JP6259684B2 - ゴムホース加硫用締布 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車に用いられるホースの加硫用締布に関する。
ゴムホースを製造する際、一般的に形状を確保するために織布をゴムの上から巻き付け、形状を保持させた後加硫処理を行い、その後、織布を剥がし最終形状としている。加硫処理は乾式と湿式に大別されるが一般的には湿式が用いられており、押出し機から未加硫のゴムが押出され、補強糸層を形成した後、形状を整えるために織布を巻き、加硫処理を行っている。この加硫時に使用する織布は締布もしくは型付け布と呼称されており、劣化が認められない場合は数回繰返し使用されている。
耐候性が要求される屋外用のホースやルーフィング材にはエチレンープロピレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、水添アクリロニトリルブタジエンゴム等の非ジエン系ゴムが使用されている。これらのゴムの加硫ではペルオキソドやパーオキサイドなどの過酸化物の添加により加硫が促進される。この時の加硫雰囲気においては、過酸化物成分が蒸発し酸化性の水蒸気となっているので、耐酸化劣化性の低い繊維からなる織布を締布として用いた場合、織布が酸化劣化し長寿命化が困難となるといった問題点があった。
従来、締布に用いられる繊維としてはポリエステル繊維やポリアミド繊維が用いられている。しかしナイロン6、ナイロン66などの結晶性ポリアミド系繊維においては吸水による物性変化、酸、高温のアルコール、熱水中での劣化などの問題点も指摘されており、締布用途としては耐酸化劣化性を生じやすく、加硫処理を繰り返す毎に強度低下が進むため、長期に亘る繰返しの使用が困難ある。また、特定のポリアミド系繊維で構成される織布を用いることによって耐酸化劣化性を向上させたものも開示されている(例えば特許文献1)が、性能に更なる改善の余地があった。
特開2007−046200号公報
本発明の課題は、加硫処理時の耐酸化劣化性に優れる自動車用ホース、シートあるいはベルト等のゴムホース加硫用締布を提供することにある。
本発明者等は上記問題点を鑑みて鋭意検討を行った結果、ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂を含有する繊維を用いることにより、加硫処理を実施しても強度減少を生じにくい耐酸化劣化性に優れた締布が得られることを見出した。
すなわち本発明は、ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂を含有する繊維を含むゴムホース加硫用締布である。
本発明は、前記ポリアミド樹脂が、96%硫酸を溶媒とし、濃度1.0g/dlのポリアミド樹脂溶液を用いて25℃で測定した場合の相対粘度(ηr)が1.8〜6.0であってもよい。
本発明は、前記ポリアミド樹脂が、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した熱重量分析における1%重量減少温度と窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した示差走査熱量法により測定した融点との温度差が50℃以上であってもよい。
本発明は、前記ジアミン成分が、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が5:95〜95:5であってもよい。
本発明は、下記式で求められる耐酸化劣化性が90%以上であるゴムホース加硫用締布であってもよい。
耐酸化劣化性(%)=(T'/T)×100
(上記式において、Tは処理前の締布の引張強さ(cN/dtex)、T'は処理後の締布の引張強さ(cN/dtex)を意味する。前記引張強さとは、JIS L1096−8.12試験法に準拠して測定した引張強さを意味し、前記処理とは、締布を70℃の10%過酸化水素水の中に24時間浸漬し、その後蒸留水で水洗した後、20℃で3日間風乾させることを意味する。)
本発明のポリアミド樹脂を含有する繊維を用いることにより、加硫処理を実施しても強度低下を生じにくい耐酸化劣化性に優れる自動車用ホース、シートあるいはベルト等のゴムホース加硫用締布を提供することができる。
本発明の締布に用いられる繊維は、ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂を含有する繊維であることが重要である。
上記ポリアミド樹脂のジカルボン酸源としての蓚酸源としては、蓚酸ジエステルが用いられ、これらはアミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジn−(又はi−)プロピル、蓚酸ジn−(又はi−、又はt−)ブチル等の脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステル、蓚酸ジシクロヘキシル等の脂環式アルコールの蓚酸ジエステル、蓚酸ジフェニル等の芳香族アルコールの蓚酸ジエステル等が挙げられる。上記の蓚酸ジエステルの中でも炭素原子数が3を超える脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステル、脂環式アルコールの蓚酸ジエステル、芳香族アルコールの蓚酸ジエステルが好ましく、その中でも蓚酸ジブチル及び蓚酸ジフェニルが特に好ましい。
上記ポリアミド樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、蓚酸以外の他のジカルボン酸成分を含むことができる。蓚酸以外の他のジカルボン酸成分としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸、また、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、さらにテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等を単独で、あるいはこれらの任意の混合物を重縮合反応時に添加することもできる。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。上記のジカルボン酸の配合量としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、一般的には、ジカルボン酸の総量に対して、5モル%以下であることが好ましい。
上記ポリアミド樹脂のジアミン成分としては、紡糸性の観点から1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物を用いることが重要である。更に、1,9−ノナンジアミン成分と2−メチル−1,8−オクタンジアミン成分のモル比は、1:99〜99:1であることが重要であり、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは5:95〜40:60又は60:40〜95:5、特に好ましくは5:95〜30:70又は70:30〜90:10である。
上記ポリアミド樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他のジアミン成分を含むことができる。1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン以外の他のジアミン成分としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミンなどの脂肪族ジアミン、更にシクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン、更にp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香族ジアミンなどを単独で、あるいはこれらの任意の混合物を重縮合反応時に添加することもできる。他のジアミン成分の使用量は、ジアミン成分全体の5モル%以下であることが好ましい。
上記ポリアミド樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、一部が他のポリマー成分で置き換えられたものであってもよい。他のポリマー成分としては、ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド以外のポリアミドとしての、ポリオキサミド、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミドなどのポリアミド類や、ポリアミド以外の熱可塑性ポリマーなどが挙げられる。上記ポリアミド樹脂中の、ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるポリアミドの割合は、50質量%超、更に70質量%以上が好ましい。
さらに上記ポリアミド樹脂はその分子鎖の末端基の10%以上が末端封止剤により封止されていることが好ましく、末端の40%以上、さらには末端の70%以上が封止されていることが好ましい。分子鎖の末端を封止することにより、得られる繊維からなる締布の耐酸化劣化性が優れたものとなる。末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基と反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性および封止末端の安定性の点からはモノカルボン酸、モノアミンが好ましく、取扱性の容易さ、反応性、封止末端の安定性、価格等の点から特にモノカルボン酸が好ましい。モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸などを挙げることができる。なお、末端の封止率はH−NMRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値より求めることができる。
上記ポリアミド樹脂の分子量に特別の制限はないが、ポリアミド樹脂濃度が1.0g/dlの96%濃硫酸溶液を用い、25℃で測定した相対粘度ηrが1.8〜6.0の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2.0〜5.5であり、2.5〜4.5が特に好ましい。ηrが1.8より低いと成形物が脆くなり物性が低下する傾向がある。一方、ηrが6.0より高いと溶融粘度が高くなり、成形加工性が悪くなる傾向がある。
上記ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分として蓚酸を用い、ジアミン成分として1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンを共重合することで、蓚酸と1,9−ノナンジアミンからなるポリアミドと比べて、上記相対粘度を増加させること、すなわち分子量を増加させることが可能である。また、実質的な熱分解の指標である1%重量減少温度(以下、Tdと略す)と融点(以下、Tmと略す)の差(Td−Tm)で表される成形可能温度範囲が、蓚酸と1,9−ノナンジアミンからなるポリアミドと比べて拡大し、成形可能温度範囲が好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であることができ、更には90℃以上も可能である。上記ポリアミド樹脂は、Tdが好ましくは280℃、より好ましくは300℃以上、更に好ましくは320℃以上であり、高い耐熱性も有している。
本発明において用いるポリアミド樹脂は、ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができ、ジアミン及び蓚酸ジエステルをバッチ式又は連続式で重縮合反応させることにより得ることができる。具体的には、下記のような、(1)前重縮合工程、(2)後重縮合工程の順で行うのが好ましい。
(1)前重縮合工程:まず反応器内を窒素置換した後、ジアミン(ジアミン成分)及び蓚酸ジエステル(蓚酸源)を混合する。混合する場合にジアミン及び蓚酸ジエステルが共に可溶な溶媒を用いてもよい。ジアミン成分及び蓚酸源が共に可溶な溶媒としては、特に制限されないが、トルエン、キシレン、トリクロロベンゼン、フェノール、トリフルオロエタノールなどを用いることができ、特にトルエンを好ましく用いることができる。例えば、ジアミンを溶解したトルエン溶液を50℃に加熱した後、これに対して蓚酸ジエステルを加える。このとき、蓚酸ジエステルと上記ジアミンの仕込み比は、蓚酸ジエステル/上記ジアミンで、0.8〜1.5(モル比)、好ましくは0.91〜1.1(モル比)、更に好ましくは0.99〜1.01(モル比)であることができる。
このように仕込んだ反応器内を攪拌及び/又は窒素バブリングしながら、常圧下で昇温する。反応温度は、最終到達温度が80〜150℃、好ましくは100〜140℃の範囲になるように制御するのが好ましい。最終到達温度での反応時間は例えば3時間〜6時間である。
(2)後重縮合工程:更に高分子量化を図るために、前重縮合工程で生成した重合物を常圧下において反応器内で徐々に昇温する。昇温過程において前重縮合工程の最終到達温度、すなわち80〜150℃から、最終的に220℃以上300℃以下、好ましくは230℃以上280℃以下、更に好ましくは240℃以上270℃以下の温度範囲にまで到達させる。昇温時間を含めて1〜8時間、好ましくは2〜6時間保持して反応を行うことが好ましい。更に後重合工程において、必要に応じて減圧下での重合を行うこともできる。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は0.1MPa未満〜13.3Paである。
本発明においては、上記製造方法によって得られたポリアミド樹脂に加えて、必要に応じて各種添加剤を組合せることができ、これらはポリアミド重縮合反応時、またはその後に組合せることができる。
各種添加剤としては、補強剤、フィラー、銅化合物などの安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、ガラス繊維、可塑剤、潤滑剤、耐熱剤などが挙げられる。
補強剤としては、例えば層状珪酸塩を好ましく使用できる。層状珪酸塩は、一辺の長さが0.002〜1μmで、厚さが6〜20Åである平板状のものを用いることが好ましい。また、上記層状珪酸塩は、ポリアミド樹脂中に分散した際に、各層が約18Å以上の層間距離を保ち、均一に分散されるものであることが好ましい。ここで、「層間距離」とは、平板状をなす層状珪酸塩の各重心の間の距離をいい、「均一に分散する」とは、各層が主にランダムな状態で存在し、層状珪酸塩の50質量%以上、好ましくは70質量%以上が、複層物を形成することなく単層に分散していることをいうものとする。
上記層状珪酸塩の原料としては、珪酸マグネシウムまたは珪酸アルミニウムの層から構成される層状フィロ珪酸鉱物、すなわち、珪酸アルミニウム質フィロ珪酸塩または珪酸マグネシウム質フィロ珪酸塩を例示することができる。具体的には、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スティブンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイト等を例示することができ、これらは天然のものであっても、合成されたものであってもよい。
なお、上記層状珪酸塩は、ミキサー、ボールミル、振動ミル、ピンミル、ジェットミル、叩解機等を用いて粉砕し、予め所望の形状及びサイズのものとしておくことが好ましい。
上記層状珪酸塩の量は、機械的強度や風合の向上効果が得られる量であれば特に制限されるものではないが、本発明で用いるポリアミド樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.05〜8質量部、特に好ましくは0.05〜5質量部である。層状珪酸塩の割合が低くなると、上記向上効果が小さくなる傾向があり、上記割合が高くなると、樹脂組成物の流動性や得られる成形物の物性、特に衝撃強度が低くなる傾向がある。
上記層状珪酸塩をポリアミド樹脂に分散させるために、通常、膨潤化剤が用いられる。該膨潤化剤は、粘土鉱物の層間を拡げる役割と、粘土鉱物に層間ポリマーを取り込む力を与える役割とを有するものであり、本発明の場合には、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンを用いることが好ましい。
上記層状珪酸塩をポリアミド樹脂中に均一に分散させる方法としては、例えば以下の方法を例示できる。層状珪酸塩の原料が多層状粘土鉱物である場合、層状珪酸塩を塩酸等によりイオン化し、ここに膨潤化剤として1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンを添加して、予め層状珪酸塩の各層の間隔を広げる。次いで、当該層の間にポリアミド原料を導入し、さらに当該層の間で上記原料を重合させることができる。
また、膨潤化剤として高分子化合物を用いて層間を約100Å以上に予め広げ、これをポリアミド樹脂と溶融混合して、各層をポリアミド樹脂に分散させてもよい。
上述のようにして得られるポリアミド樹脂は、通常溶融押出機を用いて溶融紡糸されるが、その際スクリュー型押出機を使用することが好ましい。具体的にはポリアミドの融点以上の温度で溶融し、30分以内の溶融滞留時間で口金ノズルより紡出することにより繊維化することができる。しかも、溶融温度、滞留時間は上記の範囲内であれば、紡糸時のポリアミドの熱分解を抑制することができる。
前述のごとく紡出した糸条を引取りローラー等により引き取る。この時必要に応じてノズル直下に加熱または保温ゾーンを設けたり、吹付けチャンバー等による冷却ゾーンを設けたり、紡出した糸条に油剤を塗布してもよい。
次いで延伸が施されるが、延伸は加熱浴、加熱蒸気吹付け、ローラーヒーター、接触プレートヒーター、非接触プレートヒーター等を使用して270℃以下で行うことが好ましく、60〜230℃の範囲で行うことがより好ましい。さらに延伸倍率は2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましい。この時、270℃より高い温度で延伸を行うとポリアミドの劣化や結晶の再組織化等が起こり繊維強度が低下する。必要に応じて延伸に引き続いて120〜270℃で定長熱処理、緊張熱処理または弛緩熱処理を行うことができる。
また上記した方法以外にも紡糸直結延伸を行うことも可能である。
上記した方法により得られる繊維を用いて本発明の締布を製造する。締布の織方法は平織り、綾織、朱子織、綟り織などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
本発明の締布は下記式より導かれる耐酸化劣化性が90%以上であることが好ましく、より好ましくは95% 以上、更に好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上100% 以下である。耐酸化劣化性が90% 未満であると、織布の酸化劣化が加速し、長寿命化が困難となる。
耐酸化劣化性(%)=(T'/T)×100
(上記式において、Tは処理前の締布の引張強さ(cN/dtex)、T'は処理後の締布の引張強さ(cN/dtex)を意味し、前記処理とは、締布を70℃の10%過酸化水素水の中に24時間浸漬し、その後蒸留水で水洗した後、20℃で3日間風乾させることを意味する。)
ここで引張強さ(cN/dtex) とは、JIS L1096−8.12試験法に準拠して測定した値を示す。
以下実施例によって、本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。なお本発明において耐酸化劣化性は以下の測定方法により測定されたものを意味する。
(1)相対粘度(ηr)
ηrは、ポリアミドの96%硫酸溶液(濃度:1.0g/dl)を用いて、オストワルド型粘度計により25℃で測定した。
(2)融点(Tm)
Tmは、PerkinELmer社製PYRIS Diamond DSCを用いて窒素雰囲気下で測定した。30℃から270℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、270℃で3分保持したのち、−100℃まで10℃/分の速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に270℃まで10℃/分の速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。得られたDSCチャートから昇温セカンドランの吸熱ピーク温度をTmとした。
(3)1%重量減少温度(Td)
Tdは島津製作所社製THERMOGRAVIMETRIC ANALYZER TGA−50を用い、熱重量分析(TGA)により測定した。20ml/分の窒素気流下室温から500℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、Tdを測定した。
(4)耐酸化劣化性
締布を70℃の10%過酸化水素水中に24時間浸漬し、浸漬後蒸留水で水洗後、20℃で3日間風乾させ、その処理前後の織布の強度をJIS L1096−8.12試験法に準拠して測定し、下式により耐酸化劣化性を測定した。
耐酸化劣化性(%)=(T'/T)×100
ここで、T:処理前の織布の引張強さ(cN/dtex)
T':処理後の織布の引張強さ(cN/dtex)
[製造例1:PA92−1の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、ダイアフラムポンプを直結した原料投入口、窒素ガス導入口、放圧口、圧力調節装置及びポリマー抜出し口を備えた内容積が150リットルの圧力容器にシュウ酸ジブチル28.40kg(140.4モル)を仕込み、圧力容器の内部を純度が99.9999%の窒素ガスで0.5MPaに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出する操作を5回繰り返し、窒素置換を行った後、封圧下、攪拌しながら系内を昇温した。約30分間かけてシュウ酸ジブチルの温度を100℃にした後、1,9−ノナンジアミン18.89kg(119.3モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン3.34kg(21.1モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が85:15)をダイアフラムフポンプにより流速1.49リットル/分で約17分間かけて反応容器内に供給すると同時に昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、1時間かけて温度を235℃まで昇温した。その間、生成したブタノールを放圧口より抜き出しながら、内圧を0.5MPaに調節した。重縮合物の温度が235℃に達した直後から放圧口よりブタノールを約20分間かけて抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5リットル/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、約1時間かけて重縮合物の温度を260℃にし、260℃において4.5時間反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaに加圧して約10分間静置した後、内圧0.5MPaまで放圧し、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重合物は直ちに水冷し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化した。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.20であった。
[製造例2:PA92−2の製造]
1,9−ノナンジアミン17.62kg(111.3モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン4.45kg(28.1モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が80:20)を仕込んだほかは、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.10であった。
[製造例3:PA92−3の製造]
1,9−ノナンジアミン11.11kg(70.2モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン11.11kg(70.2モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が50:50)を仕込んだ以外は、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.35であった。
[製造例4:PA92−4の製造]
1,9−ノナンジアミン6.67kg(42.1モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン15.56kg(98.3モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が30:70)を仕込んだ以外は製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.55であった。
[製造例5:PA92−5の製造]
1,9−ノナンジアミン1.33kg(8.4モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン20.88kg(131.9モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が6:94)を仕込んだほかは、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.53であった。
[製造例6:PA92−6の製造]
1,9−ノナンジアミン1.33kg(8.4モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン20.88kg(131.9モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が6:94)を仕込み、ブタノールの抜出による内圧を0.25MPaに保持した以外は、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は白色の強靭なポリマーであり、ηr=4.00であった。
製造例1〜6で調製したポリアミド、並びに市販品のPA6(宇部興産製、UBEナイロン1015B)、PA66(UBEナイロン2020B)から得られた延伸糸を用いて、縦・横それぞれ835dtex×40本/インチからなる平織り織布を作製し(実施例1〜6、比較例1、2)、織布強力、耐酸化劣化性の評価を行った。実施例、比較例について表1にまとめた。
Figure 0006259684
実施例1の織布は、耐酸化劣化性が98%を超えるものであり、締布として特に優れた性能を有しているものであった。
実施例2から4の織布は、耐酸化劣化性が90%を超えるものであり、締布として優れた性能を有しているものであった。
実施例5、6の織布は、耐酸化劣化性が98%を超えるものであり、締布として特に優れた性能を有しているものであった。
比較例1の織布は、繊維劣化が非常に激しく処理液から取り出す段階でサンプルが破れ、強力測定が不可能であった。
比較例2の織布は、処理液の吸水、およびそれによる酸化による結晶等の内部構造が破壊された結果、3日間の風乾中の繊維収縮が激しく、乾燥後の形態が塊状になったため引張測定は不可能であった。
本発明のポリアミド樹脂を含有する繊維を用いた織布は、加硫処理による強度低下を生じにくく、耐酸化劣化性に優れるので、例えば自動車に用いられるホースの加硫用締布として有用である。またゴムシート等においても、ゴム表面に織布を敷設し、ロール状に巻いた後加硫処理を行い、その後織布を剥がし最終形状とする場合があるが、その際のシート、ベルト等の加硫用締布としても有用である。

Claims (5)

  1. ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂を含有する繊維で構成されることを特徴とするゴムホース加硫用締布。
  2. 前記ポリアミド樹脂が、96%硫酸を溶媒とし、濃度1.0g/dlのポリアミド樹脂溶液を用いて25℃で測定した場合の相対粘度(ηr)が1.8〜6.0である、請求項1に記載の繊維で構成されるゴムホース加硫用締布。
  3. 前記ポリアミド樹脂が、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した熱重量分析における1%重量減少温度と窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した示差走査熱量法により測定した融点との温度差が50℃以上である、請求項1又は2に記載の繊維で構成されるゴムホース加硫用締布。
  4. 前記ジアミン成分が、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとのモル比が5:95〜95:5である、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維で構成されるゴムホース加硫用締布。
  5. 下記式で求められる耐酸化劣化性が90%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のゴムホース加硫用締布。
    耐酸化劣化性(%)=(T'/T)×100
    (上記式において、Tは処理前の締布の引張強さ(cN/dtex)、T'は処理後の締布の引張強さ(cN/dtex)を意味し、前記処理とは、締布を70℃の10%過酸化水素水の中に24時間浸漬し、その後蒸留水で水洗した後、20℃で3日間風乾させることを意味する。)
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