JP6250636B2 - グリコリドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリグリコール酸の解重合によって、効率的かつ経済的にグリコリドを製造する方法に関する。
本発明の製造方法により得られるグリコリドは、開環重合用モノマーとして有用である。更に詳しくは、本発明の製造方法により得られるグリコリドは、単独で開環重合させるか、または他のコモノマーと共重合させることにより、ポリグリコリド(すなわち、ポリグリコール酸)または各種共重合体を得ることができる。ポリグリコール酸(共重合体)は、生分解性ポリマー材料や医療用ポリマー材料などとして有用である。
さらに、本発明のグリコリドの製造方法は、グリコール酸オリゴマーなどの低分子量のポリグリコール酸を経由するグリコリドの製造方法のみならず、高分子量のポリグリコール酸の製品廃棄物や成形屑などを、モノマーのグリコリドにまで変換してリサイクルする方法としても有用である。
ポリグリコール酸、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルは、生体内で加水分解され、また、自然環境下では、微生物によって代謝されて水と炭酸ガスに分解される。このため、脂肪族ポリエステルは、医療用材料や汎用樹脂に代替可能な生分解性ポリマー材料として注目されている。脂肪族ポリエステルの中でも、ポリグリコール酸は、生分解性が大きく、また、例えば、アルカリ溶液等を使用する加水分解性も大きいことに加えて、耐熱性、引張強度等の機械的特性、及び、特にフィルムまたはシートとしたときのガスバリア性も優れる。そのため、ポリグリコール酸は、農業資材、各種包装(容器)材料や医療用高分子材料としての利用が期待され、単独で、あるいは他の樹脂材料などと複合化して用途展開が図られている。
ポリグリコール酸は、グリコール酸を重縮合することにより得ることができるが、この方法では、高分子量のポリグリコール酸を得ることが難しい。そのため、成形用材料などとして用いられる高分子量のポリグリコール酸は、環状エステルであるグリコリドを開環(共)重合させることにより合成されることが多い。
すなわち、ポリグリコール酸は、単量体であるグリコール酸を脱水して縮合させることにより合成することができる。しかし、グリコール酸を出発原料とする重縮合法では、高分子量のポリグリコール酸を得ることが困難である。このため、グリコール酸の2分子間環状エステル(以下、「2量体環状エステル」ということがある)の構造を有するグリコリド(すなわち、1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)を、オクタン酸錫等の触媒の存在下に、開環重合することにより、高分子量のポリグリコール酸を合成している。
グリコリドを原料として、ポリグリコール酸を工業的規模で大量生産するためには、高純度のグリコリドを効率的かつ経済的に供給することが不可欠である。しかし、グリコリドの合成を効率的かつ経済的に行うことは困難であった。グリコリドは、2分子のグリコール酸から2分子の水を脱離した構造の2量体環状エステルであるが、単にグリコール酸同士をエステル化反応させたのでは、通常、オリゴマーなどの低分子量物が形成されて、2量体環状エステルであるグリコリドを得ることができない。そのため、グリコール酸オリゴマーを合成した後、該オリゴマーを解重合して二量体グリコリドを製造する方法などが採用されている。
従来、グリコリド等のα−ヒドロキシカルボン酸の2量体環状エステルを得るための技術としては、例えば、以下の方法が知られている。
米国特許第2,668,162号(特許文献1)には、グリコール酸オリゴマーを粉末状に砕き、粉砕物を約20g/時間というごく少量ずつの割合で反応器に供給しながら、12〜15torr(1.6〜2.0kPa)という超真空下で、270〜285℃に加熱して解重合させ、生成したグリコリドを含む蒸気をトラップ内で捕集する方法が開示されている。この方法は、小スケールで実施することは可能であるが、スケールアップが困難であり、量産化に適していない。しかも、この方法では、加熱時にオリゴマーが重質物化して多量の残渣として反応容器内に残るため、収率が低い上、残渣のクリーニング操作が煩雑である。さらに、この方法では、高融点のグリコリドが副生物とともに回収ライン内壁に析出して、ラインを閉塞するおそれがあり、ライン内の析出物の回収も困難である。
米国特許第4,835,293号(特許文献2)及び5,023,349号(特許文献3)には、α−ヒドロキシカルボン酸オリゴマーを加熱して融液となし、該融液の表面に窒素ガス等の不活性ガスを吹き込んで、その表面から生成し揮発する環状エステルをガス気流に同伴させて回収する方法が開示されている。この方法は、環状エステルの生成速度が小さく、しかも、大量の不活性ガスを吹き込むために、不活性ガスの予備加熱を要するなど生産コストが高くなる。さらに、この方法では、加熱中にオリゴマー融液内で重質物化が進行し、多量の重質物が残渣として反応缶内に残るため、収率が低くなり、残渣のクリーニングも煩雑である。
仏国特許出願公開第2692263号(特許文献4)には、触媒を添加した溶媒に、α−ヒドロキシカルボン酸、そのエステルまたは塩のオリゴマーを加えて、加熱下に撹拌して接触分解する方法が開示されている。この方法では、環状エステルを気相状態で随伴するのに適した溶媒を用いて、常圧または加圧下にて行われ、気相を凝縮して環状エステルと溶媒を回収している。この文献には、実施例として、乳酸オリゴマーと、溶媒としてドデカン(沸点:約214℃)とを用いた例が示されている。しかし、本発明者らがグリコール酸オリゴマーとドデカンを用いて、同様の条件にて追試したところ、解重合反応開始と同時に重質物化が進行し、極めてわずかのグリコリドが生成した時点でグリコリドの生成が停止した。しかも、反応残渣が粘調であり、クリーニングに多大な労力を要した。
特開平9−328481号公報(特許文献5)には、α−ヒドロキシカルボン酸オリゴマーを解重合してα−ヒドロキシカルボン酸2量体環状エステルを製造する方法において、高沸点極性有機溶媒を用いる方法が開示されている。この方法は、α−ヒドロキシカルボン酸オリゴマー100重量部に対して、高沸点極性有機溶媒30〜5,000重量部を含む混合物を、解重合が起こる温度に加熱して、実質的に均一な溶液相を形成し、同温度で更に加熱を継続することにより、生成した2量体環状エステルを高沸点極性有機溶媒とともに留出させ、留出物から2量体環状エステルを回収する方法である。この方法によれば、α−ヒドロキシカルボン酸オリゴマーから、該オリゴマーの重質物化を防ぎつつ、2量体環状エステルを高収率で得ることができる。
特許文献5には、高沸点極性有機溶媒として、沸点が230〜450℃の範囲内にある多数の極性有機溶媒が例示されているが、実施例において具体的に使用され効果が確認されているのは、芳香族エステル化合物であるジ(2−メトキシエチル)フタレート、ジエチレングリコールジベンゾエートまたはベンジルブチルフタレート、ジブチルフタレートと、トリクレジルホスフェートである。本発明者らは、高沸点極性有機溶媒として、これらの芳香族エステル化合物を用いた解重合反応について更に検討したところ、グリコール酸オリゴマーの解重合が起こる温度に長時間加熱すると、芳香族エステル化合物が熱劣化を起こしやすいことが判明した。芳香族エステル化合物が熱劣化すると、溶媒として再利用するためには、精製工程が必要となる。また、解重合反応において、劣化した芳香族エステル化合物の量に相当する量を追加する必要が生じる。その結果、2量体環状エステルの製造コストの更なる低減が困難である。
また、従来のグリコリドの製造方法としては、主としてグリコール酸オリゴマーを解重合の出発原料としており、高分子量のポリグリコール酸を用いる解重合方法についてはほとんど提案されていない。特開2000−119269号公報(特許文献6)には、ポリグリコール酸を200℃以上245℃未満の温度範囲で固相解重合するグリコリドの製造方法が提案されている。しかし、この方法は、工業的規模で効率的にグリコリドを大量生産する方法としては、必ずしも適していない。また、この方法は、加熱温度を厳密に制御しないと、ポリグリコール酸が重質物化しやすい。
本発明者らは、国際公開第2002/14303号(特許文献7)として、
(I)脂肪族ポリエステルと下記式
−O−(−R−O−)−Y
(式中、Rは、メチレン基または炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し、Xは、炭化水素基を表し、Yは、炭素数2〜20のアルキル基またはアリール基を表し、pは、1以上の整数を表し、pが2以上の場合には、複数のRは、それぞれ同一でも異なっても良い。)
で表され、かつ、230〜450℃の沸点と150〜450の分子量を有するポリアルキレングリコールエーテルとを含有する混合物を、常圧下または減圧下に、該脂肪族ポリエステルの解重合が起こる温度に加熱し、
(II)該脂肪族ポリエステルの融液相と該ポリアルキレングリコールエーテルからなる液相とが実質的に均一な相を形成した溶液状態とし、
(III)該溶液状態で加熱を継続することにより、解重合により生成した環状エステルを該ポリアルキレングリコールエーテルとともに留出させ、
(IV)留出物から環状エステルを回収することを特徴とする環状エステルの製造方法を提案した。この方法によれば、解重合反応により生成した環状エステルを、該ポリアルキレングリコールエーテルとともに留出させた後、両者を液状のまま相分離させて、環状エステル相を分離回収し、一方、熱劣化していないポリアルキレングリコールエーテル相を解重合反応系に循環して再利用できる、という効果が奏される。特許文献7記載の方法においては、ポリアルキレングリコールエーテルは、脂肪族ポリエステル100重量部に対して、通常30〜500重量部、好ましくは50〜200重量部の割合で使用するとされ、具体例においては、脂肪族ポリエステル100重量部に対して、450〜1,000重量部のポリアルキレングリコールエーテルを使用しているので、解重合により生成した環状エステルをポリアルキレングリコールエーテルとともに留出させるために、多量の熱エネルギーが必要とされるので、更なる改良が望まれていた。
ポリグリコール酸は、今後、大量に生産され、大量に使用されることが見込まれ、製品廃棄物のリサイクルが重要な課題となる。ポリグリコール酸の成形時に副生する成形屑のリサイクルも課題となる。効率的かつ経済的に、ポリグリコール酸を解重合して、グリコリドを製造することができれば、ポリグリコール酸のリサイクルが容易となる。
米国特許第2,668,162号 米国特許第4,835,293号 米国特許第5,023,349号 仏国特許出願公開第2692263号 特開平9−328481号公報(米国特許第5,830,991号対応) 特開2000−119269号公報 国際公開第2002/14303号(米国特許出願公開第2003/0191326号対応)
本発明の課題は、製造効率の低下がなく長期間に亘って反応を継続することができ、効率的かつ経済的に、ポリグリコール酸を解重合してグリコリドを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を解決すべく研究するなかで、ポリグリコール酸の解重合反応系において生成する種々の不純物のうち、グリコール酸の2量体であるジグリコール酸の生成量が多いと、グリコリドの生成効率が早期に低下し、ポリグリコール酸の解重合反応が短期間で停止することを見いだした。
本発明者らは、更に研究を進めたところ、ポリグリコール酸の解重合反応の反応温度を低下させると、ジグリコール酸の生成量が減少することを見いだした。ポリグリコール酸の解重合反応の反応温度を低下させれば、グリコリドを生成する原料であるグリコール酸オリゴマー等のポリグリコール酸の分解ロスや、解重合反応を遂行する溶媒の逸散ロス等を減少させることができることも推察された。ポリグリコール酸の解重合反応の反応温度を低下させる方法としては、ポリグリコール酸の解重合反応系の圧力を低下させることが考えられるが、溶媒の逸散ロスの増大や他の不純物の生成量の増加があって好ましくなく、また、真空系の装置コストの増加など、効率的かつ経済的に、ポリグリコール酸を解重合してグリコリドを製造する方法を提供することは困難であった。
本発明者らは、前記目的を解決すべく鋭意研究を重ね、前記特許文献5または7において、高沸点極性有機溶媒として具体的に開示されていない特定のポリエチレングリコールエーテルを選択して使用することにより、ポリグリコール酸の解重合反応系の圧力を低下させることなく、ポリグリコール酸の解重合反応の反応温度を低下させることができることを見いだし、効率的かつ経済的に、ポリグリコール酸を解重合してグリコリドを製造できることを想到して、発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、
ポリグリコール酸を解重合してグリコリドを製造する方法において、
(I)ポリグリコール酸(A)と、下記式(1)
X−O−(−CHCH−O−)−Y (1)
(式中、X及びYは、それぞれ独立して、炭素数2〜20のアルキル基またはアリール基を表し、pは、1〜5の整数を表す。)
で表され、かつ、分子量が150〜450であり、圧力3kPaにおける沸点が130〜220℃であるポリエチレングリコールエーテル(B)とを含有する混合物を、常圧下または減圧下に、ポリグリコール酸(A)の解重合が起こる温度に加熱する加熱工程、
(II)前記混合物を、ポリグリコール酸(A)の融液相とポリエチレングリコールエーテル(B)からなる液相とが実質的に均一な相を形成する溶液状態とする溶液形成工程、
(III)該溶液状態で加熱を継続することによって、ポリグリコール酸(A)の解重合反応によりグリコリドを生成させるグリコリド生成工程、
(IV)生成したグリコリドをポリエチレングリコールエーテル(B)とともに、解重合反応系から留出させる留出工程、及び、
(V)留出物からグリコリドを回収する回収工程
を含むことを特徴とするグリコリドの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、実施の態様として、以下(1)〜(20)のグリコリドの製造方法が提供される。
(1)ポリエチレングリコールエーテル(B)は、温度85℃におけるグリコリドの溶解度が0.1〜5質量%であるポリエチレングリコールエーテルである前記のグリコリドの製造方法。
(2)ポリエチレングリコールエーテル(B)は、前記式(1)におけるX及びYがいずれもアルキル基であり、かつ、これらのアルキル基の炭素数の合計が5〜28であるポリエチレングリコールエーテルである前記のグリコリドの製造方法。
(3)工程(I)において、ポリエチレングリコールエーテル(B)を、ポリグリコール酸(A)100質量部に対して、10〜100質量部の割合で混合する前記のグリコリドの製造方法。
(4)工程(I)〜工程(III)において、混合物を温度200〜232℃に加熱する前記のグリコリドの製造方法。
(5)工程(III)において、0.3〜90kPaの減圧下で加熱を継続する前記のグリコリドの製造方法。
(6)工程(I)〜工程(III)において、前記混合物が、ポリグリコール酸(A)のポリエチレングリコールエーテル(B)に対する溶解性を高める可溶化剤(C)を更に含有する前記のグリコリドの製造方法。
(7)可溶化剤(C)は、常圧における沸点が180℃以上で、ポリエチレングリコールエーテル(B)に相溶性のある非塩基性化合物である前記のグリコリドの製造方法。
(8)可溶化剤(C)は、一価または二価以上の多価アルコール、フェノール、一価または二価以上の多価脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアミンとの脂肪族アミド、脂肪族イミド、及び分子量が450を超えるポリアルキレングリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記のグリコリドの製造方法。
(9)可溶化剤(C)は、式(2)
HO−(−R−O−)−H (2)
(式中、Rは、メチレン基または炭素数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、qは、1以上の整数を表し、qが2以上の場合、複数のRは、それぞれ同一でも異なってもよい。)
で表されるポリアルキレングリコールを含む前記のグリコリドの製造方法。
(10)前記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリブチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記のグリコリドの製造方法。
(11)可溶化剤(C)は、式(3)
HO−(−R−O−)−X (3)
(式中、Rは、メチレン基または炭素数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、Xは、炭化水素基を表し、rは、1以上の整数を表し、rが2以上の場合、複数のRは、それぞれ同一でも異なってもよい。)
で表されるポリアルキレングリコールモノエーテルを含む前記のグリコリドの製造方法。
(12)ポリアルキレングリコールモノエーテルは、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル、及びポリブチレングリコールモノエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記のグリコリドの製造方法。
(13)ポリアルキレングリコールモノエーテルは、そのエーテル基として炭素数1〜18のアルキル基を有するものである前記のグリコリドの製造方法。
(14)可溶化剤(C)は、(C1)常圧における沸点が180℃以上で、一価または二価以上の多価アルコール、及び、(C2)常圧における沸点が180℃以上で、ポリエチレングリコールエーテル(B)に相溶性のある非塩基性化合物(一価または二価以上の多価アルコールを除く。)を含有する前記のグリコリドの製造方法。
(15)可溶化剤(C)を、ポリグリコール酸(A)100質量部に対して、0.1〜500質量部の割合で添加する前記のグリコリドの製造方法。
(16)工程(V)において、留出物をコンデンサーで冷却して、グリコリドとポリエチレングリコールエーテル(B)とを液状で相分離させ、グリコリド相を分離回収する前記のグリコリドの製造方法。
(17)留出物を温度85〜180℃に冷却して、グリコリドとポリエチレングリコールエーテル(B)とを液状で相分離させる前記のグリコリドの製造方法。
(18)解重合反応を継続しながら相分離を行い、留出物中のグリコリドを下層のグリコリド相中に凝縮させる前記のグリコリドの製造方法。
(19)ポリエチレングリコールエーテル(B)相を分離して、解重合反応系に循環させる前記のグリコリドの製造方法。
(20)ポリエチレングリコールエーテル(B)は、常圧における沸点が230〜450℃である前記のグリコリドの製造方法。
本発明によれば、
ポリグリコール酸を解重合してグリコリドを製造する方法において、
(I)ポリグリコール酸(A)と、下記式(1)
X−O−(−CHCH−O−)−Y (1)
(式中、X及びYは、それぞれ独立して、炭素数2〜20のアルキル基またはアリール基を表し、pは、1〜5の整数を表す。)
で表され、かつ、分子量が150〜450であり、圧力3kPaにおける沸点が130〜220℃であるポリエチレングリコールエーテル(B)とを含有する混合物を、常圧下または減圧下に、ポリグリコール酸(A)の解重合が起こる温度に加熱する加熱工程、
(II)前記混合物を、ポリグリコール酸(A)の融液相とポリエチレングリコールエーテル(B)からなる液相とが実質的に均一な相を形成する溶液状態とする溶液形成工程、
(III)該溶液状態で加熱を継続することによって、ポリグリコール酸(A)の解重合反応によりグリコリドを生成させるグリコリド生成工程、
(IV)生成したグリコリドをポリエチレングリコールエーテル(B)とともに、解重合反応系から留出させる留出工程、及び、
(V)留出物からグリコリドを回収する回収工程
を含むことを特徴とするグリコリドの製造方法であることによって、製造効率の低下がなく長期間に亘って反応を継続することができ、効率的かつ経済的に、ポリグリコール酸(A)を解重合してグリコリドを製造する方法が提供されるという効果が奏される。
1.ポリグリコール酸(A)
本発明のグリコリドの製造方法は、ポリグリコール酸(以下、「PGA」ということがある。)を解重合してグリコリドを製造する方法である。
本発明で出発原料として使用するPGA(A)(以下、単に「PGA」ということがある。)は、解重合によってグリコリドを生成することが可能なグリコール酸繰り返し単位(−O−CH−CO−)を含有する(共)重合体である。PGAは、常法に従って合成することができ、グリコール酸、グリコール酸のアルキルエステルまたはグリコール酸の塩を、必要に応じて触媒の存在下に、重縮合することによって得ることができる。また、PGAは、グリコリドをモノマーとして、開環(共)重合することによっても得ることができる。
本発明において、PGAとは、オリゴマーなどの低分子量物から高分子量物までを含むものとして定義される。すなわち、本発明においては、好ましくは重量平均分子量100〜1,000,000の範囲のPGAを使用することができる。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した値であり、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を溶媒とするGPC測定により、標準ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算値として重量平均分子量を測定することができる。
オリゴマーなどの低分子量のPGAと、高分子量のPGAとは、必ずしも明瞭に区別することができないが、本発明では、重量平均分子量が20,000未満、好ましくは100〜19,500、より好ましくは200〜19,200、場合によっては500〜18,000、更には10,000未満の低分子量物を、「オリゴマー」または「オリゴマーなどの低分子量のPGA」ということがある。オリゴマーの重合度、すなわち、グリコール酸繰り返し単位の数は、通常2以上、好ましくは5以上である。高分子量のPGAは、重量平均分子量が通常20,000以上、好ましくは20,000〜1,000,000、より好ましくは30,000〜800,000を意味する。
PGAは、共重合体であってもよいが、その場合には、グリコール酸繰り返し単位の含有量が50質量%以上、好ましくは80質量%、より好ましくは90質量%以上の共重合体であるとよい。
PGAは、先に述べたように、常法に従って合成することができる。より具体的には、例えば、グリコール酸オリゴマーを合成するには、グリコール酸またはそのエステル若しくは塩を、必要に応じて縮合触媒またはエステル交換触媒の存在下に、減圧または加圧下、温度100〜250℃、好ましくは140〜230℃に加熱し、水、アルコール等の低分子量物質の留出が実質的になくなるまで縮合反応またはエステル交換反応を行う。縮合反応またはエステル交換反応の終了後、生成したオリゴマーは、そのままで、本発明による解重合の原料として使用することができる。得られたオリゴマーを反応系から取り出して、ベンゼンやトルエン等の非溶媒で洗浄して、未反応物や触媒などを除去して使用することもできる。オリゴマーの構造は、環状でも直鎖状でもよい。他のグリコール酸オリゴマーも、同様の方法により合成することができる。
オリゴマーは、低重合度のものであってもよいが、解重合の際のグリコリドの収率の点から、融点(Tm)が通常140℃以上、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上のものである。ここで、Tmは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、不活性ガス雰囲気下、20℃/分の速度で昇温した際に検出される融点である。
高分子量のPGAは、グリコリドの開環(共)重合により合成することができるが、高分子量のPGAとしては、使用済み製品の廃棄物や成形屑などを好適に使用することができ、それによって、リサイクルを図ることができる。高分子量のPGAの形状は、特に限定されず、例えば、板状、フィルム状、糸状、球状、柱状、棒状など任意である。これらは、解重合反応を行う前に、粒状、粉末、繊維等の形状にしておくことが、反応効率を上げる上で好ましい。そのために、粉砕や溶融などにより、粒状化や粉末化したり、溶融や延伸により繊維状に加工してから、解重合反応に供することができる。
本発明においては、PGAは、反応前に反応槽等の反応容器に一括して添加してもよいし、解重合反応中に連続添加、分割添加のいずれかにより添加してもよい。ただし、後述するように、解重合反応中、反応槽内のPGA(A)の融液相と、ポリエチレングリコールエーテル(B)からなる液相とが実質的に均一な相を形成する溶液状態にあるようにする。PGA(A)の融液相とポリエチレングリコールエーテル(B)の液相とが、より均一な相を形成するように、別途、予備反応槽を設け、そこで均一相を形成した後に、解重合反応を行う反応槽に導入してもよい。さらに、後述する可溶化剤を、ポリエチレングリコールエーテル(B)と併用することにより、実質的に均一な相を形成させてもよい。
2. ポリエチレングリコールエーテル(B)
本発明のPGAを解重合してグリコリドを製造する方法において、解重合反応の溶媒として用いられるポリエチレングリコールエーテル(B)は、下記式(1)
X−O−(−CHCH−O−)−Y (1)
(式中、X及びYは、それぞれ独立して、炭素数2〜20のアルキル基またはアリール基を表し、pは、1〜5の整数を表す。)
で表され、かつ、分子量が150〜450であり、圧力3kPaにおける沸点が130〜220℃であるポリエチレングリコールエーテル(B)である。
ポリエチレングリコールエーテル(B)は、PGA(A)の解重合反応の極性有機溶媒として用いられ、また、生成したグリコリドを反応系から取り出すための極性有機溶媒として用いられるものである。
本発明で用いるポリエチレングリコールエーテル(B)は、両末端のエーテル基(すなわち、X及びY)が、それぞれ独立して、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜18、より好ましくは炭素数3〜16のアルキル基またはアリール基であるジエーテルである。ポリエチレングリコールエーテル(B)の両末端のエーテル基(XまたはYの一方または両方に相当する。)の炭素数が20を超える場合には、ポリエチレングリコールエーテルの極性が低下するため、解重合反応時に、PGA(A)の融液相と均一な相を形成することが難しくなる。
なお、ポリエチレングリコール化合物であっても、両末端にエーテル基を有しないで、末端に水酸基を有するもの(ポリエチレングリコールモノエーテル等)や、末端にエステル基を有するもの(ポリエチレングリコールエステル等)などは、それらの化合物を、ポリエチレングリコールエーテル(B)に代えて、PGAの解重合反応の極性有機溶媒として使用すると、解重合反応中に熱分解を起こすことがある。
ポリエチレングリコールエーテル(B)としては、両末端のエーテル基、すなわち、前記式(1)におけるX及びYがいずれもアルキル基であり、かつ、これらのアルキル基の炭素数の合計が5〜28であることが好ましく、6〜24であることがより好ましく、更に好ましくは6〜20である。このようなアルキル基の例としては、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基(ラウリル基)等が挙げられ、これらを両末端のエーテル基(X及びY)として組み合わせて使用される。これらのアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。アルキル基の炭素数の合計が28を超えると、前記式(1)で表されるポリエチレングリコールエーテル(B)の分子量が450を超えやすくなり、PGA(A)の解重合時にグリコリドと共留出しにくくなることがある。
ポリエチレングリコールエーテル(B)の両末端のエーテル基(すなわち、X及びY)のアルキル基としては、ジブチル、ジヘキシル、ジオクチル等のように、同じ炭素数のアルキル基を用いることができるが、必ずしも同じ炭素数である必要はない。例えば、プロピル基とラウリル基、ヘキシル基とヘプチル基、ブチル基とオクチル基、ブチル基とドデシル基等のような異種のアルキル基同士の組み合わせでもよい。
前記式(1)において、XまたはYがアリール基である場合、アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、置換フェニル基、置換ナフチル基等が挙げられる。ここで置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素など)が好ましい。XまたはYが置換フェニル基である場合、置換基の数は、通常1〜5、好ましくは1〜3である。置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は、同一でもよいし、異なってもよい。置換基の種類及び数により、ポリエチレングリコールエーテル(B)の沸点と極性を調整することができる。
ポリエチレングリコールエーテル(B)の性質は、前記式(1)中のエチレンオキシ単位(−CHCH−O−)の繰り返し数pによっても変化する。本発明においては、繰り返し数pが1〜5の整数であり、好ましくは1〜3、より好ましくは1または2であるポリエチレングリコールエーテル(B)を用いる。繰り返し数pが大きくなると、重付加反応によってポリエチレングリコールエーテル(B)を合成しようとする際に、重合度分布が広くなりやすく、同一の繰り返し単位数を有するポリエチレングリコールエーテル(B)を単離することが困難となる。また、繰り返し数pが5を超えると、得られる前記式(1)で表されるポリエチレングリコールエーテルが高分子量となる結果、蒸留による単離も難しくなって収率が低下するとともに、PGAの解重合時にグリコリドと共留出しにくくなることがある。
〔分子量〕
ポリエチレングリコールエーテル(B)の分子量は、150〜450である。ポリエチレングリコールエーテルの分子量が低すぎても高すぎても、PGAの解重合時にグリコリドとの共留出が難しくなる。ポリエチレングリコールエーテル(B)の分子量は、好ましくは180〜400、より好ましくは200〜350の範囲である。
〔圧力3kPaにおける沸点〕
ポリエチレングリコールエーテル(B)の圧力3kPaにおける沸点は、130〜220℃である。ポリエチレングリコールエーテル(B)の圧力3kPaにおける沸点が低すぎると、PGAの解重合反応により生成するグリコリドを、ポリエチレングリコールエーテル(B)とともに解重合反応系から留出させる温度を高く設定することができない。そのために、PGAの解重合反応温度を低く設定する必要があるので、グリコリドの生成速度が低下してしまうことがある。一方、ポリエチレングリコールエーテル(B)の圧力3kPaにおける沸点が高すぎると、ポリエチレングリコールエーテル(B)が留出しにくくなり、PGAの解重合反応により生成するグリコリドとの共留出が難しくなることがある。ポリエチレングリコールエーテル(B)の圧力3kPaにおける沸点は、好ましくは135〜218℃、より好ましくは140〜216℃、更に好ましくは145〜214℃の範囲である。
〔常圧における沸点〕
また、ポリエチレングリコールエーテル(B)の常圧における沸点は、特に限定されないが、230〜450℃であることが好ましい。ポリエチレングリコールエーテル(B)の常圧における沸点が低すぎると、PGAの解重合反応温度を低く設定することが必要となるので、グリコリドの生成速度が低下してしまうことがある。一方、ポリエチレングリコールエーテル(B)の常圧における沸点が高すぎると、ポリエチレングリコールエーテル(B)が留出しにくくなり、PGA(A)の解重合反応により生成したグリコリドとの共留出が難しくなることがある。ポリエチレングリコールエーテル(B)の常圧における沸点は、より好ましくは240〜420℃、更に好ましくは250〜400℃の範囲である。
〔温度85℃におけるグリコリドの溶解度〕
本発明で用いるポリエチレングリコールエーテル(B)は、温度85℃におけるグリコリドの溶解度が0.1〜5質量%であることが好ましい。多くの場合、温度85℃におけるグリコリドの溶解度が0.3〜4.5質量%であることがより好ましく、0.6〜4質量%であることが更に好ましい。ここで、温度85℃におけるグリコリドの溶解度とは、温度85℃のポリエチレングリコールエーテル(B)にグリコリドが飽和状態になるまで溶解させたときのポリエチレングリコールエーテル(B)の容積A(ml)に対するグリコリドの質量B(g)の百分率で表される。すなわち、溶解度は、下式で算出される。
溶解度(質量%)=(B/A)×100
温度85℃におけるグリコリドの溶解度が低すぎると、ポリエチレングリコールエーテル(B)とともに留出したグリコリドが析出して、回収ラインの閉塞などを起こしやすくなるので好ましくない。他方、温度85℃におけるグリコリドの溶解度が高すぎると、PGAの解重合反応で得られるグリコリドとポリエチレングリコールエーテル(B)との共留出液から、グリコリドを回収するために、例えば、0℃以下の温度に冷却したり、非溶媒を加えたりすることによって、グリコリドを単離する必要が生じることがある。低温に冷却するには、工業的規模では多大なエネルギーが必要となるので、効率性や経済性が損なわれる。また、非溶媒の添加は、ポリエチレングリコールエーテル(B)の回収・再利用に際して、非溶媒の分離が必要となり、工程数及び設備が増えるため、工業的実施に不利である。
さらに、本発明で用いるポリエチレングリコールエーテル(B)は、温度25℃(常温)におけるグリコリドの溶解度が0.1質量%以上であることが好ましい。多くの場合、グリコリドの溶解度が0.1〜1.5質量%、更には0.15〜1.3質量%の範囲にあるポリエチレングリコールエーテル(B)がより好ましい。ここで、温度25℃におけるグリコリドの溶解度は、温度85℃における溶解度と同様の式で算出されるものである。
これらの特性を有するポリエチレングリコールエーテル(B)としては、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジヘキシルエーテル、エチレングリコールジオクチルエーテル、エチレングリコールブチルヘキシルエーテル、エチレングリコールブチルオクチルエーテル、エチレングリコールブチルデシルエーテル、エチレングリコールブチルドデシルエーテル、エチレングリコールヘキシルオクチルエーテル、エチレングリコールヘキシルデシルエーテル、エチレングリコールヘキシルドデシルエーテル、エチレングリコールオクチルデシルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールブチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールブチルオクチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルオクチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジヘキシルエーテル、トリエチレングリコールブチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジプロピルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、ペンタエチレングリコールジエチルエーテル等のポリエチレングリコールジアルキルエーテル;
ジエチレングリコールブチルフェニルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルフェニルエーテル、またはこれらの化合物のフェニル基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されたポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル;
ジエチレングリコールジフェニルエーテル、またはこれらの化合物のフェニル基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換された化合物等のポリエチレングリコールジアリールエーテル;
などが挙げられる。
特に好ましいポリエチレングリコールエーテル(B)は、エチレングリコールジオクチルエーテル、エチレングリコールブチルオクチルエーテル、エチレングリコールブチルドデシルエーテル、ジエチレングリコールブチルオクチルエーテル等である。
なお、式(1)
X−O−(−CHCH−O−)−Y (1)
(式中、X及びYは、それぞれ独立して、炭素数2〜20のアルキル基またはアリール基を表し、pは、1〜5の整数を表す。)で表され、かつ、分子量が150〜450である、トリエチレングリコールブチルオクチルエーテル(X及びYがブチル基及びオクチル基であり、p=3である。)は、圧力3kPaにおける沸点が、223℃であることから、本発明におけるポリエチレングリコールエーテル(B)には属しない。
特に好ましいポリエチレングリコールエーテル(B)、及び、上記したトリエチレングリコールブチルオクチルエーテルの性質を、表1に示す。
Figure 0006250636
(脚注)
Bu: ブチル基
Oct: オクチル基
Dodec: ドデシル基
本発明のPGAを解重合してグリコリドを製造する方法において、ポリエチレングリコールエーテル(B)は、PGA(A)100質量部に対して、通常10〜100質量部、好ましくは12〜85質量部、より好ましくは13〜70質量部、更に好ましくは14〜60質量部、特に好ましくは15〜50質量部の割合で混合して使用される。ポリエチレングリコールエーテル(B)の使用割合が少なすぎると、PGA(A)の融液相とポリエチレングリコールエーテル(B)とからなる液相とが実質的に均一な相を形成することが困難となったり、PGA(A)の解重合反応により生成したグリコリドがポリエチレングリコールエーテル(B)とともに留出しにくくなったりすることがある。ポリエチレングリコールエーテル(B)の使用割合が多すぎると、ポリエチレングリコールエーテル(B)の回収費用も増加し、経済的ではない。
〔ポリエチレングリコールエーテル(B)の製造〕
ポリエチレングリコールエーテル(B)は、本願出願前に当業者に広く知られたポリエチレングリコールエーテルの製造方法を適用することによって得ることができる。例えば、エチレンオキサイドをアルコールに付加させて得たエチレングリコールモノエーテルやエチレンオキサイドを重付加させて得たエチレングリコールモノエーテルにおける末端ヒドロキシ基をエーテル化することによって、エチレングリコールジエーテルを製造することができる。エーテル化の方法は、公知であり、特に制限されないが、一般的には、ポリエチレングリコールモノエーテルを、金属ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム等の存在下、ハロゲン化アルキルと反応させる方法;その際にヨウ化ナトリウムを共存させる方法;ハロゲン化アルキル(すなわち、アルキル化剤)の代わりに、塩基性化合物の存在下、スルホン酸クロリド(例えば、トシルクロリド、メシルクロリド等)を用いてアルコールをスルホン酸エステル化したものをアルキル化剤として用いる方法;などが挙げられる。
3.可溶化剤(C)
本発明のPGAを解重合してグリコリドを製造する方法においては、工程(I)〜工程(III)において、グリコール酸オリゴマーやポリグリコリド等のPGA(A)のポリエチレングリコールエーテル(B)に対する溶解性(具体的には、溶解度及び/または溶解速度を意味する。)を高めるために、可溶化剤(C)を更に含有する混合物を使用することができる。
本発明で用いる可溶化剤(C)は、次の要件のいずれか1つ以上を満たす化合物であることが好ましい。
(i) 非塩基性化合物であること。
アミン、ピリジン、キノリン等の塩基性化合物は、PGAや生成するグリコリドと反応するおそれがあるため、好ましくない。
(ii) ポリエチレングリコールエーテル(B)に相溶性または可溶性の化合物であること。
ポリエチレングリコールエーテル(B)に相溶性または可溶性の化合物であれば、常温で液体でも固体でもよい。
(iii) 常圧における沸点が180℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは230℃以上、更に好ましくは250℃以上の化合物であること。
特に、可溶化剤(C)として、その常圧における沸点が、PGAの解重合反応に使用するポリエチレングリコールエーテル(B)の常圧における沸点より高い化合物を使用すると、PGAの解重合反応により生成するグリコリドの留出時に、可溶化剤(C)が、グリコリド及びポリエチレングリコールエーテル(B)とともに留出しないか、または、留出量が極めて少なくなるので、好ましい。多くの場合、常圧における沸点が400℃以上、更には450℃以上、場合によっては470℃以上の化合物を可溶化剤(C)として使用することにより、良好な結果を得ることができる。ただし、解重合に使用するポリエチレングリコールエーテル(B)の常圧における沸点より、常圧における沸点が低い化合物であっても、アルコール類などは、可溶化剤(C)として好適に使用することができることがある。
(iv) 例えば、OH基、COOH基、CONH基等の官能基を有する化合物であること。
(v) ポリエチレングリコールエーテル(B)よりもPGA(A)との親和性が高い化合物であること。
可溶化剤(C)とPGA(A)との親和性は、以下の方法で確認することができる。すなわち、a)PGA(A)とポリエチレングリコールエーテル(B)との混合物を温度230〜280℃に加熱して均一な溶液相を形成させ、b)そこに、PGA(A)を更に添加して、その濃度を、混合物が均一溶液相を形成しなくなるまで高め、c)そこに可溶化剤を加えて、再び均一溶液相を形成するか否かを目視により観察する。
本発明で使用することができる可溶化剤(C)の具体例としては、常圧における沸点が180℃以上で、ポリエチレングリコールエーテル(B)に相溶性のある非塩基性化合物が挙げられる。
また、本発明で使用することができる可溶化剤(C)の具体例としては、一価または二価以上の多価アルコール(多価アルコールの部分エステル化物及び部分エーテル化物であってもよい。)、フェノール、一価または二価以上の多価脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアミンとの脂肪族アミド、脂肪族イミド、分子量が450を超えるポリアルキレングリコールエーテルなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、一価または二価以上の多価アルコールは、可溶化剤(C)として特に効果的である。一価または二価以上の多価アルコールとしては、常圧における沸点が180℃以上で、一価または二価以上の多価アルコール〔可溶化剤(C1)〕が好ましく使用できる。可溶化剤(C1)の常圧における沸点は、より好ましくは200℃以上、更に好ましくは230℃以上、特に好ましくは250℃以上である。可溶化剤(C1)として使用することができる可溶化剤(C)は、デカノール、トリデカノール、デカンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族アルコール;クレゾール、クロロフェノール、ナフチルアルコール等の芳香族アルコール;ポリアルキレングリコール;ポリアルキレングリコールモノエーテルなどが挙げられる。中でも好ましい可溶化剤(C)は、ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールモノエーテルである。
前記の好ましい可溶化剤(C)であるポリアルキレングリコールとしては、式(2)
HO−(−R−O−)−H (2)
(式中、Rはメチレン基または炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し、qは1以上の整数を表し、qが2以上の場合、複数のRは、それぞれ同一でも異なってもよい。)
で表されるポリアルキレングリコールが挙げられる。このようなポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記の好ましい可溶化剤(C)であるポリアルキレングリコールモノエーテルとしては、式(3)
HO−(−R−O−)−X (3)
(式中、Rはメチレン基または炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し、Xは炭化水素基を表し、rは1以上の整数を表し、rが2以上の場合、複数のRは、それぞれ同一でも異なってもよい。)
で表されるポリアルキレングリコールモノエーテルが挙げられる。このようなポリアルキレングリコールモノエーテルの具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールモノデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル等のポリエチレングリコールモノエーテル;該ポリエチレングリコールモノエーテルにおいて、エチレンオキシ基をプロピレンオキシ基に代えたポリプロピレングリコールモノエーテル;該ポリエチレングリコールモノエーテルにおいて、エチレンオキシ基をブチレンオキシ基に代えたポリブチレングリコールモノエーテル;その他のポリアルキレングリコールモノエーテル;などが挙げられる。ポリエチレングリコールモノエーテル等のポリアルキレングリコールモノエーテルは、そのエーテル基として炭素数1〜18のアルキル基を有するものが好ましく、炭素数3〜16のアルキル基を有するものがより好ましい。これらは、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
可溶化剤(C)として、ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールモノエーテルを用いると、これらの化合物は、高沸点であるために、解重合反応系から留出することがほとんどない。しかも、ポリアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールモノエーテルは、PGAの溶解性が高いので、これらを可溶化剤(C)として用いると、PGAの解重合反応が迅速に進むことがある。また、可溶化剤(C)としてポリアルキレングリコールモノエーテルを使用すると、缶壁(反応容器内壁)のクリーニング効果が特に優れる。
また、本発明においては、可溶化剤(C)として、常圧における沸点が180℃以上で、ポリエチレングリコールエーテル(B)に相溶性のある非塩基性化合物(一価または二価以上の多価アルコールを除く。)〔可溶化剤(C2)〕を、前記の可溶化剤(C1)とともに、または、単独で使用することができる。可溶化剤(C2)として使用することができる可溶化剤(C)は、先に述べたように、フェノール、一価または二価以上の多価脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアミンとの脂肪族アミド、脂肪族イミド、分子量が450を超えるポリアルキレングリコールエーテルなどが挙げられる。
可溶化剤(C2)としては、好ましくは分子量が450を超えるポリアルキレングリコールエーテルを使用することができる。すなわち、本発明においては、PGAの解重合反応の極性有機溶媒として用いるポリエチレングリコールエーテル(B)よりも、PGAとの親和性が高く、分子量が450を超える高分子量かつ高沸点のポリアルキレングリコールエーテルを可溶化剤(C2)として、好ましく使用することができる。可溶化剤(C2)として好適なポリアルキレングリコールエーテルの具体例としては、ポリエチレングリコールジメチルエーテル#500(数平均分子量500)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル#2000(数平均分子量2,000)などが挙げられる。これら可溶化剤(C2)としてのポリアルキレングリコールエーテルは、分子量が450を超えるものである点で、本発明における分子量が150〜450であるポリエチレングリコールエーテル(B)と区別することができる。
可溶化剤(C)の作用は、充分に明らかではないが、PGAの末端と作用して、PGAをポリエチレングリコールエーテル(B)に溶けやすいものに変える作用、PGAの分子鎖の中間に作用して分子鎖を切断し、分子量を調整することによって、PGAをポリエチレングリコールエーテル(B)に溶けやすいものに変える作用、溶媒系全体の極性を変えて親水性を高め、PGAの溶解性を高める作用、PGAを乳化分散させる作用、またはこれらの複合作用などの作用を行うものと推定される。可溶化剤(C)として、(C1)常圧における沸点が180℃以上で、一価または二価以上の多価アルコール、及び/または、(C2)常圧における沸点が180℃以上で、ポリエチレングリコールエーテル(B)に相溶性のある非塩基性化合物(一価または二価以上の多価アルコールを除く。)からなる可溶化剤(C)を使用することが好ましく、特に、可溶化剤(C)が、可溶化剤(C1)及び可溶化剤(C2)を含有するものであると、解重合を一層均一な溶融状態で実施することができるのでより好ましい。
本発明のPGAを解重合してグリコリドを製造する方法において、ポリエチレングリコールエーテル(B)とともに、可溶化剤(C)を使用する場合には、可溶化剤(C)は、PGA(A)100質量部に対して、通常0.1 〜500質量部、好ましくは1〜300質量部、より好ましくは10〜150質量部の割合で使用される。可溶化剤(C)の使用割合が少なすぎると、可溶化剤(C)による可溶性向上効果が充分に得られない。可溶化剤(C)の使用割合が多すぎると、可溶化剤(C)の回収にコストがかかり、経済的ではない。可溶化剤(C)が、可溶化剤(C1)及び可溶化剤(C2)を併用するものである場合、可溶化剤(C1)及び可溶化剤(C2)の使用割合は、特に限定されないが、通常1:99〜99:1であり、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは30:70〜85:15、更に好ましくは50:50〜80:20の比率(質量比)とすればよい。
4.触媒
本発明のPGAを解重合してグリコリドを製造する方法においては、PGAがポリエチレングリコールエーテル(B)に溶解して、その表面積が極度に広がるために、解重合によるグリコリドの発生速度または揮発速度が大きい。したがって、一般に、解重合のための触媒(例えば、錫化合物、アンチモン化合物等)を用いる必要はない。熱安定性に優れたポリエチレングリコールエーテル(B)を用いている本発明の製造方法において、触媒は、むしろ有害になるおそれもある。しかし、本発明の「溶液相解重合法」を本質的に損なわない範囲において、触媒を使用することもできる。
5.ポリグリコール酸を解重合してグリコリドを製造する方法
本発明のPGAを解重合してグリコリドを製造する方法は、以下の工程を含むものである。
(I)PGA(A)と、前記式(1)で表され、かつ、分子量が150〜450であり、圧力3kPaにおける沸点が130〜220℃であるポリエチレングリコールエーテル(B)とを含有する混合物を、常圧下または減圧下に、PGA(A)の解重合が起こる温度に加熱する加熱工程、
(II)前記混合物を、PGA(A)の融液相と該ポリエチレングリコールエーテル(B)からなる液相とが実質的に均一な相を形成する溶液状態とする溶液形成工程、
(III)該溶液状態で加熱を継続することによって、PGA(A)の解重合反応によりグリコリドを生成させるグリコリド生成工程、
(IV)生成したグリコリドをポリエチレングリコールエーテル(B)とともに、解重合反応系から留出させる留出工程、及び、
(V)留出物からグリコリドを回収する回収工程。
本発明のグリコリドの製造方法は、PGAの解重合を、特定の溶媒、すなわちポリエチレングリコールエーテル(B)を使用して溶液相の状態で行う点に特徴を有する。PGAの解重合反応は、通常、200℃以上の温度で行うが、PGAの大半が、溶媒に溶解しないで、融液相を形成する場合には、グリコリドが留出しにくく、しかも融液相が重質物化しやすい。PGAの融液相と、ポリエチレングリコールエーテル(B)からなる液相とが実質的に均一な相を形成する溶液状態で加熱を継続することにより、グリコリドの発生及び留出速度が飛躍的に大きくなる。
本発明のグリコリドの製造方法は、具体的には、先ず、PGA(A)を融液状態で、または固体状態で、必要であれば適当な粒度に粉砕してから、反応容器(フラスコ等)に投入し、反応容器中で、溶媒であるポリエチレングリコールエーテル(B)と混合して、解重合組成物であるPGA(A)とポリエチレングリコールエーテル(B)とを含有する混合物を得る。反応容器中には、例えば、PGA(A)が高分子量であることなどによって、溶媒であるポリエチレングリコールエーテル(B)に対する溶解度が低いような場合には、可溶化剤(C)を加え、前記の混合物を、PGA(A)のポリエチレングリコールエーテル(B)に対する溶解性を高める可溶化剤(C)を更に含有する混合物としてもよい。その場合、可溶化剤(C)は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよく、例えば、(C1)常圧における沸点が180℃以上で、一価または二価以上の多価アルコール、及び/または、(C2)常圧における沸点が180℃以上で、ポリエチレングリコールエーテル(B)に相溶性のある非塩基性化合物(一価または二価以上の多価アルコールを除く。)からなる可溶化剤(C)を含有することができる。反応容器の周囲には、加熱器(電流加熱装置等)が設置されており、例えば、加熱電流を調整することにより、反応容器及び反応容器中の解重合組成物の温度調節をすることができる。また、反応容器には、留出成分を冷却するために、例えば冷水で冷却可能な冷却器(コンデンサー)が連結されている。
〔加熱工程〕
加熱工程(I)においては、所定量のPGA(A)、ポリエチレングリコールエーテル(B)、及び、必要に応じて加える可溶化剤(C)を含有する混合物(解重合組成物)を、常圧下または減圧下に、必要に応じて脱水のための加熱を行った後に、PGA(A)の解重合が起こる温度、すなわち、通常190℃以上であり、好ましくは200〜232℃、より好ましくは205〜230℃、特に好ましくは210〜228℃程度の温度に加熱する。加熱工程(I)は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、通常は常圧下で行えばよいが、減圧を行う場合は、50〜100kPaの範囲程度とすればよい。
〔溶液形成工程〕
加熱工程(I)により、PGA(A)の全部または大半が融解して、融液層となり、ポリエチレングリコールエーテル(B)、及び、必要に応じて加える可溶化剤(C)からなる液相に溶解して実質的に均一な相を形成する溶液状態とする溶液形成工程(II)を行う。溶液形成工程(II)を行う温度は、加熱工程(I)で加熱した温度と同程度に維持することが好ましい。溶液形成工程(II)では、PGA(A)とポリエチレングリコールエーテル(B)、及び、必要に応じて加える可溶化剤(C)とが完全に均一な相を形成することが好ましいが、PGA融液相の残存率が0.5以下であれば、PGA融液相が共存してもよい。ここで、「融液相の残存率」とは、流動パラフィン等のPGAに対して実質的に溶解力がない溶媒中に、PGA(A)F(g)を加えて解重合が起こる温度に加熱した際に形成されるPGA(A)の融液相の容積がa(ml)であり、実際に使用する溶媒中でPGA(A) F(g)を解重合が起こる温度に加熱して形成されるPGA(A)の融液相の容積がb(ml)である場合に、b/aの比率として表されるものをいう。ここで、実際に使用する溶媒とは、ポリエチレングリコールエーテル(B)の単独使用、またはポリエチレングリコールエーテル(B)と可溶化剤(C)との併用を意味する。PGA(A)の融液相の残存率は、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.1以下、最も好ましくは実質的にゼロである。
〔グリコリド生成工程及び留出工程〕
続いて、PGA(A)、ポリエチレングリコールエーテル(B)、及び、必要に応じて更に含有する可溶化剤(C)が、実質的に均一な液相を形成している溶液状態で、加熱を継続することによって、PGA(A)の解重合反応によりグリコリドを生成させるグリコリド生成工程(III)を行う。同時に、生成したグリコリドをポリエチレングリコールエーテル(B)とともに、解重合反応系から留出させる留出工程(IV)を行う。留出するグリコリドとポリエチレングリコールエーテル(B)との組成により、共留出温度が定まるので、例えば、加熱電流の制御等により、反応容器中の解重合反応系に供給する熱量を調整することによって、溶媒であるポリエチレングリコールエーテル(B)の留出速度(時間当たりの留出量を意味する。)を調整することができる。
〔回収工程〕
続いて、回収工程(V)において、留出物からグリコリドを回収する。すなわち、グリコリドを含有する留出物を冷却し(グリコリドの常圧下における融点は85℃程度である。)、必要に応じてグリコリドの非溶媒を添加することにより、留出物からグリコリドを容易に分離回収することができる。回収したグリコリドは、必要に応じて、再結晶などにより精製を行うことができる。一方、グリコリドを除いた母液は、ポリエチレングリコールエーテル(B)を含有するが、これは熱安定性に優れているため、ほぼ全量を精製等の工程を経ることなく再利用することができる。ポリエチレングリコールエーテル(B)は、活性炭等で吸着させて精製したり、または蒸留等により精製してから再利用してもよい。
〔各工程の温度と圧力〕
先に述べたグリコリド生成工程(III)及び留出工程(IV)を行う温度は、前記の加熱工程(I)及び溶液形成工程(II)を行う温度と、同一でもよい。この場合、工程(I)〜工程(III)において、混合物を、好ましくは200〜232℃、より好ましくは205〜230℃、特に好ましくは210〜228℃程度の温度に加熱することとなる。グリコリド生成工程(III)及び留出工程(IV)を行う温度は、前記の加熱工程(I)及び溶液形成工程(II)を行う温度と異なってもよいが、好ましくは200〜232℃、より好ましくは205〜230℃、特に好ましくは210〜228℃程度の温度に加熱するとよい。また、例えば、工程(III)及び工程(IV)を行う温度を、工程(I)及び工程(II)を行う温度より高くしてもよい。
いずれの工程の加熱も、常圧下または減圧下に行うことができる。好ましくは、工程(I)及び工程(II)を常圧で行い、次いで、工程(III)及び工程(IV)では、減圧下で加熱して、グリコリドをポリエチレングリコールエーテル(B)とともに留出させることが望ましい。解重合反応は、可逆反応であるためグリコリドを液相から留去することにより、PGAの解重合反応が効率的に進行する。グリコリド生成工程(III)において、解重合反応を行う圧力としては、0.3〜90kPaの減圧下に行うことが好ましく、より好ましくは2〜50kPa、更に好ましくは2.5〜15kPa、特に好ましくは3〜10kPaに減圧することにより、解重合温度を上げることなく、グリコリド及びポリエチレングリコールエーテル(B)の留出効率を高めることができる。すなわち、一般に、解重合反応系の圧力を低くすることにより、グリコリド生成工程(III)及び留出工程(IV)を行う温度を低くすることができるので、これにより溶媒のロスが減少し、溶媒の回収率も高くなる。ただし、解重合反応系の圧力を0.3kPa未満としても、グリコリド及びポリエチレングリコールエーテル(B)の留出効率の向上効果は増大せず、一方、装置の設計及び維持費用が急速に増大する傾向がある。
本発明においては、PGA(A)の解重合反応の溶媒として、ポリエチレングリコールエーテル(B)を使用することによって、圧力3〜10kPa、とりわけ好ましくは圧力3.6〜7kPa、最も好ましくは4〜6.8kPaの条件と、温度200〜232℃、とりわけ好ましくは210〜230℃、場合によっては215〜228℃の条件とを組み合わせて、グリコリド生成工程(III)及び留出工程(IV)を好適に行うことができる。
本発明においては、グリコリド(常圧下での沸点:240〜241℃)が、ポリエチレングリコールエーテル(B)とともに留出することによって、留出ラインの内壁にグリコリドが付着して、長時間に亘ってグリコリドの製造を継続することができなくなることや、グリコリドの回収量が減少する、すなわち、PGA(A)のロスが増大することを防止することができる。
先に述べたように、ポリエチレングリコールエーテル(B)は、PGA(A)100質量部に対して、通常10〜100質量部、好ましくは12〜85質量部、より好ましくは13〜70質量部、更に好ましくは14〜60質量部、特に好ましくは15〜50質量部の割合で使用される。ポリエチレングリコールエーテル(B)は、解重合反応系内の混合物が実質的に均一な相を形成する範囲内で、解重合反応の途中に、連続的にまたは分割して追加してもよい。また、可溶化剤(C)も、解重合反応の途中に、連続的にまたは分割して追加してもよい。
本発明において使用するポリエチレングリコールエーテル(B)は、解重合反応において、化学的にも熱的にも安定であるので、再利用する際に追加が必要となる新たなポリエチレングリコールエーテル(B)が、ごく少量ですむ。また、ポリエチレングリコールエーテル(B)が熱安定性に優れているため、留出物からグリコリドを回収する回収工程(V)において、留出物を液状のままで相分離させて、グリコリド相を分離・回収するとともに、ポリエチレングリコールエーテル(B)相を解重合反応系に循環させることができる。
具体的には、留出物を冷却器(コンデンサー)で冷却して、グリコリドとポリエチレングリコールエーテル(B)とを、液状のままで相分離させて、グリコリド相を分離回収する。留出物を相分離させると、通常、下層にグリコリド相ができ、上層は溶媒相〔ポリエチレングリコールエーテル(B)相〕となる。下層のグリコリド相は、液状のままで分離回収することができる。液状でグリコリドと溶媒とを相分離させるには、留出物の冷却温度を、通常85〜180℃、好ましくは85〜150℃、より好ましくは85〜120℃の温度となるように調整する。冷却温度が高すぎると、分離操作の間にグリコリド相において開環反応や重合反応などの副反応が生成しやすくなる。冷却温度が低すぎると、液状のままで相分離させることが困難になる。
コンデンサーにより留出物の温度調整を行い、PGAの解重合反応を継続しながら相分離を行うと、溶媒とともに留出したグリコリドが、上層の溶媒相〔ポリエチレングリコールエーテル(B)相〕を液滴となって通過し、下層のグリコリド相中に凝縮させることができる。
分離したグリコリド相は、更に冷却して回収され、必要に応じて精製処理される。この方法によれば、回収したグリコリドから大量の溶媒〔ポリエチレングリコールエーテル(B)〕を分離する必要がなくなり、溶媒とグリコリドとの分離操作が簡単になる。
また、この方法において、相分離させた留出物からポリエチレングリコールエーテル(B)相を分離して、解重合反応系に戻すことによって循環させることができる。この方法によれば、大量の溶媒〔ポリエチレングリコールエーテル(B)〕を回収する必要がなくなり、更には、反応容器の容積で決定される量を超える溶媒を用意する必要がなくなる。したがって、この方法では、溶媒の損失を最小限に抑制することができる。
本発明が、高分子量のPGA(A)を解重合してグリコリドを製造する方法の場合においては、
(i)高分子量のPGA(A)と、
下記式(1)
X−O−(−CHCH−O−)−Y (1)
(式中、X及びYは、それぞれ独立して、炭素数2〜20のアルキル基またはアリール基を表し、pは、1〜5の整数を表す。)
で表され、かつ、分子量が150〜450であり、圧力3kPaにおける沸点が130〜220℃であるポリエチレングリコールエーテル(B)と、
(C1)常圧における沸点が180℃以上で、一価または二価以上の多価アルコール、及び/または、(C2)常圧における沸点が180℃以上で、ポリエチレングリコールエーテル(B)に相溶性のある非塩基性化合物(一価または二価以上の多価アルコールを除く。)からなる可溶化剤(C)とを含有する混合物を、常圧下または減圧下に、PGA(A)の解重合が起こる温度に加熱する加熱工程、
(ii)前記混合物を、PGA(A)の融液相とポリエチレングリコールエーテル(B)と可溶化剤(C)とからなる液相とが実質的に均一な相を形成する溶液状態とする溶液形成工程、
(iii)減圧下に、溶液状態で加熱を継続することによって、PGA(A)の解重合反応によりグリコリドを生成させるグリコリド生成工程、
(iv)生成したグリコリドをポリエチレングリコールエーテル(B)とともに、解重合反応系から留出させる留出工程、及び、
(v)留出物からグリコリドを回収する回収工程
を含むことを特徴とするグリコリドの製造方法である。なお、加熱工程(i)、溶液形成工程(ii)、グリコリド生成工程(iii)、留出工程(iv)及び回収工程(v)の趣旨や条件は、既に述べたとおりである。
本発明のグリコリドの製造方法によれば、PGAの解重合反応を、従来採用されていた温度条件より低い温度で開始することができるので、PGAの解重合反応系におけるグリコリドの生成速度の急速な低下や、PGAの解重合反応及びグリコリドの生成反応の短期間での停止を引き起こす、反応液中でのジグリコール酸の生成を抑制することができる。その結果、PGAの解重合反応を長期間継続することができるので、効率的かつ経済的に、グリコリドを製造することができる。
〔グリコリドの生成速度〕
PGAの解重合反応系におけるグリコリドの生成速度(以下、「GL生成速度」ということがある。)は、以下の方法により測定する。すなわち、解重合反応の開始直後(初期)の1時間、または、所定時間経過後最初の1時間に留出した留出液(グリコリドと溶媒)を温度85℃の温水で冷却してグリコリドと溶媒とを分離させる。通常、下層にグリコリド相ができ、上層は溶媒相となる。下層のグリコリド相は液状のままで分離回収することができ、回収したグリコリドの質量(g)を計測する。回収したグリコリドの質量(g)から、解重合反応の開始直後または所定時間経過後の時点におけるGL生成速度(単位:g/時間)を算出する。例えば、解重合反応の開始直後(初期)の1時間、並びに、解重合反応の開始から10日間経過後、同20日間経過後、及び同30日間経過後の、それぞれ最初の1時間に留出したグリコリドと溶媒を採取して、解重合反応の開始直後(初期)、解重合反応の開始から10日間経過後、同20日間経過後、及び同30日間経過後の時点におけるGL生成速度を測定することにより、PGAの解重合の進行度合いを把握することができる。
〔反応液中でのジグリコール酸濃度〕
PGAの解重合反応液中のジグリコール酸濃度は、以下の方法により測定する。すなわち、解重合反応の開始直後(初期)、または、所定時間経過時に、反応容器内の反応液を採取して、反応液中のジグリコール酸濃度を、液体クロマトグラフィーによって測定する。例えば、解重合反応の開始から所定時間経過時としては、解重合反応の開始から10日間経過時、20日間経過時、及び30日間経過時のジグリコール酸濃度(以下、「DGA濃度」という。)を測定することにより、PGAの解重合反応系における不純物であるジグリコール酸の生成度合いを把握することができる。解重合反応の開始から30日間経過時のDGA濃度が、5%以下、好ましくは4.6%以下、より好ましくは4.4%以下であると、PGAの解重合によるグリコリドの製造が、ジグリコール酸の生成によって、短期間で阻害されるおそれが少ないということができる。30日間経過時のDGA濃度の下限値は0%である。
本発明のグリコリドの製造方法によれば、加熱時及び解重合時(加熱工程、グリコリド生成工程及び留出工程)において、PGA(A)の重質化物がほとんど生成しないので、反応容器内のクリーニングの手間を省くことができる。また、仮に何らかのトラブル等により反応容器内に重質化物が付着した場合は、ポリエチレングリコールエーテル(B)と可溶化剤(C)〔好ましくは可溶化剤(C1)または可溶化剤(C2)〕とを反応容器に入れて加熱することにより、容易にクリーニングすることができる。
グリコリドを分離した母液に、溶媒であるポリエチレングリコールエーテル(B)や可溶化剤(C)が含まれている場合は、この分離した母液を精製せずにそのままリサイクルして使用したり、活性炭等で吸着精製してリサイクル使用したり、または単蒸留若しくは分留して、ポリエチレングリコールエーテル(B)及び/または可溶化剤(C)としてリサイクル使用することができる。可溶化剤(C)は、重質化物の溶解に効果があるので、可溶化剤(C)を用いた解重合の場合は、反応容器内のクリーニングを省略または低減できることがある。
〔10日間経過後のポリグリコール酸ロス率〕
また、本発明のグリコリドの製造方法によれば、10日間経過後のポリグリコール酸ロス率(以下、「10日間経過後のPGAロス率」ということがある。)が小さいので、長期間に亘ってグリコリドの製造を継続することができるとともに、原単位の向上にも寄与することができる。10日間経過後のPGAロス率は、ポリグリコール酸の解重合反応を10日間継続させたときに、その間に投入した全ポリグリコール酸の量(単位:g。以下、同じである。)に対する、留出した全グリコリドの量及び反応液中のポリグリコール酸の量(すなわち、解重合反応を終了したときに反応液中に残存しているポリグリコール酸の量)の合計の比とに基づき、以下の式によって算出する(単位:質量%)。
(式) PGAロス率(質量%)=100−〔(留出した全グリコリドの量+反応液中のポリグリコール酸の量)/投入した全ポリグリコール酸の量〕×100
本発明のグリコリドの製造方法によれば、10日間経過後のPGAロス率を、18質量%以下、好ましくは17質量%以下とすることができ、ポリエチレングリコールエーテル(B)と可溶化剤(C)の組み合わせや、工程(I)〜(III)の条件の選択によっては、16.5質量%以下とすることができる。
6.作用
本発明のグリコリドの製造方法は、いわば「溶液相解重合法」ともいうべき方法である。この製造方法によれば、以下のような理由により、効率よくグリコリドを製造することができる。
(1)PGA(A)を、溶媒であるポリエチレングリコールエーテル(B)との均一溶液相で解重合を起こさせることによって、その表面積が飛躍的に拡大され、PGA(A)の表面から生成するグリコリドの生成速度が大きくなる。
(2)PGA(A)同士の接触が、溶媒であるポリエチレングリコールエーテル(B)の希釈効果によって抑制されるために、加熱時におけるグリコール酸オリゴマー等のPGA(A)の重縮合反応の進行が抑制され、また、重質化物の生成量が低減する。したがって、グリコリドの収率が向上し、反応容器内のクリーニングの手間もほとんど省くことができる。
(3)グリコリドは、溶媒であるポリエチレングリコールエーテル(B)の留出温度で生成し、溶媒とともに留出するため、留出ラインにはほとんど蓄積せず、したがって、留出ラインの閉塞が防止され、また、留出ライン内の蓄積物の回収という手間もほとんど省くことができる。
(4)通常の蒸留システムと類似のシステムを用いることができるため、スケールアップが容易であり、工業的スケールでの量産化も容易である。
(5)さらに、PGA(A)の解重合反応の溶媒であるポリエチレングリコールエーテル(B)は、解重合反応によって熱劣化をほとんど起こさないので、解重合反応に使用した溶媒を再び解重合反応に用いることにより、新たに追加する必要がある溶媒量を減少させることができる。したがって、グリコリドを大量に製造する場合、溶媒コストを大幅に低減することができ、その結果、グリコリドを低コストで大量に製造することができる。
(6)PGA(A)の解重合を行う溶媒として、圧力3kPaにおける沸点が130〜220℃である特定のポリエチレングリコールエーテル(B)を使用することによって、PGA(A)の解重合反応を、例えば、温度200〜232℃、好ましくは温度210〜230℃という解重合温度条件や、3.6〜7kPa、好ましくは4〜6.8kPaという解重合圧力条件という、従来技術より穏和な解重合条件において行うことができる。この結果、省エネルギーに寄与するとともに、不純物の発生を抑制できることに加えて、グリコリドの生成速度の低下がなく、原料であるPGAのロス率も小さくなるので、長期間に亘ってグリコリドの製造を継続することができる。
(7)同じく溶媒として、ポリエチレングリコールエーテル(B)を使用することによって、PGA(A)に対して、比較的少量の溶媒の使用量で、PGA(A)の解重合反応を行うことができるので、溶媒ロスが減少し省資源にも寄与することができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。グリコリドの製造方法における製造工程の状態等の測定方法は以下のとおりである。
〔グリコリドの生成速度〕
PGAを解重合してグリコリドを製造する解重合反応系におけるGL生成速度は、以下の方法により測定した。すなわち、PGAの解重合反応の開始直後(初期)の1時間、並びに、解重合反応の開始から10日間経過後、同20日間経過後、及び同30日間経過後の、それぞれ最初の1時間、に留出したグリコリドと溶媒とを採取した。温度85℃の温水で冷却して、グリコリドと溶媒とを分離し、グリコリドは酢酸エチルで再結晶して、グリコリドと溶媒の質量(g)をそれぞれ計測して、開始直後、解重合反応の開始から10日間経過後、同20日間経過後、及び同30日間経過後の時点におけるGL生成速度(単位:g/時間)を算出した。
〔反応液中でのジグリコール酸濃度〕
PGAの解重合反応液中のジグリコール酸濃度は、以下の方法により測定した。すなわち、解重合反応の開始直後(初期)、解重合反応の開始から10日間経過時、同20日間経過時、及び同30日間経過時に、反応容器内の反応液を採取して、反応液中のジグリコール酸濃度(質量%)を、液体クロマトグラフィーによって測定した。
〔10日間経過後のポリグリコール酸ロス率〕
10日間経過後のポリグリコール酸ロス率(10日間経過後のPGAロス率)は、ポリグリコール酸の解重合反応を10日間継続させたときに、その間に投入した全ポリグリコール酸の量(単位:g。以下、同じである。)に対する、留出した全グリコリドの量及び反応液中のポリグリコール酸の量(すなわち、解重合反応を終了したときに反応液中に残存しているポリグリコール酸の量)の合計の比とに基づき、以下の式によって算出した(単位:質量%)。
(式) PGAロス率(質量%)=100−〔(留出した全グリコリドの量+反応液中のポリグリコール酸の量)/投入した全ポリグリコール酸の量〕×100
[実施例1]
PGA(A)として、グリコール酸オリゴマー〔重量平均分子量19,000(GPC測定による。以下同じ。)〕160gを、冷却器を連結した500mlフラスコ(反応容器)に仕込み、溶媒であるポリエチレングリコールエーテル(B)〔以下、「溶媒(B)」ということがある。〕として、エチレングリコールブチルドデシルエーテル(圧力3kPaにおける沸点211℃。以下、「溶媒1」ということがある。)を35g加え〔PGA(A)100質量部に対して、21.9質量部に相当する。〕、さらに、可溶化剤(C1)として、テトラエチレングリコールモノオクチルエーテル89g、及び、可溶化剤(C2)として、ポリエチレングリコールジメチルエーテル#500(数平均分子量500、日油株式会社製)35gからなる可溶化剤(C)を加えて、PGA(A)、溶媒(B)及び可溶化剤(C)からなる混合物(解重合組成物)を調製した。窒素ガス雰囲気下、反応容器であるフラスコの周囲に設置した加熱器(電流加熱)により、解重合組成物を加熱して、温度210℃で1時間脱水操作を行った後、解重合組成物を、温度225℃に加熱した(加熱工程)。PGA(A)は、溶媒に均一に溶解し、実質的に相分離していない溶液状態が形成されていることが目視により確認された(溶液形成工程)。
温度225℃において溶液状態で加熱を継続しながら、フラスコ内を4.1kPaに減圧すると、PGA(A)の解重合反応によりグリコリドの生成が開始し(グリコリド生成工程)、グリコリドと溶媒(B)との共留出が始まった。温度225℃を維持するように、加熱電流を調整して、減圧下での加熱を継続した(留出工程)。留出したグリコリドと溶媒(B)とを、冷却器で冷却して、1時間経過ごとに回収した(回収工程)。留出したグリコリドの計測量に相当するPGA(A)と溶媒(B)とを、反応容器に追加投入し、解重合反応を継続しながら、解重合反応を30日間継続した。反応開始直後(初期)、反応開始から10日間経過後、20日間経過後、及び30日間経過後の時点における、採取された1時間当たりのグリコリド量(g/時間)〔GL生成速度(g/時間)〕、反応容器内の解重合組成物中のジグリコール酸濃度(質量%)〔以下、「反応液中のDGA濃度(質量%)」ということがある。〕、及び、反応開始から10日間経過後のPGAロス率(質量%)を測定した結果を、表2に示す。
[実施例2]
グリコリド生成工程における加熱条件を、温度230℃、圧力4.7kPaに変更したことを除き、実施例1と同様にして、PGA(A)を解重合して、グリコリドを製造した。GL生成速度(g/時間)、反応液中のDGA濃度(質量%)、及び、10日間経過後のPGAロス率を測定した結果を、表2に示す。
[実施例3]
溶媒(B)である溶媒1を70g使用したこと、可溶化剤(C2)を使用しなかったこと、及び、グリコリド生成工程における加熱条件を、温度225℃、圧力5.0kPaに変更したことを除き、実施例1と同様にして、PGA(A)を解重合して、グリコリドを製造した。GL生成速度(g/時間)、反応液中のDGA濃度(質量%)、及び、10日間経過後のPGAロス率を測定した結果を、表2に示す。
[実施例4]
溶媒(B)として、エチレングリコールジオクチルエーテル(圧力3kPaにおける沸点195℃。以下、「溶媒2」ということがある。)を使用したこと、グリコリド生成工程における温度及び圧力を、温度220℃、圧力4.5kPaに変更したことを除き、実施例1と同様にして、PGA(A)を解重合して、グリコリドを製造した。GL生成速度(g/時間)、反応液中のDGA濃度(質量%)、及び、10日間経過後のPGAロス率(質量%)を測定した結果を、表2に示す。
[実施例5]
グリコリド生成工程における温度及び圧力を、温度230℃、圧力6.8kPaに変更したことを除き、実施例4と同様にして、PGA(A)を解重合して、グリコリドを製造した。GL生成速度(g/時間)、反応液中のDGA濃度(質量%)、及び、10日間経過後のPGAロス率(質量%)を測定した結果を、表2に示す。
[実施例6]
溶媒である溶媒2を70g使用したこと、可溶化剤(C2)を使用しなかったこと、及び、グリコリド生成工程における加熱条件を、温度220℃、圧力5.5kPaに変更したことを除き、実施例4と同様にして、PGA(A)を解重合して、グリコリドを製造した。GL生成速度(g/時間)、反応液中のDGA濃度(質量%)、及び、10日間経過後のPGAロス率(質量%)を測定した結果を、表2に示す。
[比較例1]
溶媒(B)である溶媒1に代えて、溶媒として、トリエチレングリコールブチルオクチルエーテル(圧力3kPaにおける沸点223℃であり、本発明において使用する溶媒(B)には属しない。以下、「溶媒3」ということがある。)70gを使用したこと(PGA100質量部に対して、43.8質量部に相当する。)、可溶化剤(C2)を使用しなかったこと、及び、グリコリド生成工程における加熱条件を、温度230℃、圧力2.8kPaに変更したことを除き、実施例1と同様にして、PGA(A)を解重合して、グリコリドを製造した。GL生成速度(g/時間)、反応液中のDGA濃度(質量%)、及び、10日間経過後のPGAロス率(質量%)を測定した結果を、表2に示す。
[比較例2]
グリコリド生成工程における加熱条件を、温度235℃、圧力3.3kPaに変更したことを除き、比較例1と同様にして、PGA(A)を解重合して、グリコリドを製造したところ、30日間経過前にグリコリドの生成が停止した。GL生成速度(g/時間)、反応液中のDGA濃度(質量%)、及び、10日間経過後のPGAロス率(質量%)を測定した結果を、表2に示す。
[比較例3]
可溶化剤(C)を加えなかったこと、及び溶媒として溶媒3を159g使用したことを除き、比較例1と同様にして、PGA及び溶媒(溶媒3)からなる解重合組成物〔可溶化剤を含有しない。〕を調製した。窒素ガス雰囲気下、解重合組成物を加熱して、温度210℃で1時間脱水操作を行った後、解重合組成物を、温度225℃に加熱したところ、PGA(A)は、溶媒に均一に溶解した溶液状態となっていないことが目視により確認された。
更に加熱を継続して、温度を235℃に上げるとともに、反応容器であるフラスコ内を3.9kPaに減圧したところ、溶媒3の留出がみられたが、グリコリドとの共留出はみられなかった。GL生成速度(g/時間)、反応液中のDGA濃度(質量%)、及び、10日間経過後のPGAロス率(質量%)を測定した結果を、表2に示す。
Figure 0006250636
表2から、PGAを解重合してグリコリドを製造する方法において、
(I)PGA(A)と下記式(1)
X−O−(−CHCH−O−)−Y (1)
(式中、X及びYは、それぞれ独立して、炭素数2〜20のアルキル基またはアリール基を表し、pは、1〜5の整数を表す。)
で表され、かつ、分子量が150〜450であり、圧力3kPaにおける沸点が130〜220℃であるポリエチレングリコールエーテル(B)とを含有する混合物を、常圧下または減圧下に、PGA(A)の解重合が起こる温度に加熱する加熱工程、(II)前記混合物を、PGA(A)の融液相とポリエチレングリコールエーテル(B)からなる液相とが実質的に均一な相を形成する溶液状態とする溶液形成工程、(III)該溶液状態で加熱を継続することによって、PGA(A)の解重合反応によりグリコリドを生成させるグリコリド生成工程、(IV)生成したグリコリドをポリエチレングリコールエーテル(B)とともに、解重合反応系から留出させる留出工程、及び、(V)留出物からグリコリドを回収する回収工程
を含む実施例1〜6のグリコリドの製造方法においては、
1)温度220〜230℃、及び圧力4.1〜6.8kPaという比較的穏和な条件において、PGA(A)の解重合反応によりグリコリドを製造することができる、
2)GL生成速度の時間経過による低下が緩慢である、
3)不純物であるジグリコール酸の生成が抑制できる、及び、
4)10日間経過後のPGAロス率が16.1質量%以下である、
ことから、長期間に亘ってグリコリドの製造を継続することができるメリットがあることが分かった。
特に、可溶化剤(C)が、(C1)常圧における沸点が180℃以上で、一価または二価以上の多価アルコール、及び、(C2)常圧における沸点が180℃以上で、ポリエチレングリコールエーテル(B)に相溶性のある非塩基性化合物(一価または二価以上の多価アルコールを除く。)を含有する実施例1、2、4及び5においては、PGA(A)100質量部に対して、溶媒(B)21.9質量部の使用によって、PGA(A)の解重合反応を行うことができることから、PGA(A)の解重合反応を行うために使用する溶媒(B)の使用量の節減効果があることが分かった。
これに対して、溶媒として、圧力3kPaにおける沸点が130〜220℃の範囲内ではないポリエチレングリコールエーテルである溶媒3を使用する比較例1及び2のグリコリドの製造方法においては、PGA(A)100質量部に対する溶媒の使用量を43.8質量部としても、温度235℃または圧力2.8kPaという厳しい条件によらなければ、PGA(A)の解重合反応によりグリコリドを生成することができないこと、しかも、PGA(A)の解重合反応の継続に伴う不純物であるDGAの生成量の増加が顕著であり、高温及び/または低圧の解重合条件であることから、初期のグリコリド生成速度が大きいものの、グリコリドの生成速度の時間経過による低下が急速であり、PGAの解重合反応が短期間で終了してしまうことがあることが分かった。また、比較例3から、溶媒3を使用する場合、更に可溶化剤を使用しない場合は、PGA(A)100質量部に対する、溶媒の使用量を99.4質量部と極めて多量とし、かつ、温度235℃という厳しい解重合条件を採用しても、PGA(A)の解重合反応によりグリコリドを生成させることができないことが分かった。
本発明は、
ポリグリコール酸を解重合してグリコリドを製造する方法において、
(I)ポリグリコール酸(A)と、下記式(1)
X−O−(−CHCH−O−)−Y (1)
(式中、X及びYは、それぞれ独立して、炭素数2〜20のアルキル基またはアリール基を表し、pは、1〜5の整数を表す。)
で表され、かつ、分子量が150〜450であり、圧力3kPaにおける沸点が130〜220℃であるポリエチレングリコールエーテル(B)とを含有する混合物を、常圧下または減圧下に、ポリグリコール酸(A)の解重合が起こる温度に加熱する加熱工程、
(II)前記混合物を、ポリグリコール酸(A)の融液相とポリエチレングリコールエーテル(B)からなる液相とが実質的に均一な相を形成する溶液状態とする溶液形成工程、
(III)該溶液状態で加熱を継続することによって、ポリグリコール酸(A)の解重合反応によりグリコリドを生成させるグリコリド生成工程、
(IV)生成したグリコリドをポリエチレングリコールエーテル(B)とともに、解重合反応系から留出させる留出工程、及び、
(V)留出物からグリコリドを回収する回収工程
を含むことを特徴とするグリコリドの製造方法であることによって、製造効率の低下がなく長期間に亘って反応を継続することができ、効率的かつ経済的に、ポリグリコール酸を解重合してグリコリドを製造する方法が提供されるので、産業上の利用可能性が高い。

Claims (20)

  1. ポリグリコール酸を解重合してグリコリドを製造する方法において、
    (I)ポリグリコール酸(A)と、下記式(1)
    X−O−(−CHCH−O−)−Y (1)
    (式中、X及びYは、それぞれ独立して、炭素数2〜20のアルキル基またはアリール基を表し、pは、1を表す。)
    で表され、かつ、分子量が150〜450であり、圧力3kPaにおける沸点が130〜220℃であるポリエチレングリコールエーテル(B)とを含有する混合物を、常圧下または減圧下に、ポリグリコール酸(A)の解重合が起こる温度に加熱する加熱工程、
    (II)前記混合物を、ポリグリコール酸(A)の融液相とポリエチレングリコールエーテル(B)からなる液相とが実質的に均一な相を形成する溶液状態とする溶液形成工程、
    (III)該溶液状態で加熱を継続することによって、ポリグリコール酸(A)の解重合反応によりグリコリドを生成させるグリコリド生成工程、
    (IV)生成したグリコリドをポリエチレングリコールエーテル(B)とともに、解重合反応系から留出させる留出工程、及び、
    (V)留出物からグリコリドを回収する回収工程
    を含み、
    前記混合物中のポリエチレングリコールエーテル(B)の含有量が、ポリグリコール酸(A)100質量部に対して15〜50質量部であり、
    前記グリコリド生成工程及び前記留出工程の温度が210〜228℃であることを特徴とするグリコリドの製造方法。
  2. ポリエチレングリコールエーテル(B)は、温度85℃におけるグリコリドの溶解度が0.1〜5質量%であるポリエチレングリコールエーテルである請求項1記載のグリコリドの製造方法。
  3. ポリエチレングリコールエーテル(B)は、前記式(1)におけるX及びYがいずれもアルキル基であり、かつ、これらのアルキル基の炭素数の合計が5〜28であるポリエチレングリコールエーテルである請求項1記載のグリコリドの製造方法。
  4. 工程(I)〜(III)において、混合物を温度200〜232℃に加熱する請求項1記載のグリコリドの製造方法。
  5. 工程(III)において、0.3〜90kPaの減圧下で加熱を継続する請求項1記載のグリコリドの製造方法。
  6. 工程(I)〜工程(III)において、前記混合物が、ポリグリコール酸(A)のポリエチレングリコールエーテル(B)に対する溶解性を高める可溶化剤(C)を更に含有する請求項1記載のグリコリドの製造方法。
  7. 可溶化剤(C)は、常圧における沸点が180℃以上で、ポリエチレングリコールエーテル(B)に相溶性のある非塩基性化合物である請求項記載のグリコリドの製造方法。
  8. 可溶化剤(C)は、一価または二価以上の多価アルコール、フェノール、一価または二価以上の多価脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアミンとの脂肪族アミド、脂肪族イミド、及び分子量が450を超えるポリアルキレングリコールエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項記載のグリコリドの製造方法。
  9. 可溶化剤(C)は、式(2)
    HO−(−R−O−)−H (2)
    (式中、Rは、メチレン基または炭素数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、qは、1以上の整数を表し、qが2以上の場合、複数のRは、それぞれ同一でも異なってもよい。)
    で表されるポリアルキレングリコールを含む請求項記載のグリコリドの製造方法。
  10. 前記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリブチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項記載のグリコリドの製造方法。
  11. 可溶化剤(C)は、式(3)
    HO−(−R−O−)−X (3)
    (式中、Rは、メチレン基または炭素数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、Xは、炭化水素基を表し、rは、1以上の整数を表し、rが2以上の場合、複数のRは、それぞれ同一でも異なってもよい。)
    で表されるポリアルキレングリコールモノエーテルを含む請求項記載のグリコリドの製造方法。
  12. ポリアルキレングリコールモノエーテルは、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル、及びポリブチレングリコールモノエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項11記載のグリコリドの製造方法。
  13. ポリアルキレングリコールモノエーテルは、そのエーテル基として炭素数1〜18のアルキル基を有するものである請求項11記載のグリコリドの製造方法。
  14. 可溶化剤(C)は、(C1)常圧における沸点が180℃以上で、一価または二価以上の多価アルコール、及び、(C2)常圧における沸点が180℃以上で、ポリエチレングリコールエーテル(B)に相溶性のある非塩基性化合物(一価または二価以上の多価アルコールを除く。)を含有する請求項記載のグリコリドの製造方法。
  15. 可溶化剤(C)を、ポリグリコール酸(A)100質量部に対して、0.1〜500質量部の割合で添加する請求項記載のグリコリドの製造方法。
  16. 工程(V)において、留出物をコンデンサーで冷却して、グリコリドとポリエチレングリコールエーテル(B)とを液状で相分離させ、グリコリド相を分離回収する請求項1記載のグリコリドの製造方法。
  17. 留出物を温度85〜180℃に冷却して、グリコリドとポリエチレングリコールエーテル(B)とを液状で相分離させる請求項16記載のグリコリドの製造方法。
  18. 解重合反応を継続しながら相分離を行い、留出物中のグリコリドを下層のグリコリド相中に凝縮させる請求項16記載のグリコリドの製造方法。
  19. ポリエチレングリコールエーテル(B)相を分離して、解重合反応系に循環させる請求項16記載のグリコリドの製造方法。
  20. ポリエチレングリコールエーテル(B)は、常圧における沸点が230〜450℃である請求項1記載のグリコリドの製造方法。
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