JP6257248B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、紙オムツや生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品に関するものであり、さらに詳しくは、***液の吸収性に優れた吸収性物品に関するものである。
吸収性物品として、例えば尿などの***液を吸収する使い捨ての紙オムツとしては、着用者の肌側に位置する液透過性シート(いわゆるトップシート)と、衣服側に位置する液透過性シート(いわゆるバックシート)と、これらの液透過性シートと液不透過性シートとの間に設けられた吸収体とを備えているのが一般的である。
近年、CO2ガスの増加や地球温暖化等の影響により、環境保護・省資源化への関心の高まりから、吸収性物品についても材料の使用量の抑制を図るべく、軽量化、薄型化が行われている。また、軽量化や薄型化は着用者にとっても使用感の向上に寄与するため、きわめて重要なテーマとなっている。
吸収性物品において軽量化等を図る場合には、吸収体の使用量を減らすことが最も効果的であり、特に吸収体中に一般に含まれるパルプ繊維と吸水性ポリマーのうち、パルプ繊維の量を減らすことが考えられる。パルプの量が減ると、***液が吸水性ポリマーに吸収されるまでの間に該***液を一時的に保持する能力が低下する上、吸収体が型崩れし易くなるため、吸収体をプレスしたりエンボス加工を施したりする必要がある。
しかしながら、吸収体が***液によって湿潤状態になると、パルプ繊維間の水素結合の消失やエンボス加工による高密度部の崩壊、さらには、吸収体における吸収体と該吸収体を包む不織布(被覆シート)とを接着する接着剤が外れることがあるため、吸収体の形態保持が困難となる可能性がある。
しかも、吸収性物品を着用した着用者が歩いたり、あるいは立ったり座ったりした場合には吸収体がよれてしまい、吸収体の形態保持が一層困難になる。
ところで、例えば特許文献1に記載されているように、吸収体の液不透過性シート側に液拡散シートを配設したものが知られている。
この特許文献1に記載の技術は、使用されにくい吸収体の液不透過性シート側を利用することで、吸収体の***液の吸収領域を増加させ、***液の吸収速度及び保持量を高めている。また、液拡散シートは吸収体を補強するため、該吸収体の形態維持にも寄与する。
しかしながら、前記特許文献1に記載のものは、吸収体が拡散シートから離れてしまう場合があり、特に着用者が歩いたり、あるいは立ったり座ったりした場合には、吸収体や拡散シートがよれて、相互に分離してしまうという欠点があった。
このように液拡散シートが吸収体から分離してしまうと、該液拡散シートによる吸収体の補強効果が失われてしまうため、該吸収体の形態維持を行えず、吸収体が崩壊してしまう可能性があった。特に、前記吸収体は、***液を吸収した状態においては崩壊しやすい傾向にあるため、該吸収体の補強を常時行ってその吸収体の崩壊を抑止することが必要である。
特開2008−284167号公報
本発明の技術的課題は、吸収体の補強を常時可能とすることにより、着用中においては該吸収体の形態保持を確実且つ安定的に行うことができる、***液の吸収能力が高い吸収性物品を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の吸収性物品は、液透過性シートと、液不透過性シートと、これらの液透過性シートと液不透過性シートとの間に配設された、一方向に長い吸収体とを有する吸収性物品であって、前記吸収体と液不透過性シートとの間に、セルロース繊維を含む不織布により形成された、該吸収体の長手方向に延びる液拡散シートが配設され、前記液拡散シートは、前記液不透過性シート側に配設された基部と、該基部の吸収体側に一定間隔で設けられ、吸収体側に突出し且つ吸収体の長手方向に延びる複数の畝部と、隣接する畝部の間に形成された、底部が前記基部により形成された溝部とを備えていて、前記畝部を前記吸収体に食い込ませた状態で該吸収体に取付けられているものである。
本発明においては、前記液拡散シートは、前記基部は畝部よりも繊維占有断面積比率が高く、前記畝部における表面側領域は該表面側領域より内側の領域よりも繊維占有断面積比率が高く形成されているものとすることができる。
また、本発明においては、前記液拡散シートは、前記畝部及び溝部が、該液拡散シートの長手方向の全長にわたって連続してそれぞれ形成されているものとすることができる。
さらに本発明においては、前記液拡散シートは、少なくとも前記吸収体と接する部分が起毛されているものとすることができる。
本発明においては、前記液拡散シートは、前記吸収体と一緒に被覆シートにより被覆されていると共に、該液拡散シートの長手方向及び幅方向の曲げ剛性は該被覆シートよりも高く設定されていることが好ましい。
さらに、本発明においては、 前記液拡散シートは、幅方向の長さが、前記吸収体の幅方向の最大幅部分よりも小さく、前記吸収体の幅方向の最小幅部分よりも大きいものとしてもよい。
また、本発明においては、前記吸収体は、パルプと吸水性ポリマーとを含んでいて、液不透過性シート側の吸水性ポリマーの含有割合が液透過性シート側よりも多く、液透過性シート側の液吸収量に比べて液不透過性シート側の液吸収量が大きいものとすることが好ましい。
この場合、前記吸収体は、該吸収体の厚さ方向の断面を該厚さ方向に5等分したとき、吸収体全体に含まれている吸水性ポリマーの体積に対して、吸水性ポリマーを含有する体積割合が最も高く形成された吸水性ポリマー高体積層と、該吸水性ポリマー高体積層よりも含有する体積割合の低い吸水性ポリマー低体積層とを有し、少なくとも最も液不透過性シート側に位置する第1の層が吸水性ポリマー高体積層であるものとすることができる。
さらに、このとき、前記第1の層のみが吸水性ポリマー高体積層として構成されていて、該第1の層に含まれる吸水性ポリマーの体積は、吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の25〜50%であるものとすることができる。さらに、この場合においては、請求項8に記載の吸収性物品。前記第1の層及び該第1の層に隣接する第2の層に含まれる吸水性ポリマーの体積の和が、吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の50〜80%であるものとすることができる。
または、前記第1の層のみが吸水性ポリマー高体積層として構成されていて、該第1の層に含まれる吸水性ポリマーの体積は、吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の33〜50%であると共に、吸水性ポリマー低体積層のうち、吸収体の中央の層である第3の層と、最も液透過性シート側に位置する第5の層とのそれぞれに含まれる吸水性ポリマーの体積が、吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の25〜33%であるものとすることができる。
さらに、前記吸収体は、前記第1の層と、吸収体の中央の層である第3の層と、最も液透過性シート側に位置する第5の層とがいずれも前記吸水性ポリマー高体積層であるものとすることができる。
この場合においては、前記各吸水性ポリマー高体積層に含まれる吸水性ポリマーの体積は、いずれも、吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の25%以上であり、且つ各吸水性ポリマー高体積層に含まれる吸水性ポリマーの体積の合計は吸収体全体に含まれ吸水性ポリマーの体積の75%〜100%であるものとすることができる。
また、本発明においては、前記吸収体は、該吸収体に含有されている吸水性ポリマーの重量比が0.5以上であるものとすることができる。
本発明によれば、液拡散シートは、基部の吸収体側に突設させた畝部を吸収体に食い込ませた状態で該吸収体に取付けられているため、吸収性物品の着用者が歩いたり、あるいは立ったり座ったりしてことに起因して吸収体がよれたとしても、前記液拡散シートは該吸収体の動きに追随して吸収体を常時補強する。したがって、着用時においては、前記吸収体の形状保持を確実且つ安定的に行うことができる。
しかも、前記液拡散シートと吸収体とが常に密着しているため、該液拡散シートによる***液の拡散を安定的に行うことができるため、吸収体において***液を効率良く吸収することができるため、吸収性物品全体としての吸収能力を高めることができる。
図1は本発明に係る吸収性物品の第1の実施の形態を模式的に示す一部破断平面図である。 図2は図1のA−A’端面図である。 図3は図2の要部拡大端面図である。ただし、シャーシ、液透透過性シート、防漏壁は省略している。 図4は本発明に係る吸収性物品の液拡散シートの一例を模式的に示す要部斜視図である。 図5は図4のB−B’端面図である。 図6は本発明に係る吸収性物品の液拡散シートの製造に際して、スチームジェット処理を行っている状態を模式的に示す説明図である。 図7はスチームジェット処理により畝部の表面側領域や内側領域が形成される原理を説明する図である。 図8は本発明に係る吸収性物品の第2の実施の形態を模式的に示す要部拡大端面図である。ただし、シャーシ、防漏壁は省略している。 図9は図8の吸収体について、厚さ方向の断面の断層像を示す写真である。 図10は本発明に係る吸収性物品の第3の実施の形態を模式的に示す一部破断平面図である。 図11は図10のC−C’線における要部拡大端面図である。ただし、シャーシ、液透透過性シート、防漏壁は省略している。 図12は図4及び図5の液拡散シートとは異なる構成の液拡散シートを模式的に示す断面図である。 図13は図13とはさらに異なる構成の液拡散シートを模式的に示す断面図である。 図14は図8とは異なる構成の吸収体を用いた状態を模式的に示す要部拡大端面図である。 図15は図14とはさらに異なる構成の吸収体を用いた状態を模式的に示す要部拡大端面図である。
図1〜図4は、本発明の吸収性物品の第1の実施の形態を示すもので、この第1の実施形態では、吸収性物品が使い捨ての紙オムツである場合について説明する。
即ち、この吸収性物品1は、紙オムツ装着時に最も外方側に位置して、着用者の腹部から股間部、臀部にわたって被覆する、前後方向(図1における上下方向)に長いシャーシ2と、該シャーシ2の左右両側一体に設けられたフラップ部3とを備えている。
なお、図1においては、図中の下側がシャーシ2の腹部側(即ち、紙オムツの前方側)、上側が臀部側(即ち、紙オムツの後方側)としている。
また、前記シャーシ2の中央部に、該シャーシ2の長手方向に延びる液透過性シート10及び液不透過性シート11と、これらの液透過性シート10と液不透過性シート11との間に配設された、シャーシ2の長手方向に延びる帯状の吸収体12が設けられている。
さらに、前記吸収体12と液不透過性シート11との間に、セルロース繊維を含む不織布により形成された、該吸収体12の長手方向に延びる液拡散シート13が配設されている。
また、前記液不透過性シート11と液拡散シート13との間には、***液で濡れると顕在化して、***液が排出されたことを、該不透過性シート11を通して前記シャーシ2の外側から識別させるためのインジケータ4が設けられている。
なお、図1〜図3中の符号5は、前記フラップ部3における着用者の股部に当接する左右の端部近傍をそれぞれ伸縮させるゴム等のシャーシ用の伸縮部材、符号6は、シャーシ2上に突設された、着用時にオムツ1の左右両側部から尿や軟便等の***液が漏れるのを防止する防漏壁である。また、符号7は、紙オムツの着用者への着用の際にシャーシ2の臀部側と腹部側との連結に使用する連結用のテープ7である。
前記液透過性シート10は、前記吸収体12における着用者の肌面側と対向する面側に配設されて、着用者の肌面に当接して該着用者の尿を素早く吸収し、前記吸収体12に移行させるもので、不織布、織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム、網目を有するネット状シート等により形成されている。
前記液透過性シート10に用いられる不織布としては、例えば天然繊維(例えば羊毛、コットン等)、再生繊維(例えばレーヨン、アセテート等)、無機繊維(例えばガラス繊維、炭素繊維等)合成樹脂繊維(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリ乳酸等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド等)等が挙げられる。不織布には、芯・鞘型繊維、サイド・バイ・サイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維;中空タイプの繊維、扁平、Y型、C型等の異型繊維、潜在捲縮又は顕在捲縮の立体捲縮繊維;水流、熱、エンボス加工等の物理的負荷により分割する分割繊維等が混合されていてもよい。
前記液不透過性シート11は、前記吸収体12における前記液透透過性シート10が配設された面とは反対側の面に設けられたもので、ホットメルト型接着剤15により前記シャーシ2に位置不動に取付けられて、排出された***液の透過防止をしてシャーシ2外に漏れ出るのを防止するものである。
この液不透過性シート11としては、例えば、防水処理を施した不織布、合成樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等)フィルム、不織布と合成樹脂フィルムとの複合シート(例えばスパンボンド、スパンレース等の不織布に通気性の合成樹脂フィルムが接合された複合フィルム)、耐水性の高いメルトブローン不織布を強度の強いスパンボンド不織布で挟んだSMS不織布等を用いることができる。
前記吸収体12は、着用者の尿を吸収して保持するもので、パルプ繊維と吸水性ポリマーとを含み、外周面が前記液拡散シート13と共に被覆シート14により被覆されている。
また、この吸収体12と被覆シート14とは、これらの吸収体12と被覆シート14との間に介在させたホットメルト型接着剤16により相互に接着されている。
図1に示すものの場合、前記吸収体は、長手の部分における着用者の股部分に相当する部分が、それぞれ平面視において該吸収体の内方側に向けて湾曲した形状となっていて、この湾曲した部分の最も内方側に位置する部分が、吸収体の最小幅部分となっている。
さらに、前記吸収体12は、該吸収体の全重量に対して、含有する吸水性ポリマーの重量の比(含有する吸水性ポリマーの重量/吸収体全体の重量)が0.5以上となるように構成されている。
このように、パルプ繊維の重量に対する吸水性ポリマーの重量比を0.5以上としたのは、吸収体の吸収能力に影響を与えない範囲内で、パルプよりも吸水性に優れる吸水性ポリマーの使用の割合をできるだけ大きくし、パルプ繊維の使用量を抑制するためである。これにより、パルプの使用量を可及的に低減して吸収体全体としての重量の軽量化を図る一方で、***液の吸収量をできるだけ維持できるようにしている。
ここで、本発明において前記吸収体に使用されるパルプとしては、例えば、針葉樹又は広葉樹を原料として得られる木材パルプ(例えば、砕木パルプ、リファイナーグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ;クラフトパルプ、サルファイドパルプ、アルカリパルプ等の化学パルプ;半化学パルプ等);木材パルプに化学処理を施して得られるマーセル化パルプ又は架橋パルプ;バガス、ケナフ、竹、麻、綿(例えばコットンリンター)等の非木材パルプ;レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース;アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース等が挙げられる。
また、本発明において前記吸収体に使用される吸水性ポリマーとしては、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の高吸水性材料が挙げられる。デンプン系又はセルロース系の高吸水性材料としては、例えば、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物等が挙げられる。合成ポリマー系の高吸水性材料としては、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系、セルロース系等の高吸水性樹脂(Superabsorbent Polymer:SAP)等が挙げられるが、これらのうちポリアクリル酸塩系(特に、ポリアクリル酸ナトリウム系)の高吸水性樹脂が好ましい。
さらに、前記被覆シート14としては、液体透過性及び吸収体保持性を有する限り特に限定されないが、低コスト性及び吸収体保持性の点から、粉砕パルプを主材料とし湿式法で成形されるティッシュが好ましい。
一方、図4及び図5に示すように、前記液拡散シート13は、吸収体12の液不透過性シート側(図2及び図3における吸収体の下面側)に移動してきた***液を吸収し、さらに長手方向及び幅方向に拡散させるもので、長手方向の長さが前記吸収体12の長手方向の長さとほぼ同じで、幅方向長さが前記吸収体12の最小幅(股部分の幅)よりも幅狭に形成されている。
この液拡散シート13は、前記液不透過性シート側に配設された基部20と、該基部20の吸収体側(図2及び図3における上方側)に一定間隔で設けられ、該吸収体側に突出し且つ吸収体12の長手方向に連続的に延びる複数の畝部21と、隣接する畝部21の間に形成された、底部22aが前記基部20により形成された溝部22とを備えている。
そして、この液拡散シート13は、前記各畝部21が、前記吸収体12に食い込んだ状態で該吸収体12に取付けられている。
図3に示すものの場合、前記液拡散シート13の畝部21は、そのすべてが吸収体12に食い込んでいるわけではなく、溝部22の底部と吸収体12との間には若干の隙間が形成されている。
なお、前記畝部の食い込みの程度については、液拡散シートの吸収体への取付けが確実且つ安定的に行うことができれば任意に設定することができ、例えば、畝部全体を吸収体に食い込ませてもよい。このとき、吸収体中に存在していた吸水性ポリマーが吸収性物品製造時、または使用時に液拡散シートの溝部の底部に移行することがあるが、溝部の底部と吸収体との間の隙間に安定的に保持される。
さらに、前記液拡散シートの畝部を吸収体に食い込ませる場合には、例えば、吸水性ポリマーを混入させながらパルプ繊維等の吸収体材料を所定の形に積層して吸収体を製造する製造装置(例えば特開2010−119655号公報に記載されている吸収体の製造装置)を用いて行うことができる。そして、前記吸収体材料をサクションドラムの外周面に形成された型内に積層する際に、該型内に予め前記液拡散シートを畝部が外方を向くように配設しておくことにより、前記液拡散シートの畝部が食い込んだ状態の吸収体を形成することができる。あるいは、吸収体の製造後に、前記液拡散シートをその畝部が該吸収体に接した状態で配設してプレスする等、任意の手段を用いることができる。
また、この液拡散シート13は、畝部21と吸収体12とがホットメルト型接着剤17により相互に接着されている一方、基部20における該畝部21の配置側とは反対側の面、即ち液不透過性シート側の面(図2及び図3における基部の下面)がホットメルト型接着剤18により被覆シート14に接着されている。そして、前述のように、前記被覆シート14によって、吸収体12と一緒に一体的に被覆されている。
ここで、前記液拡散シート13を、基部20の一面側に畝部21及び溝部22を形成した構成として、該畝部21を前記吸収体12に食い込ませた状態で該吸収体12に取付けたのは次の理由からである。
即ち、前記液拡散シート13と吸収体12とが相互に分離することを防いで一体性を常に維持させ、該吸収体12から移動してくる***液を該液拡散シート13により安定的に吸収、拡散させると共に、その液拡散シート13で吸収体12を補強して該吸収体12の形状を維持させるためである。
既に述べたように、吸収体が***液によって湿潤状態になると、該吸収体は、パルプ繊維間の水素結合の消失や高密度な部分の崩壊、吸収体と該吸収体を包む被覆シートとを接着する接着剤が外れることがあるため、吸収体の形態保持が困難となる可能性がある。また、吸収性物品を着用した着用者が歩いたり、あるいは立ったり座ったりした場合には吸収体がよれてしまい、吸収体の形態保持が一層困難になる。
そのため、吸収体に液拡散シートを取付け、該液拡散シートにより吸収体を補強することが考えられる。しかしながら、着用者が歩いたり、あるいは立ったり座ったりした場合には、たとえ吸収体と液拡散シートとを接着剤で接着したとしても、吸収体や拡散シートがよれて、相互に分離してしまう可能性がある。このように、液拡散シートと吸収体とが分離してしまうと、該液拡散シートによる吸収体の補強効果が失われてしまう上、前記吸収体は、***液を吸収した場合にはより崩壊しやすいため、該吸収体の形態維持を行えない。
そのため、本発明においては、前記液拡散シートを、該液拡散シートに形成した畝部を前記吸収体に食い込ませた状態で該吸収体に取付けることにより、これら液拡散シートと吸収体との一体性を高め、仮に該吸収体がよれたりしても液拡散シートがその吸収体の動きに常時追随できるようにしている。これにより、前記液拡散シートによって、前記吸収体の形状保持を確実且つ安定的に行うことが可能としている。
また、前記液拡散シート13は、該液拡散シート13の長手方向及び幅方向の曲げ剛性が、前記被覆シートよりも高く設定されている。
これにより、前記吸収体12は、前記液拡散シート13が当接している部分と、それ以外の部分、即ち前記被覆シート14とのみ接触している部分とで、変形具合や変形のしやすさ等において差を持たせることができる。より具体的には、液拡散シート13の端部付近においては、該液拡散シート13の端部を境に吸収体12の変形具合等が大きく異なるが、この結果、その液拡散シート13の端部を起点とした変形を誘導し易くなるため、吸収体12に不規則な変形を生じさせにくくすることが可能となる。したがって、着用者の動き等に伴って前記吸収体12が外力を受けたとしても、該外力による変形を誘導して該変形にある程度規則性を持たせることができるため、変形に起因する該吸収体12のダメージを軽減してその吸収体12の崩壊等を可及的に抑制することができる。
さらに、前記液拡散シート13は、前記吸収体12と接する部分である畝部21の表面側が起毛されている。
このように、前記吸収体と接する部分を起毛することにより液拡散シートの吸収体側の密度が減少し、吸収体12中のパルプ繊維が食い込みやすくなると同時に、パルプ繊維同士の部分的な水素結合により構造、強度が安定化するという効果が得られる。ここで、液拡散シートを起毛する方法としては、該液拡散シートにフィブリル化された叩解パルプを含ませたり、スチームジェット処理を行ったりする等の各種手段を用いることができる。
また、本発明における液拡散シートとしては、親水系繊維であるセルロース繊維を主原料とし、その他叩解パルプを含む不織布が用いられ、特に湿式スパンレース不織布が好適である。
この場合、前記叩解パルプはフィブリル化されていることが好ましい。なお、本発明において「フィブリル化」とは、繊維の本体部分の表面から、サブミクロンサイズの繊維径を有するマイクロファイバー部分が部分的に剥離しかつ繊維の本体部分の表面から延びていることを意味する。
なお、本発明において、前記液拡散シートに含まれるセルロース繊維としては、特に制限されないが、例えば、天然セルロース、再生セルロース、半合成セルロース等が挙げられる。
前記天然セルロースとしては、パルプ、例えば、針葉樹又は広葉樹を原料として得られる木材パルプ(例えば、砕木パルプ、リファイナーグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ;クラフトパルプ、サルファイドパルプ、アルカリパルプ等の化学パルプ;半化学パルプ等);木材パルプに化学処理を施して得られるマーセル化パルプ又は架橋パルプ;バガス、ケナフ、竹、麻、綿(例えばコットンリンター)等の非木材パルプ等が挙げられる。
上記再生セルロースとしては、レーヨン、例えば、ビスコースから得られるビスコースレーヨン,ポリノジック及びモダール、セルロースの銅アンモニア塩溶液から得られる銅アンモニアレーヨン(「キュプラ」とも称される);有機化合物及び水の混合溶液である有機溶剤を用いた有機溶剤紡糸法によって得られ、セルロース誘導体を経ないリヨセル及びテンセル等が挙げられる。
半合成セルロースとしては、例えば、アセテート繊維、例えば、トリアセテート及びジアセテートが挙げられる。
なお、これらの天然セルロースとしてパルプを、再生セルロースとしてレーヨンを使用した場合において、これらのパルプとレーヨンの混合割合は、レーヨンを10〜70質量部とすることが好ましく、さらに15〜65質量部とすることが好ましい。また、前記セルロース繊維と叩解パルプとは、60〜90質量部と10〜40質量部との比率において含むことが好ましく、さらに好ましくは65〜75質量部と25〜35質量部との比率(ただし、セルロース繊維と叩解パルプの合計が100質量部を越えない。)において含むことである。
なお、前記液拡散シート13は、約50〜280mg/cm3の密度を有し、好ましくは60〜200mg/cm3の密度を有している。
前記液拡散シートの密度をこの範囲とすることにより、該液拡散シート内の繊維間に吸収した***液を拡散させるために好適な毛管を形成することができる。これにより、液拡散シートは、***液の毛管移動が一層効果的に行われ、液拡散性がより高まると考えられる。
一方で、密度が280mg/cm3を超えると、液拡散シート内の空隙が少なくなりすぎて毛管が形成されにくくなるため、液拡散性が低下する。逆に、密度が50mg/cm3未満となると、液拡散シート内の空隙は多くなるものの、毛管現象が生じにくくなるため、***液の移動が鈍くなり、やはり液拡散性が低下する。
なお、前記液拡散性シートの坪量としては、35〜70g/m2程度が好ましく、さらに好ましくは40〜60g/m2、より好ましくは45〜55g/m2とすることである。
液拡散性シートの坪量が35g/m2未満となると、全体としての繊維量が不足してしまい、毛管現象及び形状保持に対する効果が低下してしまう。また、70g/m2を超えると、吸収性物品全体としての厚み、特に液拡散シートを配置した部分が過度に厚くなる可能性があり、使用感に問題が生じる可能性がある。
さらに、前記液拡散シート13は、クレム法による吸水度試験において、人工尿の5分後の吸液高さが、130mm以上とすることが好ましく、より好ましくは135mm以上、さらに好ましくは140mm以上である。さらに、吸水倍率は、2.4倍以上であることが好ましく、より好ましくは2.6倍以上であり、さらに好ましくは3.0倍以上である。
前記吸液高さが小さすぎると、吸収体を効率よく濡らすことができない。また、吸水倍率が小さすぎると、吸収コアを形成するパルプ/高吸水性ポリマーに効率よく液を移行させることができない。
なお、クレム法による吸水度試験は、JIS P 8141:2004に従って行う。
通常、紙は、抄紙(熱融着性繊維、バインダー含む)、乾燥、所望により熱圧着等の工程を経て製造されるので、均一断面構造となり、一般的に、密度が小さくなると、繊維間空隙が大きくなり、毛管径が大きくなり、吸上げ高さは小さくなり、吸上げ量は増加すると考えられる。
しかしながら、前記液拡散シートを湿式スパンレース不織布した場合、この湿式スパンレース不織布は、抄紙、ウォータージェット、乾燥工程を経ることによって、すでに疎密構造をとっている(水流絡合による交絡部が密の状態となる)。その後の乾燥工程によって、水流絡合部以外での嵩の状態により、不織布全体の嵩が出て疎の部分を形成する。
したがって、湿式スパンレース不織布を用いた液拡散シートにおいては、すでに疎密構造ができているため、疎である交絡部の間が低密度化されると、吸上げ量が大きくなると同時に、密である交絡部は、交絡部間から液の供給が行われて、より吸上げ高さが大きくなると考えられる。
また、この第1の実施の形態では、前記液拡散シート13は、前記基部20の繊維占有断面積比率が畝部21よりも高くなるように形成されている。さらに、前記畝部21の表層部分にあたる表面側領域21aは、該表面側領域21aより内側に位置する内層の領域、即ち、前記表面側領域21aと基部20とに囲まれた、畝部21の内側領域21bよりも繊維占有断面積比率が高く形成されている。
ここで、本発明において、繊維占有断面積比率とは、不織布のX線CTで得られた断層像において、測定領域を決め、その測定領域の中で繊維によって占有されている面積の、その測定領域の面積に対する割合をいう。
前記液拡散シート内において、繊維占有断面比率が高い部分は、基本的には密度が大きいため、該繊維占有断面比率が高い部分においては毛管現象による***液の移動が生じ易く、これにより、重力に関係なく***液を移動させることができると考えられる。一方、繊維占有断面比率が低い部分は、基本的に密度が小さく毛管現象は生じにくいが、***液の保持能力が高く、また導管としての機能を果たすと考えられる。
したがって、前記液拡散シートは、長手方向への***液の移動、拡散を確実に行うことができるため優れた吸液高さを得ることができる一方で、吸上げ量も十分に確保することができる。
また、前記液拡散シート13は、繊維占有断面積比率が高い基部20においては、重力に逆らった***液の拡散が特に迅速に行われる。さらに、この液拡散シート13においては、密度の差異により発生した界面、即ち、2つの密度差異が連続する領域を有するため、その界面において、毛管現象が促進されると推定されると考えられる。
そのため、この液拡散シート13においては、繊維占有断面積比率の低い畝部21の内側領域21(疎)から、該内側領域21bよりも繊維占有断面積比率の高い基部20(密)あるいは畝部21の表面側領域21a(密)への***液の移行も一層効率よく行われ、重力に逆らった***液の拡散をより効果的且つ迅速に行うことができると考えられる。
前記液拡散シート13の基部20、畝部21の表面側領域21a及び内側領域21bの各部分の繊維占有断面積比率については、前述した高低関係を満足していればよく、繊維占有断面比率の絶対値は特に限定されない。
しかしながら、液拡散シート13の幅方向(短手方向)の断面全体の平均繊維占有断面比率をrOとすると、好ましくは、基部20の繊維占有断面積比率r1は1.2rO以上であり、畝部21の表面側領域21aの繊維占有断面積比率r2は0.8rO以上、1.2rO未満であり、畝部21の内側領域21bの繊維占有断面積比率r3は0.8rO未満である。より好ましくは、基部20の繊維占有断面積比率r1は1.2rO以上、2.0rO未満であり、畝部21の表面側領域21aの繊維占有断面積比率r2は0.8rO以上、1.2rO未満であり、畝部421内側領域21bの繊維占有断面積比率r3は0.1rO以上、0.8rO未満である。
なお、繊維占有断面積比率は、例えば次のように測定される。
(1)不織布断面のX線CT観察および画像解析
X線CTを用いて、サンプルの内部構造の非破壊観察を実施する。そして、得られたデータを解析することにより、断層像を得る。
※ サンプルを360度回転させる。その際、1度回転させた際のX線の吸収状況データ、サンプルを2度回転させた際の同データ、・・・というふうにデータを取得する。
(2)解析ソフトによる立体観察(立体像、断層像の取得)
X線CTで得られた断層像から解析ソフトにて立体像を作成し、任意のXY断面にて内部の状況(XY断層像)を確認する。
※ 断層像とは、二次元の画像であり、立体像は断層像の積み重ねによって作成する。
(3)解析ソフトによる繊維面積測定
X線CTで得られたXY断層像より、測定領域を抽出し、繊維面積を測定する。
立体像、およびXY断層像より、測定対象とするXY断層像を構成する繊維が主に畝部を形成する部分に存在する、最外部の繊維を結び、畝部の形成範囲とした。
その畝部の最外部に接する長方形を描き、縦3分割、横5分割して、その領域の断面積、四角内に存在する畝部の断面積、および繊維の断面積を測定して、各部位ごとの繊維占有断面積比率を算出する。
断面は、不規則な部分がない所をなるべく抽出し、10点測定した後に平均を出す。
(4)繊維断面積の求め方の詳細
二次元での評価を行うため、断層像を抽出し、面積を計算する。このとき、三次元ボリュームレンダリングソフトは、二次元化して評価できるため、これを利用する。
[境界確定]
対象領域を指定する。(15分割のうちの1区画等)
繊維部分のコントラストを抽出する。
繊維以外のコントラストを抽出する。
白、黒、グレーの部分を、二値化(白と黒)して界面を作る。
[面積計算]
畝部を接して囲む長方形内部にある畝部のピクセル(画素)・繊維部のピクセルをソフトが解析した後、単位として、ピクセルをμm2に換算させることで、それぞれのピクセルから面積を算出する。
[面積比計算]
断面積比率は、ソフトにより算出された領域の面積と繊維断面積から、下記計算式(1)を用いて算出する。
(繊維占有断面積比率r)(%)=(対象領域の繊維断面積)/(対象領域の四角内に存在する畝部の断面積)×100 ・・・(1)
(5)測定条件
なお、X線CTにおける測定条件としては、例えば次のものを用いることができる。
管電圧:40kV
管電流:15μA
画素数:512×512pixel
視野サイズ:2.5mmφ×2.5mmh
(6)使用装置
繊維占有断面積比率の測定用の使用装置としては、例えば次のものを用いることができる。
三次元計測X線CT装置:TDM1000−IS/SP(ヤマト科学製)
三次元ボリュームレンダリングソフト:VG−Studio MAX(NVS製)。
また、前記液拡散シート13の製造方法の一例について簡単に説明すると、まず、セルロース繊維を主原料として、湿式法によりコンベア面上に繊維ウェブを形成し、次いでウォータージェット処理を施して、湿式スパンレース不織布を作製する。
次に、湿式スパンレース不織布のウォータージェット処理時のコンベア面側から、スチームジェット処理を施す。
このとき、図6及び図7に示すように、スチームジェットノズル30からスチームジェット31による流体噴射によって、サクションドラム33上の湿式スパンレース不織布32の繊維が一定の間隔で掻き分けられ、元の湿式スパンレース不織布32の状態よりも密度の低い突起が形成される。そして、スチームジェット31が強く当たるところが繊維の押し上げ量が多くなると共に、繊維の押し上げにより形成された突起32aが反り返って、該突起32aの先端が元の湿式スパンレース不織布32のより遠方に着地する。これにより、元の湿式スパンレース不織布52である高密度部Aと、押し上げられた突起32aの繊維で構成される中密度部Bと、その高密度部Aと中密度部Bとで囲まれた低密度部Cとがそれぞれ形成される。
この結果、元の湿式スパンレース不織布である高密度部、即ち基部20上における、スチームジェットにより繊維を押し上げられた後に残る高密度部、即ち基部20を底部22aとする溝部22と溝部22との間に、反り返った突起32a,32aの先端同士が向かい合う方向に寄せられた1つまたは2つの畝部21が形成されることとなる。このとき、畝部21は、前記中密度部が表面側領域21a、前記低密度部が内側領域21bとなる。
なお、ノズルパターンや、コンベアメッシュパターン、またスチームジェットの圧力により、畝部21のパターンは変更可能である。
前記構成を有する吸収性物品を着用した場合の***液の移動について説明する。
まず、着用者から***液が排出されると、***液は液透過性シート10を透過して、吸収体12に移動する。
前記吸収体12に移動した***液は、前記被覆シート14に沿って拡散される一方で、この被覆シート14を通して吸収体12に移動する。そして、吸収体12に移動した***液は、該吸収体12の表面に沿って移動する一方で、該吸収体12のパルプの繊維間空隙にも移動し、吸水性ポリマーによる吸収が開始される。なお、このとき、***液のほとんどは、吸収体12の股間部あるいはその近傍付近に吸収される。
前記***液が前記吸水性ポリマーに吸収されると、該吸水性ポリマーが膨潤してその部分の吸収体12の密度が低下するため、***液は吸収されずに該吸収体12を透過し、その吸収されなかった***液は液拡散シート13に達する。
液拡散シート13に到達した***液は、吸収体12と該吸収体12と接している畝部21の表面との界面を移動する一方で、該畝部21の表面から表面側領域21a内に吸収される。また、その表面側領域21aに吸収された***液は、一部は該表面側領域21aを毛管現象により移動して液拡散シート13の長手方向に拡散するが、大部分は内側領域21bに移動、吸収され、さらに、内側領域21bに吸収された***液はさらに基部20に移動、吸収される。
そして、この基部20に吸収された***液は、毛管現象により該基部20を移動し始め、重力に関係なく液拡散シート13の長手方向、即ち紙オムツ1の臀部側及び腹部側に移動、拡散し、吸収体12の臀部側及び腹部側に吸収されることとなる。
このとき、吸収体12の腹部側及び臀部側には、着用者からの***液が直接的に***されていないため、***液の吸収量としてはまだ余裕があり、特に、吸収体12の液不透過性シート側はこの時点では***液の吸収にほとんど使用されていない。そのため、前記液拡散シート13の長手方向に拡散されてきた***液は、腹部側及び臀部側の吸収体12に効率良く吸収される。
一方で、吸収体12の腹部側や臀部側で***液が吸収された液拡散シート13は、保持していた***液がなくなった分、再び***液を吸収・保持して拡散させる能力が回復するため、股間部が保持している***液を継続的に拡散させ、吸収体12の腹部側や臀部側に順次吸収させる。これにより、前記液拡散シート13は、拡散させた***液が吸収体12の腹部側や臀部側から吸収される限りは液拡散能力が回復し続けるため、***液の拡散を繰り返し行うことができる。
この結果、着用者が***液を複数回排出したとしても、液拡散能力が回復した液拡散シート13が***液をその度に安定的に拡散させるため、該***液を確実に吸収体12に吸収、保持させることが可能となる。
そして、上記構成を有する吸収性物品は、前記液拡散シート13が、前記基部20の吸収体側に突設させた畝部21を吸収体12に食い込ませた状態で該吸収体12に取付けられているため、吸収性物品の着用者が歩いたり、あるいは立ったり座ったりしてことに起因して吸収体12がよれたとしても、前記液拡散シート13は該吸収体12の動きに追随し、少なくとも畝部21が吸収体12に常に密着した状態が維持される。
また、液拡散シート13自体は、前記吸収体12との密着性が高まったことにより、該吸収体12から離れて独立してよれることが抑えられ、吸収体12との一体性が損なわれることが抑止される。
これにより、前記吸収体12は前記液拡散シート13により常時補強されるため、着用時においてはこの吸収体12の形状保持を確実且つ安定的に行うことが可能となる。
さらに、前記液拡散シート13は、前記畝部21を吸収体12に食い込ませた状態で、該畝部21と吸収体12とをホットメルト型接着剤を用いて接着しているため、たとえ前記吸収体12が変形したとしても、食い込ませた畝部21が吸収体12内のパルプ繊維や吸水性ポリマーの移動をある程度抑制し、これらのパルプ繊維と吸水性ポリマーとの乖離、及び吸収体12と液拡散シート13との乖離を抑止することができる。これは、吸収性物品着用時に発生する吸収体幅方向の圧縮やせん断作用が働いたとき、食い込みとホットメルト型接着剤による接着点が吸収体12の平面方向だけでなく断面方向にも存在することによって、圧縮、せん断作用時の荷重が平面方向、断面方向に分散されるためである。
したがって、前記液拡散シート13は、食い込ませた畝部21自体が前記吸収体12の形状保持に寄与するため、該吸収体12をより効果的に保形させることができる。
図8〜図10は、本発明の吸収性物品の第2の実施の形態を示すもので、この第2の実施の形態の吸収性物品は、前記第1の実施の形態とは吸収体の構成が異なっている。
即ち、この第2の実施の形態における吸収体は、液不透過性シート側の吸水性ポリマーの含有割合が液透過性シート側よりも多く、液透過性シート側の液吸収量に比べて液不透過性シート側の液吸収量が大きくなるように構成されている。
具体的に、この第2の実施の形態における吸収性物品の前記吸収体41は、該吸収体41の厚さ方向の断面を該厚さ方向に5つの層に5等分したとき、吸収体全体に含まれている吸水性ポリマーの体積に対して、吸水性ポリマーを含有する体積割合が最も高く形成された吸水性ポリマー高体積層42と、該吸水性ポリマー高体積層42よりも含有する体積割合の低い吸水性ポリマー低体積層43とを有している。そして、第1〜第5の層44〜48のうち、少なくとも最も液不透過性シート側に位置する第1の層44が、前記吸水性ポリマー高体積層42となっている。
また、図8に示すものの場合、前記第1の層44のみを吸水性ポリマー高体積層42とし、他の第2〜第5の層45〜48については吸水性ポリマー低体積層43としているが、前記第1の層44と隣接する第2の層45については、他の吸水性ポリマー低体積層43である第3〜第5の層46〜48よりも、吸水性ポリマーを含有する体積割合を高くしている。
これにより、前記吸収体41を、液不透過性シート側に行くに従って吸収能力が次第に高くなるような構成として、該液不透過性シート側、即ち、液拡散シート13と接している面側における***液の吸収能力をさらに向上させている。
このとき、吸水性ポリマー高体積層42である第1の層44においては、吸収体全体に含まれている吸水性ポリマーの体積に対して、吸水性ポリマーを含有する体積割合(体積比)は、25%〜50%程度であることが好ましい。
第1の層に含まれている吸水性ポリマーの体積比が25%未満であると液拡散シート13で拡散された***液が吸水性ポリマーに移行する機会が減少するため、***液を効率よく吸収できなくなる。逆に50%を超えると吸収コアであるブレンド層中のパルプ比率が表側、肌側で大きくなりすぎてしまい、***液が肌側に留まり離水しにくくなる。
また、前記第1の層44と、該第1の層44に隣接する第2の層45とに含まれる吸水性ポリマーの体積の和については、吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の50〜80%とすることが好ましい。50%未満であると、第1の層44及び第2の層45の2つの層内において、液拡散シート13で拡散された***液が吸水性ポリマーに移行する機会が減少するため、これらの第1及び第2の層44,45の両層の組合せによって期待されている吸収能力を確保することできず、***液を効率よく吸収できなくなる可能性がある。逆に、80%を超えると吸収体中のパルプ繊維の比率が、第3〜第5の層46〜48で大きくなりすぎてしまい、***液がこれらの第3〜第5の層46〜48内に留まるため、離水しにくくなる可能性がある。
ここで、前記吸収体41について、その厚さ方向の断面を該厚さ方向に5等分したとき、その5等分された各層の吸水性ポリマーの体積比率については、例えば次のような方法で測定される。
X線CTを用いて、サンプルの内部構造の非破壊観察を実施する。そして、得られたデータを解析することにより、立体像を得る。
※ データの取得する場合、サンプルを360度回転させ、その際、1度回転させた際のX線の吸収状況データ、サンプルを2度回転させた際の同データ、・・・というふうにしてデータを取得する。
(2)解析ソフトによる立体観察(立体像、断層像の取得)
X線CTで得られた断層像から解析ソフトにて立体像を作成する。
なお、前記断層像とは、二次元の画像である。前記立体像は、この断層像の積み重ねによって作成する。
(3)解析ソフトによる吸水性ポリマーが占める体積測定
X線CTで得られたXY立体像より、測定領域を抽出し、吸水性ポリマーの体積を測定する。
立体像より、吸収体を形成する最外部の繊維を結び、吸収体の形成範囲とした。
その吸収体の最外部に接する長方形を描き、吸収体の長手方向を2分割、吸収体の断方向を5分割して、その領域の体積、長方形内に存在する吸水性ポリマーの体積を測定する。
以上の手順で、サンプルの各層(この場合5層)のそれぞれについてX線CT観察および画像解析した後に、合計10点の平均を出す。
(4)吸水性ポリマー体積の求め方の詳細
三次元での評価を行うため、立体像を抽出し、体積を計算する。
[境界確定]
対象領域を指定する。(5分割のうちの1区画等)
吸水性ポリマー部分のコントラストを抽出する。
吸水性ポリマー部分以外のコントラストを抽出する。
吸水性ポリマー部分の白、それ以外の黒、グレーの部分を、二値化(白と黒)して吸水性ポリマー部分のみを残す。
[体積計算]
吸水性ポリマー部分のピクセル(画素)をソフトが解析した後、ボクセルに換算されて立体化され、単位としてmm3に換算させることで、それぞれのピクセル、ボクセルから体積を算出する。
[体積比計算]
体積比率は、ソフトにより算出された対象領域の体積と5断面の総体積から、下記計算式(1)を用いて算出する。
(体積比率r)(%)=(対象領域の体積)/(対象領域の長方形内に存在する5断面の総体積)×100 ・・・(1)
(5)測定条件
なお、X線CTにおける測定条件としては、例えば次のものを用いることができる。
管電圧:40kV
管電流:20μA
画素数:1024×1024pixel
視野サイズ:10.1mmφ×10.1mmh
(6)使用装置
吸収体の吸水性ポリマーの体積比測定用の使用装置としては、例えば次のものを用いることができる。
三次元計測X線CT装置:TDM1000−IS/SP(ヤマト科学製)
三次元ボリュームレンダリングソフト:VG−Studio MAX(NVS製)。
図9に示すものの場合、吸水性ポリマー高体積層である第1の層に含まれている吸水性ポリマーの体積は、吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積に対して35%、第2の層については34%である。なお、第3の層については18%、第4の層については6%、第5の層については7%であった。
この図9から、吸水性ポリマーは、液不透過性シート側、即ち第1の層側に行くにしたがって体積比が大きくなっていることがわかる。また、第1の層と第2の層とに含まれている吸水性ポリマーの体積の和も、吸収体全体に含まれている吸水性ポリマーの体積69%に達し、吸収体の液不透過性シート側の吸収能力が、液透過性シート側に比べて格段に高くなっていることがわかる。
なお、上述のような、含有する吸水性ポリマーの体積が第1〜第5の各層ごとに異なる吸収体の形成については、任意の方法で形成することが可能である。
例えば、上述したような、吸水性ポリマーを混入させながらパルプ繊維等の吸収体材料を所定の形に積層して吸収体を製造する製造装置(例えば特開2010−119655号公報に記載されている吸収体の製造装置)を用いて形成することができる。そして、吸収体を構成するパルプ繊維をサクションドラムの外周面に形成された型内に積層する際に、第1〜第5の各層に対して所定量の吸水性ポリマーがそれぞれ供給されるように、吸水性ポリマーの供給位置を変更して吸水性ポリマーの供給時間を調整したり、あるいは吸収ポリマーの供給量や供給のタイミング等を変更したりすることにより、前記構成の吸収体を形成することができる。
また、この第2の実施形態においては、前記吸収体41の構成、特に第1〜第5の層44〜48の吸収体全体の体積に対する吸水性ポリマーを含有する体積割合に係る構成以外は、基本的に前述の第1の実施の形態とほぼ同等の構成であり、同等の効果を奏するため、同様の符号を付して詳細な説明は省略する。
前記構成を有する第2の実施の形態の吸収性物品は、基本的に前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
しかしながら、少なくとも、最も液不透過性シート側に位置する第1の層44を、吸収体全体に含まれている吸水性ポリマーの体積に対して、吸水性ポリマーを含有する体積割合が最も高く設定された吸水性ポリマー高体積層42としたことにより、液拡散シート13が保持している***液を、吸収体41に一層効率良く移動、吸収させることができる。
この結果、液拡散シート13の繰り返し吸収、拡散させる能力を長期間維持することが可能となり、吸収性物品全体としての***液の吸収能力をさらに向上させることができる。
さらに、前記吸収体41について、一般に吸水性ポリマーを多く含有する部分は崩壊しやすくなる傾向にあるため、最も液不透過性シート側に位置する第1の層44が吸水性ポリマー高体積層42であると、この第1の層44は変形に弱く、崩壊し易いと考えられる。しかしながら、液拡散シート13がこの第1の層44に常に接して補強をしているため、この第1の層44は吸水性ポリマー高体積層42であったとしても安定的に形状保持され、この結果、液拡散シート13が吸収体全体の保形を確実に行うことが可能となる。
図10及び図11は、本発明の吸収性物品の第3の実施の形態を示すもので、この第3の実施の形態の吸収性物品は、液拡散シートの幅方向の長さが、前記第1の実施の形態の場合とは異なっている。
即ち、前記第1の実施の形態においては、液拡散シート13の幅方向の長さを、前記吸収体12の幅方向の最小幅部分(つまり股部分の湾曲した部分の幅)よりも小さくしているが、この第3の実施の形態における液拡散シート51は、その幅方向長さを、吸収体12の最大幅(つまり、腹部及び臀部の幅)よりも小さく、最小幅部分よりも大きくしている。
したがって、前記液拡散シート51は、前記吸収体12と接する範囲においては、畝部21が該吸収体12に食い込んで密着している一方で、前記吸収体12の長手部分における湾曲した部分から、前記液拡散シート51の一部がはみ出た態様となっている。
なお、この第3の実施の形態における前記吸収体は、第1の実施の形態と同じ構成の吸収体12を用いており、該吸収体12と前記液拡散シート51とが接する範囲においては、吸収体12への畝部21の食い込み程度も第1の実施の形態と同様となっている。
前記液拡散シート51の幅方向長さを、前記吸収体12の最大幅(つまり、腹部及び臀部の幅)よりも小さく、最小幅部分よりも大きくしているのは、前記吸収体12の液不透過性シート側から液拡散シート51の一部が延設された態様とすることにより、該吸収体12が吸収しきれなかった***液を吸収、拡散して、該***液が外部に漏れ出るのをより確実に抑止するためである。
この点について説明すると、前記吸収体12が吸収しきれなかった***液は、そのまま液不透過性シート側に移動するが、吸収体12の最小幅部分では、***液を吸収する範囲も狭くなるため、外部への液漏れが発生し易くなる。例えば、図10に示すように、前記吸収体12の長手の部分における着用者の股部分に相当する部分が、平面視において該吸収体12の内方側に向けて湾曲した形状となっている場合、この部分が吸収体12の最小幅部分となり、他の部分に比べて***液の外部への液漏れが発生し易い。
そのため、前記液拡散シート51の幅方向の長さを、前記吸収体12の最小幅部分よりも大きくして、平面視において液拡散シート51の一部が吸収体12からはみ出た態様とすることにより、該吸収体12が吸収しきれなかった***液を素早く吸収して、迅速に拡散させることを可能とし、これにより、***液が外部に漏れ出るのをより確実に抑えている。
一方で、液拡散シート51の幅方向の長さを、前記吸収体12の最大幅よりも大きくしても、吸収体12からはみ出た部分において***液を長手方向に拡散したとしても、そのはみ出た部分の長手方向に拡散した***液を吸収する吸収体が存在しないと吸収能力の向上の効果が薄い。そのため、液拡散シート51の幅方向の長さは、前記吸収体12の最大幅よりも小さくし、材料の使用量を可及的に抑えることによる省資源化を図っている。
なお、この第3の実施形態においては、液拡散シート51の幅方向長さを、前記吸収体12の最大幅よりも小さく、最小幅部分よりも大きくしている点以外の構成については、基本的に前述の第1の実施の形態とほぼ同等の構成であり、同等の効果を奏するため、同様の符号を付して詳細な説明は省略する。
前記構成を有する第3の実施の形態の吸収性物品は、基本的に前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
これに加えて、前記液拡散シート51の幅方向長さを、前記吸収体12の最大幅よりも小さく、最小幅部分よりも大きくしてことにより、前記液拡散シート51は、吸収体12と接している範囲において畝部21が吸収体12に食い込んで常に密着した状態となると共に、前記吸収体12の液不透過性シート側から液拡散シート51の一部が延設された態様となる。これにより、前記吸収体12が吸収しきれなかった***液を該液拡散シート51が拡散させて、吸収体12の腹部側や臀部側に確実に吸収させるため、***液が外部に漏れ出るのをより確実に抑止することができるという利点がある。
前記第1〜第3の実施の形態においては、前記液拡散シート12,51は、図4や図5に示すような、各畝部21がほぼ同じ幅であるものを使用しているが、本発明においては、図12に示すような、各畝部間の間隔が相互に異なっている構成のものや、各畝部21の幅が異なっているものを用いることができる。
さらに、本発明においては、液拡散シートとして、図13に示すような、畝部21の略中央に、液拡散シート13,51の長手方向に延び、且つ吸収体側の端面に基部20にまで至らない窪み23が形成された中央領域21cが形成されたものを用いることができる。
この中央領域21cは、液拡散シート13,51の製造過程で形成されるもので、スチームジェットによって畝部を形成する際に、該スチームジェットからの圧力が、図6及び図7に示す畝部形成時よりも大きい場合に形成される。即ち、スチームジェットの圧力が大きくなると、かき分けられた繊維はより遠くに飛ばされるので、該スチームジェットで押し上げられた突起は長くなる。そして、反り返った突起の先端が着地する位置で、隣り合う突起の先端同士がぶつかり合い、ぶつかり合った部分が前記中央領域となる。なお、この中央領域の窪みは、隣り合う反り返った形状の突起同士がぶつかり合ったために形成されたものである。
前述のように、前記液拡散シート13,51が畝部21の中央領域21cが存在する場合、繊維占有断面比率は、前記畝部21の表面側領域21aよりも低い一方で、内側領域21bよりも高い。
具体的に、このときの基部20の繊維占有断面積比率r1は1.2rO以上、畝部21の表面側領域21aの繊維占有断面積比率r2は0.8rO以上、1.2rO未満であり、畝部21の中央領域21cの繊維占有断面積比率r4は0.5rO以上、0.8rO未満であり、畝部21の内側領域21bの繊維占有断面積比率r3は0.5rO未満であることが好ましい。より好ましくは、基部20の繊維占有断面積比率r1は1.2rO以上、2.0rO未満、畝部21の表面側領域21aの繊維占有断面積比率r2は0.8rO以上、1.2rO未満、畝部21の中央領域21cの繊維占有断面積比率r4は0.5rO以上、0.8rO未満、畝部21の内側領域21bの繊維占有断面積比率r3は0.1rO以上、0.5rO未満である。
また、前記第1〜第3の実施の形態においては、前記液拡散シート13,51は、前記基部20と畝部21の表面側領域21a、並びに畝部21の内部領域21b、さらには前記中央領域21cにおいて、それぞれの繊維占有断面積比率に差を持たせた構成となっている。
しかしながら、この液拡散シートは、前記液不透過性シート側に配設された基部と、該基部の吸収体側に一定間隔で設けられ、吸収体側に突出し且つ吸収体の長手方向に延びる複数の畝部と、隣接する畝部の間に形成された、底部が前記基部により形成された溝部とを備えていて、前記畝部を前記吸収体に食い込ませた状態で該吸収体に取付けられていれば、前記基部と畝部の表面側領域や内部領域、中央領域の各繊維占有断面積比率は任意に設定することができる。
さらに、前記第1〜第3の実施の形態においては、前記液拡散シート13,51は、前記畝部21及び溝部22が、該液拡散シート13,51の長手方向の全長にわたって連続してそれぞれ形成されているが、これらの畝部及び溝部は、液拡散シートの長手方向に不連続であってもよい。
また、前記液拡散シート13,51は、前記吸収体12,41と接する部分が必ずしも起毛されている必要はなく、起毛の有無については任意に選択することができる。
また、前記第1〜第3の実施の形態では、液拡散シート13,51の長手方向及び幅方向の曲げ剛性は、該液拡散シート13,51と吸収体12,41とを一緒に被覆する被覆シート14よりも高く設定されているが、液拡散シートの曲げ剛性については、吸収体の形状保持を確実に行える範囲で任意に設定することができる。
前記第2の実施の形態においては、前記吸収体41の構成について、前記第1の層44に隣接する第2の層45に含まれる吸水性ポリマーの体積比を、他の吸水性ポリマー低体積層43である第3〜第5の層46〜48に比べて高めに設定し、第1の層44及び第2の層45に含まれる吸水性ポリマーの体積の和を、吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の50〜80%としている。しかしながら、前記吸収体における第2〜第5層の各層に含まれる吸水性ポリマーの体積比は任意に設定することができる。
例えば、図14に示すように、吸収体61を次のような構成とすることができる。
即ち、前記吸収体61の厚さ方向の断面を該厚さ方向に5等分した第1〜第5の層62〜66のうち、最も液不透過性シート側に位置する第1の層62のみを前記吸水性ポリマー高体積層67とする一方、他の第2〜第5の層63〜66を吸水性ポリマー低体積層68とする。
そして、前記吸水性ポリマー低体積層68である第2〜第5の層63〜66のうち、吸収体61の中央の層である第3の層64と、最も液透過性シート側に位置する第5の層66とについては、吸収体全体に含まれている吸水性ポリマーの体積に対して、含有する吸水性ポリマーの体積割合を、他の吸水性ポリマー低体積層、即ち第2の層63及び第4の層65にそれぞれ含まれている吸水性ポリマーの体積割合よりも高くする。
なお、図14に示す吸収性物品ついては、吸収体の構成以外は前記第2の実施の形態と同様であり、同様の効果を奏するため、同様の符号を付して説明は省略する。
このように、吸水性ポリマー低体積層である第2〜第5の層63〜66のうち、前記第3の層64、第5の層66に含まれる吸水性ポリマーの体積割合を、他の第2及び第4の層63,65よりも高くした理由は、第3及び第5の層64,66に吸水性ポリマー低体積層としての機能に加えて、吸水性ポリマー高体積層の機能に近い機能を発揮させるためである。
即ち、吸水性ポリマー高体積層である第1の層よりもパルプ繊維が多く存在することから、吸収体における***液の拡散性を確保する一方で、含有する吸水性ポリマーの体積割合も比較的高いため、ある程度の量の***液を吸収、保持できるようにしている。
また、吸収体全体に含まれている吸水性ポリマーの体積に対して含有する吸水性ポリマーの体積割合が比較的高い層を複数且つ分散させることにより、***液による湿潤時、吸水性ポリマーの膨張に伴う吸水性ポリマー同士のブロッキングを可及的に抑止し、そのブロッキングに起因する***液の吸収の阻害を抑える機能を有している。ここで、第3及び第5の層は、吸水性ポリマー高体積層である第1の層に比べ、含有する吸水性ポリマーの体積割合が低いため、吸水性ポリマーが膨張しても、前記ブロッキングが発生しにくく、***液の拡散性が損なわれにくい。
さらに、前述のように、吸水性ポリマーが膨張すると、吸収体全体として変形し、場合によっては吸収体が部分的に乖離し、該吸収体の吸収能力の低下を引き起こす可能性があるが、第3及び第5の層のように、吸水性ポリマー低体積層であっても、含有する吸水性ポリマーの体積割合が比較的高い層を分散して配置することにより、吸収体全体として変形量をできるだけ小さくして吸収体の部分的な乖離を抑止し、該吸収体の吸収能力の低下を抑える機能もある。
また、第5の層は吸水性ポリマー低体積層でありながら、含有する吸水性ポリマーの体積割合が比較的高いため、被覆シートに残った水分をある程度吸収することができるため、これによりリウェットを低減することができる。
なお、吸水性ポリマー高体積層67である前記第1の層62の吸水性ポリマーの体積は、吸収体61全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の33〜50%であることが好ましい。
また、吸水性ポリマー低体積層68である前記第3の層64、並びに第5の層66の吸水性ポリマーの体積は、前記吸収体全体に含まれる吸水体性ポリマーの体積の25〜33%とすることが好ましい。ただし、吸水性ポリマー低体積層68が含有する吸水性ポリマーの体積割合は、前記吸水性ポリマー高体積層67の体積割合より低く、また、各層に含まれる吸水性ポリマーの体積の合計は、吸収体全体に含まれ吸水性ポリマーの体積の100%を越えない。
なお、前記第3の層64と第5の層66とは、含有する吸水性ポリマーの体積割合は相互に同じである必要はなく、25〜33%の範囲で任意に設定することができる。また、吸水性ポリマー低体積層68である他の層、即ち、第2及び第4の層63,65については、吸水性ポリマーをほとんど含んでいない、あるいは全く含んでいないものとしてもよい。
このように、吸水性ポリマー高体積層67の吸水性ポリマーである前記第1の層62の吸水性ポリマーの体積割合を33〜50%、前記第3及び層64,66の吸水性ポリマーの体積割合をそれぞれ25〜33%としたのは、次の理由からである。
即ち、第3及び第5の層64,66の吸水性ポリマーの体積比が第1の層62の吸水性ポリマーの体積比を上回ると、液拡散シート13から第1の層62の吸水性ポリマーへの液移行の機会が減少するためである。さらに、第3の層64、第5の層66で、吸水性ポリマーの膨張に伴うブロッキングが起こりやすくなり、また***液の拡散性も低下するため、吸収体全体としての吸収性能が損なわれる可能性があるためである。
また、前記第1の層62に含まれる吸水性ポリマーの体積割合が吸収体61全体に含まれ吸水性ポリマーの体積の33%未満であると、この第1の層62の吸水性ポリマーへの***液の移行の機会が少なくなる上、前記第3及び第5の層64,66に対する吸収能力の優位性が薄れてしまい、吸収体61全体としての***液の吸収、保持機能と、拡散性のバランスが崩れてしまう場合が考えられる。これにより、吸水性ポリマー高体積層として期待されている***液を吸収、保持する機能を得ることが困難になり、結果として、吸収体61全体として必要な吸収性能を確保できない可能性がある。
逆に、50%を超えると吸収体61中のパルプ繊維の比率が、吸水性ポリマー低体積層68の各層で大きくなりすぎてしまい、***液が第1の層62に集中して留まるため、離水しにくくなる可能性がある。
さらに、前記第3及び第5の層64,66に含まれる吸水性ポリマーの体積割合が吸収体61全体に含まれ吸水性ポリマーの体積の25%未満であると、第3及び第5の層64,66の各層における吸水性ポリマーへの***液の移行の機会が少なくなり、他の吸水性ポリマー低体積層に対して、これら第3及び第5の層64,66における吸収能力の優位性が薄れてしまう可能性があり、期待されている吸水性ポリマー高体積層に準ずる***液の吸収、保持機能を発揮することができない。
逆に、33%を超えると、吸水性ポリマー高体積層同等、あるいはそれ以上の吸水能力を有する場合があるため、吸収体61における***液の吸収、保持機能と、拡散性のバランスが崩れ、却って吸収体61全体として必要な吸収性能を確保できなくなる可能性がある。
また、前記第2の実施の形態においては、前記吸収体41の構成を、第1〜第5の層のうち、第1の層のみを吸水性ポリマー高体積層としているが、第1の層に加え、第2〜第5の層のうちの1〜3つの層を吸水性ポリマー高体積層としてもよい。
例えば、図15に示すように、前記吸収体71の厚さ方向の断面を該厚さ方向に5等分した第1〜第5の層72〜76のうち、最も液不透過性シート側に位置する第1の層72と、吸収体の中間に位置する第3の層74、最も液透過性シート側に位置する第5の層76を前記吸水性ポリマー高体積層77とする一方、他の第2の層73と第4の層75を吸水性ポリマー低体積層78とする。
なお、このとき第1、第3、第5の層72,74,76は、相互に同じ程度の坪量となっており、また第2及び第4の層73,75については、相互に同じ程度の坪量とする。
なお、図15については、吸収体の構成以外は前記第2の実施の形態と同様であり、同様の効果を奏するため、同様の符号を付して説明は省略する。
このように、吸収体を5層に分けた場合の第1の層72、及び第3の層74、並びに第5の層76の3層を吸水性ポリマー高体積層77としたのは、吸収体全体を***液の吸収に有効に活用するためである。
前記第1の層72については、前記第2の実施の形態と同様に、液拡散シート13と当接している該吸収体71の液不透過性シート側を吸水性ポリマー高体積層77とすることにより、液拡散シート13が保持している***液を吸収体71の方に効率良く且つ安定的に移動させるためである。これにより、液拡散シート13が保持している***液が早期に且つ確実に減少するため、***液を拡散させる能力が早期に回復し、複数回の***にも安定的に対応することができる。
また、第1の層72に加えて、前記第3の層74及び第5の層76を吸水性ポリマー高体積層77とした理由は、吸水性ポリマー高体積層を複数且つ分散させることによって、***液による湿潤時、吸水性ポリマーの膨張に伴う吸水性ポリマー同士のブロッキングを可及的に抑止し、そのブロッキングに起因する***液の吸収の阻害を抑制するためである。
さらに、吸水性ポリマーが膨張すると、吸収体全体として変形し、場合によっては吸収体が部分的に乖離し、該吸収体の吸収能力が低下する可能性があることから、吸水性ポリマー高体積層を分散させて、第1の層のみに***液が吸収、保持されることを防ぐためでもある。これにより、吸収体全体として変形量をできるだけ小さくして吸収体の部分的な乖離を抑止し、該吸収体の吸収能力の低下を抑えている。
また、第5の層76を吸水性ポリマー高体積層としたのは、被覆シートに残った水分を吸収するためであり、これによりリウェット低減を図ることができる。
一方で、第1の層72に加えて、第3の層74及び第5の層76を吸水性ポリマー高体積層としたことによって、吸水性ポリマー低体積層である第2の層73、第4の層75においては、パルプ繊維が第1、第3、第5の層72,74,76よりも多く存在することになるため、吸収体における***液の拡散性を向上させることが可能となるという効果が得られる。
なお、前記吸水性ポリマー高体積層である第1、第3、第5の層72,74,76に含まれる吸水性ポリマーの体積は、いずれも、吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の25%以上であり、且つ各吸水性ポリマー高体積層に含まれる吸水性ポリマーの体積の合計は吸収体全体に含まれ吸水性ポリマーの体積の75%〜100%であることが好ましい。
特に、前記第1の層72、第3の層74、第5の層76の各層に含まれる吸水性ポリマーの体積割合が吸収体全体に含まれ吸水性ポリマーの体積の25%未満であると、これらの第1の層72、第3の層74、第5の層76の吸水性ポリマーへの***液の移行の機会が著しく減少する。これにより、吸水性ポリマー高体積層として期待されている***液を吸収、保持する機能を得ることが困難になる可能性があり、結果として、吸収体全体として必要な吸収性能を確保できない可能性がある。
なお、このとき、吸水性ポリマー低体積層である第2及び第4の層73,75については、吸水性ポリマーがほとんど含まれていない、あるいは全く含まれていない状態としてもよい。
また、前記第3の実施の形態では、吸収体12として第1の実施の形態と同じ構成のものを用いているが、本発明においては、吸収体として、第2の実施の形態の吸収体41と同じ構成のもの、あるいは、上述した図14や図15に示すような構成の吸収体を用いてもよい。
なお、前記第1〜第3の実施の形態では、吸収性物品として、使い捨ての紙オムツの場合について説明したが、本発明の吸収性物品は、これ以外にも生理用ナプキンや失禁パッド等であってもよい。
本発明の吸収性物品の吸収能力を確認するため、本発明に係る吸収性物品と、本発明の構成を有していない吸収性物品とについて、吸収性を比較する比較実験を行った。
本発明に係る吸収性物品は、第1の例として、吸収体の厚さ方向の断面を該厚さ方向に5等分して第1〜第5の層としたとき、最も液不透過性シート側に位置する第1の層のみを吸水性ポリマー高体積層とすると共に、第1の層及び該第1の層に隣接する第2の層に特に多くの吸水性ポリマーを含有させた吸収体を用いた。そして、吸収体と液不透過性シートとの間に液拡散シートを配設した構成を有するもの(以下、「実施例1」という。)を使用した。
第2の例として、吸収体の第1の層を吸水性ポリマー高体積層としているが、各層に含有させた吸水性ポリマーの体積割合が前記実施例1とは異なる吸収体を用い、該吸収体と液不透過性シートとの間に液拡散シートを配設したもの(以下、「実施例2」という。)を使用した。
一方、本発明の構成を有していない吸収性物品は、第1の例として、第1〜第5の層の各層が含有する吸水性ポリマーの体積比率が前記実施例2と同じであり、吸収体を構成するパルプ繊維の坪量が実施例2と異なる吸収体を用い、且つ液拡散シートを有していない構成のもの(以下、「比較例1」という。)を使用した。
第2の例として、第1〜第5の層の各層が含有する吸水性ポリマーの体積比率が前記実施例1と同じであり、吸収体を構成するパルプ繊維の坪量が実施例1と異なる吸収体を用い、液拡散シートを有していない構成のもの(以下、「比較例2」という。)を使用した。
第3の例として、第1〜第5の層の各層が含有する吸水性ポリマーの体積比率が前記実施例1と同じであり、吸収体を構成するパルプ繊維の坪量が実施例1及び比較例2と異なる吸収体を用い、液拡散シートを有していない構成のもの(以下、「比較例3」という。)を使用した。
前記実施例1、比較例2、比較例3について、吸収体全体が含有する吸水性ポリマーに対する第1〜第5の層の各層が含有する吸水性ポリマーの体積割合は、第1の層は35%、第2の層は34%、吸収体の中央に位置する第3の層は18%、該第3の層に隣接する第4の層は6%、最も液透過性シート側に位置する第5の層は7%とした。これらの実施例1、比較例2、比較例3の吸収体におけるパルプ繊維の坪量について、実施例1は170g/m2、比較例2は220g/m2、比較例3は250g/m2とした。
また、前記実施例2、比較例1について、吸収体全体が含有する吸水性ポリマーに対する第1〜第5の層の各層が含有する吸水性ポリマーの体積割合は、第1の層は25%、第2の層は22%、第3の層は21%、第4の層は20%、第5の層は12%とした。これらの実施例2、比較例1の吸収体におけるパルプ繊維の坪量について、実施例2は170g/m2、比較例1は202g/m2とした。
また、吸水性ポリマーの坪量は、いずれの実施例及び比較例においても250g/m2とした。
また、実施例1及び実施例2において使用している液拡散シートとして、NBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)45%、レーヨン繊維(ダイワボウレーヨン株式会社製、商品名コロナ、グレード1.1dtex×8mm長)25%、叩解パルプ30%からなる湿式スパンレース不織布(坪量55g/m2)により形成されたものを用い、吸収体にその液拡散シートの毛羽面を配置した。なお、畝部については、高さ(溝部の底部からの高さ)は0.4〜0.8mm、隣接する畝部間の幅は2.0mmとした。
そして、これらの実施例1及び実施例2、比較例1〜比較例3について、次に述べる吸収性の実験を行い、吸収時間、液戻り量(リウェット)、長手方向への拡散長について、***液の排出が3回行われた仮定して、その回毎のデータをそれぞれ取得し、吸収能力を評価した。
吸収性の試験は、吸収体の大きさを長さ300mm、幅100mm、厚さ2.9mmとした各吸収性物品に対し、吸収体の中央に、同一成分且つ一定量の人口尿をそれぞれ注入して、その人口尿の吸収時間、及び液透過性シート側(表面)及び液不透過性シート側(裏面)の各拡散長、並びに液戻り量(リウェット量)を調べた。
具体的には、次の手順で試験を行った。
(1) 吸収性物品を側面視略U字形に保持するU字器具に吸収体を配置する。このとき、吸収体中央とU字器具中央部(最も高さが低い位置)との位置を合わせる。
(2) 100mLビュレットから80mL/10秒で人口尿を吸収体中央に80mL注入する。
(3) 人口尿注入開始からU字器具内の人口尿がなくなるまでの時間を吸収時間として記録する。
(4) 実験開始から3分後、吸収体の表裏面における人口尿が拡がった領域の輪郭を記録しておく。
(5) 実験開始から4分後、200mm×450mmのアクリル製の平板上に吸収体を広げて静置する。そして、人口尿の拡がり表裏面共に測定して、拡散長として記録する。
(6) 実験開始から5分後、50gの100mm×100mmのろ紙を、人工尿注入点を真ん中として吸収体上に静置する。さらに、その上に3.5kg、100mm×100mm×50mm(高さ)の錘を静置する。なお、ろ紙については事前に試験前の重量を測定しておく。
(7) 実験開始から8分後、錘を取り除いて、ろ紙の重量を測定し、試験前のろ紙の重量を差し引き、その差分を液戻り量とする。
(8) 実験開始から9分後にサンプルをU字器具に再度配置する。
(9) 実験開始から10分後、前記(2)〜(8)と同様の行程を再度繰り返す。これを3巡目まで行い、それぞれの結果を記録する。
結果を表1に示す。
表1からわかるように、実施例1及び実施例2と、比較例1〜3とでは、吸収時間及び表面の拡散長についてはほぼ同等であったが、実施例1及び実施例2はリウェット量及び裏面の拡散長の評価においては比較例1〜3よりも良好な結果となった。即ち、実施例1及び実施例2は、比較例1〜3に比べてリウェット量が少なく、また裏面の拡散長が長かった。
これは、実施例1及び実施例2は、液拡散シートを備えていることにより、人口尿を吸収体の液不透過性シート側において効率良く拡散させ、吸収体全体を利用して該人口尿を吸収しているためであると考えられる。
また、人口尿を3回注入した場合であっても、リウェット量、裏面の拡散長の結果は良好であったことから、液拡散シートにおいては、該液拡散シート内において拡散させた人口尿を吸収体側に効率良く移動させて、液拡散機能を比較的早く回復させ、人口尿を吸収体に安定的に吸収させていると考えられる。
以上のことから、本発明によれば、液拡散シートの***液を繰り返し拡散させる能力を十分に確保しながら、吸収体全体を有効かつ効率的に活用して、高い吸収能力を得ることができることが実証された。
1 紙オムツ(吸収性物品)
10 液透過性シート
11 液不透過性シート
12,41,61,71 吸収体
13,51 液拡散シート
14 被覆シート
20 基部
21 畝部
21a 表面側領域
21b 内側領域
22 溝部
22a 溝部の底部
42 吸水性ポリマー高体積層
43 吸水性ポリマー低体積層
44,62,72 第1の層
45,63,73 第2の層
46,64,74 第3の層
47,65,75 第4の層
48,66,76 第5の層

Claims (13)

  1. 液透過性シートと、液不透過性シートと、これらの液透過性シートと液不透過性シートとの間に配設された、一方向に長い吸収体とを有する吸収性物品であって、
    前記吸収体と液不透過性シートとの間に、セルロース繊維を含む不織布により形成された、該吸収体の長手方向に延びる液拡散シートが配設され、
    前記液拡散シートは、前記液不透過性シート側に配設された基部と、該基部の吸収体側に一定間隔で設けられ、吸収体側に突出し且つ吸収体の長手方向に延びる複数の畝部と、隣接する畝部の間に形成された、底部が前記基部により形成された溝部とを備えていて、前記畝部を前記吸収体に食い込ませた状態で該吸収体に取付けられており
    前記液拡散シートは、前記基部は畝部よりも繊維占有断面積比率が高く、前記畝部における表面側領域は該表面側領域より内側の領域よりも繊維占有断面積比率が高く形成されている、吸収性物品。
  2. 前記液拡散シートは、前記畝部及び溝部が、該液拡散シートの長手方向の全長にわたって連続してそれぞれ形成されている、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記液拡散シートは、少なくとも前記吸収体と接する部分が起毛されている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記液拡散シートは、前記吸収体と一緒に被覆シートにより被覆されていると共に、該液拡散シートの長手方向及び幅方向の曲げ剛性は該被覆シートよりも高く設定されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記液拡散シートは、幅方向の長さが、前記吸収体の幅方向の最大幅部分よりも小さく、前記吸収体の幅方向の最小幅部分よりも大きい、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記吸収体は、パルプ繊維と吸水性ポリマーとを含んでいて、液不透過性シート側の吸水性ポリマーの含有割合が液透過性シート側よりも多く、液透過性シート側の液吸収量に比べて液不透過性シート側の液吸収量が大きい、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記吸収体は、該吸収体の厚さ方向の断面を該厚さ方向に5等分して5つの層としたとき、吸収体全体に含まれている吸水性ポリマーの体積に対して、吸水性ポリマーを含有する体積割合が最も高く形成された吸水性ポリマー高体積層と、該吸水性ポリマー高体積層よりも含有する体積割合の低い吸水性ポリマー低体積層とを有し、少なくとも最も液不透過性シート側に位置する第1の層が吸水性ポリマー高体積層である、請求項6に記載の吸水性物品。
  8. 前記第1の層のみが吸水性ポリマー高体積層として構成されていて、該第1の層に含まれる吸水性ポリマーの体積は、吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の25〜50%である、請求項7に記載の吸収性物品。
  9. 前記第1の層及び該第1の層に隣接する第2の層に含まれる吸水性ポリマーの体積の和が、吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の50〜80%である、請求項8に記載の吸収性物品。
  10. 前記第1の層のみが吸水性ポリマー高体積層として構成されていて、該第1の層に含まれる吸水性ポリマーの体積は、吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の33〜50%であると共に、吸水性ポリマー低体積層のうち、吸収体の中央の層である第3の層と、最も液透過性シート側に位置する第5の層とのそれぞれに含まれる吸水性ポリマーの体積が、吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の25〜33%であり、ただし、第1の層、第3の層及び第5の層に含まれる吸水性ポリマーの体積の合計が吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の100%以下である、請求項8に記載の吸収性物品。
  11. 前記吸収体は、前記第1の層と、吸収体の中央の層である第3の層と、最も液透過性シート側に位置する第5の層とがいずれも前記吸水性ポリマー高体積層である、請求項7に記載の吸収性物品。
  12. 前記各吸水性ポリマー高体積層に含まれる吸水性ポリマーの体積は、いずれも、吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の25%以上であり、且つ各吸水性ポリマー高体積層に含まれる吸水性ポリマーの体積の合計は吸収体全体に含まれる吸水性ポリマーの体積の75%〜100%である、請求項11に記載の吸収性物品。
  13. 前記吸収体は、該吸収体に含有されている吸水性ポリマーの重量比が0.5以上である、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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