蓄電モジュールを製造する工程では、隣接する単電池(蓄電装置)間の電極端子を接続部材で接続する際に、接続部材と、それで接続すべき隣接する単電池(蓄電装置)間の電極端子との位置合わせなどに時間を要する場合が生じ得る。その結果、蓄電モジュールを効率的に製造できない場合があった。
そこで、本発明の目的は、効率的に蓄電モジュールを製造可能な蓄電モジュールの製造方法及び蓄電モジュールを提供することである。
本発明の一側面に係る蓄電モジュールの製造方法は、第1及び第2の蓄電装置を有し、第1及び第2の蓄電装置それぞれが有する第1及び第2の電極端子が接続部材によって接続されている、蓄電モジュールを製造する方法である。この製造方法は、第1及び第2の電極端子それぞれに螺合する第1及び第2の固定部材を用いて、接続部材を第1及び第2の電極端子に固定することによって、接続部材を介して第1及び第2の電極端子を接続する工程を備える。上記接続部材は、第1の縁部と、第1の縁部と対向する第2の縁部と、第1の電極端子及び第1の固定部材の一方と係合する第1の係合部と、第2の電極端子及び第2の固定部材の一方と係合する第2の係合部と、を有する。上記接続部材を介して第1及び第2の電極端子を接続する工程は、第1の係合部と係合する第1の電極端子及び第1の固定部材の一方を、第1の電極端子の位置を規定する第1の位置合わせ部材とし、第1の位置合わせ部材と、第1の係合部との係合によって、接続部材を第1の電極端子に位置合わせする工程と、第2の係合部と係合する第2の電極端子及び第2の固定部材の一方を、第2の電極端子の位置を規定する第2の位置合わせ部材とし、第2の位置合わせ部材と、第2の係合部との係合によって、接続部材を第2の電極端子に位置合わせする工程と、第1の電極端子と第1の固定部材とを螺合して、接続部材を第1の電極端子に固定する工程と、第2の電極端子と第2の固定部材とを螺合して、接続部材を第2の電極端子に固定する工程と、を有する。接続部材を第2の電極端子に位置合わせする工程では、第1の電極端子と第1の固定部材とを螺合させる際の第1の回転軸周りに、接続部材を、第1の電極端子と第1の固定部材との締付け方向に回転させて、第2の係合部を第2の位置合わせ部材に係合させることによって、接続部材を、第2の電極端子に位置合わせし、第1の縁部は、第1の回転軸周りに、接続部材を上記締付け方向に回転させた場合に、接続部材の回転方向において第2の縁部より前方に位置している。第2の係合部は、第1の縁部に開口部を有する凹部である。第1の係合部は、第2の電極端子と第2の固定部材とを螺合させる際の第2の回転軸周りに、接続部材を、第2の電極端子と第2の固定部材との締付け方向に回転させたとした場合に、第1の係合部と係合している第1の電極端子及び第1の固定部材の一方によって、その第1の電極端子及び第1の固定部材の一方から離れる方向への接続部材の移動が規制されるように、接続部材に形成されている。
この製造方法では、第1の電極端子及び第1の固定部材の一方を、接続部材と第1の電極端子の位置合わせ用の第1の位置合わせ部材として使用し、第2の電極端子及び第2の固定部材の一方を、接続部材と第2の電極端子の位置合わせ用の第2の位置合わせ部材として使用している。そして、接続部材が有する第1及び第2の係合部それぞれを第1及び第2の位置合わせ部材に係合させることによって、第1及び第2の電極端子に対して接続部材を位置合わせしている。そのため、接続部材の第1及び第2の電極端子に対する位置合わせが容易である。更に、第1の電極端子に接続部材を位置合わせした後に、上記のように接続部材を、第1の回転軸周りに、第1の電極端子と第1の固定部材との締付け方向に回転させて、第2の位置合わせ用部材に第2の係合部を係合させている。この場合、第2の係合部と、第2の位置合わせ用部材との係合により、接続部材の回転が止められて、接続部材の位置が規定される。そのため、第1の固定部材と第1の電極端子とを螺合して、接続部材を第1の電極端子に固定する際に、接続部材の位置が第2の電極端子に対してもズレない。よって、接続部材によって、第1及び第2の電極端子を接続できる時間の短縮が図れるので、効率的に蓄電モジュールを製造できる。更に、第1の係合部は、上記第2の回転軸周りに、接続部材を、第2の電極端子と第2の固定部材との締付け方向に回転させたとした場合に、接続部材が、第1の係合部と係合している第1の電極端子及び第1の固定部材の一方によって規制されるように、接続部材に形成されている。そのため、第2の電極端子に接続部材を固定するときも第1の電極端子に対する接続部材の位置ズレが生じない。
一実施形態において、第1及び第2の電極端子それぞれには、第1及び第2の固定部材と螺合するネジ孔が形成されていてもよい。
第1及び第2の電極端子にネジ孔が形成されている場合、第1及び第2の固定部材を、例えば、第1及び第2の電極端子のネジ孔に仮止めすることで、第1及び第2の位置決め部材として第1及び第2の固定部材を使用できる。そのため、ネジ孔が形成されている第1及び第2の電極端子に対しても容易に接続部材を位置決めできる。
一実施形態において、第1の係合部は、第2の縁部に開口部を有する凹部であってもよい。
この場合、第1の係合部としての凹部の開口部は、第2の係合部としての凹部の開口部と反対側に形成されている。そのため、上記第2の回転軸周りに、接続部材を、第2の電極端子と第2の固定部材との締付け方向に回転させた場合に、接続部材が、第1の係合部と係合している第1の電極端子及び第1の固定部材の一方によってより規制されやすい。
一実施形態において、第1の縁部に形成された開口部の幅は、第2の係合部における開口部と反対側の端部の幅より広くてもよい。
この場合、第2の係合部に第2の位置決め部材を係合させやすい。
第1の縁部に形成された開口部の幅は、第2の係合部における開口部と反対側の端部の幅より広い形態では、第1の係合部が第1の位置決め部材に係合した状態において第1の位置決め部材の軸の位置を中心とした場合に、第1及び第2の電極端子間の距離を半径とする仮想的な円弧と、第1の縁部に形成された開口部における上記円弧の内側に位置する一端との距離が、上記円弧と、第1の縁部に形成された開口部における上記円弧の外側に位置する他端との間の距離より長くてもよい。
第1の回転軸周りに接続部材を回転させる場合に、第1の縁部に形成された開口部は、第1の回転軸側に幅広になっている。そのため、内輪差による影響が低減される。
一実施形態において、第2の係合部は、第1の係合部が第1の位置決め部材に係合した状態において第1の位置決め部材の軸の位置を中心とした場合に、第1及び第2の電極端子間の距離を半径とする仮想的な円弧に沿って湾曲していてもよい。
第1の回転軸周りに接続部材を回転させる場合に、第2の位置決め部材が第2の係合部に係合しやすい。
本発明の他の側面に係る蓄電モジュールは、第1及び第2の蓄電装置を有する蓄電モジュールであって、第1の蓄電装置が有する第1の電極端子と、第2の蓄電装置が有する第2の電極端子とに固定されており、第1及び第2の電極端子を電気的に接続する接続部材と、接続部材を第1の電極端子に固定する第1の固定部材であって、第1の電極端子と螺合する第1の固定部材と、接続部材を第2の電極端子に固定する第2の固定部材であって、第2の電極端子と螺合する第2の固定部材と、を備える。上記接続部材は、第1の縁部と、第1の縁部と対向する第2の縁部と、第1の電極端子及び第1の固定部材の一方が係合される第1の係合部と、第2の電極端子及び第2の固定部材の一方が係合される第2の係合部と、を有する。第1の縁部は、第1の係合部に係合された第1の電極端子及び第1の固定部材の一方を軸として、第1の固定部材と第1の電極端子とを螺合する際の締付け方向に接続部材を回転させたとした場合に、接続部材の回転方向において、第2の縁部より前方に位置している。第2の係合部は、第1の縁部に開口部を有する凹部である。第1の係合部は、第2の電極端子と第2の固定部材とを螺合させる際の回転軸周りに、接続部材を、第2の電極端子と第2の固定部材との締付け方向に回転させたとした場合に、第1の係合部と係合している第1の電極端子及び第1の固定部材の一方によって、その第1の電極端子及び第1の固定部材の一方から離れる方向への接続部材の移動が規制されるように、接続部材に形成されている。
この構成の蓄電モジュールは、例えば、本発明に一側面に係る蓄電モジュールの製造方法を利用して製造できる。そのため、蓄電モジュールの構成は、効率的に製造され得る構成である。
一実施形態において、第1及び第2の電極端子それぞれには、第1及び第2の固定部材と螺合するネジ孔が形成されていてもよい。
蓄電モジュールを製造する場合に、第1及び第2の固定部材を、例えば、第1及び第2の電極端子のネジ孔に仮止めすることで、第1及び第2の固定部材を、第1及び第2の電極端子の位置決めをする位置決め部材として使用できる。そのため、蓄電モジュールの製造において、ネジ孔が形成されている第1及び第2の電極端子に対しても容易に接続部材を位置決めできる。
一実施形態において、第1の係合部は、第2の縁部に開口部を有する凹部であってもよい。
この場合、第1の係合部としての凹部の開口部は、第2の係合部としての凹部の開口部と反対側に形成されている。そのため、蓄電モジュールを製造する際、第2の電極端子と第2の固定部材とを螺合させる際の回転軸周りに、接続部材を、第2の電極端子と第2の固定部材との締付け方向に回転させた場合に、接続部材の第1の電極端子に対する位置が、第1の係合部と係合している第1の電極端子及び第1の固定部材の一方によってより規制されやい。その結果、第2の電極端子に接続部材を固定する場合であっても、第1の電極端子に対する接続部材の位置ズレが低減する。
一実施形態において、第1の縁部に形成された開口部の幅は、第2の係合部における開口部と反対側の端部の幅より広くてもよい。
第2の係合部に、第2の電極端子及び第2の固定部材の一方を第2の係合部の開口部を通して係合させやすい。
一実施形態において、第1の電極端子の軸の位置を中心とし、第1及び第2の電極端子間の距離を半径とする仮想的な円弧と、第1の縁部に形成された開口部における円弧の内側に位置する一端との距離が、円弧と、第1の縁部に形成された開口部における前記円弧の外側に位置する他端との間の距離より長くてもよい。
この構成では、蓄電モジュールを製造する場合に、接続部材を第1の電極端子に位置決めした状態で、第1の電極端子と第1の固定部材との螺合の際の締め付け方向に、接続部材を回転させて、第2の係合部を、第2の電極端子に対して位置合わせする際、第1の縁部に形成された開口部は、回転中心側に広がっている。そのため、第2の係合部に係合する第2の電極端子及び第2の固定部材のうちの一方を、第2の電極端子の位置を決める位置決め部材として使用する場合に、上記接続部材の回転によって第2の係合部を上記位置決め部材に係合する場合、内輪差の影響が低減される。
一実施形態において、第2の係合部は、第1の電極端子の軸の位置を中心とし、第1及び第2の電極端子間の距離を半径とする仮想的な円弧に沿って湾曲していてもよい。
この構成では、蓄電モジュールの製造において、例えば、第2の電極端子の位置を決める位置決め部材として使用する場合、接続部材を第1の電極端子に位置決めした状態で、第1の電極端子と第1の固定部材との螺合による締め付け方向に、接続部材を回転させて、第2の係合部を、その位置決め部材に係合させやすい。
本発明によれば、効率的に製造可能な蓄電モジュールの製造方法及び蓄電モジュールが提供される。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。説明中、「上」、「下」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、一実施形態に係る蓄電モジュールの概略構成を示す模式図である。蓄電モジュール10は、複数の蓄電装置12を有する。蓄電装置12の数は、蓄電モジュール10の用途に応じて適宜決定されていればよい。蓄電モジュール10は、2個以上の蓄電装置12を備えていればよい。各蓄電装置12は、電極組立体14と、電極組立体14を収容するケース16とを有する。蓄電装置12の例はリチウムイオン二次電池等の非水電解二次電池である。ケース16の形状の例は、略直方体形状である。ケース16内には、電解液が充填されている。電極組立体14は、正極、負極及びそれらの間に配置されるセパレータを有する。一実施形態において、正極、負極及びセパレータの形状はシート状であり、それらが交互に積層されていてもよい。
ケース16には、一対の電極端子18,18が離間して取り付けられている。一対の電極端子18,18の一方の電極端子18は、電極組立体14の正極に電気的に接続されており、正極端子として機能する。一対の電極端子18,18の他方の電極端子18は、電極組立体14の負極に電気的に接続されており、負極端子として機能する。各電極端子18は、それらの一端部がケース16の外側に突出するようにケース16に取り付けられ、固定部材として例えば固定ナット20によってケース16に固定されている。ケース16が金属製である場合には、電極端子18及び固定ナット20と、ケース16との絶縁性を確保するために、電極端子18及び固定ナット20と、ケース16との間には絶縁部材が介在してもよい。各電極端子18それぞれには、電極端子18のケース16外側の端面(後述するバスバー26と対向する面)からケース16内側に向けて延在する雌ネジ孔22が形成されている。
複数の蓄電装置12は並列配置されている。複数の蓄電装置12の配列方向は、1つのケース16に配置された一対の電極端子18,18の軸を繋ぐ直線に略直交する方向である。図1では、複数の蓄電装置12は、略直方体形状のケース16の短軸方向に沿って配置される。蓄電装置12間には、それらの蓄電装置12が短絡することを防止すると共に、放熱のために放熱板といった隔壁部24が設けられてもよい。
複数の蓄電装置12は、隣接する蓄電装置12,12の一方の蓄電装置12の電極端子18と、他方の蓄電装置12の電極端子18とがバスバー26によって電気的に接続されている。バスバー26は、雌ネジ孔22に螺合するボルト28を、電極端子18の雌ネジ孔22にねじ込むことによって、電極端子18に固定されている。ボルト28に例示されるバスバー26を電極端子18に固定する固定部材は、頭部と、頭部から延在する軸部とを有し、軸部に雌ネジ孔22と螺合するネジ部(雄ネジ部)を有していればよい。
図2を利用して、蓄電モジュール10が有する蓄電装置12,12の接続関係を説明する。図2は、蓄電モジュールが有する蓄電装置の接続関係を説明するための図面である。説明の便宜のため、隣接する2つの蓄電装置12の一方を第1の蓄電装置12Aと称し、他方を第2の蓄電装置12Bと称す。これに伴い、第1の蓄電装置12Aの構成要素及び第1の蓄電装置12Aに対応して設けられる構成要素には、符号に“A”を付す。同様に、第2の蓄電装置12Bの構成要素及び第2の蓄電装置12Bに対応して設けられる構成要素には、符号に“B”を付す。図2では、第1の蓄電装置12Aの電極端子(第1の電極端子)18Aと、第2の蓄電装置12Bの電極端子(第2の電極端子)18Bと、がバスバー26によって接続されている状態を分解して示している。
複数の蓄電装置12,12を直列接続する場合、電極端子18A,18Bの極性は反対である。すなわち、電極端子18A,18Bの一方は正極端子であり、他方は負極端子である。複数の蓄電装置12,12を並列接続する場合、電極端子18A,18Bの極性は同じである。すなわち、バスバー26で接続される電極端子18A,18Bは、共に正極端子か、或いは、共に負極端子である。
バスバー26は、図2に示すように、導電性を有する平板である。バスバー26の平面視形状(厚さ方向から見た形状)の例は矩形状である。バスバー26には、凹部(第2の係合部)30と凹部(第1の係合部)32とが形成されている。凹部30は、バスバー26の長手方向に平行な縁部(第1の縁部)26aに開口部30aを有する。凹部32は、バスバー26の長手方向に平行で縁部26aと対向する縁部(第2の縁部)26bに開口部32aを有する。換言すれば、凹部30及び凹部32それぞれは、縁部26a,26bに形成された切り欠き部である。バスバー26を製造する方法は特に限定されないが、バスバー26は、例えばプレス成形によって製造され得る。
凹部30には、電極端子18Bに螺合するボルト(第2の固定部材)28Bが挿入され、凹部30とボルト28Bとは係合する。ボルト28Bは、凹部30の開口部30aと反対側の端部30bに当接するように、開口部30aから凹部30に挿入される。端部30bの形状は、ボルト28Bの軸部の径と同様又はボルト28Bの軸部の径より僅かに大きい円形状でもよいし、或いは、矩形でもよい。一実施形態において開口部30aから端部30bに向かう方向は、バスバー26の縁部26a,26bを繋ぐ縁部26c,26dに平行な方向であってもよい。
凹部32には、電極端子18Aに螺合するボルト(第1の固定部材)28Aが挿入され、凹部32とボルト28Aとが係合する。ボルト28Aは、凹部32の開口部30aと反対側の端部30bに当接するように、開口部30aから凹部32に挿入される。端部30bの形状は、ボルト28Aの軸部の径と同様又はボルト28Aの軸部の径より僅かに大きい円形状でもよいし、或いは、矩形でもよい。一実施形態において開口部32aから端部32bに向かう方向は、バスバー26の縁部26c,26dに平行な方向であってもよい。
バスバー26は、凹部30,32にそれぞれボルト28B,28Aを通して、ボルト28B,28Aを電極端子18B,18Aに螺合させることによって、電極端子18B,18Aに固定される。従って、凹部30,32の端部30b,32b間の距離、具体的には、端部30b,32bにボルト28B,28Aが当接した場合においてボルト28B,28Aの軸間の距離は、電極端子18B,18Aの軸間の距離である。
一実施形態において、ボルト28A,28Bの頭部と、バスバー26との間には、図2に示したように、ワッシャ34A,34Bが配置されてもよい。ワッシャ34A,34Bの例は、スプリングワッシャである。
図2に示した接続形態では、電極端子18Aに螺合されたボルト28Aを回転軸として、凹部32を介してボルト28Aと係合したバスバー26を、ボルト28Aの締付け方向に回転させた場合、その回転方向(締め付け方向)において、縁部26aは、縁部26bより前方に位置する。
次に、蓄電モジュール10の製造方法について説明する。ここでは、蓄電装置12のケース16の形状は略直方体形状とする。まず、蓄電モジュール10を構成する複数の蓄電装置12を準備する。次いで、複数の蓄電装置12を、ケース16の短軸方向に直交する面が互いに対向するように並列配置する。複数の蓄電装置12を直列接続する場合、蓄電装置12の配列方向(ケース16の短軸方向)において、正極端子と負極端子とが交互に配置されるように、複数の蓄電装置12を配置する。複数の蓄電装置12を並列接続する場合、蓄電装置12の配列方向において、同じ極性を有する電極端子が配置されるように、複数の蓄電装置12を配置する。一実施形態において、隣接する蓄電装置12間には、隔壁部24が設けられてもよい。
その後、蓄電装置12の配列方向において隣接する電極端子18と電極端子18とをバスバー26で接続する(接続工程)。この接続工程について、図3(A)及び図3(B)を利用して説明する。接続工程の説明では、図2の場合と同様に、隣接する2つの蓄電装置12の一方を第1の蓄電装置12Aと称し、他方を第2の蓄電装置12Bと称する。第1及び第2の蓄電装置12A,12Bの構成要素及び第1及び第2の蓄電装置12A、12Bに対応して設けられる構成要素に対する符号の表記方法は、図2の場合と同様の表記方法を採用する。図3(A)は、隣接する蓄電装置が有する電極端子を接続部材で接続する工程を説明するための図面である。図3(B)は、図3(A)を図3(A)中の上側から見た場合の図面である。
第1及び第2の蓄電装置12A,12Bの配列方向において隣接する電極端子18Aと電極端子18Bをバスバー26で接続する場合、電極端子18Aの雌ネジ孔22Aにボルト28Aを仮止めする。この際、電極端子18Aとボルト28Aの頭部との間にバスバー26が入るような空間を有する程度にボルト28Aを雌ネジ孔22に挿入していてもよい。電極端子18Aに仮止めされたボルト28Aにバスバー26の凹部32を嵌める。これにより、バスバー26が電極端子18Aに対して位置決めされる(第1の位置決め工程)。
このようにバスバー26の凹部32をボルト28Aに嵌めているが、バスバー26からみた場合、ボルト28Aが凹部32に嵌め入れられている。従って、凹部32はボルト28Aが嵌め入れられる嵌入部でもあり得る。或いは、凹部32にボルト28Aが係合した状態では、ボルト28Aは、バスバー26に挿通されているとも見なせる。そのため、凹部32は、ボルト28Aが挿通可能なバスバー26に形成された孔部と、その孔部の一部を縁部26bに向けて開放する(又は孔部と縁部26bとを連通する)切欠き部とから構成されているとも見なせる。
電極端子18Aに固定されたボルト28Aを利用してバスバー26の電極端子18Aに対する位置が決められるので、ボルト28Aは、電位置決め部材(第1の位置決め部材)であり得る。このようにバスバー26を電極端子18Aに位置決めした段階で、バスバー26がボルト28Aの軸周りに回転可能な程度に、ボルト28Aを雌ネジ孔22Aにねじ込んでバスバー26を電極端子18Aに仮固定してもよい。
次に、電極端子18Bの雌ネジ孔22Bにボルト28Bを仮止めする。この際、電極端子18Bとボルト28Bの頭部との間にバスバー26が入るような空間を有するようにボルト28Bを雌ネジ孔22Bに挿入する。そして、バスバー26を、電極端子18Aの軸S1(或いは、ボルト28Aの軸)周りにおいて、ボルト28Aの締付け方向(図中の矢印Aの方向)に回転させて、バスバー26の凹部30を、電極端子18Bに仮止めされたボルト28Bに嵌める。これにより、バスバー26が電極端子18Bに対して位置決めされる(第2の位置決め工程)。電極端子18Bの雌ネジ孔22Bへのボルト28Bの仮止めは、例えば、電極端子18Aの雌ネジ孔22Aにボルト28Aを仮止めするときと一緒に行う等のように、事前に行っていてもよい。
このようにバスバー26の凹部30をボルト28Bに嵌めているが、バスバー26からみた場合、ボルト28Bがバスバー26に嵌め入れられている。従って、凹部30はボルト28Bが嵌め入れられる嵌入部でもあり得る。或いは、凹部30にボルト28Bが係合した状態では、ボルト28Bは、バスバー26に挿通されているとも見なせる。そのため、凹部30は、ボルト28Bが挿通可能なバスバー26に形成された孔部と、その孔部の一部を縁部26aに向けて開放する(又は孔部と縁部26aとを連通する)切欠き部とから構成されているとも見なせる。
電極端子18Bに固定されたボルト28Bを利用してバスバー26の電極端子18Bに対する位置が決められるので、ボルト28Bは、位置決め部材(第2の位置決め部材)であり得る。
その後、電極端子18Aに仮止めされたボルト28Aを締め付けて、ボルト28Aの頭部と電極端子18Aでバスバー26を挟み込み、バスバー26を電極端子18Aに本固定する(第1の電極端子への接続部材の固定工程)。次いで、電極端子18Bに仮止めされたボルト28Bを締め付けて、ボルト28Bの頭部と電極端子18Bでバスバー26を挟み込み、バスバー26を電極端子18Bに本固定する(第2の電極端子への接続部材の固定工程)。
上記説明では、バスバー26を電極端子18Aの軸S1周りに回転させているが、ボルト28Aを、電極端子18Aの位置決め部材として電極端子18Aに仮止めしているため、電極端子18Aの軸S1とボルト28Aの軸とは一致する。よって、バスバー26の電極端子18Aの軸S1周りの回転は、ボルト28Aの軸周りの回転に対応する。そのため、軸S1は、電極端子18Aにボルト28Aをねじ込む際の回転軸(第1の回転軸)でもある。
ここでは、第1及び第2の蓄電装置12A,12Bの電極端子18A,18Bをバスバー26で接続する場合について説明した。蓄電モジュール10が3個以上の蓄電装置12を有する場合は、隣接する2つの蓄電装置12,12を上記第1及び第2の蓄電装置12A,12Bとして上記バスバー26による電極端子18A,18Bの接続を繰り返せば、蓄電モジュール10が製造され得る。
上記製造方法では、雌ネジ孔22A、22Bにボルト28A,28Bを仮止めして、ボルト28A,28Bを位置決め部材として使用している。そのため、電極端子18A,18Bが雌ネジ孔22A,22Bを有していても、バスバー26の電極端子18A,18Bへの位置決めが容易である。
バスバー26の凹部30は、電極端子18Aに仮止めされたボルト28Aの軸周りに、バスバー26を、ボルト28Aの締付け方向に回転させたと仮定した場合に、その回転方向(図3(B)中の矢印Aで示す方向)において、前方に位置する縁部26aに形成されている。換言すれば、バスバー26をボルト28Aに嵌める際、縁部26aが、バスバー26の矢印Aで示す方向に回転する場合において縁部26bより前方に位置するように、凹部32を利用してボルト28Aに嵌められている。そのため、上記製造方法で示したように、バスバー26を電極端子18Aに位置合わせした後に、バスバー26を、ボルト28A(又は電極端子18A)の軸の中心軸として、ボルト28Aの締付け方向に回転させることによって、電極端子18Bに仮止めされたボルト28Bに嵌めることができる。
更に、ボルト28Aを締め付ける場合に、その締め付けに応じて、バスバー26に連れ周り、すなわち、矢印Aの方向へのバスバー26の回転が生じても、そのバスバー26の連れ周り方向は、凹部30の端部30bがボルト28Bに更に接する方向である。そのため、ボルト28Aの締め付けに伴う、バスバー26の連れ周りが生じても、バスバー26の位置がずれない、或いは、バスバー26がボルト28Bから離れない。
従って、バスバー26の電極端子18A,18Bへの組み付けが容易であり、結果として、蓄電モジュール10を容易に製造しやすい。
上記製造方法では、バスバー26を電極端子18A,18Bに位置決めした後、バスバー26を電極端子18A,18Bに本固定している。しかしながら、例えば、電極端子18Aにバスバー26を位置決めした後、バスバー26を電極端子18Aに本固定しながら、バスバー26を電極端子18Bに位置決めしてもよい。この点について説明する。
まず、上記第1の位置決め工程の後、まず、ボルト28Aを電極端子18Aの雌ネジ孔22Aにねじ込み、バスバー26を電極端子18Aに本固定する。ボルト28Aの雌ネジ孔22Aへのねじ込みにおいて、ボルト28Aの回転に伴って、バスバー26の連れ回りが生じる。この連れ周りによって、自動的に凹部30がボルト28Bに嵌り込み、バスバー26が電極端子18Bに対して位置決めされる。その後は、ボルト28Bを雌ネジ孔22にねじ込み、バスバー26を電極端子18Bに本固定すればよい。
ボルト28Aと、バスバー26との間に、図2に例示したように、ワッシャ34Aが設けられている形態では、ボルト28Aのねじ込みに伴うバスバー26の連れ周り量が大きくなる。換言すれば、ボルト28Aのねじ込みによってバスバー26により多くの付勢力が付加される。この場合、電極端子18Aに対してバスバー26を位置決めする際の自由度が大きくなるので、蓄電モジュール10の製造が容易である。これは、ワッシャ34Aとしてスプリングワッシャを用いた際に、より顕著である。ワッシャ34A(34)を電極端子18A側に配置する場合には、通常、電極端子18B側にも同じワッシャ34B(34)を配置する。
一実施形態では、ワッシャ34Aにおいて、ボルト28Aの頭部と当接する面の表面粗さ及びバスバー26と当接する面の表面粗さとが、バスバー26の電極端子18Aと当接する面の表面粗さより粗くてもよい。この場合、ボルト28Aの回転トルクがワッシャ34Aを介してバスバー26により多く伝達され易い。その結果、上述した自由度が更に大きくなるので、蓄電モジュール10を容易に製造しやすい。
ここでは、ボルト28Aの回転トルクをバスバー26に効率的に伝達する部材の例としてワッシャ34A(34)を例示した。しかしながら、ボルト28Aの回転トルクのバスバー26への伝達部材は、ワッシャ34Aに限定されない。導電性を有しており、ボルト28Aの回転トルクをバスバー26に付与する介在部材であればよい。
ワッシャ34Aを使用しない場合であってもボルト28Aの回転トルクをバスバー26に伝達する観点では、バスバー26のボルト28Aの頭部と当接する面の面粗さが、バスバー26において電極端子18Aと当接する面の表面粗さより粗くてもよい。
更に、上記製造方法では、バスバー26を電極端子18Aに本固定した後に、バスバー26を電極端子18Bに本固定している。しかしながら、バスバー26の電極端子18A,18Bへの位置決めが終了していれば、バスバー26を電極端子18Bに先に本固定してもよい。ボルト28Bを雌ネジ孔22Bにねじ込む際、仮に、ボルト28Bの軸S2周りの回転に伴いバスバー26の連れ周りが生じても、上記バスバー26は、凹部32の端部32bで止められる(或いは規制される)ので、バスバー26の位置ズレは生じない。換言すれば、凹部32は、バスバー26をボルト28Bの軸S2を中心軸として、ボルト28Bのねじ込み方向(締付け方向)に回転させた際に、ボルト28Aによってバスバー26が止められるようにバスバー26に形成されている。ボルト28Bを、電極端子18Aの位置決め部材として電極端子18Bに仮止めしているため、ボルト28の軸S2は、電極端子18Bにボルト28Bをねじ込む際の回転軸(第2の回転軸)でもある。一実施形態において、凹部32は、ボルト28Bの軸S2を中心軸として、ボルト28Bのねじ込み方向(締付け方向)にバスバー26を回転させたとした場合に、凹部32と係合するボルト28Aによって、ボルト28Aから離れる方向へのバスバー26の移動が規制されるようにバスバー26に形成されていればよい。
次に、接続部材としてのバスバー26の変形例について説明する。図4(A)は、バスバーの第1の変形例を示す図面である。図4(B)は、バスバーの第2の変形例を示す図面である。図4(A)及び図4(B)は、図3(B)において、バスバーをそれぞれ第1及び第2の変形例に代えた状態を模式的に示してしている。
図4(A)に示したバスバー36は、バスバー26の凹部30に変えて、図4(A)に示す凹部38を有する点で、バスバー26の構成と相違する。図4(A)に示した凹部38は、開口部38aの幅d1(縁部26aに沿った長さ)が開口部38aと反対側の端部38bの幅d2より広い。バスバー36の構成は、上記開口部38aの幅d1が端部38bの幅d2より広い点以外の構成は、バスバー26の構成と同じであるため、バスバー26に代えてバスバー40を備えた蓄電モジュール及びその製造方法は、バスバー26の場合と少なくとも同じ作用効果を有する。
更に、開口部38aの幅d1が端部38bの幅d2より広い凹部38を有する形態では、凹部38とボルト28Bとを係合させる際、すなわち、凹部38をボルト28Bに嵌め込む際、ボルト28Bが凹部38に入り易い。更に、開口部38aが幅広であれば、バスバー36の製造誤差の影響を低減できる。更に、開口部38aから端部38bに向けて凹部38の幅は狭くなっている。換言すれば、凹部38は平面視形状において、テーパ形状を有する。そのため、バスバー36と電極端子18Bとの電気的な接続をより確実に確保できる。これは、端部30bの幅が開口部38aより狭くなっているので、バスバー36がボルト28Bに嵌められた際に、バスバー36とボルト28Bの接触面積が、例えば、凹部38全体の幅が開口部38aと同様の場合より増えるからである。
一実施形態において、図4(A)に例示したように、開口部38aは、凹部30の開口部30aより縁部26c側に広がっていてもよい。換言すれば、バスバー36を電極端子18Aに位置決めした状態で、ボルト28Aを軸として回転させた場合に、電極端子18A,18Bの軸間の距離Rを半径とする仮想的な円弧Cと、開口部38aの円弧Cの内側に位置する一端38cとの距離と、円弧Cと、開口部38aの円弧Cの外側に位置する他端38dとの間の距離は、円弧Cと一端38cとの距離の方が長くなっている。
ボルト28Aの軸を中心軸としてバスバー36を回転させて、バスバー36をボルト28Bに嵌める場合、内輪差が生じる。このように内輪差が生じても、図4(A)に示したバスバー36では、ボルト28Bにバスバー26を嵌めやすい。
図4(B)に示したバスバー40は、バスバー26の凹部30に代えて、図4(B)に示す凹部42を有する点で、バスバー26の構成と相違する。図4(B)に示した凹部42は、バスバー40を電極端子18Aに仮止めされたボルト28Aの軸(軸S1)を中心軸として、電極端子18Aと電極端子18Bの軸間の距離Rを半径とする仮想的な円弧Cに沿って湾曲している。凹部42の形状が凹部30の形状と異なる点以外は、バスバー40の構成は、バスバー26と同じであるため、バスバー26に代えてバスバー40を備えた蓄電モジュール及びその製造方法は、バスバー26の場合と少なくとも同じ作用効果を有する。
更に、バスバー40が凹部42を有することにより、初めに位置決めされている、電極端子18Aと、バスバー40の凹部32との位置ズレを検出できる。すなわち、凹部42が、上述した円弧Cに沿った湾曲形状を有するので、電極端子18Aと凹部32とがほぼ設計通りに位置合わせされていれば、凹部42とボルト28Bが容易に嵌る。逆に、バスバー26を回転させて凹部42にボルト28Bが嵌らない場合は、電極端子18Aと凹部32との間に位置ズレが生じていることになる。従って、凹部42とボルト28Bとの嵌り具合によって、電極端子18Aと凹部32との間に位置ズレが検出され得る。更に、凹部42では、その延在方向において(すなわち、円弧Cに沿って)、凹部42の幅(円弧Cの径方向の長さ)を一定にし得る。そのため、バスバー40とボルト28Bとの接触面積を大きくすることができるので、バスバー40と電極端子18Bとの電気的接続をより確実に確保できる。この作用効果は、凹部42の幅をボルト28Bの径とほぼ同じとした場合により顕著である。
図5(A)は、バスバーの第3の変形例を示す図面である。図5(B)は、バスバーの第4の変形例を示す図面である。図5(A)及び図5(B)は、図3(B)において、バスバーをそれぞれ第3及び第4の変形例に代えた状態を模式的に示してしている。
図5(A)に示したバスバー44は、凹部32の位置が、縁部26cに形成されている、すなわち、凹部32の開口部32aが縁部26c上に位置する点で、バスバー26の構成と相違する。凹部32の形成位置が異なる点以外は、バスバー44の構成は、バスバー26と同じであるため、バスバー44を備えた蓄電モジュール及びその製造方法は、バスバー26の場合と少なくとも同じ作用効果を有する。
図5(B)に示したバスバー46は、ボルト28Aと係合する係合部が、ボルト28Aの挿通孔48である点で、バスバー26の構成を相違する。このバスバー46では、ボルト28Aをバスバー46の挿通孔48に通した後に、ボルト28Aを電極端子18Aの雌ネジ孔22Aに仮止めすればよい。この場合も、ボルト28Aを利用して、バスバー46の電極端子18Aへの位置決めがなされている。この位置決めの後の工程は、バスバー26の場合と同様である。そのため、バスバー26を利用した場合と同様に効率的に蓄電モジュールを製造し得る。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、これまでの蓄電装置12が有する電極端子は雌ネジ孔が形成されていた。すなわち、これまでの説明では、電極端子は、ボルトと螺合する点で雌ネジ端子であった。しかしながら、電極端子は雄ネジ端子でもよい。
この点について図6を参照して説明する。図6では、図2、図4(A)及び図4(B)と同様の表記を採用している。雄ネジ端子としての電極端子50A、50Bは、それぞれケース16A,16Bから突出している部分の外周面にネジ溝が切られている。この場合、バスバー26は、ボルト28A、28Bに変えて、電極端子50A,50Bに螺合する固定ナット52A、52Bを固定部材として電極端子50A,50Bに固定される。電極端子18A、18Bに代えて電極端子50A,50Bが採用された蓄電モジュールの製造方法は、電極端子50A,50Bをバスバー26の凹部32,30をそれぞれ嵌めあわせて、バスバー26の電極端子50A,50Bに対する位置決めをする点以外は、電極端子18A、18Bを採用した場合と同様とし得る。バスバー26の代わりに、バスバー36,40,44,46を用いてもよい。電極端子50A,50Bが凹部32,30と係合してバスバー26の電極端子50A,50Bに対する位置が決まるので、電極端子50A,50Bを採用する場合、それらが位置決め部材として機能する。
接続部材としてバスバーを例示したが、隣接する蓄電装置の電極端子同士を電気的に接続できれば、バスバーに限定されない。
以上説明した種々の実施形態及び変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々、組み合わせられてもよい。