JP6244793B2 - 蛋白質含有食品の製造方法及び蛋白質含有食品改質用の酵素製剤 - Google Patents

蛋白質含有食品の製造方法及び蛋白質含有食品改質用の酵素製剤 Download PDF

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本発明は、蛋白含有食品原料にグルコースオキシダーゼ及び酸化カルシウム及び重曹を添加することを特徴とする、蛋白質含有食品の製造方法並びに蛋白質含有食品改質用の酵素製剤に関するものである。
ハム、ソーセージなどの畜肉加工品、蒲鉾などの水産練製品、エビ加工食品などの水産加工品、米飯食品、パン、麺等の蛋白質含有食品において、加水をすることで歩留まりを向上させ、製品コストを下げる試みが行われている。しかしながら、このような歩留まりを高めた食品は、本来の物性とは大きくかい離してしまうため、物性を補う技術が重要となる。これまでに、トランスグルタミナーゼによる蛋白質架橋反応や、蛋白質のSH基を架橋しジスルフィド結合(S-S結合)を生成させる酸化反応により、物性を向上させる技術が知られている。
蛋白質含有食品である、ボイルエビ、エビフライ、エビ寄せフライ、エビ天、エビカツなどのエビ加工食品において、エビの歩留まり向上は製造コストに直結するために必須であり、歩留まり向上剤は良く使用されている。エビを加熱処理すると、ジューシー感が失われ、硬くボソボソ、パサパサとした食感に変化することが知られており、これらの問題点を解決するために、いくつかの試みが行われている。一般にはエビをリン酸塩やpH調整剤などのアルカリ剤で処理する方法が利用される。
特許文献1には炭酸カリウム、酸化カルシウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、食塩、グルタミン酸ナトリウムおよび水を含有するエビ類用表面改良剤により食感を改良する方法が開示されている。しかし、こうしたアルカリ剤等による処理を行った場合、エビの「歩留まり」は大きく向上するものの、食感が水を吸ったぶよぶよとしたものになってしまい、エビ特有の物性である「線維感」(エビを噛み込んだ際に何層にもわたって繰り返し断続的に続く歯に感じる応力の強さ)が低下し、本来のエビの食感とは大きく異なるものとなってしまう。特にエビカツやエビフライなどエビ本来の食感が求められる食品においては、ぶよぶよした食感を改質する技術が大変重要となる。
特許文献2にはグルコース、グルコースオキシダーゼ及び過酸化水素分解酵素を含む水溶液に浸漬し、次いで重曹及び/又は重合リン酸塩を含む水溶液に浸漬した後、ボイル処理し冷凍乾燥することを特徴とする凍結乾燥エビの製造方法が開示されている。グルコースオキシダーゼにより生成する過酸化水素により、エビの蛋白構造が網目状に架橋される旨の記載があり、凍結乾燥エビのような熱湯により復元させるエビに関して、プリプリとした柔らかさと歯ごたえが共存したエビ食感を得られると記載されている。しかしながら、この方法は、段階を分けて浸漬する方法であり、重曹や基質となるグルコースを混合した酵素製剤として利用した場合は褐変が生じ、さらにはグルコースオキシダーゼの保存中の活性低下が起きるなど課題が生じる。
特許文献3にはトランスグルタミナーゼ及びクエン酸三ナトリウムおよび酸化カルシウム及び酵母エキスを含有する溶液でエビを処理する方法が開示されている。この方法は優れた方法であり、歩留まりを向上させながら表面の「硬さ」を向上させることができる。特に酸化カルシウムであればトランスグルタミナーゼの「硬さ」向上効果を他のアルカリ素材よりも強く出すことが可能となる。しかしこの技術ではエビ内部の「線維感」を高めることができない。この解決には、グルコースオキシダーゼの添加が有効であるが、グルコースオキシダーゼと酸化カルシウム及びグルコースオキシダーゼの基質となるグルコースを混合し同様な製剤を作製した場合、やはり酸化カルシウムにより保存後のグルコースオキシダーゼ活性の著しい低下が起こる。
以上の技術からはエビフライなどのエビ改質技術としては、エビの内部の「線維感」や表面の「硬さ」を保持しつつ歩留まりを向上させる技術が構築されている。しかしながらグルコースオキシダーゼと基質であるグルコースを、アルカリ素材である酸化カルシウムあるいは重曹と組み合わせた際には、製剤保存中のグルコースオキシダーゼ活性の低下や高温保管での製剤の褐変が生じることが課題として生じていた。
特許第3590615号公報 特許第4344294号公報 特開2007−14248号公報
本発明の目的は、エビ加工食品等蛋白質含有食品にpH調整剤などのアルカリ剤を使用し、歩留まりを向上させた場合でも、蛋白質含有食品本来の自然な物性を有する蛋白質含有食品を得ることのできる、蛋白質含有食品の製造方法、並びに長期保存安定性が担保された蛋白質含有食品改質用の酵素製剤を提供することである。
本発明者等は、鋭意研究を行った結果、グルコースオキシダーゼ及び酸化カルシウム及び重曹を用いることにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の通りである。
(1)蛋白質を含有する食品原料にグルコースオキシダーゼ及び酸化カルシウム及び重曹を添加することを特徴とする蛋白質含有食品の製造方法。
(2)グルコースオキシダーゼの添加量が食品原料1g当たり0.001〜5Uであり、酸化カルシウムの添加量が食品原料1g当たり0.00003g〜0.01gであり、重曹の添加量が食品原料1gあたり0.0003g〜0.1gである(1)記載の方法。
(3)さらに、蛋白質を含有する食品原料にグルコースを添加することを特徴とする(1)又は(2)記載の方法。
(4)グルコースの添加量が食品原料1gあたり0.00001g〜1gである(3)記載の方法。
(5)蛋白質含有食品がエビ加工食品である(1)乃至(4)記載の方法。
(6)グルコースオキシダーゼ及び酸化カルシウム及び重曹を有効成分として含有する蛋白質含有食品改質用の酵素製剤。
(7)酸化カルシウムの含有量がグルコースオキシダーゼ1U当たり0.000015〜0.2gであり、重曹の含有量がグルコースオキシダーゼ1U当たり0.00015〜2gである(6)記載の製剤。
(8)さらにグルコースを有効成分として含有する(6)又は(7)記載の製剤。
(9)グルコースの含有量がグルコースオキシダーゼ1U当たり0.000005〜20gである(8)記載の製剤。
(10)蛋白質含有食品がエビ加工食品である(6)乃至(9)記載の製剤。
本発明によると、エビ加工食品をはじめとした蛋白質含有食品の食感を向上することが出来る。
本発明の蛋白質含有食品は、蛋白質を含有する食品原料(例えば、牛肉、豚肉、鶏肉等の肉類、魚、貝類、エビ、カニ、タコ、イカ等の水産物、豆類、小麦等の穀類、乳、卵等)より製造される食品を指し、具体的には、ハム、ソーセージなどの畜肉加工品、蒲鉾などの水産練製品、エビ加工食品などの水産加工品、豆腐、米飯食品、パン、麺、乳製品、卵加工品等が含まれる。
本発明のエビ加工食品として、ボイルエビ、エビフライ、エビ寄せフライ、エビ天、エビカツなどが挙げられる。また、これらを利用した冷凍品、無菌包装品、レトルト品、乾燥品、缶詰品も含まれる。本発明のエビ加工食品の原料となるエビは、バナメイ、ブラックタイガー、プーバラン、ホワイト、ピンク等どのような品種のエビでもよい。
本発明による蛋白質含有食品の製造方法及び蛋白質含有食品改質用の酵素製剤には、グルコースオキシダーゼ及び酸化カルシウム及び重曹を用い、必要に応じさらにグルコースを用いる。グルコースオキシダーゼは、グルコース、酸素、水を基質としてグルコン酸と過酸化水素を生成する反応を触媒する。この反応により生成された過酸化水素は、蛋白質中のSH基を酸化することでSS結合(ジスルフィド結合)生成を促進し、蛋白質中に架橋構造を作る。グルコースオキシダーゼは、麹菌等微生物由来、植物由来のものなど種々の起源のものが知られているが、本発明で用いる酵素はこの活性を有している酵素であれば構わず、その起源としてはいずれのものでも構わない。また、組み換え酵素であっても構わない。「スミチームPGO」という商品名で新日本化学工業(株)より市販されている微生物由来のグルコースオキシダーゼが一例である。尚、カタラーゼ製剤と混合されている市販のものも多く見られるが、グルコースオキシダーゼ活性を有していれば、他の製剤との混合物であっても構わない。
本発明の蛋白質含有食品の製造方法において、グルコースオキシダーゼの添加量は、肉、エビ、小麦粉等の食品原料1g当たり0.001〜5Uが好ましく、0.05〜2Uがより好ましく、0.1〜1Uが更に好ましい。この範囲より低いと顕著な効果が見られず、高い場合では、効果は特に変わらず、コスト上メリットがない。尚、グルコースオキシダーゼ活性については、グルコースを基質として、酸素存在下でグルコースオキシダーゼを作用させることで過酸化水素を生成させ、生成した過酸化水素にアミノアンチピリン及びフェノール存在下でペルオキシダーゼを作用させることで生成したキノンイミン色素が呈する色調を、波長500nmで測定し定量する。1分間に1μmolのグルコースを酸化するのに必要な酵素量を1U(ユニット)と定義した。
本発明の酸化カルシウムの量は、食品原料1g当たり0.00003g〜0.01gであり、好ましくは0.00005〜0.005g、より好ましくは0.0001〜0.001gである。酸化カルシウムの形状は、粉末状、ペースト状、懸濁液状のいずれでもよい。(株)エヌシーコーポレーションより販売されている貝殻焼成カルシウムが一例である。
本発明の重曹の量は、食品原料1g当たり0.0003g〜0.1gであり、好ましくは0.0005〜0.05g、より好ましくは0.001〜0.01gである。重曹の形状は、粉末状、ペースト状、懸濁液状のいずれでもよい。旭硝子(株)より販売されている重炭酸ナトリウムが一例である。
本発明のグルコースの量は、食品原料1g当たり0.00001g〜1gあり、好ましくは0.00005〜0.1g、より好ましくは0.0001〜0.01gである。グルコースの形状は、粉末状、ペースト状、懸濁液状のいずれでもよい。カーギルジャパン(株)より販売されている無水結晶グルコースが一例である。
本発明の蛋白質含有食品の製造方法において、グルコースオキシダーゼ及び酸化カルシウム及び重曹及びグルコースは、製造工程のどの工程で添加してもよい。また、各素材を原料に添加・作用させる順序は特に問わず、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。例えば、エビ加工食品の場合、吸水のためにエビを浸漬させる浸漬液に添加してもよいし、浸漬後、加熱工程前にグルコースオキシダーゼを添加してもよい。また、加熱後のエビに酵素溶液を振りかける等して作用させてもよい。
グルコースオキシダーゼの反応時間は、酵素が基質物質に作用することが可能な時間であれば特に構わず、非常に短い時間でも逆に長時間作用させても構わないが、現実的な作用時間としては1分〜24時間が好ましく、5分〜24時間がより好ましく、5分〜4時間がさらに好ましい。また、反応温度に関しても酵素が活性を保つ範囲であればどの温度であっても構わないが、現実的な温度としては0〜80℃で作用させることが好ましい。すなわち、通常の浸漬・加熱工程を経ることで十分な反応時間が得られる。
グルコースオキシダーゼ、酸化カルシウム、重曹の他にトランスグルタミナーゼ等の酵素、グルコース、デキストリン、澱粉、加工澱粉、還元麦芽糖等の賦形剤、植物蛋白、グルテン、卵白、ゼラチン、カゼイン等の蛋白質、グルタミン酸ナトリウム、動物エキス、魚介エキス、蛋白加水分解物、蛋白部分分解物等の調味料や蛋白質原料、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、などのアルカリ剤(pH調整剤)、グルコン酸、クエン酸塩等のキレート剤、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、システイン等の酸化還元剤、アルギン酸、かんすい、油脂、色素、酸味料、香料等その他の食品添加物等を併用しても構わない。特に、トランスグルタミナーゼはアルカリ剤と同時に使用することにより歩留まりを向上させながら、食品本来の食感を維持することが可能となる。
本発明のエビ加工食品の製造方法の場合、グルコースオキシダーゼをエビに作用させた効果としては「線維感」がエビ加工食品に顕著に付与される。「線維感」とはエビ内部の層状の食感を表す。グルコースオキシダーゼにより生成された過酸化水素は分子量が小さいため、内部まで容易に浸透しSS結合が付与されることで物性向上効果を有するようになると考えられる。
グルコースオキシダーゼ、酸化カルシウム、重曹を混合することにより、本発明の蛋白質含有食品改質用の酵素製剤を得ることができる。さらにトランスグルタミナーゼ等の酵素、グルコース、デキストリン、澱粉、加工澱粉、還元麦芽糖等の賦形剤、植物蛋白、グルテン、卵白、ゼラチン、カゼイン等の蛋白質、グルタミン酸ナトリウム、動物エキス、魚介エキス、蛋白加水分解物、蛋白部分分解物等の調味料や蛋白質原料、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、などのアルカリ剤(pH調整剤)、グルコン酸、クエン酸塩等のキレート剤、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、システイン等の酸化還元剤、アルギン酸、かんすい、油脂、色素、酸味料、香料等その他の食品添加物等を添加混合してもよい。本発明の酵素製剤は液体状、ペースト状、顆粒状、粉末状のいずれの形態でも構わない。また、酵素製剤におけるグルコースオキシダーゼ、酸化カルシウム、重曹の配合量は0%より多く、100%より少ないが、グルコースオキシダーゼ1U当たりの酸化カルシウムの量は、0.000015〜0.2gが好ましく、0.000025〜0.1gがより好ましく、0.00005〜0.02gが更に好ましい。グルコースオキシダーゼ1U当たりの重曹の量は、0.00015〜2gが好ましく、0.00025〜1gがより好ましく、0.0005〜0.2gが更に好ましい。また、グルコースを添加する場合、グルコースオキシダーゼ1U当たりのグルコースの量は、0.000005〜20gが好ましく、0.000025〜2gがより好ましく、0.0016〜0.005gが更に好ましい。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、これらの実施例により何ら限定されない。
冷凍バナメイムキエビ(26−30匹/1ポンド、エビフライによく利用されるサイズ)、100gを市水にて2時間流水解凍した。表1に示した量の解凍したエビ、市水、食塩、に、表2に示した添加量となるようにグルコースオキシダーゼ製剤である「スミチームPGO」(新日本化学工業(株)製、2000U/g;以下GOと表記することがある)、酸化カルシウム、重曹、グルコースを添加し溶解させ、2時間、4℃にてタンブリングにて混合した。尚、タンブリング後は水を切り、恒温層にて95℃90秒のボイル加熱を行い、氷水にて60秒冷却した後にエビの重量を測定し、加熱歩留まりを算出した。加熱歩留まりとは、加熱後のエビ重量を浸漬前のエビ重量で割りかえした値である。また、エビ浸漬後の残液のpHを測定した。さらに、加熱後のエビの食感を確認するため、担当者5名による官能評価にて「線維感」を0点から5点まで0.5点刻みで評価した。以下、表中の官能評点は、5点が大変良好、4点がかなり良好、3点が良好、2点がやや悪い、1点が悪い、を意味しており、5名のパネルの平均点である。尚、「線維感」は噛み込んだ際に何層にもわたって繰り返し断続的に続く歯に感じる応力の強さとして定義した。

結果を表3に示した。無添加の#1の試験区はエビ本来の「線維感」が感じられ食感では大変優れたものであったが、歩留まりが小さいために製造コストがかかってしまう。それに比べ#2、#3の試験区の酸化カルシウム又は重曹添加品はアルカリの作用によりエビの歩留まりが向上するが、水を吸った分ぶよぶよとした食感となってしまった。これに対し#4のGO及びグルコース添加品は「線維感」が向上しており好ましかったが、歩留まりが向上していないためコストがかかってしまう。これに対し#5、#7の試験区は「線維感」が良好であり、歩留まりも向上しより良いものとなった。

さらに食感に効果のあるグルコースオキシダーゼ及びグルコースの添加率を確認することと、歩留まりに効果のある酸化カルシウム及び重曹の添加率を確認するため、実施例1同様の方法にて、表1に示した量の解凍した、エビ、市水、食塩、グルコースに表4に示した量のグルコースオキシダーゼ及びグルコース、酸化カルシウム及び重曹を添加し溶解させ、4℃2時間のタンブリングにて混合し、ボイルエビを作製した。尚、タンブリング後は水を切り、恒温層にて95℃90秒のボイル加熱を行い、氷水にて60秒冷却した後にエビの重量を測定し、加熱歩留まりを算出した。加熱歩留まりとは、加熱後のエビ重量を浸漬前のエビ重量で割りかえした値である。さらに、加熱後のエビの食感を確認するため、担当者5名による官能評価にて「線維感」を0点から5点まで0.5点刻みで評価した。以下、表中の官能評点は、5点が大変良好、4点がかなり良好、3点が良好、2点がやや悪い、1点が悪い、を意味しており、5名のパネルの平均点である。尚、「線維感」は噛み込んだ際に何層にもわたって繰り返し断続的に続く歯に感じる応力の強さとして定義した。
結果を表4に示した。無添加の#Aの試験区はエビ本来の「線維感」が感じられ食感では大変優れたものであったが、歩留まりが小さいために製造コストがかかってしまう。それに比べ#N、#O、#Pの試験区の酸化カルシウム及び重曹添加品はアルカリの作用によりエビの歩留まりが向上するが、水を吸った分ぶよぶよとした食感となってしまった。これに対し#B、F、JのGO及びグルコース添加品は「線維感」が向上しており好ましかったが、歩留まりが向上していないためコストがかかってしまう。これに対し#C、#D、#E、#G、#H、#I、#K、#L、#Mの試験区は「線維感」が良好であり、歩留まりも向上しより良いものとなった。この範囲のグルコースオキシダーゼ及びグルコース、酸化カルシウム及び重曹の配合率であればよい食感と歩留まりを並立することが出来ることが判明した。
さらに酸化カルシウム、重曹、グルコースオキシダーゼ、グルコースを表5の試験区の通り混合し製剤を作製した。賦形剤としてはデキストリンを使用した。製剤は各50g作製後アルミ包材に封入し、24℃にて1カ月保管した。保管後グルコースオキシダーゼ活性を測定し、保存前に対するグルコースオキシダーゼ活性の残存率から保存安定性を確認した。加えて、同様の製剤を64℃にて1週間保管した後、外観の色彩の褐変有無を確認した。
結果を表6に示した。GO及びグルコースに酸化カルシウムを添加した製剤#11やGO及びグルコースに重曹を添加した製剤#12は、酸化カルシウムや重曹が添加されていない製剤#10と比較し、GO活性保存安定性が悪かった。加えて重曹を利用した場合(製剤#12)には褐変が生じてしまった。これに対し、GO及びグルコース及び酸化カルシウム及び重曹を含有する製剤#13では、GO活性保存安定性もよく、褐変変化も起きなかった。すなわち、酸化カルシウムや重曹はいずれもGO活性を低下させてしまうのであるが、GO活性を低下させる酸化カルシウムと重曹を併用した場合(製剤#13)には、驚くべきことに、GO活性は低下しなかった。
試験区#7及び製剤#13の結果が示すとおり、GO及びグルコース及び酸化カルシウム及び重曹を用いることにより、保存時にGO活性の低下も褐変変化も起きない製剤を得ることができ、また、エビの歩留まりを向上させながら、好ましい「線維感」をエビに付与することが出来ることが確認された。また試験区#14、及び#15の結果が示す通り、酸化カルシウムを炭酸ナトリウムなど他のアルカリ剤に置き換えた場合は、やはり褐変が生じてしまう。酸化カルシウムと重曹の組み合わせのみが大変良い結果となった。
本発明によると、蛋白質含有食品の品質を向上できるため、食品分野において極めて有用である。

Claims (4)

  1. 蛋白質を含有する食品原料にグルコースオキシダーゼ及び酸化カルシウム及び重曹及びグルコースを添加することを特徴とする蛋白質含有食品の製造方法であって、
    グルコースオキシダーゼの添加量が食品原料1g当たり0.001〜5Uであり、酸化カルシウムの添加量が食品原料1g当たり0.00003g〜0.01gであり、重曹の添加量が食品原料1gあたり0.0003g〜0.1gであり、グルコースの添加量が食品原料1gあたり0.00001g〜1gである方法。
  2. 蛋白質含有食品がエビ加工食品である請求項1記載の方法。
  3. グルコースオキシダーゼ及び酸化カルシウム及び重曹及びグルコースを有効成分として含有する蛋白質含有食品改質用の酵素製剤であって、
    酸化カルシウムの含有量がグルコースオキシダーゼ1U当たり0.000015〜0.2gであり、重曹の含有量がグルコースオキシダーゼ1U当たり0.00015〜2gであり、グルコースの含有量がグルコースオキシダーゼ1U当たり0.000005〜20gである製剤。
  4. 蛋白質含有食品がエビ加工食品である請求項記載の製剤。

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