第1の実施の形態.
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の構成を示す図である。ここでは、画像形成装置を、白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの5種類のトナーを用いて画像を形成する電子写真式プリンタとして説明する。
本実施の形態における画像形成装置1は、画像形成ユニットとしての5つのイメージドラムユニット(以下、IDユニット)10W,10Y,10C,10M,10Kを備えている。IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kは、後述する中間転写ベルト9の移動方向に沿って、ここでは図中左から右に一列に配列されている。
画像形成装置1は、また、複数枚の記録媒体(例えば印刷用紙)23を積載状態で収容する給紙カセット20(媒体収容部)と、給紙カセット20から記録媒体23を1枚ずつ送り出す給紙ローラ21(媒体供給部)と、給紙カセット20から送り出された媒体23を案内する供給搬送路101と、供給搬送路101に沿って搬送されてきた記録媒体23を更に搬送する搬送ローラユニット22(媒体搬送部)と、搬送ローラユニット22によって搬送される記録媒体23を案内する搬送路102と、記録媒体23の通過を検出する媒体センサ53(媒体検出部)とを有している。
画像形成装置1は、また、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kの下側に対向するように配置された無端状ベルトである中間転写ベルト9(転写媒体)を有している。中間転写ベルト9の内周側には、各IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kで形成されたトナー像を中間転写ベルト9に1次転写する1次転写ローラ19w,19y,19c,19m,19kと、中間転写ベルト9を駆動するベルト駆動ローラ25aと、従動ローラ25bと、2次転写バックアップローラ27aとが配置されている。
中間転写ベルト9の外周側には、2次転写バックアップローラ27aとの間で中間転写ベルト9を挟持するように、2次転写ローラ27bが配置されている。2次転写バックアップローラ27aと2次転写ローラ27bにより、中間転写ベルト9から記録媒体23にトナー像を転写する2次転写部が形成される。
画像形成装置1は、さらに、2次転写部でトナー像が転写された記録媒体23を加熱・加圧してトナー像を定着する定着ユニット24を備えている。定着ユニット24は、加熱ローラ28と加圧ローラ29とを有している。加熱ローラ28は、内部にハロゲンランプなどの発熱体を有し、記録媒体23を加熱する。加圧ローラ29は、加熱ローラ28との間で記録媒体23を加圧する。
画像形成装置1は、さらに、定着ユニット24から排出された記録媒体23の搬送路を切り替えるセレクタ50(搬送路切替機構)と、排出搬送路103と、再搬送路104とを備えている。排出搬送路103は、トナー像が定着した記録媒体23を画像形成装置1の外部に排出するための搬送路である。再搬送路104は、トナー像が定着した記録媒体23を、印刷面を反転させずに搬送ローラユニット22に搬送(再搬送)するための搬送路である。
画像形成装置1は、さらに、排出搬送路103に沿って搬送された記録媒体23を装置外に排出する排出ローラユニット26(媒体排出部)と、排出ローラユニット26によって排出された記録媒体23を載置する排出トレイ2と、記録媒体23を再搬送路104に沿って搬送ローラユニット22まで搬送する再搬送ユニット51とを備えている。再搬送ユニット51は、記録媒体23を再搬送路104に沿って搬送する再搬送ローラユニット52を有している。
IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kに対向するように、露光手段としてのLED(発光ダイオード)ヘッド14w,14y,14c,14m,14kが配設されている。LEDヘッド14w,14y,14c,14m,14kは、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kの感光体ドラム12w,12y,12c,12m,12k(後述)に光を照射することにより、白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのイメージデータに対応する静電潜像を形成するものである。
IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kは、像担持体としての感光体ドラム12w,12y,12c,12m,12kと、帯電部材としての帯電ローラ13w,13y,13c,13m,13kと、現像剤担持体としての現像ローラ15w,15y,15c,15m,15kと、供給部材としての供給ローラ17w,17y,17c,17m,17kと、層形成部材としての層形成ブレード16w,16y,16c,16m,16kとを有している。
なお、感光体ドラム12wは「第1の像担持体」とも称する。感光体ドラム12y,12c,12m,12kは「第2の像担持体」とも称する。帯電ローラ13wは「第1の帯電部材」とも称する。帯電ローラ13y,13c,13m,13kは「第2の帯電部材」とも称する。LEDヘッド14wは「第1の露光手段」とも称する。LEDヘッド14y,14c,14m,14kは「第2の露光手段」とも称する。
また、現像ローラ15wは「第1の現像剤担持体」とも称する。現像ローラ15y,15c,15m,15kは「第2の現像剤担持体」とも称する。供給ローラ17wは「第1の供給部材」とも称する。供給ローラ17y,17c,17m,17kは「第2の供給部材」とも称する。層形成ブレード16wは「第1の層形成部材」とも称する。層形成ブレード16y,16c,16m,16kは「第2の層形成部材」とも称する。
IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kは、さらに、現像剤収容器としてのトナータンク18w,18y,18c,18m,18kが取り付けられている。トナータンク18w,18y,18c,18m,18kは、現像に用いる白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの現像剤をそれぞれ収容している。現像剤は、トナーからなる1成分現像剤であってもよく、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤であってもよい。
感光体ドラム12w,12y,12c,12m,12kは、例えば円筒状の導電性支持体の表面に感光層を塗布して形成したものである。感光層は、導電性支持体の表面に、ブロッキング層、電荷発生層、および電荷輸送層を順に積層したものである。ここでは、電荷輸送層の厚さを約18μmとする。
帯電ローラ13w,13y,13c,13m,13kは、例えば金属製のシャフトの周囲に半導電性のウレタンゴム層を設け、その周囲をウレタン樹脂の保護膜層で覆った構成を有している。帯電ローラ13w,13y,13c,13m,13kは、それぞれ帯電電圧(CH)が印可されており、感光体ドラム12w,12y,12c,12m,12kの表面を一様に帯電させる。
現像ローラ15w,15y,15c,15m,15kは、例えば金属製のシャフトの周囲に弾性層を設けた構成を有する。弾性層は、例えばアスカーC硬度が70°の半導電性のウレタンゴムで形成される。現像ローラ15w,15y,15c,15m,15kは、それぞれ現像電圧(DB)が印可されており、感光体ドラム12w,12y,12c,12m,12kの表面に形成された静電潜像を現像する。
供給ローラ17w,17y,17c,17m,17kは、例えば金属製のシャフトの周囲に発泡体層を設けた構成を有する。発泡体層は、例えばアスカーFが硬度50°のシリコン発泡体で形成される。供給ローラ17w,17y,17c,17m,17kは、それぞれ供給電圧が印可されており、現像ローラ15w,15y,15c,15m,15kに現像剤(トナー、または、トナーとキャリア)を供給する。
層形成ブレード16w,16y,16c,16m,16kは、例えば金属製の略矩形状の部材を現像ローラ15w,15y,15c,15m,15kの周面から遠ざかる方向に折り曲げた構成を有しており、折り曲げ部分を現像ローラ15w,15y,15c,15m,15kの表面に当接させている。層形成ブレード16w,16y,16c,16m,16kは、それぞれ層形成電圧が印可されており、現像ローラ15w,15y,15c,15m,15k上の現像剤層の厚さを規制する。本実施の形態では、層形成電圧と供給電圧とは同じに設定されており、層形成・供給電圧(SB)と称される。
中間転写ベルト9は、プラスチックフィルムで形成された継ぎ目のない無端状ベルトである。中間転写ベルト9は、電気抵抗の高い材料で形成された外周側の高抵抗層と、電気抵抗の低い材料で形成された内周側の導電層(低抵抗層)との2層構造を有している。中間転写ベルト9は、支持部材としてのベルト駆動ローラ25a、ベルト従動ローラ25bおよび2次転写バックアップローラ27aに張架されており、中間転写ベルト9の外周面(高抵抗層)が、感光体ドラム12w,12y,12c,12m,12kの表面に接している。
中間転写ベルト9の高抵抗層は、例えば、体積抵抗率が1011〜1013Ω・cmとなるように、ポリアミドイミド(PAI)にカーボンを添加して形成される。中間転写ベルト9の導電層は、例えば、体積抵抗率が1014Ω・cm以下となるように、導電性部材としてのアルミニウム薄膜を圧延して、上記の高抵抗層に貼り合わせ、または蒸着することにより形成される。
1次転写ローラ19w,19y,19c,19m,19kは、例えば金属製のシャフトの周囲に発泡した弾性層を設けた構成を有している。弾性層は、例えば中程度の電気抵抗を有する弾性発泡ゴムにより形成される。1次転写ローラ19w,19y,19c,19m,19kは、それぞれ1次転写電圧(TR)が印可されており、感光体ドラム12w,12y,12c,12m,12k上のトナー像を中間転写ベルト9に転写(1次転写)する。
2次転写ローラ27bは、金属製のシャフトの周囲に発泡した弾性層を設け、この弾性層の周囲を被覆層で覆った構成を有している。弾性層は、例えば弾性発泡ゴムにより形成される。被覆層は、例えば樹脂チューブにより形成される。2次転写ローラ27bは、2次転写電圧を付与されており、中間転写ベルト9上のトナー像を記録媒体23に転写(2次転写)する。
画像形成装置1は、また、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kの各感光体ドラム12w,12y,12c,12m,12kを、中間転写ベルト9に接触させ、または離間させるアップダウン機構70(図2)を備えている。
図2(A)、(B)および(C)は、アップダウン機構70の基本構成および動作を示す模式図である。アップダウン機構70(離接機構)は、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kの配列方向に延在するアップダウンレバー71を有している。
アップダウンレバー71は、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kに対して、感光体ドラムの軸方向(紙面に直交する方向)における一方の側にある。図2では、図示の便宜上、アップダウンレバー71を、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kと重なるように示している。
アップダウンレバー71は、図2(A)に矢印A,Bで示すように、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kの配列方向に移動可能に構成されている。また、アップダウンレバー71の端部(ここでは左端部)にはラック77が形成され、このラック77には、アップダウンモータ75により回転するピニオンギア76が噛み合っている。アップダウンモータ75の回転により、アップダウンレバー71が矢印A,Bで示す方向(ここでは左右方向)に移動する。
アップダウンレバー71は、また、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kに設けられた当接部11w,11y,11c,11m,11kをアップ位置(退避位置)に押し上げる凸形状のアップ位置規制部72w,72y,72c,72m,72kと、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kをダウン位置(転写可能位置)で保持するダウン位置規制部73とを有している。
ここでは、アップダウンレバー71のうち、アップ位置規制部72w,72y,72c,72m,72kを構成する凸部およびラック77を除く部分の上面(平坦面)が、ダウン位置規制部73をなしている。また、アップ位置規制部72w,72y,72c,72m,72kを構成する凸部の両側面は、傾斜面となっている。
アップダウンレバー71が図2(A)に示す位置にあるときには、アップ位置規制部72y,72c,72m,72kは、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのIDユニット10Y,10C,10M,10Kの当接部11y,11c,11m,11kを持ち上げる位置にある。一方、アップ位置規制部72wは、白色のIDユニット10wの当接部11wを持ち上げる位置になく、IDユニット10wの当接部11wはダウン位置規制部73上で保持されている。
すなわち、図2(A)に示した状態では、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのIDユニット10Y,10C,10M,10Kがアップ位置、すなわち中間転写ベルト9から上方に離間した位置(退避位置)にあり、白色のIDユニット10wがダウン位置、すなわち中間転写ベルト9に接する位置(転写可能位置)にある。
一方、アップダウンレバー71が図2(A)の状態から矢印A方向に移動すると、図2(B)に示すように、アップ位置規制部72wが、白色のIDユニット10wの当接部11wを持ち上げる位置に到達する。このとき、アップ位置規制部72y,72c,72m,72kは、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのIDユニット10Y,10C,10M,10Kの当接部11y,11c,11m,11kを持ち上げる位置から外れる。そのため、IDユニット10Y,10C,10M,10Kの当接部11y,11c,11m,11kは、ダウン位置規制部73上で保持される。
すなわち、図2(B)に示した状態では、白色のIDユニット10wがアップ位置、すなわち中間転写ベルト9から離間した位置(退避位置)にあり、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのIDユニット10Y,10C,10M,10Kがダウン位置、すなわち中間転写ベルト9に接する位置(転写可能位置)にある。
また、アップダウンレバー71が図2(A)の状態から矢印B方向に移動すると、図2(C)に示すように、アップ位置規制部72w,72y,72c,72m,72kは、白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのIDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kの当接部11w,11y,11c,11m,11kを持ち上げる位置から外れる。そのため、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kの当接部11w,11y,11c,11m,11kは、全てダウン位置規制部73上で保持される。
すなわち、図2(C)に示した状態では、白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのIDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kが全てダウン位置、すなわち中間転写ベルト9に接する位置(転写可能位置)にある。
このように、アップダウン機構70は、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのIDユニット10Y,10C,10M,10Kが中間転写ベルト9から離間し、白色のIDユニット10wが中間転写ベルト9に接する第1の状態(図2(A))と、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのIDユニット10Y,10C,10M,10Kが中間転写ベルト9に接し、白色のIDユニット10wが中間転写ベルト9から離間する第2の状態(図2(B))と、全IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kが中間転写ベルト9に接する第3の状態(図2(C))とを切り替えることができる。
なお、白色のトナーは「第1のトナー」とも称する。また、IDユニット10Wが中間転写ベルト9に転写する白色のトナー像は「第1のトナー像」(またはコート用トナー像)とも称する。IDユニット10Wは「第1の画像形成ユニット」とも称する。
一方、カラー(イエロー、シアン、マゼンタおよびブラック)のトナーは「第2のトナー」とも称する。また、IDユニット10Y,10C,10M,10Kが中間転写ベルト9に転写するカラーのトナー像は「第2のトナー像」(または画像用トナー像)とも称する。IDユニット10Y,10C,10M,10Kは「第2の画像形成ユニット」とも称する。
次に、トナーについて説明する。白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナーは、ポリエステル樹脂、着色剤、帯電制御剤、および離型剤を含んで構成され、さらに、例えば疎水性シリカ等の外添剤が添加されている。ここでは、粉砕法で製造されたトナーを使用するが、重合法など公知の方法で製造されたトナーを使用してもよい。
白色の着色剤は、無機材料系(より具体的には金属系)の顔料、例えば二酸化チタンからなる。この白色の着色剤は、不透明であることが好ましい。一方、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの着色剤は、有機材料系の顔料からなる。例えば、イエローの着色剤としてはピグメントイエローが用いられ、シアンの着色剤としてはピグメントシアンが用いられ、マゼンタの着色剤としてはピグメントマゼンタが用いられ、ブラックの着色剤としてはカーボンブラックが用いられる。これらイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの着色剤は、ある程度の透明性を有することが好ましい。
白色のトナーの平均粒径は、例えば7.0μmである。イエロー、シアンおよびマゼンタのトナーの平均粒径は、例えば5.6μmである。ブラックのトナーの平均粒径は、例えば5.7μmである。
また、白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナーの円形度は、例えば、0.950〜0.955である。円形度は、粒子の凹凸の度合いを表す指標であり、円形度が1.000であれば完全な球形状であり、円形度が1.000より小さくなるにつれて粒子形状は不定形になる。
なお、トナーの円形度は、下記の式(1)に基づき、シスメックス株式会社製「フロー式粒子像分析装置FPIA−3000」を用いて測定する。
円形度=L1/L2 ・・・ (1)
ここで、L1は、粒子投影像の面積と同じ面積を有する円の周囲長であり、L2は、粒子投影像の周囲長である。測定した全粒子の円形度の総和を粒子数で除算して、円形度の測定値を得る。
また、白色のトナーの帯電量は、例えば−24μC/gである。イエローのトナーの帯電量は、例えば−49μC/gである。シアンのトナーの帯電量は、例えば−49μC/gである。マゼンタのトナーの帯電量は、例えば−44μC/gである。ブラックのトナーの帯電量は、例えば−55μC/gである。
なお、トナーの帯電量(ブローオフ帯電量)は、トナーとキャリアとを振とうにより撹拌して測定する。ここでは、トナー0.5gに対し、パウダーテック株式会社製のフェライトキャリア「F−60」9.5gを混合する。振とうには、株式会社ヤヨイ製の振とう器「model YS−LD」を用いる。図3に模式的に示すように、振とう機60のアーム62の先端に取り付けた容器61にトナーとキャリアの混合物を収容し、振とう回数を200回/分、振とう角度を45°、振とう幅を800mmとする。振とう時間は、30分間とする。
撹拌後、京セラ株式会社製の紛体帯電量測定装置「TYPE TB−203」を使用し、ブロー圧力を7kPa、吸引圧力を4.5kPaとして10秒間の吸引を行い、10秒後の電荷量と吸引量とから、トナー粒子の単位重量当たりの電荷量Q/M(単位:μC/g)を算出する。
<画像形成装置の制御系>
次に、画像形成装置1の制御系について説明する。図4は、画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。図4に示すように、画像形成装置1は、その全体の動作制御を司る印刷制御部(制御部)30を備えている。印刷制御部30は、CPU37を有している。
印刷制御部30には、情報入力手段としての上位装置31(例えばパーソナルコンピュータ)からのコマンドや印刷データを受信するインターフェイス部32と、ユーザの操作入力を受け付ける操作入力部33と、格納部としてのメモリ34と、各種センサ38とが接続されている。メモリ34は、ROM35とRAM36とを有している。ROM35には、印刷動作のプログラム、後述する印刷モード設定画面80(図5(A))、記録媒体/印刷モード対応表(図5(B))および電圧設定テーブル(図6)等が格納されている。各種センサ38は、媒体センサ53等の記録媒体23の通過を検知するセンサや、画像形成装置1の温度および湿度を検出する温湿度センサ等を含む。
印刷制御部30には、さらに、現像電圧制御部41a,41bと、層形成・供給電圧制御部42a,42bと、帯電電圧制御部43a,43bと、露光制御部44w,44y,44c,44m,44kと、1次転写制御部45a,45bと、2次転写制御部46と、モータ制御部47と、定着制御部48と、アップダウン制御部49と、切り替え制御部55とが接続されている。
現像電圧制御部41aは、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの現像ローラ15y,15c,15m,15kに付与する現像電圧(DB)を制御する。現像電圧制御部41bは、白色の現像ローラ15wに付与する現像電圧(DB)を制御する。
層形成・供給電圧制御部42aは、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの層形成ブレード16y,16c,16m,16kおよび供給ローラ17y,17c,17m,17kに付与する層形成・供給電圧(SB)を制御する。層形成・供給電圧制御部42bは、白色の層形成ブレード16wにおよび供給ローラ17wに付与する層形成・供給電圧(SB)を制御する。
帯電圧制御部43aは、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの帯電ローラ13y,13c,13m,13kに付与する帯電電圧(CH)を制御する。帯電電圧制御部43bは、白色の帯電ローラ13wに付与する帯電電圧(CH)を制御する。
露光制御部44w,44y,44c,44m,44kは、白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのLEDヘッド14w,14y,14c,14m,14kをそれぞれ駆動制御(発光制御)する。
1次転写制御部45aは、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの1次転写ローラ19y,19c,19m,19kに付与する転写電圧(TR)を制御する。1次転写制御部45bは、白色の1次転写ローラ19wに付与する転写電圧(TR)を制御する。2次転写制御部46は、2次転写ローラ27bに付与する2次転写電圧を制御する。
モータ制御部47は、ドラム駆動モータD1と、ベルト駆動モータD2と、給紙搬送モータD3とを駆動制御する。ドラム駆動モータD1は、感光体ドラム12w,12y,12c,12m,12kを回転駆動する。ベルト駆動モータD2は、中間転写ベルト9を駆動するベルト駆動ローラ25aを回転駆動する。
給紙搬送モータD3は、記録媒体23の搬送のための複数のモータをまとめて図示したものであり、具体的には、給紙ローラ21を回転駆動する給紙モータ、搬送ローラユニット22を回転駆動する搬送モータ、2次転写ローラ27bを回転駆動する2次転写モータ、定着ユニット24の加圧ローラ29を回転駆動する定着モータ、再搬送ローラ52を回転駆動する再搬送モータ、および排出ローラユニット26を回転駆動する排出モータを含み、それぞれモータ制御部47によって制御される。
感光体ドラム12w,12y,12c,12m,12kは、ドラム駆動モータD1により、図1における反時計回り方向に回転する。また、感光体ドラム12w,12y,12c,12m,12k、現像ローラ15w,15y,15c,15m,15kおよび供給ローラ17w,17y,17c,17m,17kのそれぞれのシャフトの端部にはギアが取り付けられており、感光体ドラム12w,12y,12c,12m,12kの回転が現像ローラ15w,15y,15c,15m,15kおよび供給ローラ17w,17y,17c,17m,17kに伝達される。
定着制御部48は、定着ユニット24に設けられたサーミスタの検出温度に基づき、温度設定テーブルを参照して、加熱ローラ28のヒータを加熱制御する。
アップダウン制御部49は、図2(A)に示したアップダウン機構70のアップダウンレバー71を矢印AまたはB方向に移動させることにより、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kを中間転写ベルト9に接触させ、または離間させる制御を行う。
切り替え制御部55は、セレクタ50の位置を切り替え、記録媒体73を排出搬送路103と再搬送路104のいずれかに導く。
記録媒体23としては、例えば、転写紙または色の付いた普通紙を用いる。転写紙とは、Tシャツ等に像を転写するための媒体である。画像形成装置1で転写紙にトナー像を定着した後に、転写紙をTシャツ等に重ね合わせ、アイロン等の熱を加えてトナー像をTシャツ等に転写する。また、色の付いた普通紙とは、白色ではない色の普通紙、例えば、黒色、青色、赤色の普通紙である。
図5(A)は、画像形成装置1の印刷モード設定画面80を示す模式図である。図5(B)は、記録媒体23の種類と印刷モードとを対応させた対応表(記録媒体/印刷モード対応表)を示す図である。図5(A)に示す印刷モード設定画面80と、図5(B)に示す記録媒体/印刷モードの対応表は、ROM35(図4)に格納されている。
印刷モード設定画面80は、使用する記録媒体をユーザが選択する媒体リスト81(媒体選択部)と、媒体リスト81で選択した設定を確定して保存するためのOKボタン82、媒体リスト81で選択した設定をキャンセルするキャンセルボタン83とを有している。媒体リスト81は、「普通紙」および「転写紙」の何れかを選択できるようになっている。
本実施の形態では、画像形成装置1で使用する記録媒体23の種類によって、印刷モードを決定する。すなわち、図5(B)の記録媒体/印刷モード対応表に示すように、記録媒体23として普通紙を使用する場合には、白色のトナー像を、カラーのトナー像の下(記録媒体23側)に形成する印刷モード(後述する2パス印刷)を行う。これに対し、記録媒体23として転写紙を使用する場合には、白色のトナー像を、カラーのトナー像の上(記録媒体23とは反対側)に形成する印刷モード(後述する1パス印刷)を行う。
なお、普通紙を使用する場合に、白色のトナー像をカラーのトナー像の下に形成する理由は、白色のトナー像を下地にすることで普通紙の色の影響を排除し、カラーのトナー像の本来の色を再現するためである。
また、転写紙を使用する場合に、白色のトナー像をカラーのトナー像の上に形成する理由は、トナー像が転写紙からTシャツ等に転写された状態で、白色のトナー像が下地になるようにするためである。
図6は、白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのIDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kのそれぞれにおける、帯電電圧CH、現像電圧DB、層形成・供給電圧SBおよび1次転写電圧TRの設定の一覧(電圧設定テーブル)を示す図である。本実施の形態では、白色のIDユニット10Wについて、2通りの電圧設定W1,W2が用意されている。この電圧設定テーブルは、ROM35に格納されている。
<画像形成装置の動作>
図7は、本実施の形態の画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。まず、記録媒体23として転写紙を用いる場合について説明する。図8(A)、(B)および(C)は、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kと中間転写ベルト9との位置関係を示す図である、上述した図2(A)、(B)および(C)にそれぞれ対応している。
画像形成装置1が起動されると(ステップS101)、印刷制御部30は、アップダウン制御部49によりアップダウン機構70を駆動し、図8(C)に示すように、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kを中間転写ベルト9に接触する位置で保持して、待機状態すなわちスタンバイモードに入る(ステップS102)。
次いで、ユーザが、例えばパーソナルコンピュータ等の上位装置31から、ROM35に格納された印刷モード設定画面80(図5(A))を呼び出す。ここでは、ユーザは、印刷モード設定画面80の媒体リスト81で「転写紙」を選択し、OKボタン82により設定を確定し、設定結果を保存したものとする(ステップS103)。
印刷制御部30は、ステップS103で記録媒体23が選択されると、図5(B)の記録媒体/印刷モードの対応表をROM35から読み出し、ユーザが選択した記録媒体23の種類(転写紙、普通紙)に基づいて印刷モードを決定する(ステップS104)。
すなわち、ステップS103で転写紙が選択された場合には、印刷制御部30は、記録媒体23上で、白色のトナー像をカラーのトナー像の上に形成する1パス印刷(第1の印刷モード)を選択する(ステップS104でYES)。また、ステップS103で普通紙が選択された場合には、印刷制御部30は、白色のトナー像をカラーのトナー像の下に形成する2パス印刷(第2の印刷モード)を選択する(ステップS104でNO)。
ここでは、ユーザが転写紙を選択しているため、印刷制御部30は、白色のトナー像をカラーのトナー像の上に形成する1パス印刷を選択し(ステップS104でYES)、ステップS105に進む。
そして、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kを図8(C)の状態に保ったまま、中間転写ベルト9上に、白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像を順に形成し、中間転写ベルト9に転写する。
すなわち、まず、ステップS105において、IDユニット10Wにより白色のトナー像を形成し、中間転写ベルト9に転写する。具体的には、転写紙用の印刷速度10PPM(Page Per Minutes)となるように、ベルト駆動モータD2によりベルト駆動ローラ25aを回転駆動し、中間転写ベルト9を46mm/sの速度で駆動する。
印刷制御部30は、さらに、ドラム駆動モータD1を駆動して、感光体ドラム12w、現像ローラ15wおよび供給ローラ17wを回転させる。帯電ローラ13wは、感光体ドラム12wに従動して回転する。
印刷制御部30は、また、図6に示した1パス用の電圧設定W2をROM35から読み出し、IDユニット10Wの帯電電圧制御部43b、現像電圧制御部41b、層形成・供給電圧制御部42bおよび1次転写制御部46に各設定電圧を指示する。
帯電ローラ13wには、帯電電圧制御部43bにより−1060Vの帯電電圧CHが印可される。帯電ローラ13wは、感光体ドラム12wに当接しながら従動回転し、感光体ドラム12wの表面を一様に帯電させる。
感光体ドラム12wの表面が帯電されると、印刷制御部30は、露光制御部44wによりLED14wから光を照射させ、感光体ドラム12wの表面に、白色のイメージデータに基づいた静電潜像を形成する。
現像ローラ15wには、現像電圧制御部41bにより−260Vの現像電圧DBが印可される。層形成ブレード16wおよび供給ローラ17wには、層形成・供給電圧制御部42bにより、それぞれ−460Vの層形成・供給電圧SBが印可される。供給ローラ17wは、現像ローラ15wの表面にトナーを供給する。現像ローラ15wの表面に供給されたトナーは、層形成ブレード16wを通過することにより、せん断力を受けて層厚が規制され、均一な厚さのトナー層が形成される。現像ローラ15w上のトナーは感光体ドラム12w上の静電潜像に付着し、これにより静電潜像が現像される。
1次転写ローラ19wには、1次転写制御部45bにより+4kVの1次転写電圧TRが印可される。感光体ドラム12wの表面に形成された白色のトナー像は、この1次転写電圧によって中間転写ベルト9の表面に転写される。このようにして、白色のトナー像が中間転写ベルト9に転写される。
中間転写ベルト9は駆動ローラ25aの回転によってさらに移動し、中間転写ベルト9上のトナー像は下流側に移動する。
続くステップS106では、IDユニット10Y,10C,10M,10Kが、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像を順次形成し、中間転写ベルト9に転写する。
IDユニット10Y,10C,10M,10Kによるトナー像の形成は、IDユニット10Wによる白色のトナー像の形成とほぼ同様に行われるが、各ローラの電圧は、図6の電圧設定テーブルの設定Y,C,M,Kに基づいて設定される。すなわち、帯電ローラ13y,13c,13m,13kには、帯電電圧制御部43aにより−1200Vの帯電電圧CHが印可され、現像ローラ15y,15c,15m,15kには、現像電圧制御部41aにより−200Vの現像電圧DBが印可される。また、層形成ブレード16y,16c,16m,16kおよび供給ローラ17y,17c,17m,17kには、層形成・供給電圧制御部42bにより、それぞれ−300Vの層形成・供給電圧SBが印可される。
なお、中間ベルト駆動モータD2およびドラム駆動モータD1の回転速度は、IDユニット10Wによる白色のトナー像の形成時と同様である。また、1次転写ローラ19y,19c,19m,19kには、1次転写制御部45aにより+4kVの1次転写電圧TRが印可される。これにより、既に白色のトナー像が転写されている中間転写ベルト9に、さらにイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像が転写される。
このようにして、中間転写ベルト9に、白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像が形成されると、ベルト駆動ローラ25aがさらに回転して中間転写ベルト9がさらに移動し、トナー像が2次転写部(2次転写バックアップローラ27aおよび2次転写ローラ27b)に到達する。2次転写ローラ27bには、2次転写制御部46により+4kVの2次転写電圧が印可されている。
また、印刷制御部30は、媒体センサ53が記録媒体23の先端の通過を検知したタイミングを基準として、搬送ローラユニット22による記録媒体23の搬送を制御し、中間転写ベルト9上のトナー像が2次転写部に到達するのと同じタイミングで記録媒体23が2次転写部に到達するように、駆動モータ(ベルト駆動モータ)D2および給紙搬送モータD3を制御する。
そして、記録媒体23が2次転写部を通過する際に、中間転写ベルト9上のトナー像が記録媒体23に転写される(ステップS107)。
上記のとおり、中間転写ベルト9には白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像がこの順に積層されているため、2次転写部において中間転写ベルト9から記録媒体23にトナー像が転写されると、記録媒体23上にはブラック、マゼンタ、シアン、イエローおよび白色のトナー像が順に積層された状態となる。
そして、トナー像が転写された記録媒体23は、2次転写ローラ27bの回転により定着ユニット24に搬送される。定着ユニット24の加熱ローラ28は、定着制御部48により、温度設定テーブルに基づき予め160°Cに加熱されている。記録媒体23は、加熱ローラ28と加圧ローラ29とに挟まれて加熱・加圧され、トナー像が記録媒体23に定着する(ステップS108)。
トナー像が定着された記録媒体23は、セレクタ50によって排出搬送路103に案内され、排出ローラユニット26により排出口から排出され、排出トレイ2に載置される(ステップS118)。これにより、転写紙へのトナー像の形成が完了する。
上述したように、記録媒体23としての転写紙には、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローおよび白色のトナー像が順に形成されている。すなわち、カラーのトナー像の上に白色のトナー像が形成されている。
次に、記録媒体23として普通紙を用いる場合について、図7のフローチャートを参照して説明する。
ステップS101,S102は、転写紙を用いた場合と同様である。ステップS103では、ユーザが、印刷モード設定画面80の媒体リスト81で「普通紙」を選択し、OKボタン82により設定を確定し、設定結果を保存したものとする。
続くステップS104では、印刷制御部30が、図5(B)に示した記録媒体/印刷モードの対応表をROM35から読み出す。そして、当該対応表に基づき、白色のトナー像をカラーのトナー像の下(記録媒体23側)に形成する2パス印刷を選択し(ステップS104でNO)、ステップS109に進む。
ステップS109では、上述したアップダウン制御部49によりアップダウン機構70を駆動し、アップダウンレバー71を図2(A)に示した位置まで移動する。これにより、図8(A)に示すように、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのIDユニット10Y,10C,10M,10Kが中間転写ベルト9から離間し、白色のIDユニット10Wのみが中間転写ベルト9に接している状態となる。なお、IDユニット10Y,10C,10M,10Kの各ローラには電圧を印可しない。
続くステップS110では、IDユニット10Wにより白色のトナー像を形成し、中間転写ベルト9に転写する。すなわち、普通紙用の印刷速度30PPMとなるように、駆動モータD2によりベルト駆動ローラ25aを回転駆動し、中間転写ベルト9を130mm/sの速度で駆動する。
印刷制御部30は、さらに、ドラム駆動モータD1を駆動し、感光体ドラム12w、現像ローラ15wおよび供給ローラ17wを回転させる。帯電ローラ13wは、感光体ドラム12wに従動して回転する。
印刷制御部30は、図6に示した2パス用の電圧設定W1をROM35から読み出し、IDユニット10Wの帯電電圧制御部43b、現像電圧制御部41b、層形成・供給電圧制御部42bおよび1次転写制御部46に各設定電圧を指示する。
帯電ローラ13wには、帯電電圧制御部43bにより−1000Vの帯電電圧CHが印可される。帯電ローラ13wは、感光体ドラム12wに当接しながら従動回転し、感光体ドラム12wの表面を一様に帯電させる。
感光体ドラム12wの表面が帯電されると、印刷制御部30は、露光制御部44wによりLED14wから光を照射させ、感光体ドラム12wの表面に白色のイメージデータに基づく静電潜像を形成する。
現像ローラ15wには、現像電圧制御部41bにより−200Vの現像電圧DBが印可される。層形成ブレード16wおよび供給ローラ17wには、層形成・供給電圧制御部42bにより、それぞれ−400Vの層形成・供給電圧SBが印可される。供給ローラ17wは、現像ローラ15wの表面にトナーを供給する。現像ローラ15wの表面に供給されたトナーは、層形成ブレード16wを通過することにより層厚が規制され、均一な厚さのトナー層が形成される。現像ローラ15w上のトナーは感光体ドラム12w上の静電潜像に付着し、これにより静電潜像が現像される。
1次転写ローラ19wは、1次転写制御部45aにより+4kVの1次転写電圧TRが印可されている。感光体ドラム12wの表面に形成された白色のトナー像は、一次転写ローラ19wによって中間転写ベルト9の表面に転写される。このようにして、白色のトナー像が中間転写ベルト9に転写される。
白色のトナー像が転写された中間転写ベルト9は、駆動ローラ25aの回転によってさらに移動する。但し、IDユニット10Y,10C,10M,10Kが中間転写ベルト9から離間しているため、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト9に転写されることはない。そして、白色のトナー像は、2次転写部(2次転写バックアップローラ27aおよび2次転写ローラ27b)に到達する。
2次転写ローラ27bには、2次転写制御部46により+4kVの2次転写電圧が印可されている。また、中間転写ベルト9上のトナー像が2次転写部に到達するのと同じタイミングで、搬送ローラユニット22に搬送される記録媒体23が2次転写部に到達する。
記録媒体23が2次転写部を通過することにより、中間転写ベルト9上の白色のトナー像が記録媒体23に転写される(ステップS111)。
トナー像が転写された記録媒体23は、2次転写ローラ27bの回転により定着ユニット24に搬送される。定着ユニット24の加熱ローラ28は、定着制御部48により、温度設定テーブルに基づき予め160°Cに加熱されている。記録媒体23は、加熱ローラ28と加圧ローラ29とに挟まれて加熱・加圧され、トナー像が記録媒体23に定着する(ステップS112)。
次に、記録媒体23の再搬送を行う(ステップS113)。すなわち、印刷制御部30は、切り替え制御部50によりセレクタ50の位置を切り替え、トナー像が定着された記録媒体23を再搬送路104に導く。さらに、再搬送ユニット51の再搬送ローラ52によって、記録媒体23を再搬送路104に沿って搬送ローラ22まで搬送する。なお、白色のトナー像が定着した記録媒体23の同じ面にカラーのトナー像を連続して形成するため、再搬送ユニット51は記録媒体23の表裏を反転させずに再搬送する。
続くステップS114では、アップダウン制御部49によりアップダウン機構70を駆動し、アップダウンレバー71を図2(B)に示した位置まで移動する。これにより、図8(B)に示すように、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのIDユニット10Y,10C,10M,10Kが中間転写ベルト9に接し、白色のIDユニット10Wが中間転写ベルト9から離間した状態となる。なお、IDユニット10Wの各ローラには電圧を印可しない。
続くステップS115では、IDユニット10Y,10C,10M,10Kが、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像を順次形成し、中間転写ベルト9に転写する。
すなわち、印刷速度が30PPMとなるように、ベルト駆動モータD2によりベルト駆動ローラ25aを回転駆動し、中間転写ベルト9を130mm/sの速度で駆動する。IDユニット10Y,10C,10M,10Kによるトナー像の形成は、上述したステップS106と同様に行われる。
このようにして、中間転写ベルト9に、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像(すなわちカラーのトナー像)が転写される。そして、ベルト駆動ローラ25aの回転により中間転写ベルト9がさらに移動し、トナー像が2次転写部(2次転写バックアップローラ27aおよび2次転写ローラ27b)に到達する。
2次転写ローラ27bには、2次転写制御部46により+4kVの2次転写電圧が印可されている。また、印刷制御部30は、中間転写ベルト9上のトナー像が2次転写部に到達するのと同じタイミングで、再搬送路104を経由してきた記録媒体23を2次転写部に到達させる。
記録媒体23が2次転写部を通過する際に、中間転写ベルト9上のトナー像が記録媒体23に転写される(ステップS116)。
上記のとおり、記録媒体23には既に白色のトナー像が定着されており、中間転写ベルト9にはイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像がこの順に積層されている。そのため、2次転写部において、中間転写ベルト9から記録媒体23にトナー像が転写されると、記録媒体23上には、白色、ブラック、マゼンタ、シアンおよびイエローのトナー像が順に積層された状態となる。
トナー像が転写された記録媒体23は、2次転写ローラ27bの回転により定着ユニット24に搬送される。定着ユニット24の加熱ローラ28は、定着制御部48により予め160°Cに加熱されている。記録媒体23は、加熱ローラ28と加圧ローラ29とに挟まれて加熱・加圧され、トナー像が記録媒体23に定着する(ステップS117)。
トナー像が定着された記録媒体23は、セレクタ50によって排出搬送路103に案内され、排出ローラユニット26により排出口から排出され、排出トレイ2に載置される(ステップS118)。これにより、普通紙へのトナー像の形成が完了する。
上述したように、記録媒体23としての普通紙には、白色、ブラック、マゼンタ、シアンおよびイエローのトナー像が順に形成されている。すなわち、カラーのトナー像の下に白色のトナー像が形成されている。
図9(A)は、記録媒体23としての普通紙P1の表面に、白色のトナー像91と、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像(カラーのトナー像)92とを印刷した状態を示す。図9(B)は、記録媒体23としての転写紙P2の表面に、カラーのトナー像92と白色のトナー像91とを印刷した状態を示す。
図9(A)に示すように、普通紙P1上では、カラーのトナー像92の下に白色のトナー像91が形成されている。そのため、例えば青い普通紙P1を用いたとしても、白色のトナー像91の光透過率が低い(不透明である)ため、普通紙P1の色の影響を排除して、カラーのトナー像92の本来の色を再現することができる。
また、図9(B)に示すように、転写紙P2上では、カラーのトナー像92の上に白色のトナー像91が形成されている。そのため、図9(C)に示すように、ユーザが、転写紙P2を、例えば青いTシャツP3に転写すると、TシャツP3上に白色のトナー層91が形成され、その上にカラーのトナー像92(反転像)が形成される。そのため、TシャツP3の色の影響を受けずに、カラーのトナー像92の本来の色を再現することができる。
本実施の形態では、普通紙と転写紙の両方に白色のトナー像を形成することができるため、コストの高い転写紙に白色のトナー像を形成する前に、同系色の普通紙に白色のトナー像を形成して、トナー像(画像)の確認を行うことができる。従って、コストを削減することができる。
<画像形成装置の作用>
本実施の形態では、白色のトナー像をカラーのトナー像の上に形成する1パス印刷と、白色のトナー像をカラーのトナー像の下に形成する2パス印刷とで、図6に示すように電圧設定W1,W2を異ならせている。
具体的には、1パス印刷時(W1)と2パス印刷時(W2)とで、現像電圧と帯電電圧との差(800V)を同じとし、現像電圧と供給電圧との差(200V)も同じとしながら、現像電圧(−260V,−200V)を異ならせている。
これは、中間転写ベルト9に、白色のトナー像とカラー(イエロー、シアン、マゼンタおよびブラック)のトナー像とを連続して転写する1パス印刷では、中間転写ベルト9に転写された白色のトナー像がカラーのIDユニット10Y,10C,10M,10Kを通過する際に、中間転写ベルト9上の白色のトナーが感光体ドラム12y,12c,12m,12kに逆転写される可能性があるためである。
特に、白色のトナーは一般に金属系の顔料であるため、カラーのトナーのような有機材料系の顔料と比較して帯電しにくい。そのため、白色のトナーの中間転写ベルト9への付着力が比較的弱く、感光体ドラム12y,12c,12m,12kへの逆転写が生じやすい。このような逆転写が生じると、中間転写ベルト9上の白色のトナー量が少なくなり、その結果、記録媒体23に転写される白色のトナー量も少なくなる可能性がある。
そこで、本実施の形態では、白色のトナー像とカラーのトナー像とを連続して転写する1パス印刷では、白色のトナー像を定着した後にカラーのトナー像を転写する2パス印刷よりも、現像電圧の絶対値を大きくしている。現像電圧の絶対値を大きくすることで、感光体ドラム12wへの白色トナーの付着量が増加し、中間転写ベルト9に転写される白色のトナー量が増加する。その結果、中間転写ベルト9から感光体ドラム12y等への白色のトナーの逆転写による減少分を考慮しても、中間転写ベルト9上に十分な量の白色のトナーを残すことができる。
次に、現像電圧を変化させた場合のトナー濃度の明度の違いについて説明する。
例えば、感光体ドラム12wの表面に0.80mg/cm2の白色のトナーが保持されているものとし、当該白色のトナーを感光体ドラム12wから中間転写ベルト9に1次転写させ、さらに普通紙(紀州製紙株式会社製「色上質紙(ブルー)」)に2次転写させたものとする。白色のトナーの逆転写が生じないと仮定した場合(すなわちIDユニット10Y,10C,10M,10Kを中間転写ローラ9から離間させた場合)には、普通紙上での明度は、L*83となる。この明度(L*83)は、十分な明度である。
但し、感光体ドラム12wには現像ローラ15wからトナーが移動するため、現像効率)、および感光体ドラム12wと現像ローラ15wとの線速度の比を考慮する必要がある。現像効率は、現像ローラ15wから感光体ドラム12w上に移動するトナー量の割合を示すものである。
逆転写による白色のトナー量の減少がない場合に十分な明度(L*83)が得られるときの感光体ドラム12w上の白色のトナー量は、上記のとおり0.80mg/cm2である。現像ローラ15wと感光体ドラム12wとの線速度比を1.2倍とすると、感光体ドラム12w上の白色のトナー量0.80mg/cm2を得るためには、現像ローラ15w上に0.66mg/cm2(=0.80mg/cm2÷1.2)の白色のトナーがあればよい。
そのため、仮に現像効率が80%であっても、現像ローラ15w上に0.83mg/cm2の白色のトナーがあれば、感光体ドラム12w上に0.80mg/cm2(≒0.83mg/cm2×1.2×0.8)の白色のトナーを得ることができる。言い換えると、逆転写が生じない場合には、現像効率が80%であっても、現像ローラ15w上に0.83mg/cm2の白色のトナーがあれば、十分な明度(L*83)が得られる。
一方、逆転写による白色のトナー量の減少量を0.20mg/cm2と仮定すると、感光体ドラム12wの表面には、0.80mg/cm2+0.20mg/cm2=1.00mg/cm2の白色のトナーが必要である。
そこで、本実施の形態では、白色のトナーの逆転写が生じる印刷モード(1パス印刷)では、現像ローラ15wに付与する現像電圧を、2パス印刷時の−200Vから−260Vに変更する。露光後の感光体ドラム12wの表面電位は−50Vであるため、当該ドラム表面電位と現像電圧(現像電位)との差は、2パス印刷時(現像電圧:−200V)には150Vであるのに対し、1パス印刷時(現像電圧:−260V)には210Vである。このように、1パス印刷時に、露光後のドラム表面電位と現像電圧との差を大きくすることにより、感光体ドラム12wへの白色トナーの付着量を増加させることができる。
このように、感光体ドラム12wへの白色トナーの付着量を増加させることにより、中間転写ベルト9に転写される白色トナーの量を増加させることができる。これにより、逆転写による白色トナーの減少分を考慮しても、中間転写ベルト9上で十分な白色のトナー量を確保することができる。従って、十分な明度を得ることができる。
図10は、1パス印刷および2パス印刷を行って、ブルーの普通紙に印刷した白色のトナー像の明度を測定した結果を示す。データAおよびBは、現像ローラ15wに−200Vを印可して、1パス印刷および2パス印刷を行った場合の白色のトナー像の明度の測定結果を示す。データCは、現像ローラ15wに印可する電圧を−260Vに変更して、1パス印刷を行った場合の白色のトナー像の明度の測定結果を示す。
なお、明度は、X−Rite Incorporated製の「530分光濃度計」を用いて測定したものである。また、普通紙としては、紀州製紙株式会社製「色上質紙(ブルー)」を用いる。
図10に示すように、現像電圧を−200Vとした場合、2パス印刷では明度がL*83となるのに対し(データB)、1パス印刷では明度がL*78となり(データA)、濃度の低下が見られた。これは、1パス印刷では、白色のトナー像とカラーのトナー像の転写を連続して行うため、上述した白色のトナーの逆転写が生じるためである。
一方、現像電圧を−260Vとして1パス印刷を行った場合、明度は、2パス印刷と同様のL*83となる(データC)。現像電圧の絶対値を大きくしたことにより、感光体ドラム12wの表面のトナー量が増加し、中間転写ベルト9に転写される白色のトナー量も増加したため、逆転写による減少量を考慮しても十分な白色のトナー量を確保できたことによる。
なお、この実施の形態では、1パス印刷時に、2パス印刷時よりも現像電圧の絶対値を大きくすることにより、感光体ドラム12wへの白色トナーの付着量を増加させているが、現像電圧に限らず、例えば、LEDヘッド14wの露光量(光量)を大きくすることにより、感光体ドラム12wへの白色トナーの付着量を増加させてもよい。この場合、例えば、2パス印刷時のLEDヘッド14wの光量Lwに対して、1パス印刷時のLEDヘッド14wの光量を1.2×Lwとしてもよい。LEDヘッド14wの光量は、例えばLEDヘッド14wの発光時間の長短により制御することができる。また、現像電圧とLEDヘッドの露光量とを組み合わせて変更してもよい。
また、ここでは、2パス印刷時に、図8(A)および(B)に示したように、IDユニット10を中間転写ベルト9から離間させたが、離間させずに2パス印刷を実行してもよい。但し、例えば図8(A)において、カラーのIDユニット10Y,10C,10M,10Kを中間転写ベルト9から離間させずに白色のトナー像の形成および転写を行う場合、画像形成を行わないIDユニット10Y,10C,10M,10Kの感光体ドラム12y,12c,12m,12kも中間転写ベルト9に接触するため、IDユニット10Y,10C,10M,10Kの各ローラ(帯電ローラ13w、現像ローラ15w、供給ローラ17w)を回転させる必要がある。その結果、IDユニット10Y,10C,10M,10Kでは画像形成を行わないにも関わらず、感光体ドラム12y,12c,12m,12kと現像ローラ15y,15c,15m,15kとが接触し、また現像ローラ15y,15c,15m,15kと層形成ブレード16y,16c,16m,16kとが接触することとなり、接触部での摩耗によりIDユニットの寿命の短縮につながる可能性がある。
なお、本実施の形態の画像形成装置1では、中間転写ベルト9の移動方向(図1における左から右)に沿って、白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのIDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kを配列したが、例えば図11(A)に示すように、白色のIDユニット10Wを、中間転写ベルト9の移動方向において、IDユニット10Y,10C,10M,10Kの下流側に配置してもよい。
この場合、普通紙には、1パス印刷によりトナー像を形成する。すなわち、IDユニット10Y,10C,10M,10K,10Wを全て中間転写ベルト9に接触させた状態で、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックおよび白色のトナー像を中間転写ベルト9に1次転写し、さらに普通紙に2次転写して定着する。これにより、普通紙上に白色のトナー像が形成され、その上に、カラーのトナー像が形成される。
一方、転写紙には、2パス印刷によりトナー像を形成する。すなわち、白色のIDユニット10Wを中間転写ベルト9から離間させて、IDユニット10Y,10C,10M,10Kによりイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像を中間転写ベルト9に1次転写し、さらに転写紙に2次転写して定着する。次いで、IDユニット10Y,10C,10M,10Kを中間転写ベルト9から離間させ、白色のIDユニット10Wを中間転写ベルト9に接触させて、白色のトナー像を中間転写ベルト9に1次転写し、再搬送された転写紙(既にカラーのトナー像が定着している)に2次転写して定着する。これにより、転写紙上にカラーのトナー像が形成され、その上に、白色のトナー像が形成される。
また、本実施の形態の画像形成装置1では、白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの5色のトナーを用いたが、白色、シアン、イエローおよびマゼンタの4色のトナーを用いても良い。この場合、例えば、図11(B)に示すように、白色、イエロー、シアンおよびマゼンタのIDユニット10W,10Y,10C,10Mを配置してもよい。
また、白色のトナーの代わりに、光沢度を調整するための透明トナーを用いてもよい。この場合、透明トナーを用いるIDユニットを、図1に示したIDユニット10Wと同様、カラーのIDユニット10Y,10C,10M,10Kの上流に配置してもよいし、図11(A)に示したIDユニット10Wと同様に、IDユニット10Y,10C,10M,10Kの下流に配置してもよい。
また、白色のトナーを用いるIDユニットと、透明トナーを用いるIDユニットとを、カラーのIDユニット10Y,10C,10M,10Kの上流および下流にそれぞれ配置してもよい。
また、白色(あるいは透明)のIDユニット10Wを、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのIDユニット10Y,10C,10M,10Kのうち、隣接する何れか2つの間に配置することも可能である。
<効果>
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1では、白色のトナー像(コート用トナー像)とカラーのトナー像(画像用トナー像)とを連続して転写する1パス印刷時において、2パス印刷時よりも、白色トナーの感光体ドラム12wへの付着量を増加させている。そのため、中間転写ベルト9から感光体ドラム12y等への白色のトナーの逆転写が発生したとしても、中間転写ベルト9上の白色のトナー量を十分に確保することができる。従って、記録媒体23に転写される白色のトナー量を一定に近付け、安定した印刷品質を得ることができる。
また、現像ローラ15wに付与する現像電圧を、1パス印刷時に2パス印刷時よりも高くすることにより、1パス印刷時における感光体ドラム12wの白色トナー付着量の増加を実現することができる。また、現像ローラ15wに付与する現像電圧を高くする代わりに、LEDヘッド14wの露光量を大きく、或いは、供給ローラ17wに付与する供給電圧を高くしても、同様の作用を奏することができる。
また、本実施の形態の画像形成装置1は、白色のIDユニット10WおよびカラーのIDユニット10Y,10C,10M,10Kを、中間転写ベルト9に対して選択的に接触または離間させる移動機構70を備えているため、1パス印刷と2パス印刷との切り替えを容易に行うことができる。
第2実施の形態.
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態における画像形成装置は、図1に示した構成を有しているが、POP(Point of Purchase)モードに対応する処理を行う点が第1の実施の形態の画像形成装置と異なっている。
図12は、本実施の形態における画像形成装置1の印刷モード設定画面80を示す模式図である。図12の印刷モード設定画面80は、ROM35(図4)に格納されている。
印刷モード設定画面80は、第1の実施の形態で説明した媒体リスト81、OKボタン82およびキャンセルボタン83に加えて、POPモードチェックボックス84(モード選択手段)を有している。POPモードは、面積率が70%以上の高濃度パターンを印刷する場合に選択する。
POP広告のように画像率が一般文書よりも高い画像を印刷する場合、通常のトナー供給量ではトナー濃度が低く印刷される傾向がある。そこで、本実施の形態では、POPモードが選択された場合には、現像電圧と供給電圧との差(供給/現像電圧差)を大きくすることで、感光体ドラムへのトナー供給量を増加させている。
図13は、第2の実施の形態における各IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kのそれぞれにおける帯電電圧CH、現像電圧DB、層形成・供給電圧SBおよび1次転写電圧TRの設定の一覧(電圧設定テーブル)を示す図である。第2の実施の形態では、白色のIDユニット10Wについて、3通りの電圧設定W1,W2,W3が用意されている。この電圧設定テーブルは、ROM35に格納されている。
図14は、本実施の形態における画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。ここでは、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。
本実施の形態では、画像形成装置1の電源が投入され(ステップS101)、画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kを転写可能位置に移動したのち(ステップS102)、ユーザが上位装置31を介して、図12に示した印刷モード設定画面80をROM35から呼び出す。
図12に示した印刷モード設定画面80では、媒体リスト81で記録媒体23の種別(普通紙/転写紙)の入力を受け付け、POPモードチェックボックス84でPOPモード印刷か否かの入力を受け付ける(ステップS103)。
本実施の形態では、印刷モード設定画面80で普通紙が選択された場合には、画像形成装置1は、第1の実施の形態と同様に動作する(ステップS101〜S104,S109〜S118)。
ここでは、ユーザは、印刷モード設定画面80の媒体リスト81で転写紙を選択し、さらにPOPモードチェックボックス84をチェックして、OKボタン82により設定を確定し、設定結果を保存したものとする。
印刷モード設定画面80の媒体リスト81で転写紙が選択されると、第1の実施の形態と同様、印刷制御部30は、図5(B)に示した記録媒体/印刷モードの対応表をROM35より呼び出し、当該対応表に基づいて1パス印刷(第1の印刷モード)を選択し、ステップS201に進む。
ステップS201では、印刷モード設定画面80でPOPモードが選択されているか(すなわち、POPモードチェックボックス84がチェックされているか)を判断する。POPモードが選択されていない場合(ステップS201でNO)、第1の実施の形態と同様に転写紙への印刷を行う(ステップS105〜S108,S118)。
ここでは、上記のようにPOPモードが選択されているため(S201でYES)、ステップS202に進む。
ステップS202では、IDユニット10Wにより、白色のトナー像を中間転写ベルト9に転写する。ここでは、転写紙用の印刷速度10PPMとなるように、駆動モータD2によりベルト駆動ローラ25aを回転駆動し、中間転写ベルト9を46mm/sの速度で駆動する。
印刷制御部30は、ドラム駆動モータD1を駆動して、感光体ドラム12w、現像ローラ15wおよび供給ローラ17wを回転させる。帯電ローラ13wは、感光体ドラム12wに従動して回転する。
印刷制御部30は、また、図13に示した電圧設定テーブルのPOPモード用の電圧設定W3をROM35から読み出し、IDユニット10Wの帯電電圧制御部43b、現像電圧制御部41b、層形成・供給電圧制御部42bおよび1次転写制御部46に各設定電圧を指示する。
帯電ローラ13wには、帯電電圧制御部43bにより−1060Vの帯電電圧CHが印可される。帯電ローラ13wは、感光体ドラム12wに当接しながら従動回転し、感光体ドラム12wの表面を一様に帯電させる。
感光体ドラム12wの表面が帯電されると、印刷制御部30は、露光制御部44wによりLED14wから光を照射させ、感光体ドラム12wの表面に、白色の画像データに基づいた静電潜像を形成する。
現像ローラ15wには、現像電圧制御部41bにより−260Vの現像電圧DBが印可される。層形成ブレード16wおよび供給ローラ17wには、層形成・供給電圧制御部42bにより、それぞれ−500Vの層形成・供給電圧SBが印可される。供給ローラ17wは、現像ローラ15wの表面にトナーを供給し、現像ローラ15wの表面に供給されたトナーは、層形成ブレード16wを通過することにより均一な厚さのトナー層となる。現像ローラ15w上のトナーは感光体ドラム12w上の静電潜像に付着し、これにより静電潜像が現像される。
1次転写ローラ19wは、1次転写制御部45aにより+4kVの1次帯電電圧TRが印可されている。感光体ドラム12wの表面に形成された白色のトナー像は、一次転写ローラ19wによって中間転写ベルト9の表面に転写される。
中間転写ベルト9は駆動ローラ25aの回転によってさらに移動し、中間転写ベルト9上のトナー像は下流側に移動する。
続くステップS106では、IDユニット10Y,10C,10M,10Kが、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像を順次形成し、中間転写ベルト9に転写する(ステップS203)。
IDユニット10Y,10C,10M,10Kによるトナー像の形成は、IDユニット10Wによる白色のトナー像の形成とほぼ同様に行われるが、各ローラの電圧は、図13の電圧設定テーブルに基づいて設定される。すなわち、帯電ローラ13y,13c,13m,13kには、帯電電圧制御部43aにより−1200Vの帯電電圧CHが印可され、現像ローラ15y,15c,15m,15kには、現像電圧制御部41aにより−200Vの現像電圧DBが印可される。また、層形成ブレード16y,16c,16m,16kおよび供給ローラ17y,17c,17m,17kには、層形成・供給電圧制御部42bにより−300Vの層形成・供給電圧SBが印可される。また、1次転写ロー亜r19y,19c,19m,19kには、1次転写制御部45bにより+4kVの1次転写電圧が印可される。
このようにして、中間転写ベルト9に、白色、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像が形成されると、ベルト駆動ローラ25aが回転を続けることにより中間転写ベルト9がさらに移動し、第1の実施の形態で説明したように、2次転写部(2次転写バックアップローラ27aおよび2次転写ローラ27b)においてトナー像が記録媒体23としての転写紙に転写される(ステップS204)。
その後、第1の実施の形態で説明したように、トナー像が記録媒体23に定着され(ステップS205)、その後、記録媒体23が画像形成装置1から排出される(ステップS118)。
本実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、POPモードが選択されている場合には、供給/現像電圧差(供給電圧と現像電圧との差)が切り替わり、POPモードが選択されていない場合の−200Vから−240Vに増加する。その理由は、以下の通りである。
POPモードは、面積率が70%以上の高濃度パターンを印刷するため、記録媒体23の前端から後端に向かうにつれて、トナー転写量が減少する傾向がある。
図15は、記録媒体(転写紙)に面積率100%のベタ画像を形成した場合の、記録媒体の前端と後端における明度の測定結果を示す。明度は、X−Rite Incorporated製の「530分光濃度計」で測定したものである。
図15のデータA1,A2は、現像ローラ15wに−260Vを印可し、供給ローラ17wに−460Vを印可して(従って供給/現像電圧差は−200V)、1パス印刷により記録媒体23(転写紙)にベタ画像を形成した場合の明度の測定結果を示す。データA1は、記録媒体23の移動方向の前端部での明度の測定結果を示し、データA2は、記録媒体23の移動方向の後端部での明度の測定結果を示す。
図15のデータB1,B2は、現像ローラ15wに−260Vを印可し、供給ローラ17wに−500Vを印可して(従って供給/現像電圧差は−240V)、1パス印刷により記録媒体34(転写紙)にベタ画像を形成した場合の明度の測定結果を示す。データB1は、記録媒体34の移動方向の前端部での明度の測定結果を示し、データB2は、記録媒体の移動方向の後端部での明度の測定結果を示す。
図15に示すように、現像ローラ15wに−260Vを印可し、供給ローラ17wに−460Vを印可した場合には、記録媒体の前端部での明度はL*83であったが(データA1)、後端部ではL*78まで低下した(データA2)。これは、1パス印刷時において、第1の実施の形態で説明したように、現像ローラ15wの印可電圧(現像電圧)を高くして感光体ドラム12wへの白色トナーの付着量を増加させたことに伴い、供給ローラ17wから現像ローラ15wへのトナー供給が不十分になったためである。
これに対し、現像ローラ15wの印可電圧を−260Vとしつつ、供給ローラ17wの印可電圧を−500Vに変更した場合には、供給/現像電圧差が−240Vとなるため、供給ローラ17wから現像ローラ15wへのトナー供給量が増加し、その結果、用紙後端の濃度をL*83まで増加することができた(データB2)。
第1の実施の形態で説明したように、現像ローラ15w上には、0.83mg/cm2の白色のトナーが保持されるものとする。
逆転写による白色のトナー量の減少がない場合に十分な明度(L*83)が得られるときの感光体ドラム12w上の白色のトナー量は、0.80mg/cm2である。現像ローラ15wと感光体ドラム12wとの線速度比を1.2倍とすると、感光体ドラム12w上の白色のトナー量0.80mg/cm2を得るためには、現像ローラ15w上に0.66mg/cm2(=0.80mg/cm2÷1.2)の白色のトナーがあればよい。
そのため、逆転写が生じなければ、仮に現像効率が80%であっても、現像ローラ15w上に0.83mg/cm2の白色のトナーがあれば、感光体ドラム12w上に0.80mg/cm2(≒0.83mg/cm2×1.2×0.8)の白色のトナーを得ることができる。
一方、逆転写による白色のトナー量の減少量を0.20mg/cm2と仮定すると、感光体ドラム12wの表面には、0.80mg/cm2+0.20mg/cm2=1.00mg/cm2の白色のトナーが必要である。
そこで、本実施の形態では、白色のトナーの逆転写が生じる印刷モードでは、供給/現像電圧差の絶対値を200Vから240Vに増加させることにより、供給ローラ17wから現像ローラ15wに供給される白色トナーの量を1.04mg/cm2に増加させている。これにより、感光体ドラム12w上に1.00mg/cm2(≒1.04mg/cm2×1.2×0.8)の白色のトナーを得ることができる。すなわち、逆転写による減少分を考慮しても、十分な白色のトナー量を確保することができ、且つ、記録媒体23の端部での濃度低下を防止することができる。
なお、ここでは、POP印刷を行う際に、供給/現像電圧差を大きくし、現像ローラ15w上のトナー量を増加させる例について説明したが、POP印刷に限らず、面積率の高い印刷データを印刷する際に現像ローラ15w上のトナー量を増加させるものであればよい。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、面積率の高い印刷データを印刷する場合に供給/現像電圧差を大きくし、現像ローラ上のトナー量を増加させるようにしたため、面積率の高い印刷データであっても、高品質な印刷が可能となる。
上述した第1および第2の実施の形態では、2パス印刷において、中間転写ベルト9が画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kを2度通過したが、中間転写ベルト9が画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kを3度以上通過するようにしてもよい。
上述した第1および第2の実施の形態では、中間転写方式の画像形成装置について説明したが、本発明は、直接転写方式の画像形成装置に適用してもよい。直接転写方式の場合には、中間転写ベルト9を用いず、IDユニット10W,10Y,10C,10M,10Kのトナー像を記録媒体23に直接転写する。そのため、記録媒体23が「転写媒体」となる。また、本発明は、単一の像担持体を有する4サイクル方式の画像形成装置に適用してもよい。
また、本発明は、プリンタに限らず、複写機、ファクシミリ、MFP(Multi Function Peripheral)等の種々の画像形成装置に利用することができる。