実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る通信システムの構成を概略的に示す図である。実施の形態1に係る通信システムは、連結された複数の車両101,102,103,104,105,106を含む列車100に搭載されている列車通信システムである。また、実施の形態1に係る通信システムは、本発明が適用された無線チャンネル割り当て方法を実施することができるシステムである。図1には、車両の数が6両である場合が示されているが、車両の数は2両以上であれば、6両以外の数であってもよい。
実施の形態1に係る通信システムは、この通信システムを構成する複数のセル内無線ネットワークにおいて、複数のセル内無線ネットワークの各々の通信性能のバラツキ(すなわち、通信性能の差異)を小さくする無線チャンネルの割り当てを行うことによって、通信システム全体の通信性能を向上させている。図1において、セルは、列車100を構成する車両、すなわち、1号車101、2号車102、3号車103、4号車104、5号車105、及び6号車106である。したがって、1個のセルは、1両の車両に相当する。各車両内に、セル内無線ネットワークが構築される。実施の形態1において、セル内無線ネットワークは、1号車101、2号車102、3号車103、4号車104、5号車105、及び6号車106内にそれぞれ構築された車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160である。車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160は、セル間ネットワークで通信可能に接続されている。実施の形態1において、セル間ネットワークは、車両間ネットワーク107である。
図1に示されるように、実施の形態1に係る通信システムは、複数の車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160と、車両間ネットワーク107と、複数の車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160と車両間ネットワーク107との間の通信をネットワークノードとして中継する複数のゲートウェイ端末111,121,131,141,151,161とを有する。複数のゲートウェイ端末111,121,131,141,151,161によって、複数の車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160と車両間ネットワーク107とは通信可能に接続され、その結果、複数のゲートウェイ端末111,121,131,141,151,161は相互に通信可能になる。車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160の各々は、通信端末として、少なくとも1つの無線端末を含む。車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160の各々において、無線端末とゲートウェイ端末111,121,131,141,151,161との間の通信は、無線通信で行われる。また、ゲートウェイ端末111,121,131,141,151,161は、セル間ネットワーク107との間の通信は、一般には、有線通信であるが、無線通信、又は、有線通信と無線通信の組み合わせ、とすることも可能である。また、図1においては、ゲートウェイ端末111は、車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160の各々で使用する無線チャンネル(無線周波数)を割り当てる無線チャンネル割り当て装置としての構成を含む。また、図1においては、ゲートウェイ端末121,131,141,151,161は、同様の構成を有する。ただし、実施の形態1においては、ゲートウェイ端末111,121,131,141,151,161の少なくとも1つが、図1に示される通信システムにおける無線ネットワークの割り当て機能を有する。実施の形態1においては、例えば、ゲートウェイ端末111が、無線ネットワーク割り当て装置として動作する場合を説明する。ただし、無線チャンネル割り当て装置としての構成を含むゲートウェイ端末は、ゲートウェイ端末111以外の端末であってもよい。また、無線ネットワーク割り当て装置は、ゲートウェイ端末111,121,131,141,151,161以外の装置(例えば、後述する図14のサーバ650など)であってもよい。
図1において、1号車101内の車両内無線ネットワーク110は、無線端末として、画像表示機能を持つ無線表示端末112,113,114を含む。また、2号車102内の車両内無線ネットワーク120は、無線端末として、画像表示機能を持つ無線表示端末122,123,124を含む。また、3号車103内の車両内無線ネットワーク130は、無線端末として、画像表示機能を持つ無線表示端末132,133,134を含む。また、4号車104内の車両内無線ネットワーク140は、無線端末として、画像表示機能を持つ無線表示端末142,143,144を含む。また、5号車105内の車両内無線ネットワーク150は、無線端末として、画像表示機能を持つ無線表示端末152,153,154を含む。また、6号車106内の車両内無線ネットワーク160は、無線端末として、画像表示機能を持つ無線表示端末162,163,164を含む。ただし、各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に含まれる無線表示端末の台数は、3台に限定されず、他の台数であってもよい。また、各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に含まれる無線表示端末の台数は、互いに同じ台数である必要はなく、互いに異なる台数であってもよい。
車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160で使用する無線通信方式は、特定の無線通信方式に限定されない。車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160は、例えば、IEEE802.11g方式の無線LANである。IEEE802.11g方式の無線LANは、2.4GHz帯を使用しているが、使用することができる無線チャンネル(無線周波数)は、一般に各国の法律で定められており、国によって若干の違いがある。日本では、チャンネル1(1ch)からチャンネル13(13ch)までを使用することができる。互いに干渉せずに通信することができるチャンネルとしては、例えば、チャンネル1(1ch)、チャンネル6(6ch)、及びチャンネル11(11ch)のように、5チャンネルおきに使用するチャンネルを設定した場合である。5チャンネルおきに、使用するチャンネルを設定する場合には、最大で3チャンネルの設定が可能である。なお、互いに干渉せずに通信することができるチャンネルとしては、チャンネル1(1ch)、チャンネル6(6ch)、及びチャンネル11(11ch)の組み合わせの代わりに、チャンネル2(2ch)、チャンネル7(7ch)、及びチャンネル12(12ch)の組み合わせ、又は、チャンネル3(3ch)、チャンネル8(8ch)、及びチャンネル13(13ch)の組み合わせなどを使用することも可能である。また、異なる通信方式の場合には、互いに干渉せずに通信することができるチャンネルの組み合わせは、異なる組み合わせになる。
図2は、図1に示されるゲートウェイ端末121,131,141,151,161の構成を概略的に示すブロック図である。図2に示されるように、ゲートウェイ端末121,131,141,151,161の各々は、無線端末と無線通信を行う第1通信部301と、セル間ネットワーク107と有線通信を行う第2通信部302と、第1通信部301と第2通信部302とを通信可能に中継する中継処理部501と、各構成の動作を制御する制御部502とを有する。ゲートウェイ端末121,131,141,151,161の各々は、無線ネットワーク割り当て装置から無線チャンネルの割り当ての指示信号を受け取り、ゲートウェイ端末121,131,141,151,161の各第1通信部301は、受け取った指示信号にしたがって無線表示端末との間の通信に使用する無線チャンネルを切り替える。
図3は、無線チャンネル割り当て装置としてのゲートウェイ端末111の構成を概略的に示すブロック図である。図3に示されるように、ゲートウェイ端末111は、無線端末と無線通信を行う第1通信部301と、セル間ネットワーク107と有線通信を行う第2通信部302と、第1通信部301と第2通信部302とを通信可能に中継する中継処理部601と、各構成の動作を制御する制御部602と、無線チャンネル割り当て動作を行う無線チャンネル割り当て処理部603とを有する。ゲートウェイ端末111は、制御部602からの指示にしたがって、無線チャンネル割り当て処理部603が無線チャンネルの割り当ての指示信号を生成し、ゲートウェイ端末121,131,141,151,161の各々に送信する。ゲートウェイ端末111及び指示信号を受け取ったゲートウェイ端末121,131,141,151,161の第1通信部301は、受け取った指示信号にしたがって無線表示端末との間の通信に使用する無線チャンネルを切り替える。
図4は、図1及び図3に示される無線チャンネル割り当て装置であるゲートウェイ端末111の構成を詳細に示すブロック図である。すなわち、図4は、無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末(すなわち、ゲートウェイ端末の一部が無線チャンネル割り当て装置である例)の無線チャンネル割り当てに関する構成を示すブロック図である。図4に示されるように、無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末は、ゲートウェイ端末111,121,131,141,151,161のいずれか1つ以上であり、実施の形態1においては、ゲートウェイ端末111である。無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末は、無線チャンネルの割り当てに関する構成として、配信データ供給部303と、データ配信制御部304と、無線チャンネル変更タイミング判定部305と、無線チャンネル割り当てパターン決定部306と、無線チャンネル割り当て変更通知制御部307と、無線チャンネル変更通知受信制御部308と、無線チャンネル変更延期通知部309とを有する。なお、無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末における無線チャンネル割り当てに関係しない構成は、例えば、第1通信部301と第2通信部302とを繋ぐ構成である中継処理部601は、図2に示される中継処理部501と同様の機能に加え、無線チャンネル割り当て処理部603と車両間ネットワーク107との間の通信、及び、無線チャンネル割り当て処理部603と車両内無線ネットワークとの間の通信を行う。
第1通信部301は、車両内無線ネットワークのいずれか(例えば、車両内無線ネットワーク110)を経由して無線表示端末との通信を行う。第2通信部302は、車両間ネットワーク107を経由して、列車100内の他の車両のゲートウェイ端末と通信を行う。配信データ供給部303は、車両内無線ネットワーク(例えば、車両内無線ネットワーク110)を通して、無線表示端末に配信する配信データを格納し、データ配信制御部304は、配信データ供給部303から供給された配信データを、第1通信部301を通して配信する通信制御を行う。なお、配信データ供給部303は、車両間ネットワーク107を介して他の車両内無線ネットワーク(例えば、車両内無線ネットワーク120、130,140,150,160)の無線表示端末に供給するための配信データを格納してもよい。
無線チャンネル変更タイミング判定部305は、無線チャンネル割り当ての変更タイミングを判定する。無線チャンネル割り当てパターン決定部306は、複数無線チャンネルの割り当てパターンを決定する。無線チャンネル割り当て変更通知制御部307は、無線チャンネル割り当てパターン決定部306で決定された無線チャンネル割り当てパターンを、第2通信部302を通し、車両間ネットワーク107を経由して、列車100内の他の車両のゲートウェイ端末に通知する通信制御を行う。無線チャンネル変更通知受信制御部308は、第2通信部302を通し、車両間ネットワーク107を経由して、列車100内の他の車両のゲートウェイ端末から通知された無線チャンネル割り当てパターンを受信する通信制御を行う。無線チャンネル変更延期通知部309は、列車100内の他の車両のゲートウェイ端末に、無線チャンネル割り当てパターンを送信する処理を一時的に延期させる。
図5は、図3及び図4に示される無線チャンネル割り当て装置であるゲートウェイ端末111の制御部602の構成の一例を示すブロック図である。制御部602は、中継処理部601の動作を制御する中継制御部611と、無線チャンネル割り当て処理部603の動作を制御する無線チャンネル割り当て処理制御部612とを有する。また、制御部602は、位置情報取得部621、時間情報取得部622、通信性能情報取得部623、通信速度情報取得部624、及び伝送遅延時間情報取得部625の内の、1つ又は2つ以上を有することができる。位置情報取得部621は、列車100の位置を計測又は位置情報を受信することによって、列車100の位置情報を取得する。時間情報取得部622は、時刻情報、又は、ある基準時からの経過時間を、計測又は受信することによって、時間情報を取得する。通信性能情報取得部623は、複数の車両内無線ネットワークの無線通信性能情報を、例えば、複数の車両内無線ネットワーク内の各ゲートウェイ端末から受信する。通信速度情報取得部624は、複数の車両内無線ネットワークにおける無線通信速度情報を、例えば、各ゲートウェイ端末から受信する。伝送遅延時間情報取得部625は、複数の車両内無線ネットワークの無線通信における伝送遅延時間を、例えば、各ゲートウェイ端末から受信する。位置情報取得部621、時間情報取得部622、通信性能情報取得部623、通信速度情報取得部624、及び伝送遅延時間情報取得部625は、無線チャンネルを割り当てるパターンの切り替えタイミングを決定するための情報を取得する構成であり、必ずしも必要な構成ではない。
図6は、図1に示される無線表示端末112〜114,122〜124,132〜134,142〜144,152〜154,162〜164の構成を概略的に示すブロック図である。無線表示端末は、ゲートウェイ端末と無線通信を行う無線通信部701と、液晶パネルなどのような表示部703と、無線通信部701で受信した映像データに応じた映像を表示部703に表示させる制御部702とを有する。
実施の形態1に係る通信システムにおいては、位置が隣接する車両内で構築される車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160の無線通信に使用される電波が互いに干渉すること、及び、ある無線チャンネル(無線周波数)に電波が輻輳することがあり得る。このため、位置が隣接する車両内無線ネットワークにおいては、互いに同じ無線周波数帯域の電波が干渉しないようにするために、使用する無線チャンネルとして互いに異なる無線チャンネルを設定する。すなわち、例えば、車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160が、チャンネル1(1ch)、チャンネル6(6ch)、及びチャンネル11(11ch)の3つの無線チャンネルのうちの、いずれかを使用するように無線チャンネルが割り当てられ、且つ、位置が隣接する車両内無線ネットワークにおいては、互いに異なる無線チャンネルが割り当てられるようにする。図1において、位置が隣接する車両内無線ネットワークは、例えば、車両内無線ネットワーク110と120、車両内無線ネットワーク120と130、車両内無線ネットワーク130と140、車両内無線ネットワーク140と150、車両内無線ネットワーク150と160である。
実施の形態1において、無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末(例えば、ゲートウェイ端末111)は、複数の車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に無線チャンネルを割り当てるために、以下の処理を行う。第1に、複数の車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160のうちの、位置が隣接する車両内無線ネットワーク同士に互いに異なる無線チャンネルが割り当てられるように、複数の車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に無線チャンネルを割り当てることができる複数の無線チャンネル割り当てパターンを決定するパターン決定処理(第1の処理)を実行する。第2に、複数の無線チャンネル割り当てパターン(例えば、第1パターン、第2パターン、第3パターン)の中から1つの無線チャンネル割り当てパターンを選択し、選択された無線チャンネル割り当てパターンに基づく無線チャンネル割り当て変更指令信号を複数のゲートウェイ端末111,121,131,141,151,161のいずれか又は全てに供給する無線チャンネル割り当てパターン選択及び指令処理(第2の処理)を実行する。このパターン選択及び指令処理(第2の処理)は、複数の無線チャンネル割り当てパターンの中から選択される無線チャンネル割り当てパターンを順次異なる無線チャンネル割り当てパターンに切り替えながら繰り返し実行する。なお、どのセルとどのセルとが隣接するのかを示す情報は、いずれかのゲートウェイ端末又は通信システム内に備えられたサーバに予め格納されている。この処理の詳細は、後に説明される。
図7は、実施の形態1に係る通信システムが搭載された列車100を構成する複数の車両(セル)及び無線チャンネル割り当ての一例を示す図である。図7においては、1号車101内に構築される車両内無線ネットワーク110が使用する無線チャンネルとしてチャンネル1(1ch)が設定されるときには、2号車102内に構築される車両内無線ネットワーク120が使用する無線チャンネルとしてチャンネル6(6ch)が設定され、3号車103内に構築される車両内無線ネットワーク130が使用する無線チャンネルとしてチャンネル11(11ch)が設定され、4号車104内に構築される車両内無線ネットワーク140が使用する無線チャンネルとしてチャンネル1(1ch)が設定され、5号車105内に構築される車両内無線ネットワーク150が使用する無線チャンネルとしてチャンネル6(6ch)が設定され、6号車106内に構築される車両内無線ネットワーク160が使用する無線チャンネルとしてチャンネル11(11ch)が設定される。また、図7においては、1号車101内に構築される車両内無線ネットワーク110が使用する無線チャンネルとしてチャンネル6(6ch)が設定されるときには、2号車102内に構築される車両内無線ネットワーク120が使用する無線チャンネルとしてチャンネル11(11ch)が設定され、3号車103内に構築される車両内無線ネットワーク130が使用する無線チャンネルとしてチャンネル1(1ch)が設定され、4号車104内に構築される車両内無線ネットワーク140が使用する無線チャンネルとしてチャンネル6(6ch)が設定され、5号車105内に構築される車両内無線ネットワーク150が使用する無線チャンネルとしてチャンネル11(11ch)が設定され、6号車106内に構築される車両内無線ネットワーク160が使用する無線チャンネルとしてチャンネル1(1ch)が設定される。また、図7においては、1号車101内に構築される車両内無線ネットワーク110が使用する無線チャンネルとしてチャンネル11(11ch)が設定されるときには、2号車102内に構築される車両内無線ネットワーク120が使用する無線チャンネルとしてチャンネル1(1ch)が設定され、3号車103内に構築される車両内無線ネットワーク130が使用する無線チャンネルとしてチャンネル6(6ch)が設定され、4号車104内に構築される車両内無線ネットワーク140が使用する無線チャンネルとしてチャンネル11(11ch)が設定され、5号車105内に構築される車両内無線ネットワーク150が使用する無線チャンネルとしてチャンネル1(1ch)が設定され、6号車106内に構築される車両内無線ネットワーク160が使用する無線チャンネルとしてチャンネル6(6ch)が設定される。
例えば、1号車101の車両内無線ネットワーク110と4号車104の車両内無線ネットワーク140とは、同じ無線チャンネルが割り当てられている。この理由は、1号車101と4号車104は、位置が隣接しておらず、これらの車両間は2車両の長さに相当する距離だけ離れているため、車両内無線ネットワーク110で送信された電波は4号車104の位置で十分に減衰しており、車両内無線ネットワーク140で送信された電波は1号車101の位置で十分に減衰しているからである。すなわち、車両内無線ネットワーク110における無線通信と車両内無線ネットワーク140における無線通信は、干渉又は輻輳が発生しにくく、それぞれが良好な無線通信が可能だからである。
図8は、実施の形態1に係る通信システムが備えられた列車100の各車両内において、無線チャンネルを使用する持込無線端末の台数の一例を表形式で示す図である。ここで、持込無線端末とは、列車100の車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160の一部としての無線表示端末以外の無線通信機、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、タブレット型装置、携帯ゲーム機等のような無線通信機器である。列車100内で、例えば、乗客が持込無線端末を使用すると、車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160が使用する無線チャンネルの電波と持込無線端末が送信する電波とが干渉したり、無線チャンネルが使用する電波に輻輳が生じたりすることがある。例えば、1号車101内に構築される車両内無線ネットワーク110が無線チャンネルとしてチャンネル1(1ch)を使っているときに、1号車101内に乗っている乗客が使用する持込無線端末がチャンネル1(1ch)を使うと、電波の干渉が起きる。同様に、2号車102内に構築される車両内無線ネットワーク120が無線チャンネルとしてチャンネル6(6ch)を使っているときに、2号車102内に乗っている乗客が使用する持込無線端末がチャンネル6(6ch)を使うと、電波の干渉が起きる。
図8の例では、1号車101内でチャンネル1(1ch)を使用する持込無線端末の台数が16台、チャンネル6(6ch)を使用する持込無線端末の台数が8台、チャンネル11(11ch)を使用する持込無線端末の台数が6台である。車両毎の持込無線端末が使用する無線チャンネルの台数及び比率は、一定ではなく、時間とともに変動する。一般に、無線通信にチャンネル1(1ch)を使用しているケースが多い。これは、持込無線端末が使用可能な無線チャンネルを探す場合、特定のチャンネル、多くの場合には、チャンネル1(1ch)から順番に使用可能な無線チャンネルを探すことが多いためであることが原因と考えられる。このように、一般に、持込無線端末が使用する無線チャンネルには、偏りがある。
図9は、実施の形態1に係る通信システムが備えられた列車100の各車両内において、車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160が無線通信に使用することができる無線チャンネルの時間割合の一例を表形式で示す図である。図9に示されるように、例えば、1号車101でチャンネル1(1ch)を使用する場合は、25%の時間しか無線通信に使用できないが、もしも1号車101でチャンネル6(6ch)を使用する場合は、65%の時間を無線通信に使用することができる。1号車101でチャンネル1(1ch)を使用する持込無線端末の台数が多いため、無線通信に使用することができる時間が少なく、一方で、持込無線端末の台数が比較的少ないチャンネル6(6ch)であれば、車両内無線ネットワーク110の無線通信に使用することができる時間も比較的多くなる。
1号車101と2号車102と3号車103の各車両内無線ネットワーク110,120,130内のゲートウェイ端末と、無線表示端末との間でデータ通信を行う場合、無線チャンネルとしてチャンネル1(1ch)が割り当てられている1号車101の車両内無線ネットワーク110は、無線通信に使用することができる時間が少ないため、通信速度が遅くなる。一方、2号車102の車両内無線ネットワーク120又は3号車103の車両内無線ネットワーク130は、無線通信に使用することができる時間が長いため、通信速度が比較的高くなる。したがって、同じ量のデータを配信する場合であって、1号車101の車両内無線ネットワーク110においては、2号車102の車両内無線ネットワーク120又は3号車103の車両内無線ネットワーク130よりも、長い時間を要することになる。
列車通信システムの各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160において、無線チャンネル割り当て機能を持つゲートウェイ端末(例えば、ゲートウェイ端末111)に蓄積されているコンテンツデータを、一斉に無線表示端末112,113,114,122,123,124,132,133,134,142,143,144,152,153,154,162,163,164に配信して、再生するような使い方をする場合、2号車102の車両内無線ネットワーク120及び3号車103の車両内無線ネットワーク130においては、このコンテンツデータの配信が完了しているにもかかわらず、1号車101の車両内無線ネットワーク110においては、このコンテンツデータの配信が完了してない状態が発生することがあり得る。コンテンツデータの配信が全て完了した後にしか再生を開始することができないように通信システムが構成されている場合には、このコンテンツデータの再生を開始することができる時間(開始時点)が、最も通信状況の悪いチャンネル(例えば、チャンネル1(1ch))が割り当てられている車両内無線ネットワークにおける通信性能に影響されるという問題が発生する。
この問題は、各無線チャンネル間での無線通信の干渉又は輻輳の偏りが原因である。そのため、各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160は、使用する無線チャンネルを変更することで、各無線チャンネルにおける干渉又は輻輳の偏りを平均化し、偏りの影響を低減化する。各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160で使用する無線チャンネルは、予め定められた時間周期で定期的に、あるいは、予め定められた条件が適合した場合に変更するようにする。
図10は、実施の形態1に係る通信システムの車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160における無線チャンネルの割り当てパターンを表形式で示す図である。例えば、図10に示されるように、無線チャンネルの割り当てパターンとして、第1パターンから第3パターンまでを予め設定しておき、これらの割り当てパターンの中のいずれかを選択する。このように、隣接した車両内無線ネットワークで、互いに異なる無線チャンネルが設定することができる無線チャンネルの割り当てパターンを予め設定しておくことで、無線チャンネルの変更が要求された場合に、無線チャンネル割り当てパターンを各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に通知するだけで、迅速に各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に割り当てる無線チャンネルを決定することができる。
また、実施の形態1に係る通信システムにおいては、無線チャンネルの割り当てパターンを定期的、又は、予め定められた条件が適合した場合に、予め定められた順序で変更する。1号車101の車両内無線ネットワーク110においては、第1パターンにおいてはチャンネル1(1ch)が割り当てられていたが、第2パターンにおいてはチャンネル6(6ch)が割り当てられ、第3パターンにおいては、チャンネル11(11ch)が割り当てられる。このようなチャンネルの割り当てが、予め定められた繰り返し周期で繰り返される。このように、各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に割り当てられる無線チャンネルを予め定められた順序で変更することによって、無線チャンネルの変更が要求された場合に、無線チャンネル割り当て要求を各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に通知するだけで、迅速に各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に割り当てる無線チャンネルを決定することができる。
以下に、無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末(例えば、ゲートウェイ端末111)の動作について説明する。車両内無線ネットワーク内における無線通信内容については、特に制限するものではないが、実施の形態1においては、無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末(例えば、ゲートウェイ端末111)に蓄積されているコンテンツデータを、一斉に無線表示端末に配信して再生するような使い方をする場合を説明する。また、以下の説明において動作を説明する無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末(例えば、ゲートウェイ端末111)は、主として、1号車101の車両内無線ネットワーク110に接続されているゲートウェイ端末である。ただし、無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末は、他の車両の車両内無線ネットワーク120,130,140,150,160に接続されているゲートウェイ端末121,131,141,151,161であってもよい。また、無線チャンネル割り当て機能を、ゲートウェイ端末以外の装置であって、車両間ネットワーク107に通信可能に接続された他の装置、例えば、サーバなどが保持してもよい。
無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末(例えば、ゲートウェイ端末111)は、起動すると、列車100の各車両の各々の車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160で、同じ割り当てパターンが選択されるように、無線チャンネルを選択する。例えば、起動直後には、無線チャンネル割り当てパターン決定部306にて、無線チャンネルの割り当てパターンの第1パターンを選択することにして、列車100の各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160で、同じ割り当てパターンが選択されるようにしてもよい。あるいは、1号車101のゲートウェイ端末の無線チャンネル割り当てパターン決定部306が決定した割り当てパターンを、このゲートウェイ端末の第2通信部302から、車両間ネットワーク107を経由して、他の車両の全てのゲートウェイ端末に通知することで、列車100の各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160で、同じ割り当てパターンが選択されるようにしてもよい。
ここでは、前者の方法で説明する。無線チャンネル割り当てパターン決定部306にて、無線チャンネルの割り当てパターンの第1パターンを選択し、1号車101の車両内無線ネットワーク110が使用する無線チャンネルとして設定されているチャンネル1(1ch)を使用することを、第1通信部301に通知する。通知を受けた第1通信部301は、使用する無線チャンネルをチャンネル1(1ch)に設定する。なお、1号車101の車両内無線ネットワーク110を構成する無線表示端末112、無線表示端末113、及び無線表示端末114は、それぞれ起動後に、第1通信部301からのビーコン信号が送信されている無線チャンネルを探すことで、車両内無線ネットワーク110で使用する無線チャンネルを検出し、この無線チャンネルを使用して車両内無線ネットワーク110に参加する。
無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末(例えば、ゲートウェイ端末111)の第1通信部301は、無線チャンネルとしてチャンネル1(1ch)を使用し、車両内無線ネットワーク110を構築する無線表示端末112、無線表示端末113、及び無線表示端末114と通信する。無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末(例えば、ゲートウェイ端末111)のデータ配信制御部304は、配信データ供給部303から配信されたコンテンツデータを受け取り、第1通信部301から、無線表示端末112、無線表示端末113、及び無線表示端末114に配信する。
第1通信部301は、無線表示端末112、無線表示端末113、及び無線表示端末114に、コンテンツデータを配信する場合、1号車101内又は1号車101の周辺に存在する持込無線端末、同じチャンネル1(1ch)を無線チャンネルとして使用していると干渉又は輻輳を起こすことがある。持込無線端末は、例えば、1号車101に乗っている乗客が持ち込んだ無線通信端末などが該当する。干渉によって、パケットエラーが発生した場合は、パケット再送を行うことで、エラーリカバリは可能であるが、送信時間が余計にかかり、通信速度が低下する。また、輻輳については、正しくパケットは送信することができることもあるが、伝送遅延時間が大きくなり、通信速度が低下する。
そこで、干渉又は輻輳の影響が大きくならないように、無線チャンネルの割り当てパターンを変更する。無線チャンネルの割り当てパターンを変更するタイミングを生成する方法としては、予め定められた周期で定期的に変更する方法、列車100の走行場所に基づく方法、車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160の通信速度に基づく方法、及び車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160の伝送遅延時間に基づく方法などがある。以下に、これらの方法について説明する。
まず、無線チャンネルの割り当てパターンを、予め定められた周期で定期的に変更する方法を使用する場合について説明する。この場合には、図5に示される時間情報取得部622で取得した情報を使用する。無線チャンネル変更タイミング判定部305には、無線チャンネルの変更周期Tが予め設定されている。変更周期については、特に制限するものではないが、あまり短い時間に設定すると、無線チャンネルの変更処理にかかる時間がオーバーヘッドとなり、通信性能が低下する場合がある。一方、あまり長い時間に設定すると、車両内無線ネットワークが1つの無線チャンネルを使用する時間が長くなるため、無線ネットワークの通信状態の影響を強く受けるようになり、無線チャンネルを変更するメリットが減少する。
図11は、実施の形態1に係る通信システムにおける車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160の無線チャンネルが一定の時間周期で変化する例を示す図である。無線チャンネル変更タイミング判定部305は、予め定められた時間周期Tで無線チャンネルが変更されるように、無線チャンネル割り当てパターンの変更要求を無線チャンネル割り当てパターン決定部306に通知する。予め定められた時間周期Tで無線チャンネルを変更した場合に、1号車101から6号車106の各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に割り当てられる無線チャンネルが変化する例を図10に示す。横軸は時間であり、時間周期Tごとに無線チャンネルが変化する。時間t0で、無線チャンネル割り当ての第1パターンが設定された後、時間周期Tが経過した時刻t1で、無線チャンネル割り当ての第2パターンが設定される。その後、時間周期Tが経過した時刻t2で、無線チャンネル割り当ての第3パターンが設定され、さらに時間周期Tが経過した時刻t3で、無線チャンネル割り当ての第1パターンが設定される、というように動作する。
このように、車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に割り当てられる無線チャンネルが周期的に変更されるようにしたので、各セル内無線ネットワークに割り当てられた特定の無線チャンネルの通信状態の依存性を少なくし、各セル内無線ネットワークで得られる通信性能の差異を小さくすることができる。実施の形態1においては、複数の車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160の各々で設定される無線チャンネルは、無線チャンネル割り当てパターンを異なる無線チャンネル割り当てパターンに切り替える各時点(すなわち図11における、時刻t0,t1,t2,t3,t4,t5,t6,…)の前と後で異なる。
例えば、時刻t1の前においては、車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160は、第1パターンにしたがって、1ch、6ch、11ch、1ch、6ch、11chをそれぞれ設定し、時刻t1の後においては、車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160は、第2パターンにしたがって、6ch、11ch、1ch、6ch、11ch、1chを設定する。
また、複数の無線チャンネル割り当てパターンは、N個の無線チャンネル割り当てパターンであり、Nは2以上の整数であるとすると、無線チャンネル割り当てパターンを異なる無線チャンネル割り当てパターンにN回切り替える毎に、N回前の無線チャンネル割り当てパターンと同じ無線チャンネル割り当てパターンが選択される。図11には、N=3の場合が例示されており、無線チャンネル割り当てパターンを異なる無線チャンネル割り当てパターンに3回切り替える毎に、3回前の無線チャンネル割り当てパターンと同じ無線チャンネル割り当てパターンが選択される。このように、図11においては、3回の無線チャンネル割り当てパターンが、パターンの繰り返し周期になっている。なお、予め定められた時間周期毎ではなく、予め定められた時刻毎に無線チャンネル割り当てパターンを異なる無線チャンネル割り当てパターンに切り替えるように構成することもできる。
図12は、実施の形態1に係る通信システムを備えた列車100が通過する地点及び区間の一例を示す図である。図13は、実施の形態1に係る通信システムにおける車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160の無線チャンネルが予め定められた地点で変化する例を示す図である。無線チャンネルの割り当てパターンを変更するタイミングを生成する方法として、列車100の走行場所に基づいてタイミングを生成することができる。無線チャンネル変更タイミング判定部305又は制御部602は、列車100の現在地情報を入手する現在位置取得部(例えば、図5における位置情報取得部621)を有している。現在地情報を入手する方法としては、GPS(GLOBAL POSITIONING SYSTEM)を搭載して位置情報を入手する方法、又は、列車には一般的に搭載されている列車制御システムから入手する方法などがあるが、特に入手方法については、特に制約しない。
また、無線チャンネル変更タイミング判定部305は、無線チャンネルを変更する場所が予め定められた無線チャンネル変更基準場所情報(予め定められた条件の一例)を保持しており、現在地入手手段で入手できた現在地情報と、無線チャンネル変更基準場所情報を比較して、現在地が無線チャンネルを変更すべき場所であることを認識した場合には、無線チャンネル割り当てパターンの変更要求を無線チャンネル割り当てパターン決定部306に通知する。
図12及び図13には、予め定められた無線チャンネル変更基準場所に、列車100が到達したときに、1号車101、2号車102、3号車103、4号車104、5号車105、6号車106との各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に割り当てられる無線チャンネルが変化する例が示されている。図12は、列車100が走行する地点P0から地点P6までと、それぞれの区間1から区間6を示している。図13は、それぞれの区間で、選択される無線チャンネルの割り当てパターンと、各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に割り当てられる無線チャンネルの関係を示した図である。地点P0から出発し、地点P1までの区間1においては、無線チャンネル割り当てパターンとして、第1パターンが設定される。その後、地点P1に到達した後、地点P2までの区間2においては、無線チャンネル割り当てパターンとして、第2パターンが設定される。その後、地点P2に到達した後、地点P3までの区間3においては無線チャンネル割り当てパターンとして、第3パターンが設定される。その後、地点P3に到達した後、地点P4までの区間4においては、再び無線チャンネル割り当てパターンとして、第1パターンが設定される。
このように、車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に割り当てられる無線チャンネルが、自端末を含む列車100の位置によって変更されるようにしたので、各無線チャンネルの通信状態が位置により変化するような場合であっても、各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に割り当てられた特定の無線チャンネルの通信状態の依存性を少なくし、各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160で得られる通信性能の差異を小さくすることができる。なお、予め定められた地点毎に無線チャンネル割り当てパターンを切り替える方法の代わりに、予め定められた走行距離毎に無線チャンネル割り当てパターンを切り替えるように構成することもできる。
次に、無線チャンネルの割り当てパターンを変更するタイミングを生成する方法として、車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160で得られた通信速度に基づいてタイミングを生成する方法を使用する場合について説明する。ゲートウェイ端末111は、図5に示される通信速度情報取得部624又は通信性能情報取得部623で各車両内無線ネットワークにおける通信速度情報又は通信性能情報(これらを総称して、「通信状況」ともいう)を取得する。無線チャンネル変更タイミング判定部305は、通信速度情報取得部624から、車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160の通信状況を入手し、例えば、予め定められた期間における車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160の通信速度の平均値を測定する。通信速度の測定方法は、特に指定されないが、例えば、配信データ供給部303から供給されるコンテンツデータを配信する場合に、予め定められた期間内に配信できたデータ量を測定し、通信速度を算出してもよい。予め定められた期間が60秒であり、その期間内に配信できたデータ量が60MB(メガバイト)であった場合、その期間の通信速度の平均値は、8Mbps(メガビット毎秒)であると計算することができる。
また、無線チャンネル変更タイミング判定部305は、無線チャンネルの変更を要求するために、予め定められた通信速度の基準値を持っている。予め定められた期間における車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160の実際の通信速度の平均値と、通信速度の基準値を比較し、前者が下回った場合には、無線チャンネル割り当てパターンの変更要求を無線チャンネル割り当てパターン決定部306に通知する。例えば、前記予め定められた期間を60秒、通信速度の基準値を3Mbpsとした場合、ある60秒間に計測した通信速度が3Mbpsを下回ると、無線チャンネル割り当てパターンの変更要求を無線チャンネル割り当てパターン決定部306に通知する。また、通信速度の平均値と、通信速度の基準値を比較し、前者が下回った回数が、予め定められた回数を上回った場合に、無線チャンネル割り当てパターンの変更要求を無線チャンネル割り当てパターン決定部306に通知するようにしてもよい。
車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160で測定された通信速度は、持込無線機器が発する電波との干渉又は輻輳の影響を受けた、実際のデータ配信状況を示した測定値であるため、実際の車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160内の通信状況をよく反映したものとなり、無線チャンネルの割り当てパターンの変更が必要なときにのみ、無線チャンネル割り当てパターンの変更を要求することができる。また、特定の無線チャンネルにおける通信状態が極端に悪く、通信速度が極端に長くなるような場合であっても、すぐに無線チャンネル割り当てパターンの変更要求を無線チャンネル割り当てパターン決定部306に通知することができる。
次に、無線チャンネルの割り当てパターンを変更するタイミングを生成する方法として、車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160でデータ通信した際の伝送遅延時間に基づいてタイミングを生成する方法を使用する場合について説明する。ゲートウェイ端末111は、図5に示される伝送遅延時間情報取得部625で各車両内無線ネットワークにおける伝送遅延時間情報を取得する。ゲートウェイ端末111の無線チャンネル変更タイミング判定部305は、伝送遅延時間情報取得部625から車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160の通信状況を入手し、予め定められた期間において、車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160におけるデータ通信の伝送遅延時間が、予め定められた伝送遅延時間の基準値を超えた回数を測定する。伝送遅延時間が基準値を超えた回数が予め定められた基準回数を超えた場合に、無線チャンネル割り当てパターンの変更要求を無線チャンネル割り当てパターン決定部306に通知する。
遅延時間の測定方法は、特に指定しないが、例えば、配信データ供給部303から供給されるコンテンツデータを配信する場合に、第2通信部302から送信パケットを送信する時間から、第2通信部302で送信パケットに対する応答パケットを受信するまでの時間を測定することで遅延時間を算出してもよい。前記予め定められた期間が60秒で、予め定められた遅延時間の基準値が50ms(ミリ秒)、予め定められた基準回数が10回だった場合、60秒間に遅延時間が50msを超えた回数が10回を超えると、無線チャンネル割り当てパターンの変更要求を無線チャンネル割り当てパターン決定部306に通知する。
車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160で測定された伝送遅延時間は、持込無線端末が発する電波との干渉又は輻輳の影響を受けた、実際のデータ配信状況を示した測定値であるため、実際の車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160内の通信状況をよく反映したものとなり、無線チャンネルの割り当てパターンの変更が必要なときにのみ、無線チャンネル割り当てパターンの変更を要求することができる。また、特定の無線チャンネルにおける通信状態が極端に悪く、伝送遅延時間が極端に長くなるような場合であっても、すぐに無線チャンネル割り当てパターンの変更要求を無線チャンネル割り当てパターン決定部306に通知することができる。
次に、無線チャンネル割り当てパターンの変更を要求された無線チャンネル割り当てパターン決定部306の動作について説明する。無線チャンネル割り当てパターン決定部306は、現在割り当てられている割り当てパターンを記憶している。割り当てパターンの実施順序は、予め定められており、図10の例の、第1パターンの次は、第2パターン、第2パターンの次は、第3パターン、第3パターンの次は、第1パターン、のように設定されているものとする。無線チャンネル割り当てパターン決定部306は、無線チャンネル変更タイミング判定部305から無線チャンネル割り当て変更要求があった場合、現在割り当てられている割り当てパターンの次の割り当てパターンを選択する。例えば、現在が第1パターンであり、1号車101の車両内無線ネットワーク110にチャンネル1(1ch)が割り当てされていたとすると、次の割り当てパターンとして第2パターンが選択される。第2パターンにおいて、1号車101の車両内無線ネットワーク110に割り当てる無線チャンネルであるチャンネル6(6ch)を第1通信部301に通知する。第1通信部301は、車両内無線ネットワーク110で使用する無線チャンネルがチャンネル1(1ch)からチャンネル6(6ch)に変更されることを、車両内無線ネットワーク110を構成する各無線表示端末に通知し、その後、無線チャンネルを、第2パターンで割り当てられているチャンネル6(6ch)に変更する。
同様に、無線チャンネル割り当てパターン決定部306は、無線チャンネル変更タイミング判定部305から無線チャンネル割り当て変更要求があった場合に、次の割り当てパターンとして選択した第2パターンを、無線チャンネル割り当て変更通知制御部307に通知する。無線チャンネル割り当て変更通知制御部307は、次の割り当てパターンとして第2パターンを、車両間ネットワーク107を経由して、他の車両のゲートウェイ端末に通知する。
ところで、各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160において、無線チャンネルを変更する場合、現在使用している無線チャンネルで構築された車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160を解消し、新たに次に使用する無線チャンネルで車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160を構築するので、短期間ではあるが、車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160における通信ができない期間が発生する。無線表示端末で、一旦蓄積してから再生するコンテンツデータのように伝送遅延性能が要求されないデータの配信では問題にならないが、コンテンツの再生をコントロールする制御コマンドのような短い伝送遅延性能が要求されるデータの配信では、通信できない期間が発生することは望ましくない。
短い通信遅延時間が要求されるデータ通信が発生する可能性が、自端末の位置、又は、時間によって偏在する場合がある。例えば、列車100が駅に到着した場合に、駅情報を再生するための制御コマンドを無線表示端末に送信することがある。この制御コマンドの伝送遅延時間が長くなると、駅に到着したタイミングで、駅情報が再生されないという問題が発生する。あるいは、毎正時(「1時0分0秒」のように、分及び秒の端数の付かない時刻ごと)に情報を再生するための制御コマンドを無線表示端末に送信することがある。この制御コマンドの伝送遅延時間が長くなると、毎正時から遅れたタイミングでしか、情報が再生されないという問題が発生する。
そこで、たとえ現在地情報が予め定められた無線チャンネル変更基準場所情報に一致する(すなわち、位置情報についての予め定められた条件を満たす)場合であったとしても、位置情報取得部621が取得した位置情報が示す位置が予め定められた位置の範囲内である場合には、無線チャンネル変更基準場所情報を比較して、現在地が無線チャンネルを変更すべき場所であることを認識した場合には、無線チャンネル割り当てパターンの変更要求を無線チャンネル割り当てパターン決定部306に通知する。この位置情報が示す位置が予め定められた位置の範囲外になるまで、複数の無線チャンネル割り当てパターンの中から選択される無線チャンネル割り当てパターンを順次異なる無線チャンネル割り当てパターンに切り替える処理(第2の処理)の実行を延期するようにすることが望ましい。あるいは、たとえ現在地情報が予め定められた無線チャンネル変更基準場所情報に一致する(すなわち、位置情報についての予め定められた条件を満たす)場合であったとしても、時間情報取得部622が取得した時刻情報が示す時刻が予め定められた時間の範囲内である場合には、この時刻情報が示す時刻が予め定められた時間の範囲外になるまで、第2の処理の実行を延期するようにすることが望ましい。具体的に言えば、無線チャンネル変更延期通知部309は、短い通信遅延時間が要求されるデータ通信が発生する可能性が高い、自端末の位置、又は、時間の情報を保持している。自端末の位置が、短い通信遅延時間が要求されるデータ通信が発生する可能性が高い位置に該当する(すなわち、予め定められた位置の範囲内にある)場合、又は、現在時刻が、短い通信遅延時間が要求されるデータ通信が発生する可能性が高い時間に該当する(すなわち、予め定められた時間の範囲内にある)場合、無線チャンネル変更延期通知部309は、無線チャンネル割り当て変更通知制御部307に、無線チャンネル変更の延期を要求することが望ましい。無線チャンネル割り当て変更通知制御部307は、無線チャンネル変更延期通知部309から無線チャンネル変更の延期が要求されている期間は、他の車両のゲートウェイ端末に無線チャンネルの変更要求ならびに次の割り当てパターンの通知を延期するように構成してもよい。
このようにして、短い通信遅延時間が要求されるデータの通信が、無線チャンネルの変更に伴う通信ができない期間に、発生しないようにし、通信性能の劣化を低減する。
次に、他のゲートウェイ端末から送信された無線チャンネル割り当てパターン変更要求を、車両間ネットワーク107を経由して、他のゲートウェイ端末が受信した場合の動作について説明する。例として、2号車102のゲートウェイ端末121が受信した場合の動作を説明する。車両内無線ネットワーク120のゲートウェイ端末121の第2通信部302が、無線チャンネル割り当てパターン変更要求を受信した場合、無線チャンネル変更通知受信制御部308は、無線チャンネル割り当てパターン変更要求の内容を解析し、変更要求のあった無線チャンネルの割り当てパターンを、無線チャンネル割り当てパターン決定部306に通知する。無線チャンネル割り当てパターン決定部306は、通知された無線チャンネルの割り当てパターンが第2パターンであった場合は、図10に示すように、2号車102に設定される無線チャンネルは、チャンネル11(11ch)であると判定し、第1通信部301に通知する。第1通信部301は、車両内無線ネットワーク120で使用する無線チャンネルがチャンネル6(6ch)からチャンネル11(11ch)に変更されることを、車両内無線ネットワーク120を構成する各無線表示端末に通知し、その後、無線チャンネルを、第2パターンで割り当てられているチャンネル11(11ch)に変更する。
以上の動作により、各車両内無線ネットワーク110,120,130,140,150,160に割り当てられる無線チャンネルは、チャンネル1(1ch)、チャンネル6(6ch)、及びチャンネル11(11ch)と変更され、特定の無線チャンネルの通信状態の影響が緩和される。実施の形態1によれば、通信システムを構成する複数の車両内無線ネットワークの各々の通信性能のバラツキを小さくする無線チャンネルの割り当てを行うので、通信システム全体において良好な通信性能を得ることができる。
実施の形態1の変形例.
図14は、実施の形態1に係る通信システムの変形例の構成を概略的に示す図である。図14において、図1に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図1に示される符号と同じ符号を付す。図14に示される通信システムは、1号車101内に無線チャンネル割り当て装置としての機能を持つサーバ650を有する点、及び、ゲートウェイ端末111aが、無線チャンネル割り当て装置としての機能を持たず、ゲートウェイ端末121,131,141,151,161と同様の構成を有する点が、図1に示される通信システムと異なる。
図15は、図14に示されるサーバ(無線チャンネル割り当て装置)650の構成を概略的に示すブロック図である。図15において、図4に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図4に示される符号と同じ符号を付す。図15に示されるサーバ650は、ゲートウェイ端末111aと無線通信を行うための無線通信部651を備えている点、及び、制御部652の動作が、図4に示される無線チャンネル割り当て装置であるゲートウェイ端末と異なる。なお、制御部652は、図5に示される制御部と同様の構成を備えてもよい。
この変形例においても、図1から図13で説明した装置及び方法と同様の効果を得ることができる。また、サーバ650は、車両間ネットワーク107に有線接続するものであってもよい。
実施の形態2.
図16は、本発明の実施の形態2に係る通信システムの構成を概略的に示す図である。図16に示されるように、実施の形態2に係る通信システムは、複数の領域201,202,203,204,205,206に設置された複数の監視カメラ装置(無線監視カメラ端末)を通信ネットワークで接続し、監視映像データを監視サーバ208で管理する監視カメラ通信システムである。また、実施の形態2に係る通信システムは、本発明が適用された無線チャンネル割り当て方法を実施することができるシステムである。
実施の形態2に係る通信システムは、この通信システムを構成する複数のセル内無線ネットワークにおいて、複数のセル内無線ネットワークの各々の通信性能のバラツキ(すなわち、通信性能の差異)を小さくする無線チャンネルの割り当てを行うことによって、通信システム全体の通信性能を向上させている。実施の形態2において、セルは、第1の領域201、第2の領域202、第3の領域203、第4の領域204、第5の領域205、及び第6の領域206である。したがって、1個のセルは、1つの領域に相当する。実施の形態2において、1つの領域は、正六角形状の領域であり、複数の領域は、正六角形が縦横に密接して並ぶパターン(蜂の巣状パターン:honeycomb pattern)に類似の領域群を構成している。各領域内に、セル内無線ネットワークである領域内無線ネットワークが構築される。実施の形態2に係る通信システムは、領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260を含む。各領域内に構築された領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260は、セル間ネットワークで通信可能に接続されている。実施の形態2において、セル間ネットワークは、例えば、領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260に有線接続された領域間ネットワーク207である。領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260と領域間ネットワーク207とは、無線で通信可能に接続することも可能である。また、領域間ネットワーク207には、監視サーバ208が通信可能に有線又は無線で接続されている。また、図16には、第1から第6の領域201〜206が正六角形の領域である場合を例示したが、各領域の形状は円形又は他の多角形状であってもよい。ただし、第1から第6の領域201〜206が正六角形の領域である場合には、3つの無線チャンネルを用いて、互いに隣接する領域に異なる無線チャンネルを配置することができる。また、第1から第6の領域201〜206は互いに物理的に区画された複数の部屋又は複数の建築物であってもよいが、必ずしも物理的に区画されている必要はなく、1つの広い範囲を監視するために便宜的に区画された複数の監視対象領域を意味する。
第1の領域201内の領域内無線ネットワーク210は、無線端末として、監視カメラ機能を保持した無線監視カメラ端末212,213を含む。また、第2の領域202内の領域内無線ネットワーク220は、無線端末として、監視カメラ機能を保持した無線監視カメラ端末222,223を含む。また、第3の領域203内の領域内無線ネットワーク230は、無線端末として、監視カメラ機能を保持した無線監視カメラ端末232,233を含む。また、第4の領域204内の領域内無線ネットワーク240は、無線端末として、監視カメラ機能を保持した無線監視カメラ端末242,243を含む。また、第5の領域205内の領域内無線ネットワーク250は、無線端末として、監視カメラ機能を保持した無線監視カメラ端末252,253を含む。また、第6の領域206内の領域内無線ネットワーク260は、無線端末として、監視カメラ機能を保持した無線監視カメラ端末262,263を含む。ただし、各領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260に含まれる無線監視カメラ端末の台数は、2台に限定されず、他の台数であってもよい。また、各領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260に含まれる無線監視カメラ端末の台数は、互いに同じ台数である必要はなく、互いに異なる台数であってもよい。
領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260で使用する無線通信方式は、特定の無線通信方式に限定されない。実施の形態2における領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260は、例えば、IEEE802.11g方式の無線LANである。互いに干渉せずに通信することができるチャンネルとしては、例えば、チャンネル1(1ch)、チャンネル6(6ch)、及びチャンネル11(11ch)のように、5チャンネルおきに使用するチャンネルを設定することができる。ただし、使用する通信方式及び使用するチャンネル数は、上記例に限定されない。
図17は、図16に示されるゲートウェイ端末221,231,241,251,261の構成を概略的に示すブロック図である。図17に示されるように、ゲートウェイ端末221,231,241,251,261の各々は、無線監視カメラ端末222,223、無線監視カメラ端末232,233、無線監視カメラ端末242,243、無線監視カメラ端末252,253、無線監視カメラ端末262,263と無線通信を行う第1通信部301と、セル間ネットワーク207と有線通信を行う第2通信部302と、第1通信部301と第2通信部302とを通信可能に中継する中継処理部501と、各構成の動作を制御する制御部502とを有する。ゲートウェイ端末221,231,241,251,261の各々は、無線ネットワーク割り当て装置としてのゲートウェイ端末211から無線チャンネルの割り当ての指示信号を受け取り、ゲートウェイ端末221,231,241,251,261の各第1通信部301は、受け取った指示信号にしたがって無線監視カメラ端末との間の通信に使用する各領域内無線ネットワーク220,230,240,250,260の無線チャンネルを切り替える。
図18は、図16に示されるゲートウェイ端末(図16においては、無線チャンネル割り当て装置)211の構成を概略的に示すブロック図である。図18に示されるように、ゲートウェイ端末211は、無線監視カメラ端末212,213と無線通信を行う第1通信部301と、セル間ネットワーク207と有線通信を行う第2通信部302と、第1通信部301と第2通信部302とを通信可能に中継する中継処理部801と、各構成の動作を制御する制御部802と、無線チャンネル割り当て動作を行う無線チャンネル割り当て処理部803とを有する。ゲートウェイ端末211においては、制御部802からの指示にしたがって、無線チャンネル割り当て処理部803が無線チャンネルの割り当ての指示信号を生成し、ゲートウェイ端末221,231,241,251,261の各々に指示信号を送信する。ゲートウェイ端末211及び指示信号を受け取ったゲートウェイ端末221,231,241,251,261においては、無線通信を行う第1通信部301は、無線監視カメラ端末との間の通信に使用する無線チャンネルを切り替える。
図19は、図16及び図18に示される無線チャンネル割り当て装置であるゲートウェイ端末211の構成を詳細に示すブロック図である。すなわち、図19は、無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末(すなわち、ゲートウェイ端末の一部が無線チャンネル割り当て装置である例)の無線チャンネル割り当てに関する構成を示す。図19に示されるように、無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末は、ゲートウェイ端末211,221,231,241,251,261のいずれか1つ以上であり、実施の形態2においては、ゲートウェイ端末211である。図19において、第1通信部301、第2通信部302、中継処理部801,無線チャンネル変更タイミング判定部305、無線チャンネル割り当てパターン決定部306、無線チャンネル割り当て変更通知制御部307、無線チャンネル変更通知受信制御部308、及び無線チャンネル変更延期通知部309は、実施の形態1(図4)で説明したものと同様の機能を持つ。また、無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末211は、第1通信部301で受信した、無線監視カメラ端末から送信された監視映像データを、第2通信部302に伝送し、第2通信部302から領域間ネットワーク207を経由して、監視サーバ208に伝送させる監視映像データ伝送制御部403と、第1通信部301で受信した、無線監視カメラ端末から送信された監視映像データの画像解析を行い、監視対象にすべきオブジェクトを監視映像データから抽出する監視対象オブジェクト検出部404とを有する。図19においては、監視映像データ伝送制御部403と監視対象オブジェクト検出部404とを、制御部802の一部として示しているが、監視映像データ伝送制御部403と監視対象オブジェクト検出部404とは、装置全体の動作を制御する制御部802とは別の構成であってもよい。
監視対象オブジェクト検出部404で、監視対象にすべきオブジェクト(画像オブジェクト)が監視映像データから抽出できた場合には、監視対象にすべきオブジェクトが抽出された監視映像データを生成した無線監視カメラ端末による監視を継続する必要があるため、無線監視カメラ端末における撮影の中断、及び、無線監視カメラ端末からゲートウェイ端末211,221,231,241,251,261への監視映像データの伝送が中断しないようにする必要がある。領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260の無線チャンネルを変更しようとすると、通信ネットワークを再構成する必要があるため、一時的に領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260内の無線通信が中断する。そこで、監視映像データから監視対象にすべきオブジェクトが抽出された場合には、無線チャンネル変更延期通知部309に指示信号を送り、無線チャンネル変更延期通知部309から無線チャンネル割り当て変更通知制御部307に無線チャンネル変更延期要求を送り、無線チャンネルの変更要求があった場合であっても(すなわち、たとえ現在地情報が予め定められた無線チャンネル変更基準場所情報に一致する場合であったとしても)、無線チャンネルを、例えば、予め定められた期間だけ延期する。なお、延期する期間は、予め定められた期間に限定されず、監視対象のオブジェクトが抽出されなくなるまでであってもよい。さらに、延期する期間として、監視対象のオブジェクトの種類、監視対象のオブジェクトが検知された領域、及び監視対象のオブジェクトが検知された時刻などの条件の1つ又は複数の組み合わせに基づいて、異なる値(時間長)を採用してもよい。
図20は、図16に示される無線監視カメラ端末212,213,222,223,232,233,242,243,252,253,262の構成を概略的に示すブロック図である。無線監視カメラ端末は、ゲートウェイ端末,211,221,231,241,251,261と無線通信を行う無線通信部711と、監視カメラ713と、監視カメラ713の撮影によって生成された監視映像データを無線通信部711を介して送信させる制御部712とを有する。
図21は、実施の形態2に係る通信システムが備えられた複数の領域を概略的に示す平面図である。図21において、複数の領域は、複数列、複数行に並ぶ正六角形状の領域で描かれている。また、図21において、複数の領域は、第1の順序(1ch→6ch→11ch)で無線チャンネルが循環的に切り替えられる正六角形状の網掛け領域と、第2の順序(6ch→11ch→1ch)で無線チャンネルが循環的に切り替えられる正六角形状の白色領域と、第3の順序(11ch→1ch→6ch)で無線チャンネルが循環的に切り替えられる斜線領域とを含む。図21から理解できるように、実施の形態2に係る監視カメラ通信システムにおいては、位置が隣接する領域内で構築される領域内無線ネットワーク(正六角形状の領域)の無線通信に使用される電波が互いに干渉することがないようにするために、使用する無線チャンネルとして互いに異なる無線チャンネルを設定する。すなわち、位置が隣接する領域内で、例えば、領域内無線ネットワークが、チャンネル1(1ch)、チャンネル6(6ch)、及びチャンネル11(11ch)の3つの無線チャンネルのうちの、いずれかを使用するように無線チャンネルが割り当てられ、且つ、位置が隣接する領域の領域内無線ネットワークにおいては、互いに異なる無線チャンネルが割り当てられるようにすることができる。また、図21から理解できるように、実施の形態2における領域の設定の仕方は、広い範囲を監視対象とする監視システムに適している。
実施の形態2において、無線チャンネル割り当て機能を有するゲートウェイ端末(例えば、ゲートウェイ端末211)は、複数の領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260に無線チャンネルを割り当てるために、以下の処理を行う。第1に、複数の領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260のうちの、位置が隣接する領域内無線ネットワーク同士に互いに異なる無線チャンネルが割り当てられるように、複数の領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260に無線チャンネルを割り当てることができる複数の無線チャンネル割り当てパターンを決定するパターン決定処理(第1の処理)を実行する。第2に、複数の無線チャンネル割り当てパターン(例えば、第1パターン、第2パターン、第3パターン)の中から1つの無線チャンネル割り当てパターンを選択し、選択された無線チャンネル割り当てパターンに基づく無線チャンネル割り当て変更指令信号を複数のゲートウェイ端末211,221,231,241,251,261のいずれか又は全てに供給する無線チャンネル割り当てパターン選択及び指令処理(第2の処理)を実行する。このパターン選択及び指令処理(第2の処理)は、複数の無線チャンネル割り当てパターンの中から選択される無線チャンネル割り当てパターンを順次異なる無線チャンネル割り当てパターンに切り替えながら繰り返し実行する。なお、どの領域とどの領域とが隣接するのかを示す情報は、いずれかのゲートウェイ端末又は通信システム内に備えられたサーバ等に予め格納されている。
図22は、実施の形態2に係る通信システムの領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260における無線チャンネルの割り当てパターンを表形式で示す図である。例えば、第1の領域201内に構築される領域内無線ネットワーク210にはチャンネル1(1ch)、第2の領域202内に構築される領域内無線ネットワーク220にはチャンネル6(6ch)、第3の領域203内に構築される領域内無線ネットワーク230にはチャンネル11(11ch)、第4の領域204内に構築される領域内無線ネットワーク240にはチャンネル1(1ch)、第5の領域205内に構築される領域内無線ネットワーク250にはチャンネル6(6ch)、第6の領域206内に構築される領域内無線ネットワーク260にはチャンネル11(11ch)、がそれぞれ割り当てられる。
領域内無線ネットワーク210と、領域内無線ネットワーク240は、同じ無線チャンネルであるチャンネル1(1ch)が割り当てられているが、第1の領域201と第4の領域204は、隣接せず、両者の間にはある程度の距離を開けることができるため、領域内無線ネットワーク210で送信された電波は、第4の領域204の位置では十分に減衰している。そのため、領域内無線ネットワーク210における無線通信と、領域内無線ネットワーク240における無線通信は、干渉又は輻輳が発生しにくく、それぞれが良好な無線通信が可能である。
一方、各領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260は、監視カメラ通信システムに含まれない無線通信機が送信する電波と干渉又は輻輳することがある。例えば、第1の領域201内に構築される領域内無線ネットワーク210は、同じ第1の領域201内にある監視カメラ通信システムに含まれない無線通信機がチャンネル1(1ch)を使っていると、干渉を起こす。同様に、第2の領域202内に構築される領域内無線ネットワーク220は、同じ第2の領域202内にある監視カメラ通信システムに含まれない無線通信機がチャンネル6(6ch)を使っていると、干渉を起こす。
監視カメラ通信システムの各領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260において、無線監視カメラ端末で撮影した監視映像データを、同一領域内のゲートウェイ端末に送信し、ゲートウェイ端末から、監視サーバ208に送信することで、監視サーバ208に監視映像データを集めるような使い方をする。各領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260において干渉又は輻輳が発生すると、各領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260で確保することができる通信速度が低下する。無線監視カメラ端末は、通信速度が低下する場合、監視映像データの品質を落として、データレートを低下させなければならないというような状態が発生する。干渉又は輻輳を発生させる無線通信機があまり移動せず、各領域における干渉又は輻輳の状態が時間的にあまり変化しない場合、ある領域においては、監視映像データの品質は良いが、別の領域においては、監視映像データの品質が悪いというような問題が発生する。
この問題は、各無線チャンネル間での無線通信の干渉又は輻輳の偏りが原因である。そのため、各領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260は、使用する無線チャンネルを変更することで、各無線チャンネルにおける干渉又は輻輳の偏りを平均化し、偏りの影響を低減化する。各領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260で使用する無線チャンネルは、予め定められた時間周期で定期的に、あるいは、予め定められた条件が適合した場合に変更するようにしてもよい。あるいは、各領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260で使用する無線チャンネルは、予め定められた条件が適合した場合に変更するようにしてもよい。無線チャンネルの割り当てパターンは、実施の形態1で説明したものと同じである。また、予め定められた時間周期で無線チャンネルを変更する方法は、実施の形態1で説明したものと同じである。
以上の動作により、各領域内無線ネットワーク210,220,230,240,250,260等に割り当てられる無線チャンネルは、チャンネル1(1ch)、チャンネル6(6ch)、及びチャンネル11(11ch)と変更され、特定の無線チャンネルの通信状態の影響が緩和される。実施の形態1によれば、通信システムを構成する複数の領域内無線ネットワークの各々の通信性能のバラツキを小さくする無線チャンネルの割り当てを行うので、通信システム全体において良好な通信性能を得ることができる。また、監視対象にすべきオブジェクトが抽出されている期間には、無線チャンネルの割り当て変更が発生しないようにし、通信性能の劣化を低減する。
なお、実施の形態2において、上記以外の点は、実施の形態1の場合と同じである。