JP6245511B2 - マイクロカプセル色材及び筆記具用インク組成物 - Google Patents
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2)(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)顕色剤である電子受容性化合物として特定のヒドロキシ安息香酸エステル化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を可逆的に生起させる変色温度調整剤(反応媒体)として鎖式炭化水素類、脂肪族炭化水素類などから選ばれる化合物と、(ニ)融点が50℃以上のアルコール類、エステル類、酸アミド類などから選ばれる化合物とからなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
(1) ロイコ色素、下記式(I)で示される顕色剤及び変色温度調整剤を少なくとも含むことを特徴とするマイクロカプセル色材。
(2) 平均粒子径が0.1〜1.0μmの範囲にあることを特徴とする上記(1)記載のマイクロカプセル色材。
(3) 変色温度調整剤が下記式(II)で示される変色温度調整剤であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のマイクロカプセル色材。
(4) 上記(1)〜(3)の何れか一つに記載のマイクロカプセル色材を用いたことを特徴とする筆記具用インク組成物。
(5) 上記(4)記載の筆記具用インク組成物を搭載したことを特徴とする筆記具。
本発明のマイクロカプセル色材は、ロイコ色素、下記式(I)で示される顕色剤及び変色温度調整剤を少なくとも含むことを特徴とするものである。
用いることができるロイコ色素としては、電子供与性染料で、発色剤としての機能するものであれば、特に限定されものではない。具体的には、発色特性に優れるインクを得る点から、トリフェニルメタン系、スピロピラン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系、ローダミンラクタム系、インドリルフタリド系、ロイコオーラミン系等従来公知のものが、単独(1種)で又は2種以上を混合して(以下、単に「少なくとも1種」という)用いることができる。
具体的には、6−(ジメチルアミノ)−3,3−ビス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1(3H)−イソベンゾフラノン、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−エチルイソアミルアミノフルオラン、2−メチル−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(N−フェニル−N-−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(3’−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メトキシ−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、3−メトキシ−4−ドデコキシスチリノキノリンなどが挙げられ、これらは、少なくとも1種用いることができる。
更に、黄色〜赤色の発色を発現させるピリジン系化合物、キナゾリン系化合物、ビスキナゾリン系化合物等も用いることができる。
これらのロイコ染料は、ラクトン骨格、ピリジン骨格、キナゾリン骨格、ビスキナゾリン骨格等を有するものであり、これらの骨格(環)が開環することで発色を発現するものである。
本発明に用いる下記式(I)で示される顕色剤は、上記ロイコ色素を発色させる能力を有する成分となるものである。
上記式(I)中において、R1としては水素原子、メチル基を表す。R2としては、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基を表し、該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等などが挙げられる。
用いる上記式(I)で示される顕色剤は、その製造法等は既知であり、従来のビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンなどのトリフェニルメタン系の化合物等からなる顕色剤に較べ、顕色効果が同等以上に良好となるものであり、材料選択の自由度を増し、その量を設定する際の設定の自由度などを広げることができるものとなる。
本発明に用いる変色温度調整剤は、前記ロイコ色素と上記(I)で示される顕色剤の呈色において変色温度をコントロールする物質である。
用いることができる変色温度調整剤は、従来公知のものが使用可能である。具体的には、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類、アゾメチン類、脂肪酸類、炭化水素類などが挙げられる。
好ましくは、材料選択の自由度を増し、その量を設定する際の設定の自由度などの点から、下記式(II)で示される変色温度調整剤を挙げることができる。
上記式(II)中のR3、R4は、それぞれ独立して炭素数7〜21のアルキル基を表すものであり、同一であっても異なっていても良く、直鎖又は分岐鎖を有する炭素数7〜21のアルキル基であれば、特に限定されず、例えば、n−ヘプチル基、n−ノニル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘプタデシル基、n−ヘンイコシル基、イソヘプチル基、イソウンデシル基、イソヘプタデシル基等が挙げられる。
また、上記式(II)中のR5は、水素原子もしくは炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基を表すものであり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
なお、本発明のインク組成物の諸特性を損なわない範囲内であれば、この種の感温変色性組成物において従来公知の変色温度調整剤を組み合わせて用いることもできる。
本発明のマイクロカプセル色材は、少なくともロイコ色素、上記式(I)で示される顕色剤、変色温度調整剤を含む熱変色性組成物を、好ましくは、平均粒子径が0.1〜1.0μmとなるように、マイクロカプセル化することにより製造することができる。
マイクロカプセル化法としては、例えば、界面重合法、界面重縮合法、insitu重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライニング法などを挙げることができ、用途に応じて適宜選択することができる。
本発明のマイクロカプセル色材では、ロイコ色素、顕色剤及び変色温度調整剤の種類、量などを好適に組み合わせることにより、各色の発色温度、消色温度を好適な温度に設定することができる。
マイクロカプセル色材の壁膜の厚さは、必要とする壁膜の強度や描線濃度に応じて適宜決められる。
なお、壁膜がアミノ樹脂で形成するためには、各マイクロカプセル化法を用いる際に、好適なアミノ樹脂原料(メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等)、並びに、分散剤、保護コロイドなどを選択する。
この平均粒子径が0.1μm未満であると、十分な描線濃度が得られず、一方、1.0μmを越えると、筆記性の劣化やマイクロカプセル色材の分散安定性の低下が発生し、好ましくない。
なお、上記平均粒子径の範囲(0.1〜1.0μm)となるマイクロカプセル顔料は、マイクロカプセル化法により変動するが、水溶液からの相分離法などでは、マイクロカプセル顔料を製造する際の攪拌条件を好適に組み合わせることにより調製することができる。
本発明の筆記具用インク組成物は、上記構成のマイクロカプセル色材を含有することを特徴とするものであり、ボールペン用、マーキングペン用等の筆記具用インク組成物として用いることをできる。
本発明のマイクロカプセル色材の含有量は、インク組成物全量に対して、好ましくは、5〜30質量%(以下、単に「%」という)、更に好ましくは、10〜25%とすることが望ましい。
このマイクロカプセル色材の含有量が5%未満であると、着色力、発色性が不十分となり、一方、30%を超えると、カスレが生じやすくなり、好ましくない。
本発明の筆記具用インク組成物において、水性では、上記マイクロカプセル色材の他、残部として溶媒である水(水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等)の他、各筆記具用(ボールペン用、マーキングペン用等)の用途に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、水溶性有機溶剤、増粘剤、潤滑剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤などを適宜含有することができる。
本発明の筆記具用インク組成物において、油性では、上記構成のマイクロカプセル顔料を含有すると共に、主溶剤として、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルから選ばれる少なくとも一つとを含有することが好ましい。これらの溶剤を主溶剤として選択、使用することで、上記マイクロカプセル顔料の経時的な凝集を発生しないように作用するものである。
また、本発明で用いるポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル〔POP(n)ジグリセリルエーテル〕はジグリセリンの水酸基にポリオキシプロピレンが付加重合したものである。本発明においてポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル〔POP(n)ジグリセリルエーテル〕におけるオキシプロピレンの付加モル数(n)は、本発明の効果を更に発揮せしめる点から、4〜25が好ましく、更に好ましくは4〜14である。
用いることができる樹脂としては、例えば、ケトン樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、フェノール系樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、アクリル系樹脂、尿素アルデヒド系樹脂、マレイン酸系樹脂、シクロヘキサノン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン等に代表される樹脂が挙げられる。
具体的な分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、スチレン−マレイン酸共重合体、ケトン樹脂、ヒドロキシエチルセルロースやその誘導体、スチレン−アクリル酸共重合体等の合成樹脂やPO・EO付加物やポリエステルのアミン系オリゴマー等が挙げることができる。
また、防錆剤、防腐剤、潤滑剤としては、上述の水性で用いた各種の防錆剤、防腐剤、潤滑剤を用いることができる。
本発明の筆記具用インク組成物及び筆記具では、ロイコ色素、上記式(I)で示される顕色剤及び変色温度調整剤を少なくとも含むマイクロカプセル色材を含有する水性、または、油性のインクを処方し、このインクを搭載したボールペン体、マーキングペン体などの筆記具にて紙面等に筆記しても、経時的なマイクロカプセル色材の凝集や変色が発生せず、筆跡を良好に変色させることができ、消色性、復色性に優れた筆記具用インク組成物、筆記具が得られるものとなる。
(マイクロカプセル色材:A−1)
下記表1に示される各量となるロイコ色素、顕色剤、及び変色性温度調整剤の組み合わせにて色材を得た。
具体的には、ロイコ色素として、メチル−3’,6’−ビスジフェニルアミノフルオラン1部、顕色剤として、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−5−ビフェニルイル)プロパン2部、及び変色性温度調整剤として、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジカプリレート24部を100℃に加熱溶融して、均質な組成物27部を得た。
上記で得た組成物27部の均一な熱溶液を、保護コロイド剤として、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合樹脂〔ガンツレッツAN−179:ISP(株)社製〕40部をNaOHにてpH4に溶解させた90℃の水溶液100部中に徐々に添加しながら、加熱攪拌して直径約0.5〜1.0μmの油滴状に分散させ、次いでカプセル膜剤として、メラミン樹脂(スミテックスレジンM−3、(株)住友化学製)20部を徐々に添加し、90℃で30分間加熱してマイクロカプセル化を行い、膜剤がメラミン樹脂からなる可逆感温変色性ヒステリシス組成物のマイクロカプセル分散液を得た。この分散液を常温に冷却後、酸添加、濾別、水洗を行い、スプレードライ機を用いて乾燥することにより、平均粒子径が0.72μmとなるパウダー状のマイクロカプセル色材を得た。色相は、発色状態においては濃厚な青色を呈していた。
下記表1に示される各量となるロイコ色素、顕色剤、及び変色性温度調整剤の組み合わせで、他は上記A−1の処方と同様にして、パウダー状の各マイクロカプセル色材を得た。
得られたマイクロカプセル色材A−2〜A−8の平均粒子径、色相(発色状態)を下記表1に示す。
(インクの処方)
上記製造例で得られたマイクロカプセル色材(A−1〜A−8)を用いて下記表2に示す配合処方にしたがって、常法により各水性のボールペン用水性インク組成物を調製した。
上記で得られた各インク組成物を用いて水性ボールペンを作製した。具体的には、ボールペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:UF−202〕の軸を使用し、内径3.8mm、長さ90mmポリプロピレン製インク収容管とステンレス製チップ(超硬合金ボール、ボール径0.5mm)及び該収容管と該チップを連結する継手からなるリフィールに上記各水性し、インク後端に鉱油を主成分とするインク追従体を装填し、水性ボールペンを作製した。
得られた実施例1〜8の各ボールペンを用いて、下記評価方法で消色性、復色性の評価を行った。
これらの結果を下記表2に示す。
上記ペンを用いて直径約3cmの円をPPC用紙に筆記後、65℃において3分間保管した後、下記評価基準に基づいて評価した。
評価基準:
○:完全に消色した。
△:消え残りがやや観察された。
×:はっきりとした消え残りが観察された。
上記消色性の評価によって消色した用紙を、−20℃において20分間保管した後、下記評価基準に基づいて評価した。
評価基準:
○:元の濃度まで復色した。
△:復色したものの、やや濃度が低下した。
×:復色したものの、大きく濃度が低下した。あるいは復色しなかった。
Claims (4)
- 平均粒子径が0.1〜1.0μmの範囲にあることを特徴とする請求項1記載のマイクロカプセル色材。
- 請求項1又は2に記載のマイクロカプセル色材を用いたことを特徴とする筆記具用インク組成物。
- 請求項3記載の筆記具用インク組成物を搭載したことを特徴とする筆記具。
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