JP6273076B2 - セルロースエーテルのエステルを調製するための効率的な方法 - Google Patents

セルロースエーテルのエステルを調製するための効率的な方法 Download PDF

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Description

本発明は、セルロースエーテルを脂肪族モノカルボン酸無水物及び/またはジカルボン酸無水物と反応させることによってセルロースエーテルのエステルを生成するための、改善された効率の方法に関する。
セルロースエーテルのエステル、それらの使用及びそれらを調製するための方法は当該技術分野において一般的に既知である。セルロースエーテルの様々な既知のエステルは、フタル酸メチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、コハク酸メチルセルロース、または酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)などの医薬剤形用の腸溶性ポリマーとして有用である。腸溶性ポリマーは、胃の酸性環境における溶解に耐性であるものである。このようなポリマーでコーティングされた剤形は、酸性環境において薬物を不活性化もしくは分解から保護するか、または薬物による胃の刺激を阻止する。
米国特許第4,226,981号は、エステル化触媒としてのアルカリカルボン酸塩、及び反応媒体としての酢酸の存在下で、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを無水コハク酸及び無水酢酸でエステル化することによって、HPMCASなどのセルロースエーテルの混合エステルを調製するための方法を開示している。
米国特許第5,776,501号は、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリエートセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニルアルコール、またはメタクリル酸とアクリル酸エチルのコポリマーなど、腸溶性コーティングの基材としての様々なセルロース系ポリマー、ビニルポリマー、またはアクリル系ポリマーを列挙している。より具体的には、米国特許第5,776,501号は、酢酸マレイン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを生成するために、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などの水溶性セルロースエーテルの使用を教示している。酢酸マレイン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、腸溶性医薬調製物のコーティング基材として使用される。水溶性セルロースエーテルは、2重量%水溶液として決定されたとき、3〜10cp(=mPa・s)の粘度を有する。粘度が3cp未満の場合、固形の腸溶性医薬調製物用の最終的に得られるコーティングフィルムは強度が不十分である一方で、粘度が10cpを超える場合、セルロースエーテルが置換反応を行うために溶媒に溶解されるときに観察される粘度は極めて高くなり、更なる処理のための均質な混合及び取り扱いは非常に困難である。
国際特許出願第WO2005/115330号及び第WO2011/159626号は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)の調製を開示している。2.4〜3.6cpの見かけ粘度を有するHPMCは出発材料として推奨される。あるいは、600〜60,000ダルトン、好ましくは3000〜50,000ダルトン、より好ましくは6,000〜30,000ダルトンのHPMC出発材料が推奨される。Keary[Keary,C.M.;Carbohydrate Polymers 45(2001)293−303,Tables 7 and 8]によると、約85〜100kDaの重量平均分子量を有するHPMCは、2重量%水溶液として決定されたとき、約50mPa・sの粘度を有する。生成されたHPMCASは、溶解された活性剤の濃度を増大させる、例えば難水溶性薬物の生物学的利用能を増大させるのに有用である。
米国特許第3,629,237号は、セルロースエーテルの低粘度酸フタレート(acid phthalates)の生成を容易にする、無水酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムなどの有機酸及び触媒の存在下、ならびに塩素酸カリウム、臭素酸カリウム、及び塩素酸ナトリウムなどのハロゲンの酸素酸のアルカリ金属塩の存在下での、無水フタル酸のセルロースエーテルとの反応を開示している。2重量%水溶液として決定されたとき、15〜100cpの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、無水フタル酸との反応の出発材料として使用される。
しかしながら、既知の生成方法にはいくつかの欠点がある。一方で、増大した粘度のセルロースエーテルの使用は、例えば、米国特許第5,776,501号に開示されるように、医薬剤形をコーティングするための強いフィルムを提供するために、生成されたエステル化セルロースエーテルのいくつかの最終用途に有益であろう。一方で、2重量%水溶液として決定されたとき、増大した粘度の水溶性セルロースエーテルの使用も、酢酸などのエステル化反応に典型的には使用される溶媒においてセルロースエーテルの粘度を増大させる。米国特許第5,776,501号に開示されるように、酢酸における水溶性セルロースエーテルの粘度は、セルロースエーテルが2重量%水溶液として決定されたときに10mPa・s超の粘度を有する場合、極めて高い。セルロースエーテルの粘度により、均質な混合物をもたらすための反応混合物の撹拌は非常に困難であるか、または更には不可能である。しかしながら、先行技術において推奨されるように、エステル化の出発材料として2.4〜10mPa・sの範囲の粘度を有するセルロースエーテルの使用は、それらのエステル化前にかなりのセルロースエーテルの脱重合を必要とする。セルロースエーテルを脱重合するための方法は、例えば欧州特許出願第EP1,141,029号、第EP210,917号、第EP1,423,433号、及び米国特許第4,316,982号に記載されている。
HClなどの酸を用いたセルロースエーテルの既知の部分脱重合、続くエステル化ステップ前の中和は、費用がかかる多工程生成プロセスとなり、部分脱重合の前後のセルロースエーテルの乾燥及び粉砕、ならびに梱包及び保管などの乾燥及び粉砕に関連する取り扱いステップを伴う。
セルロースエーテルの部分脱重合は、米国特許第3,629,237号に提案されるように、無水フタル酸との反応のために15〜100mPa・sの粘度を有するセルロースエーテルを使用するときにも必要である。
本発明の目的の1つは、セルロースエーテルのエステルを調製するための方法を提供することであり、セルロースエーテル及びエステル化剤として使用される1つ以上の無水物を含む反応混合物の撹拌性が改善される。本発明の好ましい目的は、セルロースエーテル及び1つ以上の無水物を含む反応混合物が、セルロースエーテルが2重量%水溶液として決定されたとき、10mPa・sよりも高い、または更には100mPa・sよりも高い初期粘度を有するときでさえ撹拌することができる、セルロースエーテルのエステルを調製するための方法を提供することである。本発明の別の好ましい目的は、プロセス工程の数を減少させることができる、セルロースエーテルのエステルを調製するための方法を提供することである。セルロースエーテルがエステル化される前にかなりの程度まで、または更には全く脱重合される必要がない、セルロースエーテルのエステルを調製するための方法を提供することが特に望ましいだろう。
意外にも、セルロースエーテル及びエステル化剤として使用される1つ以上の無水物を含む反応混合物の撹拌性は、湿性セルロースエーテルが、湿性セルロースエーテルの重量に基づいて、少なくとも10パーセントの含水量を有する出発材料として使用されるときに改善され得ることが分かった。
更により意外にも、先行技術において開示され、必要であると教示される、セルロースエーテルの生成とセルロースエーテルのエステル化との間のプロセス工程、具体的には、i)セルロースエーテルの乾燥及び粉砕、及びii)HClなどの酸を用いたセルロースエーテルの部分脱重合、続くエステル化ステップ前の中和及び精製のステップ、ならびに梱包及び保管などのステップi)及びii)に関連する取り扱いステップを減少、または更には回避できることが分かった。
したがって、本発明の一態様は、湿性セルロースエーテルの重量に基づいて、少なくとも10パーセントの含水量を有する湿性セルロースエーテルを、脂肪族モノカルボン酸無水物、ジカルボン酸無水物、またはこれらの組み合わせと反応させる、エステル化セルロースエーテルを生成するための方法である。
本発明の別の態様は、a)セルロースをアルカリ材料と反応させてアルカリセルロースを生成するステップ、b)生成されたアルカリセルロースを1つ以上のエーテル化剤と反応させ、生成されたセルロースエーテルを洗浄して、少なくとも10重量パーセントの含水量を有する湿性セルロースエーテルを得るステップ、ならびにc)湿性セルロースエーテルを脂肪族モノカルボン酸無水物及び/またはジカルボン酸無水物と、ならびに脱重合剤と反応させるステップを含むエステル化セルロースエーテルを生成するための方法である。
先行技術の方法では、セルロースエーテルは、エステル化セルロースエーテルを生成するための乾燥出発材料として使用される。European Pharmacopeia Ph Eur 6 2008,Hypromellose、2819頁に定義されるように、「乾燥」は、セルロースエーテルが、セルロースエーテルの総重量に基づいて、5パーセント以下の含水量を有することを意味する。
湿性セルロースエーテルに含まれる水は、エステル化に使用される無水物と容易に反応し、よってエステル化反応と競合することが知られている。先行技術の教示とは対照的に、1つ以上の無水物を用いたエステル化の出発材料としての湿性セルロースエーテルの使用が有益であることが分かった。反応混合物の撹拌性が改善されることが分かった。更に、湿性セルロースエーテルを使用することによって、プロセス工程の数を減少させることができる。時間、労働、及びエネルギーがかかる乾燥手順が部分的に、または更には完全に回避できるため、大幅な費用削減を達成することができる。
本発明の方法において出発材料として使用されるセルロースエーテルは、既知の方法、例えばa)セルロースをアルカリ材料と反応させてアルカリセルロースを生成するステップ、及びb)生成されたアルカリセルロースを1つ以上のエーテル化剤と反応させるステップを含む方法において生成され得る。典型的には、セルロースパルプなどの細かく分けた状態のセルロースを、ステップa)で、アルカリ性水溶液、好ましくはアルカリ金属水酸化物水溶液、より好ましくは水酸化ナトリウム水溶液と反応させる。アルカリ性水溶液は好ましくは、アルカリ性水溶液の総重量に基づいて、30〜70パーセント、より好ましくは35〜60パーセントのアルカリ金属水酸化物含量を有する。アルカリ性溶液は一般的に、セルロースに噴霧され、アルカリ化反応においてそれと反応してアルカリセルロースを生成する。一実施形態では、ジメチルエーテルなどの有機溶媒を、希釈剤及び冷却材として反応器に添加する。同様に、反応器のヘッドスペースは任意選択で不活性ガス(窒素など)でパージされ、セルロースエーテル生成物の酸素触媒脱重合を制御する。既知のエーテル化剤は、例えば、塩化メチル、硫酸ジメチル、または塩化エチルなどのアルキル化剤、ならびにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/またはブチレンオキシドなどのヒドロキシアルキル化剤である。セルロースエーテルを生成するための方法は、多くの刊行物に記載されており、最も最近のものは、米国特許第4,477,657号及び第3,839,319号である。生成の化学基礎及び原理(生成方法及びプロセス工程)の概要、ならびに様々なセルロースエーテルの物質のリスト、ならびに特性及び使用の可能性の説明は、例えば、Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,Makromolekulare Stoffe[Methods of Organic Chemistry,Macromolecular Substances],4th edition,volume E 20、2042頁(1987)に開示されている。
既知の生成方法において、生成された粗セルロース誘導体は、塩及び他の反応副産物を除去するために洗浄される。洗浄の前後に、セルロースエーテルは、残留有機含量を低減するために、蒸気に曝露することによって取り除かれる。セルロースエーテルは一般的に、少なくとも20℃、典型的には少なくとも45℃、及びより典型的には少なくとも65℃の温度で洗浄される。典型的には、最大120℃、好ましくは最大95℃の温度が洗浄ステップに適している。洗浄ステップは典型的には、例えば沈降、遠心分離、または濾過により、セルロースエーテルを洗浄水から分離することを含む。湿性セルロースエーテルは通常、湿性顆粒、湿性塊状物、及び/または湿性ペーストの形状で、例えば水湿性フィルタケーキの形状で得られる。上述の洗浄ステップ後、湿性セルロースエーテルの総重量に基づいて、少なくとも10重量パーセント、一般的には少なくとも30重量パーセント、及び典型的には40重量パーセントの含水量を有する湿性セルロースエーテルが得られる。洗浄ステップ後、セルロースエーテルの含水量は一般的に、湿性セルロースエーテルの総重量に基づいて、最大80パーセント、典型的には最大60パーセントである。
既知の手順において、湿性セルロースエーテルは典型的には、セルロースエーテルの総重量に基づいて、すなわち、セルロースエーテル及び水の重量の合計に基づいて、0.5〜5.0重量パーセント水の減少した湿分含量に乾燥される。減少した水分含量は、典型的には乾燥後または乾燥と同時に行われる、セルロースエーテルの粉砕を容易にする。
上述の方法に従い、一般的には、200mPa・s超、典型的には少なくとも300mPa・s、より典型的には少なくとも500mPa・s、または少なくとも1000mPa・s、及び最も典型的には少なくとも1500mPa・s、または少なくとも2000mPa・s、または更には少なくとも3000mPa・sの粘度を有するセルロースエーテルが得られる。粘度は一般的に、エーテル化反応に選択されるセルロースの分子量により、最大100,000mPa・s、典型的には最大30,000mPa・s、より典型的には最大15,000mPa・s、及び最も典型的には最大7,000mPa・s、または最大5,000mPa・sである。セルロースエーテルの粘度は、米国薬局方(USP 35,“Hypromellose”、423−424頁及び3467−3469頁)に記載されるように、20℃の2重量%水溶液として決定される。米国薬局方に記載されるように、600mPa・s未満の粘度はウベローデ粘度測定により決定され、600mPa・s以上の粘度はブルックフィールド粘度計を使用して決定される。2重量%HPMC溶液の調製ならびにウベローデ及びブルックフィールド両方の粘度測定条件に対する説明は、米国薬局方(本明細書において言及されるUSP 35,“Hypromellose”、423−424頁及び3467−3469頁、ならびにASTM D−445及びISO 3105)に開示されている。
より低粘度のセルロースエーテルが上述されるものよりも所望される場合、セルロースエーテルは、部分脱重合プロセスを受けることができる。部分脱重合プロセスは、当該技術分野において周知であり、例えば欧州特許出願第EP1,141,029号、第EP210,917号、第EP1,423,433号、及び米国特許第4,316,982号に記載されている。
当該技術分野において既知の手順とは対照的に、本発明の方法では、湿性セルロースエーテルの重量に基づいて、少なくとも10パーセント、好ましくは少なくとも20パーセント、より好ましくは少なくとも30パーセント、更により好ましくは少なくとも40パーセント、及び最も好ましくは少なくとも50パーセントの含水量を有する湿性セルロースエーテルが出発材料として使用される。本発明のエステル化方法の出発材料として使用される湿性セルロースエーテルは一般的に、湿性セルロースエーテルの重量に基づいて、最大90パーセント、好ましくは最大85パーセント、より好ましくは最大80パーセント、更により好ましくは最大70パーセント、及び最も好ましくは最大60パーセントの含水量を有する。
上述の含水量を有するセルロースエーテルは、微粒子形態の乾燥セルロースエーテル、典型的には上述のように乾燥及び粉砕されたセルロースエーテルを適切な量の水と混合することによって達成され得る。
しかしながら、本発明の好ましい実施形態では、上述の含水量を有するセルロースエーテルは、a)セルロースをアルカリ材料と反応させてアルカリセルロースを生成する、b)生成されたアルカリセルロースを1つ以上のエーテル化剤と反応させる、及び生成されたセルロースエーテルを洗浄して、湿性セルロースエーテルの重量に基づいて、少なくとも10重量パーセントの含水量、または上述の好ましい含水量を有する湿性セルロースエーテルを得る上述のステップを含む方法において達成される。洗浄ステップは、任意選択で、所望の含水量を得るために部分乾燥ステップが続くが、部分乾燥ステップは、含水量を10重量パーセントまたは上述の好ましい含水量未満に減少させるべきではない。本発明のより好ましい実施形態では、洗浄したセルロースエーテルは乾燥ステップを受けない。本発明の方法のこれらの実施形態では、乾燥及び粉砕手順にかかる時間、労働、及びエネルギーが部分的に、または更には完全に排除できるため、エネルギー、労働、及び時間の大幅な削減が達成され得る。
本発明のエステル化反応を行う際に、上述の含水量を有する湿性セルロースエーテルが出発材料として使用されるとき、反応混合物が十分に撹拌可能であることが分かった。反応混合物の好ましい組成は以下に更に記載される。意外にも、USP 35に記載されるように、20℃の2重量%水溶液として測定されたとき、10mPa・s超、または少なくとも50mPa・s、または少なくとも150mPa・s、または少なくとも300mPa・s、または更には少なくとも500mPa・sの初期粘度を有するセルロースエーテルが使用されるときでも、反応混合物が十分に撹拌可能であることが分かった。更により意外にも、USP 35に記載されるように、2重量%水溶液として決定されたとき、少なくとも1000mPa・s、または少なくとも1500mPa・s、または更には少なくとも2000mPa・s、または少なくとも3000mPa・sの初期粘度を有するセルロースエーテルが使用されるときでも、反応混合物がかなり十分に撹拌可能であることが分かった。反応混合物の妥当な撹拌性を達成するために、セルロースエーテルは一般的に、上述のように測定されたとき、最大100,000mPa・s、典型的には最大30,000mPa・s、好ましくは最大15,000mPa・s、より好ましくは最大7,000mPa・s、及び最も好ましくは最大5,000mPa・sの初期粘度を有するべきである。
USP 35に記載されるように、2重量%水溶液として決定されたとき、例えば、少なくとも500mPa・s、または少なくとも1000mPa・s、または少なくとも1500mPa・s、または少なくとも2000mPa・s、または更には少なくとも3000mPa・sの高い初期粘度を有するセルロースエーテルは、セルロース、アルカリセルロース、またはセルロースエーテルを脱重合反応に曝すことなく、セルロースをアルカリ材料でアルカリ化し、生成されたアルカリセルロースをエーテル化することによる、既知の手順に従い生成され得る。上述の高い初期粘度を有するセルロースエーテルを使用することによって、セルロースエーテルの乾燥を重複して行わなくてよいだけでなく、HClなどの酸を用いたセルロースエーテルの部分重合、エステル化ステップ前の中和及び精製も行わなくてよい。部分脱重合は、以下に更に記載されるように、エステル化ステップと組み合わせて行うことができる。よって、エステル化セルロースエーテルを生成するための費用がかかる多工程プロセスは単純化され、反応ステップの数を少させることができる。よって、生成費用が大幅に削減され得る。したがって、上述の初期粘度を有するセルロースエーテルは、好ましくは、本発明のエステル化方法において使用される。
セルロースエーテルは、上述よりも低い初期粘度を有し得る。より低い初期粘度のセルロースエーテルが使用されるときでも、本発明の方法は有利である。洗浄などの処理ステップ後のセルロースエーテルの時間、労働、及びエネルギーがかかる乾燥を低減または更には完全に回避することができる。しかしながら、生成ステップ数の更なる減少及び反応混合物の改善された撹拌性などの本発明の主な利点は、上述のより高い初期粘度のセルロースエーテルが使用されるときに、特に有意である。
用語「2重量%水溶液として決定されたときのセルロースエーテルの粘度」において、2%はセルロースエーテルの絶対乾燥重量を指す。本明細書で使用されるとき、用語「初期粘度」は、以下に記載されるエステル化反応において、セルロースエーテルを任意の試薬と反応させる前、及び任意選択でセルロースエーテルを以下に記載される脱重合剤と反応させる前の、セルロースエーテルの粘度を意味する。
本発明の方法において出発材料として使用されるセルロースエーテルは、本発明の文脈において無水グルコース単位として表される、β−1,4グルコシド結合D−グルコピラノース反復単位を有するセルロース骨格鎖を有する。本発明の方法において出発材料として使用されるセルロースエーテルは好ましくは、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、またはヒドロキシアルキルアルキルセルロースである。これは、本発明の方法において利用されるセルロースエーテルにおいて、無水グルコース単位のセルロース骨格鎖のヒドロキシル基の少なくとも一部がアルコキシル基もしくはヒドロキシアルコキシル基、またはアルコキシル基とヒドロキシアルコキシル基との組み合わせにより置換されることを意味する。ヒドロキシアルコキシル基は典型的には、ヒドロキシメトキシル基、ヒドロキシエトキシル基、及び/またはヒドロキシプロポキシル基である。ヒドロキシエトキシル基及び/またはヒドロキシプロポキシル基が好ましい。典型的には、1または2種類のヒドロキシアルコキシル基がセルロースエーテルに存在する。好ましくは、1種類のヒドロキシアルコキシル基、より好ましくはヒドロキシプロポキシルが存在する。アルコキシル基は典型的には、メトキシル基、エトキシル基、及び/またはプロポキシル基である。メトキシル基が好ましい。
上に定義したセルロースエーテルの例示は、メチルセルロース、エチルセルロース、及びプロピルセルロースなどのアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシブチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース;ならびにヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、及びヒドロキシブチルエチルセルロースなどのヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ならびにヒドロキシエチルヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの2つ以上のヒドロキシアルキル基を有するものである。最も好ましくは、セルロースエーテルはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
無水グルコース単位のヒドロキシル基の、ヒドロキシアルコキシル基による置換度は、ヒドロキシアルコキシル基のモル置換であるMS(ヒドロキシアルコキシル)によって表される。MS(ヒドロキシアルコキシル)は、セルロースエーテルにおける無水グルコース単位当たりのヒドロキシアルコキシル基のモルの平均数である。ヒドロキシアルキル化反応中に、セルロース骨格鎖に結合されるヒドロキシアルコキシル基のヒドロキシル基は、アルキル化剤、例えばメチル化剤及び/またはヒドロキシルアルキル化剤によって更にエーテル化されてもよいことを理解されたい。無水グルコース単位の同じ炭素原子位置に対する複数の後続のヒドロキシアルキル化エーテル化反応は側鎖をもたらし、複数のヒドロキシアルコキシル基はエーテル結合によって互いに共有結合され、全体として各側鎖はセルロース骨格鎖に対するヒドロキシアルコキシル置換基を形成する。
よって、用語「ヒドロキシアルコキシル基」は、MS(ヒドロキシアルコキシル)の文脈において、上に概説するように、1つのヒドロキシアルコキシル基または側鎖のいずれかを含む、ヒドロキシアルコキシル置換基の構成単位としてのヒドロキシアルコキシル基を指すように解釈されなければならず、2つ以上のヒドロキシアルコキシル単位はエーテル結合によって互いに共有結合される。この定義内では、ヒドロキシアルコキシル置換基の末端ヒドロキシル基が更にアルキル化されるか否かは重要ではなく、アルキル化及び非アルキル化両方のヒドロキシアルコキシル置換基は、MS(ヒドロキシアルコキシル)の決定に関して含まれる。エステル化セルロースエーテルは一般的に、少なくとも0.05、好ましくは少なくとも0.08、より好ましくは少なくとも0.12、及び最も好ましくは少なくとも0.15のヒドロキシアルコキシル基のモル置換を有する。モル置換度は一般的に、1.00以下、好ましくは0.90以下、より好ましくは0.70以下、及び最も好ましくは0.50以下である。
無水グルコース単位当たりのアルコキシル基(メトキシル基など)によって置換されたヒドロキシル基の平均数は、アルコキシル基の置換度であるDS(アルコキシル)として表される。上に与えられたDSの定義において、用語「アルコキシル基によって置換されたヒドロキシル基」は、本発明内に、セルロース骨格鎖の炭素原子に直接結合されたアルキル化ヒドロキシル基だけではなく、セルロース骨格鎖に結合されたヒドロキシアルコキシル置換基のアルキル化ヒドロキシル基も含むように解釈されるものとする。本発明の方法において出発材料として使用されるセルロースエーテルは好ましくは、少なくとも1.0、より好ましくは少なくとも1.1、更により好ましくは少なくとも1.2、最も好ましくは少なくとも1.4、及び具体的には少なくとも1.6のDS(アルコキシル)を有する。DS(アルコキシル)は、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.4以下、更により好ましくは2.2以下、及び最も2.05以下である。アルコキシル基の置換及びヒドロキシアルコキシル基のモル置換度は、セルロースエーテルのヨウ化水素を用いたツアイゼル開裂、及び後続の定量ガスクロマトグラフィー分析により決定され得る(G.Bartelmus and R.Ketterer,Z.Anal.Chem.,286(1977)161−190)。最も好ましくは、本発明の方法において利用されるセルロースエーテルは、DS(アルコキシル)に関して上に示される範囲内のDS(メトキシル)、及びMS(ヒドロキシアルコキシル)に関して上に示される範囲内のMS(ヒドロキシプロポキシル)を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
本発明のエステル化方法において、脱重合剤が好ましくは使用される。部分脱重合がエステル化ステップと組み合わせて行われるとき、エステル化セルロースエーテルを生成するための費用がかかる多工程プロセスは単純化され、反応ステップの数を減少させることができる。より具体的には、i)セルロースエーテルを乾燥させる、ならびにii)HClなどの酸を用いたセルロースエーテルの部分脱重合、続くエステル化ステップ前の中和及び精製の別個のステップを回避することができる。よって、生成費用が大幅に削減され得る。
本発明の好ましい態様では、脱重合剤は、酸化剤、典型的には、オゾン、過酸化物、岩塩、ハロゲン酸塩(halate)、過ハロゲン酸塩(perhalate)、次亜ハロゲン酸塩(hypohalite)、及び過ホウ素酸塩などの酸素とは異なる酸化剤、ならびに過酸化水素から選択される。好ましい脱重合剤は、アルカリ金属亜塩素酸塩、アルカリ金属塩素酸塩(塩素酸カリウムまたは塩素酸ナトリウムなど)、アルカリ金属過塩素酸塩、アルカリ金属過ヨウ素酸塩、アルカリ金属次亜臭素酸塩、アルカリ金属次亜塩素酸塩、アルカリ金属次亜ヨウ素酸塩、過酸化アルカリ金属、及び過酸化水素である。ナトリウム及びカリウムが好ましいアルカリ金属である。
本発明の別の好ましい態様では、ハロゲン化水素、好ましくは塩化水素などの無機酸、硫酸、硝酸、リン酸、または過硫酸が脱重合剤として使用される。脱重合剤として無機酸を使用するとき、所望の程度の脱重合が達成された後、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、または炭酸ナトリウムなどの中和剤が典型的には反応混合物に添加される。
脱重合剤の量は一般的に、セルロースエーテルの無水グルコース単位1モル当たり少なくとも0.005モル、好ましくは少なくとも0.01モル、より好ましくは少なくとも0.02モル、及び最も好ましくは少なくとも0.03モルである。脱重合剤の量は一般的に、セルロースエーテルの無水グルコース単位1モル当たり最大1モル、好ましくは最大0.70モル、より好ましくは最大0.40モル、及び最も好ましくは最大0.30モルである。
1種類以上の脱重合剤を使用することができるが、それらの総量は、好ましくは、脱重合剤とセルロースエーテルの無水グルコース単位との上述のモル比内であるように選択される。
湿性セルロースエーテルが、脂肪族モノカルボン酸無水物、ジカルボン酸無水物、またはこれらの組み合わせと接触するとき、湿性セルロースエーテル中の水が、脂肪族モノカルボン酸無水物、ジカルボン酸無水物、またはこれらの組み合わせと反応する。よって、セルロースエーテルの含水量は、エステル基との所望の程度の置換を達成するために、セルロースエーテルとの反応に必要な脂肪族モノカルボン酸無水物及び/またはジカルボン酸無水物の量を決定するときに考慮されるべきである。脂肪族モノカルボン酸無水物及び/またはジカルボン酸無水物を、水及びセルロースエーテルと同時に反応させることができるが、これらの反応は好ましくは順に行われる。
本方法の好ましい実施形態では、最初に、湿性セルロースエーテル中の水を、脂肪族モノカルボン酸無水物及び/またはジカルボン酸無水物と反応させ、続いて、セルロースエーテルを、脂肪族モノカルボン酸無水物及び/またはジカルボン酸無水物と反応させる。より好ましい実施形態では、最初に、湿性セルロースエーテル中の水を脂肪族モノカルボン酸無水物と反応させ、続いて、セルロースエーテルを、脂肪族モノカルボン酸無水物、ジカルボン酸無水物、またはこれらの組み合わせと反応させる。
湿性セルロースエーテル中の水を脂肪族モノカルボン酸無水物と反応させるとき、脂肪族モノカルボン酸無水物1モル当たり2モルの対応する脂肪族モノカルボン酸が形成される。好ましい脂肪族モノカルボン酸無水物は、水と反応して酢酸、プロピオン酸、または酪酸になる、無水酢酸、無水プロピオン酸、または無水酪酸である。最も好ましい脂肪族モノカルボン酸無水物は無水酢酸である。酢酸、プロピオン酸、及び酪酸のような脂肪族モノカルボン酸は、20℃及び大気圧で液体である。これらは、後続のエステル化反応において反応希釈剤として作用し得る。湿性セルロースエーテル中の水の、ジカルボン酸無水物との反応は、形成されたジカルボン酸が典型的には20℃及び大気圧で固体であり、反応混合物において望ましくない副産物であるため、典型的にはあまり望ましくない。湿性セルロースエーテル中の水を脂肪族モノカルボン酸無水物と反応させるとき、脂肪族モノカルボン酸無水物の総モル量は湿性セルロースエーテルの含水量に大きく依存する。本発明の反応に使用される脂肪族モノカルボン酸無水物の総モル量は好ましくは、i)湿性セルロースエーテル中の水のモル量、加えてii)脂肪族モノカルボン酸無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位とのモル比が少なくとも0.1/1、好ましくは少なくとも0.3/1、より好ましくは少なくとも0.5/1、最も好ましくは少なくとも1/1、及び具体的には少なくとも1.5/1、ならびに最大17/1、好ましくは最大10/1、より好ましくは最大8/1、最も好ましくは最大6/1、及び具体的には最大4/1であるような、エステル化に使用される脂肪族モノカルボン酸無水物のモル量の合計に対応する。ジカルボン酸の無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位とのモル比は一般的に、0.1/1以上、及び好ましくは0.2/1以上である。ジカルボン酸の無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位とのモル比は一般的に、1.5/1以下、及び好ましくは1/1以下である。
本発明の方法において利用されるセルロースエーテルの無水グルコース単位のモル数は、DS(アルコキシル)及びMS(ヒドロキシアルコキシル)からの置換無水グルコース単位の平均分子量を計算することによって、出発材料として使用されるセルロースエーテルの重量から決定することができる。
脂肪族モノカルボン酸無水物の総量は少しずつ添加され得る、すなわち、湿性セルロースエーテルは、湿性セルロースエーテル中の水を脂肪族モノカルボン酸無水物と反応させるのに必要な第1の量の脂肪族モノカルボン酸無水物と混合され得、続いてセルロースエーテルのエステル化に必要な追加量の脂肪族モノカルボン酸無水物が添加され得る。反応混合物の撹拌性を最適化するために、本発明の方法において使用される脂肪族モノカルボン酸無水物の一部、またはより好ましくは総量もしくはを反応装置に充填し、湿性セルロースエーテルを連続的に、または少しずつ脂肪族モノカルボン酸無水物に添加することが一般的に好ましい。湿性セルロースエーテルの温度は一般的に、少なくとも10℃、好ましくは少なくとも20℃、及び最大100℃、好ましくは最大95℃である。反応温度は一般的に、20℃以上、好ましくは40℃以上、及びより好ましくは50℃以上である。反応温度は一般的に、最大118℃、好ましくは最大110℃、及びより好ましくは最大100℃である。
本発明の好ましい実施形態では、湿性セルロースエーテルは、脂肪族モノカルボン酸無水物及び/またはジカルボン酸無水物との反応と同時または順に脱重合剤と更に反応させられる。脂肪族モノカルボン酸無水物及び/またはジカルボン酸無水物を用いたセルロースエーテルのエステル化は、追加のエステル基を有するセルロースエーテルを脱重合剤と反応させる前に、部分的または完全に完了することができる。あるいは、最初にセルロースエーテルを脱重合剤と反応させて、次に脂肪族モノカルボン酸無水物及び/またはジカルボン酸無水物と反応させることができる。あるいは、反応を同時に行うことができる。セルロースエーテルの、脂肪族モノカルボン酸無水物及び/またはジカルボン酸無水物と、ならびに脱重合剤との反応は、同時にまたは異なる反応装置において行われ得る。エステル化反応及び脱重合剤との反応が順に行われる場合、中間単離ステップまたは精製ステップは必要ではなく、典型的には行われない。好ましくは、セルロースエーテルの、脂肪族モノカルボン酸無水物及び/またはジカルボン酸無水物との反応は、脱重合剤の存在下で行われる、すなわち、エステル化及び酸化反応は、エステル化反応に関して上に特定される温度、圧力、及び期間などの反応条件下で同時に行われる。
より好ましくは、湿性セルロースエーテルを脂肪族モノカルボン酸無水物と混合して、湿性セルロースエーテル中の水を脂肪族モノカルボン酸無水物と反応させ、続いて、ジカルボン酸無水物、エステル化触媒、脱重合剤、及び任意選択で追加量の脂肪族モノカルボン酸無水物を添加して、セルロースエーテルをエステル化し、部分的に脱重合する。水の脂肪族モノカルボン酸無水物との反応において形成される脂肪族モノカルボン酸無水物に加えて、追加量の反応媒体も添加され得る。好ましい反応物及び反応条件は上述される。
湿性セルロースエーテル中の水を脂肪族モノカルボン酸無水物と反応させるとき、後続のエステル化反応において反応媒体として作用する、酢酸、プロピオン酸、または酪酸などの対応する脂肪族モノカルボン酸が形成される。形成された脂肪族モノカルボン酸の量により、追加量の反応媒体が添加される。反応媒体は、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサンン、もしくはテトラヒドロフランのような芳香族または脂肪族溶媒;あるいはジクロロメタンもしくはジクロロメチルエーテルのようなハロゲン化C−C誘導体など、20℃で液体であり、セルロースエーテルと反応しない、少量の他の溶媒または希釈剤を含み得るが、脂肪族モノカルボン酸の量は一般的に、反応媒体の総重量に基づいて、50パーセント超、好ましくは少なくとも75パーセント、及びより好ましくは少なくとも90パーセントであるべきである。最も好ましくは、反応媒体は脂肪族モノカルボン酸からなる。脂肪族モノカルボン酸の総量、すなわち、湿性セルロースエーテル中の水を脂肪族モノカルボン酸無水物と反応させることにより形成される脂肪族モノカルボン酸の量(水と反応する脂肪族モノカルボン酸無水物1モル当たり2モルの脂肪族モノカルボン酸が形成される)、及びある場合、反応混合物に添加された脂肪族モノカルボン酸の量は一般的に、セルロースエーテルの100重量部当たり、少なくとも200重量部、好ましくは少なくとも300重量部、より好ましくは少なくとも400重量部、及び最も好ましくは少なくとも600重量部、ならびにセルロースエーテルの100重量部当たり、最大2000重量部、好ましくは最大1500重量部、より好ましくは最大1000重量部、及び最も好ましくは最大800重量部であり、セルロースエーテルの重量はその絶対乾燥重量に基づいて計算される。
セルロースエーテル、好ましくは上述のヒドロキシプロピルメチルセルロースを、脂肪族モノカルボン酸無水物及び/またはジカルボン酸無水物と反応させて、エステル化セルロースエーテル、好ましくは酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を生成する。好ましい脂肪族モノカルボン酸無水物及び好ましい量は上に列挙される。好ましいジカルボン酸無水物は、無水コハク酸、無水マレイン酸、及び無水フタル酸からなる群から選択される。好ましい脂肪族モノカルボン酸無水物は単独で使用され得るか、または好ましいジカルボン酸無水物は単独で使用され得るか、あるいは好ましい脂肪族モノカルボン酸無水物は好ましいジカルボン酸無水物と組み合わせで使用され得る。例えばフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを生成するために、セルロースエーテルのみをジカルボン酸無水物と反応させることが所望されるとき、最初に、湿性セルロースエーテル中の水を、本質的に脂肪族モノカルボン酸無水物の全量が水との反応において消費されるこのような量の脂肪族モノカルボン酸無水物と反応させ、対応する脂肪族モノカルボン酸を形成する。本発明の好ましい実施形態では、セルロースエーテルは、脂肪族モノカルボン酸無水物及びジカルボン酸無水物と反応させられる。
エステル化反応は一般的に、エステル化触媒の存在下、好ましくは、酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウムなどのアルカリ金属カルボン酸塩の存在下で行われる。アルカリ金属カルボン酸塩の量は一般的に、セルロースエーテルの100重量部当たり、20〜200重量部のアルカリ金属カルボン酸塩である。モル比[アルカリ金属カルボン酸塩/セルロースエーテルの無水グルコース単位]は、好ましくは、[0.4/1.0]〜[3.8/1.0]、より好ましくは[1.5/1.0]〜[3.5/1.0]、及び最も好ましくは[1.9/1.0]〜[3.0/1.0]である。
エステル化の反応温度は一般的に60℃以上、及び好ましくは70℃以上である。反応温度は一般的に、最大110℃、好ましくは最大100℃である。エステル化反応は典型的には、2〜25時間以内、より典型的には2〜8時間以内に完了する。バッチ反応器または反応槽などの、エステル化反応を行うための好適な反応装置は当該技術分野において既知である。撹拌装置または混練機を装備した反応器が好ましい。
エステル化反応の完了後、反応生成物は、米国特許第4,226,981号、国際特許出願第WO2005/115330号、または欧州特許出願第EP0 219 426号などに記載される、既知の方法において、例えば反応混合物を大量の水に接触させることにより、反応混合物から沈殿され得る。本発明の好ましい実施形態では、反応生成物は、粉末の形態でエステル化セルロースエーテルを生成するために、第WO2013/148154号として公開された国際特許出願第PCT/US13/030394号に記載されるように反応混合物から沈殿される。
本発明の方法に従い、(i)脂肪族一価アシル基及び/または(ii)式−C(O)−R−COOA(式中、Rは二価の脂肪族または芳香族炭化水素基であり、Aは水素またはカチオンである)の基を有するエステル化セルロースエーテルが生成される。
カチオンは、好ましくは、NH などのアンモニウムカチオン、またはナトリウムもしくはカリウムイオン、より好ましくはナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンである。最も好ましくは、Aは水素である。脂肪族一価アシル基は、好ましくは、アセチル、プロピオニル、及びn−ブチリルまたはi−ブチリルなどのブチリルからなる群から選択される。式−C(O)−R−COOAの好ましい基は、
−C(O)−CH2−CH2−COOHもしくは−C(O)−CH2−CH2−COONaなどの−C(O)−CH2−CH2−COOA、
−C(O)−CH=CH−COOHもしくは−C(O)−CH=CH−COONaなどの−C(O)−CH=CH−COOA、または
−C(O)−C4−COOHもしくは−C(O)−C4−COONaなどの−C(O)− C4−COOAである。式−C(O)−C−COOAの基において、カルボニル基及びカルボキシル基は、好ましくは、オルト位置に配置される。
本発明の方法に従い生成される、好ましいエステル化セルロースエーテルは、
i)HPMCXY及びHPMCX(式中、HPMCはヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAP)、酢酸マレイン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAM)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、もしくは酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCA)などの、XはA(酢酸塩)であるか、またはXはB(酪酸塩)であるか、またはXはPr(プロピオン酸塩)であり、YはS(コハク酸塩)であるか、またはYはP(フタル酸塩)であるか、またはYはM(マレイン酸塩)である)、あるいは
ii)フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルセルロース(HPCAS)、プロピオン酸コハク酸ヒドロキシブチルメチルセルロース(HBMCPrS)、プロピオン酸コハク酸ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース(HEHPCPrS)、及び酢酸コハク酸メチルセルロース(MCAS)である。
酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)は、最も好ましいエステル化セルロースエーテルである。
本発明の方法に従い生成されたエステル化セルロースエーテルは、好ましくは、上に更に示されるDS(メトキシル)及びMS(ヒドロキシアルコキシル)を有する。本発明の方法に従い生成されたエステル化セルロースエーテルは、0(ゼロ)、または好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも0.10、最も好ましくは少なくとも0.15、及び具体的には少なくとも0.20の、アセチル基、プロピオニル基、またはブチリル基などの脂肪族一価アシル基の置換度を有する。脂肪族一価アシル基の置換度は一般的に、最大1.75、好ましくは最大1.50、より好ましくは最大1.25、及び最も好ましくは最大1.00である。エステル化セルロースエーテルは一般的に、0(ゼロ)または好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも0.10の、スクシノイルなどの式−C(O)−R−COOAの基の置換度を有する。スクシノイルなどの式−C(O)−R−COOAの基の置換度は一般的に、最大1.6、好ましくは最大1.30、より好ましくは最大1.00、最も好ましくは最大0.70、及び具体的には最大0.60である。i)脂肪族一価アシル基の置換度と、ii)式−C(O)−R−COOAの基の置換度との合計は0よりも大きい。これは一般的に、少なくとも0.10、好ましくは少なくとも0.20、より好ましくは少なくとも0.30、及び最も好ましくは少なくとも0.40である。この合計は一般的に、最大1.9、好ましくは最大1.55、より好ましくは最大1.15、及び具体的には最大1.00である。
酢酸及びコハク酸エステル基の含量は、“Hypromellose Acetate Succinate,United States Pharmacopia and National Formulary,NF 29,pp.1548−1550”に従い決定される。報告された値は、揮発物に対して補正される(上記のHPMCAS各条のセクション「乾燥減量」に記載されるように決定される)。本方法は、プロピオニル基、ブチリル基、フタリル基、及び他のエステル基の含量を決定するために、アナログ方法で使用され得る。
エステル化セルロースエーテル中のエーテル基の含量は、“Hypromellose”,United States Pharmacopeia and National Formulary,USP 35,pp3467−3469に記載されるのと同じ方法で決定される。
上の分析により得られたエーテル基及びエステル基の含量は、以下の式に従い、個々の置換基のDS値及びMS値に変換される。この式は、他のセルロースエーテルエステルの置換基のDS及びMSを決定するために、アナログ方法で使用され得る。
慣例では、重量パーセントは、全ての置換基を含む、セルロース反復単位の総重量に基づいた平均重量パーセントである。メトキシル基の含量は、メトキシル基(すなわち、−OCH)の質量に基づいて報告される。ヒドロキシアルコキシル基の含量は、ヒドロキシプロポキシル(すなわち、−O−CHCH(CH)−OH)などのヒドロキシアルコキシル基(すなわち、−O−アルキレン−OH)の質量に基づいて報告される。アセチル基の含量は、−C(O)−CHの質量に基づいて報告される。スクシノイル基の含量は、この基、すなわち、−C(O)−CH−CH−COOHの質量に基づいて報告される。
上述の方法に従い、一般的に、10,000ダルトン以上、好ましくは20,000ダルトン以上、より好ましくは30,000ダルトン以上、及び最も好ましくは80,000ダルトン以上の重量平均分子量Mを有するエステル化セルロースエーテルが生成される。エステル化セルロースエーテルは一般的に、最大500,000ダルトン、好ましくは最大450,000ダルトン、より好ましくは最大350,000ダルトン、更により好ましくは最大250,000ダルトン、及び具体的には最大200,000ダルトンまたは最大120,000ダルトンの重量平均分子量Mを有する。上述のように、エステル化反応において脱重合剤を使用するとき、エステル化セルロースエーテルの重量平均分子量Mは、エステル化セルロースエーテルを生成するために出発材料として使用されるセルロースエーテルの重量平均分子量よりも、典型的には少なくとも25パーセント低い、より典型的には少なくとも40パーセント低く、Mにおけるその減少は脱重合剤による処理によって生じる。
エステル化セルロースエーテルは典型的には、少なくとも1.3、及びより典型的には少なくとも1.5の多分散性M/Mを有する。更に、エステル化セルロースエーテルは典型的には、最大3.5、好ましくは最大3.0、より好ましくは最大2.8、及び最も好ましくは最大2.6の多分散性を有する。多分散性M/Mは、重量平均分子量M及び数平均分子量Mの決定に基づいて計算される。
エステル化セルロースエーテルは一般的には、5000ダルトン以上、好ましくは10,000ダルトン以上、より好ましくは20,000ダルトン以上、及び最も好ましくは25,000ダルトン以上の数平均分子量Mを有する。エステル化セルロースエーテルは一般的に、最大150,000ダルトン、好ましくは最大110,000ダルトン、より好ましくは最大90,000ダルトン、及び最も好ましくは最大50,000ダルトンの数平均分子量Mを有する。
及びMは、40容量部のアセトニトリルと、50mMのNaHPO及び0.1MのNaNOを含有する60容量部の水性緩衝液とを混合することによって生成された混合物である移動相を使用して、SEC−MALLSにより測定される。移動相はpH8.0に調節される。SEC−MALLSは、質量検出型多角度レーザー光散乱検出器と組み合わされたサイズ排除クロマトグラフィーを表す。手順は、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56(2011)743−748に記載されている。M及びMの測定は、実施例においてより詳細に記載されている。
エステル化セルロースエーテルは一般的に、20℃の0.43重量%水性NaOH中2.0重量%エステル化セルロースエーテル溶液として測定されたとき、最大200mPa・s、好ましくは最大100mPa・s、より好ましくは最大50mPa・s、更により好ましくは最大30mPa・s、最も好ましくは最大10mPa・s、及び具体的には最大5mPa・sの粘度を有する。一般的に、粘度は、20℃の0.43重量%水性NaOH中2.0重量%エステル化セルロースエーテル溶液として測定されたとき、少なくとも1.2mPa・s、典型的には少なくとも1.8mPa・s、及びより典型的には少なくとも2.4mPa・sである。2.0重量%エステル化セルロースエーテル溶液は、“Hypromellose Acetate Succinate,United States Pharmacopia and National Formulary,NF 29,pp.1548−1550”に記載されるように調製され、続いてDIN 51562−1:1999−01(January 1999)に従いウベローデ粘度測定が行われる。
ここで本発明のいくつかの実施形態が以下の実施例においてより詳細に記載される。
別途記載のない限り、全ての部及びパーセントは重量に基づく。実施例において、以下の試験手順が使用される。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)試料の粘度
セルロースエーテルの粘度は、米国薬局方(USP 35,“Hypromellose”、423−424頁及び3467−3469頁)に記載されるように、20℃の2重量%水溶液として決定された。米国薬局方に記載されるように、600mPa・s未満の粘度はウベローデ粘度測定により決定され、600mPa・s以上の粘度はブルックフィールド粘度計を使用して決定された。2重量%HPMC溶液の調製ならびにウベローデ及びブルックフィールド両方の粘度測定条件に対する説明は、米国薬局方(本明細書において言及されるUSP 35,“Hypromellose”、423−424頁及び3467−3469頁、ならびにASTM D−445及びISO 3105)に開示されている。
酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)の粘度
0.43重量%水性NaOH中2.0重量%のHPMCAS溶液は、“Hypromellose Acetate Succinate,United States Pharmacopia and National Formulary,NF 29,pp.1548−1550”に記載されるように調製され、続いてDIN 51562−1:1999−01(January 1999)に従い、20℃でウベローデ粘度測定が行われた。
HPMCASのエーテル基及びエステル基の含量
エステル化セルロースエーテル中のエーテル基の含量は、“Hypromellose”,United States Pharmacopeia and National Formulary,USP 35,pp3467−3469に記載されるのと同じ方法で決定された。
アセチル基でのエステル置換(−CO−CH)及びスクシノイル基でのエステル置換(−CO−CH−CH−COOH)は、Hypromellose Acetate Succinate,United States Pharmacopia and National Formulary,NF 29,pp.1548−1550”に従い決定された。エステル置換に関して報告された値は、揮発物に関して補正された(上記のHPMCAS各条のセクション「乾燥減量」に記載されるように決定された)。
HPMCASのM及びMの決定
Mw及びMnは、別途記載のない限り、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56(2011)743に従い測定された。移動相は、40容量部のアセトニトリルと、50mMのNaHPO及び0.1MのNaNOを含有する60容量部の水性緩衝液との混合物であった。移動相はpH8.0に調節された。セルロースエーテルエステルの溶液は、0.45μmの孔径のシリンジフィルタを通してHPLCバイアル内に濾過された。
より具体的には、利用された化学物質及び溶媒は以下であった。
ポリエチレンオキシド標準材料(PEOX 20 K及びPEOX 30 Kと略される)はAgilent Technologies,Inc.Palo Alto,CA(カタログ番号PL2083−1005及びPL2083−2005)から購入した。
アセトニトリル(HPLCグレード、≧99.9%,CHROMASOL plus)(カタログ番号34998)、水酸化アトリウム(半導体グレード、99.99%,微量金属ベース)(カタログ番号306576)、水(HPLCグレード、CHROMASOLV Plus)(カタログ番号34877)、及び硝酸ナトリウム(99,995%、微量金属ベース)(カタログ番号229938)はSigma−Aldrich,Switzerlandから購入した。
リン酸二水素ナトリウム(≧99.999% TraceSelect)(カタログ番号71492)はFLUKA,Switzerlandから購入した。
5mg/mLのPEOX20 Kの基準化溶液、2mg/mLのPEOX30 Kの標準溶液、及び2mg/mLのHPMCASの試料溶液は、量ったポリマー量をバイアル中に添加し、それを、測定した移動相容量で溶解することにより調製された。全ての溶液は、PTFEコーティングされた磁気撹拌棒を使用して撹拌しながら、蓋をしたバイアル中で24時間、室温で溶解した。
基準化溶液(PEOX 20k、単一調製、N)及び標準溶液(PEOX30 K、2重調製、S1及びS2)を、0.02μm孔径及び25mm直径(Whatman Anatop 25、カタログ番号6809−2002),Whatmanのシリンジフィルタを通してHPLCバイアル中に濾過した。
試験試料溶液(HPMCAS、2つ組で調製、T1,T2)及び実験室標準(HPMCAS、単一調製、LS)を、0.45μm孔径(Nylon、例えばAcrodisc 13mm VWR、カタログ番号514−4010)のシリンジフィルタを通してHPLCバイアル中に濾過した。
クロマトグラフィー条件及び実行シーケンスは、Chen,R.et al.;Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56(2011)743−748)により記載されるように行われた。SEC−MALLS機器構成は、HP1100 HPLCシステム(Agilent Technologies,Inc.Palo Alto,CAから)、DAWN Heleos II 18角度レーザー光散乱検出器、及びOPTILAB rex屈折率検出器(両方ともWyatt Technologies,Inc.Santa Barbara,CAから)を含んだ。分析用サイズ排除カラム(TSK−GEL(登録商標)GMPWXL,300×7.8mm)はTosoh Bioscienceから購入した。OPTILAB及びDAWNの両方は35℃で操作された。分析用SECカラムは室温(24±5℃)で操作された。移動相は、40容量部のアセトニトリルと、50mMのNaHPO及び0.1MのNaNOを含有する60容量部の水性緩衝液との混合物であった。
水性緩衝液:7.20gのリン酸二水素ナトリウム及び10.2gの硝酸ナトリウムを、溶解するまで撹拌下で、清潔な2Lのガラス瓶中の1.2Lの精製水に添加した。
移動相:800mLのアセトニトリルを、上で調製した1.2Lの水性緩衝液に添加し、良好な混合物が得られるまで撹拌し、温度を周囲温度に平衡化させた。
移動相を、10MのNaOHで8.0にpH調節し、0.2mのナイロン膜フィルタを通して濾過した。流量はインライン脱気で0.5mL/分であった。注入容量は100μLであり、分析時間は35分であった。
MALLSデータを収集し、HPMCASに関して0.120mL/gのdn/dc値(屈折率増分)を使用してWyatt ASTRAソフトウェア(バージョン5.3.4.20)で処理した。検出器1〜4、17、及び18番)の光散乱シグナルは分子量計算に使用されなかった。代表的なクロマトグラフィー実行シーケンスを以下に示す:B、N、LS、S1(5x)、S2、T1(2x)、T2(2x)、T3(2x)、T4(2x)、S2、T5(2x)等、S2、LS、W。ここで、Bは移動相のブランク注入を表し、N1は基準化溶液を表し、LSは実験室標準HPMCASを表し、S1及びS2はそれぞれ標準溶液1及び2を表し、T1、T2、T3、T4、及びT5は試験試料溶液を表し、Wは水注入を表す。(2x)及び(5x)は、同じ溶液の注入の数を示す。
OPTILAB及びDAWNの両方は製造者が推奨する手順及び頻度に従い定期的に較正された。5mg/mLのポリエチレンオキシド標準(PEOX20 K)の100μL注入は、各実行シーケンスに関して90°検出器に対する全ての角度光散乱検出器を基準化するために採用された。
この単分散ポリマー標準を使用することによって、OPTILABとDAWNとの間の容量遅延を決定することが可能となり、屈折率シグナルに対する光散乱シグナルの適切なアライメントを可能にする。これは、各データスライスの重量平均分子量(Mw)の計算に必要である。
比較実施例A〜Dに利用されたヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)
HPMC E4Mは、下の表2に列挙されるメトキシル置換(DS)及びヒドロキシプロポキシル置換(MSHP)、ならびに60rpmのRotor4番を使用して、上述のブルックフィールド方法に従い20℃の2%水溶液として測定されたとき、3729mPa・sの粘度を有した。HPMC E4Mの重量平均分子量は305330ダルトン(305kDa)であった。ダルトン。HPMC E4Mは、Methocel E4MセルロースエーテルとしてThe Dow Chemical Companyから市販されており、HPMC E4Mの総重量に基づいて、1.4重量パーセントの湿分含量を有する、高粘度HPMCである。
実施例1に利用されたHPMC(HPMC湿潤ケーキ1)
38.77%の絶対乾燥HPMC含率を有した湿潤HPMC(以後、「HPMC湿潤ケーキ1」と称する)を使用した。HPMC湿潤ケーキ中のHPMCは、下の表2に列挙されるメトキシル置換(DS)及びヒドロキシプロポキシル置換(MSHP)、ならびに60rpmのRotor4番を使用して、上述のブルックフィールド方法に従い20℃の2%水溶液として測定されたとき、5026mPa・sの粘度を有した。
実施例2に利用されたHPMC(湿潤ケーキ2)
50.4%の絶対乾燥HPMC含率を有した湿潤HPMC(以後、「HPMC湿潤ケーキ2」と称する)を使用した。HPMC湿潤ケーキ中のHPMCは、下の表2に列挙されるメトキシル置換(DS)及びヒドロキシプロポキシル置換(MSHP)、ならびに60rpmのRotor4番を使用して、上述のブルックフィールド方法に従い20℃の2%水溶液として測定されたとき、3729mPa・sの粘度を有した。
比較実施例A〜Dの酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)の生成(比較、先行技術ではない)
氷酢酸、HPMC E4M、無水酢酸、無水コハク酸、酢酸ナトリウム(水を含まない)、及び塩素酸カリウムは、下の表1に列挙される量で、3L容量の反応槽内に導入された。氷酢酸はHPMC粉末によって容易に吸収された。反応槽内の塊は、外観は固形であった。エステル化をもたらすために、反応槽内の塊を85℃で3.5時間加熱した。加熱期間の間、塊は撹拌できなかった。85℃で、この塊を撹拌することができたが、均質な混合物を得ることはできなかった。エステル化及び部分脱重合が進行する間に、反応混合物の撹拌能力は改善したが、均質な混合物は長期間の間、尚も得られなかった。3.5時間後の反応完了後にのみ、均質な反応溶液が形成された。次に、撹拌下で1.8Lの冷水を反応混合物に添加してHPMCASを沈殿させた。沈殿した生成物を反応器から除去し、5200rpmで動作するUltra−Turrax撹拌機S50−G45を使用して高剪断混合を適用することにより20Lの水で洗浄した。濾過により生成物を単離し、55℃で一晩乾燥させた。
実施例1
512g(5.0モル)の無水酢酸を反応器に充填し、51℃に加熱した。撹拌下で128.97gのHPMC湿潤ケーキ1(絶対乾燥HPMC含率38.77%)を少しずつ反応器に充填した。128.97gのHPMC湿潤ケーキは、乾燥物に換算してHPCM50g、及び水78.97g(4.38モル)に相当した。
次に、温度を70℃に上げた。僅かな発熱反応が観察されたが、酢酸または無水酢酸は冷却器で還流された。撹拌(300rpm)の問題はなく30分後に全てのHPMCが溶解した。次に、14gの無水コハク酸を反応器に充填し(850rpm)、10分後、50gの酢酸ナトリウム及び1.67gの塩素酸カリウムを添加した。温度を85℃に上げ(300rpm)、混合物を3.5時間反応させた。次に、冷水で沈殿させることにより粗HPMCASを回収し、生成物を温水で洗浄し、数回濾過した。
実施例2
279g(11.53モル)の無水酢酸を反応器に充填し、51℃に加熱した。99.21gのHPMC湿潤ケーキ2(絶対乾燥HPMC含率50.4%)は乾燥物に換算してHPCM50g、及び水49.21g(2.74モル)に相当した。次に、温度を70℃に上げた。発熱反応が観察され、酢酸または無水酢酸は短時間の間冷却器で還流された。30分後に全てのHPMCが溶解した(100rpm)。次に、温度を85℃に上げ、氷酢酸中0.38gの硫酸溶液(20gの85%硫酸と80gの氷酢酸の混合物)を添加し、混合物を30分間反応させた。分解反応を停止させるために、0.06gのNaOHを反応器に添加した。次に、14gの無水コハク酸及び65gの無水酢酸を反応器に充填し(850rpm)、6分以内に50gの酢酸ナトリウムを添加した。温度を85℃に上げ(300rpm)、混合物を3.5時間反応させた。次に、水で沈殿させることにより粗HPMCASを回収し、生成物を水で洗浄し、数回濾過した。
比較実施例EのHPMCASの生成
高粘度HPMC E4Mの代わりに低粘度HPMC E3 LVが使用され、反応が塩素酸カリウムの不在下で行われたことを除き、比較実施例A〜Dの手順を繰り返した。下の表1に列挙される氷酢酸、HPMC E3 LV、無水酢酸、無水コハク酸、及び酢酸ナトリウム(水を含まない)からなる反応混合物は、最初から十分に撹拌可能であった。
実施例1と比較実施例A〜Dとの比較は、等しく良好なエステル化反応性が、乾燥セルロースエーテルがエステル化に使用されるときよりも湿性セルロースエーテルがエステル化に使用され、湿性セルロースエーテル中の水が脂肪族モノカルボン酸無水物と反応して、対応する脂肪族モノカルボン酸になるときに達成されることを図示する。この発見は、セルロースエーテルの生成及び洗浄後の時間、労働、及びエネルギーがかかる乾燥ステップを低減または完全に排除する。
更に、意外にも、反応混合物の撹拌性は、湿性セルロースエーテルが出発材料として使用されるときに大幅に改善され得ることが分かった。これは、エステル化における高粘度セルロースエーテルの使用を可能にする。その分子量を低下させるためのセルロースエーテルの部分脱重合は、エステル化ステップ中にインシツで行うことができ、別個の脱重合ステップを回避する。
実施例1と比較実施例Eとの比較は、類似する分子量のエステル化セルロースエーテルが、乾燥低分子量セルロースエーテルから開始されるときのように、湿性高粘度セルロースエーテルから開始され、インシツで部分脱重合を行うときに達成されることを図示する。よって、高粘度湿性セルロースエーテルがエステル化に使用され、部分脱重合がインシツで行われる、本発明の好ましい実施形態は、セルロースエーテルの生成後の多工程、具体的には、i)セルロースエーテルの乾燥及び粉砕、ならびにii)HClなどの酸を用いたセルロースエーテルの既知の部分脱重合、続くエステル化ステップ前の中和及び精製のステップ、ならびに梱包及び保管などのステップi)及びii)に関連する取り扱いステップを回避する。よって、エステル化セルロースエーテルを生成するための費用がかかる多工程プロセスは単純化され、反応ステップの数を減少させることができる。よって、生成費用が大幅に削減される一方で、同じ質のエステル化セルロースエーテルが得られる。
*乾燥物に換算
**5.0モルの無水酢酸のうち、4.38モルが水と反応して8.76モルの酢酸(35.0mol/mol HPMC)をもたらし、HPMCと反応することができる0.62モルの無水酢酸(2.48mol/mol HPMC)を残す。
***3.34モルの無水酢酸のうち、2.74モルが水と反応して5.48モルの酢酸(21.9mol/mol HPMC)をもたらし、HPMCと反応することができる0.60モルの無水酢酸(2.40mol/mol HPMC)を残す。
(態様)
(態様1)
エステル化セルロースエーテルを生成するための方法であって、
湿性セルロースエーテルの重量に基づいて、少なくとも10パーセントの含水量を有する前記湿性セルロースエーテルを、脂肪族モノカルボン酸無水物、ジカルボン酸無水物、またはこれらの組み合わせと反応させる、方法。
(態様2)
前記湿性セルロースエーテルが、前記脂肪族モノカルボン酸無水物及び/または前記ジカルボン酸無水物との反応と同時または順に脱重合剤と更に反応させられる、態様1に記載の方法。
(態様3)
エステル化セルロースエーテルを生成するための方法であって、
a)セルロースをアルカリ材料と反応させてアルカリセルロースを生成するステップと、
b)前記生成されたアルカリセルロースを1つ以上のエーテル化剤と反応させ、前記生成されたセルロースエーテルを洗浄して、少なくとも10重量パーセントの含水量を有する湿性セルロースエーテルを得るステップと、
c)前記湿性セルロースエーテルを脂肪族モノカルボン酸無水物及び/またはジカルボン酸無水物と、ならびに脱重合剤と反応させるステップと、を含む、方法。
(態様4)
前記脱重合剤が、酸素とは異なる酸化剤である、態様2または3に記載の方法。
(態様5)
前記脱重合剤が、アルカリ金属亜塩素酸塩、アルカリ金属塩素酸塩、アルカリ金属過塩素酸塩、アルカリ金属過ヨウ素酸塩、アルカリ金属次亜臭素酸塩、アルカリ金属次亜塩素酸塩、アルカリ金属次亜ヨウ素酸塩、過酸化アルカリ金属、及び過酸化水素からなる群から選択される、態様4に記載の方法。
(態様6)
前記脱重合剤が、塩素酸カリウムまたは塩素酸ナトリウムである、態様5に記載の方法。
(態様7)
前記セルロースエーテルが、20℃の2重量%水溶液として測定されたとき、少なくとも50mPa・sの粘度を有する、態様1〜6のいずれか一項に記載の方法。
(態様8)
前記セルロースエーテルが、20℃の2重量%水溶液として測定されたとき、少なくとも500mPa・sの粘度を有する、態様7に記載の方法。
(態様9)
最初に、前記湿性セルロースエーテル中の水を脂肪族モノカルボン酸無水物と反応させ、続いて、前記セルロースエーテルを、脂肪族モノカルボン酸無水物、ジカルボン酸無水物、またはこれらの組み合わせと反応させる、態様1〜8のいずれか一項に記載の方法。
(態様10)
前記湿性セルロースエーテルが、前記湿性セルロースエーテルの重量に基づいて、少なくとも20パーセントの含水量を有する、態様1〜9のいずれか一項に記載の方法。
(態様11)
前記セルロースエーテルが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、またはヒドロキシアルキルアルキルセルロースである、態様1〜10のいずれか一項に記載の方法。
(態様12)
前記脂肪族モノカルボン酸無水物が、無水酢酸、無水酪酸、及び無水プロピオン酸からなる群から選択され、前記ジカルボン酸無水物が、無水コハク酸、無水マレイン酸、及び無水フタル酸からなる群から選択される、態様1〜11のいずれか一項に記載の方法。
(態様13)
ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、無水コハク酸及び無水酢酸でエステル化されて酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを生成する、態様1〜12のいずれか一項に記載の方法。
(態様14)
前記湿性セルロースエーテルを脂肪族モノカルボン酸無水物と混合して、前記湿性セルロースエーテル中の水を前記脂肪族モノカルボン酸無水物と反応させ、続いて、ジカルボン酸無水物、エステル化触媒、脱重合剤、及び任意選択で追加量の脂肪族モノカルボン酸無水物を添加して、前記セルロースエーテルをエステル化し、部分的に脱重合する、態様1〜13のいずれか一項に記載の方法。
(態様15)
前記エステル化反応が、アルカリ金属カルボン酸塩の存在下で行われる、態様1〜14のいずれか一項に記載の方法。

Claims (7)

  1. 酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを生成するための方法であって、
    湿性ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量に基づいて、少なくとも10パーセントの含水量および20℃の2重量%水溶液として測定されたとき、少なくとも150mPa・sの粘度を有する前記湿性ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、無水酢酸及び無水コハク酸と反応させて、最初に前記湿性ヒドロキシプロピルメチルセルロース中の水を無水酢酸と反応させ、続いて前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを無水酢酸及び無水コハク酸と反応させる、方法。
  2. 前記湿性ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、前記無水酢酸及び無水コハク酸との反応と同時または順に脱重合剤と更に反応させられ、前記脱重合剤が、無機酸または酸素とは異なる酸化剤である、請求項1に記載の方法。
  3. 酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを生成するための方法であって、
    a)セルロースをアルカリ材料と反応させてアルカリセルロースを生成するステップと、
    b)前記生成されたアルカリセルロースをメチル化剤及びヒドロキシプロピル化剤と反応させ、前記生成されたヒドロキシプロピルメチルセルロースを洗浄して、少なくとも10重量パーセントの含水量および20℃の2重量%水溶液として測定されたとき、少なくとも150mPa・sの粘度を有する湿性ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得るステップと、
    c)前記湿性ヒドロキシプロピルメチルセルロース無水酢酸及び無水コハク酸と、ならびに無機酸及び酸素とは異なる酸化剤から選択される脱重合剤と反応させるステップであって、最初に前記湿性ヒドロキシプロピルメチルセルロース中の水を無水酢酸と反応させ続いて前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを無水酢酸及び無水コハク酸と、ならびに無機酸及び酸素とは異なる酸化剤から選択される脱重合剤と反応させるステップと、を含む、方法。
  4. 前記脱重合剤が、アルカリ金属亜塩素酸塩、アルカリ金属塩素酸塩、アルカリ金属過塩素酸塩、アルカリ金属過ヨウ素酸塩、アルカリ金属次亜臭素酸塩、アルカリ金属次亜塩素酸塩、アルカリ金属次亜ヨウ素酸塩、過酸化アルカリ金属、及び過酸化水素からなる群から選択される、請求項2または3に記載の方法。
  5. 前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、20℃の2重量%水溶液として測定されたとき、少なくとも50mPa・sの粘度を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記湿性ヒドロキシプロピルメチルセルロース無水酢酸と混合して、前記湿性ヒドロキシプロピルメチルセルロース中の水を前記無水酢酸と反応させ、続いて、無水コハク酸、エステル化触媒としてアルカリ金属カルボン酸塩、ならびに無機酸及び酸素とは異なる酸化剤から選択される脱重合剤を添加して、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースをエステル化し、部分的に脱重合する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記湿性ヒドロキシプロピルメチルセルロース無水酢酸と混合して、前記湿性ヒドロキシプロピルメチルセルロース中の水を前記無水酢酸と反応させ、順に
    無水コハク酸
    −エステル化触媒としてアルカリ金属カルボン酸塩、
    −無機酸及び酸素とは異なる酸化剤から選択される脱重合剤、及び
    −追加量の無水酢酸を添加して、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースをエステル化し、部分的に脱重合する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
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