JP6316629B2 - 代謝変換酵母によるエタノール産生の改良方法 - Google Patents

代謝変換酵母によるエタノール産生の改良方法 Download PDF

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本発明は、キシロース代謝能が付与され、さらにHAP4遺伝子が欠損している、キシロースやキシロースを含む混合糖からエタノールを高効率で生産できる遺伝子組換え酵母、およびそれを用いたキシロースやキシロースを含む糖化液からエタノールを高効率で生産する方法に関するものである。
近年、地球温暖化対策や化石資源代替のために、食料と競合せず、原料が安価なリグノセルロース系バイオマスからエタノールを効率良く生産し、このバイオエタノールを液体燃料もしくは化学原料として利用する技術の確立が望まれている。エタノール発酵能が強く、エタノール耐性も強いことから、工業的にエタノールを生産する発酵微生物として、古くから酵母(Saccharomyces cerevisiae)が用いられてきた。またS. cerevisiaeはpH4.5付近で用いることで、他の微生物種の混入を極力抑えた連続生産が可能であるというメリットも持ち合わせている。S. cerevisiaeはグルコースなどの六炭糖を資化・発酵できるが、キシロースやアラビノースなどの五炭糖は利用することができない。リグノセルロース系バイオマス、特に広葉樹や草本はグルコースに次いでキシロースが多く含まれるので、S. cerevisiaeを用いたリグノセルロース系バイオマスからのエタノール生産において、エタノール収率の低さが実用化を妨げる一因になっていた。そのため、S. cerevisiaeにScheffersomyces (Pichia) stipitisなどの他生物由来のキシロース代謝系酵素遺伝子を導入してキシロース代謝能を付与し、嫌気的培養(発酵)によりキシロースからエタノールを生産する技術開発が世界的に進められている(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3を参照)。しかし、このような遺伝子組換え酵母においては、キシロースからのエタノール発酵効率及び発酵速度はグルコースからのものと比べて極めて低く、実用化するには依然として多くの課題が残されている。そこで、リグノセルロース系バイオマスからのバイオエタノール高効率変換技術を確立するために、上記酵母よりもキシロースからのエタノール生産能の高い酵母株が求められている。
特表2000-509988号公報
Ho NWら、Applied and Environmental Microbiology, Vol.64, pp.1852-1859 (1998) Eliasson Aら、Applied and Environmental Microbiology, Vol.66, pp.3381-3386 (2000) Matsushika Aら、Applied Microbiology and Biotechnology, Vol.84, pp.37-53 (2009)
従来法では、リグノセルロース系バイオマス資源、特に広葉樹や草本の糖化液に多量に含まれる五炭糖のキシロースから効率的にエタノールを製造することはできなかったので、キシロースやキシロースとグルコースなどの六炭糖を含む混合糖からエタノールを安価に効率的に製造することができる有効な方法が望まれていた。これはキシロースを利用できる微生物が限られていること、またキシロースを高効率にエタノールへ変換する微生物が開発されていないこと、さらに従来のキシロース発酵性を付与した遺伝子組換え微生物でもキシロース発酵収率が低く、キシロース発酵速度が遅いことが主な原因であった。
そこで、本発明では、キシロースを高効率にエタノールへ変換する微生物およびそれを用いたエタノールの効果的な生産方法を提供することを課題とする。また本発明は、キシロースやキシロースとグルコースを含む混合糖からエタノールを高効率に生産する遺伝子組換え酵母およびそれを用いたキシロースやキシロースとグルコースを含む糖化液からエタノールを高効率に生産する方法を提供することを課題とする。
本発明者らはキシロース資化性凝集性実用酵母MA-R4株を用いて、グルコース培地で発酵した場合とキシロース培地で発酵した場合の遺伝子発現量の差をみるためにDNAマイクロアレイ解析を行い、グルコース発酵と比べてキシロース発酵で高発現、あるいは低発現する遺伝子を抽出した(Matsushika Aら、Microbial Cell Factories, vol. 13:16 (2014))。その結果、キシロース発酵の際、嫌気的な条件であるにも関わらず、クエン酸回路における代謝酵素の遺伝子やミトコンドリアで発現している遺伝子など、本来は好気的条件下で発現する遺伝子が高発現していた。このことから、キシロース発酵の際、遺伝子組換えしたキシロース資化性酵母の細胞内は酸化的な状態に移行しているという知見を得た。しかしながらキシロースからエタノールの製造において、遺伝子組換え酵母を用いて好気条件下でエタノールを高生産させる検討は行われていない。
上記課題を解決するために本発明では、遺伝子操作によってキシロース資化性の付与および転写アクティベーターをコードするHAP4遺伝子の欠失を行い、好気条件下でキシロースやキシロースとグルコースなどの六炭糖を含む混合糖からエタノールを高収率生産でき、かつキシロースおよびグルコースの消費速度が改善された遺伝子組換え酵母の作製およびそれを用いたエタノールの効果的な生産方法を提供する。
本発明者らは、酵母染色体に効率よく組込めるキシロース代謝系酵素(キシロース還元酵素XR、キシリトール脱水素酵素XDHおよびキシルロキナーゼXK)遺伝子発現カセットを作製し、この発現カセットを宿主酵母細胞に導入して、キシロース発酵性を付与した遺伝子組換え酵母を作製し、当該遺伝子組換え酵母が嫌気的発酵条件下でキシロースをエタノールへ高効率に生産できることを報告した(特開2009-195220号公報を参照)。この遺伝子組換え酵母において、上記課題を解決すべく鋭意検討し、キシロース代謝系酵素遺伝子発現カセットの導入に加えて、呼吸系やクエン酸回路における遺伝子の発現を調整する転写アクティベーターをコードするHAP4遺伝子について改良した。
本発明では、キシロース資化性酵母を用いてキシロースやグルコースとキシロースを含む混合糖から高効率でエタノールを生産するために、呼吸系やクエン酸回路における遺伝子の発現を調整する転写アクティベーターをコードするHAP4遺伝子に注目し、HAP4遺伝子を破壊(欠失)した酵母に3種類のキシロース代謝系酵素(キシロース還元酵素XR、キシリトール脱水素酵素XDHおよびキシルロキナーゼXK)遺伝子を導入して恒常的発現させた。形質転換体である遺伝子組換え酵母株を好気的条件下で培養することで、キシロースやグルコースとキシロースを含む混合糖からエタノールを効率良く生産することに成功した。この遺伝子組換え酵母が、従来公知のキシロース発酵性酵母株よりも、キシロースからエタノールを高効率に生産できることを見出し、本発明を完成させるに至った(図1を参照)。HAP4遺伝子を破壊(欠失)した酵母に導入する、キシロースをキシルロース5−リン酸へと代謝する酵素は、キシロースイソメラーゼXIおよびキシルロキナーゼXKとすることもできる。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] キシロースをキシルロース5−リン酸へと代謝する酵素をコードする遺伝子が導入されており、さらにHAP4遺伝子が破壊、欠失、または不活性化している、キシロースからエタノールを高効率に生産できる遺伝子組換え酵母。
[2] キシロースをキシルロース5−リン酸へと代謝する酵素をコードする遺伝子が、キシロースレダクターゼ遺伝子、キシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子およびキシルロキナーゼ遺伝子である、[1]に記載の遺伝子組換え酵母。
[3] キシロースをキシルロース5−リン酸へと代謝する酵素をコードする遺伝子が、キシロースイソメラーゼ遺伝子およびキシルロキナーゼ遺伝子である、[1]に記載の遺伝子組換え酵母。
[4] 破壊、欠失、または不活性化しているHAP4遺伝子が酵母または細菌由来である、[1]〜[3]のいずれかに記載の遺伝子組換え酵母。
[5] 破壊、欠失、または不活性化しているHAP4遺伝子が、Saccharomyces cerevisiaeに由来する、[4]に記載の遺伝子組換え酵母。
[6] キシロースレダクターゼ遺伝子およびキシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子がScheffersomyces (Pichia) stipitisに由来し、かつキシルロキナーゼ遺伝子がSaccharomyces cerevisiaeに由来する、[2]、[4]または[5]に記載の遺伝子組換え酵母。
[7] キシロースイソメラーゼ遺伝子がReticulitermes speratusに由来し、かつキシルロキナーゼ遺伝子がSaccharomyces cerevisiaeに由来する、[3]〜[5]のいずれかに記載の遺伝子組換え酵母。
[8] 遺伝子組換え酵母がSaccharomyces cerevisiaeを宿主として作製される、[1]〜[7]のいずれか記載の遺伝子組換え酵母。
[9] [1]〜[8]のいずれか記載の遺伝子組換え酵母を用いた、キシロースからエタノールを生産する方法。
[10] [1]〜[8]のいずれか記載の遺伝子組換え酵母を用いた、グルコースとキシロースの混合糖からエタノールを生産する方法。
[11] [1]〜[8]のいずれか記載の遺伝子組換え酵母を用いた、リグノセルロース系バイオマスから調製した糖化液からエタノールを生産する方法。
[12]嫌気的または好気的条件下で行う、[9]〜[11]のいずれかに記載の生産方法。
本発明により、キシロース発酵可能な従来公知の遺伝子組換え酵母よりも、好気条件下でキシロース、キシロースとグルコースを含む混合糖、リグノセルロース系バイオマス糖化液に含まれる混合糖からエタノールを高効率に生産できる遺伝子組換え酵母を提供する。
図1−1は、本発明における遺伝子組換え酵母内のキシロース代謝経路を示す説明図である。図中、XRはキシロースレダクターゼ、XDHはキシリトールデヒドロゲナーゼ、XKはキシルロキナーゼをそれぞれ意味する。Scheffersomyces (Pichia) stipitis由来のXRおよびXDHならびにSaccharomyces cerevisiae由来のXKのそれぞれをコードする遺伝子を酵母に導入することによりキシロース発酵性を付与した遺伝子組換え酵母を作製することができる(特開2009−195220号公報)。さらに、XR、XDHおよびXKのそれぞれをコードする遺伝子を導入した遺伝子組換え酵母において、転写活性化因子HAP4の遺伝子を破壊、欠失、または不活性化することにより、好気的条件下でキシロースやキシロースを含む混合糖からエタノールを高生産する優れた五炭糖資化性を有する遺伝子組換え酵母を作製することができる。それによって、本発明における遺伝子組換え酵母はキシロースからエタノールへの変換効率が優れており、エタノールを高効率的に生産することが可能である。 図1−2は、本発明における遺伝子組換え酵母内のキシロース代謝経路を示す説明図である。図中、XIはキシロースイソメラーゼ、XKはキシルロキナーゼをそれぞれ意味する。XIおよびXKのそれぞれをコードする遺伝子を酵母に導入することによりキシロース発酵性を付与した遺伝子組換え酵母を作製することができる(例えば特開2013-055948号公報参照)。さらに、XIおよびXKのそれぞれをコードする遺伝子を導入した遺伝子組換え酵母において、転写活性化因子HAP4の遺伝子を破壊、欠失、または不活性化することにより、好気的条件下でキシロースやキシロースを含む混合糖からエタノールを高生産する優れた五炭糖資化性を有する遺伝子組換え酵母を作製することができると考えられる。 図2は、2種類の遺伝子組換え酵母(MA-B42株およびB42-DHAP4株)の、SX培地における嫌気的エタノール発酵能(SX培地におけるエタノール生産量)を示す特性図である。 図3は、2種類の遺伝子組換え酵母(MA-B42株およびB42-DHAP4株)の、SX培地における好気的エタノール生産能(キシロース消費量(A)およびエタノール生産量(B))を示す特性図である。 図4は、2種類の遺伝子組換え酵母(MA-B42株およびB42-DHAP4株)の、SDX培地における好気的エタノール生産能(キシロースおよびグルコース消費量(A)およびエタノール生産量(B))を示す特性図である。 図5は、2種類の遺伝子組換え酵母(MA-B42株およびB42-DHAP4株)の、スギ糖化液における好気的エタノール生産能(キシロースおよびグルコース消費量(A)およびエタノール生産量(B))を示す特性図である。
本発明のキシロースからエタノールを高効率に生産できる遺伝子組換え酵母は、キシロースをキシルロース5−リン酸へと代謝する酵素をコードする遺伝子が導入されており、かつHAP4遺伝子が破壊、欠失、または不活性化している。キシロースをキシルロース5−リン酸へと代謝する経路としては、主に2つの方法がある。1つはXR、XDH、及びXK遺伝子を導入する方法である(図1−1参照)。別の方法はXI及びXK遺伝子を導入する方法である(図1−2参照)。すなわち、ある実施形態においてキシロースをキシルロース5−リン酸へと代謝する酵素をコードする遺伝子は、XR、XDH、及びXK遺伝子である。別の実施例においてキシロースをキシルロース5−リン酸へと代謝する酵素をコードする遺伝子は、XI及びXK遺伝子である。これらについて以下に説明する。
XRは、キシロースをキシリトールに変換する反応を触媒する酵素である。XR遺伝子は、かかる酵素をコードする遺伝子であれば特に限定されないが、Candida Shehatae、Scheffersomyces (Pichia) stipitis、Pachysolen tannophilus、およびKluyveromyces marxianusなどの酵母に由来する。好ましくは、XR遺伝子は、Scheffersomyces (Pichia) stipitisに由来するものである。Scheffersomyces (Pichia) stipitisのXR遺伝子は、GeneBankに登録番号XM_001385144(配列番号1)として登録されており、これらの遺伝子情報を利用することができる。
XDHは、キシリトールをキシルロースに変換する反応を触媒する酵素である。XDH遺伝子は、かかる酵素をコードする遺伝子であれば、特に限定されないが、Candida Shehatae、Scheffersomyces (Pichia) stipitis、Pachysolen tannophilus、およびKluyveromyces marxianusなどの酵母に由来する。好ましくは、XDH遺伝子は、Scheffersomyces (Pichia) stipitisに由来するものである。Scheffersomyces (Pichia) stipitisのXDH遺伝子は、GeneBankに登録番号AF127801またはX55392(配列番号2)として登録されており、これらの遺伝子情報を利用することができる。
XKは、キシルロースとATPを、キシルロース5リン酸とADPに変換する反応を触媒する酵素である。XK遺伝子は、かかる酵素をコードする遺伝子であれば、特に限定されないが、Candida Shehatae、Scheffersomyces (Pichia) stipitis、Pachysolen tannophilus、Kluyveromyces marxianus、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccaromyces pombeおよびEscherichia coliなどの酵母または細菌に由来する。好ましくは、XK遺伝子は、Saccharomyces cerevisiaeに由来するものである。Saccharomyces cerevisiaeのXK遺伝子は、GeneBankにNC_001139.7(配列番号3)として登録されており、これらの遺伝子情報を利用することができる。
XIはキシロースをキシルロースに変換する反応を触媒する酵素である。XI遺伝子は、かかる酵素をコードする遺伝子であれば、特に限定されないが、例えばReticulitermes speratusなどに由来する。Reticulitermes speratus由来のXI遺伝子は、配列番号5の遺伝子情報を利用することができる。
HAP4は酸化的リン酸化、呼吸系、電子伝達系、クエン酸回路における遺伝子群の発現を調節する転写因子HAP2/3/4/5複合体のアクティベーターサブユニットであり、HAP複合体の調節部位である。また、その発現はグルコースにより抑制を受ける(Brons JFら、Yeast, Vol.19, pp.923-932 (2002))。HAP4遺伝子は、呼吸等に関わる遺伝子の転写を活性化する因子をコードする遺伝子であれば特に限定されないが、Kluyveromyces lactis、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccaromyces pombeおよびAspergillus属などの酵母または糸状菌に由来する。好ましくは、HAP4遺伝子は、Saccharomyces cerevisiaeに由来するものである。Saccharomyces cerevisiaeのHAP4遺伝子は、GeneBankに登録番号X16727またはX71133(配列番号4)として登録されており、これらの遺伝子情報を利用することができる。
上記の遺伝子は、それぞれの遺伝子配列に基づいて、当業者に周知である一般的な方法、例えば、ハイブリダイゼーション法、PCR法等によって得ることができる。
本明細書においてHAP4遺伝子を破壊、欠失、または不活性化させる、とは、HAP4遺伝子がコードするタンパク質がその機能を発揮できないようにHAP4遺伝子を破壊すること、欠失させること、発現を抑制することまたは不活性化させることをいう。HAP4遺伝子を破壊、欠失、または不活性化させる方法は、当業者に周知である一般的な分子生物学的手法を用いて行うことができ、特に限定されないが例えば相同組換え、例えばSOE-PCR法(Gene,77,61 (1989))によって調製される欠失用DNA断片を挿入した欠失用プラスミドを用いた相同組換えにより、宿主細胞より当該遺伝子を欠失または不活性化させることができる。
また、PCRを利用した遺伝子破壊やランダム変異および部位特異的変異によっても得ることができる。一般的に、PCRを利用した遺伝子破壊では、プライマーで抗生物質耐性遺伝子カセットをPCRで増幅してターゲット遺伝子と置き換える。ランダム変異法では、遺伝子シャッフリングやエラープローンPCRを用いて変異体プールを構築し、その中から目的の性質に改変された変異体をスクリーニングする。部位特異的変異法では、既知のHAP4遺伝子配列を基に設計した、所定の位置に変異を導入したHAP4クローニング用プライマーを用いてPCRを行うことによって、クローニングされたHAP4遺伝子の所定の位置に変異を導入することができる。ある実施形態においてHAP4遺伝子破壊株または欠失株のことをHAP4破壊株、ΔHAP4株またはDHAP4株と記載することがある。
また、必要に応じてXDHは、補酵素要求性が変化した改変型を用いても良い。XDHのアミノ酸配列の207番目から211番目に対応するアミノ酸の少なくとも1つを他のアミノ酸、例えば、アラニン、アルギニン、セリンまたはスレオニンに置換させたものが好ましい。XDHのアミノ酸配列で207番目のアスパラギン酸をアラニンに置換させたもの、208番目のイソロイシンをアルギニンに置換させたもの、アミノ酸配列の209番目のフェニルアラニンをセリンもしくはスレオニンに置換させたもの、およびアミノ酸配列の211番目のアスパラギンをアルギニンに置換させたものが特に好ましい。さらに好ましくは、XDHのアミノ酸配列の207番目のアスパラギン酸をアラニン、208番目のイソロイシンをアルギニン、209番目のフェニルアラニンをセリン、および211番目のアスパラギンをアルギニンに置換したものである(特開2009-195220号公報;Watanabe S.ら、The Journal of Biological Chemistry Vol.280, No.11, pp.10340-10349 (2005)を参照)。改変型XDHは、補酵素としてNADP+を利用してNADPHに変換することができる。
本発明の一実施形態において、これら目的の酵素遺伝子を宿主細胞内にて発現させる。その方法は、当業者に公知である一般的な分子生物学的手法を用いて行うことができる(Sambrook J.ら、“Molecular Cloning A LBORATORY MANUAL /second edition”, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)参照)。すなわち、当該酵素をコードする遺伝子を適当なベクターに組み込み、そのベクターを用いて適当な宿主生物を形質転換することにより行うことができる。
ベクターとしては、遺伝子の導入および発現のために当業者に公知である一般的な酵母発現ベクターを用いることができる。酵母に導入する際に用いるベクターとしては、多コピー型(YEp型)、単コピー型(YCp型)、染色体組み込み型(YIp型)のいずれも用いることが可能である。
ベクターには、上記酵素遺伝子および/またはトランスポーター遺伝子を一または複数を含めることができる。また、ベクターには、目的の酵素遺伝子および/またはトランスポーター遺伝子の他に、宿主細胞における複製を可能とする複製起点、および形質転換体を同定する選択マーカー、さらに、好ましくは、酵母由来の適切な転写または翻訳制御配列が、所望により酵素の遺伝子配列に連結されて含まれ得る。制御配列の例には、転写プロモーター、オペレーター、またはエンハンサー、mRNAリボソーム結合部位、ならびに転写および翻訳開始および終結を調節する適切な配列が含まれる。用いることができる転写プロモーターは、宿主細胞内にて遺伝子発現を駆動できる限り、特に限定されず、例えばGAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADH1プロモーター、AOX1プロモーター等を用いることができるが、遺伝子を構成的に発現可能であるPGKプロモーターを用いるのが好ましい。選択マーカーとしては、通常使用されるものを常法により用いることができる。例えばテトラサイクリン、アンピシリン、またはカナマイシンもしくはネオマイシン、ハイグロマイシンまたはスペクチノマイシン等の抗生物質耐性遺伝子やHIS3、TRP1などの栄養要求性遺伝子などが例示される。
宿主細胞として用いることができるものとしては、特に限定するものではないがCandida Shehatae、Scheffersomyces (Pichia) stipitis、Pachysolen tannophilus、Kluyveromyces marxianus、Saccharomyces cerevisiae、およびSchizosaccaromyces pombeなどの酵母が挙げられ、特にSaccharomyces cerevisiaeが好ましい。
ベクターを宿主細胞に導入する方法としては、リン酸カルシウム法または塩化カルシウム/塩化ルビジウム法、エレクトロポレーション法、エレクトロインジェクション法、PEGなどの化学的な処理による方法、遺伝子銃などを用いる方法などが挙げられる。
好ましくは、XR、XDH、およびXK、またはXIおよびXKは、宿主細胞において構成的に発現させる。例えば、XR、XDH、およびXK遺伝子、またはXIおよびXK遺伝子を染色体組込み型ベクター等に導入した後、酵母染色体上に組込み、シングルまたは数コピーで発現させるのが好ましい。これらの遺伝子は、まとめて一つの対立遺伝子上に相同組換えによって染色体DNAに組込まれても良く、また、各遺伝子がそれぞれ別々の対立遺伝子上に相同組換えによって染色体DNAに組込まれても良い。好ましくは、XR、XDH、およびXK遺伝子、またはXIおよびXK遺伝子は、まとめて宿主のDNA上の一つの対立遺伝子上に組込まれている。本発明においては、XR、XDH、およびXK遺伝子の染色体組込み型ベクターについては、特開2009-195220号公報に記載のものを利用することができる。また、本発明においては、特開2009-195220号公報に記載のXR、XDH、およびXK遺伝子が染色体DNAに組込まれた遺伝子組換え酵母を利用することができる。本発明において、XIおよびXK遺伝子をコードするベクターやXIおよびXK遺伝子が組込まれた遺伝子組換え酵母としては例えばvan Maris A.J.ら、Advances in Biochemical Engineering / Biotechnology Vol.108, pp.179-204 (2007)を利用することができる。
上記XR、XDH、およびXK遺伝子が導入された遺伝子組換え酵母またはXIおよびXK遺伝子が導入された遺伝子組み換え酵母を宿主株にして、HAP4遺伝子を破壊、欠失、または不活性化させることによって、目的の遺伝子組換え酵母を得ることができる。あるいは、上記HAP4遺伝子を破壊、欠失、または不活性化させた遺伝子組換え酵母を宿主株にして、XR、XDH、およびXK遺伝子を構成的に過剰発現させるまたはXIおよびXK遺伝子を構成的に過剰発現させることによって、目的の遺伝子組換え酵母を得ることができる。
XR、XDH、およびXK、またはXIおよびXKを構成的に発現させる方法は、上記の方法によって行うことができる。
宿主細胞および当該宿主細胞を欠失または不活性化させた遺伝子を用いて形質転換する方法は、上に定義するとおりである。
本発明に係る遺伝子組換え酵母は、固相に固定化されていても良い。固相としては例えば、ポリアクリルアミドゲル、ポリスチレン樹脂、多孔性ガラス、金属酸化物などが挙げられる(特にこれらに限定されない)。本発明に係る遺伝子組換え酵母を固相に固定することによって、連続反復使用が可能となる点において有利である。
本発明に係る遺伝子組換え酵母は、キシロース発酵可能な従来公知の遺伝子組換え酵母(例えば、特開2009-195220号公報に記載の遺伝子組換え酵母)と比べて、好気条件下でキシロースからエタノール生産が可能で、キシロース消費速度およびグルコース消費速度が速く、かつこれらの混合糖から高効率でエタノールへ変換することができる。
本発明に係る遺伝子組換え酵母は、好気および嫌気条件下でキシロースからエタノールを生産することが可能である。その際、培地に含まれるキシロースの濃度は、0.1〜20 %、好ましくは0.5 %〜5 %、さらに好ましくは、0.7 %〜2 %であり、また培地に含まれるグルコースの濃度は、0.1〜20 %、好ましくは0.2〜10 %、さらに好ましくは、4 %〜8 %である。
また、本発明に係る遺伝子組換え酵母は、発酵反応によりリグノセルロース系バイオマスから調整した糖化液からエタノールを生産することが可能である。糖化液は、特に限定するものではないが、木質(特にキシランを多く含む広葉樹)や農産廃棄物等の草本などのリグノセルロース系バイオマスに由来するものから調製することが可能である。糖化液を調製するための糖化技術は、当該分野において一般的な手法を用いることができ、酸分解法でも良いし酵素糖化法でも良いが、好ましくは、高効率と低環境負荷が期待できる非硫酸前処理・酵素糖化法である。実際、酵母を用いて発酵させる際には、解毒処理していない糖化液を直接用いても良いし、解毒処理した糖化液を用いても良い。糖化液のpHは未処理の酸性糖化液を用いても良いし、中性付近に調整してから用いても良いが、好ましくは中性付近に調整してから用いる。糖化液にyeast extractやpeptoneなどの栄養源を加えても良いし、加えなくても良いが、好ましくは1 %のyeast extractを加える。
上記培養によるエタノール生産反応は、当業者に公知である一般的な方法によって行うことが可能である。培養温度は25 ℃〜38 ℃、好ましくは27 ℃〜33 ℃、さらに好ましくは30 ℃に制御する。培地のpHは、3.0〜7.6、好ましくは、5.0〜6.0、さらに好ましくは5.5に制御する。培養条件は嫌気的であっても好気的であってもよい。例えば本発明に係る遺伝子組換え酵母は嫌気条件の発酵反応でもキシロースやグルコースとの混合糖からエタノールを生産できるが、キシロース発酵可能な従来公知の遺伝子組換え酵母より優れたエタノール生産性を得るには酸素が存在する状態が必要であり、そのため、培養させる前に系内の酸素濃度および培地中の溶存酸素濃度を上げる操作(例えば、三角フラスコ等で実施する場合は、培養液に対して十分な上部空間を取り、シリコンチューブ等で栓をし、通気培養や振盪培養する)を行うことが好ましい。反応は、連続式で行っても、バッチ式で行っても良い。
培養開始から0〜192時間、好ましくは0〜96時間、さらに好ましくは、72時間後の培地を回収してエタノールを分離する。培地よりエタノールを分離する方法は、蒸留、浸透気化膜等の公知の方法が用いられるが、蒸留による方法が好ましい。次いで、分離したエタノールをさらに精製(エタノール精製法としては、公知の方法、例えば蒸留等を用いることができる)することによって、エタノールを得ることができる。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1:遺伝子組換え酵母株の作製
HAP4転写アクティベーターのエタノール生産における重要性を検討するために、HAP4遺伝子を欠損したノックアウト酵母にキシロース代謝系遺伝子発現カセットを導入して形質転換酵母を作製し、HAP4遺伝子が破壊されていない野性型酵母にキシロース代謝系酵素遺伝子を導入したコントロール株と共に、これら遺伝子組換え酵母株のキシロースからのエタノール生産能を比較した。
そのために、ノックアウト酵母のコレクションの中からHAP4遺伝子を欠損した酵母をオープンバイオシステムズ社から取得し(親株はBY4742株)、キシロース代謝系酵素(XR、XDHおよびXK)遺伝子を酵母染色体に組み込める発現カセットpAURXKXDH(WT)XR(特願2008-211274(特開2009-195220)を参照)をYEASTMAKER yeast transformation system 2(クロンテック社)を用いてリチウム酢酸法により形質転換して、キシロース資化性を付与した遺伝子組換え酵母B42-DHAP4株を作製した。一方、BY4742株にpAURXKXDH(WT)XRを導入して遺伝子組換え酵母MA-B42株(コントロール株)を作製した。これら組換え酵母株におけるXR、XDH、XK活性を測定したところ(特願2008-211274(特開2009-195220)を参照)、いずれも高い酵素活性を保持していることが分かった。
実施例2:遺伝子組換え酵母の培養(1)
まずは通常のエタノール発酵実験のために、HAP4遺伝子を欠損したノックアウト酵母(B42-DHAP4株)とそのコントロール酵母(MA-B42株)を、20 g/lグルコースを含む合成培地(20 g/l ポリペプトン、 10 g/l yeast extract : YPD培地)において30℃で36時間、好気的に培養した。遠心分離により集菌後、滅菌水で洗浄し、20 mlの発酵用培地(20 g/lキシロースを含む最少培地: SX培地(20 g/l キシロース、7 g/l NH4Cl、5 g/l KH2PO4、0.8 g/l MgSO4・7H2O、pH 5.0))またはSDX培地(20 g/l キシロース、40 g/l グルコース、7 g/l NH4Cl、5 g/l KH2PO4、0.8 g/l MgSO4・7H2O、pH 5.0))に適量を接種した(菌体量を統一)。発酵液は攪拌棒を入れた50 mlの密封型のバイアルにおいて、緩やかに攪拌しながら30℃で嫌気的に培養した。
実施例3:エタノール濃度の測定(1)
エタノール、グルコース、キシロース、キシリトール、他の副産物の濃度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC; 日本分光株式会社)を用いて測定した。分離カラムはHPX-87Hカラム(Bio-Rad社)を用い、HPLC装置は5 mM H2SO4で0.6 ml/minの流速で流し、65℃で運転した。酵母の増殖は分光光度計Biowave II(WPA社)を用いて600 nmでの波長を測定した。解析の結果、これら遺伝子組換え酵母間で嫌気的な増殖速度に顕著な違いはみられなかった。また、SX培地において、コントロール酵母(MA-B42株)とノックアウト酵母(B42-DHAP4株)のキシロース消費速度はほとんど変わらなかった。SDX培地では、グルコースの消費速度は両組換え酵母株でほとんど変わらなかったが、キシロースの消費速度はコントロール酵母(MA-B42株)よりもノックアウト酵母(B42-DHAP4株)の方がわずかに遅れた。
図2は、2種類の遺伝子組換え酵母(MA-B42株およびB42-DHAP4株)を用いて、20 g/Lのキシロースを含む発酵培地(SX培地)を用いた嫌気培養における、これら遺伝子組換え酵母株のエタノール生産量(図2を参照)を経時的に示した図である。
SX培地において、B42-DHAP4株はコントロール株よりもややエタノール生産開始の時間が速かったが、エタノール生産開始後は両組換え酵母株のエタノール生産速度に顕著な差はなかった。コントロール株のMA-B42株は、72時間後に3.4 g/Lのエタノールを生産したのに対し、ノックアウト酵母のB42-DHAP4株は、72時間後に3.8 g/Lのエタノールを生産した。SDX培地において、24時間までB42-DHAP4株はコントロール株よりもややエタノール生産速度が速かった。このように、嫌気的発酵条件下では、キシロースを唯一の炭素源とした場合、B42-DHAP4株はコントロール株よりもややエタノール生産開始の時間が速くなるが、グルコースとキシロースの混合糖を炭素源とする場合では、エタノール生産開始時間に変化はない。また、混合糖を炭素源とする場合、発酵の初期ではコントロール株と比べてB42-DHAP4株の方がややエタノール生産量が増加する。
実施例4:遺伝子組換え酵母の培養(2)
次に好気条件下でのエタノール生産能を調べるために、HAP4遺伝子を欠損したノックアウト酵母(B42-DHAP4株)とそのコントロール酵母(MA-B42株)を、20 g/lグルコースを含む合成培地(20 g/l ポリペプトン、 10 g/l yeast extract : YPD培地)において30℃で36時間、好気的に培養した。遠心分離により集菌後、滅菌水で洗浄し、50 mlの培養用培地(18 g/lキシロースを含む最少培地: SX培地(18 g/l キシロース、7 g/l NH4Cl、5 g/l KH2PO4、0.8 g/l MgSO4・7H2O、pH 5.0))またはSDX培地(18 g/l キシロース、40 g/l グルコース、7 g/l NH4Cl、5 g/l KH2PO4、0.8 g/l MgSO4・7H2O、pH 5.0))に適量を接種した(菌体量を統一)。培養液はシリコン栓をはめた300 mlの三角フラスコにおいて、振盪培養器で攪拌しながら30℃で好気的に培養した。
実施例5:エタノール濃度の測定(2)
エタノール、グルコース、キシロース、キシリトール、他の副産物の濃度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC; 日本分光株式会社)を用い、実施例3と同様の方法で運転した。酵母の増殖は分光光度計Biowave II(WPA社)を用いて600 nmでの波長を測定した。解析の結果、これら遺伝子組換え酵母間で好気的な増殖速度に顕著な違いはみられなかった。
図3は、2種類の遺伝子組換え酵母(MA-B42株およびB42-DHAP4株)を用いて、18 g/Lのキシロースを含む発酵培地(SX培地)を用いた好気培養における、これら遺伝子組換え酵母株のキシロース消費量(図3のAを参照)およびエタノール生産量(図3のBを参照)を経時的に示した図である。
まずキシロース消費量であるが、コントロール酵母のMA-B42株と比較して、ノックアウト酵母のB42-DHAP4株はキシロース消費速度が速くなった。72時間後にMA-B42株は43%のキシロースを消費したのに対し、B42-DHAP4株は50%のキシロースを消費した。キシロース消費量に伴い、エタノール生産量についても酵母株間で差が生じた。コントロール酵母のMA-B42株は、発酵期間中全くエタノールを生産しなかったのに対し、ノックアウト酵母のB42-DHAP4株は、72時間後に2.2 g/Lのエタノールを生産した。また、両酵母株とも、中間代謝物であるグリセロールは少量生産されたが(2.0 g/l以下)、キシリトールは全く生産されなかった。一方、MA-B42株は酢酸を全く生産しなかったが、B42-DHAP4株は少量の酢酸を生産した(1.8 g/l以下)。これらの結果から、本来、キシロース資化性を付与した組換え酵母でも、好気的条件下ではキシロースからエタノールを生産することができないが、HAP4遺伝子を破壊(欠失)させることで、好気条件下でキシロースからエタノールを生産できることが明らかとなった。
一方、図4は、2種類の遺伝子組換え酵母(MA-B42株およびB42-DHAP4株)を用いて、18 g/Lのキシロースおよび40 g/Lのグルコースを含む発酵培地(SDX培地)を用いた好気培養における、これら遺伝子組換え酵母株の糖(キシロースおよびグルコース)消費量(図4のAを参照)およびエタノール生産量(図4のBを参照)を経時的に示した図である。
ノックアウト酵母のB42-DHAP4株のキシロース消費速度は、コントロール酵母のMA-B42株のものと比較してやや速くなったが、それほど顕著な差ではなかった。一方、B42-DHAP4株のグルコース消費速度は、コントロール酵母のMA-B42株のものよりも顕著に速くなった。MA-B42株はグルコースを完全に消費するのに72時間必要であったが、B42-DHAP4株は55時間でグルコースを完全に消費した。さらに、B42-DHAP4株のエタノール生産量は、MA-B42株の生産量を大きく上回った。MA-B42株は72時間後に17.9 g/Lのエタノールを生産し、全糖消費量からのエタノール収率は60 %であったのに対し、B42-DHAP4株は72時間後に20.2 g/Lのエタノールを生産し、全糖消費量からのエタノール収率は68 %であった。これらの結果から、B42-DHAP4株はMA-B42株と比べて、キシロースおよびグルコースの混合糖からのエタノール生産量が増加することに加え、糖からエタノールへの変換効率が良くなることが示唆された。両酵母株とも、中間代謝物であるキシリトールは全く生産されなかったが、グリセロールおよび酢酸は少量生産された(それぞれ2.9 g/l および4.0 g/l以下)。興味深いことに、グリセロール生産量は、MA-B42株よりB42-DHAP4株の方が多く、逆に酢酸生産量は、B42-DHAP4株よりMA-B42株の方が多かった。
実施例6:遺伝子組換え酵母の培養(3)
次に、本発明の遺伝子組換え酵母が、リグノセルロース系バイオマスから調製した糖化液に含まれるグルコースやキシロースからエタノールを生産する効率を調べるために、HAP4遺伝子を欠損したノックアウト酵母(B42-DHAP4株)とそのコントロール酵母(MA-B42株)を、20 g/lグルコースを含む合成培地(20 g/l ポリペプトン、 10 g/l yeast extract : YPD培地)において30℃で36時間、好気的に培養した。遠心分離により集菌後、滅菌水で洗浄し、針葉樹スギから調製した糖化液(72.0 g/lのグルコース、1.1 g/lのマンノース、1.1 g/lのガラクトース、6.5 g/lのキシロースを含む)20 mlに適量を接種した(菌体量を統一)。発酵液は攪拌棒を入れた50 mlの密封型のバイアルにおいて、緩やかに攪拌しながら30℃で嫌気的に培養した。糖化液の調整方法は、特願2008-211274(特開2009-195220)に従った。
実施例7:エタノール濃度の測定(3)
エタノール、グルコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、キシリトール、他の副産物の濃度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC; 日本分光株式会社)を用いて測定した。分離カラムはHPX-87Pカラム(Bio-Rad社)を用い、HPLC装置はH2Oで0.6 ml/minの流速で流し、70℃で運転した。酵母の増殖は分光光度計Biowave II(WPA社)を用いて600 nmでの波長を測定した。解析の結果、コントロール酵母(MA-B42株)よりもノックアウト酵母(B42-DHAP4株)の好気的増殖速度がわずかに遅くなったが、顕著な差ではなかった。
図5は、2種類の遺伝子組換え酵母(MA-B42株およびB42-DHAP4株)を用いて、72.0 g/lのグルコースと6.5 g/lのキシロースを含むスギ糖化液において好気培養した結果、これら遺伝子組換え酵母株の糖(キシロースおよびグルコース)消費量(図5のAを参照)、エタノール生産量(図5のBを参照)を経時的に示した図である。
いずれの酵母株も、グルコースを48時間以内に完全に消費したが、実施例5の混合糖培養の結果と同様に、B42-DHAP4株のグルコース消費速度は、コントロール酵母のMA-B42株のものよりも顕著に速くなった。しかしながら、キシロースはいずれの酵母株においても72時間以内に消費しなかった。一方、いずれの酵母株も、マンノースを31時間以内に消費したが、ガラクトースは72時間以内に消費しなかった。その結果、48時間後にMA-B42株およびB42-DHAP4株はそれぞれ30.2 g/l、33.3 g/lのエタノールが生産され、スギ糖化液に含まれる混合糖から、B42-DHAP4株はコントロール酵母よりもエタノールを高生産することができた。MA-B42株およびB42-DHAP4株の全糖消費量からのエタノール収率は、それぞれ68.3 %および79.9 %であり、B42-DHAP4株はコントロール酵母よりもエタノール収率が顕著に高かった。また、中間代謝物であるグリセロールは主にグルコース発酵時に少量生産されたが(1.0 g/l以下)、キシリトールは全く生産されなかった。これらの結果から、本発明の酵母株はリグノセルロース系バイオマスから調製した糖化液からもエタノールを高生産することが可能であり、キシロース資化性を付与し、かつHAP4遺伝子を破壊(欠失)させた酵母を好気的に培養することで、リグノセルロース系バイオマス由来混合糖からエタノールを高生産する上で有用であることが示された。
これらの実施例から、本発明の遺伝子組換え酵母(B42-DHAP4株)は、合成培地中のキシロースやグルコースとキシロースの混合糖のみならず、リグノセルロース系バイオマスから調製した糖化液に含まれるグルコースやキシロースなどの糖も効率よくエタノールに変換できることが明らかとなった。
代替的方法
上記のとおり、HAP4遺伝子を欠損しXR、XDH及びXKを導入した組換え酵母株(B42-DHAP4株)について、合成培地中のキシロースやグルコースとキシロースの混合糖のみならず、グルコースやキシロースなどの糖も効率よくエタノールに変換できることを実証した。酵母にキシロース発酵性を付与する方法としては、XR、XDH及びXKを導入する代わりに、キシロースイソメラーゼ(XI)とXKを導入する方法も知られている(van Maris A.J.ら、Advances in Biochemical Engineering / Biotechnology Vol.108, pp.179-204 (2007)を参照)。したがってHAP4遺伝子を欠損しXI及びXKを導入した遺伝子組換え酵母株についても、同様に合成培地中のキシロースやグルコースとキシロースの混合糖、ならびにグルコースやキシロースなどの糖も効率よくエタノールに変換できると考えられる。この代替的方法について以下に説明する。
まず実施例1に記載の方法と同様にして、ノックアウト酵母のコレクションの中からHAP4遺伝子を欠損した酵母をオープンバイオシステムズ社から取得し(親株はBY4742株)、キシロース代謝系酵素(XIおよびXK)遺伝子を酵母染色体に組み込める発現カセットをYEASTMAKER yeast transformation system 2(クロンテック社)を用いてリチウム酢酸法により形質転換し、キシロース資化性を有する遺伝子組換え酵母株を作製する。XI遺伝子は配列番号5に記載のものを用いることができる。必要であればBY4742株にXIおよびXKが導入された遺伝子組換え酵母株をコントロール株として作製する。これら組換え酵母株におけるXI、XK活性を測定し、酵素活性を保持していることを確認する。
次に実施例2に記載の方法と同様にして、作製された遺伝子組換え酵母を培養する。具体的には通常のエタノール発酵実験のために、HAP4遺伝子を欠損したノックアウト酵母株を、20 g/lグルコースを含む合成培地(20 g/l ポリペプトン、 10 g/l yeast extract : YPD培地)において30℃で36時間、好気的に培養する。遠心分離により集菌後、滅菌水で洗浄し、20 mlの発酵用培地(20 g/lキシロースを含む最少培地: SX培地(20 g/l キシロース、7 g/l NH4Cl、5 g/l KH2PO4、0.8 g/l MgSO4・7H2O、pH 5.0))またはSDX培地(20 g/l キシロース、40 g/l グルコース、7 g/l NH4Cl、5 g/l KH2PO4、0.8 g/l MgSO4・7H2O、pH 5.0))に適量を接種する(菌体量を統一)。発酵液は攪拌棒を入れた50 mlの密封型のバイアルにおいて、緩やかに攪拌しながら30℃で嫌気的に培養する。
次に実施例3に記載の方法と同様にしてエタノール濃度の測定を行う。具体的にはエタノール、グルコース、キシロース、キシリトール、他の副産物の濃度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC; 日本分光株式会社)を用いて測定する。分離カラムはHPX-87Hカラム(Bio-Rad社)を用い、HPLC装置は5 mM H2SO4で0.6 ml/minの流速で流し、65℃で運転する。酵母の増殖は分光光度計Biowave II(WPA社)を用いて600 nmでの波長を測定する。必要に応じてコントロール酵母との比較を行う。
次に実施例4に記載の方法と同様にして遺伝子組換え酵母の培養を行う。具体的にはHAP4遺伝子を欠損しXIおよびXK遺伝子が導入された酵母を、20 g/lグルコースを含む合成培地(20 g/l ポリペプトン、 10 g/l yeast extract : YPD培地)において30℃で36時間、好気的に培養する。遠心分離により集菌後、滅菌水で洗浄し、50 mlの培養用培地(18 g/lキシロースを含む最少培地: SX培地(18 g/l キシロース、7 g/l NH4Cl、5 g/l KH2PO4、0.8 g/l MgSO4・7H2O、pH 5.0))またはSDX培地(18 g/l キシロース、40 g/l グルコース、7 g/l NH4Cl、5 g/l KH2PO4、0.8 g/l MgSO4・7H2O、pH 5.0))に適量を接種する(菌体量を統一)。培養液はシリコン栓をはめた300 mlの三角フラスコにおいて、振盪培養器で攪拌しながら30℃で好気的に培養する。
次に実施例5に記載の方法と同様にしてエタノール濃度の測定を行う。具体的にはエタノール、グルコース、キシロース、キシリトール、他の副産物の濃度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC; 日本分光株式会社)を用い、実施例3と同様の方法で運転する。酵母の増殖は分光光度計Biowave II(WPA社)を用いて600 nmでの波長を測定する。
次に実施例6に記載の方法と同様にして遺伝子組換え酵母の培養を行う。具体的にはHAP4遺伝子を欠損しXIおよびXK遺伝子が導入された酵母を、20 g/lグルコースを含む合成培地(20 g/l ポリペプトン、 10 g/l yeast extract : YPD培地)において30℃で36時間、好気的に培養する。遠心分離により集菌後、滅菌水で洗浄し、針葉樹スギから調製した糖化液(72.0 g/lのグルコース、1.1 g/lのマンノース、1.1 g/lのガラクトース、6.5 g/lのキシロースを含む)20 mlに適量を接種する(菌体量を統一)。発酵液は攪拌棒を入れた50 mlの密封型のバイアルにおいて、緩やかに攪拌しながら30℃で嫌気的に培養する。糖化液の調整方法は、特願2008-211274(特開2009-195220)に従う。
次に実施例7に記載の方法と同様にしてエタノール濃度の測定を行う。具体的にはエタノール、グルコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、キシリトール、他の副産物の濃度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC; 日本分光株式会社)を用いて測定する。分離カラムはHPX-87Pカラム(Bio-Rad社)を用い、HPLC装置はH2Oで0.6 ml/minの流速で流し、70℃で運転する。酵母の増殖は分光光度計Biowave II(WPA社)を用いて600 nmでの波長を測定する。
本発明の遺伝子組換え酵母を用いた好気的な培養によって、従来公知であるXR、XDH、およびXKだけを発現させた遺伝子組換え酵母を用いた場合よりも、キシロースやグルコースとキシロースの混合糖からエタノールを効率良く高生産することができる。これにより、リグノセルロース系バイオマスに含まれるキシロースを次世代の液体エネルギーとして期待されているエタノールへの高効率での変換を実現できる。
配列番号1 XR遺伝子
配列番号2 XDH遺伝子
配列番号3 XK遺伝子
配列番号4 HAP4遺伝子
配列番号5 XI遺伝子

Claims (6)

  1. Scheffersomyces (Pichia) stipitisに由来するキシロースレダクターゼ遺伝子、Scheffersomyces (Pichia) stipitisに由来するキシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子およびSaccharomyces cerevisiaeに由来するキシルロキナーゼ遺伝子が導入されており、さらに宿主であるSaccharomyces cerevisiaeのHAP4遺伝子が破壊、欠失、または不活性化している、キシロースからエタノールを高効率に生産できる、Saccharomyces cerevisiaeを宿主として作製される遺伝子組換え酵母。
  2. 前記キシロースレダクターゼ遺伝子、キシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子およびキシルロキナーゼ遺伝子が染色体組込みにより酵母に組み込まれており、それにより構成的に過剰発現可能である、請求項1に記載の遺伝子組換え酵母。
  3. 前記宿主であるSaccharomyces cerevisiaeが、Saccharomyces cerevisiae BY4742株である、請求項1又は2に記載の遺伝子組換え酵母。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の遺伝子組換え酵母を用い、好気的条件下で行う、キシロースからエタノールを生産する方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の遺伝子組換え酵母を用い、好気的条件下で行う、グルコースとキシロースの混合糖からエタノールを生産する方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の遺伝子組換え酵母を用い、好気的条件下で行う、リグノセルロース系バイオマスから調製した糖化液からエタノールを生産する方法。
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