JP6330237B2 - ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地、ラクトバチルス属乳酸菌の培養方法及びラクトバチルス属乳酸菌培養物の製造方法 - Google Patents

ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地、ラクトバチルス属乳酸菌の培養方法及びラクトバチルス属乳酸菌培養物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地、ラクトバチルス属乳酸菌の培養方法及びラクトバチルス属乳酸菌培養物の製造方法に関する。
ラクトバチルス属乳酸菌は、ヒトや家畜の健康に有益な効果を示す生菌(プロバイオティクス)として食品や飼料への応用が期待されている。
しかしながら、ラクトバチルス属乳酸菌の培養は困難であり、特殊な培地で培養する必要がある。
例えば、世界的に汎用されている人工合成培地(MRS培地)は、ラクトバチルス属乳酸菌を良好に培養することができる(例えば、非特許文献1を参照)。
また、特許文献1には、ホエーに、a)グルコース、b)カゼイン酵素分解物、c)Tween(登録商標)80、オレイン酸ナトリウムまたはデカグリセリンモノオレエート、d)酵母エキス、を添加することを特徴とする乳酸桿菌用培地が開示されている。
特許第4780565号公報
J. C. DE MAN, et al., A MEDIUM FOR THE CULTIVATION OF LACTOBACILLI, J. Appl. Bact. 23, 130-135, 1960
しかしながら、MRS培地は、食品に添加することが認められていない硫酸マンガン四水和物等の成分を含有しているため、MRS培地で培養したラクトバチルス属乳酸菌の培養物は、そのまま食品に添加することができない。
一方、ホエー等の乳由来成分は、栄養成分が豊富なため、他の微生物による汚染を受けやすく、取り扱いが困難な場合がある。また、乳由来成分を含有する培地は、アレルギー源を含有するため、使用制限が生じる場合がある。
そこで、本発明は、硫酸マンガン四水和物や乳由来成分を実質的に含有しない、ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地を提供することを目的とする。本発明はまた、上記培地を用いたラクトバチルス属乳酸菌の培養方法及びラクトバチルス属乳酸菌培養物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
[1]ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地であって、ペプトン、牛肉エキス(ラブ・レムコ粉末)、工業用酵母エキス、硫酸マンガン四水和物を実質的に含有せず、食品添加用酵母エキスを含有する、培地。
[2]ペプトン、牛肉エキス、工業用酵母エキス、硫酸マンガン四水和物を実質的に含有せず、食品添加用酵母エキスを含有する食品グレード培地中で、ラクトバチルス属乳酸菌を培養する工程を含む、ラクトバチルス属乳酸菌の培養方法。
[3]ペプトン、牛肉エキス、工業用酵母エキス、硫酸マンガン四水和物を実質的に含有せず、食品添加用酵母エキスを含有する食品グレード培地中で、ラクトバチルス属乳酸菌を培養する工程を含む、ラクトバチルス属乳酸菌培養物の製造方法。
本発明によれば、硫酸マンガン四水和物や乳由来成分を実質的に含有しないにもかかわらず、ラクトバチルス属乳酸菌を良好に培養することができる、ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地、上記培地を用いたラクトバチルス属乳酸菌の培養方法及びラクトバチルス属乳酸菌培養物の製造方法を提供することができる。
図1は、実施例1〜10、比較例1及び2の培地でラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株を24時間培養後のpHの値を示したグラフである。 図2は、実施例1〜10、比較例1及び比較例2の培地でラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株を24時間培養後の濁度の値を示したグラフである。 図3は、実施例1〜10、比較例1及び比較例2の培地でラクトバチルス・ガセリJCM1130菌株を24時間培養後のpHの値を示したグラフである。 図4は、実施例1〜10、比較例1及び比較例2の培地でラクトバチルス・ガセリJCM1130菌株を24時間培養後の濁度の値を示したグラフである。 図5は、実施例4及び比較例1の培地で各種ラクトバチルス・ガセリ菌株を24時間培養後のpHの値を示したグラフである。 図6は、実施例4及び比較例1の培地で各種ラクトバチルス・ガセリ菌株を24時間培養後の濁度の値を示したグラフである。 図7は、実施例4、実施例11〜14及び比較例1の培地で、ラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株を24時間培養後のpHの値を示したグラフである。 図8は、実施例4、実施例11〜14及び比較例1の培地で、ラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株を24時間培養後の濁度の値を示したグラフである。 図9は、実施例4及び比較例1の培地で各ラクトバチルス属乳酸菌株を24時間培養後のpHの値を示したグラフである。 図10は、実施例4及び比較例1の培地で各ラクトバチルス属乳酸菌株を24時間培養後の濁度の値を示したグラフである。
[ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地]
1実施形態において、本発明は、ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地であって、ペプトン、牛肉エキス(ラブ・レムコ粉末)、工業用酵母エキス、硫酸マンガン四水和物を含有せず、食品添加用酵母エキスを含有する、培地を提供する。
上記培地は、ラクトバチルス属乳酸菌を良好に増殖させることができる。ラクトバチルス属乳酸菌としては、ラクトバチルス・ガセリ菌株、ラクトバチルス・アシドフィルス菌株、ラクトバチルス・カゼイ菌株、ラクトバチルス・ヘルベティカス菌株等が挙げられる。
「食品グレード」とは、上記培地が食用に適することを意味する。より具体的には、上記培地に含まれる全ての成分が、食品に添加することを認められていることを意味する。したがって、上記培地をヒトが摂取しても人体に悪影響を及ぼすことがない。培地が食品グレードであるため、上記培地で培養したラクトバチルス属乳酸菌の培養物は、そのまま簡便かつ安全に各種食品に添加することができる。
<MRS培地>
世界的に汎用されている、ラクトバチルス属乳酸菌培養用人工合成培地である、MRS培地の成分を表1に示す。
Figure 0006330237
表1に示す成分のうち、ペプトン、牛肉エキス(ラブ・レムコ粉末)、工業用酵母エキス及び硫酸マンガン四水和物は、食品に添加することが認められていないものである。
<ペプトン>
ペプトンとは、タンパク質を加水分解、酵素分解又は発酵することによって得られる、アミノ酸が複数結合した物質をいう。由来によって様々なペプトンが存在し、例えば、肉エキス、カゼインペプトン、魚肉ペプトン、大豆ペプトン、エンドウ豆ペプトン、小麦ペプトン、大麦ペプトン、綿実ペプトン等が挙げられる。
<ラブ・レムコ粉末>
ラブ・レムコ粉末とは、牛肉エキスである。
<工業用酵母エキス>
工業用酵母エキスとは、培地用酵母エキスとも呼ばれて流通しているものであり、食品に添加することが認められていない酵母エキスである。
<硫酸マンガン四水和物>
上述の非特許文献1に記載されているように、硫酸マンガン四水和物は、ラクトバチルス属乳酸菌の培養に必須の培地成分であると考えられている。しかしながら、硫酸マンガン四水和物には毒性があり、食品に添加することが認められていない。
本実施形態に係る培地は、ペプトン、牛肉エキス、工業用酵母エキス、硫酸マンガン四水和物を実質的に含有せず、食品添加用酵母エキスを含有する。ペプトン、牛肉エキス、工業用酵母エキス、硫酸マンガン四水和物を実質的に含有しないとは、これらの成分を、全く含有しないか、又は人体に悪影響を及ぼさない量しか含有しないことを意味する。あるいは、これらの成分を、本実施形態に係る培地を食用に適するものと管轄当局が判断する量しか含有しないことを意味する。
<食品添加用酵母エキス>
食品添加用酵母エキスとしては、食品用(食品添加用)に市販されているものであれば特に制限なく用いることができる。酵母エキスは、酵母の有効成分を自己消化法、酵素分解法、熱水抽出法等の方法により抽出したものである。自己消化法とは、生酵母を原料に用い、酵母自身が持つ酵素を利用して酵母の成分を分解し抽出する方法である。酵素分解法とは、酵母の持つ酵素群を、熱処理や乾燥処理等により不活化させておき、改めてタンパク質分解酵素、核酸分解酵素等の酵素を添加して酵母の成分を分解し抽出する方法である。酵母エキスの原料の酵母としては、パン酵母、ビール酵母、トルラ酵母等が挙げられる。
食品添加用酵母エキスの具体例としては、酵母エキスSA−R、酵母エキスSA−M、酵母エキスS、酵母エキスFR、酵味(ペースト)、酵味(粉末)、酵母エキスSL−W、酵母エキスBY−G、酵母エキスHR(以上、MCフードスペシャリティーズ株式会社製);酵母エキスH(協和発酵キリン株式会社製);酵母エキスサンライク、酵母エキスRN−1(以上、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)等が挙げられる。
これらの食品添加用酵母エキスのうち、ラクトバチルス属乳酸菌の増殖性の観点からは、酵母エキスSA−M、酵母エキスS、酵母エキスFR、酵味(ペースト)、酵母エキスH、酵母エキスSL−W、酵母エキスHRが好ましく、酵母エキスS、酵母エキスFR、酵味(ペースト)、酵母エキスH、酵母エキスSL−Wがより好ましく、酵母エキスFR、酵母エキスHがさらに好ましい。
また、食品添加用酵母エキスとしては、核酸分解物を含有する食品添加用酵母エキスが好ましく、グアノシンを含有する食品添加用酵母エキスがより好ましい。
ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地中の食品添加用酵母エキスの含有量は、例えば0.3〜5w/v%が例示できる。
1実施形態において、ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地は、食品添加用酵母エキスを唯一の窒素源として含有する。このため、食品添加用酵母エキスの濃度を制御することにより、ラクトバチルス属乳酸菌の増殖を容易に調節することができる。
ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地は、食品に添加することが認められている成分である限り、微生物用培地に通常含有される他の成分を含有していてもよい。このような成分として、例えば、グルコース、モノオレイン酸ソルビタン(Tween(登録商標)80)、リン酸水素二カリウム、酢酸ナトリウム三水和物、クエン酸三アンモニウム、硫酸マグネシウム七水和物等が挙げられる。
<乳由来成分>
ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地は、乳由来成分を実質的に含有しないことが好ましい。乳由来成分を含有する培地は不透明な場合があり、濁度測定によるラクトバチルス属乳酸菌の生育性判定が困難な場合がある。しかしながら、乳由来成分を実質的に含有しないことにより、培地が透明となり、濁度測定により乳酸菌の生育性判定が容易となりやすい。
また、乳由来成分を含有する培地は、pHの変化や加熱によって性状が変化しやすく、例えば遠心分離により培養後の菌体を回収するときに、凝固したカゼイン等が混入し、純粋な菌体を得ることが困難な場合がある。しかしながら、乳由来成分を実質的に含有しないことにより、遠心分離等により培養後の菌体を回収するときに、菌体以外の成分が混入することが少なく、純粋な菌体を得ることが容易である。
また、乳由来成分を含有すると、アレルギーの原因となる場合がある。しかしながら、乳由来成分を実質的に含有しないことにより、アレルギーの原因になりにくい培地を得ることができる。
乳由来成分を実質的に含有しないとは、乳由来成分を全く含有しないか、上述の問題が生じない程度しか含有しないことを意味する。乳由来成分としては、ホエー、カゼイン、乳清タンパク質濃縮物、これらを酵素処理等により加工したもの等が挙げられる。
また、本実施形態に係る培地は、従来広く用いられてきたMRS培地の約1/10のコストで製造することができるため、食品工業等に広く応用することができる。
[ラクトバチルス属乳酸菌の培養方法]
1実施形態において、本発明は、ペプトン、牛肉エキス、工業用酵母エキス、硫酸マンガン四水和物を含有せず、食品添加用酵母エキスを含有する食品グレード培地中で、ラクトバチルス属乳酸菌を培養する工程を含む、ラクトバチルス属乳酸菌の培養方法を提供する。
本実施形態に係る方法により、ラクトバチルス属乳酸菌を低コストで良好に増殖することができる。
[ラクトバチルス属乳酸菌培養物の製造方法]
1実施形態において、本発明は、ペプトン、牛肉エキス、工業用酵母エキス、硫酸マンガン四水和物を含有せず、食品添加用酵母エキスを含有する食品グレード培地中で、ラクトバチルス属乳酸菌を培養する工程を含む、ラクトバチルス属乳酸菌培養物の製造方法を提供する。
本実施形態に係る製造方法により、ラクトバチルス属乳酸菌培養物を低コストで製造することができる。ラクトバチルス属乳酸菌培養物とは、ラクトバチルス属乳酸菌の培養液、分離した菌体、菌体外生産物を含む培養上清等を意味する。このラクトバチルス属乳酸菌培養物は、そのまま簡便かつ安全に各種食品に添加することができる。例えば、発酵乳等の食品にスターターとして添加する、プロバイオティクスとして各種食品に添加する等の用途が挙げられる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜10)
<ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地の作製>
表2に示す組成の材料に蒸留水を加えて溶解し、1Lになるように調整した。続いて、1N−NaOHを用いてpHを6.5に調整し、121℃、15分の条件で高圧蒸気滅菌を行い、実施例1~10の培地を調製した。材料としては、全て食品添加物として認可されているものを用いた。また、酵母エキスとしては、表3に示す食品添加用酵母エキスを用いた。実施例1〜10の培地の材料のコストは、後述する比較例1の培地の約1/10であった。
Figure 0006330237
Figure 0006330237
(比較例1)
世界的に汎用されているMRS培地(OXOID社製)を比較例1の培地とした。より具体的には、上述の表1に示す組成の材料に蒸留水を加えて溶解し、1Lになるように調整した。続いて、1N−NaOHを用いてpHを6.5に調整し、121℃、15分の条件で高圧蒸気滅菌を行い、比較例1の培地とした。
(比較例2)
酵母エキスとして工業用酵母エキスであるD−3(日本製薬株式会社製)を使用した点以外は、実施例1と同様にして培地を調製し、比較例2の培地とした。
(実験例1)
<ラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株の培養>
実施例1〜10、比較例1及び比較例2の培地を用いて、ラクトバチルス属乳酸菌である、ラクトバチルス・ガセリ株の基準株である、ラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株を培養し、増殖性を検討した。
<前培養>
(1)15mL容遠沈管にMRS培地4.5mLと供試菌液0.5mLを接種した。
(2)別の遠沈管にMRS培地5.0mLを加え、これをブランクとした。
(3)(1)、(2)を37℃で24時間静置培養した。
<本培養>
(1)15mL容遠沈管を遠心分離機(CP16RX型ローター:T9A310436)を用いて、3500×g、4℃、10分の条件で遠心分離した。
(2)遠心分離後、クリーンベンチ内で上清を捨て、5mLの0.85%リン酸緩衝生理食塩水を加え、ボルテックスミキサーで撹拌した。その後3500×g、4℃、10分の条件で遠心分離を行い、菌体を洗浄した。この作業をもう一度繰り返した。
(3)遠心分離後、クリーンベンチ内で上清を捨て、培地を5mL加え、ボルテックスミキサーでよく撹拌した。この前培養菌液を、実施例1〜10、比較例1及び2の培地を用いた培養用にそれぞれ調製した。
(4)滅菌試験管に、実施例1〜10、比較例1及び比較例2の培地をそれぞれ4.85mLずつ入れ、(3)で調製した各前培養菌液を0.15mL(3容量%)ずつ接種した。これを培養開始直後及び24時間培養後のpH及び濁度測定用に各1本ずつの計4本作製し、同じ本数分のブランクも作製した。
(5)37℃で24時間静置培養した。
(6)培養開始直後及び24時間培養後のpH及び濁度(波長620nm)を培地ごとに測定し、その値を記録した。
図1は、実施例1〜10、比較例1及び比較例2の培地でラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株を24時間培養後のpHの値を示したグラフである。菌が増殖するとpHが下がるため、pHが低いほど菌が良好に増殖したことを示す。
図2は、実施例1〜10、比較例1及び比較例2の培地でラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株を24時間培養後の濁度の値を示したグラフである。濁度が高いほど菌が良好に増殖したことを示す。ただし、実施例7の培地はもともと濁っていたため、濁度の測定が不能であった。
図1、2の結果から、実施例1〜10の培地は、比較例1の培地と同程度にラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株を増殖できることが示された。また、実施例1〜10の培地でラクトバチルス属乳酸菌の増殖が可能であることから、ラクトバチルス属乳酸菌の増殖には、硫酸マンガン四水和物は必須ではないと考えられる。
(実験例2)
<ラクトバチルス・ガセリJCM1130菌株の培養>
実施例1〜10、比較例1及び比較例2の培地を用いて、ラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株以外のラクトバチルス・ガセリ菌株を培養し、増殖性を検討した。ラクトバチルス・ガセリ菌株として、ラクトバチルス・ガセリJCM1130菌株を培養した。培養の手順は実験例1と同様にして行った。
図3は、実施例1〜10、比較例1及び比較例2の培地でラクトバチルス・ガセリJCM1130菌株を24時間培養後のpHの値を示したグラフである。
図4は、実施例1〜10、比較例1及び比較例2の培地でラクトバチルス・ガセリJCM1130菌株を24時間培養後の濁度の値を示したグラフである。ただし、実施例7の培地はもともと濁っていたため、濁度の測定が不能であった。
図3、4の結果から、実施例1〜10の培地は、比較例1の培地と同程度にラクトバチルス・ガセリJCM1130菌株を増殖できることが示された。
(実験例3)
<各種ラクトバチルス・ガセリ菌株の培養>
ラクトバチルス・ガセリ菌株の増殖性が良好であった、実施例4の培地(酵母エキスとして酵母エキスFR、キリン協和フーズ株式会社製を用いたもの)を使用して各種ラクトバチルス・ガセリ菌株を培養し、増殖性を検討した。比較例1の培地(MRS培地)を対照に用いた。ラクトバチルス・ガセリ菌株として、ラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株、1130菌株、5343菌株、11657菌株、8790菌株、11046菌株を培養した。培養の手順は実験例1と同様にして行った。
図5は、実施例4及び比較例1の培地で各種ラクトバチルス・ガセリ菌株を24時間培養後のpHの値を示したグラフである。図6は、実施例4及び比較例1の培地で各種ラクトバチルス・ガセリ菌株を24時間培養後の濁度の値を示したグラフである。
図5、6の結果から、実施例4の培地は、比較例1の培地と同程度に各種ラクトバチルス・ガセリ菌株を増殖できることが示された。
(実験例4)
<酵母エキス濃度の検討>
実施例4の培地において、酵母エキスの濃度を変化させた培地を調製し、ラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株を培養し、増殖性を検討した。具体的には、表5に示す量の酵母エキスを含有する点以外は実施例4の培地と同様にして、実施例11〜14の培地を調製した。実施例4、実施例11〜14及び比較例1の培地を用いて、実験例1と同様にしてラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株を培養し、増殖性を検討した。
Figure 0006330237
図7は、実施例4、実施例11〜14及び比較例1の培地で、ラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株を24時間培養後のpHの値を示したグラフである。図8は、実施例4、実施例11〜14及び比較例1の培地で、ラクトバチルス・ガセリJCM1131菌株を24時間培養後の濁度の値を示したグラフである。
図7、8の結果から、培地中の酵母エキスの含有量を変化させることによって、菌株の増殖性を調節できることが示された。
(実験例5)
<ラクトバチルス・ガセリ菌株以外のラクトバチルス属乳酸菌株の培養>
実施例4及び比較例1の培地を用いて、ラクトバチルス・ガセリ菌株以外のラクトバチルス属乳酸菌株を培養し、増殖性を検討した。ラクトバチルス・ガセリ菌株以外のラクトバチルス属乳酸菌株として、ラクトバチルス・アシドフィルスJCM1132菌株、ラクトバチルス・カゼイJCM1134菌株、ラクトバチルス・ヘルベティカスJCM1120菌株を培養した。培養の手順は実験例1と同様にして行った。
図9は、実施例4及び比較例1の培地で各ラクトバチルス属乳酸菌株を24時間培養後のpHの値を示したグラフである。図10は、実施例4及び比較例1の培地で各ラクトバチルス属乳酸菌株を24時間培養後の濁度の値を示したグラフである。
図9、10の結果から、実施例4の培地は、比較例1の培地と同程度にラクトバチルス・ガセリ菌株以外のラクトバチルス属乳酸菌株を増殖できることが示された。
本発明によれば、硫酸マンガン四水和物や乳由来成分を実質的に含有しないにもかかわらず、ラクトバチルス属乳酸菌を良好に培養することができる、ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地、上記培地を用いたラクトバチルス属乳酸菌の培養方法及びラクトバチルス属乳酸菌培養物の製造方法を提供することができる。

Claims (3)

  1. ラクトバチルス属乳酸菌培養用食品グレード培地であって、
    ペプトン、牛肉エキス、工業用酵母エキス、硫酸マンガン四水和物及び乳由来成分を実質的に含有せず、食品添加用酵母エキス、グルコース、モノオレイン酸ソルビタン、リン酸水素ニカリウム、酢酸ナトリウム三水和物、クエン酸三アンモニウム及び硫酸マグネシウム七水和物を含有する、培地。
  2. ペプトン、牛肉エキス、工業用酵母エキス、硫酸マンガン四水和物及び乳由来成分を実質的に含有せず、食品添加用酵母エキス、グルコース、モノオレイン酸ソルビタン、リン酸水素ニカリウム、酢酸ナトリウム三水和物、クエン酸三アンモニウム及び硫酸マグネシウム七水和物を含有する食品グレード培地中で、ラクトバチルス属乳酸菌を培養する工程を含む、ラクトバチルス属乳酸菌の培養方法。
  3. ペプトン、牛肉エキス、工業用酵母エキス、硫酸マンガン四水和物及び乳由来成分を実質的に含有せず、食品添加用酵母エキス、グルコース、モノオレイン酸ソルビタン、リン酸水素ニカリウム、酢酸ナトリウム三水和物、クエン酸三アンモニウム及び硫酸マグネシウム七水和物を含有する食品グレード培地中で、ラクトバチルス属乳酸菌を培養する工程を含む、ラクトバチルス属乳酸菌培養物の製造方法。
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