JP6292771B2 - アイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置 - Google Patents
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Description
このアイドルストップシステムは、例えば、交差点での信号停止や渋滞等により一時停止した際に、エンジンへの燃料供給をカットしてエンジンを自動的に停止させ、その後、運転者により発進操作(例えば、ブレーキペダルの解除操作、ドライブレンジへのシフト操作等)が行われて再始動条件が成立すると、スタータを自動的に起動してエンジンを再始動させるシステムである。
なお、「エンジン始動装置」のうち、リングギヤ等を含まないスタータ自体を表す部分は「スタータ」と呼称する場合があり、以降の記述においても同様である。
しかしながら、特許文献1に記載されたエンジン始動装置では、電磁ソレノイドと電磁スイッチとを備えているため構造が複雑であり、さらに、これら電磁ソレノイドと電磁スイッチとを個別に制御するため、制御が煩雑となっていた。
このように停車してから直ぐに青信号に変った場合、アイドルストップシステムを採用していない車両の場合はエンジンが停止していないので直ぐに発進できるが、アイドルストップシステムを採用した車両では赤信号で停車させた場合にエンジンが停止するので、エンジンを再始動する必要があり、停車してから直ぐに青信号に変った場合は、車両の発進が若干遅れることから、この遅れを少なくすることが好ましい。
前記エンジンに連結されたリングギヤに噛み合うピニオンギヤ、
前記ピニオンギヤを回転駆動するモータ、
前記ピニオンギヤを前記リングギヤと噛み合う位置に移動させる押し出し機構、および
前記エンジン再始動要求に基づいて通電されると、プランジャーを駆動して前記押し出し機構に前記ピニオンギヤを前記リングギヤと噛み合う位置に移動させる動作をさせると共に、電磁スイッチを作動させて前記モータに前記ピニオンギヤを回転駆動する動作をさせる前記プランジャーの駆動および前記電磁スイッチの作動に共用のプランジャー駆動コイルを設けたアイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置であって、
前記モータを直巻巻線界磁式直流電動機とすると共に、前記ピニオンギヤを噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤとし、
前記エンジン再始動要求に基づいて、前記電磁スイッチの接点をバイパスして前記直巻巻線界磁式直流電動機に直列接続された前記プランジャー駆動コイルおよび前記直巻巻線界磁式直流電動機の直巻巻線界磁に通電され、
前記エンジン再始動要求に基づく前記プランジャー駆動コイルの通電による前記電磁スイッチの作動によって前記電磁スイッチの前記接点を介して前記直巻巻線界磁式直流電動機の直巻巻線界磁および回転子に通電され、
前記エンジン再始動要求に基づく前記プランジャー駆動コイルの通電による前記電磁スイッチの作動によって動作した前記直巻巻線界磁式直流電動機の回転駆動力がオーバランニングクラッチを介して前記ピニオンギヤに伝達され、
アイドルストップによる前記エンジンの停止中における前記リングギヤの惰性回転の回転数が前記直巻巻線界磁式直流電動機から前記オーバランニングクラッチを介して駆動された前記ピニオンギヤの回転数より高い状態下で、前記エンジン再始動要求に基づく前記プランジャー駆動コイルの通電によって作動した前記電磁スイッチの前記接点を介して通電された前記直巻巻線界磁式直流電動機による前記噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤの回転駆動と、前記エンジン再始動要求に基づく前記プランジャー駆動コイルの通電によって作動した前記押し出し機構による前記噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤの前記リングギヤとの噛み合い位置への移動とが行われることにより、前記エンジン再始動要求からエンジン再始動までの時間の短縮化が行われるものである。
以下、本実施の形態を図1〜図8により説明する。
先ず、本実施の形態のアイドルストップシステム採用車両のエンジン始動装置の全体構造を説明する。
本実施の形態のアイドルストップシステム採用車両のエンジン始動装置は、電磁スイッチ1、プランジャー駆動コイル2、プランジャー3、押し出し機構4、動力伝達機構部5、オーバランニングクラッチ6、ピニオンギヤ7、噛み合い時間短縮形状ピニオンの面取部7a,7b、直巻巻線界磁式直流電動機(以下「モータ」と記す)9、界磁巻線10、回転子11、および接続手段12を備えている。なお、プランジャー駆動コイル2は周知のように電磁スイッチ1内に設けられている(図1参照)。8はアイドルストップシステム採用車両のエンジンに連結されているリングギヤである。
押し出し機構4は、プランジャー駆動コイル2の付勢時にプランジャー3を介して回動中心4cを中心に反時計方向(矢印B方向)に回動する。
動力伝達機構部5は、モータ9の回転動力をオーバランニングクラッチ6に伝達する。
オーバランニングクラッチ6は、動力伝達機構部5を介してモータ9の回転動力をピニオンギヤ7に伝達するクラッチであり、リングギヤ8の回転数がピニオンギヤ7の回転数より高い場合にピニオンギヤ7を空回りさせ動力伝達機構部5およびモータ9にリングギヤ8の回転トルクが伝達されないようにする一方向回転動力伝達機構である。
ピニオンギヤ7は、動力伝達機構部5およびオーバランニングクラッチ6を介してモータ9の回転動力が伝達され、プランジャー駆動コイル2の付勢時にプランジャー3を介して回動中心4cを中心に反時計方向(矢印B方向)に回動する押し出し機構4の前記矢印B方向の回動によってリングギヤ8との回転同期後にそのトルク伝達部がリングギヤ8と噛合する。
噛み合い時間短縮形状ピニオンの面取部7a,7bについては、図5〜図8によって後述する。
モータ9は、直流電動機につき、起動時は大きい起動時電流Issを生じる。
接続手段12は、電磁スイッチ1とモータ9とを接続する電線である。換言すれば、電磁スイッチ1のプランジャー駆動コイル2等とモータ9の界磁巻線10とは、接続手段12を介して図2のように接続される。
モータ9を直巻巻線界磁式直流電動機とした場合の直巻巻線界磁式直流電動機の起動時電流Iss(界磁巻線10に流れる電流)は図3に例示のような起動時電流となる。
エンジンの停止開始t1の後、エンジン再始動要求t2が出ると、エンジン始動装置は電磁スイッチ1のプランジャーコイル2に通電を開始し、プランジャー3を図1で左方向に移動させる。この動きによりピニオンギヤ7は押し出し機構4を介してリングギヤ8方向に押し出され、惰性回転中のリングギヤ8に当接する(t3)。概同時にプランジャー3により電磁スイッチ1内部のモータ通電接点(図2の接点部100。図1には図示せず)がオンになり、モータ9に通電される。
モータ9が駆動を開始し、このモータ駆動は動力伝達機構部5、オーバランニングクラッチ6を介してピニオンギヤ7に伝達され、ピニオンギヤ7は回転を開始する。この後、リングギヤ8の回転数にピニオンギヤ7の回転数が概同期する(直巻巻線界磁式直流電動機の場合の前記概同期するタイミングはt4−2、永久磁石界磁式直流電動機の場合の前記概同期するタイミングはt5)と、押し出し機構4による押し出し力によりピニオンギヤ7がリングギヤ8に噛み合い、モータ9で駆動したトルクをリングギヤ8に伝達することでエンジンを再始動する(直巻巻線界磁式直流電動機の場合のエンジンが再始動するタイミングはt6−2、永久磁石界磁式直流電動機の場合のエンジンが再始動するタイミングはt7)。
直流電動機の発生トルクは以下で表すことが出来る。
発生トルクT=k1*Φ*Ia
モータ起動時の立上り回転数は以下で表すことが出来る。
モータ起動時の立上り回転数n1=T/Js
但し、k1=モータ仕様で決まる定数、
Ia=電機子電流(∝スタータ電流Is)、
Φ=毎極の磁束(直巻巻線界磁式の場合Φ=k2*IFi)、
k2=モータの界磁仕様で決まる定数、
IFi=界磁電流(∝スタータ電流Is)、
Js=モータ仕様で決まる慣性モーメント(定数))
回転速度n=k3*E/Φ
但し、k3=モータ仕様で決まる定数、
E=回転による逆起電力(=V-Ia*Ra)、
V=モータへの印加電圧、
Ra=電機子抵抗(=モータ仕様による定数))
とすることは、この点でも効果を得ることが出来る。
また、噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤが、トルクを伝達するギヤ面よりも歯厚が細くなった同期専用のギヤ面を有した噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤであり、
また、噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤが、前記ピニオンギヤの前記リングギヤの側の先端に同期専用突起部を有した噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤである。
同様に、図6に例示のように、曲線形状に概等価な多段面取7bを設けた構造としてもよい。
なお、図7に例示のように、曲線形状ではなく直線的な面取り7cを設けた構造でも、面取を設けてない場合に比べて噛み合い時間を短縮できるが、図5および図6に例示の面取7a,7bの場合の方が噛み合い時間の短縮効果が大きい。
ピニオンギヤ歯面と平行した曲線形状の面取の場合は、噛み合い動作の間にピニオンギヤの面取上にリングギヤの角が当接する位置(図8ではFrとFzの交点)が通る軌跡は、リングギヤとピニオンギヤの歯面同士の噛み合いと同様になるため、リングギヤからピニオンギヤ面取面が受ける力が大きさ、方向が安定し、このFr、Fzは同じ関係を保った状態で噛み合い動作が完了する。このため、FrとFzの関係に変動が生じない。
なお、各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
2c プランジャー保持コイル、 3 プランジャー、 4 押し出し機構、
4c 回動中心、 5 動力伝達機構部、
6 オーバランニングクラッチ、 7 ピニオンギヤ、
7a、7b、7c ピニオンの面取、 8 リングギヤ、
9 直巻巻線界磁式直流電動機(モータ)、 10 界磁巻線、 11 回転子、 12 接続手段、 100 接点部、
BT バッテリ、 SST 始動スイッチ、
C/U コントロールユニット(再始動用)。
Claims (6)
- エンジンの出力を必要としなくなった場合に前記エンジンを自動的に停止させ、前記エンジンの出力が必要になりエンジン再始動要求があれば、前記エンジンの惰性回転中であっても、エンジン始動装置を作動させて前記エンジンを再始動させるアイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置において、
前記エンジンに連結されたリングギヤに噛み合うピニオンギヤ、
前記ピニオンギヤを回転駆動するモータ、
前記ピニオンギヤを前記リングギヤと噛み合う位置に移動させる押し出し機構、および
前記エンジン再始動要求に基づいて通電されると、プランジャーを駆動して前記押し出し機構に前記ピニオンギヤを前記リングギヤと噛み合う位置に移動させる動作をさせると共に、電磁スイッチを作動させて前記モータに前記ピニオンギヤを回転駆動する動作をさせる前記プランジャーの駆動および前記電磁スイッチの作動に共用のプランジャー駆動コイルを設けたアイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置であって、
前記モータを直巻巻線界磁式直流電動機とすると共に、前記ピニオンギヤを噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤとし、
前記エンジン再始動要求に基づいて、前記電磁スイッチの接点をバイパスして前記直巻巻線界磁式直流電動機に直列接続された前記プランジャー駆動コイルおよび前記直巻巻線界磁式直流電動機の直巻巻線界磁に通電され、
前記エンジン再始動要求に基づく前記プランジャー駆動コイルの通電による前記電磁スイッチの作動によって前記電磁スイッチの前記接点を介して前記直巻巻線界磁式直流電動機の直巻巻線界磁および回転子に通電され、
前記エンジン再始動要求に基づく前記プランジャー駆動コイルの通電による前記電磁スイッチの作動によって動作した前記直巻巻線界磁式直流電動機の回転駆動力がオーバランニングクラッチを介して前記ピニオンギヤに伝達され、
アイドルストップによる前記エンジンの停止中における前記リングギヤの惰性回転の回転数が前記直巻巻線界磁式直流電動機から前記オーバランニングクラッチを介して駆動された前記ピニオンギヤの回転数より高い状態下で、前記エンジン再始動要求に基づく前記プランジャー駆動コイルの通電によって作動した前記電磁スイッチの前記接点を介して通電された前記直巻巻線界磁式直流電動機による前記噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤの回転駆動と、前記エンジン再始動要求に基づく前記プランジャー駆動コイルの通電によって作動した前記押し出し機構による前記噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤの前記リングギヤとの噛み合い位置への移動とが行われることにより、前記エンジン再始動要求からエンジン再始動までの時間の短縮化が行われる
ことを特徴とするアイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置。 - 請求項1に記載のアイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置において、
前記噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤが、前記リングギヤとの噛み合い後のトルク伝達用ピニオンギヤと、前記リングギヤとの回転同期を司る同期専用ピニオンギヤとで構成された噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤである
ことを特徴とするアイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置。 - 請求項1に記載のアイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置において、
前記噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤが、トルクを伝達するギヤ面よりも歯厚が細くなった同期専用のギヤ面を有した噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤである
ことを特徴とするアイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置。 - 請求項1に記載のアイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置において、
前記噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤが、前記ピニオンギヤの前記リングギヤの側の先端に同期専用突起部を有した噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤである
ことを特徴とするアイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置。 - 請求項1に記載のアイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置において、
前記噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤが、前記ピニオンギヤの歯面と前記ピニオンギヤの前記移動の方向の先端側の面との交わる角部分に形成され前記歯面に対いて所定角度傾斜した面取を有する噛み合い時間短縮タイプのピニオンギヤである
ことを特徴とするアイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置。 - 請求項5に記載のアイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置において、
前記面取が、前記歯面に沿って少なくとも2面以上の多段面取である
ことを特徴とするアイドルストップシステムを採用した車両のエンジン始動装置。
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