JP6346466B2 - 磁気データ補正装置 - Google Patents
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Description
この種のコンパスセンサは、地球上に存在する微弱な磁場を検出することで、地磁気の方向(方位角)を測定することができる。しかしながら、電子機器で使用されているコンパスセンサの中には、周囲に実装されている強磁性部品の影響により測定した方位角に誤差が生じてしまうものがある。例えば、スピーカや磁化したヒンジ部品など保持力の大きな硬磁性部品は周囲に強い磁場(オフセット磁場)を与える。この硬磁性体による周囲にオフセット磁場を与える現象をハードアイアン効果という。
図2は、軟磁性部品の近傍のソフトアイアン効果を説明するための模式図で、軟磁性部品によるソフトアイアン(SI)効果を示したシミュレーション図である。中央の長方形が軟磁性部品を、破線が磁力線を表している。軟磁性部品の近傍の磁力線が、軟磁性部品に引き寄せられるように曲がっているのが分かる。
図4(a),(b)は、状態の際に伴うソフトアイアン効果の影響の差異を説明したグラフデータを示す図で、コンパスセンサが搭載されたクラムシェル型携帯電話を地磁気環境下で回転動作させた時のコンパスセンサの出力値の軌跡を示している。図4(a)は筐体を閉じた状態を示し、図4(b)は筐体を開いた状態を示している。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記状態情報出力部は、物理量を検知する物理量検知部を備え、前記物理量検知部の出力に基づいて前記状態情報を出力することを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、前記状態情報出力部は、前記電子機器に印加される磁場の大きさに関する情報を出力し、前記補正パラメータ情報選択部は、前記状態情報と前記磁場の大きさに関する情報に基づいて前記補正パラメータ情報を選択することを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の発明において、マイクロプロセッサによって前記磁気データ補正部(26)が制御されることを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記補正パラメータ情報記憶部(25)を管理するマイクロプロセッサの駆動周波数をfa、前記磁気データ補正部(26)を管理するマイクロプロセッサの駆動周波数をfbとした時、fa及びfbが、fa>fbの関係を満たすことを特徴とする。
図5は、本発明に係る磁気データ補正装置の実施形態を説明するためのブロック構成図である。図中符号3は磁気データ補正装置、20は磁気検出部、21は誤差原因、22は磁気データ取得部、23は状態情報取得部、24は補正パラメータ選択部、25は補正パラメータ情報記憶部、26は磁気データ補正部、27は補正データ出力部、33は状態情報出力部を示している。
本発明の磁気データ補正装置3は、磁気を検出する磁気検出部20から得られる磁気データを補正する磁気データ補正装置である。磁気検出部20は磁気データ取得部22に接続され、この磁気データ取得部22は磁気データ補正部26に接続されている。一方、状態情報取得部23は補正パラメータ情報選択部24に接続され、この補正パラメータ情報選択部24は補正パラメータ情報記憶部25に接続され、この補正パラメータ情報記憶部25は磁気データ補正部26に接続されている。また、磁気データ補正部26は補正データ出力部27に接続されている。
磁気データ補正部26は、補正パラメータ情報選択部24が選択した補正パラメータ選択命令に基づいて、補正パラメータ情報記憶部25に記憶されている補正パラメータ情報に含まれる補正パラメータを用いて磁気データを補正し、補正済み磁気データを補正データ出力部27に出力する。
磁気データ取得部22は、磁気検出部20から出力された磁気データを取得する。磁気検出部20の具体例としては地磁気を検出するコンパスセンサがこれにあたる。誤差原因21は、測定対象Pに干渉し、磁気データ取得部22で取得する磁気データに誤差を生じさせる。具体的には、ソフトアイアン効果の影響を及ぼす軟磁性体が誤差原因21に該当する。
また、軟磁性体を含む強磁性体は温度によって磁気特性が変化することが知られている。例えばフェライトは、一般的に温度上昇に伴い透磁率も上昇し、ある温度で極大値を取ったのちに今度は減少に転じ、更に温度が上昇しキュリー温度に到達すると透磁率が1となり磁性が消失するという性質を持っている。強磁性体の種類によっては温度上昇に比例して透磁率が低下していくものもあるなど、多種多様な温度特性を有している。つまり、温度に因ってコンパスセンサが受けるソフトアイアン効果の影響は異なってくる。
また、電子機器の筐体を強く押す・握るなどして、筐体に使われている軟磁性部品が応力を受け変形した場合、コンパスと軟磁性部品との位置関係が変化することによりコンパスセンサが受けるソフトアイアン効果の影響は異なってくる。また、磁性体によっては応力を受けることで透磁率が変化するビラリ効果を起こすものもあり、このビラリ効果によりコンパスセンサが受けるソフトアイアン効果の影響は異なってくる。
状態情報出力部33は、例えば、電子機器を構成する部材の配置、電子機器を構成する部材同士の距離や角度、電子機器を構成する部材にかかる応力、電子機器の温度や湿度、電子機器を構成する部材が磁気飽和しているかどうかといった電子機器の状態を示す状態情報を出力する。
同様に、光発生源と光センサや、超音波発生源と超音波センサを用いることにより電子機器を構成する部材の配置、電子機器を構成する部材同士の距離や角度を検出することができる。
磁気飽和しているかどうかは、例えば、磁気検出部を用いることによって検出することができる。具体的には、軟磁性部品に印加される磁場大きさを磁気検出部が取得し、軟磁性部品の磁気飽和が引き起こされる値以上かどうかを判断することで、磁気飽和が起こっているか否かを検出することができる。
また、磁気データ補正部26は、磁気データに含まれる磁気検出部の周囲に存在する軟磁性部品の影響を磁気データから取り除く補正を行う。
また、補正パラメータ情報記憶部25を管理するマイクロプロセッサの駆動周波数をfa、磁気データ補正部26を管理するマイクロプロセッサの駆動周波数をfbとした時、fa及びfbが、fa>fbの関係を満たしている。
また、補正パラメータ情報記憶部25は、予め作成された状態毎の磁気データ補正パラメータを記憶保持している。磁気データ取得部22が磁気検出部の場合、電子機器の状態に合わせたSI補正パラメータが補正パラメータ情報記憶部25に記憶される。
Hm=G・Ht+O
で表される。
Ht=G−1・Hm−G−1・O
と表される。
ここで、ソフトアイアン効果の影響を表す行列Gとオフセット磁場Oを事前に測定しておけば、Htを算出することが可能となる。
補正データ出力部27は、磁気データ補正部26で算出された補正磁気データを出力する。磁気データが磁場データの場合、ソフトアイアン補正パラメータを適用した補正後の磁場データを用いて方位角演算を行うことで、ソフトアイアン効果による方位角誤差の補正を行うことができる。
近年のモバイル端末の高性能・多機能化に伴い、端末全体のシステムを統括制御するマイクロプロセッサ(以下、メインプロセッサという)の消費電力増大や、大量のタスクを同時に行うことによる処理能力の低下が課題となっている。この課題への対応の一つとして、複数のMCUを用いて処理を分担させることで、メインプロセッサの負荷分散や消費電力の低減を図っている。
本発明の磁気データ補正方法は、磁気を検出する磁気検出部20から得られる磁気データを補正する磁気データ補正装置3における磁気データ補正方法である。
磁気データ取得部22により磁気データを取得するステップ(S81)と、補正パラメータ情報記憶部25により、磁気データ補正装置3の状態と、磁気データを補正するための補正パラメータとが対応づけられた補正パラメータ情報を複数記憶するステップ(S82)と、状態情報取得部23により磁気データ補正装置3の状態を検知するステップ(S83)と、補正パラメータ情報選択部24により、磁気データ補正装置3の状態に基づいて、補正パラメータ情報記憶部25に記憶される複数の補正パラメータ情報の中から補正パラメータ情報を選択するステップ(S84)と、磁気データ補正部26により、補正パラメータ情報選択部24が選択した補正パラメータ情報に含まれる補正パラメータを用いて磁気データを補正するステップ(S85)とを有している。
また、補正パラメータ情報を選択するステップ(S84)は、磁気データの大きさに基づいて補正パラメータ情報を選択する。また、補正パラメータとして、同一状態・同一種類にある複数の電子機器に対する各々の補正パラメータの平均値を用いることができる。
また、補正パラメータ情報記憶部25を管理するマイクロプロセッサの駆動周波数をfa、磁気データ補正部26を管理するマイクロプロセッサの駆動周波数をfbとした時、fa及びfbが、fa>fbの関係を満たす。
また、磁気データ補正プログラムは、コンピュータにより、上述した磁気データ補正方法の各ステップを実行するためのプログラムである。
図7は、本発明に係る磁気データ補正装置で用いる磁気データの補正パラメータ作成装置を説明するためのブロック構成図である。図中符号1は任意磁場発生装置、2は電子機器、31は補正パラメータ作成部、32補正パラメータ出力部、120は磁気検出部、121は誤差原因、122は磁気データ取得部を示している。この補正パラメータ出力部32は、上述した図5における補正パラメータ情報記憶部25に接続されている。
任意磁場発生装置1は、任意の磁気データを発生させる任意磁気データ発生装置を意味し、具体的には、3軸ヘルムホルツコイルを使用するのが好ましい。3軸ヘルムホルツコイルは、X,Y,Z軸其々の方向において同じ直径の2つ同心円コイルで構成し、コイル間の間隔を半径に等しくなる様に配置した装置である。
磁気検出部から得られる測定値をN次元ベクトルHm、既知の磁場をN次元ベクトルHa、軟磁性体によるソフトアイアン効果の影響を表す行列をN次元行列G、オフセット磁場をN次元ベクトルOとすると、磁気検出部から得られる測定値Hmは、
Hm=G・Ha+O
で表される。
G=(Hm−O)・Ha−1
オフセット磁場Oを事前に測定しておけば、Gを算出することが可能となる。
これを電子機器の状態毎に演算し、電子機器の状態毎の補正パラメータG−1を算出する。
つまり、本発明の補正パラメータ作成装置は、磁気を検出する磁気検出部120から得られる磁気データを補正する磁気データ補正装置における補正パラメータ作成装置である。
このようにして、取得した磁気データからソフトアイアン効果の影響を精度よく取り除くことが可能な補正パラメータ作成装置を実現することができる。
本発明の補正パラメータ作成方法は、磁気を検出する磁気検出部120から得られる磁気データを補正する磁気データ補正方法おける補正パラメータ作成方法である。
補正パラメータ作成部31により、任意磁場発生装置1が発生した磁場の大きさと、磁気データ取得部121で取得した磁気データの値を比較し、磁気データ補正パラメータを算出するステップ(S91)と、補正パラメータ出力部32により、補正パラメータ作成部31で作成された磁気データ補正パラメータを出力するステップ(S92)とを有している。
また、補正パラメータ作成プログラムは、コンピュータにより、上述した補正パラメータ作成方法の各ステップを実行するためのプログラムである。
1 任意磁場発生装置
2 電子機器
3 磁気データ補正装置
20,120 磁気検出部
21,121 誤差原因
22,122 磁気データ取得部
23 状態情報取得部
24 補正パラメータ選択部
25 補正パラメータ情報記憶部
26 磁気データ補正部
27 補正データ出力部
31 補正パラメータ作成部
32 補正パラメータ出力部
33 状態情報出力部
Claims (11)
- n(nは2以上の整数)軸の磁気検出部から得られる磁気データを補正する磁気データ補正装置において、
前記磁気データを取得する磁気データ取得部と、
前記磁気データ補正装置が搭載される電子機器の状態を示す状態情報を出力する状態情報出力部から前記状態情報を取得する状態情報取得部と、
前記状態情報と、前記磁気データを前記n軸の座標空間上に分布させて得られる分布形状をn次元球に補正するための補正パラメータと、が対応づけられた補正パラメータ情報を複数記憶する補正パラメータ情報記憶部と、
前記状態情報取得部が取得する前記状態情報に基づいて、前記補正パラメータ情報記憶部に記憶される複数の補正パラメータ情報の中から補正パラメータ情報を選択する補正パラメータ情報選択部と、
前記補正パラメータ情報選択部が選択した補正パラメータ情報に含まれる補正パラメータを用いて前記磁気データを補正する磁気データ補正部と、
を備えていることを特徴とする磁気データ補正装置。 - 前記磁気データ補正部は、前記磁気データに含まれる前記磁気検出部の周囲に存在する軟磁性体の影響を前記磁気データから取り除く補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の磁気データ補正装置。
- 前記状態情報出力部は、物理量を検知する物理量検知部を備え、前記物理量検知部の出力に基づいて前記状態情報を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気データ補正装置。
- 前記状態情報は、
前記電子機器を構成する部材の配置に関する情報、前記電子機器を構成する部材同士の距離に関する情報、前記電子機器を構成する部材同士の角度に関する情報、前記電子機器を構成する部材にかかる応力に関する情報、前記電子機器の温度に関する情報及び前記電子機器の湿度に関する情報からなる群から選ばれる少なくとも一つの情報であることを特徴とする請求項3に記載の磁気データ補正装置。 - 前記物理量検知部は、加速度センサ、角度センサ、角速度センサ、磁気センサ、応力センサ、温度センサ、湿度センサ、光センサ、超音波センサからなる群から選ばれる少なくとも一つのセンサであることを特徴とする請求項3又は4に記載の磁気データ補正装置。
- 前記状態情報出力部は、前記電子機器に印加される磁場の大きさに関する情報を出力し、前記補正パラメータ情報選択部は、前記状態情報と前記磁場の大きさに関する情報に基づいて前記補正パラメータ情報を選択することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気データ補正装置。
- 前記補正パラメータとして、同一状態・同一種類の複数の電子機器に対する各々の補正パラメータの平均値を用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気データ補正装置。
- マイクロプロセッサによって前記磁気データ補正部が制御されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の磁気データ補正装置。
- 前記補正パラメータ情報記憶部と前記磁気データ補正部が異なるマイクロプロセッサによって制御されることを特徴とする請求項8に記載の磁気データ補正装置。
- 前記補正パラメータ情報記憶部を管理するマイクロプロセッサの駆動周波数をfa、前記磁気データ補正部を管理するマイクロプロセッサの駆動周波数をfbとした時、fa及びfbが、
fa>fb
の関係を満たすことを特徴とする請求項9に記載の磁気データ補正装置。 - コンピュータを、請求項1乃至10のいずれかに記載の磁気データ補正装置として機能させるプログラム。
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