以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
[パチスロの機能フロー]
本発明の遊技機に係る実施の形態について、以下図面を参照しながら説明する。はじめに、図1を参照して、本実施の形態における遊技機(以下、パチスロ)1の機能フローについて説明する。
<パチスロのメイン制御>
遊技者によりメダルが投入され、スタートレバー6が操作されると、予め定められた数値の範囲(例えば、0〜65535)の乱数から1つの値(以下、乱数値)が抽出される。
内部当籤役決定手段(後述のメインCPU31)は、抽出された乱数値に基づいて抽籤を行い、内部当籤役を決定する。内部当籤役の決定により、後述の入賞ラインに沿って表示を行うことを許可する図柄の組合せが決定される。尚、図柄の組合せの種別としては、メダルの払い出し、再遊技の作動、ボーナスの作動等といった特典が遊技者に与えられる「入賞」に係るものと、それ以外のいわゆる「ハズレ」に係るものとが設けられている。
続いて、複数のリール3L,3C,3Rの回転が行われた後で、遊技者によりストップボタン7L,7C,7Rが押されると、リール停止制御手段(後述のモータ駆動回路39、後述のステッピングモータ49L,49C,49R)は、内部当籤役とストップボタンが押されたタイミングとに基づいて、該当するリールの回転を停止する制御を行う。
ここで、パチスロ1では、基本的に、ストップボタンが押されたときから規定時間(190msec)内に、該当するリールの回転を停止する制御が行われる。本実施の形態では、上記規定時間内でのリール3L,3C,3Rの回転に伴って移動する図柄の数を「滑り駒数」と呼び、その最大数を図柄4個分に定める。
リール停止制御手段は、入賞に係る図柄の組合せの表示を許可する内部当籤役が決定されているときでは、上記規定時間を利用して、その図柄の組合せが入賞ラインに沿って極力表示されるようにリール3L,3C,3Rの回転を停止する。その一方で、内部当籤役によってその表示が許可されていない図柄の組合せについては、上記規定時間を利用して、入賞ラインに沿って表示されることがないようにリール3L,3C,3Rの回転を停止する。
こうして、複数のリール3L,3C,3Rの回転が全て停止されると、入賞判定手段(後述のメインCPU31)は、入賞ラインに沿って表示された図柄の組合せが、入賞に係るものであるか否かの判定を行う。入賞に係るものであるとの判定が行われると、メダルの払い出し、再遊技及びボーナスの作動の特典が遊技者に与えられる。以上のような一連の流れがパチスロ1における1回の遊技として行われる。
なお、本実施の形態では、全てのリールが回転しているときに最初に行われるリールの停止操作(ストップボタンの操作)を第1停止操作、第1停止操作の次に行われる停止操作を第2停止操作、第2停止操作の次に行われる停止操作を第3停止操作という。
演出内容役決定手段(後述のサブCPU81)は、抽出された演出用乱数値及び内部当籤役決定手段に決定された内部当籤役に基づいて、演出内容を決定し、演出実行手段としてのドット表示器100、リール上部表示器101、リール照明器102、リール演出表示器103、サイド演出表示器104、リール下部表示器105、発光部330及びスピーカ9L,9Rを制御し、種々の演出を行う。
[パチスロの構造]
パチスロ1の機能フローについての説明は以上である。次に、図2〜図8を参照して、本実施の形態におけるパチスロ1の構造について説明する。
図2は、本実施の形態におけるパチスロ1の斜視図である。図3は、本実施の形態におけるパチスロ1の保護パネルを外した状態の正面図である。図4は、本実施の形態におけるパチスロ1のキャビネット内部の正面図である。
パチスロ1は、いわゆる「パチスロ機」である。このパチスロ1は、コイン、メダル、遊技球又はトークン等の他、遊技者に付与された、もしくは付与される遊技価値の情報を記憶したカード等の遊技媒体を用いて遊技する遊技機であるが、以下ではメダルを用いるものとして説明する。
パチスロ1の全体を形成している筐体4は、箱状のキャビネット60と、このキャビネット60を開閉する前面ドア2と、を備える。この前面ドア2正面最上部には、リール上部表示器101が設けられている。また、前面ドア2正面の略中央には、透明の保護パネル5が設けられ、この保護パネルの左右には、リール演出表示器103及びサイド演出表示器104が設けられている。
また、保護パネル5の内部には、図3に示すように、略中央上部に複数の発光ダイオード(LED)が横長矩形形状に配列されたドット表示器100が設けられ、このドット表示器100の下方には、リール照明器102が設けられている。
本実施形態では、ドット表示器100、リール上部表示器101、リール照明器102、リール演出表示器103及びサイド演出表示器104に発光ダイオード(LED)を用いて発光させているが、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)等、少なくとも緑色、黄色、青色、赤色に発光可能であれば既存の発光素子を用いることができる。
このリール照明器102の下方には、縦長矩形の表示窓4L,4C,4Rが設けられている。表示窓4L,4C,4Rには、右上り斜めの表示ライン8a、上段の表示ライン8b、中段の表示ライン8c、下段の表示ライン8d及び右下がり斜めの表示ライン8eが表示されている。これらの表示ライン8a〜8eは、後述のベットボタン11を操作すること(以下「BET操作」という)、或いはメダル投入口22にメダルを投入することにより有効化される。
図4に示すように、キャビネット60内部には、略中央にキャビネット60を補強するミドルボード65が設けられ、このミドルボード65の上面に、複数のリール3L,3C,3Rが横一列に整列されリールカバー350に収容されて固着されている。
また、リール3Lとリール3Cとの間及びリール3Cとリール3Rとの間には、互いに光が透過することを防止する遮蔽板355が設けられている。
各リール3L,3C,3Rは、それぞれの外周面に、遊技に必要な複数種類の図柄によって構成される識別情報としての複数の図柄が配されたリール帯300L,300C,300Rを有する。各リール帯300L,300C,300Rの図柄は表示窓4L,4C,4R(図3参照)を通して、パチスロ1の外部から視認できるようになっている。また、各リール3L,3C,3Rは、定速回転(例えば80回転/分)で回転し、図柄列を変動表示する。
<リールの詳細な構成>
次に、図5を参照して、リール3L,3C,3Rの一例として、リール3Cの詳細な構成について説明する。リール3L,3Rは、リール帯300Cとリール帯300L,300Rに配された複数の図柄の配置が異なる以外は同様の構成であるので、説明を省略する。
図5は、リール3Cの分解詳細図である。
リール3Cは、リール帯300Cと、リール帯300Cを外周部で支持する回転可能なリールドラム310と、リールドラム310の内部に配置されリールドラム310を回転駆動するモータユニット320と、リールドラム310の内部においてリール帯300Cの背後に配置されて発光する発光部330と、これらを保持しミドルボード65(図4参照)の上面に固着するリールベース340と、を備える。
(リールドラム)
リールドラム310は、リールベース340に回転可能に軸支され、外周が円形に形成された一対の第1円形フレーム311及び第2円形フレーム312を備える。
第1円形フレーム311は、略円板形状に形成された側壁315を備え、モータユニット320により回転駆動される。側壁315には、発光部330に沿って光を透過する開口部315aが形成されている。
第2円形フレーム312は、直径方向の断面形状が略八字形状に形成された側壁316を備え、その中心部分において、第1円形フレーム311の中心部分に接合される。側壁316は、光を透過する透光部材により形成されている。
第1円形フレーム311及び第2円形フレーム312の端部には、互いの対向面に向けて突出したリール帯取付部313,314が形成されている。
図6は、図5中の円形の破線Bで囲んだ部分の拡大断面図である。
第2円形フレーム312の外部側の端部(図6中の矢印O側)である外部端部312aは、角が面取りされている。
リール帯取付部314は、外部端部312aの反対側である中央部側に形成され、外部端部312aと分けるように段差が設けられている。具体的には、リール帯取付部314は、外部端部312aより、第2円形フレーム312の回転軸側(図6中の矢印C側)に形成されている。
図7は、リール帯300Cが第1円形フレーム311及び第2円形フレーム312に取り付けられた状態を説明する図である。
リール帯300Cには、幅方向の中心部分に複数の図柄が配される図柄領域301Cが形成され、この図柄領域301C両外側に非図柄領域302Cが形成されている。
第1円形フレーム311のリール帯取付部313及び第2円形フレーム312のリール帯取付部314は、それぞれ両外側の非図柄領域302Cにおいてリール帯300Cを保持する。
図5に戻って、モータユニット320は、リールドラム310を回転駆動するステッピングモータ49C(図9参照)と、このステッピングモータ49Cの駆動を制御するモータ駆動回路39(図9参照)と、リールドラム310が一回転したことを示すリールインデックスを検出するリール位置検出回路50(図9参照)と、を備える。
(発光部)
図8は、発光部330の説明図である。
発光部330は、リール帯300Cを背後から照射するバックライト部500と、リール帯300Cの左外縁近傍に光を照射する左サイド発光部510と、リール帯300Cの右外縁近傍に光を照射する右サイド発光部520と、に区分されるLED基板331と、LED基板331を収容するバックライトケース332と、を備える。
バックライト部500は、表示窓4C(図3参照)に表示された表示ライン8bの背後に位置するバックライト部上段領域501と、表示窓4C(図3参照)に表示された表示ライン8cの背後に位置するバックライト部中段領域502と、表示窓4C(図3参照)に表示された表示ライン8dの背後に位置するバックライト部下段領域503と、に区分されている。
左サイド発光部510は、バックライト部上段領域501の左側(図8中の矢印L側)に位置する左サイド発光部上段領域511と、バックライト部中段領域502の左側(図8中の矢印L側)に位置する左サイド発光部中段領域512と、バックライト部下段領域503の左側(図8中の矢印L側)に位置する左サイド発光部下段領域513と、に区分されている。
右サイド発光部520は、バックライト部上段領域501の右側(図8中の矢印R側)に位置する右サイド発光部上段領域521と、バックライト部中段領域502の右側(図8中の矢印R側)に位置する右サイド発光部中段領域522と、バックライト部下段領域503の右側(図8中の矢印R側)に位置する右サイド発光部下段領域523と、に区分されている。
LED基板331は、バックライト部上段領域501に設けられたバックライト部上段LED501a,501b,501cと、バックライト部中段領域502に設けられたバックライト部中段LED502a,502b,502cと、バックライト部下段領域503に設けられたバックライト部下段LED503a,503b,503cと、左サイド発光部上段領域511に設けられた左サイド発光部上段LED511aと、左サイド発光部中段領域512に設けられた左サイド発光部中段LED512aと、左サイド発光部下段領域513に設けられた左サイド発光部下段LED513aと、右サイド発光部上段領域521に設けられた右サイド発光部上段LED521aと、右サイド発光部中段領域522に設けられた右サイド発光部中段LED522aと、右サイド発光部下段領域523に設けられた右サイド発光部下段LED523aと、を備える。
LED基板331に設けられたこれらのLEDは、副制御回路72(図9参照)により個別に点灯、消灯又は点滅等の点灯態様が個別に制御される。LED基板331に設けられたこれらのLEDは、少なくとも緑色、黄色、青色、赤色に発光可能であれば、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)等の既存の発光素子を用いることができる。
バックライトケース332は、LED基板331の周囲を囲うケース本体333と、LED基板331に設けられた上記LEDを仕切り、上記複数の領域を形成する仕切り部材334と、を備える。
ケース本体333は、LED基板331の表面からリール帯300C方向に向かって斜めに立設するケース本体仕切り板333a,333b,333c,333d,333e,333fを有する。ケース本体仕切り板333aは、左サイド発光部上段LED511aと発光部330の外部とを仕切る。ケース本体仕切り板333bは、左サイド発光部中段LED512aと発光部330の外部とを仕切る。ケース本体仕切り板333cは、左サイド発光部下段LED513aと発光部330の外部とを仕切る。ケース本体仕切り板333dは、右サイド発光部上段LED521aと発光部330の外部とを仕切る。ケース本体仕切り板333eは、右サイド発光部中段LED522aと発光部330の外部とを仕切る。ケース本体仕切り板333fは、右サイド発光部下段LED523aと発光部330の外部とを仕切る。
仕切り部材334は、LED基板331の表面からリール帯300C方向に向かって斜めに立設する。また、仕切り部材334は、バックライト部上段LED501a,501b,501cと、左サイド発光部上段LED511aと、を仕切る仕切り板334aと、バックライト部中段LED502a,502b,502cと、左サイド発光部中段LED512aと、を仕切る仕切り板334bと、バックライト部下段LED503a,503b,503cと、左サイド発光部下段LED513aと、を仕切る仕切り板334cと、バックライト部上段LED501a,501b,501cと、右サイド発光部上段LED521aと、を仕切る仕切り板334dと、バックライト部中段LED502a,502b,502cと、右サイド発光部中段LED522aと、を仕切る仕切り板334eと、バックライト部下段LED503a,503b,503cと、右サイド発光部下段LED523aと、を仕切る仕切り板334fと、を備える。
また、仕切り部材334は、バックライト部上段LED501a,501b,501cと、バックライト部中段LED502a,502b,502cと、を仕切る仕切り板334gと、バックライト部中段LED502a,502b,502cと、バックライト部下段LED503a,503b,503cと、を仕切る仕切り板334hと、を備える。また、仕切り部材334は、天井面を形成する仕切り板334iと、底面を形成する仕切り板334jと、を備える。
このように、バックライト部上段領域501は、バックライト部上段LED501a,501b,501cが配置され、仕切り板334a,334g,334d,334iにより仕切られて形成されている。
バックライト部中段領域502は、バックライト部中段LED502a,502b,502cが配置され、仕切り板334b,334h,334e,334gにより仕切られて形成されている。
バックライト部下段領域503は、バックライト部下段LED503a,503b,503cが配置され、仕切り板334c,334j,334f,334hにより仕切られて形成されている。
バックライト部上段領域501、バックライト部中段領域502及びバックライト部下段領域503は、LED基板331の表面からリール帯300Cに向かって形成され、その幅はLED基板331の表面ではリール帯300Cの幅より狭く、リール帯300Cの幅と略同じ幅までに徐々に拡がって形成されている。これにより、リール帯の幅より狭い範囲にLEDを配置していても、LEDの発光による光をリール帯の幅に拡散できる。
左サイド発光部上段領域511は、左サイド発光部上段LED511aが配置され、仕切り板334aとケース本体仕切り板333aにより仕切られて形成されている。
左サイド発光部中段領域512は、左サイド発光部中段LED512aが配置され、仕切り板334bとケース本体仕切り板333bにより仕切られて形成されている。
左サイド発光部下段領域513は、左サイド発光部下段LED513aが配置され、仕切り板334cとケース本体仕切り板333cにより仕切られて形成されている。
右サイド発光部上段領域521は、右サイド発光部上段LED521aが配置され、仕切り板334dとケース本体仕切り板333dにより仕切られて形成されている。
右サイド発光部中段領域522は、右サイド発光部中段LED522aが配置され、仕切り板334eとケース本体仕切り板333eにより仕切られて形成されている。
右サイド発光部下段領域523は、右サイド発光部下段LED523aが配置され、仕切り板334fとケース本体仕切り板333fにより仕切られて形成されている。
仕切り板334a〜334fのそれぞれ左サイド発光部上段LED511a、左サイド発光部中段LED512a、左サイド発光部下段LED513a、右サイド発光部上段LED521a、右サイド発光部中段LED522a及び右サイド発光部下段LED523a方向の面には、光反射部材が設けられている。このように、光反射部材を設けることで、第1円形フレーム311及び第2円形フレーム312の外部側の端部に、これらのLEDの光を効率的に導くことができる。
仕切り板334a〜334fのLED基板331の表面から高さは、それぞれケース本体仕切り板333a〜333fの高さより高く形成されている。
これにより、左サイド発光部上段領域511、左サイド発光部中段領域512、左サイド発光部下段領域513、右サイド発光部上段領域521、右サイド発光部中段領域522及び右サイド発光部下段領域523は、LED基板331の表面からリール帯300Cの外縁近傍に向かって形成され、リール帯300Cの外縁近傍が開放されている。
図3に戻って、表示窓4L,4C,4Rの下方には、パチスロ1における遊技に関する情報を表示するリール下部表示器105が設けられている。このリール下部表示器105の下方には、略水平面の台座部10が形成されている。この台座部10の水平面内のうち、右側にはメダル投入口22が設けられ、略中央には主にメダル枚数に関する情報を表示する情報表示器13が設けられ、左側にはベットボタン11が設けられる。ベットボタン11の内部には、メダルの投入が可能な時に点灯するベットボタンLED111(図9参照)が設けられている。
このベットボタン11を押下操作することで、単位遊技(一のゲーム)の用に供される枚数のメダルが投入され、前述のとおり、所定の表示ライン8a〜8eが有効化される。ベットボタン11の操作及びメダル投入口22にメダルを投入する操作(遊技を行うためにメダルを投入する操作)を、以下「BET操作」という。
情報表示器13には、今回の遊技に投入されたメダルの枚数(以下、投入枚数)に対応して点灯するLED(図示無し)が設けられている。また、情報表示器13には、特典として遊技者に対して払い出すメダルの枚数(以下、払出枚数)、パチスロ1内部に預けられているメダルの枚数(以下、クレジット枚数)等の情報を遊技者に対してデジタル表示するデジタル表示器(図示無し)が設けられている。
さらに、情報表示器13は、デジタル表示器(図示無し)において、パチスロ1の動作に関するエラーを示すエラーコード、設定値等をデジタル表示する。また、情報表示器13には、再遊技の図柄が表示された時に点灯するLED(図示無し)や、リール3L,3C,3Rが作動可能な時や、メダル投入受付可能な時に点灯するLED(図示無し)が設けられている。
台座部10の前面部の左寄りには、遊技者がゲームで獲得したメダルのクレジット/払出しを押しボタン操作で切り換える精算ボタン12が設けられている。この精算ボタン12の切り換えにより、正面下部のメダル払出口15からメダルが払出され、払出されたメダルはメダル受け部16に溜められる。精算ボタン12の右側には、遊技者の傾動操作により上記リールを回転させ、表示窓4L,4C,4R内での図柄の変動表示を開始するための開始操作手段としてのスタートレバー6が所定の角度範囲で傾動自在に取り付けられている。
台座部10の前面部の略中央には、遊技者の押下操作により3個のリール3L,3C,3Rの回転をそれぞれ停止させるための停止操作手段としてのストップボタン7L,7C,7Rが設けられている。なお、実施例では、一のゲーム(単位遊技)は、基本的にスタートレバー6が操作されることにより開始し、全てのリール3L,3C,3Rが停止したときに終了する。
前面ドア2下部の正面には、左右に効果音や音声等の音による演出を行うスピーカ9L,9Rが設けられ、このスピーカ9L,9Rの間にメダルが払出されるメダル払出口15が設けられている。前面ドア2最下部には、払出されたメダルを貯留するメダル受け部16が設けられている。また、前面ドア2下部の正面のうち、ストップボタン7L,7C,7Rとメダル受け部16とに上下を挟まれた面には、機種のモチーフに対応したデザインがあしらわれた腰部パネル25が取り付けられている。この腰部パネル25は、背後に設けられた要部パネル照明器(図示無し)に照射される。
図4に示すように、キャビネット60の内部上部には、リール3L,3C,3Rの他に、パチスロ1の制御を行う主制御回路71が主基板ケースに収容されて設けられている。また、ミドルボード65の下方左側には、電源メインスイッチと交流電圧を直流電圧に変換する電源基板を有する電源ユニット20が設けられている。また、ミドルボード65の下方略中央には、入賞払い出し枚数が所定枚数を超えた時や精算時にメダルを払い出すメダル払出装置40が設けられている。また、ミドルボード65の下方右側には、メダル払出装置40から溢れ出たメダルを収容するメダル補助収納庫45が設けられている。
[パチスロが備える回路の構成]
パチスロ1の構造についての説明は以上である。次に、図9及び図8を参照して、本実施の形態におけるパチスロ1が備える回路の構成について説明する。本実施の形態におけるパチスロ1は、主制御回路71、副制御回路72及びこれらと電気的に接続する周辺装置(アクチュエータ)を備える。
<主制御回路>
図9は、本実施の形態におけるパチスロ1の主制御回路71の構成を示す。
(マイクロコンピュータ)
主制御回路71は、回路基板上に設置されたマイクロコンピュータ30を主たる構成要素としている。マイクロコンピュータ30は、CPU(以下、メインCPU)31、ROM(以下、メインROM)32及びRAM(以下、メインRAM)33により構成される。
メインROM32には、メインCPU31により実行される制御プログラム、内部抽籤テーブル等のデータテーブル、副制御回路72に対して各種制御指令(コマンド)を送信するためのデータ等が記憶されている。メインRAM33には、制御プログラムの実行により決定された内部当籤役等の各種データを格納する格納領域が設けられる。
(乱数発生器等)
メインCPU31には、クロックパルス発生回路34、分周器35、乱数発生器36及びサンプリング回路37が接続されている。クロックパルス発生回路34及び分周器35は、クロックパルスを発生する。メインCPU31は、発生されたクロックパルスに基づいて、制御プログラムを実行する。乱数発生器36は、予め定められた範囲の乱数(例えば、0〜65535)を発生する。サンプリング回路37は、発生された乱数の中から1つの値を抽出する。
(スイッチ等)
マイクロコンピュータ30の入力ポートには、スイッチ等が接続されている。メインCPU31は、スイッチ等の入力を受けて、ステッピングモータ49L,49C,49R等の周辺装置の動作を制御する。ストップスイッチ7Sは、3つのストップボタン7L,7C,7Rのそれぞれが遊技者により押されたこと(停止操作)を検出する。また、スタートスイッチ6Sは、スタートレバー6が遊技者により操作されたこと(開始操作)を検出する。
メダルセンサ42Sは、メダル投入口22に受け入れられたメダルが前述のセレクタ42内を通過したことを検出する。また、ベットスイッチ11Sは、ベットボタン11が遊技者により押されたことを検出する。また、精算スイッチ12Sは、精算ボタン12が遊技者により押されたことを検出する。
(周辺装置及び回路)
マイクロコンピュータ30により動作が制御される周辺装置としては、ステッピングモータ49L,49C,49R及びホッパー40がある。また、マイクロコンピュータ30の出力ポートには、各周辺装置の動作を制御するための回路が接続されている。
モータ駆動回路39は、各リール3L,3C,3Rに対応して設けられたステッピングモータ49L,49C,49Rの駆動を制御する。リール位置検出回路50は、発光部と受光部とを有する光センサにより、リール3L,3C,3Rが一回転したことを示すリールインデックスを各リール3L,3C,3Rに応じて検出する。
ステッピングモータ49L,49C,49Rは、運動量がパルスの出力数に比例し、回転軸を指定された角度で停止させることが可能な構成を備えている。ステッピングモータ49L,49C,49Rの駆動力は、所定の減速比をもったギアを介してリール3L,3C,3Rに伝達される。ステッピングモータ49L,49C,49Rに対して1回のパルスが出力される毎に、リール3L,3C,3Rは一定の角度で回転する。
メインCPU31は、リールインデックスを検出してからステッピングモータ49L,49C,49Rに対してパルスを出力した回数をカウントすることによって、リール3L,3C,3Rの回転角度(主に、リール3L,3C,3Rが図柄何個分だけ回転したか)を管理し、リール3L,3C,3Rの表面に配された各図柄の位置を管理するようにしている。
また、ホッパー駆動回路41は、ホッパー40の動作を制御する。また、払出完了信号回路51は、ホッパー40に設けられたメダル検出部40Sが行うメダルの検出を管理し、ホッパー40から外部に排出されたメダルが払出枚数に達したか否かをチェックする。
(表示器等)
さらに、マイクロコンピュータ30には、ストップボタン7L,7C,7Rのそれぞれ内部に設けられ、これらの受付け状態を表示するストップボタン内部LED107L,107C,107Rと、メダル枚数に関する情報を表示する情報表示器13と、が接続されている。
<副制御回路>
図10は、本実施の形態におけるパチスロ1の副制御回路72の構成を示す。
副制御回路72は、主制御回路71と電気的に接続されており、主制御回路71から送信されるコマンドに基づいて演出内容の決定や実行等の処理を行う。副制御回路72は、基本的に、CPU(以下、サブCPU)81、ROM(以下、サブROM)82、RAM(以下、サブRAM)83、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)84、オーディオRAM85、A/D変換器86及びアンプ87を含んで構成されている。
サブCPU81は、主制御回路71から送信されたコマンドに応じて、サブROM82に記憶されている制御プログラムに従い、映像、音、光の出力の制御を行う。サブRAM83は、決定された演出内容や演出データを登録する格納領域や、主制御回路71から送信される内部当籤役等の各種データを格納する格納領域が設けられている。サブROM82は、基本的に、プログラム記憶領域とデータ記憶領域によって構成される。
プログラム記憶領域には、サブCPU81が実行する制御プログラムが記憶されている。例えば、制御プログラムには、主制御回路71との通信を制御し通信内容に基づいて演出内容(演出データ)の決定及び登録を行うための主基板通信タスクや、ドット表示器100、リール上部表示器101、リール照明器102、リール演出表示器103、サイド演出表示器104、リール下部表示器105、ベットボタンLED111及び発光部330による光の出力を制御するランプ制御タスク、スピーカ9L,9Rによる音の出力を制御するサウンド制御タスク等が含まれる。
データ記憶領域は、各種データテーブルを記憶する記憶領域、各演出内容を構成する演出データを記憶する記憶領域、映像の作成に関するアニメーションデータを記憶する記憶領域、BGMや効果音に関するサウンドデータを記憶する記憶領域、光の点消灯のパターンに関するランプデータを記憶する記憶領域等が含まれている。
また、副制御回路72には、その動作が制御される周辺装置として、ドット表示器100、リール上部表示器101、リール照明器102、リール演出表示器103、サイド演出表示器104、リール下部表示器105、ベットボタンLED111と、発光部330及びスピーカ9L,9Rが接続されている。
サブCPU81、DSP84、オーディオRAM85、A/D変換器86及びアンプ87は、演出内容により指定されたサウンドデータに従ってBGM等の音をスピーカ9L,9Rにより出力する。また、サブCPU81は、演出内容により指定されたランプデータに従ってドット表示器100、リール上部表示器101、リール照明器102、リール演出表示器103、サイド演出表示器104、リール下部表示器105及び発光部330の点灯及び消灯を行う。
例えば、サブCPU81は、演出内容により指定されたLEDデータに従って、発光部330に設けられたバックライト部上段LED501a,501b,501c、バックライト部中段LED502a,502b,502c、バックライト部下段LED503a,503b,503c、左サイド発光部上段LED511a、左サイド発光部中段LED512a、左サイド発光部下段LED513a、右サイド発光部上段LED521a、右サイド発光部中段LED522a、右サイド発光部下段LED523aやドット表示器100等の点灯、点滅及び消灯の制御を行う。
[リールの発光態様]
次に、リール3Cの発光態様について説明する。
図11は、図4におけるAA'間のリール3Cの部分断面図である。
図11に示すように、サブCPU81(図10参照)の制御により、発光部330の左サイド発光部中段LED512aが点灯し、バックライト部中段LED502a,502bが消灯している。この時、左サイド発光部中段LED512aにより発光された光(図11中の点線ハッチング部分)は、仕切り板334bとケース本体仕切り板333bにより仕切られて形成された左サイド発光部中段領域512で反射され、第2円形フレーム312の側壁316を透過して、外部端部312aにおいて、リール帯の外縁近傍を照射する。
なお、左サイド発光部中段LED512aにより発光された光は、仕切り板334bにより遮られ、リール帯300Cの背後の領域であるバックライト部中段領域502に侵入することはない。また、左サイド発光部中段LED512aにより発光された光は、遮蔽板355により遮られ、隣接する他のリールの内部に侵入することはない。
図12は、左サイド発光部510及び右サイド発光部520による演出を説明する図である。
図12では、リール3L,3C,3Rの左サイド発光部510(図8参照)及び右サイド発光部520(図8参照)の全てのLEDを発光させたときの表示窓4L,4C,4Rにおける表示を示している。このとき、リール帯300L,300C,300Rの上段、中段及び下段の外縁近傍がそれぞれ光る演出(図12中の縦長の楕円形状のハッチング部分)が行われる。
次に、本実施の形態に係るパチスロ1の基板構造について説明する。
本実施の形態に係るパチスロ1の筐体4は、前述したように(図2〜図4参照)、筐体本体部であり、前面に開口を有する箱状のキャビネット60と、キャビネット60に軸支され、前面の開口を開閉する前面ドア2とを備えて構成される。このパチスロ1の筐体4内には、集積回路(IC)、コンデンサや抵抗等の電子部品を表面に実装し、各電子部品間を導体パターン等によって接続することで電子回路を構成する各種の電子回路基板が配置されている。
各種電子部品等を実装する前の基板(プリント配線基板)の構造としては、1枚の絶縁基板(基材)の表裏両面に導体パターンを形成し、両面の導体パターン間をスルーホール(Through hole)によって接続する構造を有するものや、上記絶縁基板を複数積層し、各絶縁基板の任意の層の導体パターンをビア(Via)によって導通させる構造を有するもの(積層基板)がある。上記プリント配線基板において、スルーホール又はビアは、例えば、単層又は多層の絶縁基板に表裏両面を貫通する孔をあけ、その孔の内周面に銅メッキ等のメッキ処理を施すことにより形成することができる。
本実施の形態では、上述した電子回路基板のスルーホール又はビアを標的とするゴト(電源ゴト)行為を防止するために、スルーホール又はビアの孔(開口部)を、ケーブルなどの不正用の特殊器具に対して電気的な導通が得られないように、絶縁可能に、つまり、外部から当接できないように塞ぐ絶縁被覆層を形成した基板構造としている。なお、上記絶縁被覆層は、特殊器具が当接することを防止する当接防止層としても機能する。
本実施の形態における基板構造の一例として、例えば後述するデバイス基板130等の被制御系の基板(以下、被制御系基板)については、特定の配置条件を満たすものについては、スルーホール又はビアが一の面(例えば表面)および他の面(同、裏面)においてレジスト層を形成して孔を塞いだ構造(図15参照)としている。
上記特定の配置条件としては、例えば、パチスロ1の前面ドア2の外部に設けられる外部部材を強制的に取り外した場合に、基板が外部露呈する可能性のある位置に配置されるという条件を適用できる。この配置条件を適用した場合、外部露呈する可能性のある位置に配置される被制御系基板は上述した当接防止層が形成された構造となる。また、特定の配置条件の別の例としては、例えば、前面ドア2が有する各種の隙間や、前面ドア2とキャビネット60間のヒンジ部に形成される隙間等から不正用の特殊器具の侵入経路を確保し得る位置に配置されるという条件を適用できる。
本実施の形態に係るパチスロ1は、上述した特定の配置条件を満たす被制御系基板として、例えば、音声による演出を行うためにスピーカ9L,9Rを駆動する音声基板や、光による演出を行うためにLEDを駆動するLED基板を実装している。特に、LED基板としては、ドット表示器100、リール上部表示器101、リール照明器102、リール演出表示器103及びサイド演出表示器104にそれぞれ対応する駆動回路を搭載する図示しない各基板、並びに発光部330を構成するLED基板331が実装されている。
また、被制御系基板を対象として各種制御を行う制御系の基板(以下、制御系基板)については、上述した特定の配置条件を満たすか否かに拘らず、スルーホール又はビアに対する当接防止層を形成した構造としている。これら制御系基板(後述するメイン基板710、サブ基板720、サブ中継基板750等)の当接防止層は、特に、スルーホール又はビアの内部に樹脂部材を埋め込み、樹脂部材の露出部分を蓋メッキ層で塞いだ後、蓋メッキ層の上からレジストを塗布してスルーホール又はビアを絶縁加工した構造(図16参照)を有している。
[基板の配置態様]
図13は、本実施の形態におけるパチスロの基板配置態様を示す概略図である。
本実施の形態では、図13に示すように、パチスロ1の筐体4内に、主制御回路71が搭載されたメイン基板710、副制御回路72が搭載されたサブ基板720、メイン基板710、サブ基板720、及び後述するデバイス基板130A、130B等の被制御系基板に電源を供給する電源基板210、サブ基板720と周辺基板等の配線を中継するサブ中継基板750、上記周辺基板としてサブ中継基板750に接続され、スピーカやLEDなどの演出用のデバイス140A、140B(以下、まとめて140と呼称する)、又は演出用のデバイス140にそれぞれ対応する駆動回路(ドライバ)等を搭載するデバイス基板130A、130B(以下、まとめて130と呼称する)が配置されている。
メイン基板710及び電源基板210は、例えば、キャビネット60の内部に配置され、特に、電源基板210は電源ユニット20内に配置されている。一方、サブ基板720、サブ中継基板750、デバイス基板130は、例えば、前面ドア2の背面に配置されている。
メイン基板710とサブ中継基板750との間、及びサブ中継基板750とサブ基板720及びデバイス基板130との間には、それぞれ、互いの基板のコネクタを接続するケーブルが配設されている。すなわち、上記各基板間は、ケーブルを使用した光通信による信号伝達が行われている。また、電源基板210とメイン基板710及びサブ中継基板750との間、サブ中継基板750とサブ基板720及びデバイス基板130との間は、それぞれ、互いの基板のコネクタを接続する電源ケーブルが配設されている。これにより、サブ中継基板75は、電源基板210からサブ基板720及びデバイス基板130に供給される電力を中継するとともに、メイン基板710からサブ基板720に一方向に送信される情報(コマンド等)を中継し、さらには、サブ基板が演出に関する制御の対象とするデバイス140に送信する情報をデバイス基板130を介して中継する。
メイン基板710には、主制御回路71のマイクロコンピュータ30を構成するメインCPU31、メインROM32、サブRAM33等が実装される。メイン基板710において、メインCPU31は、メインROM32に記憶されている制御プログラムに基づき遊技の進行に係る制御を行うとともに、サブ基板720に搭載されている副制御回路72に対して遊技に進行に対応する演出を実行させるために各種制御指令(コマンド)を送信する。
サブ基板720には、副制御回路72を構成するサブCPU81、サブROM82、サブRAM83等が実装される。サブ基板720において、サブCPU81は、演出用の液晶、音声・各ランプ類及び通信データの管理を行う。具体的には、サブCPU81は、メイン基板710からの例えば上記制御指令等の制御信号に基づき、予め設定されたプログラムに従ってサブ中継基板750を介して演出処理動作全体の制御を行う。上記演出処理動作の制御対象として、サブ中継基板750には、演出用の各デバイス140がそれぞれ対応するデバイス基板130を介して接続されている。
本実施の形態おいて、デバイス140としては、例えば光演出用の光源であるLEDが備わる。このデバイス140に対応するデバイス基板130として、デバイス発光部330を構成するLED基板331や、ドット表示器100、リール上部表示器101、リール照明器102、リール演出表示器103、サイド演出表示器104を構成するLED駆動回路がそれぞれ搭載された基板(不図示)等が備わる。演出用のデバイス140の他の例として、例えば、音声による演出を行う音源出力部としてのスピーカ9L、9Rがあり、対応するデバイス基板130としては、例えば、図10におけるアンプ87等を含むスピーカ9L、9Rの駆動回路を実装する音声基板が備わる。
[被制御系基板の構成]
図14は、本実施の形態におけるパチスロの被制御系基板の構成を示す平面図である。図14(a)は最終製造工程直前の構成を示し、図14(b)は最終製造工程後の構成を示している。
なお、図14に示す被制御系基板150は、図13に示したデバイス基板130のうち、特に、LEDとその駆動回路を実装するLED基板の例を示している。この被制御系基板150としては、例えば、発光部330を構成するLED基板331等、外部露呈する可能性がある位置に配置される基板を想定している。
図14に示すように、被制御系基板150の一の面(図14に図示している側の面(以下、表面))には、コネクタを設置するためのコネクタ配置パターン161a、LEDを設置するためのLED配置パターン161b、抵抗等の回路素子を配置するための回路素子配置パターン161c、上記表面に対する他の面である裏面との間を貫通して形成されるスルーホール171等が形成されている。
図14(a)に示すように、最終製造工程直前の被制御系基板150では、表面及び裏面にスルーホール171の孔を塞ぐレジスト処理が行われていない状態にある。よって、この状態では、図14(a)において、スルーホール171の孔が視認できている。
図14(a)に示す最終製造工程直前の被制御系基板150に対しては、その後、スルーホール171を含む基板表面及び裏面に対して所定の厚さでレジストを塗布するレジスト処理が行われる。但し、その際、コネクタ配置パターン161a、LED配置パターン161b、回路素子配置パターン161c等、今後接続工程が残されている領域を除いて上記レジスト処理が行われる。
図14(b)は、上記レジスト処理工程を経て完成した被制御系基板150の構造を示している。図14(b)において、被制御系基板150の表面及び裏面はスルーホール171が上述した最終製造工程でのレジスト処理で孔が塞がれた状態となっている。この状態は、図14(b)では、図14(a)において視認できていたスルーホール171が見えなくなったことからも確認できる。
図15は、図14に示す被制御系基板の製造工程を示す要部断面図である。図15では、特に、図14(b)の被制御系基板150のC−C線による断面構造を示している。また、図15(a)は、図14(a)に示す最終製造工程直前の被制御系基板150の断面構造を示し、図15(b)は、図14(b)に示す最終製造工程後の被制御系基板150の断面構造を示している。
図15(a)に示すように、最終製造工程直前の被制御系基板150には、基材153の例えば表面にLED配置パターン161b等が形成されるとともに、基板表面と裏面を貫通するスルーホール171が形成されている。
図15(a)における被制御系基板150の構造は、周知の製造工程によって生成可能である。例えば、最初に両面に銅箔が形成された銅張積層板等から成る基材153を所定の形状にカットしたうえで、回路設計に従い所定の位置にスルーホール171用の孔172や、電子部品取付用の孔などをあける孔あけ加工を行う。続いて、上記孔172や電子部品取付用の孔の内部に例えば銅メッキを施し、メッキ層173を有するスルーホール171や部品取付孔を形成する。
次に、配線パターンや部品実装パターン等のパターンを表裏両面に形成するパターン形成工程を実施する。例えば、孔あけ加工した部分を塞いで両面にエッチングレジストを塗布し、露光を行った後にパターン以外の不要部分を除去してパターン形成用レジストを残す。更にエッチング工程でパターン以外の銅箔を除去し、残ったレジストを除去する。
前述の製造工程を経て得られた被制御系基板150(図15(a)参照)に対し、最終製造工程でのレジスト処理が施される。最終製造工程では、図15(a)に示す被制御系基板150の表裏両面にレジストを塗布する処理を行う。この最終製造工程でのレジスト処理により図15(b)に示す構造の被制御系基板150が完成する。図15(b)に示すように、完成した被制御系基板150は、表裏両面にレジスト層181、182が形成され、スルーホール171の孔172が、表面ではレジスト層181により、裏面ではレジスト層182により塞がれた構造となっている。すなわち、スルーホール171の孔を絶縁可能に覆うレジスト層181、182は、当接防止層を形成する。
なお、図14及び図15においては、基材153としての1枚の絶縁基板にスルーホール171を設けてこれを当接防止層であるレジスト層181、182によって塞いだ構造を例示しているが、本発明は、これに限らず、例えば、絶縁基板を複数積層し、各絶縁基板の任意の層の導電パターンをビアによって導通させる積層基板において、上記スルーホール171と同様、表裏両面で上記ビアの孔をレジスト塗布により塞ぐ構造としても良い。
また、図14及び図15では、スルーホール171、ビアの孔を塞ぐ加工を施す被制御係基板150として、デバイス発光部330のLED基板331や、ドット表示器100、リール上部表示器101、リール照明器102、リール演出表示器103及びサイド演出表示器104にそれぞれ対応するLED基板の例を挙げたが、本発明では、この他、音声基板や、リール下部表示器105を対象とする情報表示制御用の回路を搭載した表示制御基板等、演出実行手段である複数のデバイス130にそれぞれ対応する基板全般、又は、遊技の進行に係るベットボタン11や、ストップボタン7L,7C,7Rがそれぞれ取り付けられるスイッチ基板(不図示)等を上記加工の対象とすることができる。
[ゴト行為に対する対応]
被制御系基板150を対象としたゴト行為としては、例えば前面ドア2の外部に設けられている外部部材を強制的に取り出して被制御系基板150を露呈させたり、あるいは、前面ドア2のスピーカ9L、9R取付面の隙間、LEDの外部を覆う外装部材の隙間等を利用して、LED基板や音声基板等のデバイス基板130の配置箇所まで、ケーブルなどの特殊器具を侵入させたうえでスルーホール171(又はビア)の孔内に先端部の導体部分、つまり絶縁被覆を剥離した導体部分を差し込んだり、あるいは、特殊器具の先端部の導体部分をスルーホール171の孔内に差し込んだ状態で、特殊器具の他端に接続した通信機器(情報処理装置)から不正な信号を送り込む等の不正行為が行われる。
こうした不正行為(ゴト行為)に対して、本実施の形態に係る被制御系基板150では、スルーホール171(又はビア)がレジストによって表裏両面側で塞がれているために、スルーホール171の孔内に特殊器具の先端部の導体部分を侵入させることができず、スルーホール171の孔内の導体層であるメッキ層173を通じた電気的導通を阻止することができる。よって、スルーホール171を通じた回路の短絡による電源遮断や通信機器からの不正な信号の送信を防止でき、不正行為を阻止できるようになる。
以上説明したように、本実施の形態では、被制御系基板150、例えば、LED基板や音声基板等の演出用のデバイス基板130のうち、外部露呈する可能性のあるデバイス基板130についてはスルーホール171又はビアの孔をレジストで塞ぐ当接防止層を設けた構造としている。
この構造によれば、不正を行なう第三者が、パチスロ1の外部部材を不正に取り外して被制御系基板150を露呈させる等により、不正用の特殊器具の先端部の導体部分を基板上の位置まで侵入させ得た場合でも、スルーホール又はビアが当接防止層によって上記導体部分が当接し得ないように塞がれているため、特殊器具の先端部をスルーホール又はビアの孔内に侵入させて回路を短絡させたり、特殊器具の他端に接続している通信機器から演出を混乱させ得る不正信号を送信することができなくなる。よって、本実施の形態に係る被制御系基板150を搭載することで、特殊器具の使用による演出に係る動作を阻害する不正行為(電源ゴト)を確実に防止できるようになる。
なお、本実施の形態では、パチスロ1の機種によっては、スルーホール171又はビアの孔をレジストで塞ぐ構造とする被制御系基板150として、グラフィックモジュールを搭載する基板、液晶インバータを搭載する基板等を対象として良い。
[制御系基板の構成]
図16は、本実施の形態におけるパチスロの制御系基板の製造工程を示す要部断面図である。制御系基板760としては、図13に示したメイン基板710、サブ基板720、サブ中継基板750等の基板を想定している。図16では、特に、サブ中継基板750を例示している。
これら制御系基板760は、上述した被制御系基板150に対する制御指令等を発行する機能を有するため、特殊器具によるゴト操作による回路の短絡、不正信号の送り込み等に対するより厳重な防止対策が望まれる。そのため、制御系基板760については、スルーホールやビアの孔を塞ぐ構造の強度の増強を図っている。
図16(a)において、当該工程で得られる制御系基板760はスルーホール771が形成されている。スルーホール771は、基材753を貫通して形成した孔770の内周面に例えば銅メッキ等のメッキ層773を形成することにより形成される。さらに、制御系基板760の表面及び裏面には、図示しないコネクタ、IC、抵抗等の電子分品用の領域パターン、電子分品間を電気的に接続するための配線パターン等が形成されている。
上記工程で図16(a)に示す構造とされた制御系基板760の製造工程は、次いで、樹脂埋め工程へ移行する。樹脂埋め工程では、図16(b)に示すように、図16(a)に示す制御系基板760のスルーホール771の内部に樹脂部材775を充填して内部全体を埋め込んだ構造を形成する。
上記樹脂埋め工程で図16(b)に示す構造とされた制御系基板760の製造工程は、次いで、最終工程へ移行する。最終工程では、図16(c)に示すように、図16(b)に示す形態で樹脂封止されたスルーホール771の表面及び裏面に臨む領域(露呈部分)全体を塞ぐように、基材753の表裏両面で蓋メッキ処理を施して蓋メッキ層777を形成する。上記蓋メッキ処理の後、さらに、蓋メッキ層777を含む基板表面及び裏面に対して所定の厚さでレジストを塗布するレジスト処理が行われる。なお、レジスト処理では今後接続工程が残されている素子領域パターン等の領域に対するレジスト塗布は行われない。
上記レジスト処理により図16(c)に示す構造の制御系基板760が完成する。図16(c)に示すように、完成した制御系基板760は、表裏両面にレジスト層781、782が形成され、スルーホール171の孔が、樹脂部材775で樹脂埋め、蓋メッキ層775で蓋メッキされたうえで、裏面と裏面でそれぞれレジスト層181、182によって塞がれた構造となっている。すなわち、本実施の形態に係る制御系基板760は、スルーホール771の内部に埋め込まれた樹脂部材775と、樹脂部材775の基板面への露出部分を塞ぐ蓋メッキ層777と、蓋メッキ層777の上からスルーホール771を絶縁加工するように塗布されるレジスト層781、782とにより構成される当接防止層が形成された構造を有する。
なお、図16では、基材753である1枚の絶縁基板にスルーホール771を設け、樹脂埋め、蓋メッキ、レジスト塗布の処理を行った構造を例示しているが、本発明は、これに限らず、例えば、絶縁基板を複数積層(4〜8層)し、各絶縁基板の任意の層の導電パターンをビアによって導通させる積層基板において、上記スルーホール171と同様、表裏両面で上記ビアの孔を対象に樹脂埋め、蓋メッキ、レジスト塗布を実施して上記当接防止層を形成した構造としても良い。
[ゴト行為に対する対応]
制御系基板760を対象とする不正行為については、例えば、メイン基板710は、サブ基板720に対して遊技の進行に応じた演出の実行指令を送出する機能を有しており、この機能に対応する回路のスルーホール771又はビアを対象に特殊器具の先端部を侵入させてゴトを働く場合が考えられる。
これに対して、本実施の形態では、制御系基板760については、スルーホール771又はビアを樹脂埋め、蓋メッキ処理した上でレジストにより覆う構造としている。これにより、制御系基板760は、スルーホール又はビアの孔を残したままその表面を単にレジストで覆う被制御系基板150(図15(b)参照)に比べて、スルーホール771又はビアを塞ぐ当接防止層、すなわち樹脂部材775、蓋メッキ層777、レジスト層781、782の積層部分の表面強度が大幅に増している。よって、制御系基板760については、被制御系基板150に比べてスルーホール771又はビアに対する不正器具の先端部の侵入をより強固に防止することができる。
なお、制御系基板760は、配下の被制御系基板150に対する制御機能を有し、ゴト行為が行われた場合の被害が拡大する傾向が高いため、ゴト対策を徹底すべく、外部露呈する可能性があるかないかに拘らず、上述した不正防止のための樹脂部材775、蓋メッキ層777、レジスト層781、782から成る当接防止層を形成することが望ましい。
以上、実施形態について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。また、本発明は本実施形態のようなパチスロ1の他、制御系基板及び被制御系基板を搭載するパチンコ機等の遊技機全般に適用できる。