JP6252047B2 - 透過率異方性部材、透過率異方性部材の製造方法及び表示装置 - Google Patents

透過率異方性部材、透過率異方性部材の製造方法及び表示装置 Download PDF

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本発明は、入射角に依存して透過率が変化する透過率異方性部材、当該透過率異方性部材の製造方法、及び当該透過率異方性部材を備えた表示装置に関するものである。
従来、透光性樹脂フィルムの一方の面に透光性の金属薄膜を成膜してなるハーフミラーが知られている(例えば特許文献1)。このハーフミラーは、単純な構成により安価に作製され得ることが利点であるが、光学特性としては、透過率が低く且つ透過観察される被観察物が変色するといった不都合を有している。このため、このハーフミラーは、広い用途に展開して使用されるに至っていない。
国際公開第2006/022313号パンフレット
一方、本発明者は鋭意研究を重ねた結果として、微小突起によって形成された凹凸面上に金属薄膜を形成することにより、光の入射角に依存して透過率が変化する、いわゆる透過率異方性が発現されるといった、従来のハーフミラーから予測され得る範囲を超えた顕著な作用効果が奏されることを知見した。
さらに本発明者は、前記凹凸面を形成する微小突起の一部が、隣接する微小突起と付着してなる微小突起集合体を構成し、当該微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合及び当該微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の距離の平均が、所定の範囲内であると、透過率異方性が増大し、正面方向における光透過性にも優れることを知見した。
本発明は、このような知見に基づくものであり、光の入射角に依存して透過率が変化し、且つ正面方向における光透過性に優れる透過率異方性部材及び当該透過率異方性部材の製造方法、並びに、前記透過率異方性部材を備えた表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る透過率異方性部材は、300nm以下となる平均間隔dAVGで配列された微小突起と、互いに隣接する当該微小突起が付着してなる微小突起集合体と、によって形成された凹凸面を有し、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、25%より大きく且つ75%以下であり、前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが、200nm以上且つ可視光線帯域の最短波長以下である凹凸構造層と、
前記凹凸構造層の前記凹凸面側に設けられ、当該凹凸面の凹凸に追従した形状を有する、可視光透過性の金属薄膜と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る透過率異方性部材は、前記金属薄膜が、スパッタリング法により形成されたアルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも一種からなることが、正面方向における光透過性が良好でありながら、光の入射角に依存した透過率の変化が増大する点から好ましい
本発明に係る第一の表示装置は、
画像を表示する表示面を有する表示機構と、
前記表示機構の前記表示面側に配置された前記本発明に係る透過率異方性部材と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る第二の表示装置は、
前記本発明に係る透過率異方性部材と、
前記透過率異方性部材に画像光を投射する画像光源と、を備え、
前記画像光源は、前記透過率異方性部材の法線方向に対して傾斜した方向から当該透過率異方性部材に前記画像光を投射することを特徴とする。
本発明に係る透過率異方性部材の製造方法は、
300nm以下となる平均間隔dAVGで配列された微小突起と、互いに隣接する当該微小突起が付着してなる微小突起集合体と、によって形成された凹凸面を有し、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、25%より大きく且つ75%以下であり、前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが、200nm以上且つ可視光線帯域の最短波長以下である凹凸構造層を形成する工程と、
前記凹凸構造層の前記凹凸面側に、当該凹凸面の凹凸に追従して、可視光透過性の金属薄膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る透過率異方性部材の製造方法においては、前記金属薄膜が、スパッタリング法を用いて、アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも一種から形成されることが、正面方向における光透過性が良好でありながら、光の入射角に依存した透過率の変化が増大する透過率異方性部材が得られる点から好ましい
本発明によれば、光の入射角に依存して透過率が変化し、且つ正面方向における光透過性に優れる透過率異方性部材及び当該透過率異方性部材の製造方法、並びに、前記透過率異方性部材を備えた表示装置を提供することができる。
本発明に係る透過率異方性部材の一例を模式的に示す断面図である。 ドロネー図の一例を模式的に示す図である。 微小突起集合体が形成される前の凹凸構造層の一例を示す断面図である。 凹凸構造層の各微小突起の形成方法の一例を示す概略図である。 本発明に係る透過率異方性部材を備えた第一の表示装置の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明に係る透過率異方性部材を備えた第二の表示装置の一例を説明するための模式図である。 実施例1で得られた透過率異方性部材において、5°から75°までの5°きざみの各入射角度で透過率異方性部材に入射する光についての透過率のスペクトル分布を示すグラフである。 比較例4の部材(従来のハーフミラー)において、5°から75°までの5°きざみの各入射角度で部材に入射する光についての透過率のスペクトル分布を示すグラフである。
なお、本明細書において「部材」は、「板」、「シート」、「フィルム」等の態様を含む概念であり、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
また、「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状部材(板状部材、シート状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本発明に係る透過率異方性部材は、300nm以下となる平均間隔dAVGで配列された微小突起と、互いに隣接する当該微小突起が付着してなる微小突起集合体と、によって形成された凹凸面を有し、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、25%より大きく且つ75%以下であり、前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが、200nm以上且つ可視光線帯域の最短波長以下である凹凸構造層と、
前記凹凸構造層の前記凹凸面側に設けられ、当該凹凸面の凹凸に追従した形状を有する、可視光透過性の金属薄膜と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る透過率異方性部材の製造方法は、300nm以下となる平均間隔dAVGで配列された微小突起と、互いに隣接する当該微小突起が付着してなる微小突起集合体と、によって形成された凹凸面を有し、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、25%より大きく且つ75%以下であり、前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが、200nm以上且つ可視光線帯域の最短波長以下である凹凸構造層を形成する工程と、
前記凹凸構造層の前記凹凸面側に、当該凹凸面の凹凸に追従して、可視光透過性の金属薄膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る透過率異方性部材が有する前記凹凸構造層の凹凸面は、前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起の平均間隔d’AVGが可視光線帯域の最短波長以下であるため、いわゆるモスアイ構造体として反射防止機能を有する。そして、当該凹凸面の凹凸に追従した形状を有する金属薄膜も当該凹凸面に起因した凹凸面を有する。このため、金属薄膜によって形成される透過率異方性部材の凹凸面においても、凹凸構造層の凹凸面と略同一の構成を有することにより、本発明に係る透過率異方性部材は反射防止機能を発揮することができる。
さらに本発明者は、上記特定の微小突起と微小突起集合体により形成された凹凸構造層の凹凸面の凹凸に追従した形状を有する金属薄膜の凹凸面が、光の入射角に依存して透過率が変化する性質(以下において「透過率異方性」とも呼ぶ)に優れ、正面方向における光透過性にも優れることを見出した。
本発明に係る透過率異方性部材が優れた透過率異方性を発揮する作用は、明らかではないが、凹凸面の凹凸に追従されてなる可視光透過性金属薄膜によって、モスアイ構造体の反射防止機能が、傾斜した方向からの入射光よりも正面方向からの入射光に対して効果的に発揮されることに連動しているものと推定される。凹凸面に金属薄膜を設けると、正面方向においては、反射防止効果によって優れた光透過性が維持され、透過率の変化はほとんどないが、一方で、傾斜した方向においては、凹凸構造層における光路長が長くなったり、金属薄膜の影響をより大きく受けて、散乱する特性を有するようになり、透過率の低下が顕著になると考えられる。これにより、光の入射角に依存して透過率が変化する透過率異方性が発現されると推定される。
本発明者は、さらに、前記凹凸面を形成する微小突起の一部が、隣接する微小突起と付着してなる微小突起集合体を構成し、当該微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合、及び当該微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の距離の平均d’AVGが上記特定の範囲内であることにより、透過率異方性が増大することを見出した。これは、微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合及び前記d’AVGが上記特定の範囲内であると、傾斜した方向の凹凸構造層における光路長の変化の影響がより大きくなって散乱する特性が顕著になり、角度に依存した反射防止効果の差による透過率異方性がより一層顕著になるためであると考えられる。
また、本発明に係る透過率異方性部材は、微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が上記特定の範囲内であることにより、微小突起集合体の径が適度な大きさとなり易く、微小突起集合体の径が大きくなりすぎることによる正面方向における光の散乱を防止するため、正面方向における光透過性に優れると推定される。
また、本発明者は、本発明に係る透過率異方性部材が、外光の映り込みを防止する防眩効果も奏することを見出した。
本発明に係る透過率異方性部材が外光の映り込みを防止する作用は明らかではないが、相対的に微小突起よりも大きな塊となっている微小突起集合体が、微小突起中に存在し、その凹凸によって外光を散乱することが可能になるため、外光の映り込みが防止されると推定される。
本発明に係る透過率異方性部材は、隣接する微小突起を付着させて微小突起集合体を特定条件下で形成することにより、付着させる前には透過率異方性を示せないような微小突起であっても、透過率異方性を付与でき、且つ防眩効果をも付与できる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1に示す透過率異方性部材10は、微小突起22と、互いに隣接する微小突起22が付着してなる微小突起集合体24と、によって形成された凹凸面21を有する凹凸構造層20と、凹凸構造層20の凹凸面21側に設けられた金属薄膜30と、を有している。凹凸面21側に設けられた金属薄膜30は、凹凸面21の凹凸に追従して凹凸面11を形成する。また、図1に示すように透過率異方性部材10は、透明基材15をさらに有していてもよい。透明基材15は、凹凸構造層20及び金属薄膜30を支持している。
ここで説明する透過率異方性部材10は、光の入射角度に依存して、より厳密には、透過率異方性部材10のフィルム面への法線方向nd(以下において単に「法線方向nd」とも呼ぶ)となす角に依存して、当該光の透過率が大きく変動するといった特徴を有している。すなわち、透過率異方性部材10の透過率は、角度依存性を顕著に呈する。より具体的には、正面方向(法線方向nd)およびその近傍方向に沿って進む光、すなわち透過率異方性部材10の法線方向およびその近傍方向に沿って進む光は、高い透過率で透過率異方性部材10を透過することができる。その一方で、正面方向から大きく傾斜した方向に沿って進む光の透過率は、正面方向およびその近傍方向に沿って進む光の透過率に対し、著しく低下する。
また他の特徴として、ここで説明する透過率異方性部材10は、正面方向において優れた色再現性を呈するようになる。背景技術で説明した透光性樹脂フィルムの一方の面に透光性の金属薄膜を成膜してなるハーフミラーは、金属色を示し、さらには、金属光沢を持つようになる。加えて、このような従来のハーフミラーでは、長波長域の光の透過率が、短波長域の光の透過率に対して10〜20%程度も低下してしまうといった傾向を呈する。このため、従来のハーフミラー越しに観察した像は、もはや、現物とは異なる色でしか観察され得なくなっていた。その一方で、ここで説明する透過率異方性部材10は、正面方向において金属色を示すことなく無色であり、且つ、透過率の可視光線帯域内でのスペクトル分布におけるバラツキが低減されている。このため。透過率異方性部材10越しに、本来の色と同様の色合いにて、像を観察することが可能となる。
以下、透過率異方性部材10の各構成について説明する。
<透明基材>
透過率異方性部材10は、支持体として透明基材15を含んでいてもよい。透明基材15としては、光学フィルムに用いられる公知の透明基材を適宜選択して用いることができ、特に限定されない。透明基材15に用いられる材料としては、例えば、透明樹脂が挙げられる。透明樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマ一等を挙げることができる。また、透明基材15に用いられる材料としては、例えばソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石等の各種透明無機材料等も挙げられる。
透明基材15は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JISK7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
透明基材15の厚みは、透過率異方性部材10の用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、通常20〜5000μmであり、透明基材15は、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよい。
透明基材15の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
また、透明基材15と凹凸構造層20とが別の材料から形成される場合には、透明基材15と凹凸構造層20との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性を向上させるためのプライマー層を透明基材15上に形成してもよい。このプライマー層は、透明基材15および凹凸構造層20との双方に密着性を有し、可視光学的に透明であることが好ましい。
プライマー層の材料としては、例えば、フッ素系コーティング剤及びシランカップリング剤等から適宜選択して使用することができる。フッ素系コーティング剤の市販品としては、例えば、フロロテクノロジー製のフロロサーフ FG−5010Z130等が挙げられ、前記シランカップリング剤の市販品としては、例えば、ハーベス製のデュラサーフプライマーDS−PC−3B等が挙げられる。
<凹凸構造層>
凹凸構造層20は、微小突起22と、互いに隣接する微小突起22が付着してなる微小突起集合体24と、によって形成された凹凸面21を有している。微小突起22間の平均間隔dAVGは、300nm以下であり、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGは、200nm以上且つ可視光線帯域の最短波長以下である。ここで、微小突起22及び微小突起集合体24の「微小」とは、可視光線帯域の最短波長以下の平均間隔dAVG及びd’AVGで配列される程度に微小であることを意味している。また、可視光線帯域の最短波長は、透過率異方性部材10が使用される環境下における可視光線帯域の最短波長を指している。したがって、透過率異方性部材10が使用される環境下に制限された光源からの光のみが存在する場合には、当該光源から射出される可視光の最短波長が、ここでいう可視光線帯域の最短波長となり、それ以外の場合には、一般的な可視光線帯域の最短波長として380nmを、ここでいう可視光線帯域の最短波長として採用する。
微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合における、凹凸面21を構成する各微小突起は、凹凸構造層20において植立するように形成され、その形状は、特に限定されないが、中でも、反射防止機能の観点から、当該微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造、すなわち各微小突起が先細りとなる構造を有するものが好ましい。このような微小突起の形状の具体例としては、半円状、半楕円状、三角形状、放物線状、釣鐘状等の垂直断面形状を有するものが挙げられる。複数ある微小突起は、同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。
図1に示すように、凹凸構造層20が有する凹凸面21側には後に詳述する金属薄膜30が形成される。金属薄膜30によって形成される透過率異方性部材10の一方の表面は、微小突起22と、微小突起集合体24とによって形成される凹凸面21の凹凸に追従した凹凸形状を有する凹凸面11となっている。このため、最終的な透過率異方性部材10をなす凹凸面11の凹凸形状は、微小突起集合体14も一つの微小突起と仮定したときの、微小突起間の平均間隔が、200nm以上且つ可視光線帯域の最短波長以下となる。
凹凸構造層20の厚みは、特に限定されないが、一例として10〜300μmとすることができる。なお、この場合の凹凸構造層20の厚みとは、図1に示すように、凹凸構造層20の凹凸面21とは反対側(図1では透明基材15側)の界面から、当該凹凸構造層20の凹凸面21をなす微小突起22又は微小突起集合体24の頂部23までの透過率異方性部材10のフィルム面への法線方向ndに沿った高さt1を意味する。
凹凸構造層20は、樹脂を含有してなる層とすることができ、更に、樹脂組成物の硬化物からなる層とすることができる。凹凸構造層20の形成に用いられる樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。凹凸構造層20の形成に用いられる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂を使用することができる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
凹凸構造層20の形成に用いられる樹脂としては、微小突起22の成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましい。電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、重合開始剤によって硬化されるものである。なお、非反応性重合体を含有してもよい。
中でも、凹凸構造層20の形成に用いられる樹脂組成物としては、互いに隣接する微小突起22が付着しやすく、後述する微小突起集合体24が作製されやすい点からは、硬化後の25℃における貯蔵弾性率(E’)が200MPa以下であり、且つ、硬化後の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.2以下である樹脂組成物が好ましい。このような樹脂組成物を用いると、作製される微小突起22は柔軟性に優れ、動きやすくなるため、互いに隣接する微小突起22同士を付着させることが容易になるからである。
また、前記貯蔵弾性率(E’)は、1〜200MPaであることがより好ましく、1〜100MPaであることが更により好ましい。前記tanδは、0.18以下であることがより好ましい。
本発明において貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)は、JIS K7244に準拠して、以下の方法により測定される。
まず、2000mJ/cmのエネルギーの紫外線を1分以上照射することにより、凹凸構造層形成用の樹脂組成物を十分に硬化させて、透明基材及び凹凸面を有しない、厚さ1mm、幅5mm、長さ30mmの平坦な単膜とする。
次いで、25℃下、上記樹脂組成物の硬化物の長さ方向に10Hzで25gの周期的外力を加え、動的粘弾性を測定することにより、25℃における、E’、E”が求められる。測定装置としては、例えば、UBM製 Rheogel E400を用いることができる。
硬化後の25℃における貯蔵弾性率(E’)が200MPa以下であり、且つ、硬化後の25℃における貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(tanδ(=E”/E’))が0.2以下である樹脂組成物としては、特に限定されず、例えば、熱硬化性成分及び/又は光硬化性成分を含み、硬化後に上記物性が得られるものが用いられる。
中でも、光硬化性成分を含む光硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
上記光硬化性成分としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含む組成物であることが好ましく、(メタ)アクリレートを含む組成物であることがより好ましい。
光硬化性樹脂組成物は、少なくとも上記光硬化性成分を含有していればよく、必要に応じて、更に他の成分を含有してもよい。
また、上記樹脂組成物は、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起22が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましい。
以下、光硬化性成分として好ましく用いられる(メタ)アクリレートを含む組成物中の各成分について順に説明する。
(1)(メタ)アクリレート
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。
中でも、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起22が柔軟性に優れる点から、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ビフェニロキシエチルアクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましく、中でも、炭素数12以上であることがより好ましく、トリデシル(メタ)アクリレート、及びドデシル(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。これらの単官能(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートを用いる場合、後述する炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物の特性を兼ね備える。
単官能(メタ)アクリレートの含有量は、光硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
また、多官能アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、微小突起が柔軟性に優れる点から、アルキレンオキサイドを含む多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレートを用いることがより好ましく、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及び、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが更により好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、光硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、10〜95質量%であることが好ましく、15〜80質量%であることがより好ましい。
(2)炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物
本発明において凹凸構造層20の形成に用いられる樹脂組成物は、硬化物表面の親油性が向上し、微小突起が柔軟性に優れる点から、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することが好ましく、炭素数12以上の長鎖アルキル基を有する化合物を含有することがより好ましい。
炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物の具体例としては、例えば、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンを有する化合物等が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない限り、更に置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、スルホ基の他、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和二重結合を有する基等が挙げられる。中でも、光硬化性を備える点から、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましい。
なお、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物が(メタ)アクリロイル基を有する場合、当該化合物は、前記(メタ)アクリレートにも該当し得る。
炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する化合物を用いる場合、当該化合物の含有量は、光硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
本発明において凹凸構造層20の形成に好ましく用いられる光硬化性樹脂組成物は、硬化物を親油性に調整しやすく、柔軟性に優れる点から、少なくとも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートと、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレートとを含有することが特に好ましい。中でも、炭素数10以上の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートの含有割合が、エチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、5〜30質量部であることが好ましく、10〜15質量部であることがより好ましい。
(3)光重合開始剤
上記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤の含有量は、通常、光硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0.8〜20質量%であり、0.9〜10質量%であることが好ましい。
本発明において凹凸構造層20の形成に用いられる樹脂組成物は、塗工性などを付与する点から適宜溶剤を用いてもよい。また、凹凸構造層20の形成に用いられる樹脂組成物は、さらに必要に応じて、界面活性剤、離型剤、光増感剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、粘度調整剤、シランカップリング剤等を含有することもできる。
[凹凸面]
凹凸構造層20の凹凸面21は、300nm以下となる平均間隔dAVGで配列された微小突起22と、互いに隣接する当該微小突起22が付着してなる微小突起集合体24と、によって形成され、前記微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の割合が、前記微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数と前記微小突起集合体24を構成しない微小突起22の個数を合わせた全個数に対して、25%より大きく且つ75%以下であり、前記微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが、200nm以上且つ可視光線帯域の最短波長以下である。
凹凸面21は、前記微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが、可視光線帯域の最短波長以下であることにより、いわゆるモスアイ構造体として、優れた反射防止機能を有する。ここで、凹凸構造層20の凹凸面21側に設けられる金属薄膜30は、凹凸面21の凹凸に追従した形状を有する薄膜であるため、金属薄膜30によって形成される凹凸面11も、凹凸構造層20の凹凸面21と略同一の構成を有する。その結果、透過率異方性部材10の金属薄膜30により形成される凹凸面11においても、その構成に起因して、凹凸構造層20の凹凸面21と同様の反射防止機能を発揮することができる。
また、本発明においては、凹凸構造層20の凹凸面21において、前記微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の割合、及び、当該微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起の平均間隔d’AVGが、各々上記特定の範囲内であることにより、凹凸面21と略同一の構成を有する金属薄膜30により形成される凹凸面11において、優れた透過率異方性が発揮され、正面方向における光透過性に優れる。
ここで、微小突起集合体24とは、互いに隣接する微小突起22の少なくとも一部が付着してなるものをいい、2個以上の微小突起22からなる。付着の程度は特に限定されず、微小突起22の側面の大部分が図1に示すように付着して一体化したものであってもよいし、図示はしないが、先端部だけが互いに結合し、中が空洞化したものであってもよい。互いに隣接する微小突起22の先端部だけが互いに結合してなる微小突起集合体24は、下の方に空洞ができ、SEM等により観察される断面において微小突起が互いに付着した様子を確認することができる。
透過率異方性部材10が使用されている環境下に特に制限されることなく種々の波長域の光が存在する場合には、可視光波長帯域の最短波長Λminを380nmに設定することができる。
前記平均間隔dAVGに係る隣接する微小突起は、いわゆる隣り合う微小突起である。
また、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合においては、当該仮定した微小突起と微小突起集合体を構成しない微小突起との平均間隔d’AVGに係る隣接する微小突起が、いわゆる隣り合う微小突起である。隣り合う微小突起とは、凹凸構造層20の凹凸面21とは反対側(図1では透明基材15側)の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。凹凸構造層20では微小突起が密接して配置されることが好ましく、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。平均間隔d’AVGに係る隣接する微小突起は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
モスアイ構造による反射防止機能では、モスアイ構造体とこれに隣接する媒質との界面における有効屈折率を、厚み方向に連続的に変化させて反射防止を図るものであることから、モスアイ構造体の突起に関しては、突起の間隔等の一定の条件を満足することが必要である。例えば特開昭50−70040号公報、特許第4632589号公報等に開示のように、微小突起が一定周期で規則正しく配置されている場合、隣接する微小突起の間隔dは、突起配列の周期P(d=P)となる。これにより可視光線帯域の最長波長をλMAX、最短波長をλminとした場合、最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最小限の条件は、Λmin=λMAXであるため、P≦λMAXとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminであるため、P≦λminとなる。
同様にして、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起の平均間隔(以下、「隣接突起間距離の平均値」とも呼ぶ)d’AVGが、上述の条件を満足することが、凹凸構造層20に有効な反射防止機能を付与する観点において或る程度有効であり、且つ、入射光の入射角度に依存する透過率異方性を透過率異方性部材10に付与する観点においても或る程度有効であることが判った。具体的には、反射防止効果を発現する隣接突起間距離の条件は、d’AVG≦Λminとなる。最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最短限の条件は、Λmin=λMAXであるため、d’AVG≦λMAXとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminであるため、d’AVG≦λminとなる。そして、可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより有効に奏し得る好ましい条件は、d’AVG≦350nmであり、更に好ましい条件は、d’AVG≦300nmである。なお波長λMAX、λminは、観察条件、光の強度(輝度)、個人差等にも依存して多少幅を持ち得るが、標準的には、λMAX=780nm及びλmin=380nmとされる。
また、本発明においては、透過率異方性に優れる点から、平均間隔dAVGの下限値は、d’AVG≧200nmである。
微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起の平均間隔d’AVGは、より具体的には以下のように算定される。
(1)すなわち先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と呼ぶ)を検出する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法、AFMから得られた微小突起の高さデータの解析等、種々の手法を適用することができる。平均間隔d’AVGの算定においては、微小突起集合体24を一つの微小突起と仮定するため、一つの微小突起集合体24につき一つの極大点を検出し、微小突起集合体24を構成していない微小突起22においては、一つの微小突起22につき一つの極大点を検出する。突起の頂部に凹部が存在する微細構造、或いは、頂部が複数の峰に***している微細構造を有すること等により、複数の頂点を有する微小突起が含まれる場合は、麓(付け根)部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の極大点とする。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。ここでドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる三角形の集合体からなる網状図形である。各三角形は、ドロネー三角形と呼ばれ、各三角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。図2は、ドロネー図(白色の線分により表される図である)を平面視拡大写真の模式図と重ね合わせた図である。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(隣接突起間距離)の度数分布を求める。
(5)このようにして求めた微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの隣接突起間距離d’の度数分布から平均値(平均間隔)d’AVG及び標準偏差σを求める。
また、前記隣接突起間距離d’の標準偏差σは、特に限定されないが、透過率異方性に優れる点から100nm以下であることが好ましい。
同様の手法を適用して、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起の高さH’の平均値H’AVGを求めることができる。まず、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値H’AVG、標準偏差σを求める。突起高さH’のヒストグラムにおいて、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、或いは、頂部が複数の峰に***している微細構造を有すること等により、複数の頂点を有する微小突起が含まれる場合は、麓(付け根)部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。
微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起の高さH’の平均値H’AVGは、十分な反射防止効果を発現する為には、H’AVG≧0.2×λMAX=156nm(λMAX=780nmとして)であることが好ましい。前記微小突起の高さH’は、反射防止効果の観点から、通常50〜350nmである。
また、前記微小突起の高さH’の標準偏差σは、特に限定されないが、透過率異方性に優れる点から50nm以下であることが好ましい。
なお、微小突起の高さを測る際の基準位置は、突起付け根位置、すなわち隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でうねった凹凸形状を有する場合等は、(1)先ず、凹凸構造層20の凹凸面21とは反対側の面(又は透明基材15の表面若しくは裏面)から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が収束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを有し、且つ凹凸構造層20の凹凸面21とは反対側の面(又は透明基材15の表面若しくは裏面)と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微小突起の高さを算出する。
隣接する微小突起22の間の谷底の高さ自体が場所によって異なる場合、例えば図3に示すように、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、可視光線帯域の最長波長λMAX以上の周期D(すなわちD>λMAXである)でうねることもある。なお、図3の例では、図を簡略化して分かり易くするため凹凸面21を有する凹凸構造層20の代わりに、微小突起集合体24が形成される前の凹凸面21’を有する凹凸構造層20’によって示されている。該周期的なうねりは、透明基材15の表裏面に平行な平面(図3におけるXY平面)における1方向(例えばX方向)のみでこれと直交する方向(例えばY方向)には一定高さであっても良いし、或いは透明基材15の表裏面に平行な平面(図3におけるXY平面)における2方向(X方向及びY方向)共にうねりを有していても良い。D>λMAXを満たす周期Dでうねった凹凸面26が凹凸構造層20の凹凸面21に重畳することによって、当該凹凸面21で完全に反射防止し切れずに残った反射光を散乱させ、残留反射光、とくに鏡面反射光を更に視認し難くし、以って、透過率異方性部材10の正面方向からの透過視認性を一段と向上させることができる。
尚、係るうねりによる凹凸面26の周期Dが全面に渡って一定では無く分布を有する場合は、該凹凸面26について凸部間距離の度数分布を求め、その平均値をDAVG、標準偏差をΣとしたときの、
min=DAVG―2Σ
として定義する最小隣接突起間距離Dminを以って周期Dの代わりとして設計する。即ち、凹凸構造層20の凹凸面21の残留反射光の散乱効果を十分奏し得る条件は、
min>λMAX
である。通常、D又はDminは1〜200μm、好ましくは10〜100μmとされる。
また、透過率異方性部材10の良好な平滑性を確保するために、前記周期Dでうねった凹凸面26の高低差(図3中のh)は、10μm以下であることが好ましく、50nm〜2μmの範囲内であることがより好ましい。なお、前記凹凸面26により形成される凹凸面の高低差は、例えば500nm以上離れた微小突起22の谷底部の位置の高低差を測定することにより求めることができる。微小突起22の谷底部の位置は、透過率異方性部材10を、厚み方向に切断した垂直断面のTEM写真又はSEM写真を用いて観察することにより求めることができる。
微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定したときの微小突起のアスペクト比(平均突起高さH’AVG/平均隣接突起間距離d’AVG)は、特に限定されないが、反射防止機能、透過率異方性及び正面方向における光透過性の観点から、0.6〜2.5であることが好ましく、更に、0.8〜2.1であることが好ましい。
微小突起集合体24を構成しない微小突起22の平均間隔dAVG及び平均高さHAVGは、上記(2)の極大点の検出以外は、上記の平均間隔d’AVG及び平均高さH’AVGを求める手法と同様の手法により求めることができる。
微小突起集合体24を構成しない微小突起22の平均間隔dAVG及び平均高さHAVGを求める際の上記(2)の極大点の検出は、微小突起集合体24を構成しない微小突起22同士が隣接している部分を選択して行う。すなわち、微小突起集合体24を構成していない隣り合う微小突起22間において求められた隣接突起間距離dの度数分布から、平均間隔dAVG及び平均高さHAVG並びに各々の標準偏差σを求める。
なお、微小突起集合体24を構成しない微小突起22の度数分布の検出において、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に***している等の微細構造を有すること等により、複数の頂点を有する微小突起22がある場合は、上述した平均間隔d’AVGのときと同様に、最も高い頂点を極大点としてもよいし、複数の頂点をそれぞれ極大点として検出した後、求めた度数分布から、このような微細構造に起因するデータを除去し、突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を作成してもよい。
複数の頂点をそれぞれ極大点として検出して度数分布を検出する場合、具体的には、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、或いは、頂部が複数の峰に***している微細構造を有する微小突起が、このような微細構造を備えていない微小突起の場合の数値範囲から、隣接突起間距離が明らかに大きく異なることになるため、この特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば微小突起(群)の平面視の拡大写真から、5〜20個程度の互いに隣接する前記微細構造を有しない微小突起を選んで、その隣接突起間距離の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接突起間距離平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。
微小突起集合体24を構成しない微小突起22の平均間隔dAVGは、反射防止機能の観点から、本発明においてはdAVG≦300nmであるが、本発明の前述の効果がより効果的になる点から、好ましくはdAVG≦200nmである。また、前記平均間隔dAVGは、特に限定されないが、透過率異方性確保の観点から、dAVG≧50nmが好ましく、dAVG≧100nmがより好ましい。
また、前記微小突起22の間隔dの標準偏差σは、特に限定されないが、透過率異方性に優れる点から40nm以下であることが好ましい。
微小突起集合体24を構成しない微小突起22の平均高さHAVGは、十分な反射防止効果を発現する為には、HAVG≧0.2×λMAX=156nm(λMAX=780nmとして)であることが好ましい。前記微小突起22の高さHは、反射防止効果の観点から、通常50〜350nmである。
また、前記微小突起22の高さHの標準偏差σは、特に限定されないが、反射防止効果の観点から、35nm以下であることが好ましい。
微小突起集合体24を構成しない微小突起22のアスペクト比(平均突起高さHAVG/平均隣接突起間距離dAVG)は、特に限定されないが、反射防止機能、透過率異方性及び正面方向における光透過性の観点から、0.8〜2.5であることが好ましく、更に、0.8〜2.1であることが好ましい。
微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の割合は、前記微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数と前記微小突起集合体24を構成しない微小突起22の個数を合わせた全個数に対して、25%より大きく且つ75%以下である。本発明の透過率異方性部材10は、微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の割合が、前記下限値より大きいことにより、透過率異方性に優れ、前記上限値以下であることにより、正面方向における光透過性に優れる。また、微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の割合は、微小突起集合体24を構成する微小突起22の平均間隔により適宜選択されればよいが、25%〜50%以下であることがより好ましい。
一つの微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の平均は、当該微小突起22の大きさによってことなるが、通常2〜10個であり、2〜5個であることが好ましい。一つの微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数が多すぎることにより、微小突起集合体24が大きくなりすぎると、本発明の透過率異方性部材10を表示装置に適用した場合に、表示のコントラスト比を低下させるおそれがある。
上記微小突起集合体24の大きさは、特に限定されないが、凹凸面21を平面観察した場合に表される微小突起集合体24の径が、0.1〜1.0μmであることが好ましく、さらに当該径の平均が、0.2〜0.7μmであることが好ましく、0.2〜0.5μmであることがより好ましい。
微小突起集合体24の径及び当該径の平均が、前記下限値以上であることにより、透過率異方性及び防眩性が向上し、前記上限値以下であることにより、表示のコントラスト低下を防止することができる。
なお、本発明でいう「微小突起集合体24の径」とは、凹凸構造層20の凹凸面21又は当該凹凸面21に追従した形状を有する金属薄膜30の凹凸面11の表面を平面的に見たときに、微小突起集合体24の最も長い部分の幅をいう。
本発明の透過率異方性部材10は、中でも、防眩性を向上する点からは、径が0.4〜1.0μmの微小突起集合体24を含むことが好ましい。
また、前記微小突起集合体24の個数密度の平均は、優れた透過率異方性を発揮する点から、0.1〜50個/μmであることが好ましく、3〜30個/μmであることがより好ましい。
中でも、防眩性に特に優れる点からは、平面観察した場合の径が0.1μm以上、1.0μm未満の微小突起集合体24の個数密度が、3〜30個/μmであることが好ましい。
なお、上述の微小突起22の個数、微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数、微小突起集合体24の径、及び微小突起集合体24の個数密度は、それぞれ凹凸構造層20の凹凸面21又は当該凹凸21に追従した形状を有する金属薄膜30の凹凸面11のAFM又はSEMによる平面視拡大写真から求めることができる。平面視拡大写真は、例えば10,000〜50,000倍で撮影されたものを用いることができる。また、平均値を求める場合は、例えば3μm×2μmの大きさの平面視拡大写真を10枚撮影し、各写真から測定された測定値の平均を平均値とすることができる。
[凹凸構造層の形成方法]
凹凸構造層20を形成する方法は、特に限定されないが、成形性に優れ、且つ安定量産ができる点から、微小突起集合体24を作製する前の凹凸面21’を、賦形により形成する工程を有する方法が好ましい。
凹凸構造層20の形成方法としては、例えば以下の方法等が挙げられる。すなわち、まず透明基材15上に凹凸構造層20形成用の樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、所望の凹凸形状を有する凹凸面形成用原版の該凹凸形状を、前記樹脂組成物の塗膜に賦形した後、前記樹脂組成物を硬化させ、前記凹凸面形成用原版を剥離することにより凹凸面21’を作製し、凹凸面21’に賦形された微小突起22の一部を、互いに隣接する微小突起と付着させて、微小突起集合体24を作製する方法である。
或いは、柔軟性が高い樹脂組成物を用いたり、樹脂組成物を半硬化させることにより、硬化又は半硬化した樹脂組成物から凹凸面形成用原版を剥離する際に、隣接する微小突起22が自然に付着することを利用して、微小突起集合体24を作製することもできる。
なお、凹凸面形成用原版の凹凸形状とは、多数の微小孔が形成されたものであり、凹凸面21の微小突起集合体24を作製する前の凹凸面21’形状に対応する形状である。
また、凹凸面形成用原版の凹凸形状を樹脂組成物に賦形し、該樹脂組成物を硬化させる方法は、樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
前記凹凸面形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、耐変形性および耐摩耗性に優れている点から、金属製が好適に用いられる。
前記凹凸面形成用原版の凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記凹凸面形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
前記凹凸面形成用原版に凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微小孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微小孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微小孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
凹凸面形成用原版に凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微小孔をそれぞれ目的とする深さ及び形状に作製することができる。
また、前記凹凸面形成用原版の形状としては、例えば、平板状、ロール状等が挙げられ、特に限定されるものではないが、生産性向上の観点からは、ロール状が好ましい。本発明においては、前記凹凸面形成用原版として、ロール状の金型(以下、「ロール金型」と称する場合がある。)を用いることが好ましい。
前記ロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
図4に、凹凸構造層形成用の樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用い、凹凸面形成用原版としてロール金型を用いて、微小突起集合体24を作製する前の凹凸構造層20’を形成する方法の一例を示す。この形成方法では、まず、樹脂供給工程において、ダイ41により、帯状フィルム形態の透明基材15に、凹凸構造層20’となる受容層20”を構成する未硬化で液状の紫外線硬化性樹脂組成物を塗布する。尚、紫外線硬化性樹脂組成物の塗布については、ダイ41による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ43により、賦形用金型であるロール金型42の周側面に透明基材15を加圧押圧し、これにより透明基材15に未硬化の受容層20”を密着させると共に、ロール金型42の周側面に形成された微小な凹凸形状の凹部に受容層20”を構成する紫外線硬化性樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、これにより透明基材15の表面に微小突起集合体24を作製する前の凹凸面21’を有する凹凸構造層20’が形成される。続いて剥離ローラ44を介してロール金型42から、硬化した凹凸構造層20’と一体に透明基材15を剥離する。必要に応じてこの透明基材15に粘着層等を積層した後、所望の大きさに切断する。これにより、透明基材15の一方の面に微小突起集合体24を作製する前の凹凸面21’を有する凹凸構造層20’が形成された、本発明の透過率異方性部材の中間材料が効率良く大量生産される。
上述の実施形態では、ロール金型を使用した賦形処理により、フィルム形状の透明基材15上に、微小突起集合体24を作製する前の凹凸構造層20’を形成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、透明基材15の形状に応じて、賦形処理に係る工程、金型は適宜変更することができる。例えば、平板状又は特定の曲面形状の賦形用金型を使用した賦形処理等により、枚葉状の透明基材15上に前記凹凸構造層20’を形成することもできる。
微小突起22の一部を互いに隣接する微小突起と付着させ、微小突起集合体24を作製する方法としては、例えば、硬化させた凹凸構造層20’の凹凸面21’に、拭き作業を行う方法等が挙げられる。拭き作業は、例えば、水拭き又は乾拭きにより行うことができる。
中でも、水拭きを行うことで、微小突起22の先端が軟化し、水の表面張力により水が乾く際に、微小突起22の先端同士が互いに付着し、更に、拭き作業による圧力によって先端部が折れ曲がるため、容易に微小突起集合体24を作製することができる。
また、凹凸面21の表面を水拭きした後に、当該水拭き後の凹凸面21の表面を乾拭きする方法により、水拭き作業によって作製されすぎた微小突起集合体24の数を減らすことができるため、水拭き作業後と乾拭き作業とを組み合わせることで、より容易に微小突起集合体24の数を調節することができる。
或いは、微小突起集合体24は、凹凸構造層20’を硬化させる際の露光量及び/又は加熱温度を調整し、樹脂組成物完全に硬化させない程度に行う硬化処理、いわゆる半硬化処理を行うことにより作製することもできる。半硬化処理によって形成された微小突起22は、先端部が折れ曲がりやすくなるため、凹凸面形成用原版を剥離する際に、互いに隣接する微小突起22同士が容易に付着し、微小突起集合体24が作製される。微小突起22同士を付着させた後、樹脂組成物を完全に硬化させるために、更に光照射及び/又は加熱をしてもよい。
微小突起集合体24の大きさ及び個数密度は、凹凸構造層20形成用の樹脂組成物の組成、樹脂組成物を硬化する際の露光量及び/又は加熱温度、凹凸面21’に拭き作業を行う際の圧力、当該拭き作業を水拭きにより行った場合の水の量等を調整することにより、制御することができる。
<金属薄膜>
次に、金属薄膜30について説明する。上述したように、凹凸面21側に設けられた金属薄膜30は、凹凸面21の凹凸に追従した形状を有する。金属薄膜30の「薄膜」とは、金属薄膜30の表面上に凹凸面21の微小突起22に起因した凹凸が残存し、当該金属薄膜30の凹凸面11によっても反射防止効果が発現される程度に薄膜であることを意味している。
図1に示された金属薄膜30は、或る程度の均一な厚みにて、凹凸面21の凹凸に追従して形成されてなり、当該凹凸面21上に設けられている。このような形態によれば、金属薄膜30によって構成される透過率異方性部材10の凹凸面11は、凹凸構造層20の凹凸面21と同様の形状となり、当該凹凸面11は、凹凸構造層20の凹凸面21によって発現される反射防止効果と同様の作用効果を発揮することができる。すなわち、透過率異方性部材10の凹凸面11は、平均間隔200nm以上且つ可視光線帯域の最短波長以下で配列された微小突起によって形成された凹凸面であることが、透過率異方性及び反射防止性能の観点から好ましい。また、凹凸面11を形成している微小突起の高さも50〜350nmであることが、透過率異方性及び反射防止性能の観点から好ましい。
透過率異方性フィルム10が角度依存性を有した光透過性を示すようにする前提として、金属薄膜30は透過性を有している必要がある。金属薄膜30の透過率は特に限定されるものではないが、透過率異方性部材10を法線方向ndに透過する可視光帯域の光の透過率が、好ましくは90%以上となるように、より好ましくは95%以上となるように、金属薄膜30の透過率が設定されていることが好ましい。これにより、本発明の透過率異方性部材10は、正面方向における光透過性に優れ、透過率異方性に優れ、効果的に反射防止機能が発揮され、また、透過率異方性部材10での映り込みを抑えながら、透過率異方性部材10の正面方向における背面側の像を観察することが可能となる。
つまり、金属薄膜30自体の透過率は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上に設定される。
金属薄膜30は、単層であってもよいし、複数の層によって形成されていてもよい。金属薄膜30をなす金属材料は、特に限定されることなく、アルミニウム、銀、銅、金、および、これらの合金等を用いることができる。金属薄膜30を形成する方法は、特に限定されることなく、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、CVD法等の気相法(ドライプロセス) 、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサ印刷法、スリットコート法、ダイコート法、ドクターブレードコート法、ワイヤーバーコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の溶液塗布法(ウェットプロセス) が挙げられる。さらに、金属薄膜30の厚みは、特に限定されることなく、上述した透過率を確保し得るように設定され得る。
中でも、透過率異方性、正面方向における光透過性及び反射防止機能が向上する点から、金属薄膜30は、アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも一種をスパッタリング法で凹凸構造層20の凹凸面21上に成膜することにより形成された膜であることが好ましい。
また、金属薄膜30は、凹凸構造層20の凹凸面21を平坦面にして当該平坦面上にスパッタリング法により金属薄膜30を形成したと仮定した場合に、厚さ5〜30nm、好ましくは厚さ5〜20nmの金属薄膜が形成される量のアルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも一種からなる膜であることが好ましい。すなわち、金属薄膜30をなすアルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも一種は、凹凸面21上の領域と平面視において同面積となる平坦面に成膜した場合に、厚さが5〜30nm、好ましくは5〜20nmとなる量であることが好ましい。さらに言い換えると、金属薄膜30は、平面視において同面積となる平坦面に成膜した場合に、5〜30nm、好ましくは5〜20nmとなる厚さの膜が形成される条件でのスパッタリング法にて成膜されたアルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも一種からなる膜であることが好ましい。
金属薄膜30の厚みが前記下限値以上であることにより、本発明の透過率異方性部材10は、透過率異方性に優れたものとなる。また、金属薄膜30の厚みが前記上限値以下であることにより、本発明の透過率異方性部材10は、正面方向における光透過性及び反射防止機能に優れ、さらに、透過率異方性部材10での映り込みを抑えながら、透過率異方性部材10の正面方向における背面側の像を観察することが可能となり、また、金属薄膜30に起因した金属光沢が低減されるため、透過率異方性部材10の正面方向における背面側の像を、変色させることなく、明瞭に観察することが可能となる。
<透過率異方性部材の用途>
次に、以上のような構成及び特性を有した本発明に係る透過率異方性部材の用途の一例について説明する。
[第一の表示装置]
本発明に係る第一の表示装置は、画像を表示する表示面を有する表示機構と、前記表示機構の前記表示面側に配置された前記本発明に係る透過率異方性部材と、を備えるものである。
図5には、本発明に係る第一の表示装置の一例として、本発明に係る透過率異方性部材10を組み込んだ表示装置50が開示されている。表示装置50は、表示面52を有した表示機構51と、透過率異方性部材10と、を備える。透過率異方性部材10は、表示機構51の表示面52側に表示面52を覆うように配置されている。表示機構51としては、液晶表示パネル、エレクトロルミネッセンス表示パネル、プラズマディスプレイパネル等の既知の表示機構を用いることができる。
使用者は、透過率異方性部材10越しに、表示機構51の表示面52に表示される画像を観察する。上述したように、透過率異方性部材10は、光の入射角度に依存して、当該光の透過率が大きく変動するといった特徴を有している。より具体的には、正面方向(透過率異方性部材10の法線方向nd)及びその近傍方向に沿って進む光は、高い透過率で透過率異方性部材10を透過することができるが、その一方で、正面方向(法線方向nd)から大きく傾斜した方向に沿って進む光の透過率は、正面方向およびその近傍方向に沿って進む光の透過率に対し、著しく低下する。とりわけ、入射角度が一定の値、例えば60°を超えると、透過率異方性部材10の透過率が急激に低下し得る。したがって、透過率異方性部材10が覗き見防止機能を発揮するようになる。
例えば、表示装置50が、携帯電話等の携帯端末用表示装置である場合には、表示機構51の表示面52に表示される画像を、表示面52の法線方向に位置する使用者のみが明瞭に観察することができ、広角度から表示面52を覗き込む者が表示面52に表示された画像を観察することを防止することができる。すなわち、透過率異方性部材10は、表示機構51の視野角を制御する視野角制御シートとして機能する。
この点について、例えば特開2006−189867号公報には、互いに平行となるように配列された直線状のブラックストライプからなるフィルタが開示されている。このフィルタも、いわゆるルーバーとして機能し、覗き見防止機能を発揮することができる。しかしながら、特開2006−189867号公報に開示されたタイプのルーバーでは、正面方向からブラックストライプの配列方向に傾斜した方向からの観察に対してのみ、覗き見防止機能を発揮する。そして、正面方向からブラックストライプの長手方向に傾斜した方向からの観察に対して、覗き見防止機能を何ら発揮しない。また、特開2006−189867号公報に開示されたブラックストライプは、黒色顔料を含有する樹脂硬化物からなり、高精細化が困難である。このため、表示機構の画素配列とブラックストライプの配列とに起因したモアレの発生を防止することができないこともあった。
この点について、本発明の透過率異方性部材10によれば、正面方向(法線方向nd)からいずれの方向に傾斜した方向からの覗き見も効果的に防止することが可能となる。また、凹凸構造層20の凹凸面21をなす微小突起22の平均間隔dAVGが可視光線帯域の最短波長以下まで短くなっているので、微小突起22の配列と表示機構51の画素配列とに起因したモアレの発生を極めて効果的に防止することができる。これらの点において、ここで説明した透過率異方性部材10は、従来のルーバーと比較して、異質または極めて顕著な作用効果を奏することができる。
なお、上述したように、ここで説明する透過率異方性部材10は、正面方向において金属色を示すことなく無色であり、且つ、可視光域内での透過率のスペクトル分布におけるバラツキが少なくなる。このため、表示機構51の表示面52に表示される画像を、正面方向において色味の変化を来すことなく、優れた覗き見防止機能を有した透過率異方性部材10越しに観察することができる。
[第二の表示装置]
本発明に係る第二の表示装置は、前記本発明に係る透過率異方性部材と、前記透過率異方性部材に画像光を投射する画像光源と、を備え、前記画像光源が、前記透過率異方性部材の法線方向に対して傾斜した方向から当該透過率異方性部材に前記画像光を投射するものである。
図6には、本発明に係る第二の表示装置の一例として、本発明に係る透過率異方性部材10と、当該透過率異方性部材10に画像光を投射する画像光源61とを備えた表示装置60が開示されている。上述したように、透過率異方性部材10は、正面方向(法線方向nd)に対して大きく傾斜した方向から入射する光を、高い反射率で選択的に反射することができる。したがって、画像光源61からの画像光が透過率異方性部材10にて高い反射率で反射するように配置された画像光源61および透過率異方性部材10によって、特定の角度域からのみ画像を明瞭に観察することができる表示装置60を構成することができる。
このような表示装置60として、図6に示すように、プレゼンターを例示することができる。図6に示された表示装置60の透過率異方性部材10には、画像光源61からの画像光が大きな入射角度で入射するようになっている。このため、画像光の大部分は、透過率異方性部材10を透過することなく透過率異方性部材10で反射され、特定の人物、例えば、透過率異方性部材10を見下ろす位置にいる講演者P1のみが画像を観察することができる。一方、講演者P1に対面する位置にいる聴講者P2は、画像光源61からの画像光を目に入れることはない。さらには、聴講者P2は、透過率異方性部材10に概ね正対する位置にいるので、透過率異方性部材10を透明なフィルムとして認識することになる。
このような表示装置60の他の例として、ヘッドアップディスプレイを挙げることができる。ヘッドアップディスプレイの使用者は、透過率異方性部材10を介して、透過率異方性部材10の正面方向における背面側の像(景色)を観察することができるとともに、画像光源61によって特定の方向から透過率異方性部材10に投射され且つ当該透過率異方性部材10で選択的に反射される画像光からなる画像を視認することもできる。
[その他の用途]
ここで説明した透過率異方性部材10は、上記の用途に限定されることなく、その他の種々の用途に利用され得る。透過率異方性部材10は、視野角制御フィルムとして好適に用いられ、表示用途以外にも各種プライバシーフィルムとして好適に用いられる。更に、例えば、透過率異方性部材10を備えた部分において選択的に光が反射されるガラス装飾フィルム、マーキングフィルム等として透過率異方性部材10を使用することができる。
[変形例]
上述した実施の形態において、透過率異方性部材10が、一方の面側のみに、凹凸構造層20の凹凸面21を有し且つ当該凹凸面21側に金属薄膜30が形成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、一方の面側および他方の面側の両側に凹凸構造層20の凹凸面21を有し、且つ、両方の凹凸面21に金属薄膜30が形成されていてもよい。
或いは、本発明の透過率異方性部材10は、一方の面側および他方の面側の両側に凹凸構造層20の凹凸面21を有し、且つ、片方の凹凸面21のみに金属薄膜30が形成されていてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、透過率異方性部材10が、透明基材15と、凹凸構造層20と、金属薄膜30と、からなる例を示したが、本発明はこれに限らず、透明基材15が省かれてもよいし、本発明の効果が失われない範囲においてさらに他の層が追加されてもよい。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
[実施例1]
(凹凸面形成用原版の作製)
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、その表面が、十点平均粗さRz30nm、且つ周期1μmの凹凸形状となるように研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、印加電圧40V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微細な凹凸形状が形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、凹凸面形成用原版を得た。
(凹凸構造層形成用樹脂組成物の調製)
EO変性ビスフェノールAジアクリレート55質量部、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート35質量部、トリデシルアクリレート5質量部、ドデシルアクリレート5質量部、及び、光開始剤としてルシリン(商品名;TPO社製)1重量部を酢酸エチル200重量部に溶解させ、凹凸構造層形成用の活性エネルギー線硬化性組成物(紫外線硬化型樹脂組成物)を得た。
(凹凸構造層の形成)
得られた紫外線硬化型樹脂組成物を、上記凹凸面形成用原版の表面を覆うようにして、厚さ20μmとなるように塗布、充填し、その上に透明基材15として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製、品番:TD80UL)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cmの加重で圧着した。凹凸面形成用原版全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、フィルム側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させた。当該樹脂組成物の硬化物を透明基材15とともに、凹凸面形成用原版より剥離した。形成された微小突起の平均間隔dAVGは100nmであり、平均高さHAVGは180nmであった。凹凸面形成用原版を剥離後、凹凸面に水を噴きかけワイプ(商品名:ザヴィーナ ミニマックス、KBセーレン製)で2回全体的に拭いて水拭きをすることにより、凹凸構造層20を形成した。
得られた凹凸構造層20の凹凸面21のSEM写真(倍率3万倍、大きさ3μm×2μmの平面視拡大写真)を観察したところ、微小突起22の一部が互いに隣接する微小突起22同士で付着した微小突起集合体24を構成していることが明らかにされた。上記SEM写真を観察して求めたところ、微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の割合は、微小突起集合体24が作製される前の微小突起22の全個数に対して50%であった。また、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合における微小突起の平均間隔d’AVGは200nmであり、平均高さH’AVGは180nmであった。
(金属薄膜の形成)
次いで、凹凸構造層20の凹凸面21上に、スパッタリング法により、アルミニウムを成膜し、金属薄膜30を形成することにより、実施例1の透過率異方性部材10を作製した。なお、金属薄膜30の形成に用いたアルミニウムの量は、前記凹凸構造層20の前記凹凸面21上の領域と平面視において同面積となる平坦面に成膜した場合に、厚さ10nmの金属薄膜が形成される量とした。
(透過率の測定)
実施例1で得られた透過率異方性部材10において、金属薄膜30側の表面に対し、法線方向からの傾斜角度が5°から75°までの5°きざみの入射角度で可視光を入射させた場合における透過率を測定した。測定結果を図7に示す。なお、透過率の測定は、日本分光製のV−600(絶対反射率測定システム)を用い行った。
[実施例2]
凹凸構造層20の微小突起集合体24を作製する際に、紫外線照射量を2000mJ/cmから1500mJ/cmに変更し、凹凸面形成用原版剥離後の水拭きの後に、再度2000mJ/cmの紫外線を露光させることで、樹脂組成物を硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の透過率異方性部材10を得た。
実施例1と同様にSEM観察を行ったところ、実施例2で得られた透過率異方性部材10は、微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の割合が、微小突起集合体24が作製される前の微小突起22の全個数に対して70%であり、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合における微小突起の平均間隔d’AVGは、300nmであり、平均高さH’AVGは180nmであった。
[実施例3]
凹凸面形成用原版の作製において陽極酸化における所定の時間を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の透過率異方性部材10を得た。実施例3において、微小突起集合体24が作製される前の微小突起の平均間隔dAVGは150nmであり、平均高さHAVGは280nmであった。
実施例3で得られた透過率異方性部材10は、微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の割合が、微小突起集合体24が作製される前の微小突起22の全個数に対して30%であり、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合における微小突起の平均間隔d’AVGは、250nmであり、平均高さH’AVGは280nmであった。
[実施例4]
紫外線照射量を2000mJ/cmから1500mJ/cmに変更し、凹凸面形成用原版剥離後の水拭きの後に、再度2000mJ/cmの紫外線を露光させることで、樹脂組成物を硬化させたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例4の透過率異方性部材10を得た。
実施例4で得られた透過率異方性部材10は、微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の割合が、微小突起集合体24が作製される前の微小突起22の全個数に対して75%であり、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合における微小突起の平均間隔d’AVGは、350nmであり、平均高さH’AVGは280nmであった。
[比較例1]
実施例1の凹凸構造層20の形成において、凹凸面の水拭きをしなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の部材を作製した。
比較例1で得られた部材は、微小突起集合体24を作製する前の凹凸構造層20’に相当し、微小突起22の平均間隔dAVGは100nmであり、平均高さHAVGは180nmであった。
[比較例2]
凹凸構造層20の微小突起集合体24を作製する際に紫外線照射量を2000mJ/cmから4000mJ/cmに変更し、硬化後の樹脂組成物の柔軟性を低下させたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の部材を得た。
比較例2で得られた部材は、微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の割合が、前記微小突起22の全個数に対して25%であり、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合における微小突起の平均間隔d’AVGは、150nmであり、平均高さH’AVGは180nmであった。
[比較例3]
凹凸構造層20の微小突起集合体24を作製する際に、紫外線照射量を2000mJ/cmから1000mJ/cmに変更し、凹凸面の水拭きをする回数を10回に増やし、水拭きの後に、再度2000mJ/cmの紫外線を露光させることで、樹脂組成物を硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の部材を得た。
比較例3で得られた部材は、微小突起集合体24を構成する微小突起22の個数の割合が、前記微小突起22の全個数に対して80%であり、微小突起集合体24も一つの微小突起と仮定した場合における微小突起の平均間隔d’AVGは、350nmであり、平均高さH’AVGは180nmであった。
[比較例4]
スパッタ装置SX−200を用いて作製した従来のハーフミラーを比較例4の部材とした。比較例4の部材(ハーフミラー)は、平坦な表面に、厚さ10nmの金属薄膜を有するものであった。
比較例4の部材において、実施例1と同様に、5°から75°までの5°きざみの入射角度で可視光を入射させた場合における透過率を測定した。測定結果を図8に示す。
(評価)
各実施例及び各比較例で得られた部材について、下記の評価を行った。評価結果をそれぞれ表1に示す。
(1)覗き見防止効果
各実施例及び各比較例で得られた部材を、金属薄膜側が表面となるようにして、文字が表示された表示装置の表示面上に配置した。次いで、部材の法線方向に対し60°の傾斜角の方向から、表示面を目視で観察し、以下の評価基準により、覗き見防止効果を評価した。評価結果を表1に示す。
◎:表示面上の部材が白濁することにより、表示面の文字を全く判読できない。
○:表示面上の部材が白濁することにより、表示面の文字をほとんど判読できない。
△:表示面上の部材がほとんど白濁せず、表示面の文字を判読できる。
×:表示面上の部材が白濁せず、表示面の文字を良好に判読できる。
(2)透過率異方性及び正面の光透過性の評価
各実施例及び各比較例で得られた部材において、金属薄膜側の面に対し、法線方向から可視光を入射させた場合における透過率と、法線方向に対して60°の入射角度で可視光を入射させた場合における透過率をそれぞれ測定し、以下の評価基準に基づいて、透過率異方性及び正面の光透過性を評価した。評価結果を表1に示す。なお、透過率の測定は、日本分光製のV−600(絶対反射率測定システム)を用い行った。
[透過率異方性]
(法線方向における透過率(%))−(60°の入射角度における透過率(%))の値が、50%以上のものを○とし、20%以上且つ50%未満のものを△とし、20%未満のものを×と評価した。
[正面の光透過性]
法線方向における透過率が、90%以上のものを○とし、90%未満のものを×と評価した。
(3)防眩性評価
各実施例及び各比較例で得られた部材を、金属薄膜側が表面となるようにして、粘着層を介して黒アクリル板に貼り付け、明室環境下にて、透過率異方性部材の法線方向に対し60°の傾斜角の方向から、金属薄膜表面を目視で観察し、以下の評価基準により、防眩性を評価した。評価結果を表1に示す。
◎:周囲の写り込みがない。
○:周囲の写り込みがほとんど見えない。
×:周囲の写りこみが目立って見える。
表1において、微小突起のdAVG及びHAVGは、微小突起集合体を構成しない微小突起の平均間隔及び平均高さに対応する凹凸面形成用原版における微小孔間の平均間隔及び微小孔の平均深さを示し、d’AVG及びH’AVGは微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起の平均間隔及び平均高さを示す。
「個数割合」は、微小突起集合体を構成する微小突起の個数と微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対する微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合である。
実施例1〜4及び比較例1〜3において、金属薄膜の厚みは、凹凸面を平坦面にして、当該平坦面に金属薄膜を形成したと仮定した場合の厚みを示す。
(結果のまとめ)
実施例1〜4で得られた透過率異方性部材は、300nm以下となる平均間隔dAVGで配列された微小突起と、互いに隣接する当該微小突起が付着してなる微小突起集合体と、によって形成された凹凸面を有し、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、25%より大きく且つ75%以下であり、前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが、200nm以上且つ可視光線帯域の最短波長以下である凹凸構造層と、当該凹凸面の凹凸に追従した形状を有する、可視光透過性の金属薄膜とを備えることから、覗き見防止効果に優れ、透過率異方性及び正面方向における光透過性、並びに防眩性にも優れていた。中でも、実施例2、4が特に防眩性に優れていたのは、大きな塊となっている微小突起集合体の影響によるものと考えられる。
図7から明らかなように、実施例1で得られた透過率異方性部材10においては、入射角度(入射光の進行方向が透過率異方性部材のフィルム面の法線方向に対してなす角度)が大きくなるにつれて、透過率が低下した。また、可視光線帯域内の異なる波長において、光の透過率の差が小さく、この傾向は、入射角が小さい程強く現れた。このように、本発明の透過率異方性部材は、可視光域内での透過率のスペクトル分布におけるバラツキが少なくなることが判明した。このような作用効果は、従来の技術水準から予測される範囲を超えた顕著なものであると言える。
一方、比較例1で得られた部材は、凹凸面に微小突起集合体が形成されていなかったため、覗き見防止効果及び透過率異方性に劣っていた。
比較例2で得られた部材は、凹凸面に形成された微小突起集合体が少なすぎ、d’AVGが200nm以上とならなかったため、覗き見防止効果及び透過率異方性に劣っていた。
比較例3で得られた部材は、透過率異方性及び正面方向からの光透過性に劣っていた。これは、凹凸面において、微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が大きく、形成された微小突起集合体の径が大きすぎるものが存在していたため、正面方向からの入射光においても光が散乱したためと考えられる。
比較例4の部材は、背景技術で説明した従来のハーフミラーであり、凹凸面を有しないため、透過率異方性及び正面方向からの光透過性に劣っていた。防眩性評価においても、比較例4の部材は表面が鏡面化されていたため、周囲の写りこみがあった。また、比較例4の覗き見防止効果の評価においては、金属薄膜側の表面が鏡面化されていたことにより、表示面の文字が判読できなかった。また、図8に示すように、比較例4の従来のハーフミラーでは、長波長域の光の透過率が、短波長域の光の透過率に対して10〜20%程度も低下した。なお、実施例1の透過率異方性部材及び比較例4のハーフミラーにおいては、金属薄膜が積層される透明基材に紫外線吸収剤が添加されていたため、この紫外線吸収剤に起因して、図7及び図8に示された結果では、420nm以下の短波長側での透過率が低下したと考えられる。比較例4のハーフミラーにおいては、透明基材に紫外線吸収剤が添加されていない場合には、波長が長くなるにつれて透過率が低下するといった現象がより強く現れると推定される。
10 透過率異方性部材
11 金属薄膜により形成される凹凸面
12 微小突起
14 微小突起集合体
15 透明基材
20 凹凸構造層
20’ 微小突起集合体を作製する前の凹凸構造層
20” 凹凸構造層20’を作製する前の受容層
21 凹凸構造層の凹凸面
21’ 微小突起集合体を作製する前の凹凸構造層の凹凸面
22 微小突起
23 頂部
24 微小突起集合体
30 金属薄膜
41 ダイ
42 ロール金型
43 押圧ローラ
44 剥離ローラ
50 表示装置
51 表示機構
52 表示面
60 表示装置
61 画像光源

Claims (6)

  1. 300nm以下となる平均間隔dAVGで配列された微小突起と、互いに隣接する当該微小突起が付着してなる微小突起集合体と、によって形成された凹凸面を有し、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、25%より大きく且つ75%以下であり、前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが、200nm以上且つ可視光線帯域の最短波長以下である凹凸構造層と、
    前記凹凸構造層の前記凹凸面側に設けられ、当該凹凸面の凹凸に追従した形状を有する、可視光透過性の金属薄膜と、を備える透過率異方性部材。
  2. 前記金属薄膜は、スパッタリング法により形成されたアルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも一種からなる、請求項1に記載の透過率異方性部材。
  3. 画像を表示する表示面を有する表示機構と、
    前記表示機構の前記表示面側に配置された前記請求項1又は2に記載の透過率異方性部材と、を備える、表示装置。
  4. 前記請求項1又は2のいずれか一項に記載の透過率異方性部材と、
    前記透過率異方性部材に画像光を投射する画像光源と、を備え、
    前記画像光源は、前記透過率異方性部材の法線方向に対して傾斜した方向から当該透過率異方性部材に前記画像光を投射する、表示装置。
  5. 300nm以下となる平均間隔dAVGで配列された微小突起と、互いに隣接する当該微小突起が付着してなる微小突起集合体と、によって形成された凹凸面を有し、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数の割合が、前記微小突起集合体を構成する微小突起の個数と前記微小突起集合体を構成しない微小突起の個数を合わせた全個数に対して、25%より大きく且つ75%以下であり、前記微小突起集合体も一つの微小突起と仮定したときの微小突起間の平均間隔d’AVGが、200nm以上且つ可視光線帯域の最短波長以下である凹凸構造層を形成する工程と、
    前記凹凸構造層の前記凹凸面側に、当該凹凸面の凹凸に追従して、可視光透過性の金属薄膜を形成する工程と、を有する透過率異方性部材の製造方法。
  6. 前記金属薄膜は、スパッタリング法を用いて、アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも一種から形成される、請求項に記載の透過率異方性部材の製造方法。
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