JP6252385B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、静電潜像現像用トナーに関する。
画像形成装置を省エネルギー化又は小型化するために、低温定着性に優れるトナーが望まれている。低温定着性に優れるトナーを用いることで、定着ローラーの温度が低くても、記録媒体にトナーを良好に定着させることが可能になる。
低温定着性に優れるトナーを得るために、低融点の結着樹脂(又は、低ガラス転移点の結着樹脂)と、低融点の離型剤とを使用するトナーの製造方法が提案されている。しかし、こうした方法では、耐熱保存性に優れたトナーを製造することが難しい。トナーの耐熱保存性は、高温環境でトナーを保存した場合に、トナーに含まれるトナー粒子が凝集せずにいる性質を示す。耐熱保存性が低いトナーでは、高温環境でトナー粒子が凝集しやすい。そして、トナー粒子が凝集すると、トナー粒子の帯電量が低下しやすくなる。
トナーの、低温度定着性、耐熱保存性、及び耐ブロッキング性を向上させる目的で、コア−シェル構造のトナー粒子を含むトナーが提案されている。
コア−シェル構造のトナー粒子を含むトナーの一例では、トナーコアが低融点の結着樹脂を含む。また、トナーコアは、樹脂からなるシェル層で被覆されている。また、シェル層を構成する樹脂のガラス転移点(Tg)は、トナーコアに含まれる結着樹脂のガラス転移点(Tg)よりも高い。
コア−シェル構造のトナー粒子を含むトナーの別の一例(特許文献1参照)では、熱硬化性樹脂を含む薄膜(シェル層)でトナーコアの表面が被覆されている。トナーコアの軟化温度は40℃以上150℃以下である。
特開2004−138985号公報
しかしながら、特許文献1に記載のトナーでは、トナーコアが低温で軟化可能なように設計されているものの、シェル層が高分子分散剤と熱硬化樹脂によって形成されている。このため、必ずしも低温で良好にトナーが定着されない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、耐熱保存性及び低温定着性に優れる静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明の静電潜像現像用トナーが、結着樹脂を含むトナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを有するトナー粒子を含む。また、前記シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位とを含む樹脂を有する。また、前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂である。また、前記トナー粒子同士が重ならないようにポリエステルフィルム上に形成されたトナー層を、温度140℃かつ圧力7MPaの条件で加熱及び加圧することによって、前記シェル層の外表面の複数の点から、溶融した前記トナーコアの成分が噴出しながら、前記トナー層中の前記トナー粒子が圧壊される。
本発明によれば、耐熱保存性及び低温定着性に優れる静電潜像現像用トナーを提供することが可能になる。
高化式フローテスターを用いて軟化点を測定する方法を説明するための図である。 実施例1のトナーにおける、加熱及び加圧されたトナー粒子の表面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1のトナーにおける、アルカリ処理されたトナー粒子の表面の走査型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本実施形態のトナーは、静電潜像現像用トナーである。トナーに含まれるトナー粒子は、トナーコアと、トナーコアを被覆するシェル層とを有する。トナーコアは、結着樹脂を含む。また、トナーコアは、必要に応じて、結着樹脂中に、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような成分を含んでいてもよい。シェル層は主に樹脂から構成される。シェル層を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位とを含む。
トナーは、トナー粒子のみから構成されてもよいし、トナー粒子以外の成分を含んでいてもよい。必要に応じて、トナー粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。トナーを所望のキャリアと混合して、2成分現像剤を調製してもよい。なお、外添剤により処理される前の粒子を、トナー母粒子と記載する場合がある。
本実施形態のトナーでは、トナー粒子同士が重ならないようにポリエステルフィルム上に形成されたトナー層を、温度140℃かつ圧力7MPaの条件で加熱及び加圧することによって、シェル層の外表面の複数の点から、溶融したトナーコアの成分が噴出しながら、トナー層中のトナー粒子が圧壊される。こうした構成を有するトナーでは、シェル層の破壊とトナーコアの溶融とが速やかに進行し易い。このため、本実施形態のトナーは低温定着性に優れる。本実施形態のトナーにおいて上記トナー粒子の圧壊が生じる理由は、以下のように推察される。
トナー層(ひいては、トナー層中のトナー粒子)を加熱及び加圧した場合には、シェル層の薄い箇所が優先的且つ局所的に破壊されることで、シェル層の表面に多数の微小な破壊点(孔部)が形成されるとともに、形成された破壊点から、溶融したトナーコアの成分が噴出すると推察できる。本実施形態のトナーでは、シェル層が、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との複合膜から構成されるため、定着時の加熱及び加圧によって、シェル層中の、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位が存在する箇所と、熱可塑性樹脂に由来する単位が存在する箇所とで、それぞれ微小なひずみが生じやすい。こうした理由により、本実施形態に係るトナーでは、上記トナー粒子の圧壊が生じると推察できる。
また、トナーコアに着色剤又は離型剤が含まれる場合には、トナーコアの表面近傍に着色剤又は離型剤が存在しやすい。そして、トナーコアの表面近傍では、結着樹脂が存在する部分よりも、着色剤又は離型剤が存在する部分の方が、シェル層の強度が低下しやすい。このため、こうした構成を有するトナーでは、上記トナー粒子の圧壊が生じ易いと考えられる。
また、トナーコアを後述の凝集法で製造する場合には、シェル層にひずみが生じることがある。また、凝集法で製造されたトナーコアの表面には凸凹が形成され易い。トナーコアの凹部の上に形成されたシェル層は、トナーコアと接しないで浮いた状態となるため、トナー粒子が加熱及び加圧されることによって破壊され易い。このため、凝集法で製造されたトナーコアを有するトナー粒子では、上記圧壊が生じ易いと考えられる。
また、トナーコアを後述の溶融混錬法で製造する場合には、シェル層が形成される際の加熱によって生じる表面張力によってトナーコアが収縮する。このため、トナーコアを凝集法で製造する場合よりも、トナーコアの表面上に形成されるシェル層にひずみが生じやすい。また、溶融混錬法で製造されたトナーコアの表面には、トナーコアを凝集法で製造する場合よりも多くの凸凹が形成されやすい。トナーコアの凹部の上に形成されたシェル層は、トナー粒子が加熱及び加圧されることによって破壊され易い。このため、溶融混錬法で製造されたトナーコアを有するトナー粒子では、凝集法で製造されたトナーコアを有するトナー粒子よりも、上記圧壊が生じ易いと考えられる。
また、本実施形態のトナーでは、シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位とを含む樹脂を有する。熱可塑性樹脂に由来する単位は分子量の大きな単位である一方で、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位は分子量の小さな単位である。このため、シェル層における熱可塑性樹脂に由来する単位の存在量が不均一であると、シェル層の厚さにむらが生じると考えられる。このため、本実施形態のトナーでは、シェル層の厚さにむらが生じ易く、シェル層の薄い箇所が点在し易いと考えられる。こうした理由により、本実施形態に係るトナーでは、上記トナー粒子の圧壊が生じると推察できる。
上記トナー粒子の圧壊を生じ易くするためには、下記方法で測定されるトナーの比表面積変化率Sxが35%以上であることが好ましい。なお、シェル層の厚さが20nm以上である場合、比表面積変化率Sxが低くなり易い。また、比表面積変化率Sxが200%以上である場合、シェル層の被覆が不十分であることに起因して、トナーの耐熱保存性が低下すると考えられる。
<比表面積変化率Sxの測定方法>
アニオン系界面活性剤を含むpH10の塩基性水溶液(例えば、花王株式会社製「マイペット」)50mLにトナー10gを分散して分散液を得る工程と、得られた分散液を50℃で10時間静置する工程と、静置された分散液から分離した固形分を乾燥する工程とを経ることにより、試料(測定対象のトナー)の一部をアルカリ処理する。シェル層中の、厚さが薄い箇所と、トナーコアとの結合が弱い箇所とは、それぞれアルカリで侵されやすい。アルカリがトナーコアに達すると、トナーコアが加水分解によって分解し、トナー粒子の表面に凹部が形成されると考えられる。
試料(トナー)の比表面積変化率Sxは、アルカリ処理された試料(トナー)の比表面積Sbと、未処理の試料(トナー)の比表面積Saとから、「Sx=100×(Sb−Sa)/Sa」に基づいて求められる。
以下、トナーコア(結着樹脂、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)と、シェル層と、外添剤と、トナーを2成分現像剤において使用する場合に用いるキャリアと、トナーの製造方法とについて順に説明する。
[結着樹脂]
本実施形態のトナーでは、トナーコアの表面で熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂のモノマー(又は、初期重合体)と反応することにより、トナーコアの表面にシェル層が形成される。トナーコアにシェル層を強固に結合させるためには、結着樹脂が、メチロールメラミンのような熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーと反応して化学的に結合する反応性官能基を有することが好ましい。例えば、結着樹脂としては、分子中に水酸基、カルボキシル基、及びアミノ基のような官能基を有する樹脂が好ましく、分子中に水酸基、カルボキシル基、及び/又はエステル基のような極性基を有する樹脂がより好ましい。トナーコアの有する官能基とシェル層の材料との縮合反応は、シェル層の材料(詳しくは、シェル層を構成する樹脂のモノマー又はプレポリマー)のin−situ重合と同時に進行すると考えられる。
結着樹脂がカルボキシル基を有する場合、結着樹脂の酸価は、3mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることが好ましく、10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下であることがより好ましい。結着樹脂が水酸基を有する場合、結着樹脂の水酸基価は、10mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であることが好ましく、15mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることがより好ましい。
結着樹脂の具体例としては、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、又はスチレン−ブタジエン系樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、トナー粒子中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させるためには、スチレンアクリル系樹脂又はポリエステル樹脂が好ましい。以下、スチレンアクリル系樹脂及びポリエステル樹脂について説明する。
スチレンアクリル系樹脂は、スチレン系単量体とアクリル系単量体との共重合体である。スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、又はp−エチルスチレンが挙げられる。アクリル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシプロピルのような(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。
スチレンアクリル系樹脂を調製する際に、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルのような単量体を用いることで、スチレンアクリル系樹脂に水酸基を導入できる。これらの水酸基を有する単量体の使用量を適宜調整することで、得られるスチレンアクリル系樹脂の水酸基価を調整できる。
スチレンアクリル系樹脂を調製する際に、(メタ)アクリル酸を単量体として用いることで、スチレンアクリル系樹脂にカルボキシル基を導入できる。(メタ)アクリル酸の使用量を適宜調整することで、得られるスチレンアクリル系樹脂の酸価を調整できる。
ポリエステル樹脂は、例えば2価又は3価以上のアルコールと2価又は3価以上のカルボン酸とを縮重合又は共縮重合することで得られる。ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のアルコール又はカルボン酸が挙げられる。
ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる2価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールのようなジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、又はポリオキシプロピレン化ビスフェノールAのようなビスフェノール類が挙げられる。
ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる3価以上のアルコールの具体例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、又はアルキルコハク酸もしくはアルケニルコハク酸(n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の具体例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
さらに、上記2価又は3価以上のカルボン酸を、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステルのようなエステル形成性の誘導体として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は、ポリエステル樹脂を製造する際の、2価又は3価以上のアルコールの使用量と、2価又は3価以上のカルボン酸の使用量とを、それぞれ適宜変更することで調整できる。また、ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向がある。
カーボンニュートラルの観点から、トナーはバイオマス由来の材料を含むことが好ましい。具体的には、トナーに含まれる炭素中のバイオマス由来の炭素の比率が25質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
結着樹脂としては、バイオマス由来の1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、又はグリセリンのようなアルコールを用いて合成されたポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
バイオマスの種類は特に限定されず、植物性バイオマスであっても動物性バイオマスであってもよい。バイオマス由来の材料の中では、大量に入手しやすく安価であることから、植物性バイオマス由来の材料がより好ましい。
バイオマスから、グリセリンを製造する方法としては、酸もしくは塩基を用いる化学的方法、又は酵素もしくは微生物を用いる生物学的方法で、植物性油脂又は動物性油脂を加水分解する方法が挙げられる。また、グリセリンは、グルコースのような糖類を含む基質から発酵法を用いて製造することができる。1,2−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールのようなアルコールは、上記のようにして得られるグリセリンを原料として用いて製造することができる。公知の方法に従って、グリセリンを目的の物質に化学的に変換することができる。
結着樹脂としては、バイオマス由来のアクリル酸又はアクリル酸エステルのようなモノマーを用いて合成されたスチレンアクリル系樹脂を用いることが好ましい。上記の方法で得られるグリセリンを脱水することで、アクロレインを得ることができる。また、得られたアクロレインを酸化することで、バイオマス由来のアクリル酸を得ることができる。さらに、このようにして得られるバイオマス由来のアクリル酸を公知の方法でエステル化することで、バイオマス由来のアクリル酸エステルを製造できる。アクリル酸エステルを製造する際に使用されるアルコールがメタノール又はエタノールである場合、公知の方法を用いてバイオマスから製造されたアルコールを用いることが好ましい。
大気中に存在するCO2のうち、放射性炭素(14C)を含むCO2の濃度は、大気中において一定に保たれている。一方、植物は大気中の14Cを含むCO2を光合成の過程において取り込む。このため、植物の有機成分における炭素中の14Cの濃度は、大気中における14Cを含むCO2の濃度に対応する値となっていることが多い。一般的な植物の有機成分における炭素中の14Cの濃度は約107.5pMC(percent Modern Carbon)である。また、動物における炭素も、植物に含まれる炭素に由来する。このため、動物の有機成分における炭素中の14Cの濃度も、植物と同様の傾向がある。
ここで、トナー中に含まれる14Cの濃度をX(pMC)とすると、式(1)「バイオマス由来の炭素の比率(質量%)=(X/107.5)×100」に従ってトナー中の炭素のうちのバイオマス由来の炭素の比率を求めることができる。
製品に含まれる炭素中のバイオマス由来の炭素の割合が25質量%以上であるプラスチック製品は、カーボンニュートラルの観点から特に好ましい。こうしたプラスチック製品には、バイオマスプラマーク(日本バイオプラスチック協会認証)が与えられる。トナーに含まれる炭素中のバイオマス由来の炭素の割合が25質量%以上となる場合において、そのトナー中の14Cの濃度Xを上記式(1)から求めると、14Cの濃度Xは26.9pMC以上となる。従って、トナーに含まれる炭素の放射性炭素同位体14Cの濃度が26.9pMC以上となるように、ポリエステルを調製することが好ましい。なお、石油化学製品の炭素元素中における14Cの濃度は、ASTM−D6866に従って測定できる。
結着樹脂のガラス転移点(Tgr)は、30℃以上60℃以下が好ましく、35℃以上55℃以下がより好ましい。結着樹脂のガラス転移点(Tgr)は、以下の方法に従って測定できる。
<ガラス転移点の測定方法>
示差走査熱量計(DSC)(例えば、セイコーインスツル株式会社製「DSC−6200」)を用いて結着樹脂の吸熱曲線を測定することで、得られた吸熱曲線(詳しくは、結着樹脂の比熱の変化点)から結着樹脂のガラス転移点(Tgr)を求めることができる。例えば、結着樹脂(測定試料)10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25〜200℃、昇温速度10℃/分という条件で、結着樹脂の吸熱曲線を測定することができる。得られた結着樹脂の吸熱曲線に基づいて、結着樹脂のガラス転移点(Tgr)を求めることができる。
結着樹脂の軟化点(Tmr)は、60℃以上150℃以下であることが好ましく、70℃以上140℃以下であることがより好ましい。また、異なる軟化点(Tm)を有する複数の樹脂を、結着樹脂の軟化点(Tmr)が上記の範囲内の値となるように組み合わせて用いることもできる。結着樹脂の軟化点(Tmr)は、以下の方法に従って測定できる。
<軟化点の測定方法>
高化式フローテスター(例えば、株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて結着樹脂の軟化点(Tmr)を測定することができる。例えば、結着樹脂(測定試料)を高化式フローテスターにセットし、ダイス細孔経1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて軟化点(Tmr)を測定することができる。高化式フローテスターの測定により、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブが得られる。得られたS字カーブから、結着樹脂の軟化点(Tmr)を読み取ることができる。
結着樹脂の軟化点(Tmr)の読み取り方を、図1を用いて説明する。高化式フローテスターの測定により、例えば図1に示されるようなS字カーブが得られる。このS字カーブに関して、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とした場合、ストロークの値が(S1+S2)/2となる温度が、結着樹脂(測定試料)の軟化点(Tmr)に相当する。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、1100以上2000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)との比率で表される、ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、9以上21以下であることが好ましい。結着樹脂がスチレンアクリル系樹脂である場合、スチレンアクリル系樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上3000以下であることが好ましい。スチレンアクリル系樹脂の数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)との比率で表される、スチレンアクリル系樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、10以上20以下であることが好ましい。結着樹脂の数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定できる。
[着色剤]
トナーコアは必要に応じて、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料又は染料を用いることができる。好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。
黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。黒色着色剤としては、後述するイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤のような着色剤を用いて黒色に調色された着色剤も利用できる。
トナーがカラートナーである場合に、トナーコアに配合される着色剤の例としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤の例としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、又はアリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、イエロー着色剤の例として、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ネフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤の例としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、又はペリレン化合物が挙げられる。具体的には、マゼンタ着色剤の例として、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)が挙げられる。
シアン着色剤の例としては、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、又は塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、シアン着色剤の例として、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーが挙げられる。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
[離型剤]
トナーコアは必要に応じて、離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、通常、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。
好適な離型剤の例としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス又は酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物系ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部を脱酸化したワックスが挙げられる。
離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
[電荷制御剤]
電荷制御剤は、トナーの帯電レベル又は帯電立ち上がり特性を向上させて、耐久性又は安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、所定の帯電レベルに短時間でトナーを帯電可能か否かの指標となる。
トナーを正帯電させて現像を行う場合には、正帯電性の電荷制御剤を使用することが好ましく、トナーを負帯電させて現像を行う場合には、負帯電性の電荷制御剤を使用することが好ましい。ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、電荷制御剤を使用しなくてもよい。例えば、シェル層中に帯電機能を有する成分が含まれ、トナーコアに電荷制御剤が含まれなくてもよい。
正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、又はキノキサリンのようなアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEW、又はアジンディープブラック3RLのようなアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、又はニグロシン誘導体のようなニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、又はニグロシンZのようなニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルデシルヘキシルメチルアンモニウムクロライド又はデシルトリメチルアンモニウムクロライドのような4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの正帯電性の電荷制御剤の中では、より迅速な立ち上がり性が得られる点で、ニグロシン化合物が特に好ましい。これらの正帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、又はカルボキシル基を有する樹脂も正帯電性の電荷制御剤として使用できる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル樹脂、カルボキシル基を有するスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル樹脂、カルボキシル基を有するスチレンアクリル系樹脂、又はカルボキシル基を有するポリエステル樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、オリゴマーであってもポリマーであってもよい。
負帯電性の電荷制御剤の具体例としては、有機金属錯体又はキレート化合物が挙げられる。有機金属錯体又はキレート化合物の例としては、アルミニウムアセチルアセトナートもしくは鉄(II)アセチルアセトナートのようなアセチルアセトン金属錯体、又は3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロムのようなサリチル酸系金属錯体もしくはサリチル酸系金属塩が好ましく、サリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩がより好ましい。これらの負帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
正帯電性又は負帯電性の電荷制御剤の使用量は、トナー全量を100質量部とする場合に、0.5質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。
[磁性粉]
トナーコアには、必要に応じて、結着樹脂中に磁性粉を配合してもよい。このようにして製造される磁性粉を含むトナーコアを用いて製造されたトナー粒子を含むトナーは、磁性1成分現像剤において使用される。好適な磁性粉の例としては、フェライト又はマグネタイトのような鉄;コバルト又はニッケルのような強磁性金属;鉄及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。このような範囲の粒子径の磁性粉を用いる場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させやすい。
1成分現像剤のトナーにおいて使用される磁性粉の量は、トナー全量を100質量部とする場合に、35質量部以上60質量部以下であることが好ましく、40質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。また、2成分現像剤のトナーにおいて使用される磁性粉の量は、トナー全量を100質量部とする場合に、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。
[シェル層を構成する樹脂]
シェル層を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位とを含む。なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とは、例えばメラミンのようなモノマーにホルムアルデヒドに由来するメチレン基(−CH2−)が導入された単位を意味する。
シェル層を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂のモノマーと熱可塑性樹脂との反応により形成される。熱可塑性樹脂に由来する単位は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位で架橋されている。このため、本実施形態のトナーが備えるシェル層は、熱可塑性樹脂に由来する単位に起因して適度な柔軟性を有すると共に、熱硬化性樹脂のモノマーが形成する三次元の架橋構造に起因して適度な機械的強度を有する。それゆえ、本実施形態のトナーのシェル層は、保管時又は輸送時に容易に破壊されない一方で、定着時には、温度及び圧力が加えられることによって容易に破壊される。このような理由から、本実施形態のトナーは、シェル層が薄膜である場合でも、耐熱保存性及び低温定着性に優れる。以下、シェル層を構成する樹脂を形成する際に好適に使用できる材料(熱硬化性樹脂のモノマー及び熱可塑性樹脂)について説明する。
(熱硬化性樹脂のモノマー)
シェル層を構成する樹脂に熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を導入するために用いられるモノマー又はプレポリマーは、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の熱硬化性樹脂の形成に使用されるモノマー又はプレポリマーである。
メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合物である。メラミン樹脂の形成に使用されるモノマーはメラミンである。尿素樹脂は、尿素とホルムアルデヒドとの重縮合物である。尿素樹脂の形成に使用されるモノマーは尿素である。グリオキザール樹脂は、グリオキザールと尿素との反応物と、ホルムアルデヒドとの重縮合物である。グリオキザール樹脂の形成に使用されるモノマーは、グリオキザールと尿素との反応物である。メラミン樹脂を形成するためのメラミン、尿素樹脂を形成するための尿素、及びグリオキザールと反応させる尿素はそれぞれ、公知の変性を受けていてもよい。熱硬化性樹脂のモノマーは、熱可塑性樹脂と反応させる前にホルムアルデヒドによりメチロール化(誘導体化)されてもよい。
本実施形態のトナーが備えるシェル層は、メラミン又は尿素に由来する窒素原子を含む。このため、窒素原子を含むシェル層を備える本実施形態のトナーは、正帯電されやすい。よって、本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子は、所望する帯電量に容易に正帯電させることができると考えられる。トナーに含まれるトナー粒子を所望する帯電量に正帯電させるためには、シェル層中の窒素原子の含有量を10質量%以上にすることが好ましい。
(熱可塑性樹脂)
シェル層を構成する樹脂に熱可塑性樹脂に由来する単位を導入するために用いられる熱可塑性樹脂は、上述の熱硬化性樹脂のモノマーが有する官能基(例えば、メチロール基又はアミノ基)との反応性を有する官能基を持つ熱可塑性樹脂であることが好ましい。メチロール基又はアミノ基との反応性を有する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基のような活性水素原子を含む官能基が挙げられる。アミノ基は、カルバモイル基(−CONH2)として熱可塑性樹脂中に含まれてもよい。シェル層の形成が容易であることから、熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリルアミドに由来する単位を含む樹脂、又はカルボジイミド基、オキサゾリン基、もしくはグリシジル基のような官能基を有するモノマーに由来する単位を含む樹脂が好ましい。
シェル層の形成に使用される熱可塑性樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、シリコーン−(メタ)アクリルグラフト共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、又はエチレンビニルアルコール共重合体が挙げられる。これらの樹脂は、カルボジイミド基、オキサゾリン基、又はグリシジル基のような官能基を有するモノマーに由来する単位を含んでいてもよい。これらの中でも、アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、又はシリコーン−(メタ)アクリルグラフト共重合体のような熱可塑性樹脂が好ましく、アクリル樹脂がより好ましい。
アクリル樹脂の調製に用いることができる(メタ)アクリル系のモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、又は(メタ)アクリル酸n−ブチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルのような(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸のエチレンオキシド付加物;(メタ)アクリル酸エステルのエチレンオキシド付加物のアルキルエーテル(メチルエーテル、エチルエーテル、n−プロピルエーテル、又はn−ブチルエーテル)が挙げられる。
シェル層の形成は水性媒体中で行われることが好ましい。こうすることで、トナーコアに含まれる離型剤成分の溶出、又は結着樹脂の溶解を抑制できる。シェル層の形成に用いられる熱可塑性樹脂は水溶性を有することが好ましい。また、シェル層の形成に使用される熱可塑性樹脂は、水性媒体中で熱硬化性樹脂のモノマー及びトナーコアの各々と化学的に結合できる樹脂であることが好ましい。シェル層の形成には、熱可塑性樹脂の水溶液を用いることが好ましい。
シェル層を構成する樹脂中の、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位の含有量(Ws)の、熱可塑性樹脂に由来する単位の含有量(Wp)に対する比率(Ws/Wp)は、3/7以上8/2以下であることが好ましく、4/6以上7/3以下であることがより好ましい。
シェル層の厚さは、1nm以上20nm以下であることが好ましく、1nm以上10nm以下であることがより好ましい。厚過ぎるシェル層を備えるトナー粒子を含むトナーを用いて画像を形成する場合、トナーを記録媒体へ定着させる際に、トナー粒子に圧力が印加されてもシェル層が破壊されにくい。また、トナーコアに含まれる結着樹脂及び離型剤の各々の軟化又は溶融が速やかに進行せず、低温域でトナーを記録媒体上に定着させにくい。一方、薄過ぎるシェル層は、強度が低い。シェル層の強度が低いと、輸送時のような状況での衝撃によってシェル層が破壊されることがある。また、高温でトナーを保存する場合、シェル層の少なくとも一部が破壊されたトナー粒子は凝集しやすい。高温条件下では、シェル層が破壊された箇所を通じて離型剤のような成分がトナー粒子の表面に染み出しやすいためである。
シェル層の厚さは、トナー粒子の断面のTEM撮影像を市販の画像解析ソフトウェアを用いて解析することによって、計測できる。市販の画像解析ソフトウェアとしては、WinROOF(三谷商事株式会社製)のようなソフトウェアを用いることができる。
シェル層が薄すぎる場合、TEM画像上でシェル層とトナーコアとの界面が不明瞭であるため、シェル層の厚さの測定が困難である場合がある。このような場合、TEM撮影と、エネルギー分散X線分光分析(EDX)とを組み合わせて、TEM画像中で、シェル層の材質に特徴的な元素(例えば、窒素)のマッピングを行い、シェル層とトナーコアとの界面を明確化して、シェル層の厚さを計測すればよい。
シェル層の厚さは、シェル層を形成するために使用される材料(熱硬化性樹脂のモノマー、及び熱可塑性樹脂)の使用量を調整することで、調整できる。シェル層の厚さは、例えばトナーコアの比表面積と熱硬化性樹脂のモノマーの量と熱可塑性樹脂の量とから、下記式を用いて推量できる。
シェル層の厚さ=(熱硬化性樹脂のモノマーの量+熱可塑性樹脂の量)/トナーコアの比表面積
[外添剤]
本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子において、必要に応じて、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。
外添剤の例としては、シリカ又は金属酸化物(アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム)が挙げられる。
外添剤の粒子径は0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、2質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
[キャリア]
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤において使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いることが好ましい。
好適なキャリアの例としては、キャリア芯材が樹脂で被覆されたキャリアが挙げられる。キャリア芯材の具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、もしくはコバルトのような粒子、又はこれらの材料とマンガン、亜鉛、もしくはアルミニウムのような金属との合金の粒子;鉄−ニッケル合金又は鉄−コバルト合金のような粒子;酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、又はニオブ酸リチウムのようなセラミックスの粒子;リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、又はロッシェル塩のような高誘電率物質の粒子が挙げられる。また、キャリアとして、樹脂中に上記粒子(磁性粒子)を分散させた樹脂キャリアを用いてもよい。
キャリア芯材を被覆する樹脂の例としては、アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、又はポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、又はポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、又はアミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
電子顕微鏡により測定されるキャリアの粒子径は、20μm以上120μm以下であることが好ましく、25μm以上80μm以下であることがより好ましい。
トナーを2成分現像剤において用いる場合、2成分現像剤に含まれるトナーの量は、2成分現像剤の質量に対して、3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
[トナーの製造方法]
トナーの製造方法としては、前述の所定の材質からなるシェル層でトナーコアを被覆できる方法が好ましい。以下、本実施形態に係る静電潜像現像用トナーの好適な製造方法に関して、トナーコアの製造方法と、シェル層の形成方法とについて順に説明する。
(トナーコアの製造方法)
トナーコアの製造方法としては、結着樹脂中に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、又は磁性粉のような成分を良好に分散させることができる方法が好ましい。トナーコアの製造方法の例としては、凝集法又は溶融混錬法が挙げられる。凝集法は、溶融混練法よりも、球形度の高いトナーコアを製造し易い。凝集法は、均一な形状及び粒子径を有するトナーコアを製造し易い。溶融混練法は、凝集法よりも簡単にトナーコアを製造できる。
凝集法では、結着樹脂、離型剤、及び着色剤のようなトナーコアを構成する成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて凝集粒子を得る。続けて、得られた凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させる。これにより、トナーコアを含む水性分散液が得られる。その後、水性分散液から分散剤のような成分を除去することで、トナーコアが得られる。
溶融混練法では、結着樹脂と、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉のような成分とを混合する。続けて、得られた混合物を溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕及び分級する。これにより、所望の粒子径を有するトナーコアが得られる。
pH4に調整された水性媒体中で測定されるトナーコアのゼータ電位(詳しくは、後述する方法で測定されるゼータ電位)が負極性(0mV未満)であることが好ましい。
より詳しくは、水性媒体中でトナーコアの表面にシェル層を形成する場合、分散剤を含む水性媒体中に高度に分散させておかないと、トナーコアの表面を完全に被覆する(又は、被覆率の高い)シェル層が得られない傾向がある。しかし、トナーコアの上記ゼータ電位が負極性を示す場合には、水性媒体中で、負に帯電するトナーコアに、含窒素化合物であって水性媒体中で正に帯電する熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーが、電気的に引き寄せられると考えられる。そして、トナーコアの表面では、トナーコアに吸着された熱硬化性樹脂のモノマーもしくはプレポリマーの反応(モノマー同士、プレポリマー同士、又はモノマーとプレポリマーとの反応)、又は熱硬化性樹脂のモノマーもしくはプレポリマーと熱可塑性樹脂との反応が良好に進行する。トナーコアの上記ゼータ電位が負極性を示す場合には、分散剤を用いてトナーコアを水性媒体中に高度に分散させずとも、トナーコアの表面に均一なシェル層を形成し易くなる。
上記ゼータ電位が負極性を示すトナーコアを製造する方法の例としては、アニオン系の分散剤を含む水性媒体にトナーコアを分散させることにより、アニオン系の分散剤でトナーコアの表面を被覆する方法が挙げられる。このような方法でゼータ電位を負極性に調整したトナーコアにシェル層を形成する場合には、トナーコアを含む水性分散液に、カチオン性を有するアミノ樹脂系のシェル材料(シェル層を形成するための材料)を添加して、トナーコアの表面にシェル層を形成することが好ましい。しかし、上記方法では分散剤を用いるため、トナーコアの洗浄工程で分散剤を除去しきれない場合に、残った分散剤がトナー粒子の帯電性を阻害する可能性がある。
このため、トナーを製造する場合には、分散剤を用いることなく、水性媒体中で、熱硬化性樹脂のモノマー及び/又はプレポリマーと熱可塑性樹脂とを直接トナーコアの表面に付着させて、in−situ重合によってトナーコアの表面にシェル層を形成することが好ましい。こうしたトナーの製造方法では、シェル層の形成が水性媒体中で行われる。そのため、トナーコアの表面にシェル層の材料を均一に付着させて、シェル層を均一に形成(成膜)し易い。なお、トナーコアの表面には、着色剤又は離型剤のような成分が多数存在しやすい。そして、そのような成分は、シェル層の材料との密着性が良好でないことが多い。このため、トナーコアの表面に着色剤又は離型剤のような成分が存在する箇所は、トナー粒子を所定の条件で加熱及び加圧する際に破壊される部分(破壊点)になり易い。さらに、着色剤又は離型剤のような成分がトナーコアの表面に多数存在する場合には、シェル層に複数の破壊点が形成されやすく、破壊点からトナーコアの成分が溶出しやすい。また、トナーコアの表面に微粒子を付着させた後でシェル層を形成すると、定着時にその微粒子の近傍に破壊点が形成されやすい。
上記ゼータ電位が負極性を示すトナーコアを用いる場合には、上記のように、分散剤を用いることなく、トナーコアがシェル層で完全に被覆された(トナーコアの表面が露出しない)トナー粒子を得ることが容易になると考えられる。また、排水負荷の非常に高い分散剤を用いずにトナーを製造する場合には、トナーの製造に際して排出される排水を希釈することなく、排水中の全有機炭素濃度を低いレベル(例えば、15mg/L以下)とすることが可能となると考えられる。
<pH4の分散液中のゼータ電位の測定方法>
トナーコア0.2gと、イオン交換水80gと、1質量%濃度のノニオン系界面活性剤(例えば、日本触媒株式会社製「K−85」)20gとを、マグネットスターラーを用いて混合し、液中にトナーコアを均一に分散させる。これにより、分散液が得られる。その後、分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4のトナーコアの分散液(測定試料)を得る。ゼータ電位・粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター株式会社製「Delsa Nano HC」)を用いて、測定試料中のトナーコアのゼータ電位を測定する。
(シェル層の形成方法)
トナーコアを被覆するシェル層は、熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマー(メラミン、尿素、又はグリオキザールと尿素との反応物)と熱可塑性樹脂とを反応させることによって形成できる。なお、シェル層の形成に用いる溶媒に対する、トナーコアに含まれる結着樹脂の溶解又は離型剤の溶出を防ぐため、シェル層の形成は、水のような水性媒体中で行われることが好ましい。
シェル層の形成は、シェル材料(シェル層を形成するための材料)の水溶液にトナーコアを添加して行われることが好ましい。水性媒体中にトナーコアを添加した後、水性媒体中にトナーコアを良好に分散させる方法の例としては、分散液を強力に攪拌できる装置を用いてトナーコアを水性媒体中に機械的に分散させる方法(以下、第1の分散方法と記載する)、又は分散剤を含有する水性媒体中でトナーコアを分散させる方法(以下、第2の分散方法と記載する)が挙げられる。第2の分散方法では、水性媒体中にトナーコアが均一に分散され易い。このため、第2の分散方法は、トナーコアを完全に被覆する(トナーコアの表面を露出させない)シェル層を形成しやすい。一方、第1の分散方法は、排水中の全有機炭素量を低減できる。第1の分散方法で用いられる攪拌装置の好適な例としては、ハイビスミックス(プライミックス株式会社製)が挙げられる。
トナーコアを含む水性分散液のpHは、シェル層を形成する前に酸性物質を用いて4程度に調整されることが好ましい。分散液のpHを酸性側に調整することで、シェル材料(シェル層を形成させるための材料)の重縮合反応が促進される傾向がある。
必要に応じてトナーコアを含む水性分散液のpHを調整した後、トナーコアを含む水性分散液に、シェル層を形成させるための材料を溶解させてもよい。その後、水性分散液中において、トナーコアの表面での、シェル層を形成させるための材料間の反応を進行させて、トナーコアの表面を被覆するシェル層を形成することができる。
熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーと熱可塑性樹脂とを反応させてシェル層を形成する際の温度は、40℃以上95℃以下であることが好ましく、50℃以上80℃以下であることがより好ましい。40℃以上95℃以下の温度下でシェル層を形成することで、シェル層の形成が良好に進行する。
トナーコアが、水酸基又はカルボキシル基を有する結着樹脂(例えば、ポリエステル樹脂)を含む場合において、40℃以上95℃以下の温度下でシェル層を形成すると、トナーコアの表面に露出する水酸基又はカルボキシル基と、熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーが有するメチロール基とが反応して、トナーコアを構成する結着樹脂とシェル層を構成する樹脂との間に共有結合が形成される傾向がある。その結果、トナーコアにシェル層が強固に付着し易くなる。
上記のようにしてシェル層を形成した後、シェル層で被覆されたトナーコアを含む水性分散液を常温まで冷却して、トナー母粒子の分散液を得ることができる。その後、例えば、トナー母粒子を洗浄する洗浄工程、トナー母粒子を乾燥する乾燥工程、及びトナー母粒子の表面に外添剤を付着させる外添工程を経て、トナー母粒子の分散液からトナーが回収される。以下、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程について説明する。なお、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程はそれぞれ、適宜割愛できる。
(トナー母粒子の洗浄工程)
トナー母粒子は、必要に応じて、水を用いて洗浄される。トナー母粒子の好適な洗浄方法の例としては、遠心分離法及びフイルタープレス法によって、トナー母粒子を含む水性分散液からトナー母粒子を固液分離することで、トナー母粒子をウエットケーキとして回収し、得られたウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法が挙げられる。
(トナー母粒子の乾燥工程)
トナー母粒子は、必要に応じて乾燥されてもよい。トナー母粒子を乾燥させる好適な方法の例としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、又は減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。乾燥中のトナー母粒子の凝集を抑制するためにはスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー母粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することによって、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
(外添工程)
上記方法により得られたトナー母粒子の表面に、必要に応じて外添剤を付着させてもよい。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる好適な方法の例としては、トナー母粒子の表面に外添剤が埋没しないような条件で、FMミキサー又はナウターミキサーのような混合機を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることで、トナー粒子が得られる。なお、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させない(外添工程を割愛する)場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。
以上説明した本実施形態の静電潜像現像用トナーは、耐熱保存性及び低温定着性に優れる。このため、本実施形態の静電潜像現像用トナーは、種々の画像形成装置で好適に使用できる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
[ポリエステル樹脂の製造]
以下の方法に従って、下記表1に記載のガラス転移点(Tg)、軟化点(Tm)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)、酸価、及び水酸基価を有するポリエステル樹脂A〜Dを製造した。
Figure 0006252385
(ポリエステル樹脂Aの製造)
テレフタル酸1245g、イソフタル酸1245g、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物1248g、及びエチレングリコール744gを、5Lの4つ口フラスコに仕込んだ。次いで、フラスコ内を窒素雰囲気とし、攪拌しながらフラスコ内部の温度を250℃まで上昇させた。次いで、常圧、250℃で4時間反応を行った後、三酸化アンチモン0.875g、トリフェニルホスフェート0.548g、及びテトラブチルチタネート0.102gを、フラスコ内に添加した。次いで、フラスコ内を0.3mmHgに減圧して、フラスコ内部の温度を280℃まで上昇させた。次いで、280℃で6時間、反応を行い、数平均分子量1,300のポリエステル樹脂を得た。次いで、架橋剤として、トリメリット酸30.0gをフラスコ内に添加し、フラスコ内部の圧力を常圧に戻し、フラスコ内部の温度を270℃まで降下させた。次いで、常圧、270℃で1時間、反応を行った。反応終了後、フラスコの内容物を取り出し、冷却してポリエステル樹脂Aを得た。
(ポリエステル樹脂Bの製造)
トリメリット酸(架橋剤)の添加量を30gから10gに変更した以外は、ポリエステル樹脂Aと同様にしてポリエステル樹脂Bを得た。
(ポリエステル樹脂Cの製造)
アルコール成分として、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物1248gに代えてビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物1248gを用いた以外は、ポリエステル樹脂Aと同様にしてポリエステル樹脂Cを得た。
(ポリエステル樹脂Dの製造)
テレフタル酸の10質量%相当分(124.5g)をコハク酸に変更し、テレフタル酸1245gに代えて、テレフタル酸1120.5g及びコハク酸124.5gを使用した以外は、ポリエステル樹脂Aと同様にしてポリエステル樹脂Dを得た。
[実施例1〜9に係るトナーの製造方法]
(トナーコアの製造)
下記表2〜表4に記載の種類のポリエステル樹脂を用いて、トナーコアを製造した。
Figure 0006252385
Figure 0006252385
Figure 0006252385
表2〜表4に記載の種類のポリエステル樹脂100質量部と、着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3、銅フタロシアニン)5質量部と、離型剤(日油株式会社製「WEP−3」、エステルワックス)5質量部とを、混合機(FMミキサー)を用いて混合し、混合物を得た。次いで、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて溶融混練して混練物を得た。続けて、得られた混練物を、機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミル」)を用いて粉砕し、粉砕物を得た。続けて、得られた粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェット」)を用いて分級し、体積平均粒子径(D50)が6.0μmであるトナーコアを得た。トナーコアの体積平均粒子径は、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いて測定した。
得られたトナーコアの一部について、pH4の分散液中のゼータ電位を、下記方法に従って測定した。トナーコアの、pH4の分散液中のゼータ電位は、表2〜表4に示されている。
<pH4の分散液中のゼータ電位の測定方法>
トナーコア0.2gと、イオン交換水80gと、1質量%濃度のノニオン系界面活性剤(日本触媒株式会社製「K−85」、ポリビニルピロリドン)20gとを、マグネットスターラーを用いて混合した。そして、液中にトナーコアを均一に分散させて分散液を得た。その後、分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4のトナーコアの分散液(測定試料)を得た。そして、得られたpH4のトナーコアの分散液を測定試料として用いて、ゼータ電位を測定した。詳しくは、測定試料中のトナーコアのゼータ電位を、ゼータ電位・粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「Delsa Nano HC」)を用いて測定した。
(シェル層の形成)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水300mLを入れた。続けて、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を30℃に保持した。次いで、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを4に調整した。pH調整後、フラスコ内に、シェル材料(シェル層を形成するための材料)として、表2〜表4に記載の量のメチロールメラミン水溶液(昭和電工株式会社製「ミルベン607」、固形分濃度80質量%)と、表2〜表4に記載の量の熱可塑性樹脂の水溶液(固形分濃度11質量%の水溶性ポリアクリルアミド水溶液)とを添加した。次いで、フラスコの内容物を攪拌し、シェル材料を水性媒体に溶解させた。これにより、シェル材料の水溶液(A)が得られた。
水溶液(A)に、表2〜表4に記載の種類のトナーコア300gを添加し、フラスコの内容物を、200rpmの速度で1時間攪拌した。次いで、フラスコ内に、イオン交換水300mLを追加した。その後、フラスコの内容物を100rpmで攪拌しながら、1℃/分の速度で、フラスコ内温を70℃まで上げた。その後、70℃、100rpmの条件でフラスコの内容物を2時間攪拌し続けた。その後、フラスコ内に水酸化ナトリウムを加えることで、フラスコの内容物のpHを7に調整した。次いで、フラスコの内容物を、常温まで冷却した。これにより、トナー母粒子を含む分散液が得られた。
(洗浄工程)
ブフナーロートを用いて、トナー母粒子を含む分散液を濾過して、トナー母粒子のウエットケーキを得た。その後、トナー母粒子のウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。上記濾過及び分散を5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。
(乾燥工程)
トナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)に供給することにより、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。これにより、乾燥したトナー母粒子が得られた。コートマイザーを用いる乾燥条件は、熱風温度45℃及びブロアー風量2m3/分であった。
(外添工程)
乾燥工程で得られたトナー母粒子100質量部と、シリカ(日本アエロジル株式会社製「REA90」)1.5質量部とを、10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合して外添剤を付着させた。その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩によりトナーを篩別した。
[比較例1に係るトナーの製造方法]
メチロールメラミン水溶液の使用量を表4に記載の量に変更し、熱可塑性樹脂の水溶液を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1に係るトナーを得た。
[評価]
各試料(実施例1〜9及び比較例1の各トナー)の評価方法及び評価結果は、以下のとおりである。
(溶融物の噴出箇所の確認)
試料(トナー)に含まれるトナー粒子を、下記方法に従って加熱及び加圧した。続けて、加熱及び加圧されたトナー粒子の表面を、下記方法に従って、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、シェル層の外表面上でトナーコア成分の溶融物が噴出する箇所を確認した。実施例1〜9及び比較例1のトナーの各々についての評価結果(トナーコアの溶融物の噴出箇所が複数個所であったか1箇所であったか)は、表2〜表4に示されている。また、実施例1のトナーにおける、加熱及び加圧されたトナー粒子の表面のSEM写真を、図2に示す。なお、実施例2〜9の各トナーにおける、加熱及び加圧されたトナー粒子の表面も、実施例1のトナー(図2)と概ね同様であった。
図2のSEM写真では、加熱及び加圧されたトナー粒子の表面から多数の白色の筋が伸びていることが分かる。この多数の白色の筋は、トナー粒子の表面の微小な破壊点(シェル層に生じた破断箇所)から、溶融したトナーコアが噴出した軌跡を示していると考えられる。実施例1〜9に係るトナーの各々に含まれるトナー粒子を加熱及び加圧することによって、シェル層の外表面の複数の点から、溶融したトナーコアの成分が噴出しながら、トナー粒子が圧壊されることを、図2から確認できる。
<トナー粒子を加熱及び加熱する方法>
試料(トナー)に含まれるトナー粒子を、トナー粒子同士が重ならないようにポリエステルフィルムに付着させて、ポリエステルフィルム上に、複数のトナー粒子から構成されるトナー層を形成する。続けて、プレスロール(ゴム製)及びヒートロールを用いて、温度140℃かつ圧力7MPaの条件で、トナー層(ひいては、トナー層中のトナー粒子)を加熱及び加圧した。具体的には、プレスロールを100℃、ヒートロールを140℃にそれぞれ加熱し、線速200mm/秒、及びニップ幅4.0mmの条件で、プレスロールとヒートロールとの間にフィルム(ひいては、フィルム上に形成されたトナー層)を通すことで、トナー層中のトナー粒子を加熱及び加圧した。
<溶融物の噴出箇所の確認方法>
上記のようにして加熱及び加圧されたトナー粒子を、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM−6700」)を用いて、倍率3000倍及び10,000倍の各々で観察した。そして、トナー粒子が加熱及び加圧されることによってトナー粒子の表面からトナーコア成分の溶融物が噴出した箇所が、複数箇所であったか、1箇所であったかを確認した。
(シェル層の厚さ)
試料(トナー)に含まれるトナー粒子の断面のTEM写真を、以下の方法に従って撮影した。さらに、トナー粒子の断面のTEM写真から、以下の方法に従って、シェル層の厚さを測定した。実施例1〜9及び比較例1のトナーの各々についての評価結果(測定されたシェル層の厚さ)は、表2〜表4に示されている。
<トナー粒子の断面のTEM写真の撮影方法>
試料(トナー)を、常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散させて、40℃の雰囲気で2日間静置した。これにより、トナーの樹脂硬化物が得られた。続けて、得られた硬化物を、四酸化オスミウムを用いて染色した。続けて、ミクロトーム(ライカ株式会社製「EM UC6」)を用いて、染色された硬化物から、厚さ200nmの薄片試料を切り出した。薄片試料の切断面には、トナー粒子の断面が含まれていた。得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて倍率3000倍及び10000倍の各々で観察した。また、トナー粒子の断面のTEM写真を撮影した。
<シェル層の厚さの測定方法>
シェル層の厚さは、撮影されたトナー粒子の断面のTEM写真を画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて解析することによって計測した。具体的には、トナー粒子の断面の略中心点で直交する2本の直線を引き、これら2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定した。そして、このようにして測定された4箇所の長さの平均値を、1個のトナー粒子の評価値(測定された1個のトナー粒子におけるシェル層の厚さ)とした。さらに、試料(トナー)に含まれる10個のトナー粒子の各々について上記方法でシェル層の厚さを測定した。そして、測定された10個のトナー粒子のシェル層の厚さ(それぞれトナー粒子の評価値)の平均値を、トナーの評価値(測定されたトナーにおけるシェル層の厚さ)とした。
(比表面積変化率Sx)
以下の方法に従ってアルカリ処理された試料(アルカリ処理されたトナー)の比表面積Sbと、アルカリ処理を行わなかった試料(未処理のトナー)の比表面積Saとを、それぞれBET比表面積測定装置(マウンテック社製「HM Model−1208」)を用いて測定した。そして、測定されたSa及びSbから、式「Sx=100×(Sb−Sa)/Sa」に従って、トナーの比表面積変化率Sx(%)を算出した。実施例1〜9及び比較例1のトナーの各々についての評価結果(算出されたトナーの比表面積変化率Sx)は、表2〜表4に示されている。
また、実施例1のトナーについて、アルカリ処理されたトナー粒子の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率3000倍と10000倍との各々で撮影した。実施例1のトナーにおける、アルカリ処理されたトナー粒子の表面のSEM写真を、図3に示す。なお、実施例2〜9及び比較例1の各トナーにおける、アルカリ処理されたトナー粒子の表面も、実施例1のトナー(図3)と概ね同様であった。トナー粒子をアルカリ処理することで、トナー粒子の表面に多数の凹部が形成されることが、図3から確認できる。
<アルカリ処理方法>
アニオン系界面活性剤を含むpH10の塩基性水溶液(花王株式会社製の「マイペット」をイオン交換水で10倍に薄めた水溶液)50mLにトナー10gを分散させて、分散液を得た。続けて、得られた分散液を、50℃で10時間静置した。続けて、静置された分散液を固液分離(濾過)して、得られた固形分を乾燥した。これにより、アルカリ処理されたトナーが得られた。
(耐熱保存性)
以下の方法に従ってトナーの凝集度を求め、得られたトナーの凝集度から、試料(トナー)の耐熱保存性を評価した。実施例1〜9及び比較例1のトナーの各々についての評価結果(トナーの耐熱保存性)は、表2〜表4に示されている。
<耐熱保存性の評価方法>
試料(トナー)2gを、容量20mLのポリ容器に入れて、60℃に設定された恒温器内に3時間静置した。これにより、耐熱保存性評価用のトナーが得られた。その後、耐熱保存性評価用のトナーを、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5、時間30秒の条件で、パウダーテスターに設置した100メッシュ(目開き150μm)の篩を用いて篩別した。篩別後に、篩上に残留したトナーの質量を測定した。篩別前のトナーの質量と、篩別後に篩上に残留したトナーの質量とから、下式に従ってトナーの凝集度(質量%)を求めた。算出されたトナーの凝集度から、下記基準に従って耐熱保存性を評価した。
凝集度(質量%)=(篩上に残留したトナー質量/篩別前のトナーの質量)×100
○:トナーの凝集度が20質量%以下であった。
△:トナーの凝集度が20質量%超50質量%以下であった。
×:トナーの凝集度が50質量%超であった。
(低温定着性)
試料(トナー)を用いて、以下の方法に従って2成分現像剤を調製した。そして、以下の方法に従って、調製された2成分現像剤を用いて画像を形成して、試料(トナー)の低温定着性を評価した。実施例1〜9及び比較例1のトナーの各々についての評価結果(トナーの低温定着性)は、表2〜表4に示されている。
<2成分現像剤の調製方法>
現像剤用キャリア(FS−C5250DN用キャリア)100質量部と、試料(トナー)10質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合した。これにより、2成分現像剤が調製された。
<低温定着性の評価方法>
評価機として、定着温度を調節できるように改造したプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」)を用いた。上記方法で調製された2成分現像剤を評価機の現像部に投入し、トナーを評価機のトナーコンテナに投入した。評価機の線速を200mm/秒に、評価機のトナー載り量を1.0mg/cm2にそれぞれ設定して、記録媒体(印刷用紙)に未定着のソリッド画像を形成した。定着温度を100℃以上200℃以下の範囲で、評価機の定着装置の定着温度を100℃から5℃ずつ上昇させて、未定着のソリッド画像を定着させて、ソリッド画像がオフセットすることなく記録媒体に定着できる最低温度である最低定着温度を測定した。低温定着性を、下記基準により評価した。
○:トナーの最低定着温度が160℃以下であった。
×:トナーの最低定着温度が160℃超であった。
実施例1〜9に係るトナーは、結着樹脂を含むトナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とを有するトナー粒子を含んでいた。また、シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位とを含む樹脂を有していた。また、熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であった。また、トナー粒子同士が重ならないようにポリエステルフィルム上に形成されたトナー層を、温度140℃かつ圧力7MPaの条件で加熱及び加圧することによって、シェル層の外表面上の複数の点から、溶融したトナーコアの成分が噴出しながら、トナー層中のトナー粒子が圧壊された。こうした構成を有する実施例1〜9に係るトナーはそれぞれ、表2〜表4に示されるように、耐熱保存性及び低温定着性に優れていた。
実施例1、2、5、6、8、及び9に係るトナーは、35%以上の比表面積変化率Sxを有していた。こうした構成を有するトナーは、表2〜表4に示されるように、低温定着性に特に優れていた。この理由は、実施例1、2、5、6、8、及び9に係るトナーでは、比表面積変化率Sxが大きいことに起因して、シェル層の外表面上に、トナーコア成分の溶融物の噴出した箇所が多く存在するためであると推察される。
一方、比較例1に係るトナーは、表4に示されるように、実施例1〜9に係るトナーよりも低温定着性に劣っていた。比較例1に係るトナーでは、シェル層が熱可塑性樹脂を含まないため、シェル層が硬くなり、トナー粒子を加熱及び加圧した場合にシェル層が破壊されにくかったと考えられる。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、例えば複写機又はプリンターにおいて画像を形成するために用いることができる。

Claims (2)

  1. 結着樹脂を含むトナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを有するトナー粒子を含み、
    前記シェル層が、熱可塑性樹脂に由来する単位が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位で架橋されている樹脂を有し、
    前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
    前記トナー粒子同士が重ならないようにポリエステルフィルム上に形成されたトナー層を、温度140℃かつ圧力7MPaの条件で加熱及び加圧することによって、前記シェル層の外表面の複数の点から、溶融した前記トナーコアの成分が噴出しながら、前記トナー層中の前記トナー粒子が圧壊され、
    アニオン系界面活性剤を含むpH10の塩基性水溶液50mLに前記トナー10gを分散して分散液を得る工程と、
    前記分散液を50℃で10時間静置する工程と、
    前記静置された分散液から分離した固形分を乾燥する工程と、
    を経ることによりアルカリ処理された前記トナーの比表面積をSb、未処理の前記トナーの比表面積をSaとする場合に、「Sx=100×(Sb−Sa)/Sa」に従って求められる前記トナーの比表面積変化率Sxが、35%以上である、静電潜像現像用トナー。
  2. 結着樹脂を含むトナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを有するトナー粒子を含み、
    前記シェル層が、熱可塑性樹脂に由来する単位が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位で架橋されている樹脂を有し、
    前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
    前記熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリルアミドに由来する単位を含
    前記トナー粒子同士が重ならないようにポリエステルフィルム上に形成されたトナー層を、温度140℃かつ圧力7MPaの条件で加熱及び加圧することによって、前記シェル層の外表面の複数の点から、溶融した前記トナーコアの成分が噴出しながら、前記トナー層中の前記トナー粒子が圧壊される、静電潜像現像用トナー。
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