JP6303498B2 - 発泡断熱紙容器、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発泡断熱紙容器、及びその製造方法に関する。
基材の少なくとも一方の面に発泡層を有することにより、断熱性が付与された容器が知られている(例えば、特許文献1〜2)。
特許文献1には、原紙と、当該原紙を被覆する熱可塑性合成樹脂フィルムと、当該原紙の他方の面に、加熱により発泡した別の熱可塑性合成樹脂フィルムの断熱層を有する断熱性発泡紙製容器が開示されている。
また、特許文献2には、熱可塑性フィルムの発泡層を有する特定の断熱容器及びその製造方法が開示されている。
特許第4619455号公報 特許第3414978号公報
特許文献1及び2おいて、断熱層を構成する発泡体は、基材である紙に含まれる水分を利用して形成されるものである。即ち、紙の表面に、発泡層形成用の熱可塑性フィルムを積層した積層体を形成した後、当該積層体を加熱して、水分を前記熱可塑性フィルム側に蒸発させて、水蒸気によって発泡している。
しかしながら、水分の急激な蒸発は、発泡体の破泡の原因となり、機械強度の低下や、容器表面の平滑性が低下して、発泡層の表面の手触りが悪くなったり、発泡層表面が印刷しにくいという問題があった。
特許文献2においては、発泡層用の樹脂フィルムに予め印刷を付すことにより発泡層の膨張を抑制することが開示されている。しかしながら、特許文献2のような手法であっても、水分の急激な蒸発に対する破泡の抑制が十分ではなかった。
このように、従来、紙中の水分による発泡層の形成は、水蒸気の発生量を十分に制御する必要があったため、加熱の際の温度管理が難しかった。
また、ゆっくりと発泡させる必要があるため、加熱による発泡工程に長時間かかり、製造効率が悪いという問題があった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、発泡層表面の平滑性に優れ、且つ、発泡時間が短縮可能な発泡断熱紙容器を提供することを目的とする。
本発明に係る発泡断熱紙容器は、原紙と、前記原紙の一方の面を被覆する熱可塑性樹脂層と、前記原紙の他方の面を被覆する発泡層とを有する発泡断熱紙容器であって、前記発泡層が電子線照射されて三次元架橋しているポリオレフィン系樹脂の発泡体からなり、前記熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂の融点が、前記電子線照射されたポリオレフィン系樹脂の融点よりも高いことを特徴とする。
本発明に係る発泡断熱紙容器は、前記発泡層の表面は破泡が存在せず平滑であることを特徴とする。
本発明に係る発泡断熱紙容器の製造方法は、
原紙の一方の面に熱可塑性樹脂層を有し、前記原紙の他方の面にポリオレフィン系樹脂層を有し、前記熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂の融点が、前記ポリオレフィン系樹脂層を形成するポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い、発泡性紙材料を用い、当該発泡性紙材料を容器の形状に形成する工程と、
前記発泡性紙材料のポリオレフィン系樹脂層に電子線を照射する工程と、
前記電子線照射後に前記発泡性紙材料を加熱することにより、前記ポリオレフィン系樹脂を発泡する工程とを有することを特徴とする。
本発明に係る発泡断熱紙容器の製造方法は、前記発泡性紙材料の加熱は、加熱温度が100〜250℃の範囲内、加熱時間が5秒〜30秒の間であることを特徴とする。
本発明によれば、発泡層表面の平滑性に優れ、且つ、発泡時間が短縮可能な発泡断熱紙容器を提供することができる。
図1は、本発明に係る発泡断熱紙容器の一例において、一部を切除して示した斜視図である。 図2は、図1におけるII部を拡大して示した部分拡大図である。
以下、本発明に係る発泡断熱紙容器、及び発泡断熱紙容器の製造方法について、順に詳細に説明する。
[発泡断熱紙容器]
本発明に係る発泡断熱紙容器は、原紙と、前記原紙の一方の面を被覆する熱可塑性樹脂層と、前記原紙の他方の面を被覆する発泡層とを有する発泡断熱紙容器であって、前記発泡層が電子線照射されたポリオレフィン系樹脂の発泡体からなり、前記熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂の融点が、前記電子線照射されたポリオレフィン系樹脂の融点よりも高いことを特徴とする。
本発明の発泡断熱紙容器について図を参照して説明する。図1は、本発明に係る発泡断熱紙容器の一例において、一部を切除して示した斜視図である。また図2は、図1におけるII部(胴部2の断面)を拡大して示した部分拡大図である。
図1に示されるように、本発明の発泡断熱紙容器1は円筒形の胴部2と、当該胴部2の一端に設けられた底部3とを有している。胴部2の開口部側の末端は、外側に丸められたトップカール部4が設けられていてもよい。また、胴部2は、原紙を筒状に丸めて接着して形成された胴貼部5を有していてもよい。
胴部2の断面は、図2に示されるように原紙11の一方の面に熱可塑性樹脂層12が被覆し、原紙11の熱可塑性樹脂層12とは反対側の面に発泡層13が形成されている。底部3の断面も胴部2と同様の層構成を有している。
本発明の発泡断熱紙容器は、発泡層として、電子線照射されたポリオレフィン系樹脂の発泡体を用いることにより、発泡層表面の平滑性に優れ、且つ、発泡時間が短縮可能となる。
上記特定のポリオレフィン系樹脂を用いることにより、上記のような特定の効果を発揮する作用としては、未解明の部分もあるが、以下のように推定される。
従来より、紙を基材とし、当該紙に含まれる水分を蒸発させることにより樹脂を発泡する手法は知られていた。しかしながら、水分の急激な蒸発は、発泡体の破泡の原因となるため、水蒸気の発生量を十分に制御する必要があった。そのため、ゆっくりと発泡させる必要があり、発泡工程に長時間を要し、製造効率が悪いという問題があった。
本発明者らは、鋭意検討の結果、発泡体となるポリオレフィン系樹脂に電子線を照射することにより、発泡体の破泡が生じにくくなるとの知見を得た。ポリオレフィン系樹脂に電子線を照射することにより、発泡体の破泡が生じにくくなる理由については未解明な部分もあるが、ポリオレフィン系樹脂に高エネルギーの電子線を照射することにより、ポリオレフィン中に残存する不飽和二重結合が、他のポリオレフィンと架橋反応を生じたり、ポリオレフィン中の結合が切れて他のポリオレフィンと結合することにより、ポリオレフィン同士が三次元架橋されているものと推定される。このような三次元架橋されたポリオレフィン系樹脂は網の目状の構造を有するため、直線状の構造と比較して、発泡により生じた気泡を包み込んで捉えやすく、破泡が生じにくくなるものと推定される。また、ポリオレフィン系樹脂は三次元架橋することにより溶融張力が上昇して発泡工程の加熱時において高い弾性力を有するものと推定される。そのため、発泡時の膨張に対しても破泡が生じにくいものと推定される。
本発明は、このような電子線照射されたポリオレフィン系樹脂を用いて発泡層を形成するため、従来よりも水の蒸発速度を高めた場合であっても発泡体の破泡が生じない。このようなことから、本発明の泡断熱紙容器は、発泡工程において加熱温度を高めることができ、その結果発泡時間も短縮することができるとともに、破泡がなく発泡層の表面の平滑性に優れた断熱層とすることができる。
本発明の発泡断熱紙容器は、少なくとも、原紙と、熱可塑性樹脂層と、発泡層とを有するものであり、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の層を有していてもよいものである。以下、このような発泡断熱紙容器の各層について、順に詳細に説明する。
<原紙>
本発明において原紙は、特に限定されず、公知の紙の中から適宜選択して用いることができる。紙容器の成形性の点からは、自己支持性を有する紙材を用いることが好ましい。具体的には、坪量が80〜400g/mの原紙を用いることが好ましく、坪量が200〜400g/mの原紙を用いることがより好ましい。
また、紙の厚みは、紙容器の成型性の点から、0.1〜0.5mmであることが好ましく、0.2〜0.3mmであることがより好ましい。
このような原紙の具体例としては、ケント紙、クラフト紙、上質紙等の非塗工紙、コート紙、アート紙、キャスト紙等の塗工紙や、各種合成紙等が挙げられる。また、本発明においては、カップ原紙、食品容器原紙等として公知のものを原紙として好適に用いることができる。
また、原紙中の水分含有量は、後述する発泡層が良好に形成される範囲で適宜調整すればよく、特に限定されないが、中でも、水分を含む原紙全質量中、水分が5〜10質量%含有することが、発泡層表面の平滑性に優れ、かつ、発泡時間が短縮可能な点から好ましい。
<熱可塑性樹脂層>
本発明の発泡断熱紙容器は、前記原紙の一方の面が熱可塑性樹脂層により被覆されている。当該熱可塑性樹脂層は、後述する電子線照射されたポリオレフィン系樹脂よりも融点が高いため、後述する本発明の製造方法における発泡工程において、原紙に含まれる水分が、電子線照射されたポリオレフィン系樹脂が被覆された面とは反対側の面から蒸発することを抑制することができる。
また、発泡断熱紙容器においては、容器中の内容物と接触する面を構成し、容器中の内容物が原紙に移行することを抑制する機能を有する。
熱可塑性樹脂層は、少なくとも熱可塑性樹脂を含有し、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて更に他の成分を含有してもよいものである。
以下、熱可塑性樹脂層に含まれる各成分について順に説明する。
(熱可塑性樹脂)
本発明において熱可塑性樹脂は、後述する電子線照射されたポリオレフィン系樹脂よりも融点の高い熱可塑性樹脂を適宜選択して用いることができる。熱可塑性樹脂の融点としては、120〜180℃が好ましく、130〜170℃がより好ましい。
なお、本発明において樹脂の融点は、示差走査熱量分析計(DSC)により測定された値とする。
熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等のポリビニル系樹脂;ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂;高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリウレタン等が挙げられ、中でも、加工性の点から、ポリエチレン系樹脂であることが好ましく、低密度ポリエチレン又は中密度ポリエチレンがより好ましい。
なお、本発明において低密度ポリエチレンとは密度が910kg/m以上930kg/m未満のポリエチレン樹脂のことをいい、中密度ポリエチレンとは密度が930kg/m以上942kg/m未満のポリエチレン樹脂のことをいう。
熱可塑性樹脂層には、更に他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、界面活性剤、シランカップリング剤、レベリング剤、安定化剤、消泡剤、酸化防止剤、凝集抑制剤、粘度調整剤等が挙げられる。
熱可塑性樹脂層の厚みは特に限定されず、適宜調整すればよい。通常、10μm〜120μmの範囲内であり、15μm〜100μmであることが好ましい。
<発泡層>
本発明の発泡断熱紙容器は、前記原紙の前記熱可塑性樹脂層とは反対側の面に発泡層を有する。本発明において発泡層は、電子線照射されたポリオレフィン系樹脂の発泡体からなる。本発明においては、発泡前のポリオレフィン系樹脂を有する発泡層形成用層を、単にポリオレフィン系樹脂層と称する。
上記ポリオレフィン系樹脂層を構成する、電子線照射前のポリオレフィン系樹脂は、公知のオレフィン系モノマーの重合体又は共重合体の中から適宜選択して用いればよい。オレフィン系モノマーとしては、1分子中に1個以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の中から、1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。本発明においてポリオレフィン系樹脂は、中でも、鎖状オレフィンを主成分とすることが好ましく、エチレン、又は炭素原子数が3〜20のα−オレフィンを主成分とすることがより好ましく、エチレン又はプロピレンを主成分とすることが更により好ましい。
なお、本発明において主成分とは、樹脂を構成するモノマー全体に対して、50質量%以上を占める成分のことをいう。
エチレン又はプロピレンを主成分とするポリオレフィン系樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体が好ましく挙げられ、中でも、ポリエチレン又はポリプロピレンであることがより好ましい。
本発明においてポリオレフィン系樹脂は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂に電子線を照射したものが用いられる。電子線照射は、従来公知の電子線照射装置の中から適宜選択して行うことができ、スキャン方式の装置であっても、エリアビーム方式の装置であってもよい。
電子線照射量は、ポリオレフィン系樹脂の溶融張力が上昇する範囲で適宜調整すればよい。ポリオレフィン系樹脂として、ポリエチレン又はポリプロピレンを用いる場合には、電子線照射量が、40〜60kGyであることが、適度に三次元架橋を形成し、溶融張力が上昇して、破泡のない発泡層が得られる点から好ましい。
発泡前のポリオレフィン系樹脂層の厚みは、特に限定されず、適宜調整すればよい。破泡が生じにくい点から、10μm〜120μmの範囲内であることが好ましく、15μm〜100μmであることがより好ましい。
<他の層>
本発明の発泡断熱紙容器は、必要に応じて、更に、印刷層、バリア層(PETフィルム、ONフィルム)等を有していてもよい。
[発泡断熱紙容器の製造方法]
本発明に係る発泡断熱紙容器の製造方法は、原紙の一方の面に熱可塑性樹脂層を有し、前記原紙の他方の面にポリオレフィン系樹脂層を有し、前記熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂の融点が、前記ポリオレフィン樹脂層を形成するポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い、発泡性紙材料を用い、当該発泡性紙材料を容器の形状に形成する工程(以下、形成工程とすることがある)と、
前記発泡性紙材料のポリオレフィン系樹脂層に電子線を照射する工程(以下、電子線照射工程とすることがある)と、
前記電子線照射後に、前記発泡性紙材料を加熱することにより、前記ポリオレフィン系樹脂を発泡する工程(以下、発泡工程とすることがある)とを有することを特徴とする。
本発明に係る発泡断熱紙容器の製造方法によれば、従来よりも、発泡時間を短縮することができ、且つ、発泡層表面の平滑性に優れた発泡断熱紙容器を得ることができる。
本発明に係る発泡断熱紙容器の製造方法は、前記形成工程と、電子線照射工程と、発泡工程とを少なくとも有するものであり、必要に応じて更に他の工程を有していてもよいものである。以下、このような本発明の製造方法における各工程について説明する。
<形成工程>
本工程は、原紙の一方の面に熱可塑性樹脂層を有し、原紙の他方の面にポリオレフィン系樹脂層を有する発泡性紙材料を、容器の形状とする工程である。
発泡性紙材料を公知の裁断方法により紙容器形状に裁断する。図1の例では、扇形の胴部2と円形の底部3の形状にそれぞれ裁断する。次いで公知の方法により、上記裁断された発泡性紙材料を、所望の紙容器形状に成型する。
上記発泡性紙材料は、市販品を用いてもよく、例えば原紙の一方の面に熱可塑性樹脂を、原紙の他方の面にポリオレフィン系樹脂を、それぞれ公知の方法で被覆することにより得ることができる。
フィルム状の熱可塑性樹脂を用いる場合には、当該フィルムを原紙の一方の面に対向させ、押し出しラミネートすることによって、熱可塑性樹脂層を被覆することができる。
また、フィルム状のポリオレフィン系樹脂を用いる場合には、上記フィルム状の熱可塑性樹脂と同様に被覆することができる。
熱可塑性樹脂と、ポリオレフィン系樹脂とが、共にフィルム状の樹脂を用いる場合には、原紙の一方の面に熱硬化性樹脂フィルムを、原紙の他方の面にポリオレフィン系樹脂フィルムを対向させ、押し出しラミネートすることによって、熱可塑性樹脂と、ポリオレフィン系樹脂とを同時に被覆してもよい。
<電子線照射工程>
電子線照射工程は、前述した電子線照射装置を用いて、ポリオレフィン系樹脂層に電子線を照射する工程である。当該工程により、ポリオレフィン系樹脂が三次元架橋を形成して溶融張力を上昇することができ、後述する発泡工程を短縮することができ、発泡層の平滑性を優れたものとすることができる。
フィルム状のポリオレフィン系樹脂を用いる場合、原紙に被覆する前に電子線照射をしてもよく、原紙に被覆した後に電子線照射をしてもよい。一方、ポリオレフィン系樹脂を含有するインクを用いる場合には、電子線を均一に照射する点から、原紙に被覆した後に電子線照射を行うことが好ましい。
<発泡工程>
本工程は、電子線照射されたポリオレフィン系樹脂が被覆された前記発泡性紙材料を加熱することにより、前記電子線照射されたポリオレフィン系樹脂を発泡する工程である。
前記発泡性紙材料を加熱することにより、前記原紙中に含まれる水分が蒸発し、当該水分が前記電子線照射されたポリオレフィン系樹脂側に移行することにより、ポリオレフィン系樹脂内で水分が気化して発泡する。本発明においては、前記熱可塑性樹脂の融点が、電子線照射されたポリオレフィン系樹脂の融点よりも高いため、蒸発した水分は、電子線照射されたポリオレフィン系樹脂の方に移行する。
本発明においては、三次元架橋され溶融張力の高い電子線照射されたポリオレフィン系樹脂を発泡するため、従来よりも、加熱温度を高くすることができる。具体的には、100〜250℃とすることができ、製造効率の点から、中でも100℃〜200℃とすることができる。
また、このように加熱温度を高くすることができるため、従来よりも加熱時間を短縮することができる。具体的には、5秒〜30秒の間で適宜設定することができ、中でも、10〜25秒の間とすることが好ましい。
以下、実施例を用いてより具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
原紙(坪量350g/m、水分含量8%のカップ原紙)の一方の面に熱可塑性樹脂フィルム(厚み60μmの中密度ポリエチレン)を対向し、原紙の他方の面に、前記中密度ポリエチレンよりも融点が低く、厚みが60μmのポリエチレンフィルムを対向し、熱ラミネート処理することにより発泡性紙材料1を形成した。
(製造例2)
製造例1においてポリエチレンフィルムの代わりに、前記中密度ポリエチレンよりも融点が低く、厚みが60μmのポリプロピレンフィルムを用いた以外は、製造例1と同様にして、発泡性紙材料2を得た。
(製造例3)
製造例1で得られた発泡性紙材料1のポリエチレンフィルム側の面に、電子線照射装置(アイ・エレクトロンビーム社製)を用いて40kGyの電子線を照射し、電子線照射された発泡性紙材料3を得た。
(製造例4)
製造例2で得られた発泡性紙材料2のポリプロピレンフィルム側の面に、電子線照射装置(アイ・エレクトロンビーム社製)を用いて40kGyの電子線を照射し、電子線照射された発泡性紙材料4を得た。
(試験例1)
製造例3で得られた電子線照射された発泡性紙材料3を160℃で15秒間加熱して、発泡層を形成した。得られた発泡層を目視で観察したところ、発泡層の破泡が観察されず、発泡層表面が平滑であった。
(試験例2)
製造例4で得られた電子線照射された発泡性紙材料4をを210℃で15秒間加熱して、発泡層を形成した。得られた発泡層を目視で観察したところ、発泡層の破泡が観察されず、発泡層表面が平滑であった。
(比較試験例1)
製造例1で得られた電子線照射されていない発泡性紙材料1を160℃で15秒間加熱して、発泡層を形成した。得られた発泡層を目視で観察したところ、発泡層に破泡が観察された。
(比較試験例2)
製造例2で得られた電子線照射されていない発泡性紙材料2を210℃で15秒間加熱して、発泡層を形成した。得られた発泡層を目視で観察したところ、発泡層に破泡が観察された。
上記試験例1〜2及び比較試験例1〜2の結果から、電子線照射されたポリオレフィン系樹脂を発泡して得られた発泡層は破泡がなく、平滑な表面を有することが明らかとなった。
(実施例1)
製造例3で得られた電子線照射された発泡性紙材料3を裁断し、紙容器形状に成形した。得られた紙容器を160℃で15秒間加熱して、実施例1の発泡断熱紙容器を得た。
(実施例2)
製造例4で得られた電子線照射された発泡性紙材料4を裁断し、紙容器形状に成形した。得られた紙容器を210℃で15秒間加熱して、実施例2の発泡断熱紙容器を得た。
(比較例1)
製造例1で得られた電子線照射されていない発泡性紙材料1を裁断し、紙容器形状に成形した。得られた紙容器を160℃で15秒間加熱して、比較例1の発泡断熱紙容器を得た。
(比較例2)
製造例2で得られた電子線照射されていない発泡性紙材料2を裁断し、紙容器形状に成形した。得られた紙容器を210℃で15秒間加熱して、比較例2の発泡断熱紙容器を得た。
実施例1及び2で得られた発泡断熱紙容器は、発泡層表面が平滑で手触り感も良好であった。一方比較例1及び2で得られた発泡断熱紙容器は、発泡層表面にざらつきがあった。
1 発泡断熱紙容器
2 胴部
3 底部
4 トップカール部
5 胴貼部
11 原紙
12 熱可塑性樹脂層
13 発泡層

Claims (4)

  1. 原紙と、前記原紙の一方の面を被覆する熱可塑性樹脂層と、前記原紙の他方の面を被覆する発泡層とを有する発泡断熱紙容器であって、前記発泡層が電子線照射されて三次元架橋しているポリオレフィン系樹脂の発泡体からなり、前記熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂の融点が、前記電子線照射されたポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い、発泡断熱紙容器。
  2. 前記発泡層の表面は、破泡が存在せず平滑である、請求項1に記載の発泡断熱紙容器。
  3. 原紙の一方の面に熱可塑性樹脂層を有し、前記原紙の他方の面にポリオレフィン系樹脂層を有し、前記熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂の融点が、前記ポリオレフィン系樹脂層を形成するポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い、発泡性紙材料を用い、当該発泡性紙材料を容器の形状に形成する工程と、
    前記発泡性紙材料のポリオレフィン系樹脂層に電子線を照射する工程と、
    前記電子線照射後に前記発泡性紙材料を加熱することにより、前記ポリオレフィン系樹脂を発泡する工程とを有する、発泡断熱紙容器の製造方法。
  4. 前記発泡性紙材料の加熱は、加熱温度が100〜250℃の範囲内、加熱時間が5秒〜30秒の間である、請求項3に記載の発泡断熱紙容器の製造方法。
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