JP6241661B2 - ヒ素の分離固定化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒ化銅含有スライムなどの銅ヒ素含有物に含まれるヒ素を分離し固定化する処理方法に関し、より詳しくは、ヒ素が選択的に酸化浸出され、FeAs沈澱物を生じてヒ素を簡単に分離濃縮することができ、FeAs沈澱物の処理が容易なヒ素の分離固定化方法に関する。
銅の電解精製の際、銅アノードに含まれるヒ素などの不純物の一部は電解液に蓄積するため、電解液の一部を浄液処理としてこれらの不純物を銅と共に電解採取するのが一般的である。このようにして回収される製錬中間産物としてヒ化銅(Cu3Asなど)が知られている。ヒ化銅含有スライムには、例えば、銅40〜60質量%、ヒ素20〜40質量%、鉛、錫、アンチモン、ビスマスなど(それぞれ0.5〜5質量%)が含まれているので、これを銅製錬工程に戻して繰返し処理するのが今まで一般的であった。又はヒ化銅含有スライム中のヒ素と銅を分離した後、ヒ素を安定な化合物に固定化処理して、銅製錬から系外除去する方法も知られている。
銅とヒ素の分離方法として、硫黄の存在下でヒ素を浸出し、銅を硫化銅として沈澱させる処理方法が知られている。例えば、以下の処理方法が知られている。
(イ) ヒ化銅を含む中間産物と硫化ヒ素を含む中間産物の2種類以上を水溶性スラリーにして、アルカリ剤と酸化剤とを加え、ヒ素を選択的に浸出しながら銅を硫化銅として沈澱させてヒ素と分離する方法(特開2011-212588号公報)。
(ロ) 銅ヒ素化合物を含む物質を水スラリーにし、酸化剤と単体硫黄の存在下でヒ素を選択的に浸出する方法(特開2008-150659号公報)。
(ハ) 銅ヒ素化合物を含む物質と単体硫黄を混合したスラリーを二段浸出し、1段目は酸化剤を吹き込んで酸化浸出し、2段目はSO2ガスを吹き込んで還元浸出し、ヒ素を選択的に浸出する方法(特開2012-67361号公報)。
(ニ) 銅ヒ素化合物を含む物質と単体硫黄を混合したスラリーについて、pH3以下の酸性領域でヒ素を浸出し、さらにpH2〜4にスラリーを保持して、ヒ素(III)イオンを酸化し、ヒ酸銅として沈澱・分離する方法(特開2012-214839号公報)。
また、銅ヒ素化合物をアルカリ酸化浸出によってヒ素と銅を分離する処理方法が知られている。例えば、(ホ) 硫化ヒ素やヒ化銅を含む物質をpH10以上、OH濃度100g/L以上のNaOH溶液に入れ、90℃以上に加熱し、空気を吹き込んでアルカリ浸出し、ヒ素を溶出させる一方、酸化銅を沈殿させる。これを固液分離し、Naとヒ素を含む濾液にCa化合物を加えてCaヒ素化合物を沈殿させ、NaOH溶液を再生させて回収する。次いで、Caヒ素化合物を硫酸で溶解し、Ca分を石膏にして沈殿させて分離する方法(特許第4149488号)が知られている。
さらに、銅ヒ素化合物を硫酸の酸化浸出によってヒ素と銅を分離する処理方法が知られている。例えば、(ヘ) ヒ化銅を主成分とする中間物を硫酸性スラリーにし、酸素含有ガスを吹き込みながらヒ素と銅を酸化浸出し、ヒ素(V)イオンと銅イオンを含有する浸出液に第2鉄イオン(Fe+3)を添加してヒ素をヒ酸鉄(スコロダイト:FeAsO4・2H2O)として沈澱させ、銅イオンが残留する濾液から分離する方法(特許第4538481号公報、特許第5059081号公報)が知られている。
特開2011−212588号公報 特開2008−150659号公報 特開2012−67361号公報 特開2012−214839号公報 特許第4149488号公報(特開2007−314405号公報) 特許第4538481号公報(特開2009−79237号公報) 特許第5059081号公報(特開2010−43359号公報)
上記(イ)〜(ニ)の方法は、銅ヒ素含有物の銅分を硫化銅にして沈殿分離する方法であり、後処理としてヒ素(III)イオンの酸化処理(価数調整)が必要である。上記(ホ)の方法は、銅ヒ素含有物の銅分は酸化銅の残渣になるが、Ca化合物の添加によるNaOH液の再生によって生じるCaヒ素化合物を硫酸溶解してCaを石膏にして分離する工程を含むため処理工程が煩雑である。上記(ヘ)の方法は、硫酸による酸化浸出であるため銅分はヒ素と共に溶出するが、銅イオンの一部はスコロダイト合成時に沈殿するなどの問題がある。
本発明は従来の処理方法における上記不都合を解消した処理方法を提供する。本発明の処理方法は、銅ヒ素含有物をアルカリ酸化浸出して銅分を酸化銅の残渣にし、ヒ素を含む浸出液に第2鉄イオン(Fe3+)を添加して、ヒ素と鉄を含むFeAs澱物を生成させる方法である。この方法によれば、ヒ素が選択的に酸化浸出され、FeAs澱物の形成によってヒ素を簡単に分離することができ、しかもFeAs澱物の容量は元液より格段に小さいので後処理工程への負担が少ない。また、このFeAs殿物を硫酸性スラリーにし加熱処理することによって容易にスコロダイト(ヒ酸鉄:FeAsO4・2H2O)を製造できる利点がある。
本発明によれば以下の構成を有するヒ素の分離固定方法が提供される。
〔1〕銅ヒ素含有物に浸出時のpHが7.5以上になるようにアルカリと酸化剤を添加して酸化浸出を行ってヒ素を浸出させ後、液のpHを7.5〜10に調整して銅分を浸出残渣にして固液分離し、該固液分離して得たヒ素浸出液に、pH10以下で第二鉄化合物を添加して水酸化鉄にヒ素が吸着したFeAs澱物を生成させることを特徴とするヒ素の分離固定化方法。
〔2〕ヒ化銅含有スライムに、浸出時pH7.5以上になるように水酸化ナトリウム溶液を加え、さらに空気を吹き込んで、70℃〜90℃に加熱してヒ素分を浸出させた後、液のpHを7.5〜10に調整して銅分を残渣にするアルカリ性酸化浸出工程と、銅分を含む残渣を固液分離し、ヒ素を含むpH10以下の溶液に、50℃以上で、第二鉄化合物をFe/Asモル比で0.9〜1.1になるように添加し、水酸化鉄にヒ素が吸着したFeAs澱物を生成させる澱物生成工程とを含む上記[1]に記載するヒ素の分離固定化方法。
〔3〕第二鉄化合物として塩化第二鉄、硫酸第二鉄、またはポリ硫酸第二鉄を用い、pH7.5〜10のヒ素浸出液に、液温50℃〜70℃で第二鉄化合物を添加し、水酸化鉄にヒ素が吸着したFeAs澱物を生成させる上記[1]または上記[2]に記載するヒ素の分離固定化方法。
〔具体的な説明〕
本発明の処理方法は、銅ヒ素含有物に浸出時のpHが7.5以上になるようにアルカリと酸化剤を添加して酸化浸出を行ってヒ素を浸出させ後、液のpHを7.5〜10に調整して銅分を浸出残渣にして固液分離し、該固液分離して得たヒ素浸出液に、pH10以下で第二鉄化合物を添加して水酸化鉄にヒ素が吸着したFeAs澱物を生成させることを特徴とするヒ素の分離固定化方法である。本発明の処理方法の工程図を図1示す。
本発明の処理方法において、処理対象の銅ヒ素含有物は、例えば、銅とヒ素の金属間化合物であるヒ化銅(Cu3As、Cu5As2)などを含有するスライムである。該スライムは銅電解液中不純物の電解採取工程において、電極に付着するまた電解槽底部から回収されるもので、ヒ素20〜40質量%および銅40〜60質量%をヒ化銅として含む。ヒ化銅含有スライムのXRDスペクトルとピーク解析結果の一例を図2に示す(図中下側のスペクトル)。本発明の処理方法はこのようなヒ化銅含有スライムのヒ素分離固定化方法として最適である。
なお、硫化ヒ素(As23)やFeAsS硫化物をアルカリ酸化浸出する処理方法が知られているが(特許第4087433号公報、特許第4615561号公報)、これらのヒ素含有物はヒ素と共に硫黄を含む物質であり、本発明の処理対象とは異なる。
〔アルカリ性酸化浸出工程〕
本発明の処理方法は、銅ヒ素含有物にアルカリ溶液をpH7.5以上になるように添加して酸化浸出を行う。例えば、ヒ化銅含有スライムに、水酸化ナトリウム液を加えてpH7.5以上にし、さらに空気を吹き込み、70℃〜90℃に加熱してヒ素分を浸出させた後、液のpHを7.5〜10に調整して液中の銅濃度をできるだけ下げて銅分を残渣にする。酸化剤として、空気の他に、酸素、塩素、塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウムを使用することができる。
この酸化浸出によって、例えば、次式に示すように、ヒ化銅が水酸化ナトリウム液中で酸化され、銅が酸化銅又は水酸化銅として固形分の残渣になり、ヒ素がヒ酸ナトリウムを形成して液中に浸出される。
2Cu3As+4NaOH+4O2=3Cu2O↓+2Na2HAsO4+H2
酸化浸出のpHとヒ素の浸出状態を図3に示し、pHとPbおよびCuの浸出状態を図4に示す。また、浸出時間とAs濃度を図5に示す。図3に示すように、酸化浸出のpHが7.5より低い領域では、例えば、微量の銅イオンとヒ素(V)イオンが反応してヒ酸銅(Cu3(AsO4)2)の沈澱が生じるので液中のヒ素濃度は低下する(図3左側)。水酸化ナトリウムを添加してpHを7.5以上に調整すれば、ヒ素の浸出が進む(図3右側)。従って、浸出時にpH7.5以上に調整して酸化浸出を行うのが好ましい。
また、上記酸化浸出の反応式から分かるように、ヒ素1モルを酸化浸出するには水酸化ナトリウム2モルが消費されるので、NaOHの添加量はNaOH/Asモル比=2倍(1当量)に基づいて調整すればよい。また、原料中のヒ素濃度が明らかなときには必要量の水酸化ナトリウム全量を浸出開始時に添加してもよい。この場合、図4に示すように、浸出初期の液性が強アルカリ(pH14程度)になる場合もあり、Cu、Pbなどの重金属イオンが一旦溶出するが、浸出反応が進むにつれ液中のアルカリが消費されて浸出液のpHが低下し、Cu、Pbなどの溶出濃度も低下する。浸出終了時のpHが7.5〜10の範囲であれば、Cu濃度およびPb濃度は数ppmに過ぎないので、浸出当初のpHを14程度にし、浸出終了時にpH7.5〜10になるようにすれば、CuおよびPbの濃度を抑えて、比較的に高純度のヒ素(V)を含むヒ素浸出液を得ることができる(図4、図5)。
なお、酸化浸出開始時にアルカリを過剰に添加したことによって浸出終了時のpHが10を超える場合には、Cu、Pbなどの重金属イオン濃度が高く、また次のFeAs澱物生成工程においてヒ素の回収率が低下するので、硫酸または硫酸性溶液などの中和剤を添加してpH10以下に調整することが好ましい。
浸出温度は70℃〜90℃がよく、上記温度範囲より低いと浸出時間が長くなり、一方、上記温度範囲より高いと蒸気の発生量が多く、加熱コストが無駄になる。
上記アルカリ酸化浸出によれば、ヒ素が選択的に浸出され、CuおよびPbなどの共存金属との分離性が良い。さらに、浸出後のスラリーの濾過性が良く、短時間で濾過することができる。また、浸出残渣に含まれる銅の品位が80〜85%と高く、銅製錬処理が容易である。
浸出残渣のXRDスペクトルを図2に示す(図中上側のスペクトル)。図示するように、浸出残渣の主成分はCu2O(Cuprite)と未溶解のCu3As(Domeykite)である。
〔FeAs沈澱生成工程〕
図2に示すように、上記酸化浸出によって銅は酸化銅を形成し固形分として残渣に含まれるので、この浸出残渣を固液分離する。浸出残渣を分離したヒ素浸出液に、pH10以下で、第二鉄化合物を添加して、FeAs澱物を生成させる。具体的には、次式に示すように、浸出残渣を固液分離したヒ酸イオンを含む浸出液に、第二鉄イオン(Fe3+)を添加すると、鉄(水酸化鉄)にヒ素(ヒ酸イオン)が吸着した沈殿が生成する。また、鉄イオンとヒ素イオンとが反応して非結晶質のヒ酸鉄が生成することもある。これらの鉄とヒ素を含む沈殿をFeAs澱物と云う。
HAsO4 2- + Fe3+ + 2OH- = FeOOH(HAsO4 2-)↓+H+
HAsO4 2- + Fe3+ + OH- = FeAsO4↓+H2
ヒ素浸出液のpHが10より高いと、ヒ素と鉄の上記反応が進み難くなり、ヒ素が液中に残るので好ましくない。ヒ素浸出液のpHが10以下であれば、ヒ素が十分に取り込まれたFeAs澱物が生じる。上記アルカリ酸化浸出によって得たヒ素浸出液のpHは7.5〜10であるので、このpH域のままヒ素浸出液を用いればよい。
第二鉄化合物としては塩化第二鉄、硫酸第二鉄、またはポリ硫酸第二鉄を用いるとよい。このなかで腐食性、経済性からポリ硫酸鉄が望ましい。上記反応式に示すように、第二鉄イオン1モルに対してヒ酸イオン1モルが反応するので、第二鉄化合物の添加量は、Fe/Asモル比で0.9〜1.1モルがよく、1モルが好ましい。ヒ素に対して鉄が0.9モルより少ないと、液中のヒ素の一部が未反応のまま液中に残るので好ましくない。また、ヒ素に対して鉄のモル数が1.1より多いと第二鉄化合物が未反応で残るので無駄になる。
ヒ素浸出液に対するポリ硫酸鉄の添加量と液中のヒ素濃度の変化を図6に示す。また、第二鉄イオンの添加量に対するAs,Feの沈殿量、pHの変化を図7に示す。図示するように、第二鉄イオンの添加量の増加に伴ってpHおよびAs濃度が低下し、FeAs澱物量が増加する。
第二鉄化合物を添加するときの液温は50℃以上が好ましく、50℃〜70℃がより好ましい。これより液温が低いとFeAs澱物の濾過性が低下する。70℃以上ではヒ素の沈降性や澱物の濾過性に問題はないが、加熱コストが増大するので好ましくない。FeAs澱物生成の反応時間は10〜30分と短いので、酸化浸出後のヒ素浸出液を本工程によって素早く処理すれば、加熱する手間を省くことができる。
上記FeAs澱物は結晶質スコロダイトの原料として好適である。例えば、図8に示すように、固液分離したFeAs澱物を液温50℃以上の硫酸性溶液に混合し、pH0.7〜1.2のスラリーまたは溶液にし、該スラリーまたは該溶液を、90℃以上に加熱して結晶質のスコロダイト(FeAsO4・2H2O)を生成させることができる。
本発明の処理方法は、酸化浸出工程において、硫黄を使用せずに銅とヒ素を酸化浸出するので硫化銅が生成せず、ヒ素(V)イオンを含む浸出液と銅を含む残渣との分離が容易である。また、アルカリを添加し、pH7.5以上で酸化浸出することによって、ヒ素の浸出が進む。酸化浸出反応が進むにつれてアルカリが消費されるので、スラリーpHが低下する。浸出初期のpHが10以上の場合、酸化浸出反応が進んでpHが10以下に低下すると、Pb、Cuなどの重金属は水酸化物になって浸出残渣に含まれるので、容易にヒ素含有浸出液と分離することができる。
また、本発明の処理方法は、沈殿生成工程において、第二鉄化合物を添加することによって生じる水酸化鉄にヒ素イオンが選択的に吸着した沈殿、あるいはヒ酸鉄を形成したFeAs澱物になり、一方、浸出液に含まれるアルカリ金属イオンや、鉄イオン(Fe3+)のカウンターイオン(例えば、塩酸イオン、硫酸イオン)は液中に残るので、ヒ素を簡単に分離することができる。
上記FeAs澱物にはヒ素が濃縮されており、澱物の容量はヒ素浸出液の1/4以下であって格段に容量が少ないので、後工程の処理設備をコンパクトにすることができる。また、上記FeAs澱物は短時間に生成し、澱物の濾過性が良く、フィルタープレスなどによって容易に固形化できる。従って、ヒ素を固形分として濃縮して回収し、保管するのに適する。
さらに、上記FeAs澱物は、これを加熱処理して容易にスコロダイトに転換させることができるので、本発明の処理方法はスコロダイト製造の前段処理工程として有用である。また、上記FeAs澱物中のFe/Asモル比は約1であるので、スコロダイトの原料として好適である。浸出液中のNaイオンなどは大部分が液中に残り、澱物には殆ど含まれないので、良質なスコロダイトを製造することができる。
本発明の処理方法の一例を示す工程図。 ヒ化銅含有スライム(図中下側)と浸出残渣(図中上側)のXRDスペクトル。 ヒ化銅含有スライムのアルカリ酸化浸出時間と浸出pH、およびAsイオン濃度変化を示すグラフ。 アルカリ酸化浸出時間とPb濃度、Cu濃度、およびpH変化の関係を示すグラフ。 アルカリ酸化浸出時間とAs濃度、NaOH濃度変化の関係を示すグラフ。 ポリ硫酸第二鉄の添加量とヒ素濃度とpH変化の関係を示すグラフ。 第二鉄イオンの添加量とFeとAsの沈殿量(上側)とpH変化(下側)の関係を示すグラフ。 スコロダイトの製造プロセス。
以下、本発明の実施例を示す。なお%は特に示す場合を除き質量%である。
〔実施例1:アルカリ酸化浸出〕
ヒ化銅を主成分とするスライム100g-dry(As20%)と水600ccをスラリーにし、攪拌しながら濃度48質量%の水酸化ナトリウム溶液を約15cc加え、pH12(NaOH/Asのモル比を約0.5)に調整した。このスラリーを75〜80℃に加熱し、空気を1L/分の流量で1時間導入し、酸化浸出を行った。浸出時間1hr後にAsは約7g/Lまで浸出され、一方、水酸化ナトリウムの大部分も消費され、スラリーpHは7.2になった。この状態でAsの挙動を観察すると、Asの浸出反応は進まなくなり、Asイオンが沈降することが確認された(図3)。次に、水酸化ナトリウムをスラリーpHが7.5以上になるまで添加するとAsが再び浸出することを確認した。浸出が進むにつれてスラリーの色は黒色から茶色(Cu2Oの色)に変わった。pH7.5以上にして浸出時間3時間後に攪拌を止め、スラリーを濾過して浸出液と残渣を回収した。ヒ化銅スライム(原料)と浸出残渣のXRDスペクトルを比較すると、原料の主成分はCu3As(Domeykite)およびCu5As2(Koutekite)であり、一方、浸出残渣には、未溶解のDomeykiteとCu2O(Cuprite)が含まれていることを確認した(図2)。また、浸出後の濾液(600cc)を分析した結果、pH8.5、As15g/L、Cu2ppm以下であり、Asの約50%が浸出された。水酸化ナトリウム消費量はAs1モルに対し約2.5モルが消費された。
〔実施例2:アルカリ酸化浸出〕
ヒ化銅を主成分とするスライム75g-dry(As約40%)と水700ccを混合し、攪拌しながら濃度48質量%の水酸化ナトリウム溶液を約45cc加え、NaOH/Asのモル比を約2に調整し、pH14のスラリーにした。このスラリーを85℃に加熱し、空気を2L/分の流量で12時間導入し、酸化浸出を行った。浸出が進むにつれてスラリーのpHが低下し、または数百ppmまで浸出されたPb濃度とCuの濃度の低下も確認された(図4)。図5に示すフリーNaOHとAs濃度の経時変化から、pH低下は苛性ソーダ濃度の減少に従うことが分かる。浸出開始から12時間後にスラリー色は黒色から茶色(Cu2Oの色)に変化し、ここで攪拌を止め、スラリーを濾過して浸出液と残渣を回収した。浸出後の濾液(700cc)を分析した結果、pH9.5、As30g/L、Cu2ppm、Pb5ppmであり、Asの約80%が浸出された。水酸化ナトリウムはAs1モルに対し約2.4モルが消費された。
〔比較例1〕
ヒ化銅含有スライム500g-dry(含有率:As29%、Cu55%、Pb1.4%)を水酸化ナトリウム溶液(NaOH濃度220g/L)2.3Lと混合し(固液比1:4.6、NaOH/Asモル比6.5)、pH14のスラリーにした。このスラリーを52℃に加熱し、空気を通気させながら150分攪拌して酸化浸出を行った。浸出後、スラリーを濾過し、濾液2L(pH14、As濃度12g/L、Cu16ppm、Pb2300ppm)と浸出残渣416g(dry)を回収した。As浸出率17%、Cu浸出率0.1%以下、Pb浸出率66%であり、Asの浸出率は低く、一方、鉛の浸出率は高い結果になった。
〔比較例2〕
ヒ化銅含有スライム500g-dry(含有率:As29%、Cu55%、Pb1.4%)を水酸化ナトリウム溶液(NaOH濃度180g/L)2.7Lと混合し(固液比1:5.4、NaOH/Asモル比6.5)、pH14のスラリーにした。このスラリーを60℃に加熱し、空気を通気させながら150分攪拌して酸化浸出を行った。浸出後、スラリーを濾過し、濾液2.5L(pH14、 As濃度16g/L、Cu10ppm、Pb500ppm)と浸出残渣390g(dry)を回収した。As浸出率28%、Cu浸出率0.1%以下、Pb浸出率18%であり、比較例1よりはAsの浸出率は少々改善したが、30%未満と低くかった。またPb浸出量は低下したものの500ppmと比較的に高かった。
〔実施例3〕
ヒ化銅含有スライム132g-dry(含有率:As37%、Cu41%)を水酸化ナトリウム溶液(NaOH濃度56g/L)0.9Lと混合し(固液比1:6.8、NaOH/Asモル比1.9)、pH14のスラリーにした。このスラリーを88℃に加熱し、空気を通気させながら180分攪拌して酸化浸出を行った。浸出後のスラリーに、pH10になるように、小量の稀硫酸を添加し、濾過によって、濾液0.8L(pH10、 As濃度42g/L、Cu5ppm)と浸出残渣82g(dry)を回収した。As浸出率は69%、Cu浸出率0.1%以下であり、比較例1,2よりもAsの浸出率は高かった。
〔実施例4:FeAs沈殿生成〕
実施例1と実施例2で調製した浸出液を混合し、As濃度24g/Lにした液から600ccを取り、60℃に加熱した。この液を攪拌しながら日鉄鉱業社製ポリ硫酸第二鉄液(ポリテツ)58ccを加え、10分間攪拌した後、湿潤状態の澱物約160g(含水率約70%)を吸引ろ過、通水洗浄を行った。濾液中のAs残濃度は0.2g/Lであり、Asの約99%が沈澱した。また、図6に示すように、ポリテツの添加に従い、ヒ素濃度及びpHが低下する。図7に、添加したポリテツ液中のFeイオンのモル数に対する、鉄とヒ素の沈殿量(モル数)を示すとおり、pH9.2からpH2.3の広い範囲でFe1モルに対しAs約1モルが吸着・共沈することが分かる。

Claims (3)

  1. 銅ヒ素含有物に浸出時のpHが7.5以上になるようにアルカリと酸化剤を添加して酸化浸出を行ってヒ素を浸出させ後、液のpHを7.5〜10に調整して銅分を浸出残渣にして固液分離し、該固液分離して得たヒ素浸出液に、pH10以下で第二鉄化合物を添加して水酸化鉄にヒ素が吸着したFeAs澱物を生成させることを特徴とするヒ素の分離固定化方法。
  2. ヒ化銅含有スライムに、浸出時pH7.5以上になるように水酸化ナトリウム溶液を加え、さらに空気を吹き込んで、70℃〜90℃に加熱してヒ素分を浸出させた後、液のpHを7.5〜10に調整して銅分を残渣にするアルカリ性酸化浸出工程と、銅分を含む残渣を固液分離し、ヒ素を含むpH10以下の溶液に、50℃以上で、第二鉄化合物をFe/Asモル比で0.9〜1.1になるように添加し、水酸化鉄にヒ素が吸着したFeAs澱物を生成させる澱物生成工程とを含む請求項1に記載するヒ素の分離固定化方法。
  3. 第二鉄化合物として塩化第二鉄、硫酸第二鉄、またはポリ硫酸第二鉄を用い、pH7.5〜10のヒ素浸出液に、液温50℃〜70℃で第二鉄化合物を添加し、水酸化鉄にヒ素が吸着したFeAs澱物を生成させる請求項1または請求項2に記載するヒ素の分離固定化方法。
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