JP6242662B2 - モード変換素子及び光導波路素子 - Google Patents
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Description
偏波多重を含む高速通信の変調方式は、複雑な光変調器が必要になり、装置の大型化、高額化といった課題が生じる。こうした課題に対して、加工が容易であり、集積化による小型化、大量生産による低コスト等のメリットを持つシリコンを用いた基板型光導波路による光変調器が研究されている。
これらのモードの中で、多くの場合に使用されるのは、基本TEモードと基本TMモードである。ここで、基本TEモードはTEモードの中で実効屈折率が一番大きなモード(TE0)であり、基本TMモードはTMモードの中で実効屈折率が一番大きなモード(TM0)である。
特性が異なるこれらのモードに対して、光変調操作を行う場合、単一の基板型光導波路素子だけでは困難である。モードごとに最適化された基板型光導波路素子を必要とした場合、基板型光導波路素子の開発の面で大きな労力が必要となる。
このような偏波変換を基板上で行う技術として、基本TEモードを高次TEモードに変換し、その後、高次TEモードを基本TMモードに変換するものがある。ここで、高次TEモードは2番目に実効屈折率の高いTEモード(TE1)を表すものとする。
このような変換には、基本TEモードを高次TEモードに変換させる素子と高次TEモードを基本TMモードに変換させる素子の二つが必要になる。本発明は、前者の、基本TEモードを高次TEモードに変換させる素子に関するものである。
なお、基本モードから高次モードへの変換と、その逆方向の変換とを含め、基本モードと高次モードとの間の変換を高次モード変換と呼ぶ。
図28に示すように、非特許文献1に記載の偏波変換素子210は、コア211、212と、クラッド215とを有する。コア211、212の長さ方向の一部は、互いに並設されて方向性結合器218を構成している。クラッド215は、下部クラッド217と上部クラッド216とを有する。上部クラッド216はコア211、212及び下部クラッド217の上に設けられている。
方向性結合器218におけるコア211、212は、互いに幅が異なる断面矩形状の導波路(以下、矩形導波路と呼ぶ)である。
コア211、212の幅は、ある波長において、入力側コア211の高次TEモードの実効屈折率と、出力側コア212の基本TEモードの実効屈折率とが互いに近くなるように設計されている。これによって位相整合がおこり、入力側コア211の高次TEモードが出力側コア212の基本TEモードに高効率で結合するため、高次モード変換が可能である。
なお、非特許文献1の技術では、高次TEモードを基本TEモードに変換しているが、受動的な光導波路では逆過程も成り立つため、前記方向性結合器は、基本TEモードを高次TEモードに変換する機能も有する。すなわち、前記方向性結合器は、高次モード変換を行う素子である。
非特許文献2、3には、同モードの結合を扱う方向性結合器が開示されている。
光の結合が弱い場合には、波長が変化したときの結合効率への影響が大きくなり、広い波長帯域での高効率な変換が望めないという問題がある。
なお、結合効率は、例えば入力される基本TEモードのパワーに対する、出力される高次TEモードのパワーの比であり、変換効率と等価である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、広い波長帯域での高効率なモード変換が可能なモード変換素子及び光導波路素子を提供することを課題とする。
前記入力側光導波路には、n番目(nは自然数)に実効屈折率が大きいTEモードである(n−1)次モードが導波し、前記出力側光導波路には、m番目(mは自然数。m>n)に実効屈折率が大きいTEモードである(m−1)次モードが導波し、前記入力側光導波路のTEモードと、前記出力側光導波路のTEモードが結合可能であることが好ましい。
前記方向性結合器におけるスラブ部は、前記方向性結合器の少なくとも一部において、前記入力側光導波路と前記出力側光導波路との間にこれらを互いに接続して形成された中間領域と、前記入力側および出力側光導波路からそれぞれ幅方向の外方に延出する外方延出領域と、を有する構成としてよい。
前記方向性結合器におけるスラブ部は、前記方向性結合器の少なくとも一部において、前記入力側光導波路と前記出力側光導波路との間にこれらを互いに接続して形成された中間領域のみからなる構成としてよい。
本発明のモード変換素子は、前記入力側光導波路及び前記出力側光導波路のそれぞれの長手方向の一端または両端に、曲がり導波路が配置され、前記入力側光導波路に接続された曲がり導波路と前記出力側光導波路に接続された曲がり導波路とが、前記方向性結合器に向かって互いに接近し、または、前記方向性結合器から離れる向きで互いに離間する構成としてよい。
前記入力側光導波路と前記出力側光導波路のいずれか一方または両方には、リブ部および/またはスラブ部の幅が延出方向に行くほど減少するテーパ状の光導波路が形成されていてもよい。
前記入力側光導波路と前記出力側光導波路のいずれか一方または両方には、リブ部および/またはスラブ部の幅が延出方向に行くほど増加するテーパ状の光導波路が形成されていてもよい。
前記入力側光導波路と前記出力側光導波路の高さは、互いに等しくすることができる。
前記入力側光導波路には、0次モードが導波し、かつ前記出力側光導波路には、1次モードが導波することが好ましい。
本発明のモード変換素子は、前記スラブ部と前記リブ部がSiからなり、前記下部クラッドと前記上部クラッドがSiO2からなることが好ましい。
本発明は、前記モード変換素子を備えたDP−QPSK変調器を提供する。
本発明は、前記モード変換素子を備えた偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機を提供する。
本発明は、前記モード変換素子を備えた偏波ダイバーシティ方式を提供する。
したがって、広い波長帯域で高い効率でモード変換を行うことができる。
図1は、本発明のモード変換素子の第1の実施形態であるモード変換素子10を示すもので、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図1(a)では、光の導波方向は上下方向であって、光導波路11、12の長さ方向である。図1(b)では、光の導波方向は紙面に垂直な方向である。以下の説明では、図1(b)に示す、光の導波方向に垂直な断面において、入力側光導波路11と出力側光導波路12とが向かい合う方向の寸法を幅といい、前記向かい合う方向に垂直な方向の寸法を高さという。図1(b)において、前記幅は基板Sに平行な方向の寸法であり、前記高さは基板Sに垂直な方向の寸法である。以下、高さ方向(図1(b)の上方)を上方とし、その反対方向を下方として各構造の位置関係を説明することがある。なお、図1(a)等の平面図では、スラブ部4に網かけを付している。
光導波領域2は、互いに離間して形成された一対のリブ部3(厚肉部)と、リブ部3の幅方向に延出して形成されたスラブ部4(薄板部)と、を有する。
リブ部3とスラブ部4とは同じ材料からなり、一体に形成されている。
光導波領域2は、クラッド5よりも屈折率が高い材料、好ましくはSi(シリコン)からなる。光導波領域2は、Si−SiO2−SiからなるSOI(Silicon on insulator)基板の最上層のシリコン(Si)層を加工して形成することができる。
図示例の出力側光導波路12の幅は、入力側光導波路11の幅より大きい。
入力側光導波路11の高さH1と出力側光導波路12の高さH2との関係は、特に限定されず、H1>H2でも、H1=H2でも、H1<H2でもよいが、H1とH2との差は極端に大きくないことが望ましい。図示例では、高さH1,H2は互いに等しい。
図示例では、方向性結合器18における光導波路11、12は、直線状であり、長さ方向にわたって一定の間隔に形成され、互いに平行である。
スラブ部4(領域13、14、15)は、方向性結合器18における導波方向の少なくとも一部に形成されていればよい。すなわち、スラブ部4は、方向性結合器18におけるリブ部3の長さ方向の一部のみに形成されていてもよいし、リブ部3の全長にわたって形成されていてもよい。図示例では、スラブ部4はリブ部3の全長にわたって形成されている。
厚さとは、リブ部3の長さ方向に垂直な断面において、リブ部3の幅方向に直交する方向の寸法である。すなわち、リブ部3の長さ方向および幅方向に直交する方向の寸法である。
モード変換素子10は、光導波路1が基板S上に形成された基板型光導波路素子としてもよい。
図3は、矩形導波路の基本TEモードの電界分布の一例である。コア(矩形導波路)の高さは220nm、幅は400nmとした。その他の条件はリブ導波路の場合と同様とした。
図2および図3より、それぞれの基本TEモードの幅方向(x方向)の成分(Ex成分とする)が確認できる。これらより、リブ導波路の電界はスラブ部にも広がりを持ち、矩形導波路に比べて、同じサイズでも閉じ込めが弱いことがわかる。
このため、リブ導波路からなる非対称方向性結合器は、同じ導波路幅と同じ間隔を持つ矩形導波路による非対称方向性結合器に比べ、結合が強くなり、波長帯域が拡大する。
なお、リブ導波路のスラブ部の幅は、電界モードの幅方向範囲を制限しない程度に大きいことが好ましい。
実効屈折率は光導波領域内への閉じ込めに関係しており、光導波領域の実効屈折率の値が大きい方がより光の閉じ込めは強くなる。スラブ部の幅は、大きい方が高屈折率部分への光の閉じ込めが強くなるため、光導波領域の実効屈折率は大きくなる傾向にある。
図4(b)をみると、光導波領域の幅が2μm以上の範囲では、実効屈折率はほとんど変化しなくなっている。これは、基本TEモードの電界は主に光導波領域のリブ部に分布しているため、スラブ部の幅が十分に大きくなると、スラブ部の幅変化が基本TEモードの電界へ及ぼす影響が非常に小さくなることを示している。
そのため、この例では、光導波領域の幅を2μm以上とすることで、この光導波領域を一般的なリブ導波路とみなすことができる。ただし、光導波領域の幅が2μmより小さい場合であっても、光導波領域の幅がリブ部の幅より大きい場合は光がスラブ部へ浸み出す。このため、このような導波路構造でも本発明の効果を発揮する。このことは、図4(a)に示す光導波路構造、または取り扱うモードに限らず、一般的な光導波路構造やモードでも成り立つ。
方向性結合器の結合効率Tは、入力側光導波路と出力側光導波路とが接近しすぎていない場合、次式で示される。
特に、基板型導波路でエッチングの回数を減らし、より単純なプロセスで作製することを念頭に置いた場合、リブ部の高さ、スラブ部の高さは入力/出力側光導波路で互いに同じとし、導波路幅を変えることで実効屈折率の調整を行うことが好ましい。
N1:入力側光導波路のみが存在するときの光導波領域断面の屈折率分布
N:入力側光導波路および出力側光導波路が存在するときの光導波領域断面の屈折率分布
Ei(i=1,2):導波路iを導波するモードの電界ベクトル(導波路1は入力側光導波路、導波路2は出力側光導波路である)
結合効率Tを表す式(1)は、Fとsin2(qL)からなり、それぞれの値は波長によって変化する。
Fは、式(2)に示すように、実効屈折率差に比例するδと結合係数χの比に依存し、結合係数χが大きいほど1に近づき、結合効率は高くなる。
特に、非対称方向性結合器の場合、ある波長で実効屈折率差ΔNI(∝δ)が十分小さくなるように光導波路の構造を決めても、波長が変化すると実効屈折率差が大きくなる場合がある。結合係数χが小さい場合、式(1),(2)よりそのずれの影響が顕著になり結合効率の波長依存性は大きくなる。よって、非対称方向性結合器の波長依存性を小さくする観点からはχは大きい方が好ましい。
また、波長の変化が大きくなるほど実効屈折率差ΔNI(∝δ)は大きくなるため、結合係数χが大きいと、式(2),(4)から、広い波長帯域でFが高い値を維持することができ、波長帯域拡大につながる。
sin2(qL)の項は、結合効率Tが方向性結合器における光導波路の長さLに依存することを示し、Lによって光が一方の導波路から他方の導波路へ移ったり戻ったりすることを表現している。ある波長で、光が最も多く移るような長さは結合長(Lc)と呼ばれ、次式で表される。
以上より、波長に対するδの変化が小さく、結合係数χが大きい方が、広い帯域にわたって結合効率が高く維持できることがわかる。
なお、δがχに対して小さくなるような場合を「位相が整合する」(または単に「位相整合」)と呼び、これが満たされているとき、モードは結合可能である、とする。
本発明で扱うモードの変換は、TEiとTEj(i≠j)、TMiとTMj(i≠j)、TEiとTMj(i,jは同じでも異なっていてもいい)の変換を含む。
<計算例1>
図1に示すモード変換素子10についてシミュレーションを行った。リブ部(光導波路11、12)の高さH1、H2は220nm、入力側光導波路11の幅W11は400nm、スラブ部4の高さH4は95nmとした。
スラブ部4の幅W14、W15は、1.5μm以上とした。
スラブ部4の幅がこの範囲であると、入力側光導波路11の基本TEモードと出力側光導波路12の高次TEモードは、スラブ部4の幅変化の影響をほとんど受けない。このため、光導波領域2を「リブ導波路」とみなすことができる。
出力側光導波路12の幅W12は、入力側光導波路11の基本TEモードと出力側光導波路12の高次TEモードの実効屈折率が近くなることを指標として、959nmとした。実効屈折率を表1に示す。
図5に示す変換素子210であって、コア(矩形導波路)(コア211、212)の高さは220nmとし、コア(矩形導波路)(コア211のみ)の幅は400nmとした。その他の条件は計算例1と同様とした。
コア212の幅は、入力側コア211の基本TEモードと出力側コア212の高次TEモードの実効屈折率が近くなるように定めた。具体的には、出力側光導波路212の幅は838nmとした。
実効屈折率を表1に示す。
図6は、リブ導波路(図1参照)と、矩形導波路(図5参照)について、入力側光導波路の基本TEモードと出力側光導波路の高次TEモードとの実効屈折率の差から求めたδの絶対値と、光の波長との関係を示すグラフである。
この図より、リブ導波路、矩形導波路ともに、光の波長が1580nmからずれるに従って、δの絶対値が大きくなっていることがわかる。このズレの量は、リブ導波路と矩形導波路で大きな差は見られない。
結合係数χは次のようにして求めた。
結合長Lcは、方向性結合器の断面(図1(a)および図5(a)を参照)のモード(いわゆるスーパーモード)を求めるときに得られる2つの実効屈折率の差ΔNsより求めることができる。
結合長Lcは、ΔNsを用いて、式(7)で表すことができる。なお、理論的考察については、岡本勝就著「光導波路の基礎」(コロナ社)などを参照した。
図7は、リブ導波路(図1参照)および矩形導波路(図5参照)について、入力側光導波路と出力側光導波路との間隔(gap)と、非対称方向性結合器の結合係数χとの関係を示すグラフである。光の波長は1580nmとした。
この図より、同じ間隔においてリブ導波路と矩形導波路を比べると、350nm以上の間隔においては、リブ導波路の結合係数χは、矩形導波路の結合係数χに比べ、2倍以上となっている。これは、リブ導波路では、矩形導波路に比べ、光がリブ部の外に拡がっているからである。
図8に、入力側光導波路と出力側光導波路との間隔を350nmとしたときの、結合係数χの波長依存性を示す。この図より、1520〜1640nmの広い波長帯域にわたり、矩形導波路に比べ、リブ導波路を用いた方が、大きな結合係数χをもつことがわかる。
入力側光導波路と出力側光導波路との間隔を350nmとし、シミュレーションにはFEMを用いた。結果を図9に示す。方向性結合器の光導波路の長さLは、波長1580nmのときの結合長Lcとした。なお、LはLcよりも長くてもよいし、短くてもよい。導波路に関するパラメータは、図6と図8を求めたときと同じであるため、δとχはこれらの図と同じになる。これらから式(1)〜(3)を用いて結合効率Tを求めたものが図9となる。
この図より、矩形導波路による非対称方向性結合器の結合効率の最小値は、1520〜1640nmまでの波長帯域で約−3.96dBであるのに対し、リブ導波路による方向性結合器の結合効率の増減幅は約−0.66dBとなることから、リブ導波路は、広い波長帯域にわたって高い結合効率をもっている。これは、矩形導波路よりも外部に光が浸み出しやすいリブ導波路構造を用いることで結合係数χを高めることができたためである。
これに対し、モード変換素子10では、方向性結合器18の入力側光導波路11と出力側光導波路12とがスラブ部4で接続された構造(リブ導波路)を採用することによって、図9に示すように、広い波長帯域にわたって高い結合効率を実現できる。
したがって、広い波長帯域で高い効率でモード変換を行うことができる。
リブ導波路は、矩形導波路よりも側壁部分の面積が小さいため、この損失を小さくすることができる。リブ導波路は、側壁荒れの影響を小さくしつつ、光をリブ部から多く浸出させることができる。
しかし、(1)では、導波路どうしが近接しているため、エッチングにより導波路の隙間を形成する際の再現性が低くなり、導波路の形成精度が低くなるおそれがある。(2)では、導波路幅が小さいため(1)と同様に導波路形成の再現性が低くなり、導波路の形成精度が低くなるおそれがある。そのため、導波路間隔と導波路幅はある程度大きな値としたままで結合効率を向上することが望まれる。
モード変換素子10では、リブ部3(光導波路11、12)どうしがスラブ部4で接続された構造(リブ導波路)を採用することによって、導波路間隔と導波路幅が大きくても高い結合効率が得られる。このため、光導波領域2を再現性よく、しかも高精度で形成することができ、製造プロセスの面でも有利である。
また、i番目に実効屈折率の高いTMモードをTM(i−1)とすると、本発明では、TMiとTMjと(i,j>=0かつi≠j)のモードの実効屈折率差に比例するδを結合係数χよりも小さくすることで、効率的なモード変換が可能である。
出力側光導波路の基本TEモードの実効屈折率は、入力側光導波路のどのモードの実効屈折率とも大きく離れている。例えば、波長1580nmにおいて、図1に示すモード変換素子10の出力側光導波路12の基本TEモードの実効屈折率は2.731851であるが、最も実効屈折率が近くなる入力側光導波路11の基本TEモードの実効屈折率は2.451387であり、ΔNI=0.280464となる。
入力側光導波路11の基本TEモードは、高次TEモードよりも光の閉じ込めが強いことを考えると、基本TEモードの結合係数は、高次TEモードの結合係数よりも小さくなると考えられる。
そこで上限として、高次TEモードの結合係数を用いて計算する。光導波路11、12の間隔を350nmとすると、結合係数は0.069906096となる。
このとき、式(2)によりFを求めると、0.015471014となり、光は、結合効率の上限値で約1.5%しか移らないことになる。この値は、実際は正確な結合係数や結合長等を考慮するとさらに下がるが、実効屈折率差が大きい、出力側光導波路12の基本TEモードは、ほとんど損失無く透過することがわかる。
すなわち、入力側光導波路11に基本TEモードを入力し、出力側光導波路12にも同時に基本TEモード(区別のため、基本TE’モードとする)を入力した場合、出力側光導波路12の出力端では、基本TEモードが変換された高次TEモードと、基本TE’モードが多重された出力を得ることができる。
このことは、基本TEモードに限らず、他のTEiモード1でも実効屈折率に差がある場合(δが結合係数よりも十分小さい)に適用可能である。
なお、モード多重を行うには、図10、図11等に示すように、出力側光導波路12の入力側に、ポート12aが接続されていることが必要である。
例えば、入力側光導波路には0次モードが導波し、かつ前記出力側光導波路には1次モードが導波することが好ましい。
<実施例1>
実施例1のモード変換素子10は、図1に示す構造を有する。
本実施例のモード変換素子10は、SOI基板の中間のSiO2層を下部クラッドとし、Si層を光導波領域2として用いる。光導波領域2の形成後、上部クラッドとしてSiO2層を設けることができる。クラッドの材料であるSiO2の屈折率は1.44、光導波領域の材料であるSiの屈折率は3.48とした。
入力側光導波路11のリブ部3の高さは220nm、幅は400nmとする。出力側光導波路12のリブ部3の高さは220nm、幅は959nmとする。方向性結合器18における入力側光導波路11と出力側光導波路12との間隔は350nmとする。スラブ部4の高さは95nmとする。
このモード変換素子10では、広い波長域にわたって結合係数χを大きくでき、高い結合効率Tが得られる。
図10に、モード変換素子10の変形例であるモード変換素子10Aを示す。
モード変換素子10Aは、方向性結合器18の入力側光導波路11の両端に、それぞれ曲がり導波路8a、8bが形成され、出力側光導波路12の両端に、それぞれ曲がり導波路9a、9bが形成されている。
導波方向の一方側では、入力側光導波路11に接続された曲がり導波路8aと出力側光導波路12に接続された曲がり導波路9aとが、方向性結合器18に向かって互いに接近している。
導波方向の他方側では、入力側光導波路11に接続された曲がり導波路8bと出力側光導波路12に接続された曲がり導波路9bとが、方向性結合器18から離れる方向に互いに離間する。
曲がり導波路8a、8b、9a、9bの形成によって、2つの導波路を徐々に接近/離間することができ、不要な光の反射を抑えることができる。
曲がり導波路8a、8b、9a、9bは、入力側光導波路11及び出力側光導波路12のいずれか一方のみに設けてもよく、また、入力側光導波路11又は出力側光導波路12の一方側および他方側のいずれかのみに設けてもよい。曲がり導波路を設けない場合には、方向性結合器18の各光導波路から直線状に光導波路を延長することができる。
図11は、モード変換素子10と、高次偏波変換素子101とを組み合わせた光導波路素子の一例を示す。
入力側光導波路11に接続される入力側の導波路を第1のポート11aとし、出力側光導波路12の入力側に接続される導波路を第2のポート12aとする。出力側光導波路12の出力側にある第3のポート12bは、高次偏波変換素子101に接続される。
図12に示すように、高次偏波変換素子101は、コア102と、屈折率がコアよりも低い下部クラッド103と、屈折率がコア102より低い上部クラッド104とを有する。コア102は例えばSiからなる。下部クラッド103は例えばSiO2からなる。上部クラッド104は例えば空気からなる。上部クラッド104と下部クラッド103が互いに異なる屈折率を持つことで、高次偏波変換が可能となる。
図12(a)に示すように、コア102は、幅が光導波路11の光の導波方向に連続的に減少するテーパ状に形成されている。
すなわち、テーパ領域は、リブ部および/またはスラブ部の幅が延出方向に行くほど減少するテーパ状としてよい。
また、図示例のテーパ領域19は、出力側光導波路12に形成されているが、入力側光導波路11に形成してもよい。すなわち、テーパ領域19は、入力側光導波路11と出力側光導波路12の一方または両方に形成することができる。
テーパ領域19は、リブ部および/またはスラブ部の幅が延出方向に全長にわたって徐々に減少する形状であることが好ましいが、長さ方向の一部に、一定幅の部分、または延出方向に幅が増加する部分を含んでいてもよい。
なお、テーパ領域19は、実施例1、2についても、光導波路11、12のいずれか一方または両方に形成することができる。
高次偏波変換素子101は基本TEモードには影響を与えないため、第1のポート11aと第2のポート12aへ同時に基本TEモードを入力すると、高次偏波変換素子101の出力側から、基本TEモードと基本TMモードとが合波した出力が得られる。これにより、偏波多重を行うための素子として用いることが可能である。
図13は、モード変換素子10と、高次偏波変換素子111とを組み合わせた光導波路素子の他の例を示す。
高次偏波変換素子111は、出力側光導波路12の出力側にある第3のポート12bに接続される。
図14に示すように、高次偏波変換素子111は、コア112が、下部コア114と上部コア113からなり、上部コア113の幅又は下部コア114は、幅が光導波路11の光の導波方向に連続的に減少するテーパ状に形成されている。
開始部118は、実効屈折率の大きさが基本TEモード、高次TEモード、基本TMモードの順に小さくなるような3つ以上のモードを持つ。終了部119は、実効屈折率の大きさが基本TEモード、基本TMモード、高次TEモードの順に小さくなるような3つ以上のモードを持つ。
開始部118と終了部119との間の光導波路1のコア形状が、上部コア113の幅と下部コア114の幅が異なる上下非対称な構造を有する。
高次偏波変換素子111では、開始部118の高次TEモードと終了部119の基本TMモードとの間で偏波変換できる。
高次偏波変換素子111では、上部クラッド114と下部クラッド113は屈折率が同じでもよい。下部クラッド113および上部クラッド114は例えばSiO2からなる。光導波領域2は例えばSiからなる。
高次偏波変換素子111は、幅が広い下部コア114が形成される。下部コア114は、モード変換素子10のスラブ部4に一体的に形成することができる。
高次偏波変換素子111は基本TEモードには影響を与えないため、第1のポート11aと第2のポート12aへ同時に基本TEモードを入力すると、高次偏波変換素子111の出力側から、基本TEモードと基本TMモードとが合波した出力が得られる。これにより、偏波多重を行うための素子として用いることが可能である。
モード変換素子50は、光導波領域2に代えて光導波領域52を有する点で、図1等に示すモード変換素子10と異なる。光導波領域52は、スラブ部4が外方延出領域14、15を備えておらず、中間領域13のみからなる。
光導波領域52は、リブ部3の幅方向の一方側(内方側)にのみスラブ部4を有する構造(半リブ導波路)であり、入力側光導波路11および出力側光導波路12の長さ方向の一部は、互いに並設されて方向性結合器58(非対称方向性結合器)を構成している。
リブ導波路の基本TEモードの電界分布(図2)と比較すると、半リブ導波路では、幅方向の一方側にのみスラブ部を持つことから、リブ導波路に比べ一方の幅方向への浸み出しが大きくなり、非対称方向性結合器としての結合が向上する。これは以下の理由による。
半リブ導波路では、スラブ部が存在する一方側の屈折率分布は、他方側に比べ、実効的にコアとクラッドの屈折率差が小さくなる。コアとクラッドの屈折率差が小さい場合、一般的に光の閉じ込めは弱くなるため、スラブ部を有する方に多くの光が浸み出すことになる。
一方、両方にスラブ部を有する通常のリブ導波路では、左右両方へ同程度の光の浸み出しが生じる。
これらより、リブ導波路では左右両方向に光が浸み出しているのに対して、半リブ導波路ではスラブ部を有する側にだけ光の浸み出しが生じていることがわかる。そのため、非対称方向性結合器を構成する導波路として考えた場合、半リブ導波路では、隣接する導波路が存在しない側の光の浸み出しが少なくなる。よって、半リブ導波路を用いた非対称方向性結合器構造は、結合を高める点で優位であり、波長帯域拡大が可能となる。
図17(b)をみると、スラブ部4の幅が1μm以上の範囲では、実効屈折率はほとんど変化しなくなっている。これは、基本TEモードの電界は主に光導波領域のリブ部に分布しているため、スラブ部の幅が十分に大きくなると、スラブ部の幅変化が基本TEモードの電界へ及ぼす影響が非常に小さくなることを示している。
そのため、この例では、スラブ部の幅を1μm以上とすることで、この光導波領域を半リブ導波路とみなすことができる。ただし、スラブ部の幅が1μmより小さい場合であっても0μmより大きい場合は、スラブ部へ光が浸み出す。このため、このような導波路構造でも本発明の効果を発揮する。このことは、図17(a)に示す光導波路構造、または取り扱うモードに限らず、一般的な光導波路やモードでも成り立つ。
<計算例3>
図15に示すモード変換素子50についてシミュレーションを行った。リブ部(光導波路11、12)の高さ、入力側光導波路11の幅、スラブ部4の高さは計算例1に準じて定めた。
光の波長は1580nmとした。
出力側光導波路12の幅は、入力側光導波路11の基本TEモードと出力側光導波路12の高次TEモードの実効屈折率が近くなるように定めた。具体的には、出力側光導波路12の幅は905nmとした。
有限要素法(FEM)によるシミュレーションによって得られた実効屈折率を表2に示す。
表2には、表1に示す計算例1(リブ導波路)の結果を併せて示す。
式(4)より、実効屈折率差はδに比例するため、波長変化に対して、δが増加することになる。
この図より、半リブ導波路、リブ導波路ともに波長が1580nmからずれるに従って、δの絶対値が大きくなっていることが分かる。このズレの量は、半リブ導波路とリブ導波路で大きな差は見られない。
一方で、非対称方向性結合器において結合係数χを高める構造は、新たにδが非ゼロになるという問題をはらみ、対称な方向性結合器の取り扱いとは大きく異なる。そのため、非対称方向性結合器において結合係数χを高めるという観点は、対称な方向性結合器において結合係数χを高めるという観点とは異なる内容(波長変化で増加するδに対して、結合係数χを大きくすることで結合効率を高めるという内容)を含み、これを解決するために、リブ導波路または半リブ構造を導入することは、当業者の予測範囲を越える技術思想であるといえる。
結合係数χは次のようにして求めた。
結合長Lcは、方向性結合器の断面(図15(b)および図1(b))のモード(いわゆるスーパーモード)を求めるときに得られる2つの実効屈折率の差ΔNsより求めることができる。
上述のように、結合長Lcは式(7)で表すことができる。ΔNsは有限要素法(FEM)によるシミュレーションによって求めことができる。
この図より、同じ間隔において半リブ導波路とリブ導波路を比べると、400nm以上の間隔においては、半リブ導波路の結合係数χは、リブ導波路の結合係数χに比べ、2倍以上となっているとわかる。これは、半リブ導波路では、リブ導波路に比べ、光が隣接する導波路へ効率的に結合しているためである。
入力側光導波路と出力側光導波路との間隔は500nmとし、シミュレーションにはFEMを用いた。方向性結合器の光導波路の長さLは、波長1580nmのときの結合長Lcとした。具体的には、半リブ導波路のLcは22.3μmとし、リブ導波路は46.8μmとした。
図20より、半リブ導波路による非対称方向性結合器では、リブ導波路よりも大きな結合係数χが得られたことがわかる。
また、図21より、リブ導波路による非対称方向性結合器の結合効率の最小値は、1520〜1640nmまでの波長帯域で約−1.83dBであるのに対し、半リブ導波路による方向性結合器の結合効率の増減幅は約−1.32dBとなり、広い波長帯域にわたって高い結合効率を示すことがわかる。これは、半リブ導波路では、リブ導波路よりも効率的に隣接する導波路へと光が浸み出すためである。
リブ導波路では矩形導波路の両側面から、光の伝搬する長手方向に沿ってテーパ状に徐々にスラブ部を延出形成する必要があるが、半リブ導波路では、スラブ部は光導波路11、12の内方側にのみ形成すればよい。このため、矩形導波路からの変化が小さくて済み、導波路の構造変換に必要なスラブ部のテーパ部分が短くて済む。
例えば、波長1580nmにおいて、図15に示す構造の出力側光導波路12の基本TEモードの実効屈折率は2.710878であるが、最も実効屈折率が近くなる入力側光導波路11の基本TEモードの実効屈折率は2.36014であり、ΔNI=0.350738となる。
入力側光導波路11の基本TEモードは、高次TEモードよりも光の閉じ込めが強いことを考えると、基本TEモードの結合係数は、高次TEモードの結合係数よりも小さくなると考えられる。
そこで上限として、高次TEモードの結合係数を用いて計算する。光導波路11、12の間隔を500nmとすると、結合係数は0.0703686となる。
このとき、式(2)によりFを求めると、0.008401となり、結合効率の上限値で約0.8%しか移らないことになる。この値は、実際は正確な結合係数や結合長等を考慮するとさらに下がるが、実効屈折率差が大きい、出力側光導波路12の基本TEモードは、ほとんど損失無く透過することがわかる。
すなわち、入力側光導波路11に基本TEモードを入力し、出力側光導波路12にも同時に基本TEモード(区別のため、基本TE’モードとする)を入力した場合、出力側光導波路12の出力端では、基本TEモードが変換された高次TEモードと、基本TE’モードが多重された出力を得ることができる。
このことは、基本TEモードに限らず、他のTEiモード1でも実効屈折率に差がある場合(δが結合係数よりも十分小さい)に適用可能である。
なお、モード多重を行うには、図23、図24等に示すように、出力側光導波路12の入力側に、ポート12aが接続されていることが必要である。
<実施例5>
実施例5のモード変換素子50は、図15に示す構造を有する。
本実施例のモード変換素子50は、方向性結合器58における入力側光導波路11と出力側光導波路12との間隔を500nmとした。その他の条件は実施例1に準じた。
このモード変換素子50では、広い波長域にわたって結合係数χを大きくでき、高い結合効率Tが得られる。
図22に、モード変換素子50の変形例であるモード変換素子50Aを示す。
モード変換素子50Aは、方向性結合器18の入力側光導波路11の両端に、それぞれ曲がり導波路8a、8bが形成され、出力側光導波路12の両端に、それぞれ曲がり導波路9a、9bが形成されている。
そのほかの構成は、実施例5に準じた。
図23は、モード変換素子50と、高次偏波変換素子101(図12参照)とを組み合わせた光導波路素子を示す。出力側光導波路12の出力側にある第3のポート12bは、高次偏波変換素子101に接続されている。
図24は、モード変換素子50と、高次偏波変換素子111(図14参照)とを組み合わせた光導波路素子を示す。第3のポート12bは、高次偏波変換素子111に接続されている。
(DP−QPSK変調器)
本発明のモード変換素子は、参考文献1(P. Dong, C. Xie, L. Chen, L. L. Buhl, andY.-K. Chen, “112-Gb/s Monolithic PDM-QPSK Modulator in Silicon,” European Conference and Exhibition on Optical Communication, Vol. 1, p. Th.3.B.1, June 16, 2012)で開示されているような偏波多重4値位相変調(DP−QPSK:Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying)に使用することが可能である。
図25にDP−QPSK変調器の一例を模式的に示す。このDP−QPSK変調器20は、通常の光導波路に基本TEモードと基本TMモードの2つのモードが存在できることを利用して、基本TEモード/基本TMモードの両モードに独立したQPSK信号を有する、DP−QPSK変調を行う。具体的には、入力部21から基本TEモードで入力した光を2つの光導波路22,22に分岐し、QPSK変調器23,23により各々QPSK信号に変調した後、光導波路24,24の片側の基本TEモードを偏波変換素子25により基本TMモードに変換させて、2つのモードを偏波ビームコンバイナで同一の光導波路上に合成し、基本TEモードと基本TMモードに独立した信号を出力部26に出力する。
(偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機)
本発明の偏波変換素子は、参考文献2(C. Doerr et al., “Packaged Monolithic Silicon 112-Gb/s Coherent Receiver,” IEEE Photonics Technology Letters, Vol. 23, pp. 762-764, 2011)で開示されているような、基本TEモードと基本TMモードを同時に伝送した偏波多重信号のSi光導波路上のコヒーレント受信機に使用することが可能である。
図26に、偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機の一例を模式的に示す。このコヒーレント受信機30は、基本TEモードと基本TMモードを同時に伝送した偏波多重信号の光導波路31を、偏波変換と偏波ビームスプリッタが同時に行える偏波変換素子32に接続し、光導波路33,33の一方には基本TEモードの信号を、また、光導波路33,33の他方には基本TMモードから変換した基本TEモードの信号を分岐させる。局発光34として、一般的に用いられる半導体レーザ光源は片偏波のみ、例えば基本TEモード(local)の出力を用いる。このような光源を用いる場合、従来では局発光の偏波変換が必要となる。
しかし、このコヒーレント受信機30では、信号光は偏波分離後にいずれも基本TEモードの信号(signal)となるので、局発光の偏波変換が不要になる。信号光と局発光は、光合波部35を経て、結合部36から出力される。
偏波変換素子32に光導波路型の構造を用いる場合、結合部36における素子外部との光の結合には、基板側方より結合する逆テーパ型のモードフィールド変換器など、偏波分離機能を持たない結合器を利用することが可能である。結合器には、例えば参考文献3(Qing Fang, et al., “Suspended optical fiber-to-waveguide mode size converter for silicon photonics,” Optics Express, Vol. 18, Issue 8, pp. 7763-7769 (2010))に開示されている、逆テーパ型の構造が開示できる。
(偏波ダイバーシティ方式)
本発明の偏波変換素子は、参考文献4(Hiroshi Fukuda et al., “Silicon photoniccircuit with polarization diversity,” Optics Express, Vol. 16, Issue 7, pp. 4872-4880 (2008))で開示されているような、基本TEモードと基本TMモードが同時に伝送される偏波多重伝送や、片方の偏波がランダムに伝送されるときに、両モードに対して同様の操作を与えるための素子を利用したい場合、偏波ダイバーシティ方式を実行するために用いることができる。
図27に示す偏波ダイバーシティ方式40では、基本TEモードと基本TMモードが同時に伝送される偏波多重信号の光導波路41を、偏波変換と偏波ビームスプリッタが同時に行える偏波変換素子42に接続し、光導波路43,43の一方には基本TEモードの信号を、また、光導波路43,43の他方には基本TMモードから変換した基本TEモードの信号を分岐させる。素子44,44で操作された基本TEモードの信号光は、光導波路45,45から偏波変換素子46で合成して、基本TEモードと基本TMモードが同時に伝送される偏波多重信号の光導波路47に出力する。
偏波変換素子46には、DP−QPSK変調器と同様に、偏波変換と偏波ビームコンバイナが同時に行える本発明の偏波変換素子を用いることができる。
Claims (13)
- 下部クラッドと、前記下部クラッド上に形成され、前記下部クラッドより屈折率が大きい光導波領域と、を備え、
前記光導波領域は、互いに離間して形成された一対のリブ部と、前記リブ部の幅方向に延出して形成されたスラブ部と、を有し、
前記一対のリブ部のうち一方は入力側光導波路であり、他方は出力側光導波路であり、
前記入力側および出力側光導波路は、少なくとも一部が並設されることによって方向性結合器を構成し、
前記方向性結合器は、前記入力側光導波路から前記出力側光導波路に、次数が異なるモード間での結合が可能であり、
前記スラブ部は、前記リブ部の長さ方向に垂直な断面内で幅方向に直交する厚さ方向の寸法が前記リブ部に比べ小さく、かつ、前記方向性結合器の少なくとも一部において、前記入力側光導波路と前記出力側光導波路との間にこれらを互いに接続して形成され、
前記方向性結合器におけるスラブ部は、前記方向性結合器の少なくとも一部において、前記入力側光導波路と前記出力側光導波路との間にこれらを互いに接続して形成された中間領域と、
前記入力側光導波路および出力側光導波路からそれぞれ幅方向の外方に延出する外方延出領域と、を有することを特徴とするモード変換素子。 - 前記入力側光導波路には、n番目(nは自然数)に実効屈折率が大きいTEモードである(n−1)次モードが導波し、
前記出力側光導波路には、m番目(mは自然数。m>n)に実効屈折率が大きいTEモードである(m−1)次モードが導波し、
前記入力側光導波路のTEモードと、前記出力側光導波路のTEモードが結合可能であることを特徴とする請求項1に記載のモード変換素子。 - 前記方向性結合器におけるスラブ部は、前記方向性結合器の少なくとも一部において、前記入力側光導波路と前記出力側光導波路との間にこれらを互いに接続して形成された中間領域のみからなることを特徴とする請求項1または2に記載のモード変換素子。
- 前記入力側光導波路及び前記出力側光導波路のそれぞれの長手方向の一端または両端に、曲がり導波路が配置され、前記入力側光導波路に接続された曲がり導波路と前記出力側光導波路に接続された曲がり導波路とが、前記方向性結合器に向かって互いに接近し、または、前記方向性結合器から離れる向きで互いに離間することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のモード変換素子。
- 前記入力側光導波路と前記出力側光導波路のいずれか一方または両方に、リブ部および/またはスラブ部の幅が、前記リブ部の長さ方向に沿って光が導波する方向に行くほど減少するテーパ状の光導波路が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のモード変換素子。
- 前記入力側光導波路と前記出力側光導波路のいずれか一方または両方に、リブ部および/またはスラブ部の幅が、前記リブ部の長さ方向に沿って光が導波する方向に行くほど増加するテーパ状の光導波路が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のモード変換素子。
- 前記入力側光導波路と前記出力側光導波路の高さが互いに等しいことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載のモード変換素子。
- 前記入力側光導波路には、0次モードが導波し、かつ前記出力側光導波路には、1次モードが導波することを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項に記載のモード変換素子。
- 前記スラブ部、前記リブ部、および前記下部クラッドを覆う上部クラッドをさらに有し、
前記スラブ部と前記リブ部がSiからなり、前記下部クラッドと前記上部クラッドがSiO2からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のモード変換素子。 - 請求項1〜9のうちいずれか1項に記載のモード変換素子と、前記出力側光導波路に接続された高次偏波変換素子とを有することを特徴とする光導波路素子。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のモード変換素子を備えたDP−QPSK変調器。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のモード変換素子を備えた偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のモード変換素子を備えた偏波ダイバーシティ方式。
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