JP6317556B2 - リチウムイオン二次電池用セパレータ及びそれを用いてなるリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用セパレータ及びそれを用いてなるリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用セパレータ及びそれを用いてなるリチウムイオン二次電池に関する。
近年の携帯電子機器の普及及びその高性能化に伴い、高エネルギー密度を有する二次電池が望まれている。この種の電池として、有機電解液(非水電解液)を使用するリチウムイオン二次電池が注目されてきた。このリチウムイオン二次電池の平均電圧は、アルカリ二次電池の約3倍の3.7Vであり、高エネルギー密度となるが、アルカリ二次電池のように水系の電解液を用いることができないため、十分な耐酸化還元性を有する非水電解液を用いている。
リチウムイオン二次電池用セパレータとしては、ポリオレフィンからなるフィルム状の多孔質フィルムが多く使用されているが(例えば、特許文献1参照)、電解液の保液性が低いため、イオン伝導性が低く、内部抵抗が高くなる問題があった。
また、リチウムイオン二次電池用セパレータとして、再生セルロース繊維の叩解物を主体とする紙製セパレータ(例えば、特許文献2参照)が提案されている。リチウムイオン二次電池においては、水分がわずかでも混入すると電池特性に悪影響を及ぼすことから、セパレータに含水分率の高い紙製セパレータを用いる場合、リチウムイオン二次電池製造の際に長時間の乾燥処理が必要となる。また、例えば、10.0g/m以下の低坪量にした場合、セパレータ強度が極端に弱くなるため、セパレータを低坪量にできない問題があった。
さらに、リチウムイオン二次電池用セパレータとして、合成繊維からなる不織布セパレータ(例えば、特許文献3〜5参照)についても提案されているが、これらのセパレータは電解液の保液性が低く、内部抵抗が高くなる問題や、セパレータの緻密性が不十分であるため、内部短絡不良率が高くなる、高レート特性や放電特性及びそのバラツキに劣るといった問題があった。
また、リチウムイオン二次電池用セパレータとして、フィブリル化耐熱性繊維、フィブリル化セルロース、非フィブリル化繊維からなるセパレータが提案されているが(例えば、特許文献6参照)、このセパレータでは、低坪量とした場合のセパレータ強度にまだ改善の余地があった。
また、リチウムイオンイオン二次電池用セパレータとして、変法濾水度が0〜250mlの溶剤紡糸セルロースと合成繊維を含有する多孔性シートからなるセパレータが提案されている(例えば、特許文献7参照)。しかし、このセパレータでは、低抵抗で高容量化のために、低坪量で、低厚みとした場合、スリット作業や電池製造のハンドリングに必要な引張強度に改善の余地があった。
特開2002−105235号公報 特許3661104号公報 特開2003−123728号公報 特開2007−317675号公報 特開2006−19191号公報 再公表WO2005/101432号公報 WO2012/008559号公報
本発明は、上記実情を鑑みたものであって、低坪量で、機械強度が強く、内部抵抗、内部短絡不良率、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用セパレータと、それを用いてなるリチウムイオン二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、
(1)繊維原料としてフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維のみを含んでなるシートのみからなるリチウムイオン二次電池用セパレータにおいて、
フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を10〜30質量%、平均繊維径2.0〜3.5μmの配向結晶化ポリエステル短繊維を40〜50質量%、平均繊維径5.0μm以下の未延伸バインダー用ポリエステル短繊維を30〜40質量%含有し、
坪量が7.0〜10.0g/m であり、厚さが10.0〜15.0μmであり、引張強度が450〜700N/mであることを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータ、
(2)上記(1)に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータを用いてなるリチウムイオン二次電池、
を見出した。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を10〜30質量%と平均繊維径2.0〜3.5μmの配向結晶化ポリエステル短繊維を40〜50質量%と平均繊維径5.0μm以下の未延伸バインダー用ポリエステル短繊維を30〜40質量%を含有する。この特定の配合にすることにより、フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維と細いポリエステル繊維が絡み合い、未延伸バインダー用ポリエステル短繊維で繊維ネットワークの交点を固定化することにより、低坪量でありながら、引張強度、特に突刺強度の機械的強度を高めることができる。その結果、セパレータとしてのハンドリング性や内部短絡不良を飛躍的に向上させることができる。また、リチウムイオン二次電池用セパレータをより緻密で、薄くすることができるため、内部抵抗を低く抑えることができ、放電特性やサイクル特性に優れたものとすることができる。
本発明におけるフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維とは、従来のビスコースレーヨンや銅アンモニアレーヨンのように、セルロースを一旦セルロース誘導体に化学的に変換させたのち再度セルロースに戻す、いわゆる再生セルロース繊維と異なり、セルロースを化学的に変化させることなく、アミンオキサイドに溶解させた紡糸原液を水中に乾湿式紡糸してセルロースを析出させた繊維を指す。溶剤紡糸セルロース繊維は、天然セルロース繊維やバクテリアセルロース繊維、レーヨン繊維に比べ、繊維長軸方向に分子が高度に配列しているため、湿潤状態で摩擦等の機械的な力が加えられると、微細化しやすく、細くて長い微細繊維が生成する。この微細繊維間に電解液を強固に保持するため、天然セルロース繊維、バクテリアセルロース繊維、レーヨン繊維の微細化物に比べ、フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維は、電解液の保液性に優れる。フィブリル化とは、フィルム状ではなく、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維状で、少なくとも一部が繊維径1μm以下になっている繊維を指す。長さと巾のアスペクト比が約20〜約100000の範囲にあることが好ましい。
本発明では、変法濾水度80〜130mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を用いることが好ましい。フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度は、90〜120mlであることがより好ましく、95〜115mlであることがさらに好ましい。変法濾水度が130mlより高いと、低坪量とした場合、セパレータの緻密性が不十分になり、内部短絡不良率が高くなる。一方、変法濾水度が80ml未満であると、平均繊維長が短くなり、ポリエステル短繊維との絡みが低下するため、セパレータの機械強度が低下するようになる。
本発明における変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した値のことである。
溶剤紡糸セルロース繊維の場合、微細化が進むに従って、繊維長が短くなっていき、特に試料濃度が薄いと、繊維同士の絡みが少なくなり、繊維ネットワークが形成されにくくなるため、溶剤紡糸セルロース繊維自体がふるい板の穴をすり抜けてしまう。つまり、微細化した溶剤紡糸セルロースの場合は、JIS P8121の測定方法では正確な濾水度が計測できないのである。より詳細に説明すると、天然セルロース繊維は、微細化の程度が進むほど、繊維の幹から細かいフィブリルが多数裂けた状態になるため、フィブリルを介して繊維同士が絡みやすく、繊維ネットワークを形成しやすいのに対し、溶剤紡糸セルロース繊維は微細化処理によって繊維の長軸に平行に細かく分割されやすく、分割後の繊維1本1本における繊維径の均一性が高いため、平均繊維長が短くなるほど、繊維同士が絡みにくくなり、繊維ネットワークを形成しにくいと考えられる。そこで、本発明では、溶剤紡糸セルロース繊維の正確な濾水度を測定するために、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定する変法濾水度を用いた。
フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を作製する方法としては、リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃により剪断力を与える回転刃式ホモジナイザー、高速で回転する円筒形の内刃と固定された外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくとも20MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより繊維に剪断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等が挙げられる。この中でも特にリファイナーが好ましい。
フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長は0.7〜1.25mmが好ましく、0.8〜1.1mmがより好ましく、0.90〜1.05mmがさらに好ましい。繊維長が0.7mmより短いと、セパレータの機械強度が低下する場合があり、1.25mmより長いと、繊維の緻密性が不十分となり、内部短絡不良率が高くなる場合がある。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を10〜30質量%含有する。フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維の含有量は、20〜30質量%がより好ましい。フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が10質量%未満の場合、低坪量とした場合、電解液の保液性が不十分で内部抵抗が高くなる場合や、セパレータの緻密性が不十分で、内部短絡不良率が高くなる。フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が30質量%を超える場合、ポリエステル短繊維の含有量が減少するため、セパレータの機械強度が低下する。また、熱カレンダーによる厚さ調整において、フィブリル化した溶剤紡糸セルロースが空隙を埋めてしまい、保液性が低下するため、内部抵抗が高くなる。
本発明のリチウムイオン二次電池セパレータは、平均繊維径2.0〜3.5μmの配向結晶化ポリエステル短繊維を40〜50質量%含有する。配向結晶化ポリエステル短繊維と未延伸バインダー用ポリエステル短繊維との接着性は高いため、例えば、10g/m以下の低坪量としても、セパレータの機械強度を高くできる。配向結晶化ポリエステル短繊維の含有量が40質量%未満の場合、巻回工程に必要なセパレータの機械強度が不十分となる。一方、含有量が50質量%を越えた場合、未延伸のバインダー用ポリエステル短繊維の含有量が減少するため、巻回工程に必要なセパレータの機械強度が不十分となる。
配向結晶化ポリエステル短繊維の平均繊維径は2.0〜3.5μmである。単位面積当たりの繊維本数を増やし、緻密性を向上させるためには、できるだけ細い方が好ましいが、単繊維強度の点から、溶融紡糸し、延伸した繊維を使用することが好ましい。平均繊維径は2.0μm未満では溶融紡糸が難しく、繊維の入手が困難である。3.5μmを越えた場合、緻密性が不十分となり、繊維本数が減るため、セパレータの機械強度が低下する。また、セパレータの厚さを薄くすると、最大細孔径が拡大し、内部短絡不良率が高くなる。
本発明のリチウムイオン二次電池セパレータは、平均繊維径5.0μm以下の未延伸バインダー用ポリエステル短繊維を30〜40質量%含有する。未延伸バインダー用ポリエステル短繊維の含有量が30質量%未満の場合、フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維とポリエステル短繊維の接着が甘くなり、セパレータの機械強度が低下する。含有量が40質量%を越えた場合、未延伸バインダー用ポリエステル短繊維同士が皮膜化し、イオン伝導性が阻害されることで、内部抵抗が高くなり、放電特性が低くなる。
未延伸バインダー用ポリエステル短繊維の平均繊維径は5.0μm以下である。平均繊維径が5.0μmを超えた場合、単位面積当たりの繊維本数が少なくなるため、フィブリル化した溶剤紡糸セルロースとポリエステル短繊維との接着が甘くなり、セパレータの強度が低下する。また、セパレータの厚さを薄くすると、最大細孔径が拡大し、内部短絡不良率が高くなる。一方、平均繊維径の下限としては3.0μmであることが好ましい。平均繊維径が3.0μm未満とした場合、延伸倍率が高くなるため、ポリエステル繊維の結晶化が進み、バインダーとしての接着力が低下するため、繊維本数は増やすことができるが、セパレータの機械強度が低下する場合がある。本発明において、平均繊維径は、セパレータの走査型電子顕微鏡写真より、セパレータを形成する繊維の繊維径を計測し、無作為に選んだ100本の平均値である。
配向結晶化ポリエステル短繊維と未延伸バインダー用ポリエステル短繊維の繊維長は1〜7mmが好ましく、3〜5mmがより好ましく、2〜3mmがさらに好ましい。繊維長が1mmより短いと、セパレータから脱落することがあり、7mmより長いと、繊維がもつれてダマになることがあり、また、繊維本数が少なくなるため、緻密性が低下する場合がある。
本発明で用いる配向結晶化ポリエステル短繊維と未延伸バインダーポリエステル短繊維の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリブチレンナフタレート系樹脂、ポリエチレンイソフタレート系樹脂、これらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、リチウムイオン二次電池用セパレータに使用する場合には、耐熱性と耐電解液性に優れているポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。
リチウムイオン二次電池用セパレータは、円網、長網、短網、傾斜型短網等の抄紙方式の中から1種の抄紙機方式を有する抄紙機、同種又は異種の2種以上の抄紙方式を組み合わせてなるコンビネーション抄紙機などを用いて抄紙する方法によって製造することができる。原料スラリーには、繊維原料の他に、必要に応じて、分散剤、増粘剤、無機填料、有機填料、消泡剤などを適宜添加することができ、5〜0.001質量%程度の固形分濃度に原料スラリーを調製する。この原料スラリーをさらに所定濃度に希釈して抄紙し、乾燥する。抄紙して得られたリチウムイオン二次電池用セパレータは、必要に応じて、カレンダー処理、熱カレンダー処理、熱処理などが施される。本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、平均繊維径が5.0μm以下の未延伸バインダー用ポリエステル短繊維を用いることから、熱カレンダー処理が施されることが好ましい。熱カレンダー処理では、金属ロールと金属ロールの間又は金属ロールと弾性ロールの間を通し、未延伸バインダー用ポリエステル短繊維が皮膜化しない温度(未延伸バインダー用ポリエステル短繊維の融点よりも20℃以上低い温度)で加圧するのが好ましい。未延伸バインダー用ポリエステル短繊維が皮膜化すると、内部抵抗が高くなり、放電特性が低下することに加え、セパレータの機械強度が低下するため好ましくない。
リチウムイオン二次電池用セパレータの坪量は、5.0〜20.0g/mが好ましく、6.0〜15.0g/mがより好ましく、7.0〜10.0g/mがさらに好ましい。5.0g/m未満では、十分な機械強度が得られない場合があり、正極と負極との間の絶縁性が不十分で、内部短絡不良率やサイクル特性が低下する場合がある。20.0g/mを超えると、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が高くなる場合や、放電特性が低くなる場合がある。本発明のセパレータの坪量は、JIS P8124に準拠して測定した値である。
リチウムイオン二次電池用セパレータの厚さは、6.0〜30.0μmが好ましく、8.0〜20.0μmがより好ましく、10.0〜15.0μmがさらに好ましい。6.0μm未満では、十分な機械強度が得られなかったり、正極と負極との間の絶縁性が不十分で、内部短絡不良率、サイクル特性が悪くなったりする場合がある。30.0μmより厚いと、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が高くなり、放電特性が低くなる場合がある。なお、本発明のセパレータの厚さはJIS B7502に規定された方法により測定した値、つまり、5N荷重時の外側マイクロメーターにより測定された値を意味する。
リチウムイオン二次電池用セパレータの引張強度は、450〜700N/mであることが好ましく、500〜650N/mであることがさらに好ましい。引張強度が450N/m未満では、捲回作業時において内部短絡不良が発生しやくなる。引張強度が700N/mを超えた場合、未延伸バインダー用ポリエステル短繊維の皮膜化が生じており、突刺強度が低下しやすく、内部抵抗が高くなることもあり、放電特性が低くなることがある。
リチウムイオン二次電池用セパレータの突刺強度は、0.8N以上であることが好ましい。フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維が配向結晶化ポリエステル短繊維と絡み合い、未延伸バインダー用ポリエステル短繊維で接着し、繊維間結合を強めることにより、この突刺強度が達成することができる。突刺強度が0.8N未満では、捲回作業や捲回物を加熱プレスする際に内部短絡不良が発生しやすくなる。
リチウムイオン二次電池用セパレータの最大ポア径は、8.0μm以下であることが好ましい。フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を配合したことと、未延伸バインダー用ポリエステル短繊維が溶融することによって、このポア径を達成することができる。最大ポア径が8.0μmを超えた場合では、リチウムイオン二次電池の内部短絡不良率やサイクル特性が低下する場合がある。
リチウムイオン二次電池用セパレータのインピーダンスは、電池を組んだ際の内部抵抗と相関があり、0.5Ω以下であることが好ましく、0.45Ω以下であることがより好ましく、0.4Ω以下であることがさらに好ましい。0.4Ω以下であれば、放電特性やサイクル特性に優れる。0.5Ωを超えた場合、内部抵抗が高くなり、放電特性やサイクル特性が低下する場合がある。
リチウムイオン二次電池の負極活物質としては、黒鉛やコークスなどの炭素材料、金属リチウム、アルミニウム、シリカ、スズ、ニッケル、鉛から選ばれる1種以上の金属とリチウムとの合金、SiO、SnO、Fe、WO、Nb、Li4/3Ti5/3等の金属酸化物、Li0.4CoNなどの窒化物が用いられる。充放電を繰り返した時に負極表面に金属リチウムが析出する「リチウムデンドライト」という現象が発生し、このリチウムデンドライトは徐々に成長し、セパレータを貫通して正極に達し、内部短絡の原因になることがある。本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、このリチウムデンドライトが発生し難いチタン酸リチウムを負極活物質として用いたリチウムイオン二次電池に使用されても、内部短絡が発生しにくいという効果が得られる。
正極活物質としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、チタン酸リチウム、リチウムニッケルマンガン酸化物、リン酸鉄リチウムが用いられる。リン酸鉄リチウムは、さらに、マンガン、クロム、コバルト、銅、ニッケル、バナジウム、モリブデン、チタン、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、マグネシウム、ホウ素、ニオブから選ばれる1種以上の金属との複合物でも良い。
リチウムイオン二次電池の電解液には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン、これらの混合溶媒などの有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものが用いられる。リチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)や四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)等が挙げられる。固体電解質としては、ポリエチレングリコールやその誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリシロキサンやその誘導体、ポリフッ化ビニリデンなどのゲル状ポリマーにリチウム塩を溶解させたものが用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例11〜15は参考例である。
実施例1
リファイナーを用いて、平均繊維径10μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維を処理し、変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を10質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化ポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維を50質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用ポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維40質量%を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な原料スラリー(0.3%濃度)を調製した。この原料スラリーを、1層目として傾斜型短網抄紙機で、2層目として円網抄紙機を用い、傾斜型短網と円網の坪量比を50:50として積層させ、湿潤シートを得て、ヤンキードライヤー温度130℃で乾燥した後、表面温度が195℃の金属ロールと弾性ルールによる熱カレンダー処理を施して、坪量8.2g/m、厚さ14.2μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例2
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を20質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維40質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.3g/m、厚さ13.6μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例3
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を30質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維30質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.4g/m、厚さ13.7μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例4
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を20質量%、平均繊維径3.2μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維40質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.3g/m、厚さ13.5μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例5
リファイナーを用いて、平均繊維径10μm、繊維長4mmの溶剤紡糸セルロース繊維を処理し、変法濾水度113mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を20質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維40質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.4g/m、厚さ13.4μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例6
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を20質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維40質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量7.1g/m、厚さ11.6μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例7
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を30質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維30質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量9.9g/m、厚さ15.0μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例8
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を20質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維40質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量7.0g/m、厚さ10.1μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例9
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を30質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維30質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量7.5g/m、厚さ12.2μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例10
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を10質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を50質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維40質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量9.0g/m、厚さ15.0μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例11
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を30質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維30質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量6.5g/m、厚さ10.6μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例12
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を30質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維30質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量10.5g/m、厚さ15.0μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例13
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を30質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維30質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量7.2g/m、厚さ9.8μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例14
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を30質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維30質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.5g/m、厚さ15.5μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例15
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を10質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を50質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維40質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.8g/m、厚さ13.1μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例1
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を35質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を35質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維30質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.4g/m、厚さ14.2μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例2
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を5質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を50質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維45質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.2g/m、厚さ13.5μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例3
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を30質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を30質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維40質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.3g/m、厚さ13.5μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例4
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を10質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を60質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維30質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.2g/m、厚さ13.7μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例5
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を10質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維50質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.1g/m、厚さ13.5μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例6
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を30質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を50質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維20質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.2g/m、厚さ13.2μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例7
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を20質量%、平均繊維径5.3μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維40質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.1g/m、厚さ13.5μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例8
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を20質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径6.5μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維40質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.3g/m、厚さ13.6μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例9
変法濾水度97mlのフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を70質量%、平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を15質量%、平均繊維径3.2μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を15質量%とし、常温でカレンダー処理した以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.4g/m、厚さ13.1μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例10
平均繊維径2.4μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を40質量%、平均繊維径3.2μm、繊維長3mmの配向結晶化PET短繊維を20質量%、平均繊維径4.4μm、繊維長3mmの未延伸バインダー用PET短繊維40質量%とした以外は、実施例1と同様な方法で、坪量8.0g/m、厚さ13.0μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
<リチウムイオン二次電池>
[負極の作製]
負極活物質として、平均粒子径0.7μm、Li吸蔵電位が1.55Vであるスピネル構造のLiTi12で表されるチタン酸リチウムを95質量%、導電材としてアセチレンブラック2.5質量%と、ポリフッ化ビニリデン2.5質量%を混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製し、厚さ15μm、平均結晶粒子径30μmのアルミニウム箔の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚さ100μmのリチウムイオン二次電池用負極を作製し、これを負極とした。
[正極の作製]
正極活物質として、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)粉末を90質量%、アセチレンブラック3質量%、グラファイト3質量%及びポリフッ化ビニリデン4質量%を混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μm、平均結晶粒子30μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布し、圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚さ100μmのリチウムイオン二次電池用正極を作製し、これを正極とした。
[リチウムイオン二次電池の作製]
正極及び負極の集電体に端子をそれぞれ接続し、正極、セパレータ、負極、セパレータの順番に積層した後、この積層物を正極、負極の端子がセパレータの長手方向に対して直角になるように捲回した。続いて、この捲回物を90℃で加熱プレスすることにより、70×100mm、厚さ3.0mmの寸法を持つ扁平状電極群を作成した。続いて、両面にポリエチレンフィルムが積層された厚さ40μmのアルミニウム箔から構成された厚さ0.1mmのラミネートフィルムからなるパック(袋状外装材)を用意し、この袋状外装内に得られた電極群をその正極、負極の端子が外装材の開口部から外部に延出するように収納し、80℃で24時間真空乾燥を施した。次いで、前記の電極群を収納し、袋状外装材内に、電解液として、エチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンの混合溶媒(体積比率25:75)に電解質として、1.5mol/Lの四フッ化ホウ酸リチウムを溶解したものを注入した後、袋状外装材の開口部をヒートシールにより完全密封し、リチウムイオン二次電池を作製した。
実施例及び比較例のセパレータ及びリチウムイオン二次電池について、下記評価を行い、結果を表1に示した。
[坪量]
JIS P8124に準拠して坪量を測定した。
[厚さ]
JIS B7502に規定された方法、つまり、5N荷重時の外側マイクロメーターにより、厚さを測定した。
[引張強度]
作製したセパレータについて、卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、商品名STA−1150)を用いて、JIS P8113に準じて縦方向の引張強さを測定した。試験片のサイズは、縦方向250mm、幅50mmとし、2個のつかみ具の間隔を100mm、引張速度を300mm/minとした。
[突刺強度]
作製したセパレータについて、先端に曲率1.6の丸みをつけた直径1mmの金属針を卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、商品名STA−1150)に装着し、試料面に対して直角に1mm/sの一定速度で貫通するまで降ろした。この時の最大荷重(N)を計測し、突刺強度を測定した。
[最大ポア径]
作製したセパレータについて、PMI社製パームポロメーターCFP−1500Aを用いて、JIS K3832、ASTM F316−86、ASTM E1294−89に準じて測定を行い、最大ポア径を測定した。
[インピーダンス]
作製したセパレータについて、電解液(1M−LiPF/エチレンカーボネート(EC)+ジエチルカーボネート(DEC)+ジメチルカーボネート(DMC)(1:1:1、vol比))に浸した後、2つの略円筒形銅電極に挟み、LCRメーター(Instec社製、装置名:LCR−821)を使用して、200kHzにおける交流インピーダンスの抵抗成分を測定した。
[内部短絡不良率]
作製したセパレータをアルミニウム箔からなる電極間に介在して捲回することにより電極群を作製した後、電解液に含浸せずにテスターで電極間の導通を調べることによりショートの有無を確認した。短絡不良率は100個の電極群を検査して全電極群数に対するショート個数から算出した。
[サイクル特性]
各リチウムイオン二次電池を45℃環境下において、1Cレートで充放電サイクル試験を行い、1000サイクル目の放電容量を測定し、初期サイクル時のそれに対する放電容量維持率として算出した。
Figure 0006317556
表1に示した通り、実施例1〜15のリチウムイオン二次電池用セパレータは、フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を10〜30質量%、平均繊維径2.0〜3.5μmの配向結晶化ポリエステル短繊維を40〜50質量%、5μm以下の未延伸バインダー用ポリエステル短繊維を30〜40質量%を含有しているため、低坪量でありながらも、機械強度が強く、内部短絡不良が少ない。また、抵抗成分を表すインピーダンスが低く、サイクル特性に優れている。
実施例1〜5のリチウムイオン二次電池用セパレータは、8g/mという低坪量である。フィブリル化した溶剤紡糸セルロースを10〜30質量%含有しているため、繊維同士が絡みやすく繊維ネットワークが形成されやすくなることから、低坪量であっても、セパレータの引張強度が強かった。特に、セパレータの突刺強度が、比較例10のポリエステル系繊維のみから構成されたセパレータよりも強くなった。
一方、比較例1〜10のリチウムイオン二次電池用セパレータも、8g/mという低坪量である。比較例1と比較例2は、フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維の含有量が10〜30質量%を外れた場合である。30質量%を超えた比較例1では、機械強度の低下が著しく、内部短絡不良が発生した。また、10質量%未満の比較例2では、最大ポア径が拡大するため、内部短絡不良が発生し、未延伸バインダー用ポリエステル短繊維が増加したため、抵抗成分のインピーダンスが高くなり、サイクル特性が低下した。
比較例3と比較例4は、配向結晶化ポリエステル短繊維の含有量が40〜50質量%を外れた場合である。50質量%を超えた比較例4では、最大ポア径が拡大するため、内部短絡不良が発生した。一方、40質量未満の比較例3では、機械強度が低下するため、内部短絡不良が発生した。
比較例5と比較例6は、未延伸バインダー用ポリエステル短繊維の含有量が30〜40質量%を外れた場合である。40質量%を超えた比較例5では、最大ポア径が拡大するため、内部短絡不良が発生した。また、抵抗成分のインピーダンスが高くなり、サイクル特性が低下した。一方、30質量未満の比較例6では、機械強度が低下するため、内部短絡不良が発生した。
比較例7は、配向結晶化ポリエステル短繊維の平均繊維径が3.5μmを超えた場合であるが、機械強度が低下し、最大ポア径が拡大するため、内部短絡不良が発生した。平均繊維径が2.0μm未満の配向結晶化ポリエステル短繊維は、上市されていないため、評価はできなかった。
比較例8は、未延伸バインダー用ポリエステル短繊維の平均繊維径が5.0μmを超えた場合であるが、未延伸バインダー用ポリエステル短繊維の繊維本数が減少するため、機械強度が低下し、最大ポア径も拡大したため、内部短絡不良が増加した。平均繊維径の太い未延伸バインダー用ポリエステル短繊維は、充放電サイクルの発熱で皮膜化が進むためか、サイクル特性が低下した。
比較例9は、未延伸バインダー用ポリエステル短繊維を含まない配合であるが、機械強度が極端に低く、内部短絡不良が増加した。
比較例10は、フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を含まない配合であるが、最大細孔径が大きく、内部短絡不良が発生し、電解液の保持性能が低下するため、サイクル特性が低下した。
実施例1〜3の比較からから、フィブリル化した溶剤紡糸セルロースの配合量が増えるほど、機械強度はやや低下するが、抵抗成分を表すインピーダンスは低下しており、サイクル特性が向上した。実施例4のリチウムイオン二次電池用セパレータは、配向結晶化ポリエステル短繊維を少し太くした場合である。最大ポア径が拡大したが、内部短絡不良は発生せず、サイクル特性も良好であった。実施例5は、溶剤紡糸セルロースのフィブリル化を抑えた場合であるが、変法濾水度が113mlであっても、内部短絡不良率やサイクル特性は良好であった。
実施例1〜15を比較すると、坪量が7.0g/m未満である実施例11では、実施例1〜10と比較して、機械強度が低下する傾向が見られ、内部短絡不良が見られた。坪量が10.0g/mを超えた実施例12では、実施例1〜10と比較して、抵抗成分を表すインピーダンスが上昇し、サイクル特性が低下した。厚さが10.0μm未満の実施例13では、実施例1〜10と比較して、抵抗成分を表すインピーダンスが上昇し、サイクル特性が低下した。また、機械強度も低下し、内部短絡不良が発生した。厚さが15.0μmを超えた実施例14では、実施例1〜10と比較して、未延伸バインダー用ポリエステル短繊維の融着が甘くなったため、機械強度が低下し、内部短絡不良が発生した。引張強度が450N/m未満である実施例11及び13では、実施例1〜10と比較して、内部短絡不良が見られた。引張強度が700N/mよりも大きくなった実施例15では、実施例1〜10と比較して、熱カレンダー処理のカレンダー圧を上げたために、突刺強度が低下し、内部短絡が発生した。また、抵抗成分を表すインピーダンスの上昇が発生し、サイクル特性が低下した。これらの結果から、坪量が7.0〜10.0g/mであること、厚さが10.0〜15.0μmであること、引張強度が450〜700N/mであることが好ましいことがわかる。
本発明の活用例としては、リチウムイオン二次電池用セパレータ、リチウムイオンポリマー二次電池用セパレータが好適である。

Claims (2)

  1. 繊維原料としてフィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維のみを含んでなるシートのみからなるリチウムイオン二次電池用セパレータにおいて、
    フィブリル化した溶剤紡糸セルロース繊維を10〜30質量%、平均繊維径2.0〜3.5μmの配向結晶化ポリエステル短繊維を40〜50質量%、平均繊維径5.0μm以下の未延伸バインダー用ポリエステル短繊維を30〜40質量%含有し、
    坪量が7.0〜10.0g/m であり、厚さが10.0〜15.0μmであり、引張強度が450〜700N/mであることを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータを用いてなるリチウムイオン二次電池。
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