JP6307129B2 - 表面にゲル状被覆を有する構造体 - Google Patents

表面にゲル状被覆を有する構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP6307129B2
JP6307129B2 JP2016168863A JP2016168863A JP6307129B2 JP 6307129 B2 JP6307129 B2 JP 6307129B2 JP 2016168863 A JP2016168863 A JP 2016168863A JP 2016168863 A JP2016168863 A JP 2016168863A JP 6307129 B2 JP6307129 B2 JP 6307129B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gel
coating
container
slipperiness
oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016168863A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016216132A (ja
Inventor
啓佑 丹生
啓佑 丹生
岡田 芳明
芳明 岡田
宮崎 知之
知之 宮崎
洋介 阿久津
洋介 阿久津
晋也 岩本
晋也 岩本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Seikan Kaisha Ltd
Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Original Assignee
Toyo Seikan Kaisha Ltd
Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Seikan Kaisha Ltd, Toyo Seikan Group Holdings Ltd filed Critical Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority to JP2016168863A priority Critical patent/JP6307129B2/ja
Publication of JP2016216132A publication Critical patent/JP2016216132A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6307129B2 publication Critical patent/JP6307129B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Wrappers (AREA)

Description

本発明は、表面にゲル状被覆を有する構造体に関するものであり、特に容器として好適に使用される構造体に関する。
液状内容物が収容される容器では、容器の材質を問わず、内容物に対する排出性が要求される。水のように粘性の低い液体を収容する場合では、このような排出性はほとんど問題とならないが、例えば、マヨネーズやケチャップのように粘度の高い粘稠な物質では、プラスチック容器であろうがガラス製容器であろうが、この排出性はかなり深刻な問題である。即ち、このような内容物は、容器を傾けて速やかに排出されないし、また、容器壁に付着してしまうため、最後まで使い切ることができず、特に容器の底部にはかなりの量の内容物が排出されずに残ってしまう。
最近になって、容器等の成形体の表面に油膜を形成することによって、粘稠な物質に対する滑り性を高める技術が種々提案されている(例えば特許文献1,2)。
かかる技術によれば、成形体表面を形成する合成樹脂に滑剤などの添加剤を加える場合と比較して、滑り性を飛躍的に高めることができるため、現在注目されている。
しかしながら、上記のように基材表面に油膜を形成して表面特性を改質する手段においては、該油膜により発揮される滑り性の有効寿命が短く、長期間経過後には、その滑り性が低下し、場合によっては、表面に内容物などが貼り付いてしまうなどの問題が生じていた。特に、表面を滑落する物質が、乳化物、特に油分の少ないマヨネーズ様食品であるとき、この傾向が顕著である。
例えば、本出願人は、先に、マヨネーズ様食品に代表される水中油型乳化物が収容された包装容器であって、該水中油型乳化物が接触する容器内面に油膜が形成されている包装容器を提案している(特願2014−023425号)。
また、本出願人は、内容物と接触する内面に液膜が形成されており、該液膜には、粒子径が300μm以下の固体粒子が分散されていることを特徴とする包装材も先に提案している(特願2014−126877号)。
しかるに、本出願人が先に提案したこれらの技術においても、滑り性の経時的低下という問題は有効に解決されていない。
WO2012/100099 WO2013/022467
従って、本発明の目的は、滑落性等の滑り性を向上するための潤滑性被覆が形成されている構造体において、その滑り性向上効果が持続して安定に発揮される構造体を提供することにある。
本発明の他の目的は、特に乳化物が内容物として収容される容器として使用され、かかる乳化物に対する滑り性の持続性に優れた構造体を提供することにある。
本発明者等は、粘稠な物質に対しての滑り性について多くの実験を行い、検討した結果、油性液体に微細な固定状粒子を混合してゲル状被覆を表面に形成することにより、各種の粘稠な物質、特に乳化物に対しての滑り性も高く、しかも、この滑り性が長期間にわたって安定に発揮されるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、所定の形状に成形されている熱可塑性樹脂製基材の表面にゲル状被覆が形成されている構造体であって、該ゲル状被覆は、微細固体粒子を含み且つ回転数20rpmで測定して35〜250mPa・s(25℃)の粘度を有していることを特徴とする構造体が提供される。
本発明の構造体においては、
(1)前記ゲル状被覆が100mPa・s以下の粘度(25℃)を有していること、
(2)前記熱可塑性樹脂製基材が容器であり、該容器の内面に、前記ゲル状被覆が形成されていること、
が好適である。
本発明の構造体は、微細固体状粒子を含むゲル状被覆を表面に設けているため、種々の粘稠な物質に対して優れた滑り性(初期滑り性)を示すばかりか、その経時的低下も有効に回避されており、滑り性の持続性にも優れている。このような優れた初期滑り性や滑り性の持続性は、例えば、マヨネーズ様食品などの粘稠な乳化物に対しても有効に発揮される。
例えば、上記熱可塑性樹脂製基材が容器である構造体において、本発明に従って容器(熱可塑性樹脂製基材)の内面に所定のゲル状被覆が形成されているものでは、後述する実施例1に示されているように、この構造体内にマヨネーズ様食品を充填したとき、40℃、2か月保存後においても、充填直後と同等の活性(滑り性)を示す。
一方、ゲル状被覆とせず、上記ゲル状被覆の形成に用いた油性液体のみで油膜を容器(基材)内面に形成したに過ぎない場合には、40℃、2週間保存で内容物(マヨネーズ様食品)に対する滑り性が大幅に低下してしまっている。
このように、本発明にしたがってゲル状被覆を表面に形成することにより優れた初期滑り性及び滑り性の持続性が得られることは、多くの実験により現象として確認されたものであり、その技術的理由は明確に解明されたわけではないが、本発明者等は次のように推定している。
即ち、単なる油膜により滑り性を高めている場合には、この油膜を通る粘稠な含水物質によって油膜が表面から徐々に掻き取られていく。このため、初期段階では、油膜による滑り性が有効に発現するが、油膜上を粘稠な含水物質が流れるごとに油膜が消耗していき、この結果、滑り性は次第に低下していくこととなり、その持続性は不満足なものなってしまう。
しかるに、本発明では、基材表面にゲル状被覆が形成されているため、このゲル状被覆上を粘稠な含水物質が流れるとき、その応力(荷重)によって、粘稠な含水物質との接触界面では油性液体が遊離して優れた滑り性を発揮すると同時に、ゲル状被覆と成形体表面との界面側では、応力(荷重)をほとんど受けず、成形体表面から動かず、安定に保持され続ける。即ち、ゲル状被覆上を粘稠な含水物質が繰り返し流れた場合にも、ゲル状被覆はほとんど消耗しない。この結果、初期滑り性が優れているばかりか、優れた滑り性の持続性が得られるものと考えられるのである。
本発明の構造体は、粘稠な物質に対して優れた滑り性を示し、しかも、その持続性にも優れていることから、マヨネーズ、ケチャップ、各種ドレッシングなどのような粘度(25℃)が1260mPa・s以上の物質が収容される容器として、特に好適に使用される。
本発明の構造体の表面形態を説明するための概略側断面図。 本発明の構造体の好適な形態であるダイレクトブローボトルの形態を示す図。
図1を参照して、本発明の構造体は、用途に応じた形状に成形されている基材1と、その表面に形成されたゲル状被覆3とからなる。
<基材1>
基材1は、その表面にゲル状被覆3を保持することが可能な熱可塑性樹脂により形成されるものであり、用途に応じた形態を有していればよい。
特に、本発明の構造体は、ゲル状被覆3により、粘稠な含水物質に対して優れた滑り性を示すという観点から、基材1は、このような含水物質を流すための配管や、これを収容する容器や容器蓋などの形態を有していることが好適であり、このような含水物質と接触する面に、上記のゲル状被覆3が形成される。
本発明において、ゲル状被覆3を保持するという観点から、基材1の表面(ゲル状被覆3の下地面)は、熱可塑性樹脂により形成する。
このような熱可塑性樹脂(以下、下地樹脂と呼ぶ)は、成形が容易であり且つゲル状被覆3中の油性液体との親和性が高く、このような油性液体を含むゲル状被覆3をより安定に保持できるという観点から、例えば、以下のものを例示することができる。
オレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体など;
エチレン・ビニル系共重合体、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等;
スチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等;
ビニル系樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等;
ポリアミド樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等;
ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合ポリエステル等;
ポリカーボネート樹脂;
ポリフエニレンオキサイド樹脂;
生分解性樹脂、例えば、ポリ乳酸など;
勿論、成形性が損なわれない限り、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物を、下地樹脂として使用することもできる。
本発明においては、上記の熱可塑性樹脂の中でも、粘稠な内容物を収容する容器素材として使用されているオレフィン系樹脂やポリエステル樹脂が好適であり、オレフィン系樹脂が最適である。
即ち、オレフィン系樹脂は、PET等のポリエステル樹脂と比較してガラス転移点(Tg)が低く、室温下での分子の運動性が高いため、ゲル状被覆3を形成する油性液体の一部が内部に浸透し、これにより、ゲル状被覆3を表面に安定に保持するという点で最適である。
さらに、オレフィン系樹脂は、可撓性が高く、後述するダイレクトブロー成形による絞り出し容器(スクイズボトル)の用途にも使用されており、本発明の構造体をこのような容器に適用するという観点からもオレフィン系樹脂は適している。
また、かかる基材1は、上記のような熱可塑性樹脂の単層構造であってもよいし、上記熱可塑性樹脂と紙との積層体であってもよいし、さらに、複数の熱可塑性樹脂が組み合わされた多層構造を有するものであってもよい。
本発明の構造体は、粘稠な含水物質に対する滑り性及びその持続性に優れているため、このような含水物質がゲル状被覆3と接触して流れるような用途に有効に適用され、特に含水物質が収容される容器として使用されること、即ち、基材1が容器の形態を有していることが、本発明の利点を最大限に享受し得るという点で最適である。
特に基材1が容器の形態を有する場合において、内面が、オレフィン系樹脂或いはポリエステル樹脂で形成されている場合には、中間層として、適宜接着剤樹脂の層を介して、酸素バリア層や酸素吸収層を積層し、さらに、内面を形成する下地樹脂(オレフィン系樹脂或いはポリエステル樹脂)と同種の樹脂が外面側に積層した構造を採用することができる。
かかる多層構造での酸素バリア層は、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体やポリアミドなどの酸素バリア性樹脂により形成されるものであり、その酸素バリア性が損なわれない限りにおいて、酸素バリア性樹脂に他の熱可塑性樹脂がブレンドされていてもよい。
また、酸素吸収層は、特開2002−240813号等に記載されているように、酸化性重合体及び遷移金属系触媒を含む層であり、遷移金属系触媒の作用により酸化性重合体が酸素による酸化を受け、これにより、酸素を吸収して酸素の透過を遮断する。このような酸化性重合体及び遷移金属系触媒は、上記の特開2002−240813号等に詳細に説明されているので、その詳細は省略するが、酸化性重合体の代表的な例は、第3級炭素原子を有するオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレンやポリブテン−1等、或いはこれらの共重合体)、熱可塑性ポリエステル若しくは脂肪族ポリアミド;キシリレン基含有ポリアミド樹脂;エチレン系不飽和基含有重合体(例えばブタジエン等のポリエンから誘導される重合体);などである。また、遷移金属系触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の遷移金属の無機塩、有機酸塩或いは錯塩が代表的である。
各層の接着のために使用される接着剤樹脂はそれ自体公知であり、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸もしくはその無水物、アミド、エステルなどでグラフト変性されたオレフィン樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体;イオン架橋オレフィン系共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;などが接着性樹脂として使用される。
上述した各層の厚みは、各層に要求される特性に応じて、適宜の厚みに設定されればよい。
さらに、上記のような多層構造の基材1を成形する際に発生するバリ等のスクラップをオレフィン系樹脂等のバージンの樹脂とブレンドとしたリグライド層を内層として設けることも可能であるし、オレフィン系樹脂或いはポリエステル樹脂により内面が形成され、外面がポリエステル樹脂或いはオレフィン系樹脂により形成されている容器を基材1として使用することも勿論可能である。
基材1として用いる容器の形状は、特に制限されず、カップ乃至コップ状、ボトル状、袋状(パウチ)、シリンジ状、ツボ状、トレイ状等、容器材質に応じた形態を有していてよく、延伸成形されていてもよく、それ自体公知の方法で成形される。
図2には、本発明の基材1の最も好適な形態であるダイレクトブローボトルが示されている。
図2において、全体として10で示されるこのボトルは、螺条を備えた首部11、肩部13を介して首部11に連なる胴部壁15及び胴部壁15の下端を閉じている底壁17を有しており、このようなボトル(基材1)の内面にゲル状被覆3が形成されることとなる。
かかるボトル10は、粘稠な物質の収容に好適に使用され、胴部壁15をスクイズすることにより、内部に収容された粘稠な物質を排出するというものであり、このようなボトルの内面にゲル状被覆3が形成され、内容物に対する滑性及びその持続性が向上していれば、このような内容物を速やかに排出することができるし、しかも、その全量を排出し、該内容物を使い切ることも可能となる。
<ゲル状被覆3>
本発明において、上記のような基材1の表面に設けられるゲル状被覆3は、油性液体と微細固体状粒子とから形成される。そして、ゲル状被覆3はチキソトロピー性を有していることが好ましい。
このゲル状被覆3の形成に使用される油性液体は、含水物質に対して滑り性を示すものであり、潤滑剤として機能する。
このような油性液体は、当然、大気圧下での蒸気圧が小さい不揮発性の液体、例えば沸点が200℃以上の高沸点液体でなければならない。揮発性液体を用いた場合には、容易に揮散して経時と共に消失し、ゲル状被覆3を形成することが困難となってしまうからである。
また、上記のような高沸点液体であると共に、基材1の表面に対して高い濡れ性を示し、この表面上にムラなく密着したゲル状被覆3を形成できるという観点から、基材1の表面に対する接触角(20℃)が45度以下、且つ粘度(25℃)が100mPa・s以下であることが好適である。即ち、基材1の表面素材が、合成樹脂製、ガラス製或いは金属製の何れであっても、上記のような物性を満足する油性液体を用いてゲル状被覆3を形成すればよい。
さらに、上記のような物性を満足する油性液体の中でも、特に表面張力が、滑り性の対象となる物質(例えば、容器においては容器内容物)と大きく異なるものほど、潤滑効果が高く、本発明には好適である。
即ち、粘稠な含水物質に対する滑り性を高めるという点で、表面張力が10乃至40mN/m、特に16乃至35mN/mの範囲にある油性液体を用いるのが良く、このような油性液体としては、流動パラフィン、合成パラフィン、フッ素系液体、フッ素系界面活性剤、シリコーンオイル、脂肪酸トリグリセライド、各種の植物油などが代表的である。特に滑り性の対象となる物質が食品類(例えばマヨネーズやケチャップ)である場合には、食用油が好適である。
かかる食用油の具体例としては、大豆油、菜種油、オリーブオイル、米油、コーン油、べに花油、ごま油、パーム油、ひまし油、アボガド油、ココナッツ油、アーモンド油、クルミ油、はしばみ油、サラダ油などを例示することができる。
上述した油性液体と組み合わせて使用される微細な固体状粒子は、該油性液体にチキソトロピー性を付与するものであり、その粒子径が50μm以下、特に30μm以下の微細な粒子であることが必要である。即ち、この固体状粒子が油性液体中でネットワーク構造を形成し、チキソトロピーのような特性を発揮するゲルもしくはゲルに近い構造を付与するためには、この固体状粒子は、上記のように微細な粒子径を有するものでなければならない。粒子径が大きいと、この粒子が連なったネットワーク構造を形成することができないからである。
尚、上記の粒子径は、例えばレーザ回折散乱法や、マイクロスコープ観察などにより測定することができ、所謂二次粒子径(凝集粒子径)を意味する。
本発明において、このような微細な固体状粒子は、油性液体中に均一に分散してチキソトロピー性を有するゲル状被覆3を形成し得るものであり且つ使用及び保存環境下で固体状を維持し得る融点を有している限りにおいて、各種の有機材料、無機材料で形成されていてもよいが、油性液体との馴染みが良好であるという観点から、金属粒子や金属酸化物等の無機粒子よりも、有機粒子であることが好ましく、例えば、オレフィン系ワックスやライスワックス、カルナバワックス、各種セルロース、有機樹脂硬化物(例えば、多官能アクリルモノマーを硬化して得られる硬化物)などが好ましく、特に食品類に対しても制限なく使用できるという点で、ライスワックスなどが最適である。
上述した油性液体と微細固体状粒子とを用いてのゲル状被覆3は、両者を混合し、強剪断下に撹拌することにより調製される。即ち、微細固体状粒子のネットワーク構造が形成されるように強撹拌すればよい。
このようにして得られるゲル状被膜3は、回転粘度計を使用し、回転数20rpm、25℃で測定した粘度が、35〜250mPa・Sであることが好ましい。35mPa・Sより小さいと、成形体1に長期的に保持されにくく、経時の滑り性が低くなる。250mPa・Sより大きいと、滑落速度が遅くなり、性能を十分発揮できない恐れがある。
また、例えば、油性液体100質量部に対し、微細固体粒子5質量部を混合し、攪拌して作成したゲル状被膜3は、回転数20rpmでは、粘度が124mPa・Sであり、回転数2rpmでは、粘度が243mPa・Sであり、回転数が大きいほど粘度が小さいというチキソトロピー性を有している。このように、チキソトロピー性を有することで、初期滑り性を大きくし且つその持続性を大きく向上させることができる。例えば、チキソトロピー性が小さい(粘度差が小さい)と、ゲル状被覆3上を含水物質が流れたときに表面に滲み出る油量が少なく、初期滑り性が低くなる傾向があり、しかも、成形体1表面でのゲル状被覆3が安定に保持されず、ゲル状被覆3上を物質が流れるごとに、滑り性が低下していく傾向が大きく、滑り性の持続性が不満足となってしまう恐れがある。
尚、上記のような範囲に粘度のゲル状被覆3を形成するためには、前述した撹拌温度や剪断速度及び撹拌時間等を適宜調節すればよいが、通常、微細固体状粒子100質量部当り、0.5〜10質量部、特に1〜10質量部程度の量で油性液体を混合することが好ましい。これにより、適度な剪断速度での撹拌及び適度な撹拌時間で、目的とするゲル状被膜3を調製することができる。
上記のゲル状被覆3の形成は、基材1の表面形状に合わせて種々の手段を採用することが可能であるが、このゲル状被覆3は、チキソトロピー性を有しているため、スプレー噴霧が容易であるという利点を有しており、従って、所定の基材1の表面にスプレー噴霧により塗布してゲル状被覆3を形成することが望ましい。
このようにして形成されるゲル状被覆3は、1.00〜3.70mg/cmの量で基材1の表面に形成されていることが望ましい。即ち、この量が少なすぎると、ゲル状被覆3による滑り性やその持続性が不満足となり、必要以上に多く形成しても、それ以上の滑り性や持続性は得られず、コストが増大するばかりか、むしろ、ゲル状被覆3が、その重量により基材1の表面から脱落し易くなってしまう。
上述した本発明の構造体は、粘稠な含水物質に対して優れた滑り性及びその持続性を示すため、特に、粘度(25℃)が100mPa・s以上の粘稠な含水物質を収容する容器、特にダイレクトブロー容器として好適に使用され、例えば、マヨネーズ、ケチャップ、水性糊、蜂蜜、各種ソース類、マスタード、ドレッシング、ジャム、チョコレートシロップ、乳液等の化粧液、液体洗剤、シャンプー、リンス等の粘稠な内容物の充填ボトルとして最も好適である。
本発明を次の実験例にて説明する。
各実施例、比較例にて使用した容器、ゲル状被膜、内容物は次のとおりである。
<容器>
下記の層構成を有する多層構造を有し、且つ内容量400gの多層ダイレクトブローボトルを供した。
内層:低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)
中間層:エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)
外層:低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)
接着層(内外層と中間層との間):酸変性ポリオレフィン
<ゲル状被膜>
油性液体:中鎖脂肪酸添加サラダ油
粘度:33mPa・s(25℃)
接触角(20℃):18度
固体状粒子:カルナバワックス
ホモジナイザーを使用し、室温(25℃)で、上記の固体状粒子を、表1に示す量割合で上記の油性液体に微分散化させて塗布液を調製し、表1に示す塗布量を、エアースプレーを用いて容器の内面に均一となるように塗布してゲル状被膜を形成した。
<各種測定方法>
接触角;
容器内面を上面にしてゲル状被膜に使用した油性液体を10mg落とし、20℃、50%RH、接触角計(協和界面科学(株)社DropMaster700)にて測定した。
粘度;
粘度は、ビーカーに入れた測定物質に、B型デジタル粘度計のスピンドルとガードを入れ、25℃にて、回転数20rpmでスピンドルを1分間回転させ、粘度測定を行った。
<内容物>
卵1個(50g)と酢15ccと塩2.5ccを混ぜた後、さらに食用油150ccを混ぜ合わせて、実験用のマヨネーズ様食品を作成した。各実施例、比較例では、必要量の内容物を作成して使用した。
各実施例、各比較例の内容物を用いて滑り性の評価方法は次の通りである。
<滑り性評価>
ボトル内に、噴霧ノズルを底まで挿入し、ゲル状被膜を噴霧しながら引き上げることによりボトル底部から側壁全面に塗布した。この容器内面にゲル状被膜が形成されているボトル内に、内容物であるマヨネーズ様食品を常法で400g充填し、ボトル口部をアルミ箔でヒートシールし、キャップで密封して充填ボトルを得た。
内容物が充填された充填ボトルを23℃で1週間保管した(初期ボトル)。
表1に示す各保管期間・温度にて保管されたボトルについて、胴部を押し、ボトル口部を通して内容物を最後まで搾り出した後、このボトル内に空気を入れ形状を復元させた。
次いで、このボトルを倒立(口部を下側)にして1時間保管した後のボトル胴部壁の内容物滑り性の程度(胴部壁に内容物が付着していない程度)を測定し、次の式で内容物付着率を計算した。
内容物付着率(%)
=(内容物が付着している表面積/ボトル胴部壁表面積)×100
上記で計算された内容物付着率から、滑り性を次の基準で評価した。
〇:内容物付着率が10%未満
△:内容物付着率が10%以上で50%未満
×:内容物付着率が50%以上
<固体状粒子径測定>
作成したゲル状被膜をマイクロスコープで観察し、画像処理して粒小径を測定した。最大粒子径をゲル状被膜の粒子径とした。
〔実施例1〜7〕
成形したボトルに、ゲル状被膜を、表1中の塗布量で塗布し、滑り性を評価した。
〔比較例1〕
成形したボトルに、ゲル状被膜と同様の油性液体を、表1中の塗布量で塗布し、滑り性を評価した。
〔比較例2〕
成形したボトルに、ゲル状被覆と同様の油性液体と固体粒子(粒子径85μm)を混合した液を表1中の塗布量で塗布し、滑り性を評価した。作成した液体は、固体粒子が微細固体状粒子ではないため、ゲル状ではなかった。
この結果、ボトルの内面に、ゲル状被膜を形成することで、内容物の滑り性が向上し、高温にて長期保管した後でも、滑り性を維持しているので、ゲル状被膜を内面に形成した成形体は、内容物の滑り性に優れ、長期間性能を維持していることが確認できた。また、ゲル状被膜に油性液体と固体粒子が混合されただけでは、経時での滑り性が低下してしまい、固体粒子が無い場合と同様の結果となった。このことより、固体粒子が微細固体状粒子となり、ゲル状になることが重要であることが確認できた。
1:基材
3:ゲル状被覆

Claims (2)

  1. 所定の形状に成形されている熱可塑性樹脂製基材の表面にゲル状被覆が形成されている構造体であって、該ゲル状被覆は、微細固体粒子を含み且つ回転数20rpmで測定して35〜250mPa・s(25℃)の粘度を有していることを特徴とする構造体。
  2. 前記熱可塑性樹脂製基材が容器であり、該容器の内面に、前記ゲル状被覆が形成されている請求項1に記載の構造体。
JP2016168863A 2016-08-31 2016-08-31 表面にゲル状被覆を有する構造体 Active JP6307129B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016168863A JP6307129B2 (ja) 2016-08-31 2016-08-31 表面にゲル状被覆を有する構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016168863A JP6307129B2 (ja) 2016-08-31 2016-08-31 表面にゲル状被覆を有する構造体

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015103840A Division JP6001726B1 (ja) 2015-05-21 2015-05-21 表面にゲル状被覆を有する構造体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016216132A JP2016216132A (ja) 2016-12-22
JP6307129B2 true JP6307129B2 (ja) 2018-04-04

Family

ID=57579679

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016168863A Active JP6307129B2 (ja) 2016-08-31 2016-08-31 表面にゲル状被覆を有する構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6307129B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19936478A1 (de) * 1999-08-03 2001-02-15 Degussa Sinterwerkstoffe
JP5971337B2 (ja) * 2012-07-13 2016-08-17 東洋製罐株式会社 内容物に対する滑り性に優れた包装容器
JP6323443B2 (ja) * 2013-02-14 2018-05-16 東洋製罐株式会社 流動性物質に対する滑り性に優れた注出具
US10786979B2 (en) * 2013-05-23 2020-09-29 Toyo Seikan Group Holdings, Ltd. Multilayered structure having a liquid layer on the surface thereof
JP6255748B2 (ja) * 2013-07-02 2018-01-10 東洋製罐グループホールディングス株式会社 滑水性に優れた表面を有する樹脂成形体
JP5673870B1 (ja) * 2013-07-26 2015-02-18 東洋製罐グループホールディングス株式会社 表面に液層を有する樹脂構造体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016216132A (ja) 2016-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6593332B2 (ja) 内面に液膜が形成されている容器及び液膜形成用コーティング液
JP6001726B1 (ja) 表面にゲル状被覆を有する構造体
JP6297730B2 (ja) 外添領域を表面に有する構造体
JP6665084B2 (ja) 粘稠内容物の充填方法
JP6587823B2 (ja) 表面に固体粒子が分布している容器
JP5968491B1 (ja) 液膜を有する構造体及びその製造方法
JP6610541B2 (ja) 液層を表面に有する構造体
KR102090253B1 (ko) 액막을 갖는 구조체 및 그 제조 방법
JP6307129B2 (ja) 表面にゲル状被覆を有する構造体
JP2017012091A (ja) 表面に液膜が形成されている構造体

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170905

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171031

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180306

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180309

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6307129

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150