JP6324288B2 - 導電性ペースト及び電磁波シールド部材 - Google Patents

導電性ペースト及び電磁波シールド部材 Download PDF

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Description

本発明は、導電性ペースト及び電磁波シールド部材に関する。特に、フィルム形成性に優れるとともに、広範囲な銀粉の配合量において、良好なシールド特性を発揮する導電性ペースト、及びそのような導電性ペーストをフィルム状に加工してなる電磁波シールド部材に関する。
近年、小型・軽量携帯端末による大容量、高速通信技術の開発が急速に進められるのに伴い、高速無線伝送技術、多機能端末機器の小型・薄膜化が求められている。
これに伴い、半導体実装分野も多層基板や狭ピッチの実装によって、限られた面積に電子部品を詰め込んできたが、限界に近づいている。
このため、例えば、電子回路モジュール部品において、回路基板へ表面実装されている種々の能動素子・受動素子を積層基板へ内臓したり、三次元化したりする技術が開発されている。
また、電子回路モジュールには、電磁波シールドとして、封止層である絶縁樹脂の外側に板金部材が用いられるが、かかる板金部材を、導電性ペーストを用いて金属層とすることにより、電子回路モジュール部品の外径をより小さくすることが可能となる。
このような導電性ペーストとして、例えば、微小化する回路形成に差異的であり、従来の導電性銀ペーストより、導電性が良好な回路を形成できる導電性銀ペースト、及びそのような導電性銀ペーストを用いた電磁波シールド部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、銀粉末、バインダー樹脂及び溶剤を含む導電性銀ペーストであって、銀粉末は、平均粒径が0.5μm〜20μmの銀粒子(A)、より好ましくは、平均粒径が2μm〜10μmの鱗片状銀粒子と、一次粒子の平均粒径が50nm以下である球状銀粒子(B)と、を主成分とし、その混合比(重量比)が(A):(B)=99:1〜80:20の範囲にあることを特徴とする導電性銀ペーストが開示されている。
また、優れた印刷性を有するとともに、高い導電性と、良好な半田濡れ性を有する加熱硬化型導電性ペースト組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
より具体的には、(A)銀粉末と、(B)加熱硬化性成分と、(C)硬化剤と、(D)溶剤と、を含む加熱硬化型導電性ペースト組成物であって、(A)銀粉末として、(a1)平均粒径が2〜20μmのフレーク状銀粉末と、(a2)平均粒径が4〜20μmである表面処理剤を付着させた球状銀粉末を含み、かつ、固形分中における(A)銀粉末の比率が90〜95重量%であることを特徴とする加熱硬化型導電性ペースト組成物である。
また、ICカード等のように、薄く、使用時に応力のかかる製品において、このように応力に耐えて、接点が外れないような接続信頼性を付与できる導電性ペーストが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
より具体的には、(A)ウレタンアクリレートと、(B)アクリルモノマーと、(C)有機過酸化物と、(D)導電性粉末と、(E)金属石鹸と、を必須成分とするモジュール接続用導電性ペースト等が開示されている。
特開2005−294254号(特許請求の範囲等) 特開2011−71057号(特許請求の範囲等) 特開2010−176894号(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に開示された導電性銀ペーストは、球状銀粒子(B)の一次粒径が小さい上に、鱗片状銀粒子(A)に対する配合比率が過度に少ないことより、所定の導電性を得るために、銀粒子(A+B)の合計量を約87重量%以上と多くする構成(実施例1〜4参照)であって、そのため、導電性銀ペーストの粘度や比重が高くなって、塗布性が低下したり、フィルム形成性が低下したり、さらには、経済的に不利になったりするという問題が見られた。
その上、球状銀粒子(B)の一次粒径が小さく、かつ、鱗片状銀粒子に対する配合比率が過度に少ないことより、後述する銀粉積層構造体を形成することが困難であって、良好なシールド特性が得られないという問題も見られた。
また、特許文献2に開示された加熱硬化型導電性ペースト組成物においては、所定の導電性を得るために、銀粒子(a1+a2)の合計量を90重量%以上とする必要があって、それにより、導電性銀ペーストの粘度や比重が高くなって、塗布性が低下したり、フィルム形成性が低下したり、さらには、経済的に不利になったりするという問題が見られた。
その上、(a2)表面処理剤を付着させた球状銀粉末の平均粒径が過度に大きいため、この場合も、後述する銀粉積層構造体を形成することが困難であって、良好なシールド特性が得られないという問題も見られた。
さらにまた、特許文献3に開示されたモジュール接続用導電性ペーストにおいても、所定の導電性を得るために、(D)導電性粉末の配合量を約85重量%と多くする構成(実施例1〜4参照)であって、そのため、導電性銀ペーストの粘度や密度が高くなって、塗布性が低下したり、フィルム形成性が低下したり、さらには、経済的に不利になったりするという問題が見られた。
その上、樹脂成分として、ウレタンアクリレート樹脂を主成分として用いる一方、樹脂成分中に、硬化成分として含まれるアクリルモノマーを、有機過酸化物及び硬化促進剤を用いて硬化させることを意図していることから、導電性ペーストが十分に硬化しなかったり、あるいは、得られる導電性硬化物の、電子基板(ガラス繊維強化エポキ基板等)に対する接着強度が、低いという問題も見られた。
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、(A)銀粉として、(a1)所定の薄片状銀粉と、(a2)所定の非薄片状銀粉と、を併用し、かつ、(B)バインダー樹脂や(C)溶剤をさらに含むことによって、フレキシブルな導電性フィルムを形成しやすいとともに、水平配向した薄片状銀粉の上下方向等の間隙に、非薄片状銀粉が入りこんでなる銀粉積層構造体(サンドイッチ構造)を形成し、これら銀粉の合計配合量の多少にかかわらず、良好なシールド特性が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、フィルム形成性に優れているとともに、広範囲な銀粉の配合量において良好なシールド特性を発揮する導電性ペースト、及びそのような導電性ペーストをフィルム状に加工してなる電磁波シールド部材を提供することを目的とする。
本発明によれば、(A)銀粉と、(B)バインダー樹脂と、(C)溶剤と、を含み、電子素子が搭載された電子基板上に、導電層を形成して、所定のシールド特性を発揮する導電性ペーストであって、(A)銀粉が、(a1)平面視した場合に、円相当径としての平均粒径が5〜30μmの範囲内の値であるとともに、厚さが0.01〜2μmの範囲内の値である薄片状銀粉と、(a2)平均粒径が1〜5μmの範囲内の値であるとともに、嵩密度が0.3〜3g/cm3の範囲内の値である非薄片状銀粉と、を含み、さらに、(A)銀粉の合計配合量(a1+a2)を、(B)バインダー樹脂100重量部に対して、40〜240重量部の範囲内の値とし、かつ、導電層を形成した場合に、水平配向した、複数の(a1)薄片状銀粉の上下方向の間隙に、(a2)非薄片状銀粉が入りこんでなる銀粉積層構造体を形成することを特徴とする導電性ペーストが提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、(A)銀粉として、(a1)所定の薄片状銀粉と、(a2)所定の非薄片状銀粉と、を併用し、かつ、(B)バインダー樹脂や(C)溶剤をさらに含むことによって、フレキシブルな導電性フィルムが得られるとともに、水平配向した薄片状銀粉の上下方向の間隙に、非薄片状銀粉が入りこんでなる銀粉積層構造体を形成しやすく、これら銀粉の広範囲な配合量において、良好なシールド特性を発揮することができる。
なお、銀粉積層構造体の形成性については、実施例1に判断基準を示すが、銀粉積層体構造が一部(例えば、全体体積の10〜30%程度)であっても形成されていれば、それなりのシールド特性を発揮することが、別途判明している。
また、本発明の導電性ペーストを構成するにあたり、(a1)薄片状銀粉を平面視した場合の形状を円形又は楕円形とすることが好ましい。
このような平面形状を有する(a1)薄片状銀粉を用いることによって、いずれの方向からも曲げやすい導電層を形成することができ、さらには、水平配向した薄片状銀粉の上下方向の間隙に、非薄片状銀粉が入りこんでなる銀粉積層構造体を、より形成しやすくなることから、銀粉の広範囲な配合量において、さらに良好なシールド特性を発揮することができる。
また、本発明の導電性ペーストを構成するにあたり、(a2)非薄片状銀粉が、毬栗状銀粉及び球状銀粉、あるいはいずれか一方であることが好ましい。
このような立体形状を有する(a2)非薄片状銀粉を用いることによって、水平配向した薄片状銀粉の上下方向等の間隙に入りこんで、留まりやすくなることから、銀粉の広範囲な配合量において、さらに良好なシールド特性を発揮することができる。
また、本発明の導電性ペーストを構成するにあたり、(a1)薄片状銀粉と、(a2)非薄片状銀粉との配合比率(重量比)を80:20〜40:60の範囲内の値とすることが好ましい。
このような配合比率とすることにより、導電性フィルムの形成性がさらに良好になるとともに、電子基板等に対する密着性や、電子基板等の表面における三次元凹凸への追従性が向上し、さらには、良好なシールド特性とのバランスをとることが容易となる。
また、本発明の導電性ペーストを構成するにあたり、(B)バインダー樹脂を、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、及びウレタンアクリル樹脂の少なくとも一つの樹脂とすることが好ましい。
このような樹脂を用いることにより、フィルム形成性がさらに良好になるとともに、電子基板等に対する密着性や、電子基板等の表面における三次元凹凸への追従性をさらに向上させることができる。
また、本発明の導電性ペーストを構成するにあたり、(C)溶剤の溶解度パラメータ(SP値)を8.0〜11.0の範囲内の値とするとともに、沸点を70〜180℃の範囲内の値とすることが好ましい。
このような(C)溶剤を用いることにより、導電性ペーストの取り扱い性が良好になったり、フィルム形成性がさらに良好になったりすることができる。
また、本発明の導電性ペーストを構成するにあたり、導電性ペーストの硬化物(銀粉の配合量:60重量%)の比抵抗を1×10-3Ohm・cm以下の値とすることが好ましい。
導電性ペーストの硬化物の比抵抗を所定値の範囲とすることにより、電子基板等に対する密着性や、電子基板等の表面における三次元凹凸への追従性と、良好なシールド特性とのバランスをとることがさらに容易となる。
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの導電性ペーストを、フィルム状としてなることを特徴とする電磁波シールド部材である。
このように構成することによって、電子基板等の表面における三次元凹凸への良好な追従性や密着性を得ることができるとともに、良好なシールド特性を発揮することができる。
図1(a)〜(c)は、それぞれ平均粒径等が異なる薄片状銀粉(3種類)の電子顕微鏡写真(各倍率500)である。 図2は、導電性ペーストを熱硬化させてなる導電層の断面における電子顕微鏡写真(倍率1000)である。 図3は、導電性ペーストを熱硬化させてなる導電層の平面における電子顕微鏡写真(倍率1000)である。 図4は、導電性ペーストを、電子素子が搭載された電子基板に塗布した後、熱硬化させてなる部分的導電層の断面における電子顕微鏡写真(倍率60)である。 図5は、薄片状銀粉の粒度分布チャートである。 図6は、導電性ペーストにおける銀粉(二種)の濃度(重量%)と、比抵抗(Ohm・cm)との関係を説明するために供する図面である。 図7は、導電性ペーストにおける銀粉(二種)の濃度(重量%)と、シールド特性(dB)との関係を説明するために供する図面である。 図8は、電子素子が搭載された電子基板に対する導電性ペーストの適用例として、シールドされた電子基板を説明するために供する図面である。 図9は、導電性ペースト(実施例1)におけるシールド特性チャートである。 図10は、導電性ペースト(比較例1)におけるシールド特性チャートである。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、(A)銀粉と、(B)バインダー樹脂と、(C)溶剤と、を含み、電子素子が搭載された電子基板上に、導電層を形成して、所定のシールド特性を発揮する導電性ペーストであって、(A)銀粉が、それを(a1)平面視した場合に、円相当径としての平均粒径が5〜30μmの範囲内の値であるとともに、厚さが0.01〜2μmの範囲内の値である薄片状銀粉と、(a2)平均粒径が1〜5μmの範囲内の値であるとともに、嵩密度が0.3〜3g/cm3の範囲内の値である非薄片状銀粉と、を含む導電性ペーストである。
そして、(A)銀粉の配合量を、(B)バインダー樹脂100重量部に対して、40〜240重量部の範囲内の値とし、かつ、導電層を形成した場合に、水平配向した、複数の(a1)薄片状銀粉の上下方向の間隙に、(a2)非薄片状銀粉が入りこんでなる銀粉積層構造体を形成することを特徴とする導電性ペーストである。
以下、第1の実施形態の導電性ペーストについて、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
1.基本的構成
第1の実施形態の導電性ペーストは、基本的構成要素として、(A)銀粉と、(B)バインダー樹脂と、(C)溶剤と、を含むことを特徴とする。
すなわち、(B)バインダー樹脂100重量部に対して、(A)銀粉の配合量を40〜240重量部の範囲内の値(全体量換算で、約25〜70重量%)とし、フィルム形成性やシールド特性等とのバランスを良好なものとするためである。
より具体的には、かかる(A)銀粉の配合量が、40重量部未満の値になると、フィルム形成性はより良好になるものの、いわゆるサンドイッチ構造の形成が不十分となって、シールド特性が著しく低下するためである。
一方、かかる(A)銀粉の配合量が、240重量部を超えた値になると、フィルム形成性や三次元凹凸に対する表面追随性が著しく低下するためである。
したがって、(B)バインダー樹脂100重量部に対して、(A)銀粉の配合量を80〜200重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、(A)銀粉の配合量を100〜200重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、第1の実施形態の導電性ペーストは、(D)バインダー樹脂の硬化剤や、バインダー樹脂にモノマー成分が含まれる場合は、その重合開始剤を、それぞれ所定量含むことも好ましい。
この理由は、(D)バインダー樹脂を硬化、あるいは、それに含まれるモノマー成分を重合させることにより、好適な接着力や良好なシールド特性が得られるためである。
2.(A)銀粉
(1)(a1)薄片状銀粉
(A)銀粉の一つとして、図1(a)〜(c)に、それらの電子顕微鏡写真を示すように、(a1)平面視した場合に、円相当径としての平均粒径(D50)が5〜30μmの範囲内の値であるとともに、厚さが0.01〜2μmの範囲内の値である薄片状銀粉を用いることを特徴とする。
この理由は、このような薄片状銀粉を用いることによって、図2に示すように、水平配向した薄片状銀粉の上下方向の間隙(一部、隣接する薄片状銀粉同士の間隙)に、非薄片状銀粉が入りこんでなる銀粉積層構造体(サンドイッチ構造)を形成しやすくなって、銀粉の配合量が、比較的多量の場合(例えば、全体量の50重量%以上)はもちろんのこと、比較的少量の場合(例えば、全体量の50重量%未満)であっても、良好なシールド特性やフィルム加工性を得ることができるためである。
また、薄片状銀粉及び非薄片状銀粉が銀粉積層構造体を形成した場合、図3に示すように、円形の薄片状銀粉が水平配向し、薄片状銀粉の両表面が上、あるいは下に向いており、さらに、水平配向した隣接する薄片状銀粉の間隙にも、非薄片状銀粉が一部入り込んで、上下方向のみならず、水平方向の導通も得られていることから、比較的少量の銀粉の配合量であっても、良好なシールド特性を得ることができる。
その上、薄片状銀粉、非薄片状銀粉、及び所定樹脂から形成された銀粉積層構造体を含んでなる導電層は、極めてフレキシブルであるという特徴がある。
そのため、図4に示すように、電子基板に搭載された電子素子(半導体素子)の角部であっても、当該角部の形状に追従し、銀粉積層構造体を維持したまま、導電層における薄片状銀粉が容易に変形することから、良好なシールド特性を発揮することができる。
より具体的には、薄片状銀粉の円相当径としての平均粒径が5μm未満の値になると、粒径が過度に小さいことより、水平方向の薄片銀粉が疎となって、十分な銀粉積層構造体が形成されず、シールド特性が低下したり、電気特性が低下したりする場合があるためである。
一方、かかる薄片状銀粉の平均粒径が30μmを超えると、ペースト混練時の変形が激しくなったり、さらには、被塗布物に対して、ディスペンサーを用いて塗布する際に、目詰まりを起こしたりする場合があるためである。
したがって、薄片状銀粉の平均粒径を7〜25μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜20μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、薄片状銀粉の平均粒径(D50)は、平面視した場合の円相当径として、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置により測定することができるし、あるいは電子顕微鏡写真から実測することもでき、さらには、当該電子顕微鏡写真から、画像処理装置を用いて算出することもできる。
また、薄片状銀粉の厚さが0.01μm未満の値になると、機械的強度が低下したり、安定的に製造するのが困難となったりする場合があるためである。
一方、かかる薄片状銀粉の平均厚さが2μmを超えると、変形しにくくなったり、樹脂中に均一に混合分散することが困難となったり、さらには、製造時間が過度に長くなったりする場合があるためである。
したがって、薄片状銀粉の平均厚さを0.02〜0.5μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜0.2μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、薄片状銀粉の平均厚さは、図1(a)〜(c)に示すような電子顕微鏡写真から実測することもでき、さらには、当該電子顕微鏡写真から、画像処理装置を用いて算出することもできる。
また、薄片状銀粉の所定平均粒径(例えば、10μm)における粒度分布の標準偏差を1〜5の範囲内の値とすることが好ましい。
例えば、図5に、薄片状銀粉の粒度分布チャート(平均粒径と、測定頻度の関係、及び累積頻度の関係)を示す。そして、かかる粒度分布チャートから、粒度分布の標準偏差(図5の例では、2.3)を、下式から算出することができる。
粒度分布の標準偏差=(d84%−d16%)/2
d84%:粒度分布の累積頻度曲線が84%となる点の粒子径(μm)
d16%:粒度分布の累積頻度曲線が16%となる点の粒子径(μm)
すなわち、かかる粒度分布における標準偏差が1未満の値になると、電子素子(半導体素子等)を搭載した電子基板のように、三次元凹凸構造を有する表面や、電子素子等の角部等に対する追従性が低下し、均一厚さを有する導電層を形成することが困難となったり、銀粉の配合量が比較的少ない場合に、導電層のシールド特性が著しく低下したりする場合があるためである。
一方、粒度分布における標準偏差が5を超えた値になると、特に、導電層の水平面における銀粉の濃度分布が不均一となって、シールド特性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、薄片状銀粉の所定平均粒径(例えば、10μm)における粒度分布の標準偏差を1.5〜4の範囲内の値とすることがより好ましく、2〜3の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、薄片状銀粉の縁形状として、図1(a)〜(c)に例示するように、当該縁に沿って、切り欠け部を有し、全体形状としてギザギザ状であることが好ましい。
この理由は、このような切り欠け部を周辺の縁に有する形態であれば、薄片状銀粉がより変形しやすくなり、導電性ペーストを構成した場合に、さらに良好な電気特性が得られるためである。
すなわち、容易に変形することができ、また、隣接する薄片状銀粉同士の電気的接触も良好なものとなり、さらには、後述する嵩密度の値を有効に低下させることができるためである。
したがって、薄片状銀粉の縁に沿って、通常、0.01〜3μmの深さの切り欠け部を有することが好ましく、0.05〜2μmの深さの切り欠け部を有することがより好ましく、0.1〜1μmの深さの切り欠け部を有することがさらに好ましい。
そして、このような切り欠け部を設けることにつき、製造条件として、有機酸の配合量を0.001〜1重量%の範囲内の値とすることが好適であることが判明している。
なお、薄片状銀粉の縁に沿って、切り欠け部を有するか否かは、電子顕微鏡写真から観察することもでき、さらには、当該電子顕微鏡写真から、画像処理装置を用いて、円形度を算出して、代替することもできる。
また、図1(b)に例示するように、薄片状銀粉の表面(表面及び裏面)に、複数の微小突起部を設けることが好ましい。
この理由は、このような複数の微小突起部を表面に設けることにより、複数の薄片状銀粉が水平方向に配列し、一部が上下方向に重なった場合であっても、薄片状銀粉同士の間に、空間が形成されやすいことから、さらに嵩密度の値を小さくすることができるためである。
一方、複数の薄片状銀粉が、水平方向に連なって配列することには、変わりないため、横方向はもちろんのこと、及び複数の微小突起部を介して、上下方向であっても、良好な電気的導通を得ることができるためである。
ここで、微小突起部の高さは特に制限されるものでもないが、例えば、0.001〜1μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.005〜0.5μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.01〜0.2μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
そして、このような微小突起部を設けることにつき、製造条件として、有機酸の配合量を0.001〜1重量%の範囲内の値とすることが好適であることが判明している。
なお、このような薄片状銀粉の表面における微小突起部の高さは、表面粗さ計を用いて、算術平均値として、直接的に測定することもできるし、あるいは電子顕微鏡写真からスケールと照らし、算術平均値として、間接的に測定することができる。
また、薄片状銀粉の嵩密度を0.1〜4g/cm3の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる薄片状銀粉の嵩密度が0.1g/cm3未満の値になると、樹脂中への分散が著しく困難となったり、製造工程が複雑化したり、製造時の歩留まりが著しく低下したりする場合があるためである。
一方、かかる薄片状銀粉の嵩密度が4g/cm3を超えると、薄片状銀粉の形状保持性が著しく低下したり、導電性が低下したりする場合があるためである。
したがって、薄片状銀粉の嵩密度を0.5〜3g/cm3の範囲内の値とすることが好ましく、0.7〜3g/cm3の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜2g/cm3の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる薄片状銀粉の嵩密度は、JIS K5101 タップ法に準拠して測定することができる。
また、かかる薄片状銀粉の製造方法については、特に制限されるものではないが、例えば、以下に示す湿式還元法に基づき、硝酸銀を含む第1水溶液と、硝酸銀の還元剤を含む第2水溶液と、を反応させるとともに、第1水溶液及び第2水溶液、あるいはいずれか一方の水溶液に、硝酸と、有機酸と、がそれぞれ配合してあることが好ましい。
(第1水溶液)
まず、第1水溶液における硝酸銀の配合量を、通常、1〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる硝酸銀の配合量が1重量%未満の値となると、薄片状銀粉の生成速度が過度に低下し、生産効率が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる硝酸銀の配合量が20重量%を越えると、反応析出したスラリー粘度が高くなり、反応制御が困難となる場合があるためである。
したがって、第1水溶液に含まれる硝酸銀の配合量を7〜17重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜15重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、硝酸は、後述するように、第2水溶液のみに配合することもできるが、第1水溶液に形態制御剤としての硝酸を配合する場合、その配合量を、第1水溶液の全体量に対して、20重量%以下の値とすることが好ましい。
すなわち、かかる硝酸の配合量が20重量%を超えると、薄片状銀粉の表面(表面及び裏面)に、表面状態として、複数の微小突起部が異常成長する場合があるためである。
但し、硝酸銀の配合量が過度に少なくなると、添加効果が安定的に発揮できない場合がある。
したがって、第1水溶液の全体量に対して、硝酸の配合量を、0.1〜10重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜5重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、有機酸は、後述するように、第2水溶液に配合することもできるが、第1水溶液に形態制御剤としての有機酸を配合する場合、その配合量を、第1水溶液の全体量に対して、2重量%以下の値とすることが好ましい。
すなわち、かかる有機酸の配合量が2重量%を超えると、銀粉の形状が薄片状でなく、球形に近くなる場合があるためである。
但し、有機酸の配合量が過度に少なくなると、添加効果が安定的に発揮できない場合がある。
したがって、第1水溶液の全体量に対して、有機酸の配合量を、0.001〜0.5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.01〜0.1重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる形態制御剤としての有機酸として、クエン酸(クエン酸一水和物を含む。)、コハク酸、リンゴ酸(D−リンゴ酸、L−リンゴ酸を含む。)、酒石酸(酒石酸一水和物を含む。)、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、アンモニア及び/又はアミン化合物(以下、単に、アンモニア等と表現する場合がある。)は、後述するように、第2水溶液に配合することもできるが、第1水溶液に形態制御剤として配合する場合、その配合量を、第1水溶液の全体量に対して、2重量%以下の値とすることが好ましい。
すなわち、かかるアンモニア等の配合量が2重量%を超えると、得られる薄片状銀粉の粒径が小さくなりすぎる場合があるためである。
但し、かかるアンモニア等の配合量が過度に少ない場合には、配合効果が得られず、平均粒径の制御等が困難となる場合がある。
したがって、第1水溶液の全体量に対して、アンモニア等の配合量を0.1〜1.5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜1重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、アンモニア等は、例えば、アンモニア水(濃度28%)として配合でき、その場合、濃度を考慮して、配合量を決定することとなる。
さらに、アミン化合物の好適例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−エチルモノエタノールアミン、N−ブチルモノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−シクロヘキシルジエタノールアミン、N,N−ジメチルモノエタノールアミン、N,N−ジエチルモノエタノールアミジエチルモノエタノールアミン、N,N−ジブチルモノエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、アミノエチルプロパンジオール、アミノメチルプロパンジオール、アミノブタノール等のアルコールアミン化合物が挙げられる。
また、水(イオン交換水)の配合量を、硝酸銀、硝酸、及びアンモニア水等の残余量とし、これら成分からなる第1水溶液の全体量を100重量%とするだけの水を配合するものとする。
したがって、第1水溶液の配合例として、硝酸銀と、硝酸と、アンモニア水等と、水と、がそれぞれ配合してあるとともに、第1水溶液の全体量(100重量%)に対して、硝酸銀の配合量を1〜20重量%の範囲内の値、硝酸の配合量を20重量%以下、アンモニア水等の配合量を2重量%の範囲内の値、及び、残余量の水の配合量とすることが好ましい。
また、第1水溶液の別の配合例として、硝酸銀と、硝酸と、アンモニア水等と、有機酸と、水と、がそれぞれ配合してあるとともに、第1水溶液の全体量(100重量%)に対して、硝酸銀の配合量を1〜20重量%の範囲内の値、硝酸の配合量を20重量%以下、アンモニア水等の配合量を2重量%以下、有機酸の配合量を2重量%以下、及び、残余量の水の配合量とすることが好ましい。
なお、硝酸、アンモニア水等、及び有機酸については、後述するように、第2水溶液に配合することができ、その場合、第1水溶液における硝酸、アンモニア水等、及び有機酸の配合量を、適宜、変更することができる。
より具体的には、硝酸を、第1水溶液及び第2水溶液に配合する場合、それらの合計量に対して、硝酸の合計量を、0.1〜10重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
また、同様に、アンモニア水等、及び有機酸を、それぞれ第1水溶液及び第2水溶液に配合する場合、それらの全体の合計量に対して、アンモニア水等、及び有機酸の合計量を、それぞれ0.001〜1重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
(第2水溶液)
第2水溶液に含まれる還元剤として、ホルムアルデヒド、水素化エリソルビン酸ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ヒドラジン化合物、ヒドロキノン、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸塩、ギ酸、無水亜硫酸ナトリウム、L(+)酒石酸、ギ酸アンモニウム、ロンガリット、ピロカテコール等の一種単独又は二種以上の組合せが挙げられる。
これらの還元剤のうち、硝酸銀に対する還元反応を容易に制御しやすいことから、L−アスコルビン酸、あるいは、L−アスコルビン酸と、ピロカテコールとの組合せを使用することがより好ましい。
また、第2水溶液における硝酸銀の還元剤の配合量を、通常、0.5〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる還元剤の配合量が0.5重量%未満の値となると、薄片状銀粉の生成速度が過度に低下し、生産効率が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる還元剤の配合量が20重量%を越えると、水に溶解できない場合があるためである。
したがって、第2水溶液に含まれる還元剤の配合量を4〜18重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、7〜15重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、硝酸は、前述したように、第1水溶液に配合することもできるが、第2水溶液に形態制御剤としての硝酸を配合する場合、その配合量を、第2水溶液の全体量に対して、20重量%以下の値とすることが好ましい。
すなわち、かかる硝酸の配合量が20重量%を超えると、薄片状銀粉の表面(表面及び裏面)に、表面状態として、複数の微小突起部が異常成長する場合があるためである。
但し、有機酸の配合量が過度に少なくなると、添加効果が安定的に発揮できない場合がある。
したがって、第2水溶液の全体量に対して、硝酸の配合量を、0.1〜10重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜5重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、有機酸は、前述したように、第1水溶液に配合することもできるが、第2水溶液に形態制御剤としての有機酸を配合する場合、その配合量を、第2水溶液の全体量に対して、2重量%以下の値とすることが好ましい。
すなわち、かかる有機酸の配合量が2重量%を超えると、銀粉の形状が薄片状でなく、球形に近くなる場合があるためである。
但し、有機酸の配合量が過度に少なくなると、添加効果が安定的に発揮できない場合がある。
したがって、第2水溶液の全体量に対して、有機酸の配合量を、0.001〜0.5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.01〜0.1重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、アンモニア等は、前述したように、第1水溶液に配合することもできるが、第2水溶液に形態制御剤としてのアンモニア等を配合する場合、その配合量を、第2水溶液の全体量に対して、2重量%以下の値とすることが好ましい。
すなわち、かかるアンモニア等の配合量が2重量%を超えると、銀粉の粒径が小さくなりすぎる場合があるためである。
但し、かかるアンモニア等の配合量が過度に少ない場合には、配合効果が得られず、平均粒径の制御等が困難となる場合がある。
したがって、第2水溶液の全体量に対して、アンモニア等の配合量を0.1〜1.5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜1重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、水(イオン交換水)の配合量を、硝酸銀の還元剤、硝酸、有機酸、及びアンモニア水等の残余量とし、これら成分からなる第2水溶液の全体量を100重量%とすることが好ましい。
よって、第2水溶液の配合例として、硝酸銀の還元剤と、硝酸と、有機酸と、水と、がそれぞれ配合してあるとともに、第2水溶液の全体量(100重量%)に対して、硝酸銀の還元剤の配合量を0.5〜20重量%の範囲内の値、硝酸の配合量を20重量%以下の値、有機酸の配合量を2重量%以下の値、及び、残余量の水と、することが好ましい。
また、第2水溶液の別の配合例として、硝酸銀の還元剤と、硝酸と、有機酸と、アンモニア等、及び、水と、がそれぞれ配合してあるとともに、第2水溶液の全体量(100重量%)に対して、硝酸銀の還元剤の配合量を0.5〜20重量%の範囲内の値、硝酸の配合量を20重量%以下の値、有機酸の配合量を2重量%以下の値、アンモニア等の配合量を2重量%以下の値、及び、残余量の水と、することが好ましい。
なお、硝酸、アンモニア水等、及び有機酸については、上述したように、第1水溶液に配合することができ、その場合、第2水溶液における硝酸、アンモニア水等、及び有機酸の配合量を、適宜、変更することができる。
(反応温度)
また、還元処理を実施する際の反応温度、すなわち、第1水溶液と、第2水溶液との反応温度を60℃未満の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる反応温度が60℃以上の値になると、薄片状銀粉の形状や平均粒径を制御することが困難となる場合があるためである。
一方、かかる反応温度が0℃未満の値となると、氷が析出したり、薄片状銀粉の析出量が著しく低下して、薄片状銀粉の生産性が低下したりする場合があるためである。
したがって、かかる反応温度を10〜50℃の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜40℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(表面処理)
得られた薄片状銀粉に対して、有機酸(有機酸塩を含む。)、例えば、ステアリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸カルシウム、ミリスチン酸カルシウム等の少なくとも一つによる表面処理を実施することが好ましい。
より具体的には、液相還元法を実施した容器内に、そのまま有機酸塩水溶液を投入して、得られた薄片状銀粉に対して、有機酸による表面処理を実施することが好ましい。
この理由は、有機酸による表面処理を行うことによって、薄片状銀粉の形状保持性を著しく向上させるとともに、水平配向した、複数の薄片状銀粉の間隙に、非薄片状銀粉が入り込みやすくなって、比抵抗の値を所望の数値範囲に制御しやすくなるためである。
また、有機酸を用いる場合には、銀粉を水洗後、アルコール置換を行い、有機酸のアルコール溶液を投入して表面処理を実施することも好ましい。
なお、薄片状銀粉に対して、有機酸による表面処理を実施するに際して、薄片状銀粉100重量部に対して、有機酸又は有機酸塩の処理量を0.001〜5重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように有機酸の処理量を調整して構成することにより、薄片状銀粉の形状保持性と、比抵抗との間のバランスについて、さらに良好なものとなるためである。
したがって、有機酸の処理量を、薄片状銀粉100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜0.5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(乾燥処理)
また、所定の表面処理を行った薄片状銀粉に対して、乾燥工程を設けて、加熱処理することが好ましい。
すなわち、例えば、湿式還元法で得られた薄片状銀粉に対して、所定の表面処理を実施した後、30℃以上の温度で、30分以上加熱処理することが好ましい。
この理由は、かかる加熱処理によって、薄片状銀粉の内部に残留する液体、例えば、水等を効果的に飛散させることができ、その結果、薄片状銀粉の形状保持性を著しく向上させることができるためである。逆に言えば、液相還元法で得られた薄片状銀粉をそのまま湿潤状態に放置しておくと、薄片状銀粉の形状が崩れ易いためである。
したがって、より優れた形状保持性を得るためには、真空オーブンや恒温槽を用いて、40〜150℃の温度で、1〜48時間程度加熱処理を実施することが好ましい。
(2)(a2)非薄片状銀粉
非薄片状銀粉としては、その平均粒径が1〜5μmの範囲内の値であるとともに、嵩密度が0.3〜3g/cm3の範囲内の値であることを特徴とする。
すなわち、(A)銀粉の一部として、所定の非薄片状銀粉を併用することによって、所定の薄片状銀粉と相俟って、水平配向した、複数の薄片状銀粉の上下方向や隣接する間隙に、非薄片状銀粉が入りこんでなる銀粉積層構造体を形成しやすくなるためである。
したがって、これら銀粉の広範囲な配合量において、良好なシールド特性を発揮することができるほか、電気素子を搭載した電子基板に対する良好な追従性や密着性を有する、比較的大面積のフィルム(導電層)であっても容易に形成することができる。
(3)薄片状銀粉/非薄片状銀粉の配合比
また、導電性ペーストを構成するにあたり、薄片状銀粉と、非薄片状銀粉との配合比率(重量比)を80:20〜40:60の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような配合比率とすることにより、フィルム形成性が良好になるとともに、電子基板に対する密着性や、電子素子等に起因した三次元凹凸への追従性が向上し、さらには、良好なシールド特性とのバランスをとることが容易となるためである。
より具体的には、薄片状銀粉と、非薄片状銀粉との配合比率(重量比)が80:20よりも大きくなると、非薄片状銀粉の存在割合が少なくなり、導電層における銀粉積層構造体の形成が不十分となって、厚さ方向(上下方向)等の導通性が低下し、ひいてはシールド特性が低下する場合があるためである。
一方、薄片状銀粉と、非薄片状銀粉との配合比率(重量比)が40:60よりも小さくなると、薄片状銀粉の存在割合が少なくなり、導電層における銀粉積層構造体の形成が不十分となって、同様に、平面方向(水平方向)の導通性が低下し、ひいてはシールド特性が低下する場合があるためである。
したがって、薄片状銀粉と、非薄片状銀粉との配合比率(重量比)を75:25〜45:55の範囲内の値とすることがより好ましく、70:30〜50:50の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
3.(B)バインダー樹脂
(1)種類1
また、バインダー樹脂の種類として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂及びシリコーン樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの電気絶縁性樹脂を含むことが好ましい。
このような樹脂を用いることにより、電子基板や電子素子等への良好な接着特性が得られるとともに、環境特性が大きく変化したような場合であっても、良好なシールド特性や導電性を維持することができるためである。
また、バインダー樹脂が、エポキシ樹脂等の場合、良好な密着性や機械的強度を得るために、所定量の硬化剤を配合することが好ましい。
このような硬化剤としては、イミダゾール化合物、二級アミン化合物、三級アミン化合物、変性脂肪族アミン化合物、エポキシ樹脂アミンアダクト化合物の一つ又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
特に、イミダゾール化合物であれば、室温における潜在性が高い上に、80〜170℃の広範囲の反応温度領域を備えており、好ましい硬化剤である。
なお、イミダゾール化合物の市販品としては、例えば、2P4MHZ−PW、C−11Z、C−17Z(以上、四国化成工業(株)製)、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(以上、日本合成化学(株))が挙げられる。
また、かかる硬化剤の添加量を、エポキシ樹脂を100重量部に対して、3〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる硬化剤の添加量が、10重量部未満の値になると、硬化が不十分となって、接着特性が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる硬化剤の添加量が、40重量部を超えた値になると、導電性が低下したり、潜在性が低下したりする場合があるためである。
したがって、かかる硬化剤の添加量を、エポキシ樹脂を100重量部に対して、5〜30重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、7〜20重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、硬化剤の添加量を決定するエポキシ樹脂の重量部は、反応性希釈剤を含む場合には、それも含んだ上での総量を意味する。
(2)種類2
また、バインダー樹脂の種類につき、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、及びポリウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
この理由は、このような熱可塑性樹脂を含むことにより、所定の接着特性が得られるとともに、被着体間の電気特性に不具合が生じたような場合に、それらを容易にリペアすることができるためである。
また、これらの樹脂を使用すると、フィルム形成性がさらに良好になるとともに、電子素子等に起因した三次元凹凸への追従性が向上し、さらには、シールド特性との良好なバランスをとることが容易となるためである。
(3)希釈剤
また、バインダー樹脂の一部として、希釈剤(反応性希釈剤を含む。)を配合することが好ましい。
このような希釈剤としては、脂肪族単官能エポキシ化合物、脂肪族二官能エポキシ化合物、芳香族単官能エポキシ化合物等の一つ又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
より具体的には、o−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、シクロへキサンジメチロール型エポキシ樹脂、フェニルグリシジルエーテル、o−クレジルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、o−フェニルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、フェノール(EO)グリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等の一つ又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、希釈剤の添加量を、バインダー樹脂の全体量に対して、5〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる希釈剤の添加量が、5重量%未満の値になると、添加効果が得られない場合があるためである。
一方、かかる希釈剤の添加量が、30重量%以上の値になると、電子基板等に対する密着性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、かかる希釈剤の添加量を、バインダー樹脂の全体量に対して、8〜25重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜22重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)各種添加剤
導電性ペースト中に、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属イオン捕獲剤、粘度調整剤、無機フィラー、有機フィラー、カーボン繊維、着色剤、及びカップリング剤等を添加することも好ましい。
特に、導電性ペーストは、薄片状銀粉等の金属を添加することによる酸化劣化が通常加速されるため、酸化防止剤として、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、又はリン酸エステル系酸化防止剤等を、導電性ペーストの全体量に対して、0.1〜10重量%の範囲内で添加することが好ましい。
4.(C)溶剤
また、導電性ペーストを構成するにあたり、(C)溶剤として、各種有機溶剤を配合することができるが、溶解度パラメータ(SP値)を8.0〜11.0の範囲内の値とするとともに、沸点を70〜180℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような溶剤を用いることにより、得られる導電性ペーストの取り扱い性が良好になったり、フィルム形成性がさらに良好になったりすることができ、ひいては、良好なシールド特性とのバランスをとることが容易となるためである。
なお、溶剤の配合量は、導電性ペーストの用途や使い勝手等を考慮して定めることができるが、通常、銀粉100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、溶剤の配合量が、10重量部よりも小さくなると、粘度が上昇し、銀粉と、バインダー樹脂と、溶剤との混合分散が不均一となったり、撹塗膜形成時に溶剤離れが悪くなり、ボイド(残留気泡)の原因になったりする場合があるためである。
一方、溶剤の配合量が、100重量部よりも大きくなると、粘度が低下し、銀粉が沈殿しやすくなって、導電性ペーストの取り扱いが困難となる場合があるためである。
したがって、溶剤の配合量を、銀粉100重量部に対して、20〜70重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、25〜50重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
5.諸特性
(1)比抵抗
また、所定量(バインダー樹脂100重量部に対して、銀粉量が100重量部の場合)の薄片状銀粉/非薄片状銀粉(重量配合比=35:15)を含んでなる導電性ペーストの硬化物の比抵抗を1×10Ohm・cm以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる導電性ペーストの硬化物の比抵抗が1×10Ohm・cmを超えた値になると、導通抵抗が高くなり、特に、電子素子の角部におけるシールド特性が均一に発揮されなかったりする場合があるためである。
但し、導電性ペーストの硬化物の比抵抗が過度に小さくなると、使用可能な薄片状銀粉や非薄片状銀粉の種類が過度に制限されたり、あるいは、過度に銀含有量が高くなるため、塗膜の形成が不十分となり、塗膜が脆くなったり、さらには、導通不良になる場合があるためである。
したがって、導電性ペーストの硬化物の比抵抗を5×10-5〜1×10-2Ohm・cmの範囲内の値とすることがより好ましく、1×10-4〜1×10-3Ohm・cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、所定量の薄片状銀粉を含んでなる導電性ペーストの比抵抗は、後述するように、所定条件で硬化させた後、実施例1に示す四端子法により測定することができる。
ここで、図6に言及し、二種類の銀粉濃度(重量%)と、比抵抗(Ohm・cm)との関係を、説明する。
すなわち、図6中、特性曲線Aが、薄片状銀粉/非薄片状銀粉(重量配合比=35:15)を用いた場合の導電性ペーストの硬化物における比抵抗に対応しており、特性曲線Bが、薄片状銀粉のみを用いた場合の導電性ペーストの硬化物における比抵抗に対応している。
そして、導電性ペーストにおける銀粉濃度以外は、基本的に、後述する実施例1の態様に準じたものである。
かかる特性曲線Aから理解されるように、薄片状銀粉/非薄片状銀粉(重量配合比=35:15)の合計配合量が多い程、得られる導電性硬化物の比抵抗の値が小さくなり、例えば、合計配合量が25重量%では、比抵抗が約1.0×101Ohm・cmであったものが、合計配合量が30重量%になると、比抵抗が3×10-2Ohm・cmと急激に低下した。また、合計配合量が40重量%では、比抵抗が9.0×10-4Ohm・cmまで低下し、合計配合量が50〜70重量%の範囲では、比抵抗として約1.1×10-4〜2.8×10-4Ohm・cmというほぼ一定の低い値を示していた。
一方、特性曲線Bから理解されるように、薄片状銀粉を単独使用した場合も、配合量が多い程、得られる導電性硬化物の比抵抗(Ohm・cm)の値が小さくなる傾向が見られた。但し、配合量が25重量%〜30重量%の範囲では、特性曲線Aとほぼ同一の比抵抗(Ohm・cm)の値を示すものの、配合量が30重量%超〜70重量%の範囲では、比抵抗の特性曲線Aよりも、比抵抗の値が、明らかに高い傾向が見られた。
(2)シールド特性
また、所定量(バインダー樹脂100重量部に対して、100重量部の割合)の薄片状銀粉/非薄片状銀粉(重量配合比=35:15)を含んでなる導電性ペーストの硬化物のKEC法に準拠して測定されるシールド特性を20db以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる導電性ペーストの硬化物のシールド特性が20db未満の値になると、例えば、電子素子の角部におけるシールド特性が発揮されず、電子素子が誤動作を生じたりする場合があるためである。
但し、導電性ペーストの硬化物のシールド特性が、過度に大きくなると、使用可能な薄片状銀粉や非薄片状銀粉の種類が過度に制限されたり、過度に銀含有量が高くなるため、塗膜の形成が不十分となり、塗膜が脆くなったり、導通不良になる場合がある。
したがって、所定導電性ペーストの硬化物のシールド特性を50〜150dBの範囲内の値とすることが好ましく、65〜100dBの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、所定導電性ペーストの硬化物のシールド特性は、後述するように、所定条件で硬化させた後、実施例1に示すKEC法に準拠して測定することができる。
ここで、図7に言及し、二種類の銀粉濃度(重量%)と、シールド特性との関係を、説明する。
すなわち、図7中、特性曲線Aが、薄片状銀粉/非薄片状銀粉(重量配合比=35:15)を用いた場合の導電性ペーストの硬化物におけるシールド特性に対応しており、特性曲線Bが、薄片状銀粉のみを用いた場合の導電性ペーストの硬化物におけるシールド特性に対応している。
そして、導電性ペーストにおける銀粉濃度以外は、基本的に、後述する実施例1の態様に準じたものである。
かかる特性曲線Aから理解されるように、薄片状銀粉/非薄片状銀粉(重量配合比=35:15)の合計配合量が多い程、得られる導電性硬化物のシールド特性の値が大きくなり、例えば、合計配合量が25重量%では、シールド特性が約15dBであったものが、合計配合量が30重量%になると、シールド特性が約32dBに急激に上昇した。また、合計配合量が40重量%では、シールド特性が約57dBまで上昇し、合計配合量が50〜70重量%の範囲では、シールド特性は約68〜78dBという高い減衰値を示していた。
一方、特性曲線Bから理解されるように、薄片状銀粉を単独使用した場合も、配合量が多い程、得られる導電性硬化物のシールド特性の値が大きくなる傾向が見られた。但し、配合量が25重量%〜30重量%の範囲であっても、特性曲線Aと比較すると、得られるシールド特性の値が小さく、さらに、配合量が30重量%超〜75重量%の範囲であっても、特性曲線Aよりもシールド特性の値が低い傾向が見られた。
(3)粘度
また、導電性ペーストの粘度を1〜100Pa・sec(温度:25℃)の範囲内の値にすることが好ましく、10〜50Pa・secの範囲内の値にすることがより好ましい。
この理由は、かかる粘度が1Pa・sec未満になるとペースト塗布後に濡れ広がり、所定の膜厚を制御できなくなったり、銀粉が沈降しやすくなったりして、塗布むらが生じたり、さらには、導電性性能を著しく阻害したりする場合があるためである。
一方、かかる粘度が100Pa・sec以上になると、ディスペンスや印刷等による塗布性が極めて悪くなり、密着性や導電性能が悪くなる場合があるためである。
(4)密度
また、導電性ペーストの密度を1〜3.5g/cm3の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、導電性ペーストの密度が、1g/cm3未満の値になると、被着物に塗布した際に、銀粉の濃度むらが発生しやすくなり、シールド特性や密着性が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる導電性ペーストの密度が、3.5g/cm3を超えても、同様に銀粉の濃度むらが大きくなって、安定したシールド特性や密着性を得ることが困難となる場合があるためである。
したがって、導電性ペーストの密度を、1.2〜3g/cm3の範囲内の値とすることがより好ましく、1.5〜2.5g/cm3の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、本発明の導電性ペーストは、嵩密度が極めて小さい薄片状銀粉や非薄片状銀粉を用いているため、その配合量を調節したり、バインダー樹脂の種類や配合量等を適宜変更することによって、所望範囲に調節することができる。
7.製造方法
導電性ペーストの製造方法は特に制限されるものではないが、例えば、プロペラミキサ、プラネタリーミキサ、三本ロール、ニーダー、スパチュラ等を利用して、バインダー樹脂及び溶剤中に、所定量の薄片状銀粉及び非薄片状銀粉を、均一の混合分散して、製造することが好ましい。
例えば、プタネタリーミキサを用いた場合、混合時間が10〜120分の範囲であれば、硬化後に、一定の比抵抗を示す導電性ペーストが得られていることが理解される。
また、導電性ペーストを一旦製造した後、フィルター等を用いて、凝集物やゴミ等を濾過処理し、除去することが好ましい。
この理由は、薄片状銀粉及び非薄片状銀粉の凝集物等を濾過処理することによって、ディスペンサーやスプレー塗布装置等を用いて導電性ペーストを塗布したり、スクリーン印刷やインクジェット方式で積層したりする場合に、目つまりすることを有効に防止できるためである。
なお、本願発明の薄片状銀粉であれば、薄片状であって、かつ、変形しやすいことから、バインダー樹脂中に混合した場合に、凝集物の発生が少なく、例えば、目開き40〜180μmのメッシュフィルター等を用いて、容易に濾過処理することができるという利点がある。
8.使用方法
導電性ペーストの使用方法については、特に制限されるものではないが、例えば、樹脂フィルムや導電性フィルム、あるいは、電子素子を備えた電子基板の上に、ディスペンサー塗布装置、スプレー塗布装置、スクリーン印刷装置、あるいはインクジェット装置等を用いて、導電性ペーストを積層し、それにより、所定厚さの導電層を形成し、熱硬化等が可能な電磁波シールド部材とすることが好ましい。
より具体的には、図8に示すように、モールドされた電子素子22が、複数個実装されてなる電子基板20の表面に、本願発明の導電性ペーストを所定厚さに塗布し、それを加熱硬化等させることにより導電層18を形成し、よって、シールドされた電子基板20を含む電子機器10とすることができる。
したがって、一例ではあるが、導電性ペーストの使用に際して、まずは、25〜75μmの耐熱性剥離フィルムを準備する。
次いで、耐熱性剥離フィルムの上に、ディスペンサー塗布装置等を用いて、乾燥後の厚さが10〜100μmの範囲内の値となるように導電性ペーストを積層する。
次いで、加熱オーブンや赤外線ランプ等を用いて、100℃以下、1〜10分程度の加熱条件で、導電性ペーストを加熱し、バインダー樹脂を部分的に硬化させてなる電磁波シールド部材とする。
次いで、半導体素子等が搭載された電子基板の上に、部分的に硬化させてなる電磁波シールド部材を含む耐熱性剥離フィルムを、ラミネート装置を用いてラミネートする。
次いで、耐熱性剥離フィルムを剥離し、フレキシブルかつ、部分的に硬化させてなる電磁波シールド部材のみ残す。
最後に、電子基板の上に、全面的あるいは部分的に積層された電磁波シールド部材を、再び、加熱オーブンや赤外線ランプ等を用いて、140〜180℃、20〜60分程度の加熱条件で加熱処理し、バインダー樹脂を硬化させてなる、密着性やシールド特性に優れた導電層とすることができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態の導電性ペーストを、フィルム状に加工してなることを特徴とする電磁波シールド部材である。
以下、第2の実施形態の電磁波シールド部材について、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
1.導電性ペースト
第1の実施形態で説明したのと同様の内容であることから、再度の説明を省略する。
2.フィルム状物
(1)厚さ
フィルム状物の厚さ、すなわち、導電層(導電性フィルム状物)とした場合の導電性ペーストの厚さは、使用用途等に応じて変えることができるものの、通常、10〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるフィルム状物の厚さが10μm未満の値になると、取り扱いや均一な厚さに製造することが困難となる場合があるばかりか、表面凹凸に対する三次元追従性や、得られるシールド特性が乏しくなりやすいという問題が生じる場合があるためである。
一方、かかるフィルム状物の厚さが200μmを超えると、逆に、取り扱いや均一な厚さに製造することが困難となる場合があるばかりか、コストが高くなって、経済的に不利となりやすいためである。
したがって、フィルム状物の厚さを30〜150μmの範囲内の値とすることがより好ましく、50〜100μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)大きさ/形状/形態
また、フィルム状物の大きさや形状についても、使用用途等に応じて変えることができるものの、通常、電子素子が搭載されている基板の表面及び裏面、あるいはいずれか一方を、全面的あるいは部分的に覆う大きさや形状とすることが好ましい。
したがって、例えば、電子基板の大きさが1.0×1.0cm2であって、その形状が正方形の場合、フィルム状物の大きさも、片面を全面的に覆う場合には、1.0×1.0cm2〜1.2×1.2cm2の範囲内の正方形とすることが好ましい。
但し、電磁波シールドの誤動作が特に生じやすい、半導体素子関係であれば、それを個別に覆うため、それらを平面視した場合の投影面積の100%〜150%の面積を有するフィルム状物の大きさであって、かつ形状を、長方形、正方形、円形、楕円形、異形等とすることが好ましい。
さらに、電子素子が搭載されている基板において、所定素子を後付けしたり、それから電気配線したり、所定素子の高さが過度に高かったり、さらには、所定素子を別なシールド材料で覆う等の場合を考慮して、所定素子に対応して、その部分を孔空き構造とすることも好ましい。
[実施例1]
1.導電性ペーストの製造
(1)薄片状銀粉の作成
まず、硝酸銀と、イオン交換水と、有機酸と、硝酸と、を含む第1水溶液を準備した。
すなわち、撹拌装置付きの容器(容器A)内に、硝酸銀4gと、イオン交換水24gと、クエン酸(クエン酸一水和物)0.02gと、硝酸(濃度:69重量%)2gと、を収容し、マグネットスターラーを用いて、均一になるまで撹拌した。
次いで、還元剤と、イオン交換水と、を含む第2水溶液を準備した。
すなわち、別な撹拌装置付きの容器(容器B)内に、還元剤としてのL−アスコルビン酸3gと、イオン交換水24gと、を収容し、マグネットスターラーを用いて、均一になるまで撹拌した。
そして、それぞれ液温が30℃になるように温度保持した後、容器A内の第1水溶液に対して、容器Bの第2水溶液を添加し、そのまま撹拌を続け、薄片状銀粉を析出生成させた。
次いで、析出生成した薄片状銀粉を、イオン交換水で水洗後、当該薄片状銀粉100重量部に対して、有機酸の処理量が、0.02重量部の割合になるように、所定量のステアリン酸アンモニウム水溶液(0.5wt%)を混合液中に添加し、有機酸による表面処理を行った。
その後、表面処理を行った薄片状銀粉をろ過にて液切りし、さらに、真空オーブンを用いて、100℃、3時間の条件で乾燥して、薄片状銀粉(a1−1、平均粒径(D50):15μm、嵩密度:1.4g/cm3)を得た。
(2)非薄片状銀粉の作成
非薄片状銀粉(a2−1)として、毬栗状銀粉(化研テック(株)製、導電性接着剤TKペーストCR−2800用の特殊形状銀粉、平均粒径(D50):3.0μm、嵩密度:1.6g/cm3)を、塩化銀の一般的湿式還元法により、作成した。
(3)バインダー樹脂の作成
撹拌装置付き容器内に、溶解度パラメータ(Fedors法)が9.2で、沸点が146℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gと、数平均分子量が11.000で、水酸基価が21mgKOH/gのポリエステル樹脂100gと、を収容し、均一になるまで撹拌し、バインダー樹脂として、固形分濃度が50重量%のポリエステル溶液(BC1)を作成した。
次いで、別な撹拌装置付き容器内に、上述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート33gと、数平均分子量が1,400で、両末端にアクリレート残基を有するウレタンアクリル樹脂67gと、を収容し、均一になるまで撹拌し、重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイドを0.1g配合して、固形分濃度が67重量%のウレタンアクリル樹脂溶液(BC2)を作成した。
次いで、別の撹拌装置付き容器(1リットル)内に、EPICLON830−S(ビスフェノールF型、大日本インキ化学工業製)を35gと、反応性希釈剤としてブチルフェニルグリシジルエーテル10gと、硬化剤として、キュアゾール2p4MHZ−PW(四国化成工業製)を5gと、上述したポリエステル溶液(BC1)を20gと、上述したウレタンアクリレート樹脂溶液(BC2)を20gと、を収容し、15分間、混合撹拌し、均一溶液を得た後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6gを追加して配合し、溶剤を含有した状態のバインダー樹脂(R1、固形分73.4重量%)を得た。
(4)導電性ペーストの作成
プラネタリーミキサ−容器内に、上述した溶剤を含有した状態のバインダー樹脂(R1)48g(固形分換算:36.7g)と、薄片状銀粉(a1−1)35gと、非薄片状銀粉(a2−1)15gと、を収容した後、導電性ペーストの配合原料が均一になるまで30分以上撹拌した。
次いで、三本ロール(ロール間隔30〜40μm)を2回通過させた後、追加の有機溶剤を2g加えた状態で、再び、プラネタリーミキサ−容器に戻して、30分間、さらに撹拌混合した。なお、表1中、R1中の溶剤分と、三本ロールを通過させた後に加えた溶剤の合計量をc1として示す。
次いで、−0.1MPa・Gの減圧条件で、5分間、脱泡した後、目開き63μmのメッシュフィルターを備えたろ過装置を用いて、ろ過処理を行い、実施例1の導電性ペーストとした。
2.導電性ペーストの評価
(1)粘度(評価1)
予めサンプルカップに接続された温度調整機(循環式恒温水槽)を用いて、サンプルカップ内の導電性ペーストを25℃に温度調整した後、E型粘度計VISCOMETER TV22(東洋産業(株)製)を用いて、高回転条件(5rpm)で、導電性ペーストの粘度を測定し、以下の基準に照らして、評価した。得られた評価結果を、表1に示す。
◎:15〜30Pa・secの範囲内の値である。
○:10〜15Pa・sec未満、又は30超〜50Pa・secの範囲内の値である。
△:1〜10Pa・sec未満、又は50超〜100Pa・secの範囲内の値である。
×:1Pa・sec未満、又は100Pa・sec超の値である。
(2)チキソ係数(評価2)
次いで、導電性ペーストの粘度を、低回転条件(0.5rpm)で測定し、評価1で得られた粘度との比率から、チキソ係数を算出し、以下の基準に照らして、評価した。得られた評価結果を、表1に示す。
◎:3〜5の範囲内の値である。
○:2.5〜3未満、又は5超〜6以下の範囲内の値である。
△:2〜2.5未満、又は6超〜7以下の範囲内の値である。
×:2.0未満、又は7.0超の値である。
(3)密度(評価3)
得られた導電性ペーストの密度を、JIS K 7383に準じて測定し、以下の基準に準じて評価した。得られた評価結果を、表1に示す。
◎:2.0〜2.5の範囲内の値である。
○:1.5〜2未満、又は2.5超〜3の範囲内の値である。
△:1〜1.5未満、又は3超〜3.5の範囲内の値である。
×:1.0未満、又は3.5超の値である。
(4)塗布性(評価4)
得られた導電性ペーストを、厚さ8mmのガラス板上に、ライン状(縦長60mm×横幅20mm×厚さ80μm)に、スクリーン印刷した後、160℃、60分の条件で、加熱硬化させ、得られた塗膜としての導電層の状態等から、以下の基準に準じて、塗布性を評価した。
◎:目視による均一な銀光沢があって、指触による表面平滑性が高い。
○:目視による均一な銀光沢は少々あるが、指触による表面平滑性が高い。
△:目視による均一な銀光沢はなく、指触により、表面のざらざら感がある。
×:均一厚さを有する導電層として、製膜することができない。
(5)密着性(評価5)
得られた導電性ペーストにつき、縦長100mm×横幅25mm×厚さ1.5mmのガラスエポキシ基板上に、スペーサ及びコーティングロッドを用いて、厚さ50μmに塗布した。
次いで、160℃、60分の条件で、加熱硬化させ、それを室温に戻した後、碁盤目試験法(JIS K5600−4−6)に準じて、1mm間隔の100マスを作成し、粘着テープを用いて、剥離するマス数を測定し、その剥離割合から、以下の基準に準じて、密着性を評価した。
◎:1%以下の値である。
○:5%以下の値であって、かつ、上記範囲外である。
△:10%以下の値であって、かつ、上記範囲外である。
×:10%超の値である。
(6)比抵抗(評価6)
得られた導電性ペーストの比抵抗を測定した。すなわち、導電性ペーストを、ガラス板上に、ライン状(縦長40mm、横幅1mm、厚さ80μm)に、スクリーン印刷を用いて印刷し、さらに、160℃×30分の条件で、加熱硬化させた後に、2点間の抵抗を四端子法で測定し、比抵抗を算出し、以下の基準に準じて、評価した。得られた評価結果を、表1に示す。
◎:5×10-4Ohm・cm以下の値である。
○:1×10-2Ohm・cm以下の値であって、かつ、上記範囲外である。
△:1×10Ohm・cm以下の値であって、かつ、上記範囲外である。
×:1×10Ohm・cm超の値である。
(7)シールド特性(評価7)
厚さ8mmのガラス板上に、耐熱性ポリエステルフィルム(縦長300mm×横幅200mm×厚さ120μm)を仮止めした状態で、その上に、スペーサ及びコーティングロッドを用いて、長方形フィルム状物(縦長200mm×横幅150mm×厚さ80μm)に印刷した後、160℃、60分の条件で、加熱硬化させた。
次いで、長方形フィルム状物から、長形状物(縦長140mm×横幅120mm)を切り出し、シールド特性用試験片とした。
次いで、KEC法に準拠して、シールド測定装置N9000A(アジレントテクノロジー社製)を用い、周波数100KHz〜1GHzの範囲で、シールド特性を測定した。測定した値は、下式にて計算し、シールド性能(SE)としてグラフ化し、周波数500MHzにおけるシールド性能を以下の基準に準じて評価した。
得られた評価結果を、表1に示す。なお、図9に、実施例1におけるシールド特性チャートを示す。
SE=−20log(E/E
:入射電界(V/m)
:透過電界(V/m)
◎:70dB以上の値である。
○:50dB以上の値であって、かつ、上記範囲外である。
△:20dB以上の値であって、かつ、上記範囲外である。
×:20dB未満の値である。
(8)銀粉積層体構造(評価8)
上記評価5で、密着性測定に用いたサンプルを、カットサンプル作成用のエポキシ樹脂中に埋設させた状態で硬化させた。
次いで、ダイヤモンドカッターで切断し、その切断表面を研磨した後、導電層の断面の電子顕微鏡写真を観察し、それから、下記基準に準じて、銀粉積層体構造の形成性の判断を行った。
◎:銀粉積層体構造が、顕著に形成されている。
○:薄片状銀粉の水平性が一部乏しいものの、銀粉積層体構造が明白に形成されている。
△:薄片状銀粉の水平性が一部乏しいものの、銀粉積層体構造が一部形成されている。
×:薄片状銀粉の水平性が乏しく、銀粉積層体構造が形成されていない。
[実施例2〜5]
実施例2〜5では、表1に示すように、薄片状銀粉(a1−1)及び非薄片状銀粉(a2−1)の配合量を、37g/13g(実施例2)、32.5g/17.5g(実施例3)、31g/18g(実施例4)、24g/26g(実施例5)とした以外は、実施例1と同様に導電性ペーストを作成して、シールド特性等を同様に測定した。それぞれ得られた評価結果を、表1に示す。
[比較例1〜3]
比較例1〜3では、表1に示すように、薄片状銀粉(a1−1)及び非薄片状銀粉(a2−1)の配合量を、0g/50g(比較例1)、15g/35g(比較例2)、45g/5g(比較例3)とした以外は、実施例1と同様に導電性ペーストを作成して、シールド特性等を同様に測定した。それぞれ得られた評価結果を、表1に示す。
なお、図10に、比較例1におけるシールド特性チャートを示す。

注1:R1中の固形分換算(g)
注2:R1中の溶剤分と三本ロール通過後に加えた溶剤の合計重量(g)
評価1:粘度
評価2:チキソ係数
評価3:密度
評価4:塗布性
評価5:密着性
評価6:比抵抗
評価7:シールド特性
評価8:銀粉積層体構造
[実施例6〜8]
実施例6〜8では、実施例1における第2水溶液を準備する際に、硝酸の配合量等を変化させ、薄片状銀粉の嵩密度や平均粒径に対する影響を検討した。
すなわち、実施例6では、硝酸を第1水溶液に1.4g及び第2水溶液に0.6g配合し、有機酸(クエン酸一水和物)0.02g及びL−アスコルビン酸4gを、第2水溶液に配合するとともに、反応温度を30℃として、薄片状銀粉(a1−2、平均粒径:26.5μm、平均厚さ:0.1μm、嵩密度:1.3g/cm3)を得た以外は、実施例1と同様に導電性ペーストを製造して、評価した。
また、実施例7では、硝酸2g、有機酸(クエン酸一水和物)0.04g及びL−アスコルビン酸4gを、それぞれ第2水溶液に配合するとともに、反応温度を20℃として、薄片状銀粉(a1−3、平均粒径:25.3μm、平均厚さ:0.1μm、嵩密度:1.0g/cm3)を得た。
また、粒径と嵩密度の異なる薄片状銀粉として、硝酸1.8g、有機酸(クエン酸一水和物)0.01g及びL-アスコルビン酸4gを第2水溶液に配合すると共に、硝酸0.3g及びアミン化合物(ジエタノールアミン)0.6gを第1水溶液に配合し、さらに反応温度を35℃として、薄片状銀粉(a1−4、平均粒径:5.0μm、平均厚さ:0.08μm、嵩密度:2.3g/cm3)を得た。それ以外は、実施例1と同様に導電性ペーストを製造して、評価した。
また、実施例8では、硝酸2g、有機酸(クエン酸一水和物)0.01g及びL−アスコルビン酸4gを第2水溶液のみに配合するとともに、アンモニア水(濃度28重量%品)0.06gを第1水溶液のみに配合し、さらに反応温度を20℃として、薄片状銀粉(a1−5、平均粒径:6.9μm、平均厚さ:0.08μm、嵩密度:1.3g/cm3)を得た以外は、実施例1と同様に導電性ペーストを製造して、評価した。
それぞれ得られた評価結果を、表2に示す。
[実施例9〜10]
実施例9〜10では、表2に示すように、導電性ペーストにおけるバインダー樹脂の種類を、実施例1のR1から、それぞれ、下記R2(実施例9)及びR3(実施例10)とした以外は、実施例1と同様に導電性ペーストを作成して、シールド特性等を同様に測定した。それぞれ得られた評価結果を、表2に示す。
(R2)
エポキシ樹脂:EPICLON830−S 17.5g
反応性希釈剤:ブチルフェニルグリシジルエーテル 5.0g
硬化剤 :2P4MHZ−PW 2.5g
ポリエステル樹脂溶液(BC1): 20.0g
溶剤(c1) : 3.0g
(R3)
エポキシ樹脂:EPICLON830−S 17.5g
反応性希釈剤:ブチルフェニルグリシジルエーテル 5.0g
硬化剤 :2P4MHZ−PW 2.5g
ウレタンアクリル樹脂溶液(BC2): 20.0g
溶剤(c1) : 3.0g

以上説明したように、本発明によれば、銀粉として、所定の薄片状銀粉と、所定の非薄片状銀粉と、を併用し、かつ、バインダー樹脂や溶剤をさらに含むことによって、フィルム状に加工しやすくするとともに、水平配向した薄片状銀粉の上下方向等の間隙に、非薄片状銀粉が入りこんでなる銀粉積層構造体を形成し、さらには、立体的な電子基板等の表面に沿って、良好に追従することから、これら銀粉の合計配合量が、比較的少量(例えば、全体量の50重量%以下)であっても、良好なシールド特性が得られるようになった。
そして、薄片状銀粉の製造条件を調整し、薄片状銀粉の縁に、切り欠けを設けて、ギザギザ状としたり、薄片状銀粉の表面に複数の微小突起を設けたりすることによって、変形させた薄片状銀粉を用いることによって、さらに、嵩密度の値を極端に低下させることができるようになった。
したがって、本発明の導電性ペースト、及びそのような導電性ペーストを用いた電磁波シールド部材であれば、各種電気製品、電子部品、自動車製品等の導電接着剤用途やアース、シールド用途において、それぞれ好適に使用することが期待される。
10:電子機器、18:導電層、20:電子基板、22:電子素子

Claims (8)

  1. (A)銀粉と、(B)バインダー樹脂と、(C)溶剤と、を含み、電子素子が搭載された電子基板上に、導電層を形成して、所定のシールド特性を発揮する導電性ペーストであって、
    前記(A)銀粉が、
    (a1)平面視した場合に、円相当径としての平均粒径が5〜30μmの範囲内の値であるとともに、厚さが0.01〜2μmの範囲内の値である薄片状銀粉と、
    (a2)平均粒径が1〜5μmの範囲内の値であるとともに、嵩密度が0.3〜3g/cm3の範囲内の値である非薄片状銀粉と、を含み、
    さらに、前記(A)銀粉の配合量を、前記(B)バインダー樹脂100重量部に対して、40〜240重量部の範囲内の値とし、
    かつ、前記導電層を形成した場合に、水平配向した、複数の(a1)薄片状銀粉の上下方向の間隙に、前記(a2)非薄片状銀粉が入りこんでなる銀粉積層構造体を形成することを特徴とする導電性ペースト。
  2. 前記(a1)薄片状銀粉を平面視した場合の形状を円形又は楕円形とすることを特徴とする請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 前記(a2)非薄片状銀粉が、毬栗状銀粉及び球状銀粉、あるいはいずれか一方であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ペースト。
  4. 前記(a1)薄片状銀粉と、前記(a2)非薄片状銀粉と、の配合比率(重量比)を80:20〜40:60の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  5. 前記(B)バインダー樹脂を、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、及びウレタンアクリル樹脂の少なくとも一つの樹脂とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  6. 前記(C)溶剤の溶解度パラメータ(SP値)を8.0〜11.0の範囲内の値とするとともに、沸点を70〜180℃の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  7. 前記導電性ペーストの硬化物(銀粉の配合量:60重量%)の比抵抗を1×10Ohm・cm以下の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電性ペーストを、フィルム状としてなることを特徴とする電磁波シールド部材。
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