含んでいてもよい。また、これらの樹脂からなる粒子、無機化合物の粒子等を表面層に含んでいてもよい。
感光体を構成する各層は、通常、各層を構成する材料を含有する塗布液を、導電性支持体上に公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布、乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成される。
バインダ樹脂を溶解させ、塗布液の作製に用いられる溶媒、分散媒としては例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等の鎖状、分岐及び環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(以下、適宜「THF」と言う。)、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状及び環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水等が挙げられ、前述した下引き層を溶解しないものが好ましく用いられる。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
また、塗布液の粘度は、通常10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上、また、その上限は、通常500mPa・s以下、好ましくは400mPa・s以下である。
また、塗布液の粘度は、通常0.01mPa・s以上、好ましくは0.1mPa・s以上、また、その上限は、通常20mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下である。
してもよい。
塗布液を塗布した後の乾燥は室温(通常25℃)における指触乾燥後、通常30℃以上200℃以下の温度範囲で、通常1分以上2時間以下の間、無風、又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また加熱温度は一定であっても、乾燥時に変更させながら行なってもよい。
また、順積層型感光体の電荷輸送層の膜厚は、通常5μm以上50μm以下の範囲で用いられるが、長寿命、画像安定性の観点からは、好ましくは10μm以上45μm以下、高解像度の観点からは、より好ましくは10μm以上30μm以下である。
ドラム状の導電性支持体を用いる場合、その電子写真感光体の外径は、通常、100mm以下であり、好ましくは80mm以下であり、より好ましくは30mm以下であり、更に好ましくは外径20mm以下、特に好ましくは16mm以下である。一方で、外径は、通常、10mm以上である。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
以下に、それぞれの各装置について説明する。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5およびクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
る。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、および直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光を行なう際の光は任意であるが、例えば、波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。これらの中で380〜500nmの短波長光を用いると解像度が高くなり好ましい。中でも405nmの単色光が好適である。また、書き込み解像度は、現在は600dpi以上が主流であるが、高性能機種では1200dpiのものも存在する。書き込み解像度により、静電潜像、トナー像の解像度が決定され、解像度が高いほど鮮明な画像が得られるので、1200dpi以上の解像度が好ましい。例えば、600dpi、1200dpiの解像度を持つLEDで書き込んだ場合、最小ドット形成間隔は、それぞれ、42μm、21μmとなる。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1および供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43および現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーT
の帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
以上のような条件にブレードを設定すると感光体とブレード間での摺擦音が発生するきらいがあるが、本発明の感光体を使用することにより、回避することが可能である。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
続いて、帯電された電子写真感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3
により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その電子写真感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが電子写真感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が電子写真感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに電子写真感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置100は、上述した構成に加え、例えば、除電工程を行なうことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、および定着装置7のうち1つまたは2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真カートリッジ」という)として構成し、この電子写真カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば、電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
切削加工した外径30mm、長さ246mm、肉厚1mmのアルミニウムシリンダーを
、脱脂剤NG−#30(キザイ(株)製)の30g/L水溶液中で60℃、5分間脱脂洗
浄を行った。続いて水洗を行った後、7%硝酸に25℃で1分間浸漬した。
更に水洗後、180g/Lの硫酸電解液中(溶存アルミニウム濃度7g/L)で1.2
A/dm2の電流密度で陽極酸化を行い、平均膜厚6μmの陽極酸化被膜を形成した。次
いで、水洗後酢酸ニッケルを主成分とする高温封孔剤トップシールDX−500(奥野製
薬工業(株)製)の10g/L水溶液に95℃で30分間浸漬し封孔処理を行った。続い
て水洗を行った後、ポリエステル製スポンジを用いて被膜面を8回、往復させてこすり洗
浄を行った。最後に水洗し乾燥し、表面粗さRa=0.14μmの基体を得た。
06部とを混合して得られたバインダ樹脂液と、前記微細化処理液と、230部の1,2−ジメトキシエタンとを混合して分散液(電荷発生材)を調製した。
次に、電荷輸送物質として、下記化合物CT−1を40部と、バインダ樹脂として下記構造の繰り返し単位からなるポリアリレート樹脂(粘度平均分子量約70,000)100部と、
参考例1において、電荷輸送物質として下記構造式CT−2を40部とした以外は参考
例1と同様にして、感光体ドラム2を得た。
参考例1において、電荷輸送物質として下記構造式CT−3を40部とした以外は参考
例1と同様にして、感光体ドラム3を得た。
参考例1において、電荷輸送物質として、CT−1を45部、電荷輸送層のバインダ樹
脂として前記構造の繰り返し単位からなるポリアリレート樹脂(粘度平均分子量約86,
000)100部とした以外は、参考例1と同様にして、感光体4を得た。
参考例1において、電荷輸送物質として、CT−2を45部、電荷輸送層のバインダ樹
脂として前記構造の繰り返し単位からなるポリアリレート樹脂(粘度平均分子量約86,
000)100部とした以外は、参考例1と同様にして、感光体5を得た。
参考例1において、電荷発生物質を20部、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株
)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)25部とした以外は、参考例1と同様
にして、感光体6を得た。
参考例1において、電荷発生物質を20部、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株
)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部とした以外は、参考例1と同様
にして、感光体Aを得た。
比較例1において、電荷輸送物質として前記構造式CT−2を40部とした以外は比較
例1と同様にして、感光体Bを得た。
比較例1において、電荷輸送物質として前記構造式CT−3を40部とした以外は比較
例1と同様にして、感光体Cを得た。
比較例1において、電荷輸送物質として下記構造式CT−4を40部とした以外は比較例1と同様にして、感光体Cを得た。
比較例1において、電荷輸送物質として、CT−1を45部、電荷輸送層のバインダ樹脂として前記構造の繰り返し単位からなるポリアリレート樹脂(粘度平均分子量約86,000)100部とした以外は、比較例1と同様にして、感光体Dを得た。
比較例1において、電荷輸送物質として、CT−3を45部、電荷輸送層のバインダ樹脂として前記構造の繰り返し単位からなるポリアリレート樹脂(粘度平均分子量約86,000)100部とした以外は、比較例1と同様にして、感光体Eを得た。
上記実施例2、3、5、参考例1、4、6、及び比較例1〜6で得られた感光体ドラム
について、以下の評価項目について評価を行った結果を表−2に示す。
(1)電気特性
V0=700(-V)になるように帯電条件を設定し、露光後0.06秒後の電位を測定
VL:露光エネルギー:0.7μJ/cm2照射後の電位
25℃50%RHと10℃15%RHの2環境で測定
(2)接着性
5mm角に6マス分、切れ目を入れ、ドラム表面にテープを貼り付けた後、テープを90度
に折り曲げ、ドラム軸方向に指で引っ張り剥がし、剥れた感光層の枚数をカウントする。
Claims (5)
- 該導電性支持体が陽極酸化処理及び封孔処理を施されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の電子写真感光体。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させ
る帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手
段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段、並びに前記トナーを被転写体に転写する
転写手段のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする電子写真カートリッジ。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させ
る帯電手段と、帯電した該電子写真感光体に対する露光により静電潜像を形成する露光手
段と、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記トナーを被転写体に転写する転
写手段、前記被転写体に転写された前記トナーを定着させる定着手段とを備えることを特
徴とする、画像形成装置。
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2014
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