以下に図面を参照して、本発明にかかるトランス接続相判定プログラム、トランス接続相判定方法、およびトランス接続相判定装置の実施の形態を詳細に説明する。
(トランス接続相判定方法の一実施例)
図1は、実施の形態にかかるトランス接続相判定方法の一実施例を示す説明図である。図1において、トランス接続相判定装置101は、柱上トランスの接続相を判定するコンピュータである。柱上トランスは、電磁誘導の作用によって交流電流の電圧を変える変圧器である。以下の説明では、柱上トランスを、単に「トランス」と表記する。
トランスの接続相とは、配電網内の複数の配電線のうちトランスに接続された2つの配電線の組み合わせである。例えば、配電方式が三相3線式の配電網においては、三種類ある配電線のうちのトランスに接続された2つの配電線の組み合わせが、当該トランスの接続相となる。配電方式としては、三相3線式のほかに、例えば、三相4線式がある。
ここで、太陽光発電システムは、環境に優しい発電システムであるが、電力会社が供給する電力の品質に悪影響を及ぼすというデメリットがある。例えば、電気事業法により、電力会社は、100V供給の場合に、95V〜107Vの規定電圧を維持することが定められている。ところが、分散型電源の配電網においては、売電のための逆潮流が発生して電圧が上昇し、配電網の電圧が規定電圧から逸脱してしまう場合がある。
電圧の制御方法としては、例えば、配電変電所の送り出し電圧の変更、電線の太線化、変圧器タップの見直しなどの様々な方法が考えられる。しかし、どこをどのように変更するかを判断するためには、現状の配電網の電圧分布を知る必要がある。このため、潮流計算と呼ばれる回路計算で電圧を求めることが考えられる。
潮流計算には、配電系統の様々な情報の入力を必要とするが、その中でも、トランスの接続相については管理が難しい。例えば、三相3線式の配電網においては、需要家との接点にあるトランスが、三種類ある配電線の組み合わせのうち、どの相で高圧側と接続されているかを管理することは難しい。
この問題は、三相3線式でだけでなく、三相4線式といった3以上の電線を用いた配電網で起こり得る。このため、管理値として誤った接続相が用いられている可能性があり、潮流計算を行う場合には、トランスの接続相の現状調査を行うことになる。ところが、人手による確認にはコストがかかるため、トランスの接続相を自動で判定することが求められる。
トランスの接続相を判定する手法としては、例えば、三相3線の各線の電流を計測可能なセンサが計測した電流値と、トランス配下に設置されたスマートメータの電力値との相関の違いによって接続相を判定するものがある。ところが、三相3線の各線の電流値とトランス配下に設置されたスマートメータの電力値は、例えば、冬の場合は、朝方と夕方に大きな値をとるという共通の傾向を有することが多く、相関の違いを上手く抽出できない場合がある。
このため、例えば、三相3線の各線の電流値とトランス配下に設置されたスマートメータの電力値に対してデジタルフィルタを適用して、共通の成分を除去することが考えられる。デジタルフィルタとしては、例えば、低周波成分を減衰させ、高周波成分を通過させるハイパスフィルタを用いることができる。
しかし、トランス配下の需要家に太陽光発電システム(以下、単に「太陽光発電」という)が導入されていると、たとえデジタルフィルタを適用したとしても、トランスの接続相の判定精度が低下してしまう場合がある。例えば、太陽光発電の発電量は、『α×太陽光パネルの面積×日射量』で近似することができる(αは定数)。また、同じ地域の日射量は、ほぼ同じものとなることが多い。このため、同一のトランス配下の太陽光発電の推移は、高周波成分も低周波成分も全ての需要家でほぼ共通となり、デジタルフィルタによる共通成分の除去が困難なものとなる。
そこで、本実施の形態では、トランス配下の需要家に太陽光発電を導入した需要家が含まれる場合であっても、トランスの接続相を精度良く判定するためのトランス接続相判定方法について説明する。以下、図1を用いて、トランス接続相判定装置101の処理例について説明する。
ただし、本実施の形態では、配電網の配線方式として「三相3線式」を例に挙げて説明する。また、三種類ある配電線をそれぞれ「a線」、「b線」、「c線」と表記する場合がある。また、a線とb線との組み合わせを「ab相」と表記し、b線とc線との組み合わせを「bc相」と表記し、c線とa線との組み合わせを「ca相」と表記する場合がある。
図1の例では、三相3線式の配電網として、配電網ENを示す。配電網ENは、電力の流れを制御する変電所SUと、センサSEと、複数のトランスTの1つとしてトランスT1と、を含む。センサSEは、a線、b線、c線に流れる線電流の値(電流値)それぞれを計測する。
トランスT1には、需要家C11,C12が接続されている。需要家Cとは、電力を消費する電力消費源であり、例えば、一般家庭や企業などである。また、需要家C11,C12には、スマートメータSM11,SM12がそれぞれ導入されている。スマートメータSMは、通信機能を備えた電力計であり、需要家Cで消費された電力の値(電力値)を計測する。
需要家C11は、太陽光発電が導入されていない需要家Cである。また、需要家C12は、太陽光発電が導入された需要家Cである。ここでは、トランスT1の接続相が不明であることを想定して、トランス接続相判定装置101がトランスT1の接続相を判定する場合について説明する。
(1)トランス接続相判定装置101は、トランスTに接続された需要家Cで消費された計測期間MP内の各時間帯の電力値のうち、太陽光発電が導入された需要家Cで消費された特定の時間帯の電力値を除く各時間帯の電力値を取得する。
ここで、計測期間MPは、需要家Cで消費された電力値が計測された期間であり、任意に設定可能である。計測期間MPとしては、例えば、数ヶ月〜数年程度の期間が設定される。計測期間MP内の各時間帯は、例えば、計測期間を30分や1時間などの時間間隔で区切って分割された区間である。
特定の時間帯は、需要家Cに導入された太陽光発電の発電量が「0(ゼロ)」であると見なせない時間帯である。換言すれば、特定の時間帯は、需要家Cを含む地域の日射量が無視できない程度発生する時間帯である。日射量は、太陽からの放射エネルギー量を測定したものである。
例えば、日の出から日の入りまでの明るい間は、需要家Cを含む地域の日射量が無視できない程度発生する可能性が高い。このため、特定の時間帯は、例えば、日の出から日の入りまでの時間帯を考慮して設定される。図1の例では、特定の時間帯が、6時00分から18時00分までの時間帯に設定されている場合を想定する。また、各時間帯を30分間隔で区切った区間とする。
この場合、トランス接続相判定装置101は、トランスT1に接続された需要家C11,C12で消費された計測期間MP内の各時間帯の電力値のうち、需要家C12で消費された6時00分から18時00分までの各時間帯の電力値を除く各時間帯の電力値を取得する。需要家C12は、太陽光発電が導入された需要家Cである。
需要家C11,C12で消費された計測期間MP内の各時間帯の電力値は、需要家C11,C12に導入されたスマートメータSM11,SM12によりそれぞれ計測された電力値である。なお、太陽光発電が導入されていない需要家C11については、スマートメータSM11の計測値として、需要家C11の消費電力Pcsptそのものが得られる。
一方、太陽光発電が導入された需要家C12については、スマートメータSM12の計測値として、需要家C12の消費電力Pcsptと太陽光発電による発電電力Psunとの和が得られる(消費電力Pcsptはプラスの値をとり、発電電力Psunはマイナスの値をとる)。このため、太陽光発電による発電電力Psunが消費電力Pcsptよりも大きければ、スマートメータSM12には余剰発電分の電力が電力値(マイナスの値)として記録される。ただし、スマートメータSM12では、消費電力Pcsptと発電電力Psunそれぞれの値は得られない。
一例として、計測期間MP内の各時間帯を、計測期間MPを30分間隔で区切った区間とすると、取得される各時間帯の電力値は、例えば、以下の通りである。
6時00分から18時00分までの各時間帯の電力値
⇒需要家C11で消費された電力値
18時00分から6時00分までの各時間帯の電力値
⇒需要家C11,C12で消費された電力値の合計
(2)トランス接続相判定装置101は、a線〜c線の各々の配電線について、取得した各時間帯の電力値と、各々の配電線に流れた各時間帯の電流値とに基づいて、電力と電流との相関を示す相関値を算出する。計測期間MP内の各時間帯にa線〜c線の各々の配電線に流れた電流値は、センサSEにより計測された電流値である。なお、相関値の具体的な算出例については、図7を用いて後述する。
(3)トランス接続相判定装置101は、算出した各々の配電線の相関値に基づいて、a線〜c線のうちのトランスTに接続された2つの配電線を判定する。具体的には、例えば、トランス接続相判定装置101は、算出した各々の配電線の相関値のうちの相関が最も小さい値から、トランスTの接続相を判定する。
図1の例では、a線の相関値を「ρa」とし、b線の相関値を「ρb」とし、c線の相関値を「ρc」とする。また、相関値ρa〜ρcの大小関係を「ρc<ρa,ρb」とする。この場合、トランス接続相判定装置101は、トランスT1の接続相をab相(a線とb線との組み合わせ)と判定する。
このように、トランス接続相判定装置101によれば、トランス配下の需要家Cで消費された各時間帯の電力値のうち、太陽光発電を導入済みの需要家Cで消費された特定の時間帯の電力値を除外して、電力と電流との相関を示す相関値を算出することができる。これにより、太陽光発電の影響により相関分析に不要となる共通の成分を含んだ情報を除去して相関分析を行うことができ、トランスTの接続相の判定精度を向上させることができる。
(トランス接続相判定システムのシステム構成例)
つぎに、トランス接続相判定装置101を、配電網EN上に存在するトランスTの接続相を判定するトランス接続相判定システムに適用した場合について説明する。
図2は、トランス接続相判定システム200のシステム構成例を示す説明図である。図2において、トランス接続相判定システム200は、配電網EN上に存在するトランスTの接続相を判定するシステムである。トランス接続相判定システム200は、配電網ENと、トランス接続相判定装置101とを有する。
配電網ENは、変電所SUと、センサSEと、トランスT1〜Tnと、需要家C(例えば、需要家C11,C12,Cn1)とを含む。各需要家Cには、スマートメータSM(例えば、スマートメータSM11,SM12,SMn1)が導入されている。ただし、需要家Cの中には、スマートメータSMを導入していない需要家Cが含まれていてもよい。
変電所SUは、電力の流れを制御して、電力を需要家Cに送り出す。トランスT1〜Tnは、電磁誘導の作用によって交流電流の電圧を変える変圧器である。以下の説明では、配電網ENのうちの変電所SUからトランスT1〜Tnを、「高圧配電網」と表記する場合がある。また、配電網ENのうちのトランスT1〜TnからトランスT1〜Tnのそれぞれに接続する需要家Cまでの部分を「低圧配電網」と表記する場合がある。
センサSEは、トランスT1〜Tnよりも変電所SU寄りに設置されており、高圧配電網の電流を計測する。ここで、高圧配電網は、本実施の形態では三相3線、すなわち、3本の電線で電力を送るため、センサSEは、3本の電線(a線〜c線)の電流値それぞれを計測する。
トランス接続相判定装置101は、トランスT1〜Tnの接続相を判定するコンピュータである。また、トランス接続相判定装置101は、a線〜c線の線電流をセンサSEが計測した値と、需要家Cが導入したスマートメータSMが計測した電力値とを取得可能である。
(トランス接続相判定装置101のハードウェア構成例)
図3は、トランス接続相判定装置101のハードウェア構成例を示すブロック図である。図3において、トランス接続相判定装置101は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、ディスクドライブ303と、ディスク304と、I/F(Interface)305と、ディスプレイ306と、入力装置307と、を有する。また、各構成部はバス300によってそれぞれ接続される。
ここで、CPU301は、トランス接続相判定装置101の全体の制御を司る。メモリ302は、例えば、ROM(Read−Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU301のワークエリアとして使用される。メモリ302に記憶されるプログラムは、CPU301にロードされることで、コーディングされている処理をCPU301に実行させる。
ディスクドライブ303は、CPU301の制御に従ってディスク304に対するデータのリード/ライトを制御する。ディスク304は、ディスクドライブ303の制御で書き込まれたデータを記憶する。ディスク304としては、例えば、磁気ディスク、光ディスクなどが挙げられる。
I/F305は、通信回線を通じてネットワーク310に接続され、ネットワーク310を介して他の装置に接続される。そして、I/F305は、ネットワーク310と内部のインターフェースを司り、他の装置からのデータの入出力を制御する。ネットワーク310は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどである。
ディスプレイ306は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。ディスプレイ306は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
入力装置307は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを有し、データの入力を行う。入力装置307は、キーボードやマウスなどであってもよく、また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。
なお、トランス接続相判定装置101は、上述した構成部のうち、例えば、ディスプレイ306や入力装置307を有さないことにしてもよい。また、トランス接続相判定装置101は、上述した構成部のほか、例えば、SSD(Solid State Drive)、スキャナ、プリンタなどを有することにしてもよい。
(センサ線電流データ400の具体例)
つぎに、センサ線電流データ400の具体例について説明する。センサ線電流データ400は、配電網EN内のセンサSEにより計測された各線(a線〜c線)の電流値を示す時系列データである。
図4は、センサ線電流データ400の具体例を示す説明図である。図4において、センサ線電流データ400は、計測期間MP内の各時間帯に各線(a線〜c線)に流れた電流値を示す。ここでは、計測期間MPを、20XX年の1月1日〜12月31日の1年間とする。また、計測期間MP内の各時間帯を、計測期間MPを30分間隔で区切った区間とする。
ここで、時刻t1〜t17520は、計測期間MP内の各時間帯に対応している。例えば、時刻t1は、1月1日の0時00分から0時30分までの時間帯を示す。このため、電流値Ia(1)は、1月1日の0時00分から0時30分までの時間帯にa線に流れた電流値を示す。
また、電流値Ib(1)は、1月1日の0時00分から0時30分までの時間帯にb線に流れた電流値を示す。また、電流値Ic(1)は、1月1日の0時00分から0時30分までの時間帯にc線に流れた電流値を示す。すなわち、センサ線電流データ400は、各線(a線〜c線)に流れた電流値が、1日に48ポイント計測され、1年で17520ポイント計測された場合の例である。
(需要家電力データ500の具体例)
つぎに、需要家電力データ500の具体例について説明する。需要家電力データ500は、配電網EN内のトランスTに接続された需要家Cに導入されたスマートメータSMにより計測された電力値、すなわち、需要家Cで消費された電力値を示す時系列データである。ここでは一例として、配電網EN内のトランスT1に接続された需要家C11で消費された電力値を例に挙げて説明する。
図5は、需要家電力データ500の具体例を示す説明図である。図5において、需要家電力データ500は、計測期間MP内の各時間帯に需要家C11で消費された電力値を示す。ここでは、計測期間MPを、20XX年の1月1日〜12月31日の1年間とする。また、計測期間MP内の各時間帯を、計測期間MPを30分間隔で区切った区間とする。
ここで、時刻t1〜t17520は、計測期間MP内の各時間帯に対応している。例えば、時刻t1は、1月1日の0時00分から0時30分までの時間帯を示す。このため、電力値P11(1)は、1月1日の0時00分から0時30分までの時間帯に需要家C11で消費された電力値を示す。
また、電力値P11(2)は、1月1日の0時30分から1時00分までの時間帯に需要家C11で消費された電力値を示す。すなわち、需要家電力データ500は、需要家C11で消費された電力値が、1日に48ポイント計測され、1年で17520ポイント計測された場合の例である。
(配電網設備データ600の具体例)
図6は、配電網設備データ600の具体例を示す説明図である。図6において、配電網設備データ600は、配電網EN内の設備に関する情報である。配電網設備データ600は、トランスID、接続相、スマートメータ導入済み需要家IDおよび太陽光発電導入済み需要家IDのフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、配電網設備情報600−1〜600−nをレコードとして記憶する。
ここで、トランスIDは、トランスTを識別する識別子である。接続相は、トランスTの接続相(ab相またはbc相またはca相)を示す。ただし、トランスTの接続相が未判定の場合は、接続相フィールドに「未」が設定される。スマートメータ導入済み需要家IDは、トランス配下のスマートメータ導入済みの需要家Cを識別する識別子である。
太陽光発電導入済み需要家IDは、トランス配下のスマートメータ導入済みかつ太陽光発電導入済みの需要家Cを識別する識別子である。例えば、配電網設備情報600−1は、配電網EN内のトランスT1に接続されたスマートメータ導入済みの需要家C11,C12と、太陽光発電導入済みの需要家C12を示す。
(トランス接続相判定装置101の機能的構成例)
図7は、トランス接続相判定装置101の機能的構成例を示すブロック図である。図7において、トランス接続相判定装置101は、制御部701と、記憶部702と、を有する。制御部701は、取得部711と、データ分類部712と、フィルタ適用部713と、相関分析部714と、接続相判定部715と、出力部716と、を含む構成である。制御部701は、例えば、図3に示したメモリ302、ディスク304などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、I/F305により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、CPU301が有するレジスタやメモリ302などに記憶される。また、記憶部702は、メモリ302、ディスク304などの記憶装置により実現される。
取得部711は、配電網EN内のセンサSEにより計測された各線(a線〜c線)の電流値を示すセンサ線電流データ400(例えば、図4参照)を取得する。具体的には、例えば、取得部711は、配電網EN内のセンサSEからセンサ線電流データ400を取得する。また、例えば、取得部711は、図3に示した入力装置307を用いたユーザの操作入力により、センサ線電流データ400を取得することにしてもよい。
また、取得部711は、配電網EN内のトランスTに接続された需要家Cに導入されたスマートメータSMにより計測された電力値を示す需要家電力データ500(例えば、図5参照)を取得する。具体的には、例えば、取得部711は、配電網EN内の各スマートメータSMから需要家電力データ500を取得する。また、例えば、取得部711は、入力装置307を用いたユーザの操作入力により、需要家電力データ500を取得することにしてもよい。
また、取得部711は、配電網EN内の設備に関する配電網設備データ600を取得する。具体的には、例えば、取得部711は、入力装置307を用いたユーザの操作入力により、配電網設備データ600を取得することにしてもよい。取得された配電網設備データ600は、例えば、記憶部702に記憶される。
データ分類部712は、取得されたセンサ線電流データ400を参照して、各線(a線〜c線)の電流値を、特定の時間帯の電流値と、特定の時間帯とは異なる他の時間帯の電流値とに分類する。上述したように、特定の時間帯は、需要家Cに導入された太陽光発電の発電量が「0(ゼロ)」であると見なせない時間帯である。
以下の説明では、1日のうちの特定の時間帯を「昼の時間帯」と表記し、1日のうちの特定の時間帯とは異なる他の時間帯を「夜の時間帯」と表記する場合がある。また、昼の時間帯として、「6時00分から18時00分までの時間帯」が設定されている場合を例に挙げて説明する。
この場合、データ分類部712は、センサ線電流データ400を参照して、各線(a線〜c線)の電流値を、昼の時間帯(6時00分〜18時00分)の電流値と、夜の時間帯(18時00分〜6時00分)の電流値とに分類する。
例えば、時刻t13は、6時00分から6時30分までの時間帯を示す。すなわち、電流値Ia(13)は、6時00分から6時30分までの時間帯にa線に流れた電流値を示す。このため、データ分類部712は、電流値Ia(13)を、昼の時間帯の電流値として分類する。
昼の時間帯に分類された各線(a線〜c線)の電流値は、例えば、後述の図8に示す昼データDB(データベース)800に記憶される。
また、例えば、時刻t12は、5時30分から6時00分までの時間帯を示す。すなわち、電流値Ia(12)は、5時30分から6時00分までの時間帯にa線に流れた電流値を示す。このため、データ分類部712は、電流値Ia(12)を、夜の時間帯の電流値として分類する。
夜の時間帯に分類された各線(a線〜c線)の電流値は、例えば、後述の図9に示す夜データDB900に記憶される。
ただし、昼の長さは時期に応じて異なる場合がある。例えば、春夏秋冬の季節に応じて昼の長さは異なる。このため、季節に応じて異なる昼の長さを考慮して、昼の時間帯を季節ごとに設定することにしてもよい。例えば、夏(6月、7月、8月)は、他の季節に比べて昼が長いため、昼の時間帯を他の季節よりも長い期間に設定することにしてもよい。
また、データ分類部712は、取得された需要家電力データ500を参照して、各需要家Cの電力値を、昼の時間帯の電力値と、夜の時間帯の電力値とに分類する。
例えば、電力値P11(13)は、6時00分から6時30分までの時間帯に、需要家C11で消費された電力値を示す。このため、データ分類部712は、電力値P11(13)を、昼の時間帯の電力値として分類する。昼の時間帯に分類された各需要家Cの電力値は、例えば、後述の図8に示す昼データDB800に記憶される。
また、例えば、電力値P11(12)は、5時30分から6時00分までの時間帯に、需要家C11で消費された電力値を示す。このため、データ分類部712は、電力値P11(12)を、夜の時間帯の電力値として分類する。夜の時間帯に分類された各線(a線〜c線)の電流値は、例えば、後述の図9に示す夜データDB900に記憶される。
ここで、昼データDB800および夜データDB900の記憶内容について説明する。昼データDB800および夜データDB900は、例えば、記憶部702に記憶される。ここでは、配電網EN内のトランスTに接続された需要家Cとして、トランスT1に接続された需要家C11,C12、トランスT2に接続された需要家C21,C22およびトランスT3に接続された需要家C31,C32を例に挙げて説明する。
図8は、昼データDB800の記憶内容の一例を示す説明図(その1)である。図8において、昼データDB800は、各線(a線〜c線)の昼の時間帯(6時00分〜18時00分)の電流値を記憶している。また、昼データDB800は、各需要家C11,C12,C21,C22,C31,C32の昼の時間帯(6時00分〜18時00分)の電力値を記憶している。
なお、図8では、各線の電流値と各需要家Cの電力値が昼の時間帯のものであることを識別するために、各線の電流値と各需要家Cの電力値の末尾に「_昼」を付加している。
図9は、夜データDB900の記憶内容の一例を示す説明図(その1)である。図9において、夜データDB900は、各線(a線〜c線)の夜の時間帯(18時00分〜6時00分)の電流値を記憶している。また、夜データDB900は、各需要家C11,C12,C21,C22,C31,C32の夜の時間帯(18時00分〜6時00分)の電力値を記憶している。
なお、図9では、各線の電流値と各需要家Cの電力値が夜の時間帯のものであることを識別するために、各線の電流値と各需要家Cの電力値の末尾に「_夜」を付加している。
図7の説明に戻り、フィルタ適用部713は、各線の電流値と各需要家Cの電力値とに対して、低周波成分を減衰させるフィルタを適用する。フィルタとしては、低周波成分を減衰させ、高周波成分を通過させるハイパスフィルタ(例えば、FIR(Finite Impulse Response)フィルタ)を用いることができる。
具体的には、例えば、フィルタ適用部713は、昼データDB800を参照して、予め記録されたフィルタ係数により定まるフィルタを、各線(a線〜c線)の昼の時間帯(6時00分〜18時00分)の電流値に適用する。また、フィルタ適用部713は、昼データDB800を参照して、同様のフィルタを、各需要家C11,C12,C21,C22,C31,C32の昼の時間帯(6時00分〜18時00分)の電力値に適用する。
また、フィルタ適用部713は、夜データDB900を参照して、同様のフィルタを、各線(a線〜c線)の夜の時間帯(18時00分〜6時00分)の電流値に適用する。また、フィルタ適用部713は、夜データDB900を参照して、同様のフィルタを、各需要家C11,C12,C21,C22,C31,C32の夜の時間帯(18時00分〜6時00分)の電力値に適用する。
より詳細に説明すると、例えば、フィルタ適用部713は、下記式(1)を用いて、フィルタ適用後の各線(a線〜c線)の昼の時間帯の電流値を求めることができる。ただし、IX昼_filter(t)は、フィルタ適用後の各線(a線〜c線)の昼の時間帯の電流値である(X=a,b,c)。
IX昼_filter(t)=−1/3×IX(t−1)_昼+2/3×IX(t)_昼
−1/3×IX(t+1)_昼 ・・・(1)
フィルタ適用後の各線(a線〜c線)の昼の時間帯の電流値は、例えば、昼データDB800に記憶される。
また、例えば、フィルタ適用部713は、下記式(2)を用いて、フィルタ適用後の各需要家C11,C12,C21,C22,C31,C32の昼の時間帯の電力値を求めることができる。ただし、PXX昼_filter(t)は、フィルタ適用後の各需要家C11,C12,C21,C22,C31,C32の昼の時間帯の電力値である(XX=11,12,21,22,31,32)。
PXX昼_filter(t)=−1/3×PXX(t−1)_昼+2/3×PXX(t)_昼
−1/3×PXX(t+1)_昼 ・・・(2)
フィルタ適用後の各需要家C11,C12,C21,C22,C31,C32の昼の時間帯の電力値は、例えば、昼データDB800に記憶される。
また、例えば、フィルタ適用部713は、下記式(3)を用いて、フィルタ適用後の各線(a線〜c線)の夜の時間帯の電流値を求めることができる。ただし、IX夜_filter(t)は、フィルタ適用後の各線(a線〜c線)の夜の時間帯の電流値である(X=a,b,c)。
IX夜_filter(t)=−1/3×IX(t−1)_夜+2/3×IX(t)_夜
−1/3×IX(t+1)_夜 ・・・(3)
フィルタ適用後の各線(a線〜c線)の夜の時間帯の電流値は、例えば、夜データDB900に記憶される。
また、例えば、フィルタ適用部713は、下記式(4)を用いて、フィルタ適用後の各需要家C11,C12,C21,C22,C31,C32の夜の時間帯の電力値を求めることができる。ただし、PXX夜_filter(t)は、フィルタ適用後の各需要家C11,C12,C21,C22,C31,C32の夜の時間帯の電力値である(XX=11,12,21,22,31,32)。
PXX夜_filter(t)=−1/3×PXX(t−1)_夜+2/3×PXX(t)_夜
−1/3×PXX(t+1)_夜 ・・・(4)
フィルタ適用後の各需要家C11,C12,C21,C22,C31,C32の夜の時間帯の電力値は、例えば、夜データDB900に記憶される。
ここで、フィルタ適用後の各線(a線〜c線)の昼の時間帯の電流値を記憶する昼データDB800の記憶内容について説明する。ただし、時刻t#の「#」は、「#=1,2,3,…」となるように振り直している。
図10は、昼データDB800の記憶内容の一例を示す説明図(その2)である。図10において、昼データDB800は、フィルタ適用後の各線(a線〜c線)の昼の時間帯(6時00分〜18時00分)の電流値を記憶している。また、昼データDB800は、フィルタ適用後の各需要家C11,C12,C21,C22,C31,C32の昼の時間帯(6時00分〜18時00分)の電力値を記憶している。
つぎに、フィルタ適用後の各線(a線〜c線)の夜の時間帯の電流値を記憶する夜データDB900の記憶内容について説明する。ただし、時刻t#の「#」は、「#=1,2,3,…」となるように振り直している。
図11は、夜データDB900の記憶内容の一例を示す説明図(その2)である。図11において、夜データDB900は、フィルタ適用後の各線(a線〜c線)の夜の時間帯(18時00分〜6時00分)の電流値を記憶している。また、夜データDB900は、フィルタ適用後の各需要家C11,C12,C21,C22,C31,C32の夜の時間帯(18時00分〜6時00分)の電力値を記憶している。
図7の説明に戻り、相関分析部714は、各線(a線〜c線)について、電力と電流との相関を示す相関値ρ(IX,P)を算出する(ただし、X=a,b,c)。以下の説明では、配電網EN内のトランスT1〜Tnのうちの任意のトランスTを「トランスTi」と表記する場合がある(i=1,2,…,n)。また、トランスTiに接続された任意の需要家Cを「需要家Cij」と表記する場合がある(j:1以上の自然数)。
具体的には、例えば、まず、相関分析部714は、図6に示した配電網設備データ600を参照して、トランスTiに接続された全需要家C(スマートメータSMを導入済みの需要家C)を特定する。一例として、トランスT1を例に挙げると、トランスT1に接続された需要家C11,C12が特定される。
また、相関分析部714は、配電網設備データ600を参照して、特定したトランスTiに接続された全需要家Cのうち、太陽光発電を導入済みの需要家Cを特定する。一例として、トランスT1を例に挙げると、トランスT1に接続された需要家C11,C12のうち太陽光発電を導入済みの需要家C12が特定される。
つぎに、相関分析部714は、下記式(5)を用いて、特定したトランスTiに接続された需要家Cのうち、太陽光発電が未導入の需要家Cの昼の時間帯の各時刻tの合計電力値を算出する。トランスTiに接続された需要家Cijの昼の時間帯の各時刻tの電力値は、例えば、図10に示した昼データDB800から特定される。
ただし、Pi_昼_filter(t)は、トランスTiに接続された需要家Cのうち、太陽光発電が未導入の需要家Cの昼の時間帯の各時刻tの合計電力値である。zij(t)は、需要家Cijが太陽光発電を導入済みの場合は「zij(t)=0」となり、需要家Cijが太陽光発電を未導入の場合は「zij(t)=1」となる。
Pi_昼_filter(t)=Σj{zij(t)Pij昼_filter(t)}・・・(5)
一例として、トランスT1に接続された太陽光発電が未導入の需要家Cの昼の時間帯の時刻t1の合計電力値P1_昼_filter(1)を例に挙げると、「P1_昼_filter(1)=P11昼_filter(1)」となる。算出された合計電力値Pi_昼_filter(t)は、例えば、図12に示す昼合計電力テーブル1200に記憶される。
ここで、昼合計電力テーブル1200の記憶内容について説明する。昼合計電力テーブル1200は、例えば、記憶部702に記憶される。
図12は、昼合計電力テーブル1200の記憶内容の一例を示す説明図である。図12において、昼合計電力テーブル1200は、各トランスTiに接続された需要家Cのうち、太陽光発電が未導入の需要家Cの昼の時間帯(6時00分〜18時00分)の各時刻tの合計電力値Pi_昼_filter(t)を記憶している。
図7の説明に戻り、また、相関分析部714は、下記式(6)を用いて、トランスTiに接続された全需要家Cの夜の時間帯の各時刻tの合計電力値を算出する。トランスTiに接続された需要家Cijの夜の時間帯の各時刻tの電力値は、例えば、図11に示した夜データDB900から特定される。ただし、Pi_夜_filter(t)は、トランスTiに接続された全需要家Cの夜の時間帯の各時刻tの合計電力値である。
Pi_夜_filter(t)=Σj{Pij夜_filter(t)}・・・(6)
一例として、トランスT1に接続された全需要家Cの夜の時間帯の時刻t1の合計電力値P1_夜_filter(1)を例に挙げると、「P1_夜_filter(1)=P11夜_filter(1)+P12夜_filter(1)」となる。算出された合計電力値Pi_夜_filter(t)は、例えば、図13に示す夜合計電力テーブル1300に記憶される。
ここで、夜合計電力テーブル1300の記憶内容について説明する。夜合計電力テーブル1300は、例えば、記憶部702に記憶される。
図13は、夜合計電力テーブル1300の記憶内容の一例を示す説明図である。図13において、夜合計電力テーブル1300は、各トランスTiに接続された全需要家Cの夜の時間帯(18時00分〜6時00分)の各時刻tの合計電力値Pi_夜_filter(t)を記憶している。
なお、上述した説明では、各時刻tの合計電力値をフィルタ適用後の電力値を用いて求める場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、相関分析部714は、各時刻tの合計電力値をフィルタ適用前の電力値を用いて求めることにしてもよい。
図7の説明に戻り、つぎに、相関分析部714は、各線(a線〜c線)について、トランスTiに接続された太陽光発電が未導入の需要家Cの昼の時間帯の各時刻tの合計電力値と、各線(a線〜c線)の昼の時間帯の各時刻tの電流値とに基づいて、電力と電流との相関を示す第1の相関値ρ昼(IX,Pi)を算出する。
具体的には、例えば、相関分析部714は、下記式(7)および下記式(8)を用いて、第1の相関値ρ昼(IX,Pi)を算出することができる(X=a,b,c)。ただし、ρ(x,y)は、xとyの相関の強さを表す。また、時刻tを「t=1,2,…,T」とする。また、x(t)を「x(t)=IX昼_filter(1),IX昼_filter(2),…,IX昼_filter(T)」とする。x(t)は、例えば、図10に示した昼データDB800から特定される。また、y(t)を「y(t)=Pi_昼_filter(1),Pi_昼_filter(2),…,Pi_昼_filter(T)」とする。y(t)は、例えば、図12に示した昼合計電力テーブル1200から特定される。
これにより、各線(a線〜c線)についての第1の相関値ρ昼(Ia,Pi),ρ昼(Ib,Pi),ρ昼(Ic,Pi)を算出することができる。算出された第1の相関値ρ昼(IX,Pi)は、例えば、後述の図14に示す相関値テーブル1400に記憶される。
なお、上述した説明では、昼の時間帯の各時刻tのフィルタ適用後の合計電力値と電流値とを用いて第1の相関値ρ昼(IX,Pi)を求める場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、相関分析部714は、昼の時間帯の各時刻tのフィルタ適用前の合計電力値と電流値とを用いて第1の相関値ρ昼(IX,Pi)を求めることにしてもよい。
また、相関分析部714は、各線(a線〜c線)について、トランスTiに接続された全需要家Cの夜の時間帯の各時刻tの合計電力値と、各線(a線〜c線)の夜の時間帯の各時刻tの電流値とに基づいて、電力と電流との相関を示す第2の相関値ρ夜(IX,Pi)を算出する。
具体的には、例えば、相関分析部714は、上記式(7)および上記式(8)を用いて、第2の相関値ρ夜(IX,Pi)を算出することができる(X=a,b,c)。ただし、x(t)を「x(t)=IX夜_filter(1),IX夜_filter(2),…,IX夜_filter(T)」とする。x(t)は、例えば、図11に示した夜データDB900から特定される。また、y(t)を「y(t)=Pi_夜_filter(1),Pi_夜_filter(2),…,Pi_夜_filter(T)」とする。y(t)は、例えば、図13に示した夜合計電力テーブル1300から特定される。
これにより、各線(a線〜c線)についての第2の相関値ρ夜(Ia,Pi),ρ夜(Ib,Pi),ρ夜(Ic,Pi)を算出することができる。算出された第2の相関値ρ夜(IX,Pi)は、例えば、図14に示す相関値テーブル1400に記憶される。
なお、上述した説明では、夜の時間帯の各時刻tのフィルタ適用後の合計電力値と電流値とを用いて第2の相関値ρ夜(IX,Pi)を求める場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、相関分析部714は、夜の時間帯の各時刻tのフィルタ適用前の合計電力値と電流値とを用いて第2の相関値ρ夜(IX,Pi)を求めることにしてもよい。
ここで、相関値テーブル1400の記憶内容について説明する。相関値テーブル1400は、例えば、記憶部702に記憶される。
図14は、相関値テーブル1400の記憶内容の一例を示す説明図である。図14において、相関値テーブル1400は、トランスTiごとに、第1の相関値ρ昼(IX,Pi)、第2の相関値ρ夜(IX,Pi)および相関値ρ(IX,Pi)を記憶する(X=a,b,c)。
図14に示す(14−1)の例では、相関値テーブル1400は、トランスT1〜Tnの第1の相関値ρ昼(IX,P1)〜ρ昼(IX,Pn)を記憶している。また、相関値テーブル1400は、トランスT1〜Tnの第2の相関値ρ夜(IX,P1)〜ρ夜(IX,Pn)を記憶している。
図7の説明に戻り、相関分析部714は、算出した第1の相関値ρ昼(IX,Pi)と第2の相関値ρ夜(IX,Pi)との重み付け平均を求めることにより、相関値ρ(IX,Pi)を算出する(X=a,b,c)。具体的には、例えば、相関分析部714は、下記式(9)を用いて、相関値ρ(IX,Pi)を算出することができる。ただし、k昼は、第1の相関値ρ昼(IX,Pi)にかける重みである。また、k夜は、第2の相関値ρ夜(IX,Pi)にかける重みである。また、「k昼+k夜=1」とする。
ρ(IX,Pi)=k昼×ρ昼(IX,Pi)+k夜×ρ夜(IX,Pi)・・・(9)
算出された相関値ρ(IX,Pi)は、例えば、図14に示した相関値テーブル1400に記憶される。図14に示す(14−2)の例では、相関値テーブル1400は、トランスT1〜Tnの相関値ρ(IX,P1)〜ρ(IX,Pn)を記憶している(ただし、X=a,b,c)。
また、相関分析部714は、昼の時間帯に含まれる需要家Cの電力または各線(a線〜c線)の電流の計測点の数N昼と、夜の時間帯に含まれる需要家Cの電力または各線(a線〜c線)の電流の計測点の数N夜とに基づいて、重みk昼,k夜を決定することにしてもよい。
例えば、相関分析部714は、図8に示した昼データDB800の時刻tの数を計数することにより、計測点の数N昼を求めることができる。また、例えば、相関分析部714は、図9に示した夜データDB900の時刻tの数を計数することにより、計測点の数N夜を求めることができる。
ここで、計測点の数N昼,N夜は、スマートメータSMにより計測される需要家Cの電力値や、センサSEにより計測される各線(a線〜c線)の電流値のデータ数に相当する。また、トランスTiの接続相の判定に用いるデータ数が多いほど、トランスTiの接続相の判定精度が向上とするといえる。このため、相関分析部714は、例えば、「N昼/N夜」の値が大きいほど、重みk昼が大きくなるように、重みk昼,k夜を決定することにしてもよい。
また、相関分析部714は、昼の時間帯の電力値の平均値Pi_昼_aveと、夜の時間帯の電力値の平均値Pi_夜_aveとに基づいて、重みk昼,k夜を決定することにしてもよい。ここで、平均値Pi_昼_aveは、トランスTiに接続された需要家Cのうち太陽光発電が未導入の需要家Cの昼の時間帯の各時刻tの合計電力値の平均である。また、平均値Pi_夜_aveは、トランスTiに接続された全需要家Cの夜の時間帯の各時刻tの合計電力値の平均である。
例えば、相関分析部714は、図12に示した昼合計電力テーブル1200を参照して、合計電力値Pi_昼_filter(t)の平均を求めることにより、平均値Pi_昼_aveを算出することができる。また、例えば、相関分析部714は、図13に示した夜合計電力テーブル1300を参照して、合計電力値Pi_夜_filter(t)の平均を求めることにより、平均値Pi_夜_aveを算出することができる。
ここで、平均値Pi_昼_aveや平均値Pi_夜_aveが大きいほど、平均値Pi_昼_aveや平均値Pi_夜_aveが、トランス配下の総需要を良く特徴付けているといえる。このため、相関分析部714は、例えば、「Pi_昼_ave/Pi_夜_ave」の値が大きいほど、重みk昼が大きくなるように、重みk昼,k夜を決定することにしてもよい。
また、相関分析部714は、昼の時間帯の各線(a線〜c線)の電流値の平均値I昼_aveに対する平均値Pi_昼_aveの割合R1と、夜の時間帯の各線(a線〜c線)の電流値の平均値I夜_aveに対する平均値Pi_夜_aveの割合R2とに基づいて、重みk昼,k夜を決定することにしてもよい。
例えば、相関分析部714は、図10に示した昼データDB800を参照して、各線(a線〜c線)の電流値IX昼_filter(t)の平均を求めることにより(X=a,b,c)、平均値I昼_aveを算出することができる。また、例えば、相関分析部714は、図11に示した夜データDB900を参照して、各線(a線〜c線)の電流値IX夜_filter(t)の平均を求めることにより(X=a,b,c)、平均値I夜_aveを算出することができる。
ここで、割合R1や割合R2が大きいほど、「センサデータから抽出したいトランス配下の電力の特徴/ノイズの量」の値が大きくなり、トランスTiの接続相の判定精度が向上するといえる。このため、相関分析部714は、例えば、「R1/R2」の値が大きいほど、重みk昼が大きくなるように、重みk昼,k夜を決定することにしてもよい。
ただし、重みk昼,k夜は、予め設定されて記憶されていてもよい。例えば、トランスTiの接続相の判定に昼の時間帯のデータを用いない場合は、重みk昼,k夜を「k昼=0、k夜=1」と設定していてもよい。また、トランス配下の太陽光発電を導入済みの需要家Cが多いほど、昼の時間帯のデータよりも夜の時間帯のデータのほうが信頼できると仮定して、重みk昼,k夜を設定することにしてもよい。例えば、太陽光発電を導入済みの需要家Cの数と太陽光発電を未導入の需要家Cの数の割合が「1:1」の場合は、夜の時間帯のデータのほうが2倍信頼できると仮定して、重みk昼,k夜を「k昼=1/3、k夜=2/3」と設定していてもよい。
接続相判定部715は、算出した各線(a線〜c線)の相関値ρ(Ia,Pi),ρ(Ib,Pi),ρ(Ic,Pi)に基づいて、a線〜c線のうちのトランスTiに接続された2つの配電線を判定する。具体的には、例えば、接続相判定部715は、相関値ρ(Ia,Pi),ρ(Ib,Pi),ρ(Ic,Pi)のうちの相関が最も小さい値から、トランスTiの接続相を判定する。
より詳細に説明すると、接続相判定部715は、下記式(10)〜(12)のうち、条件を満たす式に対応する相を接続相として判定する。
ρ(Ic,Pi)≦ρ(Ia,Pi),ρ(Ib,Pi) ・・・(10)
ρ(Ia,Pi)≦ρ(Ib,Pi),ρ(Ic,Pi) ・・・(11)
ρ(Ib,Pi)≦ρ(Ic,Pi),ρ(Ia,Pi) ・・・(12)
例えば、上記式(10)を満たす場合、接続相判定部715は、トランスTiの接続相をab相として判定する。また、上記式(11)を満たす場合、接続相判定部715は、トランスTiの接続相をbc相として判定する。また、上記式(12)を満たす場合、接続相判定部715は、トランスTiの接続相をca相として判定する。
判定されたトランスTiの接続相は、例えば、図6に示した配電網設備データ600の接続相フィールドに設定される。例えば、トランスT1の接続相がab相と判定された場合、配電網設備情報600−1の接続相フィールドに「ab相」が設定される。
出力部716は、判定されたトランスTiの接続相を示す情報を出力する。具体的には、例えば、出力部716は、配電網設備データ600を参照して、各トランスT1〜Tnの接続相を示す情報を出力することにしてもよい。出力部716の出力形式としては、例えば、メモリ302、ディスク304などの記憶装置への記憶、ディスプレイ306への表示、不図示のプリンタへの印刷出力、I/F305による外部装置への送信がある。
なお、上述した説明では、第1の相関値ρ昼(IX,Pi)と第2の相関値ρ夜(IX,Pi)との重み付け平均を求めることにより、相関値ρ(IX,Pi)を算出することにしたが、これに限らない。例えば、相関分析部714は、昼の時間帯の各時刻tの合計電力値Pi昼_filter(t)および夜の時間帯の各時刻tの合計電力値Pi夜_filter(t)に基づいて、相関値ρ(IX,Pi)を直接算出することにしてもよい。
(トランス接続相判定装置101のトランス接続相判定処理手順)
つぎに、トランス接続相判定装置101のトランス接続相判定処理手順について説明する。
図15は、トランス接続相判定装置101のトランス接続相判定処理手順の一例を示すフローチャートである。図15のフローチャートにおいて、まず、トランス接続相判定装置101は、配電網EN内の各スマートメータSMにより計測された電力値を示す需要家電力データ500を取得する(ステップS1501)。
つぎに、トランス接続相判定装置101は、配電網EN内のセンサSEにより計測された各線(a線〜c線)の電流値を示すセンサ線電流データ400を取得する(ステップS1502)。そして、トランス接続相判定装置101は、取得したセンサ線電流データ400を参照して、各線(a線〜c線)の電流値を、昼の時間帯の電流値と夜の時間帯の電流値とに分類する(ステップS1503)。
つぎに、トランス接続相判定装置101は、分類した昼の時間帯の電流値と夜の時間帯の電流値とに、低周波成分を減衰させるフィルタを適用する(ステップS1504)。そして、トランス接続相判定装置101は、昼の時間帯に含まれる計測点の数N昼と、夜の時間帯に含まれる計測点の数N夜とに基づいて、重みk昼,k夜を決定する(ステップS1505)。
つぎに、トランス接続相判定装置101は、トランスTiの「i」を「i=1」とする(ステップS1506)。そして、トランス接続相判定装置101は、配電網設備データ600を参照して、配電網EN内のトランスTiを選択する(ステップS1507)。
つぎに、トランス接続相判定装置101は、選択したトランスTiの接続相を判定する接続相判定処理を実行する(ステップS1508)。なお、接続相判定処理の具体的な処理手順については、図16を用いて後述する。
つぎに、トランス接続相判定装置101は、トランスTiの「i」をインクリメントして(ステップS1509)、「i」が「n」より大きくなったか否かを判断する(ステップS1510)。ここで、トランスTiの「i」が「n」以下の場合(ステップS1510:No)、トランス接続相判定装置101は、ステップS1507に戻る。
一方、「i」が「n」より大きい場合(ステップS1510:Yes)、トランス接続相判定装置101は、配電網EN内の各トランスT1〜Tnの接続相を示す情報を出力して(ステップS1511)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
これにより、配電網EN内の各トランスT1〜Tnの接続相を自動判定することができる。
つぎに、図15に示したステップS1508の接続相判定処理の具体的な処理手順について説明する。
図16は、接続相判定処理の具体的処理手順の一例を示すフローチャートである。図16のフローチャートにおいて、まず、トランス接続相判定装置101は、配電網設備データ600を参照して、トランスTi配下のスマートメータ導入済みの需要家Cを特定する(ステップS1601)。つぎに、トランス接続相判定装置101は、配電網設備データ600を参照して、特定したスマートメータ導入済みの需要家Cのうち、太陽光発電導入済みの需要家Cを特定する(ステップS1602)。
そして、トランス接続相判定装置101は、需要家電力データ500を参照して、トランスTi配下のスマートメータ導入済みの需要家Cの電力値を、昼の時間帯の電力値と夜の時間帯の電力値とに分類する(ステップS1603)。つぎに、トランス接続相判定装置101は、分類した昼の時間帯の電力値と夜の時間帯の電力値とに、低周波成分を減衰させるフィルタを適用する(ステップS1604)。
そして、トランス接続相判定装置101は、フィルタ適用後の昼の時間帯の各時刻tの需要家Cの電力値を参照して、トランスTiに接続された太陽光発電未導入の需要家Cの昼の時間帯の各時刻tの合計電力値Pi_昼_filter(t)を算出する(ステップS1605)。
つぎに、トランス接続相判定装置101は、フィルタ適用後の夜の時間帯の各時刻tの需要家Cの電力値を参照して、トランスTiに接続された全需要家Cの夜の時間帯の各時刻tの合計電力値Pi_夜_filter(t)を算出する(ステップS1606)。
そして、トランス接続相判定装置101は、算出した昼の時間帯の各時刻tの合計電力値Pi_昼_filter(t)と、各線(a線〜c線)の昼の時間帯の各時刻tのフィルタ適用後の電流値IX昼_filter(t)とに基づいて、第1の相関値ρ昼(IX,Pi)を算出する(ステップS1607)。ただし、Xは、a,b,cのいずれかである。
つぎに、トランス接続相判定装置101は、算出した夜の時間帯の各時刻tの合計電力値Pi_夜_filter(t)と、各線(a線〜c線)の夜の時間帯の各時刻tのフィルタ適用後の電流値IX夜_filter(t)とに基づいて、第2の相関値ρ夜(IX,Pi)を算出する(ステップS1608)。ただし、Xは、a,b,cのいずれかである。
そして、トランス接続相判定装置101は、図15に示したステップS1505において決定した重みk昼,k夜を用いて、算出した第1の相関値ρ昼(IX,Pi)と第2の相関値ρ夜(IX,Pi)との重み付け平均を求めることにより、相関値ρ(IX,Pi)を算出する(ステップS1609)。ただし、Xは、a,b,cのいずれかである。
つぎに、トランス接続相判定装置101は、算出した相関値ρ(IX,Pi)に基づいて、トランスTiの接続相を判定して(ステップS1610)、接続相判定処理を呼び出したステップに戻る。これにより、配電網EN内のa線〜c線のうちのトランスTiに接続された2つの配電線を判定することができる。
なお、上述した説明では、昼・夜の時間帯の電力値に対してフィルタを適用した後に昼・夜の時間帯の各時刻tの合計電力値を算出することにしたが、これに限らない。例えば、トランス接続相判定装置101は、昼・夜の時間帯の各時刻tの合計電力値を算出した後にフィルタを適用することにしてもよい。
(トランス接続相判定方法の効果の検証)
つぎに、図17に示す配電網1700を用いて、実施の形態にかかるトランス接続相判定方法の効果の検証について説明する。
図17は、配電網1700の構成例を示す説明図である。図17において、配電網1700は、三相3線式の配電網であり、センサSEと、複数のトランスT(例えば、トランスT1〜T3)と、複数の需要家C(例えば、需要家C11,C12,C21,C22,C31,C32)とを含む。また、トランスT1の接続相はab相である。トランスT2の接続相はbc相である。トランスT3の接続相はca相である。
ここで、トランスT1〜T3配下の各需要家C11,C12,C21,C22,C31,C32の時刻tの電力値を以下のように定義する。ただし、C12,C22,C32は、太陽光発電導入済みの需要家Cである。また、Psun(t)は太陽光発電による発電電力である。また、時刻tは「t=1,2,…,17520」である。
需要家C11:P11_filter(t)=X11(t)
需要家C12:P12_filter(t)=X12(t)+Psun(t)
需要家C21:P21_filter(t)=X21(t)
需要家C22:P22_filter(t)=X22(t)+Psun(t)
需要家C31:P31_filter(t)=X31(t)
需要家C32:P32_filter(t)=X32(t)+Psun(t)
「その他」の部分について、ab相に接続されたトランス配下の需要家Cの時刻tの電力値を「Pab_filter(t)=50Xab(t)+sPsun(t)」と定義する。また、bc相に接続されたトランス配下の需要家Cの時刻tの電力値を「Pbc_filter(t)=50Xbc(t)+sPsun(t)」と定義する。
また、ca相に接続されたトランス配下の需要家Cの時刻tの電力値を「Pca_filter(t)=50Xca(t)+10Psun(t)」と定義する。ただし、係数sは、「その他」の部分の各相(ab相、bc相、ca相)における、太陽光発電を導入している需要家Cの割合を調整するための値である。
ここで、データの仮定として、X**(t)は、任意の時間t、任意の**について独立にU(−500,500)に従うと仮定する。ただし、U(−500,500)は、−500から500の中の値をランダムにとる確率変数であり、一様分布を表す。また、Psun(t)は昼の時刻にはU(−500,500)に従い、夜の時刻には「0」をとる値とする。また、センサSEの電流は、線路の損失がなくトランスTは全て巻線比が同一の理想変圧器であると仮定する。
このような仮定をした時の各電力値Pをもとに、トランスT1〜T3の接続相を判定した場合の正答率は図18のようになる。
図18は、トランス接続相判定結果の正答率を示す説明図である。図18において、(手法1)は、昼・夜の時間帯を区別しないでトランスT1〜T3の接続相を判定した場合の正答率を示す。すなわち、(手法1)は、単にフィルタ適用後の電力値と電流値を用いて、トランスT1〜T3の接続相を判定した場合の例である。
(手法2)は、本トランス接続相判定方法において、重みk昼,k夜を「k昼=0、k夜=1」とした場合のトランスT1〜T3の接続相を判定した場合の正答率を示す。(手法3)は、本トランス接続相判定方法において、重みk昼,k夜を「k昼=1/3、k夜=2/3」とした場合のトランスT1〜T3の接続相を判定した場合の正答率を示す。
図18に示すように、(手法2)、(手法3)では、係数sの値が変化しても接続相の判定精度を確保できていることがわかる。例えば、(手法1)では、「その他」の部分の各相(ab相、bc相、ca相)における、太陽光発電を導入している需要家Cの数のバランスが崩れた場合に判定精度が低下するのに対して、(手法2)、(手法3)では、高精度に判定することができている。
以上説明したように、実施の形態にかかるトランス接続相判定装置101によれば、需要家電力データ500を参照して、各需要家Cの電力値を、昼の時間帯の電力値と、夜の時間帯の電力値とに分類することができる。これにより、各需要家Cの電力値を、太陽光発電の影響を考慮すべき電力値と、太陽光発電の影響を考慮しなくてもよい電力値とに分類することができる。
また、トランス接続相判定装置101によれば、センサ線電流データ400を参照して、各線(a線〜c線)の電流値を、昼の時間帯の電流値と、夜の時間帯の電流値とに分類することができる。これにより、各線(a線〜c線)の電流値を、各需要家Cの電力値に合わせて分類することができる。
また、トランス接続相判定装置101によれば、昼・夜の時間帯の各線の電流値と各需要家Cの電力値とに対して、低周波成分を減衰させるフィルタを適用することができる。これにより、低周波成分を減衰させ、細かい変化(高周波成分)を通過させて、相関分析に不要な共通の成分を除去することができる。
また、トランス接続相判定装置101によれば、トランスTiに接続された需要家Cのうち、太陽光発電が未導入の需要家Cの昼の時間帯の各時刻tの合計電力値Pi_昼_filter(t)を算出することができる。これにより、トランス配下の需要家Cで消費された昼の時間帯の合計電力値として、太陽光発電の影響により相関分析に不要となる共通の成分を含む電力値を除去した合計電力値Pi_昼_filter(t)を算出することができる。
また、トランス接続相判定装置101によれば、トランスTiに接続された全需要家Cの夜の時間帯の各時刻tの合計電力値Pi_夜_filter(t)を算出することができる。これにより、太陽光発電の影響を受けない夜の時間帯の電力値を最大限活用することができる。
また、トランス接続相判定装置101によれば、昼の時間帯の各時刻tの合計電力値Pi昼_filter(t)と、各線(a線〜c線)の昼の時間帯の各時刻tの電流値IX昼_filter(t)とに基づいて、第1の相関値ρ昼(IX,Pi)を算出することができる(X=a,b,c)。これにより、昼の時間帯の電力と電流との相関を分析することができる。また、フィルタ適用後の合計電力値Pi_昼_filter(t)と電流値IX昼_filter(t)とを用いるため、擬似相関の発生を抑制することができる。
また、トランス接続相判定装置101によれば、夜の時間帯の各時刻tの合計電力値Pi_夜_filter(t)と、各線(a線〜c線)の夜の時間帯の各時刻tの電流値IX夜_filter(t)とに基づいて、第2の相関値ρ夜(IX,Pi)を算出することができる(X=a,b,c)。これにより、夜の時間帯の電力と電流との相関を分析することができる。また、フィルタ適用後の合計電力値Pi_夜_filter(t)と電流値IX夜_filter(t)とを用いるため、擬似相関の発生を抑制することができる。
また、トランス接続相判定装置101によれば、第1の相関値ρ昼(IX,Pi)と第2の相関値ρ夜(IX,Pi)との重み付け平均を求めることにより、相関値ρ(IX,Pi)を算出することができる(X=a,b,c)。そして、トランス接続相判定装置101によれば、相関値ρ(IX,Pi)に基づいて、トランスTiの接続相を判定することができる。
これにより、トランス配下の全需要家Cの電力値が反映されているためにトランス配下の総需要を良く特徴付けているといえる夜の時間帯のほうに大きな重みを付けて接続相判定を行うことができ、トランスTiの接続相の判定精度を向上させることができる。
また、トランス接続相判定装置101によれば、昼の時間帯の計測点の数N昼と、夜の時間帯の計測点の数N夜とに基づいて、重みk昼,k夜を決定することができる。これにより、データ数(計測点)が多い時間帯のほうに重みを付けて接続相判定を行うことができ、トランスTiの接続相の判定精度を向上させることができる。
また、トランス接続相判定装置101によれば、昼の時間帯の電力値の平均値Pi_昼_aveと、夜の時間帯の電力値の平均値Pi_夜_aveとに基づいて、重みk昼,k夜を決定することができる。これにより、需要家Cの合計電力値の平均値が大きいためにトランス配下の総需要を良く特徴付けているといえる時間帯のほうに重みを付けて接続相判定を行うことができ、トランスTiの接続相の判定精度を向上させることができる。
また、トランス接続相判定装置101によれば、昼の時間帯の電流値の平均値I昼_aveに対する平均値Pi_昼_aveの割合R1と、夜の時間帯の電流値の平均値I夜_aveに対する平均値Pi_夜_aveの割合R2とに基づいて、重みk昼,k夜を決定することができる。これにより、配電網全体のノイズの量に対してセンサデータから抽出したいトランス配下の電力の特徴が大きくなる時間帯のほうに重みを付けて接続相判定を行うことができ、トランスTiの接続相の判定精度を向上させることができる。
これらのことから、トランス接続相判定装置101によれば、配電網EN内のトランス配下の需要家Cに太陽光発電を導入した需要家Cが含まれる場合であっても、トランスTiの接続相を高精度に判定することができる。
なお、本実施の形態で説明したトランス接続相判定方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本トランス接続相判定プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、本トランス接続相判定プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)コンピュータに、
3以上の配電線のいずれか2つの配電線に接続されたトランスに接続された需要家で消費された計測期間内の各時間帯の電力値のうち、太陽光発電が導入された需要家で消費された特定の時間帯の電力値を除く前記各時間帯の電力値を取得し、
前記3以上の配電線の各々の配電線について、取得した前記各時間帯の電力値と、前記各々の配電線に流れた前記各時間帯の電流値とに基づいて、電力と電流との相関を示す相関値を算出し、
算出した前記各々の配電線の相関値に基づいて、前記3以上の配電線のうちの前記トランスに接続された2つの配電線を判定する、
処理を実行させることを特徴とするトランス接続相判定プログラム。
(付記2)前記コンピュータに、
前記各々の配電線について、取得した前記各時間帯の電力値のうちの前記特定の時間帯の電力値と、前記各時間帯の電流値のうちの前記特定の時間帯の電流値とに基づいて、電力と電流との相関を示す第1の相関値を算出し、
前記各々の配電線について、取得した前記各時間帯の電力値のうちの前記特定の時間帯とは異なる他の時間帯の電力値と、前記各時間帯の電流値のうちの前記他の時間帯の電流値とに基づいて、電力と電流との相関を示す第2の相関値を算出する、処理を実行させ、
前記相関値を算出する処理は、
前記各々の配電線について、算出した前記第1の相関値と前記第2の相関値との重み付け平均を求めることにより、前記相関値を算出することを特徴とする付記1に記載のトランス接続相判定プログラム。
(付記3)前記相関値を算出する処理は、
前記特定の時間帯に含まれる電力または電流の計測点の数と、前記他の時間帯に含まれる電力または電流の計測点の数とに基づいて、前記第1の相関値と前記第2の相関値との重み付け平均を求めることにより、前記相関値を算出することを特徴とする付記2に記載のトランス接続相判定プログラム。
(付記4)前記相関値を算出する処理は、
前記特定の時間帯の電力値の平均値と、前記他の時間帯の電力値の平均値とに基づいて、前記第1の相関値と前記第2の相関値との重み付け平均を求めることにより、前記相関値を算出することを特徴とする付記2に記載のトランス接続相判定プログラム。
(付記5)前記相関値を算出する処理は、
前記特定の時間帯の電流値の平均値に対する前記特定の時間帯の電力値の平均値の割合と、前記他の時間帯の電流値の平均値に対する前記他の時間帯の電力値の平均値の割合とに基づいて、前記第1の相関値と前記第2の相関値との重み付け平均を求めることにより、前記相関値を算出することを特徴とする付記2に記載のトランス接続相判定プログラム。
(付記6)前記コンピュータに、
取得した前記各時間帯の電力値と前記各時間帯の電流値とに対して、低周波成分を減衰させるフィルタを適用する処理を実行させ、
前記相関値を算出する処理は、
前記各々の配電線について、前記フィルタを適用した前記各時間帯の電力値と前記各時間帯の電流値とに基づいて、電力と電流との相関を示す相関値を算出することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載のトランス接続相判定プログラム。
(付記7)コンピュータが、
3以上の配電線のいずれか2つの配電線に接続されたトランスに接続された需要家で消費された計測期間内の各時間帯の電力値のうち、太陽光発電が導入された需要家で消費された特定の時間帯の電力値を除く前記各時間帯の電力値を取得し、
前記3以上の配電線の各々の配電線について、取得した前記各時間帯の電力値と、前記各々の配電線に流れた前記各時間帯の電流値とに基づいて、電力と電流との相関を示す相関値を算出し、
算出した前記各々の配電線の相関値に基づいて、前記3以上の配電線のうちの前記トランスに接続された2つの配電線を判定する、
処理を実行することを特徴とするトランス接続相判定方法。
(付記8)3以上の配電線のいずれか2つの配電線に接続されたトランスに接続された需要家で消費された計測期間内の各時間帯の電力値のうち、太陽光発電が導入された需要家で消費された特定の時間帯の電力値を除く前記各時間帯の電力値を取得し、
前記3以上の配電線の各々の配電線について、取得した前記各時間帯の電力値と、前記各々の配電線に流れた前記各時間帯の電流値とに基づいて、電力と電流との相関を示す相関値を算出し、
算出した前記各々の配電線の相関値に基づいて、前記3以上の配電線のうちの前記トランスに接続された2つの配電線を判定する、
制御部を有することを特徴とするトランス接続相判定装置。
(付記9)コンピュータに、
3以上の配電線のいずれか2つの配電線に接続されたトランスに接続された需要家で消費された計測期間内の各時間帯の電力値のうち、太陽光発電が導入された需要家で消費された特定の時間帯の電力値を除く前記各時間帯の電力値を取得し、
前記3以上の配電線の各々の配電線について、取得した前記各時間帯の電力値と、前記各々の配電線に流れた前記各時間帯の電流値とに基づいて、電力と電流との相関を示す相関値を算出し、
算出した前記各々の配電線の相関値に基づいて、前記3以上の配電線のうちの前記トランスに接続された2つの配電線を判定する、
処理を実行させるトランス接続相判定プログラムを記録したことを特徴とする前記コンピュータに読み取り可能な記録媒体。