JP6343154B2 - 窓箔保護ユニット及び電子線照射装置の整備方法 - Google Patents

窓箔保護ユニット及び電子線照射装置の整備方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子線照射装置に使用される窓箔保護ユニット、及び電子線照射装置の整備方法に関する。
従来、電子線を発生する電子線発生部と、電子線発生部を収容する筐体部と、電子線を筐体部の内部から筐体部の外部に透過させる窓箔を有する電子線透過窓部と、を備える電子線照射装置が知られている。このような電子線照射装置では、装置の性能を維持するために、必要に応じて消耗した部品の交換や整備等を行う必要がある。例えば、特許文献1には、筐体内に配置された電子銃(電子線発生部)を交換する場合に、真空ポンプを停止して筐体内を大気開放してから、当該部品の交換等を行うことが記載されている。
特開2004−170353号公報
ところで、筐体内の真空が保持されているときには、窓箔は、筐体の外部雰囲気の気圧(例えば大気圧)によって筐体側に押し付けられた状態で安定に保持されている。一方、装置内の整備等のために、一旦、真空引きされた筐体内を筐体の外部雰囲気に開放(例えば大気開放)すると、窓箔に対する筐体側への押し付け状態が変化する場合がある。その後、再び筐体内を真空引きする際には、窓箔を開放前と同じ状態とするのは非常に困難であるため、異なる状態で筐体側に押し付けられる可能性が高く、窓箔に皺が発生してしまう可能性が高い。そして、この皺の部分からはリークが発生する虞がある。特に、電子線を透過させた後の窓箔は、その電子線透過領域が透過前よりも固くなる場合が多く、一度使用した窓箔を再度利用する際には、皺が発生しやすい傾向にある。
本発明は、真空引きされた電子線照射装置の筐体内を整備等のために筐体の外部雰囲気に開放しても、窓箔に皺が発生するのを抑制することができる窓箔保護ユニット及び電子線照射装置の整備方法を提供することを目的とする。
本発明の窓箔保護ユニットは、電子線を発生する電子線発生部と、電子線発生部を収容する筐体部と、電子線を筐体部の内部から筐体部の外部に透過させる窓箔、及び窓箔を保持する枠体を有する電子線透過窓部と、を備える電子線照射装置に使用される窓箔保護ユニットであって、電子線出射側から窓箔を覆うように枠体に取り付けられ、窓箔の電子線出射側に第1の密閉空間を形成する蓋部と、第1の密閉空間の内外を連通する第1の連通部と、第1の密閉空間内の気圧を計測する圧力計と、を備える。
本発明の窓箔保護ユニットにおいては、蓋部によって形成された第1の密閉空間に対して、第1の連通部を通じて外部から気体を供給することで、第1の密閉空間内を陽圧状態として保持することができる。この際、圧力計によって密閉空間内の気圧を確認しながら、気体の供給を行うことで、適切な陽圧状態を作ることができる。このように、電子線透過窓ユニットの電子線出射側を陽圧状態に維持することで、真空引きされた筐体部を筐体部の外部雰囲気に開放しても、窓箔の状態が維持されるため、再び筐体部を真空にした際の窓箔の皺の発生が抑制される。以上のように、本発明の窓箔保護ユニットによれば、真空引きされた電子線照射装置の筐体内を整備等のために筐体部の外部雰囲気に開放しても、窓箔に皺が発生するのを抑制することができる。
また、蓋部の少なくとも一部は、透明となっていてもよい。これによれば、第1の密閉空間内における窓箔の状態を目視によって確認することができるため、窓箔の状態を常に把握しながら作業を進めることができ、窓箔に皺が発生するのを抑制することができる。
また、蓋部は、本体部、及び本体部と枠体との間に挟まれる気密部材を有してもよい。これによって、第1の密閉空間内の陽圧状態を適切に保持することができ、窓箔に皺が発生するのを抑制することができる。
また、気密部材の形状は、本体部及び枠体に対して面接触する平板状であってもよい。これによれば、本体部と枠体とが傾くことなく密着しやすくなるため、第1の密閉空間内の陽圧状態をより適切に保持することができ、窓箔に皺が発生するのを抑制することができる。
また、電子線出射側と反対側から窓箔を覆うように枠体に取り付けられ、窓箔の電子線出射側と反対側に第2の密閉空間を形成する台座部と、第2の密閉空間の内外を連通する第2の連通部と、を更に備えてもよい。第2の連通部を通じて、第2の密閉空間内を減圧することで、第2の密閉空間内を陰圧状態として保持することができる。そのため、窓箔の電子線出射側は相対的な陽圧状態が確実に保持されるため、窓箔に皺が発生するのを抑制することができる。
また、本発明の電子線照射装置の整備方法は、電子線を発生する電子発生部と、電子線発生部を収容する筐体部と、電子線を筐体部の内部から筐体部の外部に透過させる窓箔、及び窓箔を保持する枠体を有する電子線透過窓部と、を備え、筐体部の内部の真空引き及び筐体部の外部雰囲気への開放が可能な電子線照射装置の整備方法であって、筐体部の内部が真空引きされた状態で窓箔の電子線出射側の空間を外部雰囲気よりも陽圧の陽圧雰囲気に保持する第1の工程と、第1の工程の後に、筐体部の内部を外部雰囲気に開放し、電子線照射装置の整備を行う第2の工程と、第2の工程の後に、筐体部の内部を真空引きする第3の工程と、第3の工程の後に、窓箔の電子線出射側の空間を外部雰囲気に開放する第4の工程と、を備える。
本発明の電子線照射装置の整備方法においては、予め、窓箔の電子線出射側の空間を陽圧雰囲気に保持してから、筐体部の内部空間を筐体部の外部雰囲気に開放して整備を行うため、整備中は、陽圧の作用によって窓箔の状態が維持される。そのため、整備後に再び筐体部を真空引きした際の窓箔の皺の発生が抑制される。これにより、真空引きされた筐体内を整備等のために筐体部の外部雰囲気に開放しても、窓箔に皺が発生するのを抑制することができる。
また、第1の工程では、電子線出射側から窓箔を覆うように枠体に取り付けられ、窓箔の電子線出射側に第1の密閉空間を形成する蓋部と、第1の密閉空間の内外を連通する第1の連通部と、を備える窓箔保護ユニットを用いて、窓箔の電子線出射側の空間を陽圧雰囲気に保持してよい。これによれば、窓箔保護ユニットによって窓箔を密閉した状態で覆うことができるため、電子線出射側の空間を容易に陽圧雰囲気とすることができ、窓箔に皺が発生するのを抑制しつつ、好適に整備を行うことができる。
本発明によれば、真空引きされた電子線照射装置の筐体内を整備等のために筐体の外部雰囲気に開放しても、窓箔に皺が発生するのを抑制することができる窓箔保護ユニット及び電子線照射装置の整備方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る窓箔保護ユニットが使用される電子線照射装置の縦断面図である。 図1の電子線照射装置における電子線透過ユニットの分解斜視図である。 図1の電子線照射装置における電子線透過ユニットのYZ平面に沿った分解断面図である。 本発明の一実施形態に係る窓箔保護ユニットの分解斜視図である。 (a)電子線透過ユニットに窓箔保護ユニットの蓋部が装着された状態を示す平面図である。(b)電子線透過ユニットに窓箔保護ユニットの蓋部が装着された状態を示すYZ平面に沿った断面図である。 (a)電子線透過ユニットに窓箔保護ユニットが装着された状態を示す平面図である。(b)電子線透過ユニットに窓箔保護ユニットが装着された状態を示すYZ平面に沿った断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。便宜上、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
まず、本実施形態に係る窓箔保護ユニットが使用される電子線照射装置の一例について説明する。図1に示されるように、電子線照射装置1は、電子線通過孔20を形成するチャンバ(筐体部)30と、電子線通過孔20の後端20aを塞ぐようにチャンバ30に気密に取り付けられた電子銃(電子線発生部)40と、電子線通過孔20の前端20bを塞ぐようにチャンバ30に気密に取り付けられた、電子線透過窓Wを有する電子線透過ユニット(電子線透過窓部)50と、を備えている。電子銃40が発生した電子線EBは、電子線通過孔20をZ軸方向前側に進行し、電子線透過ユニット50(電子線透過窓W)を透過して外部に出射する。このような電子線照射装置1は、照射対象物への電子線EBの照射によって、当該照射対象物の乾燥、殺菌、表面改質等を行うために使用される。なお、電子線照射装置1によって電子線EBが照射される側である電子線出射側を前側、その反対側を後側とする。また、電子線照射装置1の構成で見た場合、電子線透過ユニット50(電子線透過窓W)側が前側、電子銃(電子線発生部)40側が後側となる。
チャンバ30は、電子線を発生する電子銃40が取り付けられた筐体31を有している。筐体31は、金属により円柱状に形成されている。電子線通過孔20のうち筐体31によって形成される部分である電子線通過孔21の断面は、円形状となっており、電子線通過孔21は、前側の小径部と後側の大径部とが接続された形状となっている。
電子銃40は、金属により直方体状に形成されたケース41を有している。ケース41は、筐体31の後端部に気密に固定されている。ケース41の前壁には、ケース41内と筐体31内とを連通させる開口41aが設けられている。ケース41の側壁には、コネクタ43を取り付けるための開口41bが設けられている。
ケース41内には、絶縁性材料(例えば、エポキシ樹脂等)からなる絶縁ブロック42が配置されている。絶縁ブロック42は、ケース41内に収容された基部42aと、基部42aからZ軸方向前側に突出する突出部42bと、を有している。突出部42bは、基部42aから開口41aを介して電子線通過孔21の大径部内に突出しており、突出部42bの前端部は、Z軸方向において電子線通過孔21の小径部の後端に対向している。基部42aは、ケース41の開口41a側及び開口41b側の内面と接触している。基部42aにおいてケース41の内面と接触しない部分には、導電性材料からなるフィルム45が貼り付けられており、フィルム45は、ケース41と電気的に接続されている。これにより、絶縁ブロック42の表面電位を接地電位として、電子銃40の動作の安定性を向上させることができる。
コネクタ43は、外部の電源装置から、カソードであるフィラメント44に高電圧を供給するためのものである。コネクタ43の基端部は、ケース41の側壁の開口41bを介して外部に突出しており、コネクタ43の先端部は、絶縁ブロック42に埋設されている。コネクタ43の先端部には、一対の内部配線46,46が接続されている。一対の内部配線46,46は、突出部42bの前端部まで延在しており、一対の給電用ピン47,47にそれぞれ接続されている。一対の給電用ピン47,47の先端部には、フィラメント44が掛け渡されている。突出部42bには、給電用ピン47及びフィラメント44を包囲するように、グリッド電極48が固定されている。
筐体31には、電子線通過孔21の小径部を挟んで対になるようにアライメントコイル2及び集束コイル3が設けられている。電子銃40から出射して電子線通過孔21を通過する電子線EBは、アライメントコイル2によって、電子線EBの中心線が電子線通過孔20の中心線CLに一致するように調整された後、集束コイル3によって、電子線透過ユニット50に集束される。なお、筐体31には、電子線通過孔21と真空ポンプとを接続する排気管4が設けられており、これにより、チャンバ30内(すなわち、電子線通過孔20)が真空引きされる。
また、チャンバ30は、筐体31の前端面に固定された偏向管32を有している。偏向管32には、電子銃40が発生した電子線EBを入射させる入射側開口部32a、及び電子線EBを出射させる出射側開口部32bが設けられている。電子線通過孔20のうち偏向管32によって形成される部分である電子線通過孔22の断面は、Y軸方向を長手方向とする略長方形状となっている。偏向管32の外側には、偏向管32の内側を通過する電子線EBを偏向する偏向コイル5が取り付けられている。集束コイル3によって集束されて電子線通過孔22を通過する電子線EBは、偏向コイル5によってY軸方向に偏向される。
更に、チャンバ30は、偏向管32の前端面に固定された走査管33を有している。走査管33は、前側に向かって末広がりの略四角柱状の外形を有している。走査管33には、電子銃40が発生した電子線EBを入射させる入射側開口部33a、及び電子線EBを出射させる出射側開口部33bが設けられている。電子線通過孔20のうち走査管33によって形成される部分である電子線通過孔23の断面は、Y軸方向を長手方向とする略長方形状となっている。
なお、偏向管32の後端部には、フランジ35が設けられており、偏向管32の前端部には、フランジ36が設けられている。また、走査管33の後端部には、フランジ37が設けられており、走査管33の前端部には、フランジ38が設けられている。偏向管32と走査管33とは、フランジ36とフランジ37とが封止部材6を介して接触した状態で、複数のボルト7により気密に固定されている。これにより、偏向管32は、電子銃40が発生した電子線EBが内側を通過するように、走査管33の入射側開口部33aに接続されることになる。電子線照射装置1は、偏向管32の後端部に設けられたフランジ35を介して、適用先の設備の所定箇所に取り付けられる。
電子線透過ユニット50は、走査管33の出射側開口部33bに配置されている。走査管33と電子線透過ユニット50とは、フランジ38と窓枠体(枠体)50Aとが封止部材6を介して接触した状態で、複数のボルトにより気密に固定されている。図2及び図3に示されるように、電子線透過ユニット50は、走査管33の出射側開口部33bに取り付けられた窓枠体50Aを有している。窓枠体50Aの内側には(つまり、窓枠体50Aを前側から見た場合に窓枠体50A内に収まるように)、支持部材52と、電子線透過窓Wを構成する窓箔55とが配置されている。
窓枠体50Aは、走査管33の出射側開口部33bに固定された固定部材51と、固定部材51に対して窓箔55を押圧した状態で、複数のボルトにより固定部材51に固定された押圧部材57と、を有している。固定部材51及び押圧部材57は、例えば銅を含む材料等の熱伝導性の良い金属材料からなる。
固定部材51は、略長方形枠状の外形をなしており、X軸方向を短辺に平行な方向(短手方向)とし、Y軸方向を長辺に平行な方向(長手方向)とする略長方形状の入射側開口51aを有している。固定部材51の前側の表面には、入射側開口51aを包囲するように延在する溝51bが設けられており、溝51b内には、封止部材53が配置されている。固定部材51には、固定部材51を貫通する複数の貫通孔51c、及びボルトによって押圧部材57を固定部材51に固定するための複数のねじ孔51dが、外周縁に沿って形成されている。
押圧部材57は、略長方形枠状の外形をなしており、X軸方向を短手方向とし、Y軸方向を長手方向とする略長方形状の出射側開口57aを有している。押圧部材57の出射側開口57aは、Z軸方向において固定部材51の入射側開口51aと対向している。押圧部材57には、押圧部材57を貫通する複数の貫通孔57c、及びボルトによって押圧部材57を固定部材51に固定するための複数の貫通孔57bが、外周縁に沿って形成されている。貫通孔57cは、貫通孔51cに対応する位置に設けられており、貫通孔57bは、ねじ孔51dに対応する位置に設けられている。
支持部材52は、平板状の枠部52aと、枠部52aの内側に張られ、固定部材51の入射側開口51aと略等しい形状を有するメッシュ部52bと、を有している。支持部材52は、ステンレスからなり、枠部52aは、メッシュ部52bが固定部材51の入射側開口51aに臨んだ状態で、ロウ付け等により固定部材51の前面に固定されている。
窓箔55は、電子線照射装置1の内部雰囲気と外部雰囲気とを仕切るとともに、電子線EBを装置外に取り出す電子線透過窓Wを構成する薄膜状の部材であって、その材料はアルミニウムやチタン、ベリリウム、シリコン等から適宜選択される。窓箔55は、長手方向および短手方向を有する略長方形状を有しているが、固定部材51の入射側開口51a及び押圧部材57の出射側開口57aを覆うことが出来る大きさを有していれば他の形状でも良い。窓箔55は、支持部材52及び封止部材53を覆うように、固定部材51の前面に長手方向がY軸方向(所定の方向)、短手方向がX軸方向(所定の方向と垂直に交わる方向)となるようにして配置されている。
電子線透過ユニット50においては、押圧部材57が、支持部材52の枠部52a、封止部材53及び固定部材51にまたがって配置された窓箔55の周縁部を、固定部材51に押圧している。そして、この状態で、固定部材51と押圧部材57とが、複数のボルト(押圧部材57に設けられた複数の貫通孔57bに挿通されて、固定部材51に設けられた複数のねじ孔51dに螺合されるボルト)により気密に固定されている。これにより、固定部材51及び押圧部材57は、窓箔55を挟持することになり、窓箔55における押圧部材57の出射側開口57aに相当する部分が、長手方向をY軸方向(所定の方向)とし、短手方向をX軸方向(所定の方向と垂直に交わる方向)とする略長方形状(長尺状)となる電子線透過窓Wとして機能する。なお、固定部材51に設けられた複数の貫通孔51c及び押圧部材に設けられた複数の貫通孔57cにボルトが挿通されることによって、電子線透過ユニット50が走査管33のフランジ38に固定される。これにより、電子線透過窓Wは、走査管33の内側を通過した電子線EBを透過させることになる。その際、電子線EBは、偏向コイル5によってY軸方向(所定の方向)に偏向および走査されることで、電子線透過窓Wにおける電子線透過領域は、長手方向をY軸方向(所定の方向)とし、短手方向をX軸方向(所定の方向と垂直に交わる方向)とする略長方形状(長尺状)となる。
以上のように構成された電子線照射装置1の動作について説明する。排気管4を介して真空ポンプによってチャンバ30内(すなわち、電子線通過孔20)が真空引きされる。このとき、窓箔55は、後側に向かって圧力がかかることで、支持部材52におけるメッシュ部52bに押し付けられた状態となる。
フィラメント44に高電圧が印加されると、フィラメント44から電子が放出される。フィラメント44から放出された電子は、グリッド電極48によって形成された電界により加速及び集束され、これにより、電子線EBがZ軸方向前側に出射する。
電子銃40から出射して電子線通過孔21を通過する電子線EBは、アライメントコイル2によって、電子線EBの中心線が電子線通過孔20の中心線CLに一致するように調整された後、集束コイル3によって、電子線透過ユニット50に集束される。集束コイル3によって集束されて電子線通過孔22を通過する電子線EBは、偏向コイル5によってY軸方向に偏向される。つまり、電子線通過孔23を通過する電子線EBの中心線がY軸方向に沿って線状に繰り返し振られるように走査される。
偏向コイル5によってY軸方向に偏向された電子線EBは、電子線透過ユニット50の電子線透過窓Wとしての窓箔55を透過して外部に出射する。外部に出射した電子線EBは、照射対象物の乾燥、殺菌、表面改質等のために、当該照射対象物に照射される。
次に、出荷前における電子線照射装置1の電子線出射検査を行った後や、通常の部品交換、修理等の整備において、真空引きされた電子線照射装置1のチャンバ30内をチャンバ30の外部雰囲気(例えば大気)に開放する方法について説明する。なお、以下の説明においては、チャンバ30の外部雰囲気を大気として記載する。
電子線照射装置1では、通常、出荷前に線量測定などの特性確認の目的で、実際に電子線EBを電子線透過窓W(窓箔55)に入射させる電子線出射検査が行われるが、検査後の出荷時には、搬送中に電子線透過窓Wの破損などが発生しないよう、電子線透過ユニット50がチャンバ30から取り外されてから出荷される。また、フィラメント44の交換や真空ポンプの整備といった電子線照射装置1の整備を行う場合には、真空引きされたチャンバ30内を大気開放する必要がある。いずれの場合においても、真空引きされた状態のチャンバ30内が大気開放されるので、窓箔55に対して後側(メッシュ部52b側)からも大気の圧力がかかることになり、窓箔55に対するメッシュ部52b側への押し付け状態(窓箔55とメッシュ部52bとの接触状態)が変化する。例えば、窓箔55がメッシュ部52bから離れて浮き上がるといったようなことがある。
この状態で、再度チャンバ30内を真空引きしても、窓箔55を大気開放前と同じ状態とするのは非常に困難である。そのため、再度チャンバ30内を真空引きすることで窓箔55がメッシュ部52bに押し付けられる際には、大気開放前と異なる状態で押し付けられる可能性が高く、窓箔55に皺が発生する虞がある。特に、電子線EBを透過させた後の窓箔55は、その電子線透過領域が透過前よりも固くなる場合が多く、一度使用した窓箔55を再度利用する際には、皺が発生しやすい傾向にある。この場合、窓箔55自体は使用に十分耐え得るような状態であっても、発生した皺の部分、つまり急角度で折れ曲がった部分が破損し、窓箔55の気密保持能が低下して、内部雰囲気への外気のリークが発生する可能性が高い。このことは特に、窓箔55を厚さの小さい薄膜にしなくては電子線EBの取出しが困難な低エネルギー(例えば加速電圧が約150kV以下)の電子線照射装置の場合に顕著となる。そこで、本実施形態では、このような窓箔55に対する皺の発生の抑制のために、窓箔保護ユニット100が使用される。
まず、窓箔保護ユニット100の構成について説明する。窓箔保護ユニット100は、前側(電子線出射側)から窓箔55を覆うように電子線透過ユニット50の窓枠体50Aに取り付けられた蓋部101と、後側(電子線出射側と反対側)から窓箔55を覆うように電子線透過ユニット50の窓枠体50Aに取り付けられた台座部110と、を有している。より詳しくは、蓋部101は、電子線透過ユニット50の窓枠体50Aの押圧部材57の一方側の面(前側の面)において、電子線透過窓Wの電子線出射面W1と対向するように装着され、台座部110は、電子線透過ユニット50の窓枠体50Aの固定部材51の他方側の面(後側の面)において、電子線透過窓Wの電子線入射面W2と対向するように装着される。
蓋部101は、平面視において電子線透過ユニット50と略同様の略長方形状をなす板状の本体部102を有しており、本体部102は、その全体が例えばアクリル樹脂等の透明部材によって形成されている。本体部102の一方側(前側)の面には、中央に把持部103が設けられている。また、本体部102には、本体部102の一方側の面から他方側(後側)の面まで貫通する貫通孔102a,102bが形成されている。そして、一方の貫通孔102aの一方側(前面)に開閉バルブを備えた接続ノズル104を接続して連通部105(第1の連通部)が形成されている。また、他方の貫通孔102bの一方側(前側)には、蓋部101の他方側(後側)が面する空間の気圧を計測できるように、圧力計106が接続されている。圧力計106には表示部(不図示)が設けられており、計測された圧力が確認できるようになっている。また、本体部102の後側の面には、中央に出射側開口57a(電子線透過窓Wの電子線出射面W1)と略同形の開口部107aを備えた枠状かつ平板状の気密部材107が配置されている。気密部材107は、例えばシリコーンゴムによって形成される。なお、気密部材107は平板状部材に限らず、本体部102の他方の面の所定の位置に、樹脂等を塗布することで形成しても良いし、本体部102自体を密着性の高い材料で形成することで、本体部102における電子線透過ユニット50との接触面を気密部材107としても良い。また、形状も、平板状ではなく、線状でも良いが、気密保持能や取扱いの点からは平板状の方が好ましい。
図5に示されるように、平面視において、本体部102の外周側には、本体部102の一方側の面から他方側の面まで貫通する複数の孔部101a、孔部101bが形成されている。孔部101aは、電子線透過ユニット50における貫通孔57c及び貫通孔51cに対応する位置に設けられている。孔部101bは、蓋部101を電子線透過ユニット50に固定するための孔であって、電子線透過ユニット50の押圧部材57には、孔部101bに対応する位置に雌ネジ部の形成された孔部57dが設けられている。蓋部101は、電子線透過ユニット50の一方側(前側)に載置された状態で、孔部101bに挿入されたボルトの雄ネジ部が孔部57dの雌ネジ部に螺合されることによって、電子線透過ユニット50に装着される。このとき、本体部102と電子線透過ユニット50との間に気密部材107が挟み込まれた状態で押圧されているため、蓋部101と電子線透過ユニット50との間が気密に固定される。なお、気密部材107においても、孔部101a、孔部101bに対応する位置に、貫通孔または切込みが形成されており、ボルトの挿通を妨げることはない。これにより、窓箔55と蓋部101との間に、第1の密閉空間S1が形成される。より詳しくは、第1の密閉空間S1は、電子線透過窓Wの電子線出射面W1と、押圧部材57(主に出射側開口57a)、気密部材107及び蓋部101の他方側の面で囲まれた空間である。そして、貫通孔102aの一方側に設けられた接続ノズル104の開閉バルブを閉じると、第1の密閉空間S1と外部空間を連通する連通部105が閉じられるため、第1の密閉空間S1は密閉状態となる。
蓋部101は、透明部材によって形成されている。そのため、蓋部101が電子線透過ユニット50に装着された状態で、蓋部101の前側から窓箔55の様子が目視によって確認できるようになっている。なお、図5(a)及び図6(a)では、窓箔55等の目視できるものについても破線によって示されている。
台座部110は、平面視において電子線透過ユニット50と略同様の略長方形状をなす板状部材である。台座部110の一方側(前側)の面には、入射側開口51a(電子線透過窓Wの電子線入射面W2)を包囲するように形成された環状の溝111が設けられており、溝111内には、封止部材112が配置されている。また、台座部110には、一方の開口が、台座部110の一方側の面における溝111によって囲まれた領域の内側に位置し、他方の開口が、台座部110の一方側の面と他方側(後側)の面とを接続する、台座部110の側面に位置する、貫通孔(貫通路)110aが形成されている。この貫通孔110aの他方の開口に開閉バルブを備えた接続ノズル114を気密に接続して連通部115(第2の連通部)が形成されている。
図4に示されるように、平面視において、台座部110の外周側には、台座部110を電子線透過ユニット50に固定するための孔部110bが形成されている。この孔部110bは、電子線透過ユニット50における貫通孔57c、51cに対応する位置に設けられ、雌ネジ部が形成されている。蓋部101の孔部101a側から、押圧部材57の貫通孔57c及び固定部材51の貫通孔51cに挿通されたボルトの雄ネジ部が台座部110の孔部110bの雌ネジ部に螺合されることによって、台座部110は、電子線透過ユニット50に装着される。このとき、電子線透過ユニット50と台座部110とによって封止部材112が挟み込まれて押圧されているため、電子線透過ユニット50と台座部110の間が気密に固定される。これにより、窓箔55と台座部110との間に、第2の密閉空間S2が形成される。より詳しくは、第2の密閉空間S2は、電子線透過窓Wの電子線入射面W2と、固定部材51(主に入射側開口51a)及び台座部110の一方側の面で囲まれた空間である。そして、貫通孔110aの他方の開口に設けられた接続ノズル114の開閉バルブを閉じると、第2の密閉空間S2と外部空間を連通する連通部115が閉じられるため、第2の密閉空間S2は密閉状態となる。
次に、窓箔保護ユニット100を用いて、チャンバ30内を大気開放して整備等をする方法について説明する。本実施形態においては、少なくとも、チャンバ30内が真空引きされた状態で窓箔55の電子線出射側(電子線透過窓Wの電子線出射面W1側)の密閉空間S1を大気(外部雰囲気)より陽圧の陽圧雰囲気に保持する陽圧保持工程と、その後、チャンバ30内を大気開放し、整備等を行う整備工程と、その後、チャンバ30内を真空引きする真空引き工程と、その後、窓箔55の電子線出射側の密閉空間S1を大気開放する開放工程と、を備えるものである。
(使用例1)
使用例1は、例えば、短期間での整備作業で済む場合や、電子線透過ユニット50を電子線照射装置1から取り外す必要がない場合である。
まず、チャンバ30の内部が真空引きされた状態(例えば装置駆動が可能な状態)で窓箔55の電子線出射側の密閉空間S1を外部雰囲気よりも陽圧の陽圧雰囲気に保持する陽圧保持工程が行われる(第1の工程)。陽圧保持工程では、まず、チャンバ30内が真空引きされている電子線照射装置1における電子線透過ユニット50の前側に蓋部101を取り付ける。電子線透過ユニット50における窓箔55の前側(電子線透過窓Wの電子線出射面W1側)が蓋部101によって覆われることで、窓箔55の前側に密閉空間S1が形成される。この状態で、連通部105から密閉空間S1に気体を供給する。密閉空間S1内が所定の気圧になった段階で、気体の供給を停止し、連通部105の接続ノズル104の開閉バルブを閉じることによって、密閉空間S1内が陽圧状態に保持される。なお、整備作業中の気体を継続供給状態とすることで、連通部105の接続ノズル104の開閉バルブを閉じることなく、密閉空間S1内を陽圧状態に保持することも可能である。この場合の接続ノズル104は、必ずしも開閉バルブは必要ではないため接続部としての機能があればよく、また、気体供給源の方に接続部を有する場合には、接続ノズル104自体が不要となる。本実施形態において、密閉空間S1内に供給される気体は、空気、窒素、ヘリウム、アルゴン等の反応性の低い(不活性な)ものであり、反応性の高い腐食性ガス(例えば、オゾン)が含まれないことが好ましい。また、陽圧状態における密閉空間S1の気圧は、チャンバ30内が大気開放(外部雰囲気に開放)されたときに、窓箔55がメッシュ部52bに押し付けられる程度の高さ、つまり大気圧(外部雰囲気の気圧)よりも若干高めであればよく、例えば、大気圧より0.05〜0.1MPa程度高いものとなっている。一方、気体が過度に供給されると、窓箔55が破損する恐れがある。そのため、気体の供給は、圧力計106によって密閉空間S1内の圧力を確認しながら行われることが望ましい。また、圧力計106による確認に加え、透明部材によって形成された蓋部101(本体部102)を介して、目視での確認をしながら気体の供給を行うことで、より適切な陽圧状態とすることができる。
続いて、陽圧保持工程の後に、チャンバ30の内部を大気開放(外部雰囲気に開放)し(チャンバ開放工程)、電子線照射装置1の整備を行う整備工程が行われる(第2の工程)。整備工程におけるチャンバ開放工程では、まず、チャンバ30内が大気開放される。このとき、陽圧保持工程によって窓箔55の電子線出射側である密閉空間S1が陽圧状態に保持されているため、窓箔55の状態に変化は無く、メッシュ部52bに押し付けられた状態が保たれており、窓箔55がメッシュ部52bから離れる(浮き上がる)ことはない。
この状態で、電子線照射装置1における整備個所が確認される。使用例1では、この段階で、電子線透過ユニット50を電子線照射装置1から取り外す必要がないと判断されたとする。そのため、蓋部101が装着された電子線透過ユニット50は、電子線照射装置1に固定されたままの状態にされる。そして、消耗部品の交換等の整備作業が行われる。
続いて、整備工程の後に、チャンバ30の内部を真空引きする真空引き工程が行われる(第3の工程)。真空引き工程では、大気開放されていたチャンバ30内が真空ポンプによって再び真空引きされる。
続いて、真空引き工程の後に、窓箔55の電子線出射側の密閉空間S1を大気開放(外部雰囲気に開放)する窓箔開放工程が行われる(第4の工程)。窓箔開放工程では、蓋部101の連通部105の接続ノズル104の開閉バルブを開ける(または気体の継続供給を停止する)ことで陽圧状態の保持を停止し、電子線透過ユニット50に装着される窓箔保護ユニット100を取り外すことで、窓箔55の電子線出射側が大気開放される。窓箔55の電子線出射側が陽圧状態ではなくなるが、チャンバ30内が真空引きされて陰圧状態になっているため、窓箔55の状態に変化は無く、メッシュ部52bに押し付けられた状態が保たれており、窓箔55がメッシュ部52bから離れることはない。これにより、使用例1による整備が終了する。
(使用例2)
使用例2は、例えば、電子線透過ユニット50とチャンバ30との接続部の確認など、電子線透過ユニット50を電子線照射装置1から取り外す必要がある場合である。
陽圧保持工程及びチャンバ開放工程は、使用例1と同様であるため省略する。使用例2では、電子線透過ユニット50を電子線照射装置1から取り外す必要があると判断されるため、チャンバ開放工程の後に、蓋部101が装着された電子線透過ユニット50が電子線照射装置1から取り外される。そして、その状態で整備工程が行われる。この際、整備作業が短時間で終わることが見込まれており、整備工程が終了するまでの間、密閉空間S1の陽圧状態が保持できると判断されていることとする。
続いて、使用例1と同様に真空引き工程が行われた後に、窓箔開放工程が行われる。使用例2では、整備工程において、蓋部101が装着された電子線透過ユニット50が電子線照射装置1から取り外されているため、まず、蓋部101が装着された状態の電子線透過ユニット50が電子線照射装置1に装着される。その後、使用例1と同様に真空引き工程が行われ、窓箔55の電子線出射側が大気開放される。これにより、使用例2による整備が終了する。
(使用例3)
使用例3は、例えば、整備作業の長期化が見込まれる等によって、電子線透過ユニット50と蓋部101との間に形成される密閉空間S1を長時間、所望の陽圧に保持しておくことが困難であることが予想された場合である。
陽圧保持工程及びチャンバ開放工程は、使用例1と同様であるため省略する。使用例3では、密閉空間S1を長時間、所望の陽圧に保持しておくことが困難であると判断されるため、チャンバ開放工程の後に、まず、蓋部101が装着された電子線透過ユニット50が電子線照射装置1から取り外される。そして、蓋部101が装着された電子線透過ユニット50の後側に台座部110が装着される。この状態で、台座部110の連通部115における接続ノズル114から密閉空間S2内の空気が排気され、密閉空間S2内が陰圧状態となる。ここで、窓箔保護ユニット100における蓋部101の連通部105における接続ノズル104の開閉バルブを開けて(または気体の継続供給を停止し)、窓箔55の電子線出射側の密閉空間S1の陽圧状態の保持を停止して、密閉空間S1を一旦大気開放しても良い。密閉空間S1が大気開放されたとしても、密閉空間S2が陰圧状態であるため、窓箔55の電子線照射側の空間における相対的な陽圧状態が保持される。これにより、窓箔55の状態に変化は無く、メッシュ部52bに押し付けられた状態が保たれており、窓箔55がメッシュ部52bから離れる(浮き上がる)ことはない。密閉空間の陰圧を保持することは、陽圧を保持することよりも比較的容易であるため、台座部110の仕様は長期間の状態維持に向いている。そして、この状態で整備工程が行われる。なお、必ずしも密閉空間S1の陽圧状態の保持を停止する必要は無く、陽圧状態を保持したままでも良い。また、密閉空間S1の陽圧状態の保持を停止した場合には、蓋部101は電子線透過ユニット50から取り外しても良いし、そのまま固定しておいても良い。そのまま固定しておいた場合、接触等による窓箔55の破損を抑制することも可能となる。
続いて、整備工程の後に、チャンバ30の内部を真空引きする真空引き工程が行われる(第3の工程)。整備工程が終了した段階では、電子線透過ユニット50が電子線照射装置1から取り外されている状態であるため、電子線透過ユニット50を電子線照射装置1に装着する必要がある。そのために、蓋部101の連通部105における接続ノズル104から密閉空間S1に気体を供給して、密閉空間S1を陽圧状態に保持する。そして、密閉空間S2を大気開放することで、電子線透過ユニット50から台座部110が取り外される。このとき、密閉空間S2を大気開放しても、密閉空間S1の陽圧状態が保持されているため、窓箔55の状態に変化は無く、メッシュ部52bに押し付けられた状態が保たれており、窓箔55がメッシュ部52bから離れる(浮き上がる)ことはない。次いで、蓋部101が装着された状態の電子線透過ユニット50が電子線照射装置1に装着されてから、大気開放されていたチャンバ30内が再び真空引きされる。
そして、使用例1と同様に、窓箔55の電子線出射側が大気開放され、蓋部101が取り外される。これにより、使用例3による整備が終了する。
以上説明したように、本実施形態の窓箔保護ユニット100においては、蓋部101によって形成された密閉空間S1に対して、連通部105を通じて外部から気体を供給することで、密閉空間S1内を陽圧状態として保持することができる。この際、圧力計106によって密閉空間S1内の気圧を確認しながら、気体の供給を行うことで、適切な陽圧状態を作ることができる。このように、電子線透過ユニット50の電子線出射側を陽圧状態に維持することで、真空引きされたチャンバ30を大気(チャンバ30の外部雰囲気)に開放しても、窓箔55の状態が維持されるため、再びチャンバ30を真空にした際の窓箔55の皺の発生が抑制される。以上のように、本実施形態の窓箔保護ユニット100によれば、真空引きされたチャンバ30内を整備等のために大気開放しても、窓箔55に皺が発生するのを抑制することができる。
また、蓋部101は、少なくとも一部が透明部材によって形成されているため、第1の密閉空間S1内における窓箔55の状態を目視によって確認することができる。これにより、窓箔55の状態を常に把握しながら作業を進めることができ、窓箔55に皺が発生するのを抑制することができる。
また、蓋部101は、本体部102と、本体部102と電子線透過ユニット50(押圧部材57)との間に挟まれる気密部材107と、を有しているため、密閉空間S1内の陽圧状態を適切に保持することができる。この気密部材107は、本体部102及び電子線透過ユニット50に対して面接触する平板状をなしているため、電子線透過ユニット50に対して本体部102が傾くことなく密着しやすくなり、密閉空間S1内の陽圧状態をより適切に保持することができ、窓箔55に皺が発生するのを抑制することができる。
また、窓箔保護ユニット100は、台座部110を備えているため、台座部110に形成された第2の連通部115を通じて、第2の密閉空間S2内を減圧することで、第2の密閉空間S2内を陰圧状態として保持することができる。そのため、何らかの理由で第1の密閉空間S1の圧力が低下したとしても、窓箔55の電子線出射側は相対的な陽圧状態が確実に保持されるため、窓箔55に皺が発生するのを抑制することができる。
また、窓箔保護ユニット100における蓋部101の中央には把持部103が設けられているため、窓箔保護ユニット100が装着された状態の電子線透過ユニット50を容易に持ち運ぶことができる。
また、以上説明したように、本実施形態による電子線照射装置1の整備方法においては、予め、窓箔55の電子線出射側の密閉空間S1を陽圧雰囲気に保持してから、チャンバ30の内部空間を大気開放(チャンバ30の外部雰囲気に開放)して整備を行うため、整備中は、陽圧の作用によって窓箔55の状態が維持される。そのため、整備後に再びチャンバ30を真空引きした際の窓箔55の皺の発生が抑制される。これにより、真空引きされた筐体内を整備等のために大気開放しても、窓箔55に皺が発生するのを抑制することができる。
また、本実施形態による電子線照射装置1の整備方法においては、窓箔保護ユニット100を用いているため、窓箔保護ユニット100によって窓箔55を密閉した状態で覆うことができる。これにより、窓箔55における電子線出射側の空間を容易に陽圧雰囲気とすることができ、窓箔55に皺が発生するのを抑制しつつ、好適に整備を行うことができる。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、寸法、形状、材質等の具体的な構成はこの実施形態に限られるものではない。
例えば、窓箔保護ユニット100における蓋部101の本体部102が板状の透明部材によって形成されている例を示したが、これに限定されない。蓋部101は、少なくとも一部が透明になっていることで、電子線透過ユニット50に装着された際に、窓箔55を目視によって確認できるものである。そのため、例えば、蓋部101における窓箔55を確認できる位置に、透明部材によって構成される窓部を設けてもよい。
また、電子線透過ユニット50に対する窓箔保護ユニット100の取付構造については、実施形態の構造に限定されるものではない。電子線照射装置1に固定された状態の電子線透過ユニット50に対して、蓋部101を着脱することができればよい。また、蓋部101が装着された状態の電子線透過ユニット50を、その状態を維持して電子線照射装置1に対して着脱できればよい。また、蓋部101が装着された状態の電子線透過ユニット50に対して、その状態を維持して台座部110を着脱できればよい。
1…電子線照射装置、30…チャンバ(筐体部)、40…電子銃(電子線発生部)、50…電子線透過ユニット(電子線透過窓部)、50A…窓枠体(枠体)、55…窓箔、57…押圧部材(枠体)、100…窓箔保護ユニット、101…蓋部、102…本体部、105…第1の連通部、107…気密部材、110…台座部、115…第2の連通部、EB…電子線、S1…第1の密閉空間,S2…第2の密閉空間、W…電子線透過窓。

Claims (5)

  1. 電子線を発生する電子線発生部と、
    前記電子線発生部を収容する筐体部と、
    前記電子線を前記筐体部の内部から前記筐体部の外部に透過させる窓箔、及び前記窓箔を保持する枠体を有する電子線透過窓部と、を備える電子線照射装置に使用される窓箔保護ユニットであって、
    電子線出射側から前記窓箔を覆うように前記枠体に取り付けられ、前記窓箔の電子線出射側に第1の密閉空間を形成する蓋部と、
    前記第1の密閉空間の内外を連通する第1の連通部と、
    前記第1の密閉空間内の気圧を計測する圧力計と、を備え
    前記蓋部の少なくとも一部は、透明となっている、窓箔保護ユニット。
  2. 前記蓋部は、本体部、及び本体部と前記枠体との間に挟まれる気密部材を有する、請求項記載の窓箔保護ユニット。
  3. 前記気密部材の形状は、前記本体部及び前記枠体に対して面接触する平板状である、請求項記載の窓箔保護ユニット。
  4. 電子線出射側と反対側から前記窓箔を覆うように前記枠体に取り付けられ、前記窓箔の電子線出射側と反対側に第2の密閉空間を形成する台座部と、
    前記第2の密閉空間の内外を連通する第2の連通部と、を更に備える、請求項1〜のいずれか一項記載の窓箔保護ユニット。
  5. 電子線を発生する電子線発生部と、
    前記電子線発生部を収容する筐体部と、
    前記電子線を前記筐体部の内部から前記筐体部の外部に透過させる窓箔、及び前記窓箔を保持する枠体を有する電子線透過窓部と、を備え、前記筐体部の内部の真空引き及び外部雰囲気への開放が可能な電子線照射装置の整備方法であって、
    前記筐体部の内部が真空引きされた状態で前記窓箔の電子線出射側の空間を前記筐体部の外部雰囲気よりも陽圧の陽圧雰囲気に保持する第1の工程と、
    前記第1の工程の後に、前記筐体部の内部を前記外部雰囲気に開放し、前記電子線照射装置の整備を行う第2の工程と、
    前記第2の工程の後に、前記筐体部の内部を真空引きする第3の工程と、
    前記第3の工程の後に、前記窓箔の電子線出射側の前記空間を前記外部雰囲気に開放する第4の工程と、を備え
    前記第1の工程では、
    電子線出射側から前記窓箔を覆うように前記枠体に取り付けられ、前記窓箔の電子線出射側に密閉空間を形成する蓋部と、前記密閉空間の内外を連通する連通部と、前記密閉空間内の気圧を計測する圧力計と、を備え、前記蓋部の少なくとも一部が、透明となっている窓箔保護ユニットを用いて、前記窓箔の電子線出射側の前記空間を前記陽圧雰囲気に保持する、電子線照射装置の整備方法。
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