JP6248782B2 - 高ヤング率冷延鋼鈑、高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板、高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板、高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板、及び、それらの製造方法 - Google Patents

高ヤング率冷延鋼鈑、高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板、高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板、高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板、及び、それらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高ヤング率冷延鋼鈑、高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板、高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板、高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板、及び、それらの製造方法に関するものである。
自動車分野においては、燃費改善の観点から、車体を軽量化するニーズが高まり、また、衝突安全性の確保の観点から、各種の高強度鋼板が自動車部材に適用されている。しかし、組織強化や細粒化などの強化機構を用いて鋼板の降伏強度や引張強度を向上させても、ヤング率は変化しない。このため、軽量化のために鋼板の板厚を薄くすると、部材剛性が低下してしまうので、高強度鋼板の薄板化が困難になってきている。
一方、一般に、鉄のヤング率は206GPa程度であるが、多結晶鉄の結晶方位(集合組織)を制御することで、特定の方向のヤング率を上げることが可能である。これまでにも、例えば、結晶の{112}<110>方位への集積度を高めて、圧延方向に対し直角の方向(以下「圧延直角方向」ということがある。)のヤング率を高めた鋼板が、多数提案されている。
しかし、{112}<110>方位は、圧延方向と圧延直角方向のr値を著しく低下させる方位であることから、深絞り性が著しく劣化すると。また、圧延方向に対し45°の方向(以下「圧延45°方向」ということがある。)のヤング率が、通常の鋼板のヤング率よりも低下してしまので、フレーム部材等のような一方向に長尺な部材にしか適用できない。例えば、パネル部材や、ねじれ剛性のように複数の方向のヤング率が要求される部材には適用できない。
加えて、これまで、500MPa級以下の比較的強度の低い鋼板を対象とした検討は、あまりなされていない。これは、特定の結晶方位を発達させるためには、Nb、Ti、Mo、B、Mn、P、Bなどの合金元素を多く含有させる必要があり、結果的に強度が上昇してしまうためである。強度の上昇は、同時に延性の低下を招き、加工性を低下させる。
特許文献1〜5には、{112}<110>又は{112}<110>を含む方位群を発達させた鋼板で、圧延直角方向に高いヤング率を有し、部材の特定方向を幅方向に揃えることで、その方向の剛性を上げることができる鋼板が開示されている。しかし、特許文献1〜5のいずれにおいても、圧延直角方向のヤング率以外のことは開示されていない。
本発明者らの一部は、例えば、特許文献6及び7で、圧延方向のヤング率が高い熱延鋼板、冷延鋼板、及び、それらの製造方法を提案した。特許文献6及び7には、鋼板表層に発達する{110}<111>方位や{112}<111>方位を活用して、圧延方向及び圧延直角方向のヤング率を高める技術が開示されている。
特許文献6には、静的引張法によって測定した圧延方向及び圧延直角方向のヤング率が開示されているが、圧延45°方向のヤング率は開示されていない。特許文献7には、45°方向のヤング率も開示されているが、全ての場合で、高いヤング率が得られているわけではない。また、ヤング率の測定方法は、板厚表層のヤング率の影響を受け易い動的振動法で測定されており、本発明の静的引張法とは測定方法が異なる。
特許文献8には、冷延鋼板の圧延方向と圧延直角方向のヤング率(静的引張法で測定)を高める技術が開示されているが、活用する結晶方位が、本発明と異なり、また、圧延45°方向のヤング率は開示されていない。
そして、特許文献8に開示の技術には、固溶強化元素であるMnを1.2%以上添加するとともに、Ar3〜Ar3+150℃の温度域で全圧下量85%以上の熱間圧延、即ち、圧延機への負荷が極めて高い熱間圧延を施すという問題がある。また、この技術では、圧延45°方向のヤング率が向上するとは限らない。
特許文献9には、極低炭素鋼を用いてヤング率を高める技術が開示されている。特許文献9に記載の技術では、焼鈍時に未再結晶フェライトを残存させることで、{112}<110>方位への集積度を高めているので、加工性の向上は期待できない。
特開2006−183130号公報 特開2007−092128号公報 特開2008−240125号公報 特開2008−240123号公報 特開2012−233229号公報 特開2009−019265号公報 特開2007−146275号公報 特開2009−013478号公報 特開平05−255804号公報
本発明は、従来技術の問題に鑑み、圧延方向、圧延45°方向、及び、圧延直角方向のいずれの方向のヤング率も、従来材のヤング率に比べ高くすることを課題とし、該課題を解結する高ヤング率冷延鋼鈑、高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板、高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板、高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板、及び、それらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、(i)合金元素の制約をできるだけ抑えて、安価で、かつ、(ii)加工性の低下を抑えつつ、ヤング率を、従来材のヤング率に比べ高くする手法について鋭意研究した。
その結果、熱延鋼板のミクロ組織を最適化し、かつ、冷延後の焼鈍時(以下「冷延焼鈍時」ということがある。)の焼鈍条件を最適化すると、冷延鋼板において、圧延方向、圧延45°方向、及び、圧延直角方向のいずれの方向のヤング率も向上することを知見した。
即ち、上記最適化により、(i)冷間圧延及び焼鈍中に、上記いずれの方向のヤング率も向上する{557}<9 16 5>が主方位となるように集合組織を発達させるとともに、(ii){557}<9 16 5>方位の発達と同時に発達する傾向にあり、ヤング率を下げる{001}<120>方位の発達をできるだけ抑制すると、優れた剛性(ヤング率)及び深絞り性(加工性)が得られることを見いだした。
また、{557}<9 16 5>方位は、ベイネティックフェライト化した熱延鋼板組織に、冷間圧延後、適度に回復を抑制した焼鈍を施すことで発達すること、また、ヤング率を下げる{001}<120>方位は、熱延鋼板組織の結晶粒径が大きくなると発達し易いことを見いだした。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]質量%で、C:0.0005〜0.01%、Si:1.50%以下、Mn:0.50〜1.50%、P:0.08%以下、S:0.01%以下、Al:0.10%以下、N:0.006%以下、Ti:0.0025〜0.10%、B:0.0005〜0.005%を、下記(1)式を満足するように含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる成分組成を有する冷延鋼板であって、
1/2厚と1/8厚で測定した{557}<9 16 5>方位のランダム強度比の平均値(A)が8以上、かつ、{001}<120>方位のランダム強度比の平均値(B)が(A)/8以下、加えて、{112}<110>方位のランダム強度比の平均値(C)が3以下である
ことを特徴とする高ヤング率冷延鋼鈑。
Ti*(質量%)/C(質量%)≧5 ・・・(1)
ここで、Ti*=Ti(質量%)+48/93×Nb(質量%)
−48/14×N(質量%)−48/32×S(質量%)
[2]前記成分組成が、更に、質量%で、Nb:0.005〜0.04%を含有することを特徴とする前記[1]に記載の高ヤング率冷延鋼板。
[3]前記成分組成が、更に、質量%で、Mo:0.005〜0.10%、Cr:0.005〜0.50%、W:0.005〜0.50%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の高ヤング率冷延鋼鈑。
[4]前記成分組成が、更に、質量%で、Cu:0.005〜0.50%を含有することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の高ヤング率冷延鋼鈑。
[5]前記成分組成が、更に、質量%で、Ni:0.005〜0.50%を含有することを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の高ヤング率冷延鋼鈑。
[6]前記成分組成が、更に、質量%で、Ca:0.0005〜0.10%、REM:0.0005〜0.10%、V:0.001〜0.10%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の高ヤング率冷延鋼鈑。
[7]前記冷延鋼板において、圧延方向に対し直角の方向のヤング率が225GPa以上で、圧延方向及び圧延方向に対し45°の方向のヤング率がいずれも210GPa以上であることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれかに記載の高ヤング率冷延鋼鈑。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の高ヤング率冷延鋼鈑の表面に、電気亜鉛系めっきが施されていることを特徴とする高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板。
[9]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の高ヤング率冷延鋼鈑の表面に、溶融亜鉛めっきが施されていることを特徴とする高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
[10]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の高ヤング率冷延鋼鈑の表面に、合金化溶融亜鉛めっきが施されていることを特徴とする高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
[11]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の高ヤング率冷延鋼鈑を製造する方法であって、
(1)前記[1]〜[6]のいずれかに記載の成分組成を有する鋼片を1150℃以上に加熱し、次いで、
(2)熱間圧延も供し、890℃以上、970℃以下の温度で終了し、その後、
(3)2秒以内に冷却を開始し、平均冷却速度20℃/秒以上で650℃以下に冷却し、500〜600℃の温度で巻き取り、次いで、
(4)酸洗後、圧下率70〜85%の冷間圧延に供し、更に、
(5)500〜650℃の温度域では、平均加熱速度20〜1000℃/秒で加熱し、650℃を超える温度域では、平均加熱速度1〜15℃/秒で750℃以上、880℃以下の温度に加熱し、加熱後、1秒以上保持する
ことを特徴とする高ヤング率冷延鋼板の製造方法。
[12]前記[8]に記載の高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板を製造する方法であって、前記[11]に記載の高ヤング率冷延鋼鈑の製造方法で製造した鋼板の表面に電気亜鉛系めっきを施すことを特徴とする高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板の製造方法。
[13]前記[9]に記載の高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板を製造する方法であって、前記[11]に記載の高ヤング率冷延鋼鈑の製造方法で製造した鋼板の表面に溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法。
[14]前記[10]に記載の高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板を製造する方法であって、前記[13]に記載の高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法で製造した溶融亜鉛めっき鋼板に、450〜600℃の温度で10秒以上の熱処理を施すことを特徴とする高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法。
本発明によれば、圧延方向、圧延45°方向、及び、圧延直角方向のいずれの方向のヤング率も210GPa以上で、かつ、圧延直角方向のヤング率が225GPa以上の、ヤング率が高く剛性に優れた冷延鋼板、電気亜鉛系めっき冷延鋼板、溶融亜鉛めっき冷延鋼板、及び、合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板を提供することができる。
ODF(Orientation Distribution Function;φ2=45°断面)上の各結晶方位の位置を示す図である。
以下、本発明について説明する。なお、以下の説明は、本発明を理解するための説明であり、本発明を限定するものではない。
通常、鋼板のヤング率とr値は、いずれも結晶方位に依存して、大きく変化する。本発明者らは、鋼板のr値を高める方位のγファイバー({111}<112>〜{111}<110>方位群))と、γファイバーに近接する方位のヤング率の異方性を調査した。
その結果、γファイバーから少しずれた{557}<9 16 5>方位において、r値の劣化が比較的少なく、かつ、いずれの面内方向のヤング率も高く、特に、圧延直角方向のヤング率が向上することを見いだした。
また、同時に、少量でもヤング率を低下させる{001}<120>方位を抑制すること、加えて、ヤング率の異方性が大きい{112}<110>方位を低減することで、異方性が小さく、かつ、高いヤング率を達成できることを見だした。なお、本発明において、ヤング率は、後述の静的引張法で測定したヤング率を用いる。
本発明の高ヤング率冷延鋼鈑(以下「本発明鋼板」ということがある。)は、上記知見に基づいてなされたもので、
質量%で、C:0.0005〜0.01%、Si:1.50%以下、Mn:0.50〜1.50%、P:0.08%以下、S:0.01%以下、Al:0.10%以下、N:0.006%以下、Ti:0.0025〜0.10%、B:0.0005〜0.005%を、下記(1)式を満足するように含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる成分組成を有する冷延鋼板であって、
1/2厚と1/8厚で測定した{557}<9 16 5>方位のランダム強度比の平均値(A)が8以上、かつ、{001}<120>方位のランダム強度比の平均値(B)が(A)/8以下、加えて、{112}<110>方位のランダム強度比の平均値(C)が3以下である
ことを特徴とする。
Ti*(質量%)/C(質量%)≧5 ・・・(1)
ここで、Ti*=Ti(質量%)+48/93×Nb(質量%)
−48/14×N(質量%)−48/32×S(質量%)
なお、Ti*の計算において、無添加元素は0として計算する。
本発明鋼板は、本発明の高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板(以下「本発明電気亜鉛めっき鋼板」ということがある。)、本発明の高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板(以下「本発明溶融亜鉛めっき鋼板」ということがある。)、及び、本発明の高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板(以下「本発明合金化溶融亜鉛めっき鋼板」ということがある。)の基礎となる冷延鋼板であるので、さきに、本発明鋼板の特徴要件について説明する。
本発明電気亜鉛めっき鋼板、本発明溶融亜鉛めっき鋼板、及び、本発明合金化溶融亜鉛めっき鋼板については後述する。
「成分組成」
本発明鋼板の成分組成の限定理由について説明する。以下、「%」は「質量%」を意味する。
C:0.0005〜0.01%
Cは、熱延鋼板組織の結晶粒内に固溶状態で存在すると、冷延中に粒内に剪断帯を形成し、圧延方向のヤング率を低下させる{110}<001>方位を発達させる元素であるので、0.01%以下とする。好ましくは0.006%以下、より好ましくは0.0035%以下である。
Cを0.0005%未満に低減すると、真空脱ガス処理コストが大きく上昇するので、0.0005%以上とする。好ましくは0.0010%以上である。
Si:1.50%以下
Siは、脱酸元素であり、また、固溶強化により強度を高める元素である。1.50%を超えると、加工性の劣化を招く他、熱延中のスケール疵の原因となり、めっきの密着性を低下させるので、1.50%以下とする。好ましくは1.00%以下、より好ましくは0.50%以下である。下限は特に規定しないが、添加効果を確実に得る点で、0.01%以上が好ましい。
Mn:0.50〜1.50%
Mnは、本発明鋼板において重要な元素である。Mnは、熱延終了後の冷却時の焼入れ性を高め、熱延鋼板組織をベイネティックフェライトとする元素である。また、Mnは、焼鈍中に微量の固溶Cと共存して、冷延後の焼鈍中の回復を抑制する元素である。
回復が抑制された{112}〜{111}<110>方位の加工粒からは、{557}<9 16 5>が再結晶し易く、ヤング率が向上するので、Mnは0.50%以上とする。好ましくは0.70%以上である。
一方、Mnが1.50%を超えると、冷延焼鈍後の回復・再結晶が抑制されすぎて集合組織が劣化し、ヤング率が低下するとともに、強度が上昇しすぎて延性が劣化するので、1.50%以下とする。好ましくは1.20%以下、より好ましくは1.00%以下である。
P:0.08%以下
Pは、安価に強度を高めることができる元素である。しかし、0.08%を超えると、二次加工割れが顕著となり、延性が劣化するとともに、ヤング率も低下するので、0.08%以下とする。好ましくは0.06%以下、より好ましくは0.04%以下である。
下限は特に限定しないが、Pを不純物元素として扱い、0.001%未満に低減すると、真空脱ガス処理コストが大きく上昇するので、実用鋼板上0.001%が下限となる。好ましくは0.005%以上である。
S:0.01%以下
Sは、TiSを形成し、後述の換算固溶Ti量を低減するとともに、MnSを形成して固溶Mn量を低減し、加工性の劣化を招く元素である。少ないほど好ましいが、0.01%を超えると、加工性の劣化、及び、固溶Mn量の減少が著しいので、0.01%以下とする。好ましくは0.008%以下、より好ましくは0.005%以下である。
下限は特に限定しないが、Sを不純物元素として扱い、0.0001%未満に低減すると、真空脱ガス処理コストが大きく上昇するので、実用鋼板上0.0001%が下限となる。好ましくは0.0005%以上、より好ましくは0.0010%以上である。
Al:0.10%以下
Alは、脱酸元素であるとともに、変態点を著しく高める元素である。0.10%を超えると、γ域圧延が困難となるので、0.10%以下とする。加工性の確保の点で、0.07%以下が好ましい。下限は特に限定しないが、脱酸効果を確実に確保する点で、0.01%以上が好ましい。より好ましくは0.02%以上である。
N:0.006%以下
Nは、高温でTiNを形成し、γ相での再結晶を抑制する元素である。0.006%を超えると、TiN量が増えすぎて加工性が劣化するとともに、後述の換算固溶Ti量が減少するので、0.006%以下とする。好ましくは0.004%以下、より好ましくは0.002%以下である。
なお、Nを、TiNのTi当量(48Ti/14)以上添加すると、残存したNがBNを形成し、固溶B量が減少して焼入れ性が低下するので、Nは、48Ti/14以下がより好ましい。
Nを不純物元素として扱う場合もあるので、下限は特に設定しないが、0.0005%未満に低減すると、製鋼コストが上昇するので、実用鋼板上0.0005%が実質的な下限となる。好ましくは0.0010%以上である。
Ti:0.0025〜0.10%
Tiは、深絞り性とヤング率の向上に寄与する重要な元素である。Tiは、γ相の高温域で窒化物を形成し、後述のNbと同様に、熱間圧延において、γ相を加工した際の再結晶を抑制する元素である。また、Tiは、鋼板の巻き取り中に、TiCとして析出して固溶Cを低減し、{557}<9 16 5>方位を発達させる元素である。更に、Tiは、高温でTiNを形成して、BNの析出を抑制して、固溶Bの確保に寄与し、ヤング率の向上に好ましい集合組織の発達を促進する元素である。
この添加効果を得るため、Tiは0.0025%以上とする。好ましくは0.0045%以上、より好ましくは0.009%以上である。一方、0.10%を超えると、再結晶温度が上昇して、加工性が著しく低下するので、0.10%以下とする。好ましくは0.07%以下、より好ましくは0.04%以下である。
B:0.0005〜0.005%
Bも、Mn、Tiと同様に、本発明鋼板において重要な元素である。Bは、焼入れ性を高めるとともに、熱延鋼板のミクロ組織と集合組織を最適化する作用をなす元素である。添加効果を得るため、0.0005%以上とする。好ましくは0.0007%以上、より好ましくは0.0010%以上である。
一方、0.005%を超えると、再結晶温度が著しく上昇し、集合組織が劣化してヤング率が低下するとともに、加工性が低下するので、0.005%以下とする。好ましくは0.004%以下、より好ましくは0.003%以下である。
Ti*(質量%)/C(質量%)≧5((1)式)
上記(1)式について説明する。
ここで、Ti*=Ti(質量%)+48/93×Nb(質量%)
−48/14×N(質量%)−48/32×S(質量%)
である。
上記(1)式は、換算固溶Ti量、即ち、Ti*[=Ti(質量%)+48/93×Nb(質量%)−48/14×N(質量%)−48/32×S(質量%)]とC量の関係を規定する関係式である。
熱延鋼板中に固溶Cが残存すると、冷間圧延中に剪断帯が生成する原因となり、ヤング率を向上させる{557}<9 16 7>の発達が阻害される。そのため、TiCやNbC等の炭化物を形成して、Cを無害化する必要がある。換算固溶Ti量;Ti*とC量の比が化学量論的に4以上であれば、Cを炭化物として固定することが可能である。
しかし、実際には、Ti*/Cが5以上となるような過剰なTi*が存在しないと、Cを炭化物として固定することは困難である。そこで、Ti*/Cの下限を5とする。好ましくは6以上である。
Ti*/Cの上限は、特に規定しないが、Nb無添加鋼の場合、Cの下限0.0005%とTiの上限0.10%から100が上限となる。後述の理由で、Nbが添加される場合は、約141が上限となる。なお、Nb無添加の場合、上記(1)式において、Nbを0%としてTi*(質量%)を計算する。
本発明鋼板においては、上記元素の他、鋼板特性を改善する元素として、(a)Nb:0.005〜0.04%、(b)Mo:0.005〜0.10%、Cr:0.005〜0.50%、W:0.005〜0.50%の1種又は2種以上、(c)Cu:0.005〜0.50%、及び、(d)Ni:0.005〜0.50%の元素群から、適宜、1群又は2群以上を選択して含有してもよい。
(a)群元素
Nb:0.005〜0.04%
Nbは、熱間圧延において、γ相を加工した際の再結晶を顕著に抑制し、熱延鋼板組織の結晶粒径を微細にするとともに、巻き取り中にNbCを形成して、固溶Cを低減し、{557}<9 16 7>方位の発展に寄与する元素である。添加効果を得るため、0.005%以上とする。好ましくは0.010%以上、より好ましくは0.015%以上である。
一方、0.04%を超えると、熱間圧延及び冷延焼鈍時の再結晶が抑制されすぎて、ヤング率が低下するので、0.04%以下とする。好ましくは0.03%以下、より好ましくは0.025%以下である。
(b)群元素
Mo:0.005〜0.10%
Cr:0.005〜0.50%
W:0.005〜0.50%
Mo、Cr、Wは、いずれも焼入れ性の向上に寄与する元素である。添加効果を得るため、いずれも、0.005%以上とする。好ましくは、いずれも0.010%以上である。
一方、Moが0.10%を超え、Crが0.50%を超え、及び/又は、Wが0.50%を超えると、延性や溶接性が低下するので、Moは0.10%以下とし、Crは0.50%以下とし、Wは0.50%以下とする。好ましくは、Moは0.05%以下、Crは0.25%以下、Wは0.25%以下である。
(c)群元素
Cu:0.005〜0.50%
Cuは、耐食性やスケールの剥離性の向上に寄与する元素である。添加効果を得るため、0.005%以上とする。好ましくは0.010%以上である。一方、0.50%を超えると、析出強化による過度の強度上昇を招くので、0.50%以下とする。好ましくは0.30%以下である。
(d)群元素
Ni:0.005〜0.50%
Niは、鋼板強度の向上と靭性の向上に寄与する元素である。添加効果を得るため、0.005%以上とする。好ましくは0.010%以上である。一方、0.50%を超えると、延性が低下するので、0.50%以下とする。好ましくは0.30%以下である。
本発明鋼板は、上記必須元素及び上記選択元素の他、更に、強度の向上や、材質改善に寄与する元素として、(e)Ca:0.0005〜0.10%、REM(希土類元素):0.0005〜0.10%、V:0.001〜0.10%の1種又は2種以上を含有してもよい。
(e)群元素
Ca:0.0005〜0.10%
REM(希土類元素):0.0005〜0.10%
V:0.001〜0.10%
Ca及びREMが0.0005%未満、及び/又は、Vが0.001%未満であると、添加効果が充分に得られないので、Ca及びREMは0.0005%以上とし、Vは0.001%以上とする。好ましくは、Ca及びREMは0.0010%以上、Vは0.005%以上である。
一方、Ca、REM、及び/又は、Vが0.10%を超えると、延性が低下するので、Ca、REM、及び、Vのいずれも0.10%以下とする。好ましくは、いずれの元素も0.05%以下である。
なお、本発明鋼板は、以上の元素の他、更に、鋼板特性を改善する元素を含有してもよく、また、残部として、鉄を含むとともに、Sn、Asなどの、鉄原料から不可避的に混入する元素(不可避的不純物)を、本発明鋼板の特性が損なわれない範囲で含有してもよい。
「ランダム強度比」
本発明鋼板において、結晶方位のランダム強度比を限定する理由について説明する。1/2厚と1/8厚で測定した{557}<9 16 5>方位のランダム強度比の平均値(A)を8以上、かつ、1/2厚と1/8厚で測定した{001}<120>方位のランダム強度比の平均値(B)を(A)/8以下、加えて、1/2厚と1/8厚で測定した{112}<110>方位のランダム強度比の平均値(C)を3以下とする。
図1に、ODF(Orientation Distribution Function;φ2=45°断面)上の結晶方位の位置を示す。方位は、通常、板面に垂直な結晶方位を(hkl)又は{hkl}で表示し、圧延方向に平行な結晶方位を[uvw]又は<uvw>で表示する。{hkl}と<uvw>は等価な面の総称であり、(hkl)と[uvw]は個々の結晶面を示す。
本発明鋼板の結晶構造は、体心立方構造であるので、例えば、(111)、(−111)、(1−11)、(11−1)、(−1−11)、(−11−1)、(1−1−1)、(−1−1−1)は等価であり、区別がつかない。このような場合、これらの方位を総称して{111}と表示する。
なお、ODFは、対称性の低い結晶構造の結晶方位の表示にも用いられ、一般に、φ1=0〜360°、Φ=0〜180°、φ2=0〜360°で表示され、個々の結晶方位が[hkl](uvw)で表示される。しかし、本発明鋼板の結晶構造は、対称性の高い体心立方構造であるので、Φとφ2は0〜90°で表示できる。
φ1は、計算を行う際、変形による対称性を考慮するか否かで変化するが、本発明鋼板においては、対称性を考慮し、φ1=0〜90°で表示する。
即ち、本発明鋼板では、φ1=0〜360°での同一方位の平均値を、0〜90°のODF上に表示する方式を選択する。この場合、(hkl)[uvw]と{hkl}<uvw>は同義である。したがって、例えば、図1に示す、φ2=45°断面におけるODFの(001)[1−20]方位のランダム強度比は、{001}<120>方位のランダム強度比である。
{557}<9 16 5>方位のランダム強度比、{001}<120>方位のランダム強度比、及び、{112}<110>方位のランダム強度比は、X線回折によって測定される{110}極点図、{100}極点図、{211}極点図、及び、{310}極点図のなかから、複数の極点図を選択し、級数展開法で計算した、3次元集合組織を表示する結晶方位分布関数(ODF:Orientation Distribution Function)で求めればよい。
なお、ランダム強度比とは、特定の方位への集積を持たない標準試料と供試材のX線強度を、同条件で測定し、供試材のX線強度を標準試料のX線強度で除した値である。
図1に、ODF(Orientation Distribution Function;φ2=45°断面)上の各結晶方位の位置を示す。
{557}<9 16 5>方位のランダム強度比の平均値(A):8以上
図1に示すように、本発明鋼板の結晶方位の一つである{557}<9 16 5>方位は、ODF上では、φ1=20°、Φ=45°、φ2=45°で表示される。
しかし、試験片の加工やセッティングに起因して測定誤差が生じることがあるので、{557}<9 16 5>方位のランダム強度比(A)は、φ1=15〜25°、Φ=40〜50°でのランダム強度比とし、その平均値(A)を8以上とする。ランダム強度比の平均値(A)は9以上が好ましく、より好ましくは10以上である。
{557}<9 16 5>方位は、圧延方向、圧延45°方向、及び、圧延直角方向のいずれの方向のヤング率も210GPa以上に高める好ましい方位であるので、上記平均値(A)に上限は設けないが、30以上であると、結晶粒の方位が全て揃っている、即ち、単結晶になっていること意味し、加工性の劣化等を誘引する恐れが生じるので、上記平均値(A)は30未満が好ましい。
{001}<120>方位のランダム強度比の平均値(B):(A)/8以下
図1に示すように、{001}<120>方位は、ODF上では、φ1=20°、Φ=0°、φ2=45°で表示される。同じく、試験片の加工等に起因する測定誤差を考慮して、{001}<120>方位のランダム強度比は、φ1=15〜25°、Φ=0〜5°のランダム強度比とし、その平均値(B)を(A)/8以下とする。
{001}<120>方位は、圧延方向、圧延45°方向、及び、圧延直角方向のいずれの方位のヤング率も低下させる方位であるので、(A)/8以下とする。好ましくは(A)/10以下である。上記平均値(B)に下限は設けないが、ランダム強度比がマイナスになることは物理的に意味がないので、0が下限となる。
{112}<110>方位のランダム強度比の平均値(C):3以下
{112}<110>方位は、ODF上では、φ1=0°、Φ=35°、φ2=45°で表示されるが、φ1=0〜5°、Φ=30〜40°のランダム強度比とし、その平均値(C)を3以下とする。
{112}<110>方位は、ヤング率の異方性を大きくし、特に、圧延45°方向のヤング率を下げる方位であるので、上記平均値(C)を3以下とする。好ましくは2以下である。
なお、X線回折用の試験片は、次のように作製する。
鋼板を、機械研磨や化学研磨で、板厚方向に所定の位置まで研磨する。その後、バフ研磨で鏡面に仕上げ、次いで、電解研磨や化学研磨で歪みを除去するとともに、1/2板厚部と1/8板厚部が測定面となるように試験片を作製する。実際には、所定の板厚位置に測定面を正確に形成することは困難であるので、目標位置を中心として、板厚に対し3%の範囲内で測定面を形成すればよい。
X線回折による測定が困難な場合は、EBSP(Electron Back Scattering Pattern)法や、ECP(Electron Channeling Pattern)法で、統計的に十分な数の測定を行う。
ヤング率は、板厚全厚での結晶方位の平均値と対応するが、板厚表層部と板厚中心部では集合組織が異なる場合がある。そこで、板厚表層部(1/8厚)と板厚中心部(1/2厚)での結晶方位の集積度を平均して、鋼板全体の集合組織とする。したがって、EBSP法やECP法にて、板厚断面を研磨したサンプルの全厚測定を行っても、同等の結果が得られる。なお、板厚表層部(1/8厚)は、鋼板の表裏のどちらか一方の部位である。
「機械特性」
次に、本発明鋼板の機械特性の限定理由について説明する。
本発明鋼板において、圧延直角方向のヤング率は225GPa以上とし、圧延方向及び圧延45°方向のヤング率は、いずれも210GPa以上とする。集合組織がランダムの場合、鉄のヤング率は約206GPaであり、それよりも高い210GPaを、圧延方向、圧延45°方向、及び、圧延直角方向のいずれの方向でも維持できていることが、部材全体の剛性を確保するうえで必要である。
それ故、圧延方向及び圧延45°方向のヤング率は、いずれも210GPa以上とする。好ましくは211GPa以上、より好ましくは212GPa以上である。
一方向の剛性を特に高め、部材全体の剛性を向上させるためには、約1割程度のヤング率の向上が必要であるので、圧延直角方向のヤング率を225GPa以上とする。好ましくは228GPa以上、より好ましくは230GPa以上である。
「製造方法」
本発明鋼板の製造方法(以下「本発明製造方法」ということがある。)について説明する。
本発明製造方法は、
(1)本発明鋼板の成分組成を有する鋼片を1150℃以上の温度に加熱し、次いで、
(2)熱間圧延に供し、890℃以上、970℃以下の温度で終了し、その後、
(3)2秒以内に冷却を開始し、平均冷却速度20℃/秒以上で650℃以下に冷却し、500〜600℃の温度で巻き取り、次いで、
(4)酸洗後、圧下率70〜85%の冷間圧延に供し、更に、
(5)500〜650℃の温度域では、平均加熱速度20〜1000℃/秒で加熱し、650℃を超える温度域では、平均加熱温度1〜15℃/秒で750℃以上、880℃以下の温度に加熱し、加熱後、1秒以上保持する
ことを特徴とする。
まず、本発明鋼板の成分組成と同じ成分組成を有する鋼を常法により溶製し、熱間圧延に供する鋼片を製造する。熱間圧延に供する鋼片は、鋼塊を鍛造又は圧延した鋼片でもよいが、生産性の観点から、連続鋳造で鋳造した鋼片が好ましい。薄スラブキャスター等を用いて製造した鋼片でもよい。
通常、鋼片鋳造後、鋼片を冷却し、再度、加熱して、熱間圧延に供する。この場合、鋼片の加熱温度は1150℃以上とする。加熱温度が1150℃未満であると、TiやNbが十分に固溶せず、熱延鋼板組織を微細化する効果が得られない。鋼片を効率良く均一に加熱する観点からも、加熱温度は1150℃以上とする。好ましくは1200℃以上である。
加熱温度の上限は特に規定しないが、1300℃を超える温度に加熱すると、鋼板組織の結晶粒径が粗大になり、加工性が低下するので、1300℃以下が好ましい。なお、鋳造した鋼片を、直ちに熱間圧延に供する連続鋳造−直接圧延(CC−DR)のような製造方法を採用してもよい。
本発明製造方法においては、890℃以上、970℃以下の温度で熱間圧延を終了する。熱延終了温度が890℃未満であると、未再結晶温度域での加工が主体となり、ヤング率の低下を招く集合組織が発達するので、熱延終了温度は890℃以上とする。好ましくは910℃以上である。
一方、熱延終了温度が970℃を超えると、熱延鋼板組織の結晶粒径が大きくなり、ヤング率の低下を招く{001}<120>方位が発達するので、熱延終了温度は970℃以下とする。好ましくは950℃以下である。
熱延終了後、2秒以内に冷却を開始する。冷却開始までの時間が2秒を超えると、熱延鋼板組織の結晶粒径が大きくなり、冷延焼鈍後に、ヤング率を低下させる{001}<120>方位が発達する。それ故、熱延終了後は2秒以内に冷却を開始する。好ましくは1秒以内、より好ましくは0.7秒以内である。
冷却は、平均冷却速度20℃/秒以上で、650℃以下に冷却する。冷却到達温度が650℃を超えるか、又は、平均冷却速度が20℃/秒未満であると、焼入れ性が不足して、熱延鋼板組織がポリゴナルフェライト化し、{557}<9 16 5>方位のランダム強度比が小さくなる。
それ故、890℃以上、970℃以下の温度で熱間圧延を終了した熱延鋼板を、平均冷却速度20℃/秒以上で650℃以下に冷却する。平均冷却速度は40℃/秒以上が好ましい。より好ましくは60℃/秒以上である。
平均冷却速度の上限は特に規定しないが、100℃/秒を超える冷却速度を達成するには、過大な設備が必要となり、また、特段の冷却効果も得られないので、平均冷却速度は100℃/秒以下が好ましい。
平均冷却速度20℃/秒以上で、650℃以下に冷却した熱延鋼板を、500〜600℃の温度で巻き取る。巻取温度が500℃未満であると、TiC又はNbCが析出せず、熱延鋼板組織の結晶粒界に偏析する以上の固溶Cが残存して、ヤング率やr値が低下する。それ故、巻取温度は500℃以上とする。好ましくは520℃以上である。
一方、巻取温度が600℃を超えると、熱延鋼板組織がポリゴナルフェライト化し、{557}<9 16 5>方位が発達し難くなるの。それ故、巻取温度は600℃以下とする。好ましくは580℃以下である。
次いで、巻き取って巻き戻した熱延鋼板を酸洗し、圧下率70〜85%の冷間圧延に供する。圧下率が70%未満であると、十分な冷延集合組織が発達せず、ヤング率が低下するので、圧下率は70%以上とする。好ましくは73%以上、より好ましくは76%以上である。
一方、圧下率が85%を超えると、冷延機への負荷が高くなるとともに、ヤング率を下げる{001}<120>方位の集積度が大きくなるので、圧下率は85%以下とする。好ましくは83%以下である。
次いで、冷延鋼板に焼鈍を施すが、この時の平均加熱速度が極めて重要である。500〜650℃の温度域では、平均加熱速度20〜1000℃/秒で加熱する。平均加熱速度が20℃/秒未満であると、加熱中に回復が進行し、再結晶後の{557}<9 16 5>方位への集積度が低くなるので、平均加熱速度は20℃/秒以上とする。好ましくは30℃/秒以上である。より好ましくは40℃/秒以上である。
平均加熱速度が1000℃/秒を超えると、特段の効果が得られないばかりか、温度制御が困難になり、材質がばらつき要因となるので、平均加熱速度は1000℃/秒以下とする。好ましくは400℃/秒以下である。より好ましくは100℃/秒以下である。
650℃を超える温度域では、平均加熱速度1〜15℃/秒で加熱する。平均加熱速度を1℃/秒未満に制御することは、生産性を阻害するばかりで、特段の効果が得られないので、平均加熱速度は1℃/秒以上とする。好ましくは2℃/秒以上である。より好ましくは4℃/秒以上である。
一方、平均加熱速度が15℃/秒を超えると、再結晶が遅れ未再結晶ままで焼鈍が終了して、ヤング率が低下するので、平均加熱速度は15℃/秒以下とする。好ましくは10℃/秒以下である。より好ましくは8℃/秒以下である。
圧下率70〜85%の冷間圧延で圧延した冷延鋼板を、上記平均加熱速度で、750℃以上、880℃以下の温度に加熱し、加熱後、1秒以上保持する。加熱到達温度が750℃未満では、再結晶が完了せず加工組織が残存して、ヤング率が低下し、また、加工性も低下するので、加熱到達温度は750℃以上とする。好ましくは770℃以上である。
一方、加熱到達温度が880℃を超えると、集合組織が破壊され、ヤング率が低下するので、加熱到達温度は880℃以下とする。好ましくは860℃以下である。
本発明製造方法においては、冷延鋼板に、加熱到達温度で1秒以上保持する焼鈍を施す。保持時間が1秒未満であると、冷延時の加工組織がそのまま残存して成形性が著しく低下するので、保持時間は1秒以上とする。好ましくは5秒以上である。なお、本発明製造方法においては、冷延鋼板に焼鈍を施した後、インライン又はオフラインで圧下率10%以下の調質圧延を施してもよい。
[本発明電気亜鉛めっき鋼板、本発明溶融亜鉛めっき鋼板、及び、本発明合金化溶融亜鉛めっき鋼板]
次に、本発明電気亜鉛めっき鋼板、本発明溶融亜鉛めっき鋼板、及び、本発明合金化溶融亜鉛めっき鋼板について説明する。
本発明鋼鈑の表面に、用途に応じて、電気亜鉛系めっき、溶融亜鉛めっき、又は、合金化溶融亜鉛めっきを施す。本発明電気亜鉛系めっき鋼板は、本発明鋼鈑の表面に、従来公知の方法で電気亜鉛系めっきを施した鋼板である。本発明溶融亜鉛めっき鋼鈑は、本発明鋼鈑の表面に、従来公知の方法で溶融亜鉛めっきを施した鋼板である。
亜鉛系めっき及び亜鉛めっきの組成は、特に限定されない。亜鉛のほか、Fe、Al、Mn、Cr、Mg、Pb、Sn、Ni等の1種又は2種以上を必要に応じて含有していてもよい。
本発明合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、本発明鋼鈑の表面に、合金化溶融亜鉛めっきを施した鋼板であり、本発明溶融亜鉛めっき鋼板に合金化処理を施して製造する。合金化処理は、450〜600℃の温度で10秒以上加熱して行うのが好ましい。
加熱温度が450℃未満であると、合金化が十分に進行せず、600℃を超えると、過度に合金化が進行して、めっき層が脆化する。めっき層が脆化すると、プレス等の加工時に、めっき層が剥離するので、合金化処理温度は450〜600℃が好ましい。より好ましくは470〜580℃である。
合金化処理時間が10秒未満であると、合金化が十分に進行しないので、合金化処理時間は10秒以上とする。合金化処理時間の上限は特に規定しないが、通常、連続ラインに設置された熱処理設備によって行うので、3000秒を超えると、生産性が低下するか、又は、設備投資が必要となって製造コストが上昇するので、3000秒以下が好ましい。
なお、合金化処理に先立ち、本発明溶融亜鉛めっき鋼板に、製造設備の構成に応じて、予め、Ac3変態温度以下の焼鈍を施してもよい。合金化処理の前に行う焼鈍の温度が、450〜600℃の温度域以下の温度であれば、集合組織は殆ど変化しないので、ヤング率の低下を抑えることが可能である。また、調質圧延は、電気亜鉛系めっき、溶融亜鉛めっき、合金化処理の後に行ってもよい。
以上説明したように、本発明製造方法によれば、圧延方向、圧延45°方向、及び、圧延直角方向のいずれの方向のヤング率も210GPa以上で、かつ、圧延直角方向のヤング率が225GPa以上の高ヤング率冷延鋼板、高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板、高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板、及び、高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板を製造することができる。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
表1に示す成分組成の鋼を溶製して鋼片を製造した。なお、表1中の空欄は、元素量が検出限界未満であることを意味する。
Figure 0006248782
表1中の(1)式(Ti*/C)の値は、C、Ti、Nb、N、及び、Sの含有量(質量%)を、下記(1)式の左辺に代入して算出した値である。Nb無添加の場合は、Nb=0とする。
Ti*(質量%)/C(質量%)≧5 ・・・(1)
ここで、Ti*=Ti(質量%)+48/93×Nb(質量%)
−48/14×N(質量%)−48/32×S(質量%)
表1に示す成分組成の鋼片を加熱して、熱間で粗圧延を行い、引続き、表2に示す熱延条件で仕上げ圧延を行った。
Figure 0006248782
表2において、SRT[℃]は、鋼片の加熱温度、FT[℃]は、仕上げ圧延の最終パス後の温度、即ち、仕上げ圧延出側の温度(熱延終了温度)、冷却開始[秒]は、仕上げ圧延終了後冷却を開始するまでの時間、冷却速度[℃/秒]は、冷却開始から650℃までの平均冷却速度、CT[℃]は、巻取温度を示す。
冷延圧下率(以下「圧下率」)[%]は、熱延鋼板の板厚と冷延終了後の板厚の差を熱延鋼板の板厚で除し、百分率で示した値である。加熱速度(1)[℃/秒]は、500〜650℃の温度域での平均加熱速度、加熱速度(2)[℃/秒]は、650℃を超える温度域での平均加熱速度である。
表2の「めっき」の欄において、電気亜鉛系めっきを施した鋼板は「電気」と表示し、溶融亜鉛めっきを施した鋼板は「溶融」と表示し、溶融亜鉛めっき後に520℃で15秒保持する合金化処理を施した鋼板は「合金」と表示した。
なお、電気亜鉛系めっきでは、鋼板に、Zn−Niめっき(Ni=11質量%)を施した。目付け量は20〜50g/m2とした。
得られた鋼板から、圧延直角方向を長手方向として、JIS Z 2201に準拠して引張試験片を採取し、JIS Z 2241に準拠して引張試験を行い、降伏応力YS[MPa]、引張強度TS[MPa]、及び、全伸びEl[%]を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006248782
ヤング率[GPa]は、静的引張法で測定した。具体的には、JIS Z 2201に準拠して作製した引張試験片に、鋼板の降伏強度の1/2に相当する引張応力を付与して測定した。測定を5回行い、応力−歪み線図の傾きに基づいて算出したヤング率のうち、最大値及び最小値を除いた3つの値の平均値をヤング率とした。ヤング率[GPa]を表3に併せて示す。
表3中のヤング率の欄において、RDは圧延方向(Rolling Direction)、45°は圧延方向に対し45°の方向(圧延45°方向)、TDは圧延方向に対し直角の方向(圧延直角方向、Transverse Direction)を意味する。
電気亜鉛系めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、及び、合金化溶融亜鉛めっき鋼板においては、めっき層を剥離してヤング率を測定した。
鋼板の1/2板厚部及び1/8板厚部の{557}<9 16 7>方位のランダム強度比、{001}<021>方位のランダム強度比、及び、{112}<110>方位のランダム強度比を、以下のように測定した。
鋼板を機械研磨し、バフ研磨し、更に、電解研磨して歪みを除去し、1/2板厚部及び1/8板厚部が測定面となるように試験片を作製し、X線回折を行った。特定方位への集積がない標準試験片のX線回折も同条件で行った。
次に、X線回折によって得られた{110}極点図、{100}極点図、{211}極点図、及び、{310}極点図を基に、級数展開法でODFを作成した。このODFに基づいて、上記3つの方位のランダム強度比を決定し、1/2板厚部及び1/8板厚部での測定値の平均値を算出した。なお、1/8板厚部は、鋼板の表裏どちらか一方の部位である。
測定結果を表3に併せて示す。表3から、本発明の成分組成を有する鋼片を、本発明の製造条件で製造した鋼板(表1〜3の備考欄に「発明例」と表示した鋼板)においては、圧延方向(RD)のヤング率と圧延45°方向(45°)のヤング率は、いずれも210GPa以上で、圧延直角方向(TD)のヤング率は、225GPa以上であることが解る。即ち、発明例の鋼板は、剛性に優れていることが解る。
一方、表3において、製造No.42〜49は、成分組成が本発明の範囲外の鋼No.P〜W(表1、参照)を用いた比較例である。
製造No.42は、Bが本発明の範囲を超える鋼P(表1、参照)を用いた比較例である。製造No.42の比較例では、再結晶が抑制されすぎて焼鈍が不十分となり、加工集合組織の{112}<110>が残存して、圧延45°方向のヤング率が低下している。
製造No.48は、SiとMnが本発明の範囲を超える鋼V(表1、参照)を用いた比較例である。製造No.48の比較例では、再結晶が抑制されすぎて焼鈍が不十分となり、加工集合組織の{112}<110>が残存し、圧延45°方向のヤング率が低下している。
製造No.43は、Tiの添加がなく、(1)式を満足しない鋼Qを用いた比較例である。製造No.44は、Cが本発明の範囲を超えて、(1)式を満足しない鋼Rを用いた比較例である。製造No49は、Nが本発明の範囲を超えて、(1)式を満足しない鋼Wを用いた比較例である。
いずれの比較例においても、固溶Cが熱延鋼板に残存して剪断帯が生成し、{110}<001>方位などの剪断帯に起因する方位の強度が強くなり、全体的に集合組織がランダム化し、ヤング率が低下している。
製造No.45は、Mnが本発明の範囲を下回る鋼Sを用いた比較例である。製造No.46は、Bの添加がない鋼Tを用いた比較例である。これらの比較例においては、熱延後の焼入れ性が低下し、熱延鋼板組織がベイネティックフェライト化せず、冷延焼鈍後にランダム強度比(A)の発達が不十分となって、圧延直角方向(TD)のヤング率が低下している。
鋼No.Aを用いた製造No.3の比較例では、焼鈍温度が低すぎて、焼鈍後に加工集合組織が残存し、ランダム強度比(C)が高くなっている。そのため、圧延45°方向のヤング率が低下している。鋼No.Bを用いた製造No.6の比較例では、圧下率が高すぎるため、ランダム強度比(B)が高くなり、全体的にヤング率が低下している。
鋼No.Cを用いた製造No.9の比較例では、加熱温度が低すぎるため、固溶Tiを確保できず、熱延鋼板組織の結晶粒径が大きくなって、ランダム強度比(B)が高くなり、全体的にヤング率が低下している。
鋼No.Eを用いた製造No.14の比較例では、熱間圧延の終了温度が低すぎるため、熱延集合組織の{112}<110>方位が発達して、冷延焼鈍後にも残存し、ランダム強度比(C)が高くなって、特に、幅方向(TD)のヤング率が低下している。
鋼No.Fを用いた製造No.17の比較例では、熱延後の冷却開始が遅すぎるために、焼入れ性が低下し、熱延鋼板組織がポリゴナルフェライト化するとともに、結晶粒径が大きくなって、ランダム強度比(B)が高くなり、その結果、全体的にヤング率が低下しているともに、圧延方向と圧延45°方向のヤング率が確保されていない。
鋼No.Gを用いた製造No.20の比較例では、熱延鋼板の冷却速度が遅すぎるため、熱延鋼板組織がポリゴナルフェライト化し、ランダム強度比(A)が低くなり、かつ、ランダム強度(B)が高くなり、その結果、全体的にヤング率が低めであるとともに、圧延方向のヤング率が確保されていない。
鋼No.Hを用いた製造No.22の比較例では、加熱速度(1)が遅すぎるため、回復が十分に起こり、{557}<9 165>方位の発達が不十分となって、ランダム強度比(A)が低くなり、全体的にヤング率が低下している。鋼No.Iを用いた製造No.25の比較例では、熱間圧延の終了温度が高すぎるため、熱延鋼板組織の結晶粒径が大きくなって、ランダム強度比(B)が高くなり、全体的にヤング率が低下している。
鋼No.Jを用いた製造No.28の比較例では、焼鈍時間が短すぎるために再結晶が不十分で、加工集合組織の{112}<110>方位のランダム強度比(C)が高くなって、圧延45°方向のヤング率が低下している。
鋼No.Kを用いた製造No.30の比較例では、熱間圧延の巻取温度が本発明の範囲を超えているので、熱延鋼板組織の結晶粒径が大きくなって、ランダム強度比(B)が高くなり、全体的にヤング率が低下している。
鋼No.Lを用いた製造No.33の比較例では、焼鈍時の加熱速度(2)が速すぎる場合であり、再結晶が完了しないために、{112}<110>が残存して、圧延45°方向のヤング率が低下している。
鋼No.Mを用いた製造No.35の比較例では、巻取温度が本発明の範囲を下回るため、熱延鋼板組織に固溶Cが残存し、{557}<9 16 5>方位の発達が不十分となって、ランダム強度比(A)が低くなり、全体的にヤング率が低下している。
鋼No.Nを用いた製造No.38の比較例では、圧下率が本発明の範囲を下回るため、加工集合組織が十分発達せず、冷延焼鈍後の集合組織がランダム化し、全体的にヤング率が低下している。
鋼No.Oを用いた製造No.41の比較例では、焼鈍温度が本発明の範囲を超えるため、集合組織が壊れてしまい、全体的にヤング率が低下し、特に、圧延45°方向のヤング率が低下している。
前述したように、本発明によれば、圧延方向、圧延45°方向、及び、圧延直角方向のいずれの方向のヤング率も210GPa以上で、かつ、圧延直角方向のヤング率が225GPa以上の、ヤング率が高く剛性に優れた冷延鋼板、電気亜鉛系めっき冷延鋼板、溶融亜鉛めっき冷延鋼板、及び、合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板を提供することができる。
本発明の高ヤング率冷延鋼鈑、電気亜鉛系めっき冷延鋼板、溶融亜鉛めっき冷延鋼板、及び、合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板は、例えば、自動車、家庭電気製品、建物等に使用することができる。
本発明の高ヤング率冷延鋼鈑、電気亜鉛系めっき冷延鋼板、溶融亜鉛めっき冷延鋼板、及び、合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板を、例えば、自動車のパネル部材に適用すれば、高ヤング率によりパネル部材を薄板化することができて、車体の軽量化と燃費改善を達成して、地球環境保全に貢献することができる。
本発明の高ヤング率冷延鋼鈑、電気亜鉛系めっき冷延鋼板、溶融亜鉛めっき冷延鋼板、及び、合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板は、形状凍結性も改善されているので、自動車用のプレス成形部品にも適用が可能である。そして、該プレス成形部品は、エネルギー吸収特性に優れているので、自動車の安全性の向上にも貢献する。
したがって、本発明は、社会的貢献の度合が大きく、産業上の利用可能性が高いものである。

Claims (14)

  1. 質量%で、C:0.0005〜0.01%、Si:1.50%以下、Mn:0.50〜1.50%、P:0.08%以下、S:0.01%以下、Al:0.10%以下、N:0.006%以下、Ti:0.0025〜0.10%、B:0.0005〜0.005%を、下記(1)式を満足するように含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる成分組成を有する冷延鋼板であって、
    1/2厚と1/8厚で測定した{557}<9 16 5>方位のランダム強度比の平均値(A)が8以上、かつ、{001}<120>方位のランダム強度比の平均値(B)が(A)/8以下、加えて、{112}<110>方位のランダム強度比の平均値(C)が3以下である
    ことを特徴とする高ヤング率冷延鋼鈑。
    Ti*(質量%)/C(質量%)≧5 ・・・(1)
    ここで、Ti*=Ti(質量%)+48/93×Nb(質量%)
    −48/14×N(質量%)−48/32×S(質量%)
  2. 前記成分組成が、更に、質量%で、Nb:0.005〜0.04%を含有することを特徴とする請求項1に記載の高ヤング率冷延鋼板。
  3. 前記成分組成が、更に、質量%で、Mo:0.005〜0.10%、Cr:0.005〜0.50%、W:0.005〜0.50%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高ヤング率冷延鋼鈑。
  4. 前記成分組成が、更に、質量%で、Cu:0.005〜0.50%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高ヤング率冷延鋼鈑。
  5. 前記成分組成が、更に、質量%で、Ni:0.005〜0.50%を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高ヤング率冷延鋼鈑。
  6. 前記成分組成が、更に、質量%で、Ca:0.0005〜0.10%、REM:0.0005〜0.10%、V:0.001〜0.10%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高ヤング率冷延鋼鈑。
  7. 前記冷延鋼板において、圧延直角方向のヤング率が225GPa以上で、圧延方向及び圧延方向に対して45°方向のヤング率が210GPa以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の高ヤング率冷延鋼鈑。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の高ヤング率冷延鋼鈑の表面に、電気亜鉛系めっきが施されていることを特徴とする高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の高ヤング率冷延鋼鈑の表面に、溶融亜鉛めっきが施されていることを特徴とする高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の高ヤング率冷延鋼鈑の表面に、合金化溶融亜鉛めっきが施されていることを特徴とする高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の高ヤング率冷延鋼鈑を製造する方法であって、
    (1)請求項1〜7のいずれか1項に記載の成分組成を有する鋼片を1150℃以上の温度に加熱し、次いで、
    (2)熱間圧延に供し、890℃以上、970℃以下の温度で終了し、その後、
    (3)2秒以内に冷却を開始し、平均冷却速度20℃/秒以上で650℃以下に冷却し、500〜600℃の温度で巻き取り、次いで、
    (4)酸洗後、圧下率70〜85%の冷間圧延に供し、更に、
    (5)500〜650℃の温度域では、平均加熱速度20〜1000℃/秒で加熱し、650℃を超える温度域では、平均加熱速度1〜15℃/秒で750℃以上、880℃以下の温度に加熱し、加熱後、1秒以上保持する
    ことを特徴とする高ヤング率冷延鋼板の製造方法。
  12. 請求項8に記載の高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板を製造する方法であって、請求項11に記載の高ヤング率冷延鋼鈑の製造方法で製造した鋼板の表面に電気亜鉛系めっきを施すことを特徴とする高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板の製造方法。
  13. 請求項9に記載の高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板を製造する方法であって、請求項11に記載の高ヤング率冷延鋼鈑の製造方法で製造した鋼板の表面に溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法。
  14. 請求項10に記載の高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板を製造する方法であって、請求項13に記載の高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法で製造した溶融亜鉛めっき鋼板に、450〜600℃の温度で10秒以上の熱処理を施すことを特徴とする高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法。
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