JP6344739B2 - オートカレンダ機構、ムーブメントおよび時計 - Google Patents
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Description
また、非特許文献には、制御カムと、制御カムにより操作される月表示ロッキングアームと、月表示ロッキングアーム回しつめと、日車回しつめと、互いに同軸となるように配置された月星車(月車)および日車と、を備えたオートカレンダ機構が記載されている。
また、本発明の時計は、上述のムーブメントを備えたことを特徴としている。
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板や針等を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側、すなわち文字板と反対の側をムーブメントの「表側」と称する。
図1に示すように、時計1は、時に関する情報を示す目盛りなどを含む文字板2を備えている。時計1は、時を示す不図示の時針、分を示す不図示の分針および秒を示す不図示の秒針を備えている。
月表示領域4は、概ね時計の6時の位置と時計1の中心との間に設けられた月表示窓4aを備えている。時計1は、例えば月表示ディスク5に記載された月を表す文字(例えば、図1においては、「2月」を表す「FEB」の文字)を月表示窓4aから露出させることで、使用者に月の表示を行っている。
日表示領域6は、概ね時計の12時から6時の範囲に設けられている。時計1は、日付を示す日針7を有している。時計1は、文字板2に記載された「1」から「31」のいずれかの文字を日針7が指示することで、使用者に日の表示を行っている。
ムーブメント100は、巻真8と、巻真8の先端に設けられたりゅうず9と、を有している。ムーブメント100は、りゅうず9を時計ケース1aから引き出したあと、所定方向に回転させることにより、後述の日車50と月車80とを回転させて日付と月とを修正することができる。
図2は、日送り機構の平面図であり、図3は月送り機構の平面図である。
図2に示すように、日送り機構20は、主に筒車21と、小月日回し車25と、小月日送りレバー30と、月カム27と、日回し車40と、日車50と、日ジャンパ56と、を備えている。
筒車21は、時計ケース1a内に収容された例えばモータや香箱車等の不図示の動力源から動力が伝達されて回転する。筒車21は、所定の軸を中心として、CW方向に回転する。筒車21の回転は、例えば日の裏車22や日回し中間車23等の輪列を介して、小月日回し車25に伝達される。
小月日送りレバー30は、一端が月カム27に摺接可能な摺接部31とされ、他端が後述の小月日送りつめばね37と当接する当接部33となっている。当接部33は、小月日送りつめばね37により、径方向の外側に向かって付勢されている。小月日送りレバー30は、当接部33の近傍において、小月日回し車25に第一軸C1と平行な軸を中心として回転可能に支持されている。
小月日送りつめ35は、後述の日車50に設けられた月末つめ53を押して、日車50を回転させている。小月日送りレバー30および小月日送りつめ35は、小月日回し車25の回転に対応して、第一軸C1周りをCCW方向に一日で一回転する。詳細は後述するが、このとき、小月日送りつめ35は、径方向の内側と外側とに変位しながら回転する。
月カム27の外周面には、複数の凸部27a〜27eが設けられている。月カム27の凸部27a〜27eは、それぞれ月カム27の外周面を第一軸C1周りに30°ピッチで12等分してCCW方向に順に1月から12月に割り振ったときに、一か月の日数が30日以下の小月(2月、4月、6月、9月および11月)に対応した位置に形成されている。なお、複数の凸部27a〜27eの間は凹部となっており、一か月の日数が31日の大月に対応した位置に形成されている。
日回し車40には、日回しつめ42が設けられている。日回しつめ42は、平面視で円弧状に形成されたばね部43と、ばね部43の先端に設けられた当接部45と、を有しており、日回し車40に対して軸方向に重なるように配置される。日回しつめ42は、日回し車40と一体的に設けられており、日回し車40と同期して回転する。ばね部43は、周方向および径方向に弾性変形可能とされている。当接部45は、日回し車40の回転にともなって、日回し車40の中心軸周りに回転することにより、日車歯部51(請求項の「歯部」に相当。)を押して日車50を回転させる。
図3に示すように、月送り機構60は、主に日カム61と、針レバー70と、日針車67と、月車80と、月ジャンパ86と、戻し車78とを備えている。
日カム61は、日車50と同期しており、第二軸C2を中心として、CW方向に一か月(すなわち31日)で一回転する。日カム61の外周面は、CCW方向に向かうにしたがって渦巻き状に半径が大きくなるように形成されたカム面62となっている。カム面62は、第二軸C2からの離間距離が最大となる最外部63と、第二軸C2からの離間距離が最小となる最内部64と、を有している。
従節部71は、先端が日カム61のカム面62に向かって屈曲形成されている。
レバー本体部73は、軸支部72とは反対側の端部が扇形状に形成されるとともに、縁部にレバー歯部74が形成されている。レバー歯部74は、後述の日針車67と噛合している。
針レバー70は、従節部71が最内部64に位置したときに、軸支部72の軸を中心としてCW方向に最大振れた位置となる。以下、針レバー70がCW方向に最大振れた位置を「初期位置」という。また、針レバー70は、従節部71が最外部63に位置したときに、軸支部72の軸を中心としてCCW方向に最大振れた位置となる。以下、針レバー70がCCW方向に最大振れた位置を「終期位置」という。なお、図3においては、初期位置にある針レバー70を二点鎖線で図示し、終期位置にある針レバー70を実線で図示している。ここで、前述のとおり日カム61は、一か月で一回転する。したがって、針レバー70は、初期位置と終期位置との間を一か月で一回往復移動する。
日針車67は、針レバー70が初期位置にあるとき、最もCCW方向に回転した状態となる。このとき、日針7は、文字板2に記載された日付を表す「1」から「31」の数字のうち、「1」を指示する。また、日針車67は、針レバー70が終期位置にあるとき、最もCW方向に回転した状態となる。このとき、日針7は、文字板2に記載された日付を表す「1」から「31」の数字のうち、「31」を指示する。これにより、日針7は、日カム61の回転および針レバー70の移動に対応して、一日ごとにステップ運針される。
また、日針車67は、後述の戻し車78の付勢力によって針レバー70の従節部71が最外部63から最内部64に瞬時に移動し、針レバー70が終期位置から初期位置に移動することにより、高速でCCW方向に回転する。このとき、日針7は、高速でCCW方向に回転し、文字板2に記載された日付を表す「31」の数字を指示した状態から、「1」の数字を指示する状態に瞬時に移行する。このように、日針7は、日表示領域6において扇状に往復運針される。
また、月車80には、月表示ディスク5(図1参照)が設けられている。月表示ディスク5は、月車80と同軸かつ軸方向に重ねて設けられるととともに、月車80と同期して回転する。月表示ディスク5の表面には、各月を表す「JAN」(1月)〜「DEC」(12月)の文字が、CW方向に30°ピッチで並んで記載されている。
ひげぜんまい部79は、戻し車78と同軸に設けられており、例えばアルキメデス曲線に沿うように、CCW方向周りに螺旋状に形成されている。ひげぜんまい部79は、戻し車78がCCW方向に回転することにより縮径して弾性変形する。
図4は、オートカレンダ機構における動力伝達経路を示すブロック図である。なお、図4において、実線による矢印は動力伝達の方向を示しており、破線による矢印は付勢力の作用を示しており、二重線は同軸に結合されている状態を示している。
次いで、上述したオートカレンダ機構10の作用について説明する。なお、以下におけるオートカレンダ機構10の構成部品の符号については、図1から図4を適宜参照されたい。また、以下では、月の初日から末日を経て、翌月の初日になるまでのオートカレンダ機構10の作用について説明する。また、以下の説明において、小月の末日におけるオートカレンダ機構10の動作は、2月を除く4月、6月、9月および11月の末日におけるオートカレンダ機構10の動作に相当する。
ここで、針レバー70は、従節部71が日カム61の回転によって最内部64から最外部63に向かって相対的に移動することにより、初期位置(月の初日に対応した位置)から終期位置(月の末日に対応した位置)に向かって移動する。これにより、針レバー70のレバー歯部74と噛合する日針車67は、一日で1ステップずつCW方向に回転する。また、日針車67に取り付けられた日針7は、日針車67の回転に対応して、日が替わる午前0時頃に一日分だけ運針される。このように、オートカレンダ機構10は、月の初日から末日かけて日針7を1ステップずつ運針させる。
まず、大月の動作について説明する。
大月の場合、末日の前日である30日に、小月日送りつめ35は、月カム27により最内位置に配置されるとともに、回転により月末つめ53に当接することなく、時刻の経過にともない回転する。したがって、日車50は、小月日送りつめ35により押されることなく、日ジャンパ56によって位置が規制された状態で停止している。また、日車50と同期して回転する日カム61も、回転することなく停止している。
そして、日回し車40に設けられた日回しつめ42は、回転により日車50の日車歯部51に当接した後、時刻の経過にともない日車歯部51を押す。そして、日車歯部51が日回しつめ42の当接部45により押され、所定角度だけCW方向に回転すると、日ジャンパ56の先端部57と日車歯部51との係合が一旦解除されて再度係合する。これにより、日車50および日カム61は、所定の角度ピッチで1ステップ回転する。
これにより、日針7は、30日から31日に切り替わることにより、一日分だけ運針することとなる。
そして、さらに、1日分の時刻が経過すると、日針7は、上述した動作により、31日から1日に切り替わることにより、一日分だけ運針する。
すなわち、大月の場合、日車50および日カム61は、所定の角度ピッチで一日に1ステップずつ回転する。
小月の場合、小月日送りつめ35は、末日において、月カム27により最外位置に配置されるとともに、回転により月末つめ53に当接した後、時刻の経過にともない月末つめ53のつめ部55を押す。なお、小月日送りつめ35が月末つめ53のつめ部55に当接する時間は、一般に日が替わる午前0時前の所定時間(例えば午後21時から午後22時までの間)に設定される。そして、月末つめ53が小月日送りつめ35により押され、月末つめ53と同期して回転する日車50が所定角度だけCW方向に回転すると、日ジャンパ56の先端部57と日車歯部51との係合が一旦解除されて再度係合する。これにより、日車50および日カム61は、所定の角度ピッチで1ステップ回転する。
これにより、日針7は、30日から31日に切り替わることにより、一日分だけ運針することとなる。
これにより、日針7は、31日から1日に切り替わることにより、一日分だけ運針することとなる。
上述した動作により、小月の場合、日車50および日カム61は、所定の角度ピッチで一日に2ステップ回転する。
換言すれば、この動作によって、日針7は、30日から、31日を早送りして、1日に切り替わる。
次いで、日針車67は、大月の場合と同様に、針レバー70の終期位置から初期位置への移動に対応して、瞬時にCCW方向に回転する。これにより、日針車67に取り付けられた日針7は、末日の「31」を指示する位置から初日の「1」を指示する位置に瞬時に移動する。
このように、実施形態のオートカレンダ機構10によれば、大月の末日において、日車50が日回しつめ42に押されて1ステップ回転することにより、日針7が一日分運針する。また、実施形態のオートカレンダ機構10によれば、小月の末日において、月末つめ53が小月日送りつめ35に押されて日車50が1ステップ回転したあと、日車50が日回しつめ42に押されてさらに1ステップ回転することにより、日針7が二日分運針する。
続いて、実施形態の各変形例について説明する。
図5は、実施形態の第一変形例に係るオートカレンダ機構10Aの説明図である。
実施形態のオートカレンダ機構10は、月カム27、小月日回し車25および小月日送りつめ35が第一軸C1を中心として回転し、日回し車40および日回しつめ42が第一軸C1とは異なる所定の軸を中心として回転するように構成されていた(図2参照)。
これに対して、図5に示す実施形態の第一変形例に係るオートカレンダ機構10Aのように、月カム27、小月日回し車25および日回し車40を同軸に設けることにより、月カム27、小月日回し車25、日回し車40、小月日送りつめ35および日回しつめ42が第一軸C1を中心として回転するように構成してもよい。
実施形態の第一変形例によれば、月カム27と小月日回し車25と日回し車40とを同軸に設けることにより、オートカレンダ機構10Aの小型化ができる。
実施形態のオートカレンダ機構10は、日カム61と戻し車78とにより、針レバー70を初期位置と終期位置との間で往復移動させることで、日針7を日表示領域6で扇状に往復運針させていた(図1参照)。
これに対して、図6に示す実施形態の第二変形例に係るオートカレンダ機構10Bのように、日針7Bを日表示領域6でCW方向に運針させてもよい。
また、日車50には、月送りつめ75Bが設けられている。月送りつめ75Bは、先端が月車80に向かって突出するように形成されている。月送りつめ75Bは、基端が第二軸C2を中心としてCW方向に回転可能に支持されている。月送りつめ75Bは、日車50と同期して回転し、各月の末日に月車80を押して回転させる。
実施形態の第二変形例によれば、日車50に月送りつめ75Bを設けた簡単な構成で月車と連動する月表示ディスク5の月を送ることができる。
Claims (7)
- 第一軸を中心として一年で一回転する月車と、
前記第一軸を中心として一日で一回転する小月日回し車と、
前記小月日回し車に設けられ、変位しながら前記小月日回し車と同期して回転する小月日送りつめと、
日回しつめを有し、一日で一回転する日回し車と、
月末つめと、前記日回しつめに押される歯部とを有し、第二軸を中心に一か月で一回転する日車と、
を備え、
前記小月日送りつめは、一か月の日数が30日以下の小月の末日に前記月末つめを押して前記日車を回転させることを特徴とするオートカレンダ機構。 - 前記小月と一か月の日数が31日の大月とに対応する凸部と凹部とを外周面に有し、前記月車と同軸に設けられるとともに前記月車と同期して回転する月カムと、
前記小月日回し車に対して回転可能に設けられ、一端部が前記月カムの前記凸部と前記凹部とに摺接するとともに、前記小月日回し車と同期して前記月カムの周りを回転する小月日送りレバーと、
を備え、
前記小月日送りつめは、前記小月日送りレバーに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のオートカレンダ機構。 - 日針を運針させる日針車と、
前記日車と同期して前記第二軸を中心に回転し、前記第二軸からの離間距離が最大となる最外部と、前記第二軸からの離間距離が最小となる最内部とを有する日カムと、
前記日カムと接する従節部と、前記日針車と噛合するレバー歯部と、を有し、前記月車に対して最も接近する初期位置と、前記月車から最も離間する終期位置とを往復移動可能な針レバーと、
前記針レバーを前記月車に接近する方向に付勢する付勢部材と、
前記針レバーに設けられ、各月の末日に前記月車を押して回転させる月送りつめと、
を備え、
前記針レバーは、前記日カムの回転にともなって前記初期位置から前記終期位置に移動し、前記従節部が前記最外部から前記最内部へ移動するときに前記付勢部材の付勢力によって前記終期位置から前記初期位置に移動し、
前記月送りつめは、前記針レバーが前記終期位置から前記初期位置に移動するのに対応して、前記月車を回転させることを特徴とする請求項1または2に記載のオートカレンダ機構。 - 前記日車は、各月の末日に前記月車を押して回転させる月送りつめを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のオートカレンダ機構。
- 前記日回し車と前記小月日回し車とが同軸に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のオートカレンダ機構。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載のオートカレンダ機構を備えたことを特徴とするムーブメント。
- 請求項6に記載のムーブメントを備えたことを特徴とする時計。
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