JP6288358B2 - 採光部材 - Google Patents

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Description

本発明は、高プライバシー隠蔽性および高採光性の両方の機能を備えた採光部材に関する。
近年、地球温暖化等の環境問題の深刻化に伴い、省エネルギーやCOの削減を目的として、外光の吸収、偏向、反射、透過等を調整し、入射光の採り込みを制御する採光部材の開発およびその利用が進められている。
例えば、可視光を反射または屈折する機能を有する採光部材は、外部から入射した光を跳ね上げて、入射光が届きにくい室内の上方(天井)等に導くことで、室内への光の採り込み量(採光量)を増加させ、且つ、取り込んだ光を室内の間接照明として有効に利用することができる。このように、採光部材による採光機能を利用することで、室内の照明の使用時間の削減や電力消費の削減を図ることができる。
特許文献1では、採光部材として、第1の面と上記第1の面に対向する第2の面と、上記第1の面および上記第2の面で規定される領域内部に配列される複数の反射面とを備え、上記反射面の形状が、配列ピッチおよび入射光の入射角度と所定の関係を満たすように設計された構造層が開示されている。上記構造層は、上述の構造を有することで、所定の角度で入射する光を所定の角度範囲に効率よく出射させることができ、高い採光性を得ることができる。
また、特許文献1では、上記構造層の表面にプリズムシート等の周期的または非周期的な形状の光拡散要素を有する光透過層(光拡散層)を配置することで、入射光を上方に向けて出射させるとともに横方向へ光を拡散させて、出射光の有効照射範囲を広げる技術が開示されている。
また、採光機能に加えて付加機能を有する採光部材の検討も進められており、例えば、特許文献2で開示される光拡散層が配置された透光性の採光建材は、採光量の増加を図ると共に、光拡散層により光を拡散させることで、人の目に光が直達するのを制御する防眩機能を発揮することができる。
特開2012−38626号公報 特開2009−275456号公報
ところで、採光部材の採光量を増加させるためには、採光部材の光透過性を高め、採光部材の受光面積を大きくする必要があるところ、採光量の増加に伴い、室内から室外または室外から室内の様子が視認されやすくなり、プライバシー隠蔽性の確保が困難になるという問題がある。
一般にプライバシー隠蔽機能を発揮させる方法としては、例えば採光部材の表面を粗面化したり光拡散層を設けることで、光を拡散させてヘイズ値を高くする等の方法がある。しかし、単に採光部材の表面を粗面化したり光拡散層を設けるだけでは、例えば光が採光部材を透過する過程で入射方向の後方側に散乱されてしまい入射光量に対して出射光量が減少する、プライバシー隠蔽機能の発揮に必要な量以上の光が拡散されて照度向上に寄与する光の強度が低下する等の理由から、高採光性が得られないという問題がある。
このように、採光部材において、高プライバシー隠蔽性および高採光性を両立させることは容易ではない。
特許文献1および2では、採光部材に光拡散層を設けることで、出射光の有効照射領域を調節する機能や防眩機能が発揮可能となる点は開示されているが、これらは、採光部材にプライバシー隠蔽機能を付加すること、および、上記採光部材が高プライバシー隠蔽性および高採光性の両方の機能を発揮可能とすることを目的としていない。また、これらの文献において、両機能を効率よく発揮するための技術については開示されていない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、高プライバシー隠蔽性および高採光性の両方の機能を発揮可能な採光部材を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討を行った結果、採光部材について特定の光学特性を規定することにより、高プライバシー隠蔽性および高採光性との両方の機能を発揮することが可能であることを見出した。
すなわち、本発明は、光が入射する側の面である入射面と、光が出射する側の面であり且つ上記入射面に対向する面である出射面と、上記入射面および上記出射面間に、上記入射面および上記出射面と交差するように配置され、上記入射面から入射した光を上記出射面に向けて反射させる複数の光反射面と、を少なくとも有する採光部材であって、上記採光部材は、全光線透過率が80%以上であり、且つ、上記入射面から20°以上60°以下の入射角度で光を入射して上記出射面から出射した出射光の強度を測定し、それぞれの上記入射角度に対応する上記出射光の強度が最大となる出射角度を特定し、上記出射角度での上記出射光の最大ピーク強度を100%としたときの上記出射角度±3°の範囲内にある上記出射光の強度が40%以上であることを特徴とする採光部材を提供する。
なお、上記光反射面について、「上記入射面および上記出射面間に、上記入射面および上記出射面と交差するように配置され」とは「上記入射面および上記出射面間に配置され」と言い換えることができる。
本発明によれば、採光部材が、全光線透過率により規定される透光性と、所定の出射角度の範囲内における出射光強度により規定される光拡散性との両方の特性を有することから、光拡散による高プライバシー隠蔽性と、光の透過による高採光性との両方の機能を発揮することができる。
なお、本発明の採光部材が有する上述の透光性および光拡散性を、合わせて「採光部材の光学特性」と称して説明する場合がある。
上記発明においては、上記採光部材が、光制御層と、上記光制御層の一方の面側に配置された光拡散層と、を有する採光フィルムであって、上記光制御層は、透明樹脂で構成される光透過部と、上記光透過部の一方の面上に、光の入射面および出射面と交差する方向に形成された複数の溝部と、複数の上記溝部内に形成され、上記光透過部と異なる屈折率を示す光偏向部と、を有することが好ましい。なお、「上記光透過部の一方の面上に、光の入射面および出射面と交差する方向に形成された複数の溝部」とは「上記光透過部の一方の面上に形成された、上記光反射面を有する複数の溝部」と言い換えることができる。
本発明の採光部材を、上述の構成を有する採光フィルムとすることで、光制御層内の光透過部と光偏向部との界面が光反射面となり、上記光反射面により光が跳ね上げられることで採光量を増加させることができるからである。また、光拡散層により光が拡散されるため、採光フィルム全体で高プライバシー隠蔽性を発揮することができるからである。さらに、上述の構成を有する採光フィルムとすることで、窓ガラス等の所望の位置への設置が容易となり、本発明の効果を奏しやすくなるからである。
上記発明においては、上記光拡散層が上記光制御層よりも光の出射面側に位置することが好ましい。光を光拡散層よりも先に光制御層に入射させることで、より多くの光を反射させることができ、その反射光を光拡散層により拡散させることで、光拡散による高プライバシー隠蔽性と、光の透過による高採光性との両方の機能をより効果的に発揮することができるからである。
上記発明においては、上記光制御層の一方の面上には基材層が配置されており、上記光拡散層が、上記基材層と一体であることが好ましい。基材層の単一層で、光制御層を支持する機能と、採光フィルム全体に所望の光学特性を付与する機能とを発揮することができるからである。
上記発明においては、上記採光部材が、第1ガラス層と、第1封止部と、光制御層と、第2封止部と、および第2ガラス層と、をこの順で有し、上記第1ガラス層または上記第2ガラス層の一方の面上には、光拡散層が配置された合わせガラスであって、上記光制御層は、透明樹脂で構成される光透過部と、上記光透過部の一方の面上に、光の入射面および出射面と交差する方向に形成された複数の溝部と、複数の上記溝部内に形成され、上記光透過部と異なる屈折率を示す光偏向部と、を有することが好ましい。なお、「上記光透過部の一方の面上に、光の入射面および出射面と交差する方向に形成された複数の溝部」とは「上記光透過部の一方の面上に形成された、上記光反射面を有する複数の溝部」と言い換えることができる。
本発明の採光部材を、上述の構成を有する合わせガラスとすることで、光制御層内の光透過部と光偏向部との界面が光反射面となり、上記光反射面により光が跳ね上げられることで採光量を増加させることができるからである。また、光拡散層により光が拡散されるため、合わせガラス全体で高プライバシー隠蔽性を発揮することができるからである。さらに、上述の構成を有する合わせガラスとすることで、開口部等の所望の場所への設置が容易となり、本発明の効果を奏しやすくなるからである。
上記発明においては、上記光拡散層が上記光制御層よりも光の出射面側に位置することが好ましい。光を光拡散層よりも先に光制御層に入射させることで、より多くの光を反射させることができ、その反射光を光拡散層により拡散させることで、光拡散による高プライバシー隠蔽性と、光の透過による高採光性との両方の機能をより効果的に発揮することができるからである。
上記発明においては、上記光拡散層が、上記第1ガラス層または上記第2ガラス層と一体であることが好ましい。第1ガラス層または上記第2ガラス層の単一層で、光制御層を支持する機能と、合わせガラス全体に所望の光学特性を付与する機能とを発揮することができるからである。
本発明によれば、全光線透過率、および所定の出射角度の範囲内における出射光強度により規定される所定の光学特性を有することから、プライバシー隠蔽性および採光性能の高い採光部材とすることができるといった効果を奏する。
本発明の採光部材の一例を示す模式図である。 本発明の採光部材の光拡散性の規定方法を説明する説明図である。 本発明の採光部材における光反射面の形状の例を示す模式図である。 本発明の採光部材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の採光部材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の採光部材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の採光部材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の採光部材における光制御層の一例を示す概略断面図である。 本発明の採光部材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の採光部材の他の例を示す概略断面図である。 実施例および比較例におけるプライバシー隠蔽性評価の撮影画像である。 実施例および比較例におけるプライバシー隠蔽性評価の撮影画像である。
以下、本発明の採光部材について詳細に説明する。
本発明の採光部材は、光が入射する側の面である入射面と、光が出射する側の面であり且つ上記入射面に対向する面である出射面と、上記入射面および上記出射面間に、上記入射面および上記出射面と交差するように配置され、上記入射面から入射した光を上記出射面に向けて反射させる複数の光反射面と、を少なくとも有する採光部材であって、上記採光部材は、全光線透過率が80%以上であり、且つ、上記入射面から20°以上60°以下の入射角度で光を入射して上記出射面から出射した出射光の強度を測定し、それぞれの上記入射角度に対応する上記出射光の強度が最大となる出射角度を特定し、上記出射角度での上記出射光の最大ピーク強度を100%としたときの上記出射角度±3°の範囲内にある上記出射光の強度が40%以上であることを特徴とする。
本発明の採光部材について、図を参照して説明する。図1は、本発明の採光部材の一例を示す模式図である。また、図2は本発明の採光部材の光拡散性の規定方法を説明する説明図である。
図1で示すように、本発明の採光部材10は、光が入射する側の面である入射面1と、光が出射する側の面であり、且つ、入射面1に対向する面である出射面2と、入射面1および出射面2間に、入射面1および出射面2と交差するように配置され、入射面1から入射した光を出射面2に向けて反射させる複数の光反射面3と、を少なくとも有する。図1で例示する採光部材10は、入射面1および出射面2の間に、光反射面3を有する光偏向部4が複数配置され、隣接する光偏向部4間が光透過部としての空気層5である態様である。
採光部材10は、所望の透光性および光拡散性を有する。ここで、採光部材10が有する所望の透光性とは、全光線透過率が80%以上であることをいう。
採光部材10が有する所望の光拡散性とは、図1および図2で示すように光学部材10の入射面1から20°以上60°以下の所定の入射角度θinで光Linを入射して、出射面2から出射した出射光Loutの強度Ioutを測定する。このとき、それぞれの入射角度θinに対応する出射光Loutの強度Ioutが最大となる出射角度θoutMaxを特定し、出射角度θoutMaxでの出射光Loutの最大ピーク強度IoutMaxを100%としたときの出射角度θoutMax±3°の範囲内にある出射光Loutの強度Ioutが40%以上であることをいう。
入射角度θinは、入射面1に対して法線方向に軸Xをとり、軸Xに対して光源が成す角度(極角)で規定される。また、出射角度θoutは、出射面2に対して法線方向に軸Xをとり、軸Xに対して出射光Loutが成す角度(極角)で規定される。
本発明によれば、採光部材が、全光線透過率により規定される透光性と、所定の出射角度の範囲内における出射光強度により規定される光拡散性との両方の特性を有することから、採光部材を介して一方の空間から他方の空間を見たときに、双方の空間の様子が視認されにくくなる。同時に、採光部材を介して入射する光量を増加させ、より多くの光を所望の角度で跳ね上げることができる。これにより、本発明の採光部材は、光拡散による高プライバシー隠蔽性と光の透過による高採光性との両方の機能を発揮することができる。
本発明において、光および光線とは、特段の定めがないかぎり、波長範囲が380nmから780nmの可視光とする。
以下、本発明の採光部材について、光学特性、および採光部材の態様に分けて説明する。
I.光学特性
本発明の採光部材は、所望の透光性および光拡散性を有する。
A.透光性
本発明の採光部材は、後述する採光部材の態様を問わず、採光部材全体での全光線透過率が80%以上を示す。
採光部材全体での全光線透過率は、採光部材の入射面から入射した光のうち、出射面から出射される光の割合を示す指標となる。また、全光線透過率が高いほど、採光部材により光が前方散乱を生じることを意味する。このため、全光線透過率が高いほど、出射面からの出射光量が増加し、高採光性を発揮することが可能となる。中でも本発明の採光部材は、上記全光線透過率が80%以上、特に85%以上であることが好ましい。全光線透過率が上記範囲よりも小さいと、採光部材を入射した光が後方散乱し、もしくは採光部材中に光が吸収され、出射面側から出射される光量が減少して高い採光機能を発揮できなくなる場合があるからである。
本発明において、全光線透過率は、ヘイズメーターHR100(株式会社村上色彩技術研究所製 JIS K7361:1999準拠法)を用いて算出される値である。
B.光拡散性
本発明の採光部材は、後述する採光部材の態様を問わず、採光部材の上記入射面から20°以上60°以下の入射角度で光を入射して上記出射面から出射した出射光の強度を測定し、それぞれの上記入射角度に対応する上記出射光の強度が最大となる出射角度を特定し、特定した上記出射角度での上記出射光の最大ピーク強度を100%としたときの上記出射角度±3°の範囲内にある上記出射光の強度(以下、単に「入射角度ごとの最大ピーク強度を示す出射角度±3°の範囲内にある出射光の換算強度」とする場合がある。)が40%以上であればよい。中でも上記強度が40%以上、特に48%以上であることが好ましい。また、上記強度は高い程好ましいが、90%以下であることが好ましい。
本発明において、入射角度ごとの最大ピーク強度を示す出射角度±3°の範囲内にある出射光の換算強度は、採光部材に各入射角度で入射した光のうち、前方散乱されて出射された光の広がり具合(光拡散性)を表す指標となる。このため、上記強度が高いほど、所望の領域内で光が拡散されることによる高プライバシー隠蔽性を発揮することが可能となる。また、過剰量の光の拡散による採光量および強度の減衰が抑えられることから、採光機能の低下を防止することができる。
一方、採光部材全体での、入射角度ごとの最大ピーク強度を示す出射角度±3°の範囲内にある出射光の換算強度が上記範囲よりも低いと、光が拡散されずプライバシー隠蔽性が確保できないことや、人の目に出射光が直達することによるグレアの影響が大きくなる場合がある。
採光部材の光拡散性を規定する上述のパラメータは、以下の方法により測定される。
まず、測定装置として、3次元変角分光測色システム(村上色彩技術研究所社製 GCMS11)を用い、入射面側に光源が、出射面側に受光器が位置するように、上記測定装置に本発明の採光部材を固定する。測定装置の設定は下記の通りとする。
・測定モード:透過測定モード
・入射角度:20°以上60°以下(入射面の法線方向に対する光の入射角度)
・受光角度:−70°〜+70°の範囲内(出射面の法線方向に対する光の出射角度)
・光源:D65
・視野:2°
・測定面積:受光角度が0°で約φ3mm、受光角度が77°で約3mm×13.3mm(楕円)
次に、採光部材の入射面に対し、光源から所定の入射角度で光を照射する。まず、光の入射角度として、20°以上60°以下の範囲内の1点を設定する。設定した入射角度から入射した光は、上記採光部材を介して出射面から出射される。このときの出射光を、上記受光角度の範囲内で、1°ごとに受光器を移動させながら受光し、各出射角度における出射光のピーク強度を測定する。そして、出射光のピーク強度が最大となるときの出射角度を特定する。特定した出射角度での出射光のピーク強度が、設定した入射角度における出射光の「最大ピーク強度」となる。続いて、上記特定した出射角度から±3°の範囲内で受光した出射光の、受光器で測定した測定強度について、上記最大ピーク強度を100%としたときの強度(換算強度)に換算する。
このとき、特定した出射角度±3°の範囲内のうち、出射光の測定強度が最も低下する出射角度、すなわち「特定した出射角度+3°」および「特定した出射角度−3°」での、最大ピーク強度に対する出射光の換算強度を求めることで、特定した出射角度±3°の範囲内にある全ての出射光についての、最大ピーク強度に対する換算強度の下限値を特定することができる。上記下限値が先に規定した強度の範囲内にあれば、特定した出射角度±3°の範囲内にある全ての出射光が、先に規定した強度の範囲内に換算強度を示すことになる。
なお、特定した出射角度±3°での、最大ピーク強度に対する出射光の換算強度値を、設定した入射角度から入射する光に対する光拡散率とする。
次に、入射角度として20°以上60°以下の範囲内の別の1点を設定し、同様の方法で測定を行う。例えば、入射角度は、20°以上60°以下の範囲内で10°ごとに設定して、設定された入射角度ごとに測定を行う。後述する本実施例では、入射角度は20°、30°、40°、50°、60°で設定した。
このように、入射角度を上記範囲内で変えながら、各入射角度について出射光が最大ピーク強度となる出射角度の特定と、特定した出射角度±3°の範囲内で受光した出射光の、最大ピーク強度に対する換算強度を求めることで、本発明の採光部材の光拡散性を判断することができる。本発明の採光部材は、20°以上60°以下の範囲内にある全ての入射角度に対して、最大ピーク強度を示す出射角度±3°の範囲内にある出射光の換算強度が上述の範囲内にあることで、所望の光拡散性が発揮される。
本発明の採光部材において、上述の光拡散性を発揮可能とする方法としては、入射面または出射面に光拡散機能を発揮することが可能な構造(以下、光拡散構造と称する場合がある。)を設ける方法が挙げられる。光拡散構造とは、具体的には、入射面または出射面が所望の表面粗さを示す凹凸形状を有する構造、入射面または出射面に光拡散を生じさせる微粒子(以下、光拡散粒子と称する場合がある。)が存在する構造等が挙げられる。中でも、本発明の採光部材は、上述した光学特性が発揮されやすくなることから、上記採光部材の最外に位置する光の出射面に光拡散構造を備えることが好ましい。
なお、光反射面の表面粗さや、光拡散構造の詳細については後述する。
II.採光部材の態様
本発明の採光部材は、光が入射する側の面である入射面と、光が出射する側の面であり且つ上記入射面に対向する面である出射面と、上記入射面および上記出射面間に、上記入射面および上記出射面と交差するように配置され、上記入射面から入射した光を上記出射面に向けて反射させる複数の光反射面と、を少なくとも有し、上述の光学特性を示す。
A.光反射面
本発明における光反射面は、上記入射面および上記出射面間に、上記入射面および上記出射面と交差するように配置され、上記入射面から入射した光を上記出射面に向けて反射させる面である。上記光反射面は、入射光を高効率で反射することから、出射面からの出射光量を増加させることができ、また、光を所望の方向へ跳ね上げて出射させることができる。これにより、本発明の採光部材は、高採光性を発揮することが可能となる。
なお、上記光反射面が、上記入射面および上記出射面間に、上記入射面および上記出射面と交差する方向に配置されることを、「上記光反射面が上記入射面および上記出射面間に配置される」という。また、光反射面が上記入射面および上記出射面と交差するとは、後述する図4(b)で例示するように、光反射面もしくは上記光反射面の延長面が上記出射面および上記入射面と交差する場合も含む。
上記光反射面は、多くの光を反射させるために高い平滑性を有することが好ましい。具体的には、光反射面の算術平均粗さ(Ra)が200nm以下であることが好ましく、中でも25nm以下、特に10nm以下であることが好ましい。光反射面の算術平均粗さ(Ra)が上記上限値よりも大きいと、光反射面においても光の散乱が生じることで所望の採光性が得られにくくなる場合があるからである。
上記光反射面の算術平均粗さ(Ra)は、非接触式白色干渉計(例えば、Canon社製Zygo NewView 6200)を用いた測定方法、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた断面観察による測定方法により求められる。
非接触式白色干渉計を用いる場合、測定範囲50μm×50μmで測定した3点平均値を算術平均粗さ(Ra)とすることができる。また、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる場合、JIS B0601:2001の規定に準じて23℃下でSEMにより光反射面の断面を観察し、得られた画像より界面輪郭線(粗さ曲線)を抽出し、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さLだけを抜き取り、抜き取り部分の平均線の方向をX軸、縦倍率の方向をY軸として粗さ曲線式y=f(x)で表したときに、JIS B0601:2001に規定される積分式に上記粗さ曲線式を当てはめて算出される値を算術平均粗さ(Ra)とすることができる。
上記光反射面は、入射面および出射面に対して直交していてもよく、図1で示すように入射面1および出射面2に対して光反射面3が傾斜していてもよい。
中でも光反射面は、入射面に対して傾斜していることが好ましく、具体的には、上記光反射面の入射面に対する傾斜角度が、入射角度が40°以上で入射した光を、上記入射角度よりも小さい出射角度で出射させることが可能な角度であることが好ましい。入射角度よりも出射角度が小さくなるように光を跳ね上げることで、出射面に対して法線方向の広範囲で高採光性を発揮することが可能となるからである。
また、図3(a)で示すように、光反射面3は、入射面1に対する傾斜角度が異なる複数の面(3a〜3c)を有してもよく、図3(b)で示すように、光反射面3の一部が曲面(3d)を有し、上記曲面の接線が入射面1に対して傾斜していてもよい。なお、光反射面の入射面に対する傾斜角度とは、入射面に対して法線方向に軸をとり、90°から上記軸と光反射面または上記光反射面の延長線とが成す角度を引いた角度をいい、図2および図3(a)中のθsで示す部分である。光反射面の一部が曲面を有する場合は、上記傾斜角度は、90°から上記軸と光反射面の接線とが成す角度を引いた角度をいう。
中でも、光反射面は、傾斜角度が異なる面を複数有する多段階形状であることが好ましい。様々な入射角度で入射した光に対して、入射角度よりも出射角度が小さくなるように光を跳ね上げることができるからである。また、多段階形状とすることで、入射光を繰り返し反射して、所望の角度へ光を跳ね上げることができ、より出射角度を小さくすることができるからである。
上記多段階形状としては、2段階形状または3段階形状であることが好ましい。
なお、光反射面が多段階形状である場合、入射面側に近い面ほど、入射面に対する傾斜角度が小さいことが好ましい。これにより、光反射面において所望の方向へ光を跳ね上げることが可能な入射光の入射角度の対象範囲を広域とすることができるからである。
本発明の採光部材は、入射面と反射面との間に光反射面を複数有する。各光反射面の形状は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、各光反射面の入射面に対する傾斜角度は、全て同じであってもよく、光反射面ごとに異なってもよい。
中でも地面に対して入射面および出射面が直立するようにして本発明の採光部材を使用する際に、光反射面の入射面に対する傾斜角度θsが、天井側から地面側へ段階的に大きくなることが好ましい。光反射面の入射面に対する傾斜角度θsが小さいほど、より遠方まで光を進行させることができ、一方、光反射面の入射面に対する傾斜角度θsが大きい程、採光部材の直上付近へ光を進行させることが可能となるためである。
光反射面の態様としては、所望の反射率で光を反射できればよく、例えば、入射面と出射面との間に、空気よりも屈折率の高い光偏向部を配置する、または、屈折率の異なる材料からなる光偏向部および光透過部を接触させて配置することで、屈折率差を利用して光の反射を生じさせる異屈折率界面とすることができる。異屈折率界面のうち、高屈折率領域から低屈折率領域へ光が進行する際に介する異屈折率界面は、全反射面となることから、高い反射率で光を反射することができる。
また、光反射面を金属膜等が形成された鏡面反射面としてもよい。
B.入射面または出射面
本発明における入射面は、採光部材において光が入射する側の面である。また本発明における出射面は、採光部材において光が出射する側の面であり、かつ上記入射面に対向する面である。採光部材の入射面および出射面は、本発明の採光部材の態様に応じて仮想面であってもよい。また、上述したように、採光部材の入射面または出射面は、上述の光学特性を発揮可能とする光拡散構造を有していてもよい。
C.その他
本発明の採光部材は、通常、入射面および出射面の間に交差するように配置され、光反射面と対向する位置に対向面を有する。すなわち、本発明の採光部材は、入射面および出射面間に配置され、光反射面と対向する位置に対向面を有する。
対向面が異屈折率界面や鏡面反射面であれば、上記対向面も光反射面として機能させることができる。
本発明の採光部材は、上述したように、所望の光学特性を発揮可能とするために、光拡散構造を備えた光拡散層等の任意の層を有していてもよい。光拡散層については後述する。
D.採光部材の態様
本発明の採光部材の態様としては、上述した入射面、出射面、および光反射面を少なくとも備え、所定の光学特性を有する態様であれば特に限定されない。本発明の採光部材として、例えば、以下の態様が挙げられる。
すなわち、本発明の採光部材の第1態様は、上記採光部材が、光制御層と、上記光制御層の一方の面側に配置された光拡散層と、を有し、上記光制御層は、光の入射面および出射面と交差する方向に配置された複数の光透過部と、隣接する上記光透過部間に配置される複数の光偏向部とを有し、上記光透過部および上記光偏向部間の、光の入射面および出射面と交差する方向に位置する界面のうち、少なくとも一方が上記光反射面である採光フィルムである態様である。
つまり、本発明の採光部材の第1態様は、上記採光部材が、光制御層と、上記光制御層の一方の面側に配置された光拡散層と、を有し、上記光制御層は、上記入射面および上記出射面間に配置された複数の光透過部と、隣接する上記光透過部間に配置される複数の光偏向部とを有し、上記光透過部および上記光偏向部間の、上記入射面および上記出射面間に位置する界面のうち、少なくとも一方が上記光反射面である採光フィルムである態様である。
また、本発明の採光部材の第2態様は、上記採光部材が、第1ガラス層と、第1封止部と、光制御層と、第2封止部と、および第2ガラス層と、をこの順で有し、上記光制御層は、第1態様の採光部材における光制御層と同様であり、上記第1ガラス層または上記第2ガラス層の一方の面上には、光拡散層が配置されている合わせガラスである態様である。
以下、本発明の採光部材の各態様について説明する。
1.採光部材の第1態様
本発明の採光部材の第1態様(以下、本項において「本態様」とする場合がある。)は、上記採光部材が、光制御層と、上記光制御層の一方の面側に配置された光拡散層と、を有し、上記光制御層は、光の入射面および出射面と交差する方向に配置された複数の光透過部と、隣接する上記光透過部間に配置される複数の光偏向部とを有し、上記光透過部および上記光偏向部間の、光の入射面および出射面と交差する方向に位置する界面のうち、少なくとも一方が上記光反射面である採光フィルムである。
上記採光フィルムは、光制御層側の面が本態様の採光部材の上記入射面(上記採光フィルムの光の入射面)であってもよく、光拡散層側の面が本態様の採光部材の上記入射面(上記採光フィルムの光の入射面)であってもよい。
本態様の採光部材について、図を参照して説明する。図4(a)および図4(b)は、本態様の採光部材、すなわち、採光フィルムの一例を示す概略斜視図および断面図である。
本態様の採光部材10は、光制御層20と、光制御層20の光の出射面側に、基材層21を介して配置された光拡散層22Aと、を有する採光フィルムである。なお、光拡散層22Aについては、後述する。
図4で例示する光制御層20は、透明樹脂で構成される屈折率n1の光透過部11と、光透過部11の光の入射面1側に形成され、光の入射面1および出射面2と交差する方向、すなわち光透過部11の厚さ方向に形成された複数の溝部13と、複数の溝部13内に形成され、光透過部11と異なる屈折率n2を示す光偏向部12と、を有する。光透過部11は、隣接する光偏向部12間に位置する複数の光透過部11が連結してなる単一層の構造を有しており、このような光制御層の構造をルーバー型という。また、光偏向部12は、光透過部11を構成する透明樹脂よりも低屈折率の透明樹脂から成る樹脂層である。光透過部11の厚さ方向に位置する溝部13の側面fは、屈折率の異なる光透過部11および光偏向部12が接触するため異屈折率界面となり、そのうち少なくとも一方は光反射面3として機能する。
また、図示しないが、基材上に、図1で例示するように複数の光透過部および光偏向部を個々に有する採光部材も本態様に含まれる。
本態様によれば、上述の構成を有する採光フィルムとすることで、光制御層内の光透過部と光偏向部との界面が光反射面となり、上記光反射面により光が跳ね上げられることで採光量を増加させることができる。また、光拡散層により光が拡散されるため、採光フィルム全体で高プライバシー隠蔽性を発揮することができる。さらに上述の構成を有する採光フィルムとすることで、窓ガラス等の所望の位置への設置が容易となり、本発明の効果を奏しやすくなる。
以下、本態様の採光部材について、構成ごとに説明する。
(1)光拡散層
本態様における光拡散層は、光制御層の一方の面側に配置される層である。
ここで、光拡散層が「光制御層の一方の面側に配置される」とは、光制御層の一方の面上に光拡散層が直接配置されていてもよく、後述する基材層を介して配置されていてもよい。
(a)光学特性
光拡散層は、光制御層との併用により、採光部材全体で上述の透光性および光拡散性を示すことを可能とする光学特性を備えていれば特に限定されない。
具体的には、光拡散層は、ヘイズ値が30%以上であることが好ましく、中でも40%以上、特に45%以上であることが好ましい。光拡散層のヘイズ値が上記範囲を示すことで、光制御層において跳ね上げられて出射した出射光を空間全体に拡散させることができ、空間の明るさのコントラストを抑えて防眩効果を得ることができるからである。また、光拡散層のヘイズ値が高いことで、光拡散層による光の拡散効果によりプライバシー隠蔽性を向上させることができるからである。ヘイズ値は、自動ヘイズコンピューター HZ−2(スガ試験機)を用い、JIS K7136に準拠する方法で測定される値である。
また、光拡散層は、全光線透過率が80%以上であればよく、中でも85%以上であることが好ましい。光拡散層の全光線透過率を上記範囲内とする理由については、上述の「I.光学特性 A.透光性」の項で説明した理由と同様である。
(b)光拡散層の態様
上述の光学特性を発揮可能な光拡散層の態様としては、上述した光拡散構造を有する態様であればよく、例えば、光透過性を有する樹脂および光拡散粒子を含む第1態様、および光拡散層表面が所望の表面粗さを示す凹凸形状を有する第2態様が挙げられる。
以下、光拡散層の各態様について説明する。
(i)第1態様
本態様の光拡散層は、光透過性を有する樹脂および光拡散粒子を含む層である。本態様の光拡散層は、上記樹脂が母材となり、上記樹脂中に光拡散粒子が分散されており、光拡散粒子に当たった光を、光拡散粒子と樹脂との屈折率差により拡散させることができる。なお、光拡散粒子と樹脂との屈折率差により生じる光拡散を、内部拡散と称する場合がある。
図4で例示する採光部材10は、第1態様の光拡散層22Aを有し、光拡散層22Aは、樹脂32中に光拡散粒子31が分散されてなる。
本態様の光拡散層に含まれる樹脂としては、所望の光透過性を示し、光拡散粒子を保持および固定が可能であれば特に限定されず、例えば熱可塑性樹脂、硬化樹脂が挙げられる。硬化樹脂とは、電離放射線の照射により硬化した電離線硬化樹脂、加熱により硬化した熱硬化樹脂がある。電離線硬化樹脂としては、紫外線硬化樹脂、可視光線硬化樹脂、近赤外線硬化樹脂等が挙げられる。なお、「電離放射線」とは、例えば、紫外線や電子線の他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線が挙げられる。以下、硬化樹脂および電離放射線については、同様とする。
具体的な樹脂としては、例えば、特開2014−115669号公報、特開2012−199176号公報、特開2011−186074号公報、特開2009−230155号公報、特開2005−241920号公報等で開示される、光拡散層に用いられる樹脂と同様とすることができる。
上記樹脂の具体的な光の透過率については、後述する光拡散粒子を分散させて形成した光拡散層が上述の光学特性を示すことが可能となる大きさであればよい。
また、上記樹脂は、光透過性を有していれば無色であってもよく有色であってもよいが、無色であることが好ましい。
本態様の光拡散層に含まれる光拡散粒子は、高い光透過性を有することが好ましい。光拡散粒子の可視光線透過率としては、上記光拡散粒子が樹脂に分散されることで形成される光拡散層が、上述の光学特性を示すことが可能となる大きさであればよく、具体的には、80%以上、中でも83%以上、特に85%以上であることが好ましい。
なお、上記可視光線透過率は、赤外可視紫外分光光度計((株)島津製作所社製 UV3100PC)を使用し、JIS A5759:2008に従い380nm〜780nmの波長域における分光透過率測定し、同規格に規定される算出式により算出される。本明細書内において規定される可視光線透過率は、同様の測定方法で測定される値である。
また、上記光拡散粒子は、光透過性を有していれば無色であってもよく有色であってもよいが、無色であることが好ましい。有色の光拡散粒子の場合、光拡散粒子に当たった光が後方散乱する、もしくは光拡散粒子に光が吸収されやすくなることで、前方散乱による光拡散効果および出射面からの出射光量の低下を招き、本発明の採光部材が所望の機能を発揮できない場合があるからである。
光拡散粒子としては、樹脂の種類に応じて無機粒子、樹脂粒子、あるいは、これらの2種以上の混合系等の粒子を選択して用いることができる。具体的な無機粒子、樹脂粒子については、例えば、特開2014−115669号公報、特開2012−199176号公報、特開2011−186074号公報、特開2009−230155号公報、特開2005−241920号公報等で開示される、光拡散粒子と同様とすることができる。
光拡散粒子の形状としては、例えば球状、回転楕円体状、多面体状、截頭多面体状、鱗片形状、針状形状等が挙げられる。また、粒度分布が単分散、多分散のいずれでもよく、好適な条件を適宜選択することができる。
光拡散粒子の平均粒径としては、所望の光拡散効果を発揮することが可能な大きさであればよく、中でも光が内部拡散される際にミー散乱を生じやすく、レイリー散乱および幾何学散乱を生じにくい大きさであることが好ましい。光拡散粒子の大きさが光の波長と同程度の場合、光拡散粒子はミー散乱を生じる。ここで、ミー散乱は、光の波長に対して相対的な粒子の大きさが大きくなると前方散乱が後方散乱に比べて増大する。このため、光拡散粒子の平均粒径をミー散乱が支配する大きさとすることで、光の前方散乱が生じやすくなるため、所望の光学特性を有することができるからである。具体的には、上記平均粒径が0.5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。
光拡散粒子の平均粒径が上記範囲よりも大きいと、光の後方散乱が支配的に生じやすくなり、一方、上記範囲よりも小さいと、光拡散粒子による内部拡散が生じにくくなり、光拡散層が所望の機能を発揮できない場合があるからである。
上記平均粒径は、個々の光拡散粒子が分散している場合は一次粒子径を意味し、個々の光拡散粒子が凝集している場合は二次粒子径を意味する。光拡散粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される。
本態様においては、光拡散層は単一の平均粒径の光拡散粒子を含んでいてもよく、平均粒径の異なる2種類以上の光拡散粒子を含んでいてもよい。
光拡散層における光拡散粒子の含有量については、所望の機能が発揮可能であればよく、光拡散層のヘイズ値に応じて適宜設計することができる。
本態様の光拡散層は、上述した光拡散粒子および樹脂の他に、開始剤、充填剤、架橋剤、重合促進剤、界面活性材、粘度調整剤等の任意の添加剤を含んでいてもよい。また、樹脂の屈折率を調整するための高屈折率超微粒子または低屈折率超微粒子が含有されていてもよい。具体的な高屈折率超微粒子または低屈折率超微粒子については、特開2011−186074号公報等で開示される粒子と同様とすることができる。
本態様の光拡散層に含まれる光拡散粒子と樹脂との屈折率比としては、本態様の光拡散層が所望の光学特性を示すことが可能となる大きさであればよく、光拡散粒子および樹脂の屈折率が異なっていれば特に限定されない。具体的には、光拡散粒子および樹脂の屈折率のうち、屈折率の小さい材料に対する屈折率の大きい材料の比が、1.000超過1.020未満であることが好ましく、1.000超過1.010未満であることがより好ましく、1.000超過1.005未満であることがさらに好ましい。
なお、光拡散粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中、光拡散粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
光拡散粒子および樹脂のそれぞれの屈折率については、上述の屈折率比を満たせば、特に限定されず、光拡散粒子の屈折率は、樹脂の屈折率よりも大きくてもよく、小さくてもよい。
本態様の光拡散層は、表面が平滑面であってもよく、図5で例示するように、光拡散粒子31の一部が光拡散層22Bの表面から突出した凹凸形状面を有していてもよい。光拡散層の表面を凹凸形状面とすることで、内部拡散の他に、後述する「(ii)第2態様」の場合と同様に、光拡散層の表面の凹凸形状と上記光拡散層に隣接する層との屈折率差により光を拡散させる、すなわち外部拡散を生じさせることができる。このため、光拡散層全体のヘイズ値は、内部拡散により生じる内部ヘイズと、外部拡散により生じる外部ヘイズとの和となることから、薄膜であっても所望の光学特性を発揮することが可能となる。
ここで、光拡散層表面が凹凸形状面であるとは、光拡散層表面において、光が外部拡散される際にミー散乱を生じやすく、レイリー散乱および幾何学散乱を生じにくい表面粗さを示すことをいい、具体的には、光拡散層の凹凸形状面の10点平均粗さRzが0.5μmより大きいことが好ましい。光拡散層の凹凸形状面の10点平均粗さRzが上記範囲よりも大きいと、光の後方散乱が支配的に生じやすくなり、一方、上記範囲よりも小さいと、外部拡散の機能が劣り、光拡散層が所望のヘイズ値を発揮できない場合があるからである。上記光拡散層の凹凸形状面の10点平均粗さRzの上限としては6μm以下が好ましい。
光拡散層の凹凸形状面の10点平均粗さRzは、JIS B0601:1994に基づいて測定された値であり、被測定物の断面曲線から基準長さを抜き取った部分の平均線に対し、最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差の値である。なお、以下、10点平均粗さRzは、上記方法と同様の方法で測定された値とする。
また、このとき、上記光拡散層と上記光拡散層の凹凸形状面に接する他の層との屈折率比については、外部散乱を生じることが可能な大きさであればよく、後述する「(ii)第2態様」と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。なお、光拡散層の凹凸形状面と接する他の層は、通常、空気層となる。また、このときの光拡散層の屈折率とは、樹脂の屈折率をいう。
光拡散層の厚さとしては、所望の光学特性を発揮可能な厚さであればよく、適宜設計することができる。例えば凹凸形状面を有する光拡散層の場合であれば、光拡散層の厚さとしては、光拡散層の厚さを1としたときの光拡散粒子の平均粒径が0.3以上3以下となるように設計することが好ましい。光拡散層の厚さは、触針式膜厚計(KLA−Tencor Japan(株)製 P−15)を用い、触針で表面をなぞり凹凸を検出することによって厚さを算出する触針式の方法により測定が可能である。なお、本明細書において規定される厚さとして、対象となる部材の複数個所における厚さの測定結果の平均値が用いられてもよい。
本態様の光拡散層の形成方法としては、所望の光学特性を発揮可能な光拡散層を形成できる方法であれば特に限定されない。例えば、上述した樹脂および光拡散粒子を含む光拡散層用組成物を光制御層等の表面等に塗布または被覆し、上記光拡散層用組成物を硬化して形成する方法、押出成型、射出成型等によりシート状に形成する方法等が挙げられる。
上記光拡散層用組成物は、必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。例えば、溶剤として、光制御層等の光拡散層を設ける層の材料に対して浸透性のある浸透性溶剤を用いることで、光制御層等の表面に光拡散粒子が埋没されてなる、凹凸形状面を有する光拡散層を形成することができる。
光拡散層用組成物の塗膜の硬化方法としては、塗膜中の樹脂の種類に応じて適宜選択することができ、例えば紫外線や電子線等の電離放射線を照射する方法等が用いられる。塗膜の硬化に際し、塗膜に溶剤が含まれる場合は、乾燥等により溶剤を除去してから塗膜を硬化させることが好ましい。
(ii)第2態様
光拡散層の第2態様(以下、本項において本態様とする場合がある。)は、光拡散層表面が所望の表面粗さを示す凹凸形状を有する。
図6で例示する採光部材10は、第2態様の光拡散層22Cを有し、表面に所望の表面粗さを示す凹凸形状を有している。
本態様によれば、光拡散層の凹凸形状面に光が入射することで、外部拡散により上述の光学特性を示すことが可能となる。
本態様の光拡散層の材料としては、所望の光透過性を示し、表面に凹凸形状を賦型可能な材料であればよく、例えば、硬化樹脂が挙げられる。具体的には、特開2000−352607号公報に開示される電離放射線硬化型樹脂を硬化させた硬化樹脂が挙げられる。また、「(i)第1態様」で説明した樹脂を用いることも可能である。
また、上記樹脂の他に、「(i)第1態様」の項で説明した光拡散粒子、屈折率調整のための高屈折率超微粒子や低屈折率超微粒子、任意の添加剤等を含んでいてもよい。
本態様の光拡散層の厚さとしては、表面に外部拡散を生じさせ、所望の光学特性を発揮することが可能な凹凸形状を有することが可能な大きさであればよく、例えば3μm〜1000μmの範囲内、中でも10μm〜30μmの範囲内が好ましい。
なお、本態様の光拡散層の厚さの測定方法は、第1態様の光拡散層の厚さの測定方法と同様の方法が用いられる。
本態様の光拡散層において、光拡散層の凹凸形状面において外部拡散が生じるための表面粗さとしては、光が外部拡散される際にミー散乱を生じやすく、レイリー散乱および幾何学散乱を生じにくい大きさであることが好ましい。具体的には、光拡散層の10点平均粗さRzが1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。光拡散層の10点平均粗さRzが上記範囲よりも大きいと、光の後方散乱が支配的に生じやすくなり、一方、上記範囲よりも小さいと、光拡散層表面において外部拡散が生じにくくなり、所望の機能を発揮できない場合があるからである。
本態様の光拡散層の形成方法としては、上述した樹脂を含む光拡散層用組成物を光制御層等の表面に塗布し、塗膜を硬化して形成する方法、または塗膜を硬化して形成後、表面処理を施して表面粗さを調整する方法、押出成型、射出成型等によりシート状に形成後、表面処理を施して表面粗さを調整する方法等が挙げられる。
表面処理方法としては、プラズマ処理、コロナ放電処理、UVオゾン処理等の従来公知の方法を用いることができる。
(c)光拡散層の配置位置
光拡散層の配置位置としては、光制御層の一方の面側に配置されていればよい。ここで、光拡散層が光制御層の一方の面側に配置されるとは、光制御層の一方の面上に直接配置されていてもよく、後述するように光制御層の一方の面上に基材層が配置されている場合は、上記基材層上に配置されていてもよい。
また、光制御層の一方の面側とは、光制御層の光の入射面側であってもよく、光の出射面側であってもよい。光制御層の光の入射面とは、光制御層の表面のうち、採光部材の入射面側に位置する面である。また、光制御層の光の出射面とは、光制御層の表面のうち、採光部材の出射面側に位置する面である。中でも、上記光拡散層は、光制御層よりも光の出射面側に位置することが好ましい。すなわち、上記光拡散層は、上記光制御層よりも上記採光部材の上記出射面側に位置することが好ましい。入射面側に光拡散層を設ける場合、入射光が入射面付近で散乱されてしまうため、出射面側から出射されない散乱光や、光反射面に到達しない光や、光反射面の臨界角を超える入射角度で光が到達することで、光反射面で反射されて出射面側から出射される光量が減少し、採光量が低下する場合や、出射光の強度が低下し、所望の採光効果が得られない場合があるからである。
光拡散層が光制御層の一方の面上に直接配置される場合、光拡散層が上記光制御層と一体であってもよい。
光拡散層が光制御層と一体であるとは、光拡散層と光制御層との界面が無いこと、すなわち、光制御層の溝部を有する面と対向する面(以下、非溝部側表面とする場合がある。)に「(b)光拡散層の態様 (i)第1態様」の項で説明した光散乱粒子が存在する態様、光制御層の非溝部側表面が「(b)光拡散層の態様 (ii)第2態様」の項で説明した凹凸形状を有する態様であることをいう。光制御層の非溝部側表面に光散乱粒子が存在するとは、非溝部側表面に光散乱粒子の一部または全部が埋没されていることをいう。
また、光制御層の出射面上に基材層が配置されている場合、光拡散層が上記基材層と一体であることが好ましい。基材層の単一層で、光制御層を支持する機能と、採光フィルム全体に所望の光学特性を付与する機能とを発揮することができるからである。
光拡散層が基材層と一体であるとは、基材層と光拡散層との界面が無いこと、すなわち、基材層が「(b)光拡散層の態様 (i)第1態様」の項で説明した光散乱粒子を含む態様、基材層の光制御層側の面と対向する面が「(b)光拡散層の態様 (ii)第2態様」の項で説明した凹凸形状を有する態様であることをいう。基材層が光散乱粒子を含むとは、基材層内に光散乱粒子が分散されている、または、基材層表面に光散乱粒子の一部が突出していることをいう。基材層については後述する。
図7は、本態様の採光部材(採光フィルム)において、光拡散層と基材層とが一体である態様(光拡散機能つき基材層24を有する態様)の一例を示す。
(2)光制御層
本態様における光制御層としては、基材層上に図1で示すように光反射面3を有する光偏向部4が複数並列し、隣接する光偏向部4間に光透過部(空気層5)を複数有する構造や、ルーバー型の構造が挙げられる。ルーバー型の構造とは、透明樹脂で構成される光透過部と、上記光透過部の一方の面上に、光の入射面および出射面と交差する方向に形成された複数の溝部と、複数の上記溝部内に形成され、上記光透過部と異なる屈折率を示す光偏向部と、を有する構造である。
なお、ルーバー型の構造においては、光透過部は隣接する光偏向部間に位置する複数の光透過部が連結してなる単一層の構造を有する。また、ルーバー型の構造において、「上記光透過部の一方の面上に、光の入射面および出射面と交差する方向に形成された複数の溝部」とは、「上記光透過部の一方の面上に形成された、上記光反射面を有する複数の溝部」と言い換えることができる。
中でも、光制御層自体をシート状とすることができることから、光制御層がルーバー型であることが好ましい。
以下、ルーバー型の光制御層について説明する。
(a)溝部
本態様における上記溝部は、光透過部の一方の面上に、光の入射面および出射面と交差する方向に形成される。つまり、上記溝部は、光透過部の一方の面上に形成され、上記光反射面を有する。
光透過部の光の入射面および出射面と交差する方向とは、すなわち、上記採光部材の上記入射面および上記出射面と交差する方向である。
通常は、上記溝部は、上記光透過部の光の入射面側の表面上に形成される。
溝部の開口形状としては、直線状、曲線状等が挙げられる。また、隣り合う各溝部は、平行して形成されていてもよく、ランダムに形成されていてもよく、交差して形成されていてもよい。中でも、複数の溝部が直線状であり、且つ平行して形成されていることが好ましい。このような溝部の長さについては、特に限定されず、採光部材の用途等に応じて適宜設定することができる。なお、溝部の長さとは、光透過部の表面のうち、上記溝部が形成された側の面から見たときの溝部開口の長手方向の長さをいう。光透過部の上記溝部が形成された側の面を、「光透過部の溝部開口を含む面」と呼ぶ場合がある。
光透過部の厚さ方向から見た溝部の形状、すなわち溝部の断面形状については、特に限定されず、光偏向部による採光機能が発揮されやすい形状に適宜設計することができる。具体的には、三角形、矩形、楔形形状、多角形等が挙げられる。また、溝部の側面のうち少なくとも一方において、多段階形状を有していてもよく、一部が湾曲していてもよい。さらに溝部の角は曲率を有していてもよい。
なお、「溝部の側面」とは、光透過部と光偏向部との界面のうち、光の入射面および出射面と交差する方向(光透過部の厚さ方向)に伸長する界面を指し、図4(b)、図5〜図8においてfで示す部分である。
上記溝部の幅は、所望の採光機能が発揮可能な大きさであれば特に限定されないが、最も広幅の部分の長さが5μm〜150μmの範囲内、中でも10μm〜100μmの範囲内、特に12μm〜50μmmの範囲内であることが好ましい。溝部の最も広幅の部分の幅が上記範囲よりも大きいと、光透過部および光偏向部において光が透過しにくくなる場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、光偏向部において所望の機能を果たせない場合があるからである。
なお、溝部の幅とは、すなわち光偏向部の幅を意味し、例えば図4(b)においてaで示す部分である。
上記溝部の深さは、光偏向部による採光機能が発揮されやすい大きさであればよく、例えば10μm〜250μmの範囲内、中でも30μm〜200μmの範囲内、特に50μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。このとき、溝部の深さは、光透過部の厚さに対して50%以上であることが好ましく、中でも70%〜98%の範囲内であることが好ましい。
溝部の深さは、光透過部の溝部開口を含む面から溝部の先端までの長さ、すなわち光偏向部の厚さを意味し、例えば図4(b)においてbで示す部分である。
複数の溝部は等間隔で形成されていてもよく、異なる間隔で形成されていてもよい。溝部のピッチ幅、すなわち、光偏向部の配置間隔は、光偏向部による採光機能が発揮されやすい大きさであればよく、光透過部の溝部開口を含む面内において隣接する溝部間の最も広幅の部分の長さ(溝部間距離)が10μm〜200μmの範囲内、中でも12μm〜150μmの範囲内、特に13μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。なお、溝部間距離とは、例えば図4(b)においてcで示す部分である。
溝部における2つの側面は、後述するように光透過部と光偏向部とが異なる屈折率を示すことから異屈折率界面となる。また、対向する2つの異屈折率界面のうち一方は、光が高屈折率領域から低屈折率領域へと進行して全反射が生じることから、光反射面となる。
(b)光透過部
光透過部を構成する透明樹脂としては、後述する光透過率を示す光透過部の形成が可能な高い光透過性を有し、光偏向部と異なる屈折率を示す樹脂であれば特に限定されないが、溝部の形状安定性の観点から硬化樹脂で構成されることが好ましい。硬化樹脂としては、例えば熱硬化樹脂、電離放射線硬化樹脂が挙げられ、中でも汎用性、硬化性、光透過性の観点から、電離放射線硬化樹脂が好ましく、特に紫外線硬化樹脂が好ましい。
具体的な透明樹脂としては、例えば、特開2014−215580号公報で開示される光透過性材料として用いられる樹脂、特開2014−137441号公報で開示される光透過部に用いられる熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂の硬化物が挙げられる。
光透過部は、使用される樹脂の種類に応じて、例えば特開2014−137441号公報で開示される紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、光重合開始剤、酸化防止剤、架橋剤、ハードコート剤、耐傷フィラー、重合禁止剤、帯電防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤等の添加剤を含有していてもよい。
光透過部の屈折率としては、上記光偏向部と異なる屈折率を示し、後述する上記光偏向部との間で所望の屈折率差を示すことが可能な大きさであればよい。光透過部と光偏向部との屈折率の大小関係を利用して、光透過部の厚さ方向に伸長する上記溝部の側面のうち一方を光反射面とすることができ、光透過部に入射した光を上記光反射面において光を跳ね上げることで、採光量を増加させることができるからである。
中でも、光透過部の屈折率が上記光偏向部よりも高屈折率であることが好ましい。本態様の採光部材において、光透過部から入射する光の割合が多いため、高屈折率である光透過部から、低屈折率である光偏向部へ光を進行させることで、光反射面において光の全反射が生じることとなる。これにより、光反射面において跳ね上げられる光の量を増加させることができるからである。
光透過部の具体的な屈折率としては、1.50〜1.80の範囲内であることが好ましく、特に1.55〜1.65の範囲内であることが好ましい。光透過部の屈折率は、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて測定される波長589nmでの値とする。
光透過部の厚さは、光制御層が所望の光学特性を有することが可能な大きさであれば特に限定されず、溝部の深さに応じて適宜設計することができる。例えば、上記厚さを50μm〜300μmの範囲内、中でも60μm〜250μmの範囲内、特には70μm〜220μmの範囲内とすることが好ましい。光透過部の厚さが上記範囲よりも大きいと、光透過性の低下により採光量が減少する場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、相対的に溝部の深さが浅くなり、光反射面にて跳ね上げる光の量が減少することで、所望の採光量を得ることができない場合がある。
光透過部の厚さとは、光透過部の溝部が形成された側の面から、その対向面までの長さをいい、すなわち光制御層の厚さをいう。
光透過部は、高い光透過性を有することが好ましく、例えば可視光線透過率が80%以上であることが好ましく、中でも83%以上、特に85%以上であることが好ましい。
(c)光偏向部
本態様における光偏向部は、上記複数の溝部内に形成される。
上記光偏向部は、図4〜図7で例示するように樹脂層であってもよく、図8で例示するように、溝部内の空気層であってもよい。
以下、光偏向部について、樹脂層と、空気層とに分けて説明する。
(i)樹脂層
光偏向部が樹脂層である場合、樹脂層を構成する樹脂としては、光透過性を有し、光透過部と異なる屈折率を示す樹脂であればよく、例えば電離放射線硬化樹脂を挙げることができる。中でも紫外線硬化樹脂および電子線硬化樹脂が好ましい。具体的な樹脂については、「(b)光透過部」と同様とすることができる。
また、上記樹脂層は、「(b)光透過部」の項で説明した任意の添加剤を含んでいてもよい。
光偏向部が樹脂層である場合の光偏向部の屈折率としては、光透過部の屈折率と異なる屈折率であればよく、中でも上記光透過部の屈折率より低いことが好ましい。その理由については、「(b)光透過部」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。光偏向部の屈折率としては、1.40〜1.80の範囲内であることが好ましく、中でも1.40〜1.55の範囲内であることが好ましい。上記屈折率は光透過部の屈折率と同様の方法で測定される。
光偏向部が樹脂層である場合、上記樹脂層は高い光透過性を有することが好ましく、具体的には、上記光偏向部の可視光線透過率が80%以上であることが好ましく、中でも82%以上、特に85%以上であることが好ましい。
(ii)空気層
光偏向部が空気層である場合、空気の屈折率は通常1.0程度であり、上述した光透過部脂の屈折率よりも低いことから、溝部の2つの側面に相当する光透過部および光偏向部の2つの界面を異屈折率界面とし、一方の上記異屈折率界面を光反射面とすることができる。また、空気層とすることで、光偏向部は高い光透過性を有することができる。
(iii)その他
上記光偏向部の幅、厚さ、形状および配置間距離については、上述した溝部の幅、深さ、形状および溝部間距離と同様とすることができる。
(d)その他
光透過部と光偏向部との屈折率差としては、大きいほど好ましい。屈折率差が大きいほど、採光部材に対する光の入射角度が大きい場合であっても、光反射面を含む異屈折率界面にて光を効率よく反射させることが可能になるからである。
光透過部と光偏向部との具体的な屈折率差としては、0.03以上、特に0.05以上であることが好ましい。屈折率差が上記範囲に満たないと、入射光の角度が高くなったときに光反射面を含む異屈折率界面にて光を効率よく反射させることができなくなる。また、全反射の波長分散が発生した際に、長波長成分が全反射せず、短波長成分のみが全反射することがあり、採光の色彩に変化が発生する場合があるからである。
光制御層は、溝部が形成された側の面を光制御層の光の入射面としてもよく、溝部が形成された側の面と対向する面を光制御層の光の入射面としてもよい。中でも、溝部が形成された側の面を光制御層の光の入射面とすることが好ましい。光反射面により多くの光を入射させて制御することができるからである。
光制御層の形成方法としては、態様に応じて従来公知の方法を用いることができる。ルーバー型の光制御層の形成方法としては、例えば、特開2014−085408号公報に開示される方法で、後述する基材層上に複数の溝部を表面に有する光透過部を形成し、光偏向部が樹脂層であれば、上記溝部内に上記樹脂層の樹脂材料である電離放射線硬化性樹脂を含む組成物を充填し硬化させることで形成される。光拡散層と基材層とが一体である場合であれば、光拡散層上に上述の方法で光透過部および光偏向部を形成してもよい。
(e)光制御層の他の構造
本態様における光制御層が、後述する基材層上に図1で示すような光反射面を有する光偏向部が複数並列し、隣接する光偏向部間に光透過部を複数有する構造である場合、光偏向部および光透過部の材料や配置は、上述したルーバー構造における光偏向部および光透過部の材料や配置と同様とすることができる。
(3)基材層
本態様の採光部材は、光制御層の一方の面上に基材層が配置されていてもよい。光制御層を支持し、採光フィルムの機械的強度を向上させることができるからである。中でも基材層は、光制御層の溝部が形成された側の面と対向する面上に配置されることが好ましい。
基材層としては、本態様の採光部材の透光性を損なわない光透過性を有すれば、特に限定されず、樹脂製のフィルムやシートを用いることができる。例えばポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。
基材層の光透過率や厚さ等については、特に限定されない。
また、基材層には、光拡散層に用いられる光拡散粒子が含有されていてもよい。
(4)その他の部材
本態様の採光部材は、粘着層、ハードコート層、平坦化層等を有していてもよい。なお、これらの層は光散乱層上に設けないことが好ましい。光散乱層の態様によっては、本態様の採光部材の光学特性が損なわれる場合があるからである。
2.採光部材の第2態様
本発明の採光部材の第2態様(以下、本項において「本態様」とする場合がある。)は、上記採光部材が、第1ガラス層と、第1封止部と、光制御層と、第2封止部と、および第2ガラス層と、をこの順で有し、上記光制御層は、第1態様の採光部材における光制御層と同様であり、上記第1ガラス層または上記第2ガラス層の一方の面上には、上記光拡散層が配置された合わせガラスである態様である。
上記合わせガラスは、第1ガラス層側の面が本態様の採光部材の上記入射面(上記合わせガラスの光の入射面)であってもよく、第2ガラス層側の面が本態様の採光部材の上記入射面(上記合わせガラスの光の入射面)であってもよい。
本態様の採光部材について、図を参照して説明する。図9は、本態様の採光部材、すなわち、合わせガラスの一例を示す概略斜視図および断面図である。
本態様の採光部材10は、第1ガラス層41、第1封止材42、光制御層20、第2封止材43、および第2ガラス層44がこの順で積層されており、第1ガラス層41側を採光部材10の入射面側とする。また、第2ガラス層44の表面上には、光拡散層22Aが配置されている。
光制御層20、および光拡散層22Aについては、図4で例示したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本態様によれば、上述の構成を有する合わせガラスとすることで、光制御層内の光透過部と光偏向部との界面が光反射面となり、上記光反射面により光が跳ね上げられることで採光量を増加させることができるからである。また、光拡散層により光が拡散されるため、合わせガラス全体で高プライバシー隠蔽性を発揮することができるからである。さらに、上述の構成を有する合わせガラスとすることで、開口部等の所望の場所への設置が容易となり、本発明の効果を奏しやすくなるからである。
以下、本態様の採光部材について、構成ごとに説明する。
(1)光拡散層
本態様における光拡散層は、上記第1ガラス層または上記第2ガラス層(以下、「ガラス層」と略する場合がある。)の一方の面上に配置される層である。
本態様における光拡散層の態様および光学特性については、「1.採光部材の第1態様」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、上記光拡散層が上記光制御層よりも光の出射面側に位置することが好ましい。その理由についても「1.採光部材の第1態様」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)光制御層
本態様における光制御層については、「1.採光部材の第1態様」の項で説明した光制御層と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。中でも、光制御層は、透明樹脂で構成される光透過部と、上記光透過部の一方の面上に、光の入射面および出射面と交差する方向に形成された複数の溝部と、複数の上記溝部内に形成され、上記光透過部と異なる屈折率を示す光偏向部と、を有することが好ましい。その理由および好適な配置態様については、「1.採光部材の第1態様」の項で説明した内容と同様である。
なお、上記光制御層における「上記光透過部の一方の面上に、光の入射面および出射面と交差する方向に形成された複数の溝部」とは、「上記光透過部の一方の面上に形成された、上記光反射面を有する複数の溝部」と言い換えることができる。
(3)第1ガラス層および第2ガラス層
本態様における第1ガラス層および第2ガラス層は、光制御層を挟持する部材である。第1ガラス層および第2ガラス層は、透明であり、高い光透過性を有する。第1ガラス層および第2ガラス層に用いられるガラスの材質としては、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス等の無機ガラス、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等の有機ガラス、無機・有機ハイブリットガラス等が挙げられる。
また、第1ガラス層および第2ガラス層に用いられるガラスの種類としては、普通ガラス、クリアフロートガラス、高透過ガラス、耐熱ガラス、金網入りガラス等、一般に合わせガラスに用いられる種類が挙げられる。また、後述する光拡散層と一体化したガラス層に用いられるガラスの種類も挙げられる。
第1ガラス層および第2ガラス層は、それぞれ同じ材質であってもよく、異なっていてもよい。また、必要に応じて複数枚のガラス板を有していてもよい。
第1ガラス層および第2ガラス層の厚さは、同じであってもよく異なってもよい。上記厚さとしては、100μm〜50mmの範囲内、中でも500μm〜30mmの範囲内が好ましい。第1ガラス層および第2ガラス層の厚さを上記範囲内とすることにより、所望の機械的特性および光学特性を有する合わせガラスとすることができる。
第1ガラス層および第2ガラス層の可視光線透過率としては、合わせガラス全体での光学特性を損なわない程度であればよく、例えば80%以上、好ましくは82%以上、さらに好ましくは83%以上、特に好ましくは85%以上である。
第1ガラス層または上記第2ガラス層の一方が、上記光拡散層と一体であることが好ましい。第1ガラス層または上記第2ガラス層の単一層で、光制御層を支持する機能と、合わせガラス全体に所望の光学特性を付与する機能とを発揮することができるからである。
光拡散層が第1ガラス層または上記第2ガラス層の一方と一体であるとは、ガラス層と光拡散層との界面が無いこと、すなわち、ガラス層自体が光拡散機能を有する。具体的には、第1ガラス層または上記第2ガラス層の一方に、「1.採光部材の第1態様」の項で説明した光散乱粒子が含まれる態様、第1ガラス層または上記第2ガラス層の一方の面が、「1.採光部材の第1態様」の項で説明した所望の凹凸形状を有する態様であることをいう。
このような光拡散層と一体化したガラス層として用いられるガラスの種類としては、例えば、すりガラス、フロストガラス、型板ガラス等が挙げられる。
本態様の採光部材においては、第1ガラス層または上記第2ガラス層のうち、合わせガラスの出射面側に位置するガラス層が、光拡散層と一体であることが好ましい。この理由については、「1.採光部材の第1態様」の項で説明した理由と同様であるため、ここでの説明は省略する。なお、図10は、第2ガラス層と光拡散層とが一体である態様(光拡散機能つきガラス層45を有する態様)の一例を示す。
(4)第1封止部および第2封止部
本態様における第1封止部および第2封止部(以下、「封止部」と略する場合がある。)は、第1ガラス層と光制御層との間、および第2ガラス層と光制御層との間を封止する部材である。
本態様において、第1封止部および第2封止部は、光透過性を有する。
封止部としては、高光透過性を示し、第1ガラス層と光制御層との間、および第2ガラス層と光制御層との間を接着可能な部材であればよく、一般的な合わせガラスにおいて用いられる接着層とすることができる。接着層の材料としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、などの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂等を用いることができ、これらの樹脂は単独で用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。中でも、EVA、PVBの単独使用、またはEVAおよびPVBの併用が好ましい。
さらに、第1封止部または第2封止部の一方には、光拡散層に用いられる光拡散粒子が所望の量、含有されていてもよい。第1封止部または第2封止部を、光拡散層としても機能させることができ、別途、光拡散層を設ける必要がないからである。光拡散粒子の含有量等については、「(b)光拡散層の態様 (i)第1態様」の項で説明した量と同様とすることができる。
封止部の厚さとしては、第1ガラス層と光制御層との間、および第2ガラス層と光制御層との間を封止することができ、本態様の採光部材の光透過性を損なわない大きさであれば特に限定されず、例えば100μm〜5000μmの範囲内、中でも200μm〜1600μmの範囲内であることが好ましい。
封止部の可視光線透過率としては、上述のガラス層の可視光線透過率と同様とすることができる。
(5)その他
本態様の採光部材は、一般に合わせガラスに用いられる任意の層を有していてもよい。
また、本態様の採光部材は、合わせガラスとして単独で用いることもでき、また、一対のガラス間に中空層を設けた複層ガラスにおける上記一対のガラスのうち少なくとも一方として用いることもできる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
採光部材として、以下の手順で、ルーバー型の光制御層を有する採光フィルムを形成した。
1.光透過部用組成物の調整
(光硬化性プレポリマー(P1)の調整)
まず、ビスフェノールAエチレンオキシド、キシリレンジイソシアネート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、およびビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)を質量比で30:15:50:5:0.02となるように混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P1)を得た。
(光硬化性プレポリマー(P2)の調整)
ビスフェノールAエチレンオキシド、イソホロンジイソシアネート、フェノキシエチルアクリレート、ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)を質量比で30:20:50:0.02となるように混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P2)を得た。
(光透過部用組成物の調整)
次に、光硬化性プレポリマー(P1)を30重量部、光硬化性プレポリマー(P2)を30重量部、反応性希釈モノマー(M1)としてフェノキシエチルアクリレートを10重量部、反応性希釈モノマー(M2)としてビスフェノールAエチレンオキシドを30重量部、金型離型剤(S1)としてテトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステルを0.03重量部、金型離型剤(S2)としてステアリルアミンエチレンオキシド15モル付加物0.03重量部、光重合開始剤(I1)として1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を3重量部を混合し、均一化して、光透過部用組成物を得た。
この光透過部用組成物を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀により800mJ/cmの紫外線を照射して塗膜を硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、波長589nmでの屈折率を測定したところ、1.550であった。
2.光拡散層の準備
光拡散層として、一方の表面に凹凸形状を有する厚さ120μmのマットフィルム(商品名:PET100FSM−50−H25、東洋包材社製)を用いた。このマットフィルムは、光拡散層と基材層とが一体化したものであり、ヘイズ値は30%であった。
3.金型ロールの作製
光透過部の作製に供される金型ロールを作製した。金型ロールは円柱状であり、銅メッキが施され、当該銅メッキ部分をバイトにより切削して光透過部に対応する複数の溝を形成した。バイトとしてはダイヤモンドバイトを用いた。ロール軸方向に所定のピッチで金型ロールの銅メッキ層の外周を切削し、この切削したロールをクロムメッキした。
4.光制御層の形成
上記で作製した金型ロールとニップロールとの間に上記光拡散層を搬送した。この光拡散層の搬送に合わせ、上記光透過部用組成物を光拡散層の凹凸形状面と反対側の面上に供給し、金型ロールおよびニップロール間の押圧力により、基材層と金型ロールとの間に光透過部用組成物を充填した。その後、基材層側から高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して光透過部用組成物を硬化させて、光透過部を形成した。その後、剥離ロールにより、金型ロールから光透過部を離型し、上記光透過部の一方の面側に形成された複数の溝部内の光偏光部が空気層である光制御層を、光拡散層の凹凸形状面と反対側の面上に形成した。
得られた光制御層は、図4(b)に示す断面形状を有し、光偏向部(溝部)の幅(図4(b)におけるa)は32.1μm、光偏向部(溝部)の深さは(図4(b)におけるb)は165μm、光偏向部(溝部)の配置間距離(図4(b)におけるc)は26.9μmであった。
5.接着層の形成
アクリル系樹脂の粘着剤(商品名:SKダイン2094、綜研化学株式会社、固形分25.0%、酢酸エチルおよびメチルエチルケトンの混合溶媒)を100重量部と、架橋剤(E−5XM、L−45、綜研化学株式会社、固形分5.0%)を0.28質量%と、1,2,3−ベンゾトリアゾールを0.25重量部と希釈剤(トルエン/メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=27.69g/27.69g/4.61g)を32.0重量部と、を混合して接着層用組成物を得た。
上記接着層用組成物を離型フィルム(商品名:E7007、東洋紡績社製、厚さ38μm)上に塗布して乾燥させ、上記光制御層の溝部開口を有する面と貼り合わせ、採光フィルムを得た。
[実施例2]
光拡散層として、ヘイズ値が50%のマットフィルム(光拡散層−基材層の一体型、厚さ120μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして採光フィルムを得た。
[実施例3]
光拡散層として、ヘイズ値が80%のマットフィルム(光拡散層−基材層の一体型、厚さ120μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして採光フィルムを得た。
[比較例1]
光拡散層にかえて、厚さ100μmのPETフィルム(A4100、光透過率92%、東洋紡株式会社製)の基材層のみを用い、光透過部の一方の面側に形成された複数の溝部内に、空気層の代わりに、下記組成の光偏向部構成組成物を充填し硬化させて光偏光部を形成したこと以外は、実施例1と同様にして採光フィルムを得た。
(光偏向部構成組成物)
光硬化性プレポリマー(P3)としてウレタンアクリレートを42重量部、光硬化性プレポリマー(P4)としてエポキシアクリレートを18重量部、反応性希釈モノマー(M3)としてトリプロピレングリコールジアクリレートを35重量部、反応性希釈モノマー(M4)としてメトキシトリエチレングリコールアクリレートを5重量部、光拡散粒子(D1)として二酸化チタンP25(平均粒径21nm、日本アエロジル株式会社製)を5重量部、光重合開始剤(I1)として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を7重量部、それぞれ混合して均一化して、光偏向部構成組成物を調製した。
なお、この光偏向部構成組成物の光拡散粒子を除いた成分を厚さ100μmとなるように塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、589nmの屈折率を測定したところ、1.490であった。
[比較例2]
基材層にかえて、実施例1のマットフィルムを光拡散層として用いたこと以外は、比較例1と同様にして採光フィルムを得た。
[比較例3]
基材層にかえて、実施例3のマットフィルムを光拡散層として用いたこと以外は、比較例1と同様にして採光フィルムを得た。
[評価]
実施例1〜3および比較例1〜3により得られた採光フィルムについて、以下の各評価を行った。
全光線透過率の測定および光拡散性評価の実施に際し、採光フィルムの入射面は、採光フィルムの表面のうち、光制御層の溝部開口を有する面側に位置する面(採光フィルムの接着層側表面)とした。
1.全光線透過率の測定
得られた採光フィルムについて、ヘイズメーターHR100(株式会社村上色彩技術研究所製 JIS K7136:1999準拠法)を用いて測定した。
2.光拡散性評価
得られた採光フィルムについて、以下の方法により拡散性評価を行った。
3次元変角分光測色システムGCMS11(村上色彩技術研究所)を用いて、採光フィルムに対して入射角度が20°から60°の範囲内で光を入射し、各入射角度で入射した光に対して、天井方向の跳ね上げた光のピーク強度が最大となる出射角度(最大ピーク出射角度)を特定した。測定の条件および方法については、「I.光学特性 B.光拡散性」の項で説明した条件および方法と同様とし、本評価では入射角度は20°、30°、40°、50°および60°として測定した。各入射光における出射光の最大ピーク強度を100%とし、最大ピーク出射角度±3°にて受光される出射光の測定強度を、最大ピーク強度(100%)に対する換算強度に換算して、各入射光に対する光拡散率とした。各入射角度について求めた光拡散率の中で最小値を、20°以上60°以下の入射角度に対する採光フィルムの光拡散率として表1に示す。
3.プライバシー隠蔽性評価
実施例1〜3および比較例1〜3で得られた採光フィルムを窓に貼付し、その後ろに被写体を窓から10cmの間隔を空けて設置し、主観評価にて、被写体の輪郭が判別可能なレベルを○、判別不可能なレベルを×とした。被写体は造花を使用し、画像は採光フィルムから45cm離れた距離からカメラで撮影した。また、主観評価は、屋内側から採光フィルム付き窓を介して屋外側にある被写体を観測する場合と、屋外側から採光フィルム付き窓を介して屋内側にある被写体を観測する場合との2方向からの観察により行った。
被写体の輪郭が判別不可能なレベルとは、造花の花びらの輪郭を認識できないと感じるレベルとした。
各評価結果を表1に示す。また、実施例1〜3および比較例1のプライバシー隠蔽性評価での撮影画像を図11(b)〜(e)および図12(b)〜(e)に示す。なお、図11は、屋外側から採光フィルム付き窓を介して屋内側にある被写体を観測したときの撮影画像であり、図12は屋内側から採光フィルム付き窓を介して屋外側にある被写体を観測したときの撮影画像である。図11(a)および図12(a)は、リファレンスとして採光フィルム無しの窓を介して被写体を観測したときの撮影画像である。
20°以上60°以下の入射角度に対する光拡散率が40%であり、且つ、全光線透過率が80%以上である実施例1〜3の採光フィルムは、採光性およびプライバシー隠蔽性の両方について高い機能を発揮することが可能であった。
一方、上記光拡散率が40%以下であった比較例1では、被写体の輪郭が判別でき、プライバシー隠蔽性を向上させることができなかった。また、全光線透過率が80%以上を満たない比較例1〜3では、十分な採光性が得られなかった。
10 … 採光部材
1 … 入射面
2 … 出射面
3 … 光反射面
4、12 … 光偏向部
20 … 光制御層
22A、22B、22C … 光拡散層

Claims (6)

  1. 光が入射する側の面である入射面と、
    光が出射する側の面であり且つ前記入射面に対向する面である出射面と、
    前記入射面および前記出射面間に配置され、前記入射面から入射した光を前記出射面に向けて反射させる複数の光反射面と、
    を少なくとも有する採光部材であって、
    前記採光部材は、全光線透過率が80%以上であり、且つ、
    前記入射面から20°以上60°以下の入射角度で光を入射して前記出射面から出射した出射光の強度を測定し、それぞれの前記入射角度に対応する前記出射光の強度が最大となる出射角度を特定し、前記出射角度での前記出射光の最大ピーク強度を100%としたときの前記出射角度±3°の範囲内にある前記出射光の強度が40%以上、90%以下であり、
    前記出射面に光拡散構造を備える光拡散層をさらに有し、
    前記採光部材が、光制御層と、前記光制御層の一方の面側に配置された前記光拡散層と、を有する採光フィルムであり、
    前記光制御層は、透明樹脂で構成される光透過部と、前記光透過部の一方の面上に形成された、前記光反射面を有する複数の溝部と、
    複数の前記溝部内に形成され、前記光透過部の屈折率よりも低い屈折率を示す光偏向部と、を有し、
    前記光透過部を構成する前記透明樹脂が硬化樹脂であり、前記光透過部の屈折率が1.55〜1.65の範囲内であり、
    前記光偏向部が樹脂層であり、
    前記光反射面が平滑性を有し、前記光反射面の算術平均粗さ(Ra)が200nm以下であることを特徴とする採光部材。
  2. 前記光拡散層が前記光制御層よりも光の出射面側に位置することを特徴とする請求項1に記載の採光部材。
  3. 前記光制御層の一方の面上には基材層が配置されており、
    前記光拡散層が、前記基材層と一体であることを特徴とする請求項2に記載の採光部材。
  4. 光が入射する側の面である入射面と、
    光が出射する側の面であり且つ前記入射面に対向する面である出射面と、
    前記入射面および前記出射面間に配置され、前記入射面から入射した光を前記出射面に向けて反射させる複数の光反射面と、
    を少なくとも有する採光部材であって、
    前記採光部材は、全光線透過率が80%以上であり、且つ、
    前記入射面から20°以上60°以下の入射角度で光を入射して前記出射面から出射した出射光の強度を測定し、それぞれの前記入射角度に対応する前記出射光の強度が最大となる出射角度を特定し、前記出射角度での前記出射光の最大ピーク強度を100%としたときの前記出射角度±3°の範囲内にある前記出射光の強度が40%以上、90%以下であり、
    前記出射面に光拡散構造を備える光拡散層をさらに有し、
    前記採光部材が、第1ガラス層と、第1封止部と、光制御層と、第2封止部と、および第2ガラス層と、をこの順で有し、
    前記第1ガラス層または前記第2ガラス層の一方の面上には、前記光拡散層が配置された合わせガラスであり、
    前記光制御層は、透明樹脂で構成される光透過部と、前記光透過部の一方の面上に形成された、前記光反射面を有する複数の溝部と、
    複数の前記溝部内に形成され、前記光透過部の屈折率よりも低い屈折率を示す光偏向部と、を有し、
    前記光透過部を構成する前記透明樹脂が硬化樹脂であり、前記光透過部の屈折率が1.55〜1.65の範囲内であり、
    前記光偏向部が樹脂層であり、
    前記光反射面が平滑性を有し、前記光反射面の算術平均粗さ(Ra)が200nm以下であることを特徴とする採光部材。
  5. 前記光拡散層が前記光制御層よりも光の出射面側に位置することを特徴とする請求項4に記載の採光部材。
  6. 前記光拡散層が、前記第1ガラス層または前記第2ガラス層と一体であることを特徴とする請求項5に記載の採光部材。
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