本発明の第1の発明に係る照明装置は、実装基板と、実装基板の表面に実装される、異なる波長帯域で発光する複数の種類の発光部と、実装基板の表面であって、複数の種類の発光部のそれぞれの境界に設けられる複数の隔壁と、複数の隔壁同士の間に形成される複数の実装領域と、複数の実装領域のそれぞれにおいて、発光部を封止する複数の封止材と、を備え、複数の種類の発光部のそれぞれは、複数の実装領域のそれぞれに実装され、複数の種類の発光部は、全体で少なくとも360nm〜980nmの波長帯域を有し、複数の発光部のそれぞれは、実装領域に実装されると共にベアチップである複数の発光素子を含み、複数の封止材の少なくとも一つは、蛍光体を含有し、複数の発光部からの発光は、相互に混合されて単一面発光となり、実装基板は、略円形を有し、隔壁は、実装基板の表面側を長辺とする略三角形の断面形状を有し、隔壁の表面の少なくとも一部は、反射性を有し、実装基板の表面に隔壁と同じ方向に隔壁より高く突出する反射枠を備え、反射枠は、複数の発光部の外周に設けられると共に反射性の表面処理がなされており、複数の発光部のそれぞれが含む複数の発光素子のそれぞれは、少なくとも360nm〜980nmの波長帯域を順番に分割した分割帯域において発光し、分割帯域のそれぞれは、少なくとも360nm〜980nmを、9分割した波長を有する。
この構成により、照明装置は、太陽光の可視波長域に近似する帯域をカバーしつつ、それぞれを分割した分割帯域を混合した単一の照射光を照射できる。加えて、蛍光体を含有する封止材が発光素子に接触することで、発光素子の固有波長を変化させることができる。さらには、発光素子の発光面での発熱が封止体を通じて放出されやすくなる。
この構成により、発光部からの光が相互に反射して、隣接する発光部からの光との重複がより実現される。
この構成により、照明装置全体で、複数の発光部からの光を集約して、指向性を持たせた照射光を照射できる。加えて、反射枠の反射性により、複数の発光部からの光を集光させたり拡散させたりすることができる。
この構成により、照明装置が照射する照射光は、9分割された分割帯域を含んで混合された光である。
本発明の第2の発明に係る照明装置では、第1の発明に加えて、実装基板および複数の隔壁の少なくとも一部は、熱伝導率が、100(W/m*K)〜430(W/m*K)である素材で形成される。
この構成により、複数の発光部のそれぞれの隣接距離を狭めることができる。この結果、複数の発光部の有するそれぞれの分割帯域の波長に基づく光を、混合して積算した状態とした照射光を、照明装置は、照射できる。
本発明の第3の発明に係る照明装置では、第2の発明に加えて、実装基板および複数の隔壁の少なくとも一部は、金属および合金の少なくとも一つで形成されている。
この構成により、実装基板は、発光部による熱を排出しやすくなる。この結果、複数の発光部のそれぞれの隣接距離を狭めることができる。
本発明の第4の発明に係る照明装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、複数の隔壁のそれぞれは、実装基板の表面において、所定方向に沿って、相互に略平行に設けられ、複数の実装領域は、実装基板の表面において、縞状に形成される。
この構成により、照明装置は、異なる分割帯域に対応した複数の発光部が、容易に形成される。加えて、複数の発光部の光を重複させて積算させやすい。
本発明の第5の発明に係る照明装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、複数の隔壁のそれぞれは、実装基板の表面において、格子状に設けられ、複数の実装領域は、実装基板の表面において格子状に形成される。
この構成により、照明装置は、より細かく分割帯域を分けてコンポジットした照射光を照射できる。
本発明の第6の発明に係る照明装置では、第1から5の発明のいずれかに加えて、反射枠は、実装基板の表面側を長辺とする略台形もしくは略三角形の断面形状を有する。
この構成により、反射枠は、複数の発光部からの光を集光させたり拡散させたりすることができる。
本発明の第7の発明に係る照明装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、封止材は、シリコン樹脂で形成される。
この構成により、封止材は、ベアチップである発光素子を保護することができる。
本発明の第8の発明に係る照明装置では、第7の発明に加えて、複数の封止材の少なくとも一つは、粉末状の蛍光体を含有し、蛍光体は、発光素子の有する固有波長を変化させることが可能である。
この構成により、封止材が蛍光体を含むことで、封止材は、ベアチップである発光素子を保護すると共に、含有する蛍光体によって発光素子の固有波長を変化させた上で、発光部のそれぞれからの光を照射できる。
本発明の第9の発明に係る照明装置では、第7又は8の発明に加えて、複数の発光部において、発光素子の有する固有波長を変化させる必要がある場合には、封止材は、発光素子の有する固有波長を変化させる蛍光体を含有し、複数の発光部において、発光素子の有する固有波長を変化させる必要がない場合には、封止材は、蛍光体を含有しないかもしくは発光素子の有する固有波長を変化させない蛍光体を含有する。
この構成により、複数の発光部によって、実装される発光素子の固有波長をそのまま使って光を照射する場合と、実装される発光素子の固有波長を変化させて光を照射する場合とに、封止材は対応できる。このとき、蛍光体が封止材に含まれていることで、様々なバリエーションに対応が可能である。
本発明の第10の発明に係る照明装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、複数の発光部のそれぞれの発光レベルを、個別に制御可能な発光レベル制御部を更に備える。
この構成により、植物の特性に合わせた帯域毎での発光レベルの差異を有する照射光を照射できる。結果として、照明装置は、植物工場などで最適に利用できる。
本発明の第8の発明に係る照明装置では、第10の発明に加えて、発光レベル制御部は、発光部が照射する照射対象物の種類、特性、照射時間帯によって、複数の発光部のそれぞれの発光レベルを制御する。
この構成により、植物等の育成を好適に行える。
本発明の第12の発明に係る照明装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、実装基板の裏面は、実装領域に沿って冷媒を循環させる冷媒循環路を更に備える。
この構成により、複数の発光部の隣接距離をより狭めることができる。
本発明の第13の発明に係る照明装置では、第12の発明に加えて、冷媒循環路は実装基板の外部に延伸し、循環した冷媒を冷却する冷却部を更に備える。
この構成により、発光部の距離が狭まり、さらには複数の発光部のそれぞれからの光が重複して積算された単一の光となる。
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
(参考技術における照明装置の問題点1)
まず、参考技術における照明装置の問題点を説明する。植物工場においては、擬似的な人工太陽としての照明装置が用いられる。このような照明装置は、人工太陽としての機能を発揮するために、強い光源を用いて高い輝度を照射することを必要とする。この光源として、例えばLEDのような発光素子が用いられたり、電球が用いられたりする。
図1は、参考技術における人工太陽を想定した照明装置の基板正面図である。照明装置100は、実装基板101を備えており、実装基板101は、複数の発光素子102を実装している。この実装されている複数の発光素子102のそれぞれが光を照射することで、照明装置100全体で高い輝度をもった照射を行うことができる。
個々の発光素子102の照射光だけでは照明装置100全体の輝度として不足するので、実装基板101における複数の列のそれぞれに、複数の発光素子102が実装される。それぞれの列に実装された複数の発光素子102が発光すると、列毎に並んだ発光素子102からの発光が、照明装置100から照射される。
ここで、照明装置100が全体として十分な輝度をもった光を照射するためには、個々の発光素子102の発光輝度を高める必要がある。発光素子102の発光輝度を高めるためには、発光素子102に付与される電力を高くする必要がある。電力を高くすれば、発光素子102のそれぞれの発光輝度は大きくなる。
しかしながら、発光素子102に付与される電力が大きくなれば、発光素子102の発熱量が大きくなる。発光素子102は、実装基板101に実装される実装面においても、光を照射する発光面においても熱を生じさせる。この熱による発熱量が大きくなってしまう。発熱量が大きくなれば、隣接して実装される発光素子102同士で悪影響を及ぼしあってしまう。悪影響によっては、実装基板101が損傷したり、発光素子102が故障したりすることもある。
このように、植物工場などで擬似的な人工太陽として照明装置100を用いる場合には、十分な輝度を確保するために発光素子102への電力が大きくなって発熱量が大きくなる。この発熱量による悪影響を防止するために、実装基板101において、図1のように、隣接する発光素子102同士の間隔を大きくあけて実装せざるを得ない。
このように隣接する発光素子102同士の間隔を大きくあけて実装する場合には、隣接する発光素子102の光同士が重複しなくなり、発光素子102のそれぞれから照射される光の積算効果が弱くなる。この点でまず照明装置100全体での輝度が十分とならない。
加えて、重複しないことで、列毎に実装された発光素子102からの照射される光が、それぞれ分離した状態で、照射対象に向かってしまう。植物工場で用いられる擬似的な人工太陽としての照明装置は、太陽光の波長域をカバーした光を照射することが求められる。このため、列毎に実装された発光素子102が、この太陽光の波長域をカバーした波長のそれぞれを有していても、光同士が重複しないので、太陽光の波長域をカバーしたコンポジットされた光を、照明装置100が照射できない状態である。
図2は、図1の参考技術における照明装置が照射する光を示した写真である。図2に示されるように、複数の列のそれぞれに実装された発光素子102からの光が、重複していない。重複しないことで、上述のように、(1)光の積分効果が悪く、照明装置1全体での輝度が十分でない、(2)光が分散してしまい、太陽光の波長域をカバーした一つのまとまった光の照射ができない、との問題を生じている。すなわち、それぞれの発光素子からの光が重複した単一光となっていない。
このような問題を有している照明装置100では、植物工場において、植物の育成に必要不可欠な擬似的な人工太陽の役割を果すことができない。
(参考技術における問題点2)
また、図1に示されるような参考技術における照明装置での問題点として、植物の育成に最適化されていない問題がある。植物工場においては、照明装置が擬似的な人工太陽の役割を果すことが求められる。人工太陽であるので、上述した通り、照明装置には、太陽光の波長域に渡るコンポジットされた照明光が求められる。更に、近年の研究において、育成対象の植物の種類や育成段階に応じて、太陽光の波長域全体において、これを分割した分割帯域毎における発光レベルが、様々に異なることが、成長促進に効果的であることが分かってきた。また、この分割帯域毎の発光レベルの違いは、一日の時間帯においても、様々に変化させることが好ましいこともわかってきた。
参考技術や従来技術における照明装置は、問題点1で記載した問題のみならず、このような成長促進に対応できない問題も有している。
図3は、太陽光の有する可視波長帯域を示すスペクトルである。太陽光の可視波長域は、360nm〜980nmの範囲である。もちろん、太陽光の可視波長域については、紫外や赤外部分をどこまで含むと考えるかによって異なるが、一般的な一例として、この360nm〜980nmの範囲と考えられている。
この可視波長域を、いくつかの帯域に分割すると、複数の分割帯域が得られる。この複数の分割帯域のそれぞれは、波長によって特性のある色味を有している。光の色味は、波長によって定まるからである。この分割帯域のそれぞれが有する色味の光における他の光との発光レベルの違いや、時間帯によって変化する発光レベルによって植物の成長が異なる。
このため、図3に示される太陽光の可視波長域をいくつかの分割帯域に分割した上で、それぞれの分割帯域の発光レベルを同時並行的(個別)に制御できることが好適である。このとき、ある分割帯域での発光レベルを、他の分割帯域の発光レベルと変えることもありえる。あるいは時間によって、分割帯域毎の発光レベルを変えることもありえる。
図4は、分割帯域毎の発光レベルの時間的変化を示すイメージ図である。
図4は、例えば、擬似的な人工太陽によって植物を育成する場合には、自然界での時間経過に対応した分割帯域毎での発光レベルの変化が適切である。図4に示されるように、朝焼け、午前、正午、午後、夕焼けなどの時間帯によって、分割帯域のそれぞれの発光レベルには、違いがある。自然界で育成される植物は、この発光レベルの変化に対応して成長する。このため、人工太陽として用いられる照明装置も、このような時間に応じた発光レベルの変化を生じさせることが求められる。
(全体概要)
実施の形態1における照明装置の全体概要を説明する。図5は、本発明の実施の形態1における照明装置の正面図である。照明装置1を上から見た状態を、図5は、示している。照明装置1は、実装基板2、発光部5、隔壁3、実装領域4、発光素子51を備えている。更に、照明装置1は、各実装領域4の少なくともひとつにおいて、発光素子51に接触する封止材7を備えている。
ここで、発光素子51は、LEDなどの電子素子が用いられればよい。加えて、発光素子51は、ベアチップの状態で、実装領域4において実装される。ベアチップの状態で実装されることで、実装体積を削減できる上、発光特性をそのままで発光することができるからである。
封止材7は、このベアチップの状態で実装されている発光素子51を封止する。図6は、この発光素子51に接触してその上部に封止材7が設けられている状態を示している。すなわち、封止材7は、ベアチップ状態で実装されている発光素子51を封止している。図6は、本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。図6は、図5を側面から見た状態である。
また、この複数の封止材7の少なくとも一つは、蛍光体71を含有している。封止材7は、複数の実装領域4の少なくとも一つに設けられる。封止材7は、種々の素材が用いられればよいが、一例として、シリコン樹脂などの樹脂が用いられる。この樹脂が実装領域4において、発光素子51の上から流し込まれることで、封止材7が、発光素子51を封止するように形成される。
加えて、複数の実装領域4のそれぞれは、隔壁3によって仕切られている(なお、場合によっては隔壁3によって仕切られていない隣接する実装領域4があってもよい)。この隔壁3は、後述するように発光素子51の発光面での熱を、隣接する実装領域4(すなわち発光部5)に伝えにくくする。加えて、この封止材が流し込まれる際のせき止めの役割も果たし、樹脂等で流し込まれて固化されて形成される封止材7は、この隔壁3の間ごとに形成される。この結果、複数の実装領域4毎に封止材7が形成される。
このようにして、封止材7は、実装領域4毎に形成される発光部5が含む発光素子51を封止できる。
実施の形態1における照明装置1は、実装基板2の表面に設けられる複数の隔壁3で仕切られる複数の実装領域4のそれぞれに、発光部5がもうけられる。この複数の発光部5のそれぞれは、単数または複数の発光素子51を実装している。封止材7は、複数の実装領域4の少なくとも一つに設けられる。この封止材7は、複数の実装領域4のそれぞれにおいて、発光素子51を封止する。
また、この複数の実装領域4(発光部5)の少なくともひとつに設けられる複数の封止材4の少なくとも一つは、蛍光体71を含有している。例えば、シリコン樹脂などの樹脂で封止材7が形成される場合に、樹脂がジェル状の状態で、粉末の蛍光体が含有される。均一になるように攪拌されると、蛍光体71を均一に含有した封止材7が、実装領域4のそれぞれで形成される。
この蛍光体71は、発光素子51の固有の波長を変化させる。このため、発光素子51の固有の波長を変化させる必要のない発光部5においては、封止材7は、蛍光体71を含有しない。あるいは波長を変化させない蛍光体71を含有する。あるいは、場合によっては、この発光部5においては、封止材7が設けられないこともありえる。これは、発光素子51の保護の観点から選択されればよい。
このため、複数の実装領域4に合わせて形成される複数の封止材7のそれぞれは、蛍光体71を含む場合には、蛍光体71に合わせた色味を有し、蛍光体71を含まない場合には、発光素子51の固有の色味を有する。
この蛍光体71を含む封止材7が設けられることで、発光素子51の本来的に有する特性に応じた波長が、この蛍光体71によって変化させられることができる。この結果、複数の隔壁3によって分割された複数の発光部5のそれぞれは、太陽光の波長帯域を分割したそれぞれの分割帯域で発光することができる。
加えて、封止材7は、発光部5が備える発光素子51の発光面での発熱を受け取って、外部に放出できる。さらには、隔壁3によって、隣接する発光部5のそれぞれが発する熱が、隣接する発光部5に届きにくい。この結果、隣接する発光部5同士の距離を狭めることができるようになる。これにより、参考技術で説明した問題を解決できる。特に、図2で説明したように、分割された分割帯域のそれぞれでの発光を行う発光部の光が分離して照射することはなくなる。結果として、単一光としての単一面発光を、照明装置1は、実現できる。
このように、封止材7は、次の3つの役割を有することができる。
(役割1)ベアチップである発光素子51を保護できる。特に、隔壁3を側面としつつ発光素子51を封じるように投入されることで、封止材7は、発光素子51を、確実に保護できる。
(役割2)発光素子51の固有の波長を変化させる必要がある場合には、封止材7が蛍光体71を含むことで、発光素子51の固有の波長を変化させて、発光部5は、光を照射できる。
(役割3)封止材7が、発光素子51の発光面での熱を、隔壁等に伝えやすくなる点で、間接的に外部に放出できる役割を行える。また、隔壁3と相まってある発光部5での熱が隣接する発光部5に伝達されにくくなる。
以上の構成を有することで、実施の形態1における照明装置1は、複数に分割された複数の発光部5のそれぞれが、隣接する発光部5の熱の影響を受けにくくなり、複数の発光部5同士の距離を近接させることができる。結果として、照明装置1は、複数の発光部5によって波長を分けていながら、それぞれの発光部5からの光を重複させて単一光のようにして照射できる。
また、封止材7によって、発光部5のそれぞれに実装されるベアチップである発光素子51のそれぞれが保護できる。特に、隔壁3の間において(隔壁3の間が、複数の発光部5のそれぞれとなる)、封止材7が充填されるように設けられることで、発光素子51が確実に保護される。
さらには、封止材7が蛍光体71を含むことで、発光素子51の固有波長を変化させる必要がある場合(例えば、所望の波長で発行する発光素子51が存在しないあるいは入手に不便がある場合など)には、発光素子51の固有波長が所望の波長に変化される。この結果、複数の発光部5のそれぞれは、所望の波長において発光して、光を照射できる。
これらのようにして、確実に照明装置1は、擬似的な太陽光の波長での単一光を照射できる。
(構成の工程)
実装基板2は、照明装置1の電気的基板となるものであり、発光部5(発光素子51)やこれに必要となる配線などを、実装する基板である。いわゆるプリント基板であったり、金属製の基板であったりすればよい。
実装基板2には、列状となった複数の発光部5が設けられる。複数の発光部5のそれぞれは、異なる波長帯域で発光する。例えば、発光部5Aと発光部5Bとは、異なる波長帯域の光を照射する。なお、発光部5を示すために囲っている破線は、発光部5を示すための便宜上のものであり、照明装置1を構成する要素を示すものではない。
図5では、照明装置1は、8列の発光部5を有している。照明装置1は、この8列の発光部5全体で、ある波長帯域の光を照射する。一例として、照明装置1は、植物工場における人工太陽として用いられることが想定されているので、複数の発光部5全体で、少なくとも360nm〜980nmの波長帯域を有することが好適である。
複数の隔壁3は、実装基板2の表面に設けられる。このとき、複数の隔壁3のそれぞれは、複数の発光部5のそれぞれの境界に設けられる。言い換えれば、複数の発光部5のそれぞれは、複数の隔壁3のそれぞれによって、分割されて設けられることになる。
複数の隔壁3によって、複数の隔壁3同士の間に、複数の実装領域4が形成される。この複数の実装領域4のそれぞれに、発光部5が設けられ、発光部5に必要となる発光素子51であるLEDなどと電子素子などが実装される。すなわち、複数の実装領域4と複数の発光部5のそれぞれとは、対応する関係となる。
発光部5は、その発光部5が照射する光に対応する発光素子51を含んでいる。特に、複数の発光部5のそれぞれは、高い輝度を生じさせることが求められるので、複数の発光素子51を備えることが好適である。一つの発光部5が複数の発光素子51を備えることで、発光部5による照射光の輝度が高くなる。
また、発光部5においては、図5などでは1列の発光素子51が実装されているが、1列ではなく複数列の発光素子51が実装されていても良い。
図6も含めて詳細を説明する。照明装置1は、図5で示したのと同様に、実装基板2の表面に、複数の隔壁3が設けられている。複数の隔壁3によって、複数の実装領域4が設けられる。図6では、図5に合わせて、8個の実装領域4が設けられている。複数の実装領域4のそれぞれに、複数の発光素子51が実装されることで、複数の実装領域4の数に対応した複数の発光部5が設けられる。
図6に示される矢印は、発光部5(発光素子51)のそれぞれから照射される光を示している。これらの矢印に示されるように、複数の発光部5のそれぞれから照射される光が重複するようになる。この重複により、複数の発光部5のそれぞれから発光される光同士が積算される。
このとき、上述したように、発光素子51に接触するように、複数の実装領域4の少なくとも一部に封止材7が設けられる。図5、図6では、複数の実装領域4の全てに封止材7が設けられているが、一部のみに設けられても良い。
複数の発光部5のそれぞれは、実装されている発光素子51の固有波長を変化させることが必要なものと、発光素子51の固有波長を変化させる必要がないものとを有している。発光素子51の固有波長を変化させる必要がない発光部5に対応する実装領域4には、封止材7が設けられなくてもよいが、これは発光素子51の保護の観点から決められればよい。
あるいは、発光素子51の固有波長を変化させる必要がない発光部5に対応する実装領域4には、蛍光体71を含まないあるいは波長変化機能を有さない蛍光体71を含む封止材7が設けられても良い。この場合でも、発光素子51の固有波長を変化させない目的は達せられるからである。
逆に、複数の発光部5の内で、発光素子51の固有波長を変化させる必要のある実装領域4においては、波長を変化させることのできる蛍光体71を含んだ封止材7が設けられる。
(積算効果の実現)
複数の発光部5のそれぞれが備える複数の発光素子51は、発光に際して発熱を生じさせる。発光素子51は、実装面と発光面の両方において発熱を生じさせる。例えば、発光素子51にLEDが用いられる場合には、このように実装面および発光面の両方において熱を生じさせる。発光素子51は、高い輝度を実現しようとすると、当然にこの発熱を大きくしてしまう。一方で、当然ながら、照明装置1は、人工太陽としての利用が想定されているので、個々の発光素子51には高い輝度を生じさせることが求められる。
従来技術では、この発熱の問題があり、複数の発光部5の隣接間距離が広がってしまっていた。しかし、実施の形態1の照明装置1は、複数の発光部5のそれぞれの間に隔壁3を設けている。この隔壁3によって、発光部5からの熱が、隣接する発光部5に影響を与えにくくなっている。この結果、隣接する発光部5同士の距離を狭めることができる。このように距離を狭めることができるので、隣接する発光部5からの光同士が重複しやすくなり積算される。
また、実装基板2および隔壁3の少なくとも一部が、金属および合金などの熱伝導率が高い素材で形成される。熱伝導率の一例として、100(W/m*K)〜430(W/m*K)である素材であることが好ましい。
このように熱伝導性の高い素材で、実装基板2および隔壁3の少なくとも一部が形成されることで、発光素子51の実装面で生じる発熱も排出されやすくなる。このため、更に隣接する発光部5同士の距離を更に狭くすることができる。このように、隔壁3が設けられることおよび熱伝導性の高い素材であることによって、隣接する発光部5同士の距離を狭めることができる。
加えて、図5、図6に示されるように、複数の実装領域4において、発光素子51は、ベアチップである。ベアチップであることで、発光素子51がパッケージングされている場合に比べて、発光素子51の発光面での発熱が、パッケージの内部に溜まりやすくなることが低減される。
これに加えて、封止材7がベアチップである発光素子51のパッケージのようにして、発光素子51を封止する。
封止材7が発光素子51を封止することで、封止材7は、発光素子51の発光面に生じる発熱を外部に放出できる。封止材7は、樹脂などの素材で形成されるので、発光素子51の熱を受け取り、隔壁などへの伝道を介して外部に伝えることができうる。この外界への熱の放出により、発光素子51の熱は、実装面だけでなく発光面においても、十分に放出できる。このとき、封止材7が、蛍光体71を含有する場合には、この蛍光体71の性質によって、発光素子51の熱が外部に放出されやすくなることもある。
これらの封止材7や蛍光体71の効果も相まって、隔壁3の形成と共に、複数に並んだ発光部5同士の熱の相互影響を低減できる。結果として、複数の発光部5同士の距離を近接させることができるようになり、複数の発光部5からの光の重複および積算が行われやすくなる。
複数の発光部5のそれぞれは、太陽光を模した波長帯域を適当な間隔で分割した分割帯域を有しており、この分割帯域に対応した光のそれぞれが、重複できるようになる。
このように、隣接する発光部5同士の距離が狭くなることで、図6の矢印で示される複数の発光部5のそれぞれからの光が重複しやすくなる。重複すれば、積算されて、照明装置1は、複数の発光部5のそれぞれからの光を積算して、照射できる。このとき、複数の発光部5のそれぞれは、異なる波長帯域を有している。この異なる波長帯域に基づく、複数の発光部5のそれぞれからの光が重複することで、まさしく、太陽のように波長帯域を有する積算された光を、照明装置1は、照射することができる。
図7は、本発明の実施の形態1における照明装置による照射光を示すイメージ図である。図5〜6で説明したような実施の形態1における照明装置1の構造によって、上述の通り、隣接する発光部5からの光が積算される。照射光10は、このように積算された状態を示している。この積算状態によって、360nm〜980nmの波長帯域(太陽の可視波長帯域に近似する)の全体に渡る波長を有しつつ、積算された一つの範囲となる照射光10が実現される。
この照射光10は、擬似的な人工太陽としての光となる。この結果、実施の形態1における照明装置1は、植物工場で好適に用いられる人工太陽としての利用ができる。
特に、複数の発光部5のそれぞれは、太陽光の可視波長帯域を複数に分割した分割帯域のそれぞれを有している。例えば、太陽光の可視波長帯域を360nm〜980nmであるとすると、図5,6で示される照明装置1は、この可視波長帯域を8分割した分割帯域のそれぞれを、複数の発光部5のそれぞれが有している。もちろん、等分に分割された分割帯域である必要はなく、使用される発光素子51の特性に応じたり、植物工場での適正に応じたりして、複数の分割帯域のそれぞれの具体的な波長が決定されれば良い。
照明装置1は、複数の発光部5が、この分割されて連続する(完全連続であってもよいし、隣接する発光部5で部分的に波長が重複してもよい)分割帯域を有する上で、図7のように積算された一つの光を照射できる。いわゆる、太陽光を模擬した状態の光を照射できる。
次に、各部の詳細について説明する。
(実装基板)
実装基板2は、発光部5を実装する。発光部5は、発光素子51やこれに必要な電子素子、電子配線などを含むこともあり、実装基板2は、このような発光素子51、電子素子、電子配線などの様々な電気的要素を実装できる。また、実装基板2は、隔壁3、反射枠6などの機構的部材も、合わせて実装できる。
実装基板2は、発光素子51などに必要な電力、電気信号、制御信号を供給する配線も含んでおり、図5,6などには示されていないが、これらの電力源や制御信号などを発生させる全体的な制御部などと、接続される。また、発光部5を備える表面は、照明装置1としての照射光を発する面となる。
以上のように、実装基板2は、照明装置1の主たる要素となる。
実装基板2は、図5、6に示すような略円形であってもよいし、略楕円形、方形および多角形のいずれの形状を有していてもよい。また、円弧や直線部分の入り混じった不定形であってもよい。図8は、本発明の実施の形態1における照明装置の正面図である。図8に示される照明装置1においては、実装基板2は、方形である。
また、実装基板2が方形である場合でも、複数の実装領域4のそれぞれにおいて、発光素子51に接触するように設けられる。図8では、全ての実装領域4に封止材7が設けられているが、一部の実装領域4にのみ封止材7が設けられても良い。
方形を有する実装基板2の場合には、複数の隔壁3のそれぞれも、この方形にあわせた形状を有する。この結果、発光部5が備える発光素子51も方形にあわせた配置となる。
実装基板2は、このように、様々な形状を有して、照明装置1のバリエーションを高めることができる。
(隔壁)
隔壁3は、実装基板2の表面に設けられて、複数の実装領域4を形成する。また、この複数の実装領域4のそれぞれに発光部5が実装されるので、複数の隔壁3が、複数であって異なる分割帯域で発光する複数の発光部5を、並べることができる。
複数の隔壁3のそれぞれは、実装基板2の表面において、所定方向に沿って略平行に設けられることが適当である。図8の場合でも、所定方向に沿って、複数の隔壁3が実装されている。このため、複数の隔壁3は、実装基板2において、縞状に形成される。縞状に設けられることで、それぞれの縞状となった部分が複数の実装領域4となる。この結果、実装基板2の表面が略平行に分割されて、それぞれの発光部5が分割帯域での光を照射できる。
後述するが、複数の発光部5のそれぞれは、その発光レベルを個別に制御される。この制御によって、分割帯域のいずれの発光レベルが高く、いずれの発光レベルが低くできるようになる。このような分割帯域毎での発光レベルの制御の結果、照射される照射光が含む波長において、分割帯域に対応する波長ごとでの発光レベルを異ならせることができる。
あるいは、複数の隔壁3は、実装基板2の表面において格子状に形成されても良い。この場合には、発光部5が実装される複数の実装領域4も格子状に形成される。格子状であることで、より細かな発光レベルの制御が可能となる。
隔壁3が設けられることで、発光部5(発光素子51)の発光面や実装面に生じる熱を、隣接する発光部5(実装領域4)に伝えにくくできる。照明装置1は、人工太陽として用いられることが想定されるので、発光素子51には、強い電力が付与されて高い輝度で発光することが求められる。このような高い輝度で発光する場合には、発光素子51は、高い熱を生じさせる。この熱が隣接する発光素子51(発光部5)に伝導されると、故障などの影響が出る。影響を防止しようとすると、発光部5の隣接距離を開ける必要があり、こうなると、図2のような照射光となってしまう。
隔壁3は、発光素子51の発光面および実装面での発熱の、隣接する発光部5への伝導を低減できる。この低減によって、複数の発光部5のそれぞれは、近接して配置できる。このように近接して配置できることで、図7に示されるような集中した積算された照射光を、照明装置1は、照射できる。
隔壁3は、まずこのような作用をもたらす。
また、複数の隔壁3のそれぞれは、実装基板2の表面側を長辺とする略台形もしくは略三角形の断面形状を有することも好適である。図6においては、複数の隔壁3のそれぞれは、台形状を有している。台形状を有することで、実装領域4に実装される発光素子51からの光が、隣接する発光部5からの光に積算されやすくなる。図6の矢印のように、台形の隔壁3に沿うように、ある発光部5からの光が隣接する領域に照射される。別の発光部5においても、同様の現象が生じる。
このような矢印で模式される光が隣接する発光部5からの光に重なることで、複数の発光部5からの光は、相互に積算されるようになる。積算されれば、照明装置1全体で一つにまとまった光としての照射光を照射できるようになる。このように、隔壁3が台形(あるいは三角形)を有していることで、隣接する発光部5からの光が積算されやすくなる。
また、隔壁3の表面の少なくとも一部が、反射性を有することも好適である。発光部5からの光は、隔壁3に衝突するものもある。このような隔壁に衝突する光は、この反射性を有する隔壁3で反射する。この反射によって、ある発光部5からの光は、更に隣接する発光部5からの光に積算される。このようにして、隣接する発光部5からの光の一部同士が重複することで、照明装置1全体として積算された照射光が照射されるようになる。
隔壁3は、このように、隣接する発光部5の熱の伝導を防止するだけでなく、発光部5からの光を重複させる作用も行える。
(実装領域)
実装領域4は、複数の隔壁3によって形成される、発光部5を実際に実装できる領域である。図8などに示されるように、複数の隔壁3によって、複数の実装領域4が形成される。この実装領域4のそれぞれに、形状に応じて単数又は複数の発光素子51が実装されることで、複数の発光部5が形成される。
実装領域4は、複数の隔壁3の個数によってその数が定まる。図8では、8個の実装領域4に分割されている。この8個の実装領域4のそれぞれに発光部5が実装される。複数の発光部5は、太陽光の可視波長帯域(物理的に厳密な可視波長帯域ではなく、照明装置1として必要となる波長帯域)を分割した分割帯域での光を照射する。すなわち、実装領域4の数は、分割帯域の数を決定する。
このように、実装領域4が複数に設けられることで、照明装置1は、複数の分割帯域での光を照射できるようになる。この複数の分割帯域のそれぞれの発光レベルが制御されることで、植物の育成に最適な照射光を、照明装置1は、実現できる。
(発光部)
発光部5は、実装領域4に実装される。発光部5は、実装領域4の数に応じた数を有しており、それぞれは、分割帯域に応じた波長での光を照射する。ここで、太陽光の可視波長帯域に合わせて、複数の発光部5は、少なくとも360nm〜980nmの波長帯域を順々に分割した分割帯域を有する。
発光部5は、単数又は複数の発光素子51を備える。発光素子51は、例えばLEDが用いられる。この発光素子51の特性により、上述の分割帯域の波長に合わせた光を、複数の発光部5のそれぞれは、照射できる。図8では、分割帯域は、360nm〜980nmの帯域を8分割して得られる。
ここで、複数の発光部5のそれぞれは、備える発光素子51の波長特性のみで分割帯域に対応する波長の光を実現してもよい。あるいは、発光素子51に離隔して設けられる封止材7によって、分割帯域に対応する波長の光を実現してもよい。
図6では、発光素子51と接触した位置に、封止材7が設けられている。この封止材7は、封止材7が蛍光体71を含有する場合には、発光素子51から照射される光の波長を変化させる。すなわち、色味を変える。
蛍光体71を含有する封止材7によって、発光素子51のみでは目標とする波長が実現できない場合でも、封止材7を介して、発光部5は、目標とする波長が実現できる。この波長が、分割帯域に対応する。ここで、図6に示される8分割された複数の発光部5の全てが、封止材7によって、分割帯域に対応する波長を実現されなければならないわけではない。
例えば、発光素子51によって、必要となる分割帯域に対応する波長を実現できる場合には、封止材7による波長変換は不要である。この場合には、この波長変換が不要な発光部5に対向する封止材7は、波長変換機能を有さないものであればよい。例えば、封止材7が蛍光体71を含有しないかもしくは波長変換機能を有さない蛍光体71を含有していればよい。
あるいは、必要となる分割帯域に対応する波長を、発光素子51そのものによって実現できる場合には、封止材7は、実装されなくてもよい。あるいは封止材7は、上述のように蛍光体71を含まなかったり、波長変換機能を有さない蛍光体71のみを含んだりしている。
図6では、複数の発光部5の全てに対向する全面に封止材7が設けられている。これは、製造上の容易性を優先したものである。このとき、封止材7も、複数の発光部5のそれぞれに対向する位置ごとに分割されている。この分割されているそれぞれにおいて、波長変換の必要な部分とそうではない部分とに分けて、封止材7全体が構成されればよい。
このように、封止材7が設けられることで、発光素子51だけでは分割帯域に相当する波長を実現できない発光部5の光を、目標とする波長に合わせることができる。
以上のように、封止材7も用いられることで、複数の発光部5のそれぞれは、分割帯域に相当する波長での光の照射を実現できる。
(反射枠)
また、図6、図8などに示されるように、実装基板2の隔壁3と同じ方向に突出する反射枠6が設けられることも好適である。反射枠6は、複数の発光部5の外周に沿って設けられることがよい。
反射枠6は、反射枠6に接する発光部5からの光を反射させることで、照明装置1からの光をより集約して積算することができる。加えて、照明装置1全体としての光の積算効果を更に高めることもできる。例えば、照明装置1が人工太陽として植物工場で用いられる際に、反射枠6が、照射したい植物をより集中的に照射できるように照射光を集約させることができる。
また、反射枠6は、隔壁3と同様に傾斜を有していることも好適である。このときの傾斜は、実装基板2に覆いかぶさる傾斜であれば、発光部5からの光が収束して照射されやすくなる。逆に、実装基板2を基準に外部に広がるような傾斜であれば、発光部5からの光が拡散するように照射されやすくなる。このように、反射枠6も、傾斜を有していることも好適である。このとき、反射枠6は、略台形、略三角形、カーブを有する形状、テーパー部を有する形状などで、傾斜を有するようになればよい。
なお、反射枠6の表面は、反射率が高くなるように表面処理されたり、反射率の高い素材で表面処理されたりすることも好適である。このような処理がなされることで、反射枠6は、発光部5からの光を、周辺に設けられた反射枠で反射させながら、強い照射光を発することができる。
(発光部からの発光レベルの制御)
図9は、本発明の実施の形態1における照明装置のブロック図である。隔壁3などの説明した要素については、符号を省略している。
図9に示される照明装置1では、複数の発光部5のそれぞれでの発光レベルを、個別に制御可能な発光レベル制御部11を備えている。発光レベル制御部11は、複数の発光部5のそれぞれを、同時並行的にかつ個別に制御できる。このとき、発光レベル制御部11は、発光部5が照射する照射対象物の種類、特性、照射時間帯によって、発光部5の発光レベルを制御する。
すなわち、照明装置1が、植物工場の人工太陽として使用される場合に、育成対象となる植物の特性に応じて、発光部5の発光レベルを制御できる。こうすることで、例えば、図4に示されるように、時間帯によって分割帯域毎の発光レベルを異ならせることができる。
図9では、実装基板2は、8つの発光部5に分割されている。もちろん、この分割数は一例に過ぎない。すなわち、発光部5A〜5Hが、照明装置1には備わっている。
発光レベル制御部11は、発光部5A〜5Hのそれぞれを個別に制御できる。特に、発光部5A〜5Hのそれぞれに付与される電力(電流、電圧)を制御することで、発光レベル制御部11は、発光部5A〜5Hのそれぞれでの発光レベルを変化させることができる。
例えば、一つの発光部5Aに着目すれば、照射対象物の種類、特性、照射時間帯によって、その発光部5Aの発光レベル(輝度)を、変化させることできる。あるいは、複数の発光部5A〜5Hの全体に着目すれば、照射対象物の種類、特性、照射時間帯によって、発光部5A〜5Hのそれぞれでの発光レベルを異ならせることもできる。前者と後者の組み合わせの結果、図4に示されるような時間帯によって、分割帯域による波長での発光レベルが異なる照射光を、照明装置1全体として、照射できる。
このように、照明装置1としては、積算されて集約された一つの照射光であるが、その照射光に含まれる分割帯域での波長のそれぞれでの光の発光レベル(輝度やエネルギー)が、異なるようになる。このように異なることで、育成対象の植物への照射が適切になる。
以上のように、発光レベル制御部11は、ある時刻において、複数の発光部5A〜5Hのそれぞれでの発光レベルに差をつけて異ならせることができる。あるいは、一つの発光部5Aに着目すると、時間によって、その発光レベルを変化させることができる。さらには、これらを組み合わせることで、時間帯によって、複数の発光部5A〜5Hのそれぞれでの発光レベルに差分がある状態を作り出すことができ、さらにはその差分も時間に合わせて変化させることができる。
このように、照明装置1は、分割帯域のそれぞれの光を発光する発光部5からの光を重複および積算させるだけでなく、一つの光となった照射光に含まれる分割帯域のそれぞれでの発光レベルを、様々かつフレキシブルに制御できる。例えば、育成対象物の植物が、低波長をより必要とする場合には、複数の発光部5A〜5Hにおいて低波長に対応する発光部5の発光レベルが高くされる。
以上のように、実施の形態1における照明装置1は、植物工場において必要となる人工太陽に最適に利用できる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
実施の形態2においては、発光部5の熱に対してより効果的な対策を実現する照明装置1を説明する。
図10は、本発明の実施の形態2における照明装置のブロック図である。
実装基板2は、複数の実装領域4に沿って冷媒を循環させる冷媒循環路12を更に備える。冷媒循環路12は、実装領域4に沿って設けられるので、実装領域4に実装される発光素子51の底面において、冷媒が循環することになる。この冷媒循環によって、発光素子51が実装面で生じさせる熱を輸送できる。
ここで、冷媒循環路12は、実装基板2内部に埋め込まれるようにして設けられても良いし、実装基板2の裏面に設けられても良い。あるいは、実装基板2内部に設けられるが、裏面から突出するような状態でも良い。あるいは、実装基板2が凸凹を有する形状である場合には、この凸凹に合わせて、冷媒循環路12が設けられても良い。
図10は、側面図であるので分かりにくいが、冷媒循環路12は、全体として繋がっていてもよいし、いくつかに分割されていてもよい。いずれにしても、冷媒循環路12は、冷媒を循環させると共に連通している。
この冷媒循環路12は、実装基板2の外部に延伸し、照明装置1は、循環させた冷媒を冷却する冷却部13を更に備える。
冷媒循環路12は、冷媒を実装領域4に沿って循環させる。この冷媒の循環によって、冷媒は、実装領域4に実装されている発光素子51の実装面に対して発する熱を奪う。奪った熱を、冷媒によって運搬する。この運搬した先に、冷却部13が備わっている。
冷却部13は、冷却ジャケットやヒートシンクなどの運搬された熱を外部に放出できる機構を有している。この機構によって、冷却部13は、冷媒循環路12で運搬された熱を、外部に放出して、熱を持った冷媒を冷やすことができる。冷却された冷媒は、再び冷媒循環路12を循環して、実装領域4において、発光素子51が発する熱を奪って運搬する。
このように、冷媒循環路12と冷却部13によって、連続的に冷却された冷媒を実装領域4の底部を循環させて、発光素子51の発熱を奪って冷却できる。
この冷媒循環路12と冷却部13による発光素子51の発熱の低減によって、複数の発光部5の隣接距離を更に狭めることができる。この結果、複数の発光部5からの光の積算効果が高まり、単一の光として、照明装置1が照射光を出すことができるようになる。もちろん、この単一の光は、分割された複数の分割帯域を含んでおり、それぞれの分割帯域の発光レベルは、実施の形態1で説明したように制御される。この制御によって、野菜や穀物などの植物を育成する植物工場における人工太陽として、最適に利用できる。
また、実施の形態1で説明した通り、封止材7は、ベアチップである発光素子51のパッケージのようにして、発光素子51を封止する。
このように発光素子51に接触して封止材7が設けられることで、発光素子51の発光面の熱も封止材7が吸収できる。発光面の熱を吸収した封止材7は、そのまま外部に放出できる。このとき、封止材7は、隔壁3に挟まれるようにして設けられるので、封止材7が吸収した熱は、隔壁3に伝導する。隔壁3は、そのまま実装基板2および冷媒循環路12に、熱を伝導できる。
冷媒循環路12は、実装面での熱と発光面での熱を(これは封止材7を経由して)、運搬して、冷却部13で冷却できる。このようにして、発光素子51の実装面での熱と発光面での熱の両方を、照明装置1は、冷却できる。結果として、複数の発光部5の隣接距離は狭まることが可能であり、複数の発光部5から照射される分割帯域に応じた光は、重複して積算されるようになる。この結果、単一面に光る単一光として、照明装置1は、それぞれの分割帯域をもって、一定の範囲を有した人工太陽としての光を照射することが可能となる。
図11は、本発明の実施の形態2における発光パターンのそれぞれを示す模式図である。図11(A)〜図11(D)のそれぞれは、8分割された分割帯域のそれぞれを有する発光部5A〜5Hのそれぞれでの発光レベルの違いを示している。ここで、発光部5A側が低波長であり、発光部5H側が高波長である。
育成対象となる植物の種類によって、例えば、図11(A)〜図11(D)のいずれかの発光パターンが選択される。あるいは、同じ種類であっても、時間帯によって、図11(A)〜図11(D)のいずれかの発光パターンが選択される。このように、発光パターンが様々であることで、育成対象となる植物の特性に合わせた照射光を、照明装置1は、照射できる。この結果、照明装置1は、植物工場に最適な人工太陽として利用できる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
実施の形態3においては、実際に、複数の発光部5を分割してそれぞれの分割帯域の実現の例を説明する。
照明装置1の実装基板2は、照明装置1が使用される対象に応じて、適当な数に発光部5を分割すればよい。実装基板2が、8分割されたり、9分割されたり、それ以上あるいはそれ以下の数で分割されることは、使用対象の特性に応じて決定されれば良い。
また、複数の発光部5のそれぞれに割り当てられる分割帯域は、複数の発光部5の数に応じて等分に分割される必要は無く、発光部5が使用する発光素子51や封止材7の特性に応じて定められれば良い。このとき、発光素子51や封止材7の特性のみではなく、照明装置1が使用される植物工場における育成対象の植物の特性に応じて、分割帯域のそれぞれが決定されることも好適である。後者の場合には、可能な限り、分割帯域の波長に合わせた発光素子51や封止材7が選択される。
ここで、複数の発光部5のそれぞれは、発光素子51が物性として有する波長のみにより分割帯域の波長を実現してもよいし、発光素子51に封止材7を組み合わせて分割帯域の波長を実現してもよい。このような構成により、照明装置1は、種々の分割帯域を備えることを実現できる。
実際に発明者が作製した例を説明する。
図12は、本発明の実施の形態3における製作例を示す表である。図12の表は、複数の発光部5のそれぞれが有する分割帯域を示している。ここで、複数の発光部5のそれぞれが有する分割帯域におけるピーク波長が示されている。
ここで、図12の表において、「蛍光体がなし」とされている部分は、封止材7が設けられていないことでもよいし、封止材7が蛍光体71を含んでいないことでも良い。封止材7は、製造の容易上、全ての実装領域4に設けられておいて、波長変更が不要な実装領域4(発光部5)においては、蛍光体71を含まない封止材7が用いられてもよい。あるいは、波長変更の必要ない実装領域4においては、封止材7が実装されなければよい。
図12で作製された照明装置1は、9個の発光部5を備えている。すなわち、太陽光の可視波長帯域を9分割する9個の発光部5を備えている。この9個の分割帯域のそれぞれは、低波長側から、第1波長帯、第2波長帯、第3波長帯、第4波長帯、第5波長帯、第6波長帯、第7波長帯、第8波長帯、第9波長帯を有している。
(第1波長帯)
第1波長帯に対応する発光部5は、品番V4545EDJ0であり紫色を発光色とする発光素子51を用いる。蛍光体71は用いていない。この発光素子51により、第1波長帯に対応する発光部5のピーク波長は、402.23nmである。また、色味としては、近紫外である。
第1波長帯に対応する発光部5は、このような近紫外の色味の光を照射できる。この第1波長帯に対応する発光部5の発光レベルが制御されれば、近紫外の光の強弱をつけることができる。この強弱により、育成対象の植物の最適な育成が可能となる。
(第2波長帯)
第2波長帯に対応する発光部5は、品番B6060ECI0であり青色を発光色とする発光素子51を用いる。蛍光体71は用いていない。この発光素子51により、第2波長帯に対応する発光部5のピーク波長は、449nmである。また、色味としては、青−1である。青―1とは、青色であるが、波長が低いので、青色であるがやや紫側に偏差した色味である。
第2波長帯に対応する発光部5は、このような青−1の色味の光を照射できる。この第2波長帯に対応する発光部5の発光レベルが制御されれば、青―1の光の強弱をつけることができる。この強弱により、育成対象の植物の最適な育成が可能となる。
(第3波長帯)
第3波長帯に対応する発光部5は、品番B4545ECI1 P46Dであり青色を発光色とする発光素子51を用いる。蛍光体71は用いていない。この発光素子51により、第3波長帯に対応する発光部5のピーク波長は、465.42nmである。また、色味としては、青−2である。青―2とは、青色であるが、青―1より青色にやや近くなっている青色である。
第3波長帯に対応する発光部5は、このような青−2の色味の光を照射できる。この第3波長帯に対応する発光部5の発光レベルが制御されれば、青―2の光の強弱をつけることができる。この強弱により、育成対象の植物の最適な育成が可能となる。
(第4波長帯)
第4波長帯に対応する発光部5は、品番B6060ECI0 P45Bであり青色を発光色とする発光素子51を用いる。蛍光体71として、BG−301Bの蛍光体が用いられる。すなわち、第4波長帯は、発光素子51とこの蛍光体71を含有する封止材7との組み合わせによって、第4波長帯は、青緑の色味を照射できる。ここで第4波長帯に対応する発光部5のピーク波長は、513.50nmである。このピーク波長により、青緑の色味を照射する。
この第4波長帯に対応する発光部5の発光レベルが制御されれば、青緑の光の強弱をつけることができる。この強弱により、育成対象の植物の最適な育成が可能となる。
(第5波長帯)
第5波長帯に対応する発光部5は、第4波長帯と同じ発光素子51が用いられる。これに合わせて、品番GR−SampleLW548Dの蛍光体71が用いられる。この発光素子51とこの蛍光体71を含有する封止材7の組み合わせによって、ピーク波長が542.27nmである緑色の色味を有する光を照射できる。
この第5波長帯に対応する発光部5の発光レベルが制御されれば、緑色の光の強弱をつけることができる。この強弱により、育成対象の植物の最適な育成が可能となる。
(第6波長帯)
第6波長帯に対応する発光部5は、品番ES−LAYLPH42の発光素子51を用いる。また、蛍光体71を用いない。この発光素子51によって、第6波長帯に対応する発光部5は、591.52nmのピーク波長を有する黄色の色味を発光する。
この黄色の色味も加わることで、積算・重複されて一体の光となった照明装置1からの照射光が照射される。
また、他の波長帯と同様に、この第6波長帯に対応する発光部6の発光レベルが制御されれば、黄色の光の強弱をつけることができる。この強弱により、育成対象の植物の最適な育成が可能となる。
(第7波長帯)
第7波長帯に対応する発光部5は、第4波長帯と同じ発光素子51が用いられる。これに合わせて、品番BR−102Dの蛍光体71が用いられる。この発光素子51とこの蛍光体71を含有する封止材7の組み合わせによって、ピーク波長が614.47nmである赤−1の色味を有する光を照射できる。赤−1は赤色であるがやや黄色側に偏さした赤色である。
この第7波長帯に対応する発光部5の発光レベルが制御されれば、赤―1の光の強弱をつけることができる。この強弱により、育成対象の植物の最適な育成が可能となる。
(第8波長帯)
第8波長帯に対応する発光部5は、第4波長帯と同じ発光素子51が用いられる。これに合わせて、品番BR−101Dの蛍光体71が用いられる。この発光素子51とこの蛍光体71を含有する封止材7の組み合わせによって、ピーク波長が641.55nmである赤−2の色味を有する光を照射できる。赤−1は赤色であるがやや黄色側に偏さした赤色である。
この第8波長帯に対応する発光部5の発光レベルが制御されれば、赤―2の光の強弱をつけることができる。この強弱により、育成対象の植物の最適な育成が可能となる。
(第9波長帯)
第9波長帯に対応する発光部5は、品番ES−SASFPN42Aの発光素子51を用いる。また、蛍光体71を用いない。この発光素子51によって、第6波長帯に対応する発光部5は、855.50nmのピーク波長を有する近赤外の色味を発光する。
この近赤外の色味も加わることで、積算・重複されて一体の光となった照明装置1からの照射光が照射される。
また、他の波長帯と同様に、この第9波長帯に対応する発光部6の発光レベルが制御されれば、近赤外の光の強弱をつけることができる。この強弱により、育成対象の植物の最適な育成が可能となる。
以上のように、第1波長帯〜第9波長帯のそれぞれが、発光素子51や蛍光体71を含有する封止材7によって実現されることで、太陽光の可視波長帯域に近似する帯域のそれぞれの帯域がコンポジットされた照射光を、照明装置1は、照射できる。このとき、それぞれの分割帯域となる第1波長帯〜第9波長帯のそれぞれの発光レベルが制御されるので、一つの光でありながら、この光が含む分割帯域毎の発光レベルが異なった状態を含んでいる。このような照射光によって、植物の最適な育成が可能となる。
なお、図12を用いて説明した分割は、一例であり、他の分割であってもよい。加えて、使用される発光素子や蛍光体も、様々に選択されれば良い。
また、波長帯域を、幾つの分割帯域で分割するかも、発光部5に用いられる発光素子51や蛍光体71を含有する封止材7の特性に応じて、定められれば良い。図12では、9分割の場合を説明したが、これより多い数で分割しても少ない数で分割しても問題ない。これは、使用される発光素子51や封止材7の特性やコスト(および性能面などでの使用実現性)の製造の都合に基づいて定められても良いし、使用される植物工場で育成される植物の特性などの使用側の都合に基づいて定められても良い。分割の数、個々の分割帯域の波長の値などは、このような条件に基づいて、適宜定められれば良い。
また、繰り返しになるが、封止材7が設置された上で、封止材7が波長変更機能を有さずに、発光素子51の特性のままの波長での光を照射してもよい。このときには、封止材7は、波長の変更を行わずに、発光素子51からの光を透過させる(蛍光体71が含まれていない)。
以上、実施の形態1〜3で説明された照明装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。発光部を発光素子5として説明したが、LEDと蛍光体とで構成される場合も含まれる形態も含まれる。