JP6316011B2 - 抗癌剤が担持されたナノ粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、表面修飾ナノ粒子、及び該表面修飾ナノ粒子を含む癌治療用の医薬組成物に関する。
ナノダイヤモンド(以下、NDと称することもある)は、ダイヤモンド固有の性質に加え、平均粒径が小さく、比表面積が大きいという特徴を有しており、更には、比較的安価であり、入手が容易という利点がある。ナノダイヤモンドは、爆発法や高温高圧法によって製造することができる。
爆発法は、トリニトロトルエン及びヘキソーゲンを爆発させることにより、ナノサイズのダイヤモンドを得る方法である。この方法で得られるナノダイヤモンドは、ある程度、水に溶解するものの、アモルファスカーボンやグラファイトなどの他の炭素質の混入が多いという問題に加えて、表面化学構造の制御が難しいという問題も有する。
一方、高温高圧法は、例えば、密閉された高圧容器内において、鉄やコバルトなどの金属の存在下で、原料グラファイト粉末を1〜100 GPaの高圧及び800〜2000℃の高温に保持して、ダイヤモンドに直接相転移させる方法である。この方法で合成したバルクダイヤモンドを粉砕して得られるナノダイヤモンドは、アモルファスカーボンやグラファイトなどの他の炭素質の混入が少なく、分離後の粒径も比較的揃っているが、水や有機溶媒への溶解性、分散性及び分散安定性が低いという問題がある。
そのため、水や極性有機溶媒への溶解性、分散性及び分散安定性を向上させるために、ナノダイヤモンドの表面を高分子により修飾することが提案されている。例えば、特許文献1では、ナノダイヤモンドの表面を、ポリグリセリン鎖を含む特定の基で修飾することにより、水や極性有機溶媒への溶解性、分散性及び分散安定性が大幅に向上することが報告されている。
また、ナノダイヤモンドは毒性の低さ、優れた生体適合性及び安定した蛍光特性を有することから、生物医療分野での応用が幅広く研究されている。しかしながら、生理的媒体へのナノダイヤモンドの溶解性やコロイド安定性の低さのために、現在まで、生物医療分野のインビボでのナノダイヤモンドの応用は限定的である。
ナノダイヤモンドの生物医療分野での応用の例として、非特許文献1では、ナノダイヤモンドに抗癌剤であるシスプラチン(以下、CDDPと称することもある)を担持させることによりCDDP-ND複合体を作製したこと、pHが酸性領域にある場合に複合体からシスプラチンを遊離させることが可能であること、複合体から遊離した薬剤は遊離のCDDPと同程度の細胞毒性を保持していることが報告されている。
特開2010-248023号公報
Bo Guan et al., Small 2010, 6, No.14, 1514-1519
しかしながら、非特許文献1では、インビトロでの実験が行われているのみで、インビボの実験は行われていない。ナノダイヤモンドの生理的媒体への低い溶解性を考慮すると、非特許文献1に記載のCDDP-ND複合体を直接生体に導入すれば、血管の閉塞が起こることが予想され、インビボ実験に用いることは困難である。
また、特許文献1には、ポリグリセリン鎖により表面修飾されたナノダイヤモンドの用途として、化学機械研磨向け研磨剤やドレッサー用材料などが記載されているが、医薬分野への応用については記載されていない。
そこで、本発明は、生理的環境下で優れた溶解性を示し且つ医薬として使用可能な表面修飾ナノ粒子、及び該表面修飾ナノ粒子を含む癌治療用の医薬組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、ナノダイヤモンドの表面をポリグリセリン(以下、PGと称することもある)により修飾し、このポリグリセリンに更に抗癌剤を結合させることによって、上記目的を達成することができるという知見を得た。
本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の表面修飾ナノ粒子及び医薬組成物を提供するものである。
(I) 表面修飾ナノ粒子
(I-1) ポリグリセリンによって表面修飾されたナノ粒子であって、
該ポリグリセリンには抗癌作用を有する化合物が結合しており、
該ナノ粒子が、ナノダイヤモンド、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンドット、酸化鉄ナノ粒子、酸化亜鉛ナノ粒子、アルミナナノ粒子、金ナノ粒子及びシリカナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含む、表面修飾ナノ粒子。
(I-2) 前記ポリグリセリンには、更に標的化ペプチドが結合している、(I-1)に記載の表面修飾ナノ粒子。
(I-3) 前記ナノ粒子が、ナノダイヤモンドである、(I-1)又は(I-2)に記載の表面修飾ナノ粒子。
(I-4) 前記抗癌作用を有する化合物が、Ptを含有するものである、(I-1)〜(I-3)のいずれか一項に記載の表面修飾ナノ粒子。
(I-5) 前記標的化ペプチドが、RGD、TAT及びLFPLHからなる群から選択される少なくとも1種である、(I-1)〜(I-4)のいずれか一項に記載の表面修飾ナノ粒子。
(II) 医薬組成物
(II-1) (I-1)〜(I-5)のいずれか一項に記載の表面修飾ナノ粒子を含む癌治療用の医薬組成物。
本発明の表面修飾ナノ粒子は、生理的環境下で優れた溶解性を示すため、直接、生体の血中への投与が可能であり、生体内で抗癌作用を発揮することができる。また、急性毒性が無いことが確認されている。
さらに、ナノ粒子に担持された抗癌作用を有する化合物が、血中のpHでは遊離速度は遅く、癌細胞中のpH範囲(pH = 5付近)において遊離が加速される場合は、本発明の表面修飾ナノ粒子に、特定の癌細胞に選択的に結合する標的化ペプチドを結合させることで、目的とする癌細胞のみを効果的に死滅させることが可能となる。
合成例のスキームを示す図である。i) グリシドール, 140℃, 20 h; ii) p-TsCl, ピリジン, 0℃〜r. t., overnight; iii) NaN3, 90℃, overnight; iv) 無水コハク酸, DMAP, ピリジン, 0℃〜r. t., overnight; v) RGDプロパルギルアミド, 硫酸銅(II)五水和物, アスコルビン酸ナトリウム, r. t., 48 h; vi)シスプラチン, 0.5 M NaOH, pH 8.0, r. t., 72℃ 試験例1の結果を示すグラフである。1:PBS、2:ND50-PG、3:CDDP、4:ND-PG-Pt、5:ND-PG-RGD-Pt
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の表面修飾ナノ粒子は、ポリグリセリンによって表面修飾され、該ポリグリセリンには抗癌作用を有する化合物が結合していることを特徴とする。また、本発明の医薬組成物は、上記表面修飾ナノ粒子を含むことを特徴とする。
ナノ粒子の平均粒子径は、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、好ましくは3〜200 nmであり、より好ましくは10〜150 nm、特に好ましくは20〜100 nmである。ナノ粒子の製造条件及び製造後の分級操作条件を適宜設定することで種々の粒子径のナノ粒子を得ることができ、また市販品により種々の粒子径のナノ粒子を入手できる。
ナノ粒子としては、例えば、ナノダイヤモンド、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンドット、酸化鉄ナノ粒子、酸化亜鉛ナノ粒子、アルミナナノ粒子、金ナノ粒子,
シリカナノ粒子等が挙げられるが、好ましくは、ナノダイヤモンドである。ナノ粒子は、これらを単独で又は2種以上含んでいてもよい。
ナノ粒子を表面修飾するために、ポリグリセリンに加えて他の親水性高分子を使用することもできる。そのような親水性高分子としては、ナノ粒子を表面修飾することで水溶性を向上させることができるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などが挙げられる。これらの親水性高分子は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
親水性高分子として、ポリグリセリン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸のように水酸基やカルボキシル基のような親水性基を多く含む高分子を使用した場合は、非特許文献1に記載されているようなナノダイヤモンドに抗癌作用を有する化合物を直接結合させる場合と比較して、抗癌作用を有する化合物の担持量を増大させことができるため望ましい。また、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の直鎖状高分子に比べ、分枝高分子であるポリグリセリンは、ナノ粒子表面をより密に被覆することができ、より好ましい。
親水性高分子は、ナノ粒子に直接結合していてもよく、又はナノ粒子の表面に導入された各種官能基やリンカーを介して結合していてもよい。
ポリグリセリン又はポリエチレングリコールによるナノダイヤモンドの表面修飾は、それぞれ特開2010-248023号公報又は特開2010-202458号公報の記載に従い行うことができる。
以下、ポリグリセリンによって表面修飾されたナノダイヤモンドの実施態様について説明する。
ポリグリセリンの数平均重合度nは、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、例えば、直径30 nm のナノダイヤモンドの場合、好ましくは10〜1010、より好ましくは102〜108、特に好ましくは103〜106である。なお、ここでの数平均重合度nとは、1粒子のナノダイヤモンドの表面官能基すべてに結合するポリグリセリンを構成するグリシドール単位の数として定義される。ポリグリセリンの数平均重合度nは、ポリグリセリンで被覆されたナノダイヤモンドの元素分析、熱重量分析の組み合わせにより求めることができる。
数平均重合度nが小さすぎる場合、ナノダイヤモンドを溶解するのに十分な親水性が得られず、溶媒への安定な分散状態を維持することができなくなる。数平均重合度nが大きすぎる場合、ナノダイヤモンド粒子間でポリグリセリン高分子鎖同士が絡み合いを起こして粒子の凝集を起こしやすくなる他、ダイヤモンド材料としての特性が希釈されてしまうことになる。
ポリグリセリンによるナノダイヤモンドの表面修飾は、例えば、ナノダイヤモンドに直接グリシドールを開環重合させることにより行うことができる。ナノダイヤモンドの表面には、製造過程で生じるカルボキシル基及び水酸基が本来的に存在しているので、これらの官能基とグリシドールを反応させることで、ナノダイヤモンドの表面にポリグリセリンを結合させることができる。
また、ポリグリセリンによるナノダイヤモンドの表面修飾は、表面に活性水素を含む官能基を導入したナノダイヤモンドに、グリシドールを開環重合させることによっても行うことができる。活性水素を含む官能基としては、例えば、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基(チオール基)、ホスフィン酸基等が挙げられる。ナノダイヤモンドに活性水素を含む官能基を導入する方法としては、例えば、ナノダイヤモンドを水素気流中、400〜1000℃に加熱して還元し、一旦水素化ナノダイヤモンドとした後、これに導入すべき官能基に対応する反応剤を反応させる方法を挙げることができる(特開2007−238411号公報参照)。また、ナノダイヤモンドの製造過程で生じた構造欠陥として表面に残留している不飽和結合を直接に酸化することでも、カルボキシル基及び水酸基をナノダイヤモンド表面に追加的に導入することが可能である。
上記の方法の中でも、活性水素を含む官能基を導入し、この官能基にグリシドールを開環重合させる方法は、ポリグリセリンの導入率等において優れているのでより好ましい。
ナノダイヤモンドとグリシドールとの反応(開環重合)は、例えば、不活性ガス雰囲気下でナノダイヤモンドにグリシドール及び触媒を添加し、50〜100℃で加熱することによって実施することができる。触媒としては、酸性触媒及び塩基性触媒のいずれも使用することができる。酸性触媒としては、例えば、トリフルオロホウ素エーテラート、酢酸、リン酸等が挙げられ、塩基性触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
グリシドールの開環重合条件は、S. R. Sandler et al., J. Polym. Sci., Polym. Chem. Ed., Vol. 4, 1253-1259(1966)、E. J. Vanderberg, J. Polym. Sci., Polym. Chem. Ed., vol. 23, 915-949(1985)、G. R. Newcome et al., Dendritic Macromolecules: Concepts, Syntheses, Perspectives, VCH, Weinheim(1996)等に記載されている。
ポリグリセリンにより表面修飾されたナノダイヤモンドにおけるポリグリセリンの導入量は、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、ナノダイヤモンドとポリグリセリンの重量比は、好ましくは60:40〜90:10であり、より好ましくは60:40〜75:25の範囲である。なお、ナノダイヤモンドに活性水素を含む官能基を導入した後、ポリグリセリンをグリシドールの開環重合により形成する場合は、ナノダイヤモンドとポリグリセリンの重量比におけるポリグリセリンの重量には、当該官能基に対応する構造部の重量も含まれるものとする。ポリグリセリンとナノダイヤモンドの重量比は、示差熱天秤分析装置(TG-DTA)を用いて表面修飾ナノダイヤモンドの熱処理時の重量変化を測定することにより、又は元素分析によるCHNO組成比により求めることができる。
ポリグリセリンの導入量が少なすぎる場合、ナノダイヤモンド表面のポリグリセリンによる被覆量が不足し、粒子の凝集を防ぐ効果が損なわれ易くなり、溶媒への安定な分散状態を維持できなくなる。また、ポリグリセリンの導入量が多すぎる場合、ダイヤモンド材料としての特性が希釈されてしまうことになる。
ポリグリセリンによって表面修飾されたナノダイヤモンドは、製造後、必要に応じて、濃縮、遠心分離、沈殿、抽出、洗浄、濾過、乾燥又はこれらを2以上組み合わせることにより精製することができる。
抗癌作用を有する化合物としては、例えば、スマンクス、ロイコボリンカルシウム、ネオカルチノスタチン、マイトマイシンC、アドレアマイシン、塩酸イリノテカン、フルオロウラシル、塩酸エピルビシン、クレスチン、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、ロバプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、アルトレタミン、ブレオマイシン、硫酸ビンブラスチン、塩酸ピラルビシン、塩酸ドキソルビシン、ピシバニール、ビンブラスチン、レンチナン、シクロホスファミド、チオテパ、テガフール、ドキソルビシン等が挙げられる。中でも、好ましくは、Ptを含有するもの(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、ロバプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン等)である。これらの抗癌作用を有する化合物は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
抗癌作用を有する化合物は、ポリグリセリンの末端に結合していることが望ましい。また、抗癌作用を有する化合物は、ポリグリセリンに直接結合していてもよく、又はポリグリセリンに導入された各種官能基やリンカーを介してポリグリセリンに結合していてもよい。
ポリグリセリンには、更に標的化ペプチドが結合していてもよい。標的化ペプチド(ホーミングペプチドの意味も含む)としては、特定の細胞(特に、癌細胞)に選択的に結合するペプチドであれば特に限定されないが、例えば、RGD (Arg-Gly-Asp)、TAT (YGRKKRPQRRR)、LFPLH (Leu-Phe-Pro-Leu-His)ペプチド等を挙げることができる。その他の標的化ペプチドとしては、Nature Communications, DOI: 10.1038/ncomms1952に記載されているDSLKSYWYLQKFSWR, KLWMRWWSPTTRRYG, RLWMRWYSPWTRRWG, RLIMRIYAPTTRRYG, RLYMRYYSPTTRRYG, RLWMRWYSPRTRAYG, KRPTMRFRYTWNPMK, WKCRRQCFRVLHHWN, WKCRRQAFRVLHHWN, WKARRQCFRVLHHWNなどを挙げることができる。これらの標的化ペプチドには、上記特定の配列のペプチドだけでなく、本来の機能を失わない範囲で、前後に1個以上のアミノ酸が結合したものや誘導体化等されたものも含まれる。これらの標的化ペプチドは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。このような標的化ペプチドを使用することにより、目的とする癌細胞に選択的に抗癌作用を有する化合物を作用させることが可能となる。また、目的とする癌細胞に選択的に抗癌作用を有する化合物を作用させるために、ペプチド以外にもハーセプチン等の抗体や葉酸等の分子なども使用することができる。
標的化ペプチドは、ポリグリセリンの末端に結合していることが望ましい。また、標的化ペプチドは、ポリグリセリンに直接結合していてもよく、又はポリグリセリンに導入された各種官能基やリンカーを介してポリグリセリンに結合していてもよい。
ポリグリセリンとしては、抗癌作用を有する化合物及び標的化ペプチドのいずれもが結合していないものが存在していてもよい。また、抗癌作用を有する化合物及び標的化ペプチドは、両方が同一のポリグリセリンに結合していてもよく、又は別のポリグリセリンに結合していてもよい。
医薬組成物として調製する場合、上記表面修飾ナノ粒子を、医薬品において許容される無毒性の担体、希釈剤又は賦形剤とともに、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤などを含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペーストなどの形態に調製して、医薬用の製剤にすることが可能である。
本発明の医薬組成物に含まれる上記表面修飾ナノ粒子の含量は、総量で0.01〜100重量%の範囲から適宜選択することが可能である。
本発明の医薬組成物は、ヒトを含む哺乳動物に対して投与される。本発明の医薬組成物の摂取量は、摂取者又は摂取動物の年齢、体重、症状等に応じて適宜選択することができる。
本発明の医薬組成物により治療できる癌の種類は、胃癌、直腸癌、結腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、咽頭癌、食道癌、腎癌、胆のう・胆管癌、頭頚部癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、子宮癌、卵巣癌等が挙げられる。
本発明の表面修飾ナノ粒子は、ポリグリセリンにより表面修飾されていることから生理的環境下での溶解性に優れるので、インビボでの使用が可能であり、直接、生体の血液に投与することも可能である。さらに、本発明の表面修飾ナノ粒子は、急性毒性が無いことが確認されているので、医薬(抗癌剤)としての応用が期待される。
さらに、ナノ粒子に担持された抗癌作用を有する化合物が、血中のpHでは遊離速度は遅く、癌細胞中のpH範囲(pH = 5付近)において遊離が加速されるような形式で結合させておき、更に特定の癌細胞に選択的に結合する標的化ペプチドを利用すれば、目的とする癌細胞のみを効果的に死滅させることが可能となり、副作用の軽減が期待できる。
次に本発明に係わる試験例を記載するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
合成例
試験例で使用する化合物を図1に記載のスキームに従い合成した。以下に合成方法の詳細を記載する。
ND50-PG: ND50-PGは、L. Zhao, T. Takimoto, M. Ito, N. Kitagawa, T. Kimura, N. Komatsu, Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 1388.の記載に従い、開始剤としてND50(トーメイダイヤ(株))を使用して調製した。
ND-PG-OTs: ND50-PG (100 mg)をバスソニケーションによりピリジン(4.0 mL)に溶解し、氷水中で0℃まで冷却した。p-トルエンスルホニルクロリド(200 mg, 1.05 mmol)をピリジン(2.0 mL)に溶解し、急速攪拌しながら混合液に滴下した。溶液を0-5℃で3時間、室温で一晩攪拌した。得られた固体をDMFに分散し、これを50400gで遠心分離(Avanti (登録商標) J-E, Beckman Coulter)することにより回収し、これを繰り返すことでND-PG-OTs を精製した。
ND-PG-N3: 水中(2.0 mL)のアジ化ナトリウム(100 mL, 1.54 mmol)をDMF中(6.0 mL)のND-PG-OTs (80 mg)に添加し、90℃で一晩攪拌した。冷却後、遠心分離により生成物を回収し、水中での分散/遠心を繰り返すことによって精製した。
ND-PG-N3-COOH: ND-PG-N3 (50 mg)と4-ジメチルアミノピリジン(1.5 mg)をバスソニケーションによりピリジン(4.0 mL)に溶解し、アイスバス中で0℃まで冷却した。無水コハク酸(40 mg, 0.4 mmol)をピリジン(2.0 mL)に溶解し、急速攪拌下しながら混合液に滴下した。溶液は0-5℃で3時間、室温で一晩攪拌した。得られた固体を遠心分離により回収し、DMF中での分散/遠心を繰り返すことによって精製した。
ND-PG-RGD-COOH: 水中(1.0 mL)のRGDプロパルギルアミド(L. Zhao, T. Chano, S. Morikawa, Y. Saito, A. Shiino, S. Shimizu, T. Maeda, T. Irie, S. Aonuma, H. Okabe, T. Kimura, T. Inubushi, N. Komatsu, Adv. Funct. Mater. 2012, 22, 5107.)(4.0 mg)を水中(2.0 mL)のND-PG-N3-COOH (20 mg)の溶液に添加した。水中(0.5 mL)の硫酸銅(II)五水和物(8 mg)及び水中(0.5 mL)のアスコルビン酸ナトリウム(10 mg)を激しく攪拌しながら混合液に添加した。得られた褐色の懸濁液を10分間バスソニケーションし、室温で48時間攪拌した。希釈したアンモニアを懸濁液に滴下し、溶解していない銅塩を溶解し、透明の青灰色溶液を得た。固体を高速遠心分離により回収し、1%アンモニア中での分散/遠心を繰り返すことによって精製した。
ND-PG-RGD-Pt: ND-PG-RGD-COOH (20 mg)とシスプラチン (4.8 mg, 0.016 mmol)(和光純薬工業(株))をバスソニケーションによりMilli-Q水中(4.0 mL)で混合した。0.5M NaOHを用いて混合液のpHを8.0に調節した。暗中72時間室温で攪拌後、不溶性の固体を除去するために混合液を0.45-μmセルロースフィルター(Millipore)に通した。濾液中の未反応のシスプラチンは200 mLのMilli-Q水中での透析により除去し、この時、媒質は4時間毎に3回交換した。細胞実験のために、精製したサンプルを更にDMEMに対して透析し、媒質を生理的溶液に置換した。
ND-PG-Pt: 上記ND-PG-RGD-COOHの合成法に従い、ND50-PGと無水コハク酸を反応させることにより、ND-PG-COOHを合成し、これに対し、上記ND-PG-RGD-Ptの合成法に従い、シスプラチンを反応させ、ND-PG-Ptを合成した。
試験例1
ヌードマウスの背部右側に癌細胞U87MGを移植し、10匹の担癌マウスを作成した。それらを2匹ずつランダムに5群に群分けし、各群に表1に示した溶液を1匹あたり0.20 mL ずつ尾静脈に投与した。
Figure 0006316011
NDの平均粒子径は50 nmであった。マウスの体重は約20 gであったので、投与された薬剤の量は、CDDPに基づいて約2 mg/kgであった。
各試料は、マウスの尾静脈内に投与した(Day 0)。マウスの体重と癌の体積は、2日毎に測定した。癌の体積は、次の式により求めた。V=A2×B/2 (A及びBは各々短径、長径を表す)
結果を以下の表2、表3及び図2に示す。
Figure 0006316011
Figure 0006316011
表1の5群それぞれの体積比の平均を日数(day)に対してプロットしたのが、図2となる。溶媒である PBS を打ったマウス(1)の癌の体積は、6日目には約2倍に増加した。また、CDDPを打ったマウス(3)も1.8倍程度に増加し、薬効はほとんど見られなかった。この理由として打ち込み量(0.4 mg)が足りなかったことが考えられる。表3では、体重の減少が全く見られていないことから、副作用も見られていない。副作用が出ない程度の量では、薬効は見られない、ということが考えられる。
一方、Ptを持たないND50-PGの場合(2)、体積比は1.2-1.4倍に抑えられた。これは、平均粒径50 nmのナノダイヤモンドが EPR (enhanced permeation and retention)効果により腫瘍組織に集積し、何らかの作用で腫瘍の生育を阻害したと考えられる。これにPtを担持した薬剤ND-PG-Pt(4)を用いたところ、ND50-PG(2)とほぼ同様の結果が得られた。このことから、ND-PG-Pt(4)はND50-PG(2)と同様に腫瘍組織に集積したが、癌細胞には入ることができず、Ptの抗癌作用が見られなかったと考えられる。
最後に、ND-PG-RGD-Pt(5)では、腫瘍の体積が2日目で既に減少傾向にあり、他のすべての場合で増加傾向にあったのと対照的な優れた抗癌作用が見られた。その後も癌のサイズは減少し、6日目には、約80%にまで減少した。PBS(1)の場合と比較するとそのサイズは、約40%となった。標的化ペプチドであるRGDペプチドの作用によりND-PG-RGD-Ptが癌細胞中に取り込まれ、癌細胞中の酸性条件下でPtが遊離し、CDDPの薬効が発現したと考えられる。このような優れた抗癌作用が見られた一方で、表3ではマウスの体重減少は他の場合と同様に一切見られず、顕著な副作用も見られなかった。

Claims (4)

  1. ポリグリセリンによって表面修飾されたナノ粒子であって、
    該ポリグリセリンには抗癌作用を有する化合物及び標的化ペプチドが結合しており、
    該ナノ粒子が、ナノダイヤモンドである、表面修飾ナノ粒子。
  2. 前記抗癌作用を有する化合物が、Ptを含有するものである、請求項1に記載の表面修飾ナノ粒子。
  3. 前記標的化ペプチドが、RGD、TAT及びLFPLHからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の表面修飾ナノ粒子。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の表面修飾ナノ粒子を含む癌治療用の医薬組成物。
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