JP6291714B2 - 絶縁樹脂シート - Google Patents

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Description

本発明は、多層プリント配線板の絶縁層形成に有用な絶縁樹脂シート、及び該絶縁樹脂シートを用いた多層プリント配線板、半導体装置に関する。
多層プリント配線板の製造技術として、コア基板上に絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルトアップ方式による製造方法が知られている。絶縁層形成には、専らプラスチックフィルム上に熱硬化性樹脂組成物層が形成された絶縁樹脂シートが使用され、絶縁樹脂シートを内層回路基板にラミネートし、プラスチックフィルムを剥離した後、熱硬化性樹脂を熱硬化することにより、絶縁層が形成される。一方、近年の電子機器や電子部品の小型化のニーズにより、多層プリント配線板も、ますます薄型化される傾向にある。このように薄型化が図られる中で、多層プリント配線板の機械強度を維持するために、特許文献1ではビルトアップ用の絶縁樹脂シートにプリプレグを適用することが提案されている。一方、プリプレグはガラスクロスを含むため、層間絶縁層に適用する場合にビアホール形成などの加工性に劣るという新たな課題が生じる。
薄型化に伴う多層プリント配線板の機械強度を維持する別の方法として、特許文献2に、熱硬化性樹脂組成物層の間に耐熱樹脂層を有する接着フィルムを使用する方法が開示されている。
国際公開第2009/119621号パンフレット 国際公開第2001/097582号パンフレット
本発明者らの検討によれば、このような耐熱フィルム層を有する絶縁樹脂シートにより多層プリント配線板の層間絶縁層形成した場合、その後絶縁層にビアホールを形成し、デスミア処理を行う際に、耐熱フィルム層と熱硬化性樹脂組成物層の層間でビアの段差が生じ、ビア形状が歪な形状になるといった問題が生じることが見いだされた。また、この問題は特に電子機器の小型化に伴うビアホールの小径化が進む中で、小径のビアホールにおいて顕在化することが見いだされた。
本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、耐熱フィルム層と熱硬化性樹脂組成物層の硬化物のエッチング量の比を一定範囲内に制御することにより、耐熱フィルム層を有する絶縁樹脂シートにより形成された絶縁層のビア形状の問題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の内容を含む。
[1] 耐熱フィルムと、該耐熱フィルムの両面に形成された熱硬化性樹脂組成物層を有する絶縁樹脂シートであって、該耐熱フィルムの単位面積当たりのエッチング量(E1)と該熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の単位面積当たりのエッチング量(E2)が、E1/E2=0.5〜3である絶縁樹脂シート。
[2] 前記耐熱フィルムの単位面積当たりのエッチング量(E1)と前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の単位面積当たりのエッチング量(E2)が、E1/E2=0.5〜2である前記[1]記載の絶縁樹脂シート。
[3] 前記耐熱フィルムの単位面積当たりのエッチング量(E1)と前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の単位面積当たりのエッチング量(E2)が、E1/E2=0.5〜1.5である前記[1]記載の絶縁樹脂シート。
[4] 前記耐熱フィルムの単位面積当たりのエッチング量(E1)と前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の単位面積当たりのエッチング量(E2)が、E1/E2=0.7〜1.3である前記[1]記載の絶縁樹脂シート。
[5] 前記耐熱フィルムの単位面積当たりのエッチング量(E1)と前記熱硬化性樹脂組成物前記耐熱フィルムの25〜150℃の線熱膨張係数(C1)と前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数(C2)の差の絶対値が、30ppm/℃以下である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の絶縁樹脂シート。
[6] 前記耐熱フィルムの単位面積当たりのエッチング量(E1)と前記熱硬化性樹脂組成物前記耐熱フィルムの25〜150℃の線熱膨張係数(C1)と前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数(C2)の差の絶対値が、25ppm/℃以下である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の絶縁樹脂シート。
[7] 前記耐熱フィルムの単位面積当たりのエッチング量(E1)と前記熱硬化性樹脂組成物前記耐熱フィルムの25〜150℃の線熱膨張係数(C1)と前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数(C2)の差の絶対値が、20ppm/℃以下である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の絶縁樹脂シート。
[8] 前記耐熱フィルムの単位面積当たりのエッチング量(E1)と前記熱硬化性樹脂組成物前記耐熱フィルムの25〜150℃の線熱膨張係数(C1)と前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数(C2)の差の絶対値が、15ppm/℃以下である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の絶縁樹脂シート。
[9] 前記耐熱フィルムの25〜150℃の線熱膨張係数(C1)が30ppm/℃以下である前記[1]〜[8]のいずれかに記載の絶縁樹脂シート。
[10] 前記耐熱フィルムがポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、アラミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムからなる群より選択される前記[1]〜[9]のいずれかに記載の絶縁樹脂シート。
[11] 前記耐熱フィルムの厚みが2μm以上30μm以下である前記[1]〜[10]のいずれかに記載の絶縁樹脂シート。
[12] 前記熱硬化性樹脂組成物層がエポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填剤を含有する前記[1]〜[11]のいずれかに記載の絶縁樹脂シート。
[13] 前記エポキシ樹脂がナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂及びナフチレンエーテル型エポキシ樹脂から選択される1種以上からなる前記[12]記載の絶縁樹脂シート。
[14] 前記熱硬化性樹脂組成物層の無機充填剤の含有量が30重量%以上90質量%以下である前記[12]記載の絶縁樹脂シート。
[15] 前記熱硬化性樹脂組成物層の無機充填剤の含有量が40重量%以上80質量%以下である前記[12]記載の絶縁樹脂シート。
[16] 前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化後の線熱膨張係数が50ppm/℃以下である前記[1]〜[15]のいずれかに記載の絶縁樹脂シート。
[17] 前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化後の線熱膨張係数が40ppm/℃以下である前記[1]〜[15]のいずれかに記載の絶縁樹脂シート。
[18] 前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化後の線熱膨張係数が30ppm/℃以下である前記[1]〜[15]のいずれかに記載の絶縁樹脂シート。
[19] 多層プリント配線板のビルドアップ層用である前記[1]〜[18]のいずれか一項に記載の絶縁樹脂シート。
[20] 前記耐熱フィルムの両面に形成された熱硬化性樹脂組成物層において一方が導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層であり、他方が内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層であって、導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層の厚みが2μm以上18μm以下、内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層の厚みが5μm以上120μm以下である前記[19]記載の絶縁樹脂シート。
[21] 前記内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層の最低溶融粘度が100poise以上5000poise以下である前記[20]記載の絶縁樹脂シート。
[22] 少なくとも導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層の外面に保護フィルムを有する前記[19]〜[21]の何れかに記載の絶縁樹脂シート。
[23] 以下の(A)〜(F)の工程を含む多層プリント配線板の製造方法;
(A)請求項22記載の絶縁樹脂シートを、内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層を内層回路基板側にして、該内層回路基板の片面又は両面にラミネートする工程、
(B)絶縁樹脂シートの熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程、
(C)保護フィルム層を剥離する工程、
(D)絶縁層に穴あけ加工してビアホールを形成する工程、
(E)絶縁層(導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層)表面を粗化処理する工程、
(F)粗化処理後の絶縁層表面にめっきして導体層を形成する工程。
[24] 前記[1]〜[22]記載の絶縁樹脂シートにより絶縁層が形成された多層プリント配線板。
[25] ビアホールの開口径が100μm以下である、前記[24]記載の多層プリント配線板。
[26] ビアホールの開口径が75μm以下である、前記[24]記載の多層プリント配線板。
[27] ビアホールの開口径が50μm以下である、前記[24]記載の多層プリント配線板。
[28] 前記[24]〜[28]記載のいずれかに記載の多層プリント配線板を含む半導体装置。
本発明の絶縁樹脂シートは耐熱フィルム層を含むため、絶縁層を形成した場合に機械強度の向上を図ることができ、さらにガラスクロスを使用した場合に比べ、ビアホール等の形成における加工性に優れ、さらに小径ビアホールにおいてもビア形状の歪が抑制され、良好なビアホールを形成することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の絶縁樹脂シートは耐熱フィルムと、該耐熱フィルムの両面に形成された熱硬化性樹脂組成物層を有する。
また耐熱フィルムのガラス転移温度は、150℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましく、200℃以上がより好ましく、250℃以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、一般には500℃以下となることが多い。「ガラス転移温度」、JIS K 7179に記載の方法にしたがって測定することでき、具体的には、熱機械分析(TMA)、動的機械分析(DMA)などを用いて測定することができる。熱機械分析(TMA)としては、例えば、TMA-SS6100(セイコーインスツルメンツ(株)製)、TMA-8310((株)リガク製)などが挙げられ、動的機械分析(DMA)としては、例えば、DMS-6100(セイコーインスツルメンツ(株)製)などが挙げられる。また、ガラス転移温度が分解温度よりも高く、実際にはガラス転移温度が観測されない場合には、ガラス転移温度に代えて分解温度を基準にすることができる。ここでいう分解温度とは、JIS K 7120に記載の方法にしたがって測定したときの質量減少率が5%となる温度で定義される。
また耐熱フィルムの線熱膨張係数は、30ppm/℃以下のものが好ましく、20ppm/℃以下のものがより好ましく、15ppm/℃以下のものがより好ましく、10ppm/℃以下のものがより好ましく、5ppm/℃以下のものがより好ましい。下限値については、実用的観点から−20ppm/℃以上のものが好ましく、−15ppm/℃以上のものがより好ましく、−10ppm/℃以上のものがより好ましい。
耐熱フィルムの例としては、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、アラミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等の耐熱樹脂のフィルム形態のものが挙げられる。具体的には、ポリイミドフィルムとして、宇部興産(株)製「ユーピレックス−S」、東レ・デュポン(株)製「カプトン」、荒川化学工業(株)製「ポミラン」、(株)カネカ製「アピカル」、アラミドフィルムとして、東レ(株)製「ミクトロン」、旭化成工業(株)製「アラミカ」、液晶ポリマーフィルムとして、(株)クラレ製「ベクスター」、ジャパンゴアテックス(株)製「バイアック」、ポリエーテルエーテルケトンとして「スミライトFS−1100C」等などが挙げられる。
耐熱フィルムには、マッド処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。また、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型剤で離型処理が施してあってもよい。
耐熱フィルムの厚さは、2μm以上、30μm以下が好ましい。2μm未満では絶縁層や多層プリント配線板の機械強度が十分でない場合があり、30μmを超えると薄型の多層プリント配線板の製造に用いるのに適さない場合が生じる。
本発明の絶縁樹脂シートは、前記耐熱フィルムの両面上に熱硬化性樹脂組成物層を有する。熱硬化性樹脂組成物としては、エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填材を含有するものが好ましい。
本発明に使用するエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含有するのが好ましい。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、耐熱性向上、絶縁信頼性向上、流動性向上の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。特に、エポキシ樹脂がナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂及びナフチレンエーテル型エポキシ樹脂から選択される1種以上を含有することがより好ましい。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「エピコート828EL」、「YL980」)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「jER806H」、「YL983U」)、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」、「EXA4032SS」)、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4700」、「HP4710」)、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ESN−475V」)、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製「PB−3600」)、ビフェニル構造を有するエポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、「NC3000L」、「NC3100」、三菱化学(株)製「YX4000」、「YX4000H」、「YX4000HK」、「YL6121」)、アントラセン型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX8800」)、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC(株)製「EXA−7310」、「EXA−7311」、「EXA−7311L」、「EXA7311−G3」)、グリシジルエステル型エポキシ樹脂(ナガセケムテックス(株)製「EX711」、「EX721」、(株)プリンテック製「R540」)などが挙げられる。
エポキシ樹脂は液状エポキシ樹脂を含むことで熱硬化性樹脂組成物層の内層回路基板の埋め込み性を向上させることができる。更に、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂を併用することが好ましい。液状エポキシ樹脂としては1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状の芳香族系エポキシ樹脂が好ましく、固体状エポキシ樹脂としては1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状の芳香族系エポキシ樹脂が好ましい。なお、本発明でいう芳香族系エポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環構造を有するエポキシ樹脂を意味する。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂を併用する場合、熱硬化性樹脂組成物の硬化物性のバランスを備えるという点から、その配合割合(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は質量比で1:0.1〜1:2の範囲が好ましく、1:0.3〜1:1.8の範囲がより好ましく、1:0.6〜1:1.5の範囲が更に好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。固体状エポキシ樹脂としては、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の絶縁信頼性を向上させるという観点から、熱硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、エポキシ樹脂の含有量は3〜40質量%であるのが好ましく、5〜35質量%であるのがより好ましく、10〜30質量%であるのが更に好ましい。特に、内層回路基板埋め込み用の熱硬化性樹脂組成物層においては、埋め込み性を向上させるという点で、熱硬化性樹脂組成物層中の樹脂成分を100質量%とした場合、液状エポキシ樹脂の含有量は1〜35質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましく、6〜25質量%が更に好ましい。
本発明に使用する硬化剤としては、特に限定されないが、フェノール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられ、フェノール系硬化剤、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上を用いることが好ましい。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
フェノール系硬化剤としては、特に制限されないが、ビフェニル型硬化剤、ナフタレン型硬化剤、フェノールノボラック型硬化剤、ナフチレンエーテル型硬化剤、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤が好ましい。具体的には、ビフェニル型硬化剤のMEH−7700、MEH−7810、MEH−7851(明和化成(株)製)、ナフタレン型硬化剤のNHN、CBN、GPH(日本化薬(株)製)、SN170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495、SN375、SN395(新日鐵化学(株)製)、EXB9500(DIC(株)製)、フェノールノボラック型硬化剤のTD2090(DIC(株)製)、ナフチレンエーテル型硬化剤のEXB−6000(DIC(株)製)等が挙げられる。トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤の具体例としては、LA3018、LA7052、LA7054、LA1356(DIC(株)製)等が挙げられる。特に、ナフタレン型硬化剤、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好適である。
活性エステル系硬化剤には、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。活性エステル系硬化剤は1種又は2種以上を使用することができる。具体的には、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤、ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤等が好ましく、なかでも熱硬化性樹脂組成物層の溶融粘度を低下させ、埋め込み性を向上させることができるという点で、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤がより好ましい。市販品としては、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含むものとしてEXB9451、EXB9460、EXB9460S−65T、HPC8000−65T(DIC(株)製、活性基当量約223)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤としてDC808(三菱化学(株)製、活性基当量約149)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤としてYLH1026(三菱化学(株)製、活性基当量約200)、YLH1030(三菱化学(株)製、活性基当量約201)、YLH1048(三菱化学(株)製、活性基当量約245)等が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、特に制限はないが、ノボラック型(フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型など)シアネートエステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル系硬化剤、ビスフェノール型(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型など)シアネートエステル系硬化剤、及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、500〜4500が好ましく、600〜3000がより好ましい。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ジシクロペンタジエン構造含有フェノール樹脂等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。市販されているシアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製、PT30、シアネート当量124)、ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー(ロンザジャパン(株)製、BA230、シアネート当量232)、ジシクロペンタジエン構造含有シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製、DT−4000、DT−7000)等が挙げられる。
エポキシ樹脂と硬化剤の配合比率は、エポキシ樹脂のエポキシ基数を1としたときに硬化剤の反応基数が0.3〜2.0の範囲となる比率が好ましく、0.4〜1.1の範囲となる比率がより好ましい。なお熱硬化性樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂のエポキシ基数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。
本発明に使用する無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、雲母、マイカ、珪酸塩、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられ、シリカ、アルミナが好ましく、特に無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ、球状シリカ等のシリカが好ましく、球状シリカ、溶融シリカがより好ましい。これらは1種又は2種以上を使用することができる。熱硬化性樹脂組成物への充填性向上の観点から、球状溶融シリカが更に好ましい。市販されている球状溶融シリカとして、(株)アドマテックス製「SOC2」、「SOC1」が挙げられる。
無機充填材の平均粒径は、絶縁信頼性向上や表面平滑性向上の点から、2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.8μm以下が更に好ましく、0.6μm以下が更に一層好ましい。一方、無機充填材の平均粒径は、無機充填材の分散性向上の点から、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上が更に好ましい。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製 LA−950等を使用することができる。
無機充填材の含有量は、シート形態の可撓性が低下するのを防止し、かつ線熱膨張率を低くするという点から、熱硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、30〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層は無機充填剤の含有量が高すぎると、めっきによる導体層形成に不利になる場合があるため、より好ましくは30〜80重量%、より好ましくは30〜75重量%、より好ましくは30〜70重量%とすることができる。内層回路基板埋め込み用の熱硬化性樹脂組成物層は無機充填剤の配合量が大きくなると流動性が低下する傾向にあるが、線熱膨張係数を低下する観点からは含有量が高いのが好ましく、流動性の高い樹脂成分を配合するなどして流動性を確保するのが望ましい。内層回路基板埋め込み用の熱硬化性樹脂組成物層は無機充填剤の配合量は、好ましくは40〜90質量%、より好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜90質量%とすることができる。
無機充填材は、エポキシシラン系カップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等の表面処理剤で表面処理してその耐湿性を向上させたものが好ましい。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。これらのなかでもアミノシラン系カップリング剤は耐湿性、分散性、硬化物の特性などに優れていて好ましい。無機充填剤の表面処理は熱硬化性樹脂組成物に混合前に直接処理してもよく、またはインテグラルブレンド法により熱硬化性樹脂組成物に無機充填剤と表面処理剤を添加して処理してもよい。表面処理剤の市販品としては、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)等が挙げられる。
本発明における熱硬化性樹脂組成物は、耐熱フィルムとの密着性を向上させるなどの目的で、シラン系カップリング剤等のカップリング剤を熱硬化性樹脂組成物中に直接配合することもできる。好ましいシランカップリング剤としては、上述の無機充填剤の表面処理に用いるものと同様のものが挙げられる。無機充填剤の表面処理をインテグラルブレンド法により行う場合は、配合するカップリング剤の量を適宜調整し、熱硬化性樹脂組成物と耐熱フィルムの密着性に好適な条件を設定することができる。
シラン系カップリング剤の配合量は、無為充填剤に対して、0.01重量%以上5重量%以下が好ましく、0.1重量%以上3重量%以下がより好ましい。この範囲よりシラン系カップリング剤の量が少ないと、耐熱フィルムとの密着性が低下する傾向にあり、多いと熱硬化性樹脂組成物層を形成する際のワニスの粘度が上昇しすぎる傾向にある。
本発明における熱硬化性樹脂組成物は、硬化後に表面を酸化剤で処理し適度な粗面を形成する、フィルム成形性を付与するなどの目的で、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びポリスルホン樹脂等が挙げられ、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8000〜70000の範囲が好ましく、10000〜60000の範囲がより好ましく、20000〜60000の範囲が更に好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、東都化成(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YL7553」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製の電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、0.5〜60質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましく、5〜40質量%が更に好ましい。
本発明における熱硬化性樹脂組成物は、硬化性を改善する目的で硬化促進剤を含んでいてもよい。 硬化促進剤としては、例えば、有機ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、アミンアダクト化合物、及び3級アミン化合物などが挙げられる。硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂と硬化剤の不揮発成分の合計を100質量%とした場合、0.01〜3質量%の範囲で使用することが好ましい。硬化促進剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
本発明における熱硬化性樹脂組成物は、硬化後に表面を酸化剤で処理し適度な粗面を形成するなどの目的でゴム粒子を含んでいてもよい。特に導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層に含まれるのが好ましい。ゴム粒子は、例えば、当該熱硬化性樹脂組成物のワニスを調製する際に使用する有機溶剤にも溶解せず、必須成分であるシアネートエステル樹脂やエポキシ樹脂などとも相溶しないものである。従って、該ゴム粒子は、本発明の熱硬化性樹脂組成物のワニス中では分散状態で存在する。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。
熱硬化性熱硬化性樹脂組成物に使用され得るゴム粒子の好ましい例としては、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、又は外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス状ポリマー層は、例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。ゴム粒子は2種以上を組み合わせて使用してもよい。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N、IM−401改1、IM−401改7−17 (商品名、ガンツ化成(株)製)、メタブレンKW−4426(商品名、三菱レイヨン(株)製)が挙げられる。架橋アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER−91(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。架橋スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK−500(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒径0.1μm)、W450A(平均粒径0.2μm)(三菱レイヨン(株)製)を挙げることができる。
配合するゴム粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜1μmの範囲であり、より好ましくは0.2〜0.6μmの範囲である。本発明で使用されるゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000;大塚電子(株)製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
ゴム粒子の含有量は、熱硬化性樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは2〜5質量%である。
本発明における熱硬化性樹脂組成物は難燃性を向上されるため、難燃剤を含んでいてもよい。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。有機リン系難燃剤としては、三光(株)製のHCA、HCA−HQ、HCA−NQ等のフェナントレン型リン化合物、昭和高分子(株)製のHFB−2006M等のリン含有ベンゾオキサジン化合物、味の素ファインテクノ(株)製のレオフォス30、50、65、90、110、TPP、RPD、BAPP、CPD、TCP、TXP、TBP、TOP、KP140、TIBP、北興化学工業(株)製のTPPO、PPQ、クラリアント(株)製のOP930、大八化学(株)製のPX200等のリン酸エステル化合物、有機系窒素含有リン化合物としては、四国化成工業(株)製のSP670、SP703等のリン酸エステルアミド化合物、大塚化学(株)社製のSPB100、SPE100、(株)伏見製薬所製FP−series等のホスファゼン化合物等が挙げられる。金属水酸化物としては、宇部マテリアルズ(株)製のUD65、UD650、UD653等の水酸化マグネシウム、巴工業(株)社製のB−30、B−325、B−315、B−308、B−303、UFH−20等の水酸化アルミニウム等が挙げられる。
本発明における熱硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、ビニルベンジル化合物、アクリル化合物、マレイミド化合物、ブロックイソシアネート化合物のような熱硬化性樹脂、シリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の有機充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シラン系カップリング剤等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤等を挙げることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記成分を適宜混合し、また、必要に応じて三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の混練手段、あるいはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の撹拌手段により混練または混合することにより、樹脂ワニスとして製造することができる。
本発明の絶縁樹脂シートを多層プリント配線板の層間絶縁層形成などに用いる場合、耐熱フィルムの両面に形成された熱硬化性樹脂組成物層において、一方が導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層となり、他方が内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層となる。この場合、導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層の厚みは、多層プリント配線板の薄型化と表面平滑性、めっき形成や絶縁性を両立させるなどの観点から2μm以上18μm以下が好ましい。下限値は3μm以上がより好ましく、4μm以上が更に好ましい。上限値は16μm以下が好ましく、14μm以下がより好ましく、12μm以下が更に好ましく、10μm以下が更に一層好ましく、8μm以下が殊更好ましい。内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層の厚みは、多層プリント配線板の薄型化と表面平滑性、回路埋め込み性や絶縁性を両立させるなどの観点から10μm以上120μm以下が好ましい。下限値は15μm以上がより好ましい。上限値は100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、25μm以下が更に好ましい。
内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層の最低溶融粘度は、回路埋め込み性や絶縁層の表面平滑性の観点から、100〜19500poiseとなるように制御するのが好ましい。埋め込み時の空気の巻き込み防止の点から、18000poise以下が好ましく、15000poise以下がより好ましく、10000poise以下が更に好ましく、8000poise以下が更に一層好ましく、5000poise以下が殊更好ましい。埋め込み時の染み出し防止の点から、200poise以上が好ましく、400poise以上がより好ましく、600poise以上が更に好ましく、800以上が更に一層好ましい。
絶縁樹脂シートの作製方法としては種々の方法を用いることができる。例えば、有機溶剤を含む熱硬化性樹脂組成物を調製し、耐熱フィルム上に該熱硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥により熱硬化性樹脂組成物層を形成させることができる。乾燥条件としては、80〜120℃で3〜15分が好ましい。
また、例えば、耐熱フィルムとは別の支持体となるフィルム上に熱硬化性樹脂組成物層を形成することで、導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層を有する樹脂シートと、内層回路基板埋め込み用の熱硬化性樹脂組成物層を有する樹脂シートを耐熱フィルムの表面に個別または同時にラミネートすることにより本発明の絶縁樹脂シートを作製することもできる。この場合、支持体として用いたフィルムはそのまま保護フィルムとしての機能を果たすこともできる。ラミネートにより耐熱フィルム上に熱硬化性樹脂組成物を形成する場合、条件はラミネート温度70〜110℃、ラミネート時間5〜30秒、ラミネート圧力1〜10kgf/cmが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物の樹脂ワニスを調製する際に用いられる有機溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテートなどの酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトールなどのカルビトール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、等を挙げることができる。これらの有機溶剤は2種以上を併用することもできる。
本発明の絶縁樹脂シートにおいて、ゴミ等の付着防止、多層プリント配線板の製造に用いる際の取り扱い等の観点から、少なくとも導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層の外面が保護フィルムで保護されているのが好ましい。好ましくは熱硬化性樹脂組成物層の両外面が保護フィルムで保護されているのが好ましい。
本発明の保護フィルムとしては、プラスチックフィルムや金属箔が挙げられる。具体的に、プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET 」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、アクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース、ポリエーテルサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましく、特に安価なポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔などが挙げられる。汎用性の点から、プラスチックフィルムが好ましく、プラスチックフィルムを使用する場合、剥離性を向上させるために、樹脂層の被形成面が離型処理された支持体を使用するのが好ましい。離型処理に使用する離型剤としては、樹脂層が支持体から剥離可能であれば特に限定されず、例えば、シリコーン系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。なお、市販されている離型層付きプラスチックフィルムを用いてもよく、好ましいものとしては、例えば、アルキッド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムであるSK−1、AL−5、AL−7(リンテック(株)製)などが挙げられる。また、プラスチックフィルムはマット処理、コロナ処理を施してあってもよく、当該処理面上に離型層を形成してもよい。一方、金属箔はエッチング溶液により除去することもできるが、除去せずに該金属箔を導体層として利用してもよい。保護フィルムの厚さは特に限定されないが、3〜150μmの範囲が好ましく、3〜50μmの範囲がより好ましい。
本発明の絶縁樹脂フィルムにおいては、耐熱フィルムの単位面積当たりのエッチング量(E1)と該熱硬化性樹脂組成物層の単位面積当たりのエッチング量(E2)をE1/E2=0.5〜3の範囲に調整する。好ましくはE1/E2=0.5〜2、より好ましくはE1/E2=0.5〜1.5、より好ましくはE1/E2=0.7〜1.3、より好ましくはE1/E2=0.8〜1.2、より好ましくは0.9〜1.1に調整する。本発明において、熱硬化性樹脂組成物層のエッチング量とは、熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化した後の硬化物のエッチング量を意味する。
このように各層のエッチング量を調製することで、耐熱フィルム層を有する絶縁樹脂シートにより多層プリント配線板の層間絶縁層形成した場合、その後絶縁層にビアホールを形成し、デスミア処理を行う際に、耐熱フィルム層と熱硬化性樹脂組成物層の層間で、ビアの段差が生じ、ビア形状が歪な形状になり、ビアホールの導通信頼性が低下するといった問題を回避することができる。特に小径のビアホールにおいてはビア形状の歪の影響はより顕在化するため、本発明の構成とすることにより、機械強度に優れるとともに、ビア形状にも優れる薄型の多層プリント配線板を製造することが可能になる。耐熱フィルム層の両側に形成された熱硬化性樹脂組成物層において、導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層と内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層が異なる熱硬化性樹脂組成物から構成されている場合、それぞれの熱硬化性樹脂組成物層においてE1とE2の値をこの範囲に調整するのが望ましい。
各層の単位面積当たりのエッチング量の調整手段は特に限定されないが、例えば以下の方法によることができる。まず耐熱フィルム層のエッチング量を測定する。次に熱硬化性樹脂組成物層を硬化した硬化物層のエッチング量を熱硬化性樹脂組成物中の粗化成分量の調整、エポキシ樹脂の種類、硬化剤の種類や配合量を適宜選択することにより各層のエッチング量の関係が上記範囲に収まるように調整する。例えば、粗化成分となる熱可塑性樹脂、ゴム粒子などの配合量を増やせば、一般にエッチング量は増大する傾向となる。またエポキシ樹脂として液状のエポキシ樹脂の配合量を増やせば、一般にエッチング量は増大する傾向にある。また硬化剤としてフェノール樹脂を使用すればエッチング量は増大する傾向にあり、活性エステルを使用すれば減少する傾向となる。
熱硬化性樹脂組成物層の硬化物のエッチング量の測定について説明する。熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化して硬化物を得る際の硬化条件は、実際に多層プリント配線板を製造する際の硬化条件を採用することができる。例えば、好ましくは150℃〜220℃で20分〜180分、より好ましくは160℃〜210℃で30〜120分の範囲で選択される。硬化物を一定面積(例えば10cm×10cm)に切り出して試験片とする。試験片を例えば130℃で15分間乾燥し、乾燥直後の質量(初期質量M1)を測定する。次に試験片のデスミア処理を行い、水洗後、同様の感想条件(例えば130℃で15分間)で試験片を乾燥し、乾燥直後の質量(デスミア後質量M2)を測定する。以下の計算式で樹脂組成物層の硬化物の単位面積当たりのエッチング量が測定される。耐熱フィルムの単位面積当たりのエッチング量も熱硬化する工程がないことを除いて、熱硬化性樹脂組成物層を同様にして測定することができる。
単位面積当たりのエッチング量(g/m)=(M1−M2)/硬化物の表面積。
エッチング量を測定する際のデスミア条件は、実際に多層プリント配線板を製造する際のデスミア条件を採用することができる。例えば、試験片を、膨潤液であるアトテックジャパン(株)のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガンドPに60℃で5分間浸漬し、次に粗化液として、アトテックジャパン(株)のコンセントレート・コンパクトP(KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬し、水洗処理後、最後に中和液として、アトテックジャパン(株)のリダクションショリューシン・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬する。
本発明の絶縁樹脂フィルムにおいては、耐熱フィルムの25〜150℃の線熱膨張係数(C1)と熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数(C2)の差の絶対値が30ppm/℃以下であるのが好ましい。25ppm/℃以下が更に好ましく、20ppm/℃以下が更に好ましく、15ppm/℃以下が特に好ましい。線熱膨張係数の差の絶対値が30ppm/℃を超えると、ビア形成時等の熱履歴により、ビア側壁の段差が大きくなる傾向にある。線熱膨張係数の差の絶対値は熱硬化性樹脂組成物層の線熱膨張係数を調整することにより調整することができる。例えば、熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の線熱膨張係数を低くするには、エポキシ樹脂がナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂及びナフチレンエーテル型エポキシ樹脂等の剛直な構造のエポキシ樹脂を採用する、シリカ等の無機充填剤の配合量を大きくする、液状エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、ゴム粒子等の一般に線熱膨張係数を増大させる傾向にある成分の配合量を低く設定する等、適宜配合成分を組み合わせて調整することができる。
以下、本発明の絶縁樹脂シートを使用した多層プリント配線板の製造方法の一例について詳述する。
本発明の多層プリント配線板の製造方法においては、(A)絶縁樹脂シートを、内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層を内層回路基板側にして、該内層回路基板の片面又は両面にラミネートする工程、(B)絶縁樹脂シートの熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程、(C)保護フィルムを剥離する工程、(D)絶縁層に穴あけ加工してビアホールを形成する工程、(E)絶縁層(導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層)表面を粗化処理する工程、(F)粗化処理後の絶縁層表面にめっきして導体層を形成する工程、等を含むことができる。
(A)絶縁樹脂シートを内層回路基板の片面又は両面に積層する工程((A)工程)では、絶縁樹脂シートの内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層を内層回路基板側にして、内層回路基板の片面又は両面に積層する。ここでいう内層回路基板とは、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板の片面又は両面にパターン加工された(回路形成された)導体層を有し、多層プリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び導体層が形成されるべき中間製造物を言う。なお導体層表面は黒化処理等により予め粗化処理が施されていた方が絶縁層と内層回路基板の密着性向上の観点から好ましい。
(A)工程において、絶縁樹脂シートが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、必要に応じて絶縁樹脂シート及び内層回路基板をプレヒートし、絶縁樹脂シートを加圧及び加熱しながら内層回路基板に圧着する。本発明の絶縁樹脂シートにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板に積層する方法が好適に用いられる。ラミネートの条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力(ラミネート圧力)を好ましくは1〜11kgf/cm2(9.8×104〜107.9×104N/m2)とし、圧着時間(ラミネート時間)を好ましくは5〜180秒とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネートの方法は、バッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。真空ラミネートは、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン(株)製バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製真空加圧式ラミネーター、(株)日立インダストリイズ製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製真空ラミネーター等を挙げることができる。
(B)絶縁樹脂シートを熱硬化して絶縁層を形成する工程((B)工程)では、絶縁樹脂シートを内層回路基板に積層した後、熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化することにより内層回路基板上に絶縁層(硬化物)を形成することができる。熱硬化の条件は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃〜220℃で20分〜180分、より好ましくは160℃〜210℃で30〜120分の範囲で選択される。また、支持体を剥離せずに熱硬化することで、熱硬化中のごみや埃等の異物付着を防止することができる。
(C)保護フィルムを剥離する工程((C)工程)では、保護フィルムを剥離する。基材がプラスチックフィルムの場合は、基材の剥離は、手動または自動剥離装置により機械的に除去することによって行うことができる。また、基材が金属箔の場合は、エッチング液などにより金属箔を溶解して、金属箔を剥離、除去することができる。
(D)絶縁層に穴あけ加工してビアホールを形成する工程((D)工程)では、絶縁層に穴あけ加工してビアホールを形成する。穴あけ加工は、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけ加工が好ましく、汎用性の観点から炭酸ガスレーザーがより好ましい。なお、(D)工程は、(C)工程の前に行ってもよく、(C)工程の後に行ってもよい。
炭酸ガスレーザーでビアホールを形成する場合は、ショット数は、形成すべきビアホールの深さ、孔径によっても異なるが、通常1〜5ショットの間で選択される。ビアホールの加工速度を速め、多層プリント配線板の生産性を向上させるためにショット数は少ない方が良く、ショット数は1〜3が好ましい。なお、複数のショットで加工する場合、連続的なショットであるバーストモードは孔内に加工熱がこもり、ビア形状がいびつになりやすいため、時間的間隔を持たせた複数ショットである、サイクルモードが好ましい。
炭酸ガスレーザーのパルス幅は特に限定されず、28μ秒のミドルレンジから4μ秒の短パルスまで広い範囲で選択可能であるが、高エネルギーの場合、短パルスの方がビア加工形状に優れる。
炭酸ガスレーザーにより穴あけ加工する場合、本発明の絶縁樹脂シートにおいては、第1層と第2層の段差を抑制し、ビア形状を良好にするという点から、レーザーエネルギーを1〜6mJに調整することが好ましく、2〜5mJに調整することがより好ましい。
ビアホールの開口径は電子機器の小型化に対応する観点から、100μm以下が好ましく、75μm以下がさらに好ましく、50μm以下がさらに好ましい。ビアホールの開口径が小さくなると、一般にビアホール形状の歪のビア導通信頼性等への影響が顕著になってくるが、本発明においては開口径の小さいビアホールにおいてもビア形状を良好に保つことができる。
(E)絶縁層表面を粗化処理する工程((E)工程)では、保護フィルム剥離後、絶縁層表面を粗化処理する。乾式の粗化処理の場合はプラズマ処理等が挙げられ、湿式の粗化処理の場合は膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理及び中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。湿式の粗化処理の方が、絶縁層表面に凸凹のアンカーを形成しながら、ビアホール内のスミアを除去することができる点で好ましい。
膨潤液による膨潤処理は、絶縁層を50〜80℃で5〜20分間(好ましくは55〜70℃で8〜15分間)、膨潤液に浸漬させることで行われる。膨潤液としてはアルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等が挙げられる。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P)、スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU(Swelling Dip Securiganth SBU)等を挙げることができる。また、膨潤処理を行い、その後水洗処理を行い、その後酸化剤による粗化処理を行うことで、ビア形状をより良好に維持することができる。
酸化剤による粗化処理は、絶縁層を60〜80℃で10〜30分間(好ましくは70〜80℃で15〜25分間)、酸化剤溶液に浸漬させることで行われる。酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等を挙げることができる。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5〜10重量%とするのが好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクト CP、ドージングソリューション セキュリガンスP等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
中和液による中和処理は、30〜50℃で3〜10分間(好ましくは35〜45℃で3〜8分間)、中和液に浸漬させることで行われる。中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、アトテックジャパン(株)製のリダクションソリューシン・セキュリガントPが挙げられる。
(F)粗化処理後の絶縁層表面にめっきして導体層を形成する工程((F工程))では、絶縁層表面に導体層を形成することができる。めっき形成の方法として、乾式めっき又は湿式めっきにより絶縁層上に導体層を形成することが挙げられる。乾式めっきとしては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の方法を使用することができる。湿式めっきとしては、粗化処理後に無電解めっきと電解めっきとを組み合わせて導体層を形成する方法、導体層とは逆パターンのめっきレジストを形成し、無電解めっきのみで導体層を形成する方法、等が挙げられる。その後のパターン形成の方法として、例えば、当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。
上述の一連の工程を複数回繰り返すことで、ビルドアップ層を多段に積層した多層プリント配線板となる。本発明では、ビア形状を良好にすることで、層間の導通信頼性を確保することができるため、多層プリント配線板のビルドアップ層用絶縁樹脂シートとして好適に使用することができる。
本発明の方法により製造された多層プリント配線板を用いることで半導体装置を製造することができる。本発明の多層プリント配線板の導通箇所に、半導体チップを実装することにより半導体装置を製造することができる。「導通箇所」とは、「多層プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
本発明の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載中の「部」は「質量部」を意味する。
まず、本明細書での物性評価における測定方法・評価方法について説明する。
<ビア形状の評価>
(1)基板の下地処理
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板[銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、松下電工(株)製R5715ES]の両面をメック(株)製CZ8100に浸漬して銅表面の粗化処理をおこなった。
(2)絶縁樹脂シートのラミネート
実施例及び比較例で作成した絶縁樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(名機(株)製商品名)を用いて、第2層が銅張積層板の両面に接するように、ラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaで圧着させることにより行った。
(3)樹脂組成物の硬化
ラミネート後、100℃で30分、その後180℃で30分の硬化条件で樹脂組成物を硬化し絶縁層を形成した。
(4)ビアホールの形成
硬化後、支持体を剥離し、第1層上より、レーザー加工機(三菱電機(株)製炭酸ガスレーザー装置:ML605GTWII−P)を用いて、ビアホールを形成した。レーザー照射の条件は、パルス幅13μ秒、エネルギー3mJ、ショット数1ショット、マスク径1.1mmで行った。
(5)デスミア処理及び粗化処理
ビアホール形成後、膨潤液である、アトテックジャパン(株)のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガンドPに60℃で5分間浸漬し(膨潤条件1)又は10分間浸漬し(膨潤条件2)、次に粗化液として、アトテックジャパン(株)のコンセントレート・コンパクトP(KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で10分間浸漬(浸漬条件1)または20分間浸漬(浸漬条件2)、水洗処理後、最後に中和液として、アトテックジャパン(株)のリダクションソリューシン・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。その後、130℃で15分乾燥した。これにより絶縁層表面の粗化処理とビアホール内のスミア除去を行った。
(6)セミアディティブ工法による導体層形成
絶縁層表面及びビアホール内に導体層を形成するため、無電解銅めっき(アトテックジャパン(株)製薬液を使用した無電解銅めっきプロセスを使用)を行った。無電解銅めっきの膜厚は1μmとなった。その後、電解銅めっきを行い、計30μm厚の導体層(銅層)を形成した。
<アトテックジャパン(株)製薬液を使用した無電解銅めっきプロセス>
1.アルカリクリーニング(樹脂表面の洗浄と電荷調整)
商品名:Cleaning cleaner Securiganth 902
条件:60℃で5分
2.ソフトエッチング(ビア底、導体の銅の洗浄)
硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液
条件:30℃で1分
3.プレディップ(次のPd付与のための表面の電荷の調整が目的)
商品名:Pre. Dip Neoganth B
条件:室温で1分
4.アクティヴェーター(樹脂表面へのPdの付与)
商品名:Activator Neoganth 834
条件:35℃で5分
5.還元(樹脂に付いたPdを還元する)
商品名:Reducer Neoganth WA
:Reducer Acceralator 810 mod.の混合液
条件:30℃で5分
6.無電解銅めっき(Cuを樹脂表面(Pd表面)に析出させる)
商品名:Basic Solution Printganth MSK-DK
:Copper solution Printganth MSK
:Stabilizer Printganth MSK-DK
:Reducer Cu の混合液
条件:35℃で20分
(7)ビアの観察
ビアの断面をSEMで観察した。耐熱フィルムと樹脂組成物層(硬化物)との壁面段差が3μm未満のものを「○」、壁面段差が3μm以上5μm未満のものを「△」、壁面段差が5μm以上のものを「×」とした。
<単位面積当たりのエッチング量の測定>
導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層(上層)、内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層(下層)からなる接着フィルム(耐熱フィルムの両面に、ホットロールを使用してサンドイッチし、該発明の接着フィルムを得る前)を、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板[銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、松下電工(株)製R5715ES]の両面をメック(株)製CZ8100に浸漬して銅表面の粗化処理をおこなった基板の両面にラミネート、次いで100℃で30分、さらに180℃で30分間(デスミア前のプレキュアと同じ条件)で加熱することにより両面に硬化物を形成した基板を得た。その後、10cm角に切断し、支持体を剥がし、130℃で15分乾燥し、該乾燥直後の質量(初期質量(X1))と、該乾燥後にさらにデスミア処理、水洗をし、130℃で15分乾燥した直後の質量(デスミア後質量(X2))を測定し、下記式により、各々の硬化物のエッチング量を求めた。なお、ここでいう「デスミア処理」は前述のデスミア処理と同じ処理である。
また、耐熱フィルム単独のエッチング量は、フィルム単体で同様の測定を行った。
単位面積当たりのエッチング量(g/m2)=(X1−X2)/硬化物(又は耐熱フィルム)の表面積
<最低溶融粘度の測定>
内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層(下層)の溶融粘度を測定した。(株)ユー・ビー・エム社製型式Rheosol−G3000を使用して、樹脂量は1g、直径18mmのパラレルプレートを使用し、開始温度60℃から200℃まで、昇温速度5℃/分、測定温度間隔2.5℃、振動1Hz、ひずみ1degの測定条件にて最低溶融粘度(poise)を測定した。
<厚み測定>
実施例及び比較例で用いた絶縁樹脂シートの樹脂組成物層(上層及び下層それぞれを)、接触式層厚計((株)ミツトヨ製、MCD−25MJ)を用いて測定した。
<線熱膨張係数の測定>
各接着フィルム及び絶縁樹脂シートを180℃で90分間硬化させ、離型PETより剥離した硬化物及び各耐熱フィルムを幅約5mm、長さ約15mmの試験片にカットし、リガク(株)製熱機械分析装置Thermo plus TMA 8310を使用して、引張モードで熱機械分析を行った。荷重1g、昇温速度5℃/分で2回測定した。2回目の測定における25℃から150℃までの平均線膨張率を熱膨張係数とした。
<接着フィルムの製造例1>
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品、エポキシ当量約169)5部、結晶性2官能エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)12部、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP7200H」、エポキシ当量約275)9部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のMEK/シクロヘキサノン=1/1溶溶液)10部を、ソルベントナフサ30部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却後、そこへ、活性エステル化合物(DIC(株)製「HPC8000−65T」、活性基当量約223の不揮発分65質量%のトルエン溶液)40部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン、固形分5質量%のMEK溶液)3部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位表面積当たりのカーボン量0.39mg/m)180部、を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
次いで、離型処理付きポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック(株)製「AL5」、厚さ25μm又は38μm)(離形PET)の離型面上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが15μm(AL5:25μm厚)又は3μm(AL5:38μm厚)となるように樹脂ワニスを均一に塗布し、80〜120℃(平均100℃)で3分間(15μm)、2分間(3μm)乾燥させて、樹脂組成物層と離形PETからなる接着フィルムを作製した。
<接着フィルムの製造例2>
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品、エポキシ当量約169)8部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032SS」、エポキシ当量約144)3部、結晶性2官能エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)6部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、エポキシ当量約288)12部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「E1256B40」、固形分40質量%のMEK溶液)10部を、ソルベントナフサ15部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却後、そこへ、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC(株)製「LA−7054」水酸基当量125の固形分60%のMEK溶液)12部、ナフタレン型硬化剤(新日鐵化学(株)製「SN−485」水酸基当量215の固形分60%のMEK溶液)8部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン、固形分5質量%のMEK溶液)0.5部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド、平均粒径2μm)3部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位表面積当たりのカーボン量0.39mg/m)100部、を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
次いで、製造例1と全く同様にして、樹脂組成物層と離形PETからなる接着フィルムを作製した。
<接着フィルムの製造例3>
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品、エポキシ当量約169)8部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032SS」、エポキシ当量約144)3部、結晶性2官能エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)6部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、エポキシ当量約288)12部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「E1256B40」、固形分40質量%のMEK溶液)25部を、ソルベントナフサ15部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却後、そこへ、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC(株)製「LA−7054」水酸基当量125の固形分60%のMEK溶液)12部、ナフタレン型硬化剤(新日鐵化学(株)製「SN−485」水酸基当量215の固形分60%のMEK溶液)8部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン、固形分5質量%のMEK溶液)0.9部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド、平均粒径2μm)3部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位表面積当たりのカーボン量0.39mg/m)60部、を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
次いで、製造例1と全く同様にして、樹脂組成物層と離形PETからなる接着フィルムを作製した。
ホットロールを使用して、支持体(38μm離型PET/樹脂組成物3μm/耐熱フィルム/樹脂組成物15μm/支持体(25μm離型PET):ラミネート前に剥がす側の構成となるよう、耐熱フィルムの両面から接着フィルムを重ね合わせて絶縁樹脂シートを製造した。耐熱フィルムとしては、(株)クラレ製「ベクスター」(液晶ポリマーフィルム)、宇部興産(株)製「ユーピレックス−S」(ポリイミド)、荒川化学工業(株)製「ポミランT」を用いた。製造した各絶縁樹脂シートの評価結果を表1に示す。
Figure 0006291714
表1の比較例1〜3に示されるように、耐熱フィルム層と樹脂組成物層のエッチング量の比(E1/E2)が0.5未満または3以上の絶縁樹脂シートはいずれもビア側壁の段差が大きくなっている。また実施例3においては、エッチング量比は適正値であるが、耐熱フィルム層と樹脂組成物層の線熱膨張係数の差の絶対値が30を超えているため、ビア側壁の段差が大きくなる現象が見られた。
本発明において、絶縁層を形成した場合に機械強度の向上を図ることができ、さらにガラスクロスを使用した場合に比べ、ビアホール等の形成における加工性に優れ、さらに小径ビアホールにおいてもビア形状の歪が抑制され、良好なビアホールを形成することができる絶縁樹脂シートを提供できるようになった。更にそれを用いた多層プリント配線板、半導体装置を提供できるようになった。更にこれらを搭載した、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ、テレビ、等の電気製品や、自動二輪車、自動車、電車、船舶、航空機、等の乗物も提供できるようになった。

Claims (28)

  1. 耐熱フィルムと、該耐熱フィルムの両面に形成された熱硬化性樹脂組成物層を有する絶縁樹脂シートであって、該耐熱フィルムの単位面積当たりのエッチング量(E1)と該熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の単位面積当たりのエッチング量(E2)が、E1/E2=0.5〜3である絶縁樹脂シート。
  2. 前記耐熱フィルムの単位面積当たりのエッチング量(E1)と前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の単位面積当たりのエッチング量(E2)が、E1/E2=0.5〜2である請求項1記載の絶縁樹脂シート。
  3. 前記耐熱フィルムの単位面積当たりのエッチング量(E1)と前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の単位面積当たりのエッチング量(E2)が、E1/E2=0.5〜1.5である請求項1記載の絶縁樹脂シート。
  4. 前記耐熱フィルムの単位面積当たりのエッチング量(E1)と前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の単位面積当たりのエッチング量(E2)が、E1/E2=0.7〜1.3である請求項1記載の絶縁樹脂シート。
  5. 前記耐熱フィルムの25〜150℃の線熱膨張係数(C1)と前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数(C2)の差の絶対値が、30ppm/℃以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁樹脂シート。
  6. 前記耐熱フィルムの25〜150℃の線熱膨張係数(C1)と前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数(C2)の差の絶対値が、25ppm/℃以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁樹脂シート。
  7. 前記耐熱フィルムの25〜150℃の線熱膨張係数(C1)と前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数(C2)の差の絶対値が、20ppm/℃以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁樹脂シート。
  8. 前記耐熱フィルムの25〜150℃の線熱膨張係数(C1)と前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数(C2)の差の絶対値が、15ppm/℃以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁樹脂シート。
  9. 前記耐熱フィルムの25〜150℃の線熱膨張係数(C1)が30ppm/℃以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の絶縁樹脂シート。
  10. 前記耐熱フィルムがポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、アラミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムからなる群より選択される請求項1〜9のいずれか1項に記載の絶縁樹脂シート。
  11. 前記耐熱フィルムの厚みが2μm以上30μm以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の絶縁樹脂シート。
  12. 前記熱硬化性樹脂組成物層がエポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填剤を含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の絶縁樹脂シート。
  13. 前記エポキシ樹脂がナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂及びナフチレンエーテル型エポキシ樹脂から選択される1種以上からなる請求項12記載の絶縁樹脂シート。
  14. 前記熱硬化性樹脂組成物層の無機充填剤の含有量が30重量%以上90質量%以下である請求項12記載の絶縁樹脂シート。
  15. 前記熱硬化性樹脂組成物層の無機充填剤の含有量が40重量%以上80質量%以下である請求項12記載の絶縁樹脂シート。
  16. 前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数が50ppm/℃以下である請求項1〜15のいずれか一項に記載の絶縁樹脂シート。
  17. 前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数が40ppm/℃以下である請求項1〜15のいずれか一項に記載の絶縁樹脂シート。
  18. 前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化物の25〜150℃の線熱膨張係数が30ppm/℃以下である請求項1〜15のいずれか一項に記載の絶縁樹脂シート。
  19. 多層プリント配線板のビルドアップ層用である請求項1〜18のいずれか一項に記載の絶縁樹脂シート。
  20. 前記耐熱フィルムの両面に形成された熱硬化性樹脂組成物層において一方が導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層であり、他方が内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層であって、導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層の厚みが2μm以上18μm以下、内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層の厚みが5μm以上120μm以下である請求項19記載の絶縁樹脂シート。
  21. 前記内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層の最低溶融粘度が100poise以上5000poise以下である請求項20記載の絶縁樹脂シート。
  22. 少なくとも導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層の外面に保護フィルムを有する請求項19〜21の何れか一項に記載の絶縁樹脂シート。
  23. 以下の(A)〜(F)の工程を含む多層プリント配線板の製造方法;
    (A)請求項22記載の絶縁樹脂シートを、内層回路基板ラミネート用の熱硬化性樹脂組成物層を内層回路基板側にして、該内層回路基板の片面又は両面にラミネートする工程、
    (B)絶縁樹脂シートの熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程、
    (C)保護フィルム層を剥離する工程、
    (D)絶縁層に穴あけ加工してビアホールを形成する工程、
    (E)絶縁層(導体層形成用の熱硬化性樹脂組成物層)表面を粗化処理する工程、
    (F)粗化処理後の絶縁層表面にめっきして導体層を形成する工程。
  24. 請求項1〜21記載の絶縁樹脂シートにより絶縁層が形成された多層プリント配線板。
  25. ビアホールの開口径が100μm以下である、請求項24記載の多層プリント配線板。
  26. ビアホールの開口径が75μm以下である、請求項24記載の多層プリント配線板。
  27. ビアホールの開口径が50μm以下である、請求項24記載の多層プリント配線板。
  28. 請求項24〜27記載のいずれか一項に記載の多層プリント配線板を含む半導体装置。

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