JP6294594B2 - レーダ装置、及び、信号処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、物標の導出における信号処理に関する。
従来、車両に備えられたレーダ装置は、送信アンテナから送信波を射出し、射出された送信波を反射する物標からの反射波を受信アンテナで受信して、車両(レーダ装置)に対する物標の位置等を導出していた。この具体的な処理は次のとおりである。レーダ装置の信号処理部は、所定周期で周波数が変わる送信波に対応する送信信号と、反射波に対応する受信信号とをミキシングしてビート信号を生成する。つまり、信号処理部は、所定周期で周波数が上昇するUP区間と、周波数が下降するDOWN区間とのそれぞれの区間における送信信号と受信信号との差分周波数(ビート周波数)に基づくビート信号を生成する。
次に、信号処理部は、ビート信号をFFT(Fast Fourier Transform)処理して周波数ごとの信号(変換信号)を生成し、この変換信号のうち所定の信号レベルの閾値を超える信号をピーク信号として抽出する。そして、信号処理部は、所定の条件に基づきUP区間のピーク信号とDOWN区間のピーク信号とをペアリングし、ペアデータを導出する。
例えば、信号処理部は、過去に導出したペアデータに基づいて今回のペアデータを予測したペアデータ(予測ペアデータ)を導出し、その予測ペアデータから、今回のピーク信号を予測したピーク信号(予測ピーク信号)を導出して、UP区間及びDOWN区間の各々について予測ピーク信号に対応する今回のピーク信号を抽出する。そして、信号処理部は、抽出したピーク信号の周波数や角度情報等から、対応する各区間のピーク信号をペアリングして、ペアデータを導出する。
そして、信号処理部は、ペアデータに基づいて車両から物標までの距離(縦距離)や、車両の進行方向に対して略直行する方向の車両に対する物標の距離(横距離)を導出する。また、信号処理部は、車両に対する物標の相対速度や角度を導出する。そして、レーダ装置は、確定した物標の位置情報や相対速度等の情報を車両制御装置に出力し、車両制御装置はその物標の情報に応じて必要な車両制御を行う。
ただし、導出した物標が、車両の車高よりも十分に高い位置にある静止物(例えば、車道の上方に設けられている片持式や門型式の道路標識や、トンネルの天井に設けられている照明等)である場合、このような物標は車両の制御には必要のない物標であるため、物標の情報は除去され、車両制御装置に出力されることはない。なお、本発明と関連する技術としては、例えば、特許文献1、2がある。
特開2001-324566号公報 特開2007-093481号公報
しかしながら、例えば、天井が低いトンネルの場合、天井に設けられた照明等に対応する物標情報を先行車の物標と誤判定する場合がある。具体的には、乗用車の走行は可能であるが、トラックやバス等の車高の高い車は走行できない程度に天井の低いトンネルでは、天井に設けられた照明等の高さが、トラックやバスの高さ以下になる場合がある。この場合、天井の照明等に対応する物標であるにも関わらず先行車と誤判定してしまい、物標情報は除去されずに車両制御装置に出力され、車両制御装置がブレーキ等の車両制御を行ってしまうことがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、車両の制御に不要な物標情報を確実に除去し、誤った車両制御を行ってしまうことを回避する技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、所定周期で周波数が変わる送信信号と、該送信信号に基づく送信波の物標での反射波を受信した受信信号との差分周波数から得られるピーク信号を前記送信信号の周波数が上昇する第1期間と周波数が下降する第2期間とで抽出し、該抽出したピーク信号に基づいて物標の情報を導出するレーダ装置であって、前記第1期間で抽出したピーク信号と第2期間で抽出したピーク信号とをペアリングするペアリング手段と、前記ペアリングしたペアデータの内、自装置から所定範囲内に存在する静止物のペアデータの数に基づいて、前記導出した物標が天井が所定の高さよりも低いトンネルの天井部分に設けられた照明である上方物か否かを判定する判定手段と、を備え、前記判定手段は、前記所定範囲内に存在する静止物のペアデータの数が第1閾値以上とする第1条件と、前記静止物のペアデータ同士の距離が第1距離以上とする第2条件とを満たす場合に、前記導出した物標が前記上方物であると判定し、所定時間内に所定回数以上、前記物標が前記上方物であると判定したときには、その後は前記第2条件に基づく判定を行うことなく、前記第1条件に基づく判定のみを行い、前記第1条件の前記静止物ペアデータの数に関する閾値を前記第1閾値よりも小さい値に変更するよう条件を緩和した判定処理を実行するレーダ装置である。
また、請求項の発明は、請求項に記載のレーダ装置において、
前記判定手段は、前記所定範囲よりも広い範囲内に存在する静止物のペアデータの数が第2閾値以下の場合には、前記上方物と判定された物標に対する上方物である旨の判定を解除することを特徴とするレーダ装置。
また、請求項の発明は、請求項に記載のレーダ装置において、前記判定手段は、前記上方物と判定された物標に関する信号のパワーが所定値以上の場合には、該物標に対する上方物である旨の判定を解除することを特徴とするレーダ装置。
また、請求項の発明は、請求項に記載のレーダ装置において、前記判定手段は、前記静止物のペアデータ同士の距離が、前記第1距離よりも小さい第2距離以上の場合に、前記導出した物標が上方物であると判定する。
また、請求項の発明は、請求項に記載のレーダ装置において、前記判定手段は、前記上方物が導出されていない場合に、前記自装置が前記天井が所定の高さよりも低いトンネル内に存在すると判定したときは、前記条件を緩和した判定処理を所定時間継続して実行する。
また、請求項の発明は、請求項に記載のレーダ装置において、前記判定手段は、前記所定時間内に前記物標が上方物であると判定しなかった場合には、前記条件を緩和した判定処理の実行を解除する。
また、請求項7の発明は、所定周期で周波数が変わる送信信号と、該送信信号に基づく送信波の物標での反射波を受信した受信信号との差分周波数から得られるピーク信号を前記送信信号の周波数が上昇する第1期間と周波数が下降する第2期間とで抽出し、該抽出したピーク信号に基づいて物標の情報を導出する信号処理方法であって、(a)前記第1期間で抽出したピーク信号と第2期間で抽出したピーク信号とをペアリングする工程と、(b)前記ペアリングしたペアデータの内、自装置から所定範囲内に存在する静止物のペアデータの数に基づいて、前記導出した物標が天井が所定の高さよりも低いトンネルの天井部分に設けられた照明である上方物か否かを判定する工程と、を備え、前記工程(b)は、前記所定範囲内に存在する静止物のペアデータの数が第1閾値以上とする第1条件と、前記静止物のペアデータ同士の距離が第1距離以上とする第2条件とを満たす場合に、前記導出した物標が前記上方物であると判定し、所定時間内に所定回数以上、前記物標が前記上方物であると判定したときには、その後は前記第2条件に基づく判定を行うことなく、前記第1条件に基づく判定のみを行い、前記第1条件の前記静止物ペアデータの数に関する閾値を前記第1閾値よりも小さい値に変更するよう条件を緩和した判定処理を実行する信号処理方法である。
請求項1ないしの発明によれば、自装置から所定の範囲内に存在する静止物のペアデータの数に基づいて、導出した物標が上方物か否かを判定することができるため、静止物が複数個存在した場合、すなわち、天井に設けられた照明等を導出した場合に、それらを上方物と判定することが可能になる。これにより、先行車等の物標と誤って導出してしまうことを回避できるため、誤った車両制御を行うことを防止することができる。
また、特に請求項及びの発明によれば、一旦上方物と判定された物標であっても、その後の判定処理において、その判定が誤っている可能性の高い物標の判定を解除することで、先行車等の物標を除去してしまうことを回避することができる。
また、特に請求項ないしの発明によれば、上方物が導出されやすい環境下にある場合に、より上方物を導出しやすい条件とすることで、上方物を確実に導出することが可能になる。
図1は、車両の全体図である。 図2は、車両制御システムのブロック図である。 図3は、FM−CW方式の信号を示す図である。 図4は、物標情報の導出処理を示すフローチャートである。 図5は、物標情報の導出処理を示すフローチャートである。 図6は、物標情報の導出処理を示すフローチャートである。 図7は、不要物除去処理を示すフローチャートである。 図8は、第2の不要物除去処理を示すフローチャートである。 図9は、内部データ抽出処理を示すフローチャートである。 図10は、内部データ抽出処理を説明する図である。 図11は、静止物ペア数導出処理を示すフローチャートである。 図12は、静止物ペア数導出処理を説明する図である。 図13は、低天井トンネル上方物導出処理を示すフローチャートである。 図14は、低天井トンネル上方物導出処理を説明する図である。 図15は、低天井トンネル上方物解除処理を示すフローチャートである。 図16は、低天井トンネル上方物解除処理を示すフローチャートである。 図17は、低天井トンネル上方物解除処理を説明する図である。 図18は、第2の不要物除去処理を示すフローチャートである。 図19は、低天井環境判定処理を示すフローチャートである。 図20は、静止物ペア数導出処理を示すフローチャートである。 図21は、低天井トンネル上方物導出処理を示すフローチャートである。
<1.第1の実施の形態>
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
<1−1.概要>
まず、本発明の各構成や各処理の詳細を説明する前に、本発明の概要について説明する。本発明は、車両から所定の距離の範囲内に存在する物標を基準に静止物のペアデータの個数を導出し、その個数に応じて物標が低天井トンネルの上方物であるか否かを判断するものである。以下、構成及び処理について詳細に説明する。
<1−2.構成>
図1は、車両CRの全体図である。車両CRは、本実施の形態の車両制御システム10に含まれるレーダ装置1と、車両制御装置2とを備えている。車両CRは、レーダ装置1を車両前方のバンパー近傍に備えている。このレーダ装置1は、一回の走査で所定の走査範囲を走査して、車両CRと物標との車両進行方向に対応する距離、つまり、物標から反射した反射波がレーダ装置1の受信アンテナに到達するまでの距離(縦距離)を導出する。また、レーダ装置1は、車両CRと物標との車両横方向(車幅方向)に対応する距離、つまり、車両CRの進行方向に仮想的に延伸する基準軸BLに対して略直交する方向の車両CRに対する物標の距離(横距離)を導出する。なお、横距離は車両CRに対する物標の角度の情報に対して三角関数の演算を行うことで導出される。このように、レーダ装置1は、車両CRに対する物標の位置情報を導出する。また、レーダ装置1は、車両CRの速度に対する物標の速度である相対速度を導出する。
なお、図1にはレーダ装置1の後述する2つの送信アンテナ(図2に示す送信アンテナ13aおよび送信アンテナ13b)から送信される送信波のビームパターンが示されている。基準軸BLを角度±0度とした場合、送信アンテナ13aから出力される送信波のビームパターンNAは、送信アンテナ13bから出力される送信波のビームパターンBAと比べて角度範囲が狭く(例えば、±6度)、縦距離が大きいシャープなビームパターンで出力される。縦距離が大きいのは送信波を出力する出力レベルが比較的大きいためである。
また、これとは逆に送信アンテナ13bから出力される送信波のビームパターンBAは、送信アンテナ13aから送信される送信波のビームパターンNAと比べて角度範囲が広く(例えば±10度)、縦距離が小さいブロードなビームパターンで出力される。縦距離が小さいのは送信波を出力する出力レベルが比較的小さいためである。そして、送信アンテナ13aで送信波を出力する送信期間と、送信アンテナ13bで送信波を出力する送信期間とのそれぞれの送信期間で異なるビームパターンの送信波を出力することで、物標の位相折り返しによる角度導出の誤りを防止できる。物標の角度導出処理については後述する。
また、図1のレーダ装置1は、その搭載位置を車両前方のバンパー近傍としているが、前方のバンパー近傍に限らず、車両CRの後方のバンパー近傍及び車両CRの側方のサイドミラー近傍等、後述する車両制御装置2の車両CRの制御目的に応じて物標を導出できる搭載位置であれば他の部分であってもよい。
また、車両CRは、車両CRの内部に車両制御装置2を備える。この車両制御装置2は、車両CRの各装置を制御するECU(Electronic Control Unit)である。
図2は、車両制御システム10のブロック図である。車両制御システム10は、レーダ装置1と車両制御装置2とが電気的に接続され、主にレーダ装置1で導出された位置情報及び相対速度の物標情報を車両制御装置2に出力する。つまり、レーダ装置1は、車両CRに対する物標の縦距離、横距離及び相対速度の情報である物標情報を車両制御装置2に出力する。そして、車両制御装置2が、物標情報に基づき車両CRの各種装置の動作を制御する。また、車両制御装置2は、車速センサ40及びステアリングセンサ41などの車両CRに設けられる各種センサと電気的に接続されている。さらに、車両制御装置2は、ブレーキ50及びスロットル51などの車両CRに設けられる各種装置と電気的に接続されている。
レーダ装置1は、信号生成部11、発振器12、送信アンテナ13、受信アンテナ14、ミキサ15、LPF(Low Pass Filter)16、AD(Analog to Digital)変換器17、及び信号処理部18を備えている。
信号生成部11は、後述する送信制御部107の制御信号に基づいて、例えば三角波状に電圧が変化する変調信号を生成する。
発振器12は、電圧で発振周波数を制御する電圧制御発振器であり、信号生成部11で生成された変調信号に基づき所定周波数の信号(例えば、76.5GHz)を周波数変調し、76.5GHzを中心周波数とする周波数帯の送信信号として送信アンテナ13に出力する。
送信アンテナ13は、送信信号に係る送信波を車両外部に出力する。本実施の形態のレーダ装置1は、送信アンテナ13a及び送信アンテナ13bの2本の送信アンテナを有している。送信アンテナ13a及び13bは、切替部131のスイッチングにより所定の周期で切り替えられ、発振器12と接続された送信アンテナ13から送信波が連続的に車両外部に出力される。送信アンテナ13aと送信アンテナ13bとはアンテナ素子の配置(アンテナパターン)が異なる。これにより、図1に示したように送信アンテナ13aおよび13bから送信される送信波のビームパターンが異なるものとなる。
切替部131は、発振器12に接続する送信アンテナ13を切替えるスイッチであり、送信制御部107の信号により送信アンテナ13a及び送信アンテナ13bのいずれかの送信アンテナと発振器12とを接続する。
受信アンテナ14は、送信アンテナ13から連続的に送信される送信波が物体に反射した反射波を受信する複数のアレーアンテナである。本実施の形態では、受信アンテナ14a(ch1)、14b(ch2)、14c(ch3)、及び14d(ch4)の4本の受信アンテナを備えている。なお、受信アンテナ14a〜14dのそれぞれのアンテナは等間隔に配置されている。
ミキサ15は、各受信アンテナに設けられている。ミキサ15は、受信信号と送信信号とを混合する。そして、受信信号と送信信号との混合により送信信号と受信信号との差の信号であるビート信号が生成されて、LPF16に出力される。
ここで、ビート信号を生成する送信信号と受信信号について、図3を用いてFM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)の信号処理方式を例に説明する。なお、本実施の形態では、以下にFM−CWの方式を例に説明を行うが、送信信号の周波数が上昇するUP区間と、送信信号の周波数が下降するDOWN区間といった複数の区間を組み合わせて物標を導出する方式であれば、このFM−CWの方式に限定されない。
また、下記に記載の数式や図3に示すFM−CWの信号やビート周波数等についての各記号は以下に示すものである。f:距離周波数、f:速度周波数、f:送信波の中心周波数、△F:周波数偏移幅、f:変調波の繰り返し周波数、c:光速(電波の速度)、T:車両CRと物標との電波の往復時間、f:送信/受信周波数、R:縦距離、V:相対速度、θ:物標の角度、θup:UP区間のピーク信号に対応する角度、θdn:DOWN区間のピーク信号に対応する角度。
図3はFM−CW方式の信号を示す図である。図3上段の図は、FM−CW方式の送信信号TX、および、受信信号RXの信号波形を示す図であり、縦軸は周波数[GHz]を示し、横軸は時間[msec]を示している。図中の送信信号TXは、中心周波数をf(例えば、76.5GHz)として、所定周波数(例えば76.6GHz)まで上昇した後に所定周波数(例えば、76.4GHz)まで下降をするように200MHzの間で一定の変化を繰り返す。このように所定周波数まで周波数が上昇する区間(「UP区間」ともいい、例えば、図3に示す、区間U1、U2、U3、および、U4がUP区間となる。)と、所定周波数まで上昇した後に所定の周波数まで下降する区間(「DOWN区間」ともいい、例えば、区間D1、D2、D3、および、D4がDOWN区間になる。)とがある。また、送信アンテナ13から送信された送信波が物体にあたって反射波として受信アンテナ14に受信されると、受信アンテナ14を介して受信信号RXがミキサ15に入力される。この受信信号RXについても送信信号TXと同じように所定周波数まで周波数が上昇する区間と、所定周波数まで周波数が下降する区間とが存在する。
なお、本実施の形態のレーダ装置1では、一つのUP区間である区間と一つのDOWN区間である区間の組み合わせを送信信号TXの1周期として、送信信号TXの2周期分に相当する送信波を車両外部に送信する。例えば、1周期目(送信期間t0〜t1のUP区間の区間U1と、送信期間t1〜t2のDOWN区間の区間D1)では送信アンテナ13aからビームパターンNAの送信波が出力される。次の2周期目(送信期間t2〜t3のUP区間の区間U2と、送信期間t3〜t4のDOWN区間の区間D2)では送信アンテナ13bからビームパターンBAの送信波が出力される。そして、信号処理部18が送信信号TXと受信信号RXとにより物標情報を導出するための信号処理を行う(t4〜t5の信号処理区間)。その後、3周期目(送信期間t5〜t6のUP区間の区間U3と、送信期間t6〜t7のDOWN区間の区間D3)では送信アンテナ13aからビームパターンNAの送信波が出力され、4周期目(送信期間t7〜t8のUP区間U4と、送信期間t8〜t9のDOWN区間D4)では送信アンテナ13bからビームパターンBAの送信波が出力され、その後、信号処理部18が物標情報を導出するための信号処理を行う。そして、以降は同様の処理が繰り返される。
なお、車両CRに対する物標の距離に応じて、送信信号TXに比べて受信信号RXに時間的な遅れ(時間T)が生じる。さらに、車両CRの速度と物標の速度との間に速度差がある場合は、送信信号TXに対して受信信号RXにドップラーシフト分の差が生じる。
図3中段の図は、UP区間およびDOWN区間の送信信号TXと受信信号RXとの差分により生じるビート周波数を示す図であり、縦軸は周波数[kHz]を示し、横軸は時間[msec]を示している。例えば、区間U1ではビート周波数BF1が導出され、区間D1ではビート周波数BF2が導出される。このように各区間において、ビート周波数が導出される。
図3の下段の図は、ビート周波数に対応するビート信号を示す図であり、縦軸は振幅[V]を示し、横軸は時間[msec]を示している。図中には、ビート周波数に対応するアナログ信号のビート信号BSが示されており、当該ビート信号BSが後述するLPF16でフィルタリングされた後、AD変換器17によりデジタルデータに変換される。なお、図3では1つの反射点から受信した場合の受信信号RXに対応するビート信号BSが示されているが、送信信号TXに対応する送信波が複数の反射点で反射し、複数の反射波として受信アンテナ14にて受信された場合は、受信信号RXは複数の反射波に応じた信号が発生する。この場合、送信信号TXとの差分を示すビート信号BSは、複数の受信信号RXと送信信号TXとのそれぞれの差分を合成したものとなる。
そして、ビート信号BSがAD変換器17によりデジタルデータに変換された後、UP区間、DOWN区間夫々に対して信号処理部18によりFFT処理されることでUP区間、DOWN区間で夫々ビート信号BSの周波数ごとの信号レベルの値および位相情報を有するFFTデータが取得される。尚、FFTデータは各受信アンテナ14a〜14d毎に取得される。
そして、このようにして導出された複数のFFTデータを用いて車両CRに対する物標の縦距離、相対速度、および、横距離が導出される。主に角度導出においては、空間平均などの演算手法を行う場合にこのような複数のFFTデータを用いて演算することで正確な角度情報が導出できる。
車両CRに対する物標の縦距離は(1)式により導出され、車両CRに対する物標の相対速度は(2)式により導出される。また、車両CRに対する物標の角度は(3)式により導出される。そして、(3)式により導出された角度と物標の縦距離の情報から三角関数を用いた演算により、車両CRに対する物標の横距離が導出される。
Figure 0006294594
Figure 0006294594
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図2に戻り、LPF(Low Pass Filter)16は、所定周波数より低い周波数の成分を減少させることなく、所定周波数より高い周波数の成分を減少させるフィルタである。なお、LPF16もミキサ15と同様に各受信アンテナに設けられている。
AD変換器17は、アナログ信号であるビート信号を所定周期でサンプリングして、複数のサンプリングデータを導出する。そして、サンプリングされたデータを量子化することで、アナログデータのビート信号をデジタルデータに変換して、デジタルデータを信号処理部18に出力する。なお、AD変換器17もミキサ15と同様に各受信アンテナに設けられている。
信号処理部18は、CPU181、および、メモリ182を備えるコンピュータであり、AD変換器17から出力されたデジタルデータのビート信号をFFT処理してFFTデータを取得し、FFTデータのビート信号の中から信号レベルの値が所定の閾値を超える信号をピーク信号として抽出する。そして、信号処理部18は、UP区間のピーク信号とDOWN区間のピーク信号とをペアリングして物標情報を導出する。また、信号処理部18は、抽出されたピーク信号が実際には存在しない物標に対応するゴーストピークか否かを判定して、ゴーストのピーク信号に対応する物標情報をレーダ装置の出力対象から除外する処理を行う。
メモリ182は、CPU181により実行される各種演算処理などの実行プログラムを記録する。また、メモリ182は、信号処理部18が導出した複数の物標情報を記録する。例えば、過去の処理、および、今回の処理において導出された物標情報(物標の縦距離、横距離、および、相対速度)を記録する。さらに、メモリ182は、FFT処理により取得されたFFTデータ182aを記録する。このFFTデータ182aには、今回の物標導出処理におけるFFTデータを含む過去の物標導出処理のFFTデータが記憶されている。
送信制御部107は信号処理部18と接続され、信号処理部18からの信号に基づき、変調信号を生成する信号生成部11に制御信号を出力する。また送信制御部107は、信号処理部18からの信号に基づき、送信アンテナ13a、および、送信アンテナ13bのいずれかの送信アンテナと発振器12とが接続する切替部131に制御信号を出力する。
車両制御装置2は、車両CRの各種装置の動作を制御する。つまり、車両制御装置2は、車速センサ40、および、ステアリングセンサ41などの各種センサから情報を取得する。そして、車両制御装置2は、各種センサから取得した情報、および、レーダ装置1の信号処理部18から取得した物標情報に基づき、ブレーキ50、および、スロットル51などの各種装置を作動させて車両CRの挙動を制御する。
車両制御装置2による車両制御の例としては次のようなものがある。車両制御装置2は、車両CRが走行する自車線内で、車両CRの前方を走行する前方車両を追従対象として走行する制御を行う。具体的には、車両制御装置2は、車両CRの走行に伴いブレーキ50、および、スロットル51の少なくとも一の装置を制御して、車両CRと前方車両との間で所定の車間距離を確保した状態で車両CRを前方車両に追従走行させるACC(Adaptive Cruise Control)の制御を行う。
また、車両制御装置2による車両制御の例としては、車両CRの障害物への衝突に備え、車両CRの乗員を保護する制御もある。詳細には、車両CRが障害物に衝突する危険性がある場合に、車両CRのユーザに対して図示しない警報器を用いて警告の表示を行ったり、ブレーキ50を制御して車両CRの速度を低下させるPCS(Pre-Crash Safety System)の制御を行う。さらに、車両制御装置2は、車室内のシートベルトにより乗員を座席に固定し、または、ヘッドレストを固定して衝突時の衝撃による車両CRのユーザへのダメージを軽減するPCSの制御を行う。
車速センサ40は、車両CRの車軸の回転数に基づいて車両CRの速度に応じた信号を出力する。車両制御装置2は、車速センサ40からの信号に基づいて、現時点の車両速度を取得する。
ステアリングセンサ41は、車両CRのドライバーの操作によるステアリングホイールの回転角を検知し、車両CRの車体の角度の情報を車両制御装置2に送信する。
ブレーキ50は、車両CRのドライバーの操作により車両CRの速度を減速させる。また、ブレーキ50は、車両制御装置2の制御により車両CRの速度を減速させる。例えば、車両CRと前方車両との距離を一定の距離に保つように車両CRの速度を減速させる。
スロットル51は、車両CRのドライバーの操作により車両CRの速度を加速させる。また、スロットル51は、車両制御装置2の制御により車両CRの速度を加速させる。例えば、車両CRと前方車両との距離を一定の距離に保つように車両CRの速度を加速させる。
<1−3.全体の処理>
図4〜図6は、信号処理部18が行う物標情報の導出処理のフローチャートである。最初に信号処理部18は、送信波を生成する指示信号を送信制御部107に出力する(ステップS101)。そして、信号処理部18から指示信号が入力された送信制御部107により信号生成部11が制御され、送信信号TXに対応する送信波が生成される。生成された送信波は、車両外部に出力される。
次に、送信波が物標に反射することによって到来する反射波を受信アンテナ14が受信し、反射波に対応する受信信号RXと送信信号TXとがミキサ15によりミキシングされ、送信信号と受信信号との差分の信号であるビート信号が生成される。そして、アナログ信号であるビート信号BSが、LPF16によりフィルタリングされ、AD変換器17によりデジタルデータに変換され、信号処理部18に入力される。
信号処理部18は、デジタルデータのビート信号に対してFFT処理を行い(ステップS102)、周波数ごとのビート信号の信号レベルの値および位相情報を有するFFTデータを取得する。
次に、信号処理部18は、FFTデータのビート信号のうち信号レベルの値が所定の閾値を超えるビート信号をピーク信号として抽出する(ステップS103)。なお、この処理で送信期間2周期分のUP区間と、DOWN区間との全て区間のピーク信号が抽出され、ピーク信号数が確定する。
そして、信号処理部18はピーク抽出処理で抽出されたピーク信号の中から、過去の物標導出処理で導出された物標と時間的な連続性を有するピーク信号を抽出する履歴ピーク抽出処理を行う(ステップS104)。
次に、信号処理部18は、車両CRの車速センサ40の自車速の情報からUP区間のピーク信号とDOWN区間のピーク信号との周波数差がその速度に対応する各区間のピーク信号を静止物に対応するピーク信号として抽出する処理を行う(ステップS105)。ここで、静止物とは、車両CRの速度と略同じ相対速度を有する物標をいう。また、特定速度で移動し、車両CRの速度と異なる相対速度を有する物標を以下では移動物という。
なお、このように履歴ピーク抽出(ステップS104)、および、静止物ピーク抽出(ステップS105)の処理を行うのは、信号処理部18が車両制御装置2に対して優先的に出力する必要性のある物標に対応するピーク信号を選択するためである。例えば、前回処理で導出された物標と時間的な連続性を有する今回処理の物標のピーク信号は、前回処理で導出されていない新規に導出された物標と比べて物標が実際に存在する確率が高いため優先順位が高い場合があり、また、移動物に対応するピーク信号は静止物に対応するピーク信号よりも車両CRと衝突する可能性が高いため優先順位が高い場合がある。
そして、信号処理部18はUP区間およびDOWN区間のそれぞれの区間において、ピーク信号に基づいて方位演算を行う(ステップS106)。詳細には信号処理部18は、所定の方位演算アルゴリズムによって物標の方位(角度)を導出する。例えば、方位演算アルゴリズムは、ESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)であり、各受信アンテナ14a〜14dにおける受信信号の位相情報から相関行列の固有値、および、固有ベクトル等が演算されて、UP区間のピーク信号に対応する角度θupと、DOWN区間のピーク信号に対応する角度θdnとが導出される。そして、UP区間およびDOWN区間の各ピーク信号がペアリングされた場合に、上述の(3)式により物標の角度が導出される。また、1つのピーク信号の周波数の情報は、物標の距離と相対速度の情報に対応しているが、1つのピーク信号の周波数に複数の物標の情報が含まれているときがある。例えば、車両CRに対する物標の位置情報において、距離が同じ値で角度が異なる値の複数の物標の情報が、同じ周波数のピーク信号に含まれている場合がある。このような場合、異なる角度からの複数の反射波の位相情報はそれぞれ異なる位相情報となるため、信号処理部18は、各反射波の位相情報に基づいて1つのピーク信号に対して異なる角度に存在する複数の物標情報を導出する。
ここで、方位演算を行う場合、物標の角度によっては、位相が360度回転して物標が存在する本来の角度とは異なる角度情報が導出される場合がある。具体的には、例えば、受信アンテナで受信した物標からの反射波の位相情報が420度の場合、実際の物標は、図1で示したビームパターンNA以外のビームパターンBAの領域に物標が存在するときでも、位相折り返しにより位相情報が60度(420度-360度)と判定され、ビームパターンBAには含まれないビームパターンNAの領域に物標が存在するとする誤った角度情報が導出されるときがある。そのため、送信アンテナ13aおよび13bの2つのビームパターンの送信波を出力するより物標の正確な角度を導出する。
具体的には各ビームパターンの送信波に対する反射波に基づいて次のように角度を導出する。反射波の位相情報が60度の場合に、送信アンテナ13aの送信波の反射波と、送信アンテナ13bの送信波の反射波とに対応するそれぞれの角度スペクトラムの信号レベルの値を比べて、送信アンテナ13aの送信波の反射波に対応する角度スペクトラムの信号レベルの値が大きい場合は、ビームパターンBAの領域を除くビームパターンNAの領域内の位相情報60度に対応する角度を物標の角度として導出する。また、送信アンテナ13bの送信波の反射波に対応する角度スペクトラムの信号レベルの値が大きい場合は、ビームパターンNAの領域を除くビームパターンBAの領域内の位相情報420度に対応する角度を物標の角度として導出する。このように送信信号TXの2周期分の送信波で各周期ごとに異なるビームパターンの送信波を出力することで、方位演算を行う場合の位相折り返しによる物標の誤った角度情報の導出を防止している。
次に、信号処理部18は、UP区間のピーク信号とDOWN区間のピーク信号とをペアリングするペアリング処理を行う(ステップS107)。このペアリング処理は、ステップS103の処理で導出された全ピーク信号のうち履歴ピーク抽出処理(ステップS104)で抽出された履歴ピーク信号については、UP区間の履歴ピーク信号とDOWN区間の履歴ピーク信号とでペアリング処理が行われる。また、静止物ピーク抽出処理(ステップS105)で抽出された静止物ピーク信号については、UP区間の静止物ピーク信号とDOWN区間の静止物ピーク信号とでペアリング処理が行われる。さらに、ピーク抽出処理で抽出された全ピーク信号のうち履歴ピーク信号と静止物ピーク信号とを除いた残りのピーク信号については、UP区間の残りのピーク信号とDOWN区間の残りのピーク信号とでペアリングの処理が行われる。
なお、UP区間のピーク信号とDOWN区間のピーク信号とのペアリング処理は、例えば、マハラノビス距離を用いた演算を用いて行われる。具体的には、レーダ装置1を車両CRに搭載する前に試験的にUP区間のピーク信号とDONW区間のピーク信号とをペアリングする中で正しい組み合わせでペアリングされた正常ペアデータと、誤った組み合わせでペアリングされたミスペアデータとのデータを複数取得し、複数の正常ペアデータにおけるUP区間のピーク信号とDOWN区間のピーク信号との「信号レベルの値の差」、「角度の値の差」、および、「角度スペクトラムの信号レベルの値の差」の3つのパラメータ値から、複数の正常ペアデータの3つのパラメータごとの平均値を導出し、予めメモリ182に記憶する。
そして、レーダ装置1を車両CRに搭載した後に、信号処理部18が物標情報を導出する場合、今回処理で取得されたFFTデータのピーク信号のうちUP区間のピーク信号とDOWN区間のピーク信号のすべての組み合わせの3つのパラメータ値と、複数の正常ペアデータの3つのパラメータごとの平均値とを用いて以下に示す(4)式によりマハラノビス距離を導出する。信号処理部18は、マハラノビス距離が最小の値となる今回処理のペアデータを正常ペアデータとして導出する。ここで、マハラノビス距離は、平均がμ=(μ1, μ2, μ3)T で、共分散行列がΣであるような多変数ベクトルx=(x1, x2, x3)で表される一群の値に対するもので(4)式により導出される。なお、μ1, μ2, μ3は正常ペアデータの3つのパラメータの値を示し、x1, x2, x3は今回処理のペアデータの3つのパラメータの値を示す。
Figure 0006294594
そして、信号処理部18は、このペアリング処理において正常ペアデータのパラメータの値と上述の(1)式〜(3)式とを用いて、正常ペアデータの縦距離、相対距離、および、角度に基づく横距離を導出する。なお、履歴ピーク信号を用いたペアリング処理の詳細については後述する。
次に、信号処理部18は、今回の物標導出処理によりペアリングされた今回ペアデータと、前回の処理によってペアリングされた前回ペアデータとの間に時間的に連続する関係が存在するか否かの連続性判定処理を行う(ステップS108)。ここで、両者に時間的に連続する関係がある(連続性がある)場合とは、例えば、前回ペアデータに基づいて今回ペアデータを予測した予測ペアデータを生成し、今回ペアデータと予測ペアデータとの縦距離、横距離、および、相対速度における差の値が所定値以内の場合である。この場合、今回処理により導出された物標と、過去処理により導出された物標とが同一物標であると判定される。なお、信号処理部18は、所定値以内に複数の今回ペアデータが存在する場合、最も予測ペアデータとの差の値が小さい今回ペアデータを前回の処理の物標情報と時間的に連続する関係を有するものと判定することができる。
また、信号処理部18は、今回ペアデータと予測ペアデータとの縦距離、横距離、および、相対速度の差の値が所定値以内ではない場合に、今回ペアデータと前回物標情報とに時間的に連続する関係がない(連続性がない)と判定する。そして、このように連続性がないと判定されたペアデータは今回の物標導出処理において初めて導出されたデータ(新規ペアデータ)となる。なお、新規ペアデータの場合は、以下で説明するフィルタ処理等の処理では、予測ペアデータが存在しないため、新規ペアデータの距離、相対速度、角度、および、信号レベルの値が今回の物標導出処理における一つの物標の距離、相対速度、角度、および、信号レベルの値の情報となる。また、信号処理部18は、連続性判定において、所定回数連続して連続性があると判定された場合(すなわち、同一物標であると判定された場合)は、検出した物標を真の物標として確定する処理も行う。
次に信号処理部18は、車両CRの速度とペアデータの相対速度の情報から移動物に対応するペアデータを導出する(ステップS109)。この処理を行うことで優先的に処理する必要性のあるペアデータを判定できる。
そして、信号処理部18は、今回ペアデータと予測ペアデータとに時間的に連続する関係が存在する場合は、今回ペアデータと予測ペアデータとの間で縦距離、相対速度、横距離、および、信号レベルの値のフィルタリングを行い(ステップS110)、フィルタリングされたペアデータ(過去対応ペアデータ)を今回の処理の物標情報として導出する。
例えば、両者に時間的に連続する関係が有る場合に、信号処理部18は、横距離について予測ペアデータの横距離に0.75の値の重み付けを行い、今回ペアデータの横距離に0.25の値の重み付けを行って、両方の値を足し合わせたものを今回の物標導出処理の過去対応ペアデータの横距離として導出する。なお、縦距離、相対速度、および、信号レベルの値についても同様にフィルタ処理を行う。
次に、信号処理部18は、車両CRの制御には必要のない静止物を導出する上下方物処理を行う(ステップS111)。具体的には、静止物の車両CRの車高方向の位置が所定の高さよりも高い(例えば、車両CRの車高よりも高い)位置に存在する静止物(例えば、車道の上方に設けられている片持式や門型式の道路標識など)を導出する。また、車両CRの車高よりも低い位置に存在する静止物(例えば、道路の中央分離帯やカーブに設置されている反射板の付いたチャッターバーなどの道路鋲など)を導出する。このようにして導出された静止物は後述する不要物除去処理で物標情報が除去され、レーダ装置1から物標情報として車両制御装置2に出力されることはない。
そして、信号処理部18は、今回処理の次に行われる処理(次回処理)において、履歴ピーク抽出処理(ステップS104)に用いる次回物標データの予測値(予測縦距離、予測相対速度、予測横距離等)を導出する(ステップS112)。具体的には、車両制御を行う上で優先順位の高い20個の物標情報を導出して、UP区間、DOWN区間夫々のピーク信号の予測値を算出しておくことで次回処理における履歴ピークの導出処理に用いる。優先順位については、ACC制御を行う場合は、車両CRの走行している自車線上に相当する横位置を有し、車両CRとの縦距離が比較的小さい物標の優先順位が高く、隣接車線に相当する横位置で、車両CRとの縦距離が比較的大きい物標の優先順位が低い。また、PCSの場合は、衝突余裕時間(Time-To-Collision、以下「TTC」という。)の比較的短い物標の優先順位が高く、TTCの比較的長い物標の優先順位が低い。
次に、信号処理部18は、車両CRの走行する自車線のカーブ半径の情報と、物標の縦距離、および、横距離の情報とから、カーブ半径に応じた物標の横距離を導出する。詳細には車両CRの図示しないステアリングホイールを車両CRのドライバが操作することでステアリングセンサ41から入力されるステアリングホイールの回転角の情報に応じて直線および曲線に仮想的に変化する基準軸BLに対する物標の横距離(相対横距離)を導出し、車両CRに対する物標の相対横距離と縦距離とに基づき、予めメモリ182に記憶された相対横距離と縦距離とをパラメータとする二次元のマップデータから物標が自車線上に存在する確率(自車線確率)を導出する(ステップS113)。
そして、信号処理部18は、これまでの処理で導出された物標情報に対して、車両制御装置2への出力が不要な物標を除去する処理を行う(ステップS114)。例えば、信号処理部18は、上述のステップS111の上下方物処理で導出された物標情報の除去や、所定距離以上に存在する実際の物標に対応するピーク信号と、レーダ装置1の電源装置のDC-DCコンバータのスイッチングノイズとの干渉(相互変調)で生じる実際に存在しない物標に対応するゴーストピークの物標情報の除去などを行う。また、天井の低いトンネルの天井部分に設けられた照明等の静止物の物標情報の除去なども行う。
次に、信号処理部18は、複数の物標情報に対して一つの物体に対応する物標情報にまとめる処理を行う(ステップS115)。これは、例えば、レーダ装置1の送信アンテナ13から送信波を射出した場合、送信波が前方車両に反射するとき、受信アンテナ14に受信される反射波は複数存在する。つまり、同一物体における複数の反射点からの反射波が受信アンテナ14に到来する。その結果、信号処理部18はそれぞれの反射波に基づき位置情報の異なる物標情報を複数導出するが、もともとは一つの車両の物標情報なので、各物標情報を一つにまとめて同一物体の物標情報として取り扱う処理である。そのため、複数の物標情報の各相対速度が略同一で、各物標情報の縦距離および横距離が所定範囲内であれば、信号処理部18は複数の物標情報を同一物体における物標情報とみなし、当該複数の物標情報を一つの物標に対応する物標情報にまとめる結合処理を行う。
そして、信号処理部18は、ステップS108の処理で結合処理された物標情報から車両制御装置2に出力する優先順位の高い物標情報を車両制御装置2に出力する(ステップS116)。
<1−4.不要物除去処理>
次に、本実施の形態に係る不要物除去処理(ステップS114)の詳細について説明する。図7は、不要物除去処理を示すフローチャートである。本実施の形態における不要物除去処理には、上述した上下方物処理で導出された物標情報やゴーストピークの物標情報の除去といった第1の不要物除去処理(ステップS120)に加えて、天井の低いトンネルの天井部分に設けられた照明等の静止物(低天井トンネルの上方物)の物標情報を除去する処理(第2の不要物除去処理:ステップS121)が含まれる。天井の低いトンネルの天井部分に設けられた照明等は、上述のようにトラックやバスなどの車高よりも低い位置に存在する場合があり、このような場合には照明等の物標情報は上下方物処理では導出されず、第1の不要物除去処理では除去されない。このため、本実施の形態では、別途低天井トンネルの上方物の物標情報を除去するための処理(第2の不要物除去処理)を実施している。以下において、第2の不要物除去処理について図8〜図17を用いて具体的に説明する。
図8は、第2の不要物除去処理を示すフローチャートである。図8に示すように、第2の不要物除去処理(ステップS121)では、まず信号処理部18が、内部データを抽出する処理を行う(ステップS122)。内部データは、フィルタ処理後の物標情報であり、内部データを抽出する処理とは、上述した一連の物標導出処理で導出された複数の内部データの中から、低天井トンネルの上方物の可能性がある内部データを抽出する処理である。
ここで、内部データを抽出する処理について、図9及び図10を用いて具体的に説明する。図9は、内部データ抽出処理を示すフローチャートである。図9に示すように、本実施の形態の内部データ抽出処理は、自車速が15km/h以上の際に実行される。ただし、15km/h以上に限定されず、自車両が走行していることを判別可能な速度に適宜設定可能である。まず、自車速が15km/h以上であるか否かを判定する(ステップS127)。自車速が15km/h未満である場合には(ステップS127でNo)、内部データ抽出処理を実行しない。
一方、自車速が15km/h以上の場合には(ステップS127でYes)、信号処理部18は、全内部データの中から、内部距離(内部データから導出される自車両との距離)が50m以上の内部データを抽出する(ステップS128)。これは、自車両に近い物標の情報は誤っている可能性があるのでこれを排除するためである。そして、信号処理部18は、相対横距離の絶対値が1.5m以下の内部データを抽出する(ステップS129)。すなわち、自車両を中心として左右の横方向に各々1.5m以内に存在する内部データを抽出する。これは、自車両前方の内部データのみを抽出し、走行又は停止といった制御とは関係性の低い位置にある内部データを排除するためである。なお、内部データを抽出する距離や相対横距離として各々50m以上及び1.5m以下を例として挙げているが、これに限定されるものではない。自車両との距離は、誤った情報の可能性がある物標情報を排除できる距離であればよく、相対横距離は、自車両の走行等の制御に関係性の低い内部データを排除できる距離であればよい。
そして、信号処理部18は、先行車フラグがOFFの内部データを抽出する(ステップS130)。先行車フラグとは、先行車であるか否かを示すフラグであり、内部データが先行車に関する物標情報である場合にはONにされ、先行車に関する物標情報でない場合にはOFFとなる。仮に、先行車フラグを条件としないとすると、例えば先行車が停止したタイミングで導出された内部データを天井の照明等の静止物と判定してしまう可能性があるものの、先行車フラグがONにされていればその内部データは先行車に関するものであることがわかる。したがって、先行車フラグがOFFであることを条件とし、誤って天井の照明等の静止物と判定してしまうことを回避している。
そして、信号処理部18は、移動物フラグがOFFの内部データを抽出する(ステップS131)。移動物フラグとは、対象とする物標が移動物であるか否かを示すフラグである。その内部データが移動物に関する物標情報である場合にONされ、移動物でない物標情報の場合にOFFとなる。移動物フラグがOFFであることを条件とする理由は、静止物を抽出するためである。そして、これらの条件により抽出された内部データの内、低天井上方物フラグがOFFの内部データを抽出する(ステップS132)。なお、低天井上方物フラグとは、内部データが低天井トンネルの上方物に関する物標情報であるか否かを示すフラグであり、内部データには前回の判定処理の結果に応じたフラグが設定されている。
これにより、低天井トンネルの上方物の可能性がある内部データを抽出することができる。なお、上述したステップS128〜ステップS132の順序は、上記順序に限定されず、どのような順序で処理を実行してもよく、同時に処理を実行してもよい。
図10は、内部データを抽出する処理を説明する図である。図10は、車両の上方から見た図である。図10に示すように、自車両から50m以上の範囲であって、相対横距離の絶対値が1.5m以下の範囲内に存在する内部データM1〜M5が抽出されている。自車両から50m未満の位置に存在する内部データM6や、相対横距離の絶対値が1.5以上の位置に存在する内部データM7は、対象外の内部データとなり抽出されない。これら内部データM1〜M5の先行車フラグ、移動物フラグ及び低天井上方物フラグのいずれもがOFFであるとすれば、内部データM1〜M5が内部データ抽出処理にて抽出された内部データとなる。
図8に戻り、次に、静止物ペア数を導出する処理を実行する(ステップS123)。静止物ペアとは、静止物として導出されたペアデータのことであり、本ステップでは、静止物として導出されたペアデータの内、所定の範囲内に存在するペアデータの個数を導出する処理を実行する。
静止物ペア数を導出する処理について図11及び図12を用いて説明する。図11は、静止物ペア数導出処理を説明するフローチャートである。図11に示すように、まず、信号処理部18は、基準内部データを導出する(ステップS133)。基準内部データとは、上述の内部データ抽出処理にて抽出された内部データの内、自車両に最も距離が近い内部データである。
そして、信号処理部18は、基準内部データを基点として自車両より離れた所定範囲内に存在するペアデータを抽出する(ステップS134)。すなわち、ペア距離(ペアデータから導出される自車両との距離)が、基準内部距離(基準内部データから導出される自車両との距離)以上であるペアデータを抽出する。さらに、信号処理部18は、そのペアデータの中から、ペア距離が基準内部距離から100m離れた位置より自車両側の位置(すなわち、基準内部距離+100m以下)に存在するペアデータを抽出する(ステップS135)。なお、これらペアデータは、今回の走査で導出されたペアデータの瞬時値が用いられる。
そして、信号処理部18は、抽出したペアデータの内、相対横距離の絶対値が1.5m以下であるペアデータを抽出する(ステップS136)。さらに、信号処理部18は、その抽出したペアデータの中から、静止物に相当するペアデータを抽出する(ステップS137)。これは、移動物フラグがOFFであるペアデータを抽出すればよい。この抽出されたペアデータが静止物ペアである。なお、静止物ペアを抽出する範囲として、基準内部距離以上、基準内部距離+100以下の範囲を例として挙げて説明したが、これに限定されるものではない。静止物ペアをある程度のまとまった数で抽出できる範囲を所定範囲として適宜設定すればよい。また、相対横位置についても1.5mを例として挙げて説明しているが、上述と同様に、自車両の走行等の制御に関係性の低いペアデータを排除できる所定の距離に適宜設定可能である。
そして、信号処理部18は、抽出した静止物ペア同士の距離が4.5m以上(第1距離以上)であるか否かを判断する(ステップS138)。天井に設けられた照明等は一定の間隔で配置されているため、天井の上方物とそれ以外の静止物とを区別するためである。なお、本ステップでは、抽出された全ての静止物ペア同士の距離が4.5m以上であるか否かを判断している。
静止物ペア同士の距離が4.5m未満である場合には(ステップS138でNo)、静止物ペア数導出処理を終了する。第2の不要物除去処理自体を終了してもよい。一方、静止物ペア同士の距離が4.5m以上である場合には(ステップS138でYes)、信号処理部18は、これらの条件により抽出されたペアデータの個数(静止物ペア数)を導出する(ステップS139)。なお、この導出処理の判断に用いる静止物ペア同士の距離として4.5mである場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。トンネルの天井に設けられた照明等の静止物の間隔は、トンネル毎に異なることもあるため、対象とするトンネル毎に導出したい静止物の間隔に対応する距離を適宜設定すればよい。
これにより、内部データに対応する静止物ペア数が導出される。なお、上述したステップS133〜ステップS137の順序は、上記順序に限定されず、どのような順序で処理を実行してもよく、同時に処理を実行してもよい。
図12は、静止物ペア数を導出する処理を説明する図である。図12は、車両の上方から見た図である。図12に示すように、基準内部データM1の位置を基点として100m遠方までの範囲であって、相対横距離の絶対値が1.5m以下の範囲内に静止物ペアS1〜S6が存在する。これら各静止物ペアS1〜S6同士の距離が4.5m以上であるとすりと、この範囲内に存在する静止物ペア数として6が導出される。
図8に戻り、次に、低天井トンネル上方物を導出する処理を実行する(ステップS124)。ここでは、前ステップS123で導出した静止物ペア数に基づき、所定範囲内に存在する内部データの中から低天井のトンネルの上方物に相当する物標を導出する。
低天井トンネル上方物を導出する処理について図13及び図14を用いて説明する。図13は、低天井トンネル上方物導出処理を説明するフローチャートである。図13に示すように、まず、信号処理部18は、所定範囲内の静止物ペアの数が5以上(第1閾値以上)であるか否かを判定する(ステップS140)。本ステップにおける所定範囲とは、基準内部距離以上、基準内部距離+20m以下の範囲であって、相対横距離の絶対値が1.5m以下の範囲である。すなわち、この範囲内において、前ステップS123で導出した静止物ペア数が5以上であるか否かを判定する。
静止物ペア数が5未満の場合(ステップS140でNo)、低天井トンネル上方物導出処理は行わない。第2の不要物除去処理自体を終了してもよい。一方、静止物ペア数が5以上の場合には(ステップS140でYes)、信号処理部18は、内部距離(内部データから導出される自車両との距離)が、基準内部距離以上である内部データを抽出する(ステップS141)。さらに、信号処理部18は、内部距離が、基準内部距離+20m以下である内部データを抽出する(ステップS142)。そして、信号処理部18は、抽出された内部データの中から、相対横距離の絶対値が1.5m以下の内部データを抽出する(ステップS143)。すなわち、信号処理部18は、基準内部距離以上、基準内部距離+20m以下の範囲であって、相対横距離の絶対値が1.5m以下の範囲内に存在する内部データを抽出する。
なお、本実施の形態では静止物ペア数が5以上の場合に内部データを抽出する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されることはない。天井に設けられた照明等は、所定の間隔で配置されていることが多く、一定の範囲内に複数存在することが多い。このため、ある程度まとまった数が抽出できればよく、上方物に対応する静止物であることが判別可能な静止物ペア数を用いればよい。また、内部データを抽出する範囲についても、基準内部距離以上、基準内部距離+20m以下としているが、これに限定されるものではない。自車両から離れた距離に存在する内部データは誤っている可能性があるため、このような内部データを排除できる程度の距離に設定すればよい。また、相対横位置についても上述と同様に、1.5mの場合に限定されず、自車両の走行等の制御に関係性の低いペアデータを排除できる距離に適宜設定すればよい。
そして、信号処理部18は、抽出された内部データの内、先行車フラグがOFFの内部データを抽出する(ステップS144)と共に、移動物フラグがOFFの内部データを抽出する(ステップS145)。信号処理部18は、このようにして抽出された内部データに対応する物標について、低天井トンネルの上方物であるとして、その内部データの低天井上方物フラグをONにする(ステップS146)。
図14は、低天井トンネル上方物を導出する処理を説明する図である。図14は、車両の上方から見た図である。図14に示すように、基準内部データM1の位置を基点として20m遠方までの範囲であって、相対横距離の絶対値が1.5m以下の範囲内に存在する静止物ペア数は5以上である(S1〜S4及びS6)。また、同じ範囲内には内部データM1〜M4が存在する。これら内部データM1〜M4の先行物フラグ及び移動物フラグが共にOFFであるとすれば、内部データM1〜M4が低天井トンネルの上方物に対応する物標として導出され、低天井上方物フラグがONされる。なお、上述した各処理の条件を満たさない内部データが存在する場合、それらの低天井上方物フラグは前回値が保持される。
次に、図8に戻り、低天井トンネル上方物を解除する処理を実行する(ステップS125)。これは、一旦、低天井トンネル上方物と判定された物標であっても、その判定が誤っている可能性もあるため、誤って低天井トンネル上方物と判定されていた場合にその判定を解除するための処理である。
低天井トンネル上方物を解除する処理について図15ないし図17を用いて説明する。図15及び図16は、低天井トンネル上方物解除処理を説明するフローチャートである。図15に示すように、まず、信号処理部18は、内部データの低天井上方物フラグがONである内部データを抽出する(ステップS147)。これは、処理の時点で低天井トンネルの上方物であると判定されている物標が解除の対象となるからである。
そして、所定範囲内に存在する静止物ペア数を導出する。具体的には、信号処理部18は、基準内部距離以上の距離であって、基準内部距離+100m以下の範囲内に存在するペアデータを抽出する(ステップS148及びステップS149)。そして、信号処理部18は、抽出されたペアデータの内、相対横距離の絶対値が1.5m以下のペアデータを抽出する(ステップS150)。なお、所定範囲として、基準内部距離以上、基準内部距離+100m以下の範囲であって、相対横距離の絶対値が1.5m以下の範囲を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、上述したステップS133〜ステップS137の処理と同様に適宜設定することができる。
その後、信号処理部18は、抽出されたペアデータの中から、静止物に相当するペアデータを抽出する(ステップS151)。これは、移動物フラグがOFFのペアデータを抽出すればよく、これにより抽出されたペアデータが静止物ペアである。
そして、信号処理部18は、抽出した静止物ペア同士の距離が4.5m以上であるか否かを判断する(ステップS152)。本ステップにおいても、抽出された全ての静止物ペア同士の距離が4.5m以上であるか否かを判断する。静止物ペア同士の距離が4.5m未満である場合には(ステップS152でNo)、低天井トンネル上方物解除処理を終了する。第2の不要物除去処理自体を終了してもよい。一方、静止物ペア同士の距離が4.5m以上である場合には(ステップS152でYes)、信号処理部18は、これらの条件により抽出されたペアデータの個数(静止物ペア数)を導出する(ステップS153)。なお、静止物ペア同士の距離についても、上述したステップS148と同様に、4.5mに限定されず適宜設定可能である。
なお、上述したステップS147〜ステップS151の順序は、上記順序に限定されず、どのような順序で処理を実行してもよく、同時に処理を実行してもよい。また、本ステップ125の処理にて静止物ペア数を導出する代わりに、上述したステップS123で導出した静止物ペア数を用いてもよい。
次に、抽出された内部データが、低天井トンネルの上方物である旨の判定を解除すべき物標であるか否かの判定を行う。具体的には、図16に示すように、信号処理部18は、基準内部距離が20mより大きいか否かを判定する(ステップS154)。20mよりも大きい場合には(ステップS154でYes)、信号処理部18は、ステップS153で導出した静止物ペア数が1以下(第2閾値以下)であるか否かを判定する(ステップS155)。静止物ペア数が1よりも大きい場合には(ステップS155でNo)、その内部データは低天井トンネルの上方物であるとして処理を終了し、低天井上方物フラグを保持する。
一方、静止物ペア数が1以下である場合には(ステップS155でYes)、信号処理部18は、3カウント連続しているか否かを判定する(ステップS156)。具体的には、信号処理部18は、同じ内部データが、連続する3回の走査においてステップS154及びステップS155を満たしているか否かを判定する。3カウント連続していない場合には(ステップS156でNo)、その内部データは低天井トンネルの上方物であるとして処理を終了し、低天井上方物フラグを保持する。一方、3カウント連続している場合には(ステップS156でYes)、信号処理部18は、その内部データは低天井トンネルの上方物ではないとして、低天井上方物フラグをOFFにする(ステップS157)。
ステップS154の処理において、基準内部距離が20m以下であると判定された場合(ステップS154でNo)、信号処理部18は、その基準内部データの角度パワーが−35dB以上であるか否かを判定する(ステップS158)。角度パワーが所定値以上の場合、その内部データは、上方物の物標情報ではなく先行車等の物標情報である可能性が高い。このため、角度パワーが−35dB以上である場合には(ステップS158でYes)、信号処理部18は、その内部データの低天井上方物フラグをOFFにする(ステップS157)。一方、角度パワーが−35dB未満である場合には(ステップS158でNo)、その内部データは低天井トンネルの上方物であるとして、低天井上方物フラグを保持する。
なお、基準内部距離が20mより大きいか否かを判定基準としているが、これに限定されることはなく、誤った情報の可能性がある物標情報を排除できる距離であればよい。また、静止物ペア数が1以下である否かを判定基準としているが、これに限定されるものではなく、低天井トンネルの上方物であるか否かを判定可能な個数を基準にすればよい。また、連続するカウント数についても3を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、低天井トンネルの上方物であるか否かを判定可能なカウント数を基準にすればよい。さらに、角度パワーについても、−35dB以上である否かを判定基準としたが、これに限定されることはなく、先行車等の物標情報であるか否かが判定可能な値を適宜用いればよい。
図17は、低天井トンネル上方物を解除する処理を説明する図である。図17は、車両の上方から見た図である。図17に示す例では、基準内部データM1が、自車両から20mよりも離れた位置に存在している。また、基準内部データM1の位置を基点として100m離れた位置までの範囲であって、相対横距離の絶対値が1.5m以下の範囲内に存在する静止物ペア数は1である。したがって、静止物ペア数が1以下であるため、これが3カウント連続しているとすれば、内部データM1は低天井トンネルの上方物に対応する物標でないとして、その低天井上方物フラグをOFFにする。
図8に戻り、低天井トンネルの上方物の導出処理及び解除処理が終了すると、低天井トンネルの上方物を不要物として除去する処理を行う(ステップS126)。すなわち、物標情報として導出した内部データの内、低天井上方物フラグがONにされている内部データは、本来上方物として除去すべき物標情報であるため、本ステップで除去される。したがって、この内部データは、その後の物標出力処理(ステップS116)にて車両制御装置2に出力されることはなく、誤った車両制御を行うことを防止することが可能となる。
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、自車両が低天井トンネル内を走行している場合と、それ以外の場所を走行している場合とにおいて、第2の不要物除去処理の方法を変えるものである。第2の実施の形態における車両制御システム10の構成は第1の実施の形態で説明した構成と同様である。また、第2の実施の形態における処理は、第1の実施の形態で説明した全体の処理と比較して、第2の不要物除去処理(ステップS121)以外は同様であるため、以下では第2の不要物除去処理について説明する。
<2−1.不要物除去処理>
図18は、第2の実施の形態における第2の不要物除去処理を示すフローチャートである。図18に示すように、本実施の形態における第2の不要物除去処理では、低天井トンネル上方物を導出した後に、低天井環境判定処理を行っている(ステップS159)。低天井環境判定処理とは、自車両が低天井トンネル内を走行しているか否かを判定し、その判定結果に応じた低天井環境フラグを設定する処理である。低天井トンネル内を走行しているような環境下にある場合には、低天井環境フラグをONにして、そのような環境下にない場合にはOFFにするようになっている。
また、本実施の形態では、静止物ペア数を導出する処理(ステップS123)と、低天井トンネル上方物を導出する処理(ステップS124)とにおいて、低天井環境フラグのON又はOFFに応じて、条件を変えた処理を実行している。自車両が低天井トンネル内を走行している環境下においては、除去すべき上方物が連続して導出される可能性が高いため、それらが導出され易い条件(緩和した条件)に変更して処理を行うこととしている。つまり、本実施の形態では、これら静止物ペア数導出処理と、低天井トンネル上方物導出処理と、低天井環境判定処理とが第1の実施の形態と異なる処理となる。このため、以下ではこれら各処理について説明し、他の処理は第1の実施の形態と同様の処理であるため説明は省略する。
なお、図18では、低天井環境判定処理を低天井トンネル上方物の除去処理(ステップS126)の後に実行しているが、低天井トンネル上方物を導出する処理(ステップS124)の後に実行してもよく、低天井トンネル上方物を解除する処理(ステップS125)の後に実行してもよい。
まず、低天井環境判定処理(ステップS159)について説明する。低天井環境判定処理は、各走査毎に実行される処理である。図19は、低天井環境判定処理を示すフローチャートである。図19に示すように、低天井トンネル上方物の導出処理が終了すると、信号処理部18は、当該走査において、低天井トンネル上方物(に相当する内部データ)が導出されたか否かを判定する(ステップS160)。
そして、低天井トンネル上方物が導出されている場合には(ステップS160でYes)、信号処理部18は、当該走査における低天井環境フラグがONであるか否かを判定する(ステップS161)。低天井環境フラグがONの場合には(ステップS161でYes)、信号処理部18は、低天井環境フラグをONのまま保持する(ステップS163)。
一方、低天井環境フラグがONでない場合(ステップS161でNo)、すなわち低天井環境フラグがOFFの場合には、信号処理部18は、今回の走査を含めて直前の3秒以内の間の走査において、3回以上低天井トンネル上方物が導出されているか否かを判定する(ステップS162)。直前の3秒以内に3回以上低天井トンネル上方物が導出されている場合には(ステップS162でYes)、信号処理部18は、低天井トンネル内を走行していると判断して、低天井環境フラグをONにする(ステップS163)。一方、導出されていない場合には(ステップS162でNo)、信号処理部18は、低天井環境フラグをOFFのまま保持する(ステップS166)。なお、低天井環境フラグのON又はOFFの判定条件を3秒以内に3回としているが、これに限定されることはない。低天井トンネル内を走行していることを判別できる頻度に適宜設定すればよい。
次に、ステップS160において、低天井トンネル上方物が導出されていない場合には(ステップS160でNo)、信号処理部18は、当該走査における低天井環境フラグがONであるか否かを判定する(ステップS164)。低天井環境フラグがONでない場合(ステップS164でNo)、すなわち低天井環境フラグがOFFの場合には、信号処理部18は、低天井環境フラグをOFFのまま保持する(ステップS166)。
一方、低天井環境フラグがONの場合には(ステップS164でYes)、信号処理部18は、低天井環境フラグONの状態が1.5秒(所定時間)以上経過しているか否かを判定する(ステップS165)。低天井環境フラグがONになってから1.5秒以上経過している場合には(ステップS165でYes)、信号処理部18は、低天井環境フラグをOFFにし(ステップS166)、1.5秒経過していない場合には(ステップS165でNo)、信号処理部18は、低天井環境フラグをONのまま保持する(ステップS163)。
低天井環境フラグがONされた場合には、低天井トンネル内を走行していると考えられるため、直後の走査において低天井トンネル上方物が導出されなかったとしても、単にその走査で導出できなかった可能性がある。このため、所定時間はフラグをONした状態を維持することとしている。そして、1.5秒間、一度も低天井トンネル上方物が導出されなかった場合に、低天井トンネル内を走行していないとして、低天井環境フラグをOFFする。このように、低天井環境フラグがONされた後は、最低でも1.5秒間はONの状態を継続させている。なお、低天井環境フラグをONに保持する所定時間を1.5秒としているが、これに限定されることはなく適宜設定可能である。
次に、本実施の形態における静止物ペア数導出処理について説明する。図20は、静止物ペア数導出処理を示すフローチャートである。図20に示す基準内部データの導出から静止物ペアの抽出までの処理(ステップS133〜ステップS137)は、第1の実施の形態と同様の処理である。本実施の形態では、静止物ペアを抽出した後に、信号処理部18は、当該走査において低天井環境フラグがONであるか否かを判定している(ステップS167)。低天井環境フラグがOFFの場合には(ステップS167でNo)、以降の処理は第1の実施の形態と同様になる。
一方、低天井環境フラグがONの場合には(ステップS167でYes)、信号処理部18は、静止物ペア同士の距離に関わらず静止物ペア数を導出する処理を実行する(ステップS139)。すなわち、静止物ペア同士の距離が4.5m以上であるか否かの判断処理(ステップS138)を行わずに、静止物ペア数の導出処理を行う。したがって、静止物ペア同士の距離が4.5m未満であっても静止物ペア数を導出することになる。これは、自車両が低天井トンネル内を走行している環境下にあることから、導出された静止物ペアは上方物である可能性が高い。このため、このような上方物を確実に導出するために静止物ペア同士の距離の条件を排除している。なお、静止物ペア同士の距離の条件を排除せずに、上方物を確実に導出することができる距離であれば4.5mよりも小さい距離(第2距離)を条件としてもよい。つまり、本実施の形態では、静止物ペア同士の距離を条件とする判断処理を実行しない場合と、0m以上4.5m未満の任意の距離を条件として静止物ペア同士の距離がその距離以上であるか否かの判断処理を実行する場合との双方が採用可能である。なお、静止物ペア数の導出処理は第1の実施の形態と同様である。
次に、本実施の形態における低天井トンネル上方物導出処理について説明する。図21は、低天井トンネル上方物導出処理を示すフローチャートである。図21に示すように、本実施の形態では、まず、信号処理部18が、当該走査において低天井環境フラグがONであるか否かを判定する(ステップS168)。なお、上述したステップS167にて既に同様の判定処理を行っているため、ここでは改めて判定処理を行うことなくステップS167の判定結果を用いることとしてもよい。
低天井環境フラグがONでない場合には(ステップS168でNo)、以降の処理は第1の実施の形態と同様である。一方、低天井環境フラグがONの場合には(ステップS168でYes)、所定範囲内の静止物ペア数が2以上(第3閾値以上)であるか否かを判定する(ステップS169)。この所定範囲は、第1の実施の形態と同様である。
ここで、第1の実施の形態では静止物ペア数が5以上であることを条件にしていたが、本実施の形態では2以上であることを条件としている。これは、自車両が低天井トンネル内を走行している環境下にあることから、上方物を導出する条件を緩和することで、上方物をより導出し易くするためである。したがって、低天井環境フラグがONの場合は、OFFの場合と比較して静止物ペア数の閾値が異なるのみで、静止物ペア数が2以上の場合(ステップS169でYes)であっても、2未満の場合(ステップS169でNo)であっても、その後の処理は、OFFの場合における5以上の場合(ステップS140でYes)及び5未満の場合(ステップS140でNo)と同様である。
なお、低天井環境フラグがONの場合においては、静止物ペア数が2以上である否かを判定基準としていたが、これに限定されるものではない。低天井環境フラグがOFFの場合よりも上方物が導出しやすくなる静止物ペア数とすればよく、低天井環境フラグがOFFの場合の判定に用いる静止物ペア数(本実施の形態の場合は5)よりも小さい静止物ペア数を適宜用いればよい。
このように、本実施の形態では、低天井環境判定処理を行い、低天井トンネル内を走行している環境であるか否かに応じて上方物の導出条件を変えている。これにより、低天井トンネル内を走行している場合には、上方物をより導出し易くなることから、不要な物標情報を確実に導出して除去することができ、誤った車両制御を行うことを防止することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。また、上記各実施の形態は、適宜に組み合わせ可能である。
また、上記各実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。
1 レーダ装置
10 車両制御システム
11 信号生成部
12 発振器
13 送信アンテナ
14 受信アンテナ
15 ミキサ
16 LPF
17 AD変換部
18 信号処理部

Claims (7)

  1. 所定周期で周波数が変わる送信信号と、該送信信号に基づく送信波の物標での反射波を
    受信した受信信号との差分周波数から得られるピーク信号を前記送信信号の周波数が上昇
    する第1期間と周波数が下降する第2期間とで抽出し、該抽出したピーク信号に基づいて
    物標の情報を導出するレーダ装置であって、
    前記第1期間で抽出したピーク信号と第2期間で抽出したピーク信号とをペアリングするペアリング手段と、
    前記ペアリングしたペアデータの内、自装置から所定範囲内に存在する静止物のペアデータの数に基づいて、前記導出した物標が天井が所定の高さよりも低いトンネルの天井部分に設けられた照明である上方物か否かを判定する判定手段と、
    を備え、
    前記判定手段は、前記所定範囲内に存在する静止物のペアデータの数が第1閾値以上とする第1条件と、前記静止物のペアデータ同士の距離が第1距離以上とする第2条件とを満たす場合に、前記導出した物標が前記上方物であると判定し、所定時間内に所定回数以上、前記物標が前記上方物であると判定したときには、その後は前記第2条件に基づく判定を行うことなく、前記第1条件に基づく判定のみを行い、前記第1条件の前記静止物ペアデータの数に関する閾値を前記第1閾値よりも小さい値に変更するよう条件を緩和した判定処理を実行することを特徴とするレーダ装置。
  2. 請求項1に記載のレーダ装置において、
    前記判定手段は、前記所定範囲よりも広い範囲内に存在する静止物のペアデータの数が第2閾値以下の場合には、前記上方物と判定された物標に対する上方物である旨の判定を解除することを特徴とするレーダ装置。
  3. 請求項1に記載のレーダ装置であって、
    前記判定手段は、前記上方物と判定された物標に関する信号のパワーが所定値以上の場合には、該物標に対する上方物である旨の判定を解除することを特徴とするレーダ装置。
  4. 請求項1に記載のレーダ装置において、
    前記判定手段は、前記静止物のペアデータ同士の距離が、前記第1距離よりも小さい第
    2距離以上の場合に、前記導出した物標が上方物であると判定することを特徴とするレー
    ダ装置。
  5. 請求項1に記載のレーダ装置において、
    前記判定手段は、前記上方物が導出されていない場合に、前記自装置が前記天井が所定の高さよりも低いトンネル内に存在すると判定したときは、前記条件を緩和した判定処理を所定時間継続して実行することを特徴
    とするレーダ装置。
  6. 請求項5に記載のレーダ装置において、
    前記判定手段は、前記所定時間内に前記物標が上方物であると判定しなかった場合には、前記条件を緩和した判定処理の実行を解除することを特徴とするレーダ装置。
  7. 所定周期で周波数が変わる送信信号と、該送信信号に基づく送信波の物標での反射波を
    受信した受信信号との差分周波数から得られるピーク信号を前記送信信号の周波数が上昇
    する第1期間と周波数が下降する第2期間とで抽出し、該抽出したピーク信号に基づいて
    物標の情報を導出する信号処理方法であって、
    (a)前記第1期間で抽出したピーク信号と第2期間で抽出したピーク信号とをペアリングする工程と、
    (b)前記ペアリングしたペアデータの内、自装置から所定範囲内に存在する静止物のペアデータの数に基づいて、前記導出した物標が天井が所定の高さよりも低いトンネルの天井部分に設けられた照明である上方物か否かを判定する工程と、
    を備え、
    前記工程(b)は、前記所定範囲内に存在する静止物のペアデータの数が第1閾値以上とする第1条件と、前記静止物のペアデータ同士の距離が第1距離以上とする第2条件とを満たす場合に、前記導出した物標が前記上方物であると判定し、所定時間内に所定回数以上、前記物標が前記上方物であると判定したときには、その後は前記第2条件に基づく判定を行うことなく、前記第1条件に基づく判定のみを行い、前記第1条件の前記静止物ペアデータの数に関する閾値を前記第1閾値よりも小さい値に変更するよう条件を緩和した判定処理を実行することを特徴とする信号処理方法。
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