JP6276624B2 - 高分子アクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は、柔軟性および伸張率に優れ、低電界であっても駆動が可能であり、かつ低ブリードアウト性を有する高分子アクチュエータに関する。
高分子材料で形成された高分子アクチュエータは、セラミックや金属などの材料で形成されたアクチュエータと比較すると、軽量であり、柔軟性に富むという特徴がある。これらの特徴により、高分子アクチュエータは、センサ、光学スイッチ、ダイヤフラム、点字
ディスプレイ、波力発電や踵発電などの発電用途、産業用や介護用のロボット、医療機器
などの用途に用いられる、人間が直接、肌で触れても安全に動作することができるアクチュエータとして注目されている。これまでに高分子アクチュエータとして提案されてきたものには、イオン交換膜、導電性高分子、誘電性エラストマー、高分子ゲル、ハイドロゲル、カーボンナノチューブを用いたものなど様々なものがあった。
しかしながら、イオン交換膜、導電性高分子、ハイドロゲルからなるアクチュエータは水やイオンなどの移動により駆動するものであり、空気中での駆動が困難であった。そこで、そのような溶媒の必要のない誘電性エラストマーを用いた高分子アクチュエータが提案されている。しかしながら、誘電エラストマーを用いた高分子アクチュエータは、変形のための駆動電圧が数千V程度と高いため、実用化には更なる駆動電圧の低下が求められていた。
このため、空気中で駆動可能となる新たな高分子材料として、ポリウレタンエラストマーなどのエラストマーに、材料としてのポリオールとして誘電性のものや比較的強い双極子モーメントを有する置換基を有するものを使用したり、高誘電性溶媒を添加したりすることによって得られる高分子アクチュエータが提案された(特許文献1〜3)。
特許文献1には、誘電性のポリオール又は比較的強い双極子モーメントを有する置換基を持つポリオールを有するポリウレタン・エラストマーであって、前記ポリウレタン・エラストマーに直流電場を印加することによって、前記ポリオールが電場方向に配向することを特徴とするポリウレタンエラストマー・アクチュエータが記載されている。しかしながら、使用材料の分子量などの最適化により柔軟性は向上するものの、高誘電率化は図れず、低電界駆動に限界があるという問題があった。
特許文献2には、誘電性のポリウレタン・エラストマーまたは比較的強い双極子モーメントを有する置換基を持つポリウレタン・エラストマーに、誘電性の溶媒を含ませたポリウレタンゲル状物であって、直流電場を印加することによって誘電性の分子あるいは置換基が電場方向に配向し、ゲルの構造が異方的に変化することを特徴とする高速応答ポリウレタンゲル・アクチュエータが記載されている。しかしながら、高誘電性溶媒の使用によって、柔軟性は向上し、低電界駆動はある程度達成できるものの、マトリックスと可塑剤の相溶性が低く、ブリードアウトが発生するという問題があった。
特許文献3には、分子中にヘテロ原子を有するエラストマーと、分子中にヘテロ原子を有し該エラストマーと相溶な高誘電率液状化合物と、を含むエラストマー組成物を架橋してなる、アクチュエータ、センサ等のトランスデューサに好適な誘電膜が記載されている。しかしながら、高誘電性溶媒の使用によって、柔軟性は向上し、低電界駆動はある程度達成できるものの、マトリックスと可塑剤の相溶性が低く、ブリードアウトが発生するという問題があった。
従って、柔軟性および伸張率に優れ、低電界であっても駆動が可能であり、かつ低ブリードアウト性を有する、誘電性エラストマーを用いた高分子アクチュエータが求められている。
特開平6‐85339号公報 特開平6‐85338号公報 特開2010‐219380号公報
本発明は、上記のような従来の高分子アクチュエータの有する問題点を解決し、柔軟性および伸張率に優れ、低電界であっても駆動が可能であり、かつ低ブリードアウト性を有する高分子アクチュエータを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリイソシアネート成分、活性水素成分および触媒を含有するポリウレタンエラストマー組成物から形成されるポリウレタンエラストマーから構成される高分子アクチュエータにおいて、上記ポリウレタンエラストマー組成物に、分子内に1つの活性水素基を含有するモノオール化合物を使用し、かつ上記モノオール化合物濃度および上記ポリウレタンエラストマーのゲル分率を特定範囲内に規定することによって、柔軟性および伸張率に優れ、低電界であっても駆動が可能であり、かつ低ブリードアウト性を有する高分子アクチュエータを提供し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ポリイソシアネート成分、活性水素成分および触媒を含有するポリウレタンエラストマー組成物から形成されるポリウレタンエラストマーから構成される高分子アクチュエータであって、
該ポリウレタンエラストマー組成物が、分子内に1つの活性水素基を含有するモノオール化合物を、濃度0.20〜1.00meq/gで含有し、
該ポリウレタンエラストマーがゲル分率30%以上を有する
ことを特徴とする高分子アクチュエータに関する。
更に、本発明を好適に実施するためには、
上記モノオール化合物が、n‐プロピル基、シアノ基およびニトロ基から成る群から選択される少なくとも1つの官能基を有し;
上記ポリウレタンエラストマーが、上記分子内に1つの活性水素基を含有するモノオール化合物とポリイソシアネート成分とを反応させて得られたウレタン基含有化合物と、上記活性水素成分とポリイソシアネート成分とを反応させて得られたイソシアネート末端化合物との混合物を、上記活性水素成分と反応させることによって得られる;
ことが望ましい。
本発明の別の態様として、ポリイソシアネート成分、分子内に2つ以上の活性水素基を含有する活性水素成分、分子内に1つの活性水素基を含有するモノオール化合物および触媒を含有するポリウレタンエラストマー組成物から形成されるポリウレタンエラストマー成形品から構成される高分子アクチュエータの製造方法であって、
分子内に1つの活性水素基を含有するモノオール化合物とポリイソシアネート成分とを反応させ、ウレタン基含有化合物Aを調製する工程、
分子内に2つ以上の活性水素基を含有する活性水素成分とポリイソシアネート成分とを反応させ、イソシアネート末端化合物Bを調製する工程、
該化合物AおよびBを混合して混合物を形成する工程、および
該混合物を、該触媒の存在下に該活性水素成分と反応させ、ポリウレタンエラストマー成形品を形成する工程
を含む高分子アクチュエータの製造方法がある。
更に、本発明を好適に実施するためには、
上記モノオール化合物の濃度が0.20〜1.00meq/gであり;
上記モノオール化合物が、n‐プロピル基、シアノ基およびニトロ基から成る群から選択される少なくとも1つの官能基を有する;
ことが望ましい。
本明細書中で用いられる「モノオール化合物の濃度」とは、ポリウレタンエラストマーを製造する際の組成物の仕込み量から計算した、ポリウレタンエラストマー1g中のモノオール化合物の当量(meq)である。
本発明によれば、ポリイソシアネート成分、活性水素成分および触媒を含有するポリウレタンエラストマー組成物から形成されるポリウレタンエラストマーから構成される高分子アクチュエータにおいて、上記ポリウレタンエラストマー組成物に、分子内に1つの活性水素基を含有するモノオール化合物を使用し、かつ上記モノオール化合物濃度および上記ポリウレタンエラストマーのゲル分率を特定範囲内に規定することによって、柔軟性および伸張率に優れ、低電界であっても駆動が可能であり、かつ低ブリードアウト性を有する高分子アクチュエータを提供することを可能としたものである。
高分子アクチュエータに電圧印加する前後の高分子アクチュエータの状態を説明する断面模式図である。
高分子アクチュエータの動作原理を、図1を参照して、以下に説明する。図1の左側に示すのが電圧を印加する前の高分子アクチュエータ1であり、フィルム状に成形されたポリウレタンエラストマー3の両面に電極2が形成されている。図1の右側に示すように、上記電極2に電圧を印加すると、それぞれの電極2における正と負の電荷が引き合い、クーロン力によって、ポリウレタンエラストマー3が圧縮され厚さが減少し、ポリウレタンエラストマー3が面方向に伸張する。
この際に発生する力Pとして、厚さ方向の発生力Pzと面方向の発生力Pxy、伸張率Sとして、厚さ方向の伸張率Szと面方向の伸張率Sxyは以下の通りである。

Figure 0006276624
ε:真空の誘電率
ε:ポリウレタンエラストマーの比誘電率
E:電界強度
E=V/d(V:電圧、d:厚さ)
ν:ポアソン比
ν=Sxy/S=Pxy/P
Y:ポリウレタンエラストマーの弾性率
従って、上記式から、高い伸張率Sを達成するためには、高い電界強度E(=V/d)、ポリウレタンエラストマーの高い比誘電率および低い弾性率などが必要であることがわかる。本発明の課題である低電界駆動を達成するためには、駆動電圧Vを低減することが必要となる。
本発明の高分子アクチュエータは、前述のように、ポリイソシアネート成分、活性水素成分および触媒、更に分子内に1つの活性水素基を含有するモノオール化合物を含有するポリウレタンエラストマー組成物(混合液)を反応、硬化させて得られるポリウレタンエラストマーから構成され、顔料、難燃剤、着色防止剤などの添加剤も使用することができる。
本発明の上記ポリウレタンエラストマー組成物に用いられるイソシアネート成分としては、ポリウレタンの分野において公知の化合物を特に限定なく使用できる。例えば、2,4‐トルエンジイソシアネート、2,6‐トルエンジイソシアネート、2,2’‐ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’‐ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’‐ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5‐ナフタレンジイソシアネート、p‐フェニレンジイソシアネート、m‐フェニレンジイソシアネート、p‐キシリレンジイソシアネート、m‐キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、2,2,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6‐ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4‐シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’ ‐ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。また、前記イソシアネートは、ウレタン変性、アロファネート変性、ビウレット変性、およびイソシアヌレート変性等の変性化したものであってもよい。
上記ポリイソシアネート成分の市販品として、三井化学株式会社製の「コスモネート T−80」、「コスモネート T−100」、BASF IONIC ポリウレタン株式会社製の「ルプラネート T−80」などが挙げられる。
上記活性水素成分としては、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール等の高分子ポリオールを好適に用いることができる。また、ポリオールは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記ポリエステル系ポリオールとしては、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸からなるポリオール、および、その共重合体または、ε−カプロラクトンを開環重合したカプロラクトンポリオール、カルボン酸成分とグリコール成分からなる共重合体が挙げられる。
上記ポリエーテル系ポリオールとしては、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体および、ポリアクリロニトリル系粒子および、ポリスチレン粒子を含有するポリオール(POP)等が挙げられる。
上記ポリカーボネート系ポリオールとしては、ポリ(ヘキサンジオールカーボネート)、ポリ(ノナンジオールカーボネート)等が挙げられる。
上記ポリブタジエン系ポリオールとしては、ブタジエンホモポリマー、イソプレンホモポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマー、ブタジエン−イソプレンコポリマー、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、ブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレートコポリマー、ブタジエン−n−オクタデシルアクリレートコポリマー等のブタンジエン系ポリマーの末端をヒドロキシル基に変性したものが挙げられる。
上記ヒマシ油系ポリオールとしては、ヒマシ油および変性ヒマシ油(トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールで変性されたヒマシ油等)が挙げられる。
上記ポリオール成分の市販品として、旭硝子株式会社製の「エクセノール1020」、「エクセノール2020」、「エクセノール3020」、「エクセノール3030」、「プレミノール 7001」、「プレミノール 7012」、株式会社クラレ製のクラレポリオール「P−1010」、「P−2010」、「P−3010」、「F−1010」、「F−2010」、「F−3010」、株式会社ダイセル製の「プラクセル210」「プラクセル220」「プラクセル230」「プラクセル312」「プラクセルL320AL」などが挙げられる。
活性水素含有成分として上述した高分子量ポリオール成分の他に、エチレングリコール、1,2‐プロピレングリコール、1,3‐プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4‐シクロヘキサンジメタノール、3‐メチル‐1,5‐ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4‐ビス(2‐ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6‐ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、スクロース、2,2,6,6‐テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、およびトリエタノールアミン等の低分子量ポリオール成分、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジエチレントリアミン等の低分子量ポリアミン成分を用いてもよい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。更に、4,4’‐メチレンビス(o‐クロロアニリン)(MOCA)、2,6‐ジクロロ‐p‐フェニレンジアミン、4,4’‐メチレンビス(2,3‐ジクロロアニリン)、3,5‐ビス(メチルチオ)‐2,4‐トルエンジアミン、3,5‐ビス(メチルチオ)‐2,6‐トルエンジアミン、3,5‐ジエチルトルエン‐2,4‐ジアミン、3,5‐ジエチルトルエン‐2,6‐ジアミン、トリメチレングリコール‐ジ‐p‐アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド‐ジ‐p‐アミノベンゾエート、1,2‐ビス(2‐アミノフェニルチオ)エタン、4,4’‐ジアミノ‐3,3’‐ジエチル‐5,5’‐ジメチルジフェニルメタン、N,N’‐ジ‐sec‐ブチル‐4,4’‐ジアミノジフェニルメタン、4,4’‐ジアミノ‐3,3’‐ジエチルジフェニルメタン、4,4’‐ジアミノ‐3,3’‐ジエチル‐5,5’‐ジメチルジフェニルメタン、4,4’‐ジアミノ‐3,3’‐ジイソプロピル‐5,5’‐ジメチルジフェニルメタン、4,4’‐ジアミノ‐3,3’,5,5’‐テトラエチルジフェニルメタン、4,4’‐ジアミノ‐3,3’,5,5’‐テトライソプロピルジフェニルメタン、m‐キシリレンジアミン、N,N’‐ジ‐sec‐ブチル‐p‐フェニレンジアミン、m‐フェニレンジアミン、およびp‐キシリレンジアミン等に例示されるポリアミン類を混合することもできる。
分子内に1つの活性水素基を含有するモノオール化合物としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコールなどの脂肪族モノオール類;シクロヘキサノール、メチル‐シクロヘキサノールなどの脂環式モノオール類;ベンジルアルコールなどの芳香族モノオール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系モノオール類;ヒドロキシ酢酸エステル、ヒドロキシプロピオン酸エステルなどのエステル系モノオール類等が挙げられる。これらの中でも、n‐プロピル基、シアノ基およびニトロ基から成る群から選択される少なくとも1つの官能基を有するモノオール化合物が好ましい。シアノ基およびニトロ基から成る群から選択される少なくとも1つの官能基を有するモノオール化合物がより好ましい。
上記モノオール化合物の具体例として、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレンシアノヒドリン(2‐シアノエチルアルコール)、2‐ヒドロキシブチロニトリル、2‐ヒドロキシイソブチロニトリル、3‐ヒドロキシブチロニトリル、3‐ヒドロキシグルタロニトリル、3‐ヒドロキシ‐3‐フェニルプロピオニトリル、o‐シアノベンジルアルコール、m‐シアノベンジルアルコール、p‐シアノベンジルアルコール、4‐(2‐ヒドロキシエチル)ベンゾニトリル、2‐ニトロエタノール、2‐メチル‐2‐ニトロ‐1‐プロパノール、3‐ニトロ‐2‐ブタノール、3‐ニトロ‐2‐ペンタノール、o‐ニトロベンジルアルコール、m‐ニトロベンジルアルコール、p‐ニトロベンジルアルコール、2‐メチル‐3‐ニトロベンジルアルコール、3‐メチル‐2‐ニトロベンジルアルコール、3‐メチル‐4‐ニトロベンジルアルコール、4‐メチル‐3‐ニトロベンジルアルコール、5‐メチル‐2‐ニトロベンジルアルコール、3‐メトキシ‐4‐ニトロベンジルアルコール、4,5‐ジメトキシ‐2‐ニトロベンジルアルコール、4‐メトキシ‐3‐ニトロベンジルアルコール、5‐ヒドロキシ‐2‐ニトロベンジルアルコール、4‐ヒドロキシ‐3‐ニトロベンジルアルコール、2‐(4‐ニトロフェニル)エタノールなどが挙げられ、n‐プロピルアルコール、エチレンシアノヒドリン、2‐ニトロエタノール、m−ニトロベンジルアルコールが好ましい。
上記モノオール化合物の濃度としては、上記ポリウレタンエラストマー組成物の総量をベースとして、0.20〜1.00meq/g、好ましくは0.25〜0.95meq/g、より好ましくは0.25〜0.90meq/gである。上記モノオール化合物の濃度が、0.20meq/g未満では弾性率の低減効果が小さく、1.00meq/gを超えると、分子量の増大が抑制されるため、硬化体(成形品)が得られなくなる。
上記モノオール化合物は、分子量(Mn)30〜300、好ましくは40〜250を有することが望ましい。上記モノオール化合物の分子量が30未満ではポリイソシアネート成分との硬化体(成形品)を得ることが難しく、300を超えると誘電率を向上させる効果が小さくなる。
上記のように、ポリウレタンエラストマーへの、分子内にイソシアネート成分との反応に関わる1つの活性水素基を含有するモノオール化合物の使用により、ポリイソシアネート成分と2つ以上の活性水素基を含有する活性水素成分との硬化反応において、分子鎖の高分子量化を抑制し、また架橋密度が高くなるのを抑制して、架橋密度の低い硬化物を形成することができる。これにより、得られるポリウレタンエラストマーの低弾性率化および高伸張率化を図ることができる。加えて、前述のように、モノオール化合物を用いることによって、高誘電率化を図ることができ、低電界駆動が達成できる。更に、可塑剤を添加した場合に比べて、上記モノオール化合物は反応により架橋構造内に組み込まれるため、ゲル分率が高く、ブリードアウトしにくい高分子アクチュエータを達成することができるのである。即ち、ポリウレタンエラストマー成形品から構成される高分子アクチュエータへの、分子内に1つの活性水素基を含有するモノオール化合物の使用により、柔軟性および伸張率に優れ、低電界駆動と低ブリードアウト性が両立できるのである。
上記ポリウレタンエラストマー組成物において、上記ポリイソシアネート成分のイソシアネート基(NCO基)と上記活性水素成分およびモノオール化合物の活性水素基(例えば、OH基)の当量比(NCO基/OH基)は、上記モノオール化合物の濃度により変化するが、0.80〜1.20、好ましくは0.95〜1.05であることが望ましい。上記当量比(NCO基/OH基)が、0.80未満では架橋密度が低くなりすぎるためハンドリング性が悪化し、1.20を超えると低弾性率化を図ることが難しい。
上記ポリウレタン組成物に用いられる触媒としては、公知の触媒を限定なく使用することができるが、トリエチレンジアミン、N,N,N',N'‐テトラメチルヘキサンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル等の第3級アミン、オクチル酸ビスマス、オクチル酸錫、ジラウリン酸ジ‐n‐ブチル錫、オクチル酸鉛等の金属触媒を使用することができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記触媒の市販品として、東栄化工株式会社から商品名「ヘキソエート鉛24%」で市販されているオクチル酸鉛、日本化学産業株式会社から商品名「プキャット25」で市販されているオクチル酸ビスマス、東ソー株式会社製の「TEDA−L33」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の「NIAX CATALYST A1」、花王株式会社製の「カオーライザー NO.1」、エアプロダクツ社製の「DABCO T−9」、東栄化工株式会社製の「BTT−24」などが挙げられる。
本発明の高分子アクチュエータは、ポリイソシアネート成分、分子内に2つ以上の活性水素基を含有する活性水素成分、分子内に1つの活性水素基を含有するモノオール化合物および触媒を含有するポリウレタンエラストマー組成物から形成されるポリウレタンエラストマー成形品から構成される。前述のように、上記モノオール化合物は、上記活性水素成分より低分子量であるため反応性が高いので、上記モノオール化合物および上記活性水素成分を同時にポリイソシアネート成分と反応させると、分子鎖の高分子量化の抑制効果や高架橋密度化の抑制効果が大きくなり過ぎて、極端な場合、硬化せずに成形品が形成できなくなる。従って、本発明の高分子アクチュエータの製造方法には、
(i)1つの活性水素基を含有するモノオール化合物とポリイソシアネート成分を反応させ、ウレタン基含有化合物Aを調製する工程、
(ii)2つ以上の活性水素基を含有する活性水素成分とポリイソシアネート成分からイソシアネート末端化合物Bを調製する工程、
(iii)該化合物AおよびBを混合して混合物を形成する工程、および
(iv)該混合物を、該触媒の存在下に活性水素成分と反応させ、ポリウレタンエラストマー成形品を形成する工程
を含むことが望ましい。
上記工程(i)において、上記記ポリイソシアネート成分および上記モノオール化合物の配合比としての、上記記ポリイソシアネート成分のイソシアネート基(NCO基)と上記モノオール化合物の活性水素基(例えば、OH基)の当量比(NCO基/OH基)は、1.2〜3.0、好ましくは1.3〜2.5であることが望ましい。上記当量比(NCO基/OH基)が1.2未満では得られるウレタン基含有化合物Aの粘度が高くなりすぎる傾向にあり、3.0を超えるとモノオール化合物の添加による誘電率の向上効果が小さくなる。上記工程(i)における反応条件としては、60〜120℃で、1〜8時間が好ましい。
上記工程(ii)において、上記記ポリイソシアネート成分および上記活性水素成分の配合比としての、上記記ポリイソシアネート成分のイソシアネート基(NCO基)と上記活性水素成分の活性水素基(例えば、OH基)の当量比(NCO基/OH基)は、1.5〜3.0、好ましくは1.8〜2.5であることが望ましい。上記当量比(NCO基/OH基)が1.5未満では得られるウレタン基含有化合物Bの粘度が高くなりすぎる傾向にあり、3.0を超えると硬化時の架橋の不均一性が高くなり、アクチュエータが低電界で駆動しにくくなる。上記工程(ii)における反応条件としては、60〜120℃で、1〜8時間が好ましい。
上記工程(iii)および(iv)に使用される混合装置としては特に限定されず、液体と液体を混合できるものであればよく、例えばハイブリッドミキサー(株式会社キーエンス製)、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製)などが挙げられる。
上記工程(iv)のポリウレタンエラストマー成形品を形成する方法は、成形型を用いる方法や、厚さの小さいものではスペーサーを有する離型処理したフィルム間にポリウレタンエラストマー組成物を挟んで所望の厚さに間隙を制御したニップロールを通す方法を用いることができる。上記のキュア条件としては、温度70〜150℃、好ましくは80〜130℃で1〜24時間が望ましい。上記のキュア温度が70℃未満では、ポリウレタンエラストマーの硬化性が不十分であり、150℃を超えると多量の副生成物が生成してしまう。また、上記のキュア時間が1時間未満では、ポリウレタンエラストマーの硬化性が不十分であり、24時間を超えると、ポリウレタンエラストマーが劣化する場合がある。
得られるポリウレタンエラストマーは、所望の形状に作製できるが、薄膜、フィルム、シートであってよく、厚さは0.01〜1.2mm、好ましくは0.05〜1.0mmであることが望ましい。上記の厚さが0.01mm未満ではフィルム内の欠陥を通じて絶縁破壊が起こりやすく、1.2mmを超えると印加される電界強度が低くなり、アクチュエータが駆動しにくくなる。
得られるポリウレタンエラストマーは、ゲル分率30%以上、好ましくは40〜95%、より好ましくは45〜90%を有することが望ましい。上記ゲル分率が30%未満では、耐ブリードアウト性が悪いものとなる。上記ゲル分率は、得られるポリウレタンエラストマーフィルムを幅20mm、長さ50mmに切り出し、室温、トルエン中で72時間浸漬させ、その後、ゲルを取り出し、100℃の減圧乾燥器中で恒量になるまで乾燥し、以下の式より求めた。
ゲル分率(%)=Wg/Wi×100
Wi:初期サンプルの重量
Wg:乾燥後のゲルの重量
上記ポリウレタンエラストマー成形品の両面に、電極を形成することにより、高分子アクチュエータを作製することができる。上記電極の材質としては、例えば、金、白金、アルミニウム、銀、銅などの金属、カーボン、カーボンナノチューブまたは、それらを樹脂に分散した導電性樹脂や導電性エラストマーも用いることができる。電極を形成する方法としては、例えば、プラズマCVD法、イオンスパッタ被覆法、真空蒸着法、スクリーン印刷などを使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(i)プレポリマーの合成
(プレポリマーA)
反応容器に、ポリエーテルポリオールとしてポリプロピレングリコール(旭硝子株式会社製、「エクセノール3030」、数平均分子量3000、官能基数3)85.2質量部を入れ、撹拌しながら減圧脱水を1時間行った。その後、反応容器内を窒素置換した。そして、反応容器に2,4-トリレンジイソシアネート(三井化学株式会社製、「コスモネート T−100」)14.8質量部を添加して、反応容器内の温度を80℃に保持しながら3時間反応させてイソシアネート末端プレポリマーを合成した。
(プレポリマーB)
反応容器に、2,2,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(エボニックデグサ社製、「ベスタナットTMDI」)68.9質量部を入れ、撹拌しながら減圧脱水を1時間行った。その後、反応容器内を窒素置換して、反応容器にエチレンシアノヒドリン(東京化成工業株式会社製、数平均分子量71.1)31.1質量部を添加して、反応容器内の温度を100℃に保持しながら6時間反応させてプレポリマーBを合成した。
(プレポリマーC〜H)
上記2,2,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの添加量並びにモノオール化合物の種類および添加量を以下の表1〜2の通りとした以外は、上記プレポリマーBと同様にして、プレポリマーC〜Hを合成した。
Figure 0006276624
Figure 0006276624
(実施例1)
上記プレポリマーA 50質量部およびプレポリマーB 50質量部の混合液を調製、減圧脱泡した。続いて、ポリプロピレングリコール(旭硝子株式会社製、「エクセノール3030」、数平均分子量3000、官能基数3)151.9質量部およびオクチル酸ビスマス(日本化学産業株式会社製「プキャット25」)0.30質量部を混合、脱泡した液を前記混合液に添加し、ハイブリッドミキサー(株式会社キーエンス製)にて混合および脱泡した。この反応液を0.4mmのスペーサーを有する離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に滴下し、その上に離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルムを被せ、ニップロールにて厚みを0.4mmに調整した。その後、80℃で1時間キュアを行って、モノオール化合物濃度0.87meq/gを有するポリウレタンエラストマーフィルムを得た。
作製したフィルムに200%の二軸延伸処理を施し、ポリプロピレン製の直径60mmの枠に固定した。固定されたフィルムに直径15mmとなるようにカーボングリースを塗布し、アクチュエータ素子を製造した。
(実施例2〜8および11)
ポリウレタンエラストマーフィルム作製時の混合液を、以下の表3〜4に示す配合とした以外は実施例1と同様にして、ポリウレタンエラストマーフィルムアクチュエータを作製した。
(実施例9)
上記プレポリマーA100質量部に、ポリプロピレングリコール(旭硝子株式会社製、「エクセノール3030」、数平均分子量3000、官能基数3)17.2質量部、エチレンシアノヒドリン(東京化成工業株式会社製、数平均分子量71.1)4.8質量部およびオクチル酸ビスマス(日本化学産業株式会社製「プキャット25」)0.15質量部を混合、脱泡した液を添加して、混合および減圧脱泡した以外は実施例1と同様にして、ポリウレタンエラストマーフィルムアクチュエータを作製した。
(実施例10)
上記プレポリマーA100質量部に、ポリプロピレングリコール(旭硝子株式会社製、「エクセノール3030」、数平均分子量3000、官能基数3)16.6質量部、n‐プロピルアルコール(ナカライテスク株式会社製、数平均分子量60.1)4.1質量部およびオクチル酸ビスマス(日本化学産業株式会社製「プキャット25」)0.15質量部を混合、脱泡した液を添加して、混合および減圧脱泡した以外は実施例1と同様にして、ポリウレタンエラストマーフィルムアクチュエータを作製した。
(比較例1)
上記プレポリマーA100質量部(モノオール化合物なし)に、ポリプロピレングリコール(旭硝子株式会社製、「エクセノール3030」、数平均分子量3000、官能基数3)85.2質量部およびオクチル酸ビスマス(日本化学産業株式会社製「プキャット25」)0.22質量部を混合、脱泡した液を添加して、混合、減圧脱泡した以外は実施例1と同様にして、ポリウレタンエラストマーフィルムアクチュエータを作製した。
(比較例2)
上記プレポリマーA100質量部に、上記ポリプロピレングリコールおよびオクチル酸ビスマス、フタル酸ジオクチル(三協化学株式会社製)740.8質量部を混合、脱泡した液を添加した以外は比較例1と同様にして、ポリウレタンエラストマーフィルムアクチュエータを作製した。
(比較例3〜4)
ポリウレタンエラストマーフィルム作製時の混合液を、以下の表5に示す配合とした以外は実施例1と同様にして、ポリウレタンエラストマーフィルムアクチュエータを作製した。
(比較例5)
上記プレポリマーA100質量部(モノオール化合物なし)に、ポリプロピレングリコール(旭硝子株式会社製、「エクセノール3030」、数平均分子量3000、官能基数3)8.9質量部、エチレンシアノヒドリン(東京化成工業株式会社製、数平均分子量71.1)5.4質量部およびオクチル酸ビスマス(日本化学産業株式会社製「プキャット25」)0.14質量部を混合、脱泡した液を添加して、混合、減圧脱泡した以外は実施例1と同様にして、ポリウレタンエラストマーフィルムアクチュエータを作製した。
表3に実施例1〜6のエラストマー配合、表4に実施例7〜11のエラストマー配合および表5に比較例1〜5のエラストマー配合を質量部単位でまとめて示した。上記のように得られたポリウレタンエラストマーフィルムアクチュエータのモノオール化合物濃度、100%モジュラス、誘電率、伸張率、ゲル分率および耐ブリードアウト性を評価または測定し、その結果を表3〜5に示す。試験方法は以下の通りである。
(試験方法)
(1)100%モジュラス
作製したフィルムを7号ダンベル(試験片のサイズ:幅2mm×長さ12mm)にて打ち抜き、室温下でJIS K−7312に準拠してオートグラフAG−X(島津製作所製)を用いて、引張速度500mm/minにて引張試験を行った場合の100%伸長時のモジュラス値を測定した。
(2)誘電率
作製したフィルムをイオンスパッタ装置JFC−1500(日本電子株式会社製)を用いて有効電極面積が直径30mmとなるようにAu蒸着を行い、1296型誘電率測定用インターフェイスを備えた1255B型インピーダンスアナライザ(ソーラトロン社製)を用いて、誘電率を測定した。測定時の印加電圧は0.1V、掃引周波数は10〜10Hzとした。表には1000Hzの値を示す。
(3)伸張率
製造したアクチュエータ素子を、銅箔を介して直流高圧電源(松定プレシジョン株式会社製、HJPM−5R0.6−SP)に繋ぎ、印加電圧に対する伸張率の変化を測定した。表には、5MV/mの値を示す。なお、伸張率は以下の式より求めた。
伸張率(%)=[√(S/S−1)]×100
:伸張のフィルム面積
:電圧印加後のフィルム面積
(4)ゲル分率
作製したフィルムを幅20mm、長さ50mmに切り出し、室温、トルエン中で72時間浸漬させた。その後、ゲルを取り出し、100℃の減圧乾燥器中で恒量になるまで乾燥した。ゲル分率は以下の式より求めた。
ゲル分率(%)=Wg/Wi×100
Wi:初期サンプルの重量
Wg:乾燥後のゲルの重量
(5)耐ブリードアウト性
作製したフィルムを、離型紙上に静置し、1週間経過後に離型紙上に付着物がなければ「○」、付着物は若干あるが問題なしであれば「△」、付着物が多い場合「×」と評価した。
Figure 0006276624
Figure 0006276624
Figure 0006276624
*:硬化しなかったため、試料片が作製できず測定不可。
(注1)三井化学株式会社から商品名「コスモネート T−100」で市販の2,4-トリレンジイソシアネート
(注2)エボニックデグサ(Evonik Degussa)社から商品名「ベスタナット(VESTANAT(登録商標))TMDI」で市販の2,2,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート
(注3)旭硝子株式会社から商品名「エクセノール3030」で市販されている3官能性ポリエーテルポリオール;数平均分子量(Mn)3000
(注4)東京化成工業株式会社から市販されているエチレンシアノヒドリン;数平均分子量(Mn)71.1
(注5)ナカライテスク株式会社から市販されているn‐プロピルアルコール;数平均分子量(Mn)60.1
(注6)東京化成工業株式会社から市販されているm‐ニトロベンジルアルコール;数平均分子量(Mn)153.14
(注7)日本化学産業株式会社から商品名「プキャット25」で市販されているオクチル酸ビスマス
(注8)三協化学株式会社から商品名「DOP」で市販されているフタル酸ジオクチル
(注9)NCO index:(NCO基の当量)/(活性水素基の当量)
表4〜6に示した結果から明らかなように、実施例1〜11の本発明の高分子アクチュエータは、比較例1〜5の従来の高分子アクチュエータに比べて、100%モジュラスは低く、誘電率は高く、伸張率は大きく、ゲル分率は大きく、耐ブリードアウト性に優れるものであった。
これに対して、比較例1の高分子アクチュエータは、モノオール化合物を使用していないため、ゲル分率は高く、耐ブリードアウト性は優れるものの、100%モジュラスや誘電率は低く、伸張率が非常に低いものであった。比較例2の高分子アクチュエータは、可塑剤としてのフタル酸ジオクチルのような低分子成分を多量に使用しているため、100%モジュラスは低いものの、誘電率やゲル分率が低く、耐ブリードアウト性が非常に悪いものであった。
比較例3および4の高分子アクチュエータは、実施例1および2のモノオール化合物量を増加したものであるが、硬化しなかったため、試料片が作製できず上記特性の測定または評価ができなかった。比較例5の高分子アクチュエータは、モノオール化合物をイソシアネート成分とのプレポリマーとせずに、ポリオール成分側に添加したものであるが、硬化しなかったため、試料片が作製できず上記特性の測定または評価ができなかった。
本発明の高分子アクチュエータは、柔軟性および伸張率に優れ、低電界であっても駆動が可能であり、センサ、光学スイッチ、ダイヤフラム、点字ディスプレイ、波力発電や踵発電などの発電用途、産業用や介護用のロボット、医療機器などの用途に用いることができる。
1 … 高分子アクチュエータ
2 … 電極
3 … ポリウレタンエラストマー

Claims (5)

  1. ポリイソシアネート成分、活性水素成分および触媒を含有するポリウレタンエラストマー組成物から形成されるポリウレタンエラストマーから構成される高分子アクチュエータであって、
    該ポリウレタンエラストマー組成物が、分子内に1つの活性水素基を含有するモノオール化合物を、濃度0.28〜0.89meq/gで含有し、
    該ポリウレタンエラストマーがゲル分率50.6%以上を有する
    ことを特徴とする高分子アクチュエータ。
  2. 前記モノオール化合物が、n‐プロピル基、シアノ基およびニトロ基から成る群から選択される少なくとも1つの官能基を有することを特徴とする請求項1記載の高分子アクチュエータ。
  3. 前記ポリウレタンエラストマーが、前記分子内に1つの活性水素基を含有するモノオール化合物とポリイソシアネート成分とを反応させて得られたウレタン基含有化合物と、前記活性水素成分とポリイソシアネート成分とを反応させて得られたイソシアネート末端化合物との混合物を、前記活性水素成分と反応させることによって得られることを特徴とする請求項1記載の高分子アクチュエータ。
  4. ポリイソシアネート成分、分子内に2つ以上の活性水素基を含有する活性水素成分、分子内に1つの活性水素基を含有するモノオール化合物および触媒を含有するポリウレタンエラストマー組成物から形成されるポリウレタンエラストマー成形品から構成される高分子アクチュエータの製造方法であって、
    分子内に1つの活性水素基を含有するモノオール化合物とポリイソシアネート成分とを反応させ、ウレタン基含有化合物Aを調製する工程、
    分子内に2つ以上の活性水素基を含有する活性水素成分とポリイソシアネート成分とを反応させ、イソシアネート末端化合物Bを調製する工程、
    該化合物AおよびBを混合して混合物を形成する工程、および
    該混合物を、該触媒の存在下に該活性水素成分と反応させ、ポリウレタンエラストマー成形品を形成する工程
    を含み、
    前記モノオール化合物の濃度が0.28〜0.89meq/gである、高分子アクチュエータの製造方法。
  5. 前記モノオール化合物が、n‐プロピル基、シアノ基およびニトロ基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有することを特徴とする請求項4記載の高分子アクチュエータの製造方法。
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