以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる病理染色装置及び病理染色方法を説明する。
図1は、本実施形態に係る病理染色装置の構成を示す図である。図1に示すように、病理染色装置は、システム制御部11を中枢として、検体用染色機構13、検体用洗浄機構15、ポジコン用染色機構17、ポジコン用洗浄機構19、光学撮影部21、画像処理部23、機構制御部25、操作部27、表示部29、及び記憶部31を有する。
検体用染色機構13は、検体を染色するための染色機構である。検体は、検査対象の病理組織標本である。病理組織標本としては、如何なる部位の細胞組織が用いられても良い。例えば、細胞組織としては血液細胞や皮膚細胞、骨細胞、筋細胞、癌細胞等のあらゆる細胞が利用可能である。染色としては、抗原抗体反応を利用した免疫染色が用いられる。検体用染色機構13は、機構制御部25からの制御に従って作動する。検体用染色機構13の詳細については後述する。
検体用洗浄機構15は、検体を洗浄液で洗浄するための洗浄機構である。検体が洗浄されることにより検体の染色が終了される。検体用洗浄機構15は、機構制御部25からの制御に従って作動する。洗浄液としては、例えば、純水や生理食塩水、PBS(リン酸緩衝食塩水)等が用いられると良い。検体用洗浄機構15の詳細については後述する。
ポジコン用染色機構17は、陽性染色対照標本(ポジティブ・コントロール・サンプル:以下、ポジコンと呼ぶことにする)を染色するための染色機構である。ポジコンとしては、過去に染色された病理組織標本であって、十分に強く染色され、また、予後などの病理検査以外の結果からも、その染色結果が正しいことが裏付けられている病理組織標本が用いられる。ポジコンとしては、過去に染色された時に強陽性の結果が得られたものが用いられる。ポジコン用染色機構17は検体用染色機構13による染色方法と同一の方法によりポジコンを染色する。ポジコン用染色機構17は、機構制御部25からの制御に従って作動する。洗浄液としては、検体用洗浄機構15に用いられている洗浄液と同一のものが用いられると良い。ポジコン用染色機構17の詳細については後述する。
ポジコン用洗浄機構19は、ポジコンを洗浄液で洗浄するための洗浄機構である。検体が洗浄されることによりポジコンの染色が終了される。ポジコン用洗浄機構19は、機構制御部25からの制御に従って作動する。ポジコン用洗浄機構19の詳細については後述する。
光学撮影部21は、ポジコン用染色機構17により染色されているポジコンを光学的に撮影する。光学撮影部21は、ポジコンを繰り返し光学撮影し、ポジコンに関する光学画像を繰り返し発生する。光学撮影部21としては、例えば、光学カメラが用いられる。
画像処理部23は、光学撮影部21により繰り返し発生される光学画像の画素の画素値を閾値に対して比較する。画像処理部23は、画素値が閾値に到達した場合、その旨の信号(以下、停止信号と呼ぶ)を即時的に発生する。
機構制御部25は、検体用染色機構13において検体を染色し、ポジコン用染色機構17においてポジコンを染色するように検体用染色機構13とポジコン用染色機構17とを制御する。より詳細には、機構制御部25は、検体用染色機構13における検体の染色に並行してポジコン用染色機構17においてポジコンを染色するように検体用染色機構13とポジコン用染色機構17とを同期的に制御する。また、機構制御部25は、検体とポジコンとを洗浄するように検体用洗浄機構15とポジコン用洗浄機構19とを同期的に制御する。この際、画像処理部23により停止信号が発生された場合、機構制御部25は、検体を洗浄するために検体用洗浄機構15を制御する。
操作部27は、入力機器によるユーザからの各種指令や情報入力を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。
表示部29は、染色条件の設定画面等を表示機器に表示する。また、表示部29は、画像処理部23により停止信号が発生された場合、検体の洗浄を促すメッセージを表示機器に表示しても良い。表示機器としては、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等が適宜利用可能である。
記憶部31は、種々の情報を記憶するHDD(hard disk drive)等の記憶装置である。また、記憶部31は、本実施形態に係る病理染色プログラム等を記憶する。
システム制御部11は、病理染色装置の中枢として機能する。システム制御部11は、本実施形態に係る病理染色プログラムを記憶部31から読み出し、当該病理染色プログラムに従って各種構成要素を制御し、病理染色処理を実行する。
次に、本実施形態に係る病理染色装置の動作について詳細に説明する。
図2は、本実施形態に係る病理染色処理の典型的な流れを示す図である。なお、病理組織標本としては、抗原性保持及び形態保持のためにホルマリンで固定された組織塊から切り出された組織切片が使用される。また、組織塊は予め包理材により包理されているものとする。包理材としては、パラフィンや樹脂等が利用可能であるが、以下の説明を具体的に行うためパラフィンが用いられるとする。検体とポジコンとは別個の組織塊から切り出される。検体とポジコンとは別個のスライドガラスに載置される。また、図2の各工程には洗浄工程が存在するが説明の簡単のため省略する。また、図2の病理染色処理は検体とポジコンとに対して同時並行で行われる。
図2に示すように、まず、脱パラフィンが行われる(ステップSA1)。脱パラフィンは、水溶性を有する染色液を検体及びポジコンに浸透しやくするため、疎水性を有するパラフィンを検体及びポジコンから除去する工程である。パラフィンは、例えば、エタノールとキシレンとを検体及びポジコンに添加することにより除去される。
ステップSA1が行われると脱マスク処理が施される(ステップSA2)。ホルマリン固定により蛋白質等に架橋が生成され抗原決定基にマスクが生起される。脱マスク処理は、マスクを除去して抗原の抗体結合部位を露出するために行われる。脱マスク処理は、検体及びポジコンに熱を与えたり、蛋白質分解酵素を添加したりすることに行われる。
ステップSA2が行われると内因性ペルオキダーゼが阻止される(ステップSA3)。検体及びポジコンには内因性のペルオキシダーゼが存在する。ペルオキシダーゼは、抗原抗体反応を検出する酵素等に反応して抗原の同定を阻害する。そのため、一次抗体の添加の前段において内因性のペルオキシダーゼを除去する必要がある。例えば、過酸化水素水、メタノールと過酸化水素水との混合液、又はブロッキング試薬を検体及びポジコンに添加することにより内因性ペルオキダーゼが除去される。
ステップSA3が行われるとブロッキング処理が行われる(ステップSA4)。ブロッキング処理は、二次抗体の添加による非特異的な発色を防止するために行われる。例えば、二次抗体を産生した動物と同一種の正常血清を検体及びポジコンに反応させ、二次抗体の標的蛋白質以外の蛋白質がブロックされる。
ステップSA4が行われると第1の抗原抗体反応が行われる(ステップSA5)。第1の抗原抗体反応は一次抗体を検体及びポジコンに添加することにより行われる。一次抗体としては、抗原の標的に特異的に結合する抗体が用いられる。一次抗体には標識が修飾されていないものとする。
ステップSA5が行われると第2の抗原抗体反応が行われる(ステップSA6)。第2の抗原抗体反応は二次抗体を検体及びポジコンに添加することにより行われる。二次抗体としては、一次抗体に結合可能であり、標識が修飾された抗体が用いられる。標識としては、発色反応で用いる酵素が用いられる。
ステップSA6が行われると発色が行われる(ステップSA7)。検体及びポジコンの各々に結合された二次抗体に標識として修飾された酵素に対応する基質を発色反応させ、この酵素と基質との反応により発色する。
ここで、図3を参照しながら、抗原抗体反応について詳細に説明する。なお、図3においては、病理組織標本として癌細胞が用いられているとする。また、一次抗体として、特定の癌細胞に発現する抗原Aに特異的に結合する抗体が用いられるとする。一次抗体(抗A抗体)には二次抗体が結合される。図3(a)に示すように、癌細胞が抗原Aを発現している場合、抗原Aに抗A抗体が結合する。従って二次抗体が基質と反応して発色することにより、抗原Aの存在を検出することができる。一方、図3(b)に示すように、癌細胞が抗原Aを発現せずに抗原Bを発現している場合、抗A抗体は抗原Bに結合しない。従って、第1の抗原抗体反応後の洗浄工程により抗A抗体が流され、癌細胞に二次抗体が結合されず、基質を添加しても発色反応が発生することはない。従って、抗原Aに特異的に結合する一次抗体と当該一次抗体に結合する二次抗体とを添加することにより、抗原Aを発現している癌細胞を特異的に検出することができる。
ステップSA7が行われると核染色が行われる(ステップSA8)。検体及びポジコンに核染色液が添加され、対比染色として検体及びポジコンの細胞の核が染色される。核染色液としては、例えば、ヘマトキシリンやメチルグリーン等が用いられる。
ステップSA8が行われると脱水が行われる(ステップSA9)。例えば、検体及びポジコンにエタノールを浸すことにより脱水が行われる。
ステップSA9が行われると透徹が行われる(ステップSA10)。例えば、検体及びポジコンにキシレンを浸すことにより透徹が行われる。
以上で本実施形態に係る病理染色処理の動作例が終了する。
次に、本実施形態に係る病理染色装置における検体染色処理の詳細について説明する。本実施形態に係る検体染色処理は、図2のステップSA5、SA6、及びSA7を含むとする。まず、本実施形態に係る検体及びポジコンの反応系の外観について説明する。図4は、検体及びポジコンの反応系の外観を模式的に示す図である。図4に示すように、検体及びポジコンの反応系は、検体用染色機構13、検体用洗浄機構15、ポジコン用染色機構17、及び光学撮影部21を有する。本実施形態に係る検体用染色機構13とポジコン用染色機構17とは滴下式であるものとする。
図4に示すように、検体用染色機構13にはスライドガラスSG1が設置される。スライドガラスSG1には検体が載置されている。また、検体用染色機構13は、一次抗体を含む溶液(以下、一次抗体液と呼ぶ)を吐出するためのノズル(以下、一次抗体ノズルと呼ぶ)51、二次抗体を含む溶液(以下、二次抗体液と呼ぶ)を吐出するためのノズル(以下、二次抗体ノズルと呼ぶ)53、二次抗体に修飾された標識(酵素)に反応する基質を含む溶液(以下、基質液と呼ぶ)を吐出するためのノズル(以下、基質ノズルと呼ぶ)55を有する。一次抗体ノズル51は、ホース等の流路を介してポンプ(以下、一次抗体ポンプと呼ぶ)57に接続されている。一次抗体ポンプ57は、一次抗体液を収容するタンク(以下、一次抗体タンクと呼ぶ)59にホース等の流路を介して接続されている。一次抗体ポンプ57は、機構制御部25からの吐出信号の供給を受けて一次抗体タンク59から所定量の一次抗体液を吸引し、吸引された一次抗体液を一次抗体ノズル51を介して検体が載置されたスライドガラスSG1に吐出する。同様に、二次抗体ノズル53は、ホース等の流路を介してポンプ(以下、二次抗体ポンプと呼ぶ)61に接続されている。二次抗体ポンプ61は、二次抗体液を収容するタンク(以下、二次抗体タンクと呼ぶ)63にホース等の流路を介して接続されている。二次抗体ポンプ61は、機構制御部25からの吐出信号の供給を受けて二次抗体タンクから所定量の二次抗体液を吸引し、吸引された二次抗体液を二次抗体ノズル53を介してスライドガラスSG1に吐出する。同様に、基質ノズル55は、ホース等の流路を介してポンプ(以下、基質ポンプと呼ぶ)65に接続されている。基質ポンプ65は、基質液を収容するタンク(以下、基質タンクと呼ぶ)67にホース等の流路を介して接続されている。基質ポンプ65は、機構制御部25からの吐出信号の供給を受けて基質タンク67から所定量の基質液を吸引し、吸引された基質液を基質ノズル55を介してスライドガラスSG1に吐出する。
ポジコン用染色機構17には、検体用染色機構13と同様に、ポジコンが載置されたスライドガラスSG2が設置される。スライドガラスSG2にはポジコンが載置されている。また、検体用染色機構13は、検体用染色機構13と同様に、一次抗体液を吐出するための一次抗体ノズル71と二次抗体液を吐出するための二次抗体ノズル73、基質液を吐出するための基質ノズル75を有する。
一次抗体ノズル71は、ホース等の流路を介して一次抗体ポンプ77に接続されている。一次抗体ポンプ77は、一次抗体タンク59にホース等の流路を介して接続されている。一次抗体タンク59は、検体用染色機構13の一次抗体ノズル51とポジコン用染色機構17の一次抗体ノズル71とで共用される。一次抗体ポンプ77は、機構制御部25からの吐出信号の供給を受けて一次抗体タンク59から所定量の一次抗体液を吸引し、吸引された一次抗体液を一次抗体ノズル71を介して、ポジコンが載置されたスライドガラスSG2に吐出する。このように、一次抗体ノズル51と一次抗体ノズル71とで一次抗体タンク59を共用することで、検体とポジコンとに略同一の液性の一次抗体液を添加することが可能となる。なお、検体への一次抗体液とポジコンへの一次抗体液との液性に厳密な同一性を要求しないのであれば、一次抗体ノズル51と一次抗体ノズル71とを別個の一次抗体タンク59に接続しても良い。
同様に、二次抗体ノズル73は、ホース等の流路を介して二次抗体ポンプ79に接続されている。二次抗体ポンプ79は、二次抗体液を収容する二次抗体タンク63にホース等の流路を介して接続されている。二次抗体タンク63は、検体用染色機構13の二次抗体ノズル53とポジコン用染色機構17の二次抗体ノズル73とで共用される。二次抗体ポンプ79は、機構制御部25からの吐出信号の供給を受けて二次抗体タンク63から所定量の二次抗体液を吸引し、吸引された二次抗体液を二次抗体ノズル73を介してスライドガラスSG2に吐出する。このように、二次抗体ノズル53と二次抗体ノズル73とで二次抗体タンク63を共用することで、検体とポジコンとに略同一の液性の二次抗体液を添加することが可能となる。なお、検体への二次抗体液とポジコンへの二次抗体液との液性に厳密な同一性を要求しないのであれば、二次抗体ノズル53と二次抗体ノズル73とを別個の二次抗体タンク63に接続しても良い。
同様に、基質ノズル75は、ホース等の流路を介してポンプ(以下、基質ポンプと呼ぶ)81に接続されている。基質ポンプ81は、基質液を収容するタンク(以下、基質タンクと呼ぶ)67にホース等の流路を介して接続されている。基質タンク67は、検体用染色機構13の基質ノズル55とポジコン用染色機構17の基質ノズル75とで共用される。基質ポンプ81は、機構制御部25からの吐出信号の供給を受けて基質タンク67から所定量の基質液を吸引し、吸引された基質液を基質ノズル75を介してスライドガラスSG2に吐出する。このように、基質ノズル55と基質ノズル75とで基質タンク67を共用することで、検体とポジコンとに略同一の液性の基質液を添加することが可能となる。なお、検体への基質液とポジコンへの基質液との液性に厳密な同一性を要求しないのであれば、基質ノズル55と基質ノズル75とを別個の基質タンク67に接続しても良い。
検体用染色機構13には検体用洗浄機構15が設けられている。検体用洗浄機構15は、洗浄液を吐出するためのノズル(以下、洗浄ノズルと呼ぶ)91を有する。洗浄ノズル91は、ホース等の流路を介してポンプ(以下、洗浄ポンプと呼ぶ)93に接続されている。洗浄ポンプ93は、洗浄液を収容するタンク(以下、洗浄タンクと呼ぶ)95にホース等の流路を介して接続されている。洗浄ポンプ93は、機構制御部25からの吐出信号の供給を受けて洗浄タンク95から所定量の洗浄液を吸引し、吸引された洗浄液を洗浄ノズル91を介してスライドガラスSG1に吐出する。
同様に、ポジコン用染色機構17にはポジコン用洗浄機構19が設けられている。ポジコン用洗浄機構19は、洗浄液を吐出するための洗浄ノズル97を有する。洗浄ノズル97は、ホース等の流路を介して洗浄ポンプ99に接続されている。洗浄ポンプ99は、洗浄液を収容する洗浄タンク101にホース等の流路を介して接続されている。洗浄ポンプ99は、機構制御部25からの吐出信号の供給を受けて洗浄タンク101から所定量の洗浄液を吸引し、吸引された洗浄液を洗浄ノズル97を介してスライドガラスSG2に吐出する。
ポジコン用染色機構17には光学カメラ21が設けられている。光学カメラ21はポジコンが載置されたスライドガラスが撮影視野に含まれるように位置決めされる。光学カメラ21は、ポシコンの染色中に繰り返し光学撮影し、ポジコンに関する光学画像を繰り返し発生する。光学画像は画像処理部23に供給される。
上記の通り、本実施形態に係る病理染色装置は、検体用染色機構13の他にポジコン用染色機構17を装備している。本実施形態に係る病理染色装置は、検体用染色機構13による検体の染色に並行して、ポジコン用染色機構17によりポジコンを染色し、検体の染色の終了タイミングをポジコンの染色強度に基づいて決定する。
次に、システム制御部11による制御のもとに行われる、本実施形態に係る検体染色処理の動作例について説明する。図5は、システム制御部11による制御のもとに行われる本実施形態に係る検体染色処理の典型的な処理の流れを示す図である。
まずシステム制御部11は、機構制御部25に検体の染色とポジコンの染色とを同時に開始させる(ステップSB1)。ステップSB1において機構制御部25は、検体用染色機構13を作動し、検体が載置されたスライドガラスに、一次抗体液、二次抗体液、及び基質液を順番に滴下させ、それに並行して、ポジコンが載置されたスライドガラスに、一次抗体液、二次抗体液、及び基質液を順番に滴下させる。
より詳細には、機構制御部25は、図2のステップSA5において検体用染色機構13の一次抗体ポンプ57とポジコン用染色機構17の一次抗体ポンプ77とに同時に吐出信号を供給する。一次抗体ポンプ57と一次抗体ポンプ77とは個別に一次抗体タンク59から所定量の一次抗体液を吸引する。一次抗体ポンプ57は、検体が載置されたスライドガラスSG1に一次抗体液を一次抗体ノズル51を介して吐出し、一次抗体ポンプ77は、ポジコンが載置されたスライドガラスSG2に一次抗体液を一次抗体ノズル71を介して吐出する。所定時間の経過後、機構制御部25は、検体用洗浄機構15の洗浄ポンプ93とポジコン用洗浄機構19の洗浄ポンプ99とに吐出信号を供給し、洗浄ポンプ93は、スライドガラスSG1に洗浄ノズル91を介して洗浄液を吐出し、洗浄ポンプ99は、スライドガラスSG2に洗浄ノズル97を介して洗浄液を吐出する。廃液は図示しない廃液タンクに流入する。
次に、機構制御部25は、図2のステップSA6において検体用染色機構13の二次抗体ポンプ61とポジコン用染色機構17の二次抗体ポンプ79とに同時に吐出信号を供給し、二次抗体ポンプ61は、検体が載置されたスライドガラスSG1に二次抗体液を吐出し、二次抗体ポンプ79は、ポジコンが載置されたスライドガラスSG2に二次抗体液を吐出する。所定時間の経過後、機構制御部25は、検体用洗浄機構15の洗浄ポンプ93とポジコン用洗浄機構19の洗浄ポンプ99とに吐出信号を供給し、洗浄ポンプ93は、スライドガラスSG1に洗浄ノズル91を介して洗浄液を吐出し、洗浄ポンプ99は、スライドガラスSG2に洗浄ノズル97を介して洗浄液を吐出する。廃液は図示しない廃液タンクに流入する。
そして機構制御部25は、図2のステップSA7において検体用染色機構13の基質ポンプとポジコン用染色機構17の基質ポンプとに同時に吐出信号を供給する。検体用染色機構13の基質ポンプ65とポジコン用染色機構17の基質ポンプ81とは個別に基質タンク67から所定量の基質液を吸引する。検体用染色機構13の基質ポンプ65は、スライドガラスSG1に基質液を基質ノズル55を介して吐出し、基質ポンプ81は、スライドガラスSG2に基質液を基質ノズル75を介して吐出する。基質ノズル55及び基質ノズル75からは同量の基質液が同時に吐出される。基質液の吐出により発色が開始される。
ステップSB1が行われるとシステム制御部11は、光学カメラ21に光学撮影を開始させる(ステップSB2)。ステップSB2において光学カメラ21は、ポジコンが載置されたスライドガラスSG2を繰り返し光学撮影し、ポジコンを被写体とする光学画像を繰り返し発生する。光学画像はカラー撮影により発生される。光学画像の画素には画素値としてRGB値が割り当てられている。すなわち、各画素にR(Red)値、G(Green)値、B(Blue)値の各々が割り当てられている。R値、G値、B値の各々のビット数は幾つであっても構わないが、説明を具体的に行うため、8ビットにより定義されているとする。この場合、R値、G値、B値の各々は、0〜255の間の数値で規定される。
図6は、ポジコンを被写体とする光学画像I1を模式的に示す図である。図6に示すように、光学画像I1は、ポジコンに関する画素の集合であるポジコン領域R1を含んでいる。ポジコン等の病理標本の組織切片はマイクロメートルのオーダーの厚さで切り出されているため穴が存在する。そのため光学画像I1のポジコン領域R1には穴に関する画素の集合である穴領域R2が含まれる。また、光学カメラ21の撮像視野にはスライドガラスのポジコンが載置されていない部分を含まれる。従って光学画像I1のポジコン領域R1の周囲には、スライドガラス等のポジコン以外の背景に関する画素の集合である背景領域R3が分布する。
ステップSB2が行われるとシステム制御部11は、画像処理部23に画素値の閾値に対する比較を行わせる(ステップSB3)。ステップSB3において画像処理部23は、まず、光学画像に含まれる比較対象領域を設定する。比較対象領域は、ユーザにより操作部27を介してポジコン領域に設定される。具体的には、画像処理部23は、ポジコン領域に含まれる複数の画素の各々についてRGB値に基づいて明度を算出する。明度Vは下記の(1)式に基づいて算出される。
V=Max(R,G,B)/255 ・・・(1)
ここで、Max(R,G,B)は、R値、G値、及びB値のうちの最大値である。明度はポジコンの染色強度を反映する。なお、(1)式は、R値、G値、及びB値の各々が8ビットで定義されている場合に成立する。例えば、R値、G値、及びB値の各々が16ビットで定義されている場合、(1)式中の“255”は“511”に修正される。
比較対象領域は、画像処理部23による画像処理により自動的に設定されても良い。自動設定方法としては、例えば、次の方法が可能である。スライドガラスSG2の下には白色プレートが設置されている。そのため、発色反応の開始直前あるいは開始直後における光学画像では、典型的には、ポジコン領域の画素の明度が低く、背景領域の画素の明度が相対的に高い。このようなポジコンを被写体とする光学画像の明度の空間分布の特質を利用して、画像処理部23は、ポジコン領域を比較対象領域に自動的に設定する。具体的には、画像処理部23は、背景領域の画素が典型的に有する明度範囲よりも低い明度を有する画素の集合を比較対象領域に設定する。あるいは、画像処理部23は、ポジコン領域の画素が典型的に有する明度範囲に属する画素の集合を比較対象領域に設定しても良い。背景領域の画素が典型的に有する明度範囲とポジコン領域の画素が典型的に有する明度範囲とは、予めユーザにより操作部27等を介して設定される。
上記の通り、ポジコン領域には穴領域が存在する。そのため、上記の方法の場合、穴領域が比較対象領域に設定されてしまう場合がある。これを防止するため、画像処理部23は、光学画像に含まれる穴領域を消去しても良い。例えば、画像処理部23は、光学画像にモルフォロジー演算を施して穴領域を消去することが可能である。図7は、穴領域が消去された光学画像I2を模式的に示す図である。図7に示すように、ポジコン領域R4にはモルフォロジー演算により穴領域が存在しない。モルフォロジー演算後、画像処理部23は、光学画像I2の前景領域をポジコン領域R4として特定し、特定されたポジコン領域R4を比較対象領域に設定する。これにより、比較対象領域に含まれるノイズがより低減される。
また、画像処理部23は、ポジコンを被写体とする光学画像の明度の時間変化の特質を利用して比較対象領域を設定しても良い。図8は、光学画像に含まれるポジコン領域と背景領域との標準的な明度の時間変化を示す図である。図8の縦軸は明度Vに規定され、横軸は時間に規定される。図8に示すように、ポジコン領域は時間の経過に伴い明度が上昇し、背景領域は時間が経過しても明度が一定である。このようなポジコン領域と背景領域との明度の時間変化の態様の違いを利用して画像処理部23は、光学画像からポジコン領域を特定する。すなわち、画像処理部23は、繰り返し発生される光学画像の複数の画素の明度をモニタリングし、明度が上昇する画素を特定する。そして画像処理部23は、時間経過に伴い明度が上昇する画素の集合を比較対象領域に設定する。この際、画像処理部23は、上記のモルフォロジー演算を光学画像に施し、モルフォロジー演算が施された光学画像において、明度が上昇する画素を特定すると良い。これにより、比較対象領域に含まれるノイズがより低減される。
明度が算出されると画像処理部23は、算出された明度と明度に対する閾値(以下、明度閾値と呼ぶ)とを画素毎に比較する。明度閾値は実験的又は経験的に定められた任意の値に操作部27を介して設定可能である。例えば、明度閾値は、染色済みのポジコンが載置されたスライドガラスを用いて決定される。具体的には、検体染色処理の実行前においてポジコン用染色機構17に染色済みのポジコンが載置されたスライドガラスが設置され、光学カメラ21により当該ポジコンを被写体とする光学画像が発生される。そして光学画像のポジコン領域の明度が画像処理部23により明度閾値に設定される。明度閾値は記憶部31に記憶される。このような、明度閾値の設定処理は、検体免疫処理とは別の測定モードにおいて行われると良い。
ステップSB4において明度が明度閾値よりも小さいと判定された場合(ステップSB4:NO)、システム制御部11は、ステップSB3に戻り、次に光学カメラ21により発生された光学画像について明度の算出と明度閾値に対する比較とを画像処理部23に行わせる。このようにして画像処理部23は、光学カメラ21により繰り返し発生される光学画像について明度の算出と明度閾値に対する比較とを経時的に実行する。
図9は、光学画像に含まれる比較対象領域の画素の明度の典型的な時間変化を示す図である。図9の縦軸は明度Vに規定され、横軸は時間に規定される。画像処理部23は、繰り返し発生される光学画像の比較対象領域の複数の画素の各々について明度を算出し、算出された明度を明度閾値Tbに対して比較する。画像処理部23は、明度が明度閾値Tbに到達するまで、明度の算出と明度閾値Tbに対する比較とを繰り返す。
停止信号の発生の時期的基準は、ユーザにより任意に設定可能である。すなわち、比較対象領域に含まれる複数の画素のうちの何れか一つの画素の明度が明度閾値Tbに到達した場合に停止信号を発生しても良いし、所定数(2以上)の画素の明度が明度閾値Tbに到達した場合に停止信号を発生しても良い。当該所定数は、実験的あるいは経験的に定められた値に操作部27を介してユーザにより設定可能である。
また、画像処理部23は、比較対象領域に含まれる複数の画素の明度の統計値を明度閾値Tbに対して比較しても良い。統計値としては、複数の画素の明度の最大値、最小値、中央値、平均値、又は重心値から任意に設定可能である。
そしてステップSB4において明度が明度閾値以上であると判定されたた場合(ステップSB4:YES)、画像処理部23は、明度が明度閾値Tbに到達したことを契機として停止信号を即時的に発生する。システム制御部11は、停止信号を機構制御部25に供給し、機構制御部25に検体の洗浄を行わせる(ステップSB5)。具体的には、機構制御部25は、検体用染色機構13の検体用洗浄機構15の洗浄ポンプ93に吐出信号を供給する。吐出信号を受けた洗浄ポンプ93は、検体が載置されたスライドガラスSG1に洗浄液を、洗浄ノズル91を介して即時的に吐出する。洗浄により基質液が検体から流し落とされ、発色反応が終了する。これにより検体の染色(発色)が終了する。
以上により、本実施形態に係る検体染色処理の動作例の説明を終了する。
なお、上記の実施形態において画像処理部23は、ステップSB3における画素値の閾値に対する比較を行う際、画素値として明度を用いるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、画像処理部23は、画素値として彩度を用いても良い。以下、画素値として彩度を用いる場合のステップSB3及びSB4について説明する。
画像処理部23は、光学画像の比較対象領域の画素のRGB値に基づいて彩度を算出する。彩度は、下記の(2)式に基づいて算出される。
S=(Max(R,G,B)-Min(R,G,B))/Min(R,G,B) ・・・(2)
ここで、Min(R,G,B)は、R値、G値、及びB値のうちの最小値である。彩度はポジコンの染色強度を反映する。
各画素の彩度が算出されると画像処理部23は、算出された彩度と彩度に対する閾値(以下、彩度閾値と呼ぶ)とを比較し、算出された彩度と彩度閾値とを比較する。そして光学画像の比較対象領域の画素の彩度が明度閾値以上であると判定されるまで、各光学画像について彩度の算出と彩度閾値に対する比較とが繰り返される。そして、比較対象領域の画素の彩度が彩度閾値以上であると判定された場合、機構制御部25の制御のもとに検体が洗浄液で洗浄される。
彩度閾値は実験的又は経験的に定められた任意の値に操作部27を介して設定可能である。例えば、彩度閾値は、染色済みのポジコンが載置されたスライドガラスを用いて決定される。具体的には、検体染色処理の実行前においてポジコン用染色機構17に染色済みのポジコンが載置されたスライドガラスを設置し、光学カメラ19により当該ポジコンを被写体とする光学画像を発生する。そして光学画像のポジコン領域の彩度が彩度閾値に設定される。彩度閾値は記憶部31に記憶される。このような、彩度閾値の設定処理は、検体免疫処理とは別の測定モードにおいて行われると良い。なお、彩度閾値の設定は、上記の明度閾値の設定時に並行して行われても良い。
また、画像処理部23は、明度と彩度との両方が閾値以上になった場合に検体が洗浄液で洗浄されても良い。具体的には、画像処理部23は、ステップSB3において、光学画像の比較対象領域の画素の明度と彩度とを算出する。明度と彩度とを算出すると画像処理部23は、明度を明度閾値に対して比較し、彩度を彩度閾値に対して比較する。そして明度が明度閾値以上であり且つ彩度が彩度閾値であると判定された場合、機構制御部25の制御のもとに検体が洗浄液で洗浄される。このように明度と彩度との両方を考慮することにより、ポジコンの染色強度をより精確に染色の終了タイミングを検出することが可能となる。
また、上記の実施形態において検体の洗浄は検体用洗浄機構15により行われるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、検体の洗浄はユーザにより行われても良い。この場合、システム制御部11は、画素値(明度や彩度)が閾値以上であると判定された場合(ステップSB3:YES)、表示部29に停止信号を供給する。停止信号の供給を受けた表示部29は、「検体を洗浄して下さい」等の検体の洗浄を促すメッセージを表示させる。当該メッセージを確認することによりユーザは、適切なタイミングで検体の洗浄を行うことが可能となる。
上記の説明の通り、本実施形態に係る病理染色装置は、検体用染色機構13、ポジコン用染色機構17、機構制御部25、光学撮影部21、及び画像処理部23を有している。検体用染色機構13は、検体を染色するための染色機構である。ポジコン用染色機構17は、ポジコンを染色するための染色機構である。機構制御部25は、検体の染色に並行してポジコンを染色するように検体用染色機構13とポジコン用染色機構17とを制御する。光学撮影部21は、ポジコンを繰り返し光学撮影し、ポジコンに関する光学画像を繰り返し発生する。画像処理部23は、繰り返し発生される光学画像の画素の画素値を閾値に対して比較し、当該画素値が閾値に到達した場合、当該画素値が閾値に到達したことを示す停止信号を発生する。
上記の構成により、病理染色装置は、検体用染色機構13による検体の染色に際し、ポジコン用染色機構17によりポシコンを並行して染色し、光学撮影部21によりポジコンを繰り返し光学撮影する。画像処理部23は、繰り返し発生される光学画像を通じてポジコンの染色強度を光学的に測定する。そして画像処理部23は、ポジコンの染色強度が閾値に到達したことを契機として、例えば、光学画像の画素の画素値が閾値に到達したことを契機として停止信号を発生する。停止信号の供給を受けた機構制御部25は、検体用洗浄機構15を作動して検体を染色し、検体の染色を終了させる。あるいは、停止信号の供給を受けた表示部29は、検体の洗浄を促すメッセージを表示する。すなわち、本実施形態に係る画像処理部23は、ポジコンの染色強度が閾値に到達したときを検体の染色の終了時に決定している。
一般的にポジコンであっても抗体液の種類、抗体液のロット番号、抗原抗体反応の経過時間等により同一の発色反応時間であっても染色強度が異なる。このような種々の要因に影響される染色強度のばらつきを完全に無くすことは難しい。一方、本実施形態に係る病理検体装置は、検体を染色するに際してポジコンを並行して染色し、ポジコンの光学画像の画素の画素値が閾値に到達したときを検体の染色の終了時刻と見做している。従って、本実施形態によりユーザは、ポジコンの染色強度を基準として検体の染色強度を評価することが可能となる。そのため、本実施形態に係る病理染色装置は、染色強度に影響する種々の要因を調整する必要なく、信頼性の高い染色結果を提供することが可能となる。
発色反応の時間を制御する他の方法として、使用される抗体の力価を測定し、当該力価の測定結果に基づいて抗原抗体反応の時間を制御する方法が考えられる。力価の測定は、抗体を産生した動物の結成を用いて行われている。力価の測定結果のばらつきを無くすためには、血清の品質を検定する必要がある。このため、力価の測定に基づく処理を病理染色装置に組み込む必要があり、装置の複雑化・大型化を招き、製造コストが増加してしまう。
一方、本実施形態に係る病理染色装置は、ポジコンの染色機構等を追加することのみで、検体の発色反応の時間を制御している。このため、抗体の力価の測定を要する場合に比して装置の複雑化・大型化、製造コストの増加が制限される。
かくして、本実施形態によれば、染色結果の信頼性を向上することが可能となる。
なお、上記の説明においては、酵素抗体法による免疫染色として、一次抗体と二次抗体とを用いる間接法を用いるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されず、抗原に直接的に結合する抗体に標識を修飾する直接法を用いても良い。また、本実施形態に係る病理染色処理としては、酵素が修飾された抗体を用いる酵素抗体法に限定されず、蛍光抗体法でも良い。蛍光抗体法においては、第2の抗原抗体反応工程(SA6)において蛍光色素が修飾された二次抗体を検体に添加し、発色工程(SA7)において蛍光色素に対応する励起波長の光を検体及びポジコンに照射する。励起波長の光の照射を受けて検体及びポジコンは、蛍光を発生する。蛍光を発生するポジコンを光学カメラ21により光学撮影して当該ポジコンを被写体とする光学画像を発生する。そしてシステム制御部11による制御のもと、上述と同様の方法により、ステップSB3、SB4、及びSB5が行われる。かくして、蛍光抗体法においても、酵素抗体法と同様に、本実施形態に係る検体染色処理を実行可能である。
また、本実施形態に係る検体用染色機構13とポジコン用染色機構17とは滴下式であるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。検体用染色機構13とポジコン用染色機構17とはオイルカバースリップ方式あるいは毛細管現象方式であっても良い。
また、上記の実施形態においては、光学画像の画素にRGB値等のカラー値が割り当てられているとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。ポジコン領域と他の領域とが画像処理により判別可能であれば、画素にはグレー値が割り当てられても良い。
また、上記の実施形態においてはステップSA5、SA6、及びSA7について検体用染色機構13、検体用洗浄機構15、ポジコン用染色機構17、及びポジコン用洗浄機構19を用いた機構制御部25による自動的な検体染色処理を説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、機構制御部25は、他のステップSA1、SA2、SA3、SA4、SA8、SA9、及びSA10の少なくとも一つの工程についても検体用染色機構13、検体用洗浄機構15、ポジコン用染色機構17、及びポジコン用洗浄機構19を用いて自動的に行っても良い。
また、上記の実施形態においては明度閾値及び彩度閾値の設定に際し、検体染色処理の前段においてポジコン用染色機構17に染色済みのポジコンが載置されたスライドガラスを設置し、当該ポジコンを光学撮影するとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、図10に示すように、本実施形態に係る病理染色装置は、染色済み標本配置器33と光学撮影部35とをさらに備えていても良い。染色済み標本配置器33は、染色済みのポジコンが載置されたスライドガラスが配置される器である。光学撮影部35は、染色済み標本配置器33に載置された染色済みのポジコンを光学撮影し、染色済みのポジコンを被写体とする光学画像を発生する。染色済みのポジコンの光学撮影は、検体の免疫染色の前段に行われる。画像処理部23は、染色済みのポジコンを被写体とする光学画像に含まれるポジコン領域の画素の画素値を特定し、特定された画素値を、ステップSB3において用いられる閾値に設定する。具体的には、染色済みのポジコンを被写体とする光学画像に含まれるポジコン領域の画素のRGB値に基づいて明度を算出し、算出された明度を明度閾値に設定し、ポジコン領域の画素のRGB値に基づいて彩度を算出し、算出された彩度を彩度閾値に設定する。設定された閾値は記憶部31に記憶される。
このように、染色済みのポジコンを光学撮影するための機構を独立して搭載することにより、ポジコン用染色機構17を用いて染色済みのポジコンの光学撮影する場合に比して、測定モードの複雑化を避けることが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。