JP6288358B2 - 採光部材 - Google Patents
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Description
また、特許文献1では、上記構造層の表面にプリズムシート等の周期的または非周期的な形状の光拡散要素を有する光透過層(光拡散層)を配置することで、入射光を上方に向けて出射させるとともに横方向へ光を拡散させて、出射光の有効照射範囲を広げる技術が開示されている。
一般にプライバシー隠蔽機能を発揮させる方法としては、例えば採光部材の表面を粗面化したり光拡散層を設けることで、光を拡散させてヘイズ値を高くする等の方法がある。しかし、単に採光部材の表面を粗面化したり光拡散層を設けるだけでは、例えば光が採光部材を透過する過程で入射方向の後方側に散乱されてしまい入射光量に対して出射光量が減少する、プライバシー隠蔽機能の発揮に必要な量以上の光が拡散されて照度向上に寄与する光の強度が低下する等の理由から、高採光性が得られないという問題がある。
このように、採光部材において、高プライバシー隠蔽性および高採光性を両立させることは容易ではない。
なお、上記光反射面について、「上記入射面および上記出射面間に、上記入射面および上記出射面と交差するように配置され」とは「上記入射面および上記出射面間に配置され」と言い換えることができる。
なお、本発明の採光部材が有する上述の透光性および光拡散性を、合わせて「採光部材の光学特性」と称して説明する場合がある。
本発明の採光部材を、上述の構成を有する採光フィルムとすることで、光制御層内の光透過部と光偏向部との界面が光反射面となり、上記光反射面により光が跳ね上げられることで採光量を増加させることができるからである。また、光拡散層により光が拡散されるため、採光フィルム全体で高プライバシー隠蔽性を発揮することができるからである。さらに、上述の構成を有する採光フィルムとすることで、窓ガラス等の所望の位置への設置が容易となり、本発明の効果を奏しやすくなるからである。
本発明の採光部材を、上述の構成を有する合わせガラスとすることで、光制御層内の光透過部と光偏向部との界面が光反射面となり、上記光反射面により光が跳ね上げられることで採光量を増加させることができるからである。また、光拡散層により光が拡散されるため、合わせガラス全体で高プライバシー隠蔽性を発揮することができるからである。さらに、上述の構成を有する合わせガラスとすることで、開口部等の所望の場所への設置が容易となり、本発明の効果を奏しやすくなるからである。
本発明の採光部材は、光が入射する側の面である入射面と、光が出射する側の面であり且つ上記入射面に対向する面である出射面と、上記入射面および上記出射面間に、上記入射面および上記出射面と交差するように配置され、上記入射面から入射した光を上記出射面に向けて反射させる複数の光反射面と、を少なくとも有する採光部材であって、上記採光部材は、全光線透過率が80%以上であり、且つ、上記入射面から20°以上60°以下の入射角度で光を入射して上記出射面から出射した出射光の強度を測定し、それぞれの上記入射角度に対応する上記出射光の強度が最大となる出射角度を特定し、上記出射角度での上記出射光の最大ピーク強度を100%としたときの上記出射角度±3°の範囲内にある上記出射光の強度が40%以上であることを特徴とする。
図1で示すように、本発明の採光部材10は、光が入射する側の面である入射面1と、光が出射する側の面であり、且つ、入射面1に対向する面である出射面2と、入射面1および出射面2間に、入射面1および出射面2と交差するように配置され、入射面1から入射した光を出射面2に向けて反射させる複数の光反射面3と、を少なくとも有する。図1で例示する採光部材10は、入射面1および出射面2の間に、光反射面3を有する光偏向部4が複数配置され、隣接する光偏向部4間が光透過部としての空気層5である態様である。
採光部材10は、所望の透光性および光拡散性を有する。ここで、採光部材10が有する所望の透光性とは、全光線透過率が80%以上であることをいう。
採光部材10が有する所望の光拡散性とは、図1および図2で示すように光学部材10の入射面1から20°以上60°以下の所定の入射角度θinで光Linを入射して、出射面2から出射した出射光Loutの強度Ioutを測定する。このとき、それぞれの入射角度θinに対応する出射光Loutの強度Ioutが最大となる出射角度θoutMaxを特定し、出射角度θoutMaxでの出射光Loutの最大ピーク強度IoutMaxを100%としたときの出射角度θoutMax±3°の範囲内にある出射光Loutの強度Ioutが40%以上であることをいう。
入射角度θinは、入射面1に対して法線方向に軸Xをとり、軸Xに対して光源が成す角度(極角)で規定される。また、出射角度θoutは、出射面2に対して法線方向に軸Xをとり、軸Xに対して出射光Loutが成す角度(極角)で規定される。
本発明の採光部材は、所望の透光性および光拡散性を有する。
本発明の採光部材は、後述する採光部材の態様を問わず、採光部材全体での全光線透過率が80%以上を示す。
採光部材全体での全光線透過率は、採光部材の入射面から入射した光のうち、出射面から出射される光の割合を示す指標となる。また、全光線透過率が高いほど、採光部材により光が前方散乱を生じることを意味する。このため、全光線透過率が高いほど、出射面からの出射光量が増加し、高採光性を発揮することが可能となる。中でも本発明の採光部材は、上記全光線透過率が80%以上、特に85%以上であることが好ましい。全光線透過率が上記範囲よりも小さいと、採光部材を入射した光が後方散乱し、もしくは採光部材中に光が吸収され、出射面側から出射される光量が減少して高い採光機能を発揮できなくなる場合があるからである。
本発明において、全光線透過率は、ヘイズメーターHR100(株式会社村上色彩技術研究所製 JIS K7361:1999準拠法)を用いて算出される値である。
本発明の採光部材は、後述する採光部材の態様を問わず、採光部材の上記入射面から20°以上60°以下の入射角度で光を入射して上記出射面から出射した出射光の強度を測定し、それぞれの上記入射角度に対応する上記出射光の強度が最大となる出射角度を特定し、特定した上記出射角度での上記出射光の最大ピーク強度を100%としたときの上記出射角度±3°の範囲内にある上記出射光の強度(以下、単に「入射角度ごとの最大ピーク強度を示す出射角度±3°の範囲内にある出射光の換算強度」とする場合がある。)が40%以上であればよい。中でも上記強度が40%以上、特に48%以上であることが好ましい。また、上記強度は高い程好ましいが、90%以下であることが好ましい。
本発明において、入射角度ごとの最大ピーク強度を示す出射角度±3°の範囲内にある出射光の換算強度は、採光部材に各入射角度で入射した光のうち、前方散乱されて出射された光の広がり具合(光拡散性)を表す指標となる。このため、上記強度が高いほど、所望の領域内で光が拡散されることによる高プライバシー隠蔽性を発揮することが可能となる。また、過剰量の光の拡散による採光量および強度の減衰が抑えられることから、採光機能の低下を防止することができる。
一方、採光部材全体での、入射角度ごとの最大ピーク強度を示す出射角度±3°の範囲内にある出射光の換算強度が上記範囲よりも低いと、光が拡散されずプライバシー隠蔽性が確保できないことや、人の目に出射光が直達することによるグレアの影響が大きくなる場合がある。
まず、測定装置として、3次元変角分光測色システム(村上色彩技術研究所社製 GCMS11)を用い、入射面側に光源が、出射面側に受光器が位置するように、上記測定装置に本発明の採光部材を固定する。測定装置の設定は下記の通りとする。
・測定モード:透過測定モード
・入射角度:20°以上60°以下(入射面の法線方向に対する光の入射角度)
・受光角度:−70°〜+70°の範囲内(出射面の法線方向に対する光の出射角度)
・光源:D65
・視野:2°
・測定面積:受光角度が0°で約φ3mm、受光角度が77°で約3mm×13.3mm(楕円)
次に、採光部材の入射面に対し、光源から所定の入射角度で光を照射する。まず、光の入射角度として、20°以上60°以下の範囲内の1点を設定する。設定した入射角度から入射した光は、上記採光部材を介して出射面から出射される。このときの出射光を、上記受光角度の範囲内で、1°ごとに受光器を移動させながら受光し、各出射角度における出射光のピーク強度を測定する。そして、出射光のピーク強度が最大となるときの出射角度を特定する。特定した出射角度での出射光のピーク強度が、設定した入射角度における出射光の「最大ピーク強度」となる。続いて、上記特定した出射角度から±3°の範囲内で受光した出射光の、受光器で測定した測定強度について、上記最大ピーク強度を100%としたときの強度(換算強度)に換算する。
このとき、特定した出射角度±3°の範囲内のうち、出射光の測定強度が最も低下する出射角度、すなわち「特定した出射角度+3°」および「特定した出射角度−3°」での、最大ピーク強度に対する出射光の換算強度を求めることで、特定した出射角度±3°の範囲内にある全ての出射光についての、最大ピーク強度に対する換算強度の下限値を特定することができる。上記下限値が先に規定した強度の範囲内にあれば、特定した出射角度±3°の範囲内にある全ての出射光が、先に規定した強度の範囲内に換算強度を示すことになる。
なお、特定した出射角度±3°での、最大ピーク強度に対する出射光の換算強度値を、設定した入射角度から入射する光に対する光拡散率とする。
次に、入射角度として20°以上60°以下の範囲内の別の1点を設定し、同様の方法で測定を行う。例えば、入射角度は、20°以上60°以下の範囲内で10°ごとに設定して、設定された入射角度ごとに測定を行う。後述する本実施例では、入射角度は20°、30°、40°、50°、60°で設定した。
このように、入射角度を上記範囲内で変えながら、各入射角度について出射光が最大ピーク強度となる出射角度の特定と、特定した出射角度±3°の範囲内で受光した出射光の、最大ピーク強度に対する換算強度を求めることで、本発明の採光部材の光拡散性を判断することができる。本発明の採光部材は、20°以上60°以下の範囲内にある全ての入射角度に対して、最大ピーク強度を示す出射角度±3°の範囲内にある出射光の換算強度が上述の範囲内にあることで、所望の光拡散性が発揮される。
なお、光反射面の表面粗さや、光拡散構造の詳細については後述する。
本発明の採光部材は、光が入射する側の面である入射面と、光が出射する側の面であり且つ上記入射面に対向する面である出射面と、上記入射面および上記出射面間に、上記入射面および上記出射面と交差するように配置され、上記入射面から入射した光を上記出射面に向けて反射させる複数の光反射面と、を少なくとも有し、上述の光学特性を示す。
本発明における光反射面は、上記入射面および上記出射面間に、上記入射面および上記出射面と交差するように配置され、上記入射面から入射した光を上記出射面に向けて反射させる面である。上記光反射面は、入射光を高効率で反射することから、出射面からの出射光量を増加させることができ、また、光を所望の方向へ跳ね上げて出射させることができる。これにより、本発明の採光部材は、高採光性を発揮することが可能となる。
なお、上記光反射面が、上記入射面および上記出射面間に、上記入射面および上記出射面と交差する方向に配置されることを、「上記光反射面が上記入射面および上記出射面間に配置される」という。また、光反射面が上記入射面および上記出射面と交差するとは、後述する図4(b)で例示するように、光反射面もしくは上記光反射面の延長面が上記出射面および上記入射面と交差する場合も含む。
非接触式白色干渉計を用いる場合、測定範囲50μm×50μmで測定した3点平均値を算術平均粗さ(Ra)とすることができる。また、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる場合、JIS B0601:2001の規定に準じて23℃下でSEMにより光反射面の断面を観察し、得られた画像より界面輪郭線(粗さ曲線)を抽出し、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さLだけを抜き取り、抜き取り部分の平均線の方向をX軸、縦倍率の方向をY軸として粗さ曲線式y=f(x)で表したときに、JIS B0601:2001に規定される積分式に上記粗さ曲線式を当てはめて算出される値を算術平均粗さ(Ra)とすることができる。
中でも光反射面は、入射面に対して傾斜していることが好ましく、具体的には、上記光反射面の入射面に対する傾斜角度が、入射角度が40°以上で入射した光を、上記入射角度よりも小さい出射角度で出射させることが可能な角度であることが好ましい。入射角度よりも出射角度が小さくなるように光を跳ね上げることで、出射面に対して法線方向の広範囲で高採光性を発揮することが可能となるからである。
また、図3(a)で示すように、光反射面3は、入射面1に対する傾斜角度が異なる複数の面(3a〜3c)を有してもよく、図3(b)で示すように、光反射面3の一部が曲面(3d)を有し、上記曲面の接線が入射面1に対して傾斜していてもよい。なお、光反射面の入射面に対する傾斜角度とは、入射面に対して法線方向に軸をとり、90°から上記軸と光反射面または上記光反射面の延長線とが成す角度を引いた角度をいい、図2および図3(a)中のθsで示す部分である。光反射面の一部が曲面を有する場合は、上記傾斜角度は、90°から上記軸と光反射面の接線とが成す角度を引いた角度をいう。
中でも、光反射面は、傾斜角度が異なる面を複数有する多段階形状であることが好ましい。様々な入射角度で入射した光に対して、入射角度よりも出射角度が小さくなるように光を跳ね上げることができるからである。また、多段階形状とすることで、入射光を繰り返し反射して、所望の角度へ光を跳ね上げることができ、より出射角度を小さくすることができるからである。
上記多段階形状としては、2段階形状または3段階形状であることが好ましい。
中でも地面に対して入射面および出射面が直立するようにして本発明の採光部材を使用する際に、光反射面の入射面に対する傾斜角度θsが、天井側から地面側へ段階的に大きくなることが好ましい。光反射面の入射面に対する傾斜角度θsが小さいほど、より遠方まで光を進行させることができ、一方、光反射面の入射面に対する傾斜角度θsが大きい程、採光部材の直上付近へ光を進行させることが可能となるためである。
また、光反射面を金属膜等が形成された鏡面反射面としてもよい。
本発明における入射面は、採光部材において光が入射する側の面である。また本発明における出射面は、採光部材において光が出射する側の面であり、かつ上記入射面に対向する面である。採光部材の入射面および出射面は、本発明の採光部材の態様に応じて仮想面であってもよい。また、上述したように、採光部材の入射面または出射面は、上述の光学特性を発揮可能とする光拡散構造を有していてもよい。
本発明の採光部材は、通常、入射面および出射面の間に交差するように配置され、光反射面と対向する位置に対向面を有する。すなわち、本発明の採光部材は、入射面および出射面間に配置され、光反射面と対向する位置に対向面を有する。
対向面が異屈折率界面や鏡面反射面であれば、上記対向面も光反射面として機能させることができる。
本発明の採光部材の態様としては、上述した入射面、出射面、および光反射面を少なくとも備え、所定の光学特性を有する態様であれば特に限定されない。本発明の採光部材として、例えば、以下の態様が挙げられる。
すなわち、本発明の採光部材の第1態様は、上記採光部材が、光制御層と、上記光制御層の一方の面側に配置された光拡散層と、を有し、上記光制御層は、光の入射面および出射面と交差する方向に配置された複数の光透過部と、隣接する上記光透過部間に配置される複数の光偏向部とを有し、上記光透過部および上記光偏向部間の、光の入射面および出射面と交差する方向に位置する界面のうち、少なくとも一方が上記光反射面である採光フィルムである態様である。
つまり、本発明の採光部材の第1態様は、上記採光部材が、光制御層と、上記光制御層の一方の面側に配置された光拡散層と、を有し、上記光制御層は、上記入射面および上記出射面間に配置された複数の光透過部と、隣接する上記光透過部間に配置される複数の光偏向部とを有し、上記光透過部および上記光偏向部間の、上記入射面および上記出射面間に位置する界面のうち、少なくとも一方が上記光反射面である採光フィルムである態様である。
以下、本発明の採光部材の各態様について説明する。
本発明の採光部材の第1態様(以下、本項において「本態様」とする場合がある。)は、上記採光部材が、光制御層と、上記光制御層の一方の面側に配置された光拡散層と、を有し、上記光制御層は、光の入射面および出射面と交差する方向に配置された複数の光透過部と、隣接する上記光透過部間に配置される複数の光偏向部とを有し、上記光透過部および上記光偏向部間の、光の入射面および出射面と交差する方向に位置する界面のうち、少なくとも一方が上記光反射面である採光フィルムである。
上記採光フィルムは、光制御層側の面が本態様の採光部材の上記入射面(上記採光フィルムの光の入射面)であってもよく、光拡散層側の面が本態様の採光部材の上記入射面(上記採光フィルムの光の入射面)であってもよい。
本態様の採光部材10は、光制御層20と、光制御層20の光の出射面側に、基材層21を介して配置された光拡散層22Aと、を有する採光フィルムである。なお、光拡散層22Aについては、後述する。
図4で例示する光制御層20は、透明樹脂で構成される屈折率n1の光透過部11と、光透過部11の光の入射面1側に形成され、光の入射面1および出射面2と交差する方向、すなわち光透過部11の厚さ方向に形成された複数の溝部13と、複数の溝部13内に形成され、光透過部11と異なる屈折率n2を示す光偏向部12と、を有する。光透過部11は、隣接する光偏向部12間に位置する複数の光透過部11が連結してなる単一層の構造を有しており、このような光制御層の構造をルーバー型という。また、光偏向部12は、光透過部11を構成する透明樹脂よりも低屈折率の透明樹脂から成る樹脂層である。光透過部11の厚さ方向に位置する溝部13の側面fは、屈折率の異なる光透過部11および光偏向部12が接触するため異屈折率界面となり、そのうち少なくとも一方は光反射面3として機能する。
また、図示しないが、基材上に、図1で例示するように複数の光透過部および光偏向部を個々に有する採光部材も本態様に含まれる。
以下、本態様の採光部材について、構成ごとに説明する。
本態様における光拡散層は、光制御層の一方の面側に配置される層である。
ここで、光拡散層が「光制御層の一方の面側に配置される」とは、光制御層の一方の面上に光拡散層が直接配置されていてもよく、後述する基材層を介して配置されていてもよい。
光拡散層は、光制御層との併用により、採光部材全体で上述の透光性および光拡散性を示すことを可能とする光学特性を備えていれば特に限定されない。
具体的には、光拡散層は、ヘイズ値が30%以上であることが好ましく、中でも40%以上、特に45%以上であることが好ましい。光拡散層のヘイズ値が上記範囲を示すことで、光制御層において跳ね上げられて出射した出射光を空間全体に拡散させることができ、空間の明るさのコントラストを抑えて防眩効果を得ることができるからである。また、光拡散層のヘイズ値が高いことで、光拡散層による光の拡散効果によりプライバシー隠蔽性を向上させることができるからである。ヘイズ値は、自動ヘイズコンピューター HZ−2(スガ試験機)を用い、JIS K7136に準拠する方法で測定される値である。
上述の光学特性を発揮可能な光拡散層の態様としては、上述した光拡散構造を有する態様であればよく、例えば、光透過性を有する樹脂および光拡散粒子を含む第1態様、および光拡散層表面が所望の表面粗さを示す凹凸形状を有する第2態様が挙げられる。
以下、光拡散層の各態様について説明する。
本態様の光拡散層は、光透過性を有する樹脂および光拡散粒子を含む層である。本態様の光拡散層は、上記樹脂が母材となり、上記樹脂中に光拡散粒子が分散されており、光拡散粒子に当たった光を、光拡散粒子と樹脂との屈折率差により拡散させることができる。なお、光拡散粒子と樹脂との屈折率差により生じる光拡散を、内部拡散と称する場合がある。
具体的な樹脂としては、例えば、特開2014−115669号公報、特開2012−199176号公報、特開2011−186074号公報、特開2009−230155号公報、特開2005−241920号公報等で開示される、光拡散層に用いられる樹脂と同様とすることができる。
また、上記樹脂は、光透過性を有していれば無色であってもよく有色であってもよいが、無色であることが好ましい。
なお、上記可視光線透過率は、赤外可視紫外分光光度計((株)島津製作所社製 UV3100PC)を使用し、JIS A5759:2008に従い380nm〜780nmの波長域における分光透過率測定し、同規格に規定される算出式により算出される。本明細書内において規定される可視光線透過率は、同様の測定方法で測定される値である。
光拡散粒子の平均粒径が上記範囲よりも大きいと、光の後方散乱が支配的に生じやすくなり、一方、上記範囲よりも小さいと、光拡散粒子による内部拡散が生じにくくなり、光拡散層が所望の機能を発揮できない場合があるからである。
上記平均粒径は、個々の光拡散粒子が分散している場合は一次粒子径を意味し、個々の光拡散粒子が凝集している場合は二次粒子径を意味する。光拡散粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される。
なお、光拡散粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中、光拡散粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
光拡散粒子および樹脂のそれぞれの屈折率については、上述の屈折率比を満たせば、特に限定されず、光拡散粒子の屈折率は、樹脂の屈折率よりも大きくてもよく、小さくてもよい。
光拡散層の凹凸形状面の10点平均粗さRzは、JIS B0601:1994に基づいて測定された値であり、被測定物の断面曲線から基準長さを抜き取った部分の平均線に対し、最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差の値である。なお、以下、10点平均粗さRzは、上記方法と同様の方法で測定された値とする。
上記光拡散層用組成物は、必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。例えば、溶剤として、光制御層等の光拡散層を設ける層の材料に対して浸透性のある浸透性溶剤を用いることで、光制御層等の表面に光拡散粒子が埋没されてなる、凹凸形状面を有する光拡散層を形成することができる。
光拡散層用組成物の塗膜の硬化方法としては、塗膜中の樹脂の種類に応じて適宜選択することができ、例えば紫外線や電子線等の電離放射線を照射する方法等が用いられる。塗膜の硬化に際し、塗膜に溶剤が含まれる場合は、乾燥等により溶剤を除去してから塗膜を硬化させることが好ましい。
光拡散層の第2態様(以下、本項において本態様とする場合がある。)は、光拡散層表面が所望の表面粗さを示す凹凸形状を有する。
なお、本態様の光拡散層の厚さの測定方法は、第1態様の光拡散層の厚さの測定方法と同様の方法が用いられる。
表面処理方法としては、プラズマ処理、コロナ放電処理、UVオゾン処理等の従来公知の方法を用いることができる。
光拡散層の配置位置としては、光制御層の一方の面側に配置されていればよい。ここで、光拡散層が光制御層の一方の面側に配置されるとは、光制御層の一方の面上に直接配置されていてもよく、後述するように光制御層の一方の面上に基材層が配置されている場合は、上記基材層上に配置されていてもよい。
また、光制御層の一方の面側とは、光制御層の光の入射面側であってもよく、光の出射面側であってもよい。光制御層の光の入射面とは、光制御層の表面のうち、採光部材の入射面側に位置する面である。また、光制御層の光の出射面とは、光制御層の表面のうち、採光部材の出射面側に位置する面である。中でも、上記光拡散層は、光制御層よりも光の出射面側に位置することが好ましい。すなわち、上記光拡散層は、上記光制御層よりも上記採光部材の上記出射面側に位置することが好ましい。入射面側に光拡散層を設ける場合、入射光が入射面付近で散乱されてしまうため、出射面側から出射されない散乱光や、光反射面に到達しない光や、光反射面の臨界角を超える入射角度で光が到達することで、光反射面で反射されて出射面側から出射される光量が減少し、採光量が低下する場合や、出射光の強度が低下し、所望の採光効果が得られない場合があるからである。
光拡散層が光制御層と一体であるとは、光拡散層と光制御層との界面が無いこと、すなわち、光制御層の溝部を有する面と対向する面(以下、非溝部側表面とする場合がある。)に「(b)光拡散層の態様 (i)第1態様」の項で説明した光散乱粒子が存在する態様、光制御層の非溝部側表面が「(b)光拡散層の態様 (ii)第2態様」の項で説明した凹凸形状を有する態様であることをいう。光制御層の非溝部側表面に光散乱粒子が存在するとは、非溝部側表面に光散乱粒子の一部または全部が埋没されていることをいう。
光拡散層が基材層と一体であるとは、基材層と光拡散層との界面が無いこと、すなわち、基材層が「(b)光拡散層の態様 (i)第1態様」の項で説明した光散乱粒子を含む態様、基材層の光制御層側の面と対向する面が「(b)光拡散層の態様 (ii)第2態様」の項で説明した凹凸形状を有する態様であることをいう。基材層が光散乱粒子を含むとは、基材層内に光散乱粒子が分散されている、または、基材層表面に光散乱粒子の一部が突出していることをいう。基材層については後述する。
図7は、本態様の採光部材(採光フィルム)において、光拡散層と基材層とが一体である態様(光拡散機能つき基材層24を有する態様)の一例を示す。
本態様における光制御層としては、基材層上に図1で示すように光反射面3を有する光偏向部4が複数並列し、隣接する光偏向部4間に光透過部(空気層5)を複数有する構造や、ルーバー型の構造が挙げられる。ルーバー型の構造とは、透明樹脂で構成される光透過部と、上記光透過部の一方の面上に、光の入射面および出射面と交差する方向に形成された複数の溝部と、複数の上記溝部内に形成され、上記光透過部と異なる屈折率を示す光偏向部と、を有する構造である。
なお、ルーバー型の構造においては、光透過部は隣接する光偏向部間に位置する複数の光透過部が連結してなる単一層の構造を有する。また、ルーバー型の構造において、「上記光透過部の一方の面上に、光の入射面および出射面と交差する方向に形成された複数の溝部」とは、「上記光透過部の一方の面上に形成された、上記光反射面を有する複数の溝部」と言い換えることができる。
中でも、光制御層自体をシート状とすることができることから、光制御層がルーバー型であることが好ましい。
以下、ルーバー型の光制御層について説明する。
本態様における上記溝部は、光透過部の一方の面上に、光の入射面および出射面と交差する方向に形成される。つまり、上記溝部は、光透過部の一方の面上に形成され、上記光反射面を有する。
光透過部の光の入射面および出射面と交差する方向とは、すなわち、上記採光部材の上記入射面および上記出射面と交差する方向である。
通常は、上記溝部は、上記光透過部の光の入射面側の表面上に形成される。
なお、「溝部の側面」とは、光透過部と光偏向部との界面のうち、光の入射面および出射面と交差する方向(光透過部の厚さ方向)に伸長する界面を指し、図4(b)、図5〜図8においてfで示す部分である。
なお、溝部の幅とは、すなわち光偏向部の幅を意味し、例えば図4(b)においてaで示す部分である。
溝部の深さは、光透過部の溝部開口を含む面から溝部の先端までの長さ、すなわち光偏向部の厚さを意味し、例えば図4(b)においてbで示す部分である。
光透過部を構成する透明樹脂としては、後述する光透過率を示す光透過部の形成が可能な高い光透過性を有し、光偏向部と異なる屈折率を示す樹脂であれば特に限定されないが、溝部の形状安定性の観点から硬化樹脂で構成されることが好ましい。硬化樹脂としては、例えば熱硬化樹脂、電離放射線硬化樹脂が挙げられ、中でも汎用性、硬化性、光透過性の観点から、電離放射線硬化樹脂が好ましく、特に紫外線硬化樹脂が好ましい。
具体的な透明樹脂としては、例えば、特開2014−215580号公報で開示される光透過性材料として用いられる樹脂、特開2014−137441号公報で開示される光透過部に用いられる熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂の硬化物が挙げられる。
中でも、光透過部の屈折率が上記光偏向部よりも高屈折率であることが好ましい。本態様の採光部材において、光透過部から入射する光の割合が多いため、高屈折率である光透過部から、低屈折率である光偏向部へ光を進行させることで、光反射面において光の全反射が生じることとなる。これにより、光反射面において跳ね上げられる光の量を増加させることができるからである。
光透過部の具体的な屈折率としては、1.50〜1.80の範囲内であることが好ましく、特に1.55〜1.65の範囲内であることが好ましい。光透過部の屈折率は、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて測定される波長589nmでの値とする。
光透過部の厚さとは、光透過部の溝部が形成された側の面から、その対向面までの長さをいい、すなわち光制御層の厚さをいう。
本態様における光偏向部は、上記複数の溝部内に形成される。
上記光偏向部は、図4〜図7で例示するように樹脂層であってもよく、図8で例示するように、溝部内の空気層であってもよい。
以下、光偏向部について、樹脂層と、空気層とに分けて説明する。
光偏向部が樹脂層である場合、樹脂層を構成する樹脂としては、光透過性を有し、光透過部と異なる屈折率を示す樹脂であればよく、例えば電離放射線硬化樹脂を挙げることができる。中でも紫外線硬化樹脂および電子線硬化樹脂が好ましい。具体的な樹脂については、「(b)光透過部」と同様とすることができる。
また、上記樹脂層は、「(b)光透過部」の項で説明した任意の添加剤を含んでいてもよい。
光偏向部が空気層である場合、空気の屈折率は通常1.0程度であり、上述した光透過部脂の屈折率よりも低いことから、溝部の2つの側面に相当する光透過部および光偏向部の2つの界面を異屈折率界面とし、一方の上記異屈折率界面を光反射面とすることができる。また、空気層とすることで、光偏向部は高い光透過性を有することができる。
上記光偏向部の幅、厚さ、形状および配置間距離については、上述した溝部の幅、深さ、形状および溝部間距離と同様とすることができる。
光透過部と光偏向部との屈折率差としては、大きいほど好ましい。屈折率差が大きいほど、採光部材に対する光の入射角度が大きい場合であっても、光反射面を含む異屈折率界面にて光を効率よく反射させることが可能になるからである。
光透過部と光偏向部との具体的な屈折率差としては、0.03以上、特に0.05以上であることが好ましい。屈折率差が上記範囲に満たないと、入射光の角度が高くなったときに光反射面を含む異屈折率界面にて光を効率よく反射させることができなくなる。また、全反射の波長分散が発生した際に、長波長成分が全反射せず、短波長成分のみが全反射することがあり、採光の色彩に変化が発生する場合があるからである。
本態様における光制御層が、後述する基材層上に図1で示すような光反射面を有する光偏向部が複数並列し、隣接する光偏向部間に光透過部を複数有する構造である場合、光偏向部および光透過部の材料や配置は、上述したルーバー構造における光偏向部および光透過部の材料や配置と同様とすることができる。
本態様の採光部材は、光制御層の一方の面上に基材層が配置されていてもよい。光制御層を支持し、採光フィルムの機械的強度を向上させることができるからである。中でも基材層は、光制御層の溝部が形成された側の面と対向する面上に配置されることが好ましい。
基材層の光透過率や厚さ等については、特に限定されない。
また、基材層には、光拡散層に用いられる光拡散粒子が含有されていてもよい。
本態様の採光部材は、粘着層、ハードコート層、平坦化層等を有していてもよい。なお、これらの層は光散乱層上に設けないことが好ましい。光散乱層の態様によっては、本態様の採光部材の光学特性が損なわれる場合があるからである。
本発明の採光部材の第2態様(以下、本項において「本態様」とする場合がある。)は、上記採光部材が、第1ガラス層と、第1封止部と、光制御層と、第2封止部と、および第2ガラス層と、をこの順で有し、上記光制御層は、第1態様の採光部材における光制御層と同様であり、上記第1ガラス層または上記第2ガラス層の一方の面上には、上記光拡散層が配置された合わせガラスである態様である。
上記合わせガラスは、第1ガラス層側の面が本態様の採光部材の上記入射面(上記合わせガラスの光の入射面)であってもよく、第2ガラス層側の面が本態様の採光部材の上記入射面(上記合わせガラスの光の入射面)であってもよい。
本態様の採光部材10は、第1ガラス層41、第1封止材42、光制御層20、第2封止材43、および第2ガラス層44がこの順で積層されており、第1ガラス層41側を採光部材10の入射面側とする。また、第2ガラス層44の表面上には、光拡散層22Aが配置されている。
光制御層20、および光拡散層22Aについては、図4で例示したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本態様における光拡散層は、上記第1ガラス層または上記第2ガラス層(以下、「ガラス層」と略する場合がある。)の一方の面上に配置される層である。
本態様における光拡散層の態様および光学特性については、「1.採光部材の第1態様」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、上記光拡散層が上記光制御層よりも光の出射面側に位置することが好ましい。その理由についても「1.採光部材の第1態様」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本態様における光制御層については、「1.採光部材の第1態様」の項で説明した光制御層と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。中でも、光制御層は、透明樹脂で構成される光透過部と、上記光透過部の一方の面上に、光の入射面および出射面と交差する方向に形成された複数の溝部と、複数の上記溝部内に形成され、上記光透過部と異なる屈折率を示す光偏向部と、を有することが好ましい。その理由および好適な配置態様については、「1.採光部材の第1態様」の項で説明した内容と同様である。
なお、上記光制御層における「上記光透過部の一方の面上に、光の入射面および出射面と交差する方向に形成された複数の溝部」とは、「上記光透過部の一方の面上に形成された、上記光反射面を有する複数の溝部」と言い換えることができる。
本態様における第1ガラス層および第2ガラス層は、光制御層を挟持する部材である。第1ガラス層および第2ガラス層は、透明であり、高い光透過性を有する。第1ガラス層および第2ガラス層に用いられるガラスの材質としては、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス等の無機ガラス、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等の有機ガラス、無機・有機ハイブリットガラス等が挙げられる。
光拡散層が第1ガラス層または上記第2ガラス層の一方と一体であるとは、ガラス層と光拡散層との界面が無いこと、すなわち、ガラス層自体が光拡散機能を有する。具体的には、第1ガラス層または上記第2ガラス層の一方に、「1.採光部材の第1態様」の項で説明した光散乱粒子が含まれる態様、第1ガラス層または上記第2ガラス層の一方の面が、「1.採光部材の第1態様」の項で説明した所望の凹凸形状を有する態様であることをいう。
このような光拡散層と一体化したガラス層として用いられるガラスの種類としては、例えば、すりガラス、フロストガラス、型板ガラス等が挙げられる。
本態様における第1封止部および第2封止部(以下、「封止部」と略する場合がある。)は、第1ガラス層と光制御層との間、および第2ガラス層と光制御層との間を封止する部材である。
本態様において、第1封止部および第2封止部は、光透過性を有する。
本態様の採光部材は、一般に合わせガラスに用いられる任意の層を有していてもよい。
また、本態様の採光部材は、合わせガラスとして単独で用いることもでき、また、一対のガラス間に中空層を設けた複層ガラスにおける上記一対のガラスのうち少なくとも一方として用いることもできる。
採光部材として、以下の手順で、ルーバー型の光制御層を有する採光フィルムを形成した。
(光硬化性プレポリマー(P1)の調整)
まず、ビスフェノールAエチレンオキシド、キシリレンジイソシアネート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、およびビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)を質量比で30:15:50:5:0.02となるように混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P1)を得た。
ビスフェノールAエチレンオキシド、イソホロンジイソシアネート、フェノキシエチルアクリレート、ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)を質量比で30:20:50:0.02となるように混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P2)を得た。
次に、光硬化性プレポリマー(P1)を30重量部、光硬化性プレポリマー(P2)を30重量部、反応性希釈モノマー(M1)としてフェノキシエチルアクリレートを10重量部、反応性希釈モノマー(M2)としてビスフェノールAエチレンオキシドを30重量部、金型離型剤(S1)としてテトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステルを0.03重量部、金型離型剤(S2)としてステアリルアミンエチレンオキシド15モル付加物0.03重量部、光重合開始剤(I1)として1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を3重量部を混合し、均一化して、光透過部用組成物を得た。
この光透過部用組成物を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀により800mJ/cm2の紫外線を照射して塗膜を硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、波長589nmでの屈折率を測定したところ、1.550であった。
光拡散層として、一方の表面に凹凸形状を有する厚さ120μmのマットフィルム(商品名:PET100FSM−50−H25、東洋包材社製)を用いた。このマットフィルムは、光拡散層と基材層とが一体化したものであり、ヘイズ値は30%であった。
光透過部の作製に供される金型ロールを作製した。金型ロールは円柱状であり、銅メッキが施され、当該銅メッキ部分をバイトにより切削して光透過部に対応する複数の溝を形成した。バイトとしてはダイヤモンドバイトを用いた。ロール軸方向に所定のピッチで金型ロールの銅メッキ層の外周を切削し、この切削したロールをクロムメッキした。
上記で作製した金型ロールとニップロールとの間に上記光拡散層を搬送した。この光拡散層の搬送に合わせ、上記光透過部用組成物を光拡散層の凹凸形状面と反対側の面上に供給し、金型ロールおよびニップロール間の押圧力により、基材層と金型ロールとの間に光透過部用組成物を充填した。その後、基材層側から高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して光透過部用組成物を硬化させて、光透過部を形成した。その後、剥離ロールにより、金型ロールから光透過部を離型し、上記光透過部の一方の面側に形成された複数の溝部内の光偏光部が空気層である光制御層を、光拡散層の凹凸形状面と反対側の面上に形成した。
得られた光制御層は、図4(b)に示す断面形状を有し、光偏向部(溝部)の幅(図4(b)におけるa)は32.1μm、光偏向部(溝部)の深さは(図4(b)におけるb)は165μm、光偏向部(溝部)の配置間距離(図4(b)におけるc)は26.9μmであった。
アクリル系樹脂の粘着剤(商品名:SKダイン2094、綜研化学株式会社、固形分25.0%、酢酸エチルおよびメチルエチルケトンの混合溶媒)を100重量部と、架橋剤(E−5XM、L−45、綜研化学株式会社、固形分5.0%)を0.28質量%と、1,2,3−ベンゾトリアゾールを0.25重量部と希釈剤(トルエン/メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=27.69g/27.69g/4.61g)を32.0重量部と、を混合して接着層用組成物を得た。
上記接着層用組成物を離型フィルム(商品名:E7007、東洋紡績社製、厚さ38μm)上に塗布して乾燥させ、上記光制御層の溝部開口を有する面と貼り合わせ、採光フィルムを得た。
光拡散層として、ヘイズ値が50%のマットフィルム(光拡散層−基材層の一体型、厚さ120μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして採光フィルムを得た。
光拡散層として、ヘイズ値が80%のマットフィルム(光拡散層−基材層の一体型、厚さ120μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして採光フィルムを得た。
光拡散層にかえて、厚さ100μmのPETフィルム(A4100、光透過率92%、東洋紡株式会社製)の基材層のみを用い、光透過部の一方の面側に形成された複数の溝部内に、空気層の代わりに、下記組成の光偏向部構成組成物を充填し硬化させて光偏光部を形成したこと以外は、実施例1と同様にして採光フィルムを得た。
(光偏向部構成組成物)
光硬化性プレポリマー(P3)としてウレタンアクリレートを42重量部、光硬化性プレポリマー(P4)としてエポキシアクリレートを18重量部、反応性希釈モノマー(M3)としてトリプロピレングリコールジアクリレートを35重量部、反応性希釈モノマー(M4)としてメトキシトリエチレングリコールアクリレートを5重量部、光拡散粒子(D1)として二酸化チタンP25(平均粒径21nm、日本アエロジル株式会社製)を5重量部、光重合開始剤(I1)として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を7重量部、それぞれ混合して均一化して、光偏向部構成組成物を調製した。
なお、この光偏向部構成組成物の光拡散粒子を除いた成分を厚さ100μmとなるように塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、589nmの屈折率を測定したところ、1.490であった。
基材層にかえて、実施例1のマットフィルムを光拡散層として用いたこと以外は、比較例1と同様にして採光フィルムを得た。
基材層にかえて、実施例3のマットフィルムを光拡散層として用いたこと以外は、比較例1と同様にして採光フィルムを得た。
実施例1〜3および比較例1〜3により得られた採光フィルムについて、以下の各評価を行った。
全光線透過率の測定および光拡散性評価の実施に際し、採光フィルムの入射面は、採光フィルムの表面のうち、光制御層の溝部開口を有する面側に位置する面(採光フィルムの接着層側表面)とした。
得られた採光フィルムについて、ヘイズメーターHR100(株式会社村上色彩技術研究所製 JIS K7136:1999準拠法)を用いて測定した。
得られた採光フィルムについて、以下の方法により拡散性評価を行った。
3次元変角分光測色システムGCMS11(村上色彩技術研究所)を用いて、採光フィルムに対して入射角度が20°から60°の範囲内で光を入射し、各入射角度で入射した光に対して、天井方向の跳ね上げた光のピーク強度が最大となる出射角度(最大ピーク出射角度)を特定した。測定の条件および方法については、「I.光学特性 B.光拡散性」の項で説明した条件および方法と同様とし、本評価では入射角度は20°、30°、40°、50°および60°として測定した。各入射光における出射光の最大ピーク強度を100%とし、最大ピーク出射角度±3°にて受光される出射光の測定強度を、最大ピーク強度(100%)に対する換算強度に換算して、各入射光に対する光拡散率とした。各入射角度について求めた光拡散率の中で最小値を、20°以上60°以下の入射角度に対する採光フィルムの光拡散率として表1に示す。
実施例1〜3および比較例1〜3で得られた採光フィルムを窓に貼付し、その後ろに被写体を窓から10cmの間隔を空けて設置し、主観評価にて、被写体の輪郭が判別可能なレベルを○、判別不可能なレベルを×とした。被写体は造花を使用し、画像は採光フィルムから45cm離れた距離からカメラで撮影した。また、主観評価は、屋内側から採光フィルム付き窓を介して屋外側にある被写体を観測する場合と、屋外側から採光フィルム付き窓を介して屋内側にある被写体を観測する場合との2方向からの観察により行った。
被写体の輪郭が判別不可能なレベルとは、造花の花びらの輪郭を認識できないと感じるレベルとした。
一方、上記光拡散率が40%以下であった比較例1では、被写体の輪郭が判別でき、プライバシー隠蔽性を向上させることができなかった。また、全光線透過率が80%以上を満たない比較例1〜3では、十分な採光性が得られなかった。
1 … 入射面
2 … 出射面
3 … 光反射面
4、12 … 光偏向部
20 … 光制御層
22A、22B、22C … 光拡散層
Claims (6)
- 光が入射する側の面である入射面と、
光が出射する側の面であり且つ前記入射面に対向する面である出射面と、
前記入射面および前記出射面間に配置され、前記入射面から入射した光を前記出射面に向けて反射させる複数の光反射面と、
を少なくとも有する採光部材であって、
前記採光部材は、全光線透過率が80%以上であり、且つ、
前記入射面から20°以上60°以下の入射角度で光を入射して前記出射面から出射した出射光の強度を測定し、それぞれの前記入射角度に対応する前記出射光の強度が最大となる出射角度を特定し、前記出射角度での前記出射光の最大ピーク強度を100%としたときの前記出射角度±3°の範囲内にある前記出射光の強度が40%以上、90%以下であり、
前記出射面に光拡散構造を備える光拡散層をさらに有し、
前記採光部材が、光制御層と、前記光制御層の一方の面側に配置された前記光拡散層と、を有する採光フィルムであり、
前記光制御層は、透明樹脂で構成される光透過部と、前記光透過部の一方の面上に形成された、前記光反射面を有する複数の溝部と、
複数の前記溝部内に形成され、前記光透過部の屈折率よりも低い屈折率を示す光偏向部と、を有し、
前記光透過部を構成する前記透明樹脂が硬化樹脂であり、前記光透過部の屈折率が1.55〜1.65の範囲内であり、
前記光偏向部が樹脂層であり、
前記光反射面が平滑性を有し、前記光反射面の算術平均粗さ(Ra)が200nm以下であることを特徴とする採光部材。 - 前記光拡散層が前記光制御層よりも光の出射面側に位置することを特徴とする請求項1に記載の採光部材。
- 前記光制御層の一方の面上には基材層が配置されており、
前記光拡散層が、前記基材層と一体であることを特徴とする請求項2に記載の採光部材。 - 光が入射する側の面である入射面と、
光が出射する側の面であり且つ前記入射面に対向する面である出射面と、
前記入射面および前記出射面間に配置され、前記入射面から入射した光を前記出射面に向けて反射させる複数の光反射面と、
を少なくとも有する採光部材であって、
前記採光部材は、全光線透過率が80%以上であり、且つ、
前記入射面から20°以上60°以下の入射角度で光を入射して前記出射面から出射した出射光の強度を測定し、それぞれの前記入射角度に対応する前記出射光の強度が最大となる出射角度を特定し、前記出射角度での前記出射光の最大ピーク強度を100%としたときの前記出射角度±3°の範囲内にある前記出射光の強度が40%以上、90%以下であり、
前記出射面に光拡散構造を備える光拡散層をさらに有し、
前記採光部材が、第1ガラス層と、第1封止部と、光制御層と、第2封止部と、および第2ガラス層と、をこの順で有し、
前記第1ガラス層または前記第2ガラス層の一方の面上には、前記光拡散層が配置された合わせガラスであり、
前記光制御層は、透明樹脂で構成される光透過部と、前記光透過部の一方の面上に形成された、前記光反射面を有する複数の溝部と、
複数の前記溝部内に形成され、前記光透過部の屈折率よりも低い屈折率を示す光偏向部と、を有し、
前記光透過部を構成する前記透明樹脂が硬化樹脂であり、前記光透過部の屈折率が1.55〜1.65の範囲内であり、
前記光偏向部が樹脂層であり、
前記光反射面が平滑性を有し、前記光反射面の算術平均粗さ(Ra)が200nm以下であることを特徴とする採光部材。 - 前記光拡散層が前記光制御層よりも光の出射面側に位置することを特徴とする請求項4に記載の採光部材。
- 前記光拡散層が、前記第1ガラス層または前記第2ガラス層と一体であることを特徴とする請求項5に記載の採光部材。
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