JP6326271B2 - 電線のシールド構造 - Google Patents
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Description
ところが、シールド部材として筒状の編組が用いられ、筒状の編組の端末部にはインナシェルとアウタシェルからなるシールドシェルがカシメ付けにより固着されている。そのため、シールドシェルをカシメ付けるプレス機などが必要となり加工設備が大型化するという問題があった。また、複数の電線は、基本的にはその末端にコネクタなどの端末部材が取付けられる前に、筒状の編組に挿通される必要がある(所謂、先通し)。このような電線の先通しが必要となると、ワイヤハーネスの製造及び配線の手順の自由度が制限されるという問題があった。
特許文献2に開示されている電磁シールド具501は、図8に示すように、2つのブラケット部材502と、複数のシールド用電線503とを備えている。ブラケット部材502は、環状に変形可能な長尺の導電性部材である。複数のシールド用電線503は、間隔を空けて並ぶ2つのブラケット部材502の一方から他方へ亘って配置されている。さらに、複数のシールド用電線503は、両端が2つのブラケット部材502各々におけるその長手方向において分布する複数の接合部位512のいずれかに接合されている。そして、ブラケット部材502は、シールドシェル507の外周面に沿って環状に形成された状態で、重ねられた2つのブラケット連結部520がネジ514及びナット部材516によって合体した状態に保持されることによって、シールドシェル507に固定される。
従って、2つのブラケット部材502は、電力ケーブル(電線)509が貫通したシールド枠部の周囲に沿って環状に保持されることにより、2つのブラケット部材502と接合された複数のシールド用電線503は、電力ケーブル509の周囲を取り囲んで配列される。
即ち、上述の電磁シールド具501は、予め筒状に形成された部材ではないため、電力ケーブル509に対する後付けが可能である。
また、上記ブラケット部材502は、シールドシェル507の外周面に沿って環状に形成された状態でシールドシェル507に固定されることにより、シールドシェル507と接触し、電気的に接続されている。そこで、シールドシェル507とブラケット部材502との安定的な電気的接続が難しく、充分なシールド性能を確保することができなくなる可能性がある。
(1) 筒状に変形可能なシート状のシールド部材と、複数の電線を包囲するように筒状に巻き付けられた前記シールド部材の筒状開口端に固定されて前記シールド部材を筒状態に固定するためのシールド部材固定部を有し、前記シールド部材を被取付部にアースするシールドシェルと、前記複数の電線の両端部各々を一定の位置関係で保持するとともに、前記複数の電線相互間を電気的に絶縁する一対の電線保持部材と、を備え、前記シールドシェルは、前記一対の電線保持部材のそれぞれを包囲するように前記電線保持部材に固定される枠状部材であることを特徴とする電線のシールド構造。
(2) 前記シールド部材における巻き付け方向と直交する幅方向両端部には、前記シールドシェルに固定するための固定部が形成されていることを特徴とする上記(1)に記載の電線のシールド構造。
(3) 前記シールド部材固定部が、前記シールドシェルの一部を折り曲げて形成されていることを特徴とする上記(1)また(2)に記載の電線のシールド構造。
(4) 前記シールド部材と前記シールドシェルとが、シート材から一体成形されていることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1つに記載の電線のシールド構造。
(5) 上記(1)〜(4)の構成の何れかの電線のシールド構造を備えたことを特徴とするワイヤハーネス。
また、シート状のシールド部材の筒状態が維持できるようにシールド部材の筒状開口端をシールド部材固定部に固定する接合工数は、ブラケット部材の接合部位に複数のシールド用電線を1本ずつ接合していた従来の電磁シールド具における接合工数に比べて大幅に減らすことができる。更に、シールド部材の筒状開口端をシールド部材固定部に固定するには、ネジ、リベット及びクリップなどの固定部材を用いたり、溶着及び接着などの固定方法を用いたりすることができ、プレス機など大掛かりな設備を必要とするカシメ付け作業が不要となる。従って、シールド部材をシールドシェルに容易に取り付けることができ、製造コストを低減することができる。
また、筒状態のシールド部材は、筒状開口端がシールドシェルのシールド部材固定部に直接固定され、シールドシェルを介して被取付部にアースされる。そこで、シールドシェルとシールド部材との安定的な電気的接続が容易となり、充分なシールド性能を確保することができる。
上記(2)の構成の電線のシールド構造によれば、シールドシェルに対して筒状態に固定されるシールド部材の巻き付け方向と直交する幅方向両端部には、シールドシェルに固定するための固定部が形成される。即ち、シールド部材は、固定穴や固定片等の種々の固定部が形成されることで、シールドシェルに対する取付け自由度が高くなると共に、取付け時の作業性も向上する。
上記(3)の構成の電線シールド構造によれば、シールド部材の筒状開口端を固定するためのシールド部材固定部が、シールドシェルの一部を折り曲げて一体に形成されるので、シールド部材をシールドシェルに確実に固定することができると共に、シールドシェルとシールド部材との間の電気的な接続信頼性が低下することはない。
上記(4)の構成の電線のシールド構造によれば、シールド部材とシールドシェルとがシート材から一体成形されることにより、組立作業性が向上する。即ち、シールド部材とシールドシェルとがそれぞれ別体に形成されたものを組み立てる場合、シールド部材の筒状開口端にそれぞれ固定される一対のシールドシェルを治具などで互いに位置決め保持した状態で、シート状のシールド部材を筒状に巻き付けなければならない。これに対し、シールド部材とシールドシェルとが一定に形成されている場合には、シールド部材の筒状開口端にそれぞれ固定される一対のシールドシェルが予め位置決めされるので、シート状のシールド部材を筒状に巻き付ける際の作業性が向上する。
上記(5)の構成のワイヤハーネスによれば、製造が容易でシールド性能が良好なワイヤハーネスを得ることができる。
本発明の一実施形態に係る電線のシールド構造は、車両に配線される複数の電線9をシールド部材31で包囲してシールドするためのものであり、筒状に変形可能なシート状のシールド部材31と、複数の電線9を包囲するように筒状に巻き付けられたシールド部材31の筒状開口端に固定されてシールド部材31を筒状態に固定するためのシールド部材固定部22を有し、被取付部である筐体5にシールド部材31をアースするシールドシェル21と、を備える。
図1〜図3に示すように、本実施形態に係る電線のシールド構造を備えたワイヤハーネス1は、複数本の電線9と、これら電線9の伸延方向(図2においては、上下方向)の端末部に設けられた各線共有のコネクタ41と、複数の電線9を包囲するシールド部材31と、筐体5にシールド部材31をアースするためのシールドシェル21と、を備える。なお、本実施形態に係るワイヤハーネス1は、電動モータのインバータと電源装置との間をつなぐ長尺部材なので、図中においては中間部を省略して図示している。
そして、図4に示すように、シールド部材31は、電線9の両端部を一定の位置関係で保持している一対のコネクタ41の間隔と同等長さの幅寸法Wと、並列配置された6本の電線9の周囲を囲むのに必要な長さ寸法Lとを有している。シールド部材31における巻き付け方向と直交する幅方向両端部には、シールドシェル21に固定するための固定部である固定穴33が、長さ方向に沿って所定間隔で形成されている。シールド部材31が6本の電線9の周囲に巻き付けられる際には、固定穴33を貫通したネジ35によってシールドシェル21のシールド部材固定部22に適宜固定される。
なお、シールド部材31は、電線9の保護材となる強度と、加工性、ある程度の柔軟性を有していることが望ましい。シールド部材31が柔軟性を有することで、ワイヤハーネス1が車両に組付けられる際の組付け性を確保できる。
先ず、本実施形態に係るワイヤハーネス1を組み立てる際には、図4(a),(b)に示すように、端末部に端子金具10が接続された所定長を有する6本の電線9が、並列に配置された状態で両端部をそれぞれコネクタ41により保持される。
そして、それぞれのコネクタ41には、シールドシェル21が固定される。この際、シールドシェル21は、シールド部材固定部22が電線9の中間部側に位置する向きに装着される。
具体的には、図4に示すように、一対のシールドシェル21の一方の縁部(図4(a)中の手前側の縁部)におけるそれぞれのシールド部材固定部22に対して、シールド部材31の幅方向両端部が固定される。ここで、シールド部材31の幅方向両端部は、固定穴33を貫通してシールド部材固定部22の孔24に挿通されたネジ35がナット38に螺合することで、シールド部材固定部22に固定される。
即ち、本実施形態に係る電線のシールド構造を備えたワイヤハーネス1によれば、シート状のシールド部材31は、予め筒状に形成された部材ではないので、電線9に対する後付けが可能となり、時間がかかっていた先通し作業などの加工工程を簡素化することができる。
シールド部材31Aには、図6(a)に示すように、幅方向両端部に亘る複数の折り目36がプレス等で予め付けられている。そこで、6本の電線9の周囲にシールド部材31Aを巻き付ける際には、シールド部材31Aが折り返し易くなり、巻き付け作業が容易となる。
シールド部材31Bの幅方向両端部には、図6(b)に示すように、シールドシェル21Bに固定するための固定部である固定片37が形成されている。シールドシェル21Bには、上記シールドシェル21のようなシールド部材固定部22が折り曲げ形成されておらず、シールド部材31Bが6本の電線9の周囲に巻き付けられる際には、固定片37が外側に直角に折り曲げられてシールドシェル21Bのシールド部材固定部22Bにネジ35によって適宜固定される。
即ち、上述したシールド部材31(図4参照)やシールド部材31Bのように、固定穴33や固定片37等の種々の固定部が幅方向両端部に形成されることで、シールド部材31(31B)は、シールドシェル21(21B)に対する取付け自由度が高くなると共に、取付け時の作業性も向上する。
本発明の他の実施形態に係る電線のシールド構造におけるシールド部材53とシールドシェル55とは、図7の展開図に示すように、導電性を有する薄い金属プレートをプレス加工することにより一体成形されている。
そして、一対のシールドシェル55の長円状開口56が、それぞれコネクタ41に固定される。
その後、シールド部材53は、並列配置された6本の電線9の周囲を囲むように巻き付けられ、シールドシェル55のシールド部材固定部22に対して、シールド部材53の幅方向両端部が固定される。
即ち、シールド部材31とシールドシェル21とがそれぞれ別体に形成されたものを組み立てる場合、シールド部材31の筒状開口端にそれぞれ固定される一対のシールドシェル21を治具などで互いに位置決め保持した状態で、シート状のシールド部材31を筒状に巻き付けなければならない(図4及び図5参照)。
これに対し、シールド部材53とシールドシェル21とが一定に形成されている場合には、シールド部材53の筒状開口端にそれぞれ固定される一対のシールドシェル55が予め位置決めされるので、シート状のシールド部材53を筒状に巻き付ける際の作業性が向上する。
[1] 筒状に変形可能なシート状のシールド部材(31)と、
複数の電線(9)を包囲するように筒状に巻き付けられた前記シールド部材(31)の筒状開口端に固定されて前記シールド部材(31)を筒状態に固定するためのシールド部材固定部(22)を有し、前記シールド部材(31)を被取付部(筐体5)にアースするシールドシェル(21)と、
を備えることを特徴とする電線のシールド構造。
[2] 前記シールド部材(31,31B)における巻き付け方向と直交する幅方向両端部には、前記シールドシェル(21,21B)に固定するための固定部(固定穴33,固定片37)が形成されていることを特徴とする上記[1]に記載の電線のシールド構造。
[3] 前記シールド部材固定部(22)が、前記シールドシェル(21)の一部を折り曲げて形成されていることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の電線のシールド構造。
[4] 前記シールド部材(53)と前記シールドシェル(55)とが、シート材から一体成形されていることを特徴とする上記[1]〜[3]の何れか1つに記載の電線のシールド構造。
[5] 上記[1]〜[4]の構成の何れかの電線のシールド構造を備えたことを特徴とするワイヤハーネス(1)。
5…筐体(被取付部)
9…電線
21…シールドシェル
22…シールド部材固定部
31…シールド部材
Claims (5)
- 筒状に変形可能なシート状のシールド部材と、
複数の電線を包囲するように筒状に巻き付けられた前記シールド部材の筒状開口端に固定されて前記シールド部材を筒状態に固定するためのシールド部材固定部を有し、前記シールド部材を被取付部にアースするシールドシェルと、
前記複数の電線の両端部各々を一定の位置関係で保持するとともに、前記複数の電線相互間を電気的に絶縁する一対の電線保持部材と、
を備え、
前記シールドシェルは、前記一対の電線保持部材のそれぞれを包囲するように前記電線保持部材に固定される枠状部材であることを特徴とする電線のシールド構造。 - 前記シールド部材における巻き付け方向と直交する幅方向両端部には、前記シールドシェルに固定するための固定部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電線のシールド構造。
- 前記シールド部材固定部が、前記シールドシェルの一部を折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電線のシールド構造。
- 前記シールド部材と前記シールドシェルとが、シート材から一体成形されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電線のシールド構造。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の電線のシールド構造を備えたことを特徴とするワイヤハーネス。
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