以下、図面に従って本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の自動取引装置が適用される自動取引システム1の全体構成図である。自動取引システム1は、自動取引装置10(以下、ATM(automated teller machine)と呼ぶ)、ホストコンピュータ100、監視センタ200を含む。ATM10、ホストコンピュータ100及び監視センタ200は、ネットワーク400を経由して通信可能に接続される。
ATM10は、金融機関やコンビニエンスストア等に設けられ、顧客の操作により入出金や振込等の取引処理を自動的に行うものである。監視センタ200は、各ATM10の状態や稼動状況を集中的に監視する施設である。監視センタ200には、監視サーバ210が設けられる。
ホストコンピュータ100は、ATM10からの取引要求に対して、DB120に格納された口座元帳に基づき取引処理を管理する。ホストコンピュータ100は、制御部110、顧客の口座元帳等を記憶するDB120、通信部130を有する。
ATM10は、制御部20、記憶部30、紙幣処理ユニット40、操作部60、表示部62、硬貨処理部64、カード処理部66、通帳処理部68及び通信部70を有する。
制御部20は、ATM10の全体を統括的に制御するもので、制御プログラムを読込んだCPU29(図2参照)のソフトウェア処理により実現される。記憶部30は、例えばHDDで、制御プログラムや表示部62に表示される画面データや各種データを保存記憶する。
紙幣処理ユニット40は、内部の紙幣収納部(スタッカやカセット)に紙幣を保管し、入金時には顧客から入金された紙幣を収納し、出金時には所定枚数の紙幣を繰出して顧客に出金する。紙幣処理ユニット40については、図3で詳細に説明する。
操作部60は、顧客からの指示を受け付けて、指示内容を制御部20に通知する。表示部62は、取引をガイドする各種取引画面を顧客に表示する。操作部60はタッチパネルで、LCD等からなる薄型の表示部62と一体的に構成されてもよい。
硬貨処理部64は、入金時には顧客から入金された硬貨を内部の硬貨収納部(不図示)に格納し、出金時には内部の硬貨収納部から所定枚数の硬貨を繰出し顧客に出金する。カード処理部66は、顧客が挿入したカードを内部に引き入れ、顧客のカード情報を読取り、読取ったカードの情報を制御部20に通知する。通帳処理部68は、顧客が挿入した通帳に取引内容を記帳する。通信部70は、ネットワーク400を介して、ホストコンピュータ100や監視センタ200と通信を行う。
以下で説明するリジェクトボックスの収納枚数算出処理においては、監視サーバ210から自動精査指示がATM10に通知され、ATM10は自動精査指示を受けて、自動精査処理(以下、単に精査とも呼ぶ)を実行する。また、監視サーバ210からリジェクトボックスの収納枚数送信要求がATM10に通知され、ATM10は要求を受けて、記憶されたリジェクトボックスの収納枚数を監視サーバ210に送信する。
図2は、制御部のハードウェア構成図である。制御部20は、CPU29と記憶部30と、制御プログラムやデータを一時的に記憶するDRAM(Dynamic Random Access Memory)31で構成される。
図3は、リジェクトボックス46の収納枚数算出処理に係るATM10の機能ブロック図である。制御部20は、搬送制御部21、計数処理部22、在高計算部23及びリジェクト枚数算出部24をそれぞれ機能部として有する。紙幣処理ユニット40は、搬送部41、入出金部42、スタッカ43、カセット44、鑑別部45、リジェクトボックス46及びエンプティセンサ47を有する。
搬送制御部21は、紙幣の搬送を制御するものである。紙幣の搬送の具体例は、図4以降で説明する。計数処理部22は、上述した監視サーバ210から自動精査処理の指示があった場合に、紙幣収納部に存在する紙幣枚数を実際にカウントする計数処理を行う。
在高計算部23は、精査時に、所定期間の取引処理や紙幣補充等による紙幣の出入り及びリジェクトボックスの収納枚数を集計して、スタッカ43やカセット44に現在存在すべき紙幣枚数(論理枚数とも呼ぶ)を算出する。リジェクト枚数算出部24は、リジェクトボックス46に収納された紙幣の枚数を算出する。
搬送部41は、ATM10内部で紙幣を各場所へ移動させるためのもので、紙幣の通路、通路に沿って紙幣を移動させるローラ、ローラを駆動するモータ及び紙幣の位置を検出するセンサ等々を有する。入出金部42は、顧客が現金を入金したり、内部から繰出され顧客に渡されたりする現金を格納するボックスである。
スタッカ43は、顧客からの入金紙幣や顧客に出金する紙幣を、金種別に分けて収納する紙幣収納部である。また、スタッカ43は、計数用にも使用される。カセット44は、外部から紙幣を補充したり、スタッカ43で一杯になった紙幣を回収したりする紙幣収納部である。
鑑別部45は、紙幣が正常券(正常紙幣とも呼ぶ)であるか破損券であるか、あるいは不明券であるかを鑑別すると共に、正常券や破損券の場合には紙幣の金種を特定する。不明券とは、紙幣の金種や真偽が不明な紙幣である。また、鑑別部45は、正常券や破損券の金種ごとの枚数をカウントする。
リジェクトボックス46は、鑑別部45で破損券や不明券と判定された紙幣あるいは多重送り(重送とも呼ばれる)と判断された紙幣を収納するものである。破損券や不明券あるいは多重送りされた紙幣を、まとめてリジェクト紙幣あるいはリジェクト券と呼ぶ。紙幣の多重送りは、鑑別部45あるいはスタッカ43やカセット44の紙幣繰出し部(不図示)で判定される。
エンプティセンサ47は、紙幣が無くなったことを検出するセンサで、スタッカ43及びカセット44にそれぞれ設けられる。
次に、紙幣処理ユニット40の構成と紙幣の搬送経路を説明する。図4は、紙幣処理ユニット40の概略構造を説明する模式図であり、ATM10内部の断面図である。スタッカ43は、金種別にスタッカ43a、スタッカ43b、スタッカ43cの3つが設けられる。スタッカ43dは、計数用のスタッカである。カセット44は、金種別にカセット44a及びカセット44bが設けられる。
スタッカ43とカセット44の上部に、鑑別部45が設けられる。リジェクトボックス46は、鑑別部45の横に設けられる。リジェクトボックス46は、リジェクトボックス46a、リジェクトボックス46bの2つが設けられる。リジェクトボックス46aとリジェクトボックス46bは、選択的に使用され、例えば、リジェクトボックス46bが満杯になった場合に、リジェクトボックス46aが使用される。スタッカ43とカセット44と鑑別部45及びリジェクトボックス46を繋ぐように、搬送部41が設けられる。
図5は、出金時の紙幣の流れを説明する図である。実線のルートが正常紙幣(正常券)の流れで、破線のルートがリジェクト紙幣の流れである。顧客からの出金依頼内容が、ホストコンピュータ100に通知され、ホストコンピュータ100から出金許可がATM10に通知されると、制御部20は出金処理を行う。
搬送制御部21は、金種に応じて、金種別のスタッカ43a、スタッカ43bまたはスタッカ43cから紙幣を所定枚数繰出す。搬送制御部21は、搬送部41により、繰出した紙幣を鑑別部45に搬送する。鑑別部45は、搬送された紙幣につき、金種や真偽の判定を行う。
搬送制御部21は、鑑別部45で正常紙幣と判定された紙幣については、入出金部42に排出する。搬送制御部21は、鑑別部45で破損券や不明券と判定された紙幣あるいはスタッカ43や鑑別部45で多重送りと判定された紙幣については、リジェクトボックス46へのルート(破線)を搬送して、リジェクトボックス46に収納する。ここでは、リジェクト券は、リジェクトボックス46bに収納される例を示す。
図6A、図6Bは、自動精査時に行われるカセット44の計数処理における紙幣の流れを説明する図である。カセット44a及びカセット44bに収納されている紙幣枚数の実枚数をカウントする処理である。自動精査には、計数用のスタッカ43dが利用される。
図6Aは、カセット44aまたはカセット44bから計数用のスタッカ43dへ紙幣が搬送される場合である。図6Bは、計数用のスタッカ43dからカセット44aまたはカセット44bへ紙幣が戻される場合である。計数処理は、カセット44aとカセット44b別々に行われる。
最初にカセット44aの計数が行われるとする。図6Aに示すように、搬送制御部21は、カセット44aから紙幣を繰出し、鑑別部45で鑑別をした後、正常券を計数用のスタッカ43dに収納する。搬送制御部21は、カセット44aが空になるまで、繰出しを行う。
搬送制御部21は、鑑別部45等でリジェクト券と判定された紙幣については、リジェクトボックス46へのルート(破線)を搬送して、リジェクトボックス46(ここでは、リジェクトボックス46b)に収納する。
搬送制御部21は、カセット44aからの繰出しが終わった後は、図6Bに示すように、計数用のスタッカ43dに収納した紙幣を、鑑別部45を経由して、元のカセット44aに戻す。搬送制御部21は、鑑別部45等でリジェクト券と判定された紙幣については、リジェクトボックス46bに収納する。これで、カセット44aの計数が終わる。
続いて、カセット44bの計数が行われる。図6Aに示すように、搬送制御部21は、カセット44bの全ての紙幣につき、鑑別部45で判別して、正常券を計数用のスタッカ43dに収納し、リジェクト券をリジェクトボックス46bに収納する。計数用のスタッカ43dへの収納完了後、図6Bに示すように、搬送制御部21は、計数用のスタッカ43dに収納した紙幣を、鑑別部45を経由して、正常券を元のカセット44aに戻し、リジェクト券と判定された紙幣については、リジェクトボックス46bに収納する。これで、カセット44bの計数が終わる。
図7A、図7Bは、自動精査時におけるスタッカ43の紙幣の流れを説明する図である。スタッカ43a、スタッカ43b及びスタッカ43cに収納されている紙幣枚数の実枚数をカウントする処理である。自動精査には、計数用のスタッカ43dが利用される。
スタッカ43aから最初に計数が行われるとする。図7Aに示すように、搬送制御部21は、スタッカ43aから紙幣を繰出し、計数用のスタッカ43dに移動させる。搬送制御部21は、スタッカ43aが空になるまで、繰出しを行う。計数用のスタッカ43dへの紙幣の移動後、図7Bに示すように、搬送制御部21は、計数用のスタッカ43dから紙幣を繰出し、鑑別部45で判別させて、正常紙幣を元のスタッカ43aに収納し、リジェクト券をリジェクトボックス46bに収納する。これで、スタッカ43aについての計数が終わる。
次に、スタッカ43b、スタッカ43cの計数が行われる。手順は、スタッカ43aと同じであるので、説明は省略する。
以上のように、出金処理時や精査時の計数動作で、リジェクト券(破損券や不明券あるいは多重送り券)と判定された紙幣については、リジェクトボックス46bに収納される。
そして、スタッカ43が金種別スタッカで、かつカセット44が単一金種カセットの場合には、リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券の枚数を以下のように算出する。
リジェクトボックス46へ収納される紙幣が不明券の場合には紙幣は1枚が収納されたと推定し、リジェクトボックス46へ収納される紙幣が多重送り券の場合には紙幣は2枚が収納されたと推定して収納枚数を算出する。つまり、リジェクト枚数算出部24は、リジェクトボックス46に不明券が収納された場合にはリジェクト枚数(後述するRsあるいはRc)に1を加算し、リジェクトボックス46に多重送り券が収納された場合にはリジェクト枚数(RsあるいはRc)に2を加算する。また、リジェクトボックス46に破損券が収納された場合には、リジェクト枚数(後述するDsあるいはDc)に1を加算する。
また、リジェクト枚数算出部24は、ATM10に収納されている紙幣の枚数を金種別に精査する自動精査が行われた場合には、精査前後の紙幣枚数の差分に基づき、推定して算出された収納枚数を補正する。
また、リジェクト枚数算出部24は、収納枚数を、スタッカ43から搬送された分とカセット44から搬送された分を区分けし、かつ金種ごとに算出する。リジェクト枚数算出部24は、スタッカ43とカセット44に分け、かつ金種ごとに推定あるいは補正して算出した収納枚数を記憶部30に記憶する。
そして、監視サーバ210から送信要求があった場合に、リジェクト枚数算出部24は、記憶部30に記憶されたリジェクトボックス46の紙幣収納枚数を、監視サーバ210に通知する。
また、スタッカ43のエンプティセンサ47で紙幣が無くなったことが検出された場合には、リジェクト枚数算出部24は、取引処理を集計して算出されたスタッカ43に有るべき紙幣の枚数との差分に基づき、推定等して算出された収納枚数を補正する。カセット44で、エンプティセンサ47で紙幣が無くなったことが検出された場合も、同様である。
ただし、リジェクト枚数算出部24は、カセット44が混合金種を収納する場合には、前述の推定は行わない。リジェクト枚数算出部24は、混合金種のカセット44に収納されている紙幣の枚数を計数する処理が行われた場合には、計数前後の紙幣枚数の差分に基づき、収納枚数を補正する。
図8〜図15は、リジェクトボックス46の収納枚数算出処理の手順を説明するフローチャートである。図8〜図14は、金種別スタッカでかつ単一金種カセットの場合の処理である。図15は、混合金種カセットにおける処理である。
図8A、図8Bは、リジェクトボックス46の収納枚数算出処理の手順を説明するメインのフローチャートである。リジェクトボックス46の収納枚数算出処理では、精査やエンプティ検知時を基準として、前回の精査やエンプティ検知時から今回の精査やエンプティ検知時までの間で、リジェクト枚数が推定され、今回の精査やエンプティ検知が行われた際に推定されたリジェクト枚数が補正される。
前回の精査(あるいはエンプティ検知)から今回の精査(あるいはエンプティ検知)までの期間内で、スタッカ43aから繰出されてリジェクトボックス46に収納された枚数(リジェクト枚数とも呼ぶ)の内、不明券と多重送り券の合計枚数をRs、破損券の枚数をDsとする。同じく、カセット44aから繰出されてリジェクトボックス46に収納された枚数の内、不明券と多重送り券の合計枚数をRc、破損券の枚数をDcとする。従って、リジェクトボックス46の全収納枚数は、毎回のRs、Ds、Rc、Dcの累積枚数となる。
リジェクト枚数算出部24は、スタッカ43aから繰出されてリジェクトボックス46に収納された枚数とカセット44aから繰出されてリジェクトボックス46に収納された枚数を、分けて算出する。
なお、リジェクトボックス46の収納枚数算出処理は、金種別に行われるが、処理内容は実質同一であるので、1つの金種(例えば、万券)について説明する。千円券についても同様とする。そして、万券のスタッカ43をスタッカ43a、万券のカセット44をカセット44aとする。つまり、Rsは万券スタッカ43からの不明券と多重送り券、Rcは万券カセット44からの不明券と多重送り券、Dsは万券スタッカ43からの破損券、Dcは万券カセット44からの破損券の枚数である。
リジェクト枚数算出部24は、記憶部30の0⇒Rs、0⇒Ds、0⇒Rc、0⇒Dcとし(ステップS10)、Rs、Rc等を初期化する。
リジェクト枚数算出部24は、スタッカ43aからの紙幣繰出し時にリジェクト券が発生したか?を判断する(ステップS12)。ここでの、スタッカ43aからの紙幣繰出し時とは、図5で説明した出金処理である。リジェクト券の発生は、鑑別部45等からリジェクト枚数算出部24に通知される。
リジェクト枚数算出部24は、スタッカ43aからの紙幣繰出し時にリジェクト券が発生したと判断すると(ステップS12Yes)、Rsを推定する処理を行う(ステップS14)。
図9Aは、Rsを推定する処理を説明するサブルーチンである。リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券は鑑別部45により破損券であるか?を判断する(ステップS100)。リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券は破損券ではないと判断すると(ステップS100No)、リジェクト券は鑑別部45による不明券であるか?を判断する(ステップS102)。
リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券は鑑別部45による不明券であると判断すると(ステップS102Yes)、Rs+1⇒Rsとする(ステップS104)。リジェクト枚数算出部24は、不明券であるので、今回のリジェクト券を1枚と推定してよく、スタッカ43aによるRsに「1」を加算する。
リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券が不明券でない、つまり多重送りによるリジェクト券であると判断すると(ステップS102No)、Rs+2⇒Rsとする(ステップS106)。リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券を2枚と推定して、スタッカ43aによるRsに「2」を加算する。多重送りは、2枚の場合が多いのが、経験的に知られているからである。リジェクト枚数算出部24は、推定したRsを記憶部30に記憶する(ステップS108)。
リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券は破損券であると判断すると(ステップS100Yes)、Ds+1⇒Dsとし(ステップS110)、Dsを記憶する(ステップS112)。
図8Aに戻り、ステップS16に進む。リジェクト枚数算出部24は、スタッカ43aからの紙幣繰出し時にリジェクト券が発生していないと判断すると(ステップS12No)、ステップS16に進む。
次に、リジェクト枚数算出部24は、カセット44aからの紙幣繰出し時にリジェクト券が発生したか?を判断する(ステップS16)。ここでの、カセット44aからの紙幣繰出し時とは、カセット44aからスタッカ43aに紙幣を補充する処理である。リジェクト券の発生は、鑑別部45等からリジェクト枚数算出部24に通知される。
リジェクト枚数算出部24は、カセット44aからの紙幣繰出し時にリジェクト券が発生したと判断すると(ステップS16Yes)、Rcを推定する処理を行う(ステップS18)。
図9Bは、Rcを推定する処理のサブルーチンである。リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券は鑑別部45により破損券であるか?を判断する(ステップS118)。リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券は破損券ではないと判断すると(ステップS118No)、リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券は鑑別部45による不明券であるか?を判断する(ステップS120)。
リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券は鑑別部45による不明券であると判断すると(ステップS120Yes)、Rc+1⇒Rcとする(ステップS122)。リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券の枚数を1枚と推定して、カセット44aによるRcに「1」を加算する。ステップS104と同様な理由による。
リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券が不明券でない、つまり多重送りであると判断すると(ステップS120No)、Rc+2⇒Rcとする(ステップS124)。リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券の枚数を2枚と推定して、カセット44aによるリジェクト枚数Rcに「2」を加算する。ステップS106と同様な理由による。リジェクト枚数算出部24は、推定したRcを記憶部30に記憶する(ステップS126)。
リジェクト枚数算出部24は、リジェクト券は破損券であると判断すると(ステップS118Yes)、Dc+1⇒Dcとし(ステップS127)、Dcを記憶する(ステップS128)。
図8Aに戻り、ステップS20に進む。また、リジェクト枚数算出部24は、カセット44aからの紙幣繰出し時にリジェクト券が発生していないと判断すると(ステップS16No)、ステップS20に進む。
また、制御部20は、監視サーバ210より送信要求が有った場合に、適宜、推定したRs、RcやDs、Dcを送信するようにしてもよい。また、リジェクト枚数算出部24は、過去のRs、Rc、Ds、Dcを記憶しておいて、今回算出したRs、Rc、Ds、Dcに前回までの累積枚数を加えて、トータルの枚数を算出して、制御部20が、今回推定したRs、Rc、Ds、Dcと共に、トータルの枚数を送信するようにしてもよい。これにより、監視サーバ210は、各ATMのリジェクト枚数をリアルタイムに取得することができる。
制御部20は、監視サーバ210からの精査指示を受信したかを判断する(ステップS20)。制御部20は、監視サーバ210からの精査指示を受信したと判断すると(ステップS20Yes)、計数処理部22は、スタッカ43a及びカセット44aについて計数処理を行う。順番はいずれからでもよいが、以下では、スタッカ43aから行うとする。計数処理部22は、スタッカ43aについて計数処理を行う(ステップS22)。
図10は、スタッカ43aについての計数処理を説明するサブルーチンである。スタッカ43aに対する計数処理での紙幣の流れは、図7A、図7Bで説明した通りである。計数処理部22は、スタッカ43aについて計数を開始する(ステップS130)。
リジェクト枚数算出部24は、計数用のスタッカ43dからスタッカ43aへの紙幣搬送時にリジェクト券が発生したか?を判断する(ステップS132)。リジェクト枚数算出部24は、紙幣搬送時にリジェクト券が発生したと判断すると(ステップS132Yes)、Rsを推定する処理(Ds算出を含む)を行う(ステップS134)。Rsを推定する処理は、前述した図9Aに示す処理であるので、説明は省略する。
リジェクト枚数算出部24は、紙幣搬送時に紙幣にリジェクト券が発生していないと判断すると(ステップS132No)、ステップS136に進む。リジェクト枚数算出部24は、スタッカ43aの計数処理が終了したかを判断する(ステップS136)。リジェクト枚数算出部24は、スタッカ43aの計数処理が終了していないと判断すると(ステップS136No)、ステップS132に戻る。
在高計算部23は、スタッカ43aの計数処理が終了したと判断すると(ステップS136Yes)、スタッカ43aの計数前枚数KAsを算出する(ステップS138)。計数前枚数KAsとは、前回精査あるいはエンプティ検知以降の取引処理及びリジェクトボックス46へ収納された枚数を集計した値で、現時点でスタッカ43aに有るべき紙幣の論理枚数である。
計数前枚数KAs=(スタッカ43aの枚数)+(カセット44aからの補充枚数)−(カセット44aへの移送枚数)+入金枚数―出金枚数―Ds―Rs である。DsやRsには、計数処理中にリジェクトボックス46へ収納された券の枚数も含まれる。
スタッカ43aで行った計数処理後、スタッカ43aに実際に存在する枚数を計数後枚数KBsとし、計数処理部22は、KBsを算出する(ステップS140)。リジェクト枚数算出部24は、計数前枚数KAsと計数後枚数KBsを比較して、Rsの補正を行う(ステップS142)。
図11は、Rsの補正処理を説明するサブルーチンである。リジェクト枚数算出部24は、KAs=KBs?であるかを判断する(ステップS150)。リジェクト枚数算出部24は、KAs=KBsであると判断すると(ステップS150Yes)、Rsの補正を行わない。KAs=KBsであるので、ステップS14やステップS134で行われた推定は正しいと判断してよいからである。
リジェクト枚数算出部24は、KAs=KBsでないと判断すると(ステップS150No)、KAs>KBs?であるかを判断する(ステップS154)。リジェクト枚数算出部24は、KAs>KBsであると判断すると(ステップS154Yes)、Rs+(KAs−KBs)⇒Rsに補正する(ステップS156)。
例えば、計数前枚数100枚で、計数後枚数98枚の場合には、リジェクトボックス46のRsの推定枚数が2枚少ないと判断し、リジェクト枚数算出部24は、Rsに2を加算する補正を行う。例えば、多重送りの枚数が実際には3枚以上であったような場合である。
リジェクト枚数算出部24は、KAs>KBsでないと判断すると(ステップS154No)、Rs―(KBs―KAs)⇒Rsに補正する(ステップS158)。例えば、計数前枚数100枚で、計数後枚数102枚の場合には、リジェクトボックス46のRs推定枚数が2枚多いと判断し、リジェクト枚数算出部24は、Rsから2を減算する補正を行う。例えば、誤った多重送りの判断があったような場合である。リジェクト枚数算出部24は、ステップS152、S156、S158の後、図8Aに戻り、ステップS24に進む。
計数処理部22は、カセット44aについて計数処理を行う(ステップS24)。図12は、カセット44aについて計数処理を説明するサブルーチンである。カセット44aに対する計数処理での紙幣の流れは、図6A、図6Bで説明した通りである。カセット44aについて計数処理は、図10で説明したスタッカ43aの計数処理と同等であるので、簡単に説明する。
計数処理部22は、カセット44aについて計数を開始する(ステップS170)。リジェクト枚数算出部24は、カセット44aと計数用のスタッカ43d間での紙幣搬送時にリジェクト券が発生したか?を判断する(ステップS172)。
リジェクト枚数算出部24は、紙幣搬送時にリジェクト券が発生したと判断すると(ステップS172Yes)、Rcを推定する処理を行う(ステップS174)。Rcを推定する処理は、図9Bに示したようである。
リジェクト枚数算出部24は、紙幣搬送時にリジェクト券が発生していないと判断すると(ステップS172No)、ステップS176に進む。リジェクト枚数算出部24は、カセット44aの計数処理が終了したかを判断する(ステップS176)。リジェクト枚数算出部24は、カセット44aの計数処理が終了していないと判断すると(ステップS176No)、ステップS172に戻る。
在高計算部23は、カセット44aの計数処理が終了したと判断すると(ステップS176Yes)、カセット44aの計数前枚数KAcを算出する(ステップS178)。計数処理部22は、カセット44aの計数処理で計数後枚数KBcを算出する(ステップS180)。KAcとKBcの算出は、KAsとKBsの場合と同様である。リジェクト枚数算出部24は、計数前枚数KAcと計数後枚数KBcを比較して、Rcの補正を行う(ステップS182)。
図13は、Rcの補正処理を説明するサブルーチンである。図11と同様な処理である。リジェクト枚数算出部24は、KAc=KBcであるか?を判断する(ステップS190)。リジェクト枚数算出部24は、KAc=KBcであると判断すると(ステップS190Yes)、Rcの補正を行わない。
リジェクト枚数算出部24は、KAc=KBcでないと判断すると(ステップS190No)、KAc>KBcであるか?を判断する(ステップS194)。リジェクト枚数算出部24は、KAc>KBcであると判断すると(ステップS194Yes)、Rc+(KAc−KBc)⇒Rcに補正する(ステップS196)。リジェクトボックス46のRcの推定枚数が少ないと判断し、リジェクト枚数算出部24は、Rcに加算する補正を行う。
リジェクト枚数算出部24は、KAc>KBcでないと判断すると(ステップS194No)、Rc―(KBc−KAc)⇒Rcに補正する(ステップS198)。リジェクトボックス46のRcの推定枚数が多いと判断し、リジェクト枚数算出部24は、Rcを減算する補正を行う。
リジェクト枚数算出部24は、ステップS192、S196、S198の後、図8Aに戻り、ステップS26に進む。リジェクト枚数算出部24は、補正後のRs、Rcを記憶部30に記憶する(ステップS26)。
制御部20は、Rs、Rc、Ds、Dcを監視サーバ210に送信する(ステップS28)。なお、制御部20は、監視サーバ210よりRs、Rc、Ds、Dcの送信要求が有った場合に、送信をするようにしてもよい。なお、リジェクト枚数算出部24は、毎回のRs、Rc、Ds、Dcを記憶しておいて、今回算出したRs、Rc、Ds、Dcに前回までの累積枚数を加えて、トータルの枚数を算出して、制御部20は、今回算出したRs、Rc、Ds、Dcと共に、トータルの枚数を送信するようにしてもよい。制御部20は、ステップS28の後は、ステップS10に戻る。
制御部20は、監視サーバ210からの精査指示を受信していないと判断すると(ステップS20No)、ステップS30に進む。
次に、スタッカ43aまたはカセット44aでエンプティ検知された場合にも、リジェクト枚数に補正が行われる。エンプティ検知時に行われる補正処理について説明する。
リジェクト枚数算出部24は、スタッカ43aのエンプティセンサ47でエンプティが検知されたか?を判断する(ステップS30)。リジェクト枚数算出部24は、スタッカ43aのエンプティセンサ47でエンプティが検知されたと判断すると(ステップS30Yes)、スタッカ43aのエンプティによるRs補正を行う(ステップS32)。
図14Aは、スタッカ43aのエンプティによるRs補正を説明するサブルーチンである。スタッカ43aが空であるから、スタッカ43aの実枚数は、「0」である。エンプティ検出時点でのスタッカ43aに有るべき紙幣の論理枚数を、KCsとする。前回精査あるいは前回エンプティ検知以降の論理枚数として、KCs=(スタッカ43aの枚数)+(カセット44aからの補充枚数)−(カセット44aへの移送枚数)+入金枚数―出金枚数―Ds―Rsである。KCsは、前述のKAsと同等な値である。
リジェクト枚数算出部24は、KCs=0であるか?を判断する(ステップS210)。リジェクト枚数算出部24は、KCs=0であると判断すると(ステップS210Yes)、Rsの補正はしない(ステップS212)。Rsは、正しいと判断されるからである。
リジェクト枚数算出部24は、KCs=0でないと判断すると(ステップS210No)、Rs+KCs⇒Rsとする(ステップS214)。例えば、KCs=2の場合には、リジェクトボックス46のRsの推定枚数が2枚少ないと判断し、リジェクト枚数算出部24は、Rsに2を加算する補正を行う。逆に、KCs=―2の場合には、リジェクトボックス46のRsの推定枚数が2枚多いと判断し、リジェクト枚数算出部24は、Rsから2を減算する補正を行う。
リジェクト枚数算出部24は、ステップS212、S214の後、図8Bに戻り、ステップS34に進む。リジェクト枚数算出部24は、補正後のRsを記憶する(ステップS34)。制御部20は、Rs、Dsを監視センタ200に送信する(ステップS36)。前述の通り、制御部20は、監視サーバ210よりRs、Dsの送信要求が有った場合に、送信をするようにしてもよいし、また、今回のRs、Dsと、Rs、Dsのトータル(累積)枚数を送信してもよい。
リジェクト枚数算出部24は、スタッカ43aのエンプティセンサ47でエンプティが検知されていないと判断すると(ステップS30No)、ステップS38に進む。
リジェクト枚数算出部24は、カセット44aのエンプティセンサ47でエンプティが検知されたか?を判断する(ステップS38)。リジェクト枚数算出部24は、カセット44aのエンプティセンサ47でエンプティが検知されたと判断すると(ステップS38Yes)、カセット44aのエンプティによるRc補正を行う(ステップS40)。
図14Bは、カセット44aのエンプティによるRc補正を説明するサブルーチンである。図14Aと同等な処理であるので、相違点を説明する。カセット44aが空であるから、カセット44aの実枚数は、「0」である。エンプティ検出時点でのカセット44aに有るべき紙幣の論理枚数を、KCcとする。前回精査あるいは前回エンプティ検知以降の論理枚数として、KCc=(カセット44aの枚数)―(スタッカ43aへの補充枚数)+(スタッカ43aからの搬送枚数)―Dc―Rcである。KCcは、前述のKAcと同等な値である。
リジェクト枚数算出部24は、KCc=0であるか?を判断する(ステップS220)。リジェクト枚数算出部24は、KCc=0であると判断すると(ステップS220Yes)、Rcの補正はしない(ステップS222)。リジェクト枚数算出部24は、KCc=0でないと判断すると(ステップS220No)、Rc+KCc⇒Rcとする(ステップS224)。リジェクト枚数算出部24は、ステップS222、S224の後、図8Bに戻り、ステップS42に進む。リジェクト枚数算出部24は、補正後のRcを記憶する(ステップS42)。
制御部20は、Rc、Dcを監視サーバ210に送信する(ステップS44)。前述の通り、制御部20は、監視サーバ210よりRc、Dcの送信要求が有った場合に、送信をするようにしてもよいし、今回のRc、Dcと、Rc、Dcのトータル枚数を送信してもよい。
制御部20は、ステップS38Noの場合は、ステップS12に戻る。制御部20は、ステップS36、ステップS44の後は、ステップS10に戻る。
次に、混合金種カセットにおける処理を説明する。図15は、混合金種カセットにおけるリジェクトボックス46の収納枚数算出処理を説明するフローチャートである。混合金種カセット44をカセット44d(不図示)とし、カセット44dに基づくリジェクト枚数の内、不明券と多重送り券の合計枚数をRd、破損券の枚数をDdとする。
混合金種カセットに対してリジェクト枚数算出部24は、精査時とエンプティ検知時にRdの補正を行い、リジェクト枚数の推定は行わない。混合金種カセットでは金種が確定できないためである。以下混合金種カセット44dにおける処理は、図9Bの推定処理を除き、単一金種カセットでの処理(図8A等)で説明した処理と同様であるので、簡単に説明する。
開始時にリジェクト枚数算出部24は、記憶部30で0⇒Rd、0⇒Ddとする(ステップS300)。制御部20は、監視サーバ210からの精査指示を受信したか?を判断する(ステップS302)。制御部20は、監視サーバ210からの精査指示を受信したと判断すると(ステップS302Yes)、計数処理部22は、カセット44dについて計数処理を行う(ステップS304)。
カセット44dの計数前枚数をKAdとし、カセット44dの計数後枚数をKBdとする。前述したように、KAdは、前回精査あるいは前回エンプティ検知以降の論理枚数である。KAd=(カセット44dの枚数)―(スタッカ43への補充枚数)+(スタッカ43からの搬送枚数)―Dd―Rdである。ここでの、RdとDdは、スタッカ43への補充やスタッカ43からの搬送の間で、不明や破損として、鑑別部45でカウントされた枚数である。
在高計算部23は、カセット44dのKAdを算出し、計数処理部22は、カセット44dのKBdを算出する。KAd及びKBdの算出は、ステップS178、ステップS180での処理と同様である。
リジェクト枚数算出部24は、KAd=KBdであるか?を判断する(ステップS306)。リジェクト枚数算出部24は、KAd=KBdであると判断すると(ステップS306Yes)、Rdの補正を行わない。
リジェクト枚数算出部24は、KAd=KBdでないと判断すると(ステップS306No)、KAd>KBdであるか?を判断する(ステップS308)。リジェクト枚数算出部24は、KAd>KBdであると判断すると(ステップS308Yes)、Rd+(KAd−KBd)⇒Rdに補正する(ステップS310)。つまり、現Rdに(KAd−KBd)を加算する。
リジェクト枚数算出部24は、KAd>KBdでないと判断すると(ステップS308No)、Rd―(KBd―KAd)⇒Rdに補正する(ステップS312)。つまり、現Rdから(KBd―KAd)を減算する。
制御部20は、Rd、Ddを監視サーバ210に送信する(ステップS314)。前述の通り、制御部20は、監視サーバ210よりRd、Ddの送信要求が有った場合に、送信をするようにしてもよいし、今回のRd、Ddと、Rd、Ddのトータル枚数を送信してもよい。制御部20は、ステップS314の後は、ステップS300に戻る。
制御部20は、監視センタ200からの精査指示を受信していないと判断すると(ステップS302No)、ステップS316に進む。リジェクト枚数算出部24は、カセット44dのエンプティセンサ47でエンプティが検知されたか?を判断する(ステップS316)。リジェクト枚数算出部24は、カセット44dのエンプティセンサ47でエンプティが検知されたと判断すると(ステップS316Yes)、カセット44dのエンプティによるRd補正を行う。図14Bと同様な内容であるので、簡単に説明する。
リジェクト枚数算出部24は、KCd=0であるか?を判断する(ステップS318)。KCdは、エンプティ検出時点でカセット44dに有るべき紙幣の論理枚数である。リジェクト枚数算出部24は、KCd=0であると判断すると(ステップS318Yes)、Rdの補正はしない。リジェクト枚数算出部24は、KCd=0でないと判断すると(ステップS318No)、Rd+KCd⇒Rdとする(ステップS320)。
制御部20は、Rd、Ddを監視センタ200に送信する(ステップS322)。前述の通り、制御部20は、監視センタ200よりRd、Ddの送信要求が有った場合に、送信をするようにしてもよいし、今回のRd、Ddと、Rd、Ddのトータル枚数を送信してもよい。制御部20は、ステップS322の後は、ステップS300に戻る。
リジェクト枚数算出部24は、カセット44dのエンプティセンサ47でエンプティが検知されていないと判断すると(ステップS316No)、ステップS302に戻る。
以上説明したように、本実施形態による収納枚数算出処理によれば、リジェクトボックスの収納された紙幣の枚数を、不明券あるいは多重送り発生時、精査時あるいはエンプティ検出時等々で適宜算出し送信することができることで、ATMあるいは監視センタでリジェクトボックスの収納枚数をタイムリーに把握することができる。これにより、遠隔地にあるATMに対しても、管理精度を向上させることができる。特に、自動精査時以外の期間でも、監視センタは推定値を把握できることで、ATMに対する管理精度を向上させることができる。
なお、制御部20は、制御プログラムを読込んだCPU29によるソフトウェア処理により実現されると説明したが、一部または全部をハードウェアで構成するようにしてもよい。
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。