JP6255227B2 - モーター用絶縁シート - Google Patents

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Description

本発明はモーター用絶縁シートに関する。
従来、モーターにおいては各種の絶縁シートが採用されており、例えば、モーターのステータコアスロットの内壁面と該スロット内に収容される巻線コイルとの間に介装されるスロット材(特許文献1参照)、収容させた巻線のスロット入り口からの飛び出しを防止すべく前記スロット入り口を内側から塞ぐように巻線コイルとステータコアとの間に介装されるウェッジ(特許文献2参照)、3相交流モータなどにおいて相の異なる巻線コイル間に介装される相間絶縁シート、及び、バスバー構造を有するモーターのバスバーの絶縁に用いられる絶縁シートなど各種のモーター用絶縁シートが利用されている。
ところで、近年、電気自動車などの車両の駆動力となるモーターなどにおいては、このようなモーター用絶縁シートに対して優れた耐熱性が求められており、全芳香族ポリアミド紙(アラミドペーパー)を表面層の形成材料に採用したものが用いられたりしている。
なお、このアラミドペーパーなどの繊維シートは、一般的な樹脂フィルムに比べて滑り性が良好であることから、一般的に狭小箇所に介装されるモーター用絶縁シートの表面層を形成させるための部材として好適なものであるといえる。
このようなことに関し、例えば、下記特許文献3には、全芳香族ポリアミド(アラミド)樹脂とフェノキシ樹脂との混合樹脂を加熱溶融させて得られた溶融樹脂で2枚のアラミドペーパーを貼り合せた3層構造の積層シートを相間絶縁シートに用いることが記載されている。
特開2007−325398号公報 特開平07−222387号公報 特開2006−321183号公報
近年、電気自動車においては、高い出力を得るために前記のようなモーターの駆動電圧が高圧化されるようになってきている。
そのために、この種の用途に用いられるモーター用絶縁シートにおいては、高電圧の交流電界が加わる結果、部分放電を発生させ易い状況になってきており、その対策が求められるようになってきている。
しかし、従来のモーター用絶縁シートにはそのような対策が施されていないために部分放電の発生防止を抑制させることが困難になっている。
本発明は、このような点に鑑み、部分放電の発生が抑制されたモーター用絶縁シートを提供することを課題としている。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、所定の誘電特性を有するモーター用絶縁シートを利用することで部分放電の発生を抑制する効果が発揮されることを見出して本発明を完成させるのに到った。
すなわち、本発明は、前記課題を解決すべく、1GHzにおける比誘電率が2.5以下であることを特徴とするモーター用絶縁シートを提供する。
本発明によれば、従来のモーター用絶縁シートなどの部分放電開始電圧に比べて高い部分放電開始電圧を有するモーター用絶縁シートを提供しうる。
一実施形態のモーター用絶縁シートに用いられる積層シートを示す概略断面図。 同積層シートの製造方法を示す概略図。 実施例で測定された「中間層の比誘電率に対する表面層の比誘電率の比率(εs/εm)」と「部分放電開始電圧(V)」との関係を示す図。
以下に、本発明の好ましい実施の形態について、自動車用モーターなどに用いられるモーター用絶縁シートを形成するための積層シートを示した図1を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る積層シートは、図1にその概略の断面構造を示すように、両表面を構成する表面層2a,2bと、該表面層2a,2bの間に配された中間層3との少なくとも3層の積層構造を有している。
より具体的には本実施形態に係る積層シート1は、2枚の繊維シートが一般的な感圧接着剤などを用いることなく熱可塑性樹脂によって貼り合わされて表面層2a(繊維シート層2a)/中間層3(樹脂フィルム層3)/表面層2b(繊維シート層2b)の3層構造を有している。
そして、本実施形態の積層シート1は、熱可塑性樹脂を加熱溶融した溶融物で2枚の繊維シートが貼り合されて前記3層構造が形成されたものである。
なお、本実施形態のモーター用絶縁シートは、部分放電の開始電圧を従来のモーター用絶縁シートに比べて向上させる上において1GHzにおける比誘電率が2.5以下(下限値は、通常、1を超える値)となるように形成されていることが重要である。
なかでも、本実施形態のモーター用絶縁シートは、1GHzにおける比誘電率が2.0以上2.5以下であることが好ましく、2.05以上2.45以下の比誘電率を有していることがより好ましい。
そのために該モーター用絶縁シートの形成に用いる前記積層シート1としても、このような比誘電率を有することが好ましい。
本実施形態の積層シート1に上記のような比誘電率を発揮させるためには、各構成材料自体も所定の比誘電率を有することが重要であり、前記繊維シート層2a,2bを形成する繊維シートとしては、1GHzにおける比誘電率が3.0以下となるものを採用することが好ましく、2.25以上2.75以下の比誘電率を有していることが特に好ましい。
前記繊維シート層2a,2bを形成する繊維シートとしては、一面側の繊維シート層2aと他面側の繊維シート層2bとに厚みや材質の異なる繊維シートを用いても良く、また、それぞれに紙状、不織布状、布帛状など各種態様のものを採用することができる。
しかし、本実施形態においては、モーター用絶縁シートに求められる表面のすべり性や耐熱性などの観点から前記繊維シート層2a,2bを形成するのに芳香族ポリアミド繊維製の繊維シート、又は、ポリエステル繊維製の繊維シートを採用することが好ましく、なかでも前記繊維シートとしては全芳香族ポリアミド紙を採用することが特に好ましい。
前記ポリエステル繊維製の繊維シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などからなるものを採用可能である。
前記全芳香族ポリアミド紙としては、例えば、フェニレンジアミンとフタル酸との縮合重合物のごとく、アミド基以外がベンゼン環で構成された樹脂材料からなる、いわゆるアラミドファイブリッド及びまたはアラミド繊維を主たる構成材として形成されたシート状物を用いることができる。
なお、当該全芳香族ポリアミド紙などの繊維シートは、ピンホールなどの貫通孔を有していると当該貫通孔が形成されている箇所における絶縁性を期待することが難しくなる。
また、繊維シートは、内部に空孔(気泡)を存在させると、当該箇所において低い電圧での部分放電を発生させるおそれを有する。
従って、全芳香族ポリアミド紙などの繊維シートとしては、モーター用絶縁シートに対して優れた絶縁信頼性を付与する上において、貫通孔や内部空孔等が少ないものが好ましく、実質的に貫通孔や内部空孔等が存在しない無孔性シートであることが好ましい。
即ち、本実施形態において前記繊維シートとして全芳香族ポリアミド紙を採用する場合には、貫通孔や内部空孔が不可避的なもの以外に存在していない実質的に無孔性のものを採用することが好ましい。
この全芳香族ポリアミド紙としては、過度に薄いとモーター用絶縁シートに強度不足を招くおそれを有する一方で必要以上に厚みを増しても、巻線コイルとステータコアとの間への挿入が困難になるなど使用時における作業性を低下させるおそれを有する。
従って、モーター用絶縁シートに求められる強度を満足させつつ使用時における作業性を良好なものとし得る点において、前記全芳香族ポリアミド紙としては、厚みが、12.5μm以上250μm以下のものが好ましく、25μm以上150μm以下のものが特に好ましい。
また、この全芳香族ポリアミド紙の坪量は、低い方がモーター用絶縁シートの軽量化を図り得る反面、モーター用絶縁シートの強度を不足させるおそれを有する。
さらに、過度に坪量が低いと全芳香族ポリアミド紙自体のコシが弱くなり、積層シートの製造時におけるハンドリング性を低下させるおそれを有する。
このようなことから全芳香族ポリアミド紙の坪量は、5g/m2以上であることが好ましい。
さらに、全芳香族ポリアミド紙の密度は一定範囲の坪量と厚みとにより算出されるが、通常は0.1〜1.2g/cm3の範囲とされる。
なお、この全芳香族ポリアミド紙には本発明の効果を著しく損なわない範囲において第三の成分を加えることができ、このような第三成分としては、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリエステル繊維、アリレート繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などの有機繊維やガラス繊維、ロックウール、アスベスト、ボロン繊維、アルミナ繊維などの無機繊維を例示できる。
このような全芳香族ポリアミド紙としては、デュポン社より「ノーメックスペーパー」などの商品名で市販されているものや、このような全芳香族ポリアミド紙にグラフト処理、スルホン化処理、フッ素ガス処理、放電処理、光線照射処理、浸漬処理などによる表面処理をさらに施したものを用いることができる。
前記グラフト処理としては、例えば、未処理の全芳香族ポリアミド紙(以下「アラミド基材」ともいう)をビニルモノマーと重合開始剤を含む溶液中に浸漬して加熱する方法;アラミド基材にビニルモノマーを塗布した後に放射線を照射する方法;アラミド基材に放射線を照射した後にビニルモノマーと接触させる方法;増感剤を含むビニルモノマー溶液をアラミド基材に塗布した後に紫外線を照射する方法等が挙げられる。
なお、ビニルモノマー溶液とアラミド基材とを接触させる前に、紫外線照射、コロナ放電、プラズマ放電等により、アラミド基材を改質すると、ビニルモノマー溶液との親和性が高くなり、効率的にグラフト重合することができる。
このグラフト処理に使用しうるビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、スチレン等が挙げられる。
前記スルホン化処理としては、例えば、発煙硫酸、希硫酸、クロロ硫酸、塩化スルフリル等を含む溶液中に、アラミド基材を浸漬してスルホン酸基を導入する方法;アラミド基材を三酸化イオウガスと接触させてスルホン酸基を導入する方法;一酸化硫黄ガスや二酸化硫黄ガス等の存在下で放電を発生させて、スルホン酸基を導入する方法等が挙げられる。
前記フッ素ガス処理は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス等)で希釈したフッ素ガスと、酸素ガス、二酸化炭素ガス、二酸化硫黄ガス等から選ばれる少なくとも1種類のガスとの混合ガスに、アラミド基材を晒すことにより行なうことができる。
前記放電処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、グロー放電処理、電子線処理等が挙げられる。
前記光線照射処理は、例えば、紫外線、マイクロ波、X線、γ線等から選ばれる少なくとも1種類の光線にアラミド基材をさらすことにより行なうことができる。
前記浸漬処理としては、上記のグラフト処理やスルホン化処理のように化学反応を進行させる処理を行わず、例えば、スルホン基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、水酸基含有化合物、カーボネート結合含有化合物、炭素間二重結合含有化合物、炭素間三重結合含有化合物、ウレタン結合含有化合物、エステル結合含有化合物、エーテル含有化合物、アミド結合含有化合物、イミド結合含有化合物、ニトロ基含有化合物、アミノ基含有化合物、オキサイド結合含有化合物等及び上記化合物の共重合体等を含む溶液に浸漬後、乾燥する方法等が挙げられる。
このようにして表面処理が施された全芳香族ポリアミド紙は、表面特性に優れるのみならず貼り合わせに際して、前記溶融樹脂との親和性(濡れ性)の向上を図る上においても利点を有する。
本実施形態の積層シート1は、表面層の形成に用いる繊維シートとして上記のようなものが好適である一方で、前記中間層たる樹脂フィルム層3を形成させるための熱可塑性樹脂は、比誘電率が2.5以下であることが好ましく、2.0以上2.4以下の比誘電率を有していることが特に好ましい。
なお、本実施形態の積層シート1は、両表面を構成する表面層2a,2bと、該表面層の間に配された中間層3との少なくとも3層の積層構造を有していることからそれぞれに対する分担電圧の調整が容易となる。
特に、前記表面層2a,2bの比誘電率の値を「εs」、前記中間層3の比誘電率の値を「εm」としたときに、該中間層の比誘電率に対する前記表面層の比誘電率の比率(εs/εm)が1.0以上である場合には、中間層3の分担電圧を表面層以上のものとすることができる。
この点について説明すると、酸素や窒素が存在する状況下において部分放電が生じるとポリマーには放電そのもによるダメージ以外に、活性酸素、オゾン、酸化窒素などが生じることによる化学的なダメージが生じるおそれを有する。
そのため、空気が進入し易い表面層2a,2bの分担電圧を、中間層以下としておくことが好ましい。
特に、本実施形態の積層シート1は、樹脂フィルムよりも高い絶縁耐圧を発揮させることが難しい繊維シートによって表面層2a,2bが構成されているため、当該表面層2a,2bの分担電圧を、中間層3の分担電圧以下としておくことが特に好ましい。
本実施形態において樹脂フィルム層3を形成させるための熱可塑性樹脂として好ましく採用することができる熱可塑性樹脂としては、例えば、ノルボルネン樹脂、エチレン−ノルボルネン共重合体樹脂といった環状ポリオレフィン樹脂、シンジオタクティックポリスチレン樹脂、及び、ポリ4−メチル−1−ペンテン樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂などが挙げられる。
この熱可塑性樹脂によって形成させる前記樹脂フィルム層3の厚みについては、特に限定がされるものではないが、過度に薄いと一方の繊維シート層2aから他方の繊維シート層2bまでを貫通するピンホール等の欠陥を生じ易くなり、過度に厚いと積層シート1の厚みを必要以上のものとさせてしまうことになる。
このようなことから樹脂フィルム層3の厚みは、通常、1〜400μmとすることができ、20〜150μmとすることが好ましい。
また、部分放電の発生をより確実に抑制させる上においては、異物やボイド(微小気泡)を樹脂フィルム層中に極力存在させないようにすることが好ましい。
この樹脂フィルム層3、及び、前記繊維シート層2a,2bによって、本実施形態の積層シート1は、厚み30〜300μmとなるように形成されていることが好ましい。
なお、前記に述べたように、本実施形態の積層シート1は、1GHzでの測定において2.5以下の比誘電率を示すものであるが、当該積層シート1の比誘電率や前記全芳香族ポリアミド紙等の比誘電率は、空洞共振器とネットワークアナライザとを用いた空洞共振器摂動法によって測定することができる。
前記積層シートの比誘電率や前記全芳香族ポリアミド紙等の比誘電率は、例えば、関東電子応用開発社から市販の1GHz用空洞共振器と、アジレントテクノロジー社から市販のネットワークアナライザ(例えば、型名「N5230C」)とを用いて測定することができる。
また、上記測定は、例えば、積層シートや全芳香族ポリアミド紙から切り出した約2mm幅のスティック状試料を用いて実施することでができる。
本実施形態の積層シートやモーター用絶縁シートの比誘電率は、これらに対して電圧を印加した際に部分放電が発生することを抑制する上において前記のように2.5以下であることが重要である。
また、本実施形態の積層シートにおいて全芳香族ポリアミド紙などの表面層の形成に用いる繊維シートの比誘電率が3.0以下であることが好ましいのは、積層シートやモーター用絶縁シートの全体としての比誘電率を2.5以下とするために中間層を形成する熱可塑性樹脂の種類などに過度な制限が加わることを抑制し得るためである。
さらに、本実施形態の積層シートにおいて前記繊維シートを貼り合せるための熱可塑性樹脂の比誘電率が2.5以下であることが好ましいのも表面層の形成に用いる繊維シートの種類などに過度な制限が加わることを抑制し得るためである。
また、本実施形態の積層シートやモーター用絶縁シートは、中間層を形成する熱可塑性樹脂の比誘電率を2.5以下とすることで中間層の比誘電率に対する表面層の比誘電率の比率(εs/εm)を1.0以上とすることが容易になるという利点を有する。
なお、本実施形態の積層シートやモーター用絶縁シートは、実施例に記載の測定方法によって観察される部分放電開始電圧が、AC1400V(ピーク値)以上であることが好ましく、AC1600V(ピーク値)以上であることがより好ましい。
また、本実施形態の積層シートやモーター用絶縁シートは、絶縁破壊電圧が13kV以上であることが好ましく、14kV以上であることがより好ましい。
さらに、本実施形態の積層シートやモーター用絶縁シートは、100N/20mm以上の端裂抵抗を有することが好ましく、200N/20mm以上の端裂抵抗(JIS C2151 B法)を有することが特に好ましい。
本実施形態の積層シート1は、交流電圧が高い電圧で印加された場合においても、部分放電を発生させにくく、車両駆動用モーターの絶縁シートとして好適に用いられうる。
その場合には、スロット材、ウェッジ、相間絶縁シート、バスバー用絶縁シート等の各種の利用が可能であり、なかでもスロット材として好適に用いられうる。
次いで、このような積層シートを作製する方法について説明する。
ここでは、図2を参照しつつ全芳香族ポリアミド紙2’と前記熱可塑性樹脂の溶融物3’(以下、「溶融樹脂3’」ともいう)とを用いてモーター用絶縁シートに用いるのに好適な積層シート1を形成する方法を例に挙げて説明する。
なお、図2は、長尺な帯状の全芳香族ポリアミド紙2’を用いて、同じく長尺帯状の積層シート1を連続的に作製するための装置を模式的に示した正面図である。
すなわち、本実施形態の積層シート1の製造装置は、左右に離間し互いに平行な回転軸を有する2台の送出機11,11を備え、これらの送出機11,11の略中間上方に、下方に向けて吐出口が配され、且つ、全芳香族ポリアミド紙2’と略同幅の吐出口を有するT−ダイを装着した押出機16が備えられ、前記送出機11,11の略中間下方に、それぞれの送出機から送り出された全芳香族ポリアミド紙2’を前記押出機16から吐出された溶融樹脂3’を介して貼り合わせて得るように一対の絞りロール14,14が備えられている。
また、本実施形態の積層シート1の製造装置は、前記絞りロール14,14によって通じて2枚の全芳香族ポリアミド紙2’が貼り合わされて得られた積層シート1を巻き取る巻取装置15を備えている。
そして、本実施形態の積層シート1は、この装置の前記送出機11,11にそれぞれ全芳香族ポリアミド紙ロール12,12を装着し、この全芳香族ポリアミド紙ロール12,12から繰り出した帯状の全芳香族ポリアミド紙2’を絞りロール14,14の間を通過させて前記巻取装置15に固定するとともに、前記絞りロール14,14の間隔を、所定の間隔(通常、作製する積層シートの厚みに同じ)に調整して作製することができる。
即ち、装置を上記のような状態にセットした後で、前記送出機11,11を使って全芳香族ポリアミド紙ロール12,12に適度なブレーキをかけつつ前記巻取装置15による2枚の全芳香族ポリアミド紙2’,2’の巻取りを開始し、さらに、前記押出機16を使って前記T−ダイから溶融樹脂3’を帯状に吐出させて本実施形態の積層シート1を形成させることができる。
このような製造方法によれば、簡便で効率良く積層シートを作製することができる。
ただし、本実施形態の積層シートは、このような方法のみならず、種々の方法で作製可能であることはここで説明するまでもなく当然の事柄である。
なお、上記において具体的に例示されていない事項であっても、従来、積層シートやモーター用絶縁シートに関する技術事項として公知の事柄については、本実施形態の積層シートやモーター用絶縁シートにも採用が可能なものである。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(繊維シート及び熱可塑性樹脂)
評価用の積層シート(モーター用絶縁シート)の形成には、以下の繊維シートと熱可塑性樹脂とを用いた。

(繊維シート)
1)シートA:
デュポン帝人アドバンスドペーパー社製の実質的に無孔性の全芳香族ポリアミド紙、商品名「ノーメックスペーパー T410」、厚み50μm
2)シートB:
デュポン帝人アドバンスドペーパー社製、ポリフェニレンスルフィド樹脂被覆ポリエチレンテレフタレート繊維からなる実質的に無孔性の不織布、厚み60μm

(熱可塑性樹脂)
1)sPS:
出光興産社製、シンジオタクティックポリスチレン樹脂、商品名「XAREC S105S」
2)COP:
ポリプラスチックス社製、環状ポリオレフィン樹脂(エチレン−ノルボルネン共重合体樹脂)、商品名「TOPAS 6017−S04」
3)TPX:
三菱化学社製、ポリ4−メチル−1−ペンテン樹脂、商品名「TPX RT18」
4)ETFE:
AGC旭硝子社製、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、商品名「Fluon アフレックス」
5)PPS:
東レ社製 ポリフェニレンスルフィド樹脂 商品名「トレリナ」
6)PET:
東レ社製、ポリエチレンテレフタレート樹脂、商品名「ルミラー」
7)PEN:
帝人社製、ポリエチレンナフタレート樹脂、商品名「テオネックス」
上記の繊維シートと熱可塑性樹脂とを用い、下記表1に示す構成の積層シートを作製した。
繊維シート、熱可塑性樹脂、及び、積層シートの比誘電率(1GHz)を空洞共振器摂動法によって測定した結果を併せて表1に示す。
(部分放電開始電圧(Partial Discharge Inception Voltageの測定)
積層シートから一辺50mmの正方形のテストピースを切り出し、該テストピースの部分放電開始電圧を三菱電線工業社製の部分放電測定器(型名「QM−50」)によって測定した。
なお、測定に際しては、前記テストピースをステンレス板と真鍮電極との間に挟み込み、該ステンレス板と該真鍮電極とに200Vrms/秒の昇圧速度で交流電圧を印加し、部分放電測定器によって測定される放電電荷量が100pCとなったときの電圧値を求めた。
この電圧値(ピーク電圧値)を、下記表1に示す。
また、表1に示した、「中間層の比誘電率に対する表面層の比誘電率の比率(εs/εm)」と「部分放電開始電圧」との関係をグラフ化したものを図3に示す。
なお、1GHzにおける比誘電率が2.5以下の積層シートは、部分放電開始電圧が高く、モーター用絶縁シートとして用いるのに適していることが上記の表からも判る。
また、図3からは、破線右側の領域(比率(εs/εm)≧1.0)において部分放電開始電圧が格段に高くなっており、モーター用絶縁シートとして用いるのに当該領域の積層シートが特に適していることがわかる。
1:積層シート、2a,2b:表面層(繊維シート層)、3:中間層(樹脂フィルム層)

Claims (3)

  1. 1GHzにおける比誘電率が2.5以下であり、
    両表面を構成する表面層と、該表面層の間に配された中間層との少なくとも3層の積層構造を有し、
    前記表面層の前記比誘電率の値をε s 、前記中間層の前記比誘電率の値をε m としたときに、該中間層の比誘電率に対する前記表面層の比誘電率の比率(ε s /ε m )が1.0以上で、
    1GHzにおける比誘電率が2.5以下の熱可塑性樹脂を加熱溶融した溶融物で1GHzにおける比誘電率が3.0以下の2枚の繊維シートが貼り合された3層構造を有し、該繊維シートによって前記表面層が形成されているとともに前記熱可塑性樹脂によって前記中間層が形成されていることを特徴とするモーター用絶縁シート。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、シンジオタクティックポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、及び、ポリ4−メチル−1−ペンテン樹脂の内のいずれかであり、且つ、前記繊維シートが芳香族ポリアミド繊維製の繊維シートである請求項記載のモーター用絶縁シート。
  3. モーターのステータコアのスロットにおいて当該ステータコアと巻線コイルとの間に介装されるスロット材である請求項1又は2に記載のモーター用絶縁シート。
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