JP6291845B2 - スタータ用一方向クラッチ - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン始動用のスタータに用いられる一方向クラッチに関する。
従来、特許文献1に記載されたスタータが公知である。
このスタータは、モータの電機子軸とピニオン軸とが減速機構を構成する歯車列を介して平行に配置され、その歯車列によってモータの回転速度を減速してピニオン軸に伝達する、いわゆるリダクション型と呼ばれるスタータである。
このスタータには、減速機構によって増幅されたモータトルクをピニオン軸に伝達するローラ式のクラッチが搭載される。このクラッチは、カム室に配設されるローラを介してクラッチアウタからクラッチインナへトルク伝達を行う一方、クラッチインナからクラッチアウタへのトルク伝達を遮断する一方向クラッチを構成している。これにより、クランキングからエンジンが完爆した後、クラッチがトルク伝達を遮断することで、エンジンの回転がモータに伝達されることを防止できる。
特開2006−9681号公報
ところで、上記の一方向クラッチには、ローラを収容するカム室に潤滑用のグリースが充填されるが、クラッチにシール機能を有していないため、カム室に充填されているグリースが経年によって減少していく可能性がある。
特に、アイドリングストップを搭載する車両では、スタータの使用頻度が大幅に増加するため、使用条件次第では、グリースが枯渇する恐れもある。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、経年によるグリースの減少を抑制して耐久性を向上できるスタータ用一方向クラッチを提供することにある。
請求項1に係る本発明は、同心に配置されるクラッチアウタとクラッチインナを有すると共に、クラッチアウタの内周に形成されるカム面とクラッチインナの外径面との間にカム室が形成され、このカム室に配設されるローラおよびローラをカム室の狭小方向へ付勢するスプリングを備え、ローラを介してクラッチアウタからクラッチインナへ一方向のみ回転トルクを伝達するスタータ用一方向クラッチであって、ロ−ラの軸方向両側または片側に隣接してカム室内にグリース室を形成し、このグリース室に充填されたグリースをカム室内へ供給できるグリース溜め部を設け、このグリース溜め部は、ローラの軸方向端面に隣接してカム室内に配置されるワッシャと、このワッシャとの間にグリース室を形成してカム室内に配置されるスペーサとで構成され、ワッシャとスペーサのどちらか一方または両方には、グリース室よりグリースが流出するグリース流出口が形成されることを特徴とする。
上記の構成によれば、カム室内にグリース溜め部を設けているので、経年によるグリースの流出に対し、グリース溜め部(グリース室)からローラが配設されるカム室内にグリースを補充できる。また、グリース溜め部は、ローラに隣接してカム室内に設けているので、グリースの補充経路を最短に設定することが可能であり、グリース溜め部からカム室内へ速やかにグリースを補充できる。これにより、カム室内のグリース量を長期に渡って適切に保つことができるので、一方向クラッチの耐久性を向上できる。
特に、アイドリングストップを搭載する車両においては、スタータの使用頻度が大幅に増加しても、カム室内のグリースが枯渇することを防止できるので、本発明の一方向クラッチをアイドリングストップ対応のスタータにも好適に採用できる。
実施例1に係るリダクション型スタータの断面図である。 実施例1に係る一方向クラッチ及びグリース溜め部の構成(図1のA部)を示す拡大図である。 実施例1に係るグリース溜め部に使用されるワッシャの平面図である。 (a)実施例1に係るグリース溜め部に使用されるスペーサの平面図、(b)同スペーサのIV−IV断面図である。 図2に示す一方向クラッチのV−V断面図である。 図5に示すクラッチアウタの断面図である。 (a)実施例2に係るグリース溜め部に使用されるスペーサの平面図、(b)同スペーサのVII−VII断面図である。 実施例3に係るリダクション型スタータの断面図である。
本発明を実施するための形態を以下の実施例により詳細に説明する。
〔実施例1〕
実施例1では、本発明の一方向クラッチをリダクション型スタータに適用した事例を説明する。
リダクション型スタータ(以下、スタータ1と言う)は、図1に示す様に、モータ2の電機子軸2aと、ピニオン3を支持するピニオン軸4とが減速機構(後述する)を介して平行に配置され、且つ、ピニオン軸4と同軸線上に電磁スイッチ5を備える。
以下の説明では、図1に示すスタータ1の軸方向(図示左右方向)において、図示左側をフロント側、図示右側をリヤ側、図示左方向をフロント方向、図示右方向をリヤ方向と定義する。
モータ2は、磁気回路を形成するヨーク6と、このヨーク6の内周に配置される界磁子7と、この界磁子7の内周に配置されて電機子軸2aのリヤ側に整流子8を備える電機子9と、整流子8の外周上に配置されるブラシ10等より構成される周知の整流子電動機である。なお、図1に示す界磁子7は、界磁極7aの周囲に平角線7b(界磁コイル)を巻回した電磁石界磁であるが、ヨーク6の内周に永久磁石を配置した永久磁石界磁を採用することもできる。
ピニオン軸4は、スプラインチューブ11の内周にヘリカルスプライン結合されて、スプラインチューブ11に対し軸方向に移動可能に設けられ、且つ、リターンスプリング12によってリヤ方向へ付勢されている。ピニオン軸4のリヤ側端面には、軸中心部に穿孔が形成され、この穿孔の内部にスチールボール13が配設される。
スプラインチューブ11は、フロント側の端部がボールベアリング14を介してフロントハウジング15に回転自在に支持され、リヤ側の端部がボールベアリング16を介してセンタハウジング17に回転自在に支持されている。
ピニオン3は、モータトルクをエンジンのリングギヤRに伝達するための歯車であり、スプラインチューブ11のフロント側端面より突き出るピニオン軸4の外周に直スプライン嵌合して配置される。ピニオン3の内周には、ピニオン軸4に対してピニオン3をフロント方向へ付勢するピニオンスプリング18が配設される。
ピニオン軸4のフロント側端部には、ピニオンスプリング18に付勢されるピニオン3の位置決め用ストッパ19が取り付けられる。
減速機構は、電機子軸2aのフロント側端部に形成されるドライブギヤ20と、ギヤ軸21の外周に回転自在に支持されてドライブギヤ20に噛み合うアイドルギヤ22と、このアイドルギヤ22に噛み合うクラッチギヤ23から成る歯車列によって構成される。
クラッチギヤ23は、円筒形状を有するボス部24の外周に圧入嵌合あるいはセレーション嵌合して組み付けられ、モータトルクがアイドルギヤ22を介して伝達されることにより、ボス部24と一体に回転する。ボス部24は、スプラインチューブ11の外周に軸受25を介して相対回転自在に支持され、後述する一方向クラッチ26にモータトルクを伝達する。
電磁スイッチ5は、電磁石の吸引力を利用してピニオン軸4をフロント方向へ押し出す機能と、モータ2の通電回路に設けられるメイン接点(後述する)を開閉する機能とを持たせたソレノイドを有する。
ソレノイドは、通電によって電磁石を形成するコイル27と、電磁石に吸引されてコイル27の内周をフロント方向へ移動するプランジャ28と、このプランジャ28の動きをスチールボール13を介してピニオン軸4に伝達するロッド29と、これらの部品を収容するスイッチフレーム30等より構成される。
プランジャ28には、軸方向に貫通する中空孔31が形成され、この中空孔31の途中に内径側へ突き出る段付き部31aが形成される。
ロッド29は、プランジャ28の中空孔31に挿通されて、リヤ側の端部にフランジ部29aが設けられ、そのフランジ部29aがドライブスプリング32に付勢されて段付き部31aに押圧されている。
ドライブスプリング32は、段付き部31aよりリヤ側の中空孔31に挿入され、フロント側の端部がロッド29のフランジ部29aに当接し、リヤ側の端部がプランジャ28のリヤ側端面に固定される端板33に当接して支持される。
プランジャ28の段付き部31aよりフロント側へ延出するロッド29の外周には、電磁石の吸引力が消滅した時にプランジャ28をリヤ方向へ押し戻すためのリターンスプリング34が配設される。
メイン接点は、2本の接続端子を介してモータ2の通電回路に接続される一組の固定接点35と、プランジャ28と一体に可動して一組の固定接点35間を電気的に開閉する可動接点36とで形成される。
2本の接続端子は、外周に雄ねじ部を有するB端子37とM端子(図示せず)であり、スイッチフレーム30の径方向外側へ雄ねじ部の先端側が取り出され、その雄ねじ部にナット38を締め付けてスイッチフレーム30に固定される。
B端子37は、バッテリケーブルを介して車載バッテリ(図示せず)のプラス端子に接続され、M端子は、図示しないリード線を介してプラス側のブラシ10に接続される。
固定接点35は、導電率の高い銅等の金属板をL字型に折り曲げて形成され、折り曲げられた一端側がB端子37及びM端子の外周に嵌合して固定され、他端側が可動接点36と軸方向に所定の間隔を有して対向配置される。
可動接点36は、絶縁部材39を介してプランジャ28に保持され、メイン接点の閉成時に接点圧を付与する接点圧スプリング40の荷重を受けてプランジャ28の外周に形成される段差に押圧されている。
スイッチフレーム30は、前述のセンタハウジング17と一体に設けられて、センタハウジング17よりリヤ側へ筒状に延設され、リヤ側の開口端が金属製のエンドカバー41により閉塞される。
エンドカバー41は、スイッチフレーム30の開口端との間にシール部品であるガスケット42を挟み込んで組み付けられ、複数のビス43によりスイッチフレーム30に締め付け固定される。
続いて、本発明に係る一方向クラッチ26の構成を説明する。
一方向クラッチ26は、図5に示すように、同心に配置されるクラッチアウタ44とクラッチインナ45との間にカム室46を形成し、このカム室46に配設されるローラ47およびローラ47を付勢するスプリング48等より構成され、カム室46内に後述するグリース溜め部を備える。
クラッチアウタ44は、図2に示すように、クラッチギヤ23のボス部24に設けられるアウタ固定部24aの端面に隣接して配設され、両者の外周を覆うクラッチカバー49によりカシメ固定される。
クラッチアウタ44の内周には、図6に示すように、カム面44aが周方向に複数個所(図6は5箇所)形成され、且つ、カム面44aに連続してスプリング収納室44bがカム面44aと同数形成されている。カム面44aは、クラッチアウタ44の径方向中心Oからの距離が周方向の一方側(図示時計回転方向側)から他方側へ向かって次第に小さく形成される。スプリング収納室44bは、カム面44aの一方側に連続して形成される。
クラッチインナ45は、前述のスプラインチューブ11によって形成される。つまり、スプラインチューブ11の全長(軸方向長さ)のうち、クラッチアウタ44の内周側に配置されるスプラインチューブ11のリヤ側部分をクラッチインナ45として利用している。
カム室46は、図5に示すように、クラッチインナ45の径方向の外周面(以下、外径面と言う)とクラッチアウタ44のカム面44aとの間に形成される。このカム室46は、クラッチインナ45の外径面とクラッチアウタ44のカム面44aとの間の空間が周方向の一方側から他方側に向かって次第に狭くなるくさび状に形成される。以下、カム室46の空間が狭くなる方向(図示反時計回転方向)をカム室46の狭小方向と呼び、カム室46の空間が広くなる方向(図示時計回転方向)をカム室46の広大方向と呼ぶ。
ローラ47は、カム室46内を周方向へ移動可能に配設され、ローラ47の外径より小さいカム室46の狭小方向へ移動すると、クラッチインナ45の外径面とクラッチアウタ44のカム面44aとの間に食い込んでロックされる。この状態でクラッチアウタ44の回転をクラッチインナ45へ伝達できる。一方、ローラ47の外径より大きいカム室46の広大方向へ移動するとローラ47が空転状態となり、クラッチインナ45からクラッチアウタ44へのトルク伝達を遮断できる。
このローラ47は、図2に示すように、軸方向(図示左右方向)の長さ(ローラ長と呼ぶ)がカム室46の軸方向長さより短く、例えばカム室46の軸方向長さの半分程度のローラ長を有し、カム室46の軸方向中央部に配置される。
スプリング48は、クラッチアウタ44に形成されるスプリング収納室44bに配設されて、ローラ47をカム室46の狭小方向へ付勢している。
グリース溜め部は、図2に示すように、カム室46の内部でローラ47の軸方向両外側に設けられ、内部にグリースを溜めるグリース室50を形成している。
このグリース溜め部は、ローラ47の軸方向端面に隣接して配置される金属製のワッシャ51と、このワッシャ51との間にグリース室50を形成するスペーサ52とで構成される。
ワッシャ51は、図3に示すように、クラッチアウタ44の内周形状、つまりカム面44aおよびスプリング収納室44bの内周面に沿った外周形状を有し、且つ、クラッチインナ45の外径より若干大きい内径を有する円形孔51aが形成されている。また、ワッシャ51には、クラッチアウタ44のスプリング収納室44bに対応する部位にグリース流出口となる連通孔51bが形成されている。
スペーサ52は、図4に示すように、内周壁部52a、外周壁部52b、および端面壁部52bcにより構成され、例えば油分を保持できる金属製の軸受材料によって形成される。
内周壁部52aは、軸方向に所定の長さを有する円筒形状を有し、その円筒形状の内径面がクラッチインナ45の外径面に摺動可能に嵌合している。
外周壁部52bは、同図(a)に示すように、クラッチアウタ44の内周形状であるカム面44aおよびスプリング収納室44bの内周面に沿って軸方向に延設され、且つ、内周壁部52aに接続されてグリース室50の周囲を筒状に囲んでいる。
端面壁部52bcは、同図(b)に示すように、内周壁部52aと外周壁部52bとで形成される筒状空間の軸方向反ワッシャ側(図示右側)を閉塞している。
なお、ローラ47の軸方向両側に設けられる2カ所のグリース溜め部のうち、フロント側のグリース溜め部は、スペーサ52の端面壁部52bcがアウタ固定部24aのリヤ側端面に当接してフロント側の軸方向位置が規制される。一方、リヤ側のグリース溜め部は、スペーサ52の端面壁部52bcがクラッチカバー49のカシメ部に当接してリヤ側の軸方向位置が規制される。
また、ローラ47と2カ所のグリース溜め部とを含む軸方向の全体長さは、図2に示すように、クラッチアウタ44の軸方向長さ、つまりカム室46の軸方向長さと略同じである。但し、ローラ47の軸方向端面に隣接して配置されるワッシャ51は、ローラ47の動きを阻害することはない。つまり、ローラ47の軸方向両側に設けられる2カ所のグリース溜め部は、互いのワッシャ51がローラ47の軸方向端面を押圧することはなく、ローラ47の軸方向端面と摺動可能に接触している。これにより、ローラ47は、軸方向両側のワッシャ51から押圧力を受けることはなく、カム室46内の移動が許容される。
次に、スタータ1の作動を説明する。
ここでは、アイドリングストップが実施されてエンジンが自動停止した後、エンジンの再始動要求が発生した時の作動について説明する。
エンジンの再始動要求は、ユーザーによる発進操作(例えばブレーキの解除操作、ドライブレンジ等へのシフト操作等)を基にアイドリングストップ用ECU(図示せず)が判断する。
ECUは、再始動要求の発生に応答してスタータリレー(図示せず)を閉制御する。スタータリレーが閉成すると、バッテリからコイル27に通電されてソレノイドが作動する。具体的には、コイル27への通電によって電磁石が形成され、その電磁石にプランジャ28が吸引されてフロント方向へ移動する。このプランジャ28の移動に伴い、ロッド37を介してスチールボール13が押されることで、ピニオン軸4がフロント方向へ押し出される。その結果、ピニオン軸4に支持されたピニオン3の側面がリングギヤRの側面に当接する。
ピニオン3がリングギヤRに当接した後、ドライブスプリング32を撓ませながらプランジャ28がさらに移動し、可動接点36が一組の固定接点35に当接して接点圧スプリング40に付勢されることによりメイン接点が閉成する。これにより、バッテリからモータ2に電力が供給されて電機子9が回転し、その電機子9の回転力が減速機構で増幅され、さらに一方向クラッチ26を介してスプラインチューブ11に伝達される。スプラインチューブ11が回転すると、スプラインチューブ11の内周にヘリカルスプライン結合されるピニオン軸4が回転する。このピニオン軸4の回転により、ピニオン3がリングギヤRと噛み合い可能な位置まで回転すると、ドライブスプリング32に蓄えられた反力によりピニオン3がリングギヤRに押し込まれてピニオン3とリングギヤRとの噛み合いが完了する。その結果、減速機構によって増幅されたモータトルクがピニオン3からリングギヤRに伝達されてエンジンをクランキングする。
エンジン始動後、ECUによりスタータリレーが開制御されると、コイル27への通電が停止されて電磁石の吸引力が消滅することにより、リターンスプリング34の反力でプランジャ28がリヤ方向へ押し戻される。このプランジャ28の移動に伴い、ピニオン軸4がリターンスプリング12の反力によりリヤ方向へ押し戻されることで、ピニオン3とリングギヤRとの噛み合いが解除される。また、可動接点36が一組の固定接点35から離れてメイン接点が開成すると、バッテリからモータ2への電力供給が停止することにより、電機子9の回転が次第に減速して停止に至る。
〔実施例1の作用および効果〕
実施例1のスタータ1は、一方向クラッチ26のカム室46内にグリース溜め部を設けているので、グリース溜め部のグリース室50よりローラ47が配設されているカム室46内にグリースを補充できる。なお、ローラ47が配設されているカム室46とは、グリース溜め部のワッシャ51より反グリース室側に形成されるカム室46、つまり2枚のワッシャ51の間に形成されるカム室46であり、このカム室46をローラ側カム室46と呼ぶ。
ワッシャ51には、スプリング収納室44bに対応する部位にグリース流出口となる連通孔51bが形成されているので、グリース室50より連通孔51bを通って流出したグリースがスプリング収納室44bを経てローラ側カム室46へ供給される。
また、グリース溜め部は、ローラ47の軸方向両側に設けられるので、グリースがカム室46内の軸方向片側に偏って補充されることもなく、ローラ側カム室46内へ均一にグリースを補充できる。よって、経年によるカム室46からのグリースの流出が生じても、グリース室50からローラ側カム室46内へグリースを適宜に補充できるので、カム室46内のグリース量を長期に渡って適切に保つことができる。
また、グリース溜め部は、スペーサ52の内周壁部52aの内径面がクラッチインナ45の外径面に摺動可能に嵌合しているので、グリースの流出を抑制できるシール性も確保できる。これにより、長期の使用に際してもカム室46内のグリースが枯渇することを防止できるので、一方向クラッチ26の耐久性が向上する。その結果、使用頻度が大幅に増加するアイドリングストップ対応のスタータ1にも好適に採用できる。
さらに、グリース溜め部のスペーサ52は、例えば油分を保持できる軸受材料によって形成されるので、シール性を確保するために内周壁部52aの内径面をクラッチインナ45の外径面に摺動可能に嵌合する構成としても、空転トルクのロスを抑制できる。
以下、本発明に係る他の実施例について説明する。
なお、実施例1と共通する部品あるいは同一機能を有するものは、実施例1と同一の符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
〔実施例2〕
この実施例2では、図7(a)に示すように、スペーサ52の内周壁部52aにスリット53を形成した事例である。このスリット53は、本発明のグリース流出口として機能するものであり、内周壁部52aの周方向に複数個所形成され、且つ、同図(b)に示すように、内周壁部52aの軸方向全長に渡って形成される。あるいは、スリット53を内周壁部52aの軸方向の一部に形成することもできる。
上記の構成によれば、グリース室50よりスリット53を通って流出したグリースが内周壁部52aの内径面とクラッチインナ45の外径面との間に生じる摺動隙間を通ってローラ側カム室46へ供給される。よって、実施例1と同様、カム室46内のグリース量を長期に渡って適切に保つことができる。なお、内周壁部52aにスリット53を形成する代わりに、内周壁部52aを壁厚方向に貫通する貫通穴を形成することもできる。
〔実施例3〕
この実施例3では、図8に示すように、スペーサ52を断面H字型に形成した事例である。H字型のスペーサ52を採用することにより、ローラ47の軸方向両側に配置されるスペーサ52を共通化できるメリットがある。この構成においても、実施例1及び2と同様の効果を得ることができる。
〔変形例〕
実施例1〜3では、グリース溜め部をローラ47の軸方向両側に設けた事例を記載したが、ローラ47の片側のみに設けても良い。また、グリース溜め部のワッシャ51には、クラッチアウタ44のスプリング収納室44bに対応する部位にグリース流出口となる連通孔51bを形成しているが、カム室46に対応する部位に連通孔51bを形成しても良い。
実施例1では、グリース溜め部のスペーサ52を金属製の軸受材料によって形成する事例を記載したが、樹脂材料により形成することもできる。特に、摩擦係数の低い樹脂材料を選択することにより、内周壁部52aの内径面がクラッチインナ45の外径面に摺動可能に嵌合する構成とすることでシール性を確保でき、且つ、空転トルクのロスを抑制できる。また、スペーサ52を樹脂材料で形成する場合に、常温より高い高温時のみ内周壁部52aの内径面がクラッチインナ45の外径面に摺動可能に嵌合して、常温以下では内周壁部52aの内径面とクラッチインナ45の外径面との間に多少の隙間を有する構成を採用しても良い。
また、スペーサ52を金属材料で形成する場合でも、少なくとも内周壁部52aの内径面に摩擦係数の低い樹脂材(例えばフッ素樹脂)をコーティングしても良い。
実施例1では、本発明の一方向クラッチ26をリダクション型スタータ1に適用した事例を記載したが、例えば、電磁スイッチ5の作動によりシフトレバーを駆動してピニオン3を押し出す方式、いわゆるピニオンシフト式スタータに適用することもできる。
実施例1に記載した電磁スイッチ5は、ピニオン軸4を押し出す機能とメイン接点を開閉する機能とを一つのソレノイドで行うが、ピニオン軸4を押し出す機能とメイン接点を開閉する機能とを別々のソレノイドで行う、いわゆるタンデムソレノイド式でも良い。
1 スタータ
26 一方向クラッチ
44 クラッチアウタ
44a カム面
45 クラッチインナ
46 カム室
47 ローラ
48 スプリング
50 グリース室(グリース溜め部)
51 ワッシャ(グリース溜め部)
51b 連通孔(グリース流出口)
52 スペーサ(グリース溜め部)
53 スリット(グリース流出口)

Claims (6)

  1. 同心に配置されるクラッチアウタ(44)とクラッチインナ(45)を有すると共に、前記クラッチアウタ(44)の内周に形成されるカム面(44a)と前記クラッチインナ(45)の外径面との間にカム室(46)が形成され、このカム室(46)に配設されるローラ(47)および前記ローラ(47)を前記カム室(46)の狭小方向へ付勢するスプリング(48)を備え、前記ローラ(47)を介して前記クラッチアウタ(44)から前記クラッチインナ(45)へ一方向のみ回転トルクを伝達するスタータ用一方向クラッチ(26)であって、
    前記ローラ(47)の軸方向両側または片側に隣接して前記カム室(46)内にグリース室(50)を形成し、このグリース室(50)に充填されたグリースを前記カム室(46)内へ供給できるグリース溜め部を設け
    このグリース溜め部は、前記ローラ(47)の軸方向端面に隣接して前記カム室(46)内に配置されるワッシャ(51)と、このワッシャ(51)との間に前記グリース室(50)を形成して前記カム室(46)内に配置されるスペーサ(52)とで構成され、前記ワッシャ(51)と前記スペーサ(52)のどちらか一方または両方には、前記グリース室(50)よりグリースが流出するグリース流出口(51b、53)が形成されることを特徴とするスタータ用一方向クラッチ。
  2. 請求項1に記載したスタータ用一方向クラッチ(26)において、
    前記スペーサ(52)は、前記クラッチインナ(45)の外周に嵌合して軸方向に延設される内周壁部(52a)と、前記クラッチアウタ(44)の前記カム面(44a)を含む内周形状に沿って軸方向に延設され、且つ、前記内周壁部(52a)に接続されて前記グリース室(50)の周囲を囲む外周壁部(52b)と、前記グリース室(50)の軸方向反ワッシャ側を閉塞する端面壁部(52bc)とで構成されることを特徴とするスタータ用一方向クラッチ。
  3. 請求項2に記載したスタータ用一方向クラッチ(26)において、
    前記ワッシャ(51)に対して軸方向の反グリース室側に形成される前記カム室(46)をローラ側カム室(46)と呼ぶ時に、前記ワッシャ(51)には、前記グリース室(50)と前記ローラ側カム室(46)とを連通する連通孔(51b)が形成され、この連通孔(51b)が前記グリース流出口として機能することを特徴とするスタータ用一方向クラッチ。
  4. 請求項2に記載したスタータ用一方向クラッチ(26)において、
    前記スペーサ(52)には、前記内周壁部(52a)を壁厚方向に切り欠いて前記グリース室(50)に通じるスリット(53)または前記内周壁部(52a)を壁厚方向に貫通する貫通孔が前記グリース流出口として形成され、
    前記ワッシャ(51)に対して反グリース室側に形成される前記カム室(46)をローラ側カム室(46)と呼ぶ時に、前記グリース室(50)に充填されたグリースが前記スリット(53)または貫通孔を通って前記グリース室(50)より流出し、さらに前記内周壁部(52a)の内径面と前記クラッチインナ(45)の外径面との間に生じる隙間を通って前記ローラ側カム室(46)に供給されることを特徴とするスタータ用一方向クラッチ。
  5. 請求項2ないし請求項4の内のいずれか1つに記載したスタータ用一方向クラッチ(26)において、
    前記スペーサ(52)は、前記内周壁部(52a)の内径面が前記クラッチインナ(45)の外径面に摺動可能に当接していることを特徴とするスタータ用一方向クラッチ。
  6. 請求項5に記載したスタータ用一方向クラッチ(26)において、
    前記スペーサ(52)は、油分を保持できる金属製の軸受材料によって形成されることを特徴とするスタータ用一方向クラッチ
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