〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。ここでは、本発明の照明装置の一例として、自動車用のすれ違い用前照灯であるヘッドランプ1を例に挙げて説明する。ただし、本発明の照明装置は、配光特性基準が示されている照明装置であれば、自動車以外の車両のヘッドランプ(車両用前照灯)として実現されてもよいし、その他の照明装置として実現されてもよい。
(ヘッドランプ1の構成)
図2は、プロジェクタ型のヘッドランプであるヘッドランプ1の構成を示す断面図である。同図に示すように、ヘッドランプ1は、半導体レーザアレイ(励起光源)2、非球面レンズ4、光ファイバー(導光部)5、フェルール(保持部)6、発光部7、反射鏡8、透明板9、ハウジング10、エクステンション11、レンズ12、遮光板(遮光部)13、凸レンズ14およびレンズホルダ16を備えている。半導体レーザアレイ2、光ファイバー5、フェルール6および発光部7によって発光装置の基本構造が形成されている。なお、ヘッドランプ1は、プロジェクタ型のヘッドランプであるため、凸レンズ14を備えている。その他のタイプのヘッドランプ(例えば、セミシールドビームヘッドランプ)に本発明を適用してもよく、その場合には凸レンズ14を省略できる。
半導体レーザアレイ2は、励起光を出射する励起光源として機能し、複数の半導体レーザ(半導体レーザ素子)3を基板上に備えるものである。半導体レーザ3のそれぞれからレーザ光が発振される。励起光源として複数の半導体レーザ3を用いる必要は必ずしもなく、半導体レーザ3を1つのみ用いてもよい。しかし、高出力のレーザ光を得るためには、複数の半導体レーザ3を用いることが好ましい。
半導体レーザ3は、1チップに1つの発光点を有するものであり、例えば、405nm(青紫色)のレーザ光を発振し、出力1.0W、動作電圧5V、電流0.6Aのものであり、直径5.6mmのパッケージに封入されているものである。半導体レーザ3が発振するレーザ光は、405nmに限定されず、380nm以上470nm以下の波長範囲にピーク波長を有するレーザ光であればよい。
なお、380nmより小さい波長のレーザ光を発振する良質な短波長用の半導体レーザを作製することが可能であれば、本実施の形態の半導体レーザ3として、380nmより小さい波長のレーザ光を発振するように設計された半導体レーザを用いることも可能である。
非球面レンズ4は、半導体レーザ3から発振されたレーザ光(励起光)を、光ファイバー5の一方の端部である入射端部5bに入射させるためのレンズである。例えば、非球面レンズ4として、アルプス電気製のFLKN1 405を用いることができる。上述の機能を有するレンズであれば、非球面レンズ4の形状および材質は特に限定されないが、405nm近傍の透過率が高く、かつ耐熱性のよい材料であることが好ましい。
光ファイバー5は、半導体レーザ3が発振したレーザ光を発光部7へと導く導光部材であり、複数の光ファイバーの束である。この光ファイバー5は、上記レーザ光を受け取る複数の入射端部5bと、入射端部5bから入射したレーザ光を出射する複数の出射端部5aとを有している。複数の出射端部5aは、発光部7のレーザ光照射面(受光面)7a(図3参照)における互いに異なる領域に対してレーザ光を出射する。換言すれば、複数の出射端部5aは、発光部7の互いに異なる部分に対してレーザ光を出射する。出射端部5aは、レーザ光照射面7aに接触していてもよいし、僅かに間隔を置いて配置されてもよい。
光ファイバー5は、中芯のコアを、当該コアよりも屈折率の低いクラッドで覆った2層構造をしている。コアは、レーザ光の吸収損失がほとんどない石英ガラス(酸化ケイ素)を主成分とするものであり、クラッドは、コアよりも屈折率の低い石英ガラスまたは合成樹脂材料を主成分とするものである。例えば、光ファイバー5は、コアの径が200μm、クラッドの径が240μm、開口数NAが0.22の石英製のものであるが、光ファイバー5の構造、太さおよび材質は上述のものに限定されず、光ファイバー5の長軸方向に対して垂直な断面は矩形であってもよい。
なお、導光部材として光ファイバー以外の部材、または光ファイバーと他の部材とを組み合わせたものを用いてもよい。この導光部材は、半導体レーザ3が発振したレーザ光を受け取る少なくとも1つの入射端部と当該入射端部から入射したレーザ光を出射する複数の出射端部とを有するものであればよい。例えば、少なくとも1つの入射端部を有する入射部、および複数の出射端部を有する出射部を光ファイバーとは別の部材として形成し、これら入射部および出射部を光ファイバーの両端部に接続してもよい。
図3は、出射端部5aと発光部7との位置関係を示す図である。同図に示すように、フェルール6は、光ファイバー5の複数の出射端部5aを発光部7のレーザ光照射面7aに対して所定のパターンで保持する。このフェルール6は、出射端部5aを挿入するための孔が所定のパターンで形成されているものでもよいし、上部と下部とに分離できるものであり、上部および下部の接合面にそれぞれ形成された溝によって出射端部5aを挟み込むものでもよい。フェルール6の材質は、特に限定されず、例えばステンレススチールである。なお、図3では、便宜上、出射端部5aを3つ示しているが、出射端部5aの数は3つに限定されない。出射端部5aの数および配置様式の詳細については後述する。
発光部7は、出射端部5aから出射されたレーザ光を受けて発光するものであり、レーザ光を受けて発光する蛍光体を含んでいる。具体的には、発光部7は、蛍光体保持物質としてのシリコーン樹脂の内部に蛍光体が分散されているものである。シリコーン樹脂と蛍光体との割合は、10:1程度である。また、発光部7は、蛍光体を押し固めたものであってもよい。蛍光体保持物質は、シリコーン樹脂に限定されず、いわゆる有機無機ハイブリッドガラスや無機ガラスであってもよい。
上記蛍光体は、酸窒化物系のものであり、青色、緑色および赤色の蛍光体がシリコーン樹脂に分散されている。半導体レーザ3は、405nm(青紫色)のレーザ光を発振するため、発光部7に当該レーザ光が照射されると白色光が発生する。それゆえ、発光部7は、波長変換材料であるといえる。
なお、半導体レーザ3は、450nm(青色)のレーザ光(または、440nm以上490nm以下の波長範囲にピーク波長を有する、いわゆる「青色」近傍のレーザ光)を発振するものでもよく、この場合には、上記蛍光体は、黄色の蛍光体、または緑色の蛍光体と赤色の蛍光体との混合物である。換言すれば、半導体レーザ3は、440nm以上490nm以下の波長範囲にピーク波長を有する励起光を出射してもよく、この場合、白色光を生成するための発光部の材料(蛍光体材料)を容易に選定および製造できる。なお、黄色の蛍光体とは、560nm以上590nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。緑色の蛍光体とは、510nm以上560nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。赤色の蛍光体とは、600nm以上680nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。
上記蛍光体は、サイアロン蛍光体と通称されるものが好ましい。サイアロンとは、窒化ケイ素のシリコン原子の一部がアルミニウム原子に、窒素原子の一部が酸素原子に置換された物質である。サイアロン蛍光体は、窒化ケイ素(Si3N4)にアルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)および希土類元素などを固溶させて作ることができる。
蛍光体の別の好適な例としては、III−V族化合物半導体のナノメータサイズの粒子を用いた半導体ナノ粒子蛍光体を例示することができる。
半導体ナノ粒子蛍光体の特徴の一つは、同一の化合物半導体(例えばインジュウムリン:InP)を用いても、その粒子径をナノメータサイズに変更することにより、量子サイズ効果によって発光色を変化させることができる点である。例えば、InPでは、粒子サイズが3〜4nm程度のときに赤色に発光する(ここで、粒子サイズは透過型電子顕微鏡(TEM)にて評価した)。
また、この半導体ナノ粒子蛍光体は、半導体ベースであるので蛍光寿命が短く、励起光のパワーを素早く蛍光として放射できるのでハイパワーの励起光に対して耐性が強いという特徴もある。これは、この半導体ナノ粒子蛍光体の発光寿命が10ナノ秒程度と、希土類を発光中心とする通常の蛍光体材料に比べて5桁も小さいためである。
さらに、上述したように、発光寿命が短いため、レーザ光の吸収と蛍光体の発光を素早く繰り返すことができる。その結果、強いレーザ光に対して高効率を保つことができ、蛍光体からの発熱を低減させることができる。
よって、発光部7が熱により劣化(変色や変形)するのをより抑制することができる。これにより、光の出力が高い発光素子を光源として用いる場合に、発光装置(基本構造のついては後述)の寿命が短くなるのをより抑制することができる。
また、発光部7は、後述する反射鏡8の第1焦点の近傍に配置され、図2に示すように、透明板9の内側(出射端部5aが位置する側)の面において、出射端部5aと対向する位置に固定されている。発光部7の位置の固定方法は、この方法に限定されず、反射鏡8から延出する棒状または筒状の部材によって発光部7の位置を固定してもよい。
図4は、発光部7の位置決め方法の変更例を示す断面図である。同図に示すように、反射鏡8の中心部を貫いて延びる筒状部15の先端に発光部7を固定してもよい。この場合には、筒状部15の内部に光ファイバー5の出射端部5aを通すことができる。また、この構成において透明板9を省略することも可能である。
反射鏡8は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された部材であり、発光部7から出射した光を反射することにより、当該光をその焦点に収束させる。ヘッドランプ1は、プロジェクタ型のヘッドランプであるため、反射鏡8は、楕円を基本形状とするものである。反射鏡8には、第1焦点と第2焦点とが存在し、第2焦点は、第1焦点よりも反射鏡8の開口部に近い位置に存在している。後述する凸レンズ14は、その焦点が第2焦点の近傍に位置するように配置されており、反射鏡8によって第2焦点に収束された光を前方に投射する。
透明板9は、反射鏡8の開口部を覆う透明な樹脂板であり、発光部7を保持している。なお、透明板9として樹脂板以外に無機ガラス板等も使用できる。透明板9以外の部材によって発光部7を保持する場合には、透明板9を省略することができる。
ハウジング10は、ヘッドランプ1の本体を形成しており、反射鏡8等を収納している。光ファイバー5は、このハウジング10を貫いており、半導体レーザアレイ2は、ハウジング10の外部に設置される。半導体レーザアレイ2は、レーザ光の発振時に発熱するが、ハウジング10の外部に設置することにより半導体レーザアレイ2を効率良く冷却することが可能となる。また、半導体レーザ3は、故障する可能性があるため、交換しやすい位置に設置することが好ましい。これらの点を考慮しなければ、半導体レーザアレイ2をハウジング10の内部に収納してもよい。
エクステンション11は、反射鏡8の前方の側部に設けられており、ヘッドランプ1の内部構造を隠して見栄えを良くするとともに、反射鏡8と車体との一体感を高めている。このエクステンション11も反射鏡8と同様に金属薄膜がその表面に形成された部材である。
レンズ12は、ハウジング10の開口部に設けられており、ヘッドランプ1を密封している。発光部7が発した光は、レンズ12を通ってヘッドランプ1の前方へ出射される。
図5は、凸レンズ14、遮光板13および発光部7の位置関係を示す斜視図である。凸レンズ14は、発光部7から出射された光を集光し、集光した光をヘッドランプ1の前方へ投影する。凸レンズ14の焦点は、反射鏡8の第2焦点の近傍であり、その光軸は、発光部7が有する発光面7bのほぼ中央に位置している。この凸レンズ14は、レンズホルダ16によって保持され、反射鏡8に対する相対位置が規定されている。
遮光板13は、発光部7から出射される光の一部および反射鏡8に反射した光の一部を遮ることにより、当該光が到達する領域を制限する。換言すれば、遮光板13は、発光部7から出射される光の投影像の一部の形状を規定する。この遮光板13は、反射鏡8の第2焦点の近傍に配置される。
ここで、遮光板13を設ける意義について説明する。後述するように発光部7は、配光特性基準が規定する明領域を効率良く照らすことができる形状を有している。発光部7の大きさが無限に小さく、その発光部7が凸レンズ14の光軸に位置していれば、発光部7の発光面7bから出射された光の投影像は、発光面7bの形状と一致する。しかし、発光部7は大きさを有しているため、凸レンズ14の光軸から離れた部分に関しては、その投影像がぼやけてしまう。その結果、発光部7から出射した光の一部が、上記明領域外の領域に照射されてしまう可能性がある。また、発光部7からの光が反射鏡8に反射することによって生じる反射光の一部は、発光部7の形状にかかわらず、明領域以外の領域に照射されてしまう可能性がある。これらの理由により、遮光板13を設けることが好ましい。遮光板13と発光部7との位置関係の詳細については、後述する。
(ヘッドランプ1に要求される配光特性)
次に、図6を参照しながら、自動車用のすれ違い用前照灯に要求される配光特性について説明する。
図6(a)は、自動車用のすれ違い用前照灯に要求される配光特性を示す図である(道路運送車両の保安基準の細目を定める告示〔2008.10.15〕別添51(前照灯の装置形式指定基準)より抜粋)。この図は、自動車の前方25mの位置に垂直に設置したスクリーンにすれ違い用前照灯からの光を照射した場合の、上記スクリーンに投影される光の像を示している。
図6(a)において、ゾーンIとは、水平方向の基準直線である直線hhの下方750mmに位置する水平直線より下方の領域である。このゾーンIの任意の点では、0.86D−1.72Lの点における実測値の2倍以下の照度であることが求められる。
ゾーンIIIとは、白抜きの領域(明領域と称する)よりも上方の領域である。このゾーンIIIの任意の点では0.85lx(ルクス)以下あることが求められている。つまり、このゾーンIIIは、光線が他の交通の妨げとならないように、所定の照度以下に照度を抑えることが求められている領域(暗領域)である。このゾーンIIIと明領域との境界線は、直線hhに対して15度の角度をなす直線21、および直線hhに対して45度の角度をなす直線22を含んでいる。
ゾーンIVとは、直線hhの下方375mmに位置する水平直線、直線hhの下方750mmに位置する水平直線および垂直方向の基準直線である直線VVの左右2250mmに位置する2本の鉛直直線の計4直線で囲まれる領域である。このゾーンIVの任意の点では3lx以上の照度であることが求められる。つまりゾーンIVは、ゾーンIとゾーンIIIとの間の領域である明領域のうちの、より明るい領域である。
図6(b)は、すれ違い用前照灯の配光特性基準に規定された照度を示す図である。同図に示すように、点0.6D−1.3Lおよび点0.86D−1.72Lの2点においては、周囲よりも高い照度が要求される。これら2点は自車の真正面付近に相当し、これら2点では夜間でも進行方向にある障害物等を確認できることが求められている。
(発光部7の形状)
図1(a)は、発光部7の形状を示す斜視図であり、図1(b)は、発光部7のレーザ光照射面7aに対する出射端部5aの配置パターンを示す図である。
発光部7は、図1(a)に示すように、例えば、3mm×1mm×1mmの直方体の一部を削ったものである。この場合、半導体レーザ3からのレーザ光を受けるレーザ光照射面7aの面積は、3mm2よりも小さい。レーザ光照射面7aは、平面である必要は必ずしもなく、曲面であってもよい。ただし、レーザ光の反射を制御するためには、レーザ光照射面7aは、レーザ光の光軸に対して垂直な平面であることが好ましい。
発光部7は、レーザ光照射面7aとは反対側に位置する発光面7bを備えている。この発光面7bの外縁の一部は、図6(a)に示した暗領域(ゾーンIII)の形状に対応した切り欠き形状を有している。
より詳細には、図1(a)および図5に示すように、発光面7bの外縁は、その長軸と15度の角度をなす斜辺71および上記長軸と45度の角度をなす斜辺72を有している。斜辺71は、図6(a)に示す直線21に対応しており、斜辺72は、直線22に対応している。このように、発光面7bの外縁の形状は、暗領域の形状に対応した2つの斜辺71および72を有しており、これら2つの斜辺71・72は、発光面7bの長軸方向に対して互いに異なる角度をなしている。
別の観点から表現すれば、図5に示すように、発光面は7b、その長軸方向における第1端部73と、長軸方向において第1端部73とは反対側に位置する第2端部74とを有している。そして、第1端部73の、上記長軸方向に対して垂直な短軸方向における幅は、第2端部74の上記短軸方向における幅よりも広い。
発光面7bをこのような形状にすることにより、配光特性基準が規定する明領域の形状に対応した光線束を出射することができる。換言すれば、暗領域を照らす光線束を発光部7から出射しないようにすることができる。それゆえ、従来の構成よりも光の利用効率を高めることができる。
(発光部7の成形方法)
発光部7は、半導体レーザ3とは分離しているため、半導体レーザ3とは独立に成形される。そのため、半導体レーザ3の大きさおよび形状とは無関係に発光部7の形状を所望の形状に規定できる。そのため、発光部7の設計自由度は非常に高く、発光部7を小型化することが容易である。発光部7を小型化すれば、ヘッドランプ1の輝度を高めることができる。
発光部7を上述の形状とするために、直方体である発光部7を物理的または化学的に削り、暗領域の形状に対応する切り欠き部を形成してもよい。また、発光部7の形状を規定する鋳型(金型)に、蛍光体を含む樹脂を流し込んで発光部7を成形してもよい。
(発光部7と遮光板13との位置関係)
次に、発光部7と遮光板13の位置関係について図5を参照しつつ説明する。同図に示すように、発光部7、遮光板13および凸レンズ14は、この順番で並んでおり、発光部7の発光面7bは、凸レンズ14と対向している。発光面7bから出射した光は、遮光板13によりその一部が遮られた後、凸レンズ14に到達する。光が凸レンズ14を通過すると当該光の像の上下左右が逆転するため、発光面7bから出射され、凸レンズ14を通過した光は、図6(a)に示した像に対応する形状の投影像を形成する。
遮光板13の、発光部7と対向する面の外縁は、発光面7bの斜辺71に対応する斜辺41、および発光面7bの斜辺72に対応する斜辺42を有している。発光面7bは、凸レンズ14の光軸に対してほぼ垂直に配置されており、遮光板13の最も広い面は、発光面7bに対して平行に配置されている。そして、凸レンズ14の光軸方向から見た場合に、斜辺71と斜辺41と、および斜辺72と斜辺42とが僅かに重なるか、または隣接するように発光部7と遮光板13とが配置されている。
この構成により、発光面7bから出射される光線束の一部を遮光板13で遮ることにより、当該光線束によって形成される投影像を、配光特性基準が規定する明領域の形状により確実に近づけることができる。
(出射端部5aの配置様式)
図1(b)は、光ファイバー5の複数の出射端部5aを、発光部7のレーザ光照射面7aに対して配置するパターンの一例を示す図である。同図では、出射端部5aがレーザ光照射面7aに接触している(または対向している)位置を円で示している。複数の出射端部5aは、レーザ光照射面7aに対して所定のパターンで配列されている。例えば、複数の出射端部5aをレーザ光照射面7aの全面にわたってほぼ均等に配置することにより、発光部7を効率良く励起することができる。
また、レーザ光照射面7aの特定の部分(例えば、中央部)のみ出射端部5aを密に配置してもよい。すなわち、レーザ光照射面7aに対して配置された複数の出射端部5aの密度は、レーザ光照射面7aにおいて偏っていてもよい。この構成により、出射端部5aの密度が高い部分が他の部分よりも強く光るため、図6(b)を用いて説明した、点0.6D−1.3Lおよび点0.86D−1.72Lにおける照度を高めることができる。
(半導体レーザ3の構造)
次に半導体レーザ3の基本構造について説明する。図7(a)は、半導体レーザ3の回路図を模式的に示したものであり、図7(b)は、半導体レーザ3の基本構造を示す斜視図である。同図に示すように、半導体レーザ3は、カソード電極19、基板18、クラッド層113、活性層111、クラッド層112、アノード電極17がこの順に積層された構成である。
基板18は、半導体基板であり、本願のように蛍光体を励起する為の青色〜紫外の励起光を得る為にはGaN、サファイア、SiCを用いることが好ましい。一般的には、半導体レーザ用の基板の他の例として、Si、GeおよびSiC等のIV属半導体、GaAs、GaP、InP、AlAs、GaN、InN、InSb、GaSbおよびAlNに代表されるIII−V属化合物半導体、ZnTe、ZeSe、ZnSおよびZnO等のII−VI属化合物半導体、ZnO、Al2O3、SiO2、TiO2、CrO2およびCeO2等の酸化物絶縁体、並びに、SiNなどの窒化物絶縁体のいずれかの材料が用いられる。
アノード電極17は、クラッド層112を介して活性層111に電流を注入するためのものである。
カソード電極19は、基板18の下部から、クラッド層113を介して活性層111に電流を注入するためのものである。なお、電流の注入は、アノード電極17・カソード電極19に順方向バイアスをかけて行う。
活性層111は、クラッド層113及びクラッド層112で挟まれた構造になっている。
また、活性層111およびクラッド層の材料としては、青色〜紫外の励起光を得る為にはAlInGaNから成る混晶半導体が用いられる。一般に半導体レーザの活性層・クラッド層としては、Al、Ga、In、As、P、N、Sbを主たる組成とする混晶半導体が用いられ、そのような構成としても良い。また、Zn、Mg、S、Se、TeおよびZnO等のII−VI属化合物半導体によって構成されていてもよい。
また、活性層111は、注入された電流により発光が生じる領域であり、クラッド層112及びクラッド層113との屈折率差により、発光した光が活性層111内に閉じ込められる。
さらに、活性層111には、誘導放出によって増幅される光を閉じ込めるために互いに対向して設けられる表側へき開面114・裏側へき開面115が形成されており、この表側へき開面114・裏側へき開面115が鏡の役割を果す。
ただし、完全に光を反射する鏡とは異なり、誘導放出によって増幅される光の一部は、ある程度増幅されると、活性層111の表側へき開面114・裏側へき開面115のうちのどちらか一方(本実施の形態では、便宜上表側へき開面114とする)から出射され、励起光L0となる。なお、活性層111は、多層量子井戸構造を形成していてもよい。
なお、表側へき開面114と対向する裏側へき開面115には、レーザ発振のための反射膜(図示せず)が形成されており、表側へき開面114と裏側へき開面115との反射率に差を設けることで、低反射率端面である、例えば、表側へき開面114より励起光L0の大部分を発光点103から照射されるようにすることができる。
クラッド層113・クラッド層112は、n型およびp型それぞれのGaAs、GaP、InP、AlAs、GaN、InN、InSb、GaSb、及びAlNに代表されるIII−V属化合物半導体、並びに、ZnTe、ZeSe、ZnSおよびZnO等のII−VI属化合物半導体のいずれの半導体によって構成されていてもよく、順方向バイアスをアノード電極17及びカソード電極19に印加することで活性層111に電流を注入できるようになっている。
クラッド層113・クラッド層112および活性層111などの各半導体層との膜形成については、MOCVD(有機金属化学気相成長)法やMBE(分子線エピタキシー)法、CVD(化学気相成長)法、レーザアブレーション法、スパッタ法などの一般的な成膜手法を用いて構成できる。各金属層の膜形成については、真空蒸着法やメッキ法、レーザアブレーション法、スパッタ法などの一般的な成膜手法を用いて構成できる。
(発光部7の発光原理)
次に、半導体レーザ3から発振されたレーザ光による蛍光体の発光原理について説明する。
まず、半導体レーザ3から発振されたレーザ光が発光部7に含まれる蛍光体に照射されることにより、蛍光体内に存在する電子が低エネルギー状態から高エネルギー状態(励起状態)に励起される。
その後、この励起状態は不安定であるため、蛍光体内の電子のエネルギー状態は、一定時間後にもとの低エネルギー状態(基底準位のエネルギー状態または励起準位と基底準位との間の準安定準位のエネルギー状態)に遷移する。
このように、高エネルギー状態に励起された電子が、低エネルギー状態に遷移することによって蛍光体が発光する。
白色光は、等色の原理を満たす3つの色の混色、または補色の関係を満たす2つの色の混色で構成でき、この原理に基づき、半導体レーザから発振されたレーザ光の色と蛍光体が発する光の色とを、上述のように組み合わせることにより白色光を発生させることができる。
上述の半導体レーザ3を10個設け、各半導体レーザ3から405nmのレーザ光を受けた場合、発光部7から1500ルーメンの光束が放射される。この場合の輝度は80カンデラ/mm2である。
(ヘッドランプ1の効果)
以上のように、発光部7が有する発光面7bの外縁の一部は、自動車用のすれ違い用前照灯に要求される配光特性基準が規定する暗領域(ゾーンIII)の形状に対応した切り欠き形状を有している。
それゆえ、暗領域を照らさない光線束を発光面7bから出射することができ、遮光板によって光照射領域を限定していた従来の構成よりも、光の利用効率を高めることができる。
また、光ファイバー5の出射端部5aから出射されるレーザ光の少なくとも一部は、発光部7のレーザ光照射面7aにおける互いに異なる領域に対して照射される。換言すれば、複数の出射端部5aからのレーザ光は、レーザ光照射面7aに対して一箇所に集中することなく、2次元平面的に分散して、マイルドに照射される。
それゆえ、レーザ光が発光部7の一箇所に集中的に照射されることによって発光部7が著しく劣化する可能性を低減できる。このとき、発光部7から出射される光の光束を低下させずに発光部7の劣化を防止でき、すれ違い用前照灯に要求される輝度を実現しつつ、長寿命のヘッドランプを実現できる。
さらに、発光部7が長寿命になることにより、発光部7を取り換えるための手間および費用を削減することができる。
また、光ファイバー5は、可撓性を有しているため、出射端部5aのレーザ光照射面7aに対する配置を容易に変えることができる。それゆえ、レーザ光照射面7aの形状に沿って出射端部5aを配置することができ、レーザ光をレーザ光照射面7aの全面にわたってマイルドに照射することができる。
また、発光部7のレーザ光照射面7aに対する複数の出射端部5aの配置様式を設定することにより、発光部7からの光によって照らされる領域の照度を、当該領域内において変化させることができる。
また、光ファイバー5は、可撓性を有しているため、半導体レーザ3と発光部7との相対位置関係を容易に変更できる。また、光ファイバー5の長さを調整することにより、半導体レーザ3を発光部7から離れた位置に設置することができる。
それゆえ、半導体レーザ3を、冷却しやすい位置または交換しやすい位置に設置できるなど、ヘッドランプ1の設計自由度を高めることができる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
半導体レーザ3は、1つのチップに1つの発光点を有するものであるか、ヘッドランプ1の励起光源として、1つのチップに複数の発光点を有するものを用いてもよい。
図8は、半導体レーザ30の構成を示す斜視図である。同図に示すように、半導体レーザ30は、1つのチップに5つの発光点31を有している。各発光点31は、波長405nmのレーザ光を発振し、その出力は1W、1チップから発振される光の総和は5Wである。発光点31は0.4mmの間隔で設けられている。
このような半導体レーザ30を用いる場合には、半導体レーザ30の発光点31が存在する面と対向する位置にロッド状レンズ32を配置する。このロッド状レンズ32は、発光点31から発振されるレーザ光を光ファイバー5の入射端部5bへ入射させる。発光点31のそれぞれに非球面レンズ4を設けてもよいが、ロッド状レンズ32を用いることにより半導体レーザの構成を簡単にすることができる。
光ファイバー固定具33は、複数の入射端部5bに発光点31からのレーザ光が入射するように入射端部5bを位置決めするものである。発光点31の間隔が0.4mmであるため、入射端部5bも0.4mmの間隔で光ファイバー固定具33によって固定される。そのために光ファイバー固定具33には、0.4mmピッチの溝が切られている。
光ファイバー5の出射端部5a側の構成は、実施の形態1と同様である。
このように半導体レーザ30を用いることにより、励起光源の構造を簡単にすることができ、励起光源の製造コストを下げることができる。
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施形態について図9〜図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1・2と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
図9は、本実施形態のヘッドランプ(照明装置)50が備える遮光部51の形状を示す斜視図である。図10は、ヘッドランプ50が備える発光部7、遮光部51および凸レンズ52の位置関係および光路を示す図である。
図9および10に示すように、ヘッドランプ50は、遮光板13の代わりに遮光部51を、片凸レンズである凸レンズ14の代わりに両凸レンズである凸レンズ52を備えている。発光部7は、実施の形態1と同様に反射鏡8の第1焦点の近傍に配置されているが、遮光部51の位置は、遮光板13の位置とは異なっている。
遮光部51は、発光部7の切り欠き部と嵌合する切り欠き部を有している。また、ヘッドランプ50の光軸方向における遮光部51の厚みは、当該光軸方向における発光部7の厚みよりも大きく、遮光部51は、発光部7よりも光出射方向(励起光源である半導体レーザ2から遠ざかる方向)に延出している。この遮光部51の延出部分が、発光部7の発光面7bから出射した光の一部を遮光することにより、当該光が到達する領域を制限する。換言すれば、遮光部51は、発光部7から出射される光の投影像の一部の形状を規定する。
遮光部51の材質は光を透過しないものであればよく、特に限定されないが、熱伝導性の良いものが好ましい。遮光部51を例えば金属で形成することができる。遮光部51を熱伝導性の良い物質で形成することにより、発光部7を効果的に冷却することができる。その結果、発光部7の寿命を延ばすことができる。図9に示す遮光部51は、発光部7の切り欠き部を形成する側面のみを覆っているが、より冷却効果を高めるために、4つの側面全てを覆ってもよい。
遮光部51は、透明板9に結合されていてもよいし、筒状部15など、反射鏡8から延出する部材によって保持されていてもよい。
以上のように、ヘッドランプ50は、発光部7の発光面7bから出射される光の一部を遮るとともに、発光部7と当接することにより発光部7の熱を逃がす遮光部51を備えている。それゆえ、発光面7bから出射される光の投影像の形状をより厳密に規定することができるとともに発光部7を冷却することができる。
(投影像形成の原理)
図10に示すように、発光部7から出射した光は、その一部が遮光部51によって遮光され、凸レンズ52を透過する。このとき上記光によって形成される像は、凸レンズ52によって上下左右が逆転され、照射対象60に投影される。遮光部51によって発光部7の出射光の一部を遮ることにより、投影像が有する切り欠き形状をより鮮明にすることができる。
なお、実施の形態1のように遮光板13を設けるか、本実施の形態のように遮光部51を設けるかは、ヘッドランプの構造等に応じて適宜選択されればよい。
〔実施の形態4〕
本発明のさらに別の実施形態について図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。実施の形態1は、本発明を自動車用のすれ違い用前照灯に適用した場合の例であるが、本発明を自動車用の走行用前照灯(ハイビーム)に適用してもよい。
図11(a)〜(c)は、本実施形態のヘッドランプが備える発光部の形状、および当該発光部のレーザ光照射面に対する出射端部の配置パターンの一例を示す斜視図である。
走行用前照灯を実現する場合、発光部を、図11(a)に示すように水平方向に長い直方体形状である発光部75としてもよい。走行用前照灯から出射される光の配光パターン(配光分布)は、鉛直方向に狭く、水平方向に広いことが好ましい。この配光パターンは、道路の遠方を照らし、かつ、両脇の歩道を照らすことができる配光パターンである。発光部7を水平方向に長い直方体にすることにより、上記配光パターンを実現できる。
レーザ光を出射する複数の出射端部5aは、レーザ光照射面7aに対して均一に配置されてもよいし、レーザ光照射面7aの長軸方向における中央部分に密に配置されてもよい。この構成により、発光部75の中央部(出射端部5aの密度が高い部分)が他の部分よりも強く光るため、ヘッドランプ1によって照射される領域の中央部(自動車の前方かつ中央)の照度を高めることができる。
道路運送車両の保安基準が示す配光特性基準では、所定の照射領域における光度を他の照射領域よりも高く設定している。この配光特性基準を満たすように出射端部5aの配置を決定すればよい。
また、図11(b)に示す発光部76のように、レーザ光照射面7aおよび発光面7bの長軸方向における中央部分の幅を、その両端部よりも広くし、その広くした部分(幅広部と称する)にも出射端部5aを配置してもよい。換言すれば、発光部76が有する発光面7bの短軸方向における幅は、発光面7bの長軸方向における中央部分において、その両端部よりも広い。
また、幅広部の形状は、図11(b)に示すように、レーザ光照射面7a(発光面7b)の中央部が突出した形状の他に、図11(c)に示す発光部77のように、中央部分に近づくほどレーザ光照射面7aの幅が徐々に広くなるものでもよい。
これらの構成により、ヘッドランプによって照射される領域の中央部の照度を高めることができ、走行用前照灯に求められる配光特性基準により適合したヘッドランプを実現できる。
〔実施の形態5〕
本発明の他の実施形態について図12〜図18に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1〜4と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。ここでは、本発明の投影装置の一例として、星型などの所望の形状の投影像を投影する投影装置(投射装置)80を挙げて説明する。
(投影装置80の構成)
図12は、投影装置80の構成を示す断面図である。同図に示すように、投影装置80は、半導体レーザアレイ2、非球面レンズ4、光ファイバー5、フェルール6、発光部81、遮光部82、反射鏡8、凸レンズ83、支持棒84およびレンズホルダ16を備えている。
半導体レーザアレイ2、非球面レンズ4、光ファイバー5、フェルール6、反射鏡8およびレンズホルダ16は、実施の形態1〜4におけるものと同様のものでもよいし、後述するように変更してもよい。
発光部81および遮光部82は、反射鏡8の第1焦点の近傍に配置され、反射鏡8の表面から延出する金属性の支持棒84によって、反射鏡8との相対位置が固定されている。遮光部82および支持棒84を熱伝導性の良い物質で形成することにより、発光部81を効果的に冷却することができる。その結果、発光部81の寿命を延ばすことができる。
(発光部81の詳細)
図13は、発光部81の構成を示す斜視図である。発光部81は、発光部7と同様の材質(例えば、無機ガラスに蛍光体を分散させたもの)からなり、出射端部5aから出射されたレーザ光をレーザ光照射面に受け、当該レーザ光を可視光に変換し、発光面81bから出射する。図13に示すように、発光面81bは星型をしているため、発光部81から出射された光によって形成される投影像90(図12参照)は星型になる。
発光部7に含まれる蛍光体は、励起光源である半導体レーザ3の励起光が照射されると黄色の光を放射するものを使用した。このような発光部81が凸レンズ83および反射鏡8からなる(プロジェクション)光学系と組み合わされ、発光部81の形状を反映した星型のパターンが照射対象(スクリーン、あるいは壁など)に黄色く投影される。
(遮光部82の詳細)
発光部81は、アルミニウム等の金属性の遮光部82にはめ込まれている。換言すれば、遮光部82は、発光部81のレーザ光照射面および発光面以外の側面を覆っている。この遮光部82は、発光部81から出射される光の一部を遮るとともに、発光部81と当接することにより当該発光部81の熱を逃がす。
また、遮光部82は、遮光部51と同様に、発光面81bよりも光出射方向に延出していることが好ましい。この遮光部82の延出部分が、発光面81bから出射した光の一部を遮光することにより、発光部7から出射される光の投影像の少なくとも一部の形状を規定する。さらに、遮光部82のレーザ光照射面(発光面81bの反対側の面)からも光が出射される場合があるため、遮光部82は、発光部81のレーザ光照射面および発光面81bの両側からそれぞれ反対方向へ延出していてもよい。
遮光部82の外形は、例えば、円筒であり、その直径は2mmである。また、発光部81の星形の発光面81bの1辺の長さは、例えば1.4mmである。遮光部82の材質は、アルミに限られず、遮光性がある材質であればどのようなものでも使用可能である。ただし、アルミや銀、銅といった熱伝導性の良い材料を用いれば、発光部81が発光する時の熱を効果的に冷却することができる。
なお、図2に示したように、遮光部82に替えて、反射鏡8の第2焦点の近傍に遮光板を配置してもよい。
(発光部81の変形例)
上述した発光部81に含まれる蛍光体は黄色単色であった。当該蛍光体を白色、赤色、緑色など所望の発色をする蛍光体材料に置き換えることはもちろん可能である。蛍光体を白色とする場合、励起光源からの光と励起光の補色となる蛍光体との組み合わせ(例えば青色光源と黄色蛍光体との組み合わせ)により白色(擬似白色)とすることや、赤色、緑色、青色の蛍光体を混合させることにより白色を得ることなどが可能である。
また、発光面81bの形状は、星型に限定されず、ハート型、三日月型など、他の形状でもよい。また、発光面81bの形状は、特定のキャラクターを表現したものでもよいし、ロゴマークを示すものでもよい。
また、図14に示すように、投影装置80に形状の互いに異なる複数の発光部81を備え、レーザ光の照射対象となる(すなわち、発光する)発光部81を切り換える切り換え機構を設けてもよい。この場合、光ファイバー5の出射端部5aから出射されるレーザ光を受光できる位置に配置された発光部81のみが発光する。
図14には、ハート型、星型、三日月型の複数の発光部81を、1つの遮光部82にはめ込む構成を示している。複数の発光部81を切り換える機構として、例えば、複数の発光部81が長軸方向に沿って配列された矩形の遮光部82を長軸方向にスライドさせる機構または複数の発光部81が円周方向に沿って配置された円形(または円の一部)の遮光部82を回転させる機構を挙げることができる。
また、1つの発光部81を1つの遮光部82にはめ込んだものを複数設け、これら嵌合体の配置を変更することにより、発光する発光部81を切り換えるようにしてもよい。
このように発光部81を複数設ける構成では、発光部81に使用される蛍光体をパターン毎に変えて、例えばハート型はピンク色に発光する蛍光体、星型は青色蛍光体、三日月は黄色蛍光体としてもよい。
(発光部81の製造方法)
次に、発光部81の製造方法について説明する。図15(a)および(b)は、発光部81の製造方法を説明するための図である。まず、図15(a)に示すように、石英などの透明板85上にインクジェットプリント技術を応用して、蛍光体を分散させた分散液で所望のパターンを描写し、焼成を行って、透明板85上に蛍光体を定着させることにより発光部81を形成する。
その後、図15(b)に示すように、発光部81と同じ形をくりぬいたアルミ板(遮光部82)を、発光部81が定着した透明板85に貼り付けることにより、遮光部82が配された発光部81が完成する。
また、上述のように1つの発光部81につき1種類の蛍光体を用いる場合は、必ずしもインクジェットプリント法を用いる必要は無く、型とその型に蛍光体を注入するためのシリンジを用いて製造しても良い。図16は、発光部81の別の製造方法を示す図である。同図に示すように、例えば、星の形をした型86を透明板上に置き、蛍光体材料を封入したシリンジ87などの注入器で、型86の中に蛍光体88を注入し、焼成した後、型86を外すことにより製造できる。
なお、発光部81を透明板に定着させた状態で遮光部82を嵌め込む必要は必ずしもなく、発光部81を透明板から分離した後に、発光部81を遮光部82に嵌め込んでもよい。透明板を励起光が透過する時に多少のロスが生じるため、励起光の利用効率を少しでも高めるためには、透明板から分離した発光部81を遮光部82に嵌め込む方が好ましい。いずれの製造方法を用いるかは、励起光の利用効率と製造の容易さとを考慮して決めればよい。
図17は、発光部81としての描画パターンの一例を示す図である。インクジェットプリント法を用いると次のような発光部も製造可能である。すなわち、例えば図17に示す顔パターン89において、目の部分を青色蛍光体、顔全体は黄色蛍光体、口のラインは赤色蛍光体といったように、所望の部分の色を所望の蛍光体で再現させることによりフルカラーの映像を投影することが可能である。すなわち、互いに異なる色を発する複数の蛍光体を用いて描画された所望のパターンを発光部81として用いてもよい。
この場合、発光部81の製造方法は、透明板85に対して蛍光体を含む液滴を吐出することにより所望の形状の像を形成する吐出工程と、吐出工程において吐出された蛍光体を透明板85上に定着させる定着工程とを含む。定着工程では、吐出された蛍光体を焼成する処理を行う。また、吐出工程において互いに異なる色の蛍光体を含む複数種類の液滴を使用する。
さらにつきつめると、1ドット単位で蛍光体を形成し分ける(赤・青・緑色の蛍光体を打ち分ける)ことで、自然な色彩を有する映像を投影することも可能となる。すなわち、光の3原色を発する3つの蛍光体を用いて点描画された所望のパターンを発光部81として用いてもよい。すなわち、発光部81は、光の3原色を発する3種類の蛍光体をそれぞれ含む3種類の液(赤色、青色、緑色の蛍光体の液)を用いて点描画することにより形成されたものであってもよい。
この場合、上記吐出工程では、光の3原色を発する3種類の蛍光体をそれぞれ含む3種類の液を用いて点描画する。
(励起光源および導光部の変更例)
図18は、半導体レーザ3および導光部の変更例を示す斜視図である。
励起光源としての半導体レーザ3は、1つでもよく、1つのチップに1つの発光点を有するものでも、1つのチップに複数の発光点を有するものでもよい。例えば、半導体レーザ3は、発振波長が405nmであり、1チップに10個の発光点を有し、出力11.2W、動作電圧5V、電流6・4A、φ9mmステムに実装されたものである。このような半導体レーザ3を1個使用する。この場合、半導体レーザ素子光源の11.2W光出力時の消費電力は32Wである。
また、導光部として光ファイバー以外の部材を用いてもよい。この導光部は、半導体レーザ3が発振したレーザ光を受け取る入射端部と当該入射端部から入射したレーザ光を出射する出射端部とを有するものであればよい。
例えば、導光部は、入射端部から出射端部へと光を導くものであり、半導体レーザ3からのレーザ光を受光および集光するために、入射端部の断面積よりも出射端部の断面積の方が小さい円錐台形状または角錐台形状の部材でもよい。図18に示すように、導光部を円錐台形状(先細りの円柱形状)の導光部91にする場合には、例えば、入射端部としての底部92の直径は10mmであり、出射端部としての頂部93の直径は2mmである。
導光部91の材質は、例えば、石英(SiO2)(屈折率:1.45)である。また、導光部91の内部側面には、屈折率1.35のフッ素系樹脂(ポリテトラフロオロエチレン)がコーティングされており、半導体レーザ3の導光部91に対する光結合効率は90%である。
半導体レーザ3から放射されるレーザ光は、非球面レンズ4(例えばロッドレンズ)を介してFFP(Far Field Pattern)のアスペクト比をなるべく真円に近いように補正したのち、底部92から入射され、頂部93から出射される。ここで、FFPとは、レーザ光源の発光点から離れた面における光の強度分布を指す。通常、半導体レーザ3が出射するレーザ光は、回折現象によって活性層の発光強度分布の角度が広がり、そのFFPが楕円形状となる。このため、FFPを真円に近くするには補正が必要となる。
なお、導光部の出射端部が1つの場合には、フェルール6を省略することができる。ただし、励起光としてのレーザ光の利用効率を高めることを考慮すれば、発光部81のレーザ光照射面に無駄なくレーザ光を照射することが好ましい。そのためには、図11に示すように、複数の出射端部5aを発光部81のレーザ光照射面に対して配置する方が好ましい。
また、上述のような変更例を実施の形態1〜4に適用してもよい。例えば、発光部81の製造方法を発光部7に適用してもよい。また、すれ違い用前照灯に使用する発光部7と走行用前照灯に使用する発光部7とを切り換える構成にしてもよい。この構成により、すれ違い用前照灯と走行用前照灯とを1つのヘッドランプで実現できる。
(投影装置80の効果)
以上のように、投影装置80は、所望の形状の投影像を投影する投影装置であって、
励起光を出射する半導体レーザ3と、半導体レーザ3から出射された励起光により発光する発光部81とを備えている。この発光部81は、半導体レーザ3とは別体として形成されており、上記投影像の形状に対応した形状の発光面を備えている。
上記の構成によれば、所望される投影像の形状に対応した形状の発光面から光が出射される。そのため、投影像の形状を既定するための、遮光板、透光フィルタなどの遮光部材を用いなくても所望の投影像を形成できる。従って、遮光部材を用いることによって生じる光のロスを抑えることができ、光の利用効率を高めることができる。
また、発光部81は、半導体レーザ3とは別々に形成されるものであるため、半導体レーザ3の形状を変更することなく発光部81の形状のみを投影像の形状に対応した形状にすることができる。それゆえ、所望の形状の投影像を投影する小型で高輝度の投影装置を簡単な製造工程で実現できる。
また、本発明の発光部の製造方法は、所望の形状の投影像を投影する投影装置(または、配光特性基準が示されている照明装置)が備える発光部であり、励起光源から出射された励起光により発光する発光部の製造方法であって、上記所望の形状(または、上記配光特性基準に対応する形状)を有する型に蛍光体を注入する注入工程と、注入した蛍光体を焼成する工程とを含むことを特徴としている。
上記の構成により、投影像の形状に対応する形状の型に蛍光体を注入することで、発光部を所望の形状にすることができる。このように半導体レーザ3とは独立して、発光部7を形成できるため、小型の発光部を形成できる。
また、本発明の発光部の製造方法は、励起光源から出射された励起光により発光する発光部の製造方法であって、透明板に対して蛍光体を含む液滴を吐出することにより所望の形状の像を形成する吐出工程と、上記吐出工程において吐出された蛍光体を上記透明板上に定着させる定着工程とを含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、吐出工程において、透明板に対して蛍光体を含む液滴を吐出し、所望の形状の像を形成する。そして、定着工程において、透明板上に吐出された蛍光体を当該透明板上に定着させる。
それゆえ、インクジェット法などの液滴吐出方法を利用して透明板上に所望の形状の発光部を容易に形成することができる。
また、上記液滴として、互いに異なる色の光を発する蛍光体を含む複数の液滴を使用することが好ましい。
上記の構成によれば、透明板上に形成した発光部を、複数の色の蛍光体を含むものにすることができる。その結果、複数の色を有する投影像を形成することができる発光部を容易に製造できる。
また、上記吐出工程は、光の3原色を発する蛍光体をそれぞれ含む3種類の液を用いて点描画する工程を含むことが好ましい。
上記の構成によれば、光の3原色(赤色、緑色、青色)の蛍光体を用いて点描画することにより、多彩な色および形状の投影像を形成することができる発光部を製造できる。
(変更例)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、励起光源として高出力のLEDを用いてもよい。この場合には、450nmの波長の光(青色)を出射するLEDと、黄色の蛍光体、または緑色および赤色の蛍光体とを組み合わせることにより白色光を出射する発光装置を実現できる。
また、励起光源として、半導体レーザ以外の固体レーザを用いてもよい。ただし、半導体レーザを用いる方が、励起光源を小型化できるため好ましい。
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
すなわち、本願高輝度光源は、高出力の発振が可能な半導体レーザからなる励起光源と、水平方向に長い略矩形形状かつ、ロービームに要求される配光特性に対して効率よく発光するための形状を有し、前記励起光源からの励起光により発光する発光部を有しており、略矩形形状の発光部を効率よく、ムラ無く(一部に偏らず)励起するための導光部材を有している。
前記導光部材は、一つまたは複数の励起光源に光学的に結合され、他端が複数の光出射端を有する導光部材であって、前記複数の光出射端が前記略矩形形状の発光部の一面(略矩形面)に対して、(密に)整列している。
〔本発明の別表現〕
なお、本発明は、以下のようにも表現され得る。
すなわち、本発明に係る発光装置は、上記の課題を解決するために、配光特性基準が示されている照明装置に適用される発光装置であって、励起光を出射する励起光源と、上記励起光源から出射された励起光により発光する発光部とを備え、上記発光部は、上記励起光源とは別体として形成されており、上記配光特性基準が規定する光照射領域の形状に対応した形状の発光面を有していることを特徴としている。
照明装置に対して示された配光特性基準が規定する光照射領域を照らし、それ以外の領域を照らさないために、従来の照明装置では、遮光板を設けることにより光の出射範囲を制限している。この構成では、遮光板に遮られた光が無駄になる可能性が高い。
これに対して、上記の構成によれば、励起光源が出射した励起光が発光部に照射されると発光部が発光し、発光面から光が出射される。この発光面は配光特性基準が規定する光照射領域の形状に対応した形状を有している。そのため、光照射領域の形状に対応した光線束を出射することができる。
したがって、配光特性基準が規定する光照射領域を効率良く照らすことができる。換言すれば、光照射領域以外の領域を照らす光線束を出射しないようにすることができる。それゆえ、従来の構成よりも光の利用効率を高めることができる。
また、発光部は、励起光源とは別体として(独立に)形成されているため、励起光源の形状に関わりなく、発光部の形状を独自に簡単に成形できる。そのため、発光部を小型にすることにより、発光装置を小型にすることが容易にでき、従来よりも小型で高輝度の発光装置を実現できる。
また、上記照明装置は、自動車のすれ違い用前照灯であり、上記発光面は、自動車のすれ違い用前照灯に対して示される配光特性基準が規定する所定の照度以下の領域である暗領域の形状に対応した切り欠き形状を有していることが好ましい。
自動車のすれ違い用前照灯に対して示される配光特性基準では、対向車の交通の妨げにならないように、所定の照度以下に維持すべき領域(暗領域と称する)が規定されている。
上記の構成によれば、発光面には、暗領域の形状に対応した切り欠き形状が形成されている。換言すれば、発光面のうち、暗領域に到達する光線束を出射する部分が削られている。それゆえ、暗領域を照らさない光線束を発光面から出射することができ、本発明を自動車のすれ違い用前照灯に好適に適用できる。
また、上記発光面の外縁の形状は、上記暗領域の形状に対応した2つの斜辺を有しており、上記2つの斜辺は、上記発光面の長軸方向に対して互いに異なる角度をなしていることが好ましい。
すれ違い用前照灯に対して示される配光特性基準では、光照射する領域(明領域)と所定の照度以下に維持すべき暗領域との境界線を「カットオフ」として規定している。この「カットオフ」には、水平方向に対して45度と15度との角度をなす2つの斜辺が含まれている。
上記の構成によれば、発光面の外縁の形状は、「カットオフ」の形状と対応する形状を有している。それゆえ、当該発光面から出射される光線束の断面形状の一部を、「カットオフ」の形状と対応する形状にすることができ、暗領域を照らさない光線束を発光面から出射することができる。
また、上記発光面は、その長軸方向における第1端部と、上記長軸方向において当該第1端部とは反対側に位置する第2端部とを有し、上記第1端部の、上記長軸方向に対して垂直な短軸方向における幅は、上記第2端部の上記短軸方向における幅よりも広いことが好ましい。
自動車のすれ違い用前照灯に要求される配光特性基準が規定する光照射領域は、歩道を確実に照らすために、歩道側においては、鉛直方向における光照射角度の範囲が広い。これに対して、対向車道側では、対向車を照らさないために、鉛直方向における光照射角度の範囲が狭い。
上記の構成によれば、発光体の発光面は、その長軸方向において第1端部と、第2端部とを有している。第2端部は、長軸方向において第1端部とは反対側に位置している。そして、第1端部の短軸方向における幅は、第2端部の短軸方向における幅よりも広い。
それゆえ、自動車のすれ違い用前照灯に要求される配光特性基準が示す光照射領域を効率良く照らすことができる。
また、上記発光装置は、上記励起光源が出射した励起光を受け取る少なくとも1つの入射端部と当該入射端部から入射した励起光を出射する複数の出射端部とを有する導光部をさらに備え、上記複数の出射端部は、上記発光部における互いに異なる部分に対して上記励起光を出射することが好ましい。
上記の構成によれば、導光部は、励起光源が出射した励起光を受け取る少なくとも1つの入射端部と当該入射端部から入射した励起光を出射する複数の出射端部とを有している。これら複数の出射端部は、発光部における互いに異なる部分に対して励起光を出射する。
それゆえ、発光部の一箇所に励起光を集中的に照射するよりも効率良く発光部を発光させることができる。
また、上記発光部は、上記出射端部から出射される励起光を受光する受光面を有しており、上記複数の出射端部は、上記受光面に対して所定のパターンで配列されていることが好ましい。
上記の構成によれば、複数の出射端部からの出射光によって形成される受光面における複数の投影像は、所定のパターンを形成する。この所定のパターンを適切に設定することにより、配光特性基準を満たす、発光部からの光線束を実現することが容易になる。例えば、自動車のすれ違い用前照灯に要求される配光特性基準では、自車の真正面付近を他の箇所よりも明るくすることが規定されている。そこで、出射端部を受光面の中央部分に対して密に配置することにより上記配光特性基準を満たすことができる。
また、上記発光装置は、上記発光面から出射される光の一部を遮るとともに、上記発光部と当接することにより当該発光部の熱を逃がす遮光部をさらに備えることが好ましい。
上記の構成により、発光面から出射される光の投影像の形状をより厳密に規定することができるとともに発光部を冷却することができる。
本発明に係る照明装置は、上記発光装置と、上記発光部から出射した光を反射する反射鏡とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、発光部から出射した光は、反射鏡によって反射され、例えば、所定の立体角内を進む光線束が形成される。発光面は、照明装置に要求される配光特性基準が示す光照射領域の形状に対応した形状を有しているため、光照射領域の形状に対応した光線束を出射することができる。それゆえ、光利用効率の高い照明装置を実現できる。
また、発光部は、励起光源とは別体として(独立に)形成されているため、励起光源の形状に関わりなく、発光部の形状を独自に簡単に成形できる。そのため、発光部を小型にすることにより、発光装置を小型にすることが容易にでき、従来よりも小型で高輝度の照明装置を実現できる。
また、上記発光装置と、当該発光装置が備える発光部から出射した光を反射する反射鏡とを備える車両用前照灯も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明に係る投影装置は、上記の課題を解決するために、所望の形状の投影像を投影する投影装置であって、励起光を出射する励起光源と、上記励起光源から出射された励起光により発光する発光部とを備え、上記発光部は、上記励起光源とは別体として形成されており、上記投影像の形状に対応した形状の発光面を備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、所望される投影像の形状に対応した形状の発光面から光が出射される。そのため、投影像の形状を既定するための、遮光板、透光フィルタなどの遮光部材を用いなくても所望の投影像を形成できる。従って、遮光部材を用いることによって生じる光のロスを抑えることができ、光の利用効率を高めることができる。
また、発光部は、励起光源とは別体として(独立に)形成されているため、励起光源の形状に関わりなく、発光部の形状を独自に簡単に成形できる。そのため、発光部を小型にすることにより、投影装置を小型にすることが容易にでき、従来よりも小型で高輝度の投影装置を実現できる。
また、上記投影装置は、複数の上記発光部を備え、上記励起光の照射対象となる発光部を切り換える切り換え機構をさらに備えていることが好ましい。
上記の構成により、励起光の照射対象となる発光部を切り換えることができ、1つの投影装置で複数の投影像を投影することができる。
また、上記投影装置は、上記発光面から出射される光の一部を遮るとともに、上記発光部と当接することにより当該発光部の熱を逃がす遮光部をさらに備えていることが好ましい。
上記の構成により、発光面から出射される光の投影像の形状をより厳密に規定することができるとともに発光部を冷却することができる。
また、上記発光部は、透明板に蛍光体を定着させたものであることが好ましい。
上記の構成によれば、インクジェット法などの液滴吐出方法を利用して透明板上に所望の形状の発光部を容易に形成することができる。
また、上記発光部は、上記透明板に複数の色の蛍光体を定着させたものであることが好ましい。
上記の構成により、インクジェット法などの液滴吐出方法を利用して透明板上に形成した発光部を、複数の色の蛍光体を含むものにすることができ、複数の色を有する投影像を形成することができる。
また、上記発光部は、光の3原色を発する蛍光体をそれぞれ含む3種類の液を用いて点描画することにより形成されたものであることが好ましい。
上記の構成によれば、光の3原色(赤色、緑色、青色)の蛍光体を用いて点描画することにより、多彩な色および形状の発光部を形成できる。その結果、多彩な色および形状の投影像を形成することができる。
以上のように、本発明に係る発光装置は、配光特性基準が示されている照明装置に適用される発光装置であって、励起光を出射する励起光源と、上記励起光源から出射された励起光により発光する発光部とを備え、上記発光部は、上記励起光源とは別体として形成されており、上記配光特性基準が規定する光照射領域の形状に対応した形状の発光面を有している構成である。
それゆえ、配光特性基準が規定する光照射領域を効率良く照らすことができ、従来の構成よりも光の利用効率を高めることができるとともに、従来よりも小型で高輝度の発光装置を実現できるという効果を奏する。
本発明に係る投影装置は、所望の形状の投影像を投影する投影装置であって、励起光を出射する励起光源と、上記励起光源から出射された励起光により発光する発光部とを備え、上記発光部は、上記励起光源とは別体として形成されており、上記投影像の形状に対応した形状の発光面を備える構成である。
それゆえ、遮光部材を用いることによって生じる光のロスを抑えることができ、光の利用効率を高めることができるとともに、従来よりも小型で高輝度の投影装置を実現できるという効果を奏する。
また、本発明は、以下のようにも表現され得る。
すなわち、本発明に係る照明装置は、励起光を出射する励起光源と、上記励起光源から出射された励起光により発光する発光部とを備え、上記発光部は、少なくとも上記発光部の発光面を上面としたときの側面のみにおいて遮光部に当接しており、上記発光面の形状に対応する形状の投影像を外部に投影する光学系をさらに有し、上記遮光部は、上記発光部よりも上記光学系側に延出し、上記光学系側から見て上記発光面を覆わないように形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る照明装置において、上記発光面は、配光特性基準が規定する明領域の形状に対応した形状を有していることが好ましい。
また、本発明に係る照明装置において、上記発光部は、切り欠き形状を有し、上記遮光部は、上記発光部の切り欠き形状と嵌合する切り欠き部を有し、上記発光部の切欠き形状と上記遮光部の切欠き部とは、互いに接触していることが好ましい。
また、本発明に係る照明装置において、上記励起光源は、半導体レーザであることが好ましい。
また、本発明に係る照明装置において、上記励起光源と上記発光部とは分離しており、
上記励起光源が出射した上記励起光を上記発光部へ導く導光部を備えることが好ましい。
また、本発明に係る照明装置において、上記導光部は複数の出射端部を有し、複数の上記出射端部は、上記発光部における互いに異なる部分に対して上記励起光を出射することが好ましい。
また、本発明に係る照明装置において、上記発光部は、形状の互いに異なる複数の発光部であり、上記励起光の照射対象となる発光部を切り換える切り換え機構が設けられていることが好ましい。
また、本発明に係る車両用前照灯は、本発明に係る照明装置を備えることが好ましい。
以上のように、本発明に係る発光装置は、励起光を出射する励起光源と、上記励起光源から出射された励起光により発光する発光部とを備え、上記発光部は、少なくとも上記発光部の発光面を上面としたときの側面において遮光部に当接しており、上記発光面の形状に対応する形状の投影像を外部に投影する光学系をさらに有する。