JP6252151B2 - シールリング及びシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット - Google Patents

シールリング及びシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット Download PDF

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Description

この発明は、外気に曝らされる環境下で使用されるシールリング、及び自動車の車輪を懸架装置に支持する為のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットの改良に関する。
自動車の車輪は、例えば図9に示す様な、シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット1により、懸架装置に対し回転自在に支持する。このシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット1は、外輪2の内径側にハブ3を、複数個の転動体4、4を介して回転自在に支持して成る。このうちの外輪2は、外周面に懸架装置に支持固定する為の静止側フランジ5を、内周面に複列の外輪軌道6、6を、それぞれ設けている。又、前記ハブ3は、ハブ本体7と内輪8とをナット9により組み合わせ固定したもので、外周面に複列の内輪軌道10、10を有する。又、前記各転動体4、4は、これら両内輪軌道10、10と前記両外輪軌道6、6との間に、各列毎に複数個ずつ、それぞれ保持器11、11により保持された状態で転動自在に設けられている。
又、前記ハブ本体7の軸方向外端寄り部分で、前記外輪2の軸方向外端開口部から突出した部分には、特許請求の範囲に記載したフランジに相当する、回転側フランジ12を設けている。この回転側フランジ12には、複数本のスタッド13の基端部を支持固定しており、これら各スタッド13によりこの回転側フランジ12に、車輪を構成するホイールを支持固定できる様にしている。
又、前記外輪2の軸方向外端部内周面と前記ハブ3の軸方向中間部外周面との間に、シールリング14を装着して、これら外輪2の内周面とハブ3の外周面との間に存在し、前記各転動体4、4を設けた内部空間15の軸方向外端開口部を塞いでいる。又、前記外輪2の軸方向内端開口部をカバー16で塞ぐ事により、この軸方向内端開口部から前記内部空間15内への塵芥や雨水等の異物の侵入防止、及びこの内部空間15内に充填したグリースの外部への漏洩防止を図っている。尚、軸方向に関して内とは、車両への組み付け状態で幅方向中央側を言い、同じく外とは、幅方向外側を言う。
尚、図示の例では、前記各転動体4、4として玉を使用しているが、重量の嵩む自動車に組み込む、シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、各転動体として円すいころを使用する場合もある。又、ハブ本体と内輪とを結合固定する為に、図示の様にハブ本体7の軸方向内端部にナット9を螺合固定する構造に代えて、ハブ本体の軸方向内端部を径方向外方に塑性変形させて形成したかしめ部により、このハブ本体に外嵌した内輪の軸方向内端面を抑え付ける事もできる。更に、図示の例は、従動輪(FR車、RR車、MR車の前輪、FF車の後輪)用のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットである為、ハブ本体7が充実体であるが、駆動輪(FR車、RR車、MR車の後輪、FF車の前輪、4WD車の全輪)用のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、ハブ本体の中心部にスプライン孔を、このハブ本体を軸方向に貫通する状態で設ける。
何れの構造の場合も、各転動体を設置した内部空間の軸方向外端開口部のシールに関しては、外輪の軸方向外端部内周面とハブ本体の軸方向中間部外周面との間に設けた、シールリング14により図る。これに対して、前記内部空間の軸方向内端開口部のシールに関しては、従動輪用の場合には、図示の様なカバー16、又は外輪の軸方向内端部内周面と内輪の軸方向内端部外周面との間に設置した組み合わせシールリングにより、駆動輪用の場合には、組み合わせシールリングにより、それぞれ図る。
前記内部空間15内への異物侵入防止と、この内部空間15内に充填したグリースの漏洩防止とを十分に図る為には、この内部空間15の軸方向両端開口部を十分にシールする必要がある。特に、この内部空間15の軸方向外端開口部をシールする為のシールリングに就いては、回転側フランジ12の軸方向内側面に沿って径方向内方に導かれた異物が前記内部空間15内に入り込むのを防止する為に、優れたシール性能を要求される。しかも、この内部空間15の軸方向外端開口部に関しては、図9に示す様な、カバー16によるシールは行えない。
この様な事情に鑑みて従来から、転動体を設置した環状の内部空間の軸方向外端開口部をシールする為のシールリングとして、各種構造のものが考えられている。図10は、特許文献1に記載されたシールリング14aを示している。
このシールリング14aは、それぞれが円環状に形成された芯金17とシール材18とから成る。このうちの芯金17は、金属板製で、外輪2の軸方向外端部内周面に内嵌固定された円筒状の嵌合筒部19と、この嵌合筒部19の軸方向外端部から径方向外方に向けて直角に折れ曲がった円輪部20と、この嵌合筒部19の軸方向内端部から軸方向外側に向けて180度折り返されると共に径方向内方に向けて折れ曲がった内径支持部21とを備える。又、前記シール材18は、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製で、前記芯金17に加硫接着により結合固定されており、前記円輪部20の周囲を覆った円輪状の堰部22と、前記内径支持部21の軸方向外側面に支持された基部23と、この基部23から延出する状態で設けられた3本のシールリップ24a、24b、24cとを備える。
上述の様な構成を有する従来構造のシールリング14aの場合、径方向外端部に設けた前記堰部22を、前記外輪2の軸方向外端部外周面よりも径方向外方に突出させている。これにより、この外輪2の外周面に付着した泥水等の水分が、この外輪2の外周面を伝って内部空間15に侵入する事を有効に防止できる(堰き止める事ができる)。
但し、前記シールリング14aの場合、加硫成形時に、加硫反応、揮発性添加剤の拡散、及び冷却等によって、前記シール材18の体積が収縮する事に起因して、次の様な問題を生じる可能性がある。
前記シール材18の体積が収縮する際、このシール材18のうちで、前記芯金17に接着されていない、例えばシールリップ24a〜24cは、引っ張り応力が生じない状態に変形できる。これに対し、前記芯金17に接着された、例えば堰部22及び基部23は、この様な変形ができない為、当該部分に残留引っ張り応力が発生し、特にこのうちの堰部22のうち、前記芯金17を構成する円輪部20と軸方向に重畳する部分に、大きな残留引っ張り応力が発生する。又、この様にして生じる引っ張り応力は、前記シール材18のうちで、前記芯金17に直接接着された内部側部分よりも、ゴム分子の配向や架橋の影響が加わる表面側部分で局所的に大きくなる傾向がある。又、図11に示した様に、前記シール材18のうちの径方向両端部(図11の上下両端部)は、径方向に関して変形が可能である為、残留引っ張り応力を減少させる事ができるが、このシール材18は、全周に亙り連続する状態で形成されており、円周方向には端部(開放部)が存在しない為、円周方向の引っ張り応力が残留し易くなる。この結果、前記堰部22の表面側部分に、円周方向の大きな残留引っ張り応力が発生し易くなる。
又、シール材を形成する弾性材料として、ニトリルゴム等に適宜添加剤を配合したゴム組成物が広く使用されているが、この様なゴム組成物にはオゾン劣化という欠点がある。特に、車輪支持用転がり軸受ユニットに装着されるシールリングに広く使用される、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のジエン系加硫ゴムは、引っ張り応力下でオゾンに曝らされると、オゾンとゴム分子とが反応して分子鎖が切断され、応力方向と直角方向の亀裂を発生させ易い。又、オゾンは、車両の排気ガスの多い場所、水銀灯やキセノンランプ等が点灯されている場所で、濃度が高まる事が知られており、道路は、オゾン濃度が高い場所の典型である。
従って、前記シールリング14aのうちの堰部22は、その表面部分に、円周方向の残留引っ張り応力が発生し易いだけでなく、前記シールリング14aの装着状態で外部に露出しオゾンに曝らされ易い事から、径方向(円周方向に対して直角方向)の亀裂が発生し易い、といった問題を生じる可能性がある。
尚、上述の様なオゾン劣化による問題を解消する為に、例えば特許文献2には、融点が55〜70℃程度のワックス類を、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム100重量部に対して、0.5〜2重量部程度添加する技術が開示されている。しかしながら、この様にゴムの組成を工夫した場合にも、使用時の軸受内部温度の上昇によって、低融点のワックス類がゴム材料から次第に抜け出ていく可能性がある。この為、長期的には、ワックス類を添加するだけでは、オゾン劣化による亀裂の発生を有効に防止する事は困難であり、亀裂が進展して、シールリップ(例えばサイドリップ)の根元部分にまで達した場合には、シールリップによる緊迫力が低下し、必要とされるシール性能が得られなくなる可能性がある。
特開2012−97817号公報 特開2002−372061号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、シールリングを構成するシール材のうちで、使用状態でオゾンに曝らされ易い部分に配置される堰部に、オゾン劣化による亀裂が発生するのを有効に防止できる構造を実現する。
本発明のシールリング及びシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットのうち、本発明のシールリングは、外気に曝らされる環境下で、使用時に回転する内径側軌道輪部材の外周面と使用時にも回転しない外径側軌道輪部材の内周面との間に存在する内部空間の端部開口を塞ぐ為に使用されるものであり、芯金と、この芯金に加硫接着された弾性材製のシール材とを備える。
このうちの芯金は、金属板製で全体を円環状とされたもので、嵌合筒部と、円輪部と、内径支持部とを有する。
前記嵌合筒部は、円筒状で、前記外径側軌道輪部材の端部内周面に内嵌固定される。又、前記円輪部は、この嵌合筒部の軸方向片端部から径方向外方に向けて折れ曲がる状態で設けられており、その軸方向他側面が、前記外径側軌道輪部材の端面に、前記シール材の一部を介して突き当てられる。更に、前記内径支持部は、前記嵌合筒部の軸方向他端部に連続する状態で、この嵌合筒部よりも径方向内方に設けられている。
前記シール材は、堰部と、基部と、少なくとも1本のシールリップとを有する。
前記堰部は、前記円輪部を覆うと共に、前記シールリングの装着状態で、その外周縁部を、前記外径側軌道輪部材の端部外周面よりも径方向外方に突出させる。又、前記基部は、前記内径支持部の軸方向片側面に支持されている。更に、前記シールリップは、この基部から延出する状態で設けられ、前記シールリングの装着状態で、その先端縁を前記内径側軌道輪部材の表面に全周に亙り摺接させる。
又、前記堰部は、前記円輪部の軸方向両側面及び外周縁部をそれぞれ覆っている。
特に本発明のシールリングにあっては、前記芯金を構成する円輪部のうち、軸方向に関して前記外径側軌道輪部材の端面の径方向外半部と重畳する部分に、この円輪部の外周縁側にのみ開口した放射状の切り欠きを、複数(例えば円周方向等間隔複数個所に)形成している。
上述した様な本発明のシールリングを実施する場合には、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記堰部の軸方向片側面に、軸方向片側に向けて突出する、非接触リップ又は接触リップである、堰部リップを設ける。
又、本発明のシールリングを実施する場合には、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記円輪部を、径方向外方に向かう程軸方向片側に向かう方向に、直線的又は曲線的に傾斜させる。
これに対し、本発明のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットは、内周面に外輪軌道を有し、懸架装置に支持された状態で回転しない、外径側軌道輪部材である外輪と、外周面のうちでこの外輪軌道と対向する部分に内輪軌道を有し、この外輪と同心に配置された、内径側軌道輪部材である、例えばハブ本体と内輪とを組み合わせて構成されるハブと、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体(例えば玉又はころ)と、このハブの外周面のうちで、前記外輪の軸方向外端開口部よりも軸方向外方に突出した部分に設けられた、前記ハブに対し車輪を支持固定する為のフランジと、前記外輪の内周面とこのハブの外周面との間に存在する内部空間の軸方向外端開口部を塞ぐシールリングとを備える。
そして、本発明のシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、前記シールリングを、上述した本発明のシールリングとしている。
上述の様な構成を有する本発明のシールリング及びシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットによれば、シールリングを構成するシール材のうちで、使用状態でオゾンに曝らされ易い部分に配置される堰部に、オゾン劣化による亀裂が発生するのを有効に防止できる。
即ち、本発明の場合には、前記シールリングを構成する芯金のうちで、前記堰部を加硫接着する円輪部に、外周縁側が開口した放射状の切り欠きを複数形成している。この為、前記堰部のうちで、円周方向に関してこれら各切り欠きと整合する部分に存在する弾性材を、円周方向に変形(収縮)させ易くできる。又、前記円輪部が円周方向に連続しない為、前記堰部が円周方向に収縮しようとする力に基づき、この円輪部を軸方向に僅かに傾斜させる事が可能になり、前記堰部の円周方向の引っ張り応力を開放する事ができる。従って、この堰部に生じる円周方向の残留引っ張り応力を低減できる。この結果、この堰部にオゾン劣化による亀裂が発生する事を有効に防止できる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、図9のA部に相当する部分の拡大断面図。 同じく図1の左側から見た状態で示す堰部の部分正面図。 本発明の実施の形態の第2例を外輪及びハブを省略して示す図1と同様の図。 同じく図2と同様の図。 本発明の実施の形態の第3例を示す、図3と同様の図。 同じく図2と同様の図。 本発明の実施の形態の第4例を示す、図3と同様の図。 同じく図2と同様の図。 本発明の対象となるシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットの1例を示す断面図。 従来構造のシールリングを示す、図9のA部に相当する部分の拡大断面図。 シール材が収縮する態様を説明する為に示す模式図。
[実施の形態の第1例]
本発明の実施の形態の第1例に就いて、図1〜2により説明する。尚、本例の特徴は、シールリング14bを構成するシール材18aのうちの堰部22aに、オゾン劣化による亀裂が発生するのを防止する為の構造にある。この様なシールリング14bを装着する車輪支持用転がり軸受ユニットに就いては、前記図9に示した構造と同様のものを採用できる他、従来から知られた各種構造を採用できる為、車輪支持用転がり軸受ユニット全体の図示並びに説明は省略し、以下、前記シールリング14bを対象に詳しく説明する。
前記シールリング14bは、それぞれが円環状に形成された芯金17aとシール材18aとから構成されている。このうちの芯金17aは、ステンレス鋼板等の金属板製で、外輪2の軸方向外端部内周面に内嵌固定された円筒状の嵌合筒部19aと、この嵌合筒部19aの軸方向外端部から径方向外方に向けてほぼ直角に折れ曲がった円輪部20aと、この嵌合筒部19aの軸方向内端部から軸方向外側に向けて略U字形に180度折り返されると共に、径方向内方に向けて折れ曲がった内径支持部21aとを備える。又、前記シールリング14bの装着状態(嵌合筒部19aを外輪2の軸方向外端部内周面に内嵌固定した状態)で、前記円輪部20aの外周縁部は、この外輪2の軸方向外端部外周面よりも径方向外方に突出しており、この円輪部20aの軸方向内側面は、前記外輪2の軸方向外端面に対して、前記シール材18aの一部(後述する堰部22a)を介して突き当てられている。
前記シール材18aは、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のジエン系加硫ゴム製(又は、その水素化物に、カーボンブラック等の補強材、架橋系薬剤や可塑剤等を配合したゴム組成物)で、前記芯金17aに、加硫接着により結合固定されている。又、前記シール材18aは、前記円輪部20aの周囲を覆った円輪平板状の堰部22aと、前記内径支持部21aの軸方向外側面に支持された基部23aと、この基部23aから延出する(基端部を連続させる)状態で設けられた3本の接触式のシールリップ24d、24e、24fとを備える。前記堰部22aは、前記円輪部20aの軸方向両側面及び外周縁部をそれぞれ覆っており、このうちの円輪部20aの軸方向内側面を覆った部分の外径側半部に、内径側半部に比べて軸方向厚さ寸法が少しだけ厚くなった、円輪状の厚肉部25が設けられている。そして、前記シールリング14bの装着状態で、前記堰部22aのうち、前記円輪部20aの軸方向内側面を覆った部分の内径側半部を、前記外輪2の軸方向外端面に弾性的に当接させると共に、前記厚肉部25の内周縁部をこの外輪2の軸方向外端縁部外周面に全周に亙り弾性的に当接させている。又、前記各シールリップ24d〜24fは、それぞれの先端縁を、ハブ3の軸方向中間部外周面又は回転側フランジ12の軸方向内側面に、全周に亙り摺接させている。尚、図1、及び後述する図3、5、7には、各シールリップ24d〜24fの自由状態での形状を示している。
特に本例の場合には、前記芯金17aを構成する円輪部20aに、この円輪部20aの外周縁側にのみ開口した放射状の切り欠き26、26を、円周方向等間隔に全周に亙り形成している。これにより、前記円輪部20aを、円周方向に関して前記各切り欠き26、26同士の間部分に設けられた柱部27、27と、これら各柱部27、27の径方向内端部を連続させる連結環28とから成る、櫛歯状に形成している。又、前記各切り欠き26、26の円周方向に関する幅寸法は径方向に亙り一定であり(柱部27、27の円周方向に関する幅寸法は径方向外方に向かう程大きくなっており)、これら各切り欠き26、26の内周縁部は円弧状としている。又、これら各切り欠き26、26の径方向に関する全長L26は、前記円輪部20aの径方向幅寸法L20a のおよそ4/5倍程度としている{L26=(4/5)L20a }。本例の場合には、前記円輪部20aを上述の様に構成している為、この円輪部20aに加硫接着された前記堰部22aの径方向中間部のうち、図2に示した様に、円周方向に関して前記各切り欠き26、26に整合する部分に非接着部29、29が設けられ、円周方向に関して前記各柱部27、27に整合する部分に接着部30、30が設けられている。
以上の様な構成を有する本例の場合には、前記シールリング14bを構成するシール材18aのうちで、使用状態でオゾンに曝らされ易い部分に配置される前記堰部22aに、オゾン劣化による亀裂が発生するのを有効に防止できる。
即ち、本例の場合には、前記シールリング14bを構成する芯金17aのうちで、前記堰部22aを加硫接着する前記円輪部20aに、外周縁側が開口した放射状の切り欠き26、26を複数形成している。この為、前記堰部22aのうちで、前記円輪部20a(柱部27、27)に直接接着されていない前記各非接着部29、29を、円周方向に変形(収縮)させ易くできる。又、前記円輪部20aが円周方向に連続しない為、前記堰部22aが円周方向に収縮しようとする力に基づき、前記円輪部20a(柱部27、27)を軸方向に僅かに傾斜させる事が可能になり、前記堰部20aの円周方向の引っ張り応力を開放する事ができる。従って、この堰部22aに生じる円周方向の残留引っ張り応力を低減できる。この結果、この堰部22aにオゾン劣化による亀裂が発生する事を有効に防止できる。
又、本例の場合には、前記各切り欠き26、26を、前記円輪部20aの外周縁側にのみ開口する状態で形成し、この円輪部20aの内径側端部には、円輪状の連結環28を設けている。この為、加硫成形時に、この連結環28の軸方向内側面に、図示しない加硫金型を押し当てる事により、前記シール材18aを構成するゴム材料が、前記円輪部20aの軸方向内側面を覆った前記堰部22aの内径側端部から径方向内方へと流れる事を防止できる。又、前記シールリング14bを前記外輪2の軸方向外端部内周面に圧入すべく、このシールリング14bを軸方向内側に押し込む際に、前記堰部22aのうちで前記連結環28により支持された部分を押圧できる為、圧入作業の作業効率を向上させる事ができる。
前記堰部22aにより、前記外輪2の外周面を伝って泥水等の異物が内部空間15に侵入する事を防止できる点を含め、その他の構成及び作用効果に就いては、前述した従来構造の場合と同様である。
[実施の形態の第2例]
本発明の実施の形態の第2例に就いて、図3〜4により説明する。本例の特徴は、シールリング14cを構成するシール材18bのうち、堰部22bの軸方向外側面の径方向中間部に、軸方向外側に向けて突出した堰部リップ31を全周に亙り設けた点にある。この堰部リップ31は、ラビリンスリップであり、この堰部リップ31の先端縁は、回転側フランジ12(図1、9参照)の軸方向内側面に、微小隙間を介して対向している。
上述の様な構成を有する本例の場合には、前記堰部リップ31を設けた事により、転動体を設置した内部空間15(図1、9参照)に泥水等の異物が侵入する事を、前記実施の形態の第1例の場合に比べて、より有効に防止できる。
その他の構成及び作用効果に就いては、前記実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第3例]
本発明の実施の形態の第3例に就いて、図5〜6により説明する。本例の特徴は、芯金17bの円輪部20bを構成する柱部27a、27aを、径方向外方に向かう程、軸方向外側に向かう方向に直線的に傾斜させた点にある。図示の例では、シールリング14dの中心軸に直交する仮想平面に対する前記各柱部27a、27aの傾斜角度を、およそ10度としている。この様に、これら各柱部27a、27aを軸方向に傾斜させた事に伴い、シール材18cを構成する堰部22cのうち、前記円輪部20bの軸方向外側面に接着された軸方向外側部分の軸方向に関する肉厚を、径方向外方に向かう程小さくしており、反対に、前記円輪部20bの軸方向内側面に接着された軸方向内側部分の軸方向に関する肉厚を、径方向外方に向かう程大きくしている。
上述の様な構成を有する本例の場合には、前記各柱部27a、27aを軸方向に予め傾斜させている為、前記堰部22cに発生する円周方向の収縮力に基づき、前記各柱部27a、27aを容易に傾斜させる事が可能になり、引っ張り応力を開放する上で有利になる。又、前記実施の形態の第1例の場合と同じ角度だけ傾斜した場合にも、前記シールリング14dの中心軸に直交する仮想平面からの傾斜量(余弦値)が大きくなるので、残留引っ張り応力の低減効果が大きくなる。更に、前記各柱部27a、27aの傾斜方向が予め定まっている為、傾き量を管理する(最終的な傾き量を規制する)事が容易になると共に、予め傾き量を見込んで成形型を調整する事が容易になる。
その他の構成及び作用効果に就いては、前記実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第4例]
本発明の実施の形態の第4例に就いて、図7〜8により説明する。本例の特徴は、上述した実施の形態の第2例の構造と第3例の構造とを組み合わせた点にある。即ち、本例の場合には、シールリング14eを構成するシール材18dのうち、堰部22dの軸方向外側面の径方向中間部に、軸方向外側に向けて突出した堰部リップ31を全周に亙り設けると共に、芯金17bの円輪部20bを構成する柱部27a、27aを、径方向外方に向かう程、軸方向外側に向かう方向に傾斜(10度程度傾斜)させている。
上述の様な構成を有する本例の場合には、前記堰部リップ31を設けた事による、異物の侵入防止効果と、前記各柱部27a、27aを軸方向に傾斜させた事による残留引っ張り応力の低減効果との両方の効果を得られる。
その他の構成を及び作用効果に就いては、前記実施の形態の第1例の場合と同様である。
本発明を実施する場合に、芯金を構成する円輪部に形成する切り欠きの数、形状、及び櫛歯状部分(柱部及び連結環)との比率(体積割合)等は、図示の構造に限定されず、組み合わせて使用されるシール材の弾性材の種類や、シールリングの使用環境等に応じて、適宜変更できる。例えば、切り欠きの形状を、正面視矩形状、正面視三角形状、正面視扇形状、又は正面視台形状等にする事ができる他、残留引っ張り応力の低減効果をより高める為に、図示の構造よりも、切り欠きの円周方向に関する幅寸法を大きくする(柱部の円周方向に関する幅寸法を小さくする)事等が可能である。
1 シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット
2 外輪
3 ハブ
4 転動体
5 静止側フランジ
6 外輪軌道
7 ハブ本体
8 内輪
9 ナット
10 内輪軌道
11 保持器
12 回転側フランジ
13 スタッド
14、14a〜14e シールリング
15 内部空間
16 カバー
17、17a、17b 芯金
18、18a〜18d シール材
19、19a 嵌合筒部
20、20a、20b 円輪部
21、21a 内径支持部
22、22a〜22d 堰部
23、23a 基部
24a〜24f シールリップ
25 厚肉部
26 切り欠き
27、27a 柱部
28 連結環
29 非接着部
30 接着部
31 堰部リップ

Claims (4)

  1. 外気に曝らされる環境下で、使用時に回転する内径側軌道輪部材の外周面と使用時にも回転しない外径側軌道輪部材の内周面との間に存在する内部空間の端部開口を塞ぐ為に使用されるものであり、
    芯金と、この芯金に加硫接着された弾性材製のシール材とを備え、
    このうちの芯金は、金属板製で全体を円環状とされたもので、前記外径側軌道輪部材の端部内周面に内嵌固定される円筒状の嵌合筒部と、この嵌合筒部の軸方向片端部から径方向外方に向けて折れ曲がり、その軸方向他側面を前記外径側軌道輪部材の端面に前記シール材の一部を介して突き当てられる円輪部と、前記嵌合筒部の軸方向他端部に連続する状態でこの嵌合筒部よりも径方向内方に設けられた内径支持部とを有するものであり、
    前記シール材は、前記円輪部を覆うと共に、その外周縁部が前記外径側軌道輪部材の端部外周面よりも径方向外方に突出する堰部と、前記内径支持部の軸方向片側面に支持された基部と、この基部から延出する状態で設けられ、その先端縁を前記内径側軌道輪部材の表面に全周に亙り摺接させる少なくとも1本のシールリップとを有するものである、シールリングであって、
    前記堰部は、前記円輪部の軸方向両側面及び外周縁部をそれぞれ覆っており、
    前記芯金を構成する円輪部のうち、軸方向に関して前記外径側軌道輪部材の端面の径方向外半部と重畳する部分に、この円輪部の外周縁側にのみ開口した放射状の切り欠きが、複数形成されている事を特徴とするシールリング。
  2. 前記堰部の軸方向片側面に、軸方向片側に向けて突出する堰部リップが設けられている、請求項1に記載したシールリング。
  3. 前記円輪部が、径方向外方に向かう程、軸方向片側に向かう方向に傾斜している、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したシールリング。
  4. 内周面に外輪軌道を有し、懸架装置に支持された状態で回転しない、外径側軌道輪部材である外輪と、外周面のうちでこの外輪軌道と対向する部分に内輪軌道を有し、この外輪と同心に配置された、内径側軌道輪部材であるハブと、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体と、このハブの外周面のうちで、前記外輪の軸方向外端開口部よりも軸方向外方に突出した部分に設けられた、前記ハブに対し車輪を支持固定する為のフランジと、前記外輪の内周面とこのハブの外周面との間に存在する内部空間の軸方向外端開口部を塞ぐシールリングとを備えた、
    シールリング付車輪支持用転がり軸受ユニットであって、
    前記シールリングが、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したシールリングである事を特徴とするシールリング付車輪支持用転がり軸受ユニット。
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