JP6325801B2 - 電動ウインチ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、クレーンに用いられる電動ウインチ装置に関するものである。
従来から、クレーンには、吊作業(クレーン作業)を行うためのウインチ装置が設けられている。ウインチ装置は、モータにより駆動されて回転するウインチドラムを備えており、そのウインチドラムにより対象物の巻上又は巻下を行うようになっている。対象物の巻上又は巻下は、操作者により操作レバーが操作されることによって指示され、ウインチ装置では、その操作レバーの操作に応じてモータがウインチドラムを巻上方向又は巻下方向に回転させて対象物の巻上又は巻下を行う。
また、ウインチ装置は、ネガブレーキを備えている。ネガブレーキは、操作レバーが中立位置に配置されている場合にはウインチドラムに制動を掛けてウインチドラムを回転しないように保持する一方、操作レバーが中立位置から操作された場合にはその操作に応じてウインチドラムに対する制動を解除する。しかし、このようなウインチ装置では、ネガブレーキがウインチドラムに対する制動を解除するタイミングとモータがウインチドラムの回転を開始するタイミングとの間にずれが生じる可能性がある。そして、ウインチドラムに対する制動を解除するタイミングがウインチドラムの回転を開始するタイミングよりも早い場合には対象物が一瞬降下するずり落ち現象が発生し、ウインチドラムに対する制動を解除するタイミングがウインチドラムの回転を開始するタイミングよりも遅い場合にはブレーキによる制動がウインチドラムに掛かったままウインチドラムが対象物の巻き上げを行うブレーキの引きずり現象が発生する。
下記特許文献には、このような現象の発生を防ぐための技術が開示されている。
特許文献1では、パイロット油圧ポンプから供給される油圧から操作レバーの操作に応じたパイロット圧を発生させるパイロット弁と、発生したパイロット圧に応じて油圧モータの回転方向を制御する方向制御弁と、ウインチドラムに制動を掛ける油圧ブレーキとを備えたウインチの制動装置が示されており、パイロット油圧ポンプと油圧ブレーキとの間には、切換弁とブレーキ弁が直列に配置されている。切換弁は、操作レバーの操作に応じてパイロット弁により発生したパイロット圧によってブレーキ弁へパイロット油圧ポンプからの油圧を供給する状態に切り換わり、ブレーキ弁は、方向制御弁から油圧モータへ供給される油圧に応じて切換弁からの油圧を油圧ブレーキに供給する状態に切り換わるようになっている。油圧ブレーキは、ブレーキ弁からの油圧が供給されていない状態ではウインチドラムに制動を掛け、ブレーキ弁からの油圧が供給された場合にはウインチドラムに対する制動を解除するようになっている。これにより、方向切換弁から油圧モータへ油圧が供給されて油圧モータがウインチドラムの回転を開始するときには、同時に、ブレーキ弁から油圧ブレーキに油圧が供給されてウインチドラムに対する油圧ブレーキの制動が解除され、その結果、上述のずり落ち現象やブレーキの引きずり現象の発生が防止される。
また、特許文献2では、油圧モータに油圧を供給する管路にカウンタバランス弁が設けられており、そのカウンタバランス弁と油圧モータとの間の管路にはその管路内の保持圧力を検出する圧力センサが設けられている。操作レバーが中立位置にあるときには、ブレーキ装置によりウインチドラムに制動が掛けられており、操作レバーが巻上側へ操作されると、圧力センサによって検出される保持圧力が吊荷を保持するために必要な目標保持圧に達するまではウインチドラムに対する制動力が徐々に減少するようにブレーキ装置が制御されるようになっている。これにより、吊荷の保持が急に解放されて上述のずり落ち現象が発生するのを防止している。また、圧力センサによって検出される保持圧力が目標保持圧まで上昇した時点でウインチドラムに対する制動力が一気に0になるようにブレーキ装置が制御されるようになっており、上述のブレーキの引きずり現象が発生するのを防止している。
特開2000−351585号公報 特開平11−278795号公報
ところで、近年では、クレーンに用いられるウインチ装置を電動化したいとの要望がある。電動ウインチ装置では、油圧モータの替わりに電動モータを用いてウインチドラムを回転させ、それによって対象物の巻き上げを行うが、このような電動ウインチ装置においても上述のずり落ち現象や引きずり現象が問題となる。しかしながら、電動ウインチ装置においてこれらの現象の発生を防ぐために、上記各特許文献に開示された技術を適用することは困難である。具体的には、上記各特許文献の技術は、ブレーキの解除動作を制御するために油圧モータに供給される油圧を利用しており、そのような油圧が存在しない電動ウインチ装置では上記技術を用いることができない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、対象物の巻上又は巻下の開始時に対象物のずり落ち現象やブレーキの引きずり現象の発生を防止可能な電動ウインチ装置を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明による電動ウインチ装置は、クレーンに設けられる電動ウインチ装置であって、電動モータと、前記電動モータにより駆動されて対象物の巻上又は巻下のために回転するウインチドラムと、前記ウインチドラムの回転を制動するブレーキと、中立位置から前記対象物の巻上を指示する一方側である巻上側と前記対象物の巻下を指示する他方側である巻下側とに操作可能である操作レバーと、前記電動モータに供給される電流の値を計測する電流計と、前記ウインチドラムが前記操作レバーの操作に応じた回転を行うように前記電動モータの動作を制御するとともに、前記ブレーキの動作を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記対象物の荷重に起因して前記ウインチドラムに掛かる第1トルクの値を導出する第1トルク導出部と、前記電動モータの駆動トルクにより前記ウインチドラムに前記対象物を巻き上げる回転方向において発生する第2トルクの値を前記電流計によって計測された電流の値に基づいて導出する第2トルク導出部と、前記操作レバーが前記中立位置から前記巻上側又は前記巻下側へ操作された後、前記第2トルク導出部によって導出された第2トルクの値と前記第1トルク導出部によって導出された第1トルクの値との差に基づいて前記ウインチドラムの制動を解除するタイミングを決定し、その決定したタイミングで前記ブレーキに前記ウインチドラムの制動の解除を指示する制御信号を送信して前記ウインチドラムに対する制動を解除させるブレーキ制御部とを備える。
この電動ウインチ装置では、ブレーキ制御部が、操作レバーが中立位置から巻上側又は巻下側へ操作された後、第2トルク導出部によって導出されたウインチドラムに発生する第2トルクの値と第1トルク導出部によって導出されたウインチドラムに掛かる第1トルクの値との差に基づいて決定した解除タイミングでブレーキにウインチドラムに対する制動を解除させるため、例えばブレーキ制御部が操作レバーが中立位置から巻上側又は巻下側へ操作されたことをトリガーとしてブレーキにウインチドラムに対する制動を解除させる場合に比べて、ウインチドラムに対する制動が実際に解除されるタイミングと電動モータがウインチドラムの回転を開始するタイミングとの間にずれを生じにくくすることができる。このため、対象物の巻上又は巻下の開始時に対象物のずり落ち現象やブレーキの引きずり現象が発生するのを防ぐことができる。しかも、この電動ウインチ装置では、第1トルク導出部が対象物の荷重に起因してウインチドラムに掛かる第1トルクの値を導出し、第2トルク導出部が電動モータの駆動トルクによりウインチドラムに対象物を巻き上げる回転方向において発生する第2トルクの値を電流計によって計測された電流の値に基づいて導出し、ブレーキ制御部が、操作レバーが中立位置から巻上側又は巻下側へ操作された後、第2トルク導出部によって導出された第2トルクの値と第1トルク導出部によって導出された第1トルクの値との差に基づいて決定したタイミングでブレーキに制動の解除を指示する制御信号を送信してウインチドラムに対する制動を解除させるため、ウインチドラムに対するブレーキの制動の解除動作を電気制御することができる。このため、ウインチ装置の電動化に対応したブレーキの動作制御を実現できる。従って、電動ウインチ装置において、対象物の巻上又は巻下の開始時に対象物のずり落ち現象やブレーキの引きずり現象の発生を防止することができる。
具体的に、上記電動ウインチ装置において、前記ブレーキ制御部は、前記操作レバーが前記中立位置から前記巻上側又は前記巻下側へ操作された後、前記第2トルク導出部によって導出された第2トルクの値と前記第1トルク導出部によって導出された第1トルクの値との差が所定の第1規定値以下に減少したタイミングで前記ブレーキに前記ウインチドラムに対する制動を解除させる。
この構成によれば、対象物の巻上又は巻下の開始時にウインチドラムに発生する第2トルクと対象物の荷重に起因してウインチドラムに掛かる第1トルクとの差が十分に小さくなったタイミングでウインチドラムに対するブレーキの制動が解除されるので、対象物のずり落ち現象が確実に生じないタイミングでウインチドラムの制動を解除することができる。
上記電動ウインチ装置において、前記ブレーキ制御部は、前記操作レバーを前記巻上側又は前記巻下側から前記中立位置側へ戻すように前記操作レバーが操作された後、前記第2トルク導出部によって導出された第2トルクの値と前記第1トルク導出部によって導出された第1トルクの値との差が0よりも所定値だけ大きい第2規定値よりも大きい状態からその第2規定値以下に減少したタイミングで前記ブレーキに前記ウインチドラムへの制動の付与を指示する制御信号を送信して前記ウインチドラムに対して制動を掛けさせる。
この構成によれば、操作レバーを中立位置側へ戻して対象物の巻上又は巻下を停止させる時に、ウインチドラムに発生する第2トルクと対象物の荷重に起因してウインチドラムに掛かる第1トルクとの差が十分に小さくなったタイミングでウインチドラムにブレーキの制動が掛けられるので、対象物の巻上又は巻下がブレーキによって急停止されるのを防ぐことができるとともに、このタイミングの後、ウインチドラムに発生する第2トルクが0まで減少してウインチドラムに掛かる第1トルクよりも小さくなったとしても対象物のずり落ちをブレーキの制動力によって確実に防止できる。
上記電動ウインチ装置において、前記対象物の荷重により前記ウインチドラムに掛かる外力の値を検出する荷重計をさらに備え、前記第1トルク導出部は、前記荷重計によって検出された外力の値に基づいて前記第1トルクの値を導出してもよい。
この構成によれば、対象物の実際の荷重の値をブレーキの制御に反映することができる。
上記電動ウインチ装置において、前記ブレーキは、湿式ブレーキであることが好ましい。
湿式ブレーキは、制動状態と制動解除状態との間での切換時に制動力が漸次変化し得るように構成されたブレーキであるため、この構成によれば、ウインチドラムに対するブレーキの制動を解除するとき及びウインチドラムに対してブレーキが制動を掛けるときにウインチドラムに対するブレーキの制動力を漸次変化させて、対象物の巻上及び巻下が急停止されたり、対象物のずり落ち現象、瞬時の急落及びジャンピング現象が生じたりするのを防止できる。
以上説明したように、本発明によれば、電動ウインチ装置において、対象物の巻上又は巻下の開始時に対象物のずり落ち現象やブレーキの引きずり現象の発生を防止できる。
本発明の一実施形態による電動ウインチ装置の構成の概略図である。 図1に示した電動ウインチ装置のコントローラの詳細な構成を示す機能ブロック図である。 電動ウインチ装置において対象物を停止状態から巻上げる過程でのレバー操作量、ドラムの巻下トルク及び巻上トルク、ブレーキの状態、対象物の上下方向への速度、及び、対象物の高さ位置の時間経過に伴う変化を示す図である。 電動ウインチ装置において対象物を巻上げている状態から停止させる過程でのレバー操作量、ドラムの巻下トルク及び巻上トルク、ブレーキの状態、対象物の上下方向への速度、及び、対象物の高さ位置の時間経過に伴う変化を示す図である。 電動ウインチ装置において対象物を停止状態から巻下げる過程でのレバー操作量、ドラムの巻下トルク及び巻上トルク、ブレーキの状態、対象物の上下方向への速度、及び、対象物の高さ位置の時間経過に伴う変化を示す図である。 電動ウインチ装置において対象物を巻下げている状態から停止させる過程でのレバー操作量、ドラムの巻下トルク及び巻上トルク、ブレーキの状態、対象物の上下方向への速度、及び、対象物の高さ位置の時間経過に伴う変化を示す図である。 本発明の変形例による電動ウインチ装置において対象物を停止状態から巻上げる過程でのレバー操作量、ドラムの巻下トルク及び巻上トルク、ブレーキの状態、対象物の上下方向への速度、及び、対象物の高さ位置の時間経過に伴う変化を示す図である。 本発明の変形例による電動ウインチ装置において対象物を巻上げている状態から停止させる過程でのレバー操作量、ドラムの巻下トルク及び巻上トルク、ブレーキの状態、対象物の上下方向への速度、及び、対象物の高さ位置の時間経過に伴う変化を示す図である。 本発明の変形例による電動ウインチ装置において対象物を停止状態から巻下げる過程でのレバー操作量、ドラムの巻下トルク及び巻上トルク、ブレーキの状態、対象物の上下方向への速度、及び、対象物の高さ位置の時間経過に伴う変化を示す図である。 本発明の変形例による電動ウインチ装置において対象物を巻下げている状態から停止させる過程でのレバー操作量、ドラムの巻下トルク及び巻上トルク、ブレーキの状態、対象物の上下方向への速度、及び、対象物の高さ位置の時間経過に伴う変化を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態による電動ウインチ装置の構成について説明する。
本実施形態による電動ウインチ装置は、クレーンに設けられ、吊荷100の巻上/巻下を行う吊荷用ウインチ装置として用いられるものである。この電動ウインチ装置が設けられるクレーンは、図略のクレーン本体に起伏可能となるように設けられたブーム2(図1参照)を備えている。ブーム2の先端からは、ワイヤロープである吊ロープ4を介してフック装置6が吊り下げられ、そのフック装置6によって吊荷100が吊られるようになっている。電動ウインチ装置は、図略のクレーン本体に設置され、吊ロープ4を介してフック装置6及びそのフック装置6に吊られた吊荷100の巻上/巻下を行う。
以下、本実施形態の電動ウインチ装置の具体的な構成について説明する。
本実施形態の電動ウインチ装置は、図1に示すように、ドラム12と、電動モータ14と、減速機16と、電源18と、インバータ20と、回生抵抗22と、ブレーキ24と、操作レバー装置26と、ブレーキペダル装置28と、コントローラ30と、荷重計32と、電流計34と、ドラム回転計36と、ブーム角度計38とを備える。
ドラム12は、電動モータ14により駆動されてフック装置6及びそれに吊られた吊荷100の巻上又は巻下のために回転するウインチドラムである。以下、フック装置6及びそれに吊られた吊荷100を一体として巻上/巻下の対象物102という。ドラム12は、一方の回転方向である巻上方向に回転することにより吊ロープ4を巻き取り、それによって対象物102を巻き上げる。また、ドラム12は、巻上方向と逆の回転方向である巻下方向に回転することにより吊ロープ4を繰り出し、それによって対象物102を巻き下げる。
電動モータ14は、電力が供給されることによって作動し、ドラム12を巻上方向に回転させるものである。なお、電動モータ14は、対象物102の巻下時、すなわちドラム12が巻下方向に回転するときには発電機として機能する。電動モータ14の駆動軸14aは、減速機16を介してドラム12の回転軸12aに連結されている。対象物102の巻上時には、電動モータ14の駆動トルクが駆動軸14aから減速機16及び回転軸12aを介してドラム12に伝達されてドラム12が巻上方向に回転され、対象物102の巻下時にはドラム12の巻下方向への回転力が回転軸12aから減速機16及び駆動軸14aを介して電動モータ14に伝達されて電動モータ14で発電が行われるようになっている。減速機16は、電動モータ14の駆動軸14aの回転力を所定の減速比で減速してドラム12の回転軸12aへ伝える。
また、電動モータ14には、その電動モータ14の回転数(回転速度)及び回転量を検出するエンコーダ15が付設されている。エンコーダ15は、検出した電動モータ14の回転数及び回転量のデータをコントローラ30へ送信する。
電源18は、インバータ20を介して電動モータ14に電気接続されており、インバータ20を介して電動モータ14へ電力を供給する。電源18としては、クレーンに搭載されたバッテリや、外部電源等が用いられる。電源18として外部電源が用いられる場合には、クレーン本体に外部電源からの接続端子と接続するプラグイン端子が設けられる。
インバータ20は、コントローラ30からの指令に応じて電動モータ14の作動を制御するものである。具体的に、インバータ20は、コントローラ30からの指令に応じて電動モータ14に供給する電流値を変更することにより、電動モータ14の回転数及び回転量を制御し、それによって対象物102の巻上速度及び巻上量を制御する。
回生抵抗22は、インバータ20に電気接続されている。回生抵抗22は、対象物102の巻下時に電動モータ14により回生(発電)される電力のうち電源18で吸収しきれない電力を消費して調整するための抵抗である。
ブレーキ24は、ドラム12の巻上方向及び巻下方向への回転を阻止するようにドラム12に制動を掛けるものである。本実施形態では、ブレーキ24として乾式ブレーキが用いられている。このブレーキ24は、コントローラ30からのブレーキ制御信号に応じて、ドラム12に制動を掛けてドラム12の回転を停止させる制動状態とドラム12に対する制動を解除する制動解除状態とに切り換わるようになっている。
操作レバー装置26は、操作者が電動ウインチ装置の対象物102の巻上/巻下の動作を指示するために用いるものである。操作レバー装置26は、ドラム12の巻上方向への回転、巻下方向への回転又は回転の停止を指示するために操作者により操作されるレバー26aを備える。レバー26aは、ドラム12の回転の停止を指示する中立位置から対象物102の巻上方向へのドラム12の回転を指示するための一方側である巻上側と、中立位置から対象物102の巻下方向へのドラム12の回転を指示するための他方側(巻上側と反対側)である巻下側とに操作可能となっている。操作レバー装置26は、レバー26aの操作方向と中立位置からの操作量とを示す情報をコントローラ30へ出力する。具体的には、操作レバー装置26は、レバー26aが中立位置にあるときには、レバー26aの操作量が0であるという情報をコントローラ30へ出力する。また、操作レバー装置26は、レバー26aが中立位置から巻上側へ操作されたときには、そのレバー26aの中立位置からの操作量を正の値で示す情報をコントローラ30へ出力し、レバー26aが中立位置から巻下側へ操作されたときには、そのレバー26aの中立位置からの操作量を負の値で示す情報をコントローラ30へ出力する。
ブレーキペダル装置28は、操作者が任意にブレーキ24の制動状態と制動解除状態を切り換えるために用いるものである。ブレーキペダル装置28は、ブレーキ24の制動状態と制動解除状態とを切り換えるために操作者によって操作されるペダル28aを備える。ブレーキペダル装置28は、ペダル28aが踏み込まれている状態又は踏み込まれていない状態を示す信号をコントローラ30へ出力する。ペダル28aが踏み込まれていない状態がブレーキ24を制動状態とすることを指示する状態であり、ペダル28aが踏み込まれた状態がブレーキ24を制動解除状態とすることを指示する状態である。本実施形態の電動ウインチ装置では、後述するドラム12の巻下トルクと巻上トルクに応じたブレーキ24の自動的な切換制御を行う通常操作モードとは別に、操作者が任意にブレーキ24の制動状態と制動解除状態を切換可能なフリーフォールモードを選択可能であり、ブレーキペダル装置28は、そのフリーフォールモードが選択されているときに用いられる。すなわち、ドラム12の巻下トルクと巻上トルクに応じたブレーキ24の自動的な切換制御が行われるときには、ブレーキペダル装置28においてペダル28aが操作されても、その操作は無効となる。
コントローラ30は、ドラム12がレバー26aの操作に応じた回転を行うように電動モータ14の動作を制御するとともに、ブレーキ24の動作(制動状態と制動解除状態との間での切換動作)を制御する。コントローラ30は、操作レバー装置26からレバー26aの操作方向及び操作量を示す情報が入力されることに応じて、その入力された情報に応じた回転をドラム12に行わせるように電動モータ14を作動させる電流がインバータ20から電動モータ14へ供給されるようにインバータ20を制御する。コントローラ30は、このインバータ20の制御をインバータ20へゲート制御信号を送ることによって行う。また、コントローラ30は、ブレーキ24を制動解除状態から制動状態へ切り換えるときには制動状態への切り換えを指示するブレーキ制御信号をブレーキ24へ送り、ブレーキ24を制動状態から制動解除状態へ切り換えるときには制動解除状態への切り換えを指示するブレーキ制御信号をブレーキ24へ送る。なお、コントローラ30は、前記通常操作モードが選択されているときには後述するドラム12の巻下トルクと巻上トルクに応じたブレーキ24の自動的な切換制御を行う一方、前記フリーフォールモードが選択されているときにはブレーキペダル装置28からのペダル28aの操作状態を示す信号に応じてブレーキ24の切換制御を行う。以下、通常操作モードでのブレーキ42の自動的な切換制御を行うための構成について説明し、コントローラ30の詳細な構成については後述する。
荷重計32は、対象物102の荷重によりドラム12に掛かる外力の値として吊ロープ4を介してドラム12に掛かる荷重を検出する。具体的には、荷重計32は、吊ロープ4の張力を検出する。荷重計32は、吊ロープ4の張力を逐次検出しており、その検出した張力のデータをコントローラ30へ逐次出力する。
電流計34は、インバータ20と電動モータ14との間の電気配線に設けられており、インバータ20と電動モータ14との間で流れる電流の値を計測する。電流計34は、インバータ20と電動モータ14との間で流れる電流の値を逐次計測しており、その計測した電流値のデータをコントローラ30へ逐次出力する。
ドラム回転計36は、ドラム12の単位時間当たりの回転数を検出するものである。ドラム回転計36は、ドラム12の回転数を逐次検出しており、その検出した回転数のデータをコントローラ30へ逐次出力する。
ブーム角度計38は、ブーム2の起伏角度を検出するものである。ブーム角度計38は、ブーム2の起伏角度を逐次検出しており、その検出した起伏角度のデータをコントローラ30へ逐次出力する。
次に、コントローラ30の内部構成について説明する。
コントローラ30は、図2に示すように、機能ブロックとして、速度制御部42と、電流制御部44と、速度変換部45と、第1トルク導出部46と、第2トルク導出部48と、ブレーキ制御部50とを備える。
速度制御部42には、操作レバー装置26からレバー26aの操作方向及び操作量の情報を含む速度指令が入力される。また、速度変換部45には、エンコーダ15から電動モータ14の回転位置情報が入力される。速度変換部45は、入力された回転位置情報を電動モータ14の回転速度に変換し、その変換した回転速度を速度制御部42に入力する。速度制御部42は、速度変換部45から得られる電動モータ14の回転速度を操作レバー装置26からの速度指令に応じた速度に変化させるために必要な電流値を含む電流指令を電流制御部44へ出力する。
電流制御部44には、電流計34によって検出された電動モータ14に供給される電流値のデータが入力されている。電流制御部44は、速度制御部42から入力された電流指令が指示する電流値と電流計34から入力された電流値のデータとを比較して、電動モータ14に現在供給されている電流値を電流指令に応じた電流値へ変化させるように指示するゲート制御信号をインバータ20へ出力する。
第1トルク導出部46は、対象物102の荷重に起因してドラム12に掛かるトルクの値を導出するものである。対象物102の荷重に起因してドラム12に掛かるトルクは、対象物102を巻き下げる回転方向においてドラム12に掛かるため、以下、このトルクのことを「巻下トルク」という。この巻下トルクは、本発明の「第1トルク」の概念に含まれるものである。第1トルク導出部46には、荷重計32が検出した、対象物102の荷重によって吊ロープ4に生じる張力のデータが入力されている。第1トルク導出部46は、その入力された張力のデータに基づいて、微小な時間間隔毎(例えば、数msec〜数十msec毎)にドラム12に掛かる巻下トルクの値を算出する。
第2トルク導出部48には、電流計34によって計測された電動モータ14に供給される電流値のデータが入力されている。第2トルク導出部48は、電動モータ14の駆動トルクによりドラム12に巻上方向において発生するトルクの値を、電流計34によって計測された電流値に基づいて導出する。ドラム12に巻上方向において発生するトルクを、以下、「巻上トルク」という。この巻上トルクは、本発明の「第2トルク」の概念に含まれるものである。第2トルク導出部48は、巻上トルクの値を第1トルク導出部46が巻下トルクの値を算出する場合と同じ微小な時間間隔毎に算出する。
ブレーキ制御部50は、ブレーキ24の動作を制御するものであり、具体的にはドラム12に制動を掛ける制動状態とドラム12に対する制動を解除する制動解除状態との間でのブレーキ24の切換動作を制御する。ブレーキ制御部50には、第1トルク導出部46によって算出される巻下トルクの値と第2トルク導出部48によって算出される巻上トルクの値とがそれらの値が算出される毎に入力されている。ブレーキ制御部50は、第1トルク導出部46によって算出された巻下トルクの値と第2トルク導出部48によって算出された巻上トルクの値との差に基づいて、ドラム12に制動を掛けるタイミングとドラム12の制動を解除するタイミングとを決定する。
具体的に、ブレーキ制御部50は、第1トルク導出部46から巻下トルクの値が入力されるとともに第2トルク導出部48から巻上トルクの値が入力される毎、すなわち上記微小な時間間隔毎にその入力された巻上トルクの値と巻下トルクの値との差を算出し、その算出した差の値を逐次監視している。そして、本実施形態では、ブレーキ制御部50は、レバー26aが中立位置から巻上側又は巻下側へ操作された後、入力された巻上トルクの値と巻下トルクの値との差が0(第1規定値)になるタイミングをドラム12の制動を解除するタイミングとし、レバー26aが巻上側又は巻下側に操作された状態から中立位置に戻された後、入力された巻上トルクの値と巻下トルクの値との差が0(第2規定値)になるタイミングをドラム12に制動を掛けるタイミングとする。そして、ブレーキ制御部50は、決定したドラム12に制動を掛けるタイミングでブレーキ24にドラム12への制動の付加を指示するブレーキ制御信号を送信してドラム12に対して制動を掛けさせる一方、決定したドラム12の制動を解除するタイミングでブレーキ24にドラム12の制動の解除を指示するブレーキ制御信号を送信してドラム12に対する制動を解除させるようになっている。
次に、本実施形態による電動ウインチ装置の動作について説明する。具体的には、停止状態の対象物102を巻上げ、その後、巻上げを停止した後、対象物102を巻下げ、さらにその後、巻下げを停止するという手順での電動ウインチ装置の動作について説明する。
図3〜図6には、この動作を行う場合の時間経過に伴うレバー26aの操作量、ドラム12に掛かる巻下トルクT1、ドラム12に発生する巻上トルクT2、ブレーキ24の状態、上下方向における対象物102の速度、及び、対象物102の高さ位置についての各々の変化が示されている。これらの図において、レバー26aの操作量が0の状態は、レバー26aが中立位置にあることを表し、レバー26aの操作量が0からプラス側(上側)に増加した状態は、レバー26aが中立位置から巻上側へ操作されたことを表し、レバー26aの操作量が0からマイナス側(下側)に減少した状態は、レバー26aが中立位置から巻下側へ操作されたことを表す。また、対象物102の速度が0の状態は、対象物102が停止していることを表し、対象物102の速度が0からプラス側(上側)へ増加している状態は、対象物102が巻き上げられて加速している状態を表し、対象物102の速度が0からマイナス側(下側)へ減少している状態は、対象物102が巻き下げられて加速している状態を表す。
対象物102が停止状態にあるとき(図3の時間0〜t1)には、レバー26aは、中立位置にあり、ブレーキ24は、対象物102がずり落ちないようにドラム12に制動を掛けた制動状態、すなわちドラム12が回転しないようにそのドラム12に制動を掛けた制動状態になっている。
時間t1においてレバー26aが中立位置から巻上側へ操作されると、操作レバー装置26からコントローラ30の速度制御部42にレバー26aの中立位置からの操作量に応じた速度指令が入力される。速度制御部42は、入力された速度指令に応じた電流指令を電流制御部44へ出力し、電流制御部44は、入力された電流指令に応じたゲート制御信号をインバータ20へ出力する。インバータ20は、入力されたゲート制御信号に応じた電流を電動モータ14へ供給する。このようにして、コントローラ30は、レバー26aの操作量に応じた回転速度で電動モータ14が作動するようにインバータ20に電動モータ14へ供給する電流を制御させる。なお、後述の、対象物102を巻き上げている状態から停止させるとき、停止状態にある対象物102を巻き下げるとき、及び、対象物102を巻き下げている状態から停止させるときにおいても、このレバー26aの操作から電動モータ14への供給電流の制御までのプロセスに相当するプロセスが行われる。
電動モータ14は、インバータ20から電流が供給されることによって作動し、その供給される電流に応じた駆動トルクを出力する。電動モータ14の駆動トルクは、駆動軸14aから減速機16を介してドラム12の回転軸12aに伝達される。
第1トルク導出部46は、荷重計32が検出する吊ロープ4の張力の値と、対象物102の重量と、ドラム12の径とに基づいて、対象物102の荷重に起因してドラム12に掛かる巻下トルクT1の値を微小な前記所定の時間間隔毎に繰り返し算出する。
また、第2トルク導出部48は、電流計34が計測する電動モータ14に供給される電流の値から、電動モータ14の駆動トルクが伝達されることによってドラム12に発生する巻上トルクT2の値を前記所定の時間間隔毎に繰り返し算出する。具体的に、ドラム12には、電動モータ14の駆動トルクから減速機16の減速比及び減速機16の機械的な摩擦抵抗等によって所定量だけ低減された巻上トルクT2が発生する。このため、第2トルク導出部48は、電流計34から入力された電流値のデータに基づいて電動モータ14の駆動トルクを算出するとともに、その算出した駆動トルクから減速機16の減速比及び減速機16の機械的な摩擦抵抗等による低減分を減じることによってドラム12に発生する巻上トルクT2の値を算出する。この第2トルク導出部48による巻上トルクT2の値の算出及び前記第1トルク導出部46による巻下トルクT1の値の算出は、電動ウインチ装置の運転期間中、継続して行われる。
また、ブレーキ制御部50は、第2トルク導出部48によって算出されたドラム12に発生する巻上トルクT2の値と第1トルク導出部46によって算出されたドラム12に掛かる巻下トルクT1の値との差分Td、すなわち第2トルク導出部48によって算出された巻上トルクT2の値から第1トルク導出部46によって算出された巻下トルクT1の値を減じて得た値の絶対値を前記所定の時間間隔毎に繰り返し算出する。このブレーキ制御部50による巻上トルクT2の値と巻下トルクT1の値との差分Tdの算出は、電動ウインチ装置の運転期間中、継続して行われる。そして、ブレーキ制御部50は、電動モータ14の駆動トルクによりドラム12に発生する巻上トルクT2が増加して、算出した前記差分Tdが0になったタイミング(時間t2)で、ブレーキ24へドラム12に対する制動を解除することを指示するブレーキ制御信号を送る。ブレーキ24は、このブレーキ制御信号に応じて制動状態から制動解除状態へ切り換わり、ドラム12に対する制動を解除する。
ドラム12に対するブレーキ24の制動が解除されると、ドラム12が巻上方向に回転して吊ロープ4を巻き取り、それによって対象物102が巻き上げられる。ドラム12に発生する巻上トルクT2は、巻下トルクT1よりも大きく増加し、その結果、対象物102が上向きに加速する(時間t2〜t3)。
そして、ドラム12に発生する巻上トルクT2が所定値に達すると、その所定値で巻上トルクT2が一定に維持されるようになる(時間t3〜t4)。これにより、対象物102の巻上速度が一定の比率で上昇するようになる。また、それに応じた割合で対象物102の高さ位置も上昇する。
そして、所定時間が経過後、時間t4になると、ドラム12に発生する巻上トルクT2が低下する。これにより、対象物102が加速しながら巻き上げられていた状態から対象物102が一定の等速で巻き上げられる状態に移行し、それに伴って、ドラム12に掛かる巻下トルクT1が低下する。このとき、ドラム12に発生する巻上トルクT2及びドラム12に掛かる巻下トルクT1は、共に、対象物102の停止時(時間0〜t2)にドラム12に掛かっていた巻下トルクT1に等しい値に低下する。この後、巻上トルクT2及び巻下トルクT1は、低下した値で一定に維持される。
次に、レバー26aが時間t5(図4参照)において中立位置へ戻されると、それに応じて、ドラム12に発生する巻上トルクT2がドラム12に掛かる巻下トルクT1よりも低下する。これに伴い、対象物102の巻上速度が低下し始め、対象物102の高さ位置の上昇が緩やかになる。このとき、ドラム12に掛かる巻下トルクT1も低下する。ただし、この巻下トルクT1の低下の割合は、巻上トルクT2の低下の割合に比べて小さい。
そして、時間t6においてドラム12に発生する巻上トルクT2が所定値まで低下すると、巻上トルクT2は、その所定値で一定に維持される。これに伴って、対象物102の巻上速度が一定の比率で低下するようになり、対象物102の高さ位置の上昇もさらに緩やかになる。このとき、ドラム12に掛かる巻下トルクT1は、巻上トルクT2よりも高い値で一定に維持される。
そして、所定時間が経過後、時間t7になると、ドラム12に発生する巻上トルクT2が増加する。これに伴い、対象物102の巻上速度の低下がさらに緩やかになる。このとき、ドラム12に掛かる巻下トルクT1も増加するが、この巻下トルクT1の増加の割合は、巻上トルクT2の増加の割合に比べて小さい。そして、ブレーキ制御部50は、算出する巻上トルクT2の値と巻下トルクT1の値との前記差分Tdが0になったタイミング(時間t8)で、ブレーキ24へドラム12に対して制動を掛けることを指示するブレーキ制御信号を送る。ブレーキ24は、このブレーキ制御信号に応じて制動解除状態から制動状態へ切り換わり、ドラム12に制動を掛ける。これにより、ドラム12がブレーキ24の制動力によって回転しないように保持される。なお、この制動が掛けられる時点で、対象物102の巻上速度は既に0に近い速度まで低下しているため、制動によるショックの発生は抑制される。この後、対象物102の高さ位置の上昇は停止し、その停止した高さ位置で対象物102が保持される。
次に、時間t9(図5参照)において、レバー26aが中立位置から巻下側へ操作される。これにより、ドラム12に発生する巻上トルクT2は、0から増加し、時間t10においてドラム12に掛かる巻下トルクT1に等しい値に達する。ブレーキ制御部50は、算出する巻上トルクT2の値と巻下トルクT1の値との前記差分Tdが0になったタイミング(時間t10)で、ブレーキ24へドラム12に対する制動を解除することを指示するブレーキ制御信号を送る。ブレーキ24は、このブレーキ制御信号に応じて制動状態から制動解除状態へ切り換わり、ドラム12に対する制動を解除する。
その後、ドラム12に発生する巻上トルクT2は、巻下トルクT1よりも低い値に低下する(時間t10〜t11)。これにより、対象物102の巻き下げが開始される。対象物102の巻下速度は徐々に大きくなり、対象物102の高さ位置が徐々に低下する。このとき、ドラム12に掛かる巻下トルクT1も低下するが、その低下の割合は巻上トルクT2の低下の割合に比べて小さい。そして、ドラム12に発生する巻上トルクT2が所定値まで低下すると、その所定値で巻上トルクT2が一定に維持される(時間t11〜t12)。これに伴って、対象物102の巻下速度が一定の比率で大きくなるとともに、対象物102の高さ位置が低下していく。このとき、ドラム12に掛かる巻下トルクT1は、巻上トルクT2よりも高い値で一定に維持される。
そして、所定時間経過後、時間t12において、ドラム12に発生する巻上トルクT2が増加する。これにより、対象物102が加速しながら巻き下げられていた状態から対象物102が一定の等速で巻き下げられる状態に移行し、それに伴って、ドラム12に掛かる巻下トルクT1が増加する。このとき、巻上トルクT2及び巻下トルクT1は、共に、対象物102の巻上後に停止していた期間(時間t8〜t10)にドラム12に掛かっていた巻下トルクT1に等しい値に増加する。この後、巻上トルクT2及び巻下トルクT1は、増加した値で一定に維持される。
次に、レバー26aが時間t13(図6参照)において中立位置へ戻されると、それに応じて、ドラム12に発生する巻上トルクT2が巻下トルクT1よりも大きい値に増加する。これに伴い、対象物102の巻下速度が低下し始め、対象物102の高さ位置の低下が緩やかになる。このとき、ドラム12に掛かる巻下トルクT1も増加する。ただし、この巻下トルクT1の増加の割合は、巻上トルクT2の増加の割合に比べて小さい。
そして、時間t14においてドラム12に発生する巻上トルクT2が所定値まで増加すると、巻上トルクT2は、その所定値で一定に維持される。これに伴って、対象物102の巻下速度が一定の比率で低下するようになり、対象物102の高さ位置の低下がさらに緩やかになる。このとき、ドラム12に掛かる巻下トルクT1は、巻上トルクT2よりも低い値で一定に維持される。
そして、所定時間経過後、時間t15においてドラム12に発生する巻上トルクT2が低下する。これに伴い、対象物102の巻下速度の低下が緩やかになる。このとき、ドラム12に掛かる巻下トルクT1も低下するが、この巻下トルクT1の低下の割合は、巻上トルクT2の低下の割合に比べて小さい。そして、ブレーキ制御部50は、算出する巻上トルクT2の値と巻下トルクT1の値との前記差分Tdが0になったタイミング(時間t16)で、ブレーキ24へドラム12に対して制動を掛けることを指示するブレーキ制御信号を送る。ブレーキ24は、このブレーキ制御信号に応じて制動解除状態から制動状態へ切り換わり、ドラム12に制動を掛ける。これにより、ドラム12がブレーキ24の制動力によって回転しないように保持される。なお、この制動が掛けられる時点で対象物102の巻下速度は、既に0に近い速度まで低下しているため、制動によるショックの発生は抑制される。この後、対象物102の高さ位置の低下は停止し、その停止した高さ位置で対象物102が保持される。そして、時間t15以降、ドラム12に発生する巻上トルクT2は0まで低下される一方、ドラム12に掛かる巻下トルクT1は対象物102の荷重に起因する一定の値で維持される。
以上のようにして、本実施形態による電動ウインチ装置の動作が行われる。
本実施形態では、ブレーキ制御部50が、第2トルク導出部48によって算出されたドラム12に発生する巻上トルクT2の値と第1トルク導出部46によって算出されたドラム12に掛かる巻下トルクT1の値との差分Tdに基づいて決定した解除タイミングでブレーキ24にドラム12に対する制動を解除させるため、例えばブレーキ制御部50がレバー26aが中立位置から巻上側又は巻下側へ操作されたことをトリガーとしてブレーキ24にドラム12に対する制動を解除させるような構成に比べて、ドラム12に対する制動が実際に解除されるタイミングと電動モータ14がドラム12の回転を開始するタイミングとの間にずれを生じにくくすることができる。このため、対象物102の巻上又は巻下の開始時に対象物102のずり落ち現象やブレーキ24の引きずり現象が発生するのを防ぐことができる。
また、本実施形態では、第1トルク導出部46が対象物102の荷重に起因してドラム12に掛かる巻下トルクT1の値を算出し、第2トルク導出部48が電動モータ14の駆動トルクによりドラム12に発生する巻上トルクT2の値を電流計34によって計測された電動モータ14に供給される電流の値に基づいて算出し、ブレーキ制御部50が、レバー26aが中立位置から巻上側又は巻下側へ操作された後、第2トルク導出部48によって算出された巻上トルクT2の値と第1トルク導出部46によって算出された巻下トルクT1の値との差に基づいて決定したタイミングでブレーキ24に制動の解除を指示するブレーキ制御信号を送信してドラム12に対する制動を解除させるため、ドラム12に対するブレーキ24の制動の解除動作を電気制御することができる。このため、ウインチ装置の電動化に対応したブレーキ24の動作制御を実現できる。従って、本実施形態では、電動ウインチ装置において、対象物102の巻上又は巻下の開始時に対象物102のずり落ち現象やブレーキ24の引きずり現象の発生を防止することができる。
また、本実施形態では、ブレーキ制御部50は、レバー26aが中立位置から巻上側又は巻下側へ操作された後、第2トルク導出部48によって算出された巻上トルクT2の値と第1トルク導出部46によって算出された巻下トルクT1の値との差分Tdが0に減少したタイミングでブレーキ24にドラム12に対する制動を解除させるため、対象物102の巻上又は巻下の開始時に、ドラム12に発生する巻上トルクT2と対象物102の荷重に起因してドラム12に掛かる巻下トルクT1との差がなくなったタイミングでドラム12に対するブレーキ24の制動を解除することができる。このため、対象物102のずり落ち現象が確実に生じないタイミングでドラム12の制動を解除することができる。
また、本実施形態では、ブレーキ制御部50は、レバー26aが巻上側又は巻下側から中立位置側へ戻された後、第2トルク導出部48によって算出された巻上トルクT2の値と第1トルク導出部46によって算出された巻下トルクT1の値との差分Tdの絶対値が0よりも大きい状態から0に減少したタイミングでブレーキ24にドラム12への制動の付与を指示するブレーキ制御信号を送信してドラム12に対して制動を掛けさせるため、対象物102の巻上又は巻下を停止させる時に、ドラム12に発生する巻上トルクT2とドラム12に掛かる巻下トルクT1との差がなくなったタイミングでドラム12にブレーキ24の制動を掛けることができる。このため、対象物102の巻上又は巻下がブレーキ24によって急停止されるのを防ぐことができるとともに、巻上トルクT2と巻下トルクT1との差がなくなったタイミングの後、ドラム12に発生する巻上トルクT2が0まで減少してドラム12に掛かる巻下トルクT1よりも小さくなったとしても対象物102のずり落ちをブレーキ24の制動力によって防止できる。
また、本実施形態では、第1トルク導出部46が荷重計32によって検出された吊ロープ4の張力の値に基づいて巻下トルクT1の値を算出するため、対象物102の実際の荷重の値をブレーキ24の制御に反映することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態では、ブレーキ24にドラム12に対する制動を解除させるタイミングを、レバー26aが中立位置から巻上側又は巻下側へ操作された後、第2トルク導出部48によって算出された巻上トルクT2の値と第1トルク導出部46によって算出された巻下トルクT1の値との差分Tdが0に減少したタイミングとしたが、必ずしもこのようなタイミングに限定されるものではない。
具体的には、ブレーキ24にドラム12に対する制動を解除させるタイミングは、レバー26aが中立位置から巻上側又は巻下側へ操作された後、第2トルク導出部48によって算出された巻上トルクT2の値と第1トルク導出部46によって算出された巻下トルクT1の値との差分Tdが所定の第1規定値以下に減少したタイミングであればよい。この場合、第1規定値は、対象物102のずり落ちの可能性が完全になくなるようなマージンを持たせて0よりも所定値だけ大きい値に設定することが好ましい。この構成によれば、計測誤差や機械振動等の影響に起因して、算出される前記差分Tdの値がドラム12に実際に発生する巻上トルクとドラム12に実際に掛かる巻下トルクとの差に正確に対応していない場合であっても、対象物102のずり落ち現象を確実に防止できる。
また、上記実施形態では、ブレーキ24にドラム12に対して制動を掛けさせるタイミングを、レバー26aが巻上側又は巻下側から中立位置側へ戻された後、第2トルク導出部48によって算出された巻上トルクT2の値と第1トルク導出部46によって算出された巻下トルクT1の値との差分Tdが0よりも大きい状態から0に減少したタイミングとしたが、必ずしもこのようなタイミングに限定されるものではない。
具体的には、ブレーキ24にドラム12に対して制動を掛けさせるタイミングは、レバー26aが巻上側又は巻下側から中立位置側へ戻された後、第2トルク導出部48によって算出された巻上トルクT2の値と第1トルク導出部46によって算出された巻下トルクT1の値との差分Tdが所定の第2規定値よりも大きい状態からその第2規定値以下に減少したタイミングであればよい。この場合、第2規定値は、レバー26aが中立位置側へ戻されたことに応じてドラム12に発生する巻上トルクT2が0になった場合に対象物102のずり落ちの可能性が完全になくなるようなマージンを持たせて0よりも所定値だけ大きい値に設定することが好ましい。この構成によれば、計測誤差や機械振動等の影響に起因して、算出される前記差分Tdの値がドラム12に実際に発生する巻上トルクとドラム12に実際に掛かる巻下トルクとの差に正確に対応していない場合であっても、対象物102のずり落ち現象を確実に防止できる。
また、ブレーキ24は、湿式ブレーキであってもよく、より具体的には湿式ディスクブレーキであってもよい。湿式ブレーキは、制動状態と制動解除状態との間での切換時に制動力が漸次変化し得るように構成されたブレーキであるため、ドラム12に対するブレーキ24の制動を解除するとき及びドラム12に対してブレーキ24が制動を掛けるときにドラム12に対するブレーキ24の制動力を漸次変化させて、対象物102の巻上及び巻下が急停止されたり、対象物102のずり落ち現象や対象物102の瞬時の急落、対象物102のジャンピング現象が生じたりするのを防止できる。
図7〜図10は、ブレーキ24としてこのような湿式ブレーキを用いた変形例における時間経過に伴うレバー26aの操作量、ドラム12に掛かる巻下トルクT1、ドラム12に発生する巻上トルクT2、ブレーキ24の状態、上下方向における対象物102の速度、及び、対象物102の高さ位置についての各々の変化を示す図3〜図6相当図である。
この変形例では、停止状態にある対象物102を巻き上げる過程において、図7に示す時間t2’でドラム12に対するブレーキ24の制動を解除するときに、ブレーキ制御部50が、ブレーキ24のドラム12に対する制動力が漸次減少するようにブレーキ24を制御する(B1部分参照)。このとき、ブレーキ制御部50は、算出した前記差分Tdの値の減少に応じた割合でブレーキ24の制動力が減少するようにブレーキ24の制動力を調節する。また、この過程では、ブレーキ制御部50は、レバー26aが中立位置から巻上側へ操作された後、前記差分Tdの値が第1規定値以下に減少するタイミングt2’でブレーキ24にドラム12に対する制動の解除を開始させる。
この構成では、ブレーキ24の制動の解除が開始された後もブレーキ24のある程度の制動力がドラム12に掛けられるため、ドラム12に発生する巻上トルクT2がドラム12に掛かる巻下トルクT1よりも大きくなる前にブレーキ24の制動力が0になるような場合と異なり、対象物102のずり落ち現象が発生するのを防止できる。また、この構成では、ドラム12に対するブレーキ24の制動力が徐々に減少するため、ブレーキが制動状態から急にその制動力が0まで減少する場合と異なり、対象物102が飛び上がるジャンピング現象が発生するのを確実に防止できる。なお、対象物102のずり落ち現象及びジャンピング現象をより確実に防止したい場合には、B2部分で示すようにブレーキ24の制動力をより緩やかに減少させてもよい。
また、対象物102を巻き上げている状態から停止させる過程において、図8に示す時間t8’でブレーキ24にドラム12に対して制動を掛けさせるときに、ブレーキ制御部50が、ブレーキ24のドラム12に対する制動力が漸次増加するようにブレーキ24を制御する(B3部分参照)。このとき、ブレーキ制御部50は、算出した前記差分Tdの値の減少に応じた割合でブレーキ24の制動力が増加するようにブレーキ24の制動力を調節する。また、この過程では、ブレーキ制御部50は、レバー26aが巻上側から中立位置側へ戻されて中立位置からレバー26aの遊びの範囲に配置された後、前記差分Tdの値が第2規定値よりも大きい状態からその第2規定値以下に減少するタイミングt8’でブレーキ24にドラム12への制動の付加を開始させる。この構成では、対象物102の巻上げが急停止されるのを防ぐことができる。
また、停止状態にある対象物102を巻き下げる過程において、図9に示す時間t10’でドラム12に対するブレーキ24の制動を解除するときに、ブレーキ制御部50が、ブレーキ24のドラム12に対する制動力が漸次減少するようにブレーキ24を制御する(B4部分参照)。このとき、ブレーキ制御部50は、算出した前記差分Tdの値の減少に応じた割合でブレーキ24の制動力が減少するようにブレーキ24の制動力を調節する。また、この過程では、ブレーキ制御部50は、レバー26aが中立位置から巻下側へ操作された後、前記差分Tdの値が第1規定値以下に減少するタイミングt10’でブレーキ24にドラム12に対する制動の解除を開始させる。
この構成では、ブレーキ24の制動の解除が開始された後もブレーキ24のある程度の制動力がドラム12に掛けられるため、対象物102の瞬時の急落が発生するのを防止できる。なお、対象物102の瞬時の急落をより確実に防止したい場合には、B5部分で示すようにブレーキ24の制動力をより緩やかに減少させてもよい。
また、対象物102を巻き下げている状態から停止させる過程において、図10に示す時間t16’でブレーキ24にドラム12に対して制動を掛けさせるときに、ブレーキ制御部50が、ブレーキ24のドラム12に対する制動力が漸次増加するようにブレーキ24を制御する(B6部分参照)。このとき、ブレーキ制御部50は、算出した前記差分Tdの値の減少に応じた割合でブレーキ24の制動力が増加するようにブレーキ24の制動力を調節する。また、この過程では、ブレーキ制御部50は、レバー26aが巻下側から中立位置側へ戻されて中立位置からレバー26aの遊びの範囲に配置された後、前記差分Tdの値が第2規定値よりも大きい状態からその第2規定値以下に減少するタイミングt16’でブレーキ24にドラム12への制動の付加を開始させる。この構成では、対象物102の巻下げが急停止されるのを防ぐことができる。
また、対象物102が等速で巻上げ又は巻下げられているときに電流計34によって計測された電動モータ14に供給される電流値に基づいてドラム12に発生する巻上トルクT2の値を算出し、その算出した巻上トルクT2の値を荷重計32が検出した吊ロープ4に掛かる荷重(張力)に基づいて算出したドラム12に掛かる巻下トルクT1の値の代わりに用いて、ドラム12にブレーキ24の制動を掛けるタイミング及びドラム12に対するブレーキ24の制動を解除するタイミングを決定してもよい。
具体的に、対象物102が等速で巻上げ又は巻下げられているときには、対象物102の荷重に起因してドラム12に掛かる巻下トルクT1はドラム12に発生する巻上トルクT2と等しくなっているため、この巻上トルクT2の値をドラム12にブレーキ24の制動を掛けるタイミング及びドラム12に対するブレーキ24の制動を解除するタイミングを決定するための基準となる巻下トルクT1の代わりとして用いることができる。ただし、対象物102の巻上及び巻下が最初に行われるものである場合には、ブレーキ24の制動を最初に解除するタイミングを決定するときに対象物102の等速での巻上及び巻下は行われていないので、そのときのタイミングの決定には荷重計32が検出した吊ロープ4に掛かる荷重に基づいて算出したドラム12に掛かる巻下トルクT1の値が用いられる。そして、その後の対象物102の等速での巻上又は巻下時に算出されたドラム12に発生する巻上トルクT2の値を図略のメモリに記憶させておき、そのメモリに記憶されたトルクの値を対象物102の荷重に起因してドラム12に掛かる巻下トルクT1の値として用いて、以降の電動ウインチ装置の動作時にドラム12にブレーキ24の制動を掛けるタイミング及びドラム12に対するブレーキ24の制動を解除するタイミングを決定するようにすればよい。
この構成によれば、対象物102の荷重に起因してドラム12に掛かる巻下トルクT1の値を荷重計32の検出値に基づいて求める場合よりも良好な精度で求めることができる。
また、上記実施形態では、吊荷100及びフック装置6を一体としたものを巻上及び巻下の対象物102とする吊荷用ウインチ装置を本発明の電動ウインチ装置の一例として説明したが、本発明の電動ウインチ装置は必ずしもこのような吊荷用ウインチ装置に限定されるものではない。例えば、本発明の電動ウインチ装置は、クレーンに設けられるブーム等の起伏部材を起伏させるための起伏ウインチ装置であってもよく、このような起伏ウインチ装置にも本発明の構成を同様に適用することができる。この場合には、対象物は、起伏部材とその起伏部材に吊られるフック装置及び吊荷を一体としたものとなる。
12 ドラム(ウインチドラム)
14 電動モータ
24 ブレーキ
26a レバー(操作レバー)
30 コントローラ
46 第1トルク導出部
48 第2トルク導出部
50 ブレーキ制御部

Claims (3)

  1. クレーンに設けられる電動ウインチ装置であって、
    電動モータと、
    前記電動モータにより駆動されて対象物の巻上又は巻下のために回転するウインチドラムと、
    前記ウインチドラムの回転を制動するブレーキと、
    中立位置から前記対象物の巻上を指示する一方側である巻上側と前記対象物の巻下を指示する他方側である巻下側とに操作可能である操作レバーと、
    前記電動モータに供給される電流の値を計測する電流計と、
    前記ウインチドラムが前記操作レバーの操作に応じた回転を行うように前記電動モータの動作を制御するとともに、前記ブレーキの動作を制御するコントローラとを備え、
    前記コントローラは、前記対象物の荷重に起因して前記ウインチドラムに掛かる第1トルクの値を導出する第1トルク導出部と、前記電動モータの駆動トルクにより前記ウインチドラムに前記対象物を巻き上げる回転方向において発生する第2トルクの値を前記電流計によって計測された電流の値に基づいて導出する第2トルク導出部と、前記操作レバーが前記中立位置から前記巻上側又は前記巻下側へ操作された後、前記第2トルク導出部によって導出された第2トルクの値と前記第1トルク導出部によって導出された第1トルクの値との差が所定の第1規定値以下に減少したタイミングで前記ブレーキに前記ウインチドラムの制動の解除を指示する制御信号を送信して前記ウインチドラムに対する制動を解除させるブレーキ制御部とを備え、
    前記ブレーキ制御部は、前記操作レバーを前記巻上側又は前記巻下側から前記中立位置側へ戻すように前記操作レバーが操作された後、前記第2トルク導出部によって導出された第2トルクの値と前記第1トルク導出部によって導出された第1トルクの値との差が0よりも所定値だけ大きい第2規定値よりも大きい状態からその第2規定値以下に減少したタイミングで前記ブレーキに前記ウインチドラムへの制動の付与を指示する制御信号を送信して前記ウインチドラムに対して制動を掛けさせる、電動ウインチ装置。
  2. 前記対象物の荷重により前記ウインチドラムに掛かる外力の値を検出する荷重計をさらに備え、
    前記第1トルク導出部は、前記荷重計によって検出された外力の値に基づいて前記第1トルクの値を導出する、請求項に記載の電動ウインチ装置。
  3. 前記ブレーキは、湿式ブレーキである、請求項1または2に記載の電動ウインチ装置。
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