JP6260537B2 - 液晶ポリエステルの製造方法および液晶ポリエステル - Google Patents

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Description

本発明は、液晶ポリエステルの製造方法および液晶ポリエステルに関する。より詳しくは、極めて優れた引張強度やクリープ特性を有する液晶ポリエステルの効率的な製造方法、およびそれから得られる液晶ポリエステルに関するものである。
近年、プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の特性を有するポリマーが数多く開発され、市場に供されている。中でも、分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶ポリエステルなどの液晶性樹脂が、優れた成形性と機械的性質、絶縁性を有する点で注目され、電気・電子部品や機械部品に用途が拡大されつつある。
中でも、芳香族骨格からなる液晶ポリエステルは、特に優れた成形性と機械的性質、絶縁性を有する。例えば、溶融成形性向上のために、窒素、硫黄またはリンを含有する芳香族ジオールや、高分子量である芳香族ジオールを用いた液晶ポリエステルが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。一方、触媒として芳香族スルホン酸を添加し、フェノールガスなどのガス発生を抑制することで、熱劣化による樹脂変色を抑制させる液晶ポリマーの製造方法や(例えば、特許文献4)、耐熱性及び機械的特性向上のために、スルホン酸系触媒存在下で特定の構造を有する共重合ポリエステルを製造する方法(例えば、特許文献5)、流動性や滞留安定性向上のために、特定の構造を有する液晶ポリエステルが提案されている(例えば、特許文献6参照)。
特開平1−60627号公報 特開平1−60628号公報 特開2007−23132号公報 米国特許第7087704号明細書 特開平6−306156号公報 特開2004−256656号公報
一方、電気・電子部品や機械部品は、近年の機器の高性能化や高出力化、小型化や軽量化に伴い、薄肉化や形状の複雑化が進みつつあり、より高い引張強度やクリープ特性が要求されている。しかしながら、特許文献1〜6記載の技術では、ガス発生の抑制や引張強度、クリープ特性がなお不十分であった。
本発明は、成形品の引張強度とクリープ特性に優れ、さらにガスの発生が抑制された液晶ポリエステルの効率的な製造方法、およびそれから得られる優れた特徴を有する液晶ポリエステルを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の脂肪族スルホン酸添加により、成形品の引張強度およびクリープ特性に優れ、ガスの発生量の少ない液晶ポリエステルを効率よく得ることを見出した。
すなわち本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、本発明の実施形態は、以下に挙げる構成の少なくとも一部を含み得る。
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸、下記構造単位(I)を有する芳香族ジオールを70モル%以上含むジオール、および芳香族ジカルボン酸を、
アシル化剤と下記式(A)で表される脂肪族スルホン酸存在下で反応させる液晶ポリエステルの製造方法。
Figure 0006260537
(Arは分子量200未満であって、2価の芳香族炭化水素基)
式(A) R−SOH (R:炭素数1〜12のアルキル基)
(2)前記脂肪族スルホン酸を、脱アシル重縮合反応開始までに添加する(1)に記載の液晶ポリエステルの製造方法。
(3)前記脂肪族スルホン酸を、反応容器内液温が130℃以下の時に添加する(1)または(2)のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
(4)前記脂肪族スルホン酸を、芳香族ヒドロキシカルボン酸、ジオール、および芳香族ジカルボン酸の合計100重量部に対して、0.0005重量部以上0.1重量部以下添加する(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
(5)前記芳香族ジオールが下記構造単位(IV)を有する化合物である(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
Figure 0006260537
(6)芳香族ヒドロキシカルボン酸が下記構造単位(II)を有する化合物であり、
芳香族ジオールが下記構造単位(III)を有する化合物、および下記構造単位(IV)を有する化合物であり、
芳香族ジカルボン酸が下記構造単位(V)を有する化合物、および下記構造単位(VI)を有する化合物である、(1)〜(5)のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
Figure 0006260537
(7)得られる液晶ポリエステルが、
構造単位(II)が構造単位(II)、(III)および(IV)の合計に対して65〜80モル%であり、
構造単位(III)が構造単位(III)および(IV)の合計に対して55〜85モル%であり、
構造単位(V)が構造単位(V)および(VI)の合計に対して50〜90モル%であり、
構造単位(III)および(IV)の合計と(V)および(VI)の合計が実質的に等モルである液晶ポリエステルである、
(1)〜(6)のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法(ここでいう実質的に等モルとは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットが等モルであることを意味する。)
(8)前記脂肪族スルホン酸がメタンスルホン酸および/またはエタンスルホン酸である(1)〜(7)のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
(9)全ジオール由来の構造単位100モル%のうち、下記構造単位(I)で表される芳香族ジオール由来の構造単位を70モル%以上含み、窒素ガス雰囲気下、液晶ポリエステルの融点+20℃の温度で30分保持した際の加熱減少率が、0.1重量%以下である液晶ポリエステル。
Figure 0006260537
(Arは分子量200未満であって、2価の芳香族炭化水素基)
(10)前記液晶ポリエステルが、構造単位(IV)を有する(9)記載の液晶ポリエステル。
Figure 0006260537
(11)(9)または(10)に記載の液晶ポリエステル100重量部に対して、充填材10〜200重量部を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物。
(12)請求項(9)または(10)に記載の液晶ポリエステル、または(11)に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明の液晶ポリエステルの製造方法によれば、成形品の引張強度、クリープ特性に優れ、ガス発生量の少ない液晶ポリエステルを効率よく得ることができる。かかる樹脂は、特に、電気・電子部品や機械部品に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明でいう重量は質量を意味する。
本発明の実施形態としての液晶ポリエステルとは、異方性溶融相を形成するポリエステルである。本発明の液晶ポリエステルは、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール、および芳香族ジカルボン酸を構成成分とする。具体例は後述する。
本発明の実施形態における液晶ポリエステルの製造方法は、芳香族ヒドロキシカルボン酸、下記構造単位(I)を有する芳香族ジオールを70モル%以上含むジオール、および芳香族ジカルボン酸を、アシル化剤と下記式(A)の脂肪族スルホン酸存在下で反応させる。
Figure 0006260537
(Arは分子量200未満であって、芳香族炭化水素基である芳香族基)
式(A)R−SOH (R:炭素数1〜12のアルキル基)
反応に使用する全ジオールに対し、下記構造単位(I)を有する芳香族ジオールが70モル%未満のジオールを用いる場合、例えばエチレングリコールを30モル%以上使用すると、得られる液晶ポリエステルのガス発生量が増加する。そのため、充填剤等を配合して樹脂組成物とする際に、液晶ポリエステルと充填材の密着性が低下し、成形品の引張強度とクリープ特性が大幅に悪化する。構造単位(I)を有する芳香族ジオールが80モル%以上のジオールを用いることが好ましい。
また、構造単位(I)を有する芳香族ジオールにおけるArの分子量が200以上である嵩高いモノマーの場合や、Arが2価の芳香族炭化水素基でない場合、例えば、Arが窒素、硫黄およびリン原子を含むと、芳香族ジオールの反応性が悪くなり、得られる液晶ポリエステルの末端基バランスが変化する。そのためガス発生量が増加し、充填剤等を配合して樹脂組成物とする際に液晶ポリエステルと充填材の密着性が低下するため、成形品の引張強度とクリープ特性が大幅に悪化する。なお、ここでいうArの分子量とは、ジオキシ単位が置換されたArの分子量を意味する。例えば、ハイドロキノンの場合、Arの分子量は76である。
本発明の実施形態の液晶ポリエステルの製造方法は、具体的には、液晶ポリエステルの原料とアシル化剤を反応させて、芳香族ヒドロキシカルボン酸および/またはジオールの水酸基をアシル化させ、その後、該アシル化物と芳香族ジカルボン酸とを反応させ、脱アシル重縮合反応させる方法であり、式(A)で表される脂肪族スルホン酸存在下で行う方法である。脱アシル重縮合反応終了後、液晶ポリエステルが溶融する温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。溶融重合法は均一な液晶ポリエステルを製造するために有利な方法であり、ガス発生量が少なく、成形品の引張強度とクリープ特性に優れる液晶ポリエステルを製造する観点から好ましい。
好ましくは、例えば、撹拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に所定量の芳香族ヒドロキシカルボン酸、構造単位(I)を有する芳香族ジオールを70モル%以上含むジオール、芳香族ジカルボン酸とともにアシル化剤を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌、加熱しながら式(A)で表される脂肪族スルホン酸を少なくとも脱アシル重縮合反応開始までに添加した後、液晶ポリエステルの溶融温度まで昇温し、減圧下において重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。アシル化剤は、液晶ポリエステル原料と一括で仕込んでもよいし、別で添加してもよい。アシル化剤はアシル化反応中に反応系内に存在していることが好ましいため、アシル化反応が起こる温度域で反応容器に添加することが好ましい。具体的には、反応容器内液温が210℃以下の時にアシル化剤を添加することが好ましく、反応容器内液温が130℃以下の時に添加することがより好ましい。なお、以下で述べる温度は、いずれも反応容器内の液温を指す。液温の測定方法は後述する。
本発明の液晶ポリエステルの製造方法は、芳香族ヒドロキシカルボン酸および/またはジオールのフェノール性水酸基とアシル化剤を反応させるアシル化反応を含む。アシル化反応を含まない場合、例えば、アシル化されたモノマーを使用すると、後述する脱アシル重縮合反応初期の反応性が変化することにより、得られる液晶ポリエステルのガス発生量が増加するため、充填剤等を配合して樹脂組成物とする際に、液晶ポリエステルと充填材の密着性が低下し、成形品の引張強度とクリープ特性が大幅に悪化する。アシル化反応温度は、通常130℃以上が好ましい。また、アシル化反応温度は、210℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、150℃以下がさらに好ましい。アシル化反応温度を上記の範囲とすると、アシル化反応が十分に進行するため、液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させることができる。アシル化反応時間は、通常5分以上が好ましい。また、アシル化反応時間は6時間以内が好ましく、2時間以内がより好ましい。アシル化反応時間を上記の範囲とすると、液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、充填剤等を配合して樹脂組成物とする際に、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させることができる。アシル化反応は常圧下で行ってもよいし、加圧下で行ってもよい。
脱アシル重縮合反応は、アシル化反応の後に起こる反応であり、減圧重縮合反応開始までを指す。脱アシル重縮合反応は180〜240℃で反応を開始することが好ましく、通常常圧下で行うことが好ましい。アシル化剤として無水酢酸を用いた場合は、酢酸が留出する。脱アシル重縮合反応の反応時間は、通常1.5〜8時間、好ましくは1.5〜6時間である。これらアシル化反応や脱アシル重縮合反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
その後、減圧条件下にて減圧重縮合反応を行なうことが好ましい。減圧重縮合反応温度は、通常得られる液晶ポリエステルの融点−30℃〜融点+50℃であることが好ましい。好ましくは融点〜融点+30℃である。例えば、270〜365℃の範囲である。減圧重縮合反応時間は、通常30分間〜6時間、好ましくは30分間〜3時間である。減圧重縮合反応時の減圧度は、通常0.1mmHg(13.3Pa)〜20mmHg(2660Pa)であり、好ましくは10mmHg(1330Pa)以下、より好ましくは5mmHg(665Pa)以下である。
なお、アシル化反応と脱アシル重縮合反応、減圧重縮合反応は同一の反応容器で連続して行ってもよいし、異なる反応容器で行ってもよい。撹拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器を用いてもよい。
また、温度130℃から270℃までの反応時間は、120〜340分であることが好ましい。温度130℃から270℃までの反応時間に着目した理由は、前記温度が、得られる液晶ポリエステルのガス発生量抑制に重要な、アシル化反応と脱アシル重縮合反応の前半部を含む温度であり、これらの反応時間を短縮することでガス発生量抑制効果が顕著に現れるためである。120分より長いと、得られる液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させることができる。より好ましくは150分以上である。また、340分より短いと反応時間を短縮でき生産性が向上するほか、得られる液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させることができる。より好ましくは280分以下、特に好ましくは230分以下である。
アシル化剤としては、脂肪族または芳香族カルボン酸無水物が挙げられ、好ましくは無水酢酸、無水プロピオン酸等の炭素数が10以下の低級脂肪族カルボン酸無水物、特に好ましくは無水酢酸である。アシル化剤の使用量は、液晶ポリエステル原料中のフェノール性水酸基の合計の1.00〜1.20モル当量であることが好ましい。より好ましくは1.03〜1.16モル当量である。
本発明に用いられる式(A)で表される脂肪族スルホン酸は、遅くとも脱アシル重縮合反応開始までに添加することが好ましい。脱アシル重縮合反応は180〜240℃で反応を開始することが好ましいため、具体的には、反応容器内の液温が240℃以下、好ましくは180℃以下で前記脂肪族スルホン酸を添加することが好ましい。上記温度の範囲で添加することで、脱アシル重縮合反応時間を短縮でき生産性が向上するほか、得られる液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させることができる。また、アシル化反応は130℃以上で行なうことが好ましいため、反応容器内の液温が130℃以下の時に前記スルホン酸触媒を添加するのがさらに好ましい。130℃以下の時に添加することで、脱アシル重縮合反応に加えアシル化反応時間も短縮でき生産性が向上するほか、得られる液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させることができる。反応容器内の液温は例えば、反応容器外部から反応液面下に挿入された熱電対により測定することができる。式(A)で表される脂肪族スルホン酸は、アシル化反応より前に添加してもよく、原料と一緒に仕込んでもよく、アシル化剤と同時に添加してもよい。
式(A)中のRは、炭素数1〜12のアルキル基である。炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。このような脂肪族スルホン酸を添加することで、得られる液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させることができる。無触媒条件下で重合を行うと、反応時間を短縮することができない。なお、ここでいう反応時間とは、アシル化反応から減圧重縮合反応開始までの反応時間である。式(A)で表される触媒を用いない場合は、反応時間が長時間となることがある。前記触媒を用いずにアシル化反応から減圧重縮合反応開始までの反応時間を短縮すると、アシル化反応と、脱アシル重縮合反応の反応性が低いため、モノマーが未反応で残存し、未反応モノマーが昇華することにより突沸する。また、モノマーの昇華により末端基バランスが崩れるため、多量のガスが発生する。
上記式(A)に該当する化合物を添加しないと、アシル化反応および脱アシル重縮合反応の促進効果が小さいために、反応時間を短縮すると反応温度が急激に上がるため重合中に突沸が起こり、ガスが発生する原因となる。また、触媒が、重合終了後に得られる液晶ポリエステル中に残存し、不純物となり、成形品の引張強度を悪化させる。そのような液晶ポリエステルと充填材を混練して樹脂組成物とする際に、液晶ポリエステルからのガス発生により、液晶ポリエステルと充填材の密着性が低下することで、成形品の引張強度とクリープ特性が大幅に低下する。
得られる液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させる液晶ポリエステルを製造する観点から、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸がさらに好ましい。式(A)を満たす脂肪族スルホン酸であれば、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる式(A)で表される脂肪族スルホン酸の添加量は、液晶ポリエステルの原料である、芳香族ヒドロキシカルボン酸、ジオールおよび芳香族ジカルボン酸の合計100重量部に対して、0.0005重量部以上0.1重量部以下であることが好ましい。式(A)で表される脂肪族スルホン酸の添加量が0.0005重量部以上であれば、反応時間を短縮でき生産性が向上するほか、得られる液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させることができる。0.001重量部以上がより好ましい。一方、式(A)で表される脂肪族スルホン酸の添加量が0.1重量部以下であれば、脂肪族スルホン酸が重合終了時には系外へ排出され、反応系内への残存が少なくなることで、得られる液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させることができる。0.07重量部以下がより好ましく、0.05重量部以下がさらに好ましい。
本発明に用いられる式(A)で表される脂肪族スルホン酸の酸解離定数(pKa)は、−2以上1以下であることが好ましい。脂肪族スルホン酸の酸解離定数(pKa)が−2以上であると、適度な酸性度であるために反応が促進されすぎず、得られる液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させることができる。脂肪族スルホン酸の酸解離定数(pKa)が1以下の強酸性の脂肪族スルホン酸を用いることで、反応時間を短縮でき生産性が向上するほか、得られる液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させることができる。0以下がより好ましい。
pKaの測定方法としては、例えば、脂肪族スルホン酸の水溶液を水酸化ナトリウム等の滴定液を用い25℃で滴定し、50%中和された時点におけるpH値から算出される。
本発明の液晶ポリエステルの製造方法においては、式(A)で表される脂肪族スルホン酸のほかに、塩化水素などのブレンステッド酸や、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物などの触媒存在下で実施してもよい。
得られた液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルが溶融する温度で、反応容器内を、例えば、およそ1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。
本発明の液晶ポリエステルの製造方法においては、減圧重縮合反応の後に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、固相重合法としては、液晶ポリエステルのポリマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下または減圧下、液晶ポリエステルの液晶開始温度−10〜−20℃(例えば、100〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、所望の重合度まで重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
本発明の液晶ポリエステルの構成する構造単位について以下に説明する。
本発明の液晶ポリエステルは、芳香族ヒドロキシカルボン酸、下記構造単位(I)を有する芳香族ジオールを70モル%以上含むジオール、および芳香族ジカルボン酸を反応させて得られるものであるが、下記構造単位(II)〜(VI)から構成されることが好ましい。
Figure 0006260537
芳香族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などが挙げられる。中でも、ガス発生量が少なく、成形品の引張強度とクリープ特性に優れる液晶ポリエステルを効率よく製造するために、構造単位(II)を有する化合物であることが好ましい。具体的にはp−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。
前記構造単位(I)を有する芳香族ジオールの具体例としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシノール、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、クロロハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、および4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンが挙げられる。ガス発生量が少なく、成形品の引張強度とクリープ特性に優れる液晶ポリエステルを製造する観点から、置換基を有さない芳香族ジオールが好ましい。4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレンがさらに好ましい。特に構造単位(IV)を有する化合物であることが好ましく、構造単位(III)を有する化合物および構造単位(IV)を有する化合物を併用することが好ましい。具体的には、構造単位(III)を有する化合物としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニルが好ましく、構造単位(IV)を有する化合物としてはハイドロキノンが好ましい。このような構造を有する化合物を用いることにより、ガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性が優れる液晶ポリエステルを製造することができる。本発明においては、構造単位(I)を有する芳香族ジオールを全ジオールに対して70モル%以上含むジオールを用いる。前記要件を満たし、本発明の効果を損なわない範囲であれば、構造単位(I)を有する芳香族ジオール以外のジオールにとくに制限はない。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸などが挙げられる。得られる液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させる観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。構造単位(V)を有する化合物および/または構造単位(VI)を有する化合物が好ましく、構造単位(V)を有する化合物および構造単位(VI)を有する化合物を併用することが好ましい。具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸が特に好ましい。
また、p−アミノ安息香酸、p−アミノフェノールなどから生成した構造単位を、液晶性や本発明の効果を損なわない程度の範囲でさらに添加することができる。
本発明の液晶ポリエステルを構成する成分の好ましい組み合わせとしては、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸および/またはイソフタル酸からなる液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸、ハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸からなる液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、テレフタル酸および/またはイソフタル酸からなる液晶ポリエステルなどが挙げられる。
Figure 0006260537
構造単位(II)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位を、構造単位(III)は4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位を、構造単位(IV)はハイドロキノンから生成した構造単位を、構造単位(V)はテレフタル酸から生成した構造単位を、構造単位(VI)はイソフタル酸から生成した構造単位を各々示す。
上記構造単位(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)の含有量は任意であるが、本発明の効果をより効果的に発揮させるためには次の含有量であることが好ましい。すなわち、本願発明で得られる液晶ポリエステルにおいて、構造単位(II)は構造単位(II)、(III)および(IV)の合計に対して65〜80モル%であることが好ましく、より好ましくは68〜75モル%である。また、構造単位(III)は構造単位(III)および(IV)の合計に対して55〜85モル%であることが好ましく、より好ましくは55〜75モル%であり、さらに好ましくは60〜70モル%である。また、構造単位(V)は構造単位(V)および(VI)の合計に対して好ましくは50〜90モル%であり、より好ましくは60〜88モル%であり、さらに好ましくは65〜85モル%である。このような組成を満たす液晶ポリエステルは、得られる液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させることができる。
本発明において、構造単位(III)および(IV)の合計と(V)および(VI)の合計は実質的に等モルであることが好ましい。ここでいう「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットとしては等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
本発明で製造される液晶ポリエステルの組成は、液晶ポリエステルが可溶な溶媒(例えば、ペンタフルオロフェノール/重テトラクロロエタン混合溶媒)に溶解した溶液を用いてH−核磁気共鳴スペクトル測定することにより求めることができる。
本発明で製造される液晶ポリエステルの融点(Tm)は、220〜350℃が好ましい。融点が220℃以上であれば、耐熱性を向上させることができる。270℃以上がより好ましく、300℃以上がさらに好ましい。一方、融点が350℃以下であれば、成形時の成形安定性を向上させることができる。345℃以下がより好ましく、340℃以下がさらに好ましい。
融点は、示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー製)により測定される。液晶ポリエステルを室温から20℃/分の昇温条件で昇温度した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の高温条件で室温までいったん冷却し、再度20℃/分の昇温条件で昇温度した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点とする。
本発明で製造される液晶ポリエステルの溶融粘度は、1〜200Pa・sが好ましい。溶融粘度が1Pa・s以上であれば、得られる液晶ポリエステルのガスの発生を抑制し、成形品の引張強度とクリープ特性を向上させることができる。10Pa・s以上がより好ましく、20Pa・s以上がさらに好ましい。一方、溶融粘度が200Pa・s以下であれば、流動性を向上させることができる。100Pa・s以下がより好ましく、50Pa・s以下がさらに好ましい。なお、本発明における液晶ポリエステルの溶融粘度は、液晶ポリエステルの融点+10℃の条件で、せん断速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
本発明の構造単位(I)を有する液晶ポリエステルのガス発生量は、窒素ガス雰囲気下、液晶ポリエステルの融点+20℃の温度で30分間保持した際に加熱減少率が、0.1重量%以下である。高温で30分間保持した際の加熱減少率の差異が明確に表される温度として、液晶ポリエステルの融点+20℃に着目した。液晶ポリエステルのガス発生量が0.1重量%を超えると、液晶ポリエステルと充填材の密着性が低下し、成形品の引張強度とクリープ特性が大幅に悪化する。ガス発生量は、好ましくは0.07重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下である。
また、上記液晶ポリエステルは、成形品の引張強度とクリープ特性が向上する観点から、構造単位(IV)を有することが好ましい。さらに好ましくは、構造単位(II)〜(VI)を有する液晶ポリエステルである。
Figure 0006260537
上記本発明の液晶ポリエステルは、他の成分と組み合わせて液晶ポリエステル樹脂組成物としてもよい。例えば、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、液晶ポリエステルの機械強度その他の特性を付与するために充填材を含有してもよい。充填材としては、特に限定されるものではないが、繊維状、板状、粉末状、粒状などの各種形状の充填材を挙げることができる。例えば、ガラス繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状またはウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウムおよびグラファイトなどの粉状、粒状あるいは板状の充填材などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。上記充填材中、ガラス繊維および導電性が必要な場合にはPAN系炭素繊維が好ましく使用される。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものであれば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどを挙げることができる。なお、充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤により処理されていてもよい。また、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。また、他の熱可塑性樹脂を本発明の目的を損なわない程度の範囲で含有して、所定の特性を付与することができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物において、充填材の含有量は、液晶ポリエステル100重量部に対し、10〜200重量部が好ましい。充填材含有量が10重量部以上であれば、成形品の引張強度と引張クリープ歪みを向上させることができる。20重量部以上がより好ましく、30重量部以上がさらに好ましい。一方、充填材含有量が200重量部以下であれば、成形性および流動性に優れた液晶ポリエステル樹脂組成物が得られる。150重量部以下がより好ましく、100重量部以下がさらに好ましい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどの非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル(PPO)、臭素化ポリカーボネート(PC)、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)を含有することができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、液晶ポリエステルにこれら成分をドライブレンドする方法や溶液配合する方法、液晶ポリエステルの重合時にこれら成分を添加する方法、液晶ポリエステルとこれら成分を溶融混練する方法などを挙げることができ、なかでも溶融混練する方法が好ましい。溶融混練には、公知の方法を用いることができる。溶融混練装置としては、例えば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを挙げることができる。なかでも二軸押出機が好ましい。溶融混練温度は、液晶ポリエステルの融点以上融点+50℃以下が好ましい。
混練方法としては、1)液晶ポリエステル、充填材やその他の添加剤を元込めフィーダーから一括で投入して混練する方法(一括混練法)、2)液晶ポリエステルとその他の添加剤を元込めフィーダーから投入して混練した後、充填材および必要であればその他の添加剤をサイドフィーダーから添加して混練する方法(サイドフィード法)、3)液晶ポリエステルとその他の添加剤を高濃度に含む液晶ポリエステル樹脂組成物(マスターペレット)を作製し、次いで規定の濃度になるようにマスターペレットを液晶ポリエステル、充填材と混練する方法(マスターペレット法)などが挙げられる。また、充填材およびその他の添加剤を添加する方法としては、一括混練法、逐次添加法、高濃度組成物(マスター)を添加する方法等が挙げられ、いずれの方法でもかまわない。
本発明の液晶ポリエステルおよび液晶ポリエステル樹脂組成物は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた機械的性質を有する成形品に加工することが可能である。ここでいう成形品としては、射出成形品、押出成形品、プレス成形品、シート、パイプ、フィルム、繊維などが挙げられる。特に、射出成形品において本発明の効果が顕著に得られるため好ましい。
本発明の液晶ポリエステルまたは液晶ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる成形品は、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、リレーベース、リレー用スプール、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品などに代表される家庭、事務電気製品部品;、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品;顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコン用モーターインシュレーター、パワーウインド等の車載用モーターインシュレーター、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプベゼル、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品;シャンプー、リンス、液体石鹸、洗剤等の各種薬剤用ボトル;薬液保存用タンク、ガス保存用タンク、冷却液タンク、オイル移液用タンク、消毒液用タンク、輸血ポンプ用タンク、燃料タンク、キャニスター、ウォッシャー液タンク、オイルリザーバータンクなどの薬液・ガス保存用タンク;医療器具用途部品;醤油、ソース、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌、食酢等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、清酒、ビール、みりん、ウィスキー、焼酎、ワイン等の酒類、炭酸飲料、ジュース、スポーツドリンク、牛乳、コーヒー飲料、ウーロン茶、紅茶、ミネラルウォーター等の清涼飲料水などの食品保存容器;および一般生活器具部品としてのタンク、ボトル状成形品やまたはそれらタンクなどの中空容器などに用いることができる。ガスの発生量が少なく、優れた引張強度とクリープ特性を有することから、特に、リレーケース、プリント配線板などの電気・電子部品やモーター部品などの機械部品に有用である。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。液晶ポリエステルおよび液晶ポリエステル樹脂組成物の特性評価は以下方法により行った。
(1)液晶ポリエステルの融点(Tm)
示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー製)により、液晶ポリエステルを室温から20℃/分の昇温条件で昇温度した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の高温条件で室温までいったん冷却し、再度20℃/分の昇温条件で昇温度した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点とした。以下の製造例においては、融点(Tm2)をTmと記載する。
(2)液晶ポリエステルの溶融粘度
高化式フローテスターCFT−500D(オリフィス0.5φ×10mm)(島津製作所製)を用いて、Tm+10℃、せん断速度1000/sの条件で液晶ポリエステルの溶融粘度を測定した。
(3)液晶ポリエステルの組成
液晶ポリエステルをNMR試料管に50mg秤量し、ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(混合比率:65/35w/w%)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて観測周波数500MHz、温度80℃の条件でH−NMR測定を実施した。7〜9.5ppm付近に観測される各構造単位由来のピーク面積比から、液晶ポリエステルの組成を分析した。
(4)液晶ポリエステルのガス発生量
各実施例および比較例により得られたペレットを、熱風乾燥機を用いて150℃3時間熱風乾燥させた後、任意部分を20mg切り出し、熱重量分析装置(TGA)を用い、窒素ガス雰囲気下、液晶ポリエステルの融点+20℃の温度で30分間保持した際の重量減少率をガス発生量とした。
(5)液晶ポリエステルおよび液晶ポリエステル樹脂組成物の引張強度
各実施例および比較例により得られたペレットを、熱風乾燥機を用いて150℃3時間熱風乾燥させた後、ファナック製ファナックα30C射出成形機で射出成形し、6.4mm幅×127mm長×3.2mm厚のダンベル型テストピースを成形した。射出成形条件は、樹脂温度を液晶ポリエステルの融点+20℃、金型温度を90℃に設定し、充填下限圧+1MPaの圧力で行った。この試験片について、ASTMD638−08に従い、引張強度を測定した。n数は6とし、各測定値から最大値および最小値を除いた4つの値の平均値を引張強度とした。
(6)液晶ポリエステル樹脂組成物のクリープ特性
各実施例および比較例により得られたペレットを、熱風乾燥機を用いて150℃3時間熱風乾燥した後、SG75H−MIV(住友重機社製)において射出成形したASTM1号ダンベル試験片を、支点間距離114mm、雰囲気温度120℃、引張応力20MPa条件下で、ASTM−D2990に準拠して引張クリープ試験を行い、引張クリープ歪みを測定した。尚、引張クリープ歪みは、変位量を支点間距離で割った値である。実施例記載の引張クリープ歪みは、試験開始から150時間経過後の値を示し、n数は6とし、各測定値から最大値および最小値を除いた4つの値の平均値を引張クリープ歪みとした。この値が小さいほど、クリープ特性に優れており、成形品が熱変形しにくいといえる。
(7)スルホン酸の水溶液中における酸解離定数(pKa)
各実施例および比較例に用いたスルホン酸の水溶液を水酸化ナトリウム水溶液を用いて25℃で滴定し、50%中和された時点におけるpH値から算出した。
[実施例1]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル309重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。
その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−1)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−1)のTmは311℃、溶融粘度は22Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.040重量%であった。
[実施例2]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル309重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、エタンスルホン酸(pKa:−1.3)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−2)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−2)のTmは311℃、溶融粘度は21Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.041重量%であった。
[実施例3]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル309重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、n−ドデシルスルホン酸(pKa:0.3)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−3)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−3)のTmは314℃、溶融粘度は23Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.071重量%であった。
[実施例4]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル223重量部、ハイドロキノン88重量部、テレフタル酸266重量部、イソフタル酸66重量部および無水酢酸1072重量部(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、350℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が160分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが15kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−4)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−4)のTmは334℃、溶融粘度は28Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.049重量%であった。
[実施例5]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル309重量部、t−ブチルハイドロキノン118重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−5)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−5)のTmは306℃、溶融粘度は20Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.073重量%であった。
[実施例6]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル397重量部、ハイドロキノン26重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1213重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−6)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−6)のTmは315℃、溶融粘度は24Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.075重量%であった。
[実施例7]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル221重量部、ハイドロキノン131重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1104重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−7)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−7)のTmは312℃、溶融粘度は22Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.083重量%であった。
[実施例8]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸576重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル311重量部、ハイドロキノン122重量部、テレフタル酸439重量部、イソフタル酸23重量部および無水酢酸1085安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−8)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−8)のTmは326℃、溶融粘度は25Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.087重量%であった。
[実施例9]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸1037重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル148重量部、ハイドロキノン58重量部、テレフタル酸98重量部、イソフタル酸120重量部および無水酢酸1091重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、340℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が163分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を340℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−9)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−9)のTmは324℃、溶融粘度は26Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.076重量%であった。
[実施例10]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル309重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.11重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−10)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−10)のTmは314℃、溶融粘度は22Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.084重量%であった。
[実施例11]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル309重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.0001重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−11)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−11)のTmは310℃、溶融粘度は20Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.081重量%であった。
[実施例12]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル309重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、130℃に到達した時点で、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、145℃に昇温し1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−12)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−12)のTmは311℃、溶融粘度は21Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.042重量%であった。
[実施例13]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル309重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、150℃到達時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込んだ。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が230分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−13)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−13)のTmは313℃、溶融粘度は23Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.095重量%であった。
[実施例14]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸825重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル371重量部、テレフタル酸248重量部、イソフタル酸83重量部および無水酢酸1213重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、350℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が160分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが15kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−14)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−14)のTmは327℃、溶融粘度は26Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.082重量%であった。
[実施例15]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸66重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸804重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル442重量部、テレフタル酸396重量部および無水酢酸1067重量部(フェノール性水酸基合計の1.1当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびテレフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、360℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが15kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−15)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−15)のTmは340℃、溶融粘度は28Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)と構造単位(V)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.095重量%であった。
[比較例1]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル309重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで4時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が265分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−16)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−16)のTmは310℃、溶融粘度は20Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.123重量%であった。
[比較例2]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル309重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が225分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続けたが、トルクが繰り返し低下し、目標のトルク値までトルクが上がらず重合不可能であった。これは、本発明で規定する脂肪族スルホン酸を添加しなかったため、急激な温度上昇に脱アシル重縮合反応が追随せず、モノマーが未反応で残存し、未反応モノマーが昇華、突沸し、末端基バランスが崩れたためである。重合途中で吐出した後の反応容器内部には、突沸痕と見られる斑点が確認された。
[比較例3]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル309重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、N−メチルイミダゾール0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−17)のペレットを得た。吐出後の反応容器内部には、突沸痕と見られる斑点が確認された。
この液晶ポリエステル(a−17)のTmは314℃、溶融粘度は24Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.140重量%であった。
[比較例4]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル309重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、p−トルエンスルホン酸(pKa:−2.1)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−18)のペレットを得た。吐出後の反応容器内部には、突沸痕と見られる斑点が確認された。
この液晶ポリエステル(a−18)のTmは313℃、溶融粘度は23Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.126重量%であった。
[比較例5]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル309重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、酢酸ナトリウム0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−19)のペレットを得た。吐出後の反応容器内部には、突沸痕と見られる斑点が確認された。
この液晶ポリエステル(a−19)のTmは310℃、溶融粘度は21Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.177重量%であった。
[比較例6]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸1271重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル214重量部、テレフタル酸191重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート221重量部および無水酢酸1280重量部(フェノール性水酸基合計の1.09当量)を仕込んだ。このとき、全ジオール100モル%に対して、4,4’−ジヒドロキシビフェニルの割合は50モル%である。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、テレフタル酸およびポリエチレンテレフタレートの合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが15kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−20)のペレットを得た。得られたペレット中には、ポリエチレンテレフタレートの未溶融物と思われる異物が確認された。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−20)のTmは325℃、溶融粘度は13Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。全ジオール成分100モル%のうち、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の芳香族ジオール成分は50モル%であった。構造単位(III)およびエチレングリコール由来の構造単位の合計と、構造単位(V)は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.171重量%であった。
[比較例7]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド362重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。このとき、全ジオール100モル%に対して、ハイドロキノンの割合は30モル%である。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−21)のペレットを得た。吐出後の反応容器内部には、突沸痕と見られる斑点が確認された。
この液晶ポリエステル(a−21)のTmは306℃、溶融粘度は20Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。全ジオール成分100モル%のうち、ハイドロキノン由来の芳香族ジオール成分は30モル%であった。また、ガス発生量は、0.153重量%であった。
[比較例8]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、1,4−シクロペンチルホスホニル−1,4−ベンゼンジオール319重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。このとき、全ジオール100モル%に対して、ハイドロキノンの割合は30モル%である。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、1,4−シクロペンチルホスホニル−1,4−ベンゼンジオール、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−22)のペレットを得た。吐出後の反応容器内部には、突沸痕と見られる斑点が確認された。
この液晶ポリエステル(a−22)のTmは302℃、溶融粘度は19Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。全ジオール成分100モル%のうち、ハイドロキノン由来の芳香族ジオール成分は30モル%であった。また、ガス発生量は、0.160重量%であった。
[比較例9]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、2,2’−(2,5−ジヒドロキシ−1,3−フェニレン)ジアセトニトリル256重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。このとき、全ジオール100モル%に対して、ハイドロキノンの割合は30モル%である。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、2,2’−(2,5−ジヒドロキシ−1,3−フェニレン)ジアセトニトリル、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−23)のペレットを得た。吐出後の反応容器内部には、突沸痕と見られる斑点が確認された。
この液晶ポリエステル(a−23)のTmは302℃、溶融粘度は19Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。全ジオール成分100モル%のうち、ハイドロキノン由来の芳香族ジオール成分は30モル%であった。また、ガス発生量は、0.152重量%であった。
[比較例10]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸764重量部、6,7−ジフェニルナフタレン−1,4−ジオール462重量部、ハイドロキノン78重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸1158重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込んだ。このとき、全ジオール100モル%に対して、ハイドロキノンの割合は30モル%である。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸、6,7−ジフェニルナフタレン−1,4−ジオール、ハイドロキノン、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、145℃で1時間反応させアセチル化を終了した後、330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−24)のペレットを得た。吐出後の反応容器内部には、突沸痕と見られる斑点が確認された。
この液晶ポリエステル(a−24)のTmは305℃、溶融粘度は20Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。全ジオール成分100モル%のうち、ハイドロキノン由来の芳香族ジオール成分は30モル%であった。また、ガス発生量は、0.141重量%であった。
[比較例11]
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸アセテート997重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニルジアセテート449重量部、ハイドロキノンジアセテート138重量部、テレフタル酸256重量部、イソフタル酸138重量部および無水酢酸76重量部(アセチル基合計の0.07当量)を仕込んだ。同時に、p−ヒドロキシ安息香酸アセテート、4,4’−ジヒドロキシビフェニルジアセテート、ハイドロキノンジアセテート、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計100重量部に対して、メタンスルホン酸(pKa:−1.6)0.005重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら330℃まで3時間で昇温した。このとき、130℃到達から270℃に至るまでの時間が165分間となるように、温度を制御しながら昇温を行った。
その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして、液晶ポリエステル(a−25)のペレットを得た。また、吐出後の反応容器内部に、突沸痕は確認されなかった。
この液晶ポリエステル(a−25)のTmは312℃、溶融粘度は24Pa・sであった。また、前記方法により組成分析を行った結果を表1に示す。構造単位(III)および構造単位(IV)の合計と、構造単位(V)および構造単位(VI)の合計は実質的に等モルであった。また、ガス発生量は、0.120重量%であった。
実施例1〜15および比較例1〜11の評価結果を表1に示す。実施例および比較例で得られたペレットについては、引張強度の評価も行った。
脂肪族スルホン酸を添加することで、130℃〜270℃までの昇温時間を短くしても、重合缶内部の突沸が起こらず、ガス量および引張強度に優れる液晶ポリエステルが得られた。
Figure 0006260537
※1 HQはハイドロキノン、DHBは4,4’−ジヒドロキシビフェニルを表す
※2 HQ,4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド
※3 HQ,1,4−シクロペンチルホスホニル−1,4−ベンゼンジオール
※4 HQ,2,2’−(2,5−ジヒドロキシ−1,3−フェニレン)ジアセトニトリル
※5 HQ,6,7−ジフェニルナフタレン−1,4−ジオール
※6 反応容器内液温を表す
※7 比較例11は、カルボン酸アセテート、ジアセテート、ジカルボン酸の合計100重量部に対する重量部を表す
実施例1〜15および比較例1〜11で得られた液晶ポリエステルに対して、さらに充填材を加えて、液晶ポリエステル樹脂組成物を作製した。各実施例および比較例において用いた充填材を次に示す。
充填材(B)
(b−1) 日本電気硝子製 ガラスチョップドストランド(ECS03T747H)
(b−2) 日本電気硝子製 ミルドファイバー(40M−10A)
(b−3) 山口雲母工業製 マイカ(A−21)
(b−4) 富士タルク工業製 タルク(PKP−80)
[実施例16〜34、比較例12〜25]
東芝機械製TEM35B型2軸押出機(噛み合い型同方向)に、シリンダーC1(元込めフィーダー側ヒーター)〜C6(ダイ側ヒーター)の、C3部にサイドフィーダーを設置し、C5部に真空ベントを設置した。ニーディングブロックをC2部、C4部に組み込んだスクリューアレンジを用い、液晶ポリエステル(a−1〜a−25)を表2〜3に示す配合量でホッパーから投入し、必要に応じて充填材(b−1〜b−4)を液晶ポリエステル100重量部に対して表2〜3に示す配合量でサイドフィーダーから投入し、シリンダー温度を液晶ポリエステルの融点+20℃に設定して溶融混練した。ダイからストランド状に吐出した液晶ポリエステル樹脂組成物を水冷バスにより冷却した後、ストランドカッターでペレタイズして液晶ポリエステル樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットについて、前記(5)〜(6)に記載の方法で、引張強度およびクリープ特性の評価を行った。
実施例16〜34および比較例12〜25の評価結果を表2,3に示す。
Figure 0006260537
Figure 0006260537
実施例16〜34は、比較例12〜25と比べ、充填材混錬前後の引張強度比が大きくなり、引張強度の充填材補強効果に優れることが分かる。また、充填材混錬後のクリープ特性にも優れることが分かる。

Claims (12)

  1. 芳香族ヒドロキシカルボン酸、下記構造単位(I)を有する芳香族ジオールを70モル%以上含むジオール、および芳香族ジカルボン酸を、
    アシル化剤と下記式(A)で表される脂肪族スルホン酸存在下で反応させる液晶ポリエステルの製造方法。
    Figure 0006260537
    (Arは分子量200未満であって、2価の芳香族炭化水素基)
    式(A) R−SOH (R:炭素数1〜12のアルキル基)
  2. 前記脂肪族スルホン酸を、脱アシル重縮合反応開始までに添加する請求項1に記載の液晶ポリエステルの製造方法。
  3. 前記脂肪族スルホン酸を、反応容器内液温が130℃以下の時に添加する請求項1または2のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
  4. 前記脂肪族スルホン酸を、
    芳香族ヒドロキシカルボン酸、ジオール、および芳香族ジカルボン酸の合計100重量部に対して、
    0.0005重量部以上0.1重量部以下添加する請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
  5. 前記芳香族ジオールが下記構造単位(IV)を有する化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
    Figure 0006260537
  6. 芳香族ヒドロキシカルボン酸が下記構造単位(II)を有する化合物であり、
    芳香族ジオールが下記構造単位(III)を有する化合物、および下記構造単位(IV)を有する化合物であり、
    芳香族ジカルボン酸が下記構造単位(V)を有する化合物、および下記構造単位(VI)を有する化合物である、
    請求項1〜5のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
    Figure 0006260537
  7. 得られる液晶ポリエステルが、
    構造単位(II)が構造単位(II)、(III)および(IV)の合計に対して65〜80モル%であり、
    構造単位(III)が構造単位(III)および(IV)の合計に対して55〜85モル%であり、
    構造単位(V)が構造単位(V)および(VI)の合計に対して50〜90モル%であり、
    構造単位(III)および(IV)の合計と(V)および(VI)の合計が実質的に等モルである液晶ポリエステルである、
    請求項1〜6のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法(ここでいう実質的に等モルとは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットが等モルであることを意味する。)
  8. 前記脂肪族スルホン酸がメタンスルホン酸および/またはエタンスルホン酸である請求項1〜7のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
  9. 全ジオール由来の構造単位100モル%のうち、下記構造単位(I)で表される芳香族ジオール由来の構造単位を70モル%以上含み、窒素ガス雰囲気下、液晶ポリエステルの融点+20℃の温度で30分保持した際の加熱減少率が、0.1重量%以下である液晶ポリエステル。
    Figure 0006260537
    (Arは分子量200未満であって、2価の芳香族炭化水素基)
  10. 前記液晶ポリエステルが、構造単位(IV)を有する請求項9記載の液晶ポリエステル。
    Figure 0006260537
  11. 請求項9または10に記載の液晶ポリエステル100重量部に対して、充填材10〜200重量部を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物。
  12. 請求項9または10に記載の液晶ポリエステル、または請求項11に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品。
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