JP6341494B2 - イオン生成装置 - Google Patents
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Description
このような装置では、放電電極を囲むアース電極だけでなく、ケーシングの先端にイオン噴出口となる流通孔を形成した金属製の導電板を設けて、この導電板をアース電極とするものがある。
このようなイオンダメージで導電板に形成された流通孔が消耗し、その開口径が大きくなったり、流通孔の方向が曲がってしまったりすることがある。このように、流通孔が変形すると、その流通孔を通過して噴出する圧力流体の方向や速度が変化してしまう。実際には、圧力流体の流速が落ちてしまうため、目的のイオン流が噴出されないことも起こる。
そこで、流通孔が形成された導電板を頻繁に交換して、上記イオン流を安定化しなければならないという問題があった。
この発明の目的は、イオン噴出口を構成する部品の交換頻度を高くしなくても、イオン噴出口から放射されるイオン流を長期にわたって安定化することができるイオン生成装置を提供することである。
イオン噴出口を構成する部材を導電材料のみで形成した場合には、短期間で流通孔が変形し、目的のイオン流が放出されなくなってしまうため、頻繁に部品の交換が必要であった。この発明によれば、導電板の流通孔が変化しても、下流側の絶縁板の流通孔が変化しなければ、所期のイオン流の方向や勢いを保つことができるため、部品の交換サイクルを飛躍的に伸ばしながら、長期にわたってイオン流を安定化することができる。
特に、比較的イオンダメージの少ないタングステンやモリブデンなどの高価な金属板の交換サイクルを伸ばせるメリットは大きい。
固定手段aには電動モーターmを固定しているが、この電動モーターmの出力軸1に駆動ギア2を固定している。さらに上記固定手段aには、中央に孔を形成したステンレスなどの導電材料からなるリング状の取り付け板3をねじ部材n1で固定するとともに、この取り付け板3には導電材料からなる筒状のベアリングホルダー4をねじ部材n2で固定している。
上記筒状のベアリングホルダー4には、導電材料からなる円柱状のロータリー本体5を挿入するとともに、このロータリー本体5とベアリングホルダー4との間に、一対のボールベアリング6,7及びベアリングカラー8を介在させて、上記ベアリングホルダー4に対してロータリー本体5を回転自在に支持している。
上記ロータリー本体5であってベアリングホルダー4の先端に対応する位置に、止め用段部5aを形成するとともに、この止め用段部5aに一方のボールベアリング6をとめている。また、他方のボールベアリング7は、ロータリー本体5であって取り付け板3との対向面に固定したベアリング押さえ板9によって固定されている。このベアリング押さえ板9は、その円周方向に複数固定したねじ部材n3で上記ロータリー本体5に固定されている。
なお、図中符号n4は、ロータリー本体5に形成したフランジ部5bを貫通して回転ギア10に挿入したねじ部材である。
上記のように構成したので、電動モーターmを駆動して駆動ギア2を回転させれば、この駆動ギア2の回転力が回転ギア10を介してロータリー本体5に伝達され、ロータリー本体5は、ベアリングホルダー4と相対回転することになる。
なお、図中符号12は第1中空体11に接続したアース線である。
上記のようにした第1中空体11は、上記取り付け板3とは反対端にねじ結合させた連結部材16を介して第2中空体17をねじ結合させ、これら第1,2中空体11,17及び連結部材16でこの発明の中空体を構成する。なお、これら連結部材16及び第2中空体17は絶縁材料である樹脂で構成され、上記第1中空体11とは電気的に絶縁されている。
なお、上記円筒部材19とロータリー本体5との間には、セラミック製の支持板20を挟持させている。この支持板20は、その中心にパイプ支持孔を形成するとともに、このパイプ支持孔の周囲には圧力流体が流通する流通孔を形成している。
上記円筒部材19、絞り筒部材21及びキャップ部材22で構成されるケーシング18には、第1の導電パイプ23を導いているが、この第1の導電パイプ23は、上記支持板20のパイプ支持孔で支持されるとともに、基端側が、流体通路5cの一方の開口5dにはめ込んで固定されたセラミック製の支持板24の支持孔24aに支持されている(図4参照)。また、この支持板24には、図4に示すように、圧力流体を流通させる複数の流通孔24bを形成している。
また、上記第1の導電パイプ23と流体通路5cとの間、及び第1の導電パイプ23とケーシング18との間に、圧力流体が流通する空間が形成されるようにしている。ただし、上記旋回流生成手段25には、それを貫通する螺旋孔25bを形成し、上記圧力流体がこの螺旋孔25bを通過したとき、旋回流生成手段25を通過した流体が旋回流になるようにしている。
上記のように旋回流生成手段25から突出した第1の導電パイプ23の先端には、タングステンからなる筒状の放電電極27を、ねじ部27aを介してねじ結合している。そして、第1の導電パイプ23と放電電極27とは、ねじを緩めて必要に応じて切り離し可能にしている。そのため、上記放電電極27が放電によって消耗した場合には、新たな放電電極との交換も簡単にできる。
上記のようにしたアースリング28は、ケーシング18、ロータリー本体5、ボールベアリング7、ベアリングホルダー4、取り付け板3及び第1中空体11を介して、上記アース線12と電気的に導通している。
なお、上記第1の導電パイプ23が上記支持板20及び旋回流生成手段25によってケーシング18の中心位置に保持されているため、これに接続した上記放電電極27もケーシング18の中心に位置し、上記貫通孔28bと放電電極27との間に一定の隙間が保たれるようにしている。
したがって、放電電極27に高電圧が印加されれば、この放電電極27とアースリング28との間で放電が起こる。
そして、上記導電板30と上記放電電極27の先端面27bとの間に所定の間隔を保ち、放電電極27から流出する直進流と上記旋回流生成手段25によって形成される旋回流とを合流させる合流室22cが形成される。
この絶縁板29には、3個の流通孔29aを貫通させているが、これら流通孔29aは、図3に示すように、正三角形の頂点位置に配置している。そして、この正三角形の中心は、上記絶縁板29の中心に一致させている。
また、上記各流通孔29aは、図2及び図7の模式図に示すように、上記導電板30に密着する側の開口径d2を、上記導電板30とは反対側における開口径d1よりも大きくしている。
上記絶縁板29をキャップ部材22にねじ結合することによって、絶縁板29と上記環状凸部22bとの間に導電板30を固定するとともに、絶縁板29の各流通孔29aと導電板30の各流通孔30aとを連続させている。
なお、この実施形態では、上記導電板30及び絶縁板29の中心に流通孔29a及び30aを形成していない。それは、後で説明するように放電電極27から圧力流体を噴出させたとき、噴出した圧力流体からなる直線流が中央に形成された流通孔29aから優先的に噴出し、他の流通孔29aとの間で差が出ることがないようにするためである。
そして、キャップ部材22は、上記したように第1中空体11に接続した上記アース線12によってアースされた絞り筒部材21に接続しているので、導電板30もアースされ、この導電板30は上記アースリング28とともに、この発明のアース電極を構成する。したがって、上記放電電極27に高電圧が印加されると、上記放電電極27と導電板30との間にも放電が発生する。
なお、図1,2中の符号32は上記キャップ部材22の位置を調整するためのナットである。
図4に示すように、上記第2の導電パイプ15の先端に大径部15aを形成するとともに、この大径部15aの外周を、導電材料からなる連結ナット33とねじ結合している。
さらに、上記連結ナット33には第1の導電パイプ23を挿入するとともに、これら第1の導電パイプ23と上記連結ナット33との間に、シール機能を備えたボールベアリング34を介在させている。
そして、第1の導電パイプ23と第2の導電パイプ15とは、その回転中心を一致させた状態で相対回転することになる。このとき、第1,2の導電パイプ23,15の開口中心とロータリー本体5の回転中心軸とが一致するようにしている。
上記の構造のもとでは、第1,2導電パイプ23,15は、連結ナット33及びボールベアリング34を介して電気的に導通している。
上記のように構成することによって、上記連結ナット33が実質的に支持板24に相対回転自在に支持されることになる。このように連結ナット33が支持板24に支持されることによって、連結ナット33部分の中心が揺れ動いたりしなくなる。
しかも、上記第2の電動パイプ15は、上記支持板14にも支持されているので、たとえロータリー本体5が回転しても、常に安定した状態を保つことができる。
なお、上記支持板14も、上記支持板20,24と同様にセラミックからなる板部材で、第2の導電パイプ15を貫通して支持する支持孔と流体を流通させる流通孔とを備えている。
また、継手41は、ホース43を介して取付孔17dに取り付けたホースニップル44にも接続している。
このようにした継手41は、上記圧力流体源から導かれた圧力流体を分岐させてホース40に導いたり、ホース43に導いたりできるようにしている。
一方、上記ホース43に導かれた圧力流体は、上記第2中空体17内に供給される。このように、上記第2中空体17内に供給された圧力流体は、上記連結部材16、第1中空体11、ロータリー本体5内の流体通路5cを通過してケーシング18内に供給される。ケーシング18内に供給された圧力流体は上記旋回流生成手段25の螺旋孔25bを通過し、その下流側、すなわち放電電極27の外周で旋回流を形成する。
なお、この高圧給電板45は、外径を第2中空体17の内径よりも小さくして、外周が第2中空体17に接触しない大きさにしている。また、この高圧給電板45には流体を通過させる複数の流通孔45bを形成し、この流通孔45bと上記高圧給電板45の外側に形成される空間とが相まって上記第2中空体17内に供給された圧力流体の流路が形成される。
そして、上記コネクタ48内には、上記高圧ケーブル47の先端を挿入した絶縁材料からなるケーブルガイド49とOリング50とを挿入している。
また、上記圧縮コイルばね51の他方の端部を、上記高圧給電板45であって流通孔45bが形成されていない部分に対向させている。これにより、圧縮コイルばね51の先端は、弾性力によって上記高圧給電板45に押し付けられて接触し、上記高圧ケーブル47と高圧給電板45とは安定して電気的導通状態を保つことができる。
したがって、高電圧ケーブル47に接続した高電圧源によって、放電電極27に高電圧が印加されることになる。
また、圧力流体供給用のホース40,43も上記ホースニップル38,44の部分で簡単に取り外すことができる。
また、圧力流体源から供給された圧力流体は、放電電極27の先端から噴出する直進流とともに、放電電極27の周囲の旋回流となり、これらが上記合流室22c内で合流して上記キャップ部材22内で生成されたイオンをイオン流として噴出させる。
このような旋回流だけでは、従来の装置のように、軸線に沿った直進方向の移送力が小さくなってしまうため、ケーシング18の外部へ十分な量のイオンを放出できないが、この実施形態のイオン生成装置では、上記放電電極27がパイプ状であり、流体通路となっているため、放電電極27の先端から噴出する圧力流体による直進流が、旋回しているイオンを引き込み、軸方向の推進力を付加すると考えられる。
このイオン生成装置から噴出するイオン流は、上記旋回流と直進流との合流によって、イオン濃度を保ってより遠くまで噴出させることができる。
図6(a)は、上記実施形態のイオン生成装置を用い、高電圧源の出力を500Wとするとともに、圧力流体源からは流量150〔L/min〕、圧力0.5〔MPa〕のエアを、ホース42を介して2本のホース40,43(図5参照)に供給したときの実験結果を示している。つまり、この実験ではキャップ部材22内には、放電電極27から噴出する、矢印αで示す直進方向のエア流と、上記旋回流生成手段25によって形成された矢印βで示した旋回流が発生し、これらが合流している。
このイオン生成装置では、上記放電電極の近傍で生成されたイオン空間を旋回流(矢印β)が撹拌することによって、キャップ部材22の合流室22c内にイオンが均一に広がり、放電電極27から噴出する直進流(矢印α)がそれを引き込んで前方へ移送することによって、全ての流通孔29aからイオン流が噴出したものと考えられる。
なお、この実施形態では、上記導電板30及び絶縁板29の中心に流通孔29a及び30aを形成していないため、放電電極27からの直進流が、そのまま流通孔30a及び29aから外部へ放出されることがなく、放電電極27の先端近傍で生成されたイオンを効率的に引き込んで、全ての流通孔29aから均等にイオン流を噴出できたと考えられる。
この実験から、上記旋回流(矢印β)のみでは、イオンを前方へ噴出させる直進方向の力が不足してしまうと予想される。
この実験で、旋回流(矢印β)によって旋回するイオンも、その一部は旋回流に乗って流通孔30a及び29aへ向かうが、旋回流のみによって流通孔29aに到達するイオン量は直進流と合流した場合と比べて少ないと考えられる。そのため、上記旋回流において上流側になった流通孔29aから先にイオン流が噴出すると、他の流通孔29aからはイオンを含まない圧力流体のみが噴出しているものと予想できる。
イオンは、放電電極27とアースリング28との間に発生する放電によって生成されるため、放電電極27の周囲にリング状に存在している。一方、放電電極27から噴出するエア流は、上記リング状に分布しているイオン空間の中心を突き抜ける直進流となるため、この直進流だけでは、イオンを巻き込む機能が不十分であったためと推測できる。
また、この実施形態のイオン生成装置は、上記電動モーターmによってロータリー本体5を回転させることができる。ロータリー本体5が回転すれば、このロータリー本体5の回転中心軸から偏心した位置に固定された上記ケーシング18が、上記回転中心軸を中心とする円運動をすることになる。その結果、イオン噴出口が円運動し、実質的にイオン流の噴出範囲を広くすることもできる。
しかも、上記第2の導電パイプ15の開口中心を回転中心軸と一致させて、上記第1の導電パイプ23と連結しているため、第1の導電パイプ23が回転しても、第2の導電パイプ15は円運動しない。このように、第2の導電パイプ15が円運動しないので、この第2の導電パイプ15を設けた第1,第2中空体11,17の内径を円運動の半径に対応させて大きくする必要がなく、装置をコンパクトにすることができる。
このように絶縁板29と導電板30とを配置したことによってイオン噴出口から噴出されるイオン流を長期にわたってより安定化することができる。
上記放電電極27に高電圧を印加すると、主な放電は上記アースリング28と放電電極27の先端との間に発生するが、上記導電板30もアースに接続しているので、放電電極27から上記導電板30に向かう放電も発生する。このような導電板30を設けたことによってイオン空間が大きくなって、イオンを効率的に生成することができる。したがって、イオンを効率的に生成するためには、イオン噴出口を構成する導電板30がアース電極を構成することが有効である。
セラミック製などの絶縁板29は、導電板30のようなイオンダメージを受けないので、流通孔29aはイオン流が通過しても変形することがない。そのため、導電板30の流通孔30aがイオンダメージによって変形し、イオン流の方向などが多少変化したとしても、その流れを上記絶縁板29の流通孔29aによって修正して噴出させることができる。
特に、上記流通孔29aの上流側開口径d2を導電板30の流通孔30aの開口径d3よりも大きくしているので、導電板30の流通孔30aから噴出するイオン流を、確実に絶縁板29の流通孔29aに導くことができる。
なお、上記導電板30を形成するタングステンやモリブデンなどは、ステンレスなどの他の金属と比べるとイオンダメージを受けにくい材料であるが、他の金属材料と比べて高価である。上記絶縁板29を設けることによって、上記のような高価な部品の寿命を延ばせることは有意義である。
27 放電電極
28 (アース電極を構成する)アースリング
29 絶縁板
29a 流通孔
30 (アース電極を構成する)導電板
30a 流通孔
Claims (2)
- 圧力流体源に接続し、イオン噴出口を備えたケーシングと、
このケーシング内に設け、高電圧を印加する放電電極と、
この放電電極との間で放電させるためのアース電極と、
を備え、
上記放電電極に高電圧を印加して上記アース電極との間の放電によってイオンを生成し、
このイオンを上記イオン噴出口から噴出させるイオン生成装置であって、
上記イオン噴出口は、
複数の流通孔が形成され、上記アース電極を構成する導電板と、
複数の流通孔が形成され、上記圧力流体源から供給された圧力流体の流出方向に対して上記導電板の下流側に設けられた無機材料からなる絶縁板とからなり、
上記導電板と上記放電電極の先端面とを対向させるとともに、
上記導電板の流通孔及び絶縁板の流通孔を経由する上記圧力流体によって上記イオンを噴出させる構成にしたイオン生成装置。 - 上記絶縁板の流通孔において上記導電板に密着する側の開口径は、上記絶縁板の流通孔において上記導電板と反対側の開口径、及び上記導電板に形成された流通孔の開口径よりも大きくされた請求項1に記載のイオン生成装置。
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