JP6347573B2 - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体レーザ素子に関する。
半導体レーザ素子は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)の記録・再生用途に広く普及している。近年、半導体レーザ素子の応用として、固体レーザ装置、リモートセンシング用途、ガスレーザの代替用途、SHG(Second Harmonic Generation)による緑色レーザ用光源などへの展開が期待されている。これらの用途には、赤外領域においてレーザ発振し、200mWを超える高出力であることが必要とされる。
半導体レーザ素子の高出力化を制限する要因として、COD(Catastrophic Optical Damage)が知られている。CODとは、共振器のレーザ出射端面に形成された端面コーティング膜と端面部活性層との深い界面準位に起因して、非発光再結合が発生し、これにより端面近傍において発熱が生じ、この発熱に伴いバンドギャップがさらに縮小し、その結果としてさらに非発光再結合が促進されるという正帰還が生起し、最終的には高熱によって半導体結晶が溶出してしまい、レーザ発振不能に至らしめる現象である。なお、これ以降、半導体レーザ素子がCODに到達する出力電圧をCODレベルとも記す。
CODレベルを高める手段として、たとえば、特開2009−27012号公報(特許文献1)に示されるように、共振器のレーザ出射部の端面近傍に不純物を拡散させ、該端面近傍のバンドギャップを広げることにより、光吸収を低減する端面窓構造が提案されている。また、たとえば、特開平05−218593号公報(特許文献2)には、不純物としてZnを拡散させた窓層のみを高エネルギ化した窓構造の形成方法が提案されている。これらの技術は、たとえば、DVD用に650nm帯半導体レーザに応用されている。
また、特開2001−345514号公報(特許文献3)には、窓構造を有する赤外領域の半導体レーザに関し、レーザ部のクラッド層をAlGaInPの4元組成の化合物半導体とすることにより、Znの拡散係数を向上させ、多重量子井戸層〔以下、MQW(Multiple Quantum Well)層とも記す〕であるAlGaAs/GaAsの混晶化を促進し、窓構造を形成する技術が開示されている。この技術は、たとえば、CD用半導体レーザに利用されている。
特開2009−27012号公報 特開平05−218593号公報 特開2001−345514号公報
しかしながら、上記のいずれの技術によっても、固体レーザ装置やリモートセンシング用途の光源として期待されている800nm以上の発振波長を有する半導体レーザにおいて、200mWを超える高出力のレーザに耐え得る窓構造の形成は困難であった。
この理由は、キャリアオーバーフローによる閾値電流の増大を十分に抑制できないからである。キャリアオーバーフローとは、大電流を印加した際、共振器の光導波路内のキャリアが、レーザ発振時の発熱によって、活性層からクラッド層へと漏出し、利得飽和を起こす現象である。一般に、半導体レーザの高出力化のためには、活性層を薄層化して光密度を低減し、光出力を向上させる必要がある。しかし、活性層の薄層化に伴い、活性層に注入されたキャリアを、活性層内に閉じ込めることが困難となる。これにより、キャリアが漏出しやすくなり、キャリアオーバーフローに至る。
キャリアオーバーフローにより、閾値電流が増大するため、量子効果による低閾値動作および発光効率の向上が図れなくなる。また、閾値電流が増大すると、無駄な電力消費が増加するとともに、共振器の温度が上昇し、CODを誘発する。
ここで、一般的に、閾値電流(Jth)は、下記式(1)により表わされる。
Figure 0006347573
式(1)中、ηiは内部量子効率を示し、Γは光閉じ込め係数を示し、Rfは出射側端面反射率を示し、Rrは反射側端面反射率を示し、Lは共振器の長さを示し、dは活性層の厚さを示し、αiは内部吸収係数を示し、βはゲイン係数を示す。
式(1)より、閾値電流の低減には、活性層の厚さdを小さくすることが有効であると考えられる。しかしながら、たとえば、特許文献2のようにGaAs量子井戸を用いた半導体レーザにおいては、GaAsのバルク波長が873nm程度であることを考慮すると、量子効果による低閾値動作のためには、井戸層の厚さは8nm以下とすることはできず、発光波長は840nm程度が限界である。
さらに、このように、井戸層の厚さが厚い場合には、窓構造の形成において、バリア層およびガイド層であるAlGaAsを混晶化させた際、窓部が透明に成り難いという不具合がある。
また、従来より、量子井戸に圧縮歪みを導入し、ヘビーホールとライトホールの縮退を解き、ヘビーホールの有効質量を低減することが、低閾値電流化に有効であることが知られているが、上記課題の解決手段として十分なものではない。
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、800nm〜960nmの波長でレーザ発振し、低閾値電流および高効率を維持しながら、CODレベルの高い、半導体レーザ素子を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行なったところ、レーザ出射部の端面近傍に不純物を拡散させた窓構造が形成された領域(以下、窓領域とも記す)を有する共振器において、MQW層を、InGaAsを用いた厚さの薄い井戸層と、AlGaAsを用いたバリア層およびガイド層と、から構成した場合には、InとAlとが各層に相互拡散することを見出し、この現象を利用すれば、活性層にInを拡散させて、窓領域に属する活性層のバンドギャップをさらに大きく広げることができ、高出力レーザにも耐え得る良質な窓構造の形成ができるのではないかという着想に至った。そして、本発明者は、この着想に基づき、さらに検討を重ねることにより、圧縮歪みによって低閾値電流で動作可能であり、かつ発光波長900nm程度の高出力が実現可能である半導体レーザ素子の構成を見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の半導体レーザ素子は、第1導電型のGaAs基板と、該基板上に形成された第1導電型の第1クラッド層と該第1クラッド層上に形成されたInyGa(1-y)As(0.08<y<0.25)からなる井戸層を含む活性層と、該活性層上に形成された第2導電型の第2クラッド層と、該第2クラッド層上に設けられた、第2導電型の第3クラッド層、第1中間層、第2中間層およびコンタクト層がこの順で積層されたリッジストライプ形状の積層体と、を備え、該リッジストライプ形状の積層体は光導波路を構成し、該光導波路において、該活性層のバンドギャップは、該光導波路の長手方向に垂直な端面において最大であることを特徴とする。
なお、ここで、第1導電型とは、p型またはn型の導電型を意味し、第2導電型とは第1導電型とは異なるp型またはn型の導電型を意味する。
また、上記光導波路の長手方向に垂直な端面における上記井戸層が混晶化していることが好ましい。
また、上記光導波路の長手方向に垂直な端面における上記活性層は不純物が拡散された窓領域であり、該窓領域にはZnが拡散していることが好ましい。さらに、該窓領域には井戸層のInが拡散していることが好ましい。
また、上記活性層は、上記井戸層とAlxGa(1-x)As(0≦X≦0.5)からなるバリア層とが交互に積層されてなる多重量子井戸構造であることが好ましい。
また、上記活性層の厚さは、3nm以上8nm以下であることが好ましい。
また、ガイド層およびバリア層であるAlGaAsと井戸層であるInGaAsの相対的な格子定数の差Δaと、該バリア層の格子定数aとは、以下の式:
0.01≦Δa/a≦0.02
を満たすことが好適である。
また、上記活性層は、上記井戸層を少なくとも2層含むことが好ましい。
上記窓領域に属さない活性層のフォトルミネッセンススペクトルのピーク波長と、窓領域に属する活性層のフォトルミネッセンススペクトルのピーク波長との差をΔλとしたとき、Δλが50nm以上であることが好ましい。なお、これ以降、フォトルミネッセンスをPL(Photoluminescence)とも記し、PLスペクトルのピーク波長を、PLピーク波長とも記す。
また、上記第3クラッド層、第1中間層、第2中間層およびコンタクト層の各層間における相対的な価電子帯のエネルギ差は0.15eV以下であることが好ましい。
また、上記第3クラッド層はAlGaInPを含むことが好適である。
本発明の半導体レーザ素子は、800nm〜960nmの波長でレーザ発振し、低閾値電流および高効率を維持しながら、CODレベルが高いという優れた効果を示す。
実施の形態の半導体レーザ素子の模式的な斜視図である。 実施の形態の半導体レーザ素子の模式的な上面図である。 図2に示された切断面線III−IIIから見た共振器長手方向における断面図である。 実施の形態の半導体レーザ素子の活性層の一例を示す模式的な断面図である。 実施の形態の半導体レーザ素子の中間層の一例を示す模式的な断面図である。 窓領域を除く活性層のPLピーク波長と不純物が拡散した窓領域に属する活性層のPLピーク波長との差(Δλ)と、不純物拡散時間との関係を示す図である。 ΔλとCODレベルとの関係を示す図である。 Δa/aと臨界膜厚との関係を示す図である。 Δa/aと閾値電流との関係を示す図である。 臨界膜厚と井戸層のIn組成比との関係を示す図である。 井戸厚固定とした場合の臨界膜厚と井戸層のIn組成比との関係を示す図である。 井戸層のIn組成比とPLピーク波長の関係を示す図である。 中間層の構成とI−V特性との関係を示す図である。 素子抵抗と各層間の相対的なエネルギ差との関係を示す図である。
以下、図1〜14を参照して、本発明の実施の形態である半導体レーザ素子を説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表わすものではない。
<半導体レーザ素子>
≪素子構成≫
以下、実施の形態の半導体レーザ素子1の構成を説明する。図1は、半導体レーザ素子1の模式的斜視図の一例であり、図2は、半導体レーザ素子1の模式的上面図の一例である。そして、図3は、図2に示す半導体レーザ素子1のIII−III断面図である。
半導体レーザ素子1は、図3に示すように、n型のGaAsからなる基板2の上に、n型のGaAsからなるバッファ層(図示せず)と、n型のGaInPAsからなる第1クラッド層3と、n型のAlGaAsからなる下部ガイド層4と、InGa(1-y)Asからなる井戸層51を含む活性層5と、を備えている。活性層5は、図4に示すように、InyGa(1-y)Asからなる井戸層51とAlxGa(1-x)Asからなるバリア層52とが交互に積層されたMQW層である。
活性層5の上には、p型のAlGaAsからなる上部ガイド層6と、p型のAlGaAsからなる第2クラッド層7とが積層されている。
さらに、第2クラッド層7の上には、p型のGaInPからなる第3クラッド層8と、p型のAlGaAsからなる中間層9と、p型のGaAsからなるコンタクト層10と、をこの順序で積層された構造を含むリッジストライプ形状の積層体30を備えている。そして、リッジストライプ形状の積層体30は光導波路を構成している。また、中間層9は、図5に示すように、第1中間層91と第2中間層92とからなる2層構造を有している。
また、半導体レーザ素子1は、図1および2に示すように、共振器端面部に、共振器の長手方向に深さtを持つ、不純物としてZn(亜鉛)が拡散した窓領域20が形成されている。また、図2に示す窓領域20を覆うように、電流非注入領域(図示せず)が形成されている。
そして、半導体レーザ素子1は、光導波路における活性層5のバンドギャップが、該光導波路の端面において最大であることを特徴とする。ここで、端面において最大であるとは、光導波路の2つの端面のうち、少なくとも一方の端面において最大であることを示し、好ましくは両端面において最大である。
上記の構成を有する実施の形態の半導体レーザ素子1は、赤外の波長帯(すなわち、波長800nm以上960nm以下)において、高出力であり、かつ高信頼性を有し、低閾値電流である、特性を兼備した優れた半導体レーザ素子である。
以下、実施の形態の半導体レーザ素子1を構成する各部について説明する。
≪GaAs基板≫
GaAs基板2は、n型の不純物がドーピングされたGaAs(ガリウム砒素)から構成されることが好ましい。n型の不純物としては、たとえば、Si(シリコン)を用いることができる。また、基板2の厚さは特に制限されず、たとえば、450μm程度することができる。
≪バッファ層≫
バッファ層(図示せず)は、GaAs基板2の上に積層されている。バッファ層は、n型の不純物がドーピングされたGaAsから構成されることが好ましい。n型の不純物としては、たとえば、Siを用いることができる。バッファ層の厚さは特に制限されず、たとえば、200nm程度とすることができる。
≪第1クラッド層≫
第1クラッド層3は、バッファ層の上に積層され、キャリアおよび活性層5から発生する光を効率よく閉じ込める機能を有する。第1クラッド層3は、n型の不純物がドーピングされたGaInPAs(ガリウムインジウムリン砒素)から構成されることが好ましい。n型の不純物としては、たとえば、Siを用いることができる。第1クラッド層3の厚さは特に制限されず、たとえば、3000nm程度とすることができる。また、GaInPAsの化学組成は、Ga0.5In0.5PAsであることが好ましい。
≪下部ガイド層≫
下部ガイド層4は、第1クラッド層3の上に積層され、第1クラッド層3と協働して光を閉じ込める機能を有する。ここで、下部ガイド層4の方が第1クラッド層3よりも高い屈折率を有するように形成されることによって、光を下部ガイド層4側に閉じ込めることができる。下部ガイド層4は、n型の不純物がドーピングされたAlGaAs(アルミニウムガリウム砒素)から構成されることが好ましい。ここで、n型の不純物としては、たとえば、Siを用いることができる。下部ガイド層4の厚さは特に制限されず、たとえば、80nm程度とすることができる。また、AlGaAsは、Al0.3Ga0.7Asの化学組成であることが好ましい。
≪活性層≫
活性層5は、電子とホールの輻射再結合により光を発生する層であり、図4に示すように、ノンドープのInyGa(1-y)As(0.08<y<0.25)からなる井戸層51と、p型の不純物がドーピングされたAlxGa(1-x)As(0≦x≦0.5)からなるバリア層52と、が交互に積層されてなる多重量子井戸構造を有する。活性層5の厚さは、65nm以上100nm以下であることが好ましい。
井戸層51の厚さは、3nm以上8nm以下であることが好ましい。井戸層51の厚さが、3nm未満であると、厚みの制御が困難であり生産性の観点から好ましくなく、8nmを超過すると、窓領域を形成する際、不純物であるZnが拡散し難くなるという不具合がある。ここで、より好ましい井戸層51の厚さは5nmである。
また、活性層5は、少なくとも2層以上のInyGa(1-y)As(0.08<y<0.25)からなる井戸層51を含むことが好適である。これにより、良好なレーザ発振特性を得ることができる。さらに、窓領域20に属する井戸層51は混晶化していることが好ましい。混晶化によって窓領域20を、より良質な窓構造とすることができる。
また、実施の形態の半導体レーザ素子では、光導波路内において、活性層のバンドギャップは、光導波路の長手方向に垂直な両端面のうち、少なくとも一方の端面において最大であるという特徴を有する。すなわち、端面部活性層のバンドギャップを素子内部と比較して相対的に大きくすることにより、レーザ光の吸収を低減し、端面破壊を防止して、CODレベルを高めることができる。このような特徴を有する活性層は、以下のように、井戸層に含まれるInが、レーザ出射端面近傍の窓領域に拡散することによって実現される。
ここで、従来公知のGaAsからなる井戸層をMQW層に用いた場合と、In0.15Ga0.85Asからなる井戸層(すなわち、y=0.15)をMQW層に用いた場合において、窓領域に属さない活性層のPLピーク波長と、不純物が拡散した窓領域に属する活性層のPLピーク波長との差をΔλとし、Δλと不純物拡散時間との関係を示した結果が、図6である。ここで、Δλは、窓領域20の出来具合を示している。なお、図6のデータを測定するにあたり、不純物拡散温度は、537℃としている。
図6から明らかなように、GaAsからなる井戸層をMQW層に用いた場合においては、Δλは拡散時間120分付近で極大値を示し、その後減少している。これは、クラッド層に用いられているAlGaInP中のInが窓領域へと拡散するため、窓領域のPLピーク波長が長波化し、結果として、Δλを減少させるためであると考えられる。
これに対し、InGaAsからなる井戸層をMQW層に用いた場合においては、Δλは不純物拡散時間に従って増加し、不純物拡散時間180分付近において、GaAsからなる井戸層の極大値に比べて、ほぼ2倍以上である90nm程度となっている。これは、MQW層にInGaAsからなる井戸層を用いた場合では、井戸層のInが拡散することにより窓領域のPLピーク波長が短波化するとともに、バリア層に用いられているAlGaAsからAlが混入するため、窓領域の波長シフトが大きくなるためであると考えられる。したがって、活性層5が、InyGa(1-y)Asからなる井戸層51を含むことにより、Δλを50nm以上とする構成が可能となる。
図7は、ΔλとCODレベル(半導体レーザ素子がCODに到達する出力)との関係を示したものである。ΔλとCODレベルとの間には、強い相関関係が存在し、Δλの増加に伴って、CODレベルは上昇している。すなわち、Δλの増加に伴って、窓構造はより良質なものとなり、半導体レーザ素子の高出力化が可能となる。そして、Δλが50nm以上であれば、200mW以上の高出力半導体レーザ素子が実現可能である。
また、実施の形態の半導体レーザ素子は、以下に説明するように、InyGa(1-y)Asからなる井戸層のIn組成比yを特定の範囲に限定することによって、ガイド層およびバリア層と井戸層との格子歪みを制御し、ガイド層、バリア層および井戸層の結晶品質を確保しながら低閾値電流で動作することが可能である。
ここで、AlGaAsからなるバリア層およびガイド層の格子定数をaとし、バリア層およびガイド層の格子定数とInGaAsからなる井戸層の格子定数との相対的な差をΔaとしたとき、Δaをaで除した値、すなわちΔa/aは、格子歪みの指標とすることができる。なお、これ以降、Δa/aを歪量とも記す。
図8は、Δa/aと臨界膜厚との関係を示している。図8において、Δa/aが大きくなるほど、臨界膜厚は低下している。ここで、臨界膜厚とは、歪量(Δa/a)に対して、正常に結晶成長を行なうことができる限界の膜厚を意味する。臨界膜厚を超えると格子歪みが大きくなり、結晶表面のモフォロジーを制御できなくなるため、高品質な結晶を形成することができない。
本実施の形態の半導体レーザ素子1は、少なくとも2つのInyGa(1-y)Asからなる井戸層51を含む、そして、井戸層51の厚さは、混晶化させた窓領域が不透明となる不具合を防止するため、3nm以上8nm以下であることが好ましい。したがって、井戸層51の厚さが5nm程度である二重量子井戸層〔以下、DQW(Double Quantum Well)層とも記す〕を想定した場合、臨界膜厚は少なくとも10nm程度は必要である。したがって、図8より、Δa/aは、0.02以下であることが好ましい。
また、図9は、Δa/aと閾値電流との関係を示している。図9より、圧縮歪みによって低閾値電流化(40mA以下)を実現するためには、Δa/aは、0.01以上であることが好ましい。したがって、Δa/aは、0.01≦Δa/a≦0.02の関係式を満たすことが好ましい。
また、図8より、Δa/aを0.01以上とするためには、臨界膜厚の上限は30nm程度までとすることが好ましい。
さらに、図10は、InyGa(1-y)Asからなる井戸層において、yを変化させたときの、臨界膜厚とyとの関係を示している。図10から、上述のように、10nm程度の臨界膜厚を確保するためには、yは0.25より小さいことを要する。
また、図11は、井戸厚固定とした場合において、InyGa(1-y)Asからなる井戸層のyを変化させたときの、臨界膜厚とyとの関係を示している。図11から、上述のように、臨界膜厚の上限を30nm程度までに制限するためには、yは、0.08より大きいことを要する。
したがって、InyGa(1-y)Asからなる井戸層において、yは、0.08<y<0.25であることを要する。
また、図12は、臨界膜厚以下で井戸層の厚さを一定としたときのPLピーク波長の計算結果を示している。InyGa(1-y)As(0.08<y<0.25)からなる井戸層であり、その厚さが8nm以下であれば、800nm〜960nmの波長でレーザ発振可能であることが確認できる。
≪上部ガイド層≫
上部ガイド層6は、活性層5の上に積層され、下部ガイド層4と同様の役割を担っており、光を閉じ込めるために用いられる。上部ガイド層6は、p型の不純物がドーピングされたAlGaAs(アルミニウムガリウム砒素)から構成されることが好ましい。ここで、p型の不純物としては、たとえば、Znを用いることができる。上部ガイド層6の厚さは特に制限されず、たとえば、80nm程度とすることができる。また、AlGaAsの化学組成は、Al0.3Ga0.7Asであることが好ましい。
≪第2クラッド層≫
第2クラッド層7は、上部ガイド層の上に積層され、上部ガイド層と協働して光を閉じ込める機能を有する。第2クラッド層7は、p型の不純物がドーピングされたAlGaAsから構成されることが好ましい。ここで、p型の不純物としては、たとえば、Znを用いることができる。第2クラッド層7の厚さは特に制限されず、たとえば、150nm程度とすることができる。また、AlGaAsの化学組成はAl0.5Ga0.5Asであることが好ましい。
≪第3クラッド層、中間層およびコンタクト層≫
第3クラッド層8と中間層9とコンタクト層10とは、この順序で、第2クラッド層7の上に積層され、リッジストライプ形状の積層体30を構成している。そして、リッジストライプ形状の積層体30は光導波路を構成している。
(第3クラッド層)
第3クラッド層8は、第2クラッド層7の上に積層されている。第3クラッド層8は、第2クラッド層7と同様の機能を有し、p型の不純物がドーピングされたGaInPから構成されることが好ましい。ここで、p型の不純物としては、たとえば、Znを用いることができる。第3クラッド層8の厚さは特に制限されず、たとえば、1000nm程度とすることができる。また、AlGaInPの化学組成はAl0.7Ga0.3InPであることが好ましい。AlGaInPは、キャリアオーバーフローの抑止効果が高く好適である。
(コンタクト層)
コンタクト層10は、電極とのオーミック接合を取るために設けられる。コンタクト層10は、p型の不純物がドーピングされたGaAsであることが好ましい。ここで、p型の不純物としては、たとえば、Znを用いることができる。コンタクト層10の厚さは、400nm以下であることが好ましく、より好ましくは300nm以下である。厚さが400nmを超過すると、オーミック接合が取れ難くなるため好ましくない。
(中間層)
中間層9は、第3クラッド層8とコンタクト層10との間に挟まれるようにして形成されており、第3クラッド層8とコンタクト層10とのバンドエネルギ差を低減する機能を有する。本実施の形態の中間層は、従来型の中間層と異なり、図5に示すように、第1中間層91と第2中間層92からなる2層構造を有することを特徴とする。中間層9の厚さは特に制限されず、たとえば50nm程度とすることができる。また、第1中間層91を構成するGaInPの化学組成はGa0.5In0.5Pであることが好ましく、第2中間層92を構成するAlGaAsの化学組成は、Al0.25Ga0.75Asであることが好ましい。
従来型の中間層を用いる構成では、コンタクト層/中間層/クラッド層の構成は、GaAsコンタクト層/p型のGaInP中間層/p型のAlGaInPクラッド層となる。このとき、GaAsを基準とした各層の相対的な価電子帯エネルギは、GaAs=0eV、GaInP=−0.23eV、AlGaInP=−0.46eVである。したがって、各層間の相対的な価電子帯のエネルギ差Evは、0.23eVである。
これに対し、実施の形態の半導体レーザ素子1では、中間層9は、第1中間層91と第2中間層92とからなる。すなわち、コンタクト層/中間層/クラッド層の構成は、GaAsコンタクト層/p型のAl0.25Ga0.75As第2中間層/p型のGaInP第1中間層/p型のAlGaInPクラッド層、となる。このとき、GaAsを基準とした各層の相対的な価電子帯エネルギは、GaAs=0eV、Al0.25Ga0.75As=−0.11eV、GaInP=−0.23eV、AlGaInP=−0.46eVである。したがって、各層間の相対的な価電子帯のエネルギ差Evは、0.15eV以下となっている。
図13は、中間層をp型のAl0.25Ga0.75As第2中間層/p型のGaInP第1中間層の2層とした場合と、中間層をp型のGaInP層のみとした場合の、GaAsコンタクト層とp型のAlGaInPクラッド層との間のI−V特性を比較したものである。
図13より明らかなように、中間層を本発明の構成とした場合は、従来型の構成に比べて、いずれの電流帯においても、低い電圧を維持している。すなわち、エネルギ差Evを0.15eV以下とすることにより、半導体レーザ素子の省電力化が可能である。
また、図14は、素子抵抗Rdと各層間の相対的な価電子帯のエネルギ差Evとの関係を示している。図14より、Evが小さくなるほど、素子抵抗は小さくできることがわかる。すなわち、Evが小さくなるほど、半導体レーザ素子の電力消費をより少なくすることができる。したがって、半導体レーザ素子の省電力化の観点から、第3クラッド層、第1中間層、第2中間層およびコンタクト層の各層間における相対的な価電子帯のエネルギ差Evは、0.15eV以下であることが好ましく、より好ましくは0.10eV以下であり、特に好ましくは、0.05eV以下である。ここで、Evを0.15eVよりもさらに小さくする方法としては、たとえば、中間層をさらに追加する方法、キャリア濃度を調整する方法などが考えられる。
≪窓領域≫
窓領域20は、不純物が拡散された領域であり、図1に示すように、半導体レーザ素子1の上面からGaAs基板2の厚さ方向に浸透し、活性層5を貫通して、第1クラッド層3まで達している。また、窓領域20は、共振器の両端面から共振器の長手方向に浸透している。ここで、窓領域20が共振器の長手方向に浸透する深さtの範囲は、40nm程度とすることが好ましい。ここで、不純物としては、たとえば、Znを用いることができる。
≪電流注入領域および電流非注入領域≫
電流非注入領域(図示せず)は、光導波路のうち、絶縁層で覆われた部分であり、光導波路のうち、絶縁層で覆われていない部分が電流注入領域である。ここで、電流非注入領域は、少なくとも、窓領域を覆うように形成されている。なお、電流非注入領域を形成する絶縁層としては、たとえば、SiO2(酸化シリコン)、SiN(窒化シリコン)などを用いることができる。
≪電流ブロック層≫
電流ブロック層(図示せず)は、SiO2などからなる絶縁層であり、リッジストライプ形状の積層体30の側面部および第2クラッド層7の露出面を覆うように形成されている。これにより、コンタクト層10へ効率的に電流を流すことができる。
このような本発明の半導体レーザ素子は、以下のような製造方法によって製造される。換言すれば、以下のような製造方法によって製造される半導体レーザ素子は、上記のような特性を示す。したがって、本発明の半導体レーザ素子は、800nm〜960nmの波長でレーザ発振し、低閾値電流および高効率を維持しながら、CODレベルの高い、という優れた効果を有する。
<半導体レーザ素子の製造方法>
以下、実施の形態の半導体レーザ素子1の製造方法について詳細に説明する。
まず、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)装置を用いて、n型のGaAs基板2上に、n型のGaAsからなるバッファ層と、n型のGaInPからなる第1クラッド層3とを、成長温度を760℃として、形成する。
次いで、V族原料を供給しながら降温し、Al0.3Ga0.7Asからなるバリア層52と厚さ5nmのInGaAsからなる井戸層51とが交互に積層されたDQW構造を有する活性層5を、設定温度680℃で形成する。ここで、MQW構造は、DQW構造(二重量子井戸構造)に制限されず、臨界膜厚を超えない限り、積層数を適宜変更することができる。したがって、たとえば、三重量子井戸構造などであっても良い。
次いで、再度、V族原料を供給しながら760℃まで昇温を行ない、p型のドーパントとしてZnを用いたAl0.5Ga0.5Asからなるp型の第2クラッド層7と、GaAsからなるエッチングストップ層(図示せず)と、p型のドーパントとしてZnを用いたGa0.5In0.5Pからなる第3クラッド層8と、Ga0.5In0.5Pからなる第1中間層91と、Al0.25Ga0.75Asからなる第2中間層92と、GaAsからなるコンタクト層10とを、順次積層する。以上のようにして、半導体レーザ構造を有するウエハを得る。
次いで、フォトリソグラフィ技術を用いて、ウエハの表面側から(すなわち、コンタクト層10の上から)、窓領域20を形成する部分を開口する工程を実行する。
まず、コンタクト層10の上に感光性レジストを塗布し、幅60μm、ピッチ1100μmのストライプ状のパターンを形成する。
次いで、上記感光性レジストをマスクとして、コンタクト層10上にZnO(酸化亜鉛)とSiO2とからなる混合膜(以下、ZnO/SiO2混合膜とも記す。)を形成する。ここで、ZnO/SiO2混合膜は、たとえば、RF(Radio Frequency)スパッタリング装置などを用いて成膜することができる。
次いで、アセトンなどの有機溶媒に浸漬し、超音波洗浄を行なうことにより、感光性レジストを除去し、コンタクト層10上に、ストライプ状にパターニングされたZnO/SiO2混合膜を形成する。
次いで、ウエハ全面を覆うようにして、ZnO/SiO2混合膜をスパッタリング法により成膜した後、さらにZnO/SiO2混合膜の上に、カバーとしてSiO2膜をウエハ全面に蒸着する。
次いで、このウエハをアニールすることにより、ZnをMQW層(すなわち、活性層5)を突き抜ける程度に拡散させる。これにより、窓領域20が形成される。ここで、アニール条件は、たとえば、532℃で2時間程度とすることができる。
アニールの後、このウエハに、HF(フッ化水素)を用いたウエットエッチングを行なうことにより、ウエハ表面に形成されたZnO/SiO2混合膜を除去する。ここで、ウエットエッチングを実行する時間は、たとえば、30秒程度とすることができる。
次いで、ウエハ表面全体に、再度、SiO2膜を蒸着する。そしてフォトリソグラフィ技術を用いてSiO2膜上に、出射端面に平行となるようにレジストのストライプを形成する。レジストのストライプの形成にはステッパーを用いることができる。また、ストライプの幅は1μm〜2μmとなるように形成されることが好ましい。該レジストのストライプをマスクとして、反応性イオンエッチングを実行し、レジストのストライプに沿ってSiO2からなるストライプ状マスク層を形成し、有機洗浄およびアッシングによって該レジストを除去する。
次いで、リッジストライプ形状の積層体30を形成する工程を実行する。上記のSiO2からなるストライプ状マスク層を、マスクとして、誘導結合プラズマエッチング装置を用いて、ドライエッチングを行なう。この際、上記GaAsからなるエッチングストップ層までエッチングを行なう。これにより、リッジストライプ形状の積層体30が形成できる。その後、ストライプ状マスク層を、BHF(バッファードフッ酸)を用いたウエットエッチングで除去する。
次いで、再びウエハの厚み方向の一表面の全体にSiO2を蒸着させて、SiO2膜を形成する。SiO2膜は、GaInPからなるエッチングストップ層およびリッジストライプ形状の積層体30を覆うように形成される。
次いで、SiO膜の、リッジストライプ形状の積層体30の厚み方向の一表面に積層された部分のうち、Znを拡散してMQW層を無秩序化した領域(Zn拡散領域)に積層される部分を除く残余の部分を除去し、該残余のSiO2膜からなる電流非注入領域を形成する。
ここで、電流非注入領域は、少なくとも窓領域20を覆うように形成され、すなわちZn拡散領域を覆うように設けられる。ここで、電流非注入領域を形成する方法としては、BHFなどを用いたウエットエッチングまたは反応性イオンエッチングを行なうことにより、SiO2膜を除去する方法が好ましい。
次いで、ウエハの厚み方向の一表面とは反対の表面(すなわち、ウエハの裏面)を薄く削りウエハの厚みを調節した後、Au(金)、Ge(ゲルマニウム)、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)、Auを、この順序で成膜し、N型の裏面電極を形成する。ここで、成膜方法としては、たとえば、スパッタリング法、EB(Electron Beam)蒸着法などを用いることができる。また、形成されたN型の裏面電極と、GaAs基板2とのオーミック接合をとるために、該電極を形成後に、アニールを行なうことが好ましい。ここで、アニール条件は、たとえば、440℃で15分程度とすることができる。
次いで、ウエハの厚み方向の一表面に、P型の表面電極を形成する。まず、Ti(チタン)、Auをスパッタリング装置を用いて、この順序で成膜する。次いで、窓領域20を除く部分に、先に成膜されたTi、Au膜を下地として、電界めっきを形成する。このように、窓領域20に電界めっきを形成しないことにより、ウエハを共振器長さに分割する際、分割が容易となる。
次いで、各窓領域20の間に、共振器長さ毎に、罫描き線を入れて、その後、ウエハを分割してバーを得る。ここで、実施の形態の半導体レーザ素子1では、共振器長さは1100μmである。
次いで、分割されたバーの共振器の出射端面および反射端面に、ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタリング装置またはEB蒸着装置などを用いて、これらの端面における反射率が非対称となるように端面コート膜を形成する。実施の形態である半導体レーザ素子1では、出射端面の反射率が2%となるように、出射端面にはAl23膜を約140nm成膜し、反射端面については、SiO2膜とTa25膜(五酸化タンタル膜)とを積層したマルチコート膜を成膜して、反射率を96%としている。
次いで、上記のようにして端面コーティングされたバーを、半導体レーザ素子(チップ)それぞれに分割する。実施の形態の半導体レーザ素子1では、チップ幅を100μmとしている。
最後に、分割された半導体レーザチップを、P型の表面電極を下部として、AlN(窒化アルミニウム)を材料としたサブマウントに接合させ、半導体レーザチップの付いたサブマウントをステムといわれる端子に接合して、半導体レーザチップを保護する意味合いでキャップを被せる。このようにして、半導体レーザ素子1を製造することができる。
以上に説明した本発明の半導体レーザ素子の構成および効果をまとめると以下のとおりである。
本発明の半導体レーザ素子は、第1導電型のGaAs基板2と、基板2上に形成された第1導電型の第1クラッド層3と、第1クラッド層3上に形成されたInyGa(1-y)As(0.08<y<0.25)からなる井戸層51を含む活性層5と、活性層5上に形成された第2導電型の第2クラッド層7と、第2クラッド層7上に設けられた、第2導電型の第3クラッド層8、第1中間層91、第2中間層92およびコンタクト層10がこの順で積層されたリッジストライプ形状の積層体30と、を備え、リッジストライプ形状の積層体30は光導波路を構成し、上記光導波路において、活性層5のバンドギャップは、該光導波路の長手方向に垂直な端面において最大である、半導体レーザ素子である。
上記のような構成とすることにより、本発明の半導体レーザ素子は、800nm〜960nmの波長でレーザ発振し、低閾値電流および高効率を維持しながら、CODレベルが高いという優れた効果を示す。
また、上記光導波路の長手方向に垂直な端面における井戸層51が混晶化していることが好ましい。これにより、窓領域20を、より良質な窓構造とすることができる。
また、上記光導波路の長手方向に垂直な端面における活性層5は不純物が拡散された窓領域20であり、窓領域20にはZnが拡散していることが好ましい。さらに窓領域20には井戸層51のInが拡散していることが好ましい。これにより、CODレベルを高め、半導体レーザ素子の高出力化が可能である。
また、活性層5は、井戸層51とAlxGa(1-x)As(0≦x≦0.5)からなるバリア層52とが交互に積層されてなる多重量子井戸構造であることが好ましい。これにより、良好なレーザ発振特性を得ることができる。
また、上記井戸層51の厚さは、3nm以上8nm以下であることが好ましい。これにより、混晶化させた窓領域が不透明となる不具合を防止することができる。
また、バリア層52の格子定数と井戸層51の格子定数との相対的な差Δaと、バリア層52の格子定数aとは、以下の式:
0.01≦Δa/a≦0.02
を満たすことが好ましい。これにより、井戸層51とバリア層52との間の格子不整合による歪みを低減し、高品質な結晶を成長させることができる。
また、活性層5は、井戸層51を少なくとも2層含む、これにより、高出力においても出力効率が低下し難いレーザを得ることができる。
また、窓領域20に属さない活性層5のフォトルミネッセンススペクトルのピーク波長と、窓領域20に属する活性層5のフォトルミネッセンススペクトルのピーク波長との差をΔλとしたとき、Δλが50nm以上であることが好ましい。これにより、CODレベルを高め、半導体レーザ素子の高出力化が可能である。
また、上記第3クラッド層8、第1中間層91、第2中間層92およびコンタクト層10の各層間における相対的な価電子帯のエネルギ差は0.15eV以下であることが好ましい。これにより、作動電圧を低減し、半導体レーザ素子の省電力化が可能である。
また、上記第3クラッド層8はAlGaInPを含むことが好ましい。これにより、高いエネルギ障壁が確保でき、キャリアオーバーフローを低減することにより高温動作が可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
1 半導体レーザ素子、2 GaAs基板、3 第1クラッド層、4 下部ガイド層、5 活性層、51 井戸層、52 バリア層、6 上部ガイド層、7 第2クラッド層、8 第3クラッド層、9 中間層、91 第1中間層、92 第2中間層、10 コンタクト層、20 窓領域、30 リッジストライプ形状の積層体。

Claims (3)

  1. 第1導電型のGaAs基板と、
    前記基板上に形成された第1導電型の第1クラッド層と、
    前記第1クラッド層上に形成されており、InyGa(1-y)As(0.08<y<0.25)からなる井戸層と、Al x Ga (1-x) As(0≦x≦0.5)からなるバリア層とが交互に積層されてなる活性層と、
    前記活性層上に形成された第2導電型の第2クラッド層と、
    前記第2クラッド層上に設けられた、第2導電型の第3クラッド層、第1中間層、第2中間層およびコンタクト層がこの順で積層されたリッジストライプ形状の積層体と、を備え、
    前記リッジストライプ形状の積層体は光導波路を構成し、
    前記光導波路において、前記活性層のバンドギャップは、前記光導波路の長手方向に垂直な端面において最大であり、
    前記光導波路の長手方向に垂直な端面における前記活性層は、不純物が拡散された窓領域であり、
    前記窓領域にはZnと前記井戸層のInとが拡散しており、
    前記窓領域に属さない活性層のフォトルミネッセンススペクトルのピーク波長と、前記窓領域に属する活性層のフォトルミネッセンススペクトルのピーク波長との差をΔλとしたとき、Δλが50nm以上であり、
    前記井戸層の厚さは、6nm以下である、半導体レーザ素子。
  2. 前記井戸層の厚さは、3nm以上nm以下である、請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記第3クラッド層、第1中間層、第2中間層およびコンタクト層の各層間における相対的な価電子帯のエネルギ差は0.15eV以下である、請求項1または請求項2に記載の半導体レーザ素子。
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