以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の一方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(鉛直方向)をZ軸方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る放射性廃棄物固化装置SEの一例を示す概略構成図である。放射性廃棄物固化装置SEは、固化材SMを使って、原子力発電プラントにおいて発生した放射性廃棄物RWを固化(固型化)する。原子力発電プラントの原子炉は、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)及び沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)の少なくとも一方を含む。
図1に示すように、放射性廃棄物固化装置SEは、ドラム缶のような処分容器DCに放射性廃棄物RWを供給する第1供給装置1と、処分容器DCに固化材SMを供給する第2供給装置2と、処分容器DCに水WTを供給する第3供給装置3と、処分容器DCのガスGAを排出する排気装置4と、処分容器DCに供給された放射性廃棄物RWと固化材SMと水WTとを攪拌する攪拌機5と、処分容器DCを搬送する搬送装置6と、攪拌機5を洗浄する洗浄装置7とを備えている。放射性廃棄物固化装置SEは、チャンバ装置CHに収容される。
本実施形態において、放射性廃棄物固化装置SEは、固化材SMにセメントを用いるセメント固化法によって放射性廃棄物RWを固化する。すなわち、放射性廃棄物固化装置SEは、セメント固化装置を含む。なお、放射性廃棄物固化装置SEは、固化材SMにアスファルトを用いるアスファルト固化法、及び固化材SMにプラスチックを用いるプラスチック固化法の少なくとも一方の固化処理法で放射性廃棄物RWを固化してもよい。
本実施形態において、放射性廃棄物固化装置SEは、インドラムミキシング法で、放射性廃棄物固化装置SEが固化された固化体を製造する。インドラムミキシング法とは、処分容器DCに攪拌機5を挿入し、その処分容器DCの内部で放射性廃棄物RWと固化材SMと水WTとを攪拌して固化する方法をいう。
搬送装置6は、攪拌機5が配置された処理部(処理ステーション)PUに処分容器DCを搬送する。第1供給装置1は、処理部PUに配置された処分容器DCに放射性廃棄物RWを供給する。第2供給装置2は、処理部PUに配置された処分容器DCに固化材SMを供給する。第3供給装置3は、処理部PUに配置された処分容器DCに水WTを供給する。攪拌機5は、処理部PUにおいて処分容器DCの内部に供給された放射性廃棄物RWと固化材SMと水WTとを攪拌する。
放射性廃棄物固化装置SEは、処理部PUに配置されたスプラッシュガードと呼ばれるカバー部材8を有する。処分容器DCは、上端部に開口を有する。処分容器DCの開口がカバー部材8で覆われた状態で、その処分容器DCの開口を介して、放射性廃棄物RW、固化材SM、及び水WTが処分容器DCの内部に供給される。処分容器DCの開口がカバー部材8に覆われた状態で、処分容器DCの内部に供給された放射性廃棄物RWと固化材SMと水WTとが攪拌機5によって攪拌される。
第1供給装置1は、処理部PUの処分容器DCに放射性廃棄物RWを供給する。インドラムミキシング法は、主に、粉体状の放射性廃棄物RW又は液体状の放射性廃棄物RWを固化対象とする。本実施形態においては、粉体状の放射性廃棄物RWが処理部PUの処分容器DCに供給される。例えば、乾燥処理等によって放射性濃縮廃液から粉体状の放射性廃棄物RWが生成され、その放射性廃棄物RWが処分容器DCに供給される。以下の説明においては、粉体状の放射性廃棄物RWを適宜、乾燥粉体RW、と称する。
なお、処理部PUの処分容器DCに供給される放射性廃棄物RWは、乾燥粉体RWに限定されない。処理部PUの処分容器DCに供給される放射性廃棄物RWは、液体状又は固体状でもよい。
第1供給装置1は、乾燥粉体RWを収容する粉体ホッパ11と、粉体ホッパ11からの乾燥粉体RWを計量して送出する粉体計量ホッパを含む計量装置12と、粉体ホッパ11の乾燥粉体RWを計量装置12に搬送する搬送装置13と、計量装置12から処分容器DCに供給される乾燥粉体RWが通る第1供給配管14とを備えている。搬送装置13は、粉体ホッパ排出機13A及び粉体供給スクリューフィーダ13Bを含む。
第2供給装置2は、処理部PUの処分容器DCに固化材SMを供給する。第2供給装置2は、固化材SMとしてセメントを供給する。第2供給装置2は、真空移送装置21と、真空移送装置21からの固化材SMを計量して送出する計量供給ホッパを含む計量装置22と、計量装置22から処分容器DCに供給される固化材SMが通る第2供給配管24と、第2供給配管24に設けられたバルブ機構23とを備えている。
第3供給装置3は、処理部PUの処分容器DCに水WTを供給する。第3供給装置3は、水供給源からの水WTを計量して送出する水計量タンクを含む計量装置31と、計量装置31から処分容器DCに供給される水WTが通る第3供給配管34と、第3供給配管34に設けられたバルブ機構33とを備えている。
排気装置4は、処理部PUの処分容器DCのガスGAを排出する。排気装置4は、処分容器DCからのガスGAが通る排出配管44と、排出配管44に配置されたフィルタ装置41とを備えている。
攪拌機5は、処分容器DCの内部に供給された乾燥粉体RWと固化材SMと水WTとを攪拌する。攪拌機5は、パドル51と、パドル51を駆動するアクチュエータ52とを有する。本実施形態において、攪拌機5は、カバー部材8に支持される。
搬送装置6は、処分容器DCを搬送する。処分容器DCは、ドラム缶を含み、上端部に開口を有する。搬送装置6は、搬送台車を含む。搬送装置6は、処理部PUに処分容器DCを搬入し、処理部PUから処分容器DCを搬出する。本実施形態において、チャンバ装置CHの外部に交換部(交換ステーション)TUが設けられる。
交換部TUは、搬送コンベア70と、処分容器DCの上端部の開口を覆うように処分容器DCにキャップ部材を取り付けるキャッピング装置71とを含む。処分容器DCは、交換部TUの搬送コンベア70で搬送される。処分容器DCは、交換部TUにおいて待機する。
搬送装置6は、チャンバ装置CHの外部の交換部TUとチャンバ装置CHの内部の処理部PUとの間を移動可能である。本実施形態において、チャンバ装置CHの一部に搬送口9が形成されている。搬送装置6は、搬送口9を介して、チャンバ装置CHの外部と内部との間を移動可能である。放射性廃棄物固化装置SEは、搬送口9を開閉する遮蔽扉10を有する。搬送装置6が搬送口9を通過するとき、遮蔽扉10が作動して、搬送口9が開く。搬送装置6が搬送口9を通過しないとき、遮蔽扉10により搬送口9が閉じる。
搬送装置6は、処分容器DCを支持する支持台61と、支持台61を昇降可能な昇降装置62と、支持台61及び昇降装置62を支持して移動可能な走行装置63とを含む。走行装置63は、車輪を含み、自走可能である。
交換部TUにおいて処理前の処分容器DCが搬送装置6の支持台61に載せられる。処理前の処分容器DCは、新規の(空の)処分容器DCを含む。処理前の処分容器DCを載せた搬送装置6は、交換部TUから搬送口9を介して処理部PUに移動する。
本実施形態において、処理前の処分容器DCは、搬送台車72及び乗換コンベア73を介して、交換部TUに搬送される。
処理部PUに移動した搬送装置6は、昇降装置62を使って、カバー部材8と処分容器DCの上端部とが接触するように、支持台61に支持されている処分容器DCを上昇する。これにより、処分容器DCの上端部の開口がカバー部材8で覆われる。
カバー部材8と処分容器DCの上端部とが接触した状態で、第1供給配管14、第2供給配管24、及び第3供給配管34のそれぞれから、乾燥粉体RW、固化材SM、及び水WTのそれぞれが処分容器DCに供給される。乾燥粉体RW、固化材SM、及び水WTは、処分容器DCの上端部の開口を介して、処分容器DCの内部に供給される。攪拌機5のパドル51は、処分容器DCの上端部の開口を介して、処分容器DCの内部に挿入される。アクチュエータ52の作動により、処分容器DCの内部に供給された乾燥粉体RWと固化材SMと水WTとがパドル51によって攪拌される。
攪拌機5による攪拌が終了すると、搬送装置6は、その処理後の処分容器DCを支持した支持台61を、昇降装置62によって下降させる。処理後の処分容器DCは、攪拌後の乾燥粉体RWと固化材SMと水WTとを収容した処分容器DCを含む。処理後の処分容器DCを載せた搬送装置6は、処理部PUから交換部TUに移動する。
交換部TUに移動した処理後の処分容器DCに対して、キャッピング装置71によりキャップ部材が取り付けられる。キャップ部材が取り付けられた処理後の処分容器DCは、乗換コンベア73を介して搬送台車72に送られる。処理後の処分容器DCは、搬送台車72により、次の工程に搬送される。
洗浄装置7は、攪拌機5を洗浄する。洗浄装置7は、攪拌機5による攪拌処理が実行されないとき、処理部PUに移動して、攪拌機5を洗浄する。攪拌機5による攪拌処理とは、処理部PUにおいて処分容器DCの内部に供給された乾燥粉体RWと固化材SMと水WTとを攪拌機5で攪拌する処理をいう。
図2は、本実施形態に係る放射性廃棄物固化装置SEの一部を示す断面図である。図2に示すように、放射性廃棄物固化装置SEは、乾燥粉体RWを供給するための第1供給配管14と、固化材SMを供給するための第2供給配管24と、水WTを供給するための第3供給配管34と、ガスGAを排出するための排出配管44とを有する。
第1供給配管14は、処分容器DCに供給される乾燥粉体RWが通る第1供給通路15と、第1供給通路15の下端部に設けられた第1開口16とを有する。第2供給配管24は、処分容器DCに供給される固化材SMが通る第2供給通路25と、第2供給通路25の下端部に設けられた第2開口26とを有する。第3供給配管34は、処分容器DCに供給される水WTが通る第3供給通路35と、第3供給通路35の下端部に設けられた第3開口36とを有する。排出配管44は、処分容器DCからのガスGAが通る排出通路45と、排出通路44の下端部に設けられた開口46とを有する。
放射性廃棄物固化装置SEは、処理部PUに配置され、処分容器DCの上端部の開口を覆うカバー部材8を備えている。処分容器DCの上端部の開口がカバー部材8に覆われた状態で、その処分容器DCの内部に、処分容器DCの上端部の開口を介して、乾燥粉体RW、固化材SM、及び水WTが供給される。
放射性廃棄物固化装置SEは、処理部PUに配置され、処分容器DCに供給された乾燥粉体RWと固化材SMと水WTとを攪拌する攪拌機5を備えている。攪拌機5は、少なくとも一部が処分容器DCの内部に配置されるパドル51と、パドル51を駆動するアクチュエータ52とを有する。アクチュエータ52は、回転モータを含み、パドル51を回転可能である。攪拌機5は、カバー部材8に支持される。処分容器DCの上端部の開口がカバー部材8に覆われた状態で、処分容器DCの内部に供給された乾燥粉体RWと固化材SMと水WTとが攪拌機5によって攪拌される。
本実施形態において、放射性廃棄物固化装置SEは、第1開口16と接続される弁80を備えている。弁80は、ケーシング81と、ケーシング81の内部に配置される弁体82と、弁体82を移動する移動装置90とを備えている。
ケーシング81は、筒状の部材である。ケーシング81の中心軸AXは、水平面(XY平面)に対して傾斜する。ケーシング81は、中心軸AXの周囲に配置された筒部83と、筒部83の一部に設けられ、乾燥粉体RWが通る第1供給通路15の下端部の第1開口16と接続される流入口84と、筒部83の下端部に設けられた流出口85とを有する。
弁体82は、ケーシング81(筒部83)の内部に配置される。弁体82は、中心軸AXと平行な方向に移動可能である。弁体82は、流出口85に配置されることにより、流出口85を閉じることができる。弁体82は、流出口85から退くように移動することにより、流出口85を開けることができる。図2は、弁体82により流出口85が閉じられている状態を示す。
処分容器DCは、搬送装置6の支持台61に支持される。処理部PUにおいて、処分容器DCの上端部とカバー部材8とが接触するように、搬送装置6により処分容器DCの位置が調整される。本実施形態においては、処分容器DCの上端部の開口がカバー部材8で覆われるように、処分容器DCの上端部とカバー部材8とが接触する。カバー部材8の下端部に開口が形成されている。カバー部材8の下端部の開口と処分容器DCの上端部の開口とが結ばれるように、処分容器DCとカバー部材8とが接続される。
第1供給通路15を通った乾燥粉体RWは、第1開口16及び流入口84を介して、筒部83の内部に供給される。本実施形態において、流出口85は、カバー部材8に配置されている。流入口84から筒部83の内部に供給された乾燥粉体RWは、流出口85から流出する。流出口85から流出した乾燥粉体RWは、カバー部材8の下端部の開口、及び処分容器DCの上端部の開口を介して、処分容器DCの内部に供給される。
本実施形態において、第2供給配管24は、第1供給配管14と合流する。第1供給配管14は、第2供給配管24の第2開口26と接続される受入口17を有する。第2供給通路25を通った固化材SMは、第2開口26及び受入口17を介して、第1供給通路15に供給される。第1供給通路15を通った固化材SMは、第1開口16及び流入口84を介して、筒部83の内部に供給される。流入口84から筒部83の内部に供給された固化材SMは、流出口85から流出する。流出口85から流出した固化材SMは、カバー部材8の下端部の開口、及び処分容器DCの上端部の開口を介して、処分容器DCの内部に供給される。
本実施形態において、第3供給配管34の第3開口36は、カバー部材8に配置されている。第3供給通路35を通った水WTは、第3開口36から流出する。第3開口36から流出した水WTは、カバー部材8の下端部の開口、及び処分容器DCの上端部の開口を介して、処分容器DCの内部に供給される。
攪拌機5のパドル51は、処分容器DCの上端部の開口を介して、処分容器DCの内部に挿入される。アクチュエータ52の作動により、処分容器DCの内部に供給された乾燥粉体RWと固化材SMと水WTとが攪拌機5によって攪拌される。
本実施形態において、排出配管44の開口46は、カバー部材8に設けられている。処分容器DCの内部のガスGAは、開口46から排出され、排出通路45を流れる。
次に、図3から図6を参照して、弁体82の動作の一例について説明する。弁体82は、移動装置90によって動く。
弁体82は、中心軸AXと平行な方向に関して流入口84の一端部(下端部)84Aよりも外側(下側)の第1位置PJ1に移動可能である。弁体82は、中心軸AXと平行な方向に関して流入口84の他端部(上端部)84Bよりも外側(上側)の第2位置PJ2に移動可能である。弁体82は、移動装置90により、第1位置PJ1と第2位置PJ2との間を移動可能である。弁体82の移動可能範囲は、第1位置PJ1と第2位置PJ2との間の範囲である。弁体82の移動可能距離は、中心軸AXと平行な方向に関して第1位置PJ1と第2位置PJ2との距離である。
図3は、第1位置PJ1に弁体82が配置されている状態の一例を示す図である。図3に示すように、移動装置90は、第1位置PJ1において、弁体82の外面とケーシング81(筒部83)の内面とが接触して弁体82により流出口85が閉じられるように、弁体82を動かす。これにより、第1位置PJ1に配置された弁体82によって流出口85が閉じられる。
図4は、第1位置PJ1から第2位置PJ2に弁体82が移動している状態の一例を示す図である。図4に示すように、移動装置90は、第1位置PJ1から第2位置PJ2への移動において、弁体82の外面と流入口84よりも下方のケーシング81の内面の所定領域86とが離れるように、弁体82を動かす。これにより、第1位置PJ1から第2位置PJ2への移動において、弁体82の下端部と所定領域86との間に間隙が形成される。所定領域86は、流入口84よりも下方であって、流入口84と対向するケーシング81の内面の一部の領域を含む。所定領域86は、ケーシング81の内部における底面を含む。
本実施形態において、移動装置90は、第1位置PJ1から第2位置PJ2への移動において、中心軸AXと直交する所定軸BXまわりの弁体82の位置を変化させる。弁体82は、所定軸BXまわりに回転(傾斜)しながら、第1位置PJ1から第2位置PJ2に移動する。第1位置PJ1から第2位置PJ2への移動において、弁体82の上端部が弁体82の下端部よりも第2位置PJ2の近くに配置されるように、弁体82が所定軸BXまわりに傾斜する。
図5は、第2位置PJ2に弁体82が配置されている状態の一例を示す図である。図5に示すように、移動装置90は、第2位置PJ2において、弁体82の外面とケーシング81(筒部83)の内面とが接触するように、弁体82を動かす。
図6は、第2位置PJ2から第1位置PJ1に弁体82が移動している状態の一例を示す図である。図6に示すように、移動装置90は、第2位置PJ2から第1位置PJ1への移動において、弁体82の外面とケーシング81の内面の所定領域86とが接触するように、弁体82を動かす。これにより、第1位置PJ1から第2位置PJ2への移動において、所定領域86が弁体82の下端部に擦られる。
本実施形態において、移動装置90は、第2位置PJ2から第1位置PJ1への移動において、所定軸BXまわりの弁体82の位置を固定する。これにより、弁体82の下端部とケーシング81の内面の所定領域86とが接触しながら、弁体82が第1位置PJ1へ移動する。
図7は、本実施形態に係る移動装置90の一例を示す図である。移動装置90は、弁体82と接続される第1ロッド部材91と、第1ロッド部材91に設けられた第1フランジ部92及び第2フランジ部93と、少なくとも一部が第1フランジ部92と第2フランジ部93との間において第1ロッド部材91を囲むように配置された支持部材94と、弁体82及び支持部材94のそれぞれと接続される第2ロッド部材95と、中心軸AXと平行な方向に支持部材94を移動可能なアクチュエータ96と、第2位置PJ2に配置されたストッパ部材97と、支持部材94をガイドするガイド装置98と、支持部材94と第1ロッド部材91との間に配置されるOリング99と、支持部材94と第1ロッド部材91との間に配置されるブッシュ100とを有する。
第1ロッド部材91は、第1先端部91Aと第1基端部91Bとを有する。第1先端部91Aは、弁体82の第1部分82Aと接続される。弁体82の第1部分82Aは、中心軸AXよりも下側(所定領域86側)に設けられる。第1ロッド部材91の第1先端部91Aと弁体82の第1部分82Aとは第1軸J1を中心に相対回転可能に接続される。第1軸J1は、中心軸AXと直交する。
第1フランジ部(第1ストッパ部)92は、第1ロッド部材91に設けられる。第2フランジ部(第2ストッパ部)93は、第1フランジ部92よりも第1基端部91B側において第1ロッド部材91に設けられる。
支持部材94は、第1フランジ部92と第2フランジ部93との間において第1ロッド部材91を囲むように配置される。中心軸AXと平行な方向に関する支持部材94の寸法は、第1フランジ部92と第2フランジ部93との距離よりも小さい。中心軸AXと平行な方向に関して、支持部材94と第1ロッド部材91とは相対移動可能である。
第2ロッド部材95は、第2先端部95Aと第2基端部95Bとを有する。第2先端部95Aは、弁体82の第2部分82Bと接続される。弁体82の第2部分82Bは、第1部分82Aよりも所定領域86から離れている。弁体82の第2部分82Bは、中心軸AXよりも上側に設けられる。第2ロッド部材95の第2先端部95Aと弁体82の第2部分82Bとは第2軸J2を中心に相対回転可能に接続される。第2軸J2は、第1軸J1と平行である。
第2基端部95Bは、支持部材94と接続される。第2ロッド部材95の第2基端部95Bと支持部材94とは第3軸J3を中心に相対回転可能に接続される。第3軸J3は、第1軸J1及び第2軸J2と平行である。
アクチュエータ96は、直動シリンダを含み、中心軸AXと平行な方向に支持部材94を移動可能である。ガイド装置98は、中心軸AXと平行な方向に関する支持部材94の移動をガイドする。
ストッパ部材97は、第2位置PJ2において弁体82の第3部分82Cと接触するように設けられている。弁体82の第3部分82Cは、第2部分82Bよりも所定領域86から離れた部分である。すなわち、第3部分82Cは、第1部分82A及び第2部分82Bよりも弁体82の上端部に近い部分である。
図7は、弁体82が第1位置PJ1に配置されている状態を示す。アクチュエータ96により、第1位置PJ1及び第2位置PJ2から離れるように矢印C1方向に支持部材94が移動すると、支持部材94の下端面94Aが第1フランジ部92から離れる。第1ロッド部材91と支持部材94とは、中心軸AXと平行な方向に相対移動可能であり、支持部材94が矢印C1方向に移動すると、支持部材94と一緒に第2ロッド部材95が矢印C1方向に移動する。これにより、弁体82は所定軸BXまわりの一方向に傾斜(回転)する。
さらに矢印C1方向に支持部材94が移動すると、支持部材94の上端面94Bが第2フランジ部93と接触する。支持部材94の上端面94Bと第2フランジ部93とが接触した状態で、さらに矢印C1方向に支持部材94が移動すると、支持部材94と一緒に第1ロッド部材91が矢印C1方向に移動する。これにより、弁体82は所定軸BXまわりに傾斜した状態で、第1位置PJ1から第2位置PJ2に移動する。
さらに矢印C1方向に支持部材94が移動すると、第3部分82Cを含む弁体82の少なくとも一部は、第2位置PJ2に到達する。第1部分82A、第2部分82B、及び第3部分82Cのうち、第3部分82Cが第2位置PJ2に最も先に到達する。第2部分PJ2にはストッパ部材97が配置されており、ストッパ部材97と第3部分82Cとが接触する。ストッパ部材97と第3部分82Cとが接触した状態で、さらに矢印C1方向に支持部材94が移動すると、弁体82は所定軸BXまわりの逆方向に傾斜(回転)する。これにより、第2位置PJ2において、弁体82の外面とケーシング81の内面とが接触する。
アクチュエータ96により、第1位置PJ1及び第2位置PJ2に近づくように矢印C2方向に支持部材94が移動すると、支持部材94の上端面94Bが第2フランジ部93から離れる。矢印C2方向への支持部材94の移動により、弁体82の第2部分82Bは、第2ロッド部材95に押されながら、矢印C2方向に移動する。また、矢印C2方向への支持部材94が移動すると、支持部材94の下端面94Aと第1フランジ部92とが接触する。支持部材94の下端面94Aと第1フランジ部92とが接触した状態で、支持部材94が矢印C2方向に移動すると、弁体82の第1部分82Aは、第1ロッド部材91に押されながら、矢印C2方向に移動する。これにより、弁体82は、所定軸BXまわりの位置を固定された状態で、第2位置PJ2から第1位置PJ1に移動する。
次に、本実施形態に係る放射性廃棄物固化装置SEの動作の一例について説明する。図2に示したように、処理部PUにおいて、カバー部材8と処分容器DCとが接続される。第3供給装置3から処分容器DCに水WTが供給される。第3供給装置3は、計量装置31で計量された所定量の水WTを処分容器DCに対して一度に供給する。第3供給通路35を通った水WTは、第3開口36を介して、処分容器DCに供給される。
また、弁体82が第2位置PJ2に配置された状態で(流出口85が開いた状態で)、第1供給装置1から処分容器DCに乾燥粉体RWが供給され、第2供給装置2から処分容器DCに固化材SMが供給される。第1供給装置1は、計量装置12で計量された所定量の乾燥粉体RWを処分容器DCに対して一度に供給する。第2供給装置2は、計量装置22で計量された所定量の固化材SMを処分容器DCに対して一度に供給する。第1供給通路15を通った乾燥粉体RWは、流入口84及び筒部83の内部を通った後、流出口85を介して、処分容器DCに供給される。第2供給通路25及び第1供給通路15を通った固化材SMは、流入口84及び筒部83の内部を通った後、流出口85を介して、処分容器DCに供給される。
なお、第1供給装置1から処分容器DCに対して一度に供給される乾燥粉体RWの量と、第2供給装置2から処分容器DCに対して一度に供給される固化材SMの量と、第3供給装置3から処分容器DCに対して一度に供給される水WTの量との和は、処分容器DCの容積よりも小さい。
乾燥粉体RW、固化材SM、及び水WTが処分容器DCに供給された後、攪拌機5により、処分容器DCの内部の乾燥粉体RWと固化材SMと水WTとが攪拌される。
また、処分容器DCに対する乾燥粉体RW及び固化材SMの供給が終了した後、弁体82が第1位置PJ1に配置される。これにより弁体82で流出口85が閉じられる。
弁体82によって流出口85が閉じられることにより、例えば、攪拌機5を用いる攪拌処理において、流出口85から乾燥粉体RW及び固化材SMがこぼれ落ちることが抑制される。本実施形態においては、計量された所定量の乾燥粉体RW及び固化材SMが、処分容器DCに対して一度に供給される。乾燥粉体RWの供給後においても、第1供給通路15及び筒部83の内部の少なくとも一部に乾燥粉体RWが残留する可能性がある。また、固化材SMの供給後においても、第2供給通路25、第1供給通路15、及び筒部83の内部の少なくとも一部に固化材SMが残留する可能性がある。本実施形態においては、乾燥粉体RW及び固化材SMの供給後、弁体82によって流出口85が閉じられることにより、その残留した乾燥粉体RW及び固化材SMの少なくとも一方が流出口85からこぼれ落ちることが抑制される。
図8は、弁体82により流出口85から乾燥粉体RW及び固化材SMがこぼれ落ちることが抑制されている状態の一例を模式的に示す図である。図8に示すように、弁体82によって流出口85が閉じられているため、第1供給通路15及び筒部83の内部の少なくとも一部に乾燥粉体RWが残留していたり、第2供給通路25、第1供給通路15、及び筒部83の内部の少なくとも一部に固化材SMが残留していたりしても、その残留した乾燥粉体RW及び固化材SMは、弁体82によりせき止められる。これにより、乾燥粉体RW及び固化材SMが流出口85からこぼれ落ちることが抑制される。
弁体82は、処分容器DCに対する乾燥粉体RW及び固化材SMの供給が終了してから、次の処分容器DCに対する乾燥粉体RW及び固化材SMの供給が開始されるまで、第1位置PJ1に配置され続ける(流出口85を閉じ続ける)。
攪拌機5による攪拌が終了した後、処理後の処分容器DCが搬送装置6によって処理部PUから搬出される。また、処理前の処分容器DCが搬送装置6によって処理部PUに搬入される。処理部PUに搬送された処理前の処分容器DCは、カバー部材8と接続される。
処理前の処分容器DCとカバー部材8とが接続された後、その処分容器DCに対して第3供給装置3から水WTが供給される。また、処分容器DCに対して乾燥粉体RW及び固化材SMを供給するために、弁体82が第1位置PJ1から第2位置PJ2に移動する。
図9は、第1位置PJ1から第2位置PJ2に弁体82が移動する状態の一例を示す図である。第1位置PJ1から第2位置PJ2への弁体82の移動において、弁体82の外面とケーシング81の内面の所定領域86とが離れるように弁体82が動く。そのため、弁体82によってせき止められていた乾燥粉体RW及び固化材SMは、弁体82の外面とケーシング81の内面の所定領域86との間の間隙を流出口85に向かって移動し、流出口85を介して処分容器DCに供給される。流出口85は、所定領域86よりも下方に配置されている。所定領域86に溜まっていた乾燥粉体RW及び固化材SMは、重力作用により、流出口85に向かって移動する。また、本実施形態においては、第1位置PJ1から第2位置PJ2への移動において、弁体82の上端部が弁体82の下端部よりも第2位置PJ2の近くに配置されるように、弁体82が所定軸BXまわりに傾斜する。これにより、弁体82にせき止められていた乾燥粉体RW及び固化材SMは、弁体82の外面とケーシング81の内面の所定領域86との間の間隙から、流出口85に向かって移動する。
第1位置PJ1から第2位置PJ2に弁体82が移動し、流出口85が開いた状態で、第1供給装置1から処分容器DCに乾燥粉体RWが供給され、第2供給装置2から処分容器DCに固化材SMが供給される。乾燥粉体RW及び固化材SMの供給後、弁体82は、第2位置PJ2から第1位置PJ1に移動する。
図10は、第2位置PJ2から第1位置PJ1に弁体82が移動する状態の一例を示す図である。弁体82は、弁体82の外面とケーシング81の内面の所定領域86とを接触させながら、第2位置PJ2から第1位置PJ1へ移動する。これにより、所定領域86に乾燥粉体RW及び固化材SMが残留していても、第2位置PJ2から第1位置PJ1に移動する弁体82によって、流出口85から押し出され、処分容器DCに供給される。
以下、上述と同様の処理が実行される。
以上説明したように、本実施形態によれば、ケーシング81の内部において第1位置PJ1と第2位置PJ2との間を移動可能な弁体82が設けられ、その弁体82が第1位置PJ1に配置されることによって流出口85が閉じられる。これにより、乾燥粉体RW及び固化材SMが流出口85からこぼれ落ちることが抑制される。また、第1位置PJ1から第2位置PJ2への移動において、弁体82の外面とケーシング81の内面の所定領域86とが離れるように、弁体82が所定軸BXまわりに傾斜することによって、弁体82によってせき止められていた乾燥粉体RW及び固化材SMは、弁体82の外面とケーシング81の内面の所定領域86との間に形成される間隙から排出され、重力作用により流出口85を介して処分容器DCに供給される。また、第2位置PJ2から第1位置PJ1への移動において、弁体82の外面とケーシング81の内面の所定領域86とが接触するように弁体82が移動することにより、所定領域86に乾燥粉体RW及び固化材SMが残留していても、その乾燥粉体RW及び固化材SMは弁体82によって掻き出され、流出口85から排出される。
このように、本実施形態においては、弁80に乾燥粉体RW及び固化材SMが長期間残留し続けることが抑制される。そのため、例えば、残留した乾燥粉体RW及び固化材SMが弁80に固着することが抑制される。したがって、弁80は、円滑に作動し続けることができる。
また、弁80が円滑に作動し続けることができるため、流出口85は円滑に開閉される。したがって、放射性廃棄物固化装置SEは、固化処理において、流出口85を開けて、処分容器DCに対する乾燥粉体RW及び固化材SMの供給を円滑に実行することができる。また、放射性廃棄物固化装置SEは、処分容器DCに対する乾燥粉体RW及び固化材SMの供給が終了してから、次の処分容器DCに対する乾燥粉体RW及び固化材SMの供給が開始されるまで、流出口85を閉じて、乾燥粉体RW及び固化材SMが流出口85からこぼれ落ちることを抑制する。そのため、放射性廃棄物固化装置SEは、固化処理を円滑に実施することができる。
また、移動装置90は、第2位置PJ2において弁体82の外面とケーシング81の内面とが接触するように弁体82を動かす。これにより、乾燥粉体RW及び固化材SMのような異物が移動装置90に侵入することが抑制される。
また、本実施形態においては、移動装置90は、第1位置PJ1から第2位置PJ2への移動において、所定軸BXまわりの弁体82の位置を変化させ、第2位置PJ2から第1位置PJ1への移動において、所定軸BXまわりの弁体82の位置を固定する。これにより、第1位置PJ1から第2位置PJ2の移動において、弁体82によってせき止められていた乾燥粉体RW及び固化材SMは、弁体82の外面とケーシング81の内面の所定領域86との間隙から円滑に排出される。また、所定領域86に乾燥粉体RW及び固化材SMが残留していても、第2位置PJ2から第1位置PJ1の移動において、弁体82によって掻き出される。
また、本実施形態においては、移動装置90は、第1ロッド部材91と支持部材94と第2ロッド部材95とを含むリンク機構を有する。これにより、アクチュエータ96によって中心軸AXと平行な方向に支持部材94を移動させるだけで、弁体82を所期の姿勢に動かすことができる。
また、本実施形態においては、第1供給配管14は、第2開口26と接続される受入口17を有し、第1供給配管14と第2供給配管24とは合流する。これにより、乾燥粉体RW及び固化材SMについて1つの弁80を設ければ済む。
なお、上述の実施形態においては、第1供給配管14と第2供給配管24とは合流するが、合流しなくてもよい。第1供給配管14の第1開口16と接続される第1の弁80と、第2供給配管24の第2開口26と接続される第2の弁80とが設けられてもよい。以下の実施形態においても同様である。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図11から図14を参照して、本実施形態に係る弁800について説明する。上述の第1実施形態においては、弁80の中心軸AXが水平面に対して傾斜する例につて説明した。本実施形態においては、弁800の中心軸AXが水平面に対して垂直である例について説明する。
弁800は、中心軸AXの周囲に配置された筒部830と、筒部830の一部に設けられ乾燥粉体RWが通る供給通路150の下端部の開口160と接続される流入口340と、筒部830の下端部に設けられた流出口850と、を有するケーシング810と、ケーシング810の内部に配置される弁体820と、中心軸AXと平行な方向に関して流入口340の一端部(下端部)よりも外側(下側)の第1位置PJ1と流入口340の他端部(上端部)よりも外側(上側)の第2位置PJ2との間で弁体820を移動可能な移動装置900とを備えている。なお、図11において、移動装置900は、簡略して図示する。
図11に示すように、移動装置900は、第1位置PJ1において、弁体820の外面とケーシング810の内面とが接触して弁体820により流出口850が閉じられるように、弁体820を動かす。
図12に示すように、移動装置900は、第1位置PJ1から第2位置PJ2への移動において、弁体820の外面と流入口340よりも下方のケーシング810の内面の所定領域860とが離れるように、弁体820を動かす。移動装置900は、第1位置PJ1から第2位置PJ2への移動において、中心軸AXと直交する所定軸BXまわりの弁体820の位置を変化させる。
図13に示すように、移動装置900は、第2位置PJ2において、弁体820の外面とケーシング810の内面とが接触するように、弁体820を動かす。
図14に示すように、移動装置900は、第2位置PJ2から第1位置PJ1への移動において、弁体820の外面とケーシング810の内面の所定領域860とが接触するように、弁体820を動かす。移動装置900は、第2位置PJ2から第1位置PJ1への移動において、所定軸BXまわりの弁体820の位置を固定する。
以上説明したように、本実施形態においても、処分容器DCに対する乾燥粉体RWの供給が終了してから、次の処分容器DCに対する乾燥粉体RWの供給が開始されるまで、流出口850を閉じる弁体820により、乾燥粉体RWがこぼれ落ちることが抑制される。また、弁体820の動きによって、弁800に乾燥粉体RWが長期間滞留し続けることが抑制される。