JP6349706B2 - セラミックフィルタの製造方法 - Google Patents

セラミックフィルタの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6349706B2
JP6349706B2 JP2013255556A JP2013255556A JP6349706B2 JP 6349706 B2 JP6349706 B2 JP 6349706B2 JP 2013255556 A JP2013255556 A JP 2013255556A JP 2013255556 A JP2013255556 A JP 2013255556A JP 6349706 B2 JP6349706 B2 JP 6349706B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filtration membrane
ceramic filter
titania
alumina
membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013255556A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015112527A (ja
Inventor
英也 白石
英也 白石
孝行 宇賀神
孝行 宇賀神
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meidensha Corp
Original Assignee
Meidensha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meidensha Corp filed Critical Meidensha Corp
Priority to JP2013255556A priority Critical patent/JP6349706B2/ja
Publication of JP2015112527A publication Critical patent/JP2015112527A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6349706B2 publication Critical patent/JP6349706B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Description

本発明は上水用原水、下水、各種廃水等の被処理水を膜分離処理するセラミックフィルタに関する。
セラミックフィルタはアルミナなどのセラミックス粒子をバインダ等と混合、成形した後、大気圧下、高温で焼き固めることで高い比表面積を有する多孔質の構造として製作される。そして、この多孔質構造は粗い粒子からなる板状や管状などの形状の多孔質支持体とその上に細かい粒子からなる膜が一層または複数層からなる濾過膜により構成される。濾過膜は主骨材としてアルミナが採用され、副骨材,焼成助材としてアルミナ、チタニア、チタニアゾル、シリカ、シリカゾル、ムライト、ジルコニア等の無機質材料が目的に応じて適用されている。このようなセラミックフィルタは堅牢で物理的、化学的な耐久性及び親水性が高いことから各種の排水の処理に適用されている。
有機膜の材料であるポリスルフィン等系樹脂は疎水性を有しており、ファウリングの原因物質である疎水性のタンパク質や油脂などと親和性がある。そのため、有機膜はファウリングを起こしやすく、一般的に界面活性剤の塗布による膜表面の親水化処理を行うことで有機膜を製造する。
これに対して、セラミックフィルタはセラミックの親水性が高いのでファウリング物質との親和性は低く、微視的に表面が平滑であり洗浄しやすいことから、ファウリングを抑制、制御しやすいという利点がある。
しかしながら、実際には、前記原因物質を含めて被処理水の存在物質に起因するファウリングを防止することは困難であり、膜の洗浄等の対策が重要な課題となっている。
ファウリングによる濾過性能低下の抑制方法として、例えば、膜分離活性汚泥法(MBR)に適用されているセラミック平膜などでは、洗浄を目的とした曝気や逆洗並びに濾過操作を停止してフィルタの薬液洗浄の実施等の操作を行っている。
ファウリングを抑制する工夫は従来から行われており、特に、被処理水中の固液分離粒子の有する表面電荷とセラミック濾過膜の表面電荷とを同極性(電位符号が同符号)にすることでファウリングを抑制することは膜洗浄に関わる電力の低減や濾過運転の効率化などに効果がある。
例えば、特許文献1に開示された水性懸濁液からの微粒子物質の除去方法は、表面電荷の関係から基材である支持体管上へチタニアをか焼することによって製作されたフィルタの目詰まりの制御に有効であるとしている。製膜を繰り返し、焼成温度は1115℃とすることができる。
浜野健也,その外2名,「酸化物混合物粉末を原料としたチタン酸アルミニウムセラミックの微構造と強度」,窯業協会誌,91[2],1983年8月23日,p.94−101 日本セラミックス協会編,「18.主要平衡状態図,図18.50 Al2O3−TiO2系図」,セラミック工学ハンドブック,第2版,資料編,技報堂出版,2002年4月,p.753
特開2002−136969号公報 特開2000−290015号公報 特開平7−41318号公報 特開平6−329412号公報 特開昭63−274407号公報 特開昭61−21726号公報 特開2012―40549号公報 特開2001―260117号公報
ファウリングの抑制機能を有し且つ膜欠陥がなく透水性能に優れるセラミックフィルタを開発するにあたり、事前検討試験を行った結果、以下の課題が見つかった。
ファウリングを抑制する効果があるとされるチタニアを含んだチタニアゾル由来の濾過膜用スラリーを調製し、これをセラミックから成る支持体の表面に塗布して濾過膜を改質させたセラミックフィルタを製作すると、熱膨張係数の違いなどにより、濾過膜内部、支持体と濾過膜との間における収縮量や収縮速度のずれなどが生じることから濾過膜にピンホールやクラックなど膜欠陥が発生しやすい。特に、膜厚を有する程、膜欠陥の発生が顕著となる。つまり、濾過膜の主成分に微細なチタニアを適用した場合、実用可能な濾過膜の形成が困難となる。
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので濾過膜のクラックの発生を抑制しつつファウリングの抑制機能を有し且つ膜欠陥がなく透水性に優れるセラミックフィルタの提供を課題とする。
そこで、本発明のセラミックフィルタの製造方法は、ファウリング物質を含む流体の固液分離に供されるセラミックフィルタの製造方法であって、前記セラミックフィルタは、セラミックスからなる多孔質支持体とこの支持体の表面に設けられる濾過膜とからなり前記濾過膜は、アルミナとチタニアとを含んだスラリーが前記多孔質支持体に塗布された後に1150℃以上1400℃以下の焼成温度で焼成されることにより形成され、アルミナ100質量%に対してチタニアは1質量%〜25質量%未満を含んでなる
以上の発明によれば濾過膜のクラックの発生を抑制しつつファウリングの抑制機能を有し且つ膜欠陥がなく透水性に優れるセラミックフィルタが提供される。
本発明の一実施形態であるセラミックフィルタの一部分の断面図。
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
濾過膜のクラックの発生を抑制しつつファウリングの抑制機能を有し且つ膜欠陥がなく透水性に優れるセラミックフィルタを開発するにあたり、以下の事前検討試験を行った。
1.事前検討試験の内容
事前検討試験として、多孔質支持体の表面にチタニアのみで濾過膜を形成したセラミックフィルタを作製した。
1−1.多孔質支持体の構造
図1に示したセラミックスからなる多孔質支持体21の内部に濾過水取り出し用の貫通孔22が形成され、この支持体21の外表面に濾過膜23が形成された平膜式のセラミックフィルタ20(有効幅W80mm×有効高さH250mm×厚さ6mm)を利用した。本試験では、主成分がアルミナ(平均粒径0.7μm)からなる多孔質支持体21を使用した。
1−2.膜濾過用スラリーの調合と塗布、焼成
本試験の濾過膜は主骨材としてチタニアを含有し、以下に説明する濾過膜用スラリーを調製して多孔質支持体21に塗布・乾燥後、焼成してセラミックフィルタを作製した。
濾過膜の主骨材:チタニア(チタニアゾル、平均粒径10nm。例えば特許文献2に記載の方法により製造されたチタニアゾルを使用した。)
濾過膜用スラリーの調製と塗布:濾過膜用スラリーに含まれるチタニアの固形分量が1〜25%となるようにイオン交換水を加え、さらに、スラリー全体に対し、分散剤(水溶性アクリル酸系分散剤(アロン A-6114、(東亜合成株式会社)))0.4質量%、バインダ(アクリル系水性バインダ(アロンAS-1800、(東亜合成株式会社)))0.1質量%を加えて濾過膜用スラリーを調製した。
そして、スプレー方法にて当該支持体の表面に濾過膜用スラリーを塗布し、熱風送風にて乾燥させた後、焼成した。なお、焼成温度は骨材種類などの構成成分により異なり、例えば、骨材がアルミナからなる濾過膜であれば温度800〜1400℃、1時間などの焼成条件により焼成される。本試験では基本の焼成温度を1200℃、焼成時間2時間として、適宜、前記温度範囲内にて焼成温度を変更し、本試験用のセラミックフィルタを作製した。なお、セラミックフィルタに焼成後形成される濾過膜層の膜厚は50μm程度となるように設定した。
1−3.セラミックフィルタの膜特性の確認
本試験で作製したセラミックフィルタの膜特性を調べたところ、チタニアからなる濾過膜の透水性能は高いが、粒子捕捉率などの膜特性値は低い結果となった。これは、スラリー塗布後の焼成工程などで濾過膜にクラックなどの膜欠陥が発生したと考察され、セラミックフィルタ支持体の表面にチタニアのみで濾過膜の形成は困難であると判断した。
また、焼成工程における焼成温度を高くするほど膜面のクラックが増加し、そして、焼成温度の低下と共に膜表面のクラックの発生が減少傾向となった。これは焼成温度の低下により濾過膜と支持体間においてクラックの原因と考えられた異種材質の温度による収縮の差異が緩和されたものと考えられる。
発明者らは以上の事前検討試験で明らかになった課題を解決すべく鋭意、調査研究を行った結果、アルミナ微粉末に適量のチタニア微粉末を混合して焼成することにより、複数の各微粉末によって形成される細孔の他に接合している微粒子間の界面及び微粉末の結晶粒界面に発生したマイクロクラック(粒界亀裂)に起因する細孔が形成されると考察した。このマイクロクラックに起因する細孔は透水機能を有しており、且つ、膜欠陥を起こすことなくセラミックフィルタの透過流束を高められ透水性が向上することが明らかとなった。
以上の知見により、ファウリングを抑制する機能を有し、且つ膜欠陥がなく透水性などの膜特性に優れるセラミックフィルタの製作が可能となった。
すなわち、本発明のセラミックフィルタは、その濾過膜がアルミナとチタニアとを含んでなる。アルミナのみを含んでなる濾過膜と、アルミナとチタニアを含んでなる濾過膜とを比較した場合、開気孔率、粒子捕捉率は同等であるものの、後者の方が透水性の点で優れることが見出されている。
アルミナ粒子とその改質材であるチタニア粒子との混合物により濾過膜を形成する場合、両者の熱膨張係数の相違により、相互の粒子間において収縮により微細な貫通孔、すなわち、マイクロクラックに起因する細孔により、透水可能な濾過孔が形成されたものと考えられる。濾過孔はマイクロクラックに起因して濾過膜中に形成される微細な細孔である。そして、この細孔は透水孔として機能する濾過孔であり、これによる膜特性(開気孔率、粒子捕捉率等)の劣化は伴わない構造となる。
アルミナとチタニアとの合成物であるチタン酸アルミニウムは焼成後の冷却時に発生するマイクロクラック(粒界亀裂)が存在することが知られている(非特許文献1)。アルミナ粒子とチタニア粒子との混合物により濾過膜を形成した場合、部分的にチタン酸アルミニウムが形成される可能性があり、これにより、マイクロクラックが生じ、微細な濾過孔がマイクロクラックに起因して形成されることが可能となる。
アルミナ(Al23)、チタニア(TiO2)、チタン酸アルミニウム(Al2TiO5)の熱膨張係数(×10-6/K)を以下に示す。
アルミナ:6.4〜8.0
チタニア:7.14〜9.3
チタン酸アルミニウム:0.7〜1.3
チタン酸アルミニウムの低膨張性を保持するにはマイクロクラックが必要である。クラックは粒界、粒内に生じることが知られている。そのため、アルミナと改質材のチタニアとの混合物以外にもチタン酸アルミニウムが利用可能である。
以下に本発明のセラミックフィルタの具体的な態様について説明する。
2.セラミックフィルタの製作条件
本実施形態のセラミックフィルタは、公知の多孔質支持体(例えば、主骨材はアルミナ)の表面に濾過膜用スラリーを塗布・乾燥後、焼成して前記多孔質支持体上に濾過膜を形成して成る。なお、実施例ではセラミックフィルタの形状は平膜式(板状)とした。
以下、従来のセラミックフィルタの作製方法に基づいた本実施形態の支持体、濾過膜、濾過膜用スラリーの調製・焼成について説明する。
2−1.支持体
多孔質支持体の骨材は金属酸化物からなり、例えば、アルミナ(Al23)、シリカ(SiO2)、コーディエライト(2MgO・2Al23・5SiO2)、チタニア(TiO2)、ムライト(Al23・SiO2)、ジルコニア(ZrO2)、スピネル(MgO・Al23)、あるいはそれらの混合物等を用いることができるが、所望の平均粒径の原料が入手しやすいことからアルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニアなどが好ましい。
多孔質支持体の骨材の平均粒径は、セラミックフィルタの用途から平均粒径0.3〜100μmであることが好ましい。
前記多孔質支持体の細孔径が大きい場合には、濾過膜を直接設けないで、中間層を介して濾過膜を設ける場合がある。また、支持体としては、例えば、中空円筒状、板状、モノリス状のいずれかの形状を成したものが挙げられる。
実施例においては、図1に示した支持体21のように、アルミナ(平均粒径0.7μm)を主成分とする公知の構成成分により形成された板状の多孔質支持体を用いた。
前記多孔質支持体は、例えば特許文献7に開示されたように、主骨材がアルミナであり、これにバインダ、無機質ゾル、水を添加した混錬物を成型、乾燥、焼成により形成したものが挙げられる。特許文献8に例示された基材(支持体)や周知の基材(支持体)の構成成分や支持体が使用できる。
多孔質支持体の態様としては、例えば、中空円筒状、板状、モノリス状のいずれかの形状を成したものが挙げられる。中空円筒状の支持体の場合、この支持体の内周面または外周面に濾過膜が形成される。板状の支持体の場合、図1に例示したセラミックフィルタ20のように支持体21の幅方向に複数並列に形成された貫通孔22の内周面または当該支持体21の両方の主面に濾過膜23が形成される。モノリス状の支持体の場合、この支持体の軸方向に沿って複数形成された貫通孔の内周面または当該支持体の外周面に濾過膜が形成される。
2−2.濾過膜
濾過膜を構成する無機材料は主骨材と改質材との多孔質複合体である。主骨材はアルミナが、改質材はチタニアが好適である。
骨材粒子ならびに改質材は、濾過膜の骨格を形成するセラミックス粒子であり、当該骨材粒子の平均粒径を適宜選択することにより濾過膜の細孔径が決定される。セラミックフィルタの用途から、濾過膜の主骨材ならびに改質材の平均粒径は0.01〜1μmであることが好ましい。
主骨材と改質材の平均粒径の関係は主骨材>改質材であることが好適である。改質材のチタニアは熱膨張、熱収縮がアルミナよりも大きいので前記平均粒径の関係を採ることにより乾燥、焼成時の濾過膜のクラックを回避できる。
実施例では、骨材粒子として平均粒径0.4μmのアルミナ微粉末(例えば特許文献3や特許文献4)、改質材粒子として平均粒径0.3μmのチタニア微粉末(例えば特許文献6)を使用した。
主骨材100質量%に対する改質材の添加量は1質量%以上25質量%以下とすることが好ましい。1質量%未満の場合は効果が認められない一方、25質量%を越える場合はクラックが生ずるので好ましくない。
2−3.濾過膜用スラリーの調製、焼成
濾過膜の骨材としてはアルミナ微粉末が、同膜の改質材としてはチタニア微粉末を用いた。そして、濾過膜用スラリーにはアルミナ100質量%に対してチタニア1〜25質量%となるようにアルミナ微粉末とチタニア微粉末とイオン交換水とを混合し、さらに、スラリー全体に対し、分散剤、バインダが添加されてミルで混合する。
前記分散剤は例えば全溶液量に対して0.1〜10質量%添加される。分散剤は全溶液量に対して0.1質量%未満の場合、主骨材、改質材の分散効果が期待できず、一方、10質量%を越える場合は、分散効果の減少が生じる。
前記バインダは主骨材と改質材の合量に対して0.1〜1.1質量%となるように添加される。バインダは0.1質量%未満の場合、スラリーを支持体に塗布した場合のスラリーの粘性が不安定となり、一方、1.1質量%を越える場合には粘性が高くなりすぎ、気泡をまきこみ安定した均一な濾過膜を形成できなくなるからである。
濾過膜を形成させる際の濾過膜用スラリーの塗布は、多孔質支持体の外周面に濾過膜を形成する場合はスプレー方式が、多孔質支持体の内周面に濾過膜を形成する場合は濾過製膜方式が好適である。
多孔質支持体に濾過膜用スラリーを塗布後、所定温度(例えば80℃)の熱風または所定(例えば温度25℃、湿度90%)の加湿風循環によって所定時間乾燥する。焼成後の濾過膜の膜厚は概50μmを目標に設定される。
乾燥させた濾過膜は1150℃以上1400℃以下の温度で焼成する。すなわち、アルミナ粉末とチタニア粉末との混合物を1150℃以上1400℃以下で加熱することによりチタン酸アルミナが形成される。チタン酸アルミニウムは収縮時にマイクロクラックを生じさせるので、このマイクロクロックに基づく濾過孔を形成できる。
以下に本発明の実施例を示す。
アルミナとその改質材であるチタニアとの混合物により濾過膜用スラリーを調合し、このスラリーを多孔質支持体に塗布、乾燥、焼成の各工程を経てセラミックフィルタを製作した。そして、セラミックフィルタの諸特性を試験することで本発明の濾過膜の評価を行った。
(1)セラミックフィルタの仕様
多孔質支持体:アルミナ(平均粒径0.7μm、特許文献3や特許文献4等に記載のあるバイヤー法により製造されたアルミナ粉末を適宜粉砕分級して所望の平均粒径としたもの。))
濾過膜:実施例,比較例の濾過膜の骨材にはアルミナ微粉末(平均粒径0.4μm)を用いた。改質材にはチタニア(平均粒径0.3μm、特許文献6に記載)を用いた。
(2)実施例,比較例のセラミックフィルタの製作
濾過膜用スラリーの調製に際し、表1に示した実施例1〜7,比較例1〜4の製作条件のようにアルミナ100質量%に対してチタニアゾル1〜25質量%を添加しイオン交換水を加えた。さらに、バインダ(水溶性アクリル酸系分散剤(アロン A-6114、(東亜合成株式会社))、分散剤(バインダ:アクリル系水性バインダ(アロンAS-1800、(東亜合成株式会社)を所定量加え、ミルによって混合して濾過膜スラリーを得た。
次いで、多孔質支持体の表面に前記調製した濾過膜用スラリーをスプレー方式によって塗布した。そして、熱風または加湿風循環による乾燥の後、表1に開示した実施例,比較例の所定温度で焼成して多孔質支持体上に濾過膜を形成させた。なお、焼成時間は2時間とした。
実施例,比較例の骨材(アルミナ)と改質材(チタニア)の平均粒径は以下の測定法に
よる値である。
アルミナの平均粒径:レーザ回折散乱式粒子径分布測定法による測定の平均粒径(JIS Z 8826:2005 粒子径解析−光子相関法に準拠)
チタニアの平均粒径:透過型電子顕微鏡撮影画像の画像解析による値(JIS 7804-2005に準拠)
Figure 0006349706
(3)濾過膜の膜特性評価結果
表2に濾過膜の膜特性評価結果を示した。同表に示された比較例4は改質材を添加せずに各実施例で使用した骨材(アルミナ 平均粒径0.4μm)のみで形成した従来の濾過膜である。
表2に示された濾過膜の粒子捕捉率、開気孔率は以下の測定法による値である。
粒子捕捉率は0.1μmの標準粒子に対する粒子の捕捉率(%)であり、JIS R 1680-2007に準拠した測定法による値である。標準粒子はポリエチレンビーズ(商品名:JSR SIZE STANDARD PARTICLES,粒径平均値:0.1μm)を使用した。
開気孔率は測定試料の外形容積を基準としたときの開気孔部分の百分比であり、ASTM−D−792に記載の方法での測定値である。
また、膜密着試験は濾過膜の表面をSUS製のピンセットで引っ掻くことによる濾過膜の強度を記号で評価したものである。濾過膜の表面においてピンセットの金属成分の付着が認められた場合を「○」と、濾過膜の剥離が認められた場合を「×」と評価した。
Figure 0006349706
表2に示された評価結果から明らかなように改質材としてチタニアを混合したことによりチタン酸アルミニウムが生成され、マイクロクラックの発生等が原因となって微小な濾過孔が増加したことによるものと推測される。
また、アルミナとチタニアとを含んだ実施例1〜7の濾過膜は、その開気孔率,粒子捕捉率等の膜特性がチタニアを含まない比較例4の濾過膜(表面改質していない従来の濾過膜)のものと略同等であるが、透過流束の比で40〜60%以上向上し、透水性が顕著に向上する結果となった。
特に、比較例4のアルミナからなる濾過膜の場合は透過流束40.0m3/(m2・日)、開気孔率45.0%、粒子捕捉率95%以上であった。一方、本発明の実施例1〜7のアルミナとチタニアとを含んでなる濾過膜の場合は、透過流束57.8〜64.1m3/(m2・日)(実施例1〜7の平均値60.6m3/(m2・日))、開気孔率44.0〜45.6%、粒子捕捉率95%以上であり、透過流束以外の評価は比較例と同程度であるが透過流束の向上が顕著となる結果が得られている。
この理由はチタニアを混合したことにより、チタン酸アルミニウムが生成されたことにより、マイクロクラックが発生することにより微小な濾過孔が増加したことによるものと推測される。
また、非特許文献2に記載の「1150℃以上にてチタニアとアルミナからチタン酸アルミニウムの生成が可能であること」をもとに焼成温度1150℃〜1200℃さらに1300℃〜1400℃において同様試験を行なったところ前記評価と同様な結果が得られた。
以上の評価結果から、濾過膜が少なくともアルミナとチタニアとを含んでなり、アルミナに対するチタニア添加量は1質量%以上25質量未満であり、焼成は1150℃以上1400℃以下にて行うことが好適であり、この条件により、濾過膜のクラック発生が抑制され、膜欠陥がなく、透水性も顕著であるセラミックフィルタを作製できることが示された。
また、実施例では、アルミナの平均粒径0.4μmに対してチタニアの平均粒径0.3μmとしたが、チタニアの平均粒子をより小径とした同様試験をしたところ、チタニアの平均粒径10nm(チタニアゾル。例えば特許文献2に記載の方法により製造。)を下限値として、上記濾過膜の評価と同様な結果が得られた。すなわち、アルミナの平均粒径は、チタニアの平均粒径に対する比率が1より大きく、かつ、40以下であるとき前記評価と同様な結果が得られた。したがって、特に、濾過膜が少なくともアルミナとチタニアとを含んでなり、アルミナ100質量%に対してチタニアが1質量%〜25質量%未満であり、当該フィルタの焼成温度が1150℃以上1400℃以下であり、アルミナの平均粒径のチタニアの平均粒径に対する比率が1より大きく、かつ、40以下であり、骨材であるアルミナの平均粒径が0.01〜1μmであると、上記の効果はより一層顕著なものなることも示された。
本発明は以上説明した実施例に何ら限定することなく、当業者によって適宜変更して実施が可能であり、この変更された態様も発明の技術範囲に属する。
例えば、本発明の濾過膜はチタン酸アルミニウムを含んでいればよいので、濾過膜用スラリーの調製の際にチタン酸アルミニウムを添加することにより、アルミナとチタニアとからチタン酸アルミニウムを生成させることなくチタン酸アルミニウムのみで濾過膜を形成させてもよい。この濾過膜を備えたセラミックフィルタも本発明の技術範囲に属する。
また、実施例において、セラミック多孔質支持体上に形成される濾過膜は複数層からなる構成としてもよく、支持体の平均細孔径が大きい場合、例えば、中間層を介して、チタン酸アルミニウムを含んでなる濾過膜を設けてもよい。または、濾過膜が複数層からなり、この複数層の少なくとも最表層がチタン酸アルミニウムを含んでなることにより、ファウリング抑制機能を有するセラミックフィルタの態様としてもよい。
20…セラミックフィルタ
21…支持体
22…貫通孔
23…濾過膜

Claims (4)

  1. ファウリング物質を含む流体の固液分離に供されるセラミックフィルタの製造方法であって、
    前記セラミックフィルタは、セラミックスからなる多孔質支持体とこの支持体の表面に設けられる濾過膜とからなり
    前記濾過膜は、アルミナとチタニアとを含んだスラリーが前記多孔質支持体に塗布された後に1150℃以上1400℃以下の焼成温度で焼成されることにより形成され、アルミナ100質量%に対してチタニアは1質量%〜25質量%未満を含んでなること
    を特徴とするセラミックフィルタの製造方法
  2. 前記アルミナの平均粒径が0.01〜1μmであり、前記アルミナの平均粒径のチタニアの平均粒径に対する比率が1より大きく、かつ、40以下であること
    を特徴とする請求項1に記載のセラミックフィルタの製造方法
  3. 前記濾過膜は複数層からなり、この複数層の少なくとも最表層はチタン酸アルミニウムを含んでなること
    を特徴とする請求項1または2に記載のセラミックフィルタの製造方法
  4. 前記多孔質支持体は中空円筒状、板状、モノリス状のいずれかの形状を成し、この支持体において単一若しくは複数並列に形成された貫通孔の内周面または当該支持体の外周面に前記濾過膜が形成されたこと
    を特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のセラミックフィルタの製造方法
JP2013255556A 2013-12-11 2013-12-11 セラミックフィルタの製造方法 Active JP6349706B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013255556A JP6349706B2 (ja) 2013-12-11 2013-12-11 セラミックフィルタの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013255556A JP6349706B2 (ja) 2013-12-11 2013-12-11 セラミックフィルタの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015112527A JP2015112527A (ja) 2015-06-22
JP6349706B2 true JP6349706B2 (ja) 2018-07-04

Family

ID=53526856

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013255556A Active JP6349706B2 (ja) 2013-12-11 2013-12-11 セラミックフィルタの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6349706B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7004043B1 (ja) * 2020-08-21 2022-02-10 株式会社明電舎 セラミック平膜
JP7004042B1 (ja) * 2020-08-21 2022-02-10 株式会社明電舎 セラミック平膜
CN112939580B (zh) * 2021-01-29 2022-07-01 广西碧清源环保投资有限公司 一种陶瓷过滤膜的制备方法
CN114225715B (zh) * 2021-11-17 2022-09-20 华南理工大学 一种高性能非对称陶瓷过滤膜及其制备方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3774037B2 (ja) * 1996-12-27 2006-05-10 日本碍子株式会社 チタニアを結合材とするセラミックス多孔質膜、これを用いたセラミックスフィルター及びこれらの製造方法
US7767257B2 (en) * 2007-05-31 2010-08-03 Corning Incorporated Method for preparing a porous inorganic coating on a porous support using certain pore formers
EP2832426B1 (en) * 2012-03-30 2017-05-10 NGK Insulators, Ltd. Honeycomb shaped porous ceramic body, manufacturing method for same, and honeycomb shaped ceramic separation membrane structure

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015112527A (ja) 2015-06-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5935945B2 (ja) セラミックフィルタ
Zou et al. One step co-sintering process for low-cost fly ash based ceramic microfiltration membrane in oil-in-water emulsion treatment
JP6892821B2 (ja) 無機メンブランフィルターおよびその方法
JP5017230B2 (ja) 自動車用排ガス浄化フィルタの多孔質膜形成用塗料及び自動車用排ガス浄化フィルタの多孔質膜、自動車用排ガス浄化フィルタ、自動車用排ガス浄化フィルタの製造方法。
US10232299B2 (en) Honeycomb structure
Monash et al. Various fabrication methods of porous ceramic supports for membrane applications
JP6349706B2 (ja) セラミックフィルタの製造方法
JP2014501169A (ja) アルミナセラミック膜
US20190330115A1 (en) Alumina porous body and method for manufacturing same
WO2012008476A1 (ja) セラミックフィルタ
CN105764872B (zh) 多孔材料及绝热膜
JP2014198308A (ja) セラミック分離フィルタ及び脱水方法
JP2019177318A (ja) ハニカムフィルタ
JP2019177317A (ja) ハニカムフィルタ
WO2017169591A1 (ja) 多孔質支持体、多孔質支持体の製造方法、分離膜構造体及び分離膜構造体の製造方法
US20150157962A1 (en) Porous inorganic membranes and method of manufacture
JP2023011761A (ja) セラミック膜フィルタ
JP6436974B2 (ja) モノリス型分離膜構造体及びモノリス型分離膜構造体の製造方法
JP2019177319A (ja) ハニカムフィルタ
JP6581926B2 (ja) ハニカム構造体
JP4912702B2 (ja) セラミックフィルタのシール方法
US11085342B2 (en) Honeycomb filter
US20170007967A1 (en) Monolithic separation membrane structure
JP2020001032A (ja) ハニカムフィルタ
JP2023021136A (ja) セラミックフィルタ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161104

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170530

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170731

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180109

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180508

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180521

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6349706

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150