JP6346044B2 - 吸着特性測定装置 - Google Patents

吸着特性測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6346044B2
JP6346044B2 JP2014188290A JP2014188290A JP6346044B2 JP 6346044 B2 JP6346044 B2 JP 6346044B2 JP 2014188290 A JP2014188290 A JP 2014188290A JP 2014188290 A JP2014188290 A JP 2014188290A JP 6346044 B2 JP6346044 B2 JP 6346044B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adsorption
sample
sample tube
gas
pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014188290A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016061615A (ja
Inventor
松方 正彦
正彦 松方
和之 仲井
和之 仲井
将之 吉田
将之 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Microtrac MRB
Waseda University
Original Assignee
Waseda University
MicrotracBEL Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Waseda University, MicrotracBEL Corp filed Critical Waseda University
Priority to JP2014188290A priority Critical patent/JP6346044B2/ja
Priority to US14/853,476 priority patent/US9645069B2/en
Publication of JP2016061615A publication Critical patent/JP2016061615A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6346044B2 publication Critical patent/JP6346044B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N15/00Investigating characteristics of particles; Investigating permeability, pore-volume or surface-area of porous materials
    • G01N15/08Investigating permeability, pore-volume, or surface area of porous materials
    • G01N15/088Investigating volume, surface area, size or distribution of pores; Porosimetry
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N15/00Investigating characteristics of particles; Investigating permeability, pore-volume or surface-area of porous materials
    • G01N15/08Investigating permeability, pore-volume, or surface area of porous materials
    • G01N2015/0866Sorption

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)

Description

本発明は、吸着特性測定装置に係り、特に、定容量法により吸着等温線を求める吸着特性測定装置に関する。
材料における細孔分布やその比表面積を評価する方法としてガス吸着法が用いられる。例えば、定容量法により吸着等温線を測定して比表面積や細孔分布を評価する吸着特性測定装置は、複数の圧力計、バルブ、真空排気系を備え、試料管の容積と温度を一定として試料管の中の試料に所定のモル数の吸着質を供給し、吸着前後の圧力変化を測定する。
特許文献1には、ガラス製の試料管に、粉体の試料を収容し、吸着質として窒素ガスを用い、液体窒素を満たしたデュアー瓶に試料管を配置し、液体窒素の温度77Kの一定温度の下で試料管の中の圧力変化を測定する例が述べられている。
本発明に関連する技術として、特許文献2には、炭化水素ガスから一酸化炭素を選択的に分離する分離膜として、アルミナ等のセラミック製の多孔質管状支持体の表面に形成したゼオライト膜の生成方法が開示されている。
特開2014−81250号公報 特開2008−247702号公報
特許文献2で述べているゼオライト膜成形体は、支持体の表面に薄膜であるゼオライト膜を形成したもので、支持体とゼオライト膜との複合一体化構造で用いられる。吸着特性を測定する対象の試料は一般的には粉体等の形態であるが、ゼオライト膜成形体は複合化一体構造であるので、全体を粉体化して吸着特性を測定しても無意味である。ゼオライト膜と支持体を別々に粉体化してそれぞれ吸着特性を測定することもできるが、ゼオライト膜成形体としての吸着特性を評価することができない。そこで、ゼオライト膜成形体のそのままの形態で吸着特性を測定しようとすると、試料管が大型になり、死容積が大きくなり、吸着特性の測定精度が低くなる。
また、ゼオライト膜成形体は、マイクロ孔を有するゼオライト結晶がアモルファス状に集合し、結晶間空隙がメソ孔またはマクロ孔の大きさとなっている。ここで、マイクロ孔とは径が2nm未満、メソ孔とは径が2〜50nm、マクロ孔とは径が50nmを超える細孔をいう。細孔の径が小さくなるほど吸着ガスの吸着層が薄く、離散的な吸着となる。また、吸着時には吸着熱が生じるため、吸着平衡が取りにくいという課題がある。離散的で薄く吸着した気体分子の吸着量を定容量法で測定するには、極低相対圧下における吸着等温線の高精度測定が必要となる。極低相対圧下では吸着ガスが希薄で、これより高圧の吸着ガスに比べて熱伝導性が低下し、等温維持のための冷媒槽から試料管を通して試料を所定の定温に維持することが困難になる。ここで相対圧とは、吸着ガスの飽和蒸気圧で規格化した吸着ガスの圧力で、無次元値である。
上記のように、膜成形体の吸着等温線を高精度で得るには、極低相対圧下での測定の高精度化と、試料管における熱分布の影響を排除する等の課題がある。今まで、膜成形体そのものの吸着等温線を高精度で測定することが行われていない。
本発明の目的は、膜成形体または成形体について、吸着等温線を高精度で求めることを可能とする吸着特性測定装置を提供することである。
本発明に係る吸着特性測定装置は、試料管に収容される試料に対し予め定められた吸着ガスを供給して吸着等温線を測定する吸着特性測定装置であって、試料管が浸漬される定温の冷媒で満たされた冷媒容器と、試料管の開口部に設けられる取付部と、吸着ガスを供給する吸着ガス供給部と、取付部の試料管用の開閉弁を介し、吸着ガス供給部と吸着ガス用の開閉弁を介して接続されるマニホールドと、マニホールドの圧力を検出するマニホールド圧力計と、試料管の内部圧力を検出する試料管圧力計と、試料管の内部圧力の変化に基づいて吸着等温線を算出する測定制御部と、を備え、試料は、膜成形体または成形体であり、試料管の内壁面と膜成形体との間の空間に測定圧力下の吸着ガスよりも熱伝導性の高い粒状充填材が充填されることを特徴とする。
また、本発明に係る吸着特性測定装置において、粒状充填材は、金属製粒子であることが好ましい。
また、本発明に係る吸着特性測定装置において、粒状充填材は、アルミニウム粒子であることが好ましい。
また、本発明に係る吸着特性測定装置において、試料管内部には、膜成形体の周囲に粒状充填材が充填される領域である試料側領域の上部の死容積を少なくするために、試料管と同等の材料で構成される死容積低減棒材と、死容積低減棒材の底面側と試料側領域の上面側との間に粒状充填材よりも熱伝導性の低いスペーサリングと、が配置されることが好ましい。
また、本発明に係る吸着特性測定装置において、死容積低減棒材の底面側に貼付され、試料側領域側からと死容積低減棒材側からの輻射熱を反射する反射板を含むことが好ましい。
また、本発明に係る吸着特性測定装置において、取付部は、金属面同士を突き合せて気密保持する継手であることが好ましい。
また、本発明に係る吸着特性測定装置において、膜成形体は、管状支持体の表面にマイクロ孔からマクロ孔まで細孔径の異なる細孔を有する膜が形成された成形体であり、成形体は、マイクロ孔からマクロ孔まで細孔径の異なる細孔を有するものであることが好ましい。
上記構成の吸着特性測定装置によれば、膜成形体または成形体の試料と試料管の内壁面との間の空間に測定圧力下の吸着ガスよりも熱伝導性の高い粒状充填材が充填される。これにより試料管と試料との間の熱伝導性が改善されるので、吸着ガスの圧力が極低相対圧下においても吸着等温線を高精度で求めることができる。
また、粒状充填材は、金属製粒子であるので、ガスに比較して圧倒的に熱伝導性が高い。これを膜成形体の試料と試料管の内壁面との間の空間に充填するので、試料管と試料との間の熱伝導性が大幅に改善される。また、粒状充填材は、アルミニウム粒子であるので、安価で入手しやすい。
また、吸着特性測定装置において、試料管内部には、膜成形体が配置される試料管の上部側に死容積低減棒材が配置され、死容積低減棒材の底面側と試料側領域の上面側との間に粒状充填材よりも熱伝導性の低いスペーサリングが配置される。スペーサリングの配置によって死容積低減棒材と試料側領域の間に熱絶縁空間が形成される。これらによって、死容積内部の熱の影響を効果的に排除でき、精度のよい吸着等温線を得ることができる。
また、死容積低減棒材の底面側に反射板が貼付され、試料側領域側からと死容積低減棒材側からの輻射熱を反射するので、死容積内部の熱の影響をさらに効果的に排除でき、吸着等温線の高精度化を図ることができる。
また、吸着特性測定装置において、試料管と配管部とを接続する取付部は、金属面同士を突き合せて気密保持する継手である。これにより継手材料からのガス放出がなく、吸着等温線をさらに高精度のものとできる。
また、管状支持体の表面にマイクロ孔からマクロ孔まで細孔径の異なる細孔を有する膜が形成された膜成形体またはマイクロ孔からマクロ孔まで細孔径の異なる細孔を有する成形体が測定対象のときでも、極低温下かつ極低相対圧下におけるマイクロ孔の測定からより高相対圧におけるマクロ孔の測定まで、広い範囲について、吸着等温線を高精度に得ることができる。
本発明に係る実施の形態の吸着特性測定装置の構成を示す図である。 図1における2つの試料管についての詳細図である。 図2における膜成形体の詳細図である。 本発明に係る実施の形態の吸着特性測定装置によって得られる吸着等温線の例を示す図である。図4(a)は、一般的な吸着等温線のモデルを示す図で、(b)は、極低相対圧下で実測された吸着等温線である。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、測定対象物としてセラミックの支持体の表面にゼオライト膜を形成した膜成形体を述べるが、これは説明のための例示であって、マイクロ孔とメソ孔とマクロ孔を有する成形体であってもよい。
また、以下では吸着ガスとして窒素ガスを述べるが、これは例示であって、これ以外の気体であってもよい。また、死容積の算出には、窒素吸着温度においても試料に吸着しないヘリウムガスを用いて行うものとするが、予め試料管の内容積と試料の外形で規定される容積を測定し、その差容積を死容積として用いてもよい。試料の容積は、試料の真密度と試料の質量から求めてもよい。
以下で述べる形状、寸法、材質等は例示であって、吸着特性測定装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において、対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、吸着特性測定装置10の構成図である。図1には、吸着特性測定装置10の構成要素ではないが、2つの試料管80,82が示される。試料管80は、内部に試料である膜成形体90が収容される測定試料管である。試料管82は、測定期間における冷媒12の液面13が次第に低下する影響を補正するために用いられるリファレンス試料管である。試料管82には、試料である膜成形体90が配置されない。
図1の吸着特性測定装置10は、試料管80,82と、試料管80,82の内部に配置される部材を除けば、定容量法を用いた吸着等温線に基づいて試料に吸着される吸着ガスの吸着量を測定する一般的な吸着特性測定装置と同じ構成である。そこで、吸着特性測定装置10を用いるうえで特徴となる試料管80,82と、試料管80,82の内部に配置される各部材について先に述べ、その後に、試料管80,82が取り付けられた吸着特性測定装置10の構成と作用等を説明する。
図1に示すように、測定試料管である試料管80の内部には、膜成形体90の他に、粒状充填材92と、ガラス棒94と、スペーサリング96と、反射板98が配置される。リファレンス試料管である試料管82には、試料である膜成形体90が配置されないことを除けば、試料管80の内部と同じ部材が配置される。試料管82において、試料管80の膜成形体90に相当する空間には粒状充填材92が充填される。
図2は、試料管80,82の断面図を用いて、それぞれの管の内部を示す図である。図2(a)は試料管80の断面図であり、(b)は試料管82の断面図である。
試料管80,82は、一方端に端部開口を有する細長い管で、他方端である底部の内部空間が試料を収容することができる収容部となっている試料容器である。かかる試料管80,82としては、一様な外径と内径を有するガラス製の試料管が用いられる。試料管80,82の寸法の一例を上げると、内径が約12mm、外径が約14mm、長さが約200mm程度である。測定の目的によっては、パイレックス(登録商標)製、石英製の試料管を用いてもよい。
試料である膜成形体90は、ゼオライト膜成形体である。ゼオライト膜成形体は、支持体100の外周表面に薄膜であるゼオライト膜110を形成したもので、支持体100とゼオライト膜110との複合一体化構造を有する。図2では図示を省略したが、支持体100の円管状の上面と下面にもゼオライト膜が形成される。なお、場合によっては、支持体100の円管状の内周表面にもゼオライト膜を形成してもよく、支持体100の円管状の内周表面にのみゼオライト膜を形成してもよい。
支持体100は、α−アルミナを材質とする管部材である。支持体100の寸法の一例を上げると、内径が約7mm、外径が約10mm、長さが約40mm程度である。ゼオライト膜110は、支持体100にディップ・コーティング法により、種結晶を保持し、(36SiO2:15Al23:8Na2O:1200H2O)の水性ゲルの中で、453Kに保持しながら12hかけて結晶化を行って得た。ゼオライト膜110の厚さの一例を上げると、約0.5mmである。
図3は、膜成形体90の外周側の断面図である。支持体100は、α−アルミナの多孔質体で、母体102と、細孔104を有する。細孔104は、平均径が約150nmのマクロ孔である。ゼオライト膜110は、Na−ZSM−5と呼ばれる組成の膜である。ゼオライト膜110は、ZSM−5の複数のゼオライト結晶114と、複数のゼオライト結晶114を集合化させているアモルファス層116を含んで構成される。ゼオライト結晶114は、小さな径の細孔118を含む。細孔118の径は、2nm未満のマイクロ孔である。ゼオライト結晶114の大きさは、径で約1μmである。ゼオライト結晶114の間のアモルファス層116は、厚さが数nm〜100nmの結晶間空隙120である。この大きさの結晶間空隙120は、メソ孔またはマクロ孔に相当する細孔である。このように、ゼオライト膜110は、マイクロ孔、メソ孔、マクロ孔が混在する幅広い範囲の径の細孔を含む細孔膜である。
再び図2に戻り、図2(a)を用いて試料管80の内部に収納される部材について説明する。外径が約10mmの膜成形体90は、内径が約12mmの試料管80の中に挿入される。試料である膜成形体90は、円筒状の外形であるので、粉体状の試料と異なり、試料管80の内壁面に密着して接触せず試料管80の内壁面との間に空隙ができる。この空隙に吸着ガスが満たされるが、極低相対圧下では真空に近い希薄ガスとなって熱伝導性が低い。
粒状充填材92は、試料管80の内壁面と膜成形体90との間の空隙に充填され、試料管80と膜成形体90との間の熱伝導性を改善する部材である。粒状充填材92は、吸着ガスが吸着しない物質で、測定圧力下の吸着ガスの熱伝導性よりも高い熱伝導性を有する物質が用いられる。粒状の大きさは、試料管80の内径と膜成形体90の外径との寸法差よりも小さい外径とされる。あまり外径が小さく粉体状となると、比表面積が大きくなり、吸着ガスの吸着が生じることがあるので、適当な粒径を選ぶことがよい。かかる粒状充填材92としては、外径が約1mmの金属製粒子を用いることができる。ここでは、外径が約1mmのアルミニウム粒子が用いられる。
粒状充填材92は、試料管80の内壁面と膜成形体90の外周面との間の空隙、膜成形体90の内周側空洞部の中、膜成形体90の上面側に充填される。必要があれば、膜成形体90の下面側と試料管80の内側底面との間に充填してもよい。図2(a)では、試料管80の底面から試料側領域93と示した高さの位置まで、粒状充填材92が充填される。試料側領域93の高さは、{(膜成形体90の長さ)+(粒状充填材92の2〜3層分の厚さ)}とすることがよい。
ガラス棒94は、試料管80の内部の死容積を少なくするために試料管80の内部に挿入される死容積低減棒材である。死容積とは、試料管80の内部空間のうち、吸着等温線を求めるために吸着ガスが供給され定温に冷却される空間の容積を装置温度(室温)に換算した見かけの容積のことで、試料管の内容積と試料の外形の容積との間の差容積に相当する。
ガラス棒94は、試料管80の材質と同等の材質で構成される。試料管80がパイレックス(登録商標)製や石英製であるときは、ガラス棒94は、パイレックスガラス棒、石英ガラス棒とすることが好ましい。ガラス棒94は、適当な着色ガラスとしてもよい。ガラス棒94の外径は、試料管80の内径より若干細目に設定される。試料管80の内部におけるガラス棒94の底面位置は、膜成形体90と粒状充填材92が配置される試料側領域93の上面より適当な熱絶縁空間97を隔てた高さ位置に設定される。ガラス棒94の上端位置は、図1で冷媒容器14の冷媒12の液面高さに相当する試料管80の高さ方向の位置より十分高く、試料管80の端部開口部の高さ位置よりも低い位置に設定される。試料管80の長さが200mm、膜成形体90の長さが40mmの例では、試料側領域93の高さを44mm、熱絶縁空間97の高さを3mmとすると、ガラス棒94の長さは(200−44−3)mm=153mmより短い140〜145mm程度とする。
スペーサリング96は、試料側領域93とガラス棒94の間を熱絶縁する熱絶縁空間97を形成するために、試料側領域93における粒状充填材92の上面に置かれる円環状部材である。熱絶縁空間97の高さは、吸着等温線の測定下の試料側領域93の温度である77Kとガラス棒94の上端側の温度である室温との温度差の熱絶縁の観点から決めることができる。吸着ガスが窒素ガスの場合、熱絶縁空間97の高さは数mmが好ましい。熱絶縁空間97の高さはスペーサリング96の高さで決まる。熱絶縁空間97の高さとして3mmが必要であれば、スペーサリング96の高さを3mmとする。
かかるスペーサリング96は、粒状充填材92よりも熱伝導性の低い材料のリングを用いることができる。例えば、試料管80、ガラス棒94と同じガラス製のリングを用いることができる。スペーサリング96の内径はできるだけ大きい方が広い熱絶縁空間97を確保できる。一例を上げると、試料管80の内径を12mmとして、スペーサリング96の外径を11.5mm、内径を10〜10.5mm程度とできる。
反射板98は、試料側領域93側からとガラス棒94側からの輻射熱を反射する両面反射膜である。反射板98は、ガラス棒94の底面側に配置される。かかる反射板98は、金属箔を用いることができる。ここでは、反射板98としてアルミニウム箔を用い、これをガラス棒94の底面に貼付する。反射板98とガラス棒94との間の熱の流れを少なくするために、ガラス棒94の底面の全面でなく、ガラス棒94から外れずに保持される程度の一部貼付が好ましい。理想的には、1点で貼付されることが好ましい。
図2(b)は、リファレンス試料管である試料管82の断面図である。試料管82の内部には試料である膜成形体90が設けられず、試料管82の内部空間において、試料側領域93の高さまで粒状充填材92が一様に充填される。ガラス棒94、スペーサリング96、反射板98は、試料管80について説明したのと同様に配置される。
以上で、試料管80,82と、試料管80,82の内部に配置される各部材についての説明を終わり、再び図1に戻り、試料管80,82が取り付けられた吸着特性測定装置10の構成と作用等を説明する。
吸着特性測定装置10は、試料管80,82と、飽和蒸気圧管84が浸漬される定温の冷媒12で満たされた冷媒容器14と、試料管80,82の開口部にそれぞれ設けられる取付部16,18と、吸着ガスである窒素ガスを供給する吸着ガス源20と、死容積を求めるためのヘリウムガスを供給するヘリウムガス源22と、複数の開閉弁と圧力計とを含む配管部24と、排気ポンプ26と、測定制御部70を含んで構成される。
冷媒容器14は、内部空間に試料管80,82と飽和蒸気圧管84を配置し、その周囲を冷媒12で満たすことで、試料管80,82と飽和蒸気圧管84を所定の定温に維持するためのデュアー瓶である。図1には、試料管80,82の死容積に関係する冷媒12の液面13を示した。冷媒12の種類は、吸着ガスの種類によって選定されるが、吸着ガスが窒素ガスのときは、冷媒12を液体窒素とすることがある。この場合、所定の定温は77Kである。飽和蒸気圧管84は、吸着ガスが満たされた管で、吸着ガスの所定の定温における飽和蒸気圧を測定期間中に常時検出するために設けられる。吸着ガスが窒素ガスの場合は、77Kにおける飽和蒸気圧P0を常時検出する。
取付部16,18は、試料管80,82のそれぞれの端部開口部と、配管部24における試料管接続口とを接続するために用いられる接続継手である。従来、試料管と配管部との接続には、電磁弁、空気作動弁、締結継手等が用いられているが、シール材にゴム材、プラスチック材を用いるために、これらからの放出ガスが測定に影響を与えていた。例えば、放出ガスのために試料管の内部が排気ポンプによって十分に排気できず、到達真空度が十分に低圧とならず、あるいは、吸着測定中の放出ガスの影響で、極低相対圧下における吸着等温線の精度が低下していた。
そこで、取付部16,18としては、ゴム材やプラスチック材を用いず、金属面同士を突き合せて気密保持する継手を用いる。かかる取付部16,18としては、CAJON社のVCR(登録商標)を用いることができる。
図1でN2として示される吸着ガス源20は、試料である膜成形体90に対する吸着特性を測定する対象物である吸着ガスを供給する吸着ガス供給部である。ここでは、吸着ガスは窒素ガスであるので、吸着ガス源20は、窒素ガスボンベである。
図1でHeと示されるヘリウムガス源22は、試料管80,82の死容積を測定するためのヘリウムガスが充填されているガスボンベである。吸着ガスを窒素ガスとした場合の死容積の測定には、試料管80,82に窒素吸着温度においても吸着しない不活性ガスを用いる必要があるが、ヘリウムガスはその目的に適したガスである。
配管部24は、マニホールド28,30を介して、試料管80,82、吸着ガス源20、ヘリウムガス源22、排気ポンプ26をそれぞれ互いに接続するために設けられる複数の配管である。配管部24には、フィルタ32,34と、手動で流量設定が行われる2つの流量調整弁36,38、測定制御部70の制御の下で作動する開閉弁37,40〜54と、圧力計58〜64が設けられる。なお、圧力計56は配管部24の外に配置される。2つの流量調整弁36,38および開閉弁40〜54には、電磁弁でなく空気作動弁を用いる。これにより、2つの流量調整弁36,38および開閉弁40〜54からの放出ガスを少なくし、高精度の吸着特性測定を行うことができる。配管部24は、高精度の吸着特性測定を確保するために、その全体が温度調整されたバスに収容され、所定の基準温度TSに維持される。
配管部24のうち、吸着ガス源20とマニホールド28の間には、フィルタ32と開閉弁40が直列に接続配置される。同様に、ヘリウムガス源22とマニホールド28の間には、フィルタ34と開閉弁42が直列に接続配置される。フィルタ32,34は、ヘリウムガス、窒素ガスに含まれる異物等を除去する濾過装置である。
マニホールド28は、吸着ガス源20からの窒素ガスやヘリウムガス源からのヘリウムガスを試料管80,82側に供給する際にガス供給バッファとして用いられ、また、試料管80,82の内部を排気する際に排気バッファとして用いられる管路である。
マニホールド28は、開閉弁44を介して排気ポンプ26に接続される。圧力計56は、開閉弁44が開弁したときにマニホールド28から排気されるガスの圧力PEXを検出する排気圧検出部である。
マニホールド28とマニホールド30の間に設けられる2つの流量調整弁36,38と2つの開閉弁46,48は、マニホールド28とマニホールド30の間に流量を調整しながらガスを流通させる機能を有する。ここでは、流量調整弁36と開閉弁46が直列接続される管路と、流量調整弁38と開閉弁48が直列接続される管路とが互いに並列に配置される。流量調整弁36は、マニホールド28とマニホールド30の間を流れるガスの流量を粗く調節する流量粗調整弁で、流量調整弁38は、マニホールド28とマニホールド30の間を流れるガスの流量を細かく調節する流量密調整弁である。開閉弁46,48は開弁か閉弁かを切り替える弁である。2つの流量調整弁36,38の開度設定と2つの開閉弁46,48の開閉制御によって、マニホールド28とマニホールド30の間のガス流量を適切に調整することができる。例えば、開閉弁48を閉じたままで開閉弁46を所定時間開くことで粗い流量調整ができ、つぎに開閉弁46を閉じて開閉弁48を所定時間開けることで、追加的に細かい流量調整を行うことができる。
マニホールド28とマニホールド30の間に設けられる開閉弁37は、バイパス弁で、例えば、初期状態の設定時等において、マニホールド28とマニホールド30とを所定の真空度に引きたいときに開けられる。
マニホールド30は、死容積を測定するためにヘリウムガス源22からのヘリウムガスを試料管80,82のいずれかに供給するときに、一旦ここに導入される空間として用いられる。また、マニホールド30は、吸着特性を測定するために吸着ガス源20からの窒素ガスを試料管80,82のいずれかに供給するときに、一旦ここに導入される空間として用いられる。なお、飽和蒸気圧管84には、マニホールド30に窒素ガスが導入されたときに開閉弁54を開けることで窒素ガスが供給される。このように、マニホールド30の管路の容積は、死容積の測定のためのヘリウムガス供給の際の基準容積VSであり、吸着特性測定のための窒素ガス供給の際の基準容積VSである。なお、マニホールド30の温度は、配管部24が温度調整されたバスによって維持される基準温度TSである。
圧力計58は、マニホールド30の内部圧力PSを検出するマニホールド圧力検出部である。内部圧力PSは、吸着特性測定の際に試料管80に供給される基準容積VSの窒素ガスの初期圧力である。
配管部24のうち、試料管80,82および飽和蒸気圧管84とマニホールド30の間に設けられる配管には、それぞれ開閉弁50,52,54が接続配置される。試料管80で説明すると、試料管80の端部開口部に取り付けられる取付部16を一端側とし、マニホールド30に設けられる接続ポートを他端側として、一端側と他端側の間に開閉弁50が直列に接続配置されて試料管80のための配管となる。圧力計60は、取付部16と開閉弁50の間の配管に接続され、試料管80の内部圧力P1を検出する試料管圧力検出部である。
同様に、試料管82の端部開口部に取り付けられる取付部18とマニホールド30との間に、開閉弁52が直列に接続配置されて試料管82のための配管となる。圧力計62は、取付部18と開閉弁52の間の配管に接続され、リファレンス試料管である試料管82の内部圧力PRを検出するリファレンス試料管圧力検出部である。圧力計62の検出値は、測定期間中に冷媒12である液体窒素の液面13が徐々に低下してくる大きさに関連するので、この検出値に基づいて死容積の算出についての補正が行われる。
飽和蒸気圧管84の端部開口部には、取付部16,18と同じVCR(登録商標)、またはCrawford Fitting社のSwagelok(登録商標)が継手として取り付けられる。この継手とマニホールド30との間に、開閉弁54が直列に接続配置されて飽和蒸気圧管84のための配管となる。圧力計64は、飽和蒸気圧管84に供給された吸着ガスである窒素ガスの77Kにおける飽和蒸気圧P0を検出する飽和蒸気圧検出部である。
排気ポンプ26は、マニホールド30,28を介して、試料管80,82の内部を減圧するための排気装置である。排気ポンプ26としては、図1でTMPと示したターボ分子ポンプ66と、RPと示したロータリポンプ68を組み合わせて用いることができる。ロータリポンプ68は、吸着特性測定装置10が使用中は作動し続けるが、ターボ分子ポンプ66は、測定制御部70の制御の下で、適宜、作動と停止とが行われる。
測定制御部70は、配管部24の開閉弁37,40〜54の開閉を制御し、圧力計58〜64の検出値を用いて、吸着特性測定を行う機能を有する制御装置である。かかる測定制御部70は、適当なコンピュータで構成することができる。
測定制御部70は、死容積算出手順72と、基準容積の吸着ガスをマニホールド30に導入する導入処理手順74と、導入された基準容積の吸着ガスを試料管80,82に供給する供給処理手順76と、試料管80内の膜成形体90についての吸着量を算出する吸着量算出手順78を実行する機能を有する。
死容積算出手順72は、試料管80,82の内容積と試料の容積に基づいて計算で求めることもできるが、ヘリウムガスを試料管80,82に導入して死容積を算出する方法によるときは、ヘリウムガスを一旦試料管80,82に導入すると、試料管80,82の内部等を排気ポンプ26で排気してもヘリウムガスを完全に除去することが難しい。試料管80,82の内部等が残留ヘリウムガスに汚染されたままでは、高精度の吸着等温線を得ることが難しい。この理由から、死容積算出手順72は、導入処理手順74、供給処理手順76の後に行うものとする。
かかる機能は、測定制御部70においてソフトウェアを実行することで実現できる。具体的には、吸着特性測定プログラムを実行することで実現できる。これらの機能の一部をハードウェアで実現するものとしてもよい。
上記構成において、吸着特性測定は次のような手順で行われる。吸着特性測定プログラムが立ち上がると、吸着特性測定装置10の初期化が行われる。図1において、初期状態は、試料である膜成形体90を内部に収容する試料管80の端部開口部が取付部16に接続され、流量調整弁36,38は予め開度が手動によって設定された状態で、全ての開閉弁37,40〜54は閉状態である。マニホールド30を含む配管部24の温度は所定温度TSである。
次に、吸着等温線を高精度で測定するために、マニホールド28,30が所定の真空度となるまで排気ポンプ26によって引かれる。ここでは、排気ポンプ26が作動され、開閉弁44、バイパス弁である開閉弁37が開かれる。圧力計56,58を用いて、マニホールド28,30が所定の真空度となったことが確認されると、次の段階に進む。
マニホールド28,30が所定の真空度となると、開閉弁50を開けて、試料管80を所定の真空度となるまで、引き続き排気ポンプ26によって引かれる。圧力計56,58、60を用いて、試料管80が所定の真空度となったことが確認されると、開閉弁50を閉じ、圧力計60を監視し、放出ガス等で試料管80の内部圧力が上がらないかをチェックする。予め定めた所定時間の経過の後に、圧力計60の検出値の変化が所定の許容範囲にあれば、さらに次の段階に進む。問題があれば、原因等の追究を行う。
試料管80の内部圧力の変化が許容範囲であると、開閉弁37,40〜54の全てが閉状態に戻される。そして、冷媒容器14に冷媒12が満たされ、冷媒12に試料管80,82および飽和蒸気圧管84が浸漬される。これにより、試料管80,82および飽和蒸気圧管84の温度は77Kとなる。
このようにして、初期状態の設定が完了すると、開閉弁50が開状態とされ、開閉弁46,48が順次開状態とされ、開閉弁44が開状態とされて排気ポンプ26が作動される。これによって、試料管80の内部とマニホールド30,28の内部は十分な減圧とされ真空に近い状態となる。その後、全ての開閉弁37,40〜54が閉状態に戻され、排気ポンプ26のうちターボ分子ポンプ66の作動が停止される。
次に、吸着ガスである窒素ガスをマニホールド30に導入する処理が行われる。この処理は、測定制御部70の導入処理手順74の機能によって実行される。窒素ガスをマニホールド30へ導入する手順は次のようにして行われる。すなわち、開閉弁40が開状態とされ、開閉弁46,48が順次開状態とされる。これによって吸着ガス源20から窒素ガスがマニホールド30に導入される。適当な時期に全ての開閉弁37,40〜54が閉状態に戻され、そのときのマニホールド30の圧力が圧力計58で検出される。検出された圧力をPSとすると、マニホールド30に導入された窒素ガスは、温度が基準温度TS、圧力がPSで、その体積が基準容積VSである。
引き続き、マニホールド30の窒素ガスを試料管80に供給する処理が行われる。この処理は、測定制御部70の供給処理手順76の機能によって実行される。窒素ガスをマニホールド30から試料管80へ供給するには、開閉弁50を閉状態から開状態にして行われる。そして、圧力計58または圧力計60で試料管80およびマニホールド30の圧力を検出する。検出された圧力をP1とする。
上記では、一度の導入処理手順と一度の供給処理手順を行うものとしたが、吸着量算出値の高精度化、測定時間の短縮等の観点から、導入処理手順と供給処理手順を1組の処理手順として、これを繰り返し行うことがよい。例えば、1回目の導入処理と供給処理手順を行って、平衡状態の試料管80の圧力をP1(1)、マニホールド30の圧力をPS(1)とし、次に2回目の導入処理と供給処理手順を行って、平衡状態の試料管80の圧力をP1(2)、マニホールド30の圧力をPS(2)とし、これを繰り返す。得られた数組のP1(n)とPS(n)に基づいて、後述の吸着量の算出を行うことで、吸着量算出値の高精度化等を図ることができる。
最後に、試料管80,82の死容積の算出が行われる。この処理手順は、測定制御部70の死容積算出手順72の機能によって実行される。死容積VDの算出処理は、試料管80,82のいずれについても同じであるので、以下では、試料管80について説明する。
まず、開閉弁42が開状態とされ、開閉弁46,48が順次開状態とされる。これによってヘリウムガス源22からヘリウムガスがマニホールド30に導入される。適当な時期に全ての開閉弁37,40〜54が閉状態に戻され、そのときのマニホールド30の圧力が圧力計58で検出される。検出された圧力をPSとすると、マニホールド30に導入されたヘリウムガスは、温度が基準温度TS、圧力がPSで、その体積が基準容積VSである。
次に、開閉弁50を開状態とし、圧力計58または圧力計60で試料管80およびマニホールド30の圧力を検出する。検出された圧力をPDとする。試料管80の温度は77Kであり、ヘリウムガスは窒素吸着温度以下においても試料である膜成形体90に吸着しないので、マニホールド30に導入されたヘリウムガスは、マニホールド30と試料管80にまたがって広がる。そこで、膜成形体90を内部に収容する試料管80についての死容積VDは、PSS=PD(VS+VD)の関係式を用いて算出される。
死容積VDの算出が終わると、開閉弁46,48が順次開状態とされ、その上で、開閉弁44が開状態とされ、排気ポンプ26が作動される。これにより、死容積算出に用いられたヘリウムガスが試料管80から外部に排気される。試料管80が十分に減圧され真空に近い状態となった後、全ての開閉弁37,40〜54が閉状態に戻され、排気ポンプ26のうちのターボ分子ポンプ66の作動が停止される。以上の処理が試料管82に対しても同様に実行され、試料管82の死容積の算出が行われ、算出後、全ての開閉弁37,40〜54が閉状態に戻される。
次に、供給処理手順76において検出された圧力P1と、死容積算出手順よって求められた死容積VDに基づいて、吸着ガスである窒素ガスの膜成形体90への吸着量の算出が行われる。この処理手順は、測定制御部70の吸着量算出手順78の機能によって実行される。
上記のように、導入処理手順と供給処理手順を1組の処理として、これを繰り返し行う場合について述べると、例えば導入処理手順と供給処理手順の1回目において、窒素ガスが試料である膜成形体90に全く吸着せず、死容積算出時と同様の圧力PSを基準容積部であるマニホールド30に導入したとすれば、P1は死容積を算出したときのPDと同じである。圧力P、体積V、温度Tの理想気体のモル数nは、気体定数をRとして、n=PV/RTであるので、P1=PDのときの圧力に対応する窒素ガスのモル数nDは、マニホールド30と試料管80における窒素ガスのモル数で、nD={PD(VS+VD)}/RTである。窒素ガスが試料である膜成形体90に吸着すると、吸着量に応じてP1はPDよりもPAだけ低い(PD−PA)となる。この圧力(PD−PA)は、膜成形体90に吸着しないで試料管80に残った窒素ガスである。吸着しないで残った窒素ガスのモル数nR={(PD−PA)(VS+VD)}/RTとなる。
このことから、上記1回目においては、膜成形体90に吸着した窒素ガスのモル数Δnは、(nD−nR)={PA(VS+VD)}/RTである。このようにして、理想気体の式に基づいて膜成形体90に吸着した窒素ガスの吸着量が算出される。しかし、吸着ガスである窒素ガスのような実在の気体は理想気体ではないので、圧縮因子を用い、あるいは、サーマルトランスピレーション現象のため低圧部分での圧力が異なることを考慮し、さらに、VDが時々刻々変化することを考慮する等の非理想気体としての補正を行うことで、吸着量の算出の精度を上げることができる。また、上記2回目以降の吸着量は、試料管80の死容積部に残存しているモル数と基準容積部であるマニホールド30に導入したモル数の和から平衡後に残っているモル数を差し引いて吸着量を求める。
ここで、試料管80の全長に渡る死容積についての温度は、77Kと室温とが混在する分布を有する。定容量法による吸着等温線を求めるには、膜成形体90の温度を定温である77Kにする必要がある。図2で説明したようにガラス棒94を用いることで、試料管80の全長に渡る死容積を小さくできる。また、試料管80の内壁面と膜成形体90との間の空隙が熱伝導性の高い粒状充填材92で充填されるので、膜成形体90の温度を77Kにできる。また、スペーサリング96によって形成される熱絶縁空間97と、反射板98の作用によって、試料側領域93からとガラス棒94からの双方の熱輻射を低減できる。さらに、粒状充填材92、ガラス棒94、スペーサリング96、反射板98を試料管80におけると同様に配置した試料管82をリファレンス試料管として冷媒12の液面13の低下に対する較正を行うことができる。また、飽和蒸気圧管84を用いて窒素ガスの飽和蒸気圧を常時検出する。これらにより、温度Tを77KとしたときのΔnの算出誤差を少なくでき、高精度で吸着量を算出できる。
上記構成の試料管80,82が取り付けられた吸着特性測定装置10を用いて測定した吸着等温線について図4を用いて説明する。図4(a)は、一般的な吸着等温線のモデルを示す図で、(b)は、極低相対圧下で実測された吸着等温線である。これらの図の横軸は、吸着ガスの平衡圧力Pをその吸着ガスの飽和蒸気圧P0で規格化した相対圧(P/P0)である。縦軸は、吸着量を標準状態(STP)である0°C、1atmにおける吸着ガスの体積に換算した値{V(ml:STP)/g}である。図4(a)は縦軸、横軸共に実数値であり、(b)は縦軸、横軸共に対数値である。
図4(a)に示されるように、吸着等温線の測定結果を用いて、相対圧(P/P0)が0から0.2の範囲でマイクロ孔の評価を行うことができ、相対圧(P/P0)が0.2から0.95の範囲でメソ孔の評価を行うことができ、相対圧(P/P0)が0.95以上の範囲でマクロ孔の評価を行うことができる。また、吸着等温線の測定結果を用いて、相対圧(P/P0)が0から0.3の範囲でBET理論を適用して比表面積の算出を行うことができる。細孔分布の算出については、相対圧(P/P0)が0から0.2の範囲で吸着ポテンシャル理論に基づいてSF法、HK法等を用いることができ、相対圧(P/P0)が0.2から1.0の範囲で毛管凝縮理論に基づいてBJH法、INNES法等を用いることができる。また、近年になって、GCMC法、NLDFT法を用いて、相対圧(P/P0)が0から1.0の全範囲に渡って、比表面積と細孔分布の算出が可能になった。これらの理論、方法の詳細な内容については、専門書に譲り、これ以上の説明を省略する。
図4(b)は、相対圧(P/P0)が10-6以下の極低相対圧下で実測された吸着等温線130,132,134を示す図である。吸着等温線130,132は、試料管に単に膜成形体90のみを収容した状態での測定結果である。図に示されるように、相対圧(P/P0)が3×10-7以下の極低相対圧下では測定値が大きくばらつき、再現性が得られなかった。なお、粉体の試料に対する吸着等温線の測定は、試料の種類、吸着ガスの種類にもよるが、最適条件の下で、1×10-8程度まで再現性が確保されている。
吸着等温線134は、図2で説明したように、試料管80の内部に膜成形体90と共に粒状充填材92と、ガラス棒94と、スペーサリング96と、反射板98を配置して測定した結果である。図に示されるように、相対圧(P/P0)が3×10-8の極低相対圧まで、測定値がばらつかず、良好な再現性が得られた。このように、膜成形体90を粉体化せずとも、膜成形体90の形態のままで、吸着等温線が粉体の場合の最適条件のときとほぼ比肩できる極低温下でも再現性良く吸着等温線を得ることができた。
10 吸着特性測定装置、12 冷媒、13 液面、14 冷媒容器、16,18 取付部、20 吸着ガス源、22 ヘリウムガス源、24 配管部、26 排気ポンプ、28,30 マニホールド、32,34 フィルタ、36,38 流量調整弁、37,40,42,44,46,48,50,52,54 開閉弁、56,58,60,62,64 圧力計、66 ターボ分子ポンプ(TMP)、68 ロータリポンプ(RP)、70 測定制御部、72 死容積算出手順、74 導入処理手順、76 供給処理手順、78 吸着量算出手順、80,82 試料管、84 飽和蒸気圧管、90 膜成形体(試料)、92 粒状充填材、93 試料側領域、94 ガラス棒(死容積低減棒材)、96 スペーサリング、97 熱絶縁空間、98 反射板、100 支持体、102 母体、104,118 細孔、110 ゼオライト膜、114 ゼオライト結晶、116 アモルファス層、120 結晶間空隙、130,132,134 吸着等温線。

Claims (7)

  1. 試料管に収容される試料に対し予め定められた吸着ガスを供給して吸着等温線を測定する吸着特性測定装置であって、
    試料管が浸漬される定温冷媒で満たされた冷媒容器と、
    試料管の開口部に設けられる取付部と、
    吸着ガスを供給する吸着ガス供給部と、
    取付部の試料管用の開閉弁を介し、吸着ガス供給部と吸着ガス用の開閉弁を介して接続されるマニホールドと、
    マニホールドの圧力を検出するマニホールド圧力計と、
    試料管の内部圧力を検出する試料管圧力計と、
    試料管の内部圧力の変化に基づいて吸着等温線を算出する測定制御部と、
    を備え、
    試料は、膜成形体または成形体であり、
    試料管の内壁面と膜成形体との間の空間に測定圧力下の吸着ガスよりも熱伝導性の高い粒状充填材が充填されることを特徴とする吸着特性測定装置。
  2. 請求項1に記載の吸着特性測定装置において、
    粒状充填材は、金属製粒子であることを特徴とする吸着特性測定装置。
  3. 請求項2に記載の吸着特性測定装置において、
    粒状充填材は、アルミニウム粒子であることを特徴とする吸着特性測定装置。
  4. 請求項1に記載の吸着特性測定装置において、
    試料管内部には、
    膜成形体の周囲に粒状充填材が充填される領域である試料側領域の上部の死容積を少なくするために、試料管と同等の材料で構成される死容積低減棒材と、
    死容積低減棒材の底面側と試料側領域の上面側との間に粒状充填材よりも熱伝導性の低いスペーサリングと、
    が配置されることを特徴とする吸着特性測定装置。
  5. 請求項4に記載の吸着特性測定装置において、
    死容積低減棒材の底面側に貼付され、試料側領域側からと死容積低減棒材側からの輻射熱を反射する反射板を含むことを特徴とする吸着特性測定装置。
  6. 請求項1に記載の吸着特性測定装置において、
    取付部は、
    金属面同士を突き合せて気密保持する継手であることを特徴とする吸着特性測定装置。
  7. 請求項1に記載の吸着特性測定装置において、
    膜成形体は、
    管状支持体の表面にマイクロ孔からマクロ孔まで細孔径の異なる細孔を有する膜が形成されたものであり、
    成形体は、マイクロ孔からマクロ孔まで細孔径の異なる細孔を有するものであることを特徴とする吸着特性測定装置。
JP2014188290A 2014-09-16 2014-09-16 吸着特性測定装置 Active JP6346044B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014188290A JP6346044B2 (ja) 2014-09-16 2014-09-16 吸着特性測定装置
US14/853,476 US9645069B2 (en) 2014-09-16 2015-09-14 Adsorption characteristic measuring apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014188290A JP6346044B2 (ja) 2014-09-16 2014-09-16 吸着特性測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016061615A JP2016061615A (ja) 2016-04-25
JP6346044B2 true JP6346044B2 (ja) 2018-06-20

Family

ID=55454475

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014188290A Active JP6346044B2 (ja) 2014-09-16 2014-09-16 吸着特性測定装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9645069B2 (ja)
JP (1) JP6346044B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6406698B2 (ja) * 2014-10-21 2018-10-17 国立研究開発法人産業技術総合研究所 吸着特性測定装置
CN106018164B (zh) * 2016-06-28 2019-02-22 中国矿业大学 一种全自动瓦斯吸附与解吸***及工艺
US10739242B2 (en) * 2017-07-26 2020-08-11 Upstream Technologies, Inc. Infiltrometer apparatus and related methods of use
US11099115B2 (en) 2018-05-04 2021-08-24 Horiba Instruments, Incorporated System and dynamic volumetric method for surface characterization of porous solids and powder materials using flowing gas
CN109490140A (zh) * 2018-12-29 2019-03-19 中国科学技术大学 一种真密度测试样品管
CN109490139B (zh) * 2018-12-29 2024-03-29 中国科学技术大学 一种基于物理吸附仪测试材料真密度的装置和方法
CN109959578B (zh) * 2019-01-08 2024-04-30 江苏城工建设科技有限公司 一种用于岩石气体高压吸附的测试仪器及其测试方法
CN110487664B (zh) * 2019-07-19 2024-04-12 中国矿业大学 基于死空间压力换算的煤层瓦斯参数检测装置及施工方法
JP7082596B2 (ja) * 2019-08-19 2022-06-08 マイクロトラック・ベル株式会社 ガス吸着量測定装置およびガス吸着量測定方法
CN112301992A (zh) * 2020-10-16 2021-02-02 西安工程大学 地基土压实度无损检测方法
CN112504904B (zh) * 2020-12-08 2021-09-03 中国科学院力学研究所 一种岩石不同含水条件下气体吸附等温线测试分析方法
CN113092307A (zh) * 2021-04-08 2021-07-09 华北科技学院(中国煤矿安全技术培训中心) 一种co2吸附量测定实验装置及方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH590467A5 (ja) * 1975-04-18 1977-08-15 Lyssy Georges H
US5133219A (en) * 1991-02-28 1992-07-28 Micromeritics Instrument Corporation Dynamically balanced, differential gas adsorption appartaus
JP3027331B2 (ja) * 1995-03-02 2000-04-04 鈴木 勲 温度補償型定容吸着装置を用いる吸着量測定方法および装置
US6595036B1 (en) * 2002-02-27 2003-07-22 Bel Japan, Inc. Method and apparatus for measuring amount of gas adsorption
JP5105937B2 (ja) 2007-03-30 2012-12-26 学校法人早稲田大学 一酸化炭素濃度を低減する方法
JP6037760B2 (ja) * 2012-10-16 2016-12-07 マイクロトラック・ベル株式会社 吸着特性測定装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20160076988A1 (en) 2016-03-17
US9645069B2 (en) 2017-05-09
JP2016061615A (ja) 2016-04-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6346044B2 (ja) 吸着特性測定装置
Sing Reporting physisorption data for gas/solid systems with special reference to the determination of surface area and porosity (Recommendations 1984)
Sing Reporting physisorption data for gas/solid systems with special reference to the determination of surface area and porosity (Provisional)
Herbst et al. Thermodynamic description of excess isotherms in high-pressure adsorption of methane, argon and nitrogen
Grillet et al. Modification of the porous structure and surface area of sepiolite under vacuum thermal treatment
Shkolnikov et al. Estimation of pore size distribution in MCM-41-type silica using a simple desorption technique
MY146174A (en) Gas storage and dispensing system with monolithic carbon adsorbent
KR20070113584A (ko) 기체 흡착등온선 측정 방법 및 이에 사용되는 측정장치
De Kanel et al. A simple technique for surface area determination
CN101391170A (zh) 一种低温变压吸附装置
WO2015002687A1 (en) Process for characterization of micro and meso porous materials
Zhou et al. Studies on the transition behavior of physical adsorption from the sub-to the supercritical region: experiments on silica gel
Lowell et al. Micropore analysis
Van Voorhis et al. Free energy of immersion of compressed powders with different liquids. II. Silica powder
JP6037760B2 (ja) 吸着特性測定装置
Majda et al. Application of thermoporometry for characterization of mesoporous silicon: In search for probe liquid aimed at large pores
Steriotis et al. A novel experimental technique for the measurement of the single-phase gas relative permeability of porous solids
Aleghafouri et al. Micropore size analysis of activated carbons using nitrogen, carbon dioxide and methane adsorption isotherms: experimental and theoretical studies
Poirier et al. Saturation properties of a supercritical gas sorbed in nanoporous materials
Denoyel et al. Microcalorimetric methods for studying vapour adsorption and wetting of powders
Machin Hysteresis and irreversible phase transitions: xenon adsorbed on a mesoporous silica gel
Hammond et al. High-resolution physical adsorption on supported borosilicate MFI zeolite membranes: comparison with powdered samples
Takaishi et al. Motional state of sorbed nitrogen in mordenite
Hammond et al. Apparatus for measuring physical adsorption on intact supported porous membranes
Lippens et al. Measurement of the Surface Area of Powders by the BET Method

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170712

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180427

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180508

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180524

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6346044

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250