JP6275510B2 - 高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用部材の使途に有用な、引張強さ(TS):780MPa以上の高強度と優れた表面性状および加工性(特にせん断加工性、打抜性)を兼ね備えた高強度熱延鋼板およびその製造方法に関する。
近年地球環境保全の観点から、CO2排出量の規制を目的として自動車業界全体で自動車の燃費改善が指向されている。自動車の燃費改善には、使用部品の薄肉化による自動車の軽量化が最も有効であるため、近年、自動車部品用素材としての高強度熱延鋼板の使用量が増加しつつある。
ここで、鋼板を素材とする自動車部品の多くは、プレス加工やバーリング加工等によって成形される。したがって、自動車部品用鋼板には、高強度に加えて優れた加工性(打抜性や伸びフランジ性など)を有することも要求される。しかしながら、一般的に鉄鋼材料は、高強度化に伴い延性が低下して加工性が劣化する。そのため、引張強さを780MPa以上にまで高強度化した鋼板では、所望の部品形状に成形加工する際、様々な支障をきたす。例えば、引張強さ:780MPa以上の鋼板に打ち抜き加工を施すと、打ち抜き穴端面において亀裂や段差、めくれ、はがれ等の発生が顕著となり、部品の疲労特性や寸法精度が低下する。また、このような打ち抜き穴端面性状の劣化は、伸びフランジ性にも悪影響を及ぼす。
一方、自動車部品の多くは厳しい腐食環境下で使用されるが、鋼板を素材とする自動車部品の場合、部品の薄肉化により腐食代が少なくなる。そのため、自動車部品用鋼板は、所望の強度と耐食性を兼備することも重要となる。耐食性の付与には、鋼板にめっき処理を施して鋼板表面にめっき層を備えたり、めっき処理後に化成処理を施し、塗装することが有効である。しかしながら、引張強さ:780MPa以上の鋼板を製造するに際しては、多くの場合、所望の鋼板強度を確保する目的でSi、Mn等の固溶強化元素を多量に含有させている。このようにSi等を多量に含有させた鋼板では、鋼板表面にSi等が濃化して濡れ性が低下するため、めっき層を形成することや化成処理が困難となる。
以上の理由により、高強度熱延鋼板を自動車部品等に適用するうえでは、Si等の表面濃化を抑制した良好な表面性状と、優れた打抜性を兼ね備えた高強度熱延鋼板の開発が必須となり、現在までに様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、鋼板組成を質量%で、C:0.010〜0.200%、Si:0.01〜1.50%、Mn:0.25〜3.00%、B:0.0002〜0.0030%をそれぞれ含有し、P:0.05%以下に制限し、更に、Ti:0.03〜0.20%、Nb:0.01〜0.20%、V:0.01〜0.20%、Mo:0.01〜0.20%のうちの何れか1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成とし、フェライトの大角結晶粒界へのCの偏析量とBの偏析量との合計を4〜10atms/nm2の範囲とする技術が提案されている。そして、特許文献1で提案された技術によると、析出強化元素であるTi、V、Nb、Moを添加して炭化物等を析出させることで鋼板強度を引張強さ:690MPa以上とし、しかも、Bおよび Cの粒界偏析量を制御することで極めて厳しい条件で打ち抜き加工を行った場合でも確実に端面の損傷を防止することができるとされている。
また、特許文献2では、鋼板組成を質量%で、C:0.015〜0.06%、Si:0.5%未満、Mn:0.1〜2.5%、P≦0.10%、S≦0.01%、Al:0.005〜0.3%、N≦0.01%、Ti:0.01〜0.30%、B:2〜50ppmを含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成とし、更に炭化物生成元素とCとの原子比を特定するとともに、鋼のγ/α変態温度を制御する元素であるSi、Mn、B、Moの含有量が所定の関係を満足するように規定し、フェライトとベイニティックフェライトの一方又は双方の面積率の合計が90%以上でありセメンタイトの面積率が5%以下である鋼板組織とする技術が提案されている。そして、特許文献2で提案された技術によると、伸びフランジ成形性、耐打ち抜き割れ性及び表面状態の全てが良好であり、引張強度が690MPa以上という高強度の熱延鋼板を安価に、安定して製造することができるとされている。
更に、特許文献3では、鋼板組成を質量%で、C:0.01〜0.1%、Si:0.01〜2%、Mn:0.05〜3%、P≦0.1%、S≦0.03%、Al:0.005〜2.0%、N≦0.01%、B:0.0005〜0.0030%を含み、さらにTi−(48/12)C−(48/14)N−(48/32)S≧0.03%を満たす範囲でTiを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成とし、その鋼板の硬さのばらつきをその平均値で除した値を0.2以下とし、かつ、圧延方向の{110}面の面強度を1.7以下に規定する技術が提案されている。そして、特許文献3で提案された技術によると、軟質な相の生成を抑制し、硬さを均一化したうえで、集合組織の特定方向への配向を制御することで、打ち抜き穴広げ性に優れた高強度鋼板が得られるとされている。
特開2008−266726号公報 特開2007−302992号公報 特開2009−24226号公報
しかしながら、特許文献1で提案された技術では、所定の粒界偏析量を有する熱延鋼板を製造するために、熱間圧延終了後、フェライト相が成長し易い600〜650℃の範囲内に急冷し、更に10℃/s以下の冷却速度で350〜600℃の範囲まで冷却して巻き取る必要がある。このような方法にしたがい製造された鋼板では、硬度が異なるフェライト相とベイナイト相が混在した組織となるため、せん断や打ち抜き時にフェライト相とベイナイト相との界面に不均一な応力集中が生じ、せん断および打ち抜き端面に割れや荒れ等の異常部が発生する。したがって、特許文献1で提案された技術では、安定して良好な打抜性が得られない。
また、特許文献2で提案された技術では、延性に富むフェライトとベイニティックフェライトを主たる金属組織としているため、鋼板の打ち抜き加工時、ポンチもしくはダイスから発生した亀裂の成長が遅く、かえり量が大きくなり、亀裂伝播途中での打ち抜き端面近傍の曲げモーメントが大きくなる。そのため、打ち抜き端面に、突発的に割れ等の不具合が生じる問題がある。
特許文献3で提案された技術では、その実施例が示すように鋼板の高強度化を図る目的でSiを多量に添加しているため、良好な表面性状を有する鋼板が得られない。なお、Si含有量が0.02%であり且つ引張強さ:795MPaである高強度鋼板も開示されているが、この高強度鋼板は鋼板強度を確保する目的でAlを多量に含有しているため、粗大かつ不均一に分布するAl窒化物やAl酸化物の影響により、良好な打抜性が得られない。
以上のように、従来技術ではいずれも、熱延鋼板の強度を引張強さ780MPa以上とした場合、安定して良好な打抜性と良好な表面性状をも兼ね備えた高強度熱延鋼板は得られなかった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、780MPa以上の引張強さを有し、良好な表面性状を有し、打抜性にも優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
先述のとおり、Siは表面濃化することにより鋼板の表面性状の劣化を引き起こす元素である。したがって、表面性状の観点からは、熱延鋼板のSi含有量を低減することが好ましい。しかしながら、Siは固溶強化元素および焼入性元素として鋼板を高強度化する効果を有するため、Si含有量を低減すると、熱延鋼板の強度が低下する。
そこで、本発明者らは先ず、表面性状を良好にする目的で熱延鋼板のSi含有量を抑制しつつ、熱延鋼板の高強度化を図る手段について検討した。その結果、熱延鋼板組成に関し、Siを多量に含有する従来技術に代えて、焼入性の効果と粒子分散強化により高強度化に寄与するTiを多量に含有して熱延鋼板中に微細な炭化物として析出させるとともに、炭化物の析出量を増加させる目的でVを適量添加することに想到した。
次に、本発明者らは、熱延鋼板の打抜性を高める手段について検討した。そして、鋼板の打ち抜き加工時の亀裂成長挙動を詳細に解析した結果、ポンチもしくはダイスから発生した亀裂を効果的に成長、合体させるには、鋼板にセメンタイトを均一に分散させることが重要であることが明らかになった。
これらの事項を踏まえ、本発明者らは、熱延鋼板中にTiおよびVを微細な炭化物として析出させるとともに、微細なセメンタイトも均一に分散させる手段を模索した。その結果、熱延鋼板の金属組織をベイナイトにすることが最も有効な手段であることを知見した。
熱延鋼板を製造する際、熱間圧延終了後の鋼板を急冷してベイナイト変態させると、セメンタイトの核生成サイトとなる転位密度が上昇するため、熱延鋼板中に微細なセメンタイトが均一に分散する。
また、TiやVの炭化物は、熱間圧延終了後の巻取り工程において微細に析出する。これらの炭化物の最も析出し易い温度域は、フェライト変態が生じる温度域、すなわちベイナイト変態が生じる温度域よりも高い温度域である。しかし、ベイナイト変態により、鋼板中に炭化物の核生成サイトとなる転位が導入されるため、TiやVの炭化物はベイナイト変態が生じる温度域においても微細な状態で析出する。
以上のように、熱間圧延終了後の巻取り工程において、ベイナイト相が成長する温度域は、TiやVの炭化物の析出と、微細なセメンタイトの析出が競合する温度域となる。したがって、熱延鋼板を製造する際、熱間圧延終了後の鋼板を急冷してベイナイト変態させると、熱延鋼板中に微細なセメンタイトを均一に分散させると同時に、TiおよびVを微細な炭化物として析出させることができる。
そして、本発明者らは、更に検討を進めた結果、鋼素材のSi含有量を低減し、更にC含有量およびSi、Ti、V含有量の適正化を図ったうえで、熱間圧延終了後の冷却過程においてTiやVを含む炭化物が最も析出する550℃を超える温度で保持することを避け、550℃以下の温度まで急冷してベイナイト変態させることにより、微細なセメンタイトが均一に分散し、且つ、引張強さ780MPa以上の強度を達成するうえで必要となる微細な炭化物(Ti、V炭化物)も析出し、しかもSi表面濃化が抑制された熱延鋼板が得られることを知見した。
本発明は上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は次のとおりである。
[1] 質量%で、C:0.06%以上0.13%以下、Si:0.09%以下、Mn:0.01%以上1.20%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Ti:0.13%以上0.20%以下、V:0.03%以上0.13%以下を含有し、Nb:0.02%以下(0を含む)に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成と、ベイナイト相の面積率が80%以上、フェライト相の面積率が15%以下(0を含む)、マルテンサイト相の面積率が5%以下(0を含む)、セメンタイトの析出量が質量%で0.08%以上、該セメンタイトの平均粒子径が2μm以下であり、前記ベイナイト相の結晶粒内に平均粒子径が10nm未満である炭化物が微細分散した組織を有し、鋼板表面から0.2μmまでの深さにおけるSi濃化量が地鉄でのSi固溶量の1.3倍以下であり、引張強さが780MPa以上であることを特徴とする高強度熱延鋼板。
[2] 前記[1]において、前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.0002%以上0.0030%以下を含有することを特徴とする高強度熱延鋼板。
[3] 前記[1]または[2]において、前記組成に加えてさらに、質量%で、REM、Cu、Ni、Sn、Cr、Sb、Mg、Ca、Coのいずれか1種以上を合計で0.1929%以下含有することを特徴とする高強度熱延鋼板。
[4] 前記[1]ないし[3]のいずれかにおいて、鋼板表面にめっき層を有することを特徴とする高強度熱延鋼板。
[5] 前記[4]において、前記めっき層が、亜鉛めっき層であることを特徴とする高強度熱延鋼板。
[6] 前記[4]において、前記めっき層が、合金化亜鉛めっき層であることを特徴とする高強度熱延鋼板。
[7] 鋼素材を、加熱し、粗圧延と仕上げ圧延からなる熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、冷却し、巻き取り、熱延鋼板とするにあたり、前記鋼素材を、質量%で、C:0.06%以上0.13%以下、Si:0.09%以下、Mn:0.01%以上1.20%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Ti:0.13%以上0.20%以下、V:0.03%以上0.13%以下を含有し、Nb:0.02%以下(0を含む)に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成とし、前記加熱の加熱温度を1150℃以上1350℃以下とし、前記仕上げ圧延の仕上げ圧延終了温度を850℃以上とし、前記冷却を仕上げ圧延終了後3s以内に開始し、前記冷却の冷却速度を40℃/s以上とし、前記巻き取りの巻取り温度を350℃以上550℃以下とすることを特徴とするベイナイト相の面積率が80%以上、フェライト相の面積率が15%以下(0を含む)、マルテンサイト相の面積率が5%以下(0を含む)、セメンタイトの析出量が質量%で0.08%以上、該セメンタイトの平均粒子径が2μm以下であり、前記ベイナイト相の結晶粒内に平均粒子径が10nm未満である炭化物が微細分散した組織を有し、鋼板表面から0.2μmまでの深さにおけるSi濃化量が地鉄でのSi固溶量の1.3倍以下であり、引張強さが780MPa以上である高強度熱延鋼板の製造方法。
[8] 前記[7]において、前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.0002%以上0.0030%以下を含有することを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法。
[9] 前記[7]または[8]において、前記組成に加えてさらに、質量%で、REM、Cu、Ni、Sn、Cr、Sb、Mg、Ca、Coのいずれか1種以上を合計で0.1929%以下含有することを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法。
[10] 前記[7]ないし[9]のいずれかにおいて、鋼板表面にめっき層を形成することを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法。
[11] 前記[10]において、前記めっき層が、亜鉛めっき層であることを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法。
[12] 前記[10]において、前記めっき層が、合金化亜鉛めっき層であることを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法。
本発明によると、自動車の構造部材等の使途に好適な、引張強さ:780MPa以上であり且つ表面性状、打抜性に優れた高強度熱延鋼板が得られ、自動車部品の軽量化や自動車部品成形を可能とする等、その効果は著しい。また、高強度熱延鋼板の更なる用途展開が可能となり、産業上格段の効果を奏する。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明熱延鋼板の組織および鋼板表面Si濃化量の限定理由について説明する。
本発明の熱延鋼板は、ベイナイト相の面積率が80%以上、フェライト相の面積率が15%以下(0を含む)、マルテンサイト相の面積率が5%以下(0を含む)、セメンタイトの析出量が質量%で0.08%以上、該セメンタイトの平均粒子径が2μm以下であり、前記ベイナイトの結晶粒内に平均粒子径が10nm未満である炭化物が微細分散した組織を有し、鋼板表面から0.2μmまでの深さにおけるSi濃化量が地鉄でのSi固溶量の1.3倍以下である。
ベイナイト相の面積率:80%以上
ベイナイト相は、粒内に多量の転位を含むために、セメンタイトやTi、Vを含む炭化物の核生成を促進させる。また、ベイナイト相が成長する温度域ではセメンタイトとTiやVを含む炭化物の析出が競合するため、熱延鋼板の打抜性と高強度を両立させることが可能となる。これらの効果を発現させるためには、実質的にベイナイト単相組織とする必要があり、ベイナイト相を主相とし、その面積率を80%以上とする必要がある。好ましくは90%以上である。
フェライト相の面積率:15%以下(0を含む)
フェライト相の粒内には、TiやVを含む炭化物が多量に析出するため、フェライト相の強度(硬度)はベイナイト相よりも高くなる。このように主相であるベイナイト相との硬度差を有するフェライト相が混在すると、熱延鋼板の打ち抜き加工時にフェライト相とベイナイト相との界面で不均一な応力集中が生じるため、打ち抜き端面での割れや荒れ等の異常部発生の原因となる。また、セメンタイトはフェライト相の粒内に生じ難く、フェライト粒界に優先的に析出する。そのため、フェライト相には、粒内にセメンタイトを均一に分散させることができず、打ち抜き加工時の亀裂成長を制御することが困難となる。フェライト相の面積率が15%を超えると上記悪影響が顕在化するため、フェライト相の面積率は15%以下とする。好ましくは10%以下である。なお、本発明の熱延鋼板は、フェライト相の面積率を0%としてもよく、フェライト相を含まないことが好ましい。
マルテンサイト相の面積率:5%以下(0を含む)
マルテンサイト相は非常に硬質であるため、熱延鋼板の打ち抜き加工時に局所的な応力集中を生じさせ、打ち抜き端面での亀裂や割れ等の原因となり、打ち抜き端面性状を劣化させる。マルテンサイト相の面積率が5%を超えると上記悪影響が顕在化するため、マルテンサイト相の面積率は5%以下とする。好ましくは3%以下である。なお、本発明の熱延鋼板は、マルテンサイト相の面積率を0%としてもよく、マルテンサイト相を含まないことが好ましい。
なお、本発明の熱延鋼板において、ベイナイト相、フェライト相およびマルテンサイト相以外の組織としては、パーライトや残留オーステナイト等が挙げられる。これら組織の合計面積率は3%以下とすることが好ましい。更に、マルテンサイト相を含めた合計面積率を5%以下とすることがより好ましい。
セメンタイトの平均粒子径:2μm以下
鉄系の炭化物であるセメンタイトは粗大であるため、熱延鋼板に打ち抜き加工を施すと、セメンタイトとマトリックス(主にベイナイト相)との界面に応力集中が生じ、ボイド発生の基点となる。ここで、良好な打ち抜き端面性状を得るには、熱延鋼板の板厚方向にわたって均一にボイドを発生させ、ボイドの成長、合体を促進し、亀裂成長方向を制御する必要がある。したがって、狭い粒度分布を有するセメンタイトを均一に分布させることが肝要となる。セメンタイトの平均粒子径が2μmを超えると、粒度分布が広くなり、セメンタイトとマトリックスの界面における応力集中が不均一となり、打ち抜き端面性状が劣化する。したがって、セメンタイトの平均粒子径は2μm以下とする。好ましくは1μm以下である。更に、熱延鋼板中にセメンタイトを均一に分布させるためには、セメンタイトの最近接間距離を少なくとも5μm以下にすることが好ましい。
セメンタイトの析出量(質量%):0.08%以上
上記のとおり、本発明においては、セメンタイトを微細かつ均一に分散させることで、熱延鋼板の打抜性を高めている。このような効果を発現させるためには、セメンタイトの析出量((熱延鋼板中に含まれるセメンタイトの全質量)/(熱延鋼板の質量)×100)を、質量%で0.08%以上とする必要がある。好ましくは0.10%以上である。但し、セメンタイトの析出量が過剰になると、ボイド発生起点が不均一となるために打抜性が劣化するばかりか、微細に析出するTi、V等を含む炭化物の析出量が減少するため鋼板強度が低下するおそれがある。したがって、セメンタイトの析出量は、質量%で0.18%以下とすることが好ましい。
ベイナイト相の結晶粒内の炭化物
本発明の熱延鋼板では、固溶強化元素であるSiの含有量を極力低下させるため、ベイナイト相による変態強化(転位強化)のみでは引張強さ:780MPa以上の熱延鋼板を安定的に得ることは困難である。そこで、本発明の熱延鋼板では、ベイナイト相の結晶粒内に炭化物を微細析出させて、粒子分散強化により高強度化を図ることが必須となる。本発明において、ベイナイト相の結晶粒内に微細析出させる炭化物としては、Ti炭化物、V炭化物およびTiとVの複合炭化物が挙げられる。なお、これらの炭化物の多くは、熱延鋼板製造工程における仕上げ圧延終了後の巻取り過程で、ベイナイト相の結晶粒内の転位を核生成サイトとして析出する炭化物である。
炭化物の平均粒子径:10nm未満
本発明では、ベイナイト相の結晶粒内に前記したTiやVを含む炭化物を微細に分散させることで、熱延鋼板の強化を図っている。炭化物が粗大化すると、鋼板に変形が加わった際に生じる転位の運動を阻害する炭化物数が減じることから、炭化物が微細化するほど鋼板は高強度化する。引張強さ780MPa以上の高強度熱延鋼板を得るには、上記炭化物の平均粒子径を10nm未満とする必要がある。好ましくは6nm以下である。
鋼板表面から0.2μmまでの深さにおけるSi濃化量:地鉄でのSi固溶量の1.3倍以下
Si表面濃化層は、鋼板表面の濡れ性を著しく低下させ、めっき性や化成性を低下させる。したがって、Si濃化量が増加すると、熱延鋼板の表面性状が劣化する。表面性状の劣化を抑制するためには、鋼板表面から0.2μmまでの深さにおけるSi濃化量を、地鉄でのSi固溶量の1.3倍以下とする必要がある。好ましくは1.2倍以下である。
なお、本発明において「鋼板表面から0.2μmまでの深さにおけるSi濃化量」は、グロー放電発光分析法により鋼板表面から0.2μmまでの深さにおけるSiのスペクトル強度から得られる濃度プロファイルから測定される値とする。一方、「地鉄でのSi固溶量」は、鋼板表面から0.2μmから0.4μmまでの深さにおけるグロー放電発光分析法によるSiの濃度プロファイルから測定される値とする。
次に、本発明熱延鋼板の成分組成の限定理由について説明する。なお、以下の成分組成を表す%は、特に断らない限り質量%(mass%)を意味するものとする。
C:0.06%以上0.13%以下
Cは、TiやVと結合し炭化物として鋼板中に微細分散する。さらに、TiやVを含む炭化物の形成に関与しないCは、セメンタイトとして析出する。すなわちCは、微細な炭化物を形成して鋼板強度を上昇させるとともに、微細なセメンタイトを分散させて優れた打抜性を得るのに重要な元素である。引張強さが780MPa以上であり且つ打抜性に優れた高強度熱延鋼板を得るには、C含有量を少なくとも0.06%以上とする必要がある。一方、C含有量が0.13%を超えると、粗大なセメンタイトが析出するようになり、打抜性が劣化する。したがって、C含有量は0.06%以上0.13%とする。好ましくは0.07%以上0.11%以下である。
また、上記したように、セメンタイトの析出量はTiやVを含む炭化物の形成に関与しないC量に比例する。所望のセメンタイト量を得るには、下記(1)式を満たす範囲でC含有量を制御することが望ましい。なお、下記(1)式において[%C]、[%Ti]、[%V]は、それぞれの元素の含有量(質量%)である。
Figure 0006275510
Si:0.09%以下
Siは、鋼板表面に濃化してSi表面濃化層を形成するが、この表面濃化層は鋼板表面の濡れ性を著しく低下させるため、めっき性や化成性を低下させる。また、Siは、鋼板表面に赤スケールを生成させ、鋼板表面の外観を著しく損ねる。さらに、この赤スケールは鋼板表面にノッチを生成させるため、鋼板の曲げ性や耐疲労性を低下させる原因となる。したがって、本発明ではSi含有量を極力低減することが望ましいが、0.09%までは許容できるため、Si含有量の上限を0.09%とする。好ましくは0.05%未満である。なお、Si含有量は不純物レベルまで低減してもよい。
Mn:0.01%以上1.20%以下
Mnは、熱延鋼板製造時、熱間圧延終了後の冷却過程においてオーステナイト→フェライト変態点を低下させる作用があり、熱延鋼板組織を実質的なベイナイト単相組織とするのに必要な元素である。このような効果を得るには、Mn含有量を0.01%以上とする必要がある。一方、Mnは表面濃化するうえ、Siの表面濃化を助長させるため、必要以上に含有させれば熱延鋼板の表面性状を悪化させることになる。本発明においては、Mn含有量が1.20%以下であれば表面性状の劣化が問題とならないため、Mn含有量の上限を1.20%とする。好ましくは0.20%以上1.15%以下である。
P:0.03%以下
Pは、粒界に偏析して熱延鋼板の打ち抜き加工時に粒界割れの起点となり、打ち抜き端面の性状を劣化させる有害な元素であるため、極力低減することが好ましい。本発明では上記問題を回避すべく、P含有量を0.03%以下とする。好ましくは0.02%以下である。
S:0.005%以下
Sは、鋼中でMnSなどの介在物として存在する。この介在物は、熱延鋼板の打ち抜き加工時に楔状に伸び変形が不均一となるため、打抜性に著しい悪影響をもたらす。したがって、本発明では、S含有量を極力低減することが好ましく、0.005%以下とする。好ましくは0.003%以下である。
Al:0.1%以下
Alは、脱酸剤として作用する元素である。このような効果を得るためには0.02%以上含有することが望ましいが、Al含有量が0.1%を超えるとアルミナなどの介在物による打抜性への悪影響が顕在化する。したがって、Al含有量は0.1%以下とする。好ましくは0.08%以下である。
N:0.01%以下
Nは、製鋼の段階でTiなどと結合して粗大な窒化物を形成し、微細な炭化物の形成を阻害するため熱延鋼板強度を著しく低下させる。また、粗大な窒化物は、局所的な応力集中を生じさせるため熱延鋼板の打抜性をも低下させる。したがってN含有量は極力低減することが好ましく、0.01%以下とする。好ましくは0.008%以下である。
Ti:0.13%以上0.20%以下
Tiは、微細な炭化物を形成して熱延鋼板強度を上昇させるうえ、熱延鋼板製造時、熱間圧延終了後の冷却過程においてオーステナイト→フェライト変態を遅延させる焼入性元素としての作用があるため、本発明において重要な元素である。引張強さ:780MPa以上ならびに実質的なベイナイト単相組織である熱延鋼板を得るのに必要なTi含有量は0.13%以上である。好ましくは0.14%以上である。一方、Ti含有量が0.20%を超えると熱間圧延前の鋼素材の加熱工程において粗大なTi系炭化物を溶解することができず、最終的に得られる熱延鋼板中に粗大なTi炭化物が残存する。この粗大なTi炭化物は熱延鋼板の強度上昇に寄与しないため、Ti含有量が0.20%を超えると高強度化の効果が飽和する。更に、粗大なTi炭化物は局所的な応力集中を発生させるため、Ti含有量が0.20%を超えると打ち抜き端面性状が劣化する。以上の理由により、Ti含有量の上限を0.20%とする。好ましくは0.18%以下である。
V:0.03%以上0.13%以下
Vは、Tiと同様、Cと炭化物を形成して熱延鋼板の高強度化に寄与する元素である。Tiのみでは炭化物の析出量が不足し所望の熱延鋼板強度(引張強さ:780MPa以上)が得られないため、V含有量を少なくとも0.03%以上とする必要がある。好ましくは、0.06%以上である。一方、VはTiよりも炭化物形成能が低く鋼板中に固溶状態として残存し易い元素であるが、固溶状態にあるVは結晶格子をひずませる効果が小さいため高強度化に寄与しない。0.13%を超えるVを添加しても、炭化物の析出量は殆ど増加せず、高強度化の効果が飽和する。したがって、V含有量の上限を0.13%とする。好ましくは0.12%以下である。
Nb:0.02%以下(0を含む)
Nbは、鋼中への溶解量が少ないため、熱間圧延前の鋼素材の加熱で鋼に溶解させることが困難な元素である。特に、本発明のようにTi含有量が0.13%以上0.20%以下である鋼の場合、熱間圧延前の鋼素材を粗大なTi炭化物が溶解する温度域に加熱してもNbは溶解せず粗大なNb炭化物として熱延鋼板中に残存する。この粗大なNb炭化物は、熱延鋼板の打ち抜き加工時に局所的な応力集中源となり、打ち抜き端面性状を劣化させる。上記悪影響はNb含有量が0.02%を超えると顕在化するため、Nb含有量は0.02%以下に制限する必要がある。好ましくは0.01%以下に制限する。なお、Nb含有量は不純物レベルまで低減してもよく、0%としてもよい。
以上が、本発明における基本組成であるが、上記した基本組成に加えてさらに、B:0.0002%以上0.0030%以下を含有してもよい。
Bは、熱延鋼板製造時、熱間圧延終了後の冷却過程においてオーステナイト→フェライト変態の進行を阻害させる元素であるため、Bを含有することにより実質的なベイナイト単相組織の熱延鋼板が製造し易くなる。上記の効果を得るには、B含有量を0.0002%以上とすることが好ましい。一方、B含有量が0.0030%を超えると、変態点を制御する上記効果が飽和する。したがって、B含有量は0.0002%以上0.0030%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.0005%以上0.0020%以下である。
また、REM、Cu、Ni、Sn、Cr、Sb、Mg、Ca、Coのいずれか1種以上を合計で0.1929%以下含有してもよい。これら元素は、熱延鋼板の表面性状および打抜性の観点から合計で0.1929%まで許容できる
上記以外の成分は、Feおよび不可避的不純物である。
本発明の熱延鋼板は、720℃までの加熱処理を短時間施しても引張強さが低下することはない。そのため、鋼板に耐食性を付与する目的で、本発明の熱延鋼板にめっき処理を施し、その表面にめっき層を具えることができる。めっき処理は、720℃以下の加熱温度でも処理可能であることから、本発明の熱延鋼板にめっき処理を施しても前記した本発明の効果を損なうことはない。
めっき層の種類は特に問わず、電気めっき層、無電解めっき層のいずれも適用可能である。また、めっき層の合金成分も特に問わず、溶融亜鉛めっき層、合金化溶融亜鉛めっき層などが好適な例として挙げられるが、勿論、これらに限定されない。
次に、本発明の熱延鋼板の製造方法について説明する。
本発明は、上記した組成の鋼素材(鋼スラブ)を加熱し、粗圧延と仕上げ圧延からなる熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、冷却し、巻き取り、熱延鋼板とする。この際、前記加熱の加熱温度を1150℃以上1350℃以下とし、前記仕上げ圧延の仕上げ圧延終了温度を850℃以上とし、前記冷却を仕上げ圧延終了後3s以内に開始し、前記冷却の冷却速度を40℃/s以上とし、前記巻き取りの巻取り温度を350℃以上550℃以下とすることを特徴とする。
本発明において、鋼の溶製方法は特に限定されず、転炉、電気炉等、公知の溶製方法を採用することができる。また、真空脱ガス炉にて2次精錬を行ってもよい。その後、生産性や品質上の問題から連続鋳造法によりスラブ(鋼素材)とするのが好ましいが、造塊−分塊圧延法、薄スラブ連鋳法等、公知の鋳造方法でスラブとしてもよい。なお、本発明において連続鋳造法を採用する場合には、連続鋳造時の鋼の成分偏析低減のために、電磁撹拌(EMS)、軽圧下鋳造(IBSR)等を適用することができる。電磁撹拌処理を施すことにより、板厚中心部に等軸晶を形成させ、偏析を低減させることができる。また、軽圧下鋳造を施した場合は、連続鋳造スラブの未凝固部の溶鋼の流動を防止することにより、板厚中心部の偏析を低減させることができる。これらの偏析低減処理の少なくとも1つの適用により、後述する引張り試験における伸びをより優れたレベルにすることができる。
鋼素材の加熱温度:1150℃以上1350℃以下
上記の如く得られた鋼素材に、粗圧延および仕上げ圧延を施すが、本発明においては、粗圧延に先立ち鋼素材を加熱して実質的に均質なオーステナイト相とし、粗大な炭化物を溶解する必要がある。鋼素材の加熱温度が1150℃を下回ると、粗大な炭化物が溶解しないため、熱間圧延終了後の冷却・巻取り工程で微細分散する炭化物の量が減じることとなり、最終的に得られる熱延鋼板の強度が著しく低下する。また、粗大な炭化物が生成することにより熱延鋼板の打ち抜き端面性状が劣化する。一方、上記加熱温度が1350℃を上回ると、スケールが噛み込み、熱延鋼板の表面性状が悪化する。
以上の理由により、鋼素材加熱温度は1150℃以上1350℃以下とする。好ましくは1200℃以上1300℃以下である。但し、鋼素材に熱間圧延を施すに際し、鋳造後の鋼素材が1150℃以上1350℃以下の温度域にある場合、或いは鋼素材の炭化物が溶解している場合には、鋼素材を加熱することなく直送圧延してもよい。なお、粗圧延条件については特に限定されない。
仕上げ終了圧延温度:850℃以上
仕上げ圧延終了温度が850℃を下回ると、仕上げ圧延中にフェライト変態が開始してフェライト粒が伸展された組織となるうえ、部分的にフェライト粒が成長した混粒組織となるため、熱延鋼板の打抜性が著しく低下する。したがって、仕上げ圧延終了温度は850℃以上とする。好ましくは870℃以上である。但し、仕上げ圧延終了温度が過剰に高くなると、鋼板表面に生成するスケールが厚くなり、スケール噛み込みにより鋼板表面性状が劣化することが懸念されるため、1000℃以下とすることが好ましい。
仕上げ圧延終了後、強制冷却を開始するまでの時間:3s以内
仕上げ圧延直後の高温状態の鋼板においては、オーステナイト相に蓄積されたひずみエネルギーが大きいため、ひずみ誘起析出による炭化物が生じる。この炭化物は、高温で析出するため粗大化し易いことから、ひずみ誘起析出が生じると微細な析出物が得られ難くなる。したがって、本発明では、ひずみ誘起析出を抑制する目的で熱間圧延終了後速やかに強制冷却を開始する必要があり、仕上げ圧延終了後、少なくとも3s以内に強制冷却を開始する。好ましくは2s以内である。
冷却速度:40℃/s以上
上記のとおり、仕上げ圧延終了後の鋼板の高温に維持される時間が長いほど、ひずみ誘起析出による炭化物の粗大化が進行し易くなり、熱延鋼板強度が低下する。また、冷却速度が40℃/s未満では、オーステナイト→フェライト変態が進行し、所望の金属組織を得ることができなくなる。そのため、本発明では仕上げ圧延終了後、後述する巻取り温度まで急冷する必要があり、上記問題を回避するには40℃/s以上の冷却速度で冷却する必要がある。好ましくは50℃/s以上である。但し、仕上げ圧延終了後の冷却速度が過剰に大きくなると、巻取り温度の制御が困難となるおそれがあるため、200℃/s以下とすることが好ましい。
なお、上記の冷却速度は、仕上げ圧延終了温度から巻取り温度までの温度域における平均冷却速度である。
巻取り温度:350℃以上550℃以下
550℃以下の温度域では、TiやVを含む炭化物とセメンタイトの析出が競合し、高強度かつ良好な打ち抜き端面性状を有する熱延鋼板が得られるようになる。したがって、本発明では、仕上げ圧延終了後、550℃以下の巻取り温度まで急冷する。巻取り温度が550℃を上回ると、オーステナイト→フェライト変態の進行が優先的に生じるようになり、良好な打ち抜き端面性状が得られなくなる。一方、巻取り温度が350℃を下回るとTiおよびVを含む炭化物の析出が生じ難くなるため、熱延鋼板強度が不安定になるばかりか、マルテンサイト相が生成されるため打抜性が劣化する。以上の理由により、巻取り温度の範囲は350℃以上550℃以下とする。好ましくは380℃以上530℃以下である。
本発明によると、以上のように鋼板組成および製造条件を適正化することで、ベイナイト相の面積率が80%以上、フェライト相の面積率が15%以下(0を含む)、マルテンサイト相の面積率が5%以下(0を含む)、セメンタイトの析出量が質量%で0.08%以上、該セメンタイトの平均粒子径が2μm以下であり、前記ベイナイト相の結晶粒内に平均粒子径が10nm未満である炭化物が微細分散した組織を有し、鋼板表面から0.2μmまでの深さにおけるSi濃化量が地鉄でのSi固溶量の1.3倍以下である引張強さ780MPa以上の熱延鋼板が得られる。
本発明では、良好な表面性状と優れた打抜性を兼備した高強度熱延鋼板を得る目的で、CおよびSi、Ti、V量の最適化を図っている。良好な表面性状を得る目的でSi含有量を低減して固溶強化機構の寄与を減少させた分、粒子分散強化機構により高強度化を図らなければ、熱延鋼板の引張強さを780MPa以上とすることはできない。さらに、炭化物構成元素であるCおよびTi、Vの含有量を適切に制御しなければ、良好な打抜性が得られなくなることは上記したとおりである。
なお、本発明の巻き取り後の熱延鋼板は、表面にスケールが付着した状態であっても、酸洗を行うことによりスケールを除去した状態であっても、その特性が変わることはなく、いずれの状態においても前記した優れた効果を発現する。また、本発明では、巻き取り後の熱延鋼板にめっき処理を施して、熱延鋼板表面にめっき層を形成してもよい。めっき処理の種類は特に問わず、電気めっき処理、無電解めっき処理のいずれも適用可能である。例えば、めっき処理として溶融亜鉛めっき処理を施して溶融亜鉛めっき層を形成することができる。或いは更に、上記溶融亜鉛めっき処理後、更に合金化処理を施して合金化溶融亜鉛めっき層を形成してもよい。また、溶融めっきには亜鉛の他に、アルミもしくはアルミ合金等、その他の金属や合金をめっきすることもできる。
本発明により得られる熱延鋼板は、720℃以下までの温度域に短時間保持する場合であれば、鋼板強度が低下することはない。そのため、例えば焼鈍温度を720℃以下とした連続めっきラインに通板させることができる。めっき層の付着方法としては、例えば、めっき浴に鋼板を浸漬して引き上げる方法などが挙げられる。合金化処理方法としては、例えば、めっき処理後にガス炉など、鋼板表面を加熱することができる炉内で行う方法などが挙げられる。
表1に示す組成を有する肉厚250mmのスラブ(鋼素材)を連続鋳造法により鋳造し、該スラブに、表2に示す熱延条件で熱間圧延を施し、更に巻き取り後に酸洗を施して板厚1.4〜2.0mmの熱延鋼板とした。連続鋳造の際、表2の鋼板No.2以外のものについては、成分の偏析低減処理のため、電磁撹拌(EMS)を行った。なお、表2に記載の冷却速度は、仕上げ圧延終了温度から巻取り温度までの温度域における平均冷却速度である。また、得られた熱延鋼板の一部に対しては、焼鈍温度700℃の溶融亜鉛めっきラインに通板して460℃のめっき浴(めっき組成:Zn-0.13mass%Al)に浸漬し、溶融亜鉛めっき材(GI材)とした。また一部の鋼板は、上記溶融亜鉛めっきラインに通板してめっき浴に浸漬した後、520℃で合金化処理を施して合金化溶融亜鉛めっき材(GA材)とした。めっき付着量はGI材、GA材ともに片面当たり45〜55g/m2とした。
Figure 0006275510
Figure 0006275510
上記により得られた熱延鋼板(めっき無しの酸洗材、GI材、GA材)から試験片を採取し、以下の手法にしたがい組織観察を行い、ベイナイト相、フェライト相、マルテンサイト相等の面積率、セメンタイトの析出量および平均粒子径、ベイナイト相の結晶粒内に分散した炭化物(Tiおよび/またはVを含む炭化物)の平均粒子径を求めた。
また、上記により得られた熱延鋼板から試験片を採取し、以下の手法にしたがいSi濃度分布測定を行い、鋼板表面から0.2μmまでの深さにおけるSi濃化量と地鉄でのSi固溶量を求め、地鉄でのSi固溶量に対する前記Si濃化量の比率を求めた。
更に、上記により得られた熱延鋼板から試験片を採取し、以下の手法にしたがい、引張試験、打ち抜き加工試験および外観観察を行い、降伏強度、引張強さ、伸びを求めるとともに、熱延鋼板の表面性状評価および打ち抜き端面性状評価を行った。
(i)組織観察
フェライト相、ベイナイト相、マルテンサイト相等の各種金属組織の面積率は以下の手法により評価した。圧延方向に平行な断面の板厚中心部について、5%ナイタールによる腐食現出組織を走査型光学顕微鏡で400倍に拡大して10視野分撮影した。各種金属組織の面積率は、画像解析によりフェライト相やベイナイト相、マルテンサイト相等に分離し、観察視野面積に対する各種金属組織が占める面積の割合を面積率として求めた。
セメンタイトの析出量(質量%)は、得られた熱延鋼板の板厚中央部から採取した電解抽出用サンプル(0.2g)を、10%AA系電解液(10vol%アセチルアセトン-1mass%塩化テトラメチルアンモニウム-メタノール)中、電流密度20mA/cm2で定電流電解した後、炭化物を抽出し、その中に含まれるFeの質量%を求め、Fe:C=3:1としてセメンタイトの質量%を求めた。
セメンタイトの平均粒子径は、上記で抽出した炭化物を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した写真を用いて、セメンタイトの粒子径(円相当径)を測定することにより求めた。セメンタイトの同定にはSEMに付帯するエネルギー分散型X線分析装置(EDS)によりTiもしくはVが含まれない炭化物であることを確認すればよい。
ベイナイト相の結晶粒内の炭化物の平均粒子径は、得られた熱延鋼板の板厚中央部から薄膜法によってサンプルを作製し、透過型電子顕微鏡(倍率:120000倍)で観察を行い、100点以上の炭化物粒子に対する円相当径の平均によって求めた。この炭化物粒子径を算出するうえでは、対象とする炭化物を、Ti、Vのいずれか一方または両方を含む炭化物に限定する。Tiおよび/またはVを含む炭化物の同定は、透過型電子顕微鏡に付帯するEDXによって分析すればよい。
(ii)Si濃度分布測定
グロー放電発光分析法により濃度プロファイルを測定し、熱延鋼板表層のSi濃化量および地鉄のSi固溶量を求めた。
熱延鋼板表面(GI材、GA材の場合は、酸洗によってめっき層を剥離した後の表面)から深さ0.2μmまでのSi積算値と、深さ0.2μmから0.4μmまでのSi積算値を求め、熱延鋼板表面から深さ0.2μmまでの濃度ピーク(Si濃化量)に深さ0.2μmから0.4μmまでの平均強度(Si固溶量)を割り付けることで、鋼板表面から0.2μmまでの深さにおけるSi濃化量と地鉄でのSi固溶量の比(Si濃化量/Si固溶量)を求めた。
(iii)引張試験
得られた熱延鋼板から圧延方向と垂直方向にJIS13B号引張試験片を作製し、JIS Z 2241(2011)の規定に準拠した引張試験を5回行い、平均の降伏強度(YS)、引張強さ(TS)、全伸び(El)を求めた。引張試験のクロスヘッドスピードは10mm/minとした。
(iv)打ち抜き加工試験(打ち抜き端面性状評価)
得られた熱延鋼板の各々について、鋼板長手方向に50点の打ち抜き加工を行い、その打ち抜き端面の欠陥の有無を目視により観察した。なお、打ち抜き加工は、鋼板長手方向に直径:10mmφの穴を100mm間隔(穴の中心同士の間隔)で50点、打ち抜き加工(クリアランス:試験片板厚の13%)することにより行った。打ち抜き端面に亀裂や段差、めくれ、はがれなど端面に異常部が観察された場合には評価を“不良(×)”、これらの異常部が観察されない場合には評価を“良好(○)”とした。
(v)外観観察
得られた熱延鋼板の各々について、表面積が1.5m2以上の領域の鋼板表面を目視観察し、表面性状の優劣を判断した。めっき無しの酸洗材については、熱延鋼板表面に赤スケールや赤スケール由来の凹凸が認められた場合の評価を“不良”とし、上記赤スケールおよび上記凹凸がいずれも認められなかった場合の評価を“良好”とした。めっき材(GI材、GA材)については不めっき部が認められた場合の評価を不良として以下の表3中に“不めっき”と記す一方、不めっき部が認められなかった場合の評価を“良好”とした。
得られた結果を表3に示す。
Figure 0006275510
本発明例はいずれも、引張強さTS:780MPa以上であり且つ表面性状および打抜性(打ち抜き端面性状)にも優れた熱延鋼板となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、良好な表面性状もしくは打抜性が得られていない。

Claims (12)

  1. 質量%で、
    C :0.06%以上0.13%以下、 Si:0.09%以下、
    Mn:0.01%以上1.20%以下、 P :0.03%以下、
    S :0.005%以下、 Al:0.1%以下、
    N :0.01%以下、 Ti:0.13%以上0.20%以下、
    V :0.03%以上0.13%以下
    を含有し、
    Nb:0.02%以下(0を含む)
    に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成と、ベイナイト相の面積率が80%以上、フェライト相の面積率が15%以下(0を含む)、マルテンサイト相の面積率が5%以下(0を含む)、セメンタイトの析出量が質量%で0.08%以上、該セメンタイトの平均粒子径が2μm以下であり、前記ベイナイト相の結晶粒内に平均粒子径が10nm未満である炭化物が微細分散した組織を有し、鋼板表面から0.2μmまでの深さにおけるSi濃化量が地鉄でのSi固溶量の1.3倍以下であり、引張強さが780MPa以上であることを特徴とする高強度熱延鋼板。
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.0002%以上0.0030%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度熱延鋼板。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、REM、Cu、Ni、Sn、Cr、Sb、Mg、Ca、Coのいずれか1種以上を合計で0.1929%以下含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高強度熱延鋼板。
  4. 鋼板表面にめっき層を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高強度熱延鋼板。
  5. 前記めっき層が、亜鉛めっき層であることを特徴とする請求項4に記載の高強度熱延鋼板。
  6. 前記めっき層が、合金化亜鉛めっき層であることを特徴とする請求項4に記載の高強度熱延鋼板。
  7. 鋼素材を、加熱し、粗圧延と仕上げ圧延からなる熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、冷却し、巻き取り、熱延鋼板とするにあたり、前記鋼素材を、質量%で、
    C :0.06%以上0.13%以下、 Si:0.09%以下、
    Mn:0.01%以上1.20%以下、 P :0.03%以下、
    S :0.005%以下、 Al:0.1%以下、
    N :0.01%以下、 Ti:0.13%以上0.20%以下、
    V :0.03%以上0.13%以下
    を含有し、
    Nb:0.02%以下(0を含む)
    に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成とし、前記加熱の加熱温度を1150℃以上1350℃以下とし、前記仕上げ圧延の仕上げ圧延終了温度を850℃以上とし、前記冷却を仕上げ圧延終了後3s以内に開始し、前記冷却の冷却速度を40℃/s以上とし、前記巻き取りの巻取り温度を350℃以上550℃以下とすることを特徴とするベイナイト相の面積率が80%以上、フェライト相の面積率が15%以下(0を含む)、マルテンサイト相の面積率が5%以下(0を含む)、セメンタイトの析出量が質量%で0.08%以上、該セメンタイトの平均粒子径が2μm以下であり、前記ベイナイト相の結晶粒内に平均粒子径が10nm未満である炭化物が微細分散した組織を有し、鋼板表面から0.2μmまでの深さにおけるSi濃化量が地鉄でのSi固溶量の1.3倍以下であり、引張強さが780MPa以上である高強度熱延鋼板の製造方法。
  8. 前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.0002%以上0.0030%以下を含有することを特徴とする請求項7に記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
  9. 前記組成に加えてさらに、質量%で、REM、Cu、Ni、Sn、Cr、Sb、Mg、Ca、Coのいずれか1種以上を合計で0.1929%以下含有することを特徴とする請求項7または8に記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
  10. 鋼板表面にめっき層を形成することを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
  11. 前記めっき層が、亜鉛めっき層であることを特徴とする請求項10に記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
  12. 前記めっき層が、合金化亜鉛めっき層であることを特徴とする請求項10に記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
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