JP6305227B2 - コージェネレーションシステム及びその運転制御方法 - Google Patents
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Description
前記熱電併給装置の排熱により生成した温水を貯留する貯湯槽と、
熱負荷に応じて前記熱電併給装置を稼働させると共に、当該熱電併給装置の稼働時における出力を所定の出力設定範囲内で電力負荷に追従させる形態で、前記熱電併給装置の運転を制御する運転制御手段とを備えたコージェネレーションシステム及びその運転方法に関する。
かかるコージェネレーションシステムは、熱電併給装置が発生する排熱により生成した温水を貯湯槽に貯留するにあたり、貯湯槽の貯湯量が上限量に達して当該貯湯槽が温水で満杯になると、その熱電併給装置の運転を停止するように構成されている。
そして、このように熱負荷に応じて熱電併給装置を稼働することで、熱電併給装置の排熱の有効利用を図ることができる。
かかるコージェネレーションシステムは、熱電併給装置の稼働時における出力を例えば出力設定範囲の下限出力として設定された所定の部分出力から出力設定範囲の上限出力として設定された所定の定格出力までの出力設定範囲において変更可能に構成し、電力負荷が定格出力以上である場合には、熱電併給装置の出力を定格出力に設定し、電力負荷が定格出力未満且つ部分出力以上である場合には、熱電併給装置の出力を電力負荷に追従する出力に設定し、電力負荷が部分出力未満である場合には、熱電併給装置の出力を部分出力に設定する。
また、電力負荷が部分出力未満であるときに熱電併給装置の出力を部分出力に設定したときには、電力負荷に対する熱電併給装置の発電電力の余剰分である余剰電力が発生するが、この余剰電力は、電気ヒータに供給して貯湯槽に貯留される温水の生成に利用したり、商用電力系統に逆潮流して売却することができる。
そして、このように熱電併給装置の稼働時における出力を出力設定範囲内で電力負荷に追従させることで、電力負荷が小さいときでも熱電併給装置の出力を低下させて、余剰電力をできるだけ発生させないようにして、余剰電力の増加による発電電力の利用効率の悪化を抑制することができる。
特に、熱負荷(単位時間あたりの消費熱量)に応じて熱電併給装置を稼働させると共に、当該熱電併給装置の稼働時における出力を出力設定範囲内で電力負荷(単位時間あたりの消費電力)に追従させる形態で、熱電併給装置の運転を制御するコージェネレーションシステムは、電力負荷が小さい時間帯でも、その電力負荷に合わせて熱電併給装置の出力を低下させて運転するため、特に、熱負荷の大きい世帯では、熱負荷に対して充分な熱を発生するべく熱電併給装置を長時間運転する場合があり、結果、実際の寿命が想定したものよりも短縮されるという問題があった。
熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、
前記熱電併給装置の排熱により生成した温水を貯留する貯湯槽と、
熱負荷に応じて前記熱電併給装置を稼働させると共に、当該熱電併給装置の稼働時における出力を所定の出力設定範囲内で電力負荷に追従させる形態で、前記熱電併給装置の運転を制御する運転制御手段とを備えたコージェネレーションシステムであって、
その特徴構成は、
前記運転制御手段が、前記出力設定範囲の上限出力及び下限出力の少なくとも一方の限界出力を変更することで、前記熱電併給装置の運転頻度を調整する運転頻度調整処理を実行すると共に、
当該運転頻度調整処理において、前記熱電併給装置の運転頻度の所定の目標運転頻度に対する乖離状態に基づき、前記熱電併給装置の運転頻度を減少側に調整する場合には前記出力設定範囲の限界出力を上昇させ、前記熱電併給装置の運転頻度を増加側に調整する場合には前記出力設定範囲の限界出力を低下させる点にある。
熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、
前記熱電併給装置が発生した熱により加熱された温水を貯留する貯湯槽と、
熱負荷に応じて前記熱電併給装置を稼働させると共に、当該熱電併給装置の稼働時における出力を所定の出力設定範囲内で電力負荷に追従させる形態で、前記熱電併給装置の運転を制御するコージェネレーションシステムの運転制御方法であって、
その特徴構成は、
前記出力設定範囲の上限出力及び下限出力の少なくとも一方の限界出力を変更することで、前記熱電併給装置の運転頻度を調整する運転頻度調整処理を実行すると共に、
当該運転頻度調整処理において、前記熱電併給装置の運転頻度の所定の目標運転頻度に対する乖離状態に基づき、前記熱電併給装置の運転頻度を減少側に調整する場合には前記出力設定範囲の限界出力を上昇させ、前記熱電併給装置の運転頻度を増加側に調整する場合には前記出力設定範囲の限界出力を低下させる点にある。
即ち、熱電併給装置の出力設定範囲の限界出力を上昇させると、電力負荷に追従して変化する熱電併給装置の出力が比較的高めの出力設定範囲内で推移することになり、熱電併給装置の排熱が増加する。そして、熱電併給装置は熱負荷に応じて稼働されるため、排熱が増加することで稼働頻度が少なくなり、結果、将来の運転頻度を減少側に調整して、当該運転頻度の想定を超える増加による寿命の短縮を抑制することができる。
一方、熱電併給装置の出力設定範囲の限界出力を低下させると、電力負荷に追従して変化する熱電併給装置の出力が比較的低めの出力設定範囲内で推移することになるので、熱電併給装置の排熱が減少する。そして、熱電併給装置は熱負荷に応じて稼働されるため、排熱が減少することで稼働頻度が多くなり、結果、将来の運転頻度を増加側に調整して、当該運転頻度の想定を下回る減少による電力負荷及び熱負荷の利用効率の低下を抑制することができる。
従って、本発明により、熱負荷に応じて熱電併給装置を稼働させると共に、当該熱電併給装置の稼働時における出力を出力設定範囲内で電力負荷に追従させる形態で、熱電併給装置の運転を制御するコージェネレーションシステムにおいて、熱電併給装置の発電電力と排熱とを有効に利用しながら、想定外の寿命の短縮を抑制することができる技術を提供することができる。
電力負荷に対する前記熱電併給装置の発電電力の余剰分である余剰電力により前記貯湯槽に貯留される温水を生成する電気ヒータを備え、
前記運転制御手段が、前記運転頻度調整処理において、前記出力設定範囲の下限出力を前記限界出力として変更する点にある。
具体的には、熱電併給装置の出力設定範囲の下限出力を上昇させることで、積極的に余剰電力を発生させて、電気ヒータによる温水の生成量を増加させ、熱電併給装置の排熱で賄う熱負荷を減少させることができ、結果、熱負荷に応じて稼働される熱電併給装置の将来の運転頻度を減少側に調整することができる。一方、熱電併給装置の出力設定範囲の下限出力を低下させることで、余剰電力の発生を抑制して、電気ヒータによる温水の生成量を減少させ、熱電併給装置で賄う熱負荷を増加させることができ、結果、熱負荷に応じて稼働される熱電併給装置の将来の運転頻度を増加側に調整することができる。
従って、運転頻度調整処理において、熱電併給装置の出力設定範囲の下限出力を調整することで、その熱電併給装置の排熱を変化させるのに加えて、その排熱により賄う熱負荷も変化させることができる。よって、熱負荷に応じて稼働される熱電併給装置の稼働頻度を確実に変化させて、将来の運転頻度を合理的に調整することができる。
前記運転制御手段が、前記運転頻度調整処理において、前記出力設定範囲の限界出力を変更するにあたり、所定の定格出力から当該定格出力よりも小さい部分出力までの範囲を前記出力設定範囲とする状態と、前記定格出力のみを前記出力設定範囲とする状態とを切り替える点にある。
一方、出力設定範囲の下限出力を上限出力と同じ定格出力まで上昇させて、定格出力のみを熱電併給装置の出力設定範囲とすれば、熱電併給装置の稼働時における出力を高めの定格出力に維持することができ、結果、排熱の増加に伴って、熱負荷に応じて稼働される熱電併給装置の将来の運転頻度を減少側に調整することができる。
前記電気ヒータの定格入力が前記熱電併給装置の定格出力未満であり、
前記運転制御手段が、前記運転頻度調整処理において、
前記熱電併給装置の運転頻度を増加側に調整する場合には、
前記電力負荷が零値以上で、前記電気ヒータの定格入力と等しい電力負荷となる部分負荷値未満の範囲では、前記発電電力を前記電気ヒータの定格入力と等しくなるように、
前記電力負荷が前記部分負荷値以上で、前記熱電併給装置の定格出力と等しい電力負荷となる定格負荷値未満の範囲では、前記発電電力を当該電力負荷と等しくなるように、
前記電力負荷が前記定格負荷値以上の範囲では、前記発電電力を前記熱電併給装置の定格出力と等しくなるように、それぞれ制御し、
前記熱電併給装置の運転頻度を減少側に調整する場合には、
前記電力負荷が零値以上で、前記定格負荷値と前記部分負荷値との差分値未満の範囲では、前記発電電力を当該発電電力の余剰電力が前記電気ヒータの定格入力と等しくなるように、
前記電力負荷が前記定格負荷値と前記部分負荷値との差分値以上の範囲では、前記発電電力を前記熱電併給装置の定格出力と等しくなるように、それぞれ制御する点にある。
前記運転制御手段が、前記熱電併給装置の運転頻度を予測する運転頻度予測処理を実行すると共に、前記熱電併給装置の運転頻度は、前記運転頻度予測処理で予測した運転頻度である点にある。
具体的には、予測した運転頻度が目標運転頻度よりも小さい場合には、熱電併給装置の出力設定範囲の限界出力を低下させて、実際の運転頻度を目標運転頻度に近づくように増加させることができる。
一方、予測した運転頻度が目標運転頻度よりも大きい場合には、熱電併給装置の出力設定範囲の限界出力を上昇させて、実際の運転頻度を目標運転頻度に近づくように減少させることができる。
前記運転制御手段が、前記運転頻度予測処理において、予め記憶されている標準的な運転頻度を、利用者により入力された家族構成情報に基づいて補正する形態で、前記運転頻度を予測する点にある。
例えば、利用者の家族が標準的なものよりも人数が多いほど、標準的な運転頻度を増加側に補正して、その補正後の運転頻度を利用者特有の将来の運転頻度とすることができる。
図1に示すコージェネレーションシステムは、熱電併給装置7を備え、その熱電併給装置7は、詳細な図示は省略するが、例えば発電機をエンジンにより回転駆動して発電を行うと共に冷却水でエンジンの排熱を回収する形態で、熱と電力とを併せて発生するエンジン駆動式発電機などで構成される。
その熱電併給装置7の発電電力は、電力消費部4に供給されると共に、熱電併給装置7の排熱により加熱された温水は、貯湯槽10に一旦貯留されて給湯部16への給湯に利用されると共に、床暖房装置や浴室暖房装置などの暖房端末38での放熱に利用される。
即ち、コージェネレーションシステムは、熱電併給装置7に加えて、その熱電併給装置7の排熱により生成した温水を貯留する貯湯槽10を備え、更には、運転制御を行う運転制御装置50(運転制御手段の一例)を備える。
商用電力系統1は、例えば、単相3線式100/200Vであり、消費電力供給ライン3を介して、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの電力消費部4に電気的に接続されている。
また、インバータ6は、発電電力供給ライン5を介して消費電力供給ライン3に電気的に接続され、熱電併給装置7からの発電電力がインバータ6及び発電電力供給ライン5を介して電力消費部4に供給されるように構成されている。
そして、運転制御装置50は、逆潮流が生じないように、インバータ6により熱電併給装置7から消費電力供給ライン3に供給される電力が制御され、発電電力のうち電力消費部4で消費されない分の余剰電力は、電気ヒータ8に供給されて熱に変換される。
作動スイッチ9は、余剰電力の大きさが大きくなるほど、電気ヒータ8の消費電力が大きくなるように、余剰電力の大きさに応じて電気ヒータ8への供給電力を調整するように作動する。
尚、電気ヒータ8の消費電力を調整する構成については、上記のように複数の電気ヒータ8のON/OFFを切り換える構成以外に、その電気ヒータ8の出力を例えば位相制御等により調整する構成を採用しても構わない。
そして、三方弁23を切り換えることにより、貯湯槽10の下部から取り出した湯水がラジエータ24を通過するように循環させる状態と、貯湯槽10の下部から取り出した湯水がラジエータ24をバイパスするように循環させる状態とに切り換えられる。
熱源用熱交換器31は、熱電併給装置7の排熱を回収し冷却水循環路26を通流する高温の冷却水との熱交換により、熱源用循環路35を通流する熱源用湯水を加熱するように構成されている。
補助熱源機11は、ファン14により供給された燃焼用空気を利用して燃料を燃焼させるバーナ13と、そのバーナ13で発生する燃焼排ガスとの熱交換により貯湯槽10内から取り出した湯水及び熱源用循環路35を通流する湯水を加熱する補助加熱用熱交換器12を備えて構成された一般的な給湯器で構成されている。
熱源用循環路35には、熱源用湯水の通流を断続させる熱源用断続弁34が設けられている。
そして、分流弁30は、冷却水循環路26の冷却水の全量を貯湯用熱交換器20側に通流させる状態と、冷却水循環路26の冷却水の全量を熱源用熱交換器31側に通流させる状態との間で、冷却水の通流状態を切り替えることができる。
暖房端末38は、熱媒循環路36を通流する熱媒を放熱させて暖房を行う床暖房装置や浴室暖房装置などで構成されている。
従って、貯湯槽10では、貯湯槽10の容量の範囲内で、熱電併給装置7の出力に応じて追加された温水から、給湯用として取り出された温水を差し引いた分の温水が貯湯されていることになる。
運転制御装置50は、熱電併給装置7の稼動時において、当該熱電併給装置7の出力を、所定の出力設定範囲内で、現在要求されている電力負荷に追従させる運転を実行する。
詳しくは、運転制御装置50は、5分等の比較的短い所定の出力調整周期毎に電力負荷を求め、熱電併給装置7の発電電力が、所定の下限出力Pminからそれよりも大きい所定の上限出力Pmaxまでの出力設定範囲内において、連続的又は段階的に上記電力負荷に沿って変化するように、熱電併給装置7の出力を決定する。
尚、上記電力負荷は、電力消費部4の消費電力を示し、電力計測器2で計測された受電電力とインバータ6で計測された発電電力との合計から、電気ヒータ8の消費電力を差し引いた値として求めることができる。
即ち、電力負荷が上限出力Pmax以上である場合には、熱電併給装置7の発電電力が上限出力Pmaxに設定され、電力負荷が上限出力Pmax未満且つ下限出力Pmin以上である場合には、熱電併給装置7の発電電力は電力負荷に追従する出力に設定され、電力負荷が下限出力Pmin未満である場合には、熱電併給装置7の発電電力が下限出力Pminに設定される。
また、電力負荷が下限出力Pmin未満であるときに熱電併給装置7の発電電力を下限出力Pminに設定したときには、電力負荷に対する熱電併給装置7の発電電力の余剰分である余剰電力が発生するが、この余剰電力は電気ヒータ8に供給されることで熱に変換され、その熱により貯湯槽10に貯留される温水が生成される。
即ち、運転制御装置50は、ある熱電併給装置7の運転パターンに対して、予測電力負荷及び予測熱負荷についてのエネルギの削減量である予測エネルギ削減量を演算可能に構成されており、その予測エネルギ削減量の演算方法について、説明を加える。尚、本願において、エネルギとは、電力負荷及び熱負荷を賄うのに必要な一次エネルギを示す。よって、商用電力系統1からの受電電力については、その受電電力を発生するのに消費した燃料消費量に相当する値が用いられ、熱電併給装置7の発電電力及び排熱については、その熱電併給装置7の燃料消費量に相当する値が用いられ、補助熱源機11の発生熱については、その補助熱源機11の燃料消費量に相当する値が用いられる。
ΔE=E1−E2
ΔE:予測エネルギ削減量
E1:熱電併給装置7を稼動しない場合のエネルギ消費量
E2:熱電併給装置7を稼動した場合のエネルギ消費量
即ち、運転制御装置50は、例えば、熱負荷を給湯負荷と暖房負荷として、単位時間あたりの実電力負荷、実給湯負荷及び実暖房負荷の夫々を、電力計測器2の計測値及びインバータ6の出力値、電気ヒータ8の消費電力、給湯負荷計測器15及び暖房負荷計測器39の計測値を用いて演算する。
そして、運転制御装置50は、電力計測器2の計測値及びインバータ6の出力値、電気ヒータ8の消費電力、給湯負荷計測器15及び暖房負荷計測器39の計測値を用いて演算された値を記憶することにより、時系列的な電力負荷及び時系列的な熱負荷を1時間毎に管理するように構成されている。
また、運転制御装置50は、実際の使用状況に応じて時系列的な電力負荷及び時系列的な熱負荷を更新する場合には、電力計測器2の計測値及びインバータ6の出力値、電気ヒータ8の消費電力、給湯負荷計測器15及び暖房負荷計測器39の計測値を用いて演算された値と、既に記憶されている値とを所定の割合で足し合わせ、その足し合わせた値を記憶するように構成されている。
具体的に、24時間等の判定対象期間において熱電併給装置7の稼動時間帯が異なる複数の仮運転パターンの夫々についての予測エネルギ削減量ΔEを、判定対象期間における予測電力負荷と判定対象期間における予測熱負荷とに基づいて演算して、その予測エネルギ削減量ΔEが最大となるように、判定対象期間において熱電併給装置7の起動時間と停止時間を設定する。
即ち、運転制御装置50は、上記複数の仮運転パターンとしての、判定対象期間において熱電併給装置7の起動時間と停止時間との組み合わせが互いに異なる全ての仮運転パターンについて、その起動時間から停止時間までの稼動時間帯において熱電併給装置7に対して運転制御を実行することによる予測エネルギ削減量ΔEを、上述した[数1]等を用いて、演算する。
尚、上記実施形態では、出力調整周期を5分、判定対象時間帯を24時間とした例を示したが、それらをどのように設定するかについては適宜変更が可能である。
そして、運転制御装置50は、熱電併給装置7の想定外の寿命短縮を抑制するべく、出力設定範囲の下限出力Pminを変更することで、熱電併給装置7の1年間の積算運転時間などの運転頻度を調整する運転頻度調整処理を実行する。
即ち、図2(a)の状態から図2(b)の状態に変移させる形態で、熱電併給装置7の下限出力Pminを上昇側下限出力L2に上昇させると、電力負荷に追従して変化する熱電併給装置7の出力が比較的高めの出力設定範囲内で推移することになって、熱電併給装置7の排熱が増加する。
更に、下限出力Pminを上昇させると、電力負荷が低下側下限出力L1以上であっても上昇側下限出力L2未満であることで、積極的に余剰電力が発生することになり、その余剰電力が供給される電気ヒータ8の発生熱量が増加する。
従って、下限出力Pminを上昇させると、熱電併給装置7の排熱で賄う熱負荷の程度が小さくなり、結果、その熱負荷に応じて起動時間と停止時間とが設定される形態で稼働する熱電併給装置7の積算運転時間が短縮されて、熱電併給装置7がどの程度の頻度で運転されるかを示す将来の運転頻度が減少側に調整されることになる。
そして、熱電併給装置7の将来の運転頻度を減少側に調整すれば、当該運転頻度の想定を超える増加による熱電併給装置7の寿命の短縮が抑制されることになる。
具体的には、運転制御装置50は、例えば標準的な家族構成の家族が居住する住居にかかるコージェネレーションシステムを設置した場合に、そのコージェネレーションシステムの熱電併給装置7の単位期間としての1年間の積算運転時間を標準的な運転頻度として予め記憶している。
そして、運転制御装置50は、運転頻度予測処理において、実際にコージェネレーションシステムを設置する住居における実際の家族構成を示す大人の人数や子供の人数などの家族構成情報についての入力を、利用者により受け付ける。
このことにより、運転制御装置50は、標準的な家族構成に対する実際の家族構成の乖離状態を認識し、その実際の家族構成に基づいて、熱電併給装置7の運転頻度が標準的な運転頻度に対してどの程度増減するかを判断して、その判断結果に基づいて標準的な運転頻度を補正する形態で、熱電併給装置7の将来の運転頻度を予測する。
また、運転制御装置50は、コージェネレーションシステムを設置して1年が経過した後には、その時点までの過去の1年間において実際に計測した熱電併給装置7の積算運転時間により、この予測した将来の運転頻度を適宜補正することができる。
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限らず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
上記実施形態では、運転制御装置50は、運転頻度調整処理において、熱電併給装置7の出力設定範囲の下限出力Pminを、図2に示すように、低下側下限出力L1と上昇側下限出力L2との間で変更することで、熱電併給装置7の運転頻度を調整したが、図4及び図5に示すように、別の形態で熱電併給装置7の出力設定範囲の限界出力を変更することで、熱電併給装置7の運転頻度を調整するように構成しても構わない。
即ち、図4(a)の状態から図4(b)の状態に変移させることで、熱電併給装置7の下限出力Pminが、部分出力Lから定格出力Hに上昇することになる。
よって、上記実施形態と同様に、熱電併給装置7の下限出力Pminを定格出力Hまで上昇させると、熱電併給装置7の排熱が一層増加すると共に、余剰電力が供給される電気ヒータ8の発生熱量が一層増加することになり、結果、熱電併給装置7の運転頻度が一層減少側に調整されることになる。
即ち、図5(a)の状態から図5(b)の状態に変移させることで、熱電併給装置7の上限出力Pmaxが、低下側上限出力H1から上昇側上限出力H2に上昇することになる。
そして、熱電併給装置7の上限出力Pmaxを上昇させると、余剰電力の増減は発生しないが、上記実施形態と同様に、電力負荷に追従して変化する熱電併給装置7の出力が比較的高めの出力設定範囲内で推移することになって、熱電併給装置7の排熱が増加する。よって、熱電併給装置7の運転頻度が減少側に調整されることになる。
上記実施形態では、熱電併給装置7をエンジン駆動式発電機として構成したが、燃料電池やその他熱と電力とを併せて発生する別の形式の熱電併給装置を設けても構わない。
上記実施形態では、暖房端末38を設けて、熱負荷を給湯負荷と暖房負荷としたコージェネレーションシステムを例示したが、暖房端末38を設けずに、給湯負荷のみを熱負荷とするコージェネレーションシステムとしてもよい。
上記実施形態では、電気ヒータ8が熱電併給装置7の冷却水を加熱するように構成されているが、電気ヒータ8を省略したり、電気ヒータ8にて貯湯槽10内の湯水を加熱するように構成しても構わない。また、電気ヒータ8に代えて、ヒートポンプなど別の湯水加熱装置を設けても構わない。
熱電併給装置7の定格出力Hから部分出力Lまでの範囲を出力設定範囲とする状態と、定格出力Hのみを出力設定範囲とする状態とを切り替えるように構成した図4の実施形態では、熱電併給装置7の定格出力Hを定格入力とする電気ヒータ8が必要であったが、より小さな定格入力の電気ヒータ8を使用するため、図6に示すように、熱電併給装置7の発電電力を制御しても構わない。
即ち、図6に示す別実施形態では、まず、電気ヒータ8の定格入力と等しい電力負荷となる部分負荷値Lと、熱電併給装置7の定格出力Hと等しい電力負荷となる定格負荷値Hを設定する。
そして、図6(a)に示すように、熱電併給装置7の運転頻度を増加側に調整する場合、つまり、熱電併給装置7の下限出力Pminを低下させる場合には、電力負荷が零値以上で部分負荷値L未満の範囲では熱電併給装置7の発電電力を下限出力Pminとしての電気ヒータ8の定格入力と等しくなるように制御し、電力負荷が部分負荷値L以上で定格負荷値H未満の範囲では熱電併給装置7の発電電力を電力負荷と等しくなるように制御し、電力負荷が定格負荷値H以上の範囲では、熱電併給装置7の発電電力を上限出力Pmaxとしての定格出力Hと等しくなるように制御する。このように下限出力Pminを低下させる場合、下限出力Pminとしての電気ヒータ8の定格入力から上限出力Pmaxとしての熱電併給装置7の定格出力Hまでの発電電力の範囲が出力設定範囲となる。
一方、図6(b)に示すように、熱電併給装置7の運転頻度を減少側に調整する場合、つまり、熱電併給装置7の下限出力Pminを定格出力Hにまで上昇させる場合には、電力負荷が零値以上で定格負荷値Hと部分負荷値Lとの差分値(H−L)未満の範囲では、熱電併給装置7の発電電力の余剰電力を電気ヒータ8の定格入力と等しくなるように制御し、電力負荷が定格負荷値Hと部分負荷値Lとの差分値(H−L)以上の範囲では、熱電併給装置7の発電電力を熱電併給装置7の定格出力Hと等しくなるように制御する。
このように、下限出力Pminを上昇させる場合には、電力負荷が、零値から定格負荷値Hまでの範囲内全体ではなく、差分値(H−L)から定格負荷値Hまでの一部の範囲内において、熱電併給装置7の下限出力Pminを定格出力Hに設定して、熱電併給装置7の定格出力Hのみが出力設定範囲となる。
これにより、電気ヒータ8の定格入力が熱電併給装置7の定格出力H未満とされる比較的小さな容量の電気ヒータ8を使用することができるので、装置コストを安価にすることができる。また、熱電併給装置7の運転頻度を減少側に調整する場合では、電力負荷が零値以上で定格負荷値Hと部分負荷値Lとの差分値(H−L)未満の範囲において、電気ヒータ8を定格入力において運転するので、電気ヒータ8の加熱性能を無駄なく発揮することができる。
上記実施形態では、熱電併給装置7の発電電力を電力負荷に追従させるにあたり、発電電力と電力負荷とを合致させるように構成したが、例えば図7に示すように、発電電力を電力負荷よりも若干高めに構成したり、その差を電力負荷によって漸次変化させるなどのように、発電電力と電力負荷とを完全に合致させなくても構わない。
前記熱電併給装置の排熱により生成した温水を貯留する貯湯槽と、
熱負荷に応じて前記熱電併給装置を稼働させると共に、当該熱電併給装置の稼働時における出力を所定の出力設定範囲内で電力負荷に追従させる形態で、前記熱電併給装置の運転を制御する運転制御手段とを備えたコージェネレーションシステムとして好適に利用可能である。
8 :電気ヒータ
10 :貯湯槽
50 :運転制御装置(運転制御手段)
H :定格出力
L :部分出力
Pmax :上限出力
Pmin :下限出力
Claims (7)
- 熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、
前記熱電併給装置の排熱により生成した温水を貯留する貯湯槽と、
熱負荷に応じて前記熱電併給装置を稼働させると共に、当該熱電併給装置の稼働時における出力を所定の出力設定範囲内で電力負荷に追従させる形態で、前記熱電併給装置の運転を制御する運転制御手段とを備えたコージェネレーションシステムであって、
前記運転制御手段が、前記出力設定範囲の上限出力及び下限出力の少なくとも一方の限界出力を変更することで、前記熱電併給装置の運転頻度を調整する運転頻度調整処理を実行すると共に、
当該運転頻度調整処理において、前記熱電併給装置の運転頻度の所定の目標運転頻度に対する乖離状態に基づき、前記熱電併給装置の運転頻度を減少側に調整する場合には前記出力設定範囲の限界出力を上昇させ、前記熱電併給装置の運転頻度を増加側に調整する場合には前記出力設定範囲の限界出力を低下させるコージェネレーションシステム。 - 電力負荷に対する前記熱電併給装置の発電電力の余剰分である余剰電力により前記貯湯槽に貯留される温水を生成する電気ヒータを備え、
前記運転制御手段が、前記運転頻度調整処理において、前記出力設定範囲の下限出力を前記限界出力として変更する請求項1に記載のコージェネレーションシステム。 - 前記運転制御手段が、前記運転頻度調整処理において、前記出力設定範囲の限界出力を変更するにあたり、所定の定格出力から当該定格出力よりも小さい部分出力までの範囲を前記出力設定範囲とする状態と、前記定格出力のみを前記出力設定範囲とする状態とを切り替える請求項2に記載のコージェネレーションシステム。
- 前記電気ヒータの定格入力が前記熱電併給装置の定格出力未満であり、
前記運転制御手段が、前記運転頻度調整処理において、
前記熱電併給装置の運転頻度を増加側に調整する場合には、
前記電力負荷が零値以上で、前記電気ヒータの定格入力と等しい電力負荷となる部分負荷値未満の範囲では、前記発電電力を前記電気ヒータの定格入力と等しくなるように、
前記電力負荷が前記部分負荷値以上で、前記熱電併給装置の定格出力と等しい電力負荷となる定格負荷値未満の範囲では、前記発電電力を当該電力負荷と等しくなるように、
前記電力負荷が前記定格負荷値以上の範囲では、前記発電電力を前記熱電併給装置の定格出力と等しくなるように、それぞれ制御し、
前記熱電併給装置の運転頻度を減少側に調整する場合には、
前記電力負荷が零値以上で、前記定格負荷値と前記部分負荷値との差分値未満の範囲では、前記発電電力を当該発電電力の余剰電力が前記電気ヒータの定格入力と等しくなるように、
前記電力負荷が前記定格負荷値と前記部分負荷値との差分値以上の範囲では、前記発電電力を前記熱電併給装置の定格出力と等しくなるように、それぞれ制御する請求項3に記載のコージェネレーションシステム。 - 前記運転制御手段が、前記熱電併給装置の運転頻度を予測する運転頻度予測処理を実行すると共に、前記熱電併給装置の運転頻度は、前記運転頻度予測処理で予測した運転頻度である請求項1〜4の何れか1項に記載のコージェネレーションシステム。
- 前記運転制御手段が、前記運転頻度予測処理において、予め記憶されている標準的な運転頻度を、利用者により入力された家族構成情報に基づいて補正する形態で、前記運転頻度を予測する請求項5に記載のコージェネレーションシステム。
- 熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、
前記熱電併給装置が発生した熱により加熱された温水を貯留する貯湯槽と、
熱負荷に応じて前記熱電併給装置を稼働させると共に、当該熱電併給装置の稼働時における出力を所定の出力設定範囲内で電力負荷に追従させる形態で、前記熱電併給装置の運転を制御するコージェネレーションシステムの運転制御方法であって、
前記出力設定範囲の上限出力及び下限出力の少なくとも一方の限界出力を変更することで、前記熱電併給装置の運転頻度を調整する運転頻度調整処理を実行すると共に、
当該運転頻度調整処理において、前記熱電併給装置の運転頻度の所定の目標運転頻度に対する乖離状態に基づき、前記熱電併給装置の運転頻度を減少側に調整する場合には前記出力設定範囲の限界出力を上昇させ、前記熱電併給装置の運転頻度を増加側に調整する場合には前記出力設定範囲の限界出力を低下させるコージェネレーションシステムの運転制御方法。
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